説明

生体情報認証装置、生体情報認証システム、及び生体情報認証方法

【課題】生体情報の一部が盗難または紛失したとしても、本人認証の安全性が確保される生体情報認証装置、生体情報認証システム、及び生体情報認証方法を提供する。
【解決手段】生体情報認証システムは、生体情報認証装置10と、携帯媒体20と、ホストコンピュータ30とから構成され、生体情報認証装置10は、各ブロックの動作制御を行うCPU11と、ICカードやSIM等のセキュアIC12、認証に用いる生体情報を一時記憶するためのメモリ13と、指紋センサもしくはCCDセンサ等の生体センサ14と、ネットワークを通じてホストコンピュータ30と通信するためのI/F部15とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、PCもしくは携帯端末と携帯媒体とを利用した認証システムにおいて、アクセスコントロールを安全に運用できる生体情報認証装置、生体情報認証システム、及び生体情報認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現状の生体認証を利用した本人認証システムは、認証に用いる生体情報をサーバまたはPC上に格納している。また、一般的な可搬型の携帯媒体として、接触式ICカード、非接触式ICカード、RFID等にそのデータを格納しており、認証時は生体情報を読出して認証を行っている。このような携帯媒体は、PKI(Public Key Infrastructure)技術を利用したPCや入退出管理のようなアクセスコントロールに利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−25577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術にかかるシステムについては、サーバや携帯媒体のいずれかに生体情報が格納されて、スキャナから入力された生体情報との間で照合を行うことで認証を行っているので、サーバ上の生体情報が漏洩する、または、携帯媒体の盗難や紛失により生体情報が漏れる可能性があるという問題があった。
【0004】
本発明はかかる課題を解決するためになされたもので、生体情報の一部が盗難または紛失したとしても、本人認証の安全性が確保される生体情報認証装置、生体情報認証システム、及び生体情報認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、認証用のデータを記憶する第1の記憶手段を有する携帯媒体との間でデータの送受信を行う通信インターフェース手段と、認証用のデータを記憶する第2の記憶手段と、生体情報を入力する生体情報入力手段とを有する生体情報認証装置において、前記第1、第2の記憶手段に分割して格納された生体情報を結合する結合手段と、前記結合手段により結合された生体情報と、前記生体情報入力手段から入力された生体情報とを照合することにより認証する認証手段とを具備することを特徴とする生体情報認証装置である。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、前記生体情報は、偶数段と奇数段、左右、天地のうち何れかの分割パターンに従って2つ以上の要素に分割して格納されていることを特徴とする請求項1に記載の生体情報認証装置である。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、前記生体情報は、顔、虹彩、指紋、声紋などのいずれかの情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体情報認証装置である。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、認証用のデータを記憶する第1の記憶手段を有する携帯媒体との間でデータの送受信を行う通信インターフェース手段と、認証用のデータを記憶する第2の記憶手段と、生体情報を入力する生体情報入力手段とを有する生体情報認証装置において、前記携帯媒体は、前記第1、第2の記憶手段に分割して格納された生体情報を結合する結合手段と、前記結合手段により結合された生体情報と、前記生体情報入力手段から入力された生体情報とを照合することにより認証する認証手段とを具備することを特徴とする生体情報認証装置である。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、認証用のデータを記憶する第1の記憶手段を有する携帯媒体との間でデータの送受信を行う通信インターフェース手段と、認証用のデータを記憶する第2の記憶手段と、生体情報を入力する生体情報入力手段とを有する生体情報認証装置と、認証用のデータを記憶する第3の記憶手段を具備するネットワーク管理端末とが含まれる生体情報認証システムであって、前記生体情報認証装置は、前記第1から第3の記憶手段に分割して格納された生体情報を結合する結合手段と、前記結合手段により結合された生体情報と、前記生体情報入力手段から入力された生体情報とを照合することにより認証する認証手段とを具備する事を特徴とする生体情報認証システムである。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、認証用のデータを記憶する第1の記憶手段を有する携帯媒体との間でデータの送受信を行う通信インターフェース手段と、認証用のデータを記憶する第2の記憶手段と、生体情報を入力する生体情報入力手段とを有する生体情報認証装置において、生体情報を入力する生体情報入力ステップと、前記第1、第2の記憶手段に分割して格納された生体情報を結合する結合ステップと、前記結合手段により結合された生体情報と、前記生体情報入力手段から入力された生体情報とを照合することにより認証する認証ステップとを行うことを特徴とする生体情報認証方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、生体情報を携帯媒体の記憶手段及び生体情報認証装置内の記憶手段に分割して格納することで、本人認証に用いる生体情報の一部が盗難または紛失したとしても、他の部分が推測されないため、本人認証の安全性が確保することが可能となる。
