説明

現像カートリッジ筐体の超音波溶着方法

【課題】大きなサイズの現像カートリッジ筐体に対しても、寸法のばらつきが少なく、高い溶着強度を有する現像カートリッジ筐体の超音波溶着方法を提供すること。
【解決手段】電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像カートリッジ筐体を、超音波を用いて溶着する現像カートリッジ筐体の超音波溶着方法において、前記超音波を用いて溶着する際に、前記現像カートリッジ筐体に押し当てるホーンの圧力が200kPa以上、700kPa以下であり、かつ、前記ホーンの先端の振幅が40μm以上、80μm以下であることを特徴とする現像カートリッジ筐体の超音波溶着方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像カートリッジ筐体の超音波溶着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やレーザビームプリンタ等の電子写真方式を利用した画像形成装置には、像担持体と現像装置、或いはそれに加えて、帯電装置、クリーニング装置等、複数のプロセス手段を一体的にユニット化したプロセスカートリッジを有するものがある。プロセスカートリッジは、画像形成装置本体に対して感光体ドラムや現像装置等の複数のプロセス手段を一体的に着脱可能な構成としたもので、この構成により画像形成装置のメンテナンスが容易となるという特徴を有する。
【0003】
一般に、プロセスカートリッジに含まれる現像装置(以下、現像カートリッジともいう)は、現像剤を収納して現像ローラに供給するハウジングとしての現像カートリッジ筐体を有している。
【0004】
また、他の画像形成装置には、プロセスカートリッジという形態を採らず、現像カートリッジ筐体を備えた現像カートリッジ単体を画像形成装置に対して着脱可能とした構成を有するものもある。
【0005】
これらの現像カートリッジ筐体は、通常、樹脂等からなる複数の成型品の貼り合わせにより形成され、現像剤が周辺のプロセス手段に飛散しないような密閉された筐体として構成されている。
【0006】
A4サイズまでの通常サイズの用紙に画像形成する画像形成装置に用いられる現像カートリッジ筐体の溶着においては超音波溶着法を採用しているものが多い。然るに、A3サイズ等、大きなサイズの用紙に画像形成する画像形成装置では現像カートリッジも大きくなるため、現像カートリッジ筐体の接合部に十分な溶着強度を持たせることができるか否かが問題となる。
【0007】
十分な溶着強度を要する大物部品の溶着には振動溶着法が用いられることが多い。しかしながら、振動溶着法による溶着では溶着時の圧力が強いため接合部にずれが生じ易いという問題があり、かつ溶着機が大型でインライン加工が困難なため生産効率が悪いという問題もある。
【0008】
超音波溶着法は、振動溶着法に比較して、部品へのダメージが少なく、装置が小型であるため小物部品の溶着に適し、インライン加工が容易であるという特徴を有している。
【0009】
超音波溶着を行う際に注意を要する点は、溶着時の部品の変形による寸法のばらつきと溶着強度の不足である。特にA3サイズ等、大きなサイズの用紙に画像形成することができる画像形成装置に用いられる現像カートリッジ筐体の溶着においては、成形加工時の寸法のばらつきが大となるという問題もあり、溶着時に溶着する部材がずれ易いという問題がある。溶着する部材のずれは寸法のばらつきと溶着強度の不足とに繋がり、溶着強度の不足は接合部の剥がれやトナー漏れといった問題を引き起こす。
【0010】
これらの問題に対する対策として、溶着時の寸法のばらつきを抑え溶着強度を向上させるため、溶着する2つの部材に突起部と溝部とを設けるという技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0011】
特許文献1の技術は、プロセスカートリッジの現像カートリッジ筐体において、溶着する一方の部材に突起部を設け、もう一方の部材に溝部を設けて溶着時に突起部と溝部とを嵌合させることにより、溶着時の寸法のばらつきを抑え、強度の向上を図るものである。
【0012】
しかしながら、近年の画像形成装置の小型化への要望から個々の部材の小型化も厳しく要求されており、現像カートリッジ筐体の溶着面に突起部や溝部を設けることが設計上困難となる場合がある。また、突起部と溝部とを嵌合させるためには、部材寸法のばらつきを厳しく管理する必要があって、製造コストの増大に繋がるという問題もある。
【0013】
更に、個々の部材の小型化のため溶着部のサイズも厳しく制限されるため、A3サイズ等、大きなサイズの画像形成に用いられる現像カートリッジ筐体の溶着部のサイズも大きくし難い。このため、溶着部に十分な溶着強度を与える目的でホーンの押し圧を大きくするとずれが生じ易く、逆に溶着強度が不足するという現象を引き起こす危険性がある。
