説明

画像処理装置及び画像処理装置の制御プログラム

【課題】原稿に基づく原稿データに対する処理を行う画像処理装置及び画像処理装置の制御プログラムに関し、特に、当該原稿データ中におけるユーザ所望の必要部分に対する処理を容易に行い得る画像処理装置及び画像処理装置の制御プログラムを提供する。
【解決手段】多機能周辺装置は、「切取線モード」が設定されている場合、原稿データにおいて、対象原稿に既に存在する切取線に対応する部分を検出する(S4)。そして、多機能周辺装置は、検出した切取線に基づいて、対象原稿において、当該切取線で区画される対象領域を特定する(S6)。そして、多機能周辺装置は、原稿データの一部を構成する対象領域に相当する原稿データに対して、ユーザ所望の処理(「コピー」、「ファクシミリ送信」等)を実行する(S8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶手段に格納された原稿データに対する処理を行い得る画像処理装置及び画像処理装置の制御プログラムに関し、特に、原稿データに含まれる特定部分に対する処理を行い得る画像処理装置及び画像処理装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザは、画像処理装置を用いて、原稿に基づく原稿データ(即ち、画像データ)に対する種々の処理を行っている。原稿データに基づく種々の処理には、原稿データに基づくコピーや、原稿データに基づくファクシミリ送信等の種々の処理が含まれる。このように、画像処理装置を用いることで、ユーザは、原稿データに対して所望の処理を実行し得る。
【0003】
ここで、当該原稿データの基となる原稿は、全て必要な内容のみで構成されているわけではない。即ち、当該原稿は、ユーザが処理を所望する内容部分(以下、必要部分という)と、ユーザが特に必要としていない内容部分(以下、不要部分という)と、で構成されている場合がある。
このような場合、画像処理装置で原稿データに基づく処理を行う際に、ユーザは、前記必要部分のみを対象とした処理(例えば、部分コピー等)を行う必要があった。
【0004】
例えば、原稿に切取線が記載されている場合、当該切取線により区画される2つの部分の内、一方の部分の必要性に比べ、他方の部分の必要性が低い場合がある。具体例としては、イベント開催の通知と、切取線により前記イベント開催の通知から区画された当該イベントに対する参加・不参加の記入用紙が、一枚の原稿に記載されている場合が挙げられる。この場合も、ユーザは、必要部分(例えば、イベント開催の通知部分)のみを対象とした処理を行う必要があった。
【0005】
この点を考慮した発明として、特許文献1記載の画像形成装置が知られている。この特許文献1記載の画像形成装置は、前記必要部分を対象とした部分コピーを行い得るように構成されている。具体的に、特許文献1では、ユーザは、必要部分又は不要部分を特定するための黒色ラインを原稿に対して記入する。そして、当該画像形成装置は、原稿に記入された黒色ラインに基づいて、前記必要部分を特定し、当該必要部分に基づく部分コピーを行う。これにより、当該特許文献1記載の画像形成装置は、原稿に黒色ラインを記入することで、ユーザ所望の必要部分に対する部分コピーを容易に行い得る。
【特許文献1】特開平09−292794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、上記特許文献1記載の画像形成装置の場合、ユーザは、必要部分及び不要部分を特定するために、当該原稿自体に黒色ラインを記入しなければならない。即ち、必要部分の部分コピーを行う場合、当該画像形成装置は、ユーザに「黒色ラインの記入作業」という作業負担を負わせてしまう。
又、当該画像形成装置は、黒色ラインに基づいて、原稿における必要部分と不要部分を区別する。従って、ユーザが記入する黒色ラインが不正確な場合、当該画像形成装置は、必要部分を精度よく特定することができず、ユーザが所望する部分コピーを提供し得ない。
【0007】
