説明

生物学的に活性な因子の部位特異的送達のための、磁気成分および生体適合性ポリマーを含む磁気標的化可能な粒子

本発明は、少なくとも1つの磁気成分を含む磁気標的化可能な粒子に関する。この粒子は、インビボの医療的診断および/または医療的処置のための生物学的に活性な物質を、部位または器官に選択的に送達し得る。この粒子は、カプセル化プロセスのような多くのプロセスにより調製される。また、粒子を作製する方法、粒子を利用した、生物学的に活性な因子の局所的インビボ送達のための方法、粒子の投与のためのキット、ならびに粒子を滅菌する方法が、記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、生物学的に活性な化合物を運搬可能な磁気標的化可能な粒子についての組成物、製造方法および使用方法に関する。これらの粒子は、疾患に対する治療処置として、診断補助として、または診断薬および治療薬の両方として作用し得る両機能性組成物として、体内の特異的部位に標的化され得る。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
哺乳動物の体内で所望の部位に対して治療剤を選択的に標的化する能力は、進行中の難題である。生物学的に活性な因子の標的化された送達は、全身性の副作用を最小にしつつ薬物の治療活性の増強を可能にする。種々の疾患を処置するための磁気キャリア組成物は、以前より記載されており、そして特定の局所に標的化される組成物を含む。不運にも、これらの組成物は、治療上の利益をほとんど実証しなかった(WidderおよびSenyei、特許文献1およびWidderおよびSenyei、特許文献2;Liebermanら、特許文献3;Schroderら、特許文献4;Chang、特許文献5;Mirell、特許文献6、ならびにKirpotinら、特許文献7)。
【0003】
磁気ミクロスフェアまたは磁気ナノスフェアは、生物工学および医学の種々の分野で非常に有益である。現在、磁気粒子は、生化学的産物の分離(非特許文献1;および非特許文献2)、および細胞の分離(非特許文献3;および非特許文献4)、ならびにDNA検出(非特許文献5;非特許文献6)のため、インビトロで使用される。磁気応答性粒子は、ナノ粒子の形態(非特許文献7)、デンプンミクロスフェアの形態(非特許文献8)、または磁気粒子の形態(非特許文献9;非特許文献10)で適用される場合の磁気共鳴映像法(MRI)において、コントラストを増大することが示されている。上記の参考文献に記載されたナノ粒子およびミクロ粒子の全ては、磁気応答性物質として酸化鉄(マグネタイト)を使用して作製され、そして分離適用および画像化適用のために、粒子サイズならびに磁化率に関する特定の要件を有する。これらのマグネタイトベースの粒子は分離適用および画像化適用においていくらかの成功を示してきたが、このような組成物は、治療的使用に関して実践的および/または効果的であることが実証されてない。実際、これらの粒子は、有効な磁気標的化をもたらす磁化率を有さず、そしてこれら粒子は、治療関係量の生物学的活性な因子を送達するための適切な能力に欠ける。(非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17)。
【0004】
これまで公知のこのような組成物は、実践的および/または効果的とは証明されていなかった。しばしば、標的化部位に非効果的な薬物濃度が送達される(非特許文献14)。多くの組成物は、適切な輸送能力を欠いており、弱い磁化率を示し、そして/またはこれら粒子を局在させるために実践的でも一般的でもどちらでもない極端に高い磁束密度を必要とする。これら組成物が使用される場合、正確な局所的治療を提供するような粒子の実際の局在が存在しない。他の欠点として、非効率的な標的化に起因して、標的化されない器官に対する非特異的結合および毒性が挙げられる。いくつかの組成物は、設計された能力を変化せずに、継続的に製造または調製すること、滅菌すること、および保存することが困難である。
【0005】
マグネタイトベースの粒子を開発および改良するために多くの努力がなされてきたが、標的領域へのこれら粒子の効果的送達および効果的保持を達成するための適切な粒子サイズおよび適切な粒子サイズ分布を有する、磁気成分(例えば、磁硫鉄鉱(Fe)およびグリグ鉱(greigite)(Fe)のような磁鉄硫化物、アルニコ5、アルニコ5DG、SmCo17、SmCoおよびNdFeBのような磁気セラミック、磁マンガン鉱(MnFe)、トレボライト(trevorite)(NiFe)、アワルアイト(awaruite)(NiFe)およびワイラウアイト(wairauite)(CoFe)のような磁鉄合金、ならびに金属鉄(Fe)、金属コバルト(Co)および金属ニッケル(Ni)のような磁性合金)、ならびに生物学的に活性な因子およびポリマー性物質を組み込むための努力は、なされていない。例えば、金属鉄粒子を使用するのに重要な困難が経験されている。なぜなら、これら粒子は安定でなくそして空気中で容易に酸化されるからである。実際、金属鉄が磁気標的化可能なポリマー性粒子を調製するのに使用されていないことは、この酸化傾向に起因する。その上、鉄の酸化が鉄を鉄酸化物へと変換して最終の粒子の磁気応答性を劇的に低減することに起因して、鉄の酸化感受性は、任意のカプセル化プロセスを非常に挑戦的なことにさせる。さらに、高密度の金属鉄は、任意の懸濁技術または乳化技術を使用してこれら鉄粒子をポリマーマトリックスにカプセル化することを、非常に困難にする。
【特許文献1】米国特許第4,247,406号
【特許文献2】米国特許第4,357,259号
【特許文献3】米国特許第4,849,209号
【特許文献4】米国特許第4,501,726号
【特許文献5】米国特許第4,652,257号
【特許文献6】米国特許第4,690,130号
【特許文献7】米国特許第5,411,730号
【非特許文献1】Margelら、J.Cell Sci.56:157−175(1982)
【非特許文献2】Hedrumら、PCR Methods Applications 2:167−171(1992)
【非特許文献3】Kemsheadら、Br.J.Cancer,54:771−778(1986)
【非特許文献4】DeRosaら、Haematologica 76:37−40,75−84(1992)
【非特許文献5】Debuireら、Clin.Chem.39:1682−1685(1993)
【非特許文献6】Suzukiら、J.Virol.Meth.41:341−350(1993)
【非特許文献7】Pouliquenら、Magn.Reson.Med.24:75−84(1992)
【非特許文献8】Fahlvikら、Invest.Radiol.25:793−797(1990)
【非特許文献9】Van Beersら、Eur.J.Rad.14:252−257(1992)
【非特許文献10】Oksendalら、Acta Radiologica 34:187−193(1993)
【非特許文献11】Widderら、Proc.Soc Exp.Biol.Med.58:141(1978)
【非特許文献12】Widderら、Eur.J.Cancer Clin.Oncol.19:135(1983)
【非特許文献13】Pulferら「Targeting Magnetic Microspheres to Brain tumors」Scientific and Clinical Applications of Magnetic Carriers,Hafeliら、編、Plenum Press,New York(1997)
【非特許文献14】LubbeおよびBergemann,「Selected Preclinical and First Clinical Experiences with Magnetically Targeted 4’−Epidoxorubicin in Patients with Advanced Solid Tumors」Scieratific and Clinical Applications of Magnetic Carriers,Hafeliら、編、Plenum Press,New York(1997)
【非特許文献15】HongmingおよびLanger、J.Pharm.Res.14:537(1997)
【非特許文献16】Hafeliら、J.Biomed.Mater.Res.28:901−908(1994)
【非特許文献17】Muller−Schulteら、「A new AIDS therapy approach using magnetoliposomes」Scientific and Clinical Applications of Magnetic Carriers,Hafeliら、編、Plenum Press,New York,(1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以前に報告されたマグネタイトとは異なる化学構造および物理構造ならびにより高い磁化率の磁気物質を含む磁気標的化可能な組成物を提供することは、本発明の1つの目的である。本発明はこの目的に合致し、そしてまた、このような磁気標的化可能な組成物を生産するための方法を提供し、そして上記に挙げられた先行技術における困難に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、粒子に組込まれる磁気応答性物質を提供し、これはさらに、ポリマーおよび生物学的に活性な因子を含む。この磁気成分は、正常のヒトの体温(37℃)より高いキュリー温度化を有する一般的特性、高い磁気飽和(>約20Am/kg)を有する一般的特性、そして強磁性またはフェリ磁性である一般的特性を有する。適切な磁気成分の例としては、磁硫鉄鉱(Fe)およびグリグ鉱(Fe)のような磁鉄硫化物、アルニコ5、アルニコ5DG、SmCo17、SmCoおよびNdFeBのような磁気セラミック、磁マンガン鉱(MnFe)、トレボライト(NiFe)、アワルアイト(NiFe)およびワイラウアイト(CoFe)のような磁鉄合金、ならびに金属鉄(Fe)、金属コバルト(Co)および金属ニッケル(Ni)のような磁性金属が、挙げられる。各々の磁気成分は、その化学式特異的な夾雑物を含んでいてもよく、この化学式特異的な夾雑物は物質の磁気特性を変更してもしなくてもよい。キュリー温度および磁気飽和値についての上記制限内でドープされた強磁性物質またはフェリ磁性物質は、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0008】
約1重量%〜約70重量%のポリマー、約30重量%〜約99重量%の磁気成分、ならびに重量で10億分の1〜約25重量%の生物学的に活性な因子を含む、直径約0.1μm〜約30μmの磁気応答性組成物を提供することは、本発明の目的の1つである。好ましくは、この生物学的に活性な因子は、特定の疾患を診断および/または処置する効力について選択される。
【0009】
本発明の別の局面は、疾患の局所的インビボ診断または局所的インビボ処置に対して本発明の粒子を部位特異的に標的化するために磁石を使用する方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の局面は、以下を含む磁気標的化可能な粒子である:
a)磁気成分であって、ここでこの磁気成分がマグネタイトでもヘマタイトでもマグヘマイトでもない、磁気成分