【0014】
一方、溶着するロールフィルムカートリッジ部材を小型化するという目的から、部材に接合するためのリブを設けずに溶着ホーンの形状と溶着条件(ホーン圧力:5〜35kg・f、振幅:10〜45μm)との組み合わせにより溶着を行うという技術が開示されている(例えば特許文献2参照)。
【0015】
しかしながら、特許文献2に記載の溶着部材は長さ40mm以下、直径23mm以下の小さな部材に対する発明であり、本発明の現像カートリッジ筐体のように幅が300mmを超える部材に対しては、この溶着条件では寸法精度と強度を確保することは難しい。
【特許文献1】特開平9−101734号公報
【特許文献2】特開平7−244359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記のような問題を解決し、大きなサイズの現像カートリッジ筐体に対しても、寸法のばらつきが少なく、高い溶着強度を有する現像カートリッジ筐体の超音波溶着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的は下記の構成により達成することが出来る。
【0018】
1.電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像カートリッジ筐体を、超音波を用いて溶着する現像カートリッジ筐体の超音波溶着方法において、
前記超音波を用いて溶着する際に、前記現像カートリッジ筐体に押し当てるホーンの圧力が200kPa以上、700kPa以下であり、かつ、前記ホーンの先端の振幅が40μm以上、80μm以下であることを特徴とする現像カートリッジ筐体の超音波溶着方法。
【0019】
2.前記現像カートリッジ筐体が、A3サイズの用紙に画像形成しうる画像形成装置に用いられる現像カートリッジ筐体であることを特徴とする1に記載の現像カートリッジ筐体の超音波溶着方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、溶着時のホーンに大きな押し圧を与えることなく溶着することにより、大きなサイズの現像カートリッジ筐体に対しても溶着部のずれを少なくした適正な溶着が可能となる。これにより、溶着時の寸法のばらつきの少ない、高い溶着強度を有する現像カートリッジ筐体をインラインで製造することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限定されない。
【0022】
最初に、本発明に係る画像形成装置について説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施形態の一つであるフルカラーの画像形成装置の全体構成を示す概要図である。
【0024】
図1に示すフルカラー画像形成装置においては、回転駆動される感光体ドラム10の周囲に、この感光体ドラム10の表面を所定の電位に均一に帯電させる帯電ブラシ111や、この感光体ドラム10上に残留したトナーを掻き落すクリーナ112が設けられている。
【0025】
また、帯電ブラシ111によって帯電された感光体ドラム10をレーザビームによって走査露光するレーザ走査光学系20が設けられており、このレーザ走査光学系20はレーザダイオード,ポリゴンミラー,fθ光学素子を内蔵した周知のものである。このフルカラー画像形成装置の制御部にはイエロー,マゼンタ,シアン,ブラック毎の印字データがホストコンピュータから転送されるようになっている。そして、このレーザ走査光学系20は、上記の各色毎の印字データに基づいて、順次レーザビームとして出力し、感光体ドラム10上を走査露光し、これにより感光体ドラム10上に各色毎の静電潜像を順次形成するようになっている。
【0026】
静電潜像が形成された感光体ドラム10に各色のトナーを供給してフルカラーの現像を行なうフルカラー現像装置30は、支軸33の周囲に4つの色別の現像カートリッジ13Y、13M、13C、13Bkを備えている。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の各非磁性1成分トナーを収容させた4つ現像カートリッジ13Y、13M、13C、13Bkは、支軸33を中心として回転し、各現像カートリッジ13Y、13M、13C、13Bkが感光体ドラム10と対向する位置に導かれるようになっている。以下、これら4つの現像カートリッジ13Y、13M、13C、13Bkを総称して現像カートリッジ13ともいう。
【0027】
