説明

物体検出装置

【課題】複数の移動物体が近接している場合であっても、各移動物体との正確な距離を検出する。
【解決手段】物体検出ECU1は、粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に基づいて、移動物体毎に対応する遅延時間を特定できるか否かの判定を行う時間判定部106と、ステレオカメラ23を介して、複数の移動物体を含む画像を取得する画像取得部108と、遅延時間を特定できないと判定された場合に、取得された画像に基づいて、遅延時間を特定できないと判定された移動物体である特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正する関数補正部112と、補正された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に基づいて、特定困難物体に対応する遅延時間を特定する遅延時間特定部113と、特定された遅延時間に基づいて、特定困難物体との距離を求める距離算出部114と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両の周囲に存在する複数の移動物体を検出可能に構成された物体検出装置に関する。特に、ステレオカメラ及び広帯域信号を送受信するレーダを介して、車両の周囲に存在する複数の移動物体との距離をそれぞれ検出する物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周囲に存在する移動物体を検出する物体検出装置においては、距離分解能を向上するために、種々の装置、方法等が提案されている。例えば、受信アンテナで受信した広帯域信号をサブバンド分割回路で所定数のサブバンド信号に分割し、AD変換回路でサブバンド信号をそれぞれディジタルデータに変換し、個々のサブバンド信号と送信信号の相関をとる粗サーチ、及び、サブバンド間の比較による精サーチを行って、送信信号と受信信号の正しい相関情報を得る対象物識別装置が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−212413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の対象物識別装置では、複数の移動物体が近接しているときには、各移動物体に対応する遅延時間を特定できない場合(=自車と各移動物体との距離を求めることができない場合)がある。なぜなら、複数の移動物体が近接している場合には、粗サーチによって得られた粗サーチ関数、及び、精サーチによって得られた精サーチ関数において、各移動物体に対応する関数の間で干渉が発生するためである。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数の移動物体が近接している場合であっても、各移動物体との正確な距離を検出することの可能な物体検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有している。第1の発明は、車両の周囲に存在する複数の移動物体を検出可能に構成された物体検出装置であって、予め設定された2個以上の所定個数のサブバンド信号から構成される広帯域信号からなる送信波を送出する送信手段と、前記送信波が前記複数の移動物体によって反射された反射波を受信して、受信された反射波を構成する前記所定個数のサブバンド信号を取得する受信手段と、予め設定された所定期間毎に、前記所定個数のサブバンド信号毎に、送信波に対する反射波の遅延時間と、送信波と反射波との相関の程度を示す相関値との関係を示す粗決定サーチ関数を求める粗サーチ実行手段と、前記所定期間毎に、反射波に含まれる前記所定個数のサブバンド信号間の位相差を反映して、送信波に対する反射波の遅延時間と、送信波と反射波との相関の程度を示す相関値との関係を示す精決定サーチ関数を求める精サーチ実行手段と、前記粗サーチ実行手段によって求められた粗決定サーチ関数、及び、前記精サーチ実行手段によって求められた精決定サーチ関数に基づいて、前記複数の移動物体に含まれる移動物体毎に、対応する遅延時間を特定できるか否かの判定を行う時間判定手段と、前記複数の移動物体を含む画像を生成する撮像手段と、前記時間判定手段によって遅延時間を特定できないと判定された場合に、前記撮像手段によって生成された前記複数の移動物体を含む画像に基づいて、前記遅延時間を特定できないと判定された移動物体である特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正する関数補正手段と、前記関数補正手段によって補正された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に基づいて、前記特定困難物体に対応する遅延時間を特定する遅延時間特定手段と、前記遅延時間特定手段によって特定された遅延時間に基づいて、前記特定困難物体との距離を求める距離算出手段と、を備える。
【0006】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記時間判定手段が、前記粗サーチ実行手段によって求められた粗決定サーチ関数の最大値の両側に存在する極小値を両端とする遅延時間の範囲である粗決定ピーク幅内に、前記精サーチ実行手段によって求められた精決定サーチ関数の予め設定された閾値以上のピークが1個だけ存在する場合に限って、遅延時間を特定できると判定する。
【0007】
第3の発明は、上記第1の発明において、前記時間判定手段によって、前記複数の移動物体に含まれる少なくとも1つの移動物体について遅延時間を特定できないと判定された場合に、前記撮像手段によって生成された前記複数の移動物体を含む画像に基づいて、前記特定困難物体に近接し、前記複数の移動物体に含まれる他の移動物体の有無を判定する物体判定手段を備え、前記関数補正手段が、前記物体判定手段によって他の移動物体が有ると判定された場合に限って、前記特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正する。
【0008】
第4の発明は、上記第3の発明において、前記物体判定手段によって特定困難物体に近接して存在すると判定された他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求める補正量算出手段を備え、前記関数補正手段が、前記特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数から、前記補正量算出手段によって求められた粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、それぞれ減算することによって補正する。
【0009】
第5の発明は、上記第4の発明において、前記粗サーチ実行手段によって求められた粗決定サーチ関数、及び、前記精サーチ実行手段によって求められた精決定サーチ関数を格納する関数記憶手段を備え、前記粗サーチ実行手段及び前記精サーチ実行手段が、それぞれ、粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求める度に、求められた粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、前記関数記憶手段に記録し、前記補正量算出手段が、前記関数記憶手段に格納された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の中から、予め設定されたルールに従って、1組の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、補正に用いる粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数である補正用サーチ関数として読み出し、該補正用サーチ関数に基づいて、前記他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求める。
【0010】
第6の発明は、上記第5の発明において、前記補正量算出手段が、前記関数記憶手段に格納された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の中から、前記時間判定手段によって遅延時間を特定できると判定された最新の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、前記補正用サーチ関数として読み出す。
【0011】
第7の発明は、上記第5の発明において、前記撮像手段によって生成された画像情報を格納する画像記憶手段と、前記撮像手段によって生成された画像情報を、予め設定された期間毎に取得し、前記画像記憶手段に記録する画像取得手段と、前記画像記憶手段に格納された画像情報に基づいて、前記補正用サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングから、前記時間判定手段によって遅延時間を特定できないと判定された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングまでの期間内における、前記他の移動物体に関する車両からの距離の変化量を求める移動量算出手段と、を備え、前記補正量算出手段が、前記移動量算出手段によって求められた車両からの距離の変化量に基づいて、前記他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求める。
【0012】
第8の発明は、上記第7の発明において、前記補正量算出手段が、前記移動量算出手段によって求められた車両からの距離の変化量に基づいて、遅延時間の変化量を求め、求められた遅延時間の変化量だけ、前記関数記憶手段から読み出された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数をシフトすることによって、前記他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求める。
【0013】
第9の発明は、上記第7の発明において、前記画像取得手段が、前記所定期間毎に、前記粗サーチ実行手段及び精サーチ実行手段において処理される受信波の受信タイミングと同期して画像を取得し、前記移動量算出手段が、前記画像記憶手段に格納された画像情報の内、前記時間判定手段によって遅延時間を特定できないと判定された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に対応する反射波が受信されたタイミングに対応する画像情報と、前記補正用サーチ関数に対応する画像情報と、に基づいて、車両からの距離の変化量を求める。
【0014】
第10の発明は、上記第1の発明において、前記撮像手段が、2台のカメラを有するステレオカメラである。
【発明の効果】
【0015】
