説明

現像ローラ及びその製造方法、現像装置、プロセスカートリッジ、並びに、画像形成装置

【課題】スリーブ基材の表面の経年変化による搬送量低下に対して余裕度が高く、現像剤1の劣化(摩耗)による搬送量低下を抑制することができ、画像のむらを防止できる現像ローラ、プロセスカートリッジ、該プロセスカートリッジを有する画像形成装置、及び、該現像ローラの製造方法を提供する。
【解決手段】マグネットローラと、マグネットローラを内包しているとともに該マグネットローラの磁力により外表面に磁性粒子を吸着する現像スリーブと、を有する現像ローラにおいて、現像スリーブにおけるスリーブ基材の外表面に該スリーブ基材を構成する材料より硬い材料で構成されている耐摩耗性層が設けられているとともに、該耐摩耗性層に楕円形状の凹みがランダムに設けられている現像ローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に装着される現像装置に用いられる現像ローラに係る。詳しくは、トナーおよび磁性粒子からなる二成分現像方式に関するものである。また、本発明はかかる現像ローラを有する現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置に使用される現像ローラの現像スリーブに現像剤を担持して、該現像剤を感光体ドラムに確実に搬送するためには、従来、サンドブラスト加工やV溝加工によって表面に凹凸が形成された現像スリーブが用いられていた。
【0003】
サンドブラスト加工が施された現像スリーブでは、スリーブ基材2の外表面に形成された凹凸が細かくシャープである(図20(a)にその外表面近くのモデル断面図を示す)ため、現像剤1により凹凸が徐々に摩耗し(図20(b)参照)、印刷履歴枚数が増加するにしたがって、すなわち、経年変化によって、前述した凹凸が削られて平坦となり、その結果、現像剤1の搬送量は徐々に減少してしまうので、形成される画像が徐々に薄くなってしまうという不具合を生じる。また、サンドブラスト加工は一方向より砥粒を衝突させる加工であるので、スリーブの振れが大きくなりやすく、スリーブの回転ピッチでの画像むらが発生してしまう。
【0004】
一方、前述のV溝形状を外表面に形成した現像スリーブでのV溝は、サンドブラスト加工によって形成される凹凸より遙かに大きい。このように、現像剤1の磁性キャリアなどより遙かに大きい現像スリーブのV溝は摩耗しにくいので、長期間の使用によっても現像剤1の搬送量は低下しにくい。しかしながら、このようにV溝を外表面に形成した現像スリーブでは、V溝が形成された領域1aで搬送する現像剤がV溝外周部(V溝のない領域)1bで搬送する現像剤1より多くなるので、形成した画像には、現像剤1の搬送量のむら(図20(c)参照)に起因する濃度むらが生じ易い。
【0005】
そこで、以上の課題に対して、特許文献1では経年変化による現像剤1の搬送量の低下の抑制が可能であり、かつ、画像のむらの発生を防止できる現像ローラが提案されている。
【0006】
このような特許文献1によって提案される技術によれば、サンドブラスト加工によりスリーブ表面に形成される凹みに比べ、大きな楕円形状の凹みが現像スリーブ表面に成されているため、経年変化による凹みの摩耗は抑制され、搬送量の低下も、サンドブラストを行った現像スリーブよりも、抑制することができる。
【0007】
また、スリーブ基材2の表面に形成される楕円形状の凹みがランダムに配置されているため、画像のむらの発生を防止できる。
【0008】
しかしながら、現像スリーブ部のスリーブ基材2の摩耗を完全には抑制しきれない。そのため、スリーブ基材2の表面は摩耗するに従い、搬送量も徐々に低下していく。また、図21に示すように、トナー3および磁性キャリア135からなる現像剤1の経年変化の影響を抑制することも難しい。つまり、経年変化により徐々に磁性キャリア135表面の角が取れ、丸みを帯びることにより、スリーブ表面との摩擦が減少し、現像剤1の搬送量が低下する(図21(a)にモデル的に示される状態から図21(b)にモデル的に示される状態への変化)。
【0009】
また、特許文献2によって提案された技術によれば、サンドブラスト加工されたスリーブ表面の谷部にのみ軟質表面処理層を設けることにより、経時の表面状態を模した表面状態を予め形成することにより、経時での現像剤の搬送量の低下を抑えることができる。しかしながら、このような表面加工がサンドブラスト加工によるものであるがゆえに、スリーブの回転ピッチでの画像むらが発生してしまう。
【0010】
また、特許文献3によって提案された技術によれば、スリーブ基材に粗さ形成部材を貼り付けることにより、スリーブ表面に凹凸を形成し、また、粗さ形成部材の硬度をスリーブ基材より高くすることによって、硬度の高い凸部(粗さ形成部材)より硬度の低い凹み部(スリーブ基材)の方を磨耗しやすくさせ、このことにより経時で表面の凹凸の差は大きくなり、現像剤の劣化による搬送量の低下が生じても凹み深さが確保できて、充分な搬送量が得られるので、搬送量の低下を抑制できると云う効果が得られる。しかしながら、粗さ形成部材による凹凸は、前記V溝同様、凸が形成された領域では凹部に比べ搬送する現像剤量が少なくなるので、形成した画像には、現像剤の搬送量のむらに起因する濃度むらが生じ易くなってしまうと云う問題点が依然として存在する。
【0011】
また、特許文献4によって提案された技術によれば、スリーブ基材表面に凹凸を設けた後、表面に硬質の金属めっきを行うことによって、表面の磨耗を抑え、経時での現像剤の搬送量低下を抑えることができる。しかしながら、スリーブ表面全面に均一な、スリーブ基材より導電性の低い金属めっき層が形成されているので、めっき層からトナーの帯電電荷がリークしにくくなるので、トナーのチャージアップによる濃度ムラが発生しやすくなる。
【特許文献1】特願2005−06485公報
【特許文献2】特開2003‐330263公報
【特許文献3】特開2007−94286公報
【特許文献4】特開2000‐98733公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、スリーブ基材の表面の経年変化による搬送量低下に対して余裕度が高く、現像剤1の劣化(摩耗)による搬送量低下を抑制することができ、しかも画像のむらを防止できる現像ローラ、このような現像ローラを備えたプロセスカートリッジと画像形成装置、及び、かかる現像ローラの製造方法と、を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の現像ローラは上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、マグネットローラと、前記マグネットローラを内包しているとともに該マグネットローラの磁力により外表面に磁性粒子を吸着する現像スリーブと、を有する現像ローラにおいて、前記現像スリーブにおけるスリーブ基材の外表面に該スリーブ基材を構成する材料より硬い材料により構成されている耐摩耗性層が設けられているとともに、該耐摩耗性層に楕円形状の凹みがランダムに設けられていることを特徴とする現像ローラである。
【0014】
また、本発明の現像ローラは請求項2に記載の通り、請求項1に記載の現像ローラにおいて、前記楕円形状の凹みの底部及びその底部の近傍部分には前記スリーブ基材が露出していることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の現像ローラは請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載の現像ローラにおいて、前記スリーブ基材が、円筒体形状であり、かつ、前記楕円形状の凹みが、楕円の長手方向が前記スリーブ基材の軸方向に沿う楕円形状の凹みよりも、楕円の長手方向が前記スリーブ基材の周方向に沿う楕円形状の凹みの方を多く含んでいることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の現像ローラは請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の現像ローラにおいて、前記スリーブ基材がアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されており、かつ、前記耐摩耗性層が導電性アルマイトにより構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の現像ローラは請求項5に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の現像ローラにおいて、前記耐摩耗性層がニッケルにより構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の現像ローラは請求項6に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の現像ローラにおいて、前記耐摩耗性層がクロムにより構成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の現像装置は請求項7に記載の通り、前記請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の現像ローラを備えたことを特徴とする現像装置である。
【0020】
また、本発明のプロセスカートリッジは請求項8に記載の通り、前記請求項7に記載の現像装置を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0021】
また、本発明の画像形成装置は請求項9に記載の通り、前記請求項7に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0022】
また、本発明の現像ローラの製造方法は請求項10に記載の通り、外表面に耐摩耗性層を施した円筒形状の現像スリーブと短線状の線条材とを収容槽内に収容した後に、該収容槽内に回転磁場を発生させるとともに、前記現像スリーブをその軸芯を中心に回転させて、該現像スリーブ材に前記線条材を回転させながら衝突させることにより、該現像スリーブの外表面に凹みを形成させることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の現像ローラの製造方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の現像ローラによれば、ママグネットローラと、前記マグネットローラを内包しているとともに該マグネットローラの磁力により外表面に磁性粒子を吸着する現像スリーブと、を有する現像ローラにおいて、前記現像スリーブにおけるスリーブ基材の外表面に該スリーブ基材を構成する材料より硬い材料により構成されている耐摩耗性層が設けられているとともに、該耐摩耗性層に楕円形状の凹みがランダムに多数(複数)設けられているために、現像スリーブの外表面の凹凸の減少を抑制し、経年変化による現像剤の搬送量低下を抑制できる。また、前記凹凸がランダムに、多数(複数)、配置に配置されているので、現像剤1のむらが生じることを防止でき、画像濃度むらが生じることを防止できる。
【0024】
また、耐磨耗性層に凹みを設けられていることにより、凹みの底部の耐磨耗性層の膜厚は薄くなり、あるいは、スリーブ基材が露出するので、凹みの底部からトナーの帯電電荷がリークしやすくなり、トナーのチャージアップによる画像濃度むらの発生を防止できる。
【0025】
また、請求項2に記載の本発明の現像ローラによれば、前記楕円形状の凹みの底部及びその底部の近傍部分には前記スリーブ基材が露出していて、該凹みの底部に前記耐摩耗性層がない構成となっている。このように、凹みの底部に前記耐摩耗性層が設けられていない(除去されている)場合、表面処理のない凹み底部は表面処理層5を有する表面に比べ、摩耗しやすくなり、表面の凹凸の差は大きくなり、現像剤の劣化による搬送量の低下が生じても凹み深さが確保できて、充分な搬送量が得られるので、搬送量の低下を抑制できる。さらに、凹みの底部からトナーの帯電電荷がリークしやすくなり、トナーのチャージアップによる画像濃度むらの発生をより確実に防止できる。
【0026】
また、請求項3に記載の本発明の現像ローラによれば、前記スリーブ基材が、円筒体形状であり、かつ、前記楕円形状の凹みが、楕円の長手方向が前記スリーブ基材の軸方向に沿う楕円形状の凹みよりも、楕円の長手方向が前記スリーブ基材の周方向に沿う楕円形状の凹みの方を多く含んでいる構成により、汲み上げられる現像剤を軸方向に沿って配置させることになり、現像スリーブが回転しても、汲み上げた現像剤が現像スリーブの表面から脱落しにくくなり、楕円形状の凹みが従来技術であるV溝形成と同様の作用効果を奏して、現像剤の汲み上げ量を充分に確保することができる。
【0027】
