説明

物体を支持板に対して位置決めし、アライメントさせ、あるいは支持板とともに位置決めし、アライメントさせるための方法および装置、ならびにその使用

本発明は、物体(1)を支持板(13)に対して位置決めし、あるいはアライメントさせるための方法および装置、または支持板(13)とともに位置決めし、あるいはアライメントさせるための方法および装置であって、光が物体(1)へと照射され、特に位置決めすべき物体(1)の少なくとも1つのマーキング(3)の領域に照射され、位置決めすべき物体(1)から反射され、特にマーキング(3)および/または支持板(13)から反射される光が、記録装置(7)において記録され、場合によっては評価され、記録および場合によっては評価された反射光にもとづいて、物体(1)の位置が割り出され、さらに/あるいは物体(1)の位置またはアライメントが修正される方法および装置に関する。照射に使用された光が、特にマーキング(3)の領域に発光物質(15)を使用することによって異なる波長の光へと変換され、異なる波長の光が、記録装置(7)において記録され、場合によっては評価される。これにより、位置決めすべき物体(1)について、高度に正確な位置決めおよびアライメントが実現でき、特にさらなる工程において加工不良となる物体を少なくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を支持板に対して位置決めし、あるいはアライメントさせるための方法、または支持板とともに位置決めし、あるいはアライメントさせるための方法であって、光が物体へと照射され、特に位置決めすべき物体の少なくとも1つのマーキングの領域に照射され、位置決めすべき物体から反射され、特にマーキングおよび/または支持板から反射される光が、記録装置において記録され、場合によっては評価され、記録および場合によっては評価された反射光にもとづいて、物体の位置が割り出され、さらに/あるいは物体の位置またはアライメントが修正される方法に関する。さらに、本発明は、物体を支持板に対して位置決めし、あるいはアライメントさせるための装置、または支持板とともに位置決めし、あるいはアライメントさせるための装置であって、物体を照射し、特に位置決めすべき物体の少なくとも1つのマーキングの領域を照射す少なくとも1つの光源と、位置決めすべき物体から反射され、特にマーキングおよび/または支持板から反射される光を、記録し、場合によっては評価し、記録および場合によっては評価された反射光にもとづいて物体の位置を割り出し、さらに/あるいは物体の位置またはアライメントを修正する記録装置とが設けられている装置に関する。さらに、本発明は、そのような方法およびそのような装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
以下では、本発明を、とりわけ、特にプリント基板の製造または加工の文脈において、あくまでも例として詳細に説明するが、本発明が、物体を支持板または保持具または支持装置に対して位置決めし、あるいはアライメントさせるための方法および装置であって、場合によっては異なる波長を有する光の放射によって、物体または物体を支持している支持板または支持装置から反射される光が、記録装置において記録され、物体の支持板に対する位置またはアライメントの修正、あるいは支持板の加工機に対する位置またはアライメントの修正が行われる方法および装置において、広く適用可能であることに留意すべきである。そのような方法および装置を、例えば被加工物に穿孔作業、切断作業、エッチング作業、などのきわめて正確な加工または機械加工を加える必要がある多数の用途において使用することができる。そのほか、正確なアライメントおよび位置決めは、例えば露光および挿入の作業においても不可欠である。
【0003】
プリント基板の製造または加工の文脈において、例えば、穿孔作業、特に、レーザ穿孔作業を実行するために、プリント基板または複数のプリント基板を含む実質的に板状の部材にマーキングを設け、プリント基板または、概して板状の部材を加工ステーションへと移し、支持板あるいは支持板を形成している保持具または支持装置に対して変位させて調節を行うことが知られており、例えばコンピュータ制御の穿孔プログラムに対応して正確に配置され、例えば、さらなる加工工程においてプリント基板の個々の構成要素を接続するため、追加の構成要素を挿入するため、あるいはプリント基板の種々の層を接合するために使用される複数の孔を、その後プリント基板、より一般的には、板状の部材に形成するために、通常は少なくとも2つのマーキングを設けることによって行われることが知られている。
【0004】