上記第1の発明によれば、予め設定された2個以上の所定個数のサブバンド信号から構成される広帯域信号からなる送信波が送出され、送信波が複数の移動物体によって反射された反射波が受信されて、受信された反射波を構成する所定個数のサブバンド信号が取得される。そして、予め設定された所定期間毎に、所定個数のサブバンド信号毎に、送信波に対する反射波の遅延時間と、送信波と反射波との相関の程度を示す相関値との関係を示す粗決定サーチ関数が求められると共に、所定期間毎に、反射波に含まれる所定個数のサブバンド信号間の位相差を反映して、送信波に対する反射波の遅延時間と、送信波と反射波との相関の程度を示す相関値との関係を示す精決定サーチ関数が求められる。また、求められた粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に基づいて、複数の移動物体に含まれる移動物体毎に、対応する遅延時間を特定できるか否かの判定が行われる。更に、複数の移動物体を含む画像が生成され、遅延時間を特定できないと判定された場合に、生成された複数の移動物体を含む画像に基づいて、遅延時間を特定できないと判定された移動物体である特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が補正される。そして、補正された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に基づいて、特定困難物体に対応する遅延時間が特定され、特定された遅延時間に基づいて、特定困難物体との距離を求められるため、複数の移動物体が近接している場合であっても、各移動物体との正確な距離を検出することができる。
【0016】
すなわち、複数の移動物体を含む画像に基づいて、遅延時間を特定できないと判定された移動物体である特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が補正されるため、特定困難物体からの反射波に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に補正することが可能となる。そこで、補正された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数(=特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数)に基づいて、特定困難物体に対応する遅延時間を特定することができるので、特定された遅延時間に基づいて、特定困難物体との距離を求めることができるのである。
【0017】
上記第2の発明によれば、求められた粗決定サーチ関数の最大値の両側に存在する極小値を両端とする遅延時間の範囲である粗決定ピーク幅内に、求められた精決定サーチ関数の予め設定された閾値以上のピークが1個だけ存在する場合に限って、遅延時間を特定できると判定されるので、遅延時間を特定できるか否かの判定を正確に行うことができると共に、粗決定ピーク幅内の精決定サーチ関数のピークに対応する遅延時間に基づいて、正確な距離を求めることができる。
【0018】
すなわち、精決定サーチ関数においては、所定個数のサブバンド信号間の干渉、複数の移動物体からの反射波の干渉等に起因して、特定すべき遅延時間に対応する相関値と同程度の大きさの相関値となる遅延時間が発生する(=精決定サーチ関数においては、高いサイドローブが発生する)。そこで、粗決定ピーク幅内であるか否かによって、精決定サーチ関数のサイドローブを、特定すべき遅延時間に対応するピークと判別することができるので、正確な距離を求めることができるのである。
【0019】
上記第3の発明によれば、複数の移動物体に含まれる少なくとも1つの移動物体について遅延時間を特定できないと判定された場合に、生成された前記複数の移動物体を含む画像に基づいて、特定困難物体に近接し、複数の移動物体に含まれる他の移動物体の有無が判定され、他の移動物体が有ると判定された場合に限って、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が補正されるため、補正可能な場合に限って特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正する処理が実行される。
【0020】
すなわち、複数の移動物体を含む画像に基づいて、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正することが可能である場合に限って、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正する処理が実行されるので、処理の負荷を軽減することができるのである。
【0021】
上記第4の発明によれば、特定困難物体に近接して存在すると判定された他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が求められ、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数から、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、それぞれ減算することによって補正されるため、粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を適正に補正することができる。
【0022】
すなわち、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数は、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が含まれていることに起因して、遅延時間を特定することができないと推定される。そこで、特定困難物体に近接する他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数からそれぞれ減算することによって、特定困難物体のみに対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を抽出することができるのである。
【0023】
上記第5の発明によれば、粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が求められる度に、求められた粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が関数記憶手段に記録される。また、関数記憶手段に格納された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の中から、予め設定されたルールに従って、1組の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が、補正に用いる粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数である補正用サーチ関数として読み出さる。そして読み出された補正用サーチ関数に基づいて、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が求められるため、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を簡素な構成で求めることができる。
【0024】
すなわち、特定困難物体と他の移動物体とが離間した状態で求められた粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数では、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が、それぞれ、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数とは別の関数として(又は、分離可能な状態で)求められている。そこで、特定困難物体と他の移動物体とが離間した状態で求められた粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正用サーチ関数として読み出すことによって、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を容易に求めることができるのである。
【0025】
上記第6の発明によれば、関数記憶手段に格納された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の中から、遅延時間を特定できると判定された最新の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が、補正用サーチ関数として読み出されるため、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を正確に求めることができる。
【0026】
すなわち、遅延時間を特定できると判定された最新の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が、補正用サーチ関数として読み出されるため、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に含まれ、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数(=補正量として算出するべき粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数)に近似する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が補正用サーチ関数とされるので、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を正確に求めることができるのである。
【0027】
上記第7の発明によれば、撮像手段によって生成された画像情報が、予め設定された期間毎に取得され、画像記憶手段に記録される。そして、画像記憶手段に格納された画像情報に基づいて、補正用サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングから、遅延時間を特定できないと判定された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングまでの期間内における、他の移動物体に関する車両からの距離の変化量が求められる。更に、求められた車両からの距離の変化量に基づいて、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が求められるため、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を正確に求めることができる。
【0028】
すなわち、補正用サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングから、遅延時間を特定できないと判定された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングまでの期間内における、他の移動物体の車両からの距離の変化量に基づいて、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が求められるため、他の移動物体の車両からの距離の変化に伴う粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の変化を反映することができるので、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を正確に求めることができるのである。
【0029】