また、請求項4に記載の本発明の現像ローラによれば、前記スリーブ基材がアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されており、かつ、前記耐摩耗性層が導電性アルマイトにより構成されている構成により、耐摩耗性が著しく向上するとともに、経時変化が少なく、現像剤の汲み上げ量が長期間に亘って維持される。
【0028】
また、請求項5に記載の本発明の現像ローラによれば、前記耐摩耗性層がニッケルにより構成されている構成により、耐摩耗性が向上し、経時変化が少なく、現像剤の汲み上げ量が長期間に亘って維持される。
【0029】
また、請求項6に記載の本発明の現像ローラによれば、前記耐摩耗性層がクロムにより構成されている構成により、耐摩耗性が向上し、経時変化が少なく、現像剤の汲み上げ量が長期間に亘って維持される。
【0030】
また、請求項7に記載の本発明の現像装置によれば、前記現像ローラを備えているので、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制できるとともに、画像のむらの発生を防止できる。
【0031】
また、請求項8に記載のプロセスカートリッジによれば、前記現像ローラを備えているので、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制できるとともに、画像のむらの発生を防止できる。
【0032】
また、請求項9に記載の画像形成装置によれば、前記現像ローラを備えているので、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制できるとともに、画像のむらの発生を防止できる。
【0033】
また、請求項10に記載の本発明の現像ローラの製造方法によれば、外表面に耐摩耗性層を施した円筒形状の現像スリーブと短線状の線条材とを同一収容槽内に収容し、該収容槽内に回転磁場を発生させるとともに、前記現像スリーブをその軸芯を中心に回転させて、該現像スリーブ材に前記線条材を回転させながら衝突させることにより該現像スリーブの外表面に凹みを形成させる工程を有するために、一様な凹みを低コストで確実に形成することができ、経年変化を抑制できる現像スリーブを得ることができ、さらに、このとき、前記スリーブ基材が露出するまで上記粗面化処理を行うことで前記凹みの底部に前記耐摩耗性層がない状態となるので、現像剤の劣化による搬送量の低下が生じても凹み深さが確保できて、充分な搬送量が得られるので、搬送量の低下を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明に係る現像ローラについて、図1ないし図19に基づいて説明する。
【0035】
図1は、本発明に係る磁性粒子担持体(現像ローラ)の断面図である。図2は、本発明の一実施形態を示す磁性粒子担持体を構成する中空体(現像スリーブ)の斜視図である。図3及び図4は現像スリーブの外表面近くの断面を示すモデル図である。
【0036】
図5は、楕円の長手方向が中空体の周方向に沿う平面視楕円形状の凹みよりも、楕円の長手方向が中空体の軸方向に沿う平面視楕円形状の凹みが多い中空体の外表面を拡大して示す説明図である。図6は、図5に示された中空体の外表面を模式的に示す説明図である。図7は、楕円の長手方向が中空体の軸方向に沿う平面視楕円形状の凹みよりも、楕円の長手方向が中空体の周方向に沿う平面視楕円形状の凹みが多い中空体の外表面を拡大して示す説明図である。図8は、図7に示された中空体の外表面を模式的に示す説明図である。図9は、図5に示された中空体を有する磁性粒子担持体の外表面における、現像剤の穂立ち状態を示す磁性粒子担持体の断面図である。図10は、図7に示された中空体を有する磁性粒子担持体の外表面における、現像剤の穂立ち状態を示す磁性粒子担持体の断面図である。図11は、現像スリーブ132のモデル拡大断面図である。
【0037】
図12は、現像剤を構成する磁性粒子の断面図である。図13は、本発明の一実施形態を示す現像装置、および、プロセスカートリッジの断面図である。図14は、本発明の一実施形態を示す画像形成装置の断面図である。図15は、図2に示された中空体の外表面に粗面化処理を施す表面処理装置の概略の構成を示す斜視図である。図16は、図15に示す表面処理装置のII−IIに沿う断面図である。図17は、図15に示す表面処理装置で用いられる線条材の斜視図である。図18は、図17に示す線条材のIII−IIIに沿う断面の部分拡大図である。図19は、図15に示す表面処理装置において処理される中空体と、自転しながら前記中空体の外周に沿って回転移動する線条材を示す説明図である。
【0038】
次に、本発明の一実施形態である現像ローラの構成を、図1〜4、図7、図8、及び、図11を参照して説明する。
【0039】
本発明の磁性粒子担持体である現像ローラ115は、図1に示すように、芯金134と、磁界発生手段(以下、マグネットローラ(磁石体ともいう))133と、中空体(以下、現像スリーブ)132とを備えている。芯金134は、その長手方向が図12に示す感光体ドラム108の長手方向と平行に配され、現像装置113のケース125に回転することなく固定されている。
【0040】
マグネットローラ133は、磁性材料により構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、図示しない複数の固定磁極が取り付けられている。マグネットローラ133は、芯金134の外周に軸芯回りに回転することなく固定されている。
【0041】
固定磁極は、長尺で棒状の磁石であり、マグネットローラ133に取り付けられている。固定磁極は、マグネットローラ133、即ち、現像ローラ115の長手方向に沿って延びており、該マグネットローラ133の全長に亘って設けられている。前述した構成のマグネットローラ133は、現像スリーブ132内に収容されている(内包されている)。
【0042】
一つの固定磁極は、現像剤を汲み上げる汲み上げ磁極として、図12に示す攪拌スクリュー118と相対しており、他の一つの固定磁極は、現像磁極として、図12に示す感光体ドラム108と相対している。前記固定磁極は、現像剤126に含まれる磁性粒子(以下、磁性キャリア)135を、現像スリーブ132の外表面に吸着し、そして、磁性キャリア135を該固定磁極の生じる磁力線に沿って複数重ねさせて、該現像スリーブ132の外表面上に立設(穂立ち)させる。このように、磁性キャリア135が磁力線に沿って複数重なって現像スリーブ132の外表面上に立設する状態を、磁性キャリア135が現像スリーブ132の外表面上に穂立ちするという。すると、この穂立ちした磁性キャリア135に、同じく現像剤126含まれるトナーが吸着する。即ち、現像スリーブ132は、マグネットローラ133の磁力により外表面に現像剤126を吸着する。
【0043】
現像スリーブ132は、図2に示すように、円筒状に形成されている。現像スリーブ132は、マグネットローラ133を内包し(収容し)て、軸芯回りに回転自在に設けられている。現像スリーブ132は、その内周面が固定磁極に順に相対するように回転される。
【0044】
現像スリーブ132のスリーブ基材132aは、アルミニウム合金、ステンレス鋼などの非磁性材料により構成されている。
【0045】
アルミニウム合金は、加工性、軽さの面で優れている。アルミニウム合金を基材として用いる場合は、A6063、A5056およびA3003を用いるのが好ましい。一方、ステンレス鋼は、耐摩耗性、強度の面で優れている。ステンレス鋼をスリーブ基材132aとして用いる場合は、SUS303、SUS304およびSUS316を用いるのが好ましい。
【0046】
ここで、アルミニウム合金はビッカース硬度Hv=60程度、ステンレス鋼ではHv=200程度であり、特にアルミニウム合金の硬度は低く、摩耗による経年変化により少しずつ凹凸が減少してしまう。そこで、スリーブ基材132aの外表面に表面処理を行って、まず、モデル断面図である図3(a)に示すように、耐摩耗性層132bを設けることで表面硬度を高くすることができ、このとき、耐摩耗性が向上する。
【0047】
表面処理によって得られる耐摩耗性層は充分な耐摩耗性を得るために、ピッカース硬度:Hv=300以上であることが好ましい。このような耐摩耗性層の形成には、ニッケルめっき処理、クロムめっき処理をおこなってもよく、またスリーブ基材がアルミニウムないしアルミニウム合金からなる場合には、常法に従って導電性アルマイト処理を行ってもよい。
【0048】
ニッケルめっき(ニッケルリンめっきを含む)によって形成されるニッケル層は、ピッカース硬度が、Hv=500程度と高い。ニッケルめっきには電気ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきがあるが、電気ニッケルめっきより皮膜にピンホールが少なく硬い、密着性、均一性の面から無電解ニッケルめっきによることが好ましい。めっき後に300℃以上の熱処理を行うことで、クロムめっきと同程度まで、その硬度を向上させることは可能であるが、熱処理を行うことで磁性を帯びてしまうため、このような熱処理は行わないことが好ましい。
【0049】
また、無電解ニッケルめっき方法には、Ni−P(無電解ニッケルめっき)、Ni−B(無電解ニッケル・ボロンめっき)などがあるが、汎用性、品質安定性が高いNi−Pによって表面処理を行うことが特に好ましい。
【0050】
クロムめっきによる表面処理層は、Hv=700以上と非常に高く、耐摩耗性に優れている。また、基材とクロムめっき層との間に中間層を設ける場合は金属めっきによって形成するが、その場合、中間層としてはニッケルめっき層とすることが耐摩耗性及び耐食性を更に向上させることができるために、特に好ましい。
【0051】
導電性アルマイトによる表面処理層は、Hv=350〜500程度と高い上、他のめっき処理に比べ安価である。また、基材であるアルミニウム合金から電気化学的に生成されるので、めっきに比べ剥離しにくい特徴があり、これらの点で有利である。
【0052】
ただし、一般にアルマイトは不導体であるが、アルマイト処理後、二次処理として、アルマイト表面に生成される無数の蜂の巣状の孔(ポーラス)の中に、電気化学的に金属(本発明品では銀)を析出させることにより、アルマイトに充分に高い導電性を持たせた導電化アルマイトとすることができる。前記二次処理によって孔内に金属を析出させた後、この孔を酢酸ニッケルなどの高温水溶液、加圧水蒸気によって水和させて孔を封じる処理(封孔処理)を行うのが一般的であるが、本発明においては、導電性確保の面からこの封孔処理を行なわないことが好ましい。
【0053】
スリーブ表面は上記のように表面処理によって耐摩耗性層を形成した後、表面処理層5の上から図14に示す表面処理装置1によって外表面に粗面化処理が施されている。このとき、凹みの底部に前記耐摩耗性層132bがない(このときのスリーブ表面付近の状態をモデル断面図として図3(b)に示す)、または、凹みの底部の前記耐摩耗性層が他の部分の耐摩耗性層に比べて薄い(このときのスリーブ表面付近の状態をモデル断面図として図3(c)に示す)構成が得られる。
【0054】
図3(b)のように、凹みの底部に耐摩耗性層がない場合、図4(a)にモデル的に示したように、現像剤が凹みに入り込んだときに、表面処理のない凹み底部は表面処理層5を有する表面に比べ、摩耗しやすくなり、図4(b)にモデル的に示すように、表面の凹凸の差は大きくなり、現像剤の劣化による搬送量の低下が生じても凹み深さが確保でき、充分な搬送量が得られるので、搬送量の低下を抑制できる。
【0055】
一方、図3(c)のように凹みの底部の耐摩耗性層が他の部分の耐摩耗性層に比べて薄い場合、図4(c)にモデル的に示したように、初期は耐磨耗性層により粗さが低下しにくく、底部の耐磨耗性層がなくなり、スリーブ基材表面層が現れると底部は磨耗しやすくなり、図4(d)にそのときの様子をモデル的に示すように、結果として、凹みの底部に前記耐摩耗性層がない場合と同じ効果が得られる場合があるが、初期より効果が確実に得られると云う点で、図3(b)に示されたように、凹みの底部に耐摩耗性層がなく、スリーブ基材が露出しているようにすることが好ましい。
【0056】
上記で形成する耐摩耗性層の厚さとしては、粗面化処理による効果を充分なものとするために、現像スリーブ132外表面の十点平均粗さRzを8μm以上とすることが好ましいので、このとき、良好な表面性を得るためには3μm以上とすることが好ましい。
【0057】