今までのところ、この種のアライメントおよび位置決めの作業は、通常は、例えば適切に束ねられた光などの光を、位置決めすべき物体、例えば、プリント基板へとマーキングの領域に案内または当てて、プリント基板から反射され、あるいは一般的には位置決めすべき物体から反射される光、位置決めすべき物体を完全に貫いている穴状のマーキングが例えば存在する場合には、支持板から反射される光を、記録装置に記録し、場合によっては自動的な画像処理を行って、加工すべき物体の支持板に対する位置またはアライメントを割り出し、必要であれば、後の加工の作業、例えば、穿孔作業を適切に高い精度で実行できるようにするため、所定の設定値への設定または調節を行うことを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような反射光を記録して位置決めすべき物体の位置およびアライメントを割り出す知られている方法および装置は、位置決めすべき物体、特に、プリント基板または複数のプリント基板を含む板状の部材に反射面が少なくとも部分的に設けられると、位置決めすべき物体のマーキングの周囲の領域が、マーキングに対してまたは貫通穴状のマーキングの場合には、例えば充分なコントラストをもたらすべく明るい色または白色を呈している支持板に対して、相応に良好なコントラストをもたらすことが困難または不可能になるという欠点を含む。なぜならば、位置決めすべき物体の反射面から反射される光(迷光)と、マーキングまたはマーキングの下方に位置する支持板から反射され、物体の配置または向きを割り出すための基準を形成する光との間の区別を、必要な精度で行うことができなくなるからである。
【0006】
特に、例えば部分的にきわめて小さな寸法である構成要素を後に接続または接合しなければならず、したがって適用される構成要素または例えば形成すべき孔について、小さな寸法を設けなければならないという点に鑑み、例えばプリント基板の製造または加工に必要とされる高い精度の文脈において、知られている方法および装置を使用した場合に、物体のうちの相応に多くの割合が、特に充分に正確に調節されていないがために、結果的に正確に加工されないことが予想され、したがって不良品の発生を予期しなければならない。さらには、大きなアライメントずれまたは位置決め誤差は、そのような場合に制御機構が通常は生産を停止させるため、生産の中断につながる。
【0007】
したがって、本発明は、冒頭で定義した種類の方法および装置において上述の問題を回避し、冒頭で定義した種類の方法および装置を、特に物体の高精度の製造または加工の際に、それぞれの品質要件を満たさない加工済みの物体の割合、すなわち不良品の割合を少なくするために、物体の支持板に対する、あるいは支持板とともに位置決めまたはアライメントを、反射光の簡単化または容易化された記録ならびに場合によっては評価によって、より高い精度で実行することができるという趣旨で、さらに発展させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的を達成するために、冒頭で定義した種類の方法が、基本的に、照射に使用された光が、特にマーキングの領域に発光物質を使用することによって異なる波長の光へと変換され、異なる波長の光が、記録装置において記録され、場合によっては評価されることを特徴とする。物体、特に、マーキングまたは支持板から直接反射された光が記録され、場合によっては評価される知られている方法と対照的に、本発明によれば、照射に使用された光の波長について、異なる波長または変化させられた波長を有する光、一般的には、電磁波への変換が、特に発光または発光物質を使用することによって達成され、その後に、この変化させられた波長を有する光のみが、記録装置において記録され、場合によっては評価されるという事実ゆえ、例えばマーキングの周囲の領域において物体から反射され、物体、特に、マーキングの照射に使用された元々の光の波長を有する光が、記録装置に記録されることがなく、その結果、支持板に対して位置決めされ、あるいはアライメントさせられ、もしくは支持板または保持具あるいは支持装置とともに位置決めされ、あるいはアライメントさせられる物体の少なくとも1つのマーキングについて、実際の位置またはアライメントを、より高い精度で、場合によっては簡単化された記録および評価の方法によって、割り出すことが可能であることが保証されている。物体の特にマーキング領域を照射するために使用される光を、特に発光、すなわち蛍光またはリン光物質を使用することによって別の波長の光へと変換することで、アライメントおよび位置決めの精度が高められ、したがってこの改善されたより高い精度の位置決めおよびアライメントの後で、加工対象の物体を相応に高められた精度で加工することが可能になる。その結果、位置決めすべき物体について、不正確な位置決めまたはアライメントあるいは実際の位置およびアライメントの測定の誤りに起因する加工不良が、大幅に少なくなり、あるいは完全に防止され、したがって、それぞれの品質要件を満たさない加工済みの物体、すなわち生じる不良品の割合も、少なくなる。さらには、顕著なアライメントずれまたは位置決め不良に起因する作業の中断に関係する問題も、回避または撲滅が可能である。さらに、本発明による方法によって、アライメントまたは位置決めに要する時間も削減され、したがって本発明による方法を適用することで、効率または生産性の向上がもたらされる。実際に、反射光が記録および評価の装置へと導入されることがあり得ない一方で、少なくとも1つの光源から位置決めまたはアライメントを行うべき物体へと加えられる光が、発光または蛍光またはリン光によって別の波長の光、一般的には、電磁波へと変換され、この別の波長の放射が、記録および場合によっては引き続いてもたらされる評価方法の対象とされることが、本発明による方法にとって不可欠である。
