説明

熱分解法酸化亜鉛層を含む層複合材料及び該複合材料を含む電界効果トランジスタ

本発明は、誘電体層、及び熱分解法酸化亜鉛を含有しかつ誘電体層と結合する層を含む層複合材料に関する。また本発明は、熱分解法酸化亜鉛を誘電体層上に、酸化亜鉛粒子が200nm未満の平均凝集体直径で存在する分散液の形で塗布し、かつ酸化亜鉛層を乾燥させ、かつその後に、200℃未満の温度で処理する、該層複合材料を製造する方法に関する。また本発明は、熱分解法酸化亜鉛を基板層又は基板層複合材料に、酸化亜鉛粒子が200nm未満の平均凝集体直径で存在する分散液の形で塗布して、酸化亜鉛層を形成し、かつその後に、酸化亜鉛層及び基板層を200℃未満の温度で処理し、かつその後に誘電体層を酸化亜鉛層に塗布する、該層複合材料を製造する方法に関する。さらに本発明は、該層複合材料を有する電界効果トランジスタに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱分解法酸化亜鉛を含む層複合材料及び該複合材料を含む電界効果トランジスタに関する。さらに本発明は、該複合材料を製造する方法に関する。
【0002】
電界効果トランジスタ中での半導体材料としての酸化亜鉛(ZnO)の使用は、文献中に記載されている。例えば、CVD、PE−CVD又は原子線エピタキシーにより、気相から堆積された層は、電界効果トランジスタにおいて顕著な特性を有することがかつてより知られている。
【0003】
前記方法における欠点は、コストのかかる真空系が不可欠であることであり、この場合、これは、印刷エレクトロニクス分野におけるその使用を妨げる。
【0004】
これに関連して知られているのは、異なる粒子形態を有するコロイダル系の使用である。このようにして製造された層はいわゆるチャネルを形成し、その際、いわゆるゲートに電圧をかけることによって、スイッチ−オン状態における電流の運搬に要求される電荷キャリアを誘導する。
【0005】
この系の欠点は、酸化亜鉛層が十分な電界効果移動度(μFET)を達成するために、高い後処理温度で熱処理されなければならないことである。この温度は、典型的には少なくとも200℃、多くの場合においてそれどころか300℃を上回る。
【0006】
したがって本発明の課題は、低い後処理温度であっても、電界効果移動度の意味において良好な半導体特性及びオン/オフ比を有する系を提供することである。
【0007】
さらに本発明の課題は、このような系を製造する方法を提供することである。この方法は、特に、大量印刷回路の製造のためのコストを減少させるのに寄与すべきである。
【0008】
本発明の方法は、誘電体層と、熱分解法酸化亜鉛を含みかつ該誘電体層と結合する層とを含む層複合材料を提供することである。
【0009】
複合材料とは、固定された方法で互いに結合された層を意味するものと理解される。
【0010】
誘電体層は、無機及び有機材料を含有する。無機材料は、例えば二酸化珪素、酸化アルミニウム、珪素−チタン混合酸化物であってもよく、この場合、これらは、さらに表面改質化された形で存在していてもよい。公知の表面改質化剤は、例えばヘキサメチルジシラザン又はオクタデシルトリクロロシランである。
【0011】
有機材料は、例えばポリマー系、例えばポリ(ペルフルオロエチレン−コ−ブテニルビニルエーテル)、ポリプロピレン−コ−ブテン、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリメチルアクリレート(PMMA)、PVP−コ−PMMA、ポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン又はポリスチレン(PS)であってもよい。
【0012】
熱分解法酸化亜鉛は、火炎中で亜鉛又は亜鉛化合物を酸化することによって形成されるものを意味すると理解される。火炎それ自体は、水素燃焼ガスと酸素含有ガスとの反応によって生じる。これは、好ましくは水素/酸素火炎を含む。ことによると、本発明における熱分解法酸化亜鉛の有利な特性は、製造工程中の高い温度に起因する。同時に、粒子は高い温度に対して簡単にのみ暴露される。反応器の酸化帯域の滞留時間は、一般には5〜200ミリ秒である。その後に、粒子を1000ケルビン/秒〜50000ケルビン/秒の冷却速度で冷却する。熱分解法酸化亜鉛は凝集した一次粒子の形で存在し、かつ、通常は10〜200m/gのBET表面積を有する。
【0013】
さらに熱分解法酸化亜鉛は、ドープされた形で存在していてもよい。適したドーパント成分は、例えばアルミニウム、ガリウム、インジウム、アンチモン、ニオブ、錫、ランタン、マグネシウム、フッ素、リチウム、ビスマス、珪素、ゲルマニウム又なチタンであってもよい。ドーパント成分は、酸化亜鉛の一次粒子中に均一に分散していてもよいか、あるいは、酸化亜鉛の一次粒子表面に濃縮して存在していてもよいか、あるいは、クラスターの形で部分的に存在していてよく、この場合、粒子の容積の範囲又は表面に濃縮している。酸化亜鉛に対するドーパント成分の割合は、好ましくは0.0005〜10質量%、より好ましくは0.0005〜5質量%である。ドーピングの度合いにより、半導体電子工業において知られているように、広い範囲で電子部品の性質を変更することが可能である。
【0014】
熱分解法酸化亜鉛を含む層の厚さは、制限されるものではない。一般には、10nm〜10μmである。特に好ましくは、10〜500nmの範囲であってもよい。
【0015】
熱分解法酸化亜鉛は、誘電体層に結合している。誘電体層の厚さは、好ましくは50nm〜1μmである。特に好ましくは100〜500nmの範囲である。
【0016】
誘電体層それ自体を、順番に、層、例えばPETのポリマーフィルム又はドープされたか又はドープされていないシリコンウェーハ上に塗布することができる。
【0017】
熱分解法酸化亜鉛を含む層を、同様に、層、例えばPETのポリマーフィルム又はドープされたか又はドープされていないシリコンウェーハ上に塗布してもよい。
【0018】
特に好ましくは、熱分解法亜鉛を含む層が10〜500nmの厚さであり、かつ誘電体層が10〜500nmの厚さを有する複合材料である。
【0019】
好ましくは、熱分解法酸化亜鉛を含む層は、酸化亜鉛以外の他の任意の金属酸化物粒子を含有することはない。
【0020】
