説明

現像剤及び画像形成方法

【課題】長時間連続して低濃度印字を行った場合であっても、優れた転写効率を効果的に保持できる現像剤及びそれを用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】トナー粒子と、外添剤微粒子と、を含む非接触現像に用いられてなる現像剤及びそれを用いた画像形成方法であって、外添剤微粒子の帯電量が、40〜135μC/gの範囲内の値であるとともに、トナー粒子の帯電量よりも大きな値であり、外添剤微粒子の数平均一次粒子径が1〜2μmの範囲内の値であり、かつ、外添剤微粒子の添加量が、トナー粒子100重量部に対して、2.5〜8.5重量部の範囲内の値である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤及び画像形成方法に関し、特に、長時間連続して低濃度印字を行った場合であっても、優れた転写効率を効果的に維持することができる現像剤及びそれを用いた画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流動性を付与するための外添剤微粒子をトナー粒子に対して外添させた現像剤が使用されているが、近年においては、さらなる高画質化を実現するために、トナー粒子として、より小粒径化された、所謂小粒径トナーを用いた現像剤が使用されている。
しかしながら、小粒径トナー粒子は、小粒径であるが故に、大粒径トナー粒子と比較して、その表面に外添剤微粒子が埋没した場合におけるトナー粒子の状態の変化が大きくなりやすい傾向が見られる。
そして、このようにトナー粒子の状態が変化した場合、特に、トナー粒子が電子写真感光体に対して過度に付着しやすくなって、転写効率が低下しやすくなるという問題が見られる。
そこで、トナー粒子に対する外添剤微粒子の埋没を抑制するために、流動性を付与するための外添剤微粒子に加えて、より大粒径を有する別の外添剤微粒子を使用した現像剤が開示されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
より具体的に説明すると、特許文献1においては、トナー粒子に外添される無機微粒子が、単一種類の無機化合物から構成され、当該無機微粒子の個数一次粒径分布曲線において、一次粒径x(nm)(但し、20≦x≦50)及び一次粒径y(nm)(但し、3x≦y≦6x)のそれぞれに個数割合の極大値があること等を特徴とする現像剤が開示されている。
また、特許文献2には、重量平均粒径が4〜9μmのトナー粒子に対して、(i)シランで処理された、一次粒子の50%粒径が5〜20nmの第一の小粒径疎水性シリカ微粒子(A)と、(ii)シリコーンオイルで処理された、一次粒子の50%粒径が30〜150nmの第二の大粒径疎水性シリカ微粒子(B)と、(iii)BET比表面積が50〜150m2/gのアルミナ粒子(C)と、を外添させることを特徴とする現像剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−313980号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2000−81723号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に開示されている現像剤は、大粒径外添剤微粒子が有するスペーサー効果により、トナー粒子に対する外添剤微粒子の埋没を、ある程度抑制することできたものの、未だ十分とは言い難い。
特に、低印字率で長時間印字を行った場合には、現像剤が現像機内で撹拌される時間が長くなることから、大粒径外添剤微粒子自体がトナー粒子に対して埋没しやすくなり、結果として転写効率を保持することが困難となる場合が見られる。
【0006】
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、現像剤において、所定の帯電量及び数平均一次粒子径を有する外添剤微粒子を、トナー粒子に対し、所定の割合にて外添させることにより、トナー粒子に対する外添剤微粒子の埋没を抑制できるばかりか、電子写真感光体表面に対するトナー粒子の付着性についても、積極的に制御できることを見出した。
その結果、長時間連続して低濃度印字を行った場合であっても、優れた転写効率を効果的に保持できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の目的は、長時間連続して低濃度印字を行った場合であっても、優れた転写効率を効果的に保持できる現像剤及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、トナー粒子と、外添剤微粒子と、を含む非接触現像に用いられてなる現像剤であって、外添剤微粒子の帯電量が、40〜135μC/gの範囲内の値であるとともに、トナー粒子の帯電量よりも大きな値であり、外添剤微粒子の数平均一次粒子径が1〜2μmの範囲内の値であり、かつ、外添剤微粒子の添加量が、トナー粒子100重量部に対して、2.5〜8.5重量部の範囲内の値であることを特徴とする現像剤が提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、外添剤微粒子の数平均一次粒子径、及びその添加量を所定の範囲とすることにより、トナー粒子に対する外添剤微粒子の埋没を効果的に抑制することができ、転写効率を効果的に維持することができる。
また、外添剤微粒子の帯電量を、所定の範囲であって、かつ、トナー粒子の帯電量よりも大きな値とすることにより、外添剤微粒子を、電子写真感光体の表面に対し、トナー粒子よりも優先的に飛翔させることができる。
これにより、トナー粒子が、電子写真感光体の表面に対し、過度に付着することを積極的に抑制することができ、ひいては、転写効率をさらに効果的に保持することができる。
したがって、本発明の現像剤であれば、長時間連続して低濃度印字を行った場合であっても、優れた転写効率を効果的に維持することができる。
なお、本発明における外添剤微粒子の帯電量とは、公知の方法にて測定されるトリボ2分量を意味する。
より具体的には、例えば、キャリア30gと、外添剤微粒子0.09gと、をガラス瓶に収容した後、タンブラーミキサー(WAB(株)製、T2F型)を用いて、温度:20℃、相対湿度:60%RHの環境下にて5分間撹拌し、ブローオフ帯電量測定装置(東芝ケミカル(株)製、TB−200)を用いて測定した値とすることができる。
また、特に限定しない限り、本発明における外添剤微粒子等の帯電量の数値は、プラス極性の帯電量を示す。
また、本発明における転写効率とは、画像形成を行った際に消費したトナー量をT1(g)とし、クリーニング装置に回収されたトナー量をT2(g)とした場合に、下記計算式(1)にて算出される値を意味する。
転写効率(%)={(T1−T2)/T1}×100 (1)
【0008】
また、本発明の現像剤を構成するにあたり、外添剤微粒子の一部が、トナー粒子に対して外添付着していることが好ましい。
このように構成することにより、外添剤微粒子によるスペーサー効果を発揮させることができることから、より小粒径の外添剤微粒子(第2の外添剤微粒子)を併用した場合であっても、かかる小粒径の外添剤微粒子が、トナー粒子に対して埋没することを効果的に抑制することができる。
【0009】
また、本発明の現像剤を構成するにあたり、外添剤微粒子が、シリカ微粒子であることが好ましい。
このように構成することにより、外添剤微粒子における帯電量及び数平均一次粒子径の調節を、容易に行うことができる。
【0010】
また、本発明の現像剤を構成するにあたり、外添剤微粒子が、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン及び3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランからなる群より選択される少なくとも一つの電荷調整剤によって、表面処理を施されていることが好ましい。
このように構成することにより、外添剤微粒子における帯電量の調節を、より容易に行うことができる。
【0011】
また、本発明の現像剤を構成するにあたり、電荷調整剤による表面処理量を、外添剤微粒子100重量部に対し、2〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、外添剤微粒子における帯電量の調節を、さらに容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明の現像剤を構成するにあたり、外添剤微粒子が、オクチルシラン、ヘキシルシラン及びシリコーンオイルからなる群より選択される少なくとも一つの疎水化剤によって、表面処理を施されていることが好ましい。
このように構成することにより、現像剤の環境依存性を低下させることができる。
【0013】
また、本発明の現像剤を構成するにあたり、トナー粒子の帯電量を10〜35μC/gの範囲内の値とすることともに、トナー粒子の体積平均粒子径を4〜7μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、外添剤微粒子を優先的に電子写真感光体表面に対して飛翔させやすくなる一方で、トナー粒子自体も、安定的に電子写真感光体表面に対して飛翔させることができる。
なお、本発明におけるトナー粒子の帯電量とは、外添剤微粒子における帯電量の場合と同様に、公知の方法にて測定されるトリボ2分量を意味する。
具体的には、例えば、キャリア30gに対して、外添剤微粒子(他の外添剤微粒子を含む)を外添させたトナー粒子3gを加えるほかは、上述した外添剤微粒子における帯電量の測定方法と同様にして測定した値とすることができる。