上記第8の発明によれば、求められた車両からの距離の変化量に基づいて、遅延時間の変化量が求められ、求められた遅延時間の変化量だけ、読み出された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数をシフトすることによって、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が求められるので、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を簡素な構成で正確に求めることができる。
【0030】
すなわち、他の移動物体の車両からの距離の変化に伴う粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の変化は、粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の遅延時間の変化量として反映することができるので、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を簡素な構成で正確に求めることができるのである。
【0031】
上記第9の発明によれば、所定期間毎に、粗サーチ関数及び精サーチ関数が求められる対象の受信波の受信タイミングと同期して画像が取得される。そして、画像記憶手段に格納された画像情報の内、遅延時間を特定できないと判定された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に対応する反射波が受信されたタイミングに対応する画像情報と、補正用サーチ関数に対応する画像情報と、に基づいて、車両からの距離の変化量が求められるため、他の移動物体の車両からの距離の変化量を正確に求めることができる。
【0032】
上記第10の発明によれば、撮像手段が2台のカメラを有するステレオカメラであるため、撮像手段によって生成された移動物体を含む画像情報に基づいて、車両と移動物体との距離を正確に求めることができるので、複数の移動物体が近接している場合であっても、各移動物体との更に正確な距離を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明に係る物体検出装置の実施形態について説明する。本発明に係る物体検出装置は、車両に搭載され、車両の周囲に存在する移動物体との距離を検出する装置である。図1は、本発明に係る物体検出装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本発明に係る物体検出ECU(Electronic Control Unit)1(=物体検出装置の一部に相当する)は、周辺機器2と通信可能に接続されている。ここで、周辺機器2は、レーダ信号送信部21、レーダ信号受信部22、及び、ステレオカメラ23を備えている。
【0034】
図2は、物体検出ECU1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、物体検出ECU1は、機能的に、送信指示部101、受信信号取得部102、粗サーチ実行部103、精サーチ実行部104、関数記憶部105、時間判定部106、物体判定部107、画像取得部108、画像記憶部109、移動量算出部110、補正量算出部111、関数補正部112、遅延時間特定部113、及び、距離算出部114を備えている。
【0035】
なお、物体検出ECU1は、物体検出ECU1の適所に配設されたマイクロコンピュータに、物体検出ECU1の適所に配設されたROM(Read Only Memory)等に予め格納された制御プログラムを実行させることにより、当該マイクロコンピュータを、送信指示部101、受信信号取得部102、粗サーチ実行部103、精サーチ実行部104、関数記憶部105、時間判定部106、物体判定部107、画像取得部108、画像記憶部109、移動量算出部110、補正量算出部111、関数補正部112、遅延時間特定部113、距離算出部114等の機能部として機能させる。
【0036】
まず、図1を参照して物体検出ECU1の周辺機器2について説明する。レーダ信号送信部21(送信手段の一部に相当する)は、図2に示す送信指示部101からの指示に従って、送信波を送出するものであって、DAコンバータ211、広帯域信号発生回路212、送信回路213及びアンテナ214を備えている。
【0037】
DAコンバータ211は、物体検出ECU1(ここでは、送信指示部101)から入力されたディジタル情報をアナログ信号に変換して広帯域信号発生回路212へ出力するコンバータである。
【0038】
広帯域信号発生回路212は、物体検出ECU1(ここでは、送信指示部101)からの指示に従って広帯域信号(例えば、0〜2GHzの帯域幅を有する信号)を発生し、送信回路213へ出力する回路である。
【0039】
送信回路213は、物体検出ECU1(ここでは、送信指示部101)からの指示に従って、広帯域信号発生回路212から入力された広帯域信号に搬送波(例えば、26GHz)を混合することによって高周波信号(例えば、26GHz〜28GHz)を生成し、生成された高周波信号を、アンテナ214を介して、送出する回路である。なお、送信回路213によって生成される高周波信号は、予め設定された2個以上の所定個数(例えば、8個)のサブバンド信号から構成される広帯域信号である。
【0040】
アンテナ214は、送信回路213によって生成された送信波信号に対応する送信波を予め設定された方向(例えば、車両の前方側の方向)に送出するものである。
【0041】
レーダ信号受信部22(受信手段の一部に相当する)は、アンテナ214から送出された送信波が、車両の周囲に存在する複数の移動物体等によって反射された反射波を受信するものであって、ADコンバータ221、サブバンド分割回路222、受信回路223及びアンテナ224を備えている。
【0042】
アンテナ224は、アンテナ214から送出された送信波が、車両の周囲に存在する複数の移動物体等によって反射された反射波を受信するものである。
【0043】
受信回路223は、アンテナ224を介して反射波を受信し、反射波に対応する反射波信号から中間周波数(IF)の信号(=IF信号)を生成して、サブバンド分割回路222へ出力する回路である。
【0044】
サブバンド分割回路222は、受信回路223から入力されたIF信号を、予め設定された2個以上の所定個数(例えば、8個)のサブバンド信号に分割し、分割して生成されたサブバンド信号を、それぞれ、ADコンバータ221を介して、物体検出ECU1(ここでは、受信信号取得部102)へ出力する回路である。
【0045】
ADコンバータ221は、予め設定された2個以上の所定個数(例えば、8個)だけ配設され、受信回路222によって生成された所定個数(例えば、8個)のサブバンド信号を、それぞれ、予め設定されたサンプリング期間ΔT1毎にディジタル情報に変換して、物体検出ECU1(ここでは、受信信号取得部102)へ出力するコンバータである。
【0046】
ステレオカメラ23(撮像手段に相当する)は、例えば、2台のCCD(Charge Coupled Device)カメラ等を備え、周囲の移動物体等の画像を撮像し、生成された画像情報を物体検出ECU1(ここでは、画像取得部108)へ出力するカメラである。なお、ここでは、便宜上、レーダ信号受信部22によって受信される反射波を介して検出可能な全ての移動物体等に関して、ステレオカメラ23によって対応する画像情報が生成されるものとする。
【0047】
このようにして、撮像手段が2台のカメラを有するステレオカメラ23であるため、撮像手段によって生成された移動物体を含む画像情報に基づいて、車両と移動物体との距離を正確に求めることができるので、複数の移動物体が近接している場合であっても、各移動物体との更に正確な距離を検出することができる。
【0048】
本実施形態においては、撮像手段がステレオカメラ23である場合について説明するが、撮像手段は、複数の移動物体を含む画像を生成するものであれば良い。例えば、撮像手段が、1台のCCDカメラ等からなる形態でも良い。この場合には、製造コストを低減できる。
【0049】
また、以下の説明においては、便宜上、レーダ信号受信部22によって受信される反射波を介して検出される移動物体、及び、ステレオカメラ23によって検出される移動物体は、それぞれ、2個であり、対応する移動物体である場合について説明する。
【0050】
次に、図2を参照して、物体検出ECU1の機能構成について説明する。送信指示部101(送信手段の一部に相当する)は、レーダ信号送信部21に対して、送信波を出力する方向を示す出力方向情報、送信波を出力するタイミングを示す出力タイミング情報等を指示する機能部である。また、送信指示部101は、粗サーチ実行部103、及び、精粗サーチ実行部104に対して、レーダ信号送信部21から出力される送信波を規定する種々の情報(出力方向情報、出力タイミング情報等)を出力する。
【0051】
受信信号取得部102(受信手段の一部に相当する)は、レーダ信号受信部22のDAコンバータ221から、サンプリング期間ΔT1毎に受信回路222によって生成された所定個数(ここでは、8個)のサブバンド信号を取得する機能部である。
【0052】
粗サーチ実行部103(粗サーチ実行手段に相当する)は、予め設定された所定期間ΔT2毎に、所定個数(ここでは、8個)のサブバンド信号毎に、送信波に対する反射波の遅延時間ΔTDと、送信波と反射波との相関の程度を示す相関値γとの関係を示す粗決定サーチ関数を求める機能部である。また、粗サーチ実行部103は、粗決定サーチ関数が求められる度に、求められた粗決定サーチ関数を、関数記憶部105に記録する(=書き込む)。
【0053】
精サーチ実行部104(精サーチ実行手段に相当する)は、予め設定された所定期間ΔT2毎に、反射波に含まれる所定個数(ここでは、8個)のサブバンド信号間の位相差を反映して、送信波に対する反射波の遅延時間ΔTDと、送信波と反射波との相関の程度を示す相関値γとの関係を示す精決定サーチ関数を求める機能部である。また、精サーチ実行部104は、精決定サーチ関数が求められる度に、求められた精決定サーチ関数を、関数記憶部105に記録する(=書き込む)。
【0054】
なお、粗決定サーチ関数及び精サーチ関数をそれぞれ算出する時間間隔である所定期間ΔT2は、ADコンバータ221のサンプリング期間ΔT1より大きく、例えば、サンプリング期間ΔT1の整数倍(例えば、1024倍)の値に設定されている。また、粗決定サーチ関数及び精サーチ関数のそれぞれの具体的な算出方法等については、必要に応じて、特開2007−212413号公報、特開2007−212414号公報、及び、「VLBI技術」(オーム社、1997年)等を参照のこと。
【0055】
関数記憶部105(関数記憶手段に相当する)は、粗サーチ実行部103によって求められた粗決定サーチ関数、及び、精サーチ実行部104によって求められた精決定サーチ関数を対応付けて格納する機能部である。
【0056】
時間判定部106(時間判定手段に相当する)は、粗サーチ実行部103によって求められた粗決定サーチ関数、及び、精サーチ実行部104によって求められた精決定サーチ関数に基づいて、移動物体毎に、対応する遅延時間TDを特定できるか否かの判定を行う機能部である。
【0057】
具体的には、時間判定部106は、粗サーチ実行部103によって求められた粗決定サーチ関数の最大値の両側に存在する極小値を両端とする遅延時間TDの範囲である粗決定ピーク幅PW内に、精サーチ実行部104によって求められた精決定サーチ関数の予め設定された閾値γSH以上のピークが1個だけ存在する場合に限って、遅延時間TDを特定できると判定する。