現像スリーブ132の外径は、17mm〜18mm程度であるのが望ましく、また、現像スリーブ132の軸(軸芯)方向の長さは、240mm〜350mm程度であるのが望ましい。現像スリーブ132の外表面の表面粗さは、該現像スリーブ132の軸芯方向の中央部から両端部に向かうにしたがって、徐々に大きく(粗く)なっている。また、現像スリーブ132の外表面には、図7に示すように、平面形状が楕円形状の凹み139(以下、単に楕円形状の凹みと記載する場合は平面視楕円形状を表す)がランダムに多数(複数)配置されており、そして凹み139は、楕円の長手方向が現像スリーブ132の軸方向に沿う凹み(軸方向に対する楕円の長手方向の角度が±45°未満。以下、横凹み)139aと、楕円の長手方向が現像スリーブ132の周方向に沿う凹み(周方向に対する楕円の長手方向の角度が±45°以内。以下、縦凹み)139bとを含んでいる。そして、横凹み139aよりも縦凹み139bを多く含んでいる。さらに、凹み139の長手方向の長さ(長径)は、0.05mm以上でかつ2mm以下となっており、幅方向の幅(短径)は、0.02mm以上でかつ1mm以下となっている。なお、図7および図8では、図中の左右方向が現像スリーブ132の軸方向、上下方向が現像スリーブ132の周方向となっている。
【0058】
次に、磁性粒子担持体115がその外表面に現像剤126を吸着させる動作について説明する。
【0059】
図12に示す現像装置113内において、現像剤担持体である現像ローラ115と、磁性粒子である磁性キャリア135およびトナーにより構成される現像剤126と、は間隙を持って対向している。現像ローラ115に内包されるマグネットローラ133に取り付けられている前記汲み上げ磁極は、現像スリーブ132、即ち、現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、収容槽117の第2空間121内の現像剤126を現像スリーブ132の外表面に吸着する。そして、前記現像磁極は、現像スリーブ132、即ち、現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間に磁界を形成する。この現像磁極は、該磁界によって磁気ブラシを形成することで、現像スリーブ132の外表面に吸着された現像剤126を感光体ドラム108に受け渡すようになっている。前記汲み上げ磁極と前記現像磁極との間には、少なくとも一つの固定磁極が設けられている。この少なくとも一つの固定磁極は、現像スリーブ132、即ち、現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像前の現像剤126を感光体ドラム108に向けて搬送するとともに、現像済みの現像剤126を感光体ドラム108から収容槽117内まで搬送する。
【0060】
次に、楕円の長手方向が中空体(即ち、現像スリーブ)132の軸方向に沿う楕円形状の凹み(即ち、横凹み)139aと、楕円の長手方向が現像スリーブ132の周方向に沿う楕円形状の凹み(即ち、縦凹み)139bとの、現像剤の穂立ちの違いについて説明する。
【0061】
図9は従来の磁性粒子担持体115の断面図であり、縦凹み139bよりも横凹み139aが多い場合の現像剤126の穂立ちの状態を示している。また、図10は本発明における磁性粒子担持体115の断面図であり、横凹み139aよりも縦凹み139bが多い場合の現像剤126の穂立ちの状態を示している。図9に示す従来の磁性粒子担持体115の横凹み139aに比して、図10に示す本発明での磁性粒子担持体115の縦凹み139bの方が、磁性粒子担持体の断面から見たときの凹み139の周方向に沿う長さが長くなり、そして、現像剤126は凹み139に密着して現像スリーブ132に吸着されるので、現像スリーブ132の周方向に対してより現像剤の吸着密度が高くなり、また、各凹み139bにおける現像剤の穂立ちがより均一になる。
【0062】
以上の説明より、本実施形態によれば、現像スリーブ132の外表面に有する多数の平面視楕円形状の凹み139において、長手方向が前記中空体の軸方向に沿う平面視楕円形状の凹み139aよりも、長手方向が前記中空体の周方向に沿う平面視楕円形状の凹み139bが多いので、現像剤126に含まれる磁性粒子群が、前記現像スリーブ132の外表面の周方向に均一に吸着され、また、前記現像スリーブ132の外表面上での周方向の磁性粒子群の密度が大きくなり、そのため、感光体ドラム108の周方向、即ち、画像の通紙方向に対して現像剤126を均一にむらなく供給でき、よって、通紙方向の濃度むらのない画像を得ることができる。また、現像スリーブ132の外表面に、従来のサンドブラスト加工で形成される凹みより大きな楕円形状の凹み139(長径が0.05mm以上でかつ2mm以下、短径が0.02mm以上でかつ1mm以下)を有するので、サンドブラスト加工で形成された凹みに比して、経年変化による楕円形状の凹みの摩耗が少なく、そのため、経年変化による現像剤126の搬送量の低下を抑制でき、よって、形成される画像が薄くなることを防止できる。
【0063】
また、現像スリーブ132の外表面に有する多数の平面視楕円形状の凹み139において、図11に現像スリーブ132のモデル拡大断面図で示すようにその最深部200cが、現像スリーブ132の回転方向に対して後方になる凹みの外縁端部200a寄りに位置するので、凹みの最深部200cから凹みの外縁端部200aまでの面と、凹みの最深部200cを通る現像スリーブ132の半径方向の直線とのなす角αが45°未満になりそのため、凹み139が磁性粒子をすくい上げるようして凹み139内部に保持し、即ち、磁性粒子を現像スリーブ132外表面に保持する力が強くなり、確実に現像剤を現像スリーブ132外表面に保持することができ、よって、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制でき、形成される画像が薄くなることを防止できる。また、凹み139の深さを大きくしなくても充分な保持力が得られるので、現像スリーブ132外表面の加工のエネルギーを小さくすることができ、そのため、現像スリーブ132の軸心が湾曲したり、内外径が変化したり、断面形状が楕円形状になることを防止でき、即ち、振れ精度を高精度に保つことができ、よって、画像むらのない画像を得ることがで
きる。
【0064】
また、現像スリーブ132の外表面に有する多数の平面視楕円形状の凹み139において、現像スリーブ132の回転方向に対して後方になる凹みの外縁端部200aが、現像スリーブ132外表面から外に向けて盛り上がっているので、凹みの最深部200cから外縁端部200aまでの面が、より長く、より大きくなり、磁性粒子を現像スリーブ132外表面に保持する力がより強くなり、さらに確実に現像剤を現像スリーブ132外表面に保持することができ、よって、経年変化による現像剤の搬送量の低下を抑制でき、形成される画像が薄くなることを防止できる。また、凹み139の深さを大きくしなくても充分な保持力が得られるので、現像スリーブ132外表面の加工のエネルギーを小さくすることができ、そのため、現像スリーブ132の軸心が湾曲したり、内外径が変化したり、断面形状が楕円形状になることを防止でき、即ち、振れ精度を高精度に保つことができ、よって、画像むらのない画像を得ることができる。
【0065】
また、現像スリーブ132の外表面にランダムに配置された平面視楕円形状の凹み139を有するので、現像剤126が前記現像スリーブ132の外表面にランダムに吸着され、即ち、前記現像スリーブ132の外表面全体で均一に現像剤126が吸着され、そのため、感光ドラム108への現像剤126の搬送量を均一にでき、よって、濃度むらのない画像を得ることができる。
【0066】
次に、本発明にかかる現像装置113の構成を、図13を参照して説明する。
【0067】
現像装置113は、図13に示すように、磁性粒子(例えば現像剤)供給部114と、ケース125と、磁性粒子担持体としての現像ローラ115と、規制部材としての規制ブレード116とを少なくとも備えている。
【0068】
現像剤供給部114は、収容槽117と、攪拌部材としての一対の攪拌スクリュー118と、を備えている。収容槽117は、感光体ドラム108と長さが略等しい箱状に形成されている。また、収容槽117内には、該収容槽117の長手方向に沿って延びた仕切壁119が設けられている。仕切壁119は、収容槽117内を第1空間120と、第2空間121とに区画している。また、第1空間120と第2空間121とは、両端部が互いに連通している。
【0069】
収容槽117は、第1空間120と第2空間121との双方に現像剤126を収容する。現像剤126は、トナーと、磁性キャリア(磁性粒子、または、磁性粉ともいい、図12に断面を示す)135とを含んでいる。トナーは、第1空間120と、第2空間121とのうち現像ローラ115から離れた側の第1空間120の一端部に、適宜供給される。トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良い。トナーの平均粒径は、3μm以上でかつ7μm以下である。また、トナーは、粉砕加工などにより形成されても良い。
【0070】
攪拌スクリュー118は、第1空間120と第2空間121それぞれに収容されている。攪拌スクリュー118の長手方向は、収容槽117、現像ローラ115及び感光体ドラム108の長手方向と平行である。攪拌スクリュー118は、軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、トナーと磁性キャリア135とを攪拌するとともに、該軸芯に沿って現像剤126を搬送する。また、第1空間120内の攪拌スクリュー118は、現像剤126を前述した一端部から他端部に向けて搬送する。第2空間121内の攪拌スクリュー118は、現像剤126を他端部から一端部に向けて搬送する。
【0071】
現像剤供給部114においては、第1空間120の一端部に供給されたトナーを、磁性キャリア135と攪拌しながら、他端部に搬送し、この他端部から第2空間121の他端部に搬送する。そして、現像剤供給部114は、第2空間121内でトナーと磁性キャリア135とを攪拌し、軸芯方向に搬送しながら、現像ローラ115の外表面に供給する。
【0072】
ケース125は、箱状に形成され、前述した現像剤供給部114の収容槽117に取り付けられて、該収容槽117とともに、現像ローラ115などを覆う。また、ケース125の感光体ドラム108と相対する部分には、開口部125aが設けられている。
【0073】
現像ローラ115は、円柱状に形成され、第2空間121と、感光体ドラム108との間でかつ前述した開口部125aの近傍に設けられている。現像ローラ115は、感光体ドラム108と収容槽117との双方と平行である。現像ローラ115は、感光体ドラム108と間隔をあけて配されている。現像ローラ115と感光体ドラム108との間の空間は、現像剤126のトナーを感光体ドラム108に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域131をなしている。現像領域131では、現像ローラ115と感光体ドラム108とが相対する。
【0074】
規制ブレード116は、現像装置113の感光体ドラム108寄りの端部に設けられている。規制ブレード116は、現像スリーブ132の外表面と間隔をあけた状態で、前述したケース125に取り付けられている。規制ブレード116は、所望の厚さを越える現像スリーブ132の外表面上の現像剤126を収容槽117内にそぎ落として、現像領域131に搬送される現像スリーブ132の外表面上の現像剤126の量を調整する。
【0075】
次に、現像装置113が、現像剤126を現像領域131に搬送する動作について説明する。
【0076】
前述した構成の現像装置113は、現像剤供給部114でトナーと磁性キャリア135とを充分に攪拌し、この攪拌した現像剤126を、現像ローラ115に内包する固定磁極により現像スリーブ132の外表面に吸着する。そして、現像装置113は、現像スリーブ132が回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤126を現像領域131に向かって搬送する。現像装置113は、規制ブレード116で所望の厚さになった現像剤126を感光体ドラム108に吸着させる。こうして、現像装置113は、現像剤126を現像ローラ115に担持し、現像領域131に搬送して、感光体ドラム108上の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。そして、現像装置113は、現像済みの現像剤126を、収容槽117に向かって離脱させる。さらに、そして、収容槽117内に収容された現像済みの現像剤126は、再度、第2空間121内で他の現像剤126と充分に攪拌されて、感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。
【0077】
以上の説明より、本発明によれば、現像装置113は、前述した磁性粒子担持体、即ち、現像ローラ115を有しているので、画像の通紙方向に対して現像剤126を均一にむらなく供給でき、また、経年変化による現像剤126の搬送量の低下を抑制でき、よって、濃度むらのない画像を得ることができ、また、形成される画像が薄くなることを防止できる。
【0078】
次に、磁性粒子である磁性キャリアの構成を、図12を参照して説明する。
【0079】