b)生体適合性ポリマー;および
c)生物学的に活性な因子。
【0011】
本発明の別の局面は、以下の成分の組み合わせる工程を含む、磁気標的化可能な粒子を生産する方法を提供することである:
a)磁気成分であって、ここでこの磁気成分がマグネタイトでもヘマタイトでもマグヘマイトでもない、磁気成分
b)生体適合性ポリマー;および
c)生物学的に活性な因子。
【0012】
本発明のなお別の局面は、生物学的に活性な因子を患者に投与するためのキットであり、このキットは、単位用量の上記磁気標的化可能な粒子、およびこれら粒子の投与を可能にするビヒクルを、備える。
【0013】
本発明のさらに別の局面は、上記磁気標的化可能な粒子を滅菌する方法であり、この方法は滅菌量のγ線照射をこれら粒子に照射する工程を含む。
【0014】
本発明のなお別の局面は、以下の工程を含む生物学的に活性な因子の局所的インビボ送達のための方法である:
a)本発明の磁気標的化可能な粒子を、注射のためのビヒクル中に懸濁する工程;
b)この生物学的に活性な因子を入れたビヒクルを患者に注射する工程;および
c)目的部位で磁気標的化可能な粒子の一部を誘導しかつ保持するのに十分な磁場強度を確立する工程。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は磁気標的化可能な組成物であり、この組成物は1重量%〜70重量%の生体適合性ポリマー、30重量%〜99重量%の磁気成分、および重量で10億分の1〜約25重量%の生物学的に活性な因子を含む。1%未満のポリマーを有する組成物を用いる場合、粒子の物理学的完全性は最適には及ばない。70%より多いポリマーの組成物を用いる場合、生物学的に活性な物質をインビボで標的化するのに最適なレベルを超え、粒子の磁化率は一般的に低減される。この組成物は任意の形状であり得、これは有利な特性を授ける異なる形状であり、直径約0.1〜約30μmの平均サイズを有する。
【0016】
磁気成分は、正常のヒトの体温(37℃)より高いキュリー温度(Tc)を有し、高い磁気飽和(>約20Am/kg)を有し、そして強磁性またはフェリ磁性である一般的特性を有する。適切な磁気成分の例としては、磁硫鉄鉱(Fe)およびグリグ鉱(Fe)のような磁鉄硫化物、アルニコ5、アルニコ5DG、SmCo17、SmCoおよびNdFeBのような磁気セラミック、磁マンガン鉱(MnFe)、トレボライト(NiFe)、アワルアイト(NiFe)およびワイラウアイト(CoFe)のような磁鉄合金、ならびに金属鉄(Fe)、金属コバルト(Co)および金属ニッケル(Ni)のような磁性金属が、挙げられる。各々の磁気成分は、その化学式特異的な夾雑物を含み得、この化学式特異的な夾雑物は物質の磁気特性を変更してもしなくてもよい。キュリー温度および磁気飽和値についての上記制限内でドープされた強磁性物質またはフェリ磁性物質は、本発明の範囲内にあるとみなされる。本発明の磁気成分および磁気化可能な組成物から、鉄酸化物のマグネタイト(Fe)、ヘマタイト(αFe)およびマグヘマイト(γFe)が、特に除外される。
【0017】
用語「金属鉄」は、鉄が主として「ゼロ価」状態(Fe)にあることを示す。一般的に、金属鉄は、約85%より多いFeであり、好ましくは約90%より多いFeである。より好ましくは、金属鉄は約95%より多い「ゼロ価」鉄である。金属鉄は、高い磁気飽和および高い磁気密度(218emu/gおよび7.8g/cm)を有する物質であり、これはマグネタイト(92emu/gおよび5.0g/cm)よりずっと高い。金属鉄の密度は7.8cmであり、一方、マグネタイトは約5.0g/cmである。従って、金属鉄の磁気飽和は、単位容量当りマグネタイトの磁気飽和より約4倍高い(CRC Handbook,第77版,CRC Press(1996−1997)およびCraik,D.,Magnetism Principles and Applications,Wiley and Sons(1995))。
【0018】
本発明の磁気成分の使用は、有意により高い磁気飽和(>50emu/g)を有する磁気応答性組成物を生じる。このより高い磁気飽和は、生物学的に活性な因子を有するキャリアが所望の部位に効果的に標的化されること、および最終的に血管壁を通って管外に遊出して組織内に進入するのを可能にする。
【0019】
用語「生体適合性ポリマー」は、インビボで使用され得る任意の合成ポリマーおよび/または天然のポリマーを含むよう意味される。生体適合性ポリマーは、生体不活性および/または生体分解性であり得る。生体適合性ポリマーのいくつかの非限定的な例は、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリカーボネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリ無水物、ポリアミド、ポリアクリル酸、ポロキサマー(poloxamer)、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリオルトカーボネート、ポリホスファゼン(polyphosphazene)、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(アミノ酸)、アルギナート、アガロース、キチン、キトサン、ゼラチン、コラーゲン、アテロコラーゲン、デキストラン、タンパク質、およびポリオルトエステル、ならびにこれらのコポリマー、ターポリマーおよび組み合せ、ならびにこれらの混合物である。
【0020】
生体適合性ポリマーは、マトリックスの形態で調製され得る。マトリックスとはポリマー性ネットワークである。1つの型のポリマー性マトリックスはヒドロゲルであり、これは含水ポリマー性ネットワークとして定義され得る。ヒドロゲルを調製するために使用されるポリマーは、種々のモノマー型(例えば、メタクリル酸エステルモノマーおよびアクリル酸エステルモノマー、アクリルアミド(メタクリルアミド)モノマー、ならびにN−ビニル−2−ピロリドンに基づくモノマー型)に基づき得る。ヒドロゲルはまた、デンプン、エチレングリコール、ヒアルロン(hyaluran)酸、キトースおよび/またはセルロースのようなポリマーに基づき得る。ヒドロゲルを形成するため、モノマーは代表的に、架橋剤(例えば、エチレンジメタクリレート、N,N’−メチレンジアクリルアミド、メチレンビス(4−フェニルシソシアネート)、エピクロルヒドリン(epichlarohydrin)グルタルアルデヒド、エチレンジメタクリレート、ジビニルベンゼン、およびアリルメタクリレート)と架橋される。ヒドロゲルはまた、デンプン、エチレングリコール、ヒアルロン酸、キトースおよび/またはセルロースのようなポリマーに基づき得る。さらに、ヒドロゲルはモノマーとポリマーとの混合物から形成され得る。
【0021】
別の型のポリマー性ネットワークは、より疎水性のモノマーおよび/またはマクロマーから形成され得る。これらの物質から形成されるマトリックスは、一般的に、水を排除する。疎水性マトリックスを調製するために使用されるポリマーは、種々のモノマー型(例えば、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート、ならびにポリエステル形成モノマー(例えば、ε−カプロラクトン、グリコリド、乳酸、グリコール酸、およびラクチド))に基づき得る。水環境における使用のために調製される場合、これらの物質は架橋される必要はないが、ジビニルベンゼンのような標準的な因子で架橋され得る。疎水性マトリックスはまた、適切な反応基を有するマクロマーの反応(例えば、ジイソシアネートマクロマーとジヒドロキシマクロマーとの反応、およびジエポキシ含有マクロマーと二無水物含有マクロマーとかまたはジアミン含有マクロマーとの反応)から形成され得る。
【0022】
生体適合性ポリマーは、デンドリマーの形態で調製され得る。これらのデンドリマーの大きさ、形状および特性は、特化した最終用途(例えば、単位ポリマー当たり高い濃度の運搬物質の送達のための手段、制御的送達、標的化送達および/または複数種の送達または使用)に合致するよう分子的に調整され得る。デンドリマー性ポリマーは、当該分野に公知の方法に従って調製され得る(例えば、米国特許第4,587,329号または同5,714,166号)。ポリアミンデンドリマーは、アンモニアまたは複数の第一級アミンを有するアミンと、N−置換アジリジン(例えば、N−トシルアジリジンまたはN−メシルアジリジン)とを反応させて、保護された第一世代ポリスルホンアミドを形成することにより、調製され得る。次いで、この第一世代ポリスルホンアミドは酸(例えば、硫酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、フルオロスルホン酸またはクロロスルホン酸)で活性化されて、第一世代ポリアミン塩を形成する。次いで、この第一世代ポリアミン塩をさらにN−保護化アジリジンと反応させて、保護された第二世代ポリスルホンアミドを形成する。この連続は、より高度な世代のポリアミンを生産するために繰り返され得る。ポリアミドアミンは、最初にアンモニアとメチルアクリレートとを反応させることにより調製され得る。得られた化合物を、過剰のエチレンジアミンと反応させて、3つのアミドアミン部分を有する第一世代の付加体を形成する。次いで、この第一世代付加体を過剰のメチルアクリレートと反応させて、メチルエステル部分の末端を有する第二世代付加体を形成する。次いで、この第二世代付加体を過剰のエチレンジアミンと反応させてポリアミドアミンデンドリマーを生産し、このポリアミドアミンデンドリマーは、アミン部分の末端を有する順序だった第二世代の樹木状分枝を有する。アミドアミン部分を有する同様なデンドリマーは、中心化合物として有機アミン(例えば、4分枝のデントリマーを生じるエチレンジアミン、または5分枝のデンドリマーを生じるジエチレントリアミン)を使用することにより作製され得る。
【0023】
本発明の生体適合性ポリマーは、例えば、生体分解性、生体吸収性(bioresorbable)、生体不活性、および/または生体安定性(biostable)であり得る。生体吸収性ヒドロゲルを形成するポリマーは、一般的に、多糖類(これらの例としては、ヒアルロン酸、デンプン、デキストラン、ヘパリン、およびキトサンが挙げられるが、これらに限定されない);およびタンパク質(および他のポリアミノ酸)(この例としては、ゼラチン、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、アルブミンおよびこれらの活性ペプチドドメインが挙げられるが、これらに限定されない)のような、天然に存在するポリマーである。これらの物質から形成されたマトリックスは、一般的に酵素媒介性加水分解を介して、生理学的条件下で分解する。
【0024】
生体吸収性マトリックスを形成するポリマーは、一般的に、1つ以上のモノマーの縮重合を介して調製される合成ポリマーである。この型のマトリックスを形成するポリマーとしては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ乳酸コグリコリド(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ならびにこれらの物質のコポリマー、ポリ無水物およびポリオルトエステルが、挙げられる。
【0025】