また、このフルカラー現像装置30における各現像カートリッジ13Y、13M、13C、13Bkにおいては、回転してトナーを搬送する現像剤担持体(現像ローラ)131の外周面に図示しないトナー規制部材が圧接されている。このトナー規制部材により、現像ローラ131によって搬送されるトナーの量を規制すると共に、搬送されるトナーを帯電させるという構成になっている。なお、このフルカラー現像装置30においては、現像ローラによって搬送されるトナーの規制と帯電とを適切に行なうために、トナー規制部材を2つ設けるようにしてもよい。
【0028】
そして、上記のようにレーザ走査光学系20によって感光体ドラム10上に各色の静電潜像が形成される毎に、上記のように支軸33を中心にして、このフルカラー現像装置30を回転させる。フルカラー現像装置30の回転により対応する色のトナーが収容された現像カートリッジ13Y、13M、13C、13Bkを感光体ドラム10と対向する位置に順々に導く。導かれた現像カートリッジ13Y、13M、13C、13Bkにおけるそれぞれの現像ローラ131を感光体ドラム10に接触させて、各色の静電潜像が順々に形成された感光体ドラム10上に、帯電された各色のトナーを順々に供給して現像を行なう。
【0029】
また、このフルカラー現像装置30より感光体ドラム10の回転方向下流側の位置には、中間転写体40として、回転駆動される無端状の中間転写ベルト40が設けられている。この中間転写ベルト40は感光体ドラム10と同期して回転駆動される。そして、この中間転写ベルト40は回転可能な1次転写ローラ41により押圧されて感光体ドラム10に接触する。またこの中間転写ベルト40を支持する支持ローラ42の部分には、2次転写ローラ43が回転可能に設けられ、この2次転写ローラ43によって記録紙等の記録材Sが中間転写ベルト40に押圧されるようになっている。
【0030】
更に、前記のフルカラー現像装置30とこの中間転写ベルト40との間のスペースには、中間転写ベルト40上に残留したトナーを掻き取るクリーナ50が中間転写ベルト40に対して接離可能に設けられている。
【0031】
また、普通紙等の記録材Sを中間転写ベルト40に導く給紙手段60は、給紙トレイ61と、給紙ローラ62と、タイミングローラ63とで構成されている。給紙トレイ61は記録材Sを収容し、給紙ローラ62は給紙トレイ61に収容された記録材Sを1枚ずつ給紙し、タイミングローラ63は中間転写ベルト40上に形成された画像に同期させて記録材Sを中間転写ベルト40と2次転写ローラ43との間に送り込むという機能を有する。
【0032】
このようにして中間転写ベルト40と2次転写ローラ43との間に送られた記録材Sは、2次転写ローラ43によって中間転写ベルト40に押圧され、中間転写ベルト40からトナー像を押圧転写される。
【0033】
一方、上記のようにトナー像が押圧転写された記録材Sは、エアーサクションベルト等で構成された搬送手段66により定着装置70に導かれる。この定着装置70において転写されたトナー像が記録材S上に定着され、その後、この記録材Sが垂直搬送路80を通して装置本体100の上面に排出される。
【0034】
次に、このフルカラー画像形成装置を用いてフルカラーの画像形成を行なう動作について具体的に説明する。
【0035】
まず、感光体ドラム10と中間転写ベルト40とを同じ周速度でそれぞれの方向に回転駆動させ、感光体ドラム10を帯電ブラシ11によって所定の電位に帯電させる。
【0036】
そして、このように帯電された感光体ドラム10に対して、上記のレーザ走査光学系20によりイエロー画像の露光を行ない、感光体ドラム10上にイエロー画像の静電潜像を形成する。その後、この感光体ドラム10にイエロートナーを収容させた現像カートリッジ13Yから前記のようにトナー規制部材によって荷電されたイエロートナーを供給してイエロー画像を現像する。イエローのトナー像が形成された感光体ドラム10に対して中間転写ベルト40を1次転写ローラ41によって押圧させ、感光体ドラム10に形成されたイエローのトナー像を中間転写ベルト40に1次転写させる。
【0037】
イエローのトナー像を中間転写ベルト40に転写させた後は、前記のようにフルカラー現像装置30を支軸33を中心にして回転させ、マゼンタトナーが収容された現像カートリッジ13Mを感光体ドラム10と対向する位置に導く。レーザ走査光学系20は、イエロー画像の場合と同様に、帯電された感光体ドラム10に対してマゼンタ画像を露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をマゼンタトナーが収容された現像カートリッジ13Mによって現像する。現像されたマゼンタのトナー像を感光体ドラム10から中間転写ベルト40に1次転写させ、更に同様にして、シアン画像及びブラック画像の露光,現像及び1次転写を順々に行なう。このように、中間転写ベルト40上にイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー画像を順々に重ねてフルカラーのトナー像を形成する。
