説明

生体分子でコーティングされた減圧式ドレッシング材の改良

生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材は、高分子材料層と、止血剤、抗酸化剤、及び一酸化窒素のプロモータとからなる群から選択される少なくとも1の生体分子とを含み、少なくとも1の生体分子は高分子材料層の一部に吸収される。この生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材は、その生成方法を更に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に減圧式ドレッシング材、特に生体分子でコーティングされた減圧式ドレッシング材に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性創傷は未解決であり続けている。米国内では7百万人を超える慢性創傷者がいる。これらの創傷型のうちの1つ(褥瘡)についての平均病院代金は、2万ドルを超えると推定されている。慢性創傷を治癒することに関する金銭上のコストの他に、これらの創傷によって衰弱し、苦しみのために生活の質に影響を与える。
【0003】
現在、総てのケースに有効な慢性創傷に対する単一の治療法はない。どちらかと言うと、慢性創傷に対する治療法はあまり高度に進歩していない。一般的に、医師は特定の治療プロトコルを処方し、有意な改善が数週間内で得られない場合、その際は別の治療プロトコルが処方される。このプロセスは創傷が治癒するか、更なる治療プロトコルが利用できなくなるまで継続される。人々は何年間か、これらの慢性創傷に耐える。近年の医療の発展によって、減圧システムの使用による慢性創傷の治療が改善されてきたが、これは組織部位に直接接触し、減圧を組織部位に分配するマニホルド又はシステムを使用する。
【0004】
これらのプロトコルを用いる課題のうちの1つは、組織部位の不安定性である。例えば、出血中、又は流体を滲出中の組織部位は、このようなマニホルドシステムの使用にとって問題となりうる。これらのマニホルドシステムのスキャフォールド及びドレッシング材は、組織部位に直接接触するからであり、これによって、更なる炎症を生じさせる組織部位を更に刺激する。
【0005】
更に、組織部位は一般的に、生体分子の局所的な適用に非常に不適な環境である。これは、組織部位が大多数のプロテアーゼを含むからであり、生体分子が組織部位に直接的に配置されるとすぐに、プロテアーゼは生体分子を分解する。更に、糖尿病関連の創傷といった、特定の慢性疾患で、組織部位が十分には血管拡張しないことが分かっており、これにより血流が妨害される。
【0006】
更に、硝酸銀及びスルファジアジンといった局所的な抗菌コーティングが従来のドレッシング材に適用される場合、組織部位への軟膏の放出は適用後の最初の約30分間で生じ、その期間後に、ほとんどの軟膏が放出されないことをデータが示している。その初期適用を超える軟膏の有効性は実質的に限定される。これは、多くの局所的な抗菌コーティングがドレッシング材に結合又は接着されず、単に薄層として適用されるという事実によるものである。従って、局所的な抗菌コーティングがドレッシング材表面に適用された状態では、これらの従来のドレッシング材に関連する時間送達機能性がない。
【0007】
減圧式マニホルド型のシステムに関する別の問題は、減圧がこれらのシステムと関連する発泡樹脂のドレッシング材及び/又はスキャフォールドに生じて、下にある組織に圧縮されることである。この圧力は組織部位の組織の一部をドレッシング材及びスキャフォールドのセル、孔、空隙及び開口部内に引き上げる。従って、発泡樹脂のドレッシング材への、マニホルドの局所的な適用によって、これらの型のマニホルド式の発泡樹脂のドレッシング材のセル、孔、空隙及び開口部内に引き込まれる組織は反応しない。
【0008】
更に、これらの型のシステムは、組織部位から離れる滲出液の流れを促進する流動勾配を生じさせる。従って、滲出液といった、組織部位と関連する流体は、組織部位から流出し、組織部位方向に流れない。従って、組織部位をドレッシング材又はスキャフォールドで密封する前に組織部位に直接的に適用される生体分子の局所的な適用によって更に、このような治療時に排除される滲出液とともに組織部位から流出する。
【発明の概要】
【0009】
生体分子を用いたこれらの従来の慢性創傷治療プロトコルで呈示された問題は、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材の改良によって解決される。この生体分子のドレッシング材は減圧療法で用いられる場合、組織部位に関連するプロテアーゼによって生じる、1又はそれ以上の生体分子に対する分解の規模を減少させる。1の例示的な実施形態において、生体分子のドレッシング材は糖尿病関連の組織部位といった創傷中の血流を改善する一酸化窒素を含む。
【0010】
別の例示的な実施形態において、生体分子のドレッシング材は、好適な期間にわたる生体分子の組織部位への徐放を提供する。この生体分子のドレッシング材の高分子層は、組織部位に対する徐放の改善のために特定の生体分子に結合できるように誘導体化できる。
【0011】
更に別の例示的な実施形態において、生体分子のドレッシング材は更に、減圧療法の適用前の組織部位の止血を改善する。この生体分子のドレッシング材は過剰な内部空間の流体の量又は減圧の適用前の出血の可能性を低減する。
【0012】
別の例示的な実施形態において、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材は、高分子材料層と、止血剤、抗酸化剤、及び一酸化窒素のプロモータとからなる群から選択される少なくとも1の生体分子とを含み、この少なくとも1の生体分子は高分子材料層の一部に吸収される。この生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材は、その生成方法を更に含む。
【0013】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の図面及び詳細な説明によって明らかとなるであろう。図面において、類似又は同様の要素は、いくつかの考察及びその図面の至る所に同一の引用番号で示され、多様に示された要素は必ずしも一定の縮尺で書かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の方法及び装置の更に完全な理解は、添付の図面とともになされる場合に、以下の詳細な説明によって得られるであろう。