さらに、熱分解法酸化亜鉛を含む層が有機性の部分を含有していてもよいことが見出された。これらの有機性成分は、酸化亜鉛を含む層の塗布に由来する典型的な(コ)ポリマーである。一般に、有機性の部分を可能な限り少なく維持することは有利である。しかしながら、酸化亜鉛に対して15質量%までの有機性の部分を有する場合であっても、許容可能な半導体特性が得られる。
【0021】
さらに本発明は、熱分解法酸化亜鉛を、誘電体層上に、酸化亜鉛粒子が200nm未満の平均凝集体直径で存在する分散液の形で塗布して、誘電体層上に酸化亜鉛層を形成し、かつその後に酸化亜鉛層及び誘電体層を200℃未満の温度で処理する、層複合材料を製造する方法を提供する。
【0022】
さらに本発明は、熱分解法酸化亜鉛を、酸化亜鉛粒子が200nm未満の平均凝集体直径で存在する分散液の形で塗布して、基板層又は基板層複合材料上に酸化亜鉛層を形成させ、かつその後に、酸化亜鉛層及び基板層を200℃未満の温度で処理し、かつその後に誘電体層を酸化物亜鉛層に塗布する、層複合材料を製造する方法を提供する。
【0023】
さらに前記方法は、複合材料中に存在する層に対して電極を塗布する可能性を含む。
【0024】
分散液の塗布に関して、当業者に公知の方法が利用可能である。例は、ディップコート、スピンオンコート、インクジェットコート、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷又はスクリーン印刷を含む。該分散液は、乾燥工程前及び熱処理工程前の双方において1回以上塗布することができる。
【0025】
分散液の塗布後及び熱処理前において、乾燥工程を挿入することができる。乾燥は、分散液の塗布後に得られた酸化亜鉛層を、室温又は50℃までの温度で1〜24時間に亘って放置することを意味するものと理解される。この過程において、分散液の液相の大部分が蒸発する。この時間は、主として選択された温度に依存する。
【0026】
本発明による方法は、酸化亜鉛の熱処理が、低い温度、200℃未満の温度で実施されることにおいて際だっている。好ましい範囲は80〜180℃の範囲で見出され、かつ特に好ましくは100〜150℃の範囲で見出される。さらに、低い温度は、熱に敏感な有機性基板上への熱分解法酸化亜鉛の塗布を可能にする。
【0027】
熱処理の継続時間は、予備試験によって定められるべきである。使用された乾燥ユニット、例えば赤外線分野又は強力乾燥器によれば、熱処理の継続時間は、数秒から数分である。一般には1〜60秒で十分である。
【0028】
分散液中の酸化亜鉛粒子の平均凝集体直径が重要であることが見出された。有用な電子部品は、粒子の平均凝集体直径が200nm未満である場合にのみ得られることが見出された。平均凝集体直径は、好ましくは7〜200nmであり、かつより好ましくは90〜180nmである。本発明の内容において、平均凝集体直径は、数平均d50値を意味するものと理解される。このような凝集体サイズを達成するために、十分に高いエネルギー入力を確立する分散ユニットが要求される。これは、少なくとも200kJ/mであるべきである。これらは、ローター・ステーター原理に従う系、例えばUltra−Turrax機、超音波ミル又は攪拌ボールミルを含む。より高いエネルギー入力は、遊星歯車ニーダ/ミキサを用いて可能である。しかしながら、この系の効率は、粒子を細分するのに必要な高い剪断エネルギーを導入するために、加工された混合物の十分に高い粘度と関わっている。高圧ホモジナイザーは、特に微細な分散液を得ることができる。この装置において、高圧下で予め分散された2つの流はノズルを介して減圧される。この2つの分散液ジェットがちょうど互いにぶつかり合い、そして粒子が互いに粉砕する。他の実施態様においては、予め分散された液を同様に高圧下に設置するが、しかしながら粒子が取り囲んでいる壁の部分に衝突する。この作業を任意の回数繰り返して、より小さい粒径を得ることができる。さらに分散装置を組み合わせて使用してもよい。さらなる使用の前に、分散液を再度濾過することができ、これにより存在する任意の粗い粒子を除去する。
【0029】
分散液中の酸化亜鉛粒子の割合は、制限されるものではない。一般に、分散液に対して5〜60質量%の範囲である。分散液中の酸化亜鉛粒子の割合は、好ましくは10〜50質量%である。
【0030】
使用される酸化亜鉛粒子の型は、これが熱分解法で製造されること以外、制限されるものではない。特に、出願DE-A-10343728、US6335002、DE-A-10212680、DE-A-10235758又はEP-A-598284中で開示された酸化亜鉛を使用することができる。
【0031】
好ましくは、凝集体が異なる形態の粒子から形成される酸化亜鉛粒子を使用することが可能である。このような酸化亜鉛粒子は、DE-A-10343728中で開示され、この場合、凝集体は円形で0〜10%程度、楕円形で30〜50%程度、線形で30〜50%程度、分岐形で20〜30%程度存在する。明らかに、このような凝集体構造を有する熱分解法酸化亜鉛粒子は、特に本発明による複合材料を製造するのに適している。
【0032】
さらに分散液は、再凝集及び沈澱に対して分散液を安定化する物質を含有していてもよい。一般に、これらの物質は、その型、酸化亜鉛濃度及び分散液の液相の型に依存して、分散液中で、水性又は有機性の形で、酸化亜鉛に対して0.01〜20質量%の割合で存在していてもよい。一般に、これら物質の相対的に低い割合が追求されるが、それというのも、これにより電子部品の性能における正の効果を有しうるためである。適した物質は、例えば:ランダム分布のスチレンオキシドをベースとするポリアルキレンオキシド又は一般式1
O(SO)(EO)(PO)(BO) (1)
[式中、Rは、8〜13個の炭素原子を有する直鎖又は分枝又は環式脂肪族基であり、Rは水素、アシル基、アルキル基又はカルボン酸基であり、それぞれの場合において1〜8個の炭素原子を有しており、SOはスチレンオキシド、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシド、BOはブチレンオキシドであり、かつ、aは1〜5、bは3〜50、cは0〜3、dは0〜3であり、かつ、b≧a+b+dである]のブロックコポリマーである。
【0033】
aが1〜1.9である化合物は、例えばEP-A-1078946に記載されている。
【0034】
さらに一般式2
【化1】