磁性キャリア135は、図13に示す第1空間120と第2空間121との双方に収容されている。磁性キャリア135の平均粒径は、20μm以上でかつ50μm以下である。磁性キャリア135は、図12に示すように、芯材136と、該芯材136の外表面を被覆した樹脂コート膜137と、樹脂コート膜137に分散されたアルミナ粒子138と、を備えている。
【0080】
磁性キャリア135の平均粒径が20μm未満であると、磁性キャリア135一つ一つの磁化の大きさが小さくなるために、磁性キャリア135の現像ローラ115からの磁気的拘束力が弱くなり、該磁性キャリア135が感光体ドラム108に吸着しやすいため、望ましくない。磁性キャリア135の平均粒径が50μmを越えると、磁性キャリア135と感光体ドラム108上の静電潜像との間の電界が疎になるため、均一な画像を得ることができない(画質が劣化する)ため、望ましくない。
【0081】
芯材136は、磁性材料としてのフェライトで構成されているとともに、球形に形成されている。樹脂コート膜137は、芯材136の外表面全体を被覆している。樹脂コート膜137は、アクリルなどの熱可塑性樹脂とメラミン樹脂とを架橋させた樹脂成分と、帯電調整剤とを含有している。この樹脂コート膜137は、弾力性と強い接着力を有している。アルミナ粒子138は、外径が樹脂コート膜137の厚みより大きな球形に形成されている。アルミナ粒子138は、樹脂コート膜137の強い接着力で保持されている。アルミナ粒子138は、樹脂コート膜137より磁性キャリア135の外周側に突出している。
【0082】
以上の説明より、本発明によれば、前述した現像装置113は、磁性粒子、即ち、磁性キャリア135の平均粒径が20μm以上でかつ50μm以下の現像剤126を用いているので、磁性キャリア135が粒状度に優れており、よって、むらの少ない優れた画像を得ることができる。
【0083】
次に、本発明に係るプロセスカートリッジの構成を、図13を参照して説明する。
【0084】
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、カートリッジケース111と、帯電装置としての帯電ローラ109と、感光体(像担持体ともいう)としての感光体ドラム108と、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112と、現像装置113と、を備えている。
【0085】
カートリッジケース111は、装置本体102に着脱自在で、かつ帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を収容している。帯電ローラ109は、感光体ドラム108の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム108は、現像装置113の後述する磁性粒子担持体(例えば現像ローラ)115と間隔をあけて配されている。感光体ドラム108は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。
【0086】
現像ローラ115、即ち、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間隔は、0.1mm以上でかつ0.4mm以下が望ましく、この範囲内であれば、現像スリーブ132に穂立ちした現像剤126からトナーを確実に感光体ドラム108に供給でき、高品質な画像を得ることができる。現像スリーブ132と感光体ドラム108との間隔が、0.1mm未満であると、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間の電界が強くなりすぎて、感光体ドラム108上に磁性キャリア135が移動してしまい、望ましくない。現像スリーブ132と感光体ドラム108との間隔が、0.4mmを越えると、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間の電界が弱くなりすぎて、感光体ドラム108に供給できるトナーの量が減少して、現像効率が低下するとともに、画像のエッジにおいて電界のエッジ効果が大きくなり均一な画像を得ることができないため、望ましくない。
【0087】
次に、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kが、記録紙107に画像を転写する動作について説明する。
【0088】
各プロセスカートリッジ106内にある感光体ドラム108は、図14に示す対応するレーザ書き込みユニット122により、外表面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム108は、外表面上に形成されかつ担持する静電潜像に、現像装置113から供給されるトナーが吸着して現像し、こうして得られたトナー像を搬送ベルト129との間に位置付けられた記録紙107に転写する。クリーニングブレード112は、記録紙107にトナー像を転写した後に、感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
【0089】
以上の説明より、本発明によれば、プロセスカートリッジ106は、前述した現像装置113を有しているので、画像の通紙方向に対して現像剤126を均一にむらなく供給でき、また、経年変化による現像剤126の搬送量の低下を抑制でき、よって、濃度むらのない画像を得ることができ、また、形成される画像が薄くなることを防止できる。
【0090】
次に、本発明にかかる画像形成装置101の構成を、図14を参照して説明する。
【0091】
画像形成装置101は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像、即ち、カラー画像を、一枚の転写材としての記録紙107(図14に示す)に形成する。なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y,M,C,Kを付けて示す。
【0092】
画像形成装置101は、図14に示すように、装置本体102と、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122と、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとを少なくとも備えている。
【0093】
装置本体102は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。装置本体102は、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122と、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを収容している。
【0094】
給紙ユニット103は、装置本体102の下部に設けられている。給紙ユニット103は、前述した記録紙107を重ねて収容するとともに装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124とを備えている。給紙ローラ124は、給紙カセット123内の一番上の記録紙107に押し当てられている。給紙ローラ124は、前述した一番上の記録紙107を、転写ユニット104の後述する搬送ベルト129と、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述する現像装置113の感光体ドラム108との間に送り出す。
【0095】
レジストローラ対110は、給紙ユニット103から転写ユニット104に搬送される記録紙107の搬送経路に設けられており、一対のローラ110a,110bを備えている。レジストローラ対110は、一対のローラ110a,110b間に記録紙107を挟み込み、該挟み込んだ記録紙107をトナー像を重ね合わせ得るタイミングで、転写ユニット104とプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとの間に送り出す。
【0096】
転写ユニット104は、給紙ユニット103の上方に設けられている。転写ユニット104は、駆動ローラ128と、従動ローラ12と、搬送ベルト129と、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kとを備えている。駆動ローラ128は、記録紙107の搬送方向の下流側に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。従動ローラ12は、装置本体102に回転自在に支持されており、記録紙107の搬送方向の上流側に配置されている。搬送ベルト129は、無端環状に形成されており、前述した駆動ローラ128と従動ローラ12との双方に掛け渡されている。搬送ベルト129は、駆動ローラ128が回転駆動されることで、前述した駆動ローラ128と従動ローラ12との回りを図中反時計回りに循環(無端走行)する。
【0097】
転写ローラ130Y,130M,130C,130Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108との間に搬送ベルト129と該搬送ベルト129上の記録紙107とを挟む。転写ユニット104は、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kが、給紙ユニット103から送り出された記録紙107を各プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108の外表面に押し付けて、感光体ドラム108上のトナー像を記録紙107に転写する。転写ユニット104は、トナー像を転写した記録紙107を定着ユニット105に向けて送り出す。
【0098】
定着ユニット105は、転写ユニット104の記録紙107の搬送方向の下流に設けられ、互いの間に記録紙107を挟む一対のローラ105a,105bを備えている。定着ユニット105は、一対のローラ105a,105b間に転写ユニット104から送り出されてきた記録紙107を押圧加熱することで、感光体ドラム108から記録紙107上に転写されたトナー像を、該記録紙107に定着させる。
【0099】
レーザ書き込みユニット122は、装置本体102に取り付けられている。レーザ書き込みユニット122は、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述の帯電ローラ109により一様に帯電された感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
【0100】
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、それぞれ、転写ユニット104と、レーザ書き込みユニット122との間に設けられている。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、装置本体102に着脱自在である。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、記録紙107の搬送方向に沿って、互いに並設されている。
【0101】
搬送ベルトクリーニング装置15は、搬送ベルト109上の残留トナーを回収し、ここでは図示しない搬送経路を経て、トナー廃棄容器に貯留させる。
【0102】
2次転写ローラ16は、搬送ベルト109上に形成されたトナー像を記録紙107に転写するためのもので、トナーを引き付けるためにトナーとは逆符号のバイアスが印加されている。
【0103】
排紙ローラ対24は、トナー像が定着された記録紙107を排紙するためのローラである。
【0104】
トナーボトル31は、Y、M、C、Kそれぞれの補給トナーを貯留しており、ここから図示しない搬送経路を経て、所定の補給量だけ各色のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kにトナーを補給する。
【0105】
次に、画像形成装置101が、記録紙107に画像を形成する動作について説明する。
【0106】
まず、画像形成装置101は、感光体ドラム108を回転して、この感光体ドラム108の外表面を一様に帯電ローラ109により帯電する。感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、該感光体ドラム108の外表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域131に位置付けられると、現像装置113の現像スリーブ132の外表面に吸着した現像剤126が感光体ドラム108の外表面に吸着して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム108の外表面に形成する。そして、画像形成装置101は、給紙ユニット103の給紙ローラ124などにより搬送されてきた記録紙107が、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108と転写ユニット104の搬送ベルト129との間に位置して、感光体ドラム108の外表面上に形成されたトナー像を記録紙107に転写する。画像形成装置101は、定着ユニット105で、記録紙107にトナー像を定着する。こうして、画像形成装置101は、記録紙107にカラー画像を形成する。