【0038】
そして、中間転写ベルト40上に最終のブラックのトナー像が1次転写されると、記録材Sをタイミングローラ63により2次転写ローラ43と中間転写ベルト40との間に送る。記録材Sは、2次転写ローラ43により中間転写ベルト40に押圧され、中間転写ベルト40上に形成されたフルカラーのトナー像を2次転写される。
【0039】
そして、記録材S上にはフルカラーのトナー像が2次転写され、この記録材Sは搬送手段66により定着装置70に導かれ、転写されたフルカラーのトナー像がこの定着装置70によって定着される。その後、この記録材Sは垂直搬送路80を経て装置本体100の上面に排出される。
【0040】
次に、現像カートリッジ13は、現像剤として例えば、トナーとキャリアより構成される二成分系現像剤やトナーのみから構成される一成分系現像剤を用い、感光体ドラム10の表面にトナーを供給して現像を行うものである。
【0041】
図2は、本発明に係る現像カートリッジの実施形態における構成を説明するための図であり、本実施形態の現像カートリッジは一成分系の現像剤を用いた例である。図2(a)は現像カートリッジの一例に示す斜視図であり、図2(b)は現像カートリッジの一例に示す断面図である。本実施形態における現像カートリッジ13は、A3サイズの用紙に画像形成しうる画像形成装置に用いられる構成を有するものである。
【0042】
また、現像カートリッジ13は現像ローラ等の部品が配置された内部に所定量のトナーを収納するという構成を有する。カートリッジの形態で供給される現像カートリッジ13は、画像形成装置内の所定位置に装填後、収納されている現像剤を感光体ドラムに供給して現像を行う。所定枚数の画像形成を行って現像剤がなくなると、装置より取り外され、新しい現像カートリッジ13が装填される。
【0043】
図2(b)において、現像カートリッジ13は、前述の現像ローラ131に隣接するバッファ室132と、バッファ室132に隣接する現像カートリッジ筐体133等とを有する。現像カートリッジ筐体133は筐体下部133aと筐体上部133bとで構成され、超音波溶着される。
【0044】
現像ローラ131は、導電性の円柱基体と、基体の外周にシリコーンゴム等の物質を用いて形成した弾性層を有する。
【0045】
図中、現像ローラ131の直上には、トナーに関する情報を検知する検知手段に該当するトナー状態検知部241が配置されている。トナー状態検知部241は、例えば、光センサやCCD等が用いられ、現像ローラ131上に形成されたトナー層を構成するトナーを検知して、検知信号を画像形成装置の図示しない制御装置に送信する。
【0046】
バッファ室132にはトナー規制部材であるブレード134が現像ローラ131に圧接させた状態で配置されている。ブレード134は、現像ローラ131上のトナーの帯電量及び付着量を規制するものである。また、現像ローラ131の回転方向に対してブレード131の下流側に、現像ローラ131上のトナー帯電量・付着量の規制を補助するための補助ブレード135をさらに設けることも可能である。
【0047】
現像ローラ131には供給ローラ136が押圧されている。供給ローラ136は、図示しないモータにより現像ローラ131と同一方向(図中反時計回り方向)に回転駆動する。供給ローラ136は、導電性の円柱基体と基体の外周にウレタンフォームなどで形成された発泡層を有する。
【0048】
現像カートリッジ筐体133には一成分現像剤であるトナーTが収容されている。また、現像カートリッジ筐体133にはトナーを攪拌する回転体137が設けられている。回転体137には、フィルム状の搬送羽根が取付けられており、回転体137の矢印方向への回転によりトナーを搬送する。搬送羽根により搬送されたトナーは、現像カートリッジ筐体133とバッファ室132を隔てる隔壁に設けられた通路138を介してバッファ室132に供給される。なお、搬送羽根の形状は、回転体137の回転に伴い羽根の回転方向前方でトナーを搬送しながら撓むとともに、通路138の左側端部に到達すると真っ直ぐの状態に戻るようになっている。このように羽根はその形状を湾曲状態を経て真っ直ぐに戻るようにすることでトナーを通路138に供給している。
【0049】
また、通路138には通路138を閉鎖する弁321が設けられている。この弁はフィルム状の部材で、一端が隔壁の通路32右側面上側に固定され、トナーが現像カートリッジ筐体133から通路138に供給されると、トナーからの押圧力により右側に押されて通路138を開けるようになっている。その結果、バッファ室132内にトナーが供給される。
