説明

用紙搬送装置、及びこれを備えた画像形成装置

【課題】 画像形成装置において、ジャム等が発生し難く且つ装置全体の容積を有効的に利用可能とすること。
【解決手段】 用紙供給トレイ部26に収容された最上面の用紙が給紙されると、その用紙の紙厚分だけ最上面の絶対高さが低くなる。このとき、用紙供給トレイ部26に収容された用紙の最上面の用紙給紙位置が下降するに従って、画像形成エンジン部24、用紙搬送部28及び用紙排出トレイ部30の3つのセクションを全体ユニットとして共に連動して下降させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙搬送装置、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、複写機及び複合機等の高速で大型の画像形成装置と別に、デスクトップ型の小型のプリンタ等の画像形成装置が市場に出回っている。
【0003】
この小型プリンタに代表される小型画像形成装置は、高速プリントに対応できつつあるが、用紙の収容枚数が少ないため、用紙の供給に時間を要している。具体的には、毎分40枚以上の印刷能力を有する小型プリンタが商品化されているが、これを用いた印刷においては、500枚収納可能な用紙供給トレイであれば、12.5分で全ての用紙の印刷が終了し、その都度、用紙を補給する必要が生じる。
【0004】
また、小型プリンタでは、用紙排出トレイの収容容量としては最大500枚までのものが多く、大量に印刷を行なうには何度も印刷済みの用紙を用紙排出トレイから取り除く必要がある。
【0005】
さらに、デスクトップ型のものでは、その設置場所が限定されたり、収納スペースを確保できなかったりする場合もある。加えて、上部が開放されているため、埃をかぶり易いといった問題も生じている。
【0006】
上記の小型プリンタに対して、別途、大容量の用紙収容装置を設けるようにすれば、用紙供給に対する手間が削減されるものの、装置全体が大型化しまう。
【0007】
例えば、特許文献1では、用紙排出トレイの下部に当該トレイと平行に反転トレイを配置すると共に、定着ユニットから反転トレイに至る間に反転搬送路及びスイッチバックローラを設け、定着後に、反転トレイ上で用紙をスイッチバックさせて当該用紙の表裏を反転させるように構成された両面画像形成装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−24699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1にて提案された両面画像形成装置では、上記の構成を採用することにより、装置の省スペース化を損なうことなく、高さ方向に小型化を図るようにしている。
【0009】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術では、印刷用紙の反転経路を装置本体内に設ける構造としており、用紙排出トレイが装置本体の横方向にせり出している。そのため、装置全体の床占有面積が大きくなっている。
【0010】
そこで、装置全体の占有面積が小さい小型の画像形成装置が望まれている。
【0011】
また、特許文献1以外の小型の画像形成装置でも、用紙を下から上へ持ち上げるような構造を採用したものが多く、そのためにジャム等も発生し易くなっている。
【0012】
本発明は、上記技術的課題に鑑みなされたもので、ジャム等が発生し難く且つ装置全体の容積を有効的に利用可能な、用紙搬送装置、及びこれを備えた画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の観点に係る用紙搬送装置は、用紙に画像形成を行なうための画像形成エンジン部を備えた画像形成装置に用いられる用紙搬送装置であって、画像形成エンジン部に供給される用紙を収容するための用紙供給トレイ部と、用紙を搬送するための用紙搬送部と、画像形成エンジン部で画像形成された用紙を用紙搬送部を介して収容するための用紙排出トレイ部と、を備え、用紙搬送部は、画像形成エンジン部の上面側に接して設けられ、用紙排出トレイ部は、その占有位置が用紙供給トレイ部の占有位置と対応するように、当該用紙供給トレイ部に対して垂直方向に沿う上方に設けられ、画像形成エンジン部、用紙搬送部及び用紙排出トレイ部は、一体的に構成され、用紙供給トレイ部に収容された用紙の最上面の用紙給紙位置が下降するに従って、画像エンジン部を連動して下降させるための連動手段を含む。
【0014】
上記構成によれば、用紙への画像形成に伴い、用紙供給トレイ部側の用紙収容スペースが徐々に小さくなるが、それに応じて、画像形成エンジン部も共に連動して下がる。これにより、画像形成済みの用紙を用紙排出トレイ部へ排出するための用紙排出経路を常に水平方向に維持することができる。
【0015】
上記用紙搬送装置は、用紙供給トレイ部に収容された用紙の最上面の用紙給紙位置を検知するための検知手段をさらに含み、連動手段は、検知手段からの検知情報を基に、画像形成エンジン部を連動して下降させる。
【0016】
上記構成によれば、用紙供給トレイ部の最上面の用紙が給紙されると用紙の紙厚分だけ当該最上面の絶対高さが低くなるが、このように変位する用紙供給トレイ最上面の用紙給紙位置に対応して、画像形成エンジン部が確実に連動下降し、上記の用紙排出経路を常に水平方向に維持することができる。
【0017】
ある態様では、用紙搬送部は、用紙の表裏を反転させるための用紙反転機構を備えている。
【0018】
この場合、用紙の表裏両面への画像形成にも対応可能なため、用紙の有効利用に繋がる。
【0019】
また、上記用紙搬送装置は、用紙搬送部の上方には、用紙排出トレイ部に用紙を排出するための排出ローラが備えられ、連動手段による画像形成エンジン部の下降位置に応じて、画像形成エンジン部で画像形成された用紙を用紙搬送部から排出ローラまで案内するための案内手段をさらに含む。
【0020】
上記構成によれば、画像形成エンジン部の下降位置に応じて、画像形成エンジン部で画像形成された用紙を用紙搬送部から排出ローラまで案内するようにして、用紙排出トレイ部のスペースを確保する構造としているため、装置全体の容積を有効利用できる。
【0021】
好ましくは、用紙供給トレイ部は、給紙可能な用紙高さを検知するために用紙給紙ストッパを備え、用紙排出トレイ部は、排出可能な用紙高さを検知するために用紙排出ストッパを備えている。
【0022】