xは1又は2であり、
nは2〜18であり、
m及びoはそれぞれ2〜100の数であり、
kは2〜4の数であり、
R″はH又は直鎖又は分枝のアルキル基であり、この場合、これは場合によっては付加的な官能基によって置換されていてもよく、かつ、
R′はアルキル、アルカリール、アルケニル又はスルホプロピル基である]のリン酸エステルを使用することも可能である。
【0035】
好ましくは使用される化合物は、例えばEP-A-940406に記載されている。
【0036】
さらに一般式3
[RO(SO)(EO)(CHCHCHO)(BO)P(=O)(OH)3−x
[式中、Rは1〜22個の炭素原子を有する直鎖、分枝又は環式脂肪族基であり、SOはスチレンオキシド、EOはエチレンオキシド、BOはブチレンオキシドであり、かつ、aは1〜<2、bは0〜100、cは0〜10、dは0〜3であり、かつb≧a+c+dである]のブロックコポリマー及びその塩を使用することも可能である。
【0037】
さらに、
A)1種又はそれ以上のアミノ官能性ポリマーと、
B)一般式()/(4a
T−C(O)−[O−A−C(O)]−OH()、T−O−[C(O)−A−O−]−Z(4a
の1種又はそれ以上のポリエステル及び
C)一般式()/(5a
T−C(O)−B−Z()、T−O−B−Z(5a
の1種又はそれ以上のポリエーテルとの部分的又は完全な反応によって得ることが可能な化合物を使用することもでき、この場合、上記式中、Tは水素基及び/又は場合によっては置換された、1〜24個の炭素原子を有する直鎖又は分枝のアリール、アリールアルキル、アルキル又はアルケニル基であり、
Aは、直鎖、分枝、環式及び芳香族の炭化水素の群から選択された少なくとも1個の二価の基であり、
Zはスルホン酸、硫酸、ホスホン酸、リン酸、カルボン酸、イソシアナート、エポキシドの群、特にリン酸及び(メタ)アクリル酸から成る群から選択された少なくとも1種の基であり、
Bは、一般式(
【化2】