【0009】
記録および場合によってはその後の例えば、特に自動的な画像評価を容易にするために、本発明による方法の好ましい実施形態によれば、物体を照射するために、狭いスペクトル範囲を有する光を使用し、この光を、発光物質によって、照射に使用した光の波長とは異なる波長を有する光へと変換することが提案される。
【0010】
本発明による方法の文脈において、従来技術に照らして実質的に不変の記録装置を使用することができるよう、さらなる好ましい実施形態によれば、記録装置前方にフィルタ、特に光学フィルタを位置させ、このフィルタを、変化後の波長の光の波長へと同調させることが提案され、そのようなフィルタが、変換後または変化後の波長への簡単、確実、かつ正確な同調を可能にする。さらには、そのようなフィルタを使用することによって、例えば物体によって反射された元のままの波長の光ならびに存在しうる迷光が記録装置へと進入することを、簡単な方法で阻止できるようになる。
【0011】
これに代え、あるいはこれに加えて、本発明による方法の好ましいさらなる発展に対応するよう、迷光あるいは物体、特に、マーキングの領域の照射に用いた元々の光の反射光を記録してしまうことがないように、記録装置に異なる波長の光のための複数の記録チャンネルを備えることができ、反射光の記録およびその後の場合によっては評価において、チャンネルを変化後の波長の光に応じて選択することができる。
【0012】
相応に容易に入手できる光源を使用するきわめて簡単かつ確実な実施形態のために、さらなる好ましい構成によれば、位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体を照射するための光源として、発光ダイオード、レーザダイオード、あるいはカラーフィルタに組み合わせられた白熱ランプおよびガス放電ランプを使用することが提案される。そのような光源は、基本的に、好ましくは比較的狭いスペクトル範囲内の任意の可視色の光あるいは紫外または赤外スペクトルの光を発することができ、結果として、物質が、使用される発光物質に応じて、そのような異なる色または波長の光によって励起され、異なる色または波長の光が放射され、次いで記録装置に記録されて、場合によっては評価される。
【0013】
変形例の実施形態によれば、本発明に従って、記録装置および/または光源の前方にダイクロイックミラーを位置させることが提案される。
【0014】
特に、本発明による方法を、複数のプリント基板を含んでいるプリント基板部材の加工または製造の分野に使用する場合に、本発明による方法のさらなる好ましい実施形態によれば、位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体が、発光物質からなる少なくとも1つのマーキングを有する実質的に板状の部材で構成されることが提案される。
【0015】
確実かつ正確な位置決めのために、さらなる好ましい実施形態によれば、位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体に、少なくとも2つのマーキングを、それ自体は知られている方法で設けることが提案される。
【0016】
記録ならびに場合によっては位置決めすべき物体の位置またはアライメントの評価を容易にするために、さらなる好ましい実施形態によれば、マーキングを窪みまたは凹所によって形成することが提案される。
【0017】
本発明による方法のさらなる好ましい発展に対応するように、きわめて単純なマーキングの構成を、例えば、マーキングを貫通穴によって形成し、支持板に発光物質からなる層を備えることで、もたらすことが可能である。
【0018】
さらに、上述の目的を達成するために、冒頭で定義した種類の装置が、基本的に、物体へと放射された光の波長に対して変化させられた波長の光であって、位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体のマーキングの領域において特に発光物質を使用することによって反射された光を、選択的に記録する記録装置を特徴とする。本発明による方法の文脈においてすでに上述したように、本発明による装置が、変化させられた、すなわち変換された波長の光(波長の変化は、特に発光物質を用いることによって実現される)を選択的に記録するように使用され、さらには変化させられた波長に対応する反射光の記録が防止されることで、位置決めすべき物体の位置および/またはアライメントの簡単かつ確実な記録および評価が実現可能になる。