【0014】
また、本発明の現像剤を構成するにあたり、外添剤微粒子を第1の外添剤微粒子とした場合に、当該第1の外添剤微粒子とは別の第2の外添剤微粒子をさらに含むとともに、当該第2の外添剤微粒子の数平均一次粒子径を8〜80nmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、現像剤に対して流動性を付与することができる一方で、かかる第2の外添剤微粒子が、トナー粒子に対して埋没することについても、効果的に抑制することができる。
なお、以下において、単に「外添剤微粒子」と記載した場合には、第1の外添剤微粒子を意味するものとし、第2の外添剤微粒子を意味しないものとする。
【0015】
また、本発明の現像剤を構成するにあたり、現像剤が、二成分現像剤であることが好ましい。
このように構成することにより、外添剤微粒子及びトナー粒子における帯電量の制御を、より容易に行うことができる。
【0016】
また、本発明の別の態様は、現像ローラ上に担持させた現像剤を、電子写真感光体上に形成された静電潜像に対して、電気的に付着させる現像工程を含む画像形成方法であって、現像工程として、非接触現像を行うとともに、非接触現像を行う際に印加される交番電圧として、ピーク−ピーク値が1.15〜1.85kVの範囲内の値であり、周波数が3.8〜6.2kHzの範囲内の値である交番電圧を印加し、現像剤として、トナー粒子と、外添剤微粒子と、を含む現像剤であって、外添剤微粒子の帯電量が、40〜135μC/gの範囲内の値であって、トナー粒子の帯電量よりも大きな値であり、外添剤微粒子の数平均一次粒子径が1〜2μmの範囲内の値であり、外添剤微粒子の添加量が、トナー粒子100重量部に対して、2.5〜8.5重量部の範囲内の値である現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法である。
すなわち、本発明の画像形成方法であれば、所定の現像剤を用いるとともに、所定の交番電圧を印加して非接触現像を行うことから、長時間連続して低濃度印字を行った場合であっても、優れた転写効率を効果的に維持することができる。
【0017】
また、本発明の画像形成方法を実施するにあたり、電子写真感光体として、アモルファスシリコン感光体を用いることが好ましい。
このように実施することにより、電子写真感光体表面に対してトナー粒子が付着しやすくなり、ひいては転写効率が低下しやすくなるものの、本発明であれば、効果的に優れた転写効率を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1(a)〜(c)は、本発明の現像剤の飛翔の状態、及び電子写真感光体表面における状態等を説明するために供する図である。
【図2】図2は、外添剤微粒子の帯電量と、低濃度印字時における転写効率と、の関係を説明するために供する図である。
【図3】図3は、本発明における画像形成装置を説明するために供する図である。
【図4】図4は、本発明における現像装置を説明するために供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、トナー粒子と、外添剤微粒子と、を含む非接触現像に用いられてなる現像剤であって、外添剤微粒子の帯電量が、40〜135μC/gの範囲内の値であるとともに、トナー粒子の帯電量よりも大きな値であり、外添剤微粒子の数平均一次粒子径が1〜2μmの範囲内の値であり、かつ、外添剤微粒子の添加量が、トナー粒子100重量部に対して、2.5〜8.5重量部の範囲内の値であることを特徴とする現像剤である。
すなわち、本発明の現像剤は、図1(b)に示すような現像剤の飛翔状態を経るとともに、電子写真感光体表面において、図1(c)に示すような現像剤の状態を作り出すことができる現像剤である。
そして、その結果として、図2に示すように、長時間連続して低濃度印字を行った場合であっても、優れた転写効率を効果的に保持できる現像剤である。
以下、第1の実施形態としての現像剤について、構成要件ごとに、具体的に説明する。
【0020】
1.トナー粒子
(1)結着樹脂
トナー粒子に用いられる結着樹脂の種類は、特に制限されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0021】
(2)着色剤
また、トナー粒子に含有させる着色剤は、特に制限されるものではないが、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック、アゾ系顔料、黄色酸化鉄、黄土、ニトロ系染料、油溶性染料、ベンジジン系顔料、キナクリドン系顔料、銅フタロシアニン系顔料等を使用することが好ましい。
また、着色剤の添加量についても特に制限されるものではないが、例えば、トナー粒子の結着樹脂100重量部に対して、0.01〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる着色剤の添加量が0.01重量部未満の値となると、画像濃度が低下して、鮮明な画像を得ることが困難となる場合があるためである。一方、かかる着色剤の添加量が30重量部を超えた値となると、定着性が低下する場合があるためである。
したがって、着色剤の添加量を、トナー粒子の結着樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜15重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0022】
(3)電荷制御剤
また、トナー粒子に対して、電荷制御剤を添加することが好ましい。
この理由は、電荷制御剤を添加することによって、トナー粒子の帯電量を所定の範囲に調節することが容易となるためである。
したがって、後述するように、外添剤微粒子の帯電量と、トナー粒子の帯電量と、の関係を、所望の範囲に調節することが容易となるためである。
また、このような電荷制御剤の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ニグロシン、第四級アンモニウム塩化合物、樹脂にアミン系化合物を結合させた樹脂タイプの電荷制御剤等の正帯電性を示す電荷制御剤を使用することが好ましい。
また、電荷制御剤の添加量を、トナー粒子の結着樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷制御剤の添加量が0.5重量部未満の値となると、電荷制御剤の効果が十分に発揮されない場合があるためである。一方、電荷制御剤の添加量が10重量部を超えた値となると、外添剤微粒子よりも帯電量を小さな値に調節することが困難となったり、特に高温高湿環境下において、帯電不良及び画像不良が生じやすくなったりする場合があるためである。
したがって、電荷制御剤の添加量を、トナー粒子の結着樹脂100重量部に対して1〜9重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、2〜8重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0023】
(4)ワックス
また、トナー粒子に対して、ワックスを添加することが好ましい。
このようなワックスとしては、特に制限されるものではないが、例えば、カルナバワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、ワックスの添加量を、トナー粒子の結着樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ワックスの添加量が0.1重量部未満の値となると、定着プロセスでのオフセット(トナー粒子が定着ローラに付着する現象)や像スミアリング等を効果的に防止することが困難となる場合があるためである。一方、ワックスの添加量が20重量部を超えると、トナー粒子同士が融着して、保存安定性が低下する場合があるためである。
したがって、ワックスの添加量を、トナー粒子の結着樹脂100重量部に対して0.5〜15重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0024】
(5)体積平均粒子径
また、トナー粒子の体積平均粒子径を4〜7μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、トナー粒子の体積平均粒子径をかかる範囲とすることにより、後述する外添剤微粒子を優先的に電子写真感光体表面に対して飛翔させやすくなる一方で、トナー粒子自体も、安定的に電子写真感光体表面に対して飛翔させることができるためである。
すなわち、トナー粒子の体積平均粒子径が4μm未満の値となると、トナー粒子が過度に帯電しやすくなって、外添剤微粒子を、トナー粒子よりも優先的に電子写真感光体表面に対して飛翔させることが困難となる場合があるためである。そればかりか、トナー粒子に対して、外添剤微微粒子を外添させることさえも、困難となる場合があるためである。一方、トナー粒子の体積平均粒子径が7μmを超えた値となると、高精細画像の形成に支障をきたしたりする場合があるためである。
したがって、トナー粒子の体積平均粒子径を4.5〜7μmの範囲内の値とすることがより好ましく、5〜7μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、トナー粒子の体積平均粒子径は、例えば、動的散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所(株)製、LB−550)によって測定することができる。