[式中、a、b、cはそれぞれ互いに独立して0〜100であるが、但しa+b+cの合計は≧0であり、好ましくは5〜35、特に10〜20であるが、但しa+b+c+dの合計は≧0であり、dは≧0であり、好ましくは1〜5であり、
l、m及びnはそれぞれ互いに独立してそれぞれ≧2であり、好ましくは2〜4である]の基であり、
かつx及びyは互いに独立して≧2である。
【0038】
さらに、一般式
【化3】

[式中、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基又はアリール基であるが、しかしながら基Rの少なくとも80%はメチル基であり、
は分子中で同一又は異なって、かつ以下の定義を有していてもよい:
a)
【化4】

(式中、Rは水素又はアルキル基であり、
は水素、アルキル又はカルボキシル基であり、
cは1〜20の数であり、
dは0〜50の数であり、
eは0〜50の数である)又は
b)−(CH−)OR
(式中、Rは水素、アルキル、カルボキシル基であるか、あるいは、場合によってはエーテル基を含有するジメチロールプロパンであり、
fは2〜20である)又は
【化5】

(式中、Rは水素、アルキル又はカルボキシル基であり、
gは2〜6の数であり、
hは0〜20の数であり、
iは1〜50の数であり、
jは0〜10の数であり、
kは0〜10の数である)又は
d)基Rに相当するが、但し平均分子において少なくとも1個の基Rが定義(a)を有しており、その際、1〜500の数、好ましくは1〜200の数及び特に1〜50の数であり、かつbは0〜10の数、好ましくは<5及び特に0である]のオルガノポリシロキサンを使用することが可能である。
【0039】
この種の化合物は、例えばEP-A-1382632中に記載されている。
【0040】
さらに、スチレンオキシドベースのオキシアルキレングリコールアルケニルエーテル又はポリアルキレンオキシドアルケニルエーテル及び不飽和カルボン酸、好ましくはジカルボン酸誘導体に基づくコポリマーを使用することも可能であり、その際、
a)式8a8b8c及び/又は8d
【化6】