本発明は、前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、記憶手段に格納された原稿データに対する処理を行い得る画像処理装置及び画像処理装置の制御プログラムに関し、特に、予め原稿に存在する特徴部分(即ち、切取線)を利用して、原稿データに含まれる特定部分に対して種々の処理を行い得る画像処理装置及び画像処理装置の制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために成された請求項1に係る画像処理装置は、ユーザによる操作が行われる操作手段と、原稿に対応する原稿データが格納される記憶手段と、前記記憶手段に格納された原稿データに基づいて、前記原稿における切断対象部分の境界を示す切取線が当該原稿データに対応する原稿に存在するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により、前記原稿データに対応する原稿に前記切取線が存在すると判断された場合、前記切取線によって区画される原稿上の領域の何れかに対応する部分を処理対象領域に設定する設定手段と、前記設定手段により設定された処理対象領域に係る原稿データに対して、前記操作手段により指定された内容の処理を実行する実行手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
そして、請求項2記載の画像処理装置は、請求項1記載の画像処理装置において、前記原稿データの上下方向を検出する検出手段を備え、前記設定手段は、前記検出手段による上下方向の検出結果に基づいて、前記処理対象領域を設定することを特徴とする。
【0010】
又、請求項3記載の画像処理装置は、請求項2記載の画像処理装置において、前記判断手段により、前記原稿データに対応する原稿に前記切取線が存在すると判断された場合、前記切取線を含む所定範囲の原稿データに対して、文字認識処理を実行する文字認識手段を備え、前記検出手段は、前記文字認識手段の認識処理結果に基づいて、前記原稿データにおける原稿の上下方向を検出するものであり、前記設定手段は、前記検出手段によって検出された原稿の上下方向に基づいて、前記処理対象領域を設定することを特徴とする。
【0011】
そして、請求項4記載の画像処理装置は、請求項1記載の画像処理装置において、前記記憶手段に格納されている原稿データに基づいて、プレビュー画像を表示するプレビュー表示手段と、前記プレビュー表示手段に前記原稿データに基づくプレビュー画像を表示する場合に、前記設定手段により設定された処理対象領域に対応するプレビュー画像部分を、前記プレビュー画像の他の領域と識別可能に表示するように、前記プレビュー表示手段を制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
又、請求項5記載の画像処理装置は、請求項4記載の画像処理装置において、前記プレビュー表示手段に、前記プレビュー画像が前記処理対象領域を識別可能な態様で表示されている場合に、ユーザの操作に基づいて、現在設定されている処理対象領域を、前記切取線によって区画される他の原稿上の領域に変更するように、前記設定手段を制御する変更手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
そして、請求項6記載の画像処理装置は、請求項1乃至請求項5記載の画像処理装置において、原稿データを送信する送信手段と、を備え、前記実行手段は、前記設定手段により設定された処理対象領域に対応する原稿データを送信するように、前記送信手段を制御することを特徴とする。
【0014】
又、請求項7記載の画像処理装置は、請求項1乃至請求項6記載の画像処理装置において、前記実行手段は、前記設定手段により設定された処理対象領域に対応する原稿データを、データファイルとして前記記憶手段に格納することを特徴とする。
【0015】
尚、請求項7における記憶手段は、原稿データが格納される記憶手段と同じ記憶手段でなくてもよい。即ち、同一の画像処理装置に配設されている記憶装置(例えば、RAM、EEPROMやHDD等)であれば、請求項6の記憶手段として機能し得る。又、当該画像処理装置に接続されている外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ等)の記憶装置にデータファイルを格納するように構成することも可能である。
【0016】
そして、請求項8記載の画像処理装置は、請求項1乃至請求項7記載の画像処理装置において、印刷媒体に対する印刷を行う印刷手段と、を備え、前記実行手段は、前記設定手段により設定された処理対象領域に対応する原稿データを、前記印刷媒体に印刷するように、前記印刷手段を制御することを特徴とする。
【0017】
又、請求項9記載の画像処理装置は、請求項1乃至請求項8記載の画像処理装置において、原稿の読取によって、当該原稿に対応する原稿データを生成し、生成した原稿データを前記記憶手段に格納する読取手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