【0025】
(6)帯電量
また、トナー粒子の帯電量を10〜35μC/gの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、トナー粒子の帯電量をかかる範囲とすることにより、後述する外添剤微粒子を優先的に電子写真感光体表面に対して飛翔させやすくなる一方で、トナー粒子自体も、安定的に電子写真感光体表面に対して飛翔させることができるためである。
すなわち、トナー粒子の帯電量が10μC/g未満の値となると、トナー粒子自体を安定的に電子写真感光体表面に対して安定的に飛翔させることが困難となって、カブリが発生しやすくなる場合があるためである。一方、トナー粒子の帯電量が35μC/gを超えた値となると、外添剤微粒子を、トナー粒子よりも優先的に電子写真感光体表面に対して飛翔させることが困難とって、画像濃度が低下しやすくなる場合があるためである。そればかりか、トナー粒子に対して、外添剤微微粒子を外添させることさえも、困難となる場合があるためである。
したがって、トナー粒子の帯電量を12〜32μC/gの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜30μC/gの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、本発明におけるトナー粒子の帯電量とは、公知の方法にて測定されるトリボ2分量を意味する。
より具体的には、例えば、キャリア30gと、外添剤微粒子(他の外添剤微粒子を含む)を外添させたトナー粒子3gと、をガラス瓶に収容した後、タンブラーミキサー(WAB(株)製、T2F型)を用いて、温度:20℃、相対湿度:60%RHの環境下にて5分間撹拌し、ブローオフ帯電量測定装置(東芝ケミカル(株)製、TB−200)を用いて測定した値とすることができる。
【0026】
(7)製造方法
また、トナー粒子の製造方法としては、まず、上述した結着樹脂と、ワックスと、着色剤と、電荷制御剤と、必要に応じてその他添加剤とを、公知の方法を用いて予備混合をした後、溶融混練を行って、トナー用樹脂組成物を調製する。次いで、得られたトナー用樹脂組成物を公知の方法を用いて微粉砕し、その後、分級処理をしてトナー粒子を得ることが好ましい。
ここで、予備混合処理としては、例えば、ヘンシェルミキサー、ボールミル、スーパーミキサー、乾式ブレンダー等を用いて行うことが好ましい。
また、溶融混練処理としては、例えば、二軸押出機や一軸押出機等を用いて行うことが好ましい。また、微粉砕処理としては、例えば、気流式粉砕機等を用いて行うことが好ましい。さらに、分級処理としては、例えば、風力分級機等を用いて行うことが好ましい。
【0027】
2.外添剤微粒子
また、本発明の現像剤は、トナー粒子の外添剤として、数平均一次粒子径及び帯電量が所定の範囲である外添剤微粒子(第1の外添剤微粒子)を、所定割合にて含むことを特徴とする。
この理由は、このように構成することにより、トナー粒子に対する外添剤微粒子の埋没を効果的に抑制することができるためである。
また、外添剤微粒子を、電子写真感光体の表面に対し、トナー粒子よりも優先的に飛翔させることにより、トナー粒子が、電子写真感光体の表面に対し、過度に付着することを積極的に抑制することができるためである。
その結果、長時間連続して低濃度印字を行った場合であっても、優れた転写効率を効果的に保持することができるためである。
【0028】
(1)帯電量
本発明においては、外添剤微粒子の帯電量を40〜135μC/gの範囲内の値であって、トナー粒子の帯電量よりも大きな値とすることを特徴とする。
この理由は、外添剤微粒子の帯電量をこのように規定することにより、図1(b)に示すように、外添剤微粒子を、電子写真感光体の表面に対し、トナー粒子よりも優先的に飛翔させることができるためである。
その結果、図1(c)に示すように、現像ローラ140から電子写真感光体10表面に対し、まず外添剤微粒子200が付着し、その上に、トナー粒子201が付着することとなるため、トナー粒子201が、電子写真感光体10の表面に対し、過度に付着することを積極的に抑制することができ、ひいては、転写効率をさらに効果的に保持することができるためである。
すなわち、外添剤微粒子の帯電量が、トナー粒子の帯電量よりも小さな値となると、外添剤微粒子を、電子写真感光体の表面に対し、トナー粒子よりも優先的に飛翔させることが困難となるためである。
また、外添剤微粒子の帯電量が40μC/g未満の値となると、トナー粒子の帯電量との差が過度に小さくなって、外添剤微粒子を、電子写真感光体の表面に対し、トナー粒子よりも優先的に飛翔させることが困難となる場合があるためである。一方、外添剤微粒子の帯電量が135μC/gを超えた値となると、二成分現像剤として構成した場合には、キャリアに対して外添剤微粒子が過度に付着しやすくなって、電子写真感光体の表面に対して飛翔しにくくなる場合があるためである。
したがって、外添剤微粒子の帯電量を、50〜130μC/gの範囲内の値とすることがより好ましく、60〜120μC/gの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、本発明における外添剤微粒子の帯電量とは、公知の方法にて測定されるトリボ2分量を意味する。
より具体的には、例えば、キャリア30gと、外添剤微粒子0.09gと、をガラス瓶に収容した後、タンブラーミキサー(WAB(株)製、T2F型)を用いて、温度:20℃、相対湿度:60%RHの環境下にて5分間撹拌し、ブローオフ帯電量測定装置(東芝ケミカル(株)製、TB−200)を用いて測定した値とすることができる。
【0029】
次いで、図2を用いて、外添剤微粒子の帯電量と、低濃度印字時における転写効率と、の関係を説明する。
ここで、図2には、横軸に外添剤微粒子の帯電量(μC/g)を採り、縦軸にDuty(印字率)0.5%原稿を5000枚印字した場合における転写効率(%)を採った特性曲線Aが示してある。
かかる特性曲線Aは、外添剤微粒子として、数平均一次粒子径を1.1〜1.6μmの範囲内の値とし、トナー粒子100重量部に対する添加量を3重量部とするとともに、電荷調整剤による表面処理量等をそれぞれ変えたことにより異なる帯電量を有する外添剤微粒子を含んだ二成分現像剤を用いて画像形成を行った場合の特性曲線である。
また、転写効率とは、画像形成を行った際に消費したトナー量をT1(g)とし、クリーニング装置に回収されたトナー量をT2(g)とした場合に、下記計算式(1)にて算出される値を意味する。
転写効率(%)={(T1−T2)/T1}×100 (1)
なお、トナー粒子の帯電量は、22μC/gとした。
その他、現像剤の詳細や、転写効率の測定条件の詳細等については、実施例において記載する。
【0030】
すなわち、特性曲線Aから理解されるように、転写効率の値は、外添剤微粒子の帯電量の値が増加するのにともなって、一旦増加し、次いで減少している。
より具体的には、外添剤微粒子の帯電量の値が20μC/gから40μC/gへと増加する際には、転写効率の値が、85%前後の値から、96%前後の値へと、急激に増加していることが理解される。
一方、外添剤微粒子の帯電量の値が40〜135μC/gの範囲では、転写効率の値が、96%前後の値を安定的に維持されていることが理解される。
そして、外添剤微粒子の帯電量の値が135μC/gを超えると、それにともなって転写効率の値が急激に減少してしまうことが理解される。
したがって、特性曲線Aからは、外添剤微粒子の数平均一次粒子径及びその添加量を所定の範囲内の値とした場合であれば、外添剤微粒子の帯電量を40〜135μC/gの範囲内の値とすることにより、低濃度印字を長時間行った際の転写効率を、臨界的に維持できることが理解される。
【0031】
(2)数平均一次粒子径
また、本発明においては、外添剤微粒子の数平均一次粒子径を1〜2μmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、外添剤微粒子の数平均一次粒子径をかかる範囲とすることにより、トナー粒子に対する外添剤微粒子の埋没を効果的に抑制することができ、転写効率を効果的に保持することができるためである。
すなわち、外添剤微粒子の数平均一次粒子径が1μm未満の値となると、外添剤微粒子自体がトナー粒子に対して埋没しやすくなる場合があるためである。さらに、後述するように、より粒子径の小さな第2の外添剤微粒子を併用した場合には、外添剤微粒子(第1の外添剤微粒子)による、所謂スペーサー効果を発揮することが困難となって、かかる第2の外添剤微粒子がトナー粒子に埋没することを抑制することが困難となる場合があるためである。一方、外添剤微粒子の数平均一次粒子径が2μmを超えた値となると、トナー粒子との粒子径の差が過度に小さくなって、トナー粒子に外添させることが困難となり、転写効率の保持に寄与することが困難となる場合があるためである。
したがって、外添剤微粒子の数平均一次粒子径を1〜1.8μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜1.5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、外添剤微粒子の数平均粒子径は、例えば、動的散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所(株)製、LB−550)によって測定することができる。
【0032】
次いで、外添剤微粒子の数平均一次粒子径について、図2を用いてより具体的に説明する。
図2には、既に説明した特性曲線Aのほかに、プロットB及びCが示されている。