【0012】
また、生体情報を分割して携帯媒体に格納するので、指紋を偽造して作られた偽造指や携帯媒体の盗難時のなりすましを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態における生体情報認証装置を含む生体情報認証システムの構成を示すブロック図である。図1の生体情報認証システムは、生体情報認証装置10と、携帯媒体20と、ホストコンピュータ(ネットワーク管理端末に相当)30とから構成されている。尚、上記ネットワーク管理端末の中には、上記ホストコンピュータの他に、インターネットやLAN環境におけるサーバーについても含まれる。
【0014】
生体情報認証装置10は、生体情報認証装置10内の各ブロックの動作制御を行うCPU(結合手段、認証手段に相当)11と、ICカードやSIM等のセキュアIC(第2の記憶手段に相当)12と、認証に用いる生体情報を一時記憶するためのメモリ13と、指紋センサもしくはCCD(Charge Coupled Device)センサ等の生体センサ(生体情報入力手段に相当)14と、ネットワークを通じてホストコンピュータ30と通信するためのI/F部(通信インターフェース手段に相当)15とを具備している。上記に記載したセキュアICとは、セキュアなタンパ性を有する1チップマイコン、セキュアICを搭載した媒体、ICカード(スマートカード)、SIM、セキュアなSD、セキュアなUSBなどを含むものになっている。
【0015】
また、携帯媒体20は、ICカードやSIM(Subscriber Identity Module)カード等のセキュアIC(第1の記憶手段に相当)21を有し、ホストコンピュータ30は生体情報認証装置10と通信するためのI/F部31を有している。
【0016】
I/F部15、31は、USB等のシリアル通信またはRFID/赤外線通信等の無線通信のインターフェースブロックである。セキュアIC12、21には耐タンパ性のあるICを用い、分割された生体情報が格納される。尚、ここでの生体情報については、顔、虹彩、指紋、声紋のいずれかであって良い。また、2種類以上の生体情報を用いて認証を行うようにしても良い。
【0017】
分割方法は、いくつかのファイル形式に対して、実行される一般的な分割パターンを利用する。例えば、画像ファイルの場合では、ライン分割や、圧縮方式による分割方法等を用い、画像を構成する画素の偶数段と奇数段とで分割する、画像の左側と、右側とで分割する、もしくは画像の上側にあたる天と、下側にあたる地とで分割する等の2つの要素に分割して格納する。尚、分割する要素の数は2つとしているが、これに限るものではない。
【0018】
生体情報を登録する時には、生体情報のデータの真贋性を保証するためにチェックコードを同時に生成し、登録する。チェックコード生成には、一般的に大容量なメッセージデータをハッシュするための一方向性ハッシュ関数を用いる。
【0019】
セキュアIC12で分割データ1をハッシュしてコード化する。セキュアIC21で分割データ2のハッシュをして、チェックコード生成時に分割データ1のコードと組み合わせて使用することで、データを結合したときに、一括したハッシュ生成が可能となり、認証できる。更に、生体情報との照合を行うことで本人であることの信頼度を高めることができる。
【0020】
以下、本発明の実施形態の生体情報認証装置10の動作について説明する。図2は、本発明の実施形態にかかる生体情報認証装置10の生体情報登録時の動作内容を示すフローチャートである。ステップS101では、生体センサ14で生体情報が入力される。ステップS102では、ステップS101で入力された生体情報について、生体センサ14での読み取りデータの補完のための補正を行う。
【0021】
ステップS103では、生体情報の分割方法を選択する。このときの選択は、生体情報認証装置10が任意に選択してもよく、入力手段を介してユーザから入力される指示に従って選択されるようにしても良い。この選択された分割方法については、選択された分割方法を識別するための分割パラメータを設定し、生体情報の分割データと共に記憶される。
【0022】
ステップS104では、生体情報の分割処理を行う。即ち、ステップS102で補正された生体情報を分割データ1、2に分割し、メモリ13に一時保存を行う。ステップS105では、生体情報登録時のチェックコードの生成を行う。ステップS106では、分割データ1及びそのチェックコードを生体情報認証装置10内のセキュアIC12に登録すると共に、分割データ2及びそのチェックコードを携帯媒体20内のセキュアIC21に登録する。
【0023】
図3は、本発明の実施形態にかかる生体情報認証装置10のシステム認証時の動作内容を示すフローチャートである。ステップS201では、生体センサ14にて生体情報が入力される。ステップS202では、携帯媒体20との間で機器間相互認証を行う。即ち、生体情報認証装置10にアクセスした機器端末である携帯媒体20が正当なものかどうかの認証を行う。ステップS203では、セキュアIC12、21内に格納された生体情報の分割データ1、2をメモリ13に読み出す。
【0024】
ステップS204では、生体情報の分割データと共に記憶された分割パラメータを参照する。ステップS205では、ステップS204で参照された分割パラメータによって示される分割方法に対応する結合方法に従って、ステップS203で読み出された生体情報の結合を行う。ステップS206では、結合時のチェックコードの生成を行う。ステップS207では、ステップS206で生成されたチェックコードの認証が成功したかどうかを判定する。成功した場合はステップS208に進み、成功していない場合はステップS210に進む。