そして、請求項10記載の画像処理装置の制御プログラムは、ユーザによる操作が行われる操作手段と、原稿に対応する原稿データが格納される記憶手段と、を備え、前記原稿データに対する処理を実行可能な画像処理装置の制御プログラムであって、前記記憶手段に格納された原稿データに基づいて、前記原稿における切断対象部分の境界を示す切取線が当該原稿データに対応する原稿に存在するか否かを判断する判断ステップと、前記原稿データに対応する原稿に前記切取線が存在すると判断された場合、前記切取線によって区画される原稿上の領域の何れかに対応する部分を処理対象領域に設定する設定ステップと、設定された処理対象領域に係る原稿データに対して、前記操作手段により指定された内容の処理を実行する実行ステップと、を備えることを特徴とする。
【0019】
又、請求項11記載の画像処理装置の制御プログラムは、請求項10記載の画像処理装置の制御プログラムにおいて、前記原稿データに対応する原稿に前記切取線が存在すると判断された場合、前記切取線を含む所定範囲の原稿データに対して、文字認識処理を実行する文字認識ステップと、前記文字認識処理の結果に基づいて、前記原稿データにおける原稿の向きを検出する検出ステップと、を備え、前記設定ステップは、前記検出ステップで検出された原稿の向きに基づいて、前記処理対象領域を設定することを特徴とする。
【0020】
そして、請求項12記載の画像処理装置の制御プログラムは、請求項10記載の画像処理装置の制御プログラムにおいて、前記画像処理装置は、前記記憶手段に格納されている原稿データに基づいて、プレビュー画像を表示するプレビュー表示手段と、を備え、前記画像処理装置の制御プログラムは、前記プレビュー表示手段に前記原稿データに基づくプレビュー画像を表示する場合に、前記設定手段により設定された処理対象領域に対応するプレビュー画像部分を、前記プレビュー画像の他の領域と識別可能に表示するように、前記プレビュー表示手段を制御する表示制御ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の画像処理装置は、判断手段により、記憶手段に格納された原稿データに対応する原稿に切取線が存在すると判断された場合、当該原稿において切取線により区画される原稿の部分を処理対象範囲に設定する。そして、当該画像処理装置は、前記設定手段により設定された処理対象範囲に係る原稿データに対して、操作手段によって指定された内容の処理を行う。これにより、当該画像処理装置は、切取線により区画されたユーザ所望の必要部分に対してのみ、ユーザ所望の内容の処理を実行し得る。又、処理対象範囲は、原稿に当初から存在する「切取線」により特定される。従って、当該画像処理装置は、ユーザに作業負担を負わせることなく、必要部分に関する所望の処理を実行し得る。
【0022】
請求項2記載の画像処理装置は、検出手段により、原稿データの上下方向を検出する。そして、当該画像処理装置は、原稿データにおける上下方向の検出結果に基づいて、処理対象領域を設定する。従って、当該画像処理装置によれば、ユーザは、記憶手段に格納されている原稿データの上下方向を確認することなく、正しい処理対象領域を設定し得る。
【0023】
請求項3記載の画像処理装置は、原稿に切取線が存在する場合、文字認識手段により、切取線を含む所定範囲の原稿データに対して、文字認識処理を施す。そして、当該画像処理装置は、文字認識処理の結果に基づいて当該原稿の方向を特定し、処理対象範囲を設定する。ここで、切取線には、通常、「切取線であることを示す文字やマーク(例えば、「切り取り線」の文字列)」が記載されている。そして、これらの文字やマークは、上下方向が規定されている。従って、文字認識手段により、前記所定範囲に対する文字認識処理を行うことで、当該画像処理装置は、原稿の正しい方向を特定し得る。又、この文字認識手段で「切取線であることを示す文字やマーク」を認識するので、当該画像処理装置は、原稿データに基づいて、確実に「切取線」を特定し得る。この結果、当該画像処理装置は、正しい方向に設定された原稿に基づいて、確実にユーザ所望の処理対象範囲を特定し得る。そして、当該画像処理装置は、正しく設定された処理対象範囲に基づいて、ユーザ所望の内容の処理を行い得る。即ち、当該画像処理装置は、ユーザ所望の処理結果を確実に提供し得る。
【0024】
請求項4記載の画像処理装置は、記憶手段に格納されている原稿データに基づいて、プレビュー画像をプレビュー表示手段に表示し得る。そして、切取線が原稿に存在する場合、当該画像処理装置は、設定手段により設定された処理対象領域に対応するプレビュー画像部分を、前記プレビュー画像の他の領域と識別可能に表示する。この結果、当該画像処理装置によれば、ユーザは、原稿における切取線の存在が判断されたか否かを確実に確認し得る。又、処理対象領域に設定されたプレビュー画像部分を把握することにより、ユーザは、所望の処理対象領域が設定されているか否かも確認し得る。この結果、当該画像処理装置は、ユーザ所望の処理対象領域(即ち、必要部分)に対する処理を確実に行い得る。