【0041】
【化7】

[式中、Rは水素、1〜5個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、
pは1〜4、qは0〜6、tは0〜4、iは1〜6、lは1〜2、mは2〜18であり、H原子における指数は、1とmとの積によって形成されており、
nは0〜100、oは0〜100、SOはスチレンオキシドであり、この場合、(SO)及びアルキレンオキシド誘導体に関しては、ポリエーテル中にランダム分布されるか又はブロック毎に分散することも可能であるが、しかしながら好ましくは、この基はブロック構造であり、かつ以下の式
【化8】

(式中、
は水素、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族、場合によっては分枝の炭化水素基、5〜8個の炭素原子を有する環式脂肪族炭化水素、6〜14個の炭素原子を有するアリール基、この場合、これらは場合によっては置換されているか、あるいは、リン酸エステル(好ましくはモノエステル)誘導体、硫酸エステル誘導体、スルホン酸エステル誘導体であってもよい)に従うものである]の少なくとも1種の構成基1〜80モル%;
b)式
【化9】

[式中、Sは−H、−COOM、−COORであり、
Mは水素、一価又は二価の金属カチオン、アルミニウムイオン、有機アミン基であり、
aは1又はMが二価の金属カチオンである場合には1/2であり、
は1〜20個の炭素原子を有する脂肪族、場合によっては分枝の炭化水素基、5〜8個の炭素原子を有する環式脂肪族炭化水素、6〜14個の炭素原子を有するアリール基、
Tは−U−R又は−U−(ClmO)−(ClmO)−Rであり、
は−COO−、−CONH−、−CONR−、−O−、−CHO−であり、
はH、M、R又は−Q−NQであり、
その際、Qは2〜24個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、
及びQは1〜12個の炭素原子を有する脂肪族及び/又は脂環式アルキル基、場合によっては
−Q−N(+)(−)
について酸化されたものであり、かつ、
m、n、l、o、R及びRは前記に示したものである]の構成基1〜90モル%及び
c)式10
【化10】