【0058】
図3は、時間判定部106による判定方法の一例を説明する説明図である。図3(a)、(b)は、それぞれ、遅延時間TDが特定できる場合の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の一例を示すグラフであって、図3(c)は、遅延時間TDが特定できない場合の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の一例を示すグラフである。各グラフは、横軸は、遅延時間TDであり、縦軸は、相関値γである。
【0059】
図3(a)は、検出する対象の移動物体が1個である場合の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の一例を示すグラフである。図3(a)に示すように、に示すように、粗決定サーチ関数G01は、3個の極大値(内、1個は最大値)を有する関数であって、最大値の両側に存在する極小値を両端とする遅延時間TDの範囲が粗決定ピーク幅PW0である。そして、この粗決定ピーク幅PW0の範囲内に、精決定サーチ関数G02の予め設定された閾値γSH以上のピークが1個だけ存在するため、時間判定部106によって、移動物体に対応する遅延時間TD0が特定される。
【0060】
図3(b)は検出する対象の移動物体が2個である場合の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の一例を示すグラフである。図3(b)に示すように、粗決定サーチ関数G11は、3個の極大値(内、1個は最大値)を有する2個の関数が連続したものであって、最大値の両側に存在する極小値を両端とする遅延時間TDの範囲が、それぞれ、粗決定ピーク幅PW11、PW12である。そして、この粗決定ピーク幅PW11、PW12の範囲内に、精決定サーチ関数G12、G13の予め設定された閾値γSH以上のピークが、それぞれ、1個だけ存在するため、時間判定部106によって、移動物体に対応する遅延時間TD11、TD12が特定される。
【0061】
図3(c)は検出する対象の移動物体が2個である場合の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の一例を示すグラフである。図3(c)に示すように、粗決定サーチ関数G21は、3個の極大値(内、1個は最大値)を有する関数であって、最大値の両側に存在する極小値を両端とする遅延時間TDの範囲が粗決定ピーク幅PW21である。そして、この粗決定ピーク幅PW21の範囲内に、精決定サーチ関数G22の予め設定された閾値γSH以上のピークが、2個存在するため、時間判定部106によって、移動物体に対応する遅延時間TDを特定することができないと判定される。
【0062】
このようにして、求められた粗決定サーチ関数の最大値の両側に存在する極小値を両端とする遅延時間の範囲である粗決定ピーク幅PW内に、求められた精決定サーチ関数の予め設定された閾値γSH以上のピークが1個だけ存在する場合に限って、遅延時間TDを特定できると判定されるので、遅延時間TDを特定できるか否かの判定を正確に行うことができると共に、粗決定ピーク幅内の精決定サーチ関数のピークに対応する遅延時間TDに基づいて、正確な距離を求めることができる。
【0063】
すなわち、精決定サーチ関数においては、所定個数(ここでは、8個)のサブバンド信号間の干渉、複数の(ここでは、2個の)移動物体からの反射波の干渉等に起因して、特定すべき遅延時間TDに対応する相関値と同程度の大きさの相関値となる遅延時間TDが発生する(=精決定サーチ関数においては、高いサイドローブが発生する)。そこで、粗決定ピーク幅PW内であるか否かによって、精決定サーチ関数のサイドローブを、特定すべき遅延時間TDに対応するピークと判別することができるので、正確な距離を求めることができるのである。
【0064】
本実施形態においては、時間判定部106が、粗決定ピーク幅PW内に精決定サーチ関数の予め設定された閾値γSH以上のピークが1個だけ存在する場合に遅延時間TDを特定できると判定する場合について説明するが、時間判定部106が、他の方法によって、移動物体に対応する遅延時間TDを特定することができるか否かを判定する形態でも良い。例えば、時間判定部106が、粗決定サーチ関数の最大値に対応する遅延時間TDの位置を中心として予め設定された遅延時間TDの範囲内に、精決定サーチ関数の予め設定された閾値γSH以上のピークが1個だけ存在する場合に遅延時間TDを特定できると判定する形態でも良い。この場合には、処理が簡略化される。
【0065】
図4、図5は、周囲の移動体との位置関係の変化に伴う粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の変化の一例を示す図である。図4は、周囲の移動体としての2台の車両との位置関係の変化の一例を示す平面図であり、図5は、図4に示す車両との位置関係の変化に伴う粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の変化の一例を示すグラフである。
【0066】
図4(a)に示すように、ここでは、自車両SCが、片側2車線を有する左カーブの道路Rの左側車線CLを走行しており、左側車線CLを走行する先行車両TC1と、右側車線CRを走行する先行車両TC2とからの反射波が、図1に示すアンテナ224によって取得されている。すなわち、図1に示すレーダ信号送信部21のアンテナ214から送出される拡がり角Δθの送信波が、先行車両TC1及び先行車両TC2の後端部によってそれぞれ反射され、図1に示すアンテナ224によって取得されている。
【0067】
図4(a)の状態では、後述するように、先行車両TC1と先行車両TC2との距離が充分に大きいため、時間判定部106によって、先行車両TC1及び先行車両TC2にそれぞれ対応する遅延時間TDを特定することができると判定される(図5(a)、図5(b)参照)。ここで、先行車両TC1の速度は先行車両TC2よりも速いため、時間経過と共に、図4(b)に示すように、先行車両TC1と先行車両TC2との距離が小さくなり、時間判定部106によって、先行車両TC1及び先行車両TC2にそれぞれ対応する遅延時間TDを特定することができないと判定される(図5(c)〜(e)参照)。
【0068】
次に、図5を参照して、図4に示す先行車両TC1、TC2との位置関係の変化に伴う粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の変化について説明する。図5において、一点鎖線で示された精決定サーチ関数のピークは、先行車両TC1に対応するピークであり、二点鎖線で示された精決定サーチ関数のピークは、先行車両TC2に対応するピークである。
【0069】
また、図5において、横軸上に四角で示された点は、先行車両TC1に対応する遅延時間TDを示す点であり、横軸上に丸で示された点は、先行車両TC2に対応する遅延時間TDを示す点である。更に、四角で示された点を結ぶ一点鎖線及び二点鎖線の矢印は、それぞれ、先行車両TC1及び先行車両TC2の自車両SCを基準とする相対距離の変化(=特定される遅延時間TDの変化)を示すものである。加えて、横軸上に四角で示された点の内、黒塗り四角及び黒塗りの丸で示された点は、時間判定部106によって、特定することができると判定される遅延時間TDであり、白抜き破線の四角及び白抜き破線の丸で示された点は、時間判定部106によって、特定することができできないと判定される遅延時間TDである。
【0070】
先行車両TC1と先行車両TC2とが充分に離間している場合には、図5(a)に示すように、粗決定サーチ関数G31は、3個の極大値(内、1個は最大値)を有する2個の関数が連続したものであって、最大値の両側に存在する極小値を両端とする遅延時間TDの範囲が、それぞれ、粗決定ピーク幅(図3(b)の粗決定ピーク幅PW11、PW12参照)である。そして、この粗決定ピーク幅の範囲内に、精決定サーチ関数G31、G32の予め設定された閾値γSH以上のピークが、それぞれ、1個だけ存在するため、時間判定部106によって、先行車両TC1及び先行車両TC2に対応する遅延時間TD31、TD32が特定される。
【0071】
そして、先行車両TC1と先行車両TC2との距離が小さくなると、図5(b)に示すように、粗決定サーチ関数G41は、5個の極大値を有する関数であって、第1の最大値及び第2の最大値(2番目に大きいピーク値)の両側に存在する極小値を両端とする遅延時間TDの範囲が、それぞれ、粗決定ピーク幅である。そして、この粗決定ピーク幅の範囲内に、精決定サーチ関数G42、G43の予め設定された閾値γSH以上のピークが、それぞれ、1個だけ存在するため、時間判定部106によって、先行車両TC1及び先行車両TC2に対応する遅延時間TD41、TD42が特定される。
【0072】
更に、先行車両TC1と先行車両TC2との距離が小さくなると、図5(c)、図5(d)に示すように、粗決定サーチ関数G51(又は、粗決定サーチ関数G61)は、3個の極大値を有する関数となり、最大値の両側に存在する極小値を両端とする遅延時間TDの範囲が、粗決定ピーク幅である。そして、この粗決定ピーク幅の範囲内に、精決定サーチ関数G52(又は、精決定サーチ関数G62)の予め設定された閾値γSH以上のピークが、2個存在するため、時間判定部106によって、先行車両TC1及び先行車両TC2に対応する遅延時間TD51、TD52(又は遅延時間TD61、TD62)を特定することができない。
【0073】
更に、先行車両TC1と先行車両TC2との距離が小さくなると、図5(e)に示すように、粗決定サーチ関数G71は、3個の極大値を有する関数となり、最大値の両側に存在する極小値を両端とする遅延時間TDの範囲が、粗決定ピーク幅である。そして、この粗決定ピーク幅の範囲内に、精決定サーチ関数G72の予め設定された閾値γSH以上のピークが、2個存在するため、時間判定部106によって、先行車両TC1及び先行車両TC2に対応する遅延時間TD71、TD72を特定することができないことに加えて、サイドローブの干渉等によって、先行車両TC1及び先行車両TC2の両方に対応しない遅延時間TD73において、精決定サーチ関数G72の閾値γSH以上のピークが発生している。
【0074】
再び、図2に戻って、物体検出ECU1の機能構成について説明する。物体判定部107(物体判定手段に相当する)は、時間判定部106によって、複数の(ここでは、2個の)移動物体に含まれる少なくとも1つの移動物体について遅延時間TDを特定できないと判定された場合に、ステレオカメラ23によって生成された複数の移動物体を含む画像に基づいて、遅延時間TDを特定できないと判定された移動物体である特定困難物体に近接し、複数の移動物体に含まれる他の移動物体の有無を判定する機能部である。また、物体判定部107は、複数の移動物体に含まれる他の移動物体が無いと判定された場合には、特定困難物体の遅延時間TDの特定はできないと判定する。
【0075】