【0025】
請求項5記載の画像処理装置は、プレビュー画像が処理対象領域を識別可能な態様で前記プレビュー表示手段に表示されている場合に、ユーザの操作に基づいて、現在設定されている処理対象領域を、前記切取線によって区画される他の領域に変更し得る。この結果、当該画像処理装置は、原稿データにおけるユーザ所望の領域を、確実に処理対象領域に設定し得る。つまり、当該画像処理装置によれば、ユーザは、所望の処理対象領域に関する処理結果を確実に得ることができる。
【0026】
請求項6記載の画像処理装置は、設定手段により設定された処理対象領域に対応する原稿データを、送信手段により送信し得る。即ち、当該画像処理装置は、処理対象領域に対応する原稿データのみをファクシミリ送信し得る。これにより、当該画像処理装置は、原稿データの全領域をファクシミリ送信する場合に比べ、データ送信量を削減しつつ、ユーザが意図した内容を送信し得る。又、当該画像処理装置によるファクシミリ送信の受信側では、不要なデータ(即ち、所定対象範囲外の原稿データ)の出力がなくなる。従って、当該画像処理装置は、受信側ユーザの負担も軽減し得る。
【0027】
請求項7記載の画像処理装置は、実行手段により、前記処理対象領域に対応する原稿データのみを、データファイルとして、記憶手段に格納する。この結果、当該画像処理装置は、原稿データの内、ユーザ所望の部分の原稿データのみを格納するので、前記記憶手段を効率良く使用し得る。
【0028】
請求項8記載の画像処理装置は、実行手段により、前記処理対象領域に対応する原稿データのみを前記印刷媒体に印刷する。これにより、当該画像処理装置は、原稿データの全領域を印刷する場合に比べ、消耗品(例えば、印刷媒体やインク等)の消費量を低減し得る。又、原稿データの全領域を印刷した場合、不要部分が印刷された部分に対する作業が生じ得るが、当該画像処理装置は、このような作業負担をユーザに強いることはない。
【0029】
請求項9記載の画像処理装置は、読取手段により原稿から読み取られた原稿データを記憶手段に格納する。従って、当該画像処理装置は、読取手段により読み取られた原稿データにおける処理対象領域を特定し、当該処理対象領域に対する処理を実行する。この結果、当該画像処理装置によれば、印刷媒体(例えば、記録用紙等)に出力された原稿を手にしたユーザも、当該原稿における必要部分に対してのみ処理を実行し得る。
【0030】
請求項10記載の画像処理装置の制御プログラムは、操作手段と、記憶手段を備える画像処理装置において実行されることで、請求項1記載の画像処理装置と同様の効果を奏する。
【0031】
請求項11記載の画像処理装置の制御プログラムは、画像処理装置において実行されることで、請求項3記載の画像処理装置と同様の効果を奏する。
【0032】
請求項12記載の画像処理装置の制御プログラムは、操作手段と、記憶手段と、プレビュー表示手段と、を備える画像処理装置において実行されることで、請求項4記載の画像処理装置と同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る通信装置を、多機能周辺装置(「MFP(Multi Function Peripheral)若しくは(Multi Function Printer)」ともいう)に具体化した実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る多機能周辺装置1の模式的な構成を示す断面図である。
多機能周辺装置1は、所謂、複合機であり、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、及び電話機能等を備えている。図1に示すように、多機能周辺装置1は、自動原稿送り装置2と、スキャナ部3と、プリンタ部4と、給紙トレイ部5とを有する。
【0034】
スキャナ部3は、スキャナ装置22を備えている。スキャナ装置22は、自動原稿送り装置2により送られる原稿から画像データを読み取り、後述する原稿データ記憶エリア131に、当該画像データを原稿データとして格納する。
【0035】
プリンタ部4は、レーザプリンタ30を有して構成されている。レーザプリンタ30は、Yステーション31、Mステーション32、Cステーション33、Kステーション34を備えている。Yステーション31には、イエローのトナーが収納されている。同様に、Mステーション32にはマゼンダのトナー、Cステーション33にはシアンのトナー、Kステーション34にはブラックのトナーが収納されている。また、レーザプリンタ30は、上記各ステーションのトナーを転写ドラム35に受け渡すための中間転写ベルト36や、定着用ローラ37を備えている。そして、レーザプリンタ30により画像が形成された記録用紙は、排紙スタッカ39へ排紙される。
