説明

現像装置およびプロセスカートリッジ

【課題】使用される電界により、キャリアからトナーを分離し、効率的に軸方向にトナーを動かし、効率よく軸方向のトナー濃度を均一化・薄層化し、機械的なストレスを極力与えずに現像剤の劣化を抑制し、しかも簡易な装置構成で、現像領域へのトナー供給量を均一できる高速・小型の現像装置およびプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】現像剤担持体の回転方向の現像剤規制部材から現像領域に至る回転の範囲に、回転軸に平行し互いに隔離した複数の電極を現像剤担持体表面と離間して設け、各電極と現像剤担持体との間に回転軸方向に周期的に変化する電界により外力を発生させて回転軸方向に二成分現像剤の搬送力を生ぜしめ、二成分現像剤を回転軸方向に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に使用される現像装置およびプロセスカートリッジに関し、特に二成分現像剤のトナーを現像ローラの軸方向に電界により移動させ対向する感光体上にトナー像を形成する現像装置およびプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
二成分現像装置では、現像剤を収容する現像剤容器内に配設された現像剤撹拌搬送部材を用いて、二成分現像剤を撹拌してトナーの濃度を均一にした後、内部に磁極を有する現像剤担持体に向けて撹拌された現像剤を搬送する。さらに、この現像剤を現像剤担持体表面に担持させて搬送し、像担持体上の静電潜像に供給してこれを現像する。
【0003】
攪拌部は、一旦現像した現像剤を回収し、供給されたトナーと混合するため攪拌を行い、この混合攪拌が不十分であると、画像濃度ムラが発生するなどの異常画像が形成される。必要な攪拌性は、現像剤に対する相対的なトナー消費量で決まり、高速化・小型化では、現像剤容量に対するトナーの消費量が増加するため、より攪拌性を向上させる必要がある。
【0004】
従来、攪拌性を向上させるための様々な方式が提案されているが、これらの方式は現像剤撹拌搬送部分に対してのものである。
これらの現像に関する構成に於いて、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いて静電潜像を顕像化する現像装置は、現像剤中のトナーとキャリアとの混合状態が画像に影響することから、現像剤混合攪拌の機能を向上させるための提案がなされている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、発明の構成の一部である規制部材もしくは、剤規制部材通過後から現像領域までに、電界を形成する装置構成が提案されているが、その主な目的は、トナーの帯電性を向上させるもの、および高画質化のためのトナー飛翔を制御させるものであり、本発明の目的とは異なっている。
また、スクリューの回転数を早くすることや、スクリュー形状を改善することで攪拌部の攪拌性を向上させる提案もなされている。
【0006】
また、現像領域上流に交流電界を形成し、機械的なストレスが少ない方法でトナーの帯電量を適正化する画像形成装置および現像装置が提案されている(例えば特許文献2参照)。この装置構成では、軸方向にトナーの移動を促進させる力を付与する構成は開示されていない。
【特許文献1】特許第3084465号公報
【特許文献2】特開2000−010386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の文献に記載の発明では、駆動トルクが増加するため、駆動モータトルクの余裕が少なくならないように、予め駆動モータトルク余裕を大きくとる必要があった。また、結果的に現像剤に与えるエネルギーを増加させることであり、現像剤の劣化が早まるといった問題がある。また、攪拌部を高速にした場合には、軸などの磨耗も増加し装置の耐久性が低下するなどの問題もあった。
【0008】
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、現像担持体の回転方向において、現像剤規制部材から現像領域までの範囲に、回転軸に平行でそれぞれ隔離した複数の電極を設け、現像担持体と電極との間に外力を発生させる現像装置およびプロセスカートリッジを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、二成分現像剤のトナーを担持し、静電潜像が形成された像担持体と対向する現像領域に前記二成分現像剤のトナーを搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材とを備え