図4に示す場合においては、特定困難物体は、先行車両TC1及び先行車両TC2の一方であって、他の移動物体は、先行車両TC1及び先行車両TC2の他方である。すなわち、物体判定部107は、時間判定部106によって、先行車両TC1が特定困難物体であると判定された場合に、ステレオカメラ23によって生成された画像に基づいて、先行車両TC1の近傍に先行車両TC2が有るか否かを判定する。例えば、ステレオカメラ23によって生成された画像では、先行車両TC1及び先行車両TC2に関して、それぞれ、距離情報に加えて、大きさ、色、形状等の情報が得られるため、時間判定部106によって、先行車両TC1に対応する遅延時間TDを特定できない場合であっても、ステレオカメラ23によって生成された画像においては、先行車両TC1と先行車両TC2とを識別することが可能となるのである。
【0076】
以下の説明においては、便宜上、特定困難物体が図4に示す先行車両TC2であり、他の移動物体が図4に示す先行車両TC1である場合について説明する。
【0077】
画像取得部108(画像取得手段に相当する)は、ステレオカメラ23によって生成された画像情報を、予め設定された期間毎に取得し、画像記憶部109に記録する機能部である。また、画像取得部108は、所定期間ΔT2毎に、粗サーチ実行部103及び精サーチ実行部104において処理される受信波の受信タイミングと同期して画像を取得して、取得された画像情報を画像記憶部109に記録する。
【0078】
画像記憶部109(画像記憶手段に相当する)は、ステレオカメラ23によって生成された画像情報を格納する機能部である。なお、画像記憶部109に格納される画像情報は、画像取得部108によって記録される(=書き込まれる)。
【0079】
移動量算出部110(移動量算出手段に相当する)は、移動量算出部110は、関数補正部112において補正に用いる粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数である補正用サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングから、時間判定部106によって遅延時間TDを特定できないと判定された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングまでの期間内における、他の移動物体(図4に示す場合には、例えば、先行車両TC1)に関する車両(図4に示す場合には、例えば、自車両SC)からの距離の変化量を求める。
【0080】
具体的には、移動量算出部110は、画像記憶部109に格納された画像情報の内、時間判定部106によって遅延時間TDを特定できないと判定された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に対応する反射波が受信されたタイミングに対応する画像情報と、補正用サーチ関数に対応する画像情報と、に基づいて、自車両SCから先行車両TC1までの距離の変化量を求める。
【0081】
例えば、図5に示す場合においては、上述のように、図5(a)、(b)の状態では、時間判定部106によって、先行車両TC1及び先行車両TC2に対応する遅延時間を特定することができると判定され、図5(c)〜(e)の状態では、時間判定部106によって、先行車両TC1及び先行車両TC2に対応する遅延時間を特定することができないと判定される。そこで、この場合には、移動量算出部110は、図5(b)のタイミングに対応する画像情報と、図5(c)(又は、図5(d)、図5(e))のタイミングに対応する画像情報と、に基づいて、自車両SCから先行車両TC1(=他の移動物体に相当する)までの距離の変化量を求める。
【0082】
このようにして、所定期間ΔT2毎に、粗サーチ関数及び精サーチ関数が求められる対象の受信波の受信タイミングと同期してステレオカメラ23を介して画像が取得される。そして、画像記憶部109に格納された画像情報の内、遅延時間TDを特定できないと判定された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に対応する反射波が受信されたタイミングに対応する画像情報と、補正用サーチ関数に対応する画像情報と、に基づいて、自車両SCから他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)までの距離の変化量が求められるため、他の移動物体の自車両SCからの距離の変化量を正確に求めることができる。
【0083】
本実施形態においては、画像取得部108が、粗サーチ関数及び精サーチ関数が求められる対象の受信波の受信タイミングと同期してステレオカメラ23を介して画像を取得する場合について説明するが、画像取得部108が、粗サーチ実行部103及び精サーチ実行部104によって粗サーチ関数及び精サーチ関数が求められる周期と比較して、充分短い周期で画像を取得する形態でも良い。この場合には、同期させる処理が不要となり、処理が簡略化される。
【0084】
補正量算出部111(補正量算出手段に相当する)は、物体判定部107によって特定困難物体(図4に示す場合では、例えば、先行車両TC2)に近接して存在すると判定された他の移動物体(図4に示す場合では、先行車両TC1)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求める機能部である。具体的には、補正量算出部111は、関数記憶部105に格納された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の中から、予め設定されたルールに従って、1組の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、補正に用いる粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数である補正用サーチ関数として読み出し、この補正用サーチ関数に基づいて、先行車両TC1(=他の移動物体に相当する)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求める。
【0085】
更に具体的には、補正量算出部111は、関数記憶部105に格納された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の中から、時間判定部106によって遅延時間TDを特定できると判定された最新の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、補正用サーチ関数として読み出す。
【0086】
例えば、図5に示す場合においては、上述のように、図5(a)、(b)の状態では、時間判定部106によって、先行車両TC1及び先行車両TC2に対応する遅延時間を特定することができると判定され、図5(c)〜(e)の状態では、時間判定部106によって、先行車両TC1及び先行車両TC2に対応する遅延時間を特定することができないと判定される。そこで、この場合には、補正量算出部111は、関数記憶部105に格納された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の中から、図5(b)に示す粗決定サーチ関数G41及び精決定サーチ関数G42(=先行車両TC1に対応する精決定サーチ関数)を、補正用サーチ関数として読み出す。
【0087】
また、補正量算出部111は、移動量算出部110によって求められた自車両SCから先行車両TC1(=他の移動物体に相当する)までの距離の変化量に基づいて、先行車両TC1に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求める。
【0088】
関数補正部112(関数補正手段に相当する)は、時間判定部106によって遅延時間TDを特定できないと判定され、且つ、物体判定部107によって先行車両TC1(=他の移動物体に相当する)が有ると判定された場合に、ステレオカメラ23によって生成された先行車両TC1、TC2(=複数の移動物体に相当する)を含む画像に基づいて、遅延時間TDを特定できないと判定された移動物体である先行車両TC2(=特定困難物体に相当する)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数(例えば、図5(c)に示す、粗決定サーチ関数G51及び精決定サーチ関数G52)を補正する機能部である。
【0089】
具体的には、関数補正部112は、先行車両TC2(=特定困難物体に相当する)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数(=図5(c)に示す、粗決定サーチ関数G51及び精決定サーチ関数G52)から、補正量算出部111によって求められた粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数(=図5(b)に示す粗決定サーチ関数G41及び精決定サーチ関数G42)を、それぞれ減算することによって補正する。
【0090】
このようにして、複数の移動物体(ここでは、先行車両TC1及び先行車両TC2:図4参照)に含まれる少なくとも1つの移動物体(ここでは、先行車両TC2)について遅延時間TDを特定できないと判定された場合に、生成された複数の移動物体(ここでは、先行車両TC1及び先行車両TC2)を含む画像に基づいて、特定困難物体(ここでは、先行車両TC2)に近接し、複数の移動物体に含まれる他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)の有無が判定され、他の移動物体が有ると判定された場合に限って、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が補正されるため、補正可能な場合に限って特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正する処理が実行される。
【0091】
すなわち、複数の移動物体(ここでは、先行車両TC1及び先行車両TC2)を含む画像に基づいて、特定困難物体(ここでは、先行車両TC2)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正することが可能である場合に限って、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正する処理が実行されるので、処理の負荷を軽減することができるのである。
【0092】
本実施形態においては、関数補正部112が、時間判定部106によって遅延時間TDを特定できないと判定され、且つ、物体判定部107によって先行車両TC1(=他の移動物体に相当する)が有ると判定された場合に限って、特定困難物体である先行車両TC2に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正する場合について説明するが、関数補正部112が、物体判定部107の判定結果に拘わらず、時間判定部106によって遅延時間TDを特定できないと判定された場合には、特定困難物体である先行車両TC2に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正する形態でも良い。この場合には、処理が簡略化される。また、この場合には、例えば、自車両SCから見て、先行車両TC1が先行車両TC2の後方に位置し、ステレオカメラ23によって先行車両TC1を識別できない場合であっても、関数補正部112による補正処理によって、先行車両TC2との距離を特定できる可能性がある。
【0093】