【0015】
【図1】図1は、本発明のある実施形態による生体分子のドレッシング材の透視図を示す。
【図2】図2は、本発明のある実施形態による図1のライン2−2に沿った生体分子のドレッシング材の断面図を示す。
【図3】図3は、本発明の別の実施形態による、更なる外側の生体分子層を有する生体分子のドレッシング材の断面図を示す。
【図4】図4は、本発明の別の実施形態による、いくつかの更なる外側の生体分子層を有する生体分子のドレッシング材の断面図を示す。
【図5】図5は、本発明のある実施形態による、生体分子のドレッシング材のNPWT装置の断面図を示す。
【図6】図6は、本発明のある実施形態による、組織部位と、例示的な生体分子を含む生体分子のドレッシング材との界面を示す。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態による、高分子層に吸収される異なる生体分子を有する生体分子のドレッシング材の断面図を示す。
【図8】図8は、適用される異なる減圧の大きさ、及び組織部位の特定の深度で測定される対応する減圧の大きさに対する間質圧の勾配を示すプロットを示す。
【図9】図9は、本発明のある実施形態による、生体分子のドレッシング材を生成する例示的なプロセスのフローチャートを示す。
【図10】図10は、本発明の別の実施形態による、生体分子のドレッシング材を生成する例示的なプロセスのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明の好適な実施形態においては、引用はその一部を形成する添付の図面に対してなされ、本発明が実施されうる特定の好適な実施形態の例示によって示される。これらの実施形態は当該技術分野の当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に記載されており、他の実施形態が利用可能であり、論理構造的、機械的、電気的及び化学的な変更は本発明の精神又は範囲から逸脱することなくなされうることは理解されよう。当該技術分野の当業者が本発明を実施可能にするのに必要のない詳細を避けるために、説明は当該技術分野の当業者に既知の特定の情報を省略しうる。従って、以下の詳細な説明は限定の意味で取られるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0017】
本明細書中で用いられるように、「生体反復吸収性(bioresorbable)」という用語は一般的には、ヒトのような生体の生命体でゆっくりと溶解及び/又は消化される材料を意味し、生体吸収性(bioabsorbable)、生体溶解性(biodissolvable)、及び生分解性(biodegradable)と同義である。生体反復吸収性は、材料が創傷床に存在する特有の状態に曝露される場合に、創傷治癒期間と概ね一致する期間内に組織部位から除去できる分解生成物に分解する材料の特性について説明する。このような分解生成物は患者の身体に吸収できるか、あるいはドレッシング材の別の層に送達できる。創傷治癒期間はドレッシング材の適用から創傷が実質的に治癒される時間までの測定期間であると理解すべきである。この期間は患者を迅速に治癒する場合の、単なる皮膚擦過傷での数日間から、よりゆっくりと患者を治癒する場合の、慢性創傷での数月間までの範囲にできる。スキャフォールド材料の生体反復吸収(bioresorption)及び/又は生体吸収(bioabsorption)に要求される時間が創傷の型及び治癒に必要な時間と合致するように、本発明のドレッシング材が作られうることが意図されている。例えば、本発明のいくつかのドレッシング材においては、スキャフォールド材料は1週間以内に分解するように設計してもよく、一方、他のドレッシング材においては、1ないし3月、又は所望される場合は更に長い期間内に分解するように設計してもよい。
【0018】
本明細書中で用いられるように、「減圧(reduced pressure)」という用語は一般的には、治療を受けている組織部位での雰囲気圧未満の圧力のことである。ほとんどの場合においては、この減圧は患者が位置する気圧未満である。代替的に、この減圧は組織部位での組織の静水圧未満であってもよい。「真空(vacuum)」及び「陰圧(negative pressure)」といった用語は組織部位に印加される圧力について述べるのに用いられうるが、組織部位に印加される現地気圧は、完全な真空と通常関連づけられる圧力よりも有意に小さくなりうる。減圧は最初に、管内及び組織部位の領域に流動を生成しうる。組織部位の周囲の静水圧が所望の減圧に近づくため、流動は沈静化でき、減圧はその後維持される。そうでないことが示されない限り、本明細書中で述べられる圧力の値はゲージ圧力である。
【0019】
本明細書中で用いられるように、「組織部位(tissue site)」という用語は、任意の組織上又は内部に位置する創傷又は欠損のことであり、限定しないが骨組織、脂肪組織、筋組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、又は靱帯を含む。「組織部位」という用語は更に、必ずしも創傷又は欠損ではない任意の組織領域のことであってもよいが、むしろ、更なる組織の成長を付加又は促進することが所望される領域である。例えば、収集され、かつ別の組織の位置に移植されうる更なる組織を成長させるために、減圧式組織治療は特定の組織領域で用いられうる。
【0020】
生体分子のドレッシング材は、表面創傷、深部組織の創傷、及び経皮創傷といった様々な型の創傷又は組織で用いることができる。例えば、生体分子のドレッシング材は患者の骨に隣接して配置してもよく、次いで患者の皮膚を閉止してもよい。
【0021】
図1及び2により、生体分子のドレッシング材100が例示される。この実施形態において生体分子のドレッシング材100は、底面104と、上面106と、底面104を上面106に連結する側面108とを具える高分子層である。図2は図1のライン2−2に沿った生体分子のドレッシング材102の断面図を例示し、組織部位202に隣接して示されている。一般的に、本体102の底面104は組織部位202と実質的に接触及び/又は隣接する。生体分子のドレッシング材100は更に、滲出液及び流体が生体分子のドレッシング材を通って流れるのを可能にするために、流体チャネル110を具える。生体分子のドレッシング材100は本明細書中に述べるように、所望の生体分子で部分的に、あるいは完全にコーティングしてもよい。
【0022】