【0050】
また、弁321の他端には規制部材322が取り付けられている。規制部材322と供給ローラ136は、弁321が通路138を閉鎖した状態でも僅かな隙間を形成する様に配置される。規制部材322は、バッファ室132の底部に溜まるトナー量が過度にならないように調整するもので、現像ローラ131から供給ローラ136に回収されたトナーがバッファ室132の底部に多量に落下しないように調整される。
【0051】
現像カートリッジ13では、画像形成時に現像ローラ131が矢印方向に回転駆動するとともに供給ローラ136の回転によりバッファ室132のトナーが現像ローラ131上に供給される。現像ローラ131上に供給されたトナーは、ブレード134、補助ブレード135により帯電、薄層化された後、像担持体との対向領域に搬送され、像担持体上の静電潜像の現像に供される。現像に使用されなかったトナーは、現像ローラ131の回転に伴ってバッファ室132に戻り、供給ローラ136により現像ローラ131から掻き取られ回収される。
【0052】
本発明の実施形態に係る現像カートリッジ筐体133はプロセスカートリッジに含まれる現像カートリッジ13を構成する部材である。プロセスカートリッジの構成は、電子写真感光体(以下、単に感光体ともいう)と現像カートリッジ、或いはそれに加えて、帯電器又はクリーニング装置の内、少なくともどちらか1つを有するという構成である。
【0053】
現像ローラ131回転軸方向における現像カートリッジ筐体133の長さは、トナーを現像ローラ131上に一様に供給するため、現像ローラ131の長さとほぼ同一に形成されている。本実施形態における現像ローラ131の長さは、A3サイズの用紙に画像形成することを可能とするため少なくとも300mmの長さに形成されており、現像カートリッジ筐体133の長さもほぼ同一の長さに形成されている。
【0054】
前記プロセスカートリッジは、画像形成装置本体に着脱自在に装着され、画像形成装置本体に設けた本体側駆動力伝達手段とプロセスカートリッジ側駆動力伝達手段との結合により、駆動力を伝達される。
【0055】
図3は本発明に係る現像カートリッジ筐体133の超音波溶着法による溶着方法を説明するための断面図である。図3(a)は溶着する前の筐体下部133aと筐体上部133bとを示す図であり、図3(b)は現像カートリッジ筐体133の溶着加工時の状態を示す図である。
【0056】
図3(a)において、現像カートリッジ筐体133は、下部を構成する筐体下部133aと下部を構成する筐体下部133bとを接着することにより密閉された筐体となる。接着は超音波溶着により行われ、筐体下部133aの溶着部Ya1、Ya2と、筐体上部133bの溶着部Yb1、Yb2とを溶着する。
【0057】
筐体下部133aと筐体上部133bは非結晶性樹脂又は結晶性樹脂を用いて成形加工される。非結晶性樹脂としては、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、XTポリマー、変性PPE樹脂、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエ−テルスルホン、一般用ポリスチレン、ポリサルフォン、ポリ塩化ビニル、スチレン・アクリロニトリル樹脂等が用いられる。また、結晶性樹脂としては、ポリオキシメチレン、セルロース、フッソ重合体、アイオノマー、液晶ポリマー、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、TPXポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン等が用いられる。
【0058】
図3(b)において、Ha、Hbは溶着機のホーンであり、Ua、Ubは筐体下部133aを保持する治具の受台である。
【0059】
溶着の手順は、始めに治具の受台Ua、Ubに筐体下部133aを設置し、次に筐体下部133aの溶着部Ya1、Ya2と、筐体上部133bの溶着部Yb1、Yb2とが合致するように筐体上部133bを筐体下部133aにかぶせる。最後に溶着機のホーンHa、Hbを筐体上部133bの溶着部Yb1、Yb2の背面から押し当てて溶着する。
【0060】
本発明に係る現像カートリッジ筐体133の溶着条件は、前述の特許文献2におけるロールフィルムカートリッジ部材の溶着条件と比較して、溶着機のホーンを押し当てる圧力を小さく、ホーン先端の振幅を大きくしている。この溶着条件によれば、長さ300mmを超える大きなサイズの現像カートリッジ筐体133に対しても、溶着時の寸法のばらつきの少ない、高い溶着強度を有する溶着が可能となる。
【実施例】
【0061】