の構成基0〜10モル%を有する。
【0042】
この種の化合物は、例えばDE-A-10348825中に記載されている。
【0043】
さらに、好ましくは200〜2000000g/モル、より好ましくは1000〜50000g/モルのMを有するポリアクリル酸及びその塩を使用することも可能である。
【0044】
分散液は水性又は有機性であってもよいか、あるいは、液相として水又は有機溶剤を有する混合物から構成されていてもよく、その際、専ら単一の液相がすべての場合において存在する。「水性」は、液相の主な割合が水から成ることを意味すると理解される。「有機性」は、液相が主に又は専ら少なくとも1種の有機性溶剤から成ることを意味するものと理解される。適した有機溶剤はエタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アルカン及び/又はエーテルであってもよい。
【0045】
好ましくは本発明の範囲内において、水性分散液又は酢酸ブチルをベースとする分散液である。
【0046】
さらに本発明は、本発明による層複合材料を含む電界効果トランジスタを提供する。
【0047】
特に、電界効果トランジスタは、ゲート端子(contact)、ソース端子、ドレイン接触及びソース端子とドレイン端子との間に存在するチャネル領域を含有し、その際、チャネル領域は、本発明による熱分解法酸化亜鉛を含む層複合材料の一部分である。
【0048】
本発明による電界効果トランジスタは、好ましくは少なくとも2・10−3cm/V・sの移動度を有する。
【0049】
さらに本発明は、電界効果トランジスタを製造するための方法を提供し、この場合、この方法は、以下の工程を含む:
a1)基板層を提供し、
a2)ソース電極及びドレイン電極を取り付け、
a3)熱分解法酸化亜鉛を、ソース電極及びドレイン電極を有する基板層に塗布し、
a4)酸化亜鉛層上に誘電体層を塗布し、
a5)誘電体層上にゲート電極を取り付けるか、
あるいは、
b1)基板層を提供し、
b2)ゲート電極を取り付け、
b3)誘電体層を、ゲート電極を含む基板層上に塗布し、
b4)ソース電極及びドレイン電極を誘電体層上に取り付け、
b5)熱分解法亜鉛を、ソース電極及びドレイン電極を有する誘電体層上に塗布するか、あるいは、
c1)基板層を提供し、
c2)熱分解法酸化亜鉛を、ソース電極及びドレイン電極を有する基板層に塗布し、
c3)ソース電極及びドレイン電極を、熱分解法酸化亜鉛を含む層上に取り付け、
c4)誘電体層を、ソース電極及びドレイン電極を有する酸化亜鉛層上に塗布し、
c5)ゲート電極を誘電体層上に取り付けるか、
あるいは、
d1)基板層を提供し、
d2)ゲート電極を取り付け、
d3)ゲート電極を含む基板層上に誘電体層を塗布し、
d4)熱分解法酸化亜鉛を、ゲート電極を有する誘電体層上に塗布し、
d5)ソース電極及びドレイン電極を、熱分解法酸化亜鉛を含む層上に取り付ける。その際、熱分解法酸化亜鉛を、それぞれの場合において、酸化亜鉛粒子が200nm未満の平均凝集体直径で存在する分散液の形で塗布し、かつ層を200℃未満の温度で処理する。
【0050】
a1〜a5の特徴による電界効果トランジスタの構造は図1aに示されており、b1〜b5の特徴による電界効果トランジスタの構造は図1bに示されており、c1〜c5の特徴による電界効果トランジスタの構造は図1cに示されており、d1〜d5の特徴による電界効果トランジスタの構造は図1dに示されている。これらの図において:1は酸化亜鉛を含む層;2は誘電体層;3は基板;4はゲート;5はソース;6はドレインである。
【0051】
基板層のための有用な材料は、ポリマーフィルム、例えばPETと見出された。
【0052】
分散液の塗布後及び熱処理前において、乾燥工程を挿入することができる。分散液の塗布の方法、乾燥条件及び熱処理条件、使用される酸化亜鉛粒子の型及び濃度並びに使用することができる基板は、本発明による層複合材料の製造に関して上記に示されたものと同様である。
【0053】
さらに本発明は、太陽電池、ディスプレイ、センサー、RFIDタグを製造するための本発明による相複合材料の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1a】a1〜a5の特徴による電界効果トランジスタの構造を示す図
【図1b】b1〜b5の特徴による電界効果トランジスタの構造を示す図
【図1c】c1〜c5の特徴による電界効果トランジスタの構造を示す図
【図1d】d1〜d5の特徴による電界効果トランジスタの構造を示す図
【図2】本発明によるFET構造を示す図
【図3】FETの出力及び伝送特性を示す図
【図4】FETの出力及び伝送特性を示す図
【0055】

使用された酸化亜鉛:BET25m/g、DE-A-10343728からの例3に相当する。
【0056】
使用された分散液:分散液D1及びD2は、前記酸化亜鉛を、水又はn−ブチルアセテート中で2500barで、高圧ホモジナイズすることによって得ることが可能である。添加剤は、粉末添加前又は添加中において添加する。
【0057】
【表1】