生体安定性および生体不活性のヒドロゲルマトリックスを形成するポリマーは、一般的に、水溶性の合成ポリマーまたは天然に存在するポリマーであり、これらのマトリックスは、ヒドロゲルまたは含水ゲルである。この型のポリマーの例としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルアミド(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられる。
【0026】
生体安定性および生体不活性のマトリックスを形成するポリマーは、一般的に、疎水性モノマー(例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ジメチルシロキサンなど)から形成される合成ポリマーである。これらのポリマー物質は一般的に、有意な水溶性を有さないが、活性化の際に強固なマトリックスを形成するニート(neat)液体として調製され得る。親水性モノマーおよび疎水性モノマーの両方を含むポリマーを合成することもまた可能である。
【0027】
本発明のポリマーは、必要に応じて、多くの所望の機能および特性を提供し得る。水溶性領域、生体分解可能な領域、疎水性領域ならびに重合可能領域を有するポリマーも、提供され得る。
【0028】
種々のポリマーおよびマトリックスを形成するための方法は、当該分野で周知である。例えば、種々の方法および材料は、以下に記載される:米国特許第6,410,044号、国際特許公開公報WO93/16687;米国特許第5,698,213号;米国特許第6,312,679号;米国特許第5,410,016号;および米国特許第5,529,914号、米国特許第5,501,863号(これらは全て本明細書中で参考として援用される)。
【0029】
粒子を生産するために使用される方法は、1つ以上の磁気成分、1つ以上の生体適合性ポリマーおよび1つ以上の生物学的に活性な因子を含む粒子を生じる。これまでの組成物と異なり、本発明の組成物中の鉄酸化物の量は制限され、従って、存在する場合であっても例えば5%未満のごく少量で存在する。本発明の磁気成分は、高い磁化率を有する周知の物質である。多くの磁気成分は、種々のグレード(例えば、薬学的グレード)で市販されている。
【0030】
粒子の調製前に、磁気成分は、ポリマーとの適合性、生物学的活性な因子との適合性、または組み込み効率を向上させるために、種々の形状、サイズ、表面積、および表面化学を有するよう処理され得る。多くの異なるプロセスを使用して、ポリマーと磁気成分の磁化率との適合性を上昇および最適化し得、そして組み込み効率を向上させ得る。例えば、素の磁気物質は、ガス相処理もしくはガス相活性化、粉砕、熱活性化、官能基の化学蒸着法または当業者に明白な他の任意の種々の技術を受け得る。(例えば、Reynoldson,R.W.Heat Treatment of Metals,28:15−20(2001);Ucisikら,J.Australasian Ceramic Soc.,37,(2001);Isakiら,日本国特許第08320100号(1996);およびPantelisら,「Large scale pulsed laser surface treatment of a lamella graphite cast iron」,Surface Modification Technologies VIII.Proceedings,第8回Interrialional Confeneftce,Nice,France,26−28 1994年9月,編者 T.S.Sudarshan,M.Jeandin,J.J.Stiglich,W.Reitz.編:London SW1Y5DB,UK The Institute of Materials,297−309(1995)を参照のこと)。
【0031】
高エネルギー粉砕プロセスは、粉砕ボールを備えるキャニスター中に、磁気粉末と液体(例えば、エタノール)とを併せる工程からなる。この液体は、粉砕プロセスの間の潤滑剤として役立ち、そしてまた、粉末の酸化を阻害する;このことは、鉄を含む磁気粒子を加工する場合に特に重要な検討である。次いで、このキャニスターは、冶金学において特徴的に使用される型の研究室の遊星ミル(すなわち、Fritsh、Germanyにより製作されるミル)に置かれる。類似の結果を生じる他の型のミルもまた使用され得る。適切な時間(一般的に1〜10時間の間)、適切な速度(例えば、100〜1000rpmの間)でこのミルが運転される。このサイクルの終了時に、磁気成分を収集する。この磁気成分を、所望の場合、再懸濁し、そしてホモジナイズする。この磁気成分を任意の適切な技術により乾燥して、この物質の酸化に対する保護をもたらす。このプロセスは、物質の伸びをもたらし、極の隔たりの増大に起因してよりこの物質をより大きな磁化率にさせ、磁気物質の質量当たりの表面積をより広大にさせる。
【0032】
別のプロセスとして、磁気成分をガス相処理に供する工程が挙げられる。例えば、磁気成分を、オーブン内の石英コンテナ中に置き得る。水素を使用してオーブン内の空気を置換し得、次いで温度を、例えば約300℃に上昇させる。この磁気成分を約2時間この環境に放置する。サイクルの終了時に、温度を下げ、そして水素を窒素に置換する。一旦磁気成分の温度が室温まで戻ったら、これを収集しそして包装する。このプロセスは、磁気成分表面の荒さの増大を生じ、生体適合性ポリマーおよび生物学的に活性な因子の連結の増強をもたらす。
【0033】
本発明の1つの実施形態において、磁気成分は約0.05〜約30ミクロンのサイズ、より好ましくは0.1〜10ミクロンの間のサイズを有する。代表的に、任意の磁気成分は、本質的に、化学的に純粋である。例えば、金属鉄が磁気成分として使用される場合、この純度は85%より高い金属鉄であり、より好ましくは90%より高い金属鉄であり、そして最も好ましくは95%より高い金属鉄である。この磁気成分は、市販され得るか、または所望のサイズおよび表面特性を得るためにさらに処理され得る。
【0034】
磁気標的化可能な粒子は、種々のプロセスを使用して調製され得、このプロセスとしては、乳化、溶媒蒸発乳化、懸濁、コアセルベーション、沈殿、噴霧乾燥、噴霧コーティング、および発泡乾燥(bubble drying)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、乳化プロセスにおいて、ポリマーを溶媒に溶解する。次いで、磁気成分を得られた溶液中に分散させる。種々の量の生物学的に活性な因子を得られた懸濁物に分散させる。次いで、この混合物を、界面活性剤を用いるか、または界面活性剤を用いずに乳化させる。所望の平均サイズおよびサイズ分布が得られるまで、ホモジナイズを継続し得る。次いで、この溶液を蒸発させる。必要に応じて、これら粒子を溶液または溶媒で洗浄する。収集された粒子を、例えば、減圧オーブンにおいて減圧下で乾燥させ得る。室温または低温で、粒子を保存し得る。
【0035】
1つ以上の生物学的に活性な因子が、磁場の制御の下での特定の部位への送達のため、粒子に組み込まれる。生物学的に活性な因子は、架橋を介して粒子に組み込まれる。例えば、生物学的に活性な因子は、直接的またはリンカーを介してのいずれかでポリマーと共有結合され得る。あるいは、生物学的に活性な因子は、直接的またはリンカーもしくは誘導体を介してのいずれかでポリマーとイオン性に繋がれ得るか、または会合され得る。生体適合性ポリマーはまた、ポリマーマトリックス(例えば、ヒドロゲルまたはブロックコポリマー)内に含まれ得、そして制御された速度で粒子から分散するのを可能にされ得る。生物学的に活性な因子の分散速度は、マトリックスの組成を変動させることにより、制御され得る。
【0036】
用語「生物学的に活性な因子」は、診断特性および/または治療特性を有する任意の物質を含むよう意味され、この物質としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:低分子、高分子、ペプチド、タンパク質、酵素、DNA、RNA、遺伝子、細胞、または放射性ヌクレオチド。治療特性の非限定的な例は、抗代謝特性、抗真菌特性、抗炎症特性、抗腫瘍特性、抗感染特性、抗生物質特性、栄養特性、アゴニスト特性、およびアンタゴニスト特性である。用語「a」および「one」は共に、「1以上」および「少なくとも1」として意図されるよう意味される。
【0037】
用語「生物学的に活性な因子」はまた、診断目的のために使用され、そして明らかな生理学的効果も治療効果も有さない化合物を、含む。診断特性および治療特性の両方を有する二機能性因子もまた企図される。
【0038】
生物学的に活性な因子の非限定的な例としては、以下が挙げられる:抗腫瘍性剤、血液製剤、生物学的応答変更因子、抗真菌剤、抗生物質、ホルモン、ビタミン、タンパク質、ペプチド、酵素、染料、抗アレルギー剤、抗凝固製剤、循環器系薬、代謝強化剤、抗結核剤、抗ウイルス剤、抗狭心剤、抗炎症剤、抗原生動物剤、抗リューマチ剤、麻薬、鎮痛剤、診断性造影剤、強心配糖体、神経筋遮断薬、鎮静薬、麻酔薬、常磁性粒子、および放射性分子または放射性粒子。
【0039】
より具体的には、磁気標的化可能な粒子に組み込まれ得る生物学的に活性な因子は、例えば、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ムスカリンレセプターのアゴニストおよびアンタゴニスト;抗コリンエステラーゼ剤;カテコールアミン、交感神経作用薬、ならびにアドレナリン(andrenergic)レセプターアンタゴニスト;セロトニンレセプターのアゴニストおよびアンタゴニスト;局所麻酔および全身麻酔;抗偏頭痛(例えば、エルゴタミン、カフェイン、スマトリプタンなど);抗てんかん剤;中枢神経変性障害の処置のための因子;オピオイド鎮痛薬およびオピオイド拮抗薬;抗炎症剤(抗喘息薬を含む);ヒスタミンアンタゴニストおよびブラジキニンアンタゴニスト、脂質由来オータコイド;非ステロイド性抗炎症剤および抗痛風剤;抗利尿剤(例えば、バソプレッシンペプチド);レニン−アンジオテンシンシステムのインヒビター(例えば、アンジオテンシン転換酵素インヒビター);心筋虚血の処置に使用される因子(例えば、有機性硝酸塩)、Ca2+チャネルアンタゴニスト、β−アドレナリンレセプターアンタゴニスト、ならびに抗血小板薬/抗血栓症剤;降圧剤(例えば、利尿剤)、血管拡張剤、Ca2+チャネルアンタゴニスト、β−アドレナリンレセプターアンタゴニスト;強心配糖体(例えば、ジゴキシン)、ホスホジエステラーゼインヒビター;抗不整脈剤;抗リポタンパク血症剤;胃酸性制御剤および消化性潰瘍の処置剤;胃腸の水流動および胃腸の運動に影響する因子;子宮の収縮または弛緩を引き起こす因子;抗原生動物剤;駆虫剤;抗微生物剤(例えば、スルホンアミド、キノリン、トリメトプリム・スルファメトキサゾール配合剤);β−ラクタム乳酸抗生物質;アミノ配糖体;テトラサイクリン;エリスロマイシンおよびその誘導体;クロラムフェニコール、ヒト型結核菌;トリ型結核菌(Mycobacterium avium)複合疾患およびらい病の化学治療において使用される因子;抗真菌剤;ならびに抗ウイルス剤;抗腫瘍剤(例えば、アルキル化剤、抗代謝剤);天然産物(ビンカアルカロイド、抗生物質(例えば、ドキソルビシン、ブレオマイシンなど);酵素(例えば、L−アスパラギナーゼ)、生物学的応答変更因子(例えば、インターフェロン−α);白金配位化合物、アントラセンジオンおよび他の種々の因子;ならびにホルモンおよびアンタゴニスト(例えば、エストロゲン、プロゲスチンおよび副腎皮質ステロイド)および抗体;免疫調節因子(免疫抑制剤および免疫刺激剤の両方を含む);造血成長因子、抗凝固剤、血栓溶解剤および抗血小板薬;甲状腺ホルモン、抗甲状腺剤、アンドロゲンレセプターアンタゴニスト;副腎皮質ホルモン、インスリン、経口血糖降下剤、石灰化および骨代謝に影響する因子、ならびに他の治療ホルモンおよび診断ホルモン、ビタミン、無機性血液製剤の生物学的応答変更因子;診断造影剤、ならびに常磁性の分子または粒子および放射性の分子または粒子。他の生物学的に活性な物質としては、モノクローナル抗体または他の抗体、天然または合成の遺伝性物質、およびプロドラッグが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書中に使用される場合、用語「遺伝性物質」とは、一般にヌクレオチドおよびポリヌクレオチドをいい、これらとしては、天然起源または合成起源のいずれかの核酸、RNAおよびDNAが挙げられ、組み換え、センスおよびアンチセンスのRNAおよびDNAを含める。遺伝性物質の型としては、例えば、発現ベクター(例えば、プラスミド、ファージミド、コスミド、酵母人工染色体、および欠損(ヘルパー)ウイルス、アンチセンス核酸、一本鎖および二本鎖のRNAならびに一本鎖および二本鎖のDNAの両方ならびにこれらのアナログ)に保有される遺伝子、ならびに他のタンパク質またはポリマーが挙げられ得る。