上記構成によれば、用紙供給トレイ部に用紙を補給する際に、用紙排出トレイ部に用紙が残っていることに起因するトラブルを防止できる。
【0023】
本発明の第2の観点に係る画像形成装置は、上記用紙搬送装置を備えている。
【0024】
上記構成によれば、設置面積の小さい画像形成装置を得ることができる。
【0025】
ある態様では、画像形成エンジン部は、インク像形成手段を備えている。
【0026】
この場合、インク像形成手段を用いることで、設置面積が更に小さくなって、装置全体の省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、用紙を用紙排出トレイ部に排出するための用紙排出経路を常にフラットな状態に維持できるため、ジャム等が発生し難くい。さらに、用紙供給トレイ部の一部分を用紙排出トレイ部のスペースに利用しているので、装置全体の容積を有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の説明及び本明細書に添付の図面では、同一の機能部品については同一の符号を付している。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さないことにする。
【0029】
[第1の実施の形態]
<機械的構成>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置20の概略構成を簡略化して示す図である。
【0030】
図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置20は、プリンタであって、概ね、印刷用紙22に印刷を行なうための画像形成エンジン部24と、この画像形成エンジン部24に供給される印刷用紙22を多数枚収容するための用紙供給トレイ部26と、用紙22を搬送するための用紙搬送部28と、画像形成エンジン部24から排出された印刷済みの用紙22を用紙搬送部28を介して収容するための用紙排出トレイ部30との4つのセクションを備えている。
【0031】
本画像形成装置20では、その全体高さを机下に入る高さに設定することにより、用紙供給トレイ部26の容量を3000枚まで用紙22を収容可能としている。その一方で、用紙排出トレイ部30の容量も用紙供給トレイ部26から用紙22が印刷されて減って行くスペースを利用することにより、画像形成装置20自体の大きさを小さくすることができる。その結果、設置面積の小さい画像形成装置20が得られる。
【0032】
また、本画像形成装置20では、用紙供給トレイ部26の上方に用紙排出トレイ部30を設ける構造を採用することで、3000枚の用紙収容と、その印刷済み用紙の用紙排出トレイ部30への積載とが可能となると共に、用紙供給トレイ部26への用紙補給、及び用紙排出トレイ部30上の印刷済み用紙の取り除きの両作業が一度で行なえ、当該両作業時間を一度に短縮することができる。
【0033】
さらに、本画像形成装置20では、画像形成装置20本体の底部にキャスター輪20Aが回転自在に取り付けらており、画像形成装置20の移動及び収納が簡単となり、机下にも簡単に収納できる。加えて、本画像形成装置20は、デスクトップタイプとは異なり、埃がかぶり難くなる効果も有している。
【0034】
図2は図1のX部を拡大して示す図である。
【0035】
図2を参照して、用紙供給トレイ部26に収容された印刷用紙22の最上面にある用紙32は、用紙搬送部28の給紙ローラ34によりピックアップされ、停止ローラ(PSローラ)36にて停止され、画像形成エンジン部24とのタイミングを計って搬送される。搬送された用紙22は、転写ローラ38により転写された後、S字路40を通って上方に搬送され、図1に示す搬送ローラ42及び排紙ローラ44より、図5において2点鎖線で示すように、用紙排出トレイ部30に排出される。
【0036】
また、本画像形成装置20では、用紙搬送部28に用紙22の表裏を反転させるための反転機構を備えており、用紙22への両面印刷が可能となっている。
【0037】
両面印刷を行なう場合には、S字路40を通った用紙22は、排紙ローラ46及び逆転ローラ48を経由して、一旦、用紙22の殆どが紙面の左方向に排出され、逆転ローラ48を逆回転させて、再度、搬送ローラ49及び転写ローラ38を経由して裏面に画像が転写された後、搬送ローラ42及び排紙ローラ44を通り用紙排出トレイ部30に排出される。
【0038】
上記排出ローラとして機能する搬送ローラ42及び排紙ローラ44は、図1に示すように、画像形成装置20本体内においてその上部に固定されたガイド50に関連して設けられている。なお、以下の説明において、搬送ローラ42及び排紙ローラ44を「排出ローラ42,44」と称する。
【0039】
画像形成エンジン部24は、インク像形成ユニット52、照射ユニット54及び中間転写ユニット56を含む。この画像形成エンジン部24にて印刷により画像を形成するとき、図8に示すクライアントパーソナルコンピュータ(以下、単に「PC」という)210等の外部機器から伝達される画像情報に応じて、照射ユニット54がインク像形成ユニット52に光を照射して静電潜像を形成する。インク像形成ユニット52は、得られた静電潜像にインクを供給してインク像を形成する。このようにして得られたインク像は、中間転写ユニット56に中間転写された後、用紙搬送部28にある転写ローラ38によって用紙22に転写される。この用紙22は、インク像が転写された後、用紙搬送部28の上方の排出ローラ42,44によって用紙排出トレイ部30に排出される。
【0040】
図3はインク像形成ユニット52の構成を簡略化して示す断面図である。
【0041】
図3を参照して、インク像形成ユニット52は、感光体ドラム58、対向電極60、クリーニングブレード62及びインク収容容器64を含む。感光体ドラム58、対向電極60及びクリーニングブレード62は、インク収容容器64内に収容されている。
【0042】
感光体ドラム58は、図示しないモータ等の駆動装置により反時計周りに回転する。
【0043】
インク収容容器64は、その内部に画像を形成するためのインク粒子IPを含むインクIが収容されており、このインクIに感光体ドラム58の一部が浸っている。
【0044】
対向電極60は、感光体ドラム58と同様に、インクIに浸っている。この対向電極60には、インク粒子IPの帯電極性と同極性を有する所定の印加電圧が印加される。これに対し、感光体ドラム58の表面の静電潜像は、照射ユニット54によってインク粒子IPの帯電極性と逆極性に帯電される。
【0045】