図3によると、本発明の例示的な実施形態による生体分子のドレッシング材300は、高分子層302の底面308に適用される更なる生体分子層304を有する高分子層302を具える。この実施形態においては、更なる生体分子層304は組織部位306と実質的に接触及び/又は隣接する。高分子層302は高分子層302上へ、あるいはそこを通って吸収及び/又は吸着される生体分子を有してもよい。更なる生体分子層304は高分子層302の底面308に化学結合してもよい。別の実施形態においては、更なる生体分子層304は生体分子層に適用し、表面張力、イオン結合、共有結合、又はファンデルワールス力によって定位置に保持してもよい。これらの結合及び応力は更なる生体分子層304及び高分子層302の生体分子の化学的性質と通じて得られる。
【0023】
更なる生体分子層304及び高分子層302の生体分子は同一又は異なる生体分子であってもよい。例えば、高分子層302は部分的に、あるいは完全に全体として抗酸化剤でコーティングしてもよく、更なる生体分子層304は更に、抗酸化剤材料層であってもよい。別の実施例においては、高分子層302は部分的に、あるいは完全に全体として抗酸化剤でコーティングしてもよいが、更なる生体分子層304はポリN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)といった異なる止血剤であってもよい。生体分子の任意の組合せは生体分子のドレッシング材300で用いてもよい。生体分子のドレッシング材300は更に、滲出液及び流体が生体分子のドレッシング材を通って流れるのを可能にするために、流体チャネル310を具える。
【0024】
図4によると、本発明の例示的な実施形態による生体分子のドレッシング材400は、生体分子のドレッシング材400の高分子層402の底面410に隣接して配置されるいくつかの更なる材料層を具える。不活性層404は高分子層の底面410と、更なる生体分子層406との間に散在する。この実施形態においては、更なる生体分子層406は組織部位408と実質的に接触及び/又は隣接する。この実施形態においては、更なる生体分子層406は、高分子層402に含まれるような同一又は異なる生体分子で構成してもよい。止血効果を提供しないが、高分子層406が更なる止血効果のために組織部位408と直接接触状態になる前に、徐々に生体反復吸収、生体再循環あるいは溶解などがなされる材料層を提供することによって、徐放性要素を生体分子のドレッシング材400に提供するように不活性層404を用いてもよい。生体分子のドレッシング材400は更に流体チャネル412を具える。
【0025】
別の実施形態においては、生体分子のドレッシング材は、高分子層に加えて任意の数の不活性層又は更なる生体分子層を具えてもよい。これらの不活性層及び/又は更なる生体分子層は、隣接する共通層と交互の層であってもよい。更に、異なる型の生体分子、又は、生体分子のドレッシング材の他の、あるいは隣接する層と同一の生体分子であってもよい。更には、本明細書中に記載の生体分子のドレッシング材は減圧治療システムの実施形態を具えてもよい。
【0026】
図5によると、本発明の例示的な実施形態による減圧治療システム500は、組織部位504の上部へ実質的に挿入するための生体分子のドレッシング材502と、生体分子のドレッシング材502の筐体及び組織部位504を密封するための創傷ドレープ506とを具える。図示されるように、生体分子のドレッシング材502は高分子層全体に吸収された生体分子を含む高分子層を具える。組織部位504で生体分子のドレッシング材502を配置し、かつ、ドレープ506で密封した後に、生体分子のドレッシング材502は、減圧治療の促進及び流体排出のために真空ポンプ又は減圧供給源508と流体連結した状態で配置される。減圧送達管510は減圧供給源508と、生体分子のドレッシング材500と流体連結状態にある管状コネクタ512との間で流体連結を可能にする。管状コネクタ512は一般的に、生体分子のドレッシング材502とドレープ506との間に配置され、ドレープ506の一部を通って延在する。排液は生体分子のドレッシング材502に配置された流体チャネル514によって促進される。
【0027】
生体分子のドレッシング材502は好適には、コネクタ512及び減圧送達管510を介して減圧供給源508と流体連結した状態に配置される。ドレープ506は、感圧性アクリル接着剤で少なくとも周縁部が覆われたエラストマ材料を含むことが好ましく、組織部位504で生体分子のドレッシング材502を実質的に密封するように生体分子のドレッシング材502の上に配置される。図5に図示されるように、生体分子のドレッシング材502は組織部位504と実質的に接触及び/又は隣接する。この実施形態においては、生体分子のドレッシング材502は深い創傷本体等といった不均一な表面に十分に適合する。
【0028】
別の実施形態においては、他の生体分子のドレッシング材100、300、及び400のいずれも生体分子のドレッシング材502の代わりに、又はそれに加えて、図5に示される減圧治療システム500で用いてもよい。更に別の実施形態においては、本明細書中に記載のように生体分子層及び不活性層の順序は所望される任意の順番に配置してもよい。
【0029】
図6は組織部位608の界面606と、界面606又はその近傍に配置される例示的な抗酸化剤の生体分子である、還元型グルタチオン(GSH)を含む生体分子のドレッシング材600とを例示する。GSHは生体分子のドレッシング材600の高分子層602に結合される抗酸化剤である。GSHは組織部位608に接触し、GSHの一部が過酸化水素又は酸素といった組織部位608中の反応種に接触する際に放出される。過酸化水素は強い酸化特性を有する弱酸である。ここで、過酸化水素は水と酸素に還元され、GSHの存在下でグルタチオン還元酵素を介してGSHを酸化型グルタチオン(GSSG)に酸化する。示されるように、グルタチオン酸化還元サイクルは有害な酸素フリーラジカル(「酸素ラジカル(oxygen radical)」及び/又は「オキシラジカル(oxyradical)」)を除去することによって、組織部位608の止血を改善するためのGSHの使用可能な供給源を提供する。
【0030】
この実施形態においては、生体分子のドレッシング材600の高分子層602は、高分子層602の網状開口セル610を示すためにわずかに拡大された高分子層602を示す。この実施形態においては、GSHは高分子層602の外面612に配置される。GSHは更に、高分子層602の網状開口セル610にわたって配置される。