【0041】
標的化可能な粒子のための生物学的に活性な因子はまた、放射性同位体であり得る。このような放射性同位体は、α線、β線またはγ線を放射し、そして診断目的および/または治療目的のために有用である化学化合物または元素である。適切な放射性同位体を選択する際に用いられる1つの要因は、半減期が、標的による最大取り込みのときに依然として検出可能かまたは治療性であるように十分長いが、宿主に対しては有害な照射を最小にするように十分に短いことである。適切な放射性同位体の選択は、当業者に容易に明らかである。一般的に、α照射およびβ照射は、局所的治療に有用とみなされる。有用な治療化合物の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:32P、186Re、188Re、123I、125I、131I、90Y、166Ho、153Sm、142Pr、143Pr、149Tb、161Tb、111In、77Br、212Bi、213Bi、223Ra、210Po、195Pt、195mPt、255Fm、165Dy、109Pd、121Sn、127Te、103Pd、177Luおよび211At。放射性同位体は、一般的に、塩の中でラジカルとして存在するが、ラジカルがイオン形態ではないヨウ素およびラジウムのような例外が存在する。有用な診断用放射性同位体が存在し、そしてこれは当業者に周知である。有用な診断用放射性同位体および治療用放射性同位体は、単独でかまたは組合せで使用され得る。
【0042】
一般原則として、組み込まれる任意の生物学的に活性な因子の量は、本出願に記載の治療処置レジメンにおける粒子の有効性を損なうことなく、粒子調製プロセスの開始時に、複合粒子の質量で最大約25%まで磁気成分、ポリマーおよび生物学的に活性な物質の比率を変動することにより、調整され得る。多くの場合、組み込まれる生物学的に活性な物質の量の増加が、ポリマー含量の増加にほぼ比例することが観察されている。しかしながら、ポリマー含量および生物学的に活性な物質の量の両方が増加するにつれて、磁場に対するこの複合粒子の磁化率または応答性は、減少する。従って、磁化率または磁気成分含量と結びついた標的化効率と、因子の装填と結びついた治療結果との間のバランスを維持するため、磁気成分:ポリマー:生物学的に活性な因子の比についてのバランスを達成することが、必要である。適切な比率は、当業者により決定され得る。
【0043】
インビボ治療処置における使用を意図される粒子についての磁気成分含量の有用範囲は、一般的な規則によると、約30%〜約99%であることが決定された。任意の磁気成分含量の磁気標的化可能な粒子に組み込まれる生物学的に活性な因子の最大量も、その生物学的に活性な因子の化学的性質に依存して異なる。当業者は、所望の用途に対する適切な比率を決定し得る。
【0044】
磁気標的化可能な粒子は、分析用途または薬学的用途における使用のため、他の分子または化合物と会合され得る。磁気標的化可能な粒子および別の分子または化合物の組合せは、「結合体」といわれ得る。例えば、用語「免疫結合体」とは、抗体または抗体フラグメントおよび磁気標的化可能な粒子を含む結合体をいい得る。磁気標的化可能な粒子と他の分子(例えば、標識化合物(例えば、発蛍光団)、結合化リガンド(例えば、タンパク質誘導体)、または治療剤(例えば、治療用タンパク質、毒素、または有機化合物))との結合体も、当該分野で公知の方法により作製され得る。
【0045】
結合体は、ある結合体成分と他の成分とを共有結合することにより調製され得る。しばしば、結合化は、結合体成分を併せるのに役立つリンカー化合物またはリンカー分子の使用を、包含する。リンカーは、代表的に、2つの成分の間の安定な結合を提供するよう選択される。結合体成分の間の架橋の安定性をより大きくすると、この結合体はより有用にかつより効果的になる。結合体の使用に依存して、広範な結合体が、リンカーを介してある結合体成分と別の結合体とを結合することにより調製され得る。
【0046】
あるいは、キレート化構造物が、磁気標的化可能な粒子に対する放射性核種の会合を維持するために利用され得る。有用なキレート構造物としては、ジエチルトリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ジアミドジチオール(DADT)骨格およびトリアミドモノチオール(TAMT)骨格に基づく構造物、ならびにホスフィンイミンリガンドが、挙げられる(例えば、米国特許第5,601,800号を参照のこと)。
【0047】
さらなる標的化メカニズムは、必要に応じて、磁気標的化可能な粒子と会合し得る。例えば、特定のリガンドを認識する抗体またはそのフラグメントは、この粒子と連結され得る。この免疫結合体は、腫瘍細胞に対する生物学的に活性な因子の選択的送達を可能にする。(例えば、HermentinおよびSeiler,Behringer Insti.Mitl.82:197−215(1988);Gallegoら,Int.J.Cancer 33:7737−44(1984);Amonら,Immunological Rev.62:5−27(1982)を参照のこと)。例えば、腫瘍抗原を認識する抗体または抗体フラグメントは、磁気標的可能な粒子と連結され得る。次いで、この抗体含有粒子は、磁場および抗体−リガンド相互作用の両方により、腫瘍部位に局在され得る。
【0048】
選択された抗原を認識する抗体および抗体フラグメント(モノクローナル抗体、抗イデオタイプ抗体、およびFab、Fab’、F(ab’)フラグメントまたは任意の他の抗体フラグメントが挙げられる)は、抗体をスクリーニングすること、および高い親和性を有する抗体を選択することにより得られ得る。(一般的には、米国特許第RE32,011号、同第4,902,614号、同第4,543,439号および同第4,411,993号を参照のこと;また、Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Plenum Press,Kennett,McKeam,およびBechtol(編),1980;Antibodies:A Laboratory Manual,HarlowおよびLane(編),Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988を参照のこと)。あるいは、抗体または抗体フラグメントはまた、組み換え技術を使用して産生または選択され得る。(例えば、Huseら,Science 246:1275−1281(1989)を参照のこと;また、Sastryら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5728−5732(1989);Alting−Meesら,Strategies in Molecular Biology 3:1−9(1990)を参照のこと)。
【0049】
さらに、レセプターにより認識されるリガンドは、粒子に会合され得る。例えば、ノイラミン酸またはシアリルLewis Xが、磁気標的化可能な粒子に連結され得る。次いで、このようなリガンド含有粒子は、磁場およびリガンド−セレクチン相互作用の両方により、特定の部位(例えば、内皮部位)に局在され得る。このような結合体は、細菌感染またはウイルス感染、炎症性過程または転移性腫瘍が関与する疾患の処置または予防のための治療剤の調製に、ふさわしい。他のリガンド(例えば、レセプターにより認識されるタンパク質または合成分子)は、磁気標的化可能な粒子に結合され得る。さらに、ペプチド認識配列、DNA認識配列、および/またはRNA認識配列が、磁気標的化可能な粒子に結合され得る。
【0050】
標的化メカニズムの会合は、共有結合またはイオン結合により得る。米国特許第5,601,800号は、粒子に対して生物学的に活性な因子(例えば、診断薬、造影剤、レセプター因子、および放射性核種)を連結するいくつかの方法を記載する。有用なリンカーおよび使用方法は、例えば、米国特許第5,824,805号;同第5,817,742号;同第6,339,060号に記載される。
【0051】
乾燥形態で磁気標的化可能な粒子を調製および市販することが便利であることに起因して、賦形剤は乾燥形態で調製され得、そして1つ以上の乾燥賦形剤が、単位用量の磁気標的化可能な粒子と一緒に包装される。広範な賦形剤を使用して、例えば、安定性および生体分解性を増加させ得る。適切な乾燥賦形剤の型および量は、生物学的に活性な因子の化学特性に依存して、当業者により決定される。磁気粒子は、必要に応じて、洗浄、乾燥、回収、滅菌および/または濾過され得る。包装および保存の日常的方法が使用され得る。例えば、そのままの粒子または処理された乾燥粒子が適切な容器封入システム(例えば、単位投薬量形態を可能にするシステム)で包装され得る。窒素、アルゴンまたは他の不活性ガスの雰囲気下での包装は、粒子の酸化を制限するのに好ましい。粒子は「湿度」を有して保存され得るが、液体は水であるべきでない。例えば、エタノールまたはDMSOが使用され得る。(例えば、Kibbe,AH,Handbook of Pharmaceutieal Exeipients,American Pharmaceutical Association,Washington,DC(2000)を参照のこと)。
【0052】