【0019】
迷光の進入を防止し、もっぱら変化させられた波長の光のみを記録装置に記録するための単純な手段を提供するために、好ましい実施形態によれば、記録装置の前方に、変化後の波長の光へと合わせられたフィルタ、特に光学フィルタを位置させることが提案される。
【0020】
これに代え、あるいはこれに加えて、本発明による装置のさらなる好ましい実施形態に対応するように、さらに記録装置を、異なる波長の光を記録するための複数のカラーチャンネルを含む記録装置、特にカメラで構成することができる。
【0021】
おそらくは必要とされる位置決めすべき物体の位置またはアライメントの修正のために、さらなる好ましい実施形態によれば、位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体を支持板に対して変位させ、あるいは支持板とともに変位させるための装置を、記録装置に接続し、あるいは接続可能にすることが提案される。
【0022】
場合によっては狭いスペクトル範囲を有する確実かつ単純な光源を提供するために、さらなる好ましい実施形態によれば、光源を、発光ダイオード、レーザダイオード、あるいはカラーフィルタに組み合わせられた白熱ランプおよびガス放電ランプ、などによって形成することが提案される。
【0023】
さらなる好ましい実施形態によれば、位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体が、発光物質からなる少なくとも1つのマーキングを含む実質的に板状の部材によって形成されることが提案される。
【0024】
さらに、正確かつ適切な位置決めのために、さらなる好ましい実施形態によれば、位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体に、それ自体は知られている方法で、少なくとも2つのマーキングを設けることが提案される。そのような位置的に離された2つのマーキングを、ただ1つの記録装置によって、記録装置を適切に移動させたあとで調べることができ、あるいは物体の位置またはアライメントに関する記録および場合によっては評価が、位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体ならびに設けられるべきマーキングの位置に応じて、マーキングの数に一致する数の記録装置によって行われる。
【0025】
さらに、適切なコントラストを実現するために、位置決めすべき物体のマーキングが、窪みまたは凹所によって形成される。
【0026】
さらなる好ましい実施形態によれば、位置決めすべき物体のマーキングを貫通穴によって形成し、支持板に発光物質からなる層を備えることが、本発明によって提案される。
【0027】
さらには、本発明によれば、本発明の方法および本発明の装置を、板状の部材、特に、プリント基板を、プリント基板の製造または加工の際に、位置決めするために使用することが提案される。
【0028】
特に好ましい実施形態によれば、本発明の方法および本発明の装置を、穿孔機、特に、レーザ穿孔機を用いる穿孔プロセス、フライス加工プロセス、写真印刷プロセス、マスキングプロセス、シルクスクリーンプロセス、露光プロセス、または挿入プロセス、などを実行するためのプリント基板の位置決めおよびアライメントに使用することが、さらに提案される。
【0029】
以下で、本発明を、添付の図面に概略的に示されている例示的な実施形態によって、さらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の方法を実行するための本発明による装置の第1の実施形態の概略の斜視図である。
【図2】図1による実施形態について、位置決めまたはアライメントを行うべき物体のマーキングの領域の拡大部分断面図である。
【図3】図2と同様の図にて、本発明の方法を実行するための本発明による装置の変形例の実施形態の一部分の断面を示している。
【図4】やはり図2と同様の図にて、本発明の方法を実行するための本発明による装置のさらなる変形例の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、加工および完成後に個々のプリント基板部材へと分割される参照番号2によって概略的に示されている複数のプリント基板部材を含む実質的に板状の部材で形成されている位置決めまたはアライメントを行うべき物体1を概略的に示している。図1による実施形態において、位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体1は、例えば、特に図2を参照してさらに詳しく説明されるような貫通孔3の形態の2つのマーキング3を有する。
【0032】