上記感光体ドラム58は、図4に示すように、導電性基体68、この導電性基体68の表面に形成される感光層70、この感光層70の外側に形成されるオーバーコート層72を含む。なお、図4は感光体ドラム58の一部を拡大して示す断面図である。
【0046】
感光層70は、光触媒74、及びこの光触媒74を保持するバインダ76を含んで構成されている。
【0047】
導電性基体68は、導電性を有する材料によって形成され、種々の形状を採ることができる。例えば、感光体ドラム58のような円筒形状の他に、円柱形状、薄膜シート形状及びベルト形状等が挙げられる。これらの中でも円筒形状が好ましい。このように円筒形状にすることによって、感光体ドラム58を回転させるための回転機構が単純化され、安定して回転させることが可能になる。また、ベルト形状であっても構わない。この場合、楕円形状等の様々な形状に変形できるため、省スペース化が可能になり、装置設計に空間的な余裕が生まれる。
【0048】
感光層70は、画像形成に先立ち、初期化される。この初期化は、感光層70の表面が均一化されることにより行なわれる。感光層70の静電潜像に光を照射すると、光を照射された部分と照射されていない部分とで電位差が生じる。このような挙動の化学変化のメカニズムは明らかではないが、光触媒74が光照射により励起されると正孔分離が生じることに起因すると考えられている。
【0049】
オーバーコート層72としては、例えば、硬化型樹脂、無機フィラー含有樹脂及び無機酸化物等からなる層が用いられる。
【0050】
ここで、本実施の形態では、インク像形成ユニット52の感光体ドラム58は、金属等の導電性基体68と、その導電性基体68の表面に形成される酸化チタンを樹脂に分散させた感光層70と、その感光層70の外側に形成されるオーバーコート層72とから構成される。感光層70中に用いられる酸化チタンは、顕著な光触媒活性効果があり、小さなエネルギーで活性化されるため、静電潜像を容易に形成することができる。また、酸化チタンは、380nm以下の短波長を吸収して、光触媒反応を起こすため、照射ユニット54には、レーザ光波長として380nm以下のものが用いられる。
【0051】
感光体ドラム58は、光触媒74を含んで構成される感光層70を有しているので、照射ユニット54によって光触媒74に光が照射されると、価電子帯の電子が励起されて、価電子帯に正孔が生成され、伝導帯に電子が生成され、感光体ドラム58の感光層70の表面が帯電される。また、液体インクI中に分散しているインク粒子IPによって画像を形成する湿式現像方式によって画像形成を行なっているので、乾式現像方式による場合と比較して、感光体ドラム58の感光層70の表面の帯電強度が弱くても、インク粒子IPを感光体ドラム58の表面に付着させることが可能である。したがって、帯電させるためのエネルギーが不要になるので、消費エネルギーを抑えることができる。このように帯電手段を設ける必要がないので、画像形成装置20の小型化が可能になると共に、感光体ドラム58の劣化が抑えられ、高精度な画像を形成可能な画像形成装置20を提供することができる。さらに、インクIを用いているので、印刷用紙22にインク像を転写する際に、トナーのように加熱溶融する必要がない。これにより、エネルギーの消費を抑えることができる。
【0052】
上記インク収容容器64は、その内部に収容されたインクIを攪拌するための撹拌翼等のスクリュー部材を回転自在に支持しており、このスクリュー部材の回転力によってインクIを攪拌してインク流を発生させている。
【0053】
インクIに感光体ドラム58の一部が浸ることによって、静電潜像にインク粒子IPが付着して、感光体ドラム58上にインク像が形成される。インク像の形成に際しては、感光体ドラム58の表面の静電潜像は、インク粒子IPの帯電電位とは逆極性に帯電しているので、インク収容容器64内の感光体ドラム58付近のインク粒子IPが、静電潜像に円滑に供給され、付着する。
【0054】
感光体ドラム58は、インクIに浸っていない領域で、照射ユニット54によって画像の静電潜像がインク粒子IPの帯電極性と逆極性に帯電させられた後、インクIに浸って静電潜像にインク粒子IPを付着させてインク像を形成する。その後、インクIに浸っていない領域へ移り、インク像を中間転写ユニット56に転写する。これらのインク像形成過程において、例えば、感光体ドラム58が円筒形状の場合、回転するだけで足り、感光体ドラム58の移動距離を最小限に抑えることが可能になる。
【0055】
中間転写ユニット56は、中間転写ベルト78、支持ローラ80及び左右一対の回転ローラ82から構成される。
【0056】
中間転写ベルト78は、その周面がインク像形成ユニット52の感光体ドラム58の周面と接するように配置されている。この中間転写ベルト78は、支持ローラ80が図2において矢印で示すように時計回りに回転すると、同方向に従動回転する。このとき、回転ローラ82も反時計周りに従動回転する。
【0057】
中間転写ベルト78がインク像形成ユニット52の感光体ドラム58の周面に接しながらインク像形成ユニット52を通過する際、図3に示すように、中間転写ベルト78にインク像形成ユニット52の感光体ドラム58の表面のインク粒子IPの帯電極性とは逆極性の中間転写バイアスが印加され、インク像形成ユニット52の感光体ドラム58の表面に形成されたインク像が中間転写ベルト78上へ中間転写される。中間転写ベルト78にのったインクIは、用紙搬送部28の転写ローラ38によって印刷用紙22に転写される。
【0058】
中間転写ベルト78の表面の材質は、水分を吸収せず且つインク粒子IPが付着し易いもので構成されている。本実施の形態では、EPM及びEPDM等のエチレンプロピレンゴムに抵抗値制御のためにカーボンブラックを適量添加したものが採用されている。
【0059】
このように、上記の構成のインク像形成ユニット52を用いることによって、従来の電子写真方式に比べて、格段に小さい画像形成エンジン部24を得ることができる。
【0060】
図5は画像形成装置20の内部構成を示す斜視図、図6は図5のY部を拡大して示す図である。
【0061】
図1及び図5を参照して、用紙供給トレイ部26は、給紙トレイ84及び左右一対の仕切板86等を含み、その用紙収容空間は、当該給紙トレイ84及び仕切板86等で区画される。
【0062】
仕切板86は、図5に示すように、用紙供給トレイ部26と画像形成エンジン部24とを仕切るための垂直方向に沿って延びる長手の板状部材であって、給紙トレイ84と共に所定の開口面積を有する給紙口を区画するように、給紙トレイ84の基端部の画像形成エンジン部24側の面に画像形成エンジン部24を挟んで所定の間隔を隔てた状態で取り付けられている。