【0031】
図7によると、本発明のある例示的な実施形態による生体分子のドレッシング材700は、生体分子のドレッシング材700の高分子層702内に吸収及び/又は吸着される2の異なる生体分子を含む。この実施形態においては、高分子層702の第1の部分704は、高分子層702の第2の部分706の生体分子と異なる生体分子を含んでもよい。別の実施形態においては、高分子層702の第1の部分704は、第2の部分706の生体分子と同一であるが、異なる濃度状態にある生体分子を含んでもよい。加えて、更なる実施形態は、異なるか同一かであり、かつ、高分子層702の他の部分と実質的に同一又は異なる濃度状態にある生体分子の更なる部分を含んでもよい。更に、高分子層702は流体チャネル708を具えでもよい。
【0032】
図8は様々な大きさの減圧の印加に対する、組織部位内の様々な深度で測定された組織圧を示すプロットを例示する。例えば、「菱形(diamond)」のプロットは、−200mmHgの大きさを有する減圧の印加を表わす。この実施例においては、−200mmHgで印加された減圧によって、組織部位の表面(流体側)の下に即時に約−135mmHgの測定された組織圧が得られる。同様に、組織部位中の約1mmの深度で、測定された減圧は約−15mmHgである。一実施形態においては、生体分子のドレッシング材は減圧を組織部位に印加する減圧システムで用いられる。減圧はわずかに高分子層を圧縮する一方、同時に組織部位の組織を高分子層のセル、孔、空隙及び開口部に引き寄せる。生体分子は高分子層にわたって配置されるため、本明細書中に記載のように、止血の改善のために高分子層に誘導されている組織に接触したままとなる。
【0033】
更に、減圧治療システムによって生成された圧力の勾配によって、高分子層の孔、空隙及び開口部を通る組織部位からの流動が生じる。それにも拘らず、組織部位から離れる流動は更に、高分子層の孔、空隙及び開口部を通って伝わるように、生体分子と接触状態となり、ひいては減圧治療時の止血及び治癒の改善を提供する。
【0034】
一実施形態においては、生体分子はGlcNAcといった止血剤であってもよい。いくつかの他の例示的な止血剤は限定しないが、トロンビン、フィブリノーゲン、あるいは非酸性、水溶性、又は水膨潤性の高分子の水溶液中に構成されるフィブリンを含み、限定しないが、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ケラチン硫酸、水溶性キトサン、N−アセチルラクトサミン合成酵素、カルボシキメチルカルボシキエチルセルロースの塩、キチン、ヒアルロン酸の塩、アルギナート、アルギン酸プロピレングリコール、グリコーゲン、デキストラン、カラゲナン、キトサン、デンプン、アミロース、及びアルデヒド酸化されたその誘導体を含んでもよい。止血剤は高分子層の表面上に薄層として適用してもよく、あるいは、本明細書中に記載のような高分子層全体にわたって吸収及び/又は吸着してもよい。
【0035】
別の実施形態においては、生体分子は抗酸化剤であってもよい。いくつかの例示的な抗酸化剤は限定しないが、グルタチオン、リポ酸、ビタミンE、アスコルビン酸、トロロクス、トコフェロール、及びトコトリエノールを含む。抗酸化剤は遊離基といった炎症性メディエータによる破壊に対する線維芽細胞及びケラチン合成細胞の保護によって組織部位の治癒を促進できる。組織部位におけるこれらの高反応性物質は、除去又は中和されない場合、急速にキー細胞の構成(例えば、膜及びDNA)を損傷又は破壊する。一般的に、オキシラジカルは各細胞内部に位置する数千のミトコンドリアで生成され、グルコースのような栄養素はエネルギ生成のために酸素を用いて燃焼される。更に、グルタチオンといったいくつかの抗酸化剤は、ビタミンC及びビタミンEといった、他の既知の抗酸化剤を再利用して、組織部位の止血状態の改善のために、活性状態で保持する。ビタミンEといった抗酸化剤は止血、及び糖尿病関連の慢性創傷における創傷治癒に特に有効である。
【0036】
一実施形態においては、生体分子のドレッシング材は減圧治療中に抗酸化剤を組織部位に送達し、治療の有効性を増大させる。別の実施形態においては、抗酸化剤は高分子層の表面上の薄層として適用してもよく、あるいは、本明細書中に記載のような高分子層全体にわたって吸収及び/又は吸着してもよい。一実施形態においては、高分子層に含まれる抗酸化剤はグルタチオン、リポ酸、及び/又はビタミンEである。この更なる抗酸化剤層は更に、生体分子のドレッシング材の高分子層の表面に適用してもよい。
【0037】
別の実施形態においては、生体分子は一酸化窒素、一酸化窒素ドナー化合物、一酸化窒素前駆体化合物、及び/又は一酸化窒素化合物の上方制御因子であってもよい。一酸化窒素の接触によって、糖尿病関連の組織部位での血流が改善され、従って、例えば、組織部位での血管拡張が改善される。更に、十分な一酸化窒素生成速度が無処置の創傷治癒のために必要であり、このように一酸化窒素は更に組織部位の止血を改善する。生体分子のドレッシング材は血管新生のようなプロセスを媒介することによって組織部位の治癒を改善する。血管新生は、基底の内皮細胞の溶解、内皮細胞移動、接着、増殖、及び管分化といったいくつかのステップを含む、既存の血管からの新しい血管の成長プロセスである。例示的な一酸化窒素前駆体はL−アルギニンである。一酸化窒素の上方制御因子の一例は一酸化窒素合成酵素である。一酸化窒素ドナーの一例はニトロプルシドである。
【0038】
一実施形態においては、生体分子のドレッシング材は更に、高分子層から組織部位に生体分子を送達するための送達剤を含んでもよい。いくつかの例示的な送達剤は、リポソーム(lipisome)、ミクロスフェア、デキストラン、ヒアルロン酸、グリコアミノグリカン(GAG)、及びデンプンである。一実施形態においては、送達剤はまず高分子層に結合され、次いで所望の生体分子が別個の反応で送達剤に結合する。別の実施形態においては、送達剤及び所望の生体分子は一の反応で高分子層に結合する。
【0039】
更に別の実施形態においては、スパイクコーティングは高分子層の分子を追い出すイオンビームによって活性化できるように、生体分子のドレッシング材の高分子層に適用される。更に、更なる生体分子層は生体分子のドレッシング材の高分子層に適用してもよく、このように、このような生体分子の更なる徐放性送達を提供するように遊離してもよい。
【0040】