【0107】
以上の説明より、本発明によれば、画像形成装置101は、前述した現像装置113を有しているので、画像の通紙方向に対して現像剤126を均一にむらなく供給でき、また、経年変化による現像剤126の搬送量の低下を抑制でき、よって、濃度むらのない画像を得ることができ、また、形成される画像が薄くなることを防止できる。
【0108】
次に、本発明にかかる磁性粒子担持体を構成する中空体の外表面に楕円形状の凹みを形成するための表面処理装置、および、前記表面処理装置内に内包され、中空体の外表面に衝突される線条材について、図15〜図19を参照して説明する。
【0109】
表面処理装置1は、図15に示すように、ベース3と、固定保持部4と、移動手段としての電磁コイル移動部5と、移動保持部6と、移動チャック部7と、磁場発生部としての電磁コイル8と、収容槽9と、回収部10と、冷却部11と、検出手段としてのリニアエンコーダ75と、制御手段としての制御装置76(図16に示す)とを備えている。
【0110】
ベース3は、平板状に形成されて、工場のフロアやテーブル上等に設置される。ベース3の上面は、水平方向と平行に保たれる。ベース3の平面形状は、矩形状に形成されている。
【0111】
固定保持部4は、ベース3の長手方向(以下、矢印Xで示す)の一端部から立設した複数の支柱12と、保持ベース13と、立設ブラケット14と、円筒保持部材15と、保持チャック16と、を備えている。
【0112】
保持ベース13は、平板状に形成され、支柱12の上端に取り付けられている。立設ブラケット14は、平板状に形成され、保持ベース13から立設している。円筒保持部材15は、円筒状に形成され、立設ブラケット14と保持ベース13とに取り付けられている。円筒保持部材15は、その軸芯が水平方向と矢印Xとの双方と平行な状態でかつ前記立設ブラケット14よりベース3の中央部寄りに配置されている。円筒保持部材15は、内側に収容槽9の後述する一端部9aに取り付けられた後述するフランジ部材51b,51c,51d(即ち一端部9a)を収容する。
【0113】
保持チャック16は、前述した円筒保持部材15即ち保持ベース13の近傍に配され、前述したベース3に取り付けられている。保持チャック16は、円筒保持部材15内に一端部9aが収容された収容槽9をチャックして、該収容槽9の一端部9aを保持する。前述した構成の固定保持部4は、収容槽9の一端部9aを保持する。
【0114】
電磁コイル移動部5は、一対のリニアガイド17と、電磁コイル保持ベース18と、電磁コイル移動用アクチュエータ19と、を備えている。リニアガイド17は、レール20と、スライダ21とを備えている。レール20は、ベース3上に設置されている。レール20は、直線状に形成されているとともに、その長手方向がベース3の長手方向即ち矢印Xと平行に配されている。スライダ21は、レール20に該レール20の長手方向即ち矢印Xに沿って移動自在に支持されている。一対のリニアガイド17は、レール20がベース3の幅方向(以下、矢印Yで示す)に沿って互いに間隔をあけて配されている。なお、矢印Xと矢印Yとは、勿論、互いに直交しているとともに、それぞれ水平方向と平行である。
【0115】
電磁コイル保持ベース18は、平板状に形成され、前述したスライダ21上に取り付けられている。電磁コイル保持ベース18の上面は、水平方向と平行に配されている。電磁コイル保持ベース18は、電磁コイル8を表面上に設置する。電磁コイル移動用アクチュエータ19は、ベース3に取り付けられているとともに、前述した電磁コイル保持ベース18を矢印Xに沿って、スライド移動させる。前述した電磁コイル移動部5は、電磁コイル移動用アクチュエータ19により電磁コイル保持ベース18即ち電磁コイル8を矢印Yに沿ってスライド移動させる。また、電磁コイル移動部5による電磁コイル8の移動速度は、0mm/秒〜300mm/秒の間で変更可能である。さらに、電磁コイル移動部5の電磁コイル8の移動範囲は、600mm程度である。
【0116】
移動保持部6は、一対のリニアガイド22と、保持ベース23と、第1アクチュエータ24と、第2アクチュエータ25と、移動ベース26と、軸受け回転部27と、保持チャック28と、を備えている。
【0117】
リニアガイド22は、レール29と、スライダ30とを備えている。レール29は、ベース3上に設置されている。レール29は、直線状に形成されているとともに、その長手方向が矢印X即ちベース3の長手方向と平行に配されている。スライダ30は、レール29に該レール29の長手方向即ち矢印Xに沿って移動自在に支持されている。一対のリニアガイド22は、レール29が矢印Y即ちベース3の幅方向に沿って互いに間隔をあけて配されている。
【0118】
保持ベース23は、平板状に形成され、前述したスライダ30上に取り付けられている。保持ベース23の上面は、水平方向と平行に配されている。第1アクチュエータ24は、ベース3に取り付けられているとともに、前述した保持ベース23を矢印Xに沿って、スライド移動させる。
【0119】
第2アクチュエータ25は、保持ベース23に取り付けられているとともに、移動ベース26を矢印Yに沿って、スライド移動させる。移動ベース26は、平板状に形成され、その上面が水平方向と平行に配されている。
【0120】
軸受け回転部27は、一対の軸受31と、芯軸としての中空保持部材32と、回転手段としての駆動用モータ33と、チャック用シリンダ34とを備えている。一対の軸受31は、矢印Xに沿って、互いに間隔をあけて配置されているとともに、移動ベース26上に設置されている。中空保持部材32は、磁性材料で構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、前述した軸受31により軸芯回りに回転自在に支持されている。中空保持部材32は、その軸芯が前述した矢印X即ち固定保持部4の円筒保持部材15の軸芯と平行に配置されている。中空保持部材32は、一端部32aが収容槽9内に位置するように移動ベース26上から固定保持部4に向かって突出した格好で、かつ、他端部32cが移動ベース26上に位置した状態に配されている。中空保持部材32は、図16に示すように、円筒状の現像スリーブ132内に通される。また、中空保持部材32の移動ベース26上に位置付けられた他端部32cには、プーリ35が固定されている。プーリ35は、中空保持部材32と同軸に配置されている。
【0121】
駆動用モータ33は、移動ベース26に設置されているとともに、その出力軸にプーリ36が取り付けられている。駆動用モータ33の出力軸の軸芯は、矢印Xと平行である。前述したプーリ35,36には、無端状のタイミングベルト37が掛け渡されている。
【0122】
チャック用シリンダ34は、移動ベース26に設置されたシリンダ本体38と、該シリンダ本体38にスライド自在に設けられたチャック軸39とを備えている。チャック軸39は、円柱状に形成されその長手方向が矢印Xと平行に配されている。チャック軸39は、中空保持部材32内に収容されているとともに、該中空保持部材32と同軸に配置されている。チャック軸39には、一対のチャック爪40が複数取り付けられている。
【0123】
一対のチャック爪40は、チャック軸39の外周面から該チャック軸39の外周方向に突出する格好で、該チャック軸39に取り付けられている。また、チャック爪40は、中空保持部材32の外周面から該中空保持部材32の外周に向かって突出可能となっている。チャック爪40は、チャック軸39及び中空保持部材32からの突出量が変更自在に設けられている。複数対のチャック爪40は、前述したチャック軸39の長手方向即ち矢印Xに沿って、間隔をあけて配置されている。一対のチャック爪40は、チャック用シリンダ34のチャック軸39がシリンダ本体38に近づく方向に縮小すると、前述したチャック軸39及び中空保持部材32からの突出量が増加する。
【0124】
前述したチャック用シリンダ34は、チャック軸39がシリンダ本体38に縮小することで、チャック爪40をよりチャック軸39の外周方向に突出させて、該チャック爪40を中空保持部材32の外周に取り付けられた現像スリーブ132の内周面に押圧させて、チャック軸39と中空保持部材32と現像スリーブ132とを固定する。このとき、勿論、チャック軸39と中空保持部材32と現像スリーブ132と後述の円筒部材50即ち収容槽9は、同軸になる。また、チャック爪40を中空保持部材32外周から突出させず、現像スリーブ132と中空保持部材32とを固定しないようにすることで、現像スリーブ132はその周方向に回動自在になり、後述する電磁コイル8による電磁誘導起電力等によって、その軸を中心に回転される。
【0125】
前述したチャック用シリンダ34とチャック爪40は、中空保持部材32と収容槽9と同軸となるように現像スリーブ132を保持する。即ち、チャック用シリンダ34とチャック爪40は、現像スリーブ132を収容槽9の中心に保持する。
【0126】
保持チャック28は、前述した移動ベース26上に設置されている。保持チャック28は、収容槽9の他端部9bに取り付けられた後述のフランジ部材51aをチャックして、該収容槽9の他端部9bを保持する。保持チャック28は、収容槽9がその軸芯回りに回転することを規制する。
【0127】
前述した構成の移動保持部6は、保持チャック28及び中空保持部材32などをアクチュエータ24,25により互いに直交する矢印X,Yに沿って移動させる。即ち、移動保持部6は、保持チャック28で保持した収容槽9を矢印X,Yに沿って移動させる。
【0128】
移動チャック部7は、保持ベース41と、リニアガイド42と、保持チャック43とを備えている。保持ベース41は、リニアガイド22のレール29の固定保持部4寄りの端部に固定されている。保持ベース41は、平板状に形成され、その上面が水平方向と平行に配されている。
【0129】
リニアガイド42は、レール44と、スライダ45とを備えている。レール44は、保持ベース41上に設置されている。レール44は、直線状に形成されているとともに、その長手方向が矢印Y即ちベース3の幅方向と平行に配されている。スライダ45は、レール44に該レール44の長手方向即ち矢印Yに沿って移動自在に支持されている。
【0130】
保持チャック43は、スライダ45上に設置されている。保持チャック43は、前述した保持チャック16,28間に位置付けられている。保持チャック43は、収容槽9の他端部9b寄りの箇所をチャックして、該収容槽9を保持する。前述した移動チャック部7は、保持チャック43が収容槽9を保持することで、該収容槽9を位置決めする。また、移動チャック部7は、保持チャック43が収容槽9を保持することで、収容槽9が軸芯に沿って移動する際に、前述した保持チャック28と協働して収容槽9を保持して、該収容槽9が軸受け回転部27即ち表面処理装置1から脱落することを防止する。
【0131】
電磁コイル8は、図16に示すように、円筒状に形成された外皮46と該外皮46内に配された複数のコイル部47とを備えて、全体として円環状に形成されている。電磁コイル8の内径は、収容槽9の外径より大きい。即ち、電磁コイル8の内周面と収容槽9の外周面との間には、空間が形成されている。また、電磁コイル8の軸芯方向の全長は、収容槽9の軸芯方向の全長より充分に短い。電磁コイル8の軸芯方向の全長は、収容槽9の軸芯方向の全長の2/3以下であるのが望ましい。図示例では、電磁コイル8の内径は、90mmであるとともに、電磁コイル8の軸芯方向の長さは、85mmである。
【0132】
外皮46は、その軸芯即ち電磁コイル8自身の軸芯が矢印Xと平行な状態で前述した電磁コイル保持ベース18に取り付けられている。電磁コイル8は、中空保持部材32、チャック軸39及び収容槽9と同軸に配置されている。複数のコイル部47は、外皮46即ち電磁コイル8の周方向に沿って互いに並設されている。コイル部47は、図16に示す三相交流電源48により印加される。複数のコイル部47には互いに移送のずれた電力が印加されて、これらの複数のコイル部47が互いに位相のずれた磁場を発生する。そして、電磁コイル8は、これらの磁場を合成して形成される該電磁コイル8の軸芯回りの回転方向の磁場(回転磁場)を内側に生じさせる。
【0133】
前述した電磁コイル8は、三相交流電源48から印加されて、回転磁場を発生するとともに、電磁コイル移動部5によりその軸芯即ち収容槽9の長手方向に沿って移動される。
【0134】