【0058】
電界効果トランジスタ(FET):
7〜21Ohm・cmの固有抵抗を有するドープされたシリコンウェーハを使用する。この表面は、250nmの厚さを有する熱分解法(thermal)二酸化珪素から成る。ウェーハは、アセトン及びイソプロパノールを用いて、超音波浴中でそれぞれの場合において10分に亘って処理する。引き続いて、UV−オゾン処理を3分実施し、かつ酸素流は11/分であった。引き続いて、分散液D1をスピン−オンを用いて2工程で塗布する(第1工程:500rpm、10s、第2工程:2000rpm、30s)。引き続いて、乾燥を、90℃の温度で空気下で30分に亘って実施する。
【0059】
アルミニウムから成るソース及びドレイン電極は、シャドウマスクにより、5オングストローム/sの蒸着速度で塗布する。FET構造を有するウェーハはプローブと接触させ、その際、背側のゲート端子は、電導性銀を有するウェーハ上に固定された銅シートにより確立されている。構造は、図2中に再現されている(電導性銀は示されていない)。伝送及び出力特性は、パラメータ分析装置(Agilent 4156 C)を用いて記録される。図3、4は、FETの出力及び伝送特性を示す。電界効果移動度は、80Vのゲート電圧Uで2.5・10−3cm/Vsである。
【0060】
同様に、電界効果トランジスタは分散液D2を用いて得ることができる。得られたトランジスタは、D1の場合と同様の挙動を示した。
【符号の説明】
【0061】
1 酸化亜鉛を含む層、 2 誘電体層、 3 基板、 4 ゲート、 5 ソース、 6 ドレイン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層と、熱分解法酸化亜鉛を含みかつ該誘電体層と結合する層とを含む、層複合材料。
【請求項2】
熱分解法酸化亜鉛を、酸化亜鉛粒子が200nm未満の平均凝集体直径で存在する分散液の形で誘電体層に塗布し、誘電体層上に酸化亜鉛層を形成し、かつその後に酸化亜鉛層及び誘電体層を200℃未満の温度で処理することを特徴とする、請求項1に記載の層複合材料を製造する方法。
【請求項3】
熱分解法酸化亜鉛を、酸化亜鉛粒子が200nm未満の平均凝集体直径で存在する分散液の形で塗布して、基板層又は基板層複合材料上に酸化亜鉛層を形成し、かつその後に酸化亜鉛層及び基板層を200℃未満の温度で処理し、かつその後に誘電体層を酸化亜鉛層上に塗布することを特徴とする、請求項1に記載の層複合材料を製造する方法。
【請求項4】
分散液を、ディップコート、スピンオンコート、インクジェットコート、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷又はスクリーン印刷により塗布する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
熱処理を80〜180℃で実施する、請求項2から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
酸化亜鉛粒子の平均凝集体直径が70〜200nmである、請求項2から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
分散液中の熱分解法酸化亜鉛の割合が5〜60質量%である、請求項2から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
分散液が、酸化亜鉛に対して、1種又はそれ以上の安定化剤0.01〜20質量%を含有する、請求項2から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の層複合材料を含む、電界効果トランジスタ。
【請求項10】
請求項9に記載の電界効果トランジスタを製造する方法において、
以下の工程:
a1)基板層を提供し、
a2)ソース電極及びドレイン電極を取り付け、
a3)熱分解法酸化亜鉛を、ソース電極及びドレイン電極を有する基板層に塗布し、
a4)酸化亜鉛層上に誘電体層を塗布し、
a5)誘電体層上にゲート電極を取り付けるか、
あるいは、
b1)基板層を提供し、
b2)ゲート電極を取り付け、
b3)誘電体層を、ゲート電極を含む基板層上に塗布し、
b4)ソース電極及びドレイン電極を誘電体層上に取り付け、
b5)熱分解法亜鉛を、ソース電極及びドレイン電極を有する誘電体層上に塗布するか、あるいは、
c1)基板層を提供し、
c2)熱分解法酸化亜鉛を、ソース電極及びドレイン電極を有する基板層に塗布し、
c3)ソース電極及びドレイン電極を、熱分解法酸化亜鉛を含む層上に取り付け、
c4)誘電体層を、ソース電極及びドレイン電極を有する酸化亜鉛層上に塗布し、
c5)ゲート電極を誘電体層上に取り付けるか、
あるいは、
d1)基板層を提供し、
d2)ゲート電極を取り付け、
d3)ゲート電極を含む基板層上に誘電体層を塗布し、
d4)熱分解法酸化亜鉛を、ゲート電極を有する誘電体層上に塗布し、
d5)ソース電極及びドレイン電極を、熱分解法酸化亜鉛を含む層上に取り付ける、
を含み、その際、熱分解法酸化亜鉛を、それぞれの場合において、酸化亜鉛粒子が200nm未満の平均凝集体直径で存在する分散液の形で塗布し、かつ層を200℃未満の温度で処理する、請求項9に記載の電界効果トランジスタを製造する方法。
【請求項11】
太陽電池、ディスプレイ、センサー及びRFIDタグを製造するための、請求項1から9までのいずれか1項に記載の層複合材料の使用。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−525560(P2010−525560A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503436(P2010−503436)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052820
【国際公開番号】WO2008/128821
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【出願人】(591004618)フォルシュングスツェントルム カールスルーエ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (50)
【氏名又は名称原語表記】Forschungszentrum Karlsruhe GmbH
【住所又は居所原語表記】Weberstrasse 5, D−76133 Karlsruhe,Germany
【Fターム(参考)】