ここで、プロットBは、外添剤微粒子として、数平均一次粒子径が2.3μmであって、帯電量が55μC/gである外添剤微粒子を、トナー粒子100重量部に対して3重量部添加して得た二成分現像剤を用いて画像形成を行った場合のプロットである。
また、プロットCは、外添剤微粒子として、数平均一次粒子径が0.6μmであって、帯電量が72μC/gである外添剤微粒子を、トナー粒子100重量部に対して3重量部添加して得た二成分現像剤を用いて画像形成を行った場合のプロットである。
これらのプロットB及びCにおける外添剤微粒子は、特性曲線Aから明らかなように、外添剤微粒子の数平均一次粒子径及び添加量が所定の範囲であれば、優れた転写効率を保持できるはずの帯電量を有している。
それにもかかわらず、プロットB及びCにおける外添剤微粒子は、その数平均一次粒子径が過度に大きいか、あるいは過度に小さいことに起因して、優れた転写効率を保持することができていないことが理解される。
したがって、特性曲線A並びにプロットB及びCからは、外添剤微粒子の帯電量及びその添加量を所定の範囲内の値とした場合であれば、外添剤微粒子の数平均一次粒子径を1〜2μmの範囲内の値とすることにより、低濃度印字を長時間行った際の転写効率を、臨界的に維持できることが理解される。
【0033】
(3)種類
また、外添剤微粒子の種類としては、所定の帯電量及び数平均一次粒子径を有していれば、特に制限されるものではないが、例えば、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、酸化錫微粒子等の無機微粒子や、フッ素樹脂等の樹脂微粒子を用いることができる。
これらの中でも、特にシリカ微粒子を用いることが好ましい。
この理由は、シリカ微粒子であれば、外添剤微粒子における帯電量及び数平均一次粒子径の調節を容易に行うことができるためである。
また、流動性にも優れているためである。
なお、シリカ微粒子は、金属ケイ素の酸化による反応熱により、蒸気または液体状態を経て造粒される真球状のシリカ微粒子であることが好ましい。
【0034】
(4)表面処理
また、外添剤微粒子が、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン及び3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランからなる群より選択される少なくとも一つの電荷調整剤によって、表面処理を施されていることが好ましい。
この理由は、外添剤微粒子に対し、これらの電荷調整剤によって表面処理を施すことにより、外添剤微粒子における帯電量の調節を、より容易に行うことができるためである。
すなわち、これらの電荷調整剤であれば、優れた正帯電性を有するとともに、カップリング反応によって、外添剤微粒子の表面に対して化学的に結合させることができるためである。
【0035】
また、電荷調整剤による表面処理量を、外添剤微粒子100重量部に対し、2〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷調整剤による表面処理量をかかる範囲とすることにより、外添剤微粒子における帯電量の調節を、さらに容易に行うことができるためである。
すなわち、電荷調整剤による表面処理量が2重量部未満の値となると、外添剤微粒子における帯電量が過度に小さくなる場合があるためである。一方、電荷調整剤による表面処理量が30重量部を超えた値となると、外添剤微粒子における帯電量が過度に大きくなる場合があるためである。
したがって、電荷調整剤による表面処理量を、外添剤微粒子100重量部に対し、3〜25重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0036】
また、外添剤微粒子が、オクチルシラン、ヘキシルシラン及びシリコーンオイルからなる群より選択される少なくとも一つの疎水化剤によって、表面処理を施されていることが好ましい。
この理由は、外添剤微粒子に対し、これらの疎水化剤によって表面処理を施すことにより、現像剤の環境依存性を低下させることができるためである。
なお、疎水化剤による表面処理量としては、外添剤微粒子100重量部に対し、2〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましく、5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0037】
(5)添加量
また、本発明においては、外添剤微粒子の添加量を、トナー粒子100重量部に対して、2.5〜8.5重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、外添剤微粒子の添加量をかかる範囲とすることにより、上述した外添剤微粒子の帯電量及び数平均一次粒子径と相まって、トナー粒子が電子写真感光体の表面に対して過度に付着することを抑制し、ひいては、優れた転写効率を効果的に保持することができるためである。
すなわち、外添剤微粒子の添加量が2.5重量部未満の値となると、外添剤微粒子による効果を十分に発揮させることが困難となり、優れた転写効率を効果的に保持することが困難となる場合があるためである。一方、外添剤微粒子の添加量が8.5重量部を超えた値となると、外添剤微粒子同士が電子写真感光体表面において凝集することにより、当該部分に対するトナー粒子の現像が阻害され、白点が発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、外添剤微粒子の添加量を、トナー粒子100重量部に対して、2.5〜6.5重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜5重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0038】
次いで、外添剤微粒子の添加量について、図2を用いてより具体的に説明する。
図2には、既に説明した特性曲線A並びにプロットB及びCのほかに、プロットDが示されている。
ここで、プロットDは、外添剤微粒子として、数平均一次粒子径が1.6μmであって、帯電量が43μC/gである外添剤微粒子を、トナー粒子100重量部に対して2重量部添加して得た二成分現像剤を用いて画像形成を行った場合のプロットである。
かかるプロットDにおける外添剤微粒子は、特性曲線Aから明らかなように、外添剤微粒子の数平均一次粒子径及び添加量が所定の範囲であれば、優れた転写効率を保持できるはずの帯電量を有している。
それにもかかわらず、プロットDにおける外添剤微粒子は、その添加量が過度に少ないことに起因して、優れた転写効率を保持することができていないことが理解される。
一方、図2においては示されていないが、外添剤微粒子の添加量が、トナー粒子100重量部に対して8.5重量部を超えた値となると、形成画像において白点が発生しやすくなることが確認されている(実施例参照)。
したがって、特性曲線A及びプロットD、並びに実施例の結果からは、外添剤微粒子の帯電量及び数平均一次粒子径を所定の範囲内の値とした場合であれば、外添剤微粒子の添加量を、トナー粒子100重量部に対して2.5〜8.5重量部の範囲内の値とすることにより、低濃度印字を長時間行った際の転写効率を、臨界的に維持できることが理解される。
【0039】
また、図1(a)に示すように、外添剤微粒子200の一部が、トナー粒子201に対して外添付着していることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、外添剤微粒子200によるスペーサー効果を発揮させることができることから、より小粒径の外添剤微粒子(第2の外添剤微粒子、図示せず)を併用した場合であっても、かかる小粒径の外添剤微粒子が、トナー粒子201に対して埋没することを効果的に抑制することができるためである。
なお、図1(a)に示すような外添付着状態は、現像ローラから電子写真感光体表面へとトナー粒子等を飛翔させる前の段階において実現していることが好ましい。
【0040】
3.第2の外添剤微粒子
また、上述した外添剤微粒子を第1の外添剤微粒子とした場合に、当該外添剤微粒子とは別の第2の外添剤微粒子をさらに含むことが好ましい。
この理由は、第2の外添剤微粒子をさらに含むことにより、現像剤に対して流動性を付与することができる一方で、当該第2の外添剤微粒子が、トナー粒子に対して埋没することについても、効果的に抑制することができるためである。
なお、第2の外添剤微粒子をさらに含む場合における「トナー粒子の帯電量」とは、「第1の外添剤微粒子及び第2の外添剤微粒子が外添された状態のトナー粒子の帯電量」を意味する点に留意すべきである。
【0041】
(1)数平均一次粒子径
また、第2の外添剤微粒子の数平均一次粒子径を8〜80nmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、第2の外添剤微粒子の数平均一次粒子径をかかる範囲とすることにより、現像剤に対し、より効果的に流動性を付与することができるためである。
すなわち、第2の外添剤微粒子の数平均一次粒子径が8nm未満の値となると、第2の外添剤微粒子が、トナー粒子に対して過度に埋没しやすくなる場合があるためである。一方、第2の外添剤微粒子の数平均一次粒子径が80nmを超えた値となると、現像剤に対し、十分に流動性を付与することが困難となる場合があるためである。