図6は、補正量算出部111によって行われる補正量算出処理の一例を示す説明図である。図6(a)は、補正量算出部111によって補正用サーチ関数として関数記憶部105から読み出される粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の一例を示すグラフであり、図6(b)は、図6(a)に示す補正用サーチ関数を、移動量算出部110によって算出された自車両SCから先行車両TC1(=他の移動物体に相当する)までの距離の変化量に対応する遅延時間の変化量ΔTDだけ変化させたグラフである。
【0094】
図6(a)に示す粗決定サーチ関数G81及び精決定サーチ関数G82は、上述のように、図5(b)に示す粗決定サーチ関数G41及び精決定サーチ関数G42(=先行車両TC1に対応する精決定サーチ関数)である。遅延時間の変化量ΔTDは、上述のように、図5(b)のタイミングから、図5(c)(又は、図5(d)、図5(e))のタイミングまでの期間における、自車両SCから先行車両TC1(=他の移動物体に相当する)までの距離の変化量に対応する遅延時間の変化量である。なお、図6(b)に示す粗決定サーチ関数G81A及び精決定サーチ関数G82Aは、図5(c)(又は、図5(d)、図5(e))のタイミングにおける、先行車両TC1(=他の移動物体に相当する)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数である。
【0095】
このようにして、粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が求められる度に、求められた粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が関数記憶部105に記録される。また、関数記憶部105に格納された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の中から、予め設定されたルールに従って、1組の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が、補正に用いる粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数である補正用サーチ関数として読み出さる。そして読み出された補正用サーチ関数に基づいて、他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が求められるため、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を簡素な構成で求めることができる。
【0096】
すなわち、特定困難物体(ここでは、先行車両TC2)と他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)とが離間した状態で求められた粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数では、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が、それぞれ、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数とは別の関数として(又は、分離可能な状態で)求められている。そこで、特定困難物体と他の移動物体とが離間した状態で求められた粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正用サーチ関数として読み出すことによって、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を容易に求めることができるのである。
【0097】
また、関数記憶部105に格納された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の中から、遅延時間を特定できると判定された最新の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が、補正用サーチ関数として読み出されるため、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を正確に求めることができる。
【0098】
すなわち、遅延時間を特定できると判定された最新の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が、補正用サーチ関数として読み出されるため、特定困難物体(ここでは、先行車両TC2)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に含まれ、他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数(=補正量として算出するべき粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数)に近似する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が補正用サーチ関数とされるので、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を正確に求めることができるのである。
【0099】
本実施形態においては、補正量算出部111が、補正用サーチ関数として遅延時間を特定できると判定された最新の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を関数記憶部105から読み出す場合について説明したが、補正量算出部111が、その他の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正用サーチ関数として関数記憶部105から読み出す形態でも良い。例えば、補正量算出部111が、遅延時間を特定できると判定された最新の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数、及び、その直前の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を関数記憶部105から読み出し、2組の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に基づいて、補正用サーチ関数を求める形態でも良い。この場合には、更に正確な補正用サーチ関数を求めることができる。
【0100】
更に、ステレオカメラ23によって生成された画像情報が、予め設定された期間ΔT2毎に取得され、画像記憶部109に記録される。そして、画像記憶部109に格納された画像情報に基づいて、補正用サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングから、遅延時間を特定できないと判定された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングまでの期間内における、他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)に関する自車両SCからの距離の変化量が求められる。更に、求められた自車両SCからの距離の変化量に基づいて、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が求められるため、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を正確に求めることができる。
【0101】
すなわち、補正用サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングから、遅延時間TDを特定できないと判定された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングまでの期間内における、他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)の自車両SCからの距離の変化量に基づいて、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が求められるため、他の移動物体の自車両SCからの距離の変化に伴う粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の変化を反映することができるので、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を正確に求めることができるのである。
【0102】
加えて、求められた自車両SCからの距離の変化量に基づいて、遅延時間TDの変化量が求められ、求められた遅延時間TDの変化量ΔTDだけ、読み出された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数をシフトする(図6参照)ことによって、他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が求められるので、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を簡素な構成で正確に求めることができる。
【0103】
すなわち、他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)の自車両SCからの距離の変化に伴う粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の変化は、粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の遅延時間の変化量として反映することができるので、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を簡素な構成で正確に求めることができるのである。
【0104】
図7は、補正量算出部111及び関数補正部112によって行われる補正処理の一例を示す説明図である。図7(a)は、補正前の粗決定サーチ関数G91及び精決定サーチ関数G92の一例を示すグラフであり、図7(b)は、他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)に対応する粗決定サーチ関数G91A及び精決定サーチ関数G92Aの一例を示すグラフであり、図7(c)は、補正後の粗決定サーチ関数G91B及び精決定サーチ関数G92Bの一例を示すグラフである。なお、図7(b)に示す粗決定サーチ関数G91A及び精決定サーチ関数G92Aは、それぞれ、図6(b)に示す粗決定サーチ関数G81A及び精決定サーチ関数G82Aと同一である。図7(c)に示す、粗決定サーチ関数G91B及び精決定サーチ関数G92Bは、図7(a)に示す粗決定サーチ関数G91及び精決定サーチ関数G92から、それぞれ、図7(b)に示す粗決定サーチ関数G91A及び精決定サーチ関数G92Aを減算することによって得られる。
【0105】
このようにして、特定困難物体(ここでは、先行車両TC2)に近接して存在すると判定された他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が求められ、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数から、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、それぞれ減算することによって補正されるため、粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を適正に補正することができる。