、前記現像剤担持体にバイアスを印加して像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置であって、前記現像剤担持体の回転方向の現像剤規制部材から現像領域に至る回転の範囲に、回転軸に平行し互いに隔離した複数の電極を前記現像剤担持体表面と離間して設け、当該各電極と前記現像剤担持体との間に回転軸方向に周期的に変化する電界により外力を発生させて前記回転軸方向に前記二成分現像剤の搬送力を生ぜしめ、前記二成分現像剤を前記回転軸方向に移動させることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の現像装置において、前記周期的に変化する電界は、前記回転軸方向に対して電界の位相を周期的に変化させて発生することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の現像装置において、前記電極と前記二成分現像剤とが対向する領域の少なくとも一部に、前記現像剤担持体の法線方向の磁束密度が前記現像剤担持体の接線方向の磁束密度より大きい磁界を形成することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の現像装置において、前記電極を前記現像剤規制部材と一体化して設置することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4いずれか1項に記載の現像装置において、前記現像装置に使用するトナーの円形度が0.96より大きいトナーであることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、像担持体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、前記プロセスカートリッジは少なくとも現像手段を有し、前記現像手段は、請求項1から4いずれか1項に記載の現像装置を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、現像担持体の回転方向において、現像剤規制部材から現像領域までの範囲に、回転軸に平行でそれぞれ隔離した複数の電極を設け、現像担持体と電極との間に外力を発生させる現像装置およびプロセスカートリッジを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本実施形態では、使用される電界により、キャリアからトナーを分離し、効率的に軸方向にトナーを動かし、効率よく軸方向のトナー濃度を均一化・薄層化し、機械的なストレスを極力与えずに現像剤の劣化を抑制し、しかも簡易な装置構成で、現像領域へのトナー供給量を均一できる高速・小型化した現像装置およびプロセスカートリッジを提供することを目的としている。
【0017】
以下、図面を参照して、本実施形態の現像装置およびプロセスカートリッジを詳細に説明する。
図1は、本実施形態の現像装置を含む画像形成装置の一例を模式的に表した断面図である。
【0018】
本実施形態の現像装置は、感光体1に所定の間隙を介して対向する現像ローラ43を有している。また、第1現像剤収容部44、第1搬送スクリュウ45、第2現像剤収容部46、第2搬送スクリュウ47、トナー濃度センサ(以下、Tセンサという)48、ドクターブレード49なども有している。現像装置のケーシング内は、仕切壁50によって第1剤収容部44と第2剤収容部46とに分かれており、それぞれ、マイナス帯電性のトナーと、磁性キャリアとを含む二成分現像剤が収容されている。第1現像剤収容部44内には第1搬送スクリュウ45が配設されており、図示しない駆動手段によって回転駆動されて、第1現像剤収容部44内の二成分現像剤が図中手前側から奥側に向けて搬送される。現像ローラ43は、第1搬送スクリュウ45に対して、第1剤現像収容部44の図中左側に所定の間隙が設けられており、この間隙を介して対向するように平行配設されている。また、図示しない駆動手段によって図中、反時計回りに回転駆動される非磁性材料からなるパイプ状の現像スリーブ41と、これに引き連られて回ることのないように内部固定されたマグネットローラ42とを有している。第1現像剤収容部44内において、攪拌手段である第1搬送スクリュウ44によって攪拌搬送される二成分現像剤は、現像剤担持体である現像ローラ43のマグネットローラ42の磁力によって現像スリーブ41表面に引き寄せられる。
【0019】