したがって、第2の外添剤微粒子の数平均一次粒子径を9〜60nmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜40nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、第2の外添剤微粒子は、粒径が小さいことに起因して、凝集しやすいが、かかる凝集した場合の数平均粒子径、すなわち、数平均二次粒子径は、10〜300nmの範囲内の値とすることが好ましく、10〜100nmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、第2の外添剤微粒子として、数平均一次粒子径の異なる2種類以上の外添剤微粒子を外添することも好ましい。
なお、第2の外添剤微粒子の数平均一次粒子径は、例えば、動的散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所(株)製、LB−550)によって測定することができる。
【0042】
(2)種類
また、第2の外添剤微粒子の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、酸化アルミナ微粒子、樹脂微粒子等を用いることができる。
これらの中でも、特に流動性付与に寄与することから、シリカ微粒子を用いることが好ましい。
【0043】
(3)表面処理
また、第2の外添剤微粒子が、表面処理を施されていることが好ましい。
この理由は、第2の外添剤微粒子が表面処理を施されていることにより、環境依存性を低下させて、現像剤に対して、より安定的に流動性を付与することができるためである。
かかる表面処理剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン及びアリルジメチルクロルシラン等の有機ケイ素化合物等が挙げられる。
【0044】
(4)帯電量
また、第2の外添剤微粒子の帯電量を0〜500μC/gの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、第2の外添剤微粒子の帯電量が0μC/g未満の値となると、トナーの帯電性が過度に低下しやすくなる場合があるためである。一方、第2の外添剤微粒子の帯電量が500μC/gを超えた値となると、トナーの帯電量が過剰となりやすくなる場合があるためである。
したがって、第2の外添剤微粒子の帯電量を20〜300μC/gの範囲内の値とすることがより好ましく、50〜200μC/gの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0045】
(5)添加量
また、第2の外添剤微粒子の添加量を、トナー粒子100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、第2の外添剤微粒子の添加量が0.1重量部未満の値となると、トナー粒子に対して十分な流動性を付与することが困難となる場合があるためである。一方、第2の外添剤微粒子の添加量が10重量部を超えた値となると、第2の外添剤微粒子が、過度にトナー粒子に対して埋没しやすくなる場合があるためである。
したがって、第2の外添剤微粒子の添加量を、トナー粒子100重量部に対して、0.3〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜3重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0046】
4.二成分現像剤
また、本発明の現像剤を構成するにあたり、現像剤が二成分現像剤であることが好ましい。
この理由は、二成分現像剤であれば、外添剤微粒子及びトナー粒子等における帯電量の制御を、より容易に行うことができるためである。
かかる二成分現像剤に使用されるキャリアは、キャリアコアのみからなるキャリアであってもよいが、キャリアコアと、かかるキャリアコアを被覆する樹脂被覆層からなることがより好ましい。
この理由は、かかる樹脂被覆層を有することによって、キャリアの絶縁性を向上させて、キャリアと、外添剤微粒子及びトナー粒子等と、の摩擦帯電特性を好適な範囲に調節することができるばかりか、キャリアの耐久性を向上させることができるためである。
【0047】
(1)キャリアコア
キャリアコアとしては、フェライト、マグネタイト、鉄、コバルト及びニッケル等の強磁性を示す金属もしくは合金、またはこれらの強磁性元素を含む化合物、あるいは、強磁性元素を含まないが、適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金等を挙げることができる。
また、このようなキャリアコアとして、ポリビニルアルコール樹脂やポリビニルアセタール樹脂等のバインダー樹脂中に、上述した磁性粉を分散させて造粒したものを用いることも好ましい。すなわち、磁性粉と、バインダー樹脂と、必要に応じて添加剤等と、を混合分散した後、造粒及び乾燥してコア素粒子を得ることができる。その後、得られたキャリアコア素粒子を公知の方法を用いて焼成、粉砕を行ってキャリアコアを得ることができる。
【0048】
(2)樹脂被覆層
また、キャリアの樹脂被覆層としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が好適に使用される。
この理由は、これらの樹脂であれば、キャリアにおける摩擦帯電特性等を、好適な範囲に調節することができるためである。
また、かかる樹脂被覆量は、キャリアコア100重量部に対して2〜60重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる樹脂被覆量が2重量部未満の値となると、キャリアコアを十分に被覆することができず、帯電性や耐久性が低下する場合があるためである。一方、かかる樹脂被覆量が60重量部を超えた値となると、流動性が低下したり、スペントが発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、かかる樹脂被覆量を、キャリアコア100重量部に対して3〜50重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜45重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、上述したフッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)及びエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。
【0049】
(3)体積平均粒子径
また、キャリアの体積平均粒子径を20〜120μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、キャリアの体積平均粒子径が20μm未満の値となると、キャリア飛び(電子写真感光体にキャリアが移行する現象)が生じ、印字部が白く抜けてしまう場合があるためである。一方、キャリアの体積平均粒子径が120μmを超えた値となると、現像剤全体としての現像性(現像量)が低下する場合があるためである。
したがって、キャリアの体積平均粒子径を30〜110μmの範囲内の値とすることがより好ましく、40〜100μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0050】
(4)混合割合
また、キャリアの混合割合を、トナー粒子100重量部に対して200〜5000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、キャリアの混合割合が200重量部未満の値となると、外添剤微粒子やトナー粒子を十分に摩擦帯電させることが困難となる場合があるためである。一方、キャリアの混合割合が5000重量部を超えた値となると、トナー粒子の割合が過度に減少して、画像濃度が低下しやすくなったり、キャリア飛びが発生しやすくなる場合があるためである。
したがって、キャリアの混合割合を、トナー粒子100重量部に対して400〜3000重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、500〜2000重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0051】
(5)製造方法
また、キャリアコアに対して樹脂被覆層を形成する方法としては、例えば、被覆樹脂を適当な溶媒に溶解した溶液を、スプレー噴霧や流動床等の手段を用いて、キャリアコアに対して被覆させることが好ましい。次いで、得られた被覆樹脂とキャリアコアの混合塊を乾燥及び焼成した後、ハンマーミル等を用いて解砕し、さらに風力分級機等を用いて分級処理を行うことが好ましい。
【0052】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、現像ローラ上に担持させた現像剤を、電子写真感光体上に形成された静電潜像に対して、電気的に付着させる現像工程を含む画像形成方法であって、現像工程として、非接触現像を行うとともに、非接触現像を行う際に印加される交番電流として、ピーク−ピーク値が1.15〜1.85kVの範囲内の値であり、周波数が3.8〜6.2kHzの範囲内の値である交番電圧を印加し、現像剤として、トナー粒子と、外添剤微粒子と、を含む現像剤であって、外添剤微粒子の帯電量が、40〜135μC/gの範囲内の値であって、トナー粒子の帯電量よりも大きな値であり、外添剤微粒子の数平均一次粒子径が1〜2μmの範囲内の値であり、外添剤微粒子の添加量が、トナー粒子100重量部に対して、2.5〜8.5重量部の範囲内の値である現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法である。