そして、電磁コイル8は、前述した回転磁場により、収容槽9内に収容された線条材65を現像スリーブ132の外周に位置付け、該線条材65を収容槽9及び現像スリーブ132の軸芯回りに回転(移動)させる。そして、電磁コイル8は、前述した回転磁場により移動させた線条材65を現像スリーブ132の外表面に衝突させる。
【0135】
また、三相交流電源48と電磁コイル8との間には、磁場変更手段としてのインバータ49が設けられている。即ち、表面処理装置1は、磁場変更手段としてのインバータ49を備えている。インバータ49は、三相交流電源48が電磁コイル8に印加する電力の周波数、電流値、電圧値を変更自在である。インバータ49は、電磁コイル8に印加する電力の周波数、電流値、電圧値を変更することで、三相交流電源48が電磁コイル8に印加する電力を増減させて、該電磁コイル8が発生する回転磁場の強さを変更する。
【0136】
収容槽9は、図16に示すように、外壁が一重構造(外壁が一枚の壁からなること)の円筒部材50と、複数のフランジ部材51と、一対の削り屑封止ホルダ52と、一対の削り屑封止板53と、一対の位置決め部材54と、複数の仕切手段としての仕切部材55と、一対の封止板56とを備えている。
【0137】
円筒部材50は、円筒状に形成されており、収容槽9の外殻を構成している。このため、収容槽9は、円筒部材50が一重構造に形成されていることで、外壁が一重構造に形成されているとともに、円筒状に形成されている。円筒部材50即ち収容槽9の外径は、40mm〜80mm程度であるのが望ましい。さらに、円筒部材50の肉厚は、0.5mm〜2.0mm程度であるのが望ましい。円筒部材50の軸芯方向の長さは、600mm〜800mm程度であるのが望ましい。円筒部材50は、非磁性体で構成されている。
【0138】
円筒部材50には、複数の砥粒供給孔57が設けられている。砥粒供給孔57は、勿論、円筒部材50を貫通して、該円筒部材50の内外を連通している。砥粒供給孔57には、封止キャップ58が取り付けられている。砥粒供給孔57は、内側に線条材65を通して、該線条材65を円筒部材50即ち収容槽9に出し入れする。また、封止キャップ58は、砥粒供給孔57を塞いで、線条材65が円筒部材50即ち収容槽9の外部に流出することを規制する。
【0139】
複数のフランジ部材51は、円環状又は円柱状に形成されている。複数のフランジ部材51のうち一つを除く大多数のフランジ部材51(図示例では、三つ)は、円筒部材50の一端部9aに取り付けられ、一つのフランジ部材51(以下、符号51aで示す)は、円筒部材50の他端部9bに取り付けられている。
【0140】
円筒部材50の一端部9aに取り付けられた複数のフランジ部材51のうち一つのフランジ部材51(以下、符号51bで示す)は、円環状に形成され、かつ円筒部材50の外周に嵌合している。他の一つのフランジ部材51(以下、符号51cで示す)は、円環状に形成され、かつ前述したフランジ部材51bの外周に嵌合している。残りのフランジ部材51(以下、符号51dで示す)は、円環状のリング部59と、円柱状の円柱部60とを一体に備えている。リング部59は、円柱部60の外縁から立設した格好となっている。フランジ部材51dは、リング部59がフランジ部材51cの外周に嵌合している。
【0141】
前述したフランジ部材51dには、軸受74により従動軸73が回転自在に支持されている。従動軸73は、円柱状に形成され、かつ収容槽9の円筒部材50と同軸に配されている。従動軸73は、端面に中空保持部材32が押し付けられる。従動軸73は、中空保持部材32とともに回転するとともに、該中空保持部材32の自由端としての一端部32aを支持する。
【0142】
前述した一つのフランジ部材51aは、円環状に形成され、かつ円筒部材50の他端部9bの外周に嵌合している。フランジ部材51aは、内側に中空保持部材32を通している。なお、円筒部材50の一端部9aは、収容槽9の一端部をなしているとともに、円筒部材50の他端部9bは、収容槽9の他端部をなしている。
【0143】
一対の削り屑封止ホルダ52は、それぞれ、円環状に形成されている。一方の削り屑封止ホルダ52は、円筒部材50の一端部9aの内周に嵌合し、他方の削り屑封止ホルダ52は、円筒部材50の他端部9bの内周に嵌合している。該他方の削り屑封止ホルダ52は、内側に中空保持部材32を通している。
【0144】
一対の削り屑封止板53は、それぞれ、メッシュ状に形成されている。一方の削り屑封止板53は、円板状に形成され、かつ円筒部材50の一端部9aの内周に配されているとともに、前述した一方の削り屑封止ホルダ52に取り付けられている。さらに、一方の削り屑封止板53は、内側に従動軸73を通している。他方の削り屑封止板53は、円環状に形成され、かつ円筒部材50の他端部9bの内周に配されているとともに、前述した他方の削り屑封止ホルダ52に取り付けられている。他方の削り屑封止板53は、内側に中空保持部材32を通している。削り屑封止板53は、線条材65が現像スリーブ132の
外表面に衝突して、該現像スリーブ132から削りとられて形成される削り屑が円筒部材50即ち収容槽9外に漏れ出ることを規制する。
【0145】
一対の位置決め部材54は、円筒状に形成されている。一方の位置決め部材54は、中空保持部材32の自由端である一端部32aの外周に嵌合している。他方の位置決め部材54は、円筒部材50内に位置しかつ他端部9b寄りの中空保持部材32の中央部32bの外周に嵌合している。一対の位置決め部材54は、互いに間に現像スリーブ132を挟んで、該現像スリーブ132を中空保持部材32に位置決めする。なお、一端部32aは、中空保持部材32の固定保持部4寄りでかつ移動保持部6から離れた側の端部をなしている。中央部32bは、収容槽9内でかつ中空保持部材32の固定保持部から離れた側であるとともに移動保持部6寄りの端部をなしている。
【0146】
仕切部材55は、円環状に形成された本体部61と、メッシュ部62とを備えている。
【0147】
本体部61即ち仕切部材55は、円筒部材50の内周に嵌合して、該円筒部材50に取り付けられているとともに、内側に中空保持部材32を通している。本体部61即ち複数の仕切部材55は、一対の削り屑封止板53間に配されている。また、本体部61即ち複数の仕切部材55は、円筒部材50の軸芯P即ち長手方向に沿って、互いに間隔をあけて、並設されている。図示例では、仕切部材55は、7つ設けられている。
【0148】
本体部61には、貫通孔63が設けられている。メッシュ部62は、貫通孔63を塞ぐ格好で本体部61に取り付けられている。メッシュ部62は、メッシュ状に形成されており、気体と削り屑が通ることを許容するとともに、線条材65が通ることを規制する。
【0149】
前述した複数の仕切部材55は、円筒部材50内即ち収容槽9内の空間を、該円筒部材50即ち収容槽9の軸芯即ち現像スリーブ132の軸芯Pに沿って、仕切っている。また、軸芯Pは、収容槽9の軸芯と中空保持部材32の軸芯との双方をなしているとともに、収容槽9の長手方向をなしている。即ち、軸芯Pと収容槽9の長手方向とは、互いに平行である。さらに、前述した本体部61とメッシュ部62との双方即ち仕切部材55は、非磁性体で構成されている。
【0150】
一対の封止板56は、円環状に形成されている。また、封止板56は、メッシュ状に形成されているとともに、気体と削り屑が通ることを許容するとともに、線条材65が通ることを規制する。一方の封止板56は、最も一端部9a寄りの仕切部材55に取り付けられているとともに、他方の封止板56は、最も他端部9b寄りの仕切部材55に取り付けられている。封止板56は、内側に現像スリーブ132の両端に取り付けられた後述するキャップ64を通す。封止板56は、仕切部材55間に位置付けられた線条材65を通すことを規制して、該線条材65の円筒部材50即ち収容槽9の外部への流出を規制する。
【0151】
前述した構成の収容槽9は、複数の仕切部材55間に磁性体で構成される線条材65を収容するとともに、中空保持部材32に取り付けられた現像スリーブ132を円筒部材50内に収容する。即ち、収容槽9は、現像スリーブ132と線条材65との双方を収容する。また、線条材65は、前述した回転磁場により現像スリーブ132の外周を回転(移動)するなどして、現像スリーブ132の外表面に衝突する。線条材65は、現像スリーブ132の外表面に衝突して、現像スリーブ132の外表面から該現像スリーブ132の一部を削り取り、該現像スリーブ132の外表面を粗面化する。
【0152】
回収部10は、図16に示すように、気体流入管66と、気体排出用孔67と、メッシュ部材68と、気体排出用ダクト69と、集塵機70(図14に示す)とを備えている。気体流入管66は、他方の削り屑封止ホルダ52より円筒部材50即ち収容槽9の端(移動保持部6)寄りに設けられ、円筒部材50即ち収容槽9の内部に開口している。気体流入管66は、図示しない加圧気体供給源から加圧された気体などが供給される。気体流入管66は、加圧された気体を円筒部材50即ち収容槽9内に導く。
【0153】
気体排出用孔67は、円筒部材50を貫通して、収容槽9の内外を連通しているとともに、一方の削り屑封止ホルダ52より円筒部材50即ち収容槽9の端寄り(移動保持部6から離れた側)に設けられている。メッシュ部材68は、気体排出用孔67を塞いだ格好で、円筒部材50に取り付けられている。メッシュ部材68は、削り屑と気体とが通ることを許容し、線条材65が通ることを規制する。メッシュ部材68は、線条材65が円筒部材50即ち収容槽9の外部に流出することを規制する。
【0154】
気体排出用ダクト69は、配管であるとともに、気体排出用孔67の近傍に取り付けられている。気体排出用ダクト69は、気体排出用孔67の外縁を囲んでいる。気体排出用孔67及び気体排出用ダクト69は、気体流入管66から円筒部材50即ち収容槽9内に供給された気体を、円筒部材50即ち収容槽9の外部に導く。
【0155】
集塵機70は、気体排出用ダクト69に接続しているとともに、該気体排出用ダクト69内の気体を吸引する。集塵機70は、気体排出用ダクト69内の気体を吸引することで、円筒部材50即ち収容槽9内の気体を前述した削り屑とともに吸引する。集塵機70は、削り屑を回収する。前述した回収部10は、気体流入管66を通して円筒部材50即ち収容槽9内に気体を供給し、該気体と集塵機70により気体排出用孔67と気体排出用ダクト69を通して、削り屑を円筒部材50即ち収容槽9の外部に導く。そして、回収部10は、集塵機70に削り屑を回収する。
【0156】
冷却部11は、図15に示すように、冷却用ファン71と、冷却用ダクト72とを備えている。冷却用ファン71は、加圧された気体を冷却用ダクト72に供給する。冷却用ダクト72は、配管である。冷却用ダクト72は、冷却用ファン71から供給された加圧された気体を電磁コイル8に導く。冷却用ダクト72は、冷却用ファン71から供給された加圧された気体を、電磁コイル8に吹き付ける。冷却部11は、加圧された気体を電磁コイル8に吹き付けて、該電磁コイル8を冷却する。
【0157】
リニアエンコーダ75は、図16に示すように、本体部77と、該本体部77に移動自在に設けられた検出子78とを備えている。本体部77は、直線状の延在しており、ベース3に取り付けられている。本体部77は、レール20と平行に、該一対のレール20間に配置されている。本体部77の全長は、前述した収容槽9より長い。本体部77は、長手方向の両端部が前述した収容槽9より該収容槽9の長手方向に沿って外側に突出した位置に配置されている。
【0158】
検出子78は、本体部77即ち収容槽9の長手方向に沿って移動自在に設けられている。検出子78は、電磁コイル保持ベース18に取り付けられている。即ち、検出子78は、電磁コイル保持ベース18を介して、電磁コイル8に取り付けられている。
【0159】
前述したリニアエンコーダ75は、本体部77即ち収容槽9に対する検出子78の位置を検出して、該検出した結果を制御装置76に向かって出力する。このように、リニアエンコーダ75は、電磁コイル8の収容槽9即ち現像スリーブ132に対する相対的な位置を検出して、検出結果を制御装置76に向かって出力する。
【0160】
制御装置76は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータである。制御装置76は、電磁コイル移動部5と、移動保持部6と、移動チャック部7と、電磁コイル8と、インバータ49と、回収部10と、冷却部11と、リニアエンコーダ75などと
接続しており、これらを制御して、表面処理装置1全体の制御を司る。
【0161】
制御装置76は、リニアエンコーダ75の検出した電磁コイル8の現像スリーブ132に対する相対的な位置に応じた電磁コイル8の回転磁場の強さを記憶している。即ち、制御装置76は、電磁コイル8の現像スリーブ132に対する相対的な位置に応じたインバータ49が電磁コイル8に印加する電力を記憶している。また、制御装置76は、前述した電力を現像スリーブ132の品番毎に記憶している。
【0162】