回転駆動される現像スリーブ41に連動して第1剤収容部44から二成分現像剤が汲み上げられる。汲み上げられた二成分現像剤は、スリーブ表面に所定の間隙を介して対向するドクターブレード49によってその厚みが規制(制御)されてから、感光体1に対向する現像領域に搬送され、ここで感光体1上の静電潜像にトナーを付着させる。この付着により、感光体1上の静電潜像がトナー像によって現像される。このような現像によってトナーが消費され、残りの二成分現像剤は、現像スリーブ41の回転に伴って第1現像剤収容部44内に戻される。
【0020】
現像ローラ43の現像スリーブ41上から第1剤収容部44内に戻された二成分現像剤は、第1搬送スクリュウ45の回転に伴って現像装置4の図中奥側の端部付近まで搬送される。ここでは、第1剤収容部44と第2剤収容部46との間に仕切壁が設けられておらず、二成分現像剤が前者から後者に進入する。第2剤収容部46内では、図示しない駆動手段によって回転駆動される攪拌手段である第2搬送スクリュウ47によって、二成分現像剤が図中奥側から手前側へと攪拌搬送される。この攪拌搬送の際、図示しないトナー補給手段から適宜補給される新たなトナーを取り込んで、そのトナー濃度を復活させる。そして、現像装置の図中手前側の端部付近まで搬送される。ここでも仕切壁が設けられていないため、二成分現像剤は、第2剤収容部47内から第1剤収容部44内に戻る。このようにして、二成分現像剤は、現像装置内において第1剤収容部44→現像ローラ43→第1剤収容部44→第2剤収容部46→第1剤収容部44という循環経路にしたがって搬送される。
【0021】
第2剤収容部46には、図示しないトナー補給手段が接続されており、これによって新たなトナーが適宜補給される。具体的には、第2剤収容部46の底部に設けられた透磁率センサからなるTセンサ48は、第2搬送スクリュウ47によって搬送される二成分現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。二成分現像剤の透磁率は、トナー濃度とある相関を示すため、Tセンサ48はトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。この制御部は、RAMを備えており、この中にTセンサ48からの出力電圧の目標値であるVtrefを格納されている。Tセンサ48からの出力電圧の値をVtrefに近づけるように、図示しないトナー補給手段を駆動制御して第2剤収容部46内にトナーを適宜補給させる。このような補給制御により、現像装置内の二成分現像剤のトナー濃度が所定の範囲内に維持される。
【0022】
本実施形態の現像装置は、画像形成装置本体に使用されるが、たとえばこのような画像形成装置としては、図1に示すように、潜像担持体として感光体ドラム1を備え、感光体ドラム1の周囲には、図示矢印方向の回転過程において画像形成処理を実行するための帯電装置2、書き込み装置(図示せず)、現像装置5、転写装置6およびクリーニング装置7がそれぞれ配置されている。感光体ドラム1の周囲に配置されている各装置のうちで、書き込み装置および転写装置6を除く各装置の全てあるいはその一部が感光体ドラム1と共に纏めてプロセスカートリッジに設けられている。
【0023】
本実施形態のプロセスカートリッジは、像担持体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジである。このような本実施形態のプロセスカートリッジは、前記したような現像装置を有している。
【0024】
以下に、本実施形態の現像装置およびプロセスカートリッジを実施例により、さらに説明するが、本実施形態はこれら実施例に限定されて解釈されるものではない。
【実施例1】
【0025】
(請求項1、2に対応)
図1は本実施形態で使用する画像形成装置の構成例を模式的に表したものである。
本実施例ではスリーブの直径を18mmとし、表面はサンドブラスト処理を行い、10〜20μmRZの範囲に入るように荒らし、現像剤の搬送性を向上させている。また、同じ目的で、1〜数mmの深さを有する複数の溝を形成することもある。
【0026】
そして図2に示すように、現像スリーブ41の内部にスリーブと連れ回らないように固定されているマグネットローラ42は、周方向に並ぶ5つの磁極P1(S極)、P2(N極)、P3(S極)、P4(S極)、P5(N極)を有している。これらのうち、磁極P1は、感光体1と現像スリーブ41とが対向する現像領域のスリーブ裏側に配設された現像磁極となっており、5つの磁極の中で最も強い磁力を発揮するように構成されている。その磁束密度は100[mT]となっており、スリーブ上の二成分現像剤を現像領域で穂立ちさせて磁気ブラシを形成する役割を担っている。
【0027】