広範な賦形剤が、例えば生物学的に活性な因子の沈着または放出の増強のために使用され得る。適切な乾燥賦形剤の型および量は、当業者に容易に決定され得る。例えば、賦形剤は、粘稠剤(viscosity agent)もしくは張力剤(tonicifier)、またはその両方から選択され得る。粘稠剤は、例えば、生体分解性ポリマーは、例えば、カルボキシメチルセルロース、PVP、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)などである。張力剤としては、再構築した溶液に浸透圧を与えるために使用される塩化ナトリウム、マンニトール、デキストロース、ラクトース、および他の因子が挙げられる。最も好ましくは、乾燥賦形剤および乾燥磁気標的化可能な粒子の両方を含む包装物またはキットは、単位用量の生物学的に活性な因子を含むバイアルの液体内容物と混合されるように処方される。液体因子は、粒子の使用直前に賦形剤として使用され得る。このような液体因子は、大豆油、菜種油、または上記に列挙されたポリマーを含む水性ベースのポリマー溶液であり得る。また、液体溶液は、張力剤(例えば、リンガー溶液、5%のデキストロース溶液、および生理食塩水)であり得る。前述のとおり、液体の賦形剤および張力剤の併用が使用され得る。(例えば、Kibbe,AH,Handbook of Pharmaceutical Excipients,American Pharmaceutical Association,Washington,DC,2000を参照のこと)。適切な送達系は、当業者に明らかである。限定なしに、有用な送達形の例としては、マトリックス、カプセル、スラブ、ミクロスフェア、およびリポソームが挙げられる。慣用的な賦形剤は、任意の処方物中に組み込まれ得る。
【0053】
磁気標的化可能な粒子と結合された生物学的に活性な因子の診断量および治療量は、種々の要因(その患者の体重、年齢、および全般的健康、その薬物の診断特性または治療特性、ならびにその疾患の性質および重篤度)を考慮に入れながら、特定の疾患または状態の診断または処置に効果を示すのに必要な量として、当業者により決定される。例えば、患者に投与される粒子の量は、単位用量の生物学的に活性な因子を定める。この量は、粒子の磁気標的化特性に起因して、患者において疾患部位への因子の送達効率を考慮して、低減され得る。しかしながら、本発明の1つの局面において、粒子中の生物学的に活性な因子の最大含量は、25重量%である。
【0054】
多くの考慮が、任意の特定の治療場面のために使用されるべきキャリア粒子のサイズを決定することに関与する。サイズで約0.1μm未満の粒子について、血流中の磁力制御および運搬能力は低減する。相対的に大きい粒子サイズは、機械的にかまたは生理学的メカニズムによる凝血塊形成を促進することによるかのいずれかで、注入の間、血管の塞栓を生じる傾向にあり得る。血管の塞栓は、状況に依存して、所望されえるかまたは所望されえない。分散物は凝固し得(これは、注入をより困難にする)そして生物学的に活性な因子が標的化された病理学的区域において粒子から放出する速度が、低下し得る。磁気標的化可能な粒子をコーティングするかまたは磁気成分および生物学的に活性な物質をポリマーマトリックスの中に組み込む方法(例えば、以下に記載される方法)は、不規則または球状の形状をした形態を形成し、そして約0.1μm〜約10μmの平均の主要な寸法を有する粒子集団を生じる。
【0055】
磁気標的化可能な粒子は、生物学的に活性な因子がこの粒子に会合され得る(例えば、この粒子に吸着され得るか、接ぎ合わされ(grafted)得るか、カプセル化され得るかまたは架橋され得る)ものである。最終粒子の生物学的に活性な因子の含量は、最終粒子の質量の約10億分の1〜約25%の間である。本明細書中で使用される場合、「〜と会合される」とは、生物学的に活性な因子が粒子内に物理的にカプセル化されるかもしくは捕捉されるか、粒子の全域に部分的にかもしくは完全に分散されるか、または粒子もしくはこれらの任意の組合せに連結されるかもしくは架橋されることを意味し、これによって連結または架橋は、共有結合、水素結合、吸着、吸収キレート化、金属結合、ファンデルワールス力もしくはイオン結合、またはこれらの任意の組合せによる。生物学的に活性な因子と粒子との会合は、必要に応じてコネクタおよび/またはスペーサーを使用して、結合体の調製または使用を容易にし得る。適切な連結基は、生物学的に活性な因子の有効性も粒子中に存在する運搬される任意の他の物質の有効性も有意に損なわずに、生物学的に活性な因子と粒子とを架橋する基である。これらの連結基は、切断可能であっても切断不能であってもよく、そして代表的には、生物学的に活性な因子と粒子との間の立体性妨害を避けるために使用される。粒子のサイズ、形状および官能基密度は厳密に制御されるので、生物学的に活性な因子が粒子と会合する多くの方法が存在する。例えば、(a)生物学的に活性な因子と粒子の表面または表面付近に局在する実体(代表的には、官能基)との間の共有型会合、クーロン力型会合、疎水型会合またはキレート型会合が存在し得る;(b)生物学的に活性な因子と粒子の内側に局在する部分との間の共有型会合、クーロン力型会合、疎水型会合またはキレート型会合が存在し得る;(c)粒子は、内側に生物学的活性な因子の物理的包括を可能にする主として中空である内側(空隙容量)を有するように調製され得、ここで、生物学的に活性な因子の放出が、必要に応じて、粒子の表面を分散制御部分で充填することにより制御され得る、または(d)前述の現象の種々の組合せが利用され得る。
【0056】
使用方法としては、疾患を診断および/または処置する際の有効性のために選択される1つ以上の生物学的に活性な因子を組み込まれている磁気標的化可能な粒子を提供し、そして種々の経路(動脈内、静脈内、腫瘍内、腹膜内、皮下などが挙げられる)で患者の体内に粒子を投与する、局所的インビボ診断のための方法および/または局所的インビボ処置のための方法が、挙げられる。例えば、限定なしに、粒子は、、処置されるべき体の部位から近い距離内でかまたは四肢(好ましくはすぐ隣)で、その部位に血液を運搬する動脈網に対して、動脈中への動脈内投与により注射される。これら粒子は、送達手段(例えば、注射針またはカテーテル)を介して血管中へと注射される。1つの実施形態において、注射の前に、標的部位に注射された粒子部分を導き、そしてその標的部位で粒子部分を保持するのに十分な磁場強度を有する磁場が、標的部位で構築される。別の実施形態において、磁場は、血管網に隣接した部位で軟組織中に粒子を引き出すのに十分な強度であり、これによってキャリア粒子による任意のより広い血管の実質的な塞栓を避ける(塞栓は望ましくないはずである)。本発明に従う使用のための磁石の例は、標的部位で100ガウスの磁束を生じるため、十分なサイズおよび強度の直流(DC)電磁石または永久磁石である。例えば、Mitchinerらの2002年12月3日に発行された米国特許第6,488,615号において考察される磁石は、本発明での使用に適切である。生物学的に活性因子が診断造影剤を含む場合、粒子が標的部位に凝集される間、そしていくつかの場合ではその前および/またはその後に、画像化は実施される。画像化の様式および方法は、当業者に周知である。
【0057】
粒子は、投薬量単位(例えば、用量当たり50〜500mgの間)に部分的アリコートされ得、そしてさらに、例えば窒素で覆われ得る。投薬量単位は、例えば、ブチルゴムのストッパーおよびアルミニウムのクリップで密封され得る。次いで、投薬量単位は、適切な滅菌技術(例えば、2.5〜4.0ミリラドの間のγ線照射)によって滅菌され得る。他の滅菌技術(例えば、乾熱滅菌および電子ビーム滅菌)もまた使用され得る。
【0058】
本明細書中で参照される全ての書籍、論文および特許は、参考としてその全体が援用される。以下の実施例は、本発明の種々の局面を例示し、そして本発明の範囲を限定することを決して意図しない。
【実施例】
【0059】
(実施例1:溶媒蒸発エマルジョンプロセスを使用して調製された粒子)
ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、金属イオンおよびシスプラチン(CDDP)から作製された複合磁気粒子を、溶媒蒸発エマルジョンプロセスを使用して調製した。1グラムのPLGAを13.6gの塩化メチレン(DCM)に溶解した。次いで、30分間の超音波処理により、得られた溶液に1グラムの鉄および0.5gのシスプラチンを分散させた。次いで、有機相を8gのポリビニルアルコールおよび0.4gのTween(登録商標)−80を含む400mlの生理食塩水(0.9% w/w)中で、ホモジナイザーを用いて(11,000rpmの速度で)乳化した。予め、この溶液をシスプラチンで飽和した(0.1% w/v)、そして濃HClの添加によりpHを2に調整した。DCMが完全に蒸発するまでホモジナイズを継続した。この系を光から保護した。これらの粒子を冷水で4回洗浄し、遠心分離により収集し、そして室温で48時間、減圧下で乾燥させ、そして4℃で保存した。
【0060】
ポリマーベースの磁気ミクロスフェアのサイズおよびサイズ分布を、光散乱を使用して測定した(Accusizer 770A,Particle Sizing Systems,Santa Barbara,CA)。図1は、PLGA/Fe/CDDPについての粒子サイズおよび分布を示す。粒子の数重みつき平均サイズは、多分散性3.6を有して約2.5μmであった。
【0061】
ポリマーベースの磁気粒子の形態を、走査型電子顕微鏡(SEM)(Jeol−840,Jeol USA,Inc.,Peabody,MA)を使用して試験した。粒子は球状であり、そして鉄粒子はポリマー粒子全域にわたって分散された。図2を参照のこと。
【0062】
ICP−MS(Qualitative Technologies,Inc.,Whitehouse,NJ)およびマスバランスによって決定したポリマー、鉄およびシスプラチンの含量の実験的測定は、それぞれ36.7重量%、61.3重量%および2重量%であった。この磁気粒子の磁気飽和は、93.3emu/gであった。
【0063】
(実施例2:種々の乳化剤を使用して調製された粒子)
多くの乳化剤(例えば、PVA、ポロキサマー407(P−407)、ポロキサマー188(P−188)、オレイン酸/水酸化ナトリウム、およびポリソルベート−80(Tween(登録商標)−80))を、エマルジョンプロセスの間にミクロスフェアを安定化させるために調べた。表1は、光学顕微鏡(Wesco CXR3,Wesco,Burbank,CA)により測定された、粒子にサイズに対する異なる乳化剤の有効性を示す。3つの異なる濃度のポロキサマー188が、10μmより小さいサイズ範囲の粒子を形成した。有機相/水相の比は、大して粒子サイズを変化させなかった。PVAおよびオレイン酸を乳化剤として使用した場合、粒子サイズはポロキサマー188を使用した場合よりも有意に小さかった。3つの実験全てから形成された粒子は、自由流動性の球状粒子だった。
【0064】
【表1】

シスプラチンおよび鉄の組込み(load)に対する電荷およびpHの効果を、乳化剤としてPVA(2%)を使用して調べた。CDDPおよび金属鉄の含量はICP−MSを用いて分析した。より低いpH(2.5)でのCDDPの取り込みは、約4%であり、約57.3%の金属鉄だった。磁気粒子を中性pHで調製した場合、CDDPの組込みは約2%で、金属鉄の組込みは約61.3%、磁気飽和は>90emu/gであった。CDDPおよび金属鉄の組込みは、CDDPの初期電荷を増加させるにつれて増加した。
【0065】
(実施例3:乳化剤としてポロキサマー407(P−407)を使用して調製された粒子)