別の実施形態においては、生体分子のドレッシング材は、高分子層を生体分子と接触させる前に高分子層を誘導体化するといった、高分子層を生体分子と化学反応させるステップを含んでもよい。例えば、ポリウレタンエステルは誘導体化できるエステル結合を有し、N−アセチルグルコサミン用の反応部位を提供し、N−アセチルグルコサミンのエステル結合にイオン結合又は共有結合する。生体分子のドレッシング材は高分子層を化学修飾して、生体分子とイオン又は共有結合させるステップを含んでもよい。例えば、長期間の遊離が所望される場合、N−アセチルグルコサミンは共有結合するのではなく、ポリウレタンエステルにイオン結合してもよい。イオン結合された生体分子の完全かつ直接的な接触は、徐放機能の改善を提供する。例えば、銀は金属形態で高分子層に適用でき、組織部位に曝露された場合、銀は正に帯電される。組織部位の細胞外基質に接触し、負に高帯電される場合、銀は、組織部位の細胞外基質に結合する。
【0041】
一実施形態においては、高分子層は減圧を組織部位に提供するためのマニホルドとして動作しうる高分子型の材料である。更に、高分子層は生体分子用の結合部位を含んでもよい。一般的に高分子層は、発泡樹脂又は本明細書中に記載のような用途に好適な多孔質三次元構造であってもよい。いくつかの例示的な高分子層の材料はテキサス州サンアントニオのKCI社によって製造されるGranuFoam(登録商標)及びWhiteFoam(商標)を含む。いくつかの更なる例示的な高分子層の材料は限定しないが、ポリウレタン、セルロース、カルボシキル化されたブタジエン−スチレンゴム、発泡ポリエステル樹脂、親水性の発泡エポキシ樹脂、ポリアクリラート、PVC、及びポリエチレン(PE)を含む。高分子層は好適な量の生体分子を徐々に組織部位に送達するように選択してもよい。
【0042】
一実施形態においては、生体分子のドレッシング材は減圧式マニホルドとして用いてもよく、あるいは生体分子のドレッシング材は非マニホルド型のドレッシング材、発泡樹脂、又は高分子型の材料として用いてもよい。別の実施形態においては、生体分子のドレッシング材は通常又は生体反復吸収性のスキャフォールドとして機能してもよい。一態様においては、生体分子のドレッシング材の高分子層は生体反復吸収性であってもよく、従って組織部位からの置換又は除去を要求しない。
【0043】
一実施形態においては高分子層は生体反復吸収性材料で生成でき、高分子型の材料を含む。一般的には、これらの生体反復吸収性材料は患者の身体によって、身体から最終的に放出されうる小さな成分に分解又は代謝される。生体反復吸収性材料は、ある期間にわたる強度によって、材料が反復吸収される前に組織が再生できるように選択してもよい。例えば、生体反復吸収性材料は限定しないが、ポリ乳酸(PLA)(L−ラクチド及びDL−ラクチドの双方)と、ポリ(L−ラクチド−DL−ラクチド)の共重合体と、ポリグリコール酸(PGA)と、アルファエステルと、飽和エステルと、不飽和エステルと、オルトエステルと、カーボネートと、無水物と、エーテルと、アミドと、サッカライドと、ポリエステルと、ポリカーボネートと、ポリカプロラクトン(PCL)と、ポリトリメチレンカーボネート(PTMC)と、ポリジオキサノン(PDO)と、ポリヒドロキシブチレートと、ポリヒドロキシバレレートと、ポリジオキサノンと、ポリオルトエステルと、ポリフォスファーゼンと、ポリウレタンと、コラーゲンと、ヒアルロン酸と、キトサンと、ヒドロキシアパタイト、コラリンアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、カーボネート、バイオガラス、同種移植片、及び自家移植片のうちの少なくとも1又はそれ以上を取り込む高分子と、これらの化合物の混合物及び/又は共重合体とを含んでもよい。これらの化合物は、L−ラクチドとDL−ラクチドとの比率が70:30の共重合体といった、高分子の固定率を有する共重合体を生成するように結合してもよい。更に、これらの化合物、高分子、及び共重合体は直鎖状又は非直鎖状の化合物であってもよい。
【0044】
上述のように、不活性層は生体分子のドレッシング材の高分子層内、及びその上にある生体分子層間に挿入してもよい。例えば、生体分子と不活性層との間で交互となるいくつかの層は、生体分子のドレッシング材が組織部位に適用される期間中の生体分子の徐放の改善のために、高分子層に適用又は化学結合してもよい。このように、所望の生体分子の量が治療の間に、かつ局所的な抗菌コーティングを含む従来のドレッシング材で見られるように必ずしも一度にではなく送達される。
【0045】
一実施形態においては、生体分子のドレッシング材は、高分子層を所望の用途の生体分子に浸漬コーティングするステップを具える。別の実施形態においては、噴霧又は圧力処理動作によって生体分子を高分子層に取り込んでもよい。
【0046】
流体チャネル110、310、514、及び708によって、特定の組織部位又は身体への減圧の分配、及び/又はそこからの滲出液の輸送を可能にする。高分子層中に提供される流体チャネルは、固有特性の上述の材料の組成物である。更に、流体チャネルは高分子層の製造前後に高分子層中に化学的、機械的又はその他の方法で形成してもよい。
【0047】
どのセル、孔、空隙、開口部、又はその他の組合せが流体チャネル110、310、514、及び708を規定するのに用いられるかに拘らず、高分子層の多孔度は高分子層に適用された隣接する生体分子層の多孔度と異なっていてもよい。高分子層の多孔度は、孔、空隙、及び/又は開口部の大きさを限定することによって、あるいは、特定の材料層に配置される孔、空隙、及び/又は開口部の数(すなわち、密度)を制御することによって、制御してもよい。
【0048】
材料層の特定の孔、空隙、及び/又は開口部は、隣接するセルと流体接続しないよう「閉止(closed)」してもよい。材料層の、これらの閉止された孔、空隙、及び/又は開口部は、選択的に高分子層の孔、空隙、及び/又は開口部と結合させて、高分子層102、302、402、502、及び702の選択された部分を通る流体の伝達を防いでもよい。
【0049】
高分子層102、302、402、502、及び702は新しい組織の成長を促進し、組織部位、組織部位、及び/又は創傷本体からの新しい組織の内殖を受ける。高分子層102、302、402、502、及び702は多孔性であることが好ましく、生体分子のドレッシング材中で新しい組織の成長を受容及び/又は統合できる。
【0050】
先の実施形態のいずれかにおいては、外側膜の層は、使用前の汚染から最も外側の材料層を保護するのに用いてもよい。一態様においては、外側膜の層は、組織部位に隣接又は接触して配置する前に、ユーザによって簡単に除去されるように、生体分子のドレッシング材に固定又は接着してもよい。