感光体1はアルミ等の素管に感光性を有する有機感光体を塗布し、感光層を形成したドラムタイプのものである。上記磁極P1の磁力によって現像スリーブ41上に形成された磁気ブラシは、その先端を感光体1に摺擦させながら、0.4mm程度の現像ギャップGを通過する。このとき、感光体1の非画像部電位VD、潜像部電位VL、現像スリーブ(に印加される現像バイアスの)電位VBは、それぞれ−350V、−50V、−250Vになっている。上記現像領域で、感光体1の潜像部と摺擦する磁気ブラシの先端のトナーには、200V(VL−VB=200)の現像ポテンシャルが作用する。これにより、磁性キャリアCの表面から感光体1の潜像部に静電的に転移してトナー像を形成する。一方、感光体1の非画像部と摺擦する磁気ブラシの先端のトナーには、−100V(VD−VB=−100)の非現像ポテンシャルが作用するため、非画像部へのトナー付着が阻止される。なお、磁極P1は、感光体1に対する角度が0°であり、その半値幅が42°になっている。また、磁極P2は、その磁束密度が90mTで、半値幅が42°になっている。感光体1は、たとえば150[mm/sec]程度の線速で図中時計回りに回転駆動される。また、たとえば直径φ=18[mm]の非磁性パイプからなる現像スリーブ41は、250[mm/sec]程度の線速で図中、反時計回りに回転駆動される。
【0028】
本実施例ではドクターブレード49と現像スリーブ41間の最近接間隔は0.6mmに設定され、またドクターブレード49に対向した磁石8の磁極はドクターブレード49よりも現像スリーブ41の回転方向上流側に数度程度傾斜して位置している。これにより、現像剤のドクターブレード49から戻る二成分現像剤の循環流を容易に形成することが出来る。
【0029】
本実施例は、電極部材をドクターブレード49通過後に設置している。この電極部材の構成は、図3に示す2相(単相)の交流電源と極性の異なるパルス波を印加できるようになっている。
【0030】
次に、電極部材での二成分トナーの移動について説明する。
図4(a)は、電極とトナー、キャリア間のトナーの動きを模式的に説明するために書いた図である。
電極部材によるトナーの攪拌は、電極にトナーを吸着させる工程1と電極上に吸着されたトナーを分配する工程2と電極上に吸着されたトナーを現像剤に戻す工程3とを経て、位相を変えて電極にトナーを吸着させる工程1を繰り返す。これにより、トナー偏りが改善され、攪拌性が向上する。本実施例では、スリーブの電位を−500V、交流電源をVpp400V、パルス波の振幅を250Vとした。
周期は、印加交流電源を1KHzとし、およそ1周期の間にキャリア1個分だけ現像剤は進行する。
【0031】
すなわち、工程1に示すように、奇数番目の電極と偶数番目の電極の位相差をπの電界を印加すると、偶数番目の電極にトナーが吸着し(工程1)、吸着されたトナーは工程2において隣の電極に拡散していき、拡散されたトナーは工程3において、キャリアに接触する。このような工程1〜3を繰り返し経て、トナーは適正な帯電量を得ると共に、進行(搬送)していく。
【0032】
図4(b)は、各工程における各電極の電位変化を示している。
電界は、磁気ブラシがたった穂立ちの状態で印加されると、磁気ブラシと間隙を有した電極による印加される電界により、ブラシ同士がいわゆる高く粗い状態となって磁気ブラシ間に空間が形成され、これによってトナーの移動が容易になり、効果が高くなる。磁気ブラシを立たせるためには、少なくともスリーブの法線磁束密度が接線磁束密度よりも強いことが必要である。
本実施形態では、このような電極部材を設けて適度な電圧印加をすることで、現像剤容量を150gとしても、濃度むらなく画像を形成することが可能になった。
【実施例2】
【0033】
(請求項1、2に対応)
本実施例2は、電界発生のための電極に3相電源を用いている例を示す。このような電極の例を図5に示す。電位印加条件は、2相電源での位相を120°ずつずらして、3相とした。こうすることで、トナーの進行方向を制御できるため、攪拌性が向上するという利点がある。本実施例では、電極の組を3つずつとし、3個を1組として、電極数を3n(nは1以上の整数)個としている。そしてたとえば、第1の電極と、第2の電極と、第3の電極との印加電圧の位相差を120度(2π/3)とし、工程1においてトナーを吸着させる電極を3個毎とし、工程2において、拡散させる電極数の割合を実施例1に比較して約倍となるようにした。そして工程3によって、実施例1と同様に、トナーをキャリアに接触させている。
【実施例3】
【0034】
(請求項4に対応)
図6に示すように、本実施例3は、電極の設置位置をドクタと併せたように構成することにより、電極の設置位置をドクタと共にすることでその設置を省略することができ、より小型化が可能となる様に構成した。
【実施例4】
【0035】
(請求項5に対応)