以下の実施例は、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)マトリックス中のシスプラチンおよび金属鉄イオンを取り込む粒子を生産するための方法を提供する。他の磁気成分を用いた同様の手順を使用して、本発明の磁気標的化可能な粒子を提供し得る。実施例1と同様の手順を、乳化剤P−407を使用して続けた。PLGA:Fe:CDDPの初期電荷比率を、全ての実験について1:1:0.5に設定した。乳化剤P−407の濃度を変動させた。ミクロスフェア中のCDDP組込み葉、約15%であった(表2)。
【0066】
【表2】

(実施例4:磁化率)
実施例4は、金属鉄複合微粒子の磁化率と、マグネタイトベースの粒子の磁化率とを対比する。磁気飽和 対 これらの粒子の鉄含量を、図3に示す。磁気飽和は、鉄含量に伴い増加する。磁気飽和がより大きくなると、磁気誘引力(捕捉)の度合いはより大きくなり、そしてこの粒子はインビボでより深部に標的化され得る。
【0067】
図4は、Bangの磁気粒子(NC05N) 対 Feベースの粒子との磁化曲線を例示する。PLGA/Fe微粒子は、よりずっと高い磁気飽和を有するだけでなく、これら微粒子は、異なる特徴の磁気ヒステリシス曲線を有する。図5に見られるように、50.6%のFeを有するPLGA/Fe微粒子調製(NB#036−21A)は、108emu/gより大きい磁気飽和を有し、一方、一般的なマグネタイトベースの粒子(Bangs Magnetite Particles,カタログMC05N,ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン6%/V−COOH)マグネタイト52.4%,Inv.#L951211D,Bangs Lot#1975),Bangs Laboratories,Inc.,Fishers,INは、わずか34.7emu/gの飽和磁化率を有する。マグネタイトおよび金属の理論飽和磁化率は、それぞれ92emu/gおよび218emu/gである(Craik,D.,Magnetism Principles and Applications,Wiley and Sons,1995)。粒子の標識されたマグネタイト含量は、52.4%であり、これにより約50emu/gの飽和磁化が期待される。このことは、マグネタイトが微粉末として分散されそしてポリマーで覆われる場合、期待される磁気特性のうち70%のみがマグネタイトにより保持されることを示す。同様の様式で、金属鉄ベースの粒子(これは、50.6重量%の鉄である)は、109emu/gの飽和を有することが期待される。従って、金属鉄ベースの粒子は、約100%の期待される磁気飽和を保持する。このことは、両方の粒子の型が磁気特性を保持するが、金属鉄ベースの粒子は細かく分散されたミクロスフェアへと形成される場合にこれら特性の保持により長けており、そして磁気特性の点で鉄酸化物ベースの粒子に予想外に優れている。
【0068】
(実施例5:磁気捕捉)
この実施例は、有効な磁気捕捉および標的化を達成するために鉄酸化物の代わりに金属鉄を使用する重要性を実証する。約50%金属鉄を含むミクロスフェアを、流れ場において磁場による捕捉について、調べた。いくつかの市販の磁気粒子(Bangs LaboratoryからのMC05N,サイズで約1μmおよび60重量%のマグネタイト)を参照として使用した。図5は、粒子数に基づく捕捉された物の百分率 対 磁石と粒子との間の距離 を例示する。金属鉄ベースの微粒子(BMP−036−41)は、ずっと高い磁気捕捉効率を示した。Bangs粒子(MC05N)についての磁気捕捉は、磁石からの距離を増加させるにつれて急速に減少した。
【0069】
(実施例6:CDDPの放出および細胞毒性についてのインビトロ評価)
この実施例は、粒子中に包埋されたシスプラチンが粒子から放出される場合に生物学的活性を保持することを実証する。ミクロスフェアから放出されるCDDPの細胞毒性を、非小細胞肺癌細胞株を使用して調べた。ミクロスフェアを生理食塩水に懸濁し、そしてアリコートを異なる時間点で採取した。
【0070】
図7は、実施例3で調製された粒子から、1時間後、4時間後、5日後および7日後に放出されたCDDPの細胞毒性を示す。粒子から放出された薬物の増殖阻害プロフィールまたは活性は、粒子と接触していないCDDPのプロフィールと一致する。このことは、ミクロスフェア形成プロセスがCDDPの細胞毒性を変更しないことを示す。図6は、薬物なしのPLGA/Feミクロスフェアが試験した細胞株に有意な細胞毒性を示さないことを示す。
【0071】
PLGA/Fe/CDDP微粒子を調製するために使用される界面活性剤ポロキサマー407をまた、細胞株に対するその毒性性について試験した。図8は、細胞生存率に対するポロキサマー407の効果を示す。試験された任意の脱着CDDPにおける、ポロキサマーの最も可能性ある等価濃度は0.5μg/mLであり、そしてこのグラフは、>10,000μg/mLまで賦形剤毒性を示さない。
【0072】
最終的に、これらの結果は、磁気標的化可能な粒子に包埋されそしてこれから放出されたCDDPがCDDP自体と同じ腫瘍増殖抑制効果をインビトロで生じる。この実験的IC50値は、公表値0.537μg/ml(Rixe,O.;Ortuzar,W.;Alvarez M.;Parker,R.;Reed,E.;Paul,K.;Fojo,T.;Oxaliplatin,Tetraplatin,Cisplatin,and Carboplatin:Spectrum of activity in drug resistant cell lines and in the cell lines of the national Cancer Institute’s Anticancer Drug Screen Panel;Biochem Pharmacol;52;1855−1865)に匹敵する。薬物を有さないポリマーミクロスフェア賦形剤は毒性でなかった。CDDPの細胞毒性は、溶媒蒸発エマルジョンプロセスにおいて保存された。
【0073】
(実施例7:有機相として混合した溶液を使用して調製された粒子)
実施例7は、オイル内部相として溶媒の混合物を使用して粒子を生産する方法を記載する。N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)またはジクロロメタン(DCM)またはこれら2つの混合物を、内部有機相溶媒として代替的に使用し、そして1つまたは2つの界面活性剤を含む水を連続相として使用した。選択した量のPLGAを溶媒中に溶解した。CDDPおよびFe粉末を超音波によりこの溶媒中に分散させた。次いで異なる乳化方法(例えば、激しい機械的撹拌、超音波処理、または均質化)において、この溶液を連続相に添加した。得られたエマルジョンを400〜1000rpmで撹拌し、そしてエマルジョン温度を徐々に40℃に上げた。この撹拌物を減圧下で2時間または5時間40℃で維持して、溶媒を蒸発させた。得られた懸濁物を4400rpmで遠心分離し(5℃、10分)、そして得られた沈殿をヘキサンで4回洗浄し、次いで2−プロパノールで2回洗浄した。この粒子を凍結乾燥系を使用して24時間乾燥させた。1:1または1:4の比率のDMF:DCMを使用した場合、粒子サイズは比較的狭いサイズ分布で、約1〜2μmだった。
【0074】
(実施例8:油中油エマルジョンおよび溶媒蒸発プロセスにより調製された粒子)
実施例8は、内部有機相としてDCMまたはDMFを、そして連続油相として2%レクチンを含む鉱油を使用して、PLGA/CDDP/Fe粒子を生産する方法を記載する。PLGA粒子中に組込まれた薬物を、HPLC分析および元素分析を使用して決定し、そして粒子1mg当たりのCDDPのmgとして表す。内部有機溶媒としてDCMを使用する場合、CDDPは内部相および連続相の両方に溶解性でない。生物学的に活性な因子含量および金属鉄含量は、それぞれ、粒子中で約17%および約49%であった。
【0075】
DMFを内部有機相として使用した場合、連続油相中に乳化剤としてSpan(登録商標)−85を使用することにより粒子を調製した。この場合、生物学的に活性な因子の組込みは約26%であり、金属鉄は約40%であった。粒子中の因子含量および金属鉄含量は、適切な磁化率および治療量のCDDPを有するように変動され得る。
【0076】
(実施例9:コアセルベーションプロセスを使用したFeゼラチン粒子の調製)
実施例9は、カルボプラチンを含む磁気標的化可能な粒子を生産する方法を記載する。このプロセスは、過剰量の脱水溶媒(例えば、エタノール)および架橋剤に、因子を含むゼラチン水溶液を添加する工程を包含する。簡潔に述べると、300mlまたは500mlの脱水溶媒を収容したフラスコを、イソプロパノール中にドライアイスを含むディッシュに浸漬して、温度を−15℃に維持した。無水エタノールおよび無水イソプロパノールを脱水溶媒として使用した。脱水溶媒を、300〜500rpmの速度で機械的に撹拌するか、または11,000l/分の速度でホモジナイズした。次いで、400mgの鉄粉を含む5〜10mLの0.5%(w/v)ゼラチン水溶液を、そのフラスコに滴下した。撹拌またはホモジナイズを−15℃で15〜30分間維持した。この液滴を、25%(w/v)のグルタルアルデヒドを添加することにより架橋し、そして継続して45分間撹拌した。次いで、このフラスコを24時間〜48時間の間、冷蔵庫(約4℃)に移して、架橋プロセスを完了させた。低温を使用して、架橋の間に凝集形態で粒子を保った。得られた粒子の特性を表3に示す。
【0077】
【表3】

(実施例10:乳化プロセスを使用したカルボプラチン/Feゼラチン粒子の調製)
このプロセスは、油相中にゼラチン水溶液を乳化する工程、およびアセトンを用いて脱水する工程を包含する。簡潔に述べると、125mgの金属鉄粉を、50mgのカルボプラチンを有する5mlゼラチン水溶液中に、超音波処理により分散させた。この懸濁物を、予め80℃に加熱した50gの油相(ヒマシ油、シリコーン油、および鉱油)にゆっくり添加した。3つの異なる油に加え、いくつかの場合に界面活性剤のTween85およびSpan85を使用した。この混合物を激しく撹拌し(900rpm〜12000rpmまで変動させた撹拌速度)、w/oエマルジョンを形成した。30分後、このエマルジョンを急速に15℃に冷却し、次いで30mlのアセトンを添加して、ゼラチン液滴を脱水した。
【0078】
粒子の調製の間、いくつかの場合に70μLのグルタルアルデヒド(GTA)溶液(25% w/v)を添加して、ゼラチン粒子を架橋した。グルタルアルデヒド(GTA)をそのまま残して、24時間反応させた。この粒子を5℃で10分間4400rpmで遠心分離することにより収集し、アセトンで4回洗浄し、次いで凍結乾燥させた。
【0079】
カルボプラチンおよび金属鉄を組み入れたゼラチン粒子を、鉄を組込んだゼラチン粒子と同じ条件下で調製した。いくつかの実施例を表4に示す。再現性は非常に良好であり、生物学的に活性な因子の含量は13.4%〜15.1%にわたり、そして金属鉄含量は65.9%〜68.8%にわたった。一般的に、鉄含量および因子の組込みは、粒子形成プロセスにおいて使用される因子量、鉄金属量およびゼラチン量を変更することにより、変動され得る。別の調製において、12%のカルボプラチンおよび73.3%の鉄を有する磁気標的化可能な粒子を得た。
【0080】
【表4】

(実施例11:金属鉄およびPLGA−リゾチーム結合体を用いて調製された粒子)