【0063】
用紙搬送部28は、画像形成エンジン部24の上面側に接して設けられている。この用紙搬送部28には、上述した各種のローラ34,36,38,46,48及びS字路40等が備えられている。
【0064】
用紙搬送部28と画像形成エンジン部24とは、図2に示すように、用紙搬送の妨げにならない部分で連結部材88によって連結されている。
【0065】
用紙排出トレイ部30は、排紙トレイ90等を含み、その用紙収容空間は、当該排紙トレイ90等で区画される。この用紙排出トレイ部30の排紙トレイ90は、その占有位置が用紙供給トレイ部26の給紙トレイ84の占有位置と対応するように、当該給紙トレイ84に対して垂直方向に沿う上方に設けられている。また、排紙トレイ90と用紙搬送部28のフレームとは、一体成型されている。
【0066】
すなわち、本実施の形態では、画像形成エンジン部24、用紙搬送部28及び用紙排出トレイ部30の3つのセクションが一体的に構成されている。なお、以下の説明において、この一体化された画像形成エンジン部24、用紙搬送部28及び用紙排出トレイ部30の3つのセクションを総称するときは「全体ユニット」と称する。
【0067】
本画像形成装置20には、用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の用紙給紙位置が下降するに従って、全体ユニットを連動して下降させるための連動機構92と、この連動機構92による全体ユニットの下降位置に応じて、画像形成エンジン部24で印刷された用紙22を用紙搬送部28からその上方の排出ローラ42,44まで案内するための案内機構94とが備えられている。
【0068】
本画像形成装置20では、図10に示すように、用紙供給トレイ部26に収容された最上面の用紙32が給紙されると、その用紙32の紙厚分だけ最上面の絶対高さが低くなるが、連動機構92は、この点に注目し、用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の用紙給紙位置が下降するにつれて、画像形成エンジン部24、用紙搬送部28及び用紙排出トレイ部30の3つのセクション(即ち、全体ユニット)が共に連動して下降されるように構成されている。
【0069】
具体的には、図5及び図6を参照して、連動機構92は、平板の表面に等間隔に同形の歯が刻設された左右一対のラック96と、各ラック96の歯に噛合して回転する左右一対のピニオン98と、図8に示すステッピングモータ208とを備えている。
【0070】
各ラック96は、垂直方向に沿って延びる長尺部材であって、上記各仕切板86の表面(画像形成エンジン部24側の面)に取り付けられている。
【0071】
各ピニオン98は、同軸回転可能に設けられており、その回転軸100は、図6に示すように、画像形成エンジン部24を水平方向に沿って貫通している。
【0072】
ステッピングモータ208は、両ピニオン98の駆動源であって、その出力軸は、特に図示していないが、両ピニオン98共通の回転軸100の一端部に結合されている。
【0073】
本連動機構92では、ステッピングモータ208によりピニオン98をラック96上で回動させると、画像形成エンジン部24、用紙搬送部28及び用紙排出トレイ部30の3つのセクションが同じ動きをする。図6に示すように、ステッピングモータ208により用紙22が使用された分に相当する角度ピニオン98を時計周りにラック96上で回動させると、画像形成エンジン部24が下降し、その結果、用紙22が使用された分だけ、画像形成エンジン部24と共に用紙搬送部28及び用紙排出トレイ部30が一体化された全体ユニットの垂直方向での位置が低くなる。
【0074】
図5を参照して、案内機構94は、上下一対のプーリ102、左右一対のサクションベルト104及び左右に対をなす3組の用紙剥離爪106A,106B,106Cを備えている。
【0075】
各プーリ102は、全体ユニットの上死点と下死点との間において垂直方向に沿って上下に間隔を開けた状態で回転自在とされている。これら上下に対をなすプーリ102のうち一方のプーリは、図示しないモータ等の駆動装置に接続され駆動側プーリとなっており、これに伴って他方のプーリが従動側プーリとされている。
【0076】
各サクションベルト104は、多数の小孔が所定の態様で形成された、用紙を吸着して搬送するための無端状のベルトであって、所定の間隔を開けた状態で上下一対のプーリ102の左右両端部間に巻き掛けられている。
【0077】
各組の用紙剥離爪106A,106B,106Cは、サクションベルト104間において全体ユニットの移動(下降)方向に沿って垂直に配列されている。
【0078】
最上段に位置する第1組目の用紙剥離爪106Aは、印刷済みの用紙22の用紙排出トレイ部30への排出時に当該用紙22を排出ローラ42,44に導くための部材であって、その先端部がサクションベルト104の搬送面より外側に突出した姿勢を常に保つように第1の横軸108Aに支持されている。この用紙剥離爪106Aでは、排出ローラ42,44の高さ位置が図10に示すように全体ユニットが下降しても変化しないので、その先端部が当該排出ローラ42,44に関連するガイド50(図1参照)と略同じ高さで近接するようになっている。
【0079】
中段に位置する第2組目の用紙剥離爪106Bは、両面印刷時に用紙22を反転させるために使用されるゲート部材であって、端部(本実施の形態においては右端部)がステッピングモータ110の出力軸に結合された第2の横軸108B周りに所定の角度の範囲で回転自在に支持されている。この用紙剥離爪106Bの姿勢の切替は、ステッピングモータ110を正回転及び逆回転させることによりなされるが、特に片面印刷時、即ち使用しない場合には、用紙剥離爪106Bは、サクションベルト104による用紙22の搬送の邪魔にならないように、その先端部がサクションベルト104の搬送面より内側に退避した姿勢に切替えられる。
【0080】
最下段に位置する第3組目の用紙剥離爪106Cは、印刷済みの用紙22の用紙排出トレイ部30への排出時に当該用紙22をサクションベルト104の搬送面に導くための部材であって、1組目の用紙搬送爪106Aと同様に、その先端部がサクションベルト104の搬送面から外側に突出した姿勢を常に保つように第3の横軸108Cに支持されている。
【0081】