使用するトナーはフロー式粒子像測定器で計測した円形度が0.96を越えるトナーが望ましい。円形度がそれ以下のトナーでは、接触面がトナーによって変化し、非静電的付着力に差ができる。このように本実施形態では、円形度が0.96を超えるトナーを使用することで、非静電的付着力が均一になり、電界に対するトナー応答性が向上し、トナー濃度を均一にする効果が向上する。
好ましい新トナーと、現在一般に使用されているトナーを代表するもの(単に、「従来トナー」という)を、次のように調製した。
【0036】
従来トナーの調製:
下記原材料をヘンシェルミキサーで充分混合した後、小型二本ロールミルで、150℃、2時間混練した。
結着樹脂(スチレン−アクリル酸メチル共重合体) 100.0重量部
着色剤(カーボンブラック#44、三菱カーボン社製) 10.0重量部
荷電制御剤(ジターシャリーブチルサリチル酸亜鉛塩:オリエント化学製ボントロンE−84) 2.0重量部
カルナウバワックス 5.0重量部
【0037】
得られた混練物を2mmのスクリーンを装着したパルベライザーで粗粉砕した後、ラボジェットで粉砕し、100MZRで分級して4〜10μm径の着色粒子を得た。得られた着色粒子95重量部に対して、トナーの流動性や現像性、転写性、クリーニング性、帯電性を補助するための添加剤として3重量部のシリカ、2重量部の酸化チタン粒子(両添加剤の平均粒径20nm)をヘンシェルミキサーで2分間混合し、篩にかけてトナーを得た。これが従来トナーである。ここで、従来トナーの円形度をフロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製)により計測したところ、0.93であった。また、その重量平均粒径は5.73μmであった。
【0038】
新トナーの調製:
従来トナーの製造過程で得られた着色粒子を、日本ニューマチック製サーフュージョンシステムを用いて、熱処理温度250℃、熱風風量1000リットル/分、供給風量100リットル/分で2回処理し、4〜10μm径の新たな着色粒子を得た。得られた着色粒子95重量部に対して、トナーの流動性や現像性、転写性、クリーニング性、帯電性を補助するための添加剤として3重量部のシリカ、2重量部の酸化チタン粒子(両添加剤の平均粒径60nm)をヘンシェルミキサーで2分間混合し、篩にかけてトナーを得た。これが新トナーである。
【0039】
新トナーの円形度は0.96、その重量平均粒径は5.56μmであった。なお、本実施例では粉砕トナーへ熱処理を行うことにより、トナー円形度を高めたが、熱処理に代えて、例えば特開平9−85741号公報に記載されたターボミル(ターボ工業製)を用いた方法やクリプトロン(川崎工業製)、Q型ミキサー(三井鉱山製)を用いた方法等、機械的な処理を行うことでトナー円形度を高めても良い。その他には、懸濁重合法、分散重合法、溶解懸濁法等の湿式造粒による製法によって、このように円形度の高いトナーを作製しても良い。これら製法の場合はエネルギー効率の点で優れるといったメリットがある。
【実施例5】
【0040】
(請求項6に対応)
本実施形態の現像装置を用いた画像形成装置は、一連のプロセスを経て、最終的には、紙上に画像が印刷される。
その工程は、まず感光体が所定の周速度で回転駆動される。感光体は回転過程において、帯電手段によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザビーム走査露光等の像露光手段からの画像露光光を受け、こうして感光体の周面に静電潜像が順次形成され、形成された静電潜像は、次いで現像手段によりトナー現像され、現像されたトナー像は、給紙部から感光体と転写手段との間に感光体の回転と同期されて給送された転写材に、転写手段により順次転写されるといった像転写を受けた転写材は感光体面から分離されて像定着手段へ導入されて像定着され、複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体の表面は、クリーニング手段によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更除電された後、繰り返し画像形成に使用される。
【0041】