【0051】
高分子層102、302、402、502、及び702の寸法は、所望の用途に適合するのに必要となる任意の大きさ、厚さ、表面積、又は容積であってもよい。一態様においては、高分子層の一般的な形状は、適用のために所望の厚さを有するシート中に形成してもよい。高分子層は更に、大きな組織集団に拡がり、その後定位置に保持しうる大きなシートで製造又は形成してもよい。
【0052】
一般的には、高分子層102、302、402、502、及び702は約1mmないし約100mmの厚さを有する。高分子層の厚さは、組織部位又は創傷本体に対して垂直方向に測定される。厚さの寸法に対して垂直な平面における高分子層の寸法は、組織部位又は創傷本体の大きさに依存して変化しうる。高分子層は大きいサイズで提供し、その後組織部位又は創傷本体と合致するように調整又は形成してもよい。
【0053】
高分子層102、302、402、502、及び702の孔径は約50ミクロンないし約600ミクロンであることが好ましい。別の実施形態においては、高分子層の孔径は約250ミクロンないし約400ミクロンであってもよい。好適には、高分子層の孔径は約100ミクロン又はそれ未満であってもよい。
【0054】
生体分子のドレッシング材の前述の態様及び実施形態に加えて、本発明の別の実施形態は、高分子層を生体分子で部分的に、あるいは完全にコーティングする方法を具える。図9によって、本発明の例示的な実施形態による生体分子のドレッシング材をコーティングするための方法900が提供される。一実施形態においては、方法900によって、生体分子のドレッシング材は任意の方向に切削、切断、又は整形でき、更に、本明細書中に記載の利益を提供するのに十分な生体分子でコーティングされた曝露面を有することができる。
【0055】
ステップ902において、生体分子は好適な容器に調製及び配置、又は保存される。好適には生体分子を保存する場合、光、撹拌、温度、圧力及び他の条件が考慮される。ステップ904において、高分子層は所望の大きさに調製又は切削される。ステップ906において、高分子層は容器内に配置され、生体分子は高分子層上に、あるいはそこを通って、吸収及び/又は吸着される。このステップは更に、高分子層を浸漬又は圧迫するステップを具えてもよい。ステップ908において、過剰な生体分子溶液は高分子層から除去される。同様の装置であるローラニップは、高分子層から除去される溶液量を制御するのに用いてもよい。ステップ910において、高分子組成物は、高分子組成物上に蓄積される生体分子の量を決定するために乾燥及び/又は秤量してもよい。乾燥は、従来の乾燥器又は他の乾燥装置で所定の温度及び時間で行ってもよい。ステップ912において、完成した生体分子のドレッシング材は、その最終形状を完成するために整形、形成、調整又は切削等してもよい。更にステップ912において、仕上げ、滅菌、及びパッケージング等の任意の更なる製造ステップが実行される。
【0056】
図10は、生体分子のドレッシング材をコーティングするための別の例示的なプロセス1000のフローチャートのある実施形態を示す。ステップ1002において、1又はそれ以上の生体分子が別個の好適な容器に調製及び配置、又は保存される。生体分子を保存する場合、光、撹拌、温度、圧力及び他の条件が考慮される。ステップ1004において、高分子層は所望の大きさに調製又は切削される。ステップ1006において、高分子層は高分子層の第1の部分上に、あるいはそこを通って、吸収及び/又は吸着される第1の生体分子を含む容器内に部分的に浸漬される。このステップにおいて、高分子層の一部だけを生体分子で吸収又は吸着してもよい。このステップは更に、生体分子を高分子層に良好に吸収すべく、高分子層を浸漬又は圧迫するステップを具えてもよい。
【0057】
ステップ1008において、過剰な生体分子を高分子層から除去すべきか否かに関し照会がなされる。この照会に対する回答が「はい(yes)」の場合、ステップ1010において、過剰な生体分子溶液は高分子層から除去される。このステップは事実上、個別の蓄積ステップ後に行ってもよい。同様の装置であるローラニップは、高分子層から除去される溶液量を制御するのに用いてもよい。
【0058】
ステップ1008での照会に対する回答が「いいえ(no)」である場合、ステップ1012において、高分子層を乾燥してよいか否かに関する、更なる照会がなされる。この照会に対する回答が「はい(yes)」の場合、ステップ1014において、高分子組成物は、高分子組成物上に蓄積される生体分子の量を決定するために乾燥及び/又は秤量される。乾燥は、従来の乾燥器又は他の乾燥装置で所定の温度及び時間で行ってもよい。ステップ1012での照会に対する回答が「いいえ(no)」である場合、ステップ1016において、別の生体分子層を生体分子層の別の部分に蓄積すべきか否かに関する、更なる照会がなされる。この照会に対する回答が「蓄積する(yes)」の場合、別の生体分子層が高分子層の更なる部分上に、あるいはそこを通って、吸収及び/又は吸着される。照会に対する回答が「蓄積しない(no)」である場合、ステップ1018において、高分子層は生体分子のドレッシング材に完成される。このステップで、高分子層は生体分子のドレッシング材に完成される。このステップで、生体分子のドレッシング材は、その最終形状を完成するために整形、形成、調整又は切削等してもよい。更にステップ1018において、仕上げ、滅菌、及びパッケージング等の任意の更なる製造ステップが実行される。
【0059】
前述のことから、顕著な利点を有する本発明が提供されていることは明らかである。本発明はその形態のいくつかのみで示されるが、限定するものではなく、その精神から離れることなく様々な変形及び変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材であって、
高分子材料層と、
止血剤と、抗酸化剤と、一酸化窒素のプロモータとからなる群から選択される少なくとも1の生体分子と、
を含み、当該少なくとも1の生体分子が前記高分子材料層の一部に吸収されることを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材。
【請求項2】
請求項1に記載の生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材が、止血剤と、抗酸化剤と、一酸化窒素のプロモータとからなる群から選択される更なる生体分子層を更に具え、前記少なくとも1の生体分子は前記高分子材料層の外面に適用されることを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材。