全体ユニットは、後述するように、用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の用紙給紙位置が所定量下方に変位する度に所定量下降するが、第2組目(中段)の用紙剥離爪106B及び第3組目(最下段)の用紙剥離爪106Cは、図7に示すように、画像形成エンジン部24と用紙搬送部28との間において当該爪106B,106C同士の間隔を保持した状態で、全体ユニットと共に下降するように画像形成エンジン部24と用紙搬送部28とに連結されている。
【0082】
図7は用紙剥離爪106B,106Cの連結状態を示す図であって、同図(A)は左側のサクションベルト104側から視た図、同図(B)は右側のサクションベルト104側から視た図である。
【0083】
図7を参照して、左右に対をなす上記中段の用紙剥離爪106B及び最下段の用紙剥離爪106は、左右に対をなす3組のリンク板112,114,116を介して画像形成エンジン部24及び用紙搬送部28に連結されている。
【0084】
具体的には、第1組目のリンク板112では、上側の軸孔に用紙搬送爪106Bを支持する第2の横軸108Bの左右両端部が嵌め込まれており、下側の軸孔に用紙剥離爪106Cを支持する第3の横軸108Cの左右両端部が嵌め込まれている。
【0085】
第2組目のリンク板114では、一端部が第1組目のリンク板112の上端部にピン等を介して取り付けらており、他端部が用紙搬送部28の左右両側壁にピン等を介して取り付けられている。
【0086】
第3組目のリンク板116では、一端部が第1組目のリンク板112の下端部にピン等を介して取り付けらており、他端部が画像形成エンジン部24の左右両側壁にピン等を介して取り付けられている。
【0087】
上記のようにリンク機構を構成することにより、固定側の用紙剥離爪106Aに対する可動側の用紙剥離爪106Cの間隔Cは、図11に示すように、全体ユニットが下降するに従って広くなることになる。
【0088】
<電気的構成>
図8は画像形成装置20の電気的構成を示すブロック図である。
【0089】
図8を参照して、本画像形成装置20は、制御部200、変位量センサ202、用紙供給ストッパ(以下、単に「給紙ストッパ」という)204及び用紙排出ストッパ(以下、単に「排紙ストッパ」という)206を備えている。
【0090】
制御部200は、何れも図示しないCPU(Central Proccesing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含むマイクロコンピュータであって、本画像形成装置20の制御中枢を司る。この制御部200には、変位量センサ202、ストッパ204,206及び画像形成エンジン部24並びにステッピングモータ208の他に、外部機器としてPC210が接続されている。
【0091】
変位量センサ202は、用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の用紙給紙位置の変位量を検知するための検知手段であって、図2に示すように、用紙搬送部28の用紙供給トレイ部26側(給紙ローラ34及びPSローラ36の近傍)に備えられている。本実施の形態においては、変位量センサ202として、接触式微小変位センサ(株式会社キーエンス社製 AT3−001)が採用されている。この接触式微小変位センサは、0.2μmの分解能を有し、その接触子が用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面にある用紙32に接触することによって、サブミクロンオーダーの用紙給紙位置の変位量を読み取ることができる。この変位量センサ202のセンサ情報は、制御部200に与えられる。変位量センサ202からセンサ情報が与えられる度に、制御部200は、前回記憶された位置データからの上記用紙給紙位置の低下量を反映させてステッピングモータ208の駆動を制御し、それによって全体ユニットの位置を低下させる。
【0092】
給紙ストッパ204は、給紙可能な用紙高さを検知するためのリミットスイッチであって、図10(A)に示すように、用紙供給トレイ部26の用紙満杯位置に設けられている。一方、排紙ストッパ206は、排出可能な用紙高さを検知するためのリミットスイッチであって、図10(C)に示すように、用紙排出トレイ部30の用紙満杯位置に設けられている。これらストッパ204,206の各検知情報は、制御部200に与えられる。ストッパ204,206の各検知情報の内容に基づいて、制御部200は、画像形成エンジン部24の駆動を制御する。
【0093】
<ソフトウェア構成>
本画像形成装置20は、用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の用紙給紙位置の変動に応じて、画像形成エンジン部24、用紙搬送部28及び用紙排出トレイ部30を一体化した全体ユニットを連動して上下させるようにプログラミングされている。
【0094】
かかるプログラムは、画像形成装置20の制御部200のROMに記憶されており、次に説明する画像形成装置20の機能を実現する。これらの機能の実現は、上記の実質的にコンピュータである制御部200が上記のプログラムを実行することによって達成される。
【0095】
図9は画像形成装置20の機能を実現するためのプログラム構造をフローチャート形式で示す図である。
【0096】
図9を参照して、本画像形成装置20では、外部機器としてのPC210から印刷開始を促すコマンドが入力されると、上述したように、用紙供給トレイ部26に収容された用紙22が印刷枚数に応じて1枚ずつ順次給紙され、その用紙22の紙厚分だけ用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の絶対高さが低くなる。このとき、画像形成装置20の制御部200は、変位量センサ202による用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の用紙給紙位置の変位量の測定を開始させる。この変位量センサ202による測定は、用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の用紙給紙位置の累積変位量が所定値の範囲(本実施の形態では3mm)内にあるまでの間は継続される(ステップS100及びS102)。なお、測定された用紙供給トレイ部26の用紙22の給紙位置の変位量は、制御部200のRAMに累積して記憶される。
【0097】