【0025】
ステップS208では、ステップS201で入力された生体情報と、ステップS205で結合された生体情報との照合結果が適合したかどうかを判定する。照合が適合した場合はステップS209に進み、照合が適合しなかった場合はステップS210に進む。ステップS209では、ホストコンピュータ30から生体情報認証装置10に対して証明書を送信する。ステップS210では、メモリ13に保存されているデータをクリアする。
【0026】
これにより、生体情報を携帯媒体のそれぞれのセキュアICに分割して格納することで、本人認証に用いる生体情報の一部が盗難または紛失したとしても、他の部分が推測されないため、安全な生体情報認証装置及び、生体情報認証システムを提供することが可能となる。また、生体情報を分割して携帯媒体に格納するので、偽造指や携帯媒体の盗難時のなりすましを防止することができる。
【0027】
また、生体情報のデータの真贋性を保証するため、チェックデータを格納し認証することで、より安全な本人認証を行う事ができる。さらに、PKI技術により本人である証明書を送付することで、さらに信頼性の高めることが可能となる。
【0028】
尚、本実施形態では生体情報認証装置10内のCPU11が認証の処理を行っていたが、携帯媒体20が認証の処理を行うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態における生体情報認証装置10を含む生体情報認証システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる生体情報認証装置10の生体情報登録時の動作内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態にかかる生体情報認証装置10のシステム認証時の動作内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0030】
10…生体情報認証装置、 20…携帯媒体、 30…ホストコンピュータ、 11…CPU、 12、21…セキュアIC、 13…メモリ、 14…生体センサ、 15、31…I/F部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証用のデータを記憶する第1の記憶手段を有する携帯媒体との間でデータの送受信を行う通信インターフェース手段と、認証用のデータを記憶する第2の記憶手段と、生体情報を入力する生体情報入力手段とを有する生体情報認証装置において、
前記第1、第2の記憶手段に分割して格納された生体情報を結合する結合手段と、
前記結合手段により結合された生体情報と、前記生体情報入力手段から入力された生体情報とを照合することにより認証する認証手段とを具備することを特徴とする生体情報認証装置。
【請求項2】
前記生体情報は、偶数段と奇数段、左右、天地のうち何れかの分割パターンに従って2つ以上の要素に分割して格納されていることを特徴とする請求項1に記載の生体情報認証装置。
【請求項3】
前記生体情報は、顔、虹彩、指紋、声紋などのいずれかの情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体情報認証装置。
【請求項4】
認証用のデータを記憶する第1の記憶手段を有する携帯媒体との間でデータの送受信を行う通信インターフェース手段と、認証用のデータを記憶する第2の記憶手段と、生体情報を入力する生体情報入力手段とを有する生体情報認証装置において、
前記携帯媒体は、
前記第1、第2の記憶手段に分割して格納された生体情報を結合する結合手段と、
前記結合手段により結合された生体情報と、前記生体情報入力手段から入力された生体情報とを照合することにより認証する認証手段とを具備することを特徴とする生体情報認証装置。
【請求項5】
認証用のデータを記憶する第1の記憶手段を有する携帯媒体との間でデータの送受信を行う通信インターフェース手段と、認証用のデータを記憶する第2の記憶手段と、生体情報を入力する生体情報入力手段とを有する生体情報認証装置と、認証用のデータを記憶する第3の記憶手段を具備するネットワーク管理端末とが含まれる生体情報認証システムであって、
前記生体情報認証装置は、
前記第1から第3の記憶手段に分割して格納された生体情報を結合する結合手段と、
前記結合手段により結合された生体情報と、前記生体情報入力手段から入力された生体情報とを照合することにより認証する認証手段とを具備する事を特徴とする生体情報認証システム。
【請求項6】
認証用のデータを記憶する第1の記憶手段を有する携帯媒体との間でデータの送受信を行う通信インターフェース手段と、認証用のデータを記憶する第2の記憶手段と、生体情報を入力する生体情報入力手段とを有する生体情報認証装置において、
生体情報を入力する生体情報入力ステップと、
前記第1、第2の記憶手段に分割して格納された生体情報を結合する結合ステップと、
前記結合手段により結合された生体情報と、前記生体情報入力手段から入力された生体情報とを照合することにより認証する認証ステップとを行うことを特徴とする生体情報認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−65388(P2008−65388A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239465(P2006−239465)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】