光源4から、光が、概略的に示されているビーム経路5に沿って、板状の部材1のマーキングまたはマーキング3の領域へと放射され、以降の図面を参照してさらに詳しく説明されるとおり、マーキング3の領域に発光物質が設けられているがゆえに、光源4からビーム経路5に沿って放射された光に対して変化した波長を有する光、一般的には、電磁波が、参照番号7によって概略的に示されている記録装置、例えば、カメラへとビーム経路6に沿って伝えられる。このカメラ7の前方に、例えば光学フィルタ8が位置している。光学フィルタ8は、特に残りの図面を参照してさらに詳しく後述されるとおり、ビーム経路6による変化した波長の光についてのみ、記録装置またはカメラ7への進入を可能とする一方で、例えばマーキング3の周囲の領域から反射され、光源4から放射された波長と同一の波長を有する光については、フィルタ8の通過を妨げる。
【0033】
記録装置7は、位置決めすべき物体1の位置および/またはアライメントに関する評価、例えば、特に自動的な画像の評価を、記録装置7において受信された信号に応じて実行する評価および表示装置またはユニット10に、概略的に示されている接続線9によって接続されている。
【0034】
評価装置10において、所定の値に対する板状の物体1のアライメントずれまたは位置異常が検出された場合、例えば直交座標系に従って矢印xおよびyの方向に板状の物体1を支持板または保持具または支持装置13に対して位置決めし、あるいは変位させるための装置12が、例えばマーキング3を物体1の正確な配置およびアライメントに照らして所定の設定値に一致させるべく、位置決めのために制御線11によって制御される。
【0035】
これに代え、あるいはこれに加えて、物体1のアライメントずれの場合に、支持板13または保持具または支持装置を矢印XおよびYの方向に変位させるための装置14を、後の加工工程のための板状の物体1の正確な配置を可能にするために、評価ユニット10によって制御してもよい。そのような後の加工工程は、例えば、詳しくは説明されない穿孔手段を用いるレーザ穿孔を含むことができる。
【0036】
図1による実施形態において、位置決めすべき物体1について正確な空間的位置決めまたはアライメントを実現するために、第2の記録装置7を、対応する第2の光源4とともに、例えば正反対に位置する第2のマーキング3のために設けることができる。あるいは、記録装置7を、マーキング3の領域へと相応に移動させ、最初に物体、特に、マーキング3の領域を照射するために用いた波長に対して変更または変換された波長を有する光、一般的には、電磁波で、記録を再び行ってもよい。
【0037】
図2による詳しい説明から、位置決めすべき実質的に板状の物体1のマーキング3が、貫通孔によって形成されていることが明らかである。さらに、図2には、やはり参照番号13によって示されている支持板または保持具または支持装置に、少なくとも位置決めすべき物体1のマーキング3の領域において発光物質の層15が設けられており、光源4からビーム経路5に沿って放射された光が、発光層15によってビーム経路16による異なる波長の光へと変換されることが、概略的に示されている。この異なる波長の光6が、光学フィルタ8の適切な選択の後で、光学フィルタ8を通過し、記録装置7に進入する。対照的に、ビーム経路16および17に沿って物体1の表面から反射される不変の波長の光は、光学フィルタ8によって阻止され、したがって記録装置7へと進入できず、結果として、記録装置7に進入する光が、光源4からの光がビーム経路5に沿ってマーキング3の下方に位置する発光物質15に衝突することによって変換される変化した波長の光であり、すなわち迷光の影響または、反射光による影響が、位置決めすべき物体1の正確な配置またはアライメントに関する評価に影響を及ぼさないことが、簡単かつ確実な方法で保証される。
【0038】
このようにして、単に発光層15を設け、元の波長を有するビーム経路5に沿った光を、変化した波長を有するビーム経路6の光へと単純に変換できるようにすることで、誤ったアライメントを軽減または撲滅すべく、位置決めすべき物体1の確実かつ正確な位置決めを実現することが可能になる。
【0039】
この場合において、ビーム経路5に相当する少なくとも1つの光源4から位置決めすべき物体へと放射される光が、発光層15によって吸収され、発光層15が、変化した波長を有する光、一般的には、電磁波6を放射し、概略的に示されているビーム経路6による前記放射が、特にフィルタ8を通過した後で記録装置に実質的に記録され、場合によってはさらなる評価の対象とされることが、不可欠である。
【0040】
図1および図2に示されている蛍光または発光層を、例えば、蛍光または蛍光着色されたフィルムまたは箔、ポリマー、あるいはガラスで置き換えることも可能である。
【0041】