【請求項3】
請求項2に記載の生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材が、前記高分子層と前記更なる生体分子層との間に実質的に散在する不活性層を更に具えることを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材。
【請求項4】
請求項1に記載の生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材において、前記高分子材料層がポリ乳酸(PLA)(L−ラクチド及びDL−ラクチドの双方)と、ポリ(L−ラクチド−DL−ラクチド)の共重合体と、ポリグリコール酸(PGA)と、アルファエステルと、飽和エステルと、不飽和エステルと、オルトエステルと、カーボネートと、無水物と、エーテルと、アミドと、サッカライドと、ポリエステルと、ポリカーボネートと、ポリカプロラクトン(PCL)と、ポリトリメチレンカーボネート(PTMC)と、ポリジオキサノン(PDO)と、ポリヒドロキシブチレートと、ポリヒドロキシバレレートと、ポリジオキサノンと、ポリオルトエステルと、ポリフォスファーゼンと、ポリウレタンと、コラーゲンと、ヒアルロン酸と、キトサンと、ヒドロキシアパタイト、コラリンアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、カーボネート、バイオガラス、同種移植片、及び自家移植片のうちの少なくとも1又はそれ以上を取り込む高分子と、これらの化合物の混合物及び/又は共重合体とからなる群から選択される生体反復吸収性材料であることを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材。
【請求項5】
請求項1に記載の生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材において、前記第1の材料層及び前記第2の材料層が約1mmないし約100mmの厚さを有することを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材。
【請求項6】
請求項1に記載の生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材において、前記高分子層が約250ミクロンないし約600ミクロンの孔径を有することを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材。
【請求項7】
請求項1に記載の生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材において、前記止血剤がポリN−アセチルグルコサミン、トロンビン、フィブリノーゲン、あるいは、非酸性、水溶性、又は水膨潤性の高分子の水溶液中に構成されるフィブリンからなる群から選択され、限定しないがメチルセルロースと、ヒドロキシアルキルセルロースと、ケラチン硫酸と、水溶性キトサンと、N−アセチルラクトサミン合成酵素と、カルボシキメチルカルボシキエチルセルロースの塩と、キチンと、ヒアルロン酸の塩と、アルギナートと、アルギン酸プロピレングリコールと、グリコーゲンと、デキストランと、カラゲナンと、キトサンと、デンプンと、アミロースと、アルデヒド酸化されたその誘導体とを含むことを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材。
【請求項8】
請求項1に記載の生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材において、前記抗酸化剤がグルタチオンと、リポ酸と、ビタミンEと、アスコルビン酸と、トロロクスと、トコフェロールと、トコトリエノールとからなる群から選択されることを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材。
【請求項9】
請求項1に記載の生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材において、前記一酸化窒素のプロモータが一酸化窒素と、一酸化窒素ドナー化合物と、一酸化窒素前駆体化合物と、一酸化窒素化合物の上方制御因子と、L−アルギニンと、一酸化窒素合成酵素と、ニトロプルシドとからなる群から選択されることを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材。
【請求項10】
減圧治療を組織部位に適用するための減圧治療システムであって、
高分子材料層と、
止血剤と、抗酸化剤と、一酸化窒素のプロモータとからなる群から選択され、前記高分子材料層の一部に吸収される少なくとも1の生体分子と、
前記組織部位と連結して前記高分子層の上方に実質的に配置されるマニホルド層と、
減圧を前記組織部位に送達すべく、前記マニホルド層に流体連結される減圧送達管と、
を具えることを特徴とする減圧治療システム。
【請求項11】
請求項10に記載の減圧送達システムが前記第1の材料層と前記第2の材料層とのうちの1つと隣接して配置される、前記生体反復吸収性ミクロスフェア層と、前記生体反復吸収性ファイバ層とのうちの1つから選択される更なる材料層を更に具えることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項12】
請求項10に記載の減圧送達システムにおいて、前記高分子材料層がポリウレタンと、セルロースと、カルボシキル化されたブタジエン−スチレンゴムと、発泡ポリエステル樹脂と、親水性の発泡エポキシ樹脂と、ポリアクリラートと、GranuFoam(登録商標)と、WhiteFoam(商標)とからなる群から選択されることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項13】