以下、第2の実施形態としての画像形成方法について、第1の実施形態と重複する内容は省略し、異なる点を中心に説明する。
【0053】
1.画像形成装置
第2の実施形態の画像形成方法を実施するにあたり、例えば、図3に示すようなタンデム型の画像形成装置2を好適に使用することができる。
ここで、図3は、画像形成装置の全体構成を示す概略図である。この画像形成装置2は、画像形成装置本体2の下部に配設された給紙カセット22と、この給紙カセット22の側方および上方に配設された用紙搬送部30と、この用紙搬送部30の上方に配設された画像形成部32と、この画像形成部32よりも排出側に配設された定着部24と、を備えている。
そして、給紙カセット22には、給紙ローラの回転動作により、当該複数の給紙カセット22のうち選択された給紙カセット22から用紙が用紙搬送部30の側に送り出され、用紙が1枚ずつ確実に用紙搬送部30に給紙されるように構成されている。なお、これら3つの給紙カセット22は、画像形成装置本体2に対し、着脱自在となるように構成されている。
【0054】
また、用紙搬送部30に給紙された用紙は、用紙供給経路を経由して画像形成部32に向けて搬送される。この画像形成部32は、電子写真プロセスによって、用紙に所定のトナー像を形成するものであり、所定の方向に回転可能に軸支された像担持体である電子写真感光体10と、この電子写真感光体10の周囲にその回転方向に沿って、帯電装置12、露光装置14、現像装置3(3〜6)、転写装置16、およびクリーニング装置18を備えている。
【0055】
また、帯電装置12は、高電圧が印加される帯電ワイヤを備えており、この帯電ワイヤからのコロナ放電によって電子写真感光体10の表面に所定電位を与えることにより、電子写真感光体10の表面が所定電位に一様に帯電させられる。そして、露光装置14により、原稿の画像データに基づく光が、電子写真感光体10に照射されることにより、電子写真感光体10の表面電位が選択的に減衰されて、この電子写真感光体10の表面に静電潜像が形成される。次いで、現像装置3により、上述した静電潜像にトナーが付着し、電子写真感光体10の表面にトナー像が形成され、転写装置16により、電子写真感光体10の表面のトナー像が、電子写真感光体10と転写装置16との間に供給された用紙に転写される。
【0056】
また、トナー像が転写された用紙は、画像形成部32から定着部24に向けて搬送される。この定着部24は、画像形成部32の用紙搬送方向の下流側に配置されており、画像形成部32においてトナー像が転写された用紙は、定着部24に設けられた加熱ローラ、および当該加熱ローラに押し付けられる加圧ローラによって挟まれるとともに加熱され、用紙上にトナー像が定着される。次いで、画像形成部32から定着部24において画像形成がなされた用紙は、排出ローラ対26によって排出トレイ28上に排出される。一方、転写後、電子写真感光体10の表面に残留しているトナーは、クリーニング装置18により除去される。
その後、電子写真感光体10は帯電装置12によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われることになる。
【0057】
2.現像装置
また、本発明に使用する現像装置としては、一例ではあるが、図4に示すように、二成分現像剤を収容するための現像容器110と、現像剤を担持して現像領域に搬送するための現像ローラ140と、現像ローラ140に対して現像剤を供給するための磁気ローラ130と、磁気ローラ130上に形成された磁気ブラシの層厚を規制するための現像剤層厚規制部材117と、所定の回転軸を中心に回転して現像剤を回転軸方向に搬送するラセンバネ120と、を含む現像装置100を用いることができる。
ここで、ラセンバネ120とは、現像剤を所定方向に搬送する搬送手段である第1スパイラル部材124及び第2スパイラル部材122から構成されている。
より具体的には、現像剤の攪拌を行う攪拌室114内に設けられた回転可能な軸の周面に設けられたスパイラル状の羽根(図示せず)とからなり、図4中の矢印の方向に回転することにより、現像剤を軸の長手方向に搬送する第1スパイラル部材124を備えている。
【0058】
また、現像剤を撹拌しつつ磁気ローラ130に現像剤を付与するために設けられた現像室112内に設けられた第1スパイラル部材124の軸と略平行に配置された回転可能な軸の周面に設けられたスパイラル状の羽根(図示せず)とからなり、図4中の矢印の方向に回転することにより、現像剤を軸の長手方向に搬送する第2スパイラル部材122とを備えている。
なお、第1スパイラル部材124と第2スパイラル部材122は、略平行に配置されている。また、第1スパイラル部材124と第2スパイラル部材122の間には、攪拌室114と現像室112が連通可能となるように、第1スパイラル部材124及び第2スパイラル部材122の軸方向両端部に対応する部分を除いて、攪拌室114と現像室112を仕切る仕切部材113が設けられている。したがって、現像剤を循環的に攪拌しながら搬送することが可能となっている。
また、図4に示すように、第2スパイラル部材122に対し、現像容器110のドラム開口側に配設され、複数の磁極を有する固定マグネット134と、当該固定マグネット134を内包するとともに、収納された現像剤を現像ローラ140の表面上に導くために回転自在に軸支された非磁性の磁気スリーブ132からなる磁気ローラ130を備えている。
更に、板状の磁性体により構成され、磁気スリーブ132の近傍に配設されるとともに、当該磁気スリーブ132上面に向け垂下する、現像剤層厚規制部材117と、を備えている。
そして、現像容器110のドラム開口側には、磁気ローラ130から供給されたトナー粒子によって、表面にトナー粒子からなる薄層を形成するとともに、かかる薄層を形成しているトナー粒子を、電子写真感光体10上の静電潜像に対し、電気的に付着させて現像するための現像ローラ140が配設されている。
【0059】
また、第1スパイラル部材124の上方にはトナー補給孔(図示せず)が開口されており、トナーコンテナ100Aから現像剤が投入可能となるように構成されている。すなわち、投入された現像剤は、第1スパイラル部材124によって、トナー粒子と、キャリアと、を撹拌帯電させながら、現像室112まで搬送される。そして、現像室112に搬送された現像剤は、第2スパイラル部材122によって、磁気スリーブ132に導かれる。磁気スリーブ132に導かれた現像剤は、固定マグネット134の磁力を利用して磁気スリーブ132上に担持され、当該現像剤は、磁気スリーブ132の近傍に配設してある現像剤層厚規制部材117により厚みが規制される。
次いで、磁気スリーブ132上に担持された現像剤は、磁気ローラ130と、現像ローラ140と、にそれぞれ印加されている電圧の電位差によって、トナー粒子(外添剤を含む)のみが現像ローラ140の周表面に対して移動し、薄層を形成する。
そして、トナー粒子は、現像ローラ140により、現像位置、すなわち、電子写真感光体10の表面と近接する位置に導かれ、静電潜像、すなわち、露光により表面電位が減衰した部分を現像し、さらに、かかる電子写真感光体10と印刷紙とが接触することにより、印刷紙上に画像が転写形成される。
【0060】
本発明の画像形成方法においては、現像ローラから電子写真感光体上に形成された静電潜像に対してトナー粒子等を飛翔させるための交番電圧として、ピーク−ピーク値が1.15〜1.85kVの範囲内の値であり、周波数が3.8〜6.2kHzの範囲内の値である交番電圧を印加することを特徴とする。
この理由は、まず、ピーク−ピーク値(正弦波交流の最大値と、最小値と、の差)が1.15kV未満の値となると、外添剤微粒子及びトナー粒子等にかかる電界が過度に小さくなって、外添剤微粒子を優先的に電子写真感光体の表面に対して飛翔させることが困難となる場合があるためである。一方、ピーク−ピーク値が1.85kVを超えた値となると、現像ローラと、電子写真感光体と、の間において、リーク電流が発生し、形成画像の白紙部において色点が発生しやすくなる場合があるためである。
また、周波数が3.8kHz未満の値となると、外添剤微粒子及びトナー粒子等における飛翔中の往復運動が過度に減少して、電子写真感光体の表面に対し、外添剤微粒子が優先的に付着しにくくなる場合があるためである。一方、周波数が6.2kHzを超えた値となると、外添剤微粒子及びトナー粒子等における飛翔中の往復運動が過剰となって、トナー粒子が十分に電子写真感光体の表面に付着しにくくなる場合があるためである。
したがって、現像ローラから電子写真感光体上に形成された静電潜像に対してトナー粒子等を飛翔させるための交番電圧として、ピーク−ピーク値が1.2〜1.6kVの範囲内の値であり、周波数が4〜6kHzの範囲内の値である交番電圧を印加することがより好ましく、ピーク−ピーク値が1.3〜1.5kVの範囲内の値であり、周波数が4.5〜5.5kHzの範囲内の値である交番電圧を印加することがさらに好ましい。
なお、直流バイアスとしては、50〜500Vの範囲内の値にて印加することが好ましく、100〜300Vの範囲内の値にて印加することがより好ましい。
また、現像ローラと、電子写真感光体と、の距離としては、20〜300μmの範囲内の値とすることが好ましく、50〜200μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
【0061】
また、電子写真感光体の種類としては、アモルファスシリコン感光体を用いることが好ましい。