図3は、ビーム経路5に従う光源4からの元の波長または初期波長の光が、やはり実質的に板状の物体18へとマーキング19の領域に再び加えられる変形例の実施形態を示しており、位置決めすべき物体18が、図3に示した実施形態においては、例えば多層プリント基板によって形成されている。図3から明らかであるとおり、マーキング19は、位置決めすべき物体18の表面に設けられた窪みまたは行き止まり穴によって形成されており、位置決めすべき多層の物体18が、やはり窪みまたはマーキング19の底部の領域に発光物質の層20を含んでおり、結果として、ビーム経路5に従って入射する光が、やはり変化した波長を有するビーム経路6による光、一般的には、電磁波へと変換され、やはり参照番号8によって示されている光学フィルタを通過した後で、記録装置7へと進入する。
【0042】
図2による実施形態の場合と同様に、やはり参照番号16および17によって示されるビーム経路に沿って物体18の表面から反射される光は、フィルタ8を通過できず、あるいは大きく減らされた強度でしか通過できず、したがって記録装置7に入ることができない。
【0043】
したがって、図3に示されている実施形態においては、図2による構成と対照的に、支持板13または保持具または支持装置に発光層を設ける必要がない。
【0044】
図4に示されている実施形態においては、参照番号21によって示されている位置決めすべき物体が、上面に発光物質によって形成されたマーキング22を有しており、結果として、先の実施形態の場合と同様に、ビーム経路5に沿って光源4から放射される光が、発光マーキング22に衝突した後で、やはりビーム経路6に従う変化した波長を有する光へと変換され、この光が、光学フィルタ8を通過した後で、やはり記録装置7に記録され、場合によってはさらなる評価が加えられる。
【0045】
図3による実施形態の場合と同等に、図4による実施形態においても、支持板13にはいかなる発光層も設けられていない。
【0046】
板状の物体18または21のそれぞれを、支持板13に対して位置決めし、あるいは支持板13とともに位置決めするために、やはり板状の物体を変位させるための装置12および/または支持板13を板状の物体とともに変位させるための装置14を設けることができ、図1および図2による実施形態の場合と同様に、図3および図4による実施形態の記録装置7に従うように構成された評価装置に接続することができる。
【0047】
さらに、図2から図4において、説明のために、ビーム経路5および6のそれぞれが指示または提示されている光源4に加えて、例えば記録装置10の領域の分解能を高めるために使用することができる少なくとも1つのさらなる追加の参照番号4’で示されている光源を設けることができることが、示されている。
【0048】
追加で示されている光源4’に代えて、例えば、複数の光源4’を、記録装置またはカメラ7を中心にして実質的に環状の様相で配置することができる。そのような配置について、例えば図1および図2に代表される非中心性の配置に対する利点は、特に複数の光源4’の環状配置において、影の影響が少ない点にある。
【0049】
光源4を、例えば、可視の範囲にあり、あるいはUV範囲または赤外範囲にあってもよく、好ましくは狭いスペクトル範囲を有しており、したがって境界明瞭な色および波長のそれぞれを有する光が放射されるよう、例えばカラーフィルタなどと組み合わせられる発光ダイオード、レーザダイオード、さまざまな種類のランプ、などで構成することができる。適切な波長および色を有する光源4を、位置決めすべき物体1の照射に用いられる光の波長を変換するために使用される発光物質15、20、または22との協調において選択することができる。
【0050】
適切な電磁波、例えば、UV光を選択する際に、プリント基板、一般的には、位置決めすべき物体1の素材、特に、プリント基板または位置決めすべき物体1のポリマーの固有の蛍光を利用することも可能であり、これは、図3から図4による実施形態に特に適用可能である。同様の方法で、図1および図2による実施形態に、いわゆる逆コントラストとして適用することも可能である。
【0051】
発光物質15、20、または22によって変化させられた波長に協調して、発光物質によってマーキング3、19、22の領域において放射される光の色または変化後の波長へと調節されたフィルタ特性を有するように相応に同調された光学フィルタ8が使用され、特に光源4または4’からの光が遮断される。
【0052】
記録装置7が隣接して配置されている光学フィルタ8を、例えば、複数の色チャンネルを有する記録装置7、例えば、RGBカメラで置き換えることも可能であり、その場合、色の区別あるいは発光物質15、20、または22によって変化させられた波長への区別または設定が、記録装置7の適切なチャンネルまたはチャンネルの組み合わせを選択することによって可能にされる。
【0053】
複数の色チャンネルを有する記録装置またはカメラに代えて、例えば黒色/白色CCD、CMOS、など、さまざまな種類のカメラを、記録装置7として使用することが可能である。