用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の用紙給紙位置の累積変位量が所定値に達したことが変位量センサ202により測定される度に、制御部200は、全体ユニットを所定量下降させる(ステップS104)。具体的には、制御部200によりステッピングモータ208の駆動が制御され、上記の用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の給紙位置の所定の累積変位量に相当する角度だけ、ラック96上でピニオン98が時計周りに回転し、これと共に画像形成エンジン部24が下降する。その結果、用紙22が使用された分だけ、画像形成エンジン部24と共に用紙搬送部28及び用紙排出トレイ部30が一体化された全体ユニットの垂直方向での位置が低くなる。このとき、全体ユニットの下降位置に応じて、案内機構94によって印刷された用紙22が用紙搬送部28からその上方の排出ローラ42,44まで案内され、用紙排出トレイ部30に排出される。その後、制御部200は、制御をステップS106及びS108に進める。
【0098】
制御がステップS106及びステップS108に進むと、制御部200は、排紙ストッパ206による用紙排出トレイ部30の用紙満杯検知、及び給紙ストッパ204による用紙供給トレイ部26の用紙満杯検知の何れの事象が先に発生するか否かを判定する。この判定結果に応じて、制御はブランチする。
【0099】
排紙ストッパ206による用紙排出トレイ部30の用紙満杯検知、及び給紙ストッパ204による用紙供給トレイ部26の用紙満杯検知の何れの事象も発生しなかった場合には、制御部200は、記憶した用紙22の給紙位置の累積変位量をクリアし(ステップS110)、その後、制御をステップS100及びステップS102に戻して、変位量センサ202による用紙22の給紙位置の変位量の測定を再開させる。
【0100】
排紙ストッパ206による用紙排出トレイ部30の用紙満杯検知の事象が先に発生した場合には、制御部200は、画像形成エンジン部24の印刷動作を中止させる。
【0101】
また、給紙ストッパ204による用紙供給トレイ部26の用紙満杯検知の事象が発生した場合には、制御部200は、用紙供給トレイ部26に用紙22が新たに収容されたとみなして、画像形成エンジン部24の印刷動作を中止させる。
【0102】
<動作>
図10は画像形成装置20において印刷が進行する状態を模式的に示す図、図11は画像形成装置20において印刷が進行するにつれて用紙搬送部28から用紙22が排出される状態を模式的に示す図である。
【0103】
図10及び図11を参照して、本画像形成装置20では、用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の用紙給紙位置が下方に変位すると、これに連動して画像形成エンジン部24、用紙搬送部28及び用紙排出トレイ部30を一体化した全体ユニットが下降する。このとき、案内機構94のプーリ102が図10及び図11における時計周りに回転し、これに伴ってサクションベルト104が同方向に従動回転する。その結果、画像形成エンジン部24で印刷された用紙22は、用紙搬送部28の用紙排出箇所から、可動側(最下段)の用紙剥離爪106C、サクションベルト104及び固定側(最上段)の用紙剥離爪106Aを経由して、用紙搬送部28の上方に位置し且つ全体ユニットと共に下降せずにその高さ位置を維持する排出ローラ42,44に搬送され、これら排出ローラ42,44によって用紙排出トレイ部30に排出される。
【0104】
このとき、図10(A)に示すように、用紙供給トレイ部26に略満杯の多数の印刷用紙22がある場合には、全体ユニットが上死点に位置するので、固定側の用紙剥離爪106Aに対する可動側の用紙剥離爪Cの間隔Cが図11(A)に示すように最小となる。そして、画像形成エンジン部24で印刷された用紙22は、可動側の用紙剥離爪106Cによってサクションベルト104の搬送面に導かれ(図11(A)に示す(1)から(2)へ至る状態)、サクションベルト104に吸着されて上方に向かって搬送され(図11(A)に示す(2)から(3)に至る状態)、固定側の用紙剥離爪106Aによって排出ローラ42,44へと導かれる(図11(A)に示す(3)から(4)に至る状態)。
【0105】
印刷が進み、図10(B)に示すように、用紙供給トレイ部26に約半数の印刷用紙22がある場合には、固定側の用紙剥離爪106Aに対する可動側の用紙剥離爪Cの間隔Cが図11(A)及び(B)に示すように用紙供給トレイ部26に略満杯の多数の印刷用紙22がある場合の間隔Cよりも広くなる。そして、画像形成エンジン部24で印刷された用紙22は、全体ユニットの下降位置に応じた高さにある可動側の用紙剥離爪106Cによってサクションベルト104の搬送面に導かれ(図11(B)に示す(5)から(6)へ至る状態)、サクションベルト104に吸着されて上方に向かって搬送され(図11(B)に示す(6)(7)から(8)に至る状態)、固定側の用紙剥離爪106Aによって排出ローラ42,44へと導かれる(図11(B)に示す(8)から(9)に至る状態)。
【0106】
さらに印刷が進み、図10(C)に示すように、用紙供給トレイ部26に殆ど印刷用紙22がない場合には、全体ユニットが下死点に位置するので、固定側の用紙剥離爪106Aに対する可動側の用紙剥離爪Cの間隔Cが図11(B)及び(C)に示すように用紙供給トレイ部26に約半数の印刷用紙22がある場合の間隔Cよりもさらに広がり最大となる。そして、画像形成エンジン部24で印刷された用紙22は、可動側の用紙剥離爪106Cによってサクションベルト104の搬送面に導かれ(図11(C)に示す(10)から(11)へ至る状態)、サクションベルト104に吸着されて上方に向かって搬送され(図11(C)に示す(10)(11)(12)(13)から(14)に至る状態)、固定側の用紙剥離爪A106によって排出ローラ42,44へと導かれる(図11(C)に示す(14)から(15)に至る状態)。
【0107】
なお、上記の動作説明は、両面印刷ではなく片面印刷を想定しているので、用紙反転用(中段)の用紙剥離爪106Bは使用されていない。
【0108】
<作用・効果>
本実施の形態によると、以下の作用・効果を奏する。
【0109】