この理由は、電子写真感光体としてアモルファスシリコン感光体を用いた場合、有機感光体等を用いた場合と比較して、その表面に対してトナー粒子が付着しやすくなり、ひいては転写効率が低下しやすくなるものの、本発明であれば、効果的に優れた転写効率を保持することができるためである。
【実施例】
【0062】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
【0063】
[実施例1]
1.第1の外添剤微粒子の作製
ミキサー内に、数平均一次粒子径が1.6μmのシリカ微粒子(日本触媒(株)製、KE−P150)を100重量部収容した後、窒素雰囲気下にて、撹拌しながら3−アミノプロピルトリメトキシシランを5重量部と、オクチルシランを5重量部と、を滴下しながら150℃にて1時間加熱撹拌し、撹拌物を得た。
次いで、得られた撹拌物を冷却し、第1の外添剤微粒子としての外添剤微粒子Aを得た。
【0064】
2.第2の外添剤微粒子の準備
第2の外添剤微粒子を、2種類準備した。
すなわち、数平均一次粒子径が12nmである正帯電性シリカ微粒子a(日本アエロジル(株)製、RA200)と、数平均一次粒子径が30nmである正帯電性シリカ微粒子b(日本アエロジル(株)製、NA50H)と、を準備した。
【0065】
3.トナー粒子の作製
ヘンシェルミキサー中に、アクリル樹脂(積水化学工業(株)製、SE−0040)を100重量部と、カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA−100)を7重量部と、電荷制御剤としてのニグロシン染料(オリエント化学(株)製、N−07)を2重量部と、カルナバワックス(東亜化成(株)製)を4重量部と、を収容し、撹拌混合し、撹拌混合物を得た。
次いで、得られた撹拌混合物を、二軸押出し機を用いて溶融混練した後、ジェットミルを用いて粉砕し、さらに、分級機を用いて風力分級を行い、平均体積粒子径が6.5μmのトナー粒子Aを得た。
【0066】
4.キャリアの作製
容器中において、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)を1.5重量部と、ポリウレタン樹脂を1.5重量部と、を溶媒としてのテトラヒドロフラン300重量部に対して分散させ、樹脂分散液を得た。
次いで、流動床法による被覆装置(フロイント産業(株)製、SPIR−A−FLOW「MINI」)中に、体積中心粒子径45μm、飽和磁化65emu/gであるフェライト粒子(パウダーテック(株)製)を100重量部と、得られた樹脂分散液(樹脂成分合計3重量部)と、を収容し、樹脂成分によってフェライト粒子を被覆させ、樹脂被覆フェライトを得た。
次いで、得られた樹脂被覆フェライトを、200℃のオーブン中に3時間放置し、フッ素樹脂にて被覆されたキャリアを得た。
【0067】
5.二成分現像剤の製造
ヘンシェルミキサー中に、トナー粒子Aを100重量部と、第1の外添剤微粒子Aを3重量部と、第2の外添剤微粒子としての正帯電シリカ微粒子aを1.2重量部と、正帯電シリカ微粒子bを0.5重量部と、を収容し、20℃の条件下、3000rpmにて3分間、撹拌混合し、トナーを得た。
次いで、得られたトナー100重量部と、キャリア1000重量部と、を撹拌混合して、二成分現像剤を得た。
【0068】
6.帯電量の測定
(1)第1の外添剤微粒子
第1の外添剤微粒子の帯電量を測定した。
すなわち、20ミリリットルのガラス瓶中に、キャリアを30gと、第1の外添剤微粒子Aを0.09gと、を収容した後、タンブラーミキサー(WAB(株)製、T2F型)を用いて、温度:20℃、相対湿度:60%RHの環境下にて、5分間撹拌した。
次いで、ブローオフ帯電量測定装置(東芝ケミカル(株)製、TB−200)を用いて、第1の外添剤微粒子Aの帯電量(μC/g)を測定した。
なお、ブローオフ帯電量測定における詳細としては、メッシュ:635メッシュ、吸引時間:60秒、吸引圧力:1kPaとした。得られた結果を表1に示す。
【0069】
(2)トナー粒子
また、トナー粒子の帯電量を測定した。
すなわち、20ミリリットルのガラス瓶中に、キャリアを30gと、第1及び第2の外添剤微粒子を外添させたトナー粒子A(トナー)を3gと、を収容した後、タンブラーミキサー(WAB(株)製、T2F型)を用いて、温度:20℃、湿度:60%RHの環境下にて、5分間撹拌した。
次いで、ブローオフ帯電量測定装置(東芝ケミカル(株)製、TB−200)を用いて、第1及び第2の外添剤微粒子を外添させたトナー粒子Aの帯電量(μC/g)を測定した。
なお、ブローオフ帯電量測定における詳細は、上述したように第1の外添剤微粒子に代えてトナー3gを用いたほかは、第1の外添剤微粒子の帯電量の場合と同様とした。得られた結果を表1に示す。
【0070】
7.評価
(1)転写効率の評価
転写効率の評価を行った。
すなわち、得られた二成分現像剤308gを、プリンター(京セラミタ(株)製、KM−3232改造機)の現像手段に充填した。
次いで、Duty0.5%原稿を、下記画像形成条件にて、5000枚出力した。
次いで、画像形成を行った際に消費したトナー量をT1(g)と、クリーニング装置に回収されたトナー量をT2(g)と、をそれぞれ測定し、下記計算式(1)に代入して、転写効率(%)を算出した。得られた結果を表1に示す。
転写効率(%)={(T1−T2)/T1}×100 (1)
【0071】
(画像形成条件)
電子写真感光体 :アモルファスシリコン感光体
明電位 :300V
暗電位 :50V
電子写真感光体−現像ローラ間の距離:150μm
交番電圧 :ピーク−ピーク値1.2kV、周波数4kHzの正弦波
バイアス電圧 :150V
なお、明電位及び暗電位は、現像位置に測定用プローブの先端を位置させて、Trek(株)製、model 344を用いて測定した。
【0072】
さらに、Duty(印字率)0.5%原稿の代わりにDuty5%原稿を用いたほかは、上述したのと同様の条件にて、転写効率を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0073】
(2)ベタ画像の評価
(2)−1 白点の評価
まず、ベタ画像の評価として、白点の評価を行った。
すなわち、転写効率の評価の場合と同様にして、ベタ画像を、5000枚出力した。
次いで、5000枚目のベタ画像において、白点が発生しているか否かを、目視にて確認した。得られた結果を表1に示す。
【0074】
(2)−2 画像濃度の評価
次いで、別のベタ画像の評価として、画像濃度の評価を行った。
すなわち、それぞれの原稿における5000枚目のベタ画像における画像濃度(反射濃度)を、反射濃度計(東京電色(株)製、TC−6DS)を用いて測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:画像濃度が1を超えた値である。
×:画像濃度が1以下の値である。
【0075】
(3)黒点の評価
次いで、黒点の評価を行った。
すなわち、転写効率の評価の場合と同様の条件にて、白紙画像を10枚出力した。
次いで、10枚の白紙画像において、黒点が発生しているか否かを、目視にて確認した。得られた結果を表1に示す。
【0076】
[実施例2]
実施例2では、第1の外添剤微粒子を作製する際に、数平均一次粒子径が1.1μmのシリカ微粒子(日本触媒(株)製、KE−P100)を用いるとともに、これに対して実施例1と同様に表面処理を施して、第1の外添剤微粒子Bを得た。
それ以外は、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0077】
[実施例3]
実施例3では、第1の外添剤微粒子を作製する際に、3−アミノプロピルトリメトキシシランの添加量を10重量部に変えて、第1の外添剤微粒子Cを得た。
それ以外は、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0078】
[実施例4]
実施例4では、トナー粒子に対して外添剤微粒子を外添させる際に、第1の外添剤微粒子の添加量を8重量部に変えたほかは、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0079】
[実施例5]
実施例5では、トナー粒子を作製する際に、平均体積粒子径が4μmのトナー粒子Bを得た。
それ以外は、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0080】
[比較例1]
比較例1では、第1の外添剤微粒子を作製する際に、3−アミノプロピルトリメトキシシランの添加量を4重量部に変えて、第1の外添剤微粒子Dを得た。
それ以外は、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0081】
[比較例2]
比較例2では、第1の外添剤微粒子を作製する際に、3−アミノプロピルトリメトキシシランの添加量を12重量部に変えて、第1の外添剤微粒子Eを得た。
それ以外は、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0082】
[比較例3]
比較例3では、トナー粒子に対して外添剤微粒子を外添させる際に、第1の外添剤微粒子を添加しなかったほかは、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0083】
[比較例4]
比較例4では、第1の外添剤微粒子を作製する際に、数平均一次粒子径が0.6μmのシリカ微粒子(日本触媒(株)製、KE−P50)を用いるとともに、これに対して実施例1と同様に表面処理を施して、第1の外添剤微粒子Fを得た。
それ以外は、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0084】