【0054】
さらには、記録装置7および/または少なくとも1つの光源4の領域に、ダイクロイックミラーを使用することが可能である。
【0055】
図1に示されているように、例えば複数のプリント基板またはプリント基板部材2を備える位置決めすべき物体1を使用する場合、個々のプリント基板部材2の領域に複数のドリル穴または通路またはマイクロヴィアを設けるための例えば穿孔装置、特に、レーザ穿孔装置を用いたプリント基板2の加工が、物体1の位置決めおよびアライメントが完了した後に実行される。これに代え、あるいはこれに加えて、少なくとも1つのフライス盤を使用するフライス加工も、使用することが可能である。
【0056】
さらには、写真印刷プロセス、マスキングプロセス、シルクスクリーンプロセス、露光または挿入作業、など、特にプリント基板の加工または製造の文脈において、加工対象の物体1について相応に正確かつ高度に正確なアライメントおよび位置決めが求められる他の製造工程も、同様に実行することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を物体(1、18、21)へと照射し、特に位置決めすべき物体(1、18、21)の少なくとも1つのマーキング(3、19、22)の領域に照射し、位置決めすべき物体(1、18、21)から反射され、特にマーキング(3、19、22)および/または支持板(13)から反射される光を、記録装置(7)において記録し、場合によっては評価し、記録および場合によっては評価された反射光にもとづいて、物体(1、18、21)の位置を割り出し、さらに/あるいは物体(1、18、21)の位置またはアライメントを修正することで、物体(1、18、21)を支持板(13)に対して、あるいは支持板(13)とともに位置決めし、あるいはアライメントさせるための方法であって、照射に使用された光が、特にマーキング(3、19、22)の領域に発光物質(15、20、22)を使用することによって異なる波長の光へと変換され、異なる波長の光が、記録装置(7)において記録され、場合によっては評価されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
狭いスペクトル範囲を有する光が、物体(1、18、21)を照射するために使用され、この光が、発光物質(15、20、22)によって、照射に使用された光の波長とは異なる波長を有する光へと変換されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記録装置(7)の前方にフィルタ(8)、特に光学フィルタが位置しており、このフィルタが、変化後の波長の光の波長へと同調されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
記録装置(7)が、異なる波長の光のための複数の記録チャンネルを備えており、反射光の記録およびその後の場合によっては評価のために、チャンネルが光の変化後の波長に応じて選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体(1、18、21)を照射するための光源(4)として、発光ダイオード、レーザダイオード、あるいはカラーフィルタに組み合わせられた白熱ランプおよびガス放電ランプが使用されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
記録装置(7)および/または光源(4)の前方にダイクロイックミラーが位置していることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体(18、21)が、発光物質からなる少なくとも1つのマーキング(20、22)を有する実質的に板状の部材で構成されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体(1、18、21)に、少なくとも2つのマーキング(3、19、22)が、それ自体は知られている方法で設けられていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
マーキング(18)が、窪みまたは凹所によって形成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
マーキング(3)が、貫通穴によって形成されており、支持板(13)が、発光物質からなる層(15)を備えることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