図示例では、制御装置76は、電磁コイル8が現像スリーブ132の長手方向(軸方向)の中央部から両端部に向かうにしたがって、インバータ49が電磁コイル8に印加する電力を徐々に大きくするパターンを予め記憶している。そして、制御装置76は、予め記憶した前述した電力のパターン通りにインバータ49に電磁コイル8の発生する回転磁場の強さを変更させる。このように、図示例では、制御装置76は、現像スリーブ132の両端部を加工する際の回転磁場が、現像スリーブ132の中央部を加工する際の回転磁場より強くなるように、インバータ49に電磁コイル8の発生する磁場の強さを変更させる。前述したように、制御装置76は、リニアエンコーダ75が検出した電磁コイル8の収容槽9即ち現像スリーブ132に対する相対的な位置に基づいて、インバータ49に電磁コイル8の発生する回転磁場の強さを変更させる。
【0163】
さらに、制御装置76には、キーボードなどの各種の入力装置や、ディスプレイなどの各種の表示装置が接続している。
【0164】
前述した表面処理装置1で用いられる線条材65は、図17に示すように、短線状の円柱状に形成されている。線条材65は、例えば、オーステナイト系のステンレス鋼又はマルチンサイト系のステンレス鋼などの磁性材料で構成されている。オーステナイト系のステンレス鋼又はマルチンサイト系のステンレス鋼は入手が容易なので、該線条材65のコストを低減に有利である。
【0165】
線条材65は、その外径が0.1mm以上でかつ2.0mm以下に形成されており、また、線条材65は、その全長をLとし、その外径をDとすると、L/Dが2以上でかつ20以下に形成されている。そのため、該線条材65の長手方向の両端の外縁部65aが現像スリーブ132に確実に衝突するとともに、線条材65の全長が現像スリーブ132の外表面に充分な深さ(大きさ)の凹凸を形成するのに望ましい形状である。
【0166】
さらに、線条材65の両端の外縁部65aは、図17及び図18に示すように、全周に亘って、断面円弧状の面取り加工が施されている。外縁部65aの曲率半径Rは、0.03mm以上でかつ0.5mm以下に形成されている。そのため、処理対象物の外表面上になめらかな凹凸を形成するのに望ましい形状である。
【0167】
前述した線条材65は、表面処理装置1の発生する回転磁場により、図19に示すように、前述した回転磁場によりその長手方向の中央を中心に自転されながら、前述した収容槽9と現像スリーブ132の周方向にそって回転移動される。
【0168】
次に、前述した構成の表面処理装置1を用いて現像スリーブ132の外表面を処理(粗面化)して、現像スリーブ132を製造する工程を、以下説明する。
【0169】
まず、制御装置76に入力装置から現像スリーブ132の品番などを入力する。そして、現像スリーブ132の長手方向(軸方向)の両端の外周に円筒状のキャップ64を嵌合させる。そして、前述した他方の位置決め部材54を中空保持部材32の外周に嵌合させる。そして、両端にキャップ64が取り付けられた現像スリーブ132内に中空保持部材32を通す。その後、前述した一方の位置決め部材54を中空保持部材32の外周に嵌合させる。そして、この例では、チャック用シリンダ34のチャック軸39を縮小させて中空保持部材32に現像スリーブ132を固定することはせず、現像スリーブ132はその軸を中心に周方向に回動自在とする。また、このとき、現像スリーブ132と中空保持部材32との間のクリアランスはコンマ数ミリ以下であり、中空保持部材32と現像スリーブ132などが同軸になる。こうして、現像スリーブ132を中空保持部材32に取り付ける。
【0170】
そして、収容槽9内に現像スリーブ132及び中空保持部材32を収容するとともに、収容槽9の円筒部材50内に線条材65を供給する。こうして、収容槽9内に線条材65及び現像スリーブ132を収容する。さらに、収容槽9を保持チャック28,43でチャックする。こうして、移動保持部6に現像スリーブ132と収容槽9とを取り付ける。すると、収容槽9の円筒部材50と中空保持部材32と現像スリーブ132などが同軸になる。
【0171】
前述した作業は、勿論、アクチュエータ24,25で移動ベース26の位置を調整しながら行われる。さらに、前述した作業は、勿論、保持ベース41の位置を調整しながら行われる。保持チャック16で収容槽9の一端部9aをチャックさせるなどして、固定保持部4に収容槽9の一端部9aを保持させる。
【0172】
そして、回収部10の気体流入管66を通して収容槽9内に気体を供給するとともに、集塵機70で収容槽9内の気体を吸引するとともに、冷却部11に加圧された気体を電磁コイル8に吹き付けさせる。
【0173】
そして、電磁コイル8に三相交流電源48からの電力を印加して、電磁コイル8に周波数200Hz以上の回転磁場を発生させる。すると、電磁コイル8に発生する回転磁場により、現像スリーブ132内に渦電流が発生し、この渦電流と回転磁場による電磁誘導起電力により、回転磁場の周波数相当の回転数で現像スリーブ132は回転する。また、電磁コイル8の内側に位置する線条材65が自転しながら軸芯P回りに公転(回転即ち移動)して、該線条材65が現像スリーブ132の外表面に衝突して、該現像スリーブ132の外表面を粗面化する。
【0174】
そして、電磁コイル移動部5が、適宜、電磁コイル8を軸芯Pに沿って移動する。すると、電磁コイル8の内側に侵入した線条材65が前述した回転磁場により移動(自転及び公転)するとともに、電磁コイル8の内側から抜け出た線条材65が停止する。また、仕切部材55が収容槽9内の空間を仕切っているので、線条材65が仕切部材55を越えて移動することが規制され、電磁コイル8の内側から抜け出た線条材65が前述した回転磁場内から抜け出ることとなる。さらに、電磁コイル移動部5が予め定められた所定の回数電磁コイル8を矢印Xに沿って往復移動させると、現像スリーブ132の外表面の粗面化が終了する。
【0175】
さらに、電磁コイル8が現像スリーブ132の中央部から両端部に向かうにしたがって、電磁コイル8の発生する回転磁場が強くなる。回転磁場が強くなるにしたがって、線条材65の動きが激しくなる。すると、回転磁場が強くなるのにしたがって、線条材65がより勢い良く加工対象物に衝突して、該現像スリーブ132の外表面の表面粗さがより粗くなる。
【0176】
前述した現像スリーブ132の外表面の粗面化が終了すると、電磁コイル8への電力の印加を停止する。さらに、回収部10と冷却部11とを停止する。そして、固定保持部4の保持チャック16の収容槽9の保持を解除するとともに、移動チャック部7の保持チャック43と移動保持部6の保持チャック28とが収容槽9を保持したまま、第1アクチュエータ24で移動ベース26を矢印Xに沿って固定保持部4から離す。すると、収容槽9が固定保持部4から離れる。そして、収容槽9内から外表面の粗面化が終了した現像スリーブ132を取り出して、新たな現像スリーブ132を収容槽9内に収容する。こうして、現像スリーブ132の外表面の粗面化を行って、外表面の表面粗さが中央部から両端部に向かうにしたがって徐々に粗くなる現像スリーブ132(図2に示す)が得られる。
【0177】
また、表面処理装置1を用い、現像スリーブ132の外表面に粗面化処理を施す際、電磁コイル8に発生する回転磁場により、現像スリーブ132内に渦電流が発生し、この渦電流と回転磁場による電磁誘導起電力により、回転磁場の周波数相当の回転数で現像スリーブ132は回転する。また、前述した回転磁場によって、図19に示すように、線条材65が、長手方向が収容槽9及び現像スリーブ132の径方向などに沿う状態で長手方向の中央部を中心として自転しながら、現像スリーブ132の周方向に沿って回転移動される。このときの線条材65の自転の回転数は回転磁場の周波数相当である。線条材65の自転方向および現像スリーブ132の回転方向は同じであるため、図19に示すように、線条材65の外縁部65aが現像スリーブ132に衝突する際の相対速度は周波数の2乗に比例する。したがって、回転磁場の周波数が大きくなるとその相対速度が大きくなり、単位時間当たりに線条材65の衝突によって生成される外表面の凹みの大きさが、現像スリーブ132の周方向に大きくなるので、現像スリーブ132の外表面の凹みの長手方向が周方向に沿うようになる。また、線条材65の外縁部65aの衝撃力は相対速度に比例して大きくなるので、相対速度が充分に大きい場合、線条材65の外縁部65aは現像スリーブ132の外表面をえぐり取るように回転する。そして、線条材65の多くが図19に示す動きをしているため、現像スリーブ132の外表面に形成される楕円形状の凹みの大多数が、楕円の長手方向が現像スリーブ132の周方向に沿う凹みとなる。
【0178】
以下、本発明をその実施例によってさらに具体的に説明する。
【0179】
(実施例1)
線条材65(外径0.8mm、長さ5mm。材質SUS304)を、外径18mm、全長240mm、材質アルミニウム合金A6063からなる現像スリーブ基材表面にニッケルリン(Ni−P)めっきを施し、厚さ8.2μmの耐摩耗性層を設けた。
【0180】
次いで、この外表面に耐摩耗性層を設けた現像スリーブ基材の外表面に前述した表面処理装置1を用い、粗面化処理を施したところ、Rz=12.1μmの粗面が得られた。そのときの表面処理装置1の電磁コイル8に印加する電力の電流値、周波数は、それぞれ電流20A、周波数300Hz、であり、加工時間30秒、線条材量50gである。このとき凹みの底部の耐摩耗性層は完全に除去され、また、窪みのない部分の耐摩耗性層の厚さは4.7μmであった。
【0181】
(実施例2)
実施例1と同様にして現像スリーブを作成した。そのときのめっき条件を変更し14.2μmの厚さ耐摩耗性層を形成した後、粗面化処理を行ったところ、Rz=10.8μmの粗面が得られた。表面処理装置1の電磁コイル8に印加する電力の電流値、周波数は、それぞれ電流20A、周波数300Hzであり、加工時間は30秒、線条材量は50gであった。このとき凹みの底部まで耐摩耗性層に覆われており、窪みの底部での耐摩耗性層の厚さ(3.7μm)はその他の、窪みのない部分の厚さ(11.1μm)に比べて薄くなった。
【0182】
(実施例3)
実施例で用いたのと同じ現像スリーブ基材の表面にクロムめっき処理を施し、厚さ6.6μmの耐摩耗性層を設けた。
【0183】
次いで、この外表面に耐摩耗性層を設けた現像スリーブ基材の外表面に、実施例1同様に、ただし、表面処理装置1の電磁コイル8に印加する電力の電流値を25A、周波数を300Hzとし、加工時間30秒、線条材量50gで、粗面化処理を行った。このとき凹みの底部の耐摩耗性層は完全に除去され、また、現像スリーブの凹みのない部分の耐摩耗性層の厚さは3.7μmとなった。
【0184】
(実施例4)
実施例3と同様に、但し、クロムめっき処理を行って厚さ12.7μmの耐摩耗性層を設け、次いで、表面処理装置1の電磁コイル8に印加する電力の電流値を25A、周波数を350Hz、加工時間は30秒、線条材量50gとして粗面化処理を行ったところ、Rz=9.8μmの粗面が得られた。このときの凹みの底部まで耐摩耗性層に覆われており、この窪み底部の耐摩耗性層の厚さ(3.4μm)はその他の、窪みのない部分の厚さ(10.1μm)に比べて薄くなった。
【0185】
(実施例5)
実施例1で用いたのと同じ現像スリーブ基材表面に中間層としてまずニッケルリンめっき処理した後にクロムめっき処理を施し、厚さ8.1μmの耐摩耗性層(ニッケル層:6.1μm、クロム層:2.0μm)を設けた。
【0186】
次いで、この外表面に耐摩耗性層を設けた現像スリーブ基材の外表面に、前述した表面処理装置1により上記同様に、ただし、表面処理装置1の電磁コイル8に印加する電力の電流値を25A、周波数を350Hz、加工時間は30秒、線条材量50gとして粗面化処理を施したところ、Rz=10.4μmの粗面が得られた。このとき、凹みの底部の耐摩耗性層は完全に除去され、また、現像スリーブの凹みのない部分の耐摩耗性層の厚さは3.5μmとなっていた。
【0187】
(実施例6)
実施例5と同様に、中間層としてまずニッケルリンめっき処理した後にクロムめっき処理を施し、厚さ11.9μmの耐摩耗性層(ニッケル層:9.0μm、クロム層:2.9μm)を設け、次いで、表面処理装置1の電磁コイル8に印加する電力の電流を25A、周波数は350Hz、加工時間は30秒、線条材量は50gの条件で粗面化処理を施したところ、Rz=9.8μmの粗面が得られた。このとき凹みの底部まで耐摩耗性層に覆われており、耐摩耗性層の厚さ(3.3μm)はその他の部分の厚さ(9.1μm)に比べて薄くなった。
【0188】
(実施例7)
実施例1で用いたのと同じ現像スリーブ基材の表面に國枝マーク製作所社製の導電性アルマイト処理剤キットを用いて導電性アルマイト処理を施し、厚さ6.9μmの耐摩耗性層を設けた。
【0189】