この実施例は、溶媒蒸発エマルジョン技術を使用して、PLGA−リゾチーム結合体を有する磁気標的可能な粒子を生産する方法を記載する(NamおよびPark,J.Microencapsulation 16:625−637(1999))。この実施例において、薬学的因子(リゾチーム)を化学的にポリマー(PLGA)と架橋する。この実施例で使用したPLGA−リゾチーム結合体は、約11%のリゾチームを含有する。機械式撹拌子を備えた1L反応器を、300mL 純水、2.7g NaCl(0.9% w/v)および3g ポロキサマー188(1% w/v)で満たした。全ての固形物が溶解してしまうまで内容物を撹拌した。清澄な溶液を冷水浴中で冷やした。PLGA−リゾチーム結合体(0.250g)を、1mL DMSOおよび1mL 塩化メチレンの共溶媒に溶解した。鉄粉(0.250g)を5分間の超音波処理によりこの有機溶液中に分散させた。次いで、この有機相を撹拌しながら水相に滴下し、そして得られた混合物を0.5時間ホモジナイズすることにより乳化した。得られた混合物を室温で5時間撹拌して、DMSOを水相中に抽出し、そして塩化メチレンを蒸発させた。この粒子を遠心分離により収集し、150mLの水で2回、100mLの水で2回洗浄し、そして48時間凍結乾燥させた。粒子中の平均の金属鉄含量およびリゾチーム含量は、それぞれ、45.2%±0.3%および6.1%であった。粒子の平均径は3.3μmであった。
【0081】
(実施例12:金属鉄およびPLGA−DOTA結合体を用いて調製された粒子)
この実施例は、溶媒蒸発エマルジョン技術を使用して、PLGA−DOTAを含む磁気標的可能な粒子を生産する方法を記載する。DOTAまたは1,4,7,10−テトラアザシクロドデカミン−1,4,7,10−テトラ酢酸は、造影剤および放射性医薬に有用な高親和性金属イオンキレート剤である。この例において、ポリマーに対する結合体(DOTA)は、キレート化を介するこの場合において、生物学的に活性な物質への架橋に利用可能である。さらに、生物学的に活性な物質(この場合、診断適用または治療適用のいずれかのための放射性核種)は、痕跡(trace)量で存在する。機械的撹拌子を備えた1L反応器を、300mLの純水、2.7g NaCl(0.9% w/v)および3g ポロキサマー188(1% w/v)で満たす。この内容物を全ての固形物が溶解するまで撹拌する。清澄な溶液を氷浴中で冷却する。PLGA−DOTA結合体(0.250g)を、1mL DMFおよび1mL 塩化メチレンの共溶媒混合物に溶解する。金属鉄粉(0.250g)を5分間の超音波処理により有機溶媒中に分散させる。次いで、有機相を撹拌しながら水相に滴下し、そして得られた混合物を0.5時間ホモジナイザーを用いて乳化する。得られた混合物を室温で5時間撹拌して、水相中にDMFを抽出し、そして塩化メチレンを蒸発させる。粒子を遠心分離により収集し、150mLの水で2回洗浄し、100mLの水で2回洗浄し、そして48時間凍結乾燥させる。
【0082】
(実施例13:マイトマイシンCをカプセル充填する磁気標的化可能な粒子)
ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、金属鉄およびマイトマイシンC(MMC)から作製した複合磁気粒子を、溶媒蒸発エマルジョンプロセスを使用して調製した。実施例1の手順を使用した。1gのPLGAを13.6gの塩化メチレン(PCM)に溶解する。次いで、得られた溶液に1gの鉄および0.5gのMMCを30分間の超音波処理により溶解する。次いで、有機相を、8gのポリビニルアルコールおよび0.4gのTween(登録商標)−80を含む、400mlの生理食塩水(0.9% w/v)中でホモジナイザー(11,000rpmの速度で)を用いて乳化させる。ホモジナイズを、DCMが完全に蒸発するまで継続する。この系を光から保護した。ミクロスフェアを冷水で4回洗浄し、遠心分離により収集し、そして室温で48時間、減圧下で乾燥させて、そして4℃で保存した。
【0083】
上記に詳説した実施例1〜3または実施例7〜13に記載の方法論を使用して、図2に示すものと類似の、別個の非凝集性の磁気標的化可能な粒子を取得した。これらも、実施例4〜6に記載されるような特性を有する。磁気標的化可能な粒子は自由流動性であり、凝集(clump)も凝集(aggregate)もしない。
【0084】
(実施例14:乳化プロセスを使用したオキサリプラチン/金属鉄/ゼラチン粒子の調製)
この実施例は、オキサリプラチンを組み込む磁気標的化可能な粒子の生産のための方法を記載する。このプロセスは、油相中にゼラチン水溶液を乳化する工程、およびアセトンを用いて脱水する工程を包含する。簡潔に述べると、400mgの金属鉄粉を、オキサリプラチンを有する5mlのゼラチン水溶液中での超音波処理により、分散する。この懸濁物を予め80℃に加熱した50gの油相にゆっくり添加する。この混合物を激しく撹拌して、w/oエマルジョンを形成する。30分後、このエマルジョンを迅速に15℃に冷やし、次いで30mlのアセトンを添加して、ゼラチン液滴を脱水する。
【0085】
粒子の調製の間、400μLのグルタルアルデヒド(GTA)溶液(4% w/v)を添加して、ゼラチン粒子を架橋する。GTAを残留させたまま24時間反応させる。粒子を5℃で10分間4400rpmでの遠心分離により収集し、アセトンで4回洗浄し、次いで凍結乾燥させる。
【0086】
当業者は、特定の実施形態が例示されそして記載されているが、種々の改変および変更が本発明の精神および範囲から逸脱することがないことを、理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、光散乱技術を使用した、PLGA/Fe/CDDPについての粒子サイズおよび粒子サイズ分布を例示する。
【図2】図2は、PLGA/Fe/CDDP粒子、BMP−036/77(AおよびB)の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、粒子中の、磁気飽和 対 磁気成分含量である。
【図4】図4は、Bangのマグネタイト粒子(NC05N) 対 金属鉄ベースの粒子の磁化(magnetiziation)曲線を例示する。
【図5】図5は、インビトロ実験系における磁気粒子の磁気捕捉を例示する。
【図6】図6は、1時間の分解および7日の分解の後の、薬物を含まない生理食塩水中のPLGA/Feミクロスフェアのインビトロ細胞毒性を例示する。
【図7】図7は、生理食塩水中に懸濁したPLGA/Fe/CDDP粒子(BMP−054−004)から放出されたCDDP粒子のインビトロ細胞毒性である。
【図8】図8は、H460細胞株に対するポロキサマー407単独のインビトロ細胞毒性である。
【図9】図9AおよびBは、PLGA/Fe/CDDP粒子の走査型電子顕微鏡写真である。図9Aに1,000倍拡大した粒子、および図9Bに5,000倍拡大した粒子が示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
a)磁気成分であって、ここで該磁気成分はマグネタイトでもヘマタイトでもマグヘマイトでもない、磁気成分
b)生体適合性ポリマー;および
c)生物学的に活性な因子
を含む、磁気標的化可能な粒子。
【請求項2】
前記磁気成分が、磁鉄硫化物、磁性セラミック、磁鉄合金および磁性金属からなる群より選択される、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項3】
前記磁鉄硫化物が、磁硫鉄鉱およびグリグ鉱からなる群より選択され、前記磁性セラミックが、アルニコ5、アルニコ5DG、SmCo17、SmCoおよびNdFeBからなる群より選択され、前記磁鉄合金が、磁マンガン鉱、トレボライト、ワイラウアイトおよびアワルアイトからなる群より選択され、そして前記磁性金属が、金属鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択される、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項4】
前記磁気成分が金属鉄である、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項5】
前記生体適合性ポリマーがヒドロゲルを含む、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項6】
前記生体適合性ポリマーがデンドリマーを含む、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項7】
前記磁気成分が前記粒子の約30重量%〜約99重量%を占める、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項8】
前記1つ以上のポリマーが前記粒子の約1重量%〜約70重量%を占める、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項9】
前記生物学的に活性な因子が、前記粒子の重量で約10億分の1〜約25重量%の間を占める、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項10】
前記粒子が50emu/gより大きい磁気飽和を有する、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項11】
前記粒子が約0.1〜約30μmの範囲の粒子サイズを有する、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項12】
薬学的に受容可能な賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項13】
前記生物学的に活性な因子が生体分解可能な部分または加水分解可能な部分により生体適合性ポリマーと会合されている、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項14】
請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子であって、ここで前記生体適合性ポリマーが、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリ乳酸−コグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリカーボネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリ無水物、ポリアミド、ポリアクリル酸、ポロキサマー(poloxamer)、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリオルトカーボネート、ポリホスファゼン(polyphosphazene)、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(リンゴ酸)、ポリアミノ酸、キチン、キトサン、ゼラチン、コラーゲン、アテロコラーゲン、デキストラン、タンパク質、およびポリオルトエステル、ならびにこれらのコポリマー、ターポリマーおよび組み合せ、および混合物からなる群より選択される、磁気標的化可能な粒子。
【請求項15】
前記生体適合性ポリマーが粒子の調製の間にモノマーから重合される、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項16】