物体(1、18、21)を支持板(13)に対して、あるいは支持板(13)とともに位置決めし、あるいはアライメントさせるために、物体(1、18、21)を照射し、特に位置決めすべき物体(1、18、21)の少なくとも1つのマーキング(3、19、22)の領域を照射する少なくとも1つの光源(4、4’)と、位置決めすべき物体(1、18、21)から反射され、特にマーキング(3、19、22)および/または支持板(13)から反射される光を、記録し、場合によっては評価し、記録および場合によっては評価された反射光にもとづいて物体(1、18、21)の位置を割り出し、さらに/あるいは物体(1、18、21)の位置またはアライメントを修正する記録装置(7)とが設けられている装置であって、記録装置(7)が、物体(1、18、21)へと放射された光の波長に対して変化させられた波長の光であって、位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体(1、18、21)のマーキング(3、29、22)の領域において特に発光物質(15、20、22)を使用することによって反射された光を、選択的に記録することを特徴とする、装置。
【請求項12】
記録装置(7)の前方に、変化後の波長の光へと同調されたフィルタ(8)、特に光学フィルタが位置していることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
記録装置(7)が、異なる波長の光を記録するための複数のカラーチャンネルを含む記録装置、特にカメラで構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体(1、18、21)を支持板(13)に対して変位させ、あるいは支持板(13)とともに変位させるための装置(12、14)が、記録装置(7)に接続され、あるいは接続可能であることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
光源(4)が、発光ダイオード、レーザダイオード、あるいはカラーフィルタに組み合わせられた白熱ランプおよびガス放電ランプ、などによって形成されることを特徴とする、請求項11から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体(18、21)が、発光物質からなる少なくとも1つのマーキング(20、22)を含む実質的に板状の部材によって形成されていることを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
位置決めおよび/またはアライメントを行うべき物体(1、18、21)に、少なくとも2つのマーキング(3、19、22)が、それ自体は知られている方法で設けられていることを特徴とする、請求項11から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
位置決めすべき物体(18)のマーキング(19)が、窪みまたは凹所によって形成されていることを特徴とする、請求項11から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
位置決めすべき物体(1)のマーキング(3)が、貫通穴によって形成されており、支持板(13)が、発光物質からなる層(15)を備えることを特徴とする、請求項11から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
板状の部材(1、18、21)、特にプリント基板を、プリント基板の製造または加工の際に、位置決めするために、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法または請求項11から19のいずれか一項に記載の装置の使用。
【請求項21】
穿孔機、特にレーザ穿孔機を用いる穿孔プロセス、フライス加工プロセス、写真印刷プロセス、マスキングプロセス、シルクスクリーンプロセス、露光プロセス、および挿入プロセス、などを実行するためのプリント基板(1、18、21)の位置決めおよびアライメントにおける、請求項20に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−501109(P2011−501109A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528239(P2010−528239)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【国際出願番号】PCT/AT2008/000349
【国際公開番号】WO2009/046468
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(505420013)アーテー・ウント・エス・オーストリア・テヒノロギー・ウント・ジュステームテッヒニク・アクチェンゲゼルシャフト (19)
【氏名又は名称原語表記】AT & S AUSTRIA TECHNOLOGIE & SYSTEMTECHNIK AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】