(1)用紙の印刷に伴い、用紙供給トレイ部側の用紙収容スペースが徐々に小さくなるが、それに応じて、全体ユニットも共に連動して下がる。これにより、印刷済みの用紙を用紙排出トレイ部へ排出するための用紙排出経路を常に水平方向に維持することができる。このように、用紙排出経路を常にフラットな状態に維持することで、ジャム等が発生し難くい。さらに、用紙供給トレイ部の一部分を用紙排出トレイ部のスペースに利用しているので、画像形成装置全体の容積を有効に利用することができる。
【0110】
(2)用紙搬送部に用紙供給トレイ部に収容された用紙の最上面の用紙給紙位置を検知するための検知手段として変位量センサを備え、この変位量センサからのセンサ情報を基にして全体ユニットが連動して下降される。このとき、用紙供給トレイ部の最上面の用紙が給紙されると当該用紙の紙厚分だけ当該最上面の絶対高さが低くなるが、このように変位する用紙供給トレイ部内の用紙の最上面の用紙給紙位置に対応して、全体ユニットが確実に連動下降し、上記の用紙排出経路を常に水平方向に維持することができる。
【0111】
(3)用紙搬送部には、用紙22の表裏を反転させるための用紙反転機構が備えられているので、用紙の表裏両面への印刷にも対応可能となり、用紙の有効利用に繋がる。
【0112】
(4)プーリ、サクションベルト及び用紙剥離爪により、全体ユニットの下降位置に応じて、画像形成エンジン部で印刷された用紙を用紙搬送部から排出ローラまで案内するようにして、用紙排出トレイ部のスペースを確保する構造としている。そのため、画像形成装置全体の容積を有効利用できる。
【0113】
(5)用紙供給トレイ部に給紙可能な用紙高さを検知するために給紙ストッパを備える一方、用紙排出トレイ部に排出可能な用紙高さを検知するために排紙ストッパを備えているので、用紙供給トレイ部に用紙を補給する際に、用紙排出トレイ部に用紙が残っていることに起因するトラブルを防止できる。
【0114】
(6)画像形成装置は、上記のような用紙搬送機能を備えているので、画像形成装置の設置面積は小さくて済む。
【0115】
(7)画像形成エンジン部にインク像形成ユニットを用いているので、更に設置面積は小さくなり、画像形成装置全体の省スペース化を図ることができる。
【0116】
[第2の実施の形態]
図12は本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置20の電気的構成を示すブロック図である。
【0117】
図12を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置20の特徴は、上記の変位量センサ202に代え、用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の用紙給紙位置を検知するための検知手段として、印刷枚数をカウントするカウンタ212を採用し、このカウンタ212からのカウント情報を基にして全体ユニットを連動して下降させる点にあり、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0118】
カウンタ212は、例えば、用紙搬送部28等、画像形成装置20内の用紙22の印刷枚数がカウント可能な位置に設けられる。
【0119】
<ソフトウェア構成>
図13は画像形成装置20の機能を実現するためのプログラム構造をフローチャート形式で示す図である。
【0120】
図13を参照して、本画像形成装置20では、外部PC210から印刷開始を促すコマンドが入力されると、用紙供給トレイ部26に収容された用紙22が印刷枚数に応じて1枚ずつ順次給紙され、その用紙22の紙厚分だけ用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の絶対高さが低くなる。
【0121】
画像形成装置20の制御部200は、用紙供給トレイ部26に収容された用紙22の最上面の用紙給紙位置の変位量を検知するために、カウンタ212による用紙22の印刷枚数のカウントを開始させる。このカウンタ212によるカウントは、用紙22の印刷枚数が所定値の範囲(本実施の形態では20枚)内にあるまでの間は継続される(ステップS200及びS202)。カウントされた用紙22の印刷枚数は、制御部200のRAMに累積して記憶される。
【0122】
用紙22の累積印刷枚数が所定値に達したことがカウンタ212により測定される度に、制御部200は、全体ユニットを所定量下降させる(ステップS204)。その後、制御部200は、制御をステップS206及びS208に進める。
【0123】
制御がステップS206及びS208に進むと、制御部200は、排紙ストッパ206による用紙排出トレイ部30の用紙満杯検知、及び給紙ストッパ204による用紙供給トレイ部26の用紙満杯検知の何れの事象が先に発生するか否かを判定する。この判定結果に応じて、制御はブランチする。
【0124】
排紙ストッパ206による用紙排出トレイ部30の用紙満杯検知、及び給紙ストッパ204による用紙供給トレイ部26の用紙満杯検知の何れの事象も発生しなかった場合には、制御部200は、記憶した用紙22の累積印刷枚数をクリアし(ステップS210)、その後、制御をステップS200及びS202に戻して、カウンタ212による印刷枚数のカウントを再開させる。
【0125】
排紙ストッパ206による用紙排出トレイ部30の用紙満杯検知の事象が先に発生した場合には、制御部200は、画像形成エンジン部24の印刷動作を中止させる。
【0126】
また、給紙ストッパ204による用紙供給トレイ部26の用紙満杯検知の事象が発生した場合には、制御部200は、用紙供給トレイ部26に用紙が新たに収容されたとみなして、画像形成エンジン部24の印刷動作を中止させる。
【0127】
<作用・効果>
本実施の形態によると、第1の実施の形態の(1)及び(3)〜(7)と同様の作用・効果を奏することに加えて、以下の作用・効果を奏する。
【0128】
用紙搬送部に用紙供給トレイ部に収容された用紙の最上面の用紙給紙位置を検知するための検知手段として、用紙の印刷枚数をカウントするカウンタを備え、このカウンタからのカウント情報を基にして全体ユニットが連動して下降されるので、用紙供給トレイ部の最上面の用紙が給紙されるとその用紙の紙厚分だけ当該最上面の絶対高さが低くなるが、このように変位する用紙供給トレイ部内の用紙の最上面の用紙給紙位置に対応して、全体ユニットが確実に連動下降し、用紙排出経路を常に水平方向に維持できる。
【0129】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0130】