請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子であって、ここで前記生物学的に活性な因子が、抗腫瘍性剤、血液製剤、生物学的応答変更因子、抗真菌剤、抗生物質、ホルモン、ビタミン、タンパク質、ペプチド、酵素、染料、抗アレルギー剤、抗凝固製剤、循環器系薬、代謝強化剤、抗結核剤、抗ウイルス剤、抗狭心剤、抗炎症剤、抗原生動物剤、抗リューマチ剤、麻薬、鎮痛剤、診断性造影剤、強心配糖体、神経筋遮断薬、鎮静薬、麻酔薬、常磁性粒子および放射性粒子からなる群より選択される、磁気標的化可能な粒子。
【請求項17】
前記生物学的に活性な因子が抗体または抗体フラグメントである、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項18】
前記生物学的に活性な因子が、天然の遺伝物質および合成の遺伝物質からなる群より選択される、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項19】
前記生物学的に活性な因子がプロドラッグである、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項20】
前記生物学的に活性な因子が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ドキソルビシン、カンプトセシン、タキソール、マイトマイシン、ベラパミル、葉酸アンタゴニスト、およびメトトレキサートからなる群より選択される、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項21】
前記生物学的に活性な因子が、放射性同位体、遺伝物質、造影剤、染料、ならびにこれらの誘導体および組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子。
【請求項22】
磁気標的化可能な粒子を生産するための方法であって、以下;
a)磁気成分であって、ここで該磁気成分がマグネタイトでもヘマタイトでもマグヘマイトでもない、磁気成分
b)生体適合性ポリマー;および
c)生物学的に活性な因子
を組み合わせる工程を包含する、方法。
【請求項23】
前記磁気成分が、磁鉄硫化物、磁性セラミック、磁鉄合金および磁性金属からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記磁鉄硫化物が、磁硫鉄鉱およびグリグ鉱からなる群より選択され、前記磁性セラミックが、アルニコ5、アルニコ5DG、SmCo17、SmCoおよびNdFeBからなる群より選択され、前記磁鉄合金が、磁マンガン鉱、トレボライト、ワイラウアイトおよびアワルアイトからなる群より選択され、そして前記磁性金属が、金属鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記磁気成分が金属鉄である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記成分を組み合わせる方法が、乳化および溶媒蒸発;乳化および溶媒抽出;懸濁;噴霧コーティング;噴霧乾燥;発泡乾燥;コアセルベーション;および加熱−融合からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記磁気成分が前記粒子の約30重量%〜約99重量%を占める、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリマー成分が前記粒子の約1重量%〜約70重量%を占める、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記生物学的に活性な因子が前記粒子の重量で約10億分の1〜約25重量%の間を占める、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記粒子が50emu/gより大きい磁気飽和を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記粒子が約0.1〜約30μmまでの範囲の粒子サイズを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
1つ以上の薬学的に受容可能な賦形剤を組み合わせる工程をさらに包含素する、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記生物学的に活性な因子が前記成分と組み合わせる前に、生体分解可能な部分または加水分解可能な部分により生体適合性ポリマーと連結される、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
請求項22に記載の方法であって、ここで、前記生体適合性ポリマーが、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリ乳酸−コグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリカーボネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリ無水物、ポリアミド、ポリアクリル酸、ポロキサマー、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリオルトカーボネート、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(リンゴ酸)、ポリアミノ酸、キチン、キトサン、ゼラチン、コラーゲン、アテロコラーゲン、デキストラン、タンパク質、およびポリオルトエステル、ならびにこれらのコポリマー、ターポリマーおよび組み合せ、および混合物からなる群より選択される、方法。
【請求項35】
前記生体適合性ポリマーが前記成分の組合せの間にモノマーから重合される、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
請求項22に記載の方法であって、ここで前記生物学的に活性な因子が、抗腫瘍性剤、血液製剤、生物学的応答変更因子、抗真菌剤、抗生物質、ホルモン、ビタミン、タンパク質、ペプチド、酵素、染料、抗アレルギー剤、抗凝固製剤、循環器系薬、代謝強化剤、抗結核剤、抗ウイルス剤、抗狭心剤、抗炎症剤、抗原生動物剤、抗リューマチ剤、麻薬、鎮痛剤、診断性造影剤、強心配糖体、神経筋遮断薬、鎮静薬、麻酔薬、常磁性粒子および放射性粒子からなる群より選択される、方法。
【請求項37】
前記生物学的に活性な因子が抗体である、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
前記生物学的に活性な因子が、天然の遺伝物質および合成の遺伝物質からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項39】
前記生物学的に活性な因子がプロドラッグである、請求項22に記載の方法。
【請求項40】
前記生物学的に活性な因子が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ドキソルビシン、カンプトセシン、タキソール、マイトマイシン、ベラパミル、葉酸アンタゴニスト、およびメトトレキサートからなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項41】
前記生物学的に活性な因子が、放射性同位体、遺伝物質、造影剤、染料、ならびにこれらの誘導体および組合せからなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項42】
前記磁気標的化可能な粒子がγ照射、乾熱または電子ビームにより滅菌される、請求項22に記載の方法。
【請求項43】
賦形剤を組み合わせる工程をさらに包含する、請求項22に記載の方法。
【請求項44】
前記賦形剤がオートクレーブ手段により滅菌される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
単位用量の請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子、および該粒子の投与を可能にするビヒクルを備える、患者に生物学的に活性な物質を投与するためのキット。
【請求項46】
生物学的に活性な因子を投与するためのキットであって、以下:
a)請求項1に記載の単位用量の磁気標的化可能な粒子を収容する第一コンテナであって、各々の粒子が磁気成分:ポリマーの比率を約99:1〜約30:70の範囲で含む、第一コンテナ;および
b)1つ以上の賦形剤を含む溶液を有する第二コンテナ
を備える、キット。
【請求項47】
生物学的に適合性のポリマーをさらに含む、請求項45に記載のキット。
【請求項48】
前記賦形剤が、マンニトール、ソルビトール、グルコース、ショ糖、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンまたはこれらの組合せからなる群より選択される、請求項45に記載のキット。
【請求項49】
前記単位用量の磁気標的化可能な粒子がγ照射、乾熱または電子ビームによりさらに滅菌されている、請求項45に記載のキット。
【請求項50】
賦形剤を含む前記溶液がオートクレーブにより滅菌される、請求項45に記載のキット。
【請求項51】
請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子を滅菌する方法であって、滅菌量のγ照射を該粒子に照射する工程を包含する、方法。
【請求項52】
生物学的に活性な因子の局所的インビボ送達のための方法であって、以下:
a)請求項1に記載の磁気標的化可能な粒子を、注射のためのビヒクル中に懸濁する工程;
b)該磁気標的化可能な粒子を入れられたビヒクルを注射する工程;および
c)該磁気標的化可能な粒子の部分を誘導しかつ保持するのに十分な強度の磁場を所望の部位で確立する工程、
を包含する、方法。
【請求項53】
前記注射工程が動脈内を介する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記所望の部位が腫瘍である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記生物学的に活性な因子が、診断薬、治療薬、診断薬かつ治療薬として機能する因子、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項52に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2007−516216(P2007−516216A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526335(P2006−526335)
【出願日】平成16年9月11日(2004.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/029670
【国際公開番号】WO2005/025508
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(506083419)バンクラプシー エステート オブ ファークス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】