【0106】
すなわち、特定困難物体(ここでは、先行車両TC2)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数は、他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が含まれていることに起因して、遅延時間TDを特定することができないと推定される。そこで、特定困難物体に近接する他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数からそれぞれ減算することによって、特定困難物体のみに対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を抽出することができるのである。
【0107】
なお、ここでは、レーダ信号受信部22によって受信される反射波を介して検出される移動物体、及び、ステレオカメラ23によって検出される物体が、それぞれ、2個である場合について説明したが、検出される物体が3個以上ある場合には、補正量算出部111は、他の移動物体毎に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求め、関数補正部112は、特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数から他の移動物体にそれぞれ対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を減算する必要がある。
【0108】
再び、図2に戻って、物体検出ECU1の機能構成について説明する。遅延時間特定部113(遅延時間特定手段に相当する)は、関数補正部112によって補正された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に基づいて、特定困難物体(ここでは、先行車両TC2)に対応する遅延時間TD92(図7(c)参照)を特定する機能部である。
【0109】
距離算出部114(距離算出手段に相当する)は、遅延時間特定部113によって特定された遅延時間TD92(図7(c)参照)に基づいて、特定困難物体(ここでは、先行車両TC2)との距離を求める機能部である。また、距離算出部114は、求められた距離情報を、粗サーチ実行部103及び精サーチ実行部104によりそれぞれ求められた粗サーチ関数及び精サーチ関数と対応付けて、関数記憶部105に記録する。
【0110】
図8、図9は、物体検出ECU1の動作の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、便宜上、送信指示部101によって、予め設定されたタイミングで送信波が送出される場合について説明する。まず、図8に示すように、受信信号取得部102によって、サンプリング時間ΔT1毎に反射波信号が取得される(S101)。また、画像取得部108によって、ステレオ画像情報が取得される(S103)。そして、物体判定部107によって、ステップS103において取得されたステレオ画像情報に含まれる移動物体が判別され、移動物体毎に識別情報が付与されて、方位毎に画像取得部108に記録される(S105)。また、粗サーチ実行部103によって、ステップS101において取得された反射波信号から粗サーチ関数が求められて、関数記憶部105に記録される(S107)。更に、精サーチ実行部104によって、ステップS101において取得された反射波信号から精サーチ関数が求められて、関数記憶部105に記録される(S109)。
【0111】
ステップS109の処理が終了した場合、又は、図9に示すステップS131の処理が終了した場合には、時間判定部106によって、ステップS107において求められた粗サーチ関数及びステップS109において求められた精サーチ関数に基づいて、遅延時間TDを特定することができるか否かの判定が行われる(S111)。遅延時間TDを特定することができないと判定された場合(S111でNO)には、処理がステップS119に進められる。遅延時間TDを特定することができると判定された場合(S111でYES)には、遅延時間特定部113によって、移動物体に対応する遅延時間TDが特定される(S113)。そして、距離算出部114によって、ステップS113において特定された遅延時間TDに基づいて、自車両SCから移動物体までの距離が算出される(S115)。次いで、距離算出部114によって、ステップS115において求められた距離情報が、ステップS107及びステップS109においてそれぞれ求められた粗サーチ関数及び精サーチ関数と対応付けて、関数記憶部105に記録され(S117)、処理が終了される。
【0112】
ステップS111でNOの場合には、物体判定部107によって、遅延時間TDを特定できないと判定された移動物体である特定困難物体の方位が判定される(S119)。そして、物体判定部107によって、ステップS119において判定された方位に複数の移動物体が含まれるか否かの判定が行われる(S121)。複数の移動物体が含まれないと判定された場合(S121でNO)には、物体判定部107によって、ステップS111において判定された特定困難物体に対応する遅延時間TDの特定は不可であると判定され(S123)、処理が終了される。
【0113】
複数の移動物体が含まれると判定された場合(S121でYES)には、図9に示すように、補正量算出部111によって、補正用サーチ関数が決定される(S125)。そして、補正量算出部111によって、ステップS125において決定された補正用サーチ関数情報が関数記憶部105から読み出される(S127)。次いで、移動量算出部110によって、ステップS125において決定された補正用サーチ関数に対応する画像情報が画像記憶部109から読み出される(S129)。次に、移動量算出部110によって、特定困難物体及び他の移動物体が含まれる画像情報が画像記憶部109から読み出される(S131)。そして、移動量算出部110によって、ステップS129及びステップS131において読み出された画像情報に基づいて、他の移動物体の移動量が算出される(S133)。次に、補正量算出部111によって、ステップS127において読み出された補正用サーチ関数情報、及び、ステップS133において算出された他の移動物体の移動量に基づいて、他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が求められる(S135)。次いで、関数補正部112によって、図8に示すステップS107及びステップS109においてそれぞれ求められた特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数から、それぞれ、ステップS135において求められた他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数がそれぞれ減算されることによって補正され(S137)、処理が図8に示すステップS111に戻されて、ステップS111以降の処理が繰り返し実行される。
【0114】
このようにして、予め設定された2個以上の所定個数(ここでは、8個)のサブバンド信号から構成される広帯域信号からなる送信波が送出され、送信波が複数の移動物体(ここでは、先行車両TC1及び先行車両TC2)によって反射された反射波が受信されて、受信された反射波を構成する所定個数のサブバンド信号が取得される。そして、予め設定された所定期間ΔT2毎に、所定個数のサブバンド信号毎に、送信波に対する反射波の遅延時間TDと、送信波と反射波との相関の程度を示す相関値γとの関係を示す粗決定サーチ関数が求められると共に、所定期間ΔT2毎に、反射波に含まれる所定個数のサブバンド信号間の位相差を反映して、送信波に対する反射波の遅延時間TDと、送信波と反射波との相関の程度を示す相関値γとの関係を示す精決定サーチ関数が求められる。また、求められた粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に基づいて、複数の移動物体に含まれる移動物体毎に、対応する遅延時間TDを特定できるか否かの判定が行われる。更に、複数の移動物体を含む画像が生成され、遅延時間TDを特定できないと判定された場合に、生成された複数の移動物体を含む画像に基づいて、遅延時間TDを特定できないと判定された移動物体である特定困難物体(ここでは、先行車両TC2)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が補正される。そして、補正された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に基づいて、特定困難物体に対応する遅延時間TDが特定され、特定された遅延時間TDに基づいて、特定困難物体との距離を求められるため、複数の移動物体が近接している場合であっても、各移動物体との正確な距離を検出することができる。
【0115】
すなわち、複数の移動物体(ここでは、先行車両TC1及び先行車両TC2)を含む画像に基づいて、遅延時間TDを特定できないと判定された移動物体である特定困難物体(ここでは、先行車両TC2)に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数が補正されるため、特定困難物体からの反射波に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に補正することが可能となる。そこで、補正された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数(=特定困難物体からの反射波に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数)に基づいて、特定困難物体に対応する遅延時間TDを特定することができるので、特定された遅延時間TDに基づいて、特定困難物体との距離を求めることができるのである。
【0116】
なお、本発明に係る物体検出装置は、上記実施形態に限定されず、下記の形態でも良い。
(A)本実施形態においては、物体検出ECU1が、機能的に、送信指示部101、受信信号取得部102、粗サーチ実行部103、精サーチ実行部104、関数記憶部105、時間判定部106、物体判定部107、画像取得部108、画像記憶部109、移動量算出部110、補正量算出部111、関数補正部112、遅延時間特定部113、距離算出部114等を備える場合について説明したが、送信指示部101、受信信号取得部102、粗サーチ実行部103、精サーチ実行部104、関数記憶部105、時間判定部106、物体判定部107、画像取得部108、画像記憶部109、移動量算出部110、補正量算出部111、関数補正部112、遅延時間特定部113、及び、距離算出部114の内、少なくとも1つの機能部が、電気回路等のハードウェアによって構成されている形態でも良い。
【0117】