[比較例5]
比較例5では、第1の外添剤微粒子を作製する際に、数平均一次粒子径が2.3μmのシリカ微粒子(日本触媒(株)製、KE−P250)を用いるとともに、これに対して実施例1と同様に表面処理を施して、第1の外添剤微粒子Gを得た。
それ以外は、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0085】
[比較例6]
比較例6では、トナー粒子に対して外添剤微粒子を外添させる際に、第1の外添剤微粒子の添加量を2重量部に変えたほかは、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0086】
[比較例7]
比較例7では、トナー粒子に対して外添剤微粒子を外添させる際に、第1の外添剤微粒子の添加量を9重量部に変えたほかは、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0087】
[比較例8]
比較例8では、第1の外添剤微粒子を作製する際に、3−アミノプロピルトリメトキシシランの添加量を2重量部に変えて、第1の外添剤微粒子Hを得た。
また、トナー粒子を作製する際に、平均体積粒子径が3.5μmのトナー粒子Cを得た。
それ以外は、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
*表面処理量:表面処理の対象となるシリカ微粒子100重量部に対する電荷調整剤の添加量(重量部)を意味する。
*添加量:トナー粒子100重量部に対する第1の外添剤微粒子の添加量(重量部)を意味する。
*3−APTMS:3−アミノプロピルトリメトキシシランを意味する。
【0090】
[実施例6]
実施例6では、画像形成を行う際に、現像工程において印加される交番電圧のピーク−ピーク値(Vpp)を1.8kVに変えたほかは、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
なお、表2中の実施例1及び6〜7並びに比較例9〜13は、画像形成方法の発明としての本発明における実施例及び比較例を意味し、現像剤の発明としての本発明における実施例及び比較例を意味しない。
【0091】
[実施例7]
実施例7では、画像形成を行う際に、現像工程において印加される交番電圧の周波数を6kHzに変えたほかは、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
【0092】
[比較例9]
比較例9では、画像形成を行う際に、現像工程において印加される交番電圧のピーク−ピーク値を1kVに変えたほかは、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
【0093】
[比較例10]
比較例10では、画像形成を行う際に、現像工程において印加される交番電圧の周波数を3.5kHzに変えたほかは、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
【0094】
[比較例11]
比較例11では、画像形成を行う際に、現像ローラと、電子写真感光体と、を接触させ、接触現像方式としたほかは、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
【0095】
[比較例12]
比較例12では、画像形成を行う際に、現像工程において印加される交番電圧のピーク−ピーク値を1.9kVに変えたほかは、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
【0096】
[比較例13]
比較例13では、画像形成を行う際に、現像工程において印加される交番電圧の周波数を6.5kHzに変えたほかは、実施例1と同様に二成分現像剤を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
【0097】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明にかかる現像剤によれば、現像剤において、所定の帯電量及び数平均一次粒子径を有する外添剤微粒子を、トナー粒子に対し、所定の割合にて外添させることにより、トナー粒子に対する外添剤微粒子の埋没を抑制できるばかりか、電子写真感光体表面に対するトナー粒子の付着性についても、積極的に制御できるようになった。
その結果、長時間連続して低濃度印字を行った場合であっても、優れた転写効率を効果的に保持できるようになった。
したがって、本発明の現像剤及びそれを用いた画像形成方法は、複写機やプリンター等の各種画像形成装置における高性能化に寄与することが期待される。
【符号の説明】
【0099】
2:画像形成装置、3:現像装置、10:電子写真感光体、12:帯電装置、14:露光装置、16:転写装置、18:クリーニング装置、22:給紙カセット、24:定着部、26:排出ローラ対、28:排出トレイ、100:現像装置、100A:トナーコンテナ、110:現像容器、112:現像室、113:仕切部材、114:攪拌室、117:現像剤層厚規制部材、120:ラセンバネ、122:第2スパイラル部材、124:第1スパイラル部材、130:磁気ローラ、132:磁気スリーブ、134:固定マグネット、140:現像ローラ、200:外添剤微粒子、201:トナー粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粒子と、外添剤微粒子と、を含む非接触現像に用いられてなる現像剤であって、
前記外添剤微粒子の帯電量が、40〜135μC/gの範囲内の値であるとともに、前記トナー粒子の帯電量よりも大きな値であり、
前記外添剤微粒子の数平均一次粒子径が1〜2μmの範囲内の値であり、かつ、
前記外添剤微粒子の添加量が、前記トナー粒子100重量部に対して、2.5〜8.5重量部の範囲内の値であることを特徴とする現像剤。
【請求項2】
前記外添剤微粒子の一部が、前記トナー粒子に対して外添付着していることを特徴とする請求項1に記載の現像剤。
【請求項3】
前記外添剤微粒子が、シリカ微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の現像剤。
【請求項4】
前記外添剤微粒子が、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン及び3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランからなる群より選択される少なくとも一つの電荷調整剤によって、表面処理を施されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像剤。
【請求項5】
前記電荷調整剤による表面処理量を、外添剤微粒子100重量部に対し、2〜30重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項4に記載の現像剤。
【請求項6】
前記外添剤微粒子が、オクチルシラン、ヘキシルシラン及びシリコーンオイルからなる群より選択される少なくとも一つの疎水化剤によって、表面処理を施されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の現像剤。
【請求項7】
前記トナー粒子の帯電量を10〜35μC/gの範囲内の値とするとともに、前記トナー粒子の体積平均粒子径を4〜7μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の現像剤。
【請求項8】
前記外添剤微粒子を第1の外添剤微粒子とした場合に、当該第1の外添剤微粒子とは別の第2の外添剤微粒子をさらに含むとともに、当該第2の外添剤微粒子の数平均一次粒子径を8〜80nmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の現像剤。
【請求項9】
前記現像剤が、二成分現像剤であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の現像剤。
【請求項10】
現像ローラ上に担持させた現像剤を、電子写真感光体上に形成された静電潜像に対して、電気的に付着させる現像工程を含む画像形成方法であって、
前記現像工程として、非接触現像を行うとともに、
前記非接触現像を行う際に印加される交番電圧として、ピーク−ピーク値が1.15〜1.85kVの範囲内の値であり、周波数が3.8〜6.2kHzの範囲内の値である交番電圧を印加し、
前記現像剤として、トナー粒子と、外添剤微粒子と、を含む現像剤であって、
前記外添剤微粒子の帯電量が、40〜135μC/gの範囲内の値であって、前記トナー粒子の帯電量よりも大きな値であり、
前記外添剤微粒子の数平均粒子径が1〜2μmの範囲内の値であり、
前記外添剤微粒子の添加量が、前記トナー粒子100重量部に対して、2.5〜8.5重量部の範囲内の値である現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
前記電子写真感光体として、アモルファスシリコン感光体を用いることを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−217820(P2010−217820A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67505(P2009−67505)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】