1.溶着する部材:筐体上部133b及び筐体下部133a(断面形状は図3参照、長さ(現像ローラ131の回転軸方向)は430mm)
2.溶着する部材の材質:ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、(ガラス繊維20%入り)
3.溶着機:超音波溶着機2000d(ブランソン社製)
4.溶着条件:ウェルドタイム0.25〜0.3s、ホールドタイム0.3s
ホーンの圧力及びホーン先端の振幅については実施例1〜6、及び比較例1〜4に記載
(実施例1)
1.ホーンの圧力:200kPa
2.ホーン先端の振幅:60μm
(実施例2)
1.ホーンの圧力:300kPa
2.ホーン先端の振幅:60μm
(実施例3)
1.ホーンの圧力:500kPa
2.ホーン先端の振幅:60μm
(実施例4)
1.ホーンの圧力:700kPa
2.ホーン先端の振幅:60μm
(実施例5)
1.ホーンの圧力:500kPa
2.ホーン先端の振幅:40μm
(実施例6)
1.ホーンの圧力:500kPa
2.ホーン先端の振幅:80μm
(比較例1)
1.ホーンの圧力:500kPa
2.ホーン先端の振幅:35μm
(比較例2)
1.ホーンの圧力:500kPa
2.ホーン先端の振幅:85μm
(比較例3)
1.ホーンの圧力:150kPa
2.ホーン先端の振幅:60μm
(比較例4)
1.ホーンの圧力:750kPa
2.ホーン先端の振幅:60μm
(評価方法)
1.溶着強度:溶着後の現像カートリッジ筐体133の筐体上部133bと筐体下部133aとを上下引き離す方向に10kgの静荷重を5分間かけて結果を目視確認した。
【0062】
2.寸法安定性:筐体上部133bと筐体下部133aとのずれ量を実測し、ずれ量が0.5mm以下であれば合格とした。
【0063】
実験の結果を表1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
表1から判るように、溶着の強度及び寸法安定性に問題がない範囲は、ホーンの圧力が200〜700kPa(実施例1〜4)の範囲であり、より好ましくは300〜500kPaの範囲である。同様に、溶着の結果に問題がない範囲は、ホーン先端の振幅が40〜80μm(実施例5〜6)の範囲であり、より好ましくは50〜70μmの範囲である。
【0066】
実施例1〜6については、溶着強度及び寸法安定性のいずれも問題なく、判定は合格であった。
【0067】
一方、比較例1及び3では溶着部に隙間の発生が目視で確認されて溶着強度が不足しており、判定が不合格となった。比較例2及び4では筐体上部133bと筐体下部133aとのずれ量が0.8〜1.0mmとなり、溶着の強度及び寸法安定性に問題があり、判定が不合格となった。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る画像形成装置の代表的な実施形態の一つであるフルカラーの画像形成装置の全体構成を示す概要図である。
【図2】本発明に係る現像カートリッジの実施形態における構成を説明するための図である。
【図3】本発明に係る現像カートリッジ筐体133の超音波溶着法による溶着方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0069】
13、13Y、13M、13C、13Bk 現像カートリッジ
30 現像装置
133 現像カートリッジ筐体
133a 筐体下部
133b 筐体上部
Ha、Hb 溶着機のホーン
Ua、Ub 治具の受台
Ya1、Ya2 筐体下部133aの溶着部
Yb1、Yb2 筐体上部133bの溶着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式の画像形成装置に用いられる現像カートリッジ筐体を、超音波を用いて溶着する現像カートリッジ筐体の超音波溶着方法において、
前記超音波を用いて溶着する際に、前記現像カートリッジ筐体に押し当てるホーンの圧力が200kPa以上、700kPa以下であり、かつ、前記ホーンの先端の振幅が40μm以上、80μm以下であることを特徴とする現像カートリッジ筐体の超音波溶着方法。
【請求項2】
前記現像カートリッジ筐体が、A3サイズの用紙に画像形成しうる画像形成装置に用いられる現像カートリッジ筐体であることを特徴とする請求項1に記載の現像カートリッジ筐体の超音波溶着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−209593(P2008−209593A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45320(P2007−45320)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】