(B)本実施形態においては、移動量算出部110が、ステレオカメラ23を介して取得された画像情報に基づいて、他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)の移動量を求める場合について説明したが、移動量算出部110が、ステレオカメラ23を介して取得された画像情報に換えて(又は、加えて)、その他の情報に基づいて、他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)の移動量を求める形態でも良い。
【0118】
例えば、移動量算出部110が、VICS(Vehicle Information and Communication System)、又は、車両間通信等を介して取得された情報(例えば、先行車両TC1、先行車両TC2の位置情報等)に基づいて、他の移動物体(ここでは、先行車両TC1)の移動量を求める形態でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、例えば、車両の周囲に存在する複数の移動物体を検出可能に構成された物体検出装置に適用することができる。特に、ステレオカメラ及びレーダを介して、車両の周囲に存在する移動物体との距離を検出する物体検出装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明に係る物体検出装置の構成の一例を示すブロック図
【図2】物体検出ECUの機能構成を示すブロック図
【図3】時間判定部による判定方法の一例を説明する説明図
【図4】周囲の移動体としての2台の車両との位置関係の変化の一例を示す平面図
【図5】図4に示す車両との位置関係の変化に伴う粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の変化の一例を示すグラフ
【図6】補正量算出部によって行われる補正量算出処理の一例を示す説明図
【図7】補正量算出部及び関数補正部によって行われる補正処理の一例を示す説明図
【図8】物体検出ECUの動作の一例を示すフローチャート(前半部)
【図9】物体検出ECUの動作の一例を示すフローチャート(後半部)
【符号の説明】
【0121】
1 物体検出ECU(物体検出装置の一部)
101 送信指示部(送信手段の一部)
102 受信信号取得部(受信手段の一部)
103 粗サーチ実行部(粗サーチ実行手段)
104 精サーチ実行部(精サーチ実行手段)
105 関数記憶部(関数記憶手段)
106 時間判定部(時間判定手段)
107 物体判定部(物体判定手段)
108 画像取得部(画像取得手段)
109 画像記憶部(画像記憶手段)
110 移動量算出部(移動量算出手段)
111 補正量算出部(補正量算出手段)
112 関数補正部(関数補正手段)
113 遅延時間特定部(遅延時間特定手段)
114 距離算出部(距離算出手段)
2 周辺機器
21 レーダ信号送信部(送信手段の一部)
211 DAコンバータ
212 広帯域信号発生回路
213 送信回路
214 アンテナ
22 レーダ信号受信部(受信手段の一部)
221 ADコンバータ
222 サブバンド分割回路
223 受信回路
224 アンテナ
23 ステレオカメラ(撮像手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲に存在する複数の移動物体を検出可能に構成された物体検出装置であって、
予め設定された2個以上の所定個数のサブバンド信号から構成される広帯域信号からなる送信波を送出する送信手段と、
前記送信波が前記複数の移動物体によって反射された反射波を受信して、受信された反射波を構成する前記所定個数のサブバンド信号を取得する受信手段と、
予め設定された所定期間毎に、前記所定個数のサブバンド信号毎に、送信波に対する反射波の遅延時間と、送信波と反射波との相関の程度を示す相関値との関係を示す粗決定サーチ関数を求める粗サーチ実行手段と、
前記所定期間毎に、反射波に含まれる前記所定個数のサブバンド信号間の位相差を反映して、送信波に対する反射波の遅延時間と、送信波と反射波との相関の程度を示す相関値との関係を示す精決定サーチ関数を求める精サーチ実行手段と、
前記粗サーチ実行手段によって求められた粗決定サーチ関数、及び、前記精サーチ実行手段によって求められた精決定サーチ関数に基づいて、前記複数の移動物体に含まれる移動物体毎に、対応する遅延時間を特定できるか否かの判定を行う時間判定手段と、
前記複数の移動物体を含む画像を生成する撮像手段と、
前記時間判定手段によって遅延時間を特定できないと判定された場合に、前記撮像手段によって生成された前記複数の移動物体を含む画像に基づいて、前記遅延時間を特定できないと判定された移動物体である特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正する関数補正手段と、
前記関数補正手段によって補正された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に基づいて、前記特定困難物体に対応する遅延時間を特定する遅延時間特定手段と、
前記遅延時間特定手段によって特定された遅延時間に基づいて、前記特定困難物体との距離を求める距離算出手段と、を備える、物体検出装置。
【請求項2】
前記時間判定手段は、前記粗サーチ実行手段によって求められた粗決定サーチ関数の最大値の両側に存在する極小値を両端とする遅延時間の範囲である粗決定ピーク幅内に、前記精サーチ実行手段によって求められた精決定サーチ関数の予め設定された閾値以上のピークが1個だけ存在する場合に限って、遅延時間を特定できると判定する、請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記時間判定手段によって、前記複数の移動物体に含まれる少なくとも1つの移動物体について遅延時間を特定できないと判定された場合に、前記撮像手段によって生成された前記複数の移動物体を含む画像に基づいて、前記特定困難物体に近接し、前記複数の移動物体に含まれる他の移動物体の有無を判定する物体判定手段を備え、
前記関数補正手段は、前記物体判定手段によって他の移動物体が有ると判定された場合に限って、前記特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を補正する、請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記物体判定手段によって特定困難物体に近接して存在すると判定された他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求める補正量算出手段を備え、
前記関数補正手段は、前記特定困難物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数から、前記補正量算出手段によって求められた粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、それぞれ減算することによって補正する、請求項3に記載の物体検出装置。
【請求項5】
前記粗サーチ実行手段によって求められた粗決定サーチ関数、及び、前記精サーチ実行手段によって求められた精決定サーチ関数を格納する関数記憶手段を備え、
前記粗サーチ実行手段及び前記精サーチ実行手段は、それぞれ、粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求める度に、求められた粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、前記関数記憶手段に記録し、
前記補正量算出手段は、前記関数記憶手段に格納された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の中から、予め設定されたルールに従って、1組の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、補正に用いる粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数である補正用サーチ関数として読み出し、該補正用サーチ関数に基づいて、前記他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求める、請求項4に記載の物体検出装置。
【請求項6】
前記補正量算出手段は、前記関数記憶手段に格納された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数の中から、前記時間判定手段によって遅延時間を特定できると判定された最新の粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を、前記補正用サーチ関数として読み出す、請求項5に記載の物体検出装置。
【請求項7】
前記撮像手段によって生成された画像情報を格納する画像記憶手段と、
前記撮像手段によって生成された画像情報を、予め設定された期間毎に取得し、前記画像記憶手段に記録する画像取得手段と、
前記画像記憶手段に格納された画像情報に基づいて、前記補正用サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングから、前記時間判定手段によって遅延時間を特定できないと判定された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に対応する反射波の受信タイミングまでの期間内における、前記他の移動物体に関する車両からの距離の変化量を求める移動量算出手段と、を備え、
前記補正量算出手段は、前記移動量算出手段によって求められた車両からの距離の変化量に基づいて、前記他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求める、請求項5に記載の物体検出装置。
【請求項8】
前記補正量算出手段は、前記移動量算出手段によって求められた車両からの距離の変化量に基づいて、遅延時間の変化量を求め、求められた遅延時間の変化量だけ、前記関数記憶手段から読み出された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数をシフトすることによって、前記他の移動物体に対応する粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数を求める、請求項7に記載の物体検出装置。
【請求項9】
前記画像取得手段は、前記所定期間毎に、前記粗サーチ実行手段及び精サーチ実行手段において処理される受信波の受信タイミングと同期して画像を取得し、
前記移動量算出手段は、前記画像記憶手段に格納された画像情報の内、前記時間判定手段によって遅延時間を特定できないと判定された粗決定サーチ関数及び精決定サーチ関数に対応する反射波が受信されたタイミングに対応する画像情報と、前記補正用サーチ関数に対応する画像情報と、に基づいて、車両からの距離の変化量を求める、請求項7に記載の物体検出装置。
【請求項10】
前記撮像手段は、2台のカメラを有するステレオカメラである、請求項1に記載の物体検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−2318(P2010−2318A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161806(P2008−161806)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】