上記実施の形態では、案内機構として、プーリ、サクションベルト及び用紙剥離爪を備え、これらプーリ、サクションベルト及び用紙剥離爪により、全体ユニットの下降位置に応じて、画像形成エンジン部で印刷された用紙を用紙搬送部から排出ローラまで案内するようにして、用紙排出トレイ部のスペースを確保する構造とした例について記載した。しかし、本発明は、そのような構成には限定されない。例えば、案内機構として、印刷済み用紙の用紙案内部の内部空間が広がるような構造を採用してもよい。具体的には、案内機構として、上方に向けて用紙を搬送するために、案内機構をガイド、2組の搬送ローラ、及び上下一対のプーリ間に巻き掛けられた無端状の2本以上で組をなす搬送ベルト等を備え、当該案内機構を全体ユニットの下降位置に応じ2組の搬送ローラの間隔が広がるように構成し、全体ユニットが下がってきたとしても、上記の部材を経由して用紙が搬送できるような構造とする。この場合においても、用紙排出トレイ部のスペースを確保することが可能となる。
【0131】
また、上記実施の形態では、画像形成エンジン部にインク像形成方式を採用した例について記載した。しかし、本発明は、そのような構成に限定されない。例えば、画像形成エンジン部として従来のトナー像形成方式(電子写真方式)を採用しても、本発明の目的は十分に達成し得る。
【0132】
その他、本明細書に添付の特許請求の範囲内での種々の設計変更及び修正を加え得ることは勿論である。
【0133】
すなわち、本明細書で開示した実施の形態は単に例示であって、本明細書が上述した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、本明細書の記載内容を参酌した上で、別紙の特許請求の範囲における請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を簡略化して示す図である。
【図2】図1のX部を拡大して示す図である。
【図3】インク像形成ユニットの構成を簡略化して示す断面図である。
【図4】感光体ドラムの一部を拡大して示す断面図である。
【図5】同画像形成装置の内部構成を示す斜視図である。
【図6】図5のY部を字拡大して示す図である。
【図7】用紙剥離爪の連結状態を示す図であって、同図(A)は左側のサクションベルト側から視た図、同図(B)は右側のサクションベルト側から視た図である。
【図8】同画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】同画像形成装置の機能を実現するためのプログラム構造をフローチャート形式で示す図である。
【図10】同画像形成装置において印刷が進行する状態を模式的に示す図である。
【図11】同画像形成装置において印刷が進行するにつれて用紙搬送部から用紙が排出される状態を模式的に示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図13】同画像形成装置の機能を実現するためのプログラム構造をフローチャート形式で示す図である。
【符号の説明】
【0135】
20 画像形成装置
24 画像形成エンジン部
26 用紙供給トレイ部
28 用紙搬送部
30 用紙排出トレイ部
42,44 排出ローラ
92 連動機構
94 案内機構
102 プーリ
104 サクションベルト
106A,106B,106C 用紙剥離爪
112,114,116 リンク板
200 制御部
202 変位量センサ
204 給紙ストッパ
206 排紙ストッパ
208 ステッピングモータ
212 カウンタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像形成を行なうための画像形成エンジン部を備えた画像形成装置に用いられる用紙搬送装置であって、
前記画像形成エンジン部に供給される用紙を収容するための用紙供給トレイ部と、
用紙を搬送するための用紙搬送部と、
前記画像形成エンジン部で画像形成された用紙を前記用紙搬送部を介して収容するための用紙排出トレイ部と、を備え、
前記用紙搬送部は、前記画像形成エンジン部の上面側に接して設けられ、
前記用紙排出トレイ部は、その占有位置が前記用紙供給トレイ部の占有位置と対応するように、当該用紙供給トレイ部に対して垂直方向に沿う上方に設けられ、
前記画像形成エンジン部、前記用紙搬送部及び前記用紙排出トレイ部は、一体的に構成され、
前記用紙供給トレイ部に収容された用紙の最上面の用紙給紙位置が下降するに従って、前記画像エンジン部を連動して下降させるための連動手段を含むことを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記用紙供給トレイ部に収容された用紙の最上面の用紙給紙位置を検知するための検知手段をさらに含み、
前記連動手段は、前記検知手段からの検知情報を基に、前記画像形成エンジン部を連動して下降させることを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記用紙搬送部は、用紙の表裏を反転させるための用紙反転機構を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記用紙搬送部の上方には、前記用紙排出トレイ部に用紙を排出するための排出ローラが備えられ、
前記連動手段による前記画像形成エンジン部の下降位置に応じて、前記画像形成エンジン部で画像形成された用紙を前記用紙搬送部から前記排出ローラまで案内するための案内手段をさらに含むことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記用紙供給トレイ部は、給紙可能な用紙高さを検知するために用紙給紙ストッパを備え、
前記用紙排紙トレイ部は、排出可能な用紙高さを検知するために用紙排出ストッパを備えていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の用紙搬送装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成エンジン部は、インク像形成手段を備えていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−75156(P2009−75156A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241349(P2007−241349)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】