このように本実施形態の現像装置およびプロセスカートリッジによれば、二成分現像剤のトナーを担持し、静電潜像が形成された像担持体と対向する現像領域に前記二成分現像剤のトナーを回転搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材とを備え、前記現像剤担持体にバイアスを印加して像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置において、前記現像剤担持体の回転方向の現像剤規制部材から現像領域に至る回転範囲において、回転軸に平行し互いに隔離した複数の電極を、前記現像剤担持体表面から隔離して設け、当該各電極と現像剤担持体との間に回転軸方向に周期的に変化する電界を形成し、該電界の変化により、前記回転軸方向に前記トナー粒子を搬送する力を有する成分をもつ外力を発生させ、トナー粒子を回転軸方向に移動させることを特徴とする現像装置により、電界により、キャリアからトナーを分離し、効率的に軸方向にトナーを動かし、効率よく軸方向のトナー濃度を均一化、薄層化し、機械的なストレスを与えないで現像剤の劣化を抑制し、簡易な装置構成で、現像領域へのトナー供給量を均一できる高速・小型現像装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態を使用する画像形成装置の構成例を示す断面図である。
【図2】本実施形態の現像ローラ、電極、感光体の配置を示す概略構成図である。
【図3】本実施形態に使用する電極部材の構成を示す摸式図である。
【図4】本実施形態の現像装置における電極とトナー、キャリア間の動きを示す模式図である。
【図5】本実施形態の現像装置に適用される電界構成に3相電源を用いた構成の概略模式図である。
【図6】本実施形態の現像装置に適用される電極とドクタとを合体化した構成例を示す概略模式図である。
【符号の説明】
【0043】
1 感光体
2 現像ローラ
3 電極
4 電源
6 ケース
7 現像剤
8 磁石
9 補給トナー
14 2相交流電源
15 パルス電源
16 3相交流電源
21 ドクタ
31 電極1
32 電極2
33 電極3
34 電極4
40 現像装置
41 現像スリーブ
42 マグネットローラ
43 現像剤坦持体(現像ローラ)
44 第1現像剤収容部
45 第1搬送スクリュウ
46 第2現像剤収容部
47 第2搬送スクリュウ
48 トナー濃度センサ(Tセンサ)
49 ドクターブレード
P1、P3、P4 磁極(S極)
P2、P5 磁極(N極)
L 露光手段からの露光光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二成分現像剤のトナーを担持し、静電潜像が形成された像担持体と対向する現像領域に前記二成分現像剤のトナーを搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材とを備え、
前記現像剤担持体にバイアスを印加して像担持体に形成された静電潜像を現像する現像装置であって、
前記現像剤担持体の回転方向の現像剤規制部材から現像領域に至る回転の範囲に、回転軸に平行し互いに隔離した複数の電極を前記現像剤担持体表面と離間して設け、
当該各電極と前記現像剤担持体との間に回転軸方向に周期的に変化する電界により外力を発生させて前記回転軸方向に前記二成分現像剤の搬送力を生ぜしめ、前記二成分現像剤を前記回転軸方向に移動させることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記周期的に変化する電界は、前記回転軸方向に対して電界の位相を周期的に変化させて発生することを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記電極と前記二成分現像剤とが対向する領域の少なくとも一部に、前記現像剤担持体の法線方向の磁束密度が前記現像剤担持体の接線方向の磁束密度より大きい磁界を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記電極を前記現像剤規制部材と一体化して設置することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像装置に使用するトナーの円形度が0.96より大きいトナーであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
像担持体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、
前記プロセスカートリッジは少なくとも現像手段を有し、前記現像手段は、請求項1から4いずれか1項に記載の現像装置を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−51897(P2008−51897A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225724(P2006−225724)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】