次いで、この外表面に耐摩耗性層を設けた現像スリーブ基材の外表面に、実施例1同様に、ただし、表面処理装置1の電磁コイル8に印加する電力の電流値を25A、周波数を300Hzとし、加工時間30秒、線条材量50gで、粗面化処理を行ったところ、Rz=10.8μmの粗面が得られた。このとき凹みの底部の耐摩耗性層は完全に除去され、また、現像スリーブの凹みのない部分の耐摩耗性層の厚さは3.6μmとなった。
【0190】
(実施例8)
実施例7と同様に、導電性アルマイト処理を行って厚さ11.7μmの耐摩耗性層を設け、次いで、表面処理装置1の電磁コイル8に印加する電力の電流値を25A、周波数を350Hz、加工時間は30秒、線条材量50gとして粗面化処理を行ったところ、Rz=9.5μmの粗面が得られた。このときの凹みの底部まで耐摩耗性層に覆われており、この窪み底部の耐摩耗性層の厚さ(3.4μm)はその他の、窪みのない部分の厚さ(10.5μm)に比べて薄くなった。
【0191】
(比較例1)
実施例1と同じ現像スリーブ基材表面に、平均粒径512μmのアルミナ砥粒を用い、サンドブラスト処理を施した。このとき、粗さRz=14.5μmの粗面が得られた。サンドブラスト処理条件は、噴射圧4Kgf/cm2(3.9×105Pa)で処理時間は30秒であった。
【0192】
(比較例2)
実施例1と同じ現像スリーブ基材表面に、幅0.1mm、深さ0.2mmのV形状溝を機械加工により施した。
【0193】
(比較例3)
実施例1で用いたものと同じ現像スリーブ基材表面に、前述した表面処理装置1に線条材65(外径0.8mm、長さ5mm。材質SUS304)を収容し、表面処理装置1の電磁コイル8に印加する電力の電流値は20A、周波数は300Hz、加工時間は30秒、線条材量は50gとして粗面化処理を施したところ、Rz=14.1μmの粗面が得られた。
【0194】
以上の実施例および比較例の現像スリーブを使用して、次の試験を実施し、評価を行った。
【0195】
一般的な画像形成装置であるプリンタ(商品名:IPSIO MP C4500(株式会社リコー製))に、試験対象である上記で各種粗面化処理を行った現像スリーブを取付け、感光体ドラム上を620Vに帯電させ、現像バイアス電圧として620Vを印加し、現像剤として、シアン二成分現像剤(キャリア平均粒径35μm)を使用し、汲み上げ量を40mg/cm2に設定し、195mm×285mmのベタ画像を25000枚出力し、画像の通紙方向の濃度むらについて、初期状態、25000枚画像出力後、及び、500000枚画像出力後に官能評価を行った。
【0196】
評価の基準は、
○:通紙方向の濃度が均一であり、濃度むらが視認されない
△:通紙方向の濃度むらが若干視認されるものの、実使用上問題なし
×:通紙方向の濃度むらが視認され、実使用に耐えられない
とし、評価結果は、次の表1に示される。また、表面処理装置1にて粗面化処理を行った実施例1〜6および比較例3の現像スリーブ表面における、単位面積あたりの楕円の長手方向が現像スリーブの周方向に沿う凹み(即ち、縦凹み)の割合[%]についても、表1に併せて示した。
【0197】
さらに、表面粗さRzの変化率についても表2に示した。
【0198】
【表1】

【0199】
【表2】

【0200】
表1によれば、比較例に係る従来の粗面化処理だけを行った現像スリーブを備えた現像ローラを用いた場合に比べ、本発明に係る現像ローラを用いた場合、特に優れた耐久性が得られることが判る。
【0201】
さらに表2によれば、本発明の現像スリーブでは使用によっても粗さが減少せず、粗さが維持されていることが判る。
【0202】
また、楕円形状の凹みの底部及びその底部の近傍部分で前記スリーブ基材が露出している実施例1、3、5、および7の現像スリーブでは、前記スリーブ基材が露出してない実施例2、4、6、および8の現像スリーブに比べ、粗さの増加量が大きく、粗さの余裕度が高くなっていることも判る。
【0203】
前述した画像形成装置101では、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kはカートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112と現像装置113とを備えている。しかしながら、本発明ではプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは少なくとも現像装置113を備えていれば良く、カートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112を必ずしも備えていなくても良い。また、前述した実施形態では画像形成装置101は装置本体102に着脱自在なプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを備えている。しかしながら本発明では画像形成装置101は現像装置113を備えていれば良く、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを必ずしも備えていなくても良い。
【0204】
また、前述した実施形態では、現像スリーブ132の外径と、線条材65の大きさと、表面処理装置1の有する収容槽9の円筒部材50の外径を適宜変更しても良いことは勿論である。また、現像スリーブ132の両端の形状に関しても、面取りの曲率半径や面取りの形状の大きさなども目標とする粗面の粗さ、加工時間(加工条件)、電磁コイル8の往復回数及び線条材65の耐久性などから適切な形状を選定するのが望ましい。また、収容槽9内に収容する線条材65の総量も、目標とする粗面の粗さ、加工時間(加工条件)、電磁コイル8の往復回数及び線条材65の耐久性などから適切な量に定められるのが望ましい。
【0205】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0206】
【図1】本発明の一実施形態を示す磁性粒子担持体(現像ローラ)の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す磁性粒子担持体を構成する中空体(現像スリーブ)の斜視図である。
【図3】本発明の現像ローラを構成する現像スリーブの外表面付近のモデル断面図である。(a)スリーブ素材に耐摩耗性層を形成した状態を示すモデル図である。(b)凹みの底部に耐摩耗性層がない状態を示すモデル図である。(c)凹みの底部の耐摩耗性層が他の部分の耐摩耗性層に比べて薄い状態を示すモデル図である。
【図4】本発明の現像ローラを構成する現像スリーブの外表面付近のモデル断面図である。(a)凹みの底部に耐摩耗性層がない状態での使用状況を示すモデル図である(使用開始初期)。(b)凹みの底部に耐摩耗性層がない状態での使用状況を示すモデル図である(長期使用後)。(c)凹みの底部に耐摩耗性層がない状態での使用状況を示すモデル図である(使用開始初期)。(d)凹みの底部に耐摩耗性層がない状態での使用状況を示すモデル図である(長期使用後)。
【図5】楕円の長手方向が中空体の周方向に沿う楕円形状の凹みよりも、楕円の長手方向が中空体の軸方向に沿う楕円形状の凹みが多い中空体の外表面を拡大して示す説明図である。
【図6】図5に示された中空体の外表面を模式的に示す説明図である。
【図7】楕円の長手方向が中空体の軸方向に沿う楕円形状の凹みよりも、楕円の長手方向が中空体の周方向に沿う楕円形状の凹みが多い中空体の外表面を拡大して示す説明図である。
【図8】図7に示された中空体の外表面を模式的に示す説明図である。
【図9】図5に示された中空体を有する磁性粒子担持体の外表面における、現像剤の穂立ち状態を示す磁性粒子担持体の断面図である。
【図10】図7に示された中空体を有する磁性粒子担持体の外表面における、現像剤の穂立ち状態を示す磁性粒子担持体の断面図である。
【図11】現像スリーブ132のモデル拡大断面図である。
【図12】現像剤を構成する磁性粒子の断面図である。
【図13】本発明の一実施形態を示す現像装置、およびプロセスカートリッジの断面図である。
【図14】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の断面図である。
【図15】図2に示された中空体の外表面に粗面化処理を施す表面処理装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図16】図15に示す表面処理装置のII−IIに沿う断面図である。
【図17】図15に示す表面処理装置で用いられる線条材の斜視図である。
【図18】図17に示す線条材のIII−IIIに沿う断面の部分拡大図である。
【図19】図15に示す表面処理装置において処理される中空体と、自転しながら前記中空体の外周に沿って回転移動する線条材を示す説明図である。
【図20】(a)従来技術に係る現像スリーブの外表面近くのモデル断面図である(使用開始直後)。(b)従来技術に係る現像スリーブの外表面近くのモデル断面図である(長期使用後)。(c)従来技術(V溝加工)に係る現像スリーブの外表面近くのモデル断面図である(長期使用後)。
【図21】現像剤の形状の経年変化を示すモデル図である。
【符号の説明】
【0207】
65 線条材
101 画像形成装置
106Y、106M、106C、106K プロセスカートリッジ
113 現像装置
115 磁性粒子担持体(現像ローラ)
132 中空体(現像スリーブ)
132a スリーブ基材
132b 耐摩耗性層
133 磁界発生手段(マグネットローラ)
135 磁性粒子(磁性キャリア)
139 凹み
139a 楕円の長手方向が中空体の軸方向に沿う凹み(横凹み)
139b 楕円の長手方向が中空体の周方向に沿う凹み(縦凹み)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットローラと、前記マグネットローラを内包しているとともに該マグネットローラの磁力により外表面に磁性粒子を吸着する現像スリーブと、を有する現像ローラにおいて、
前記現像スリーブにおけるスリーブ基材の外表面に該スリーブ基材を構成する材料より硬い材料により構成されている耐摩耗性層が設けられているとともに、該耐摩耗性層に楕円形状の凹みがランダムに設けられている
ことを特徴とする現像ローラ。
【請求項2】
前記楕円形状の凹みの底部及びその底部の近傍部分には前記スリーブ基材が露出していることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
【請求項3】
前記スリーブ基材が、円筒体形状であり、かつ、
前記楕円形状の凹みが、楕円の長手方向が前記スリーブ基材の軸方向に沿う楕円形状の凹みよりも、楕円の長手方向が前記スリーブ基材の周方向に沿う楕円形状の凹みの方を多く含んでいることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像ローラ。
【請求項4】
前記スリーブ基材がアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されており、かつ、前記耐摩耗性層が導電性アルマイトにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の現像ローラ。
【請求項5】
前記耐摩耗性層がニッケルにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の現像ローラ。
【請求項6】
前記耐摩耗性層がクロムにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の現像ローラ。
【請求項7】
前記請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の現像ローラを備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
前記請求項7に記載の現像装置を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記請求項7に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
外表面に耐摩耗性層を施した円筒形状の現像スリーブと短線状の線条材とを収容槽内に収容した後に、前記収容槽内に回転磁場を発生させるとともに、前記現像スリーブをその軸芯を中心に回転させて、前記現像スリーブ材に前記線条材を回転させながら衝突させることにより、前記現像スリーブの外表面に凹みを形成させることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の現像ローラの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−86658(P2009−86658A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233445(P2008−233445)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】