請求項10に記載の減圧送達システムにおいて、前記高分子材料層がポリ乳酸(PLA)(L−ラクチド及びDL−ラクチドの双方)と、ポリ(L−ラクチド−DL−ラクチド)の共重合体と、ポリグリコール酸(PGA)と、アルファエステルと、飽和エステルと、不飽和エステルと、オルトエステルと、カーボネートと、無水物と、エーテルと、アミドと、サッカライドと、ポリエステルと、ポリカーボネートと、ポリカプロラクトン(PCL)と、ポリトリメチレンカーボネート(PTMC)と、ポリジオキサノン(PDO)と、ポリヒドロキシブチレートと、ポリヒドロキシバレレートと、ポリジオキサノンと、ポリオルトエステルと、ポリフォスファーゼンと、ポリウレタンと、コラーゲンと、ヒアルロン酸と、キトサンと、ヒドロキシアパタイト、コラリンアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、カーボネート、バイオガラス、同種移植片、及び自家移植片のうちの少なくとも1又はそれ以上を取り込む高分子と、これらの化合物の混合物及び/又は共重合体とから生成されうる生体反復吸収性材料からなる群から選択されることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項14】
請求項10に記載の減圧送達システムにおいて、前記高分子材料層が前記少なくとも1の生体分子を共有結合に供するように化学修飾されることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項15】
請求項10に記載の減圧送達システムにおいて、前記高分子材料層が前記少なくとも1の生体分子をイオン結合に供するように化学修飾されることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項16】
請求項10に記載の減圧送達システムが、少なくとも2の生体分子を更に含み、第1の前記少なくとも2の生体分子が前記高分子層の第1の部分に吸収され、第2の前記少なくとも2の生体分子が前記高分子層の第2の部分に吸収されることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項17】
請求項10に記載の減圧送達システムにおいて、前記止血剤がポリN−アセチルグルコサミン、トロンビン、フィブリノーゲン、あるいは、非酸性、水溶性、又は水膨潤性の高分子の水溶液中に構成されるフィブリンからなる群から選択され、限定しないがメチルセルロースと、ヒドロキシアルキルセルロースと、ケラチン硫酸と、水溶性キトサンと、N−アセチルラクトサミン合成酵素と、カルボシキメチルカルボシキエチルセルロースの塩と、キチンと、ヒアルロン酸の塩と、アルギナートと、アルギン酸プロピレングリコールと、グリコーゲンと、デキストランと、カラゲナンと、キトサンと、デンプンと、アミロースと、アルデヒド酸化されたその誘導体とを含むことを特徴とする減圧送達システム。
【請求項18】
請求項10に記載の減圧送達システムにおいて、前記抗酸化剤がグルタチオンと、リポ酸と、ビタミンEと、アスコルビン酸と、トロロクスと、トコフェロールと、トコトリエノールとからなる群から選択されることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項19】
請求項10に記載の減圧送達システムにおいて、前記一酸化窒素のプロモータが一酸化窒素と、一酸化窒素ドナー化合物と、一酸化窒素前駆体化合物と、一酸化窒素化合物の上方制御因子と、L−アルギニンと、一酸化窒素合成酵素と、ニトロプルシドとからなる群から選択されることを特徴とする減圧送達システム。
【請求項20】
生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材を生成する方法であって、
止血剤と、抗酸化剤と、一酸化窒素のプロモータとからなる群から選択される少なくとも1の生体分子を調製するステップと、
高分子材料層を調製するステップと、
前記少なくとも1の生体分子を前記高分子材料層の第1の部分に吸収するステップと、
前記生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材を完成するステップと、
を具えることを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材を生成する方法。
【請求項21】
請求項20に記載の生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材を生成する方法が、過剰な前記少なくとも1の生体分子を前記高分子層から除去するステップを更に具えることを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材を生成する方法。
【請求項22】
請求項20に記載の生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材を生成する方法が、前記高分子層に吸収される前記少なくとも1の生体分子を乾燥させるステップを更に具えることを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材を生成する方法。
【請求項23】
請求項20に記載の生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材を生成する方法が、別の前記少なくとも1の生体分子を前記高分子材料層の第2の部分に吸収するステップを更に具えることを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材を生成する方法。
【請求項24】
請求項20に記載の生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材を生成する方法において、前記生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材を完成するステップが、整形、調整、切削、形成、滅菌、及びパッケージングのうちの少なくとも1つによって、前記生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材を処理するステップを具えることを特徴とする、生体分子でコーティングされる減圧式ドレッシング材を生成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−509700(P2011−509700A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541538(P2010−541538)
【出願日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/088636
【国際公開番号】WO2009/088926
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】