【0036】
給紙トレイ部5は、第1給紙トレイ51、第2給紙トレイ52、第3給紙トレイ53を備えている。そして、第1給紙トレイ51〜第3給紙トレイ53には、夫々、検出センサ54が配設されている。
【0037】
次に、本実施形態に係る多機能周辺装置1の制御系構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図2は、多機能周辺装置1の制御系構成を示すブロック図である。
多機能周辺装置1は、CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ14を備えている。そして、これらは、ネットワーク・コントロール・ユニット(以下、「NCU19」という)等の各種周辺装置と共に、相互にバスライン25を介して接続されている。
【0038】
多機能周辺装置1のCPU11は、上述した各機能(例えば、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能)を実現するための制御プログラムを実行する中央演算処理装置である。例えば、CPU11は、回線制御を行うNCU19を介して送受信される各種信号に従って、バスライン25により接続された装置各部を制御してファクシミリ動作、即ち、データ通信を実行する。ROM12は、この多機能周辺装置1で実行される制御プログラムを格納した書換不能なメモリである。当該ROM12には、後述するメイン制御処理プログラム(図5参照)、原稿方向特定処理プログラム(図7参照)、切取線確認処理プログラム(図9、図13参照)等の各種制御プログラムが格納されている。
【0039】
RAM13は、多機能周辺装置1の各動作の実行時に、各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。又、当該RAM13は、原稿データ記憶エリア131、受信データ記憶エリア132を備えている。原稿データ記憶エリア131は、スキャナ装置22により読み取られた原稿の画像データにより構成される原稿データが格納される記憶エリアである。そして、受信データ記憶エリア132は、ファクシミリ機能に基づいて、他の多機能周辺装置1から受信した原稿データが一時的に格納される記憶エリアである。
【0040】
フラッシュメモリ14は、書換可能な不揮発性のメモリである。そして、フラッシュメモリ14は、切取線識別データ記憶エリア141を有している。
切取線識別データ記憶エリア141には、対象原稿70に存在する切取線71を示す切取線識別表示73(例えば、「切り取り線」の文字列や「はさみマーク」等)を示す切取線識別データが複数種類記憶されている。本実施形態においては、切取線識別データ記憶エリア141に格納された切取線識別データは、後述する識別表示検出処理(S23)で参照される(図9参照)。この切取線識別データの詳細については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0041】
そして、図2に示すように、多機能周辺装置1は、周辺装置として、NCU19、モデム20、バッファ21、スキャナ装置22、符号化部23、復号化部24、レーザプリンタ30、検出センサ54、操作パネル17、LCD18、アンプ27を備えている。尚、これらの周辺装置も、バスライン25を介して相互に接続されている。
【0042】
そして、NCU19は、交換機29に対し回線の接続・切断等の通信制御処理を行う装置である。モデム20は、原稿データを変調・復調して伝送すると共に伝送制御用の各種手順信号を送受信する装置である。バッファ21は、相手側多機能周辺装置との間で送受信を行う際に、符号化された原稿データを含むデータを一時的に格納する記憶装置である。
【0043】
スキャナ装置22は、上述したように、スキャナ部3の一部を構成する。そして、当該スキャナ装置22、原稿載置部2Aからページ単位で送られる原稿(例えば、対象原稿70)を読み取り、ページ単位の画像データを生成する。スキャナ装置22により読み取られた画像データは、原稿データを構成する。そして、スキャナ装置22で読み取られた画像データは、原稿データ記憶エリア131に格納される。
【0044】
符号化部23は、ファクシミリ送信の実行に際し、原稿データを符号化する部分である。そして、復号化部24は、バッファ21に記憶された受信データを読み出し、これを復号化する部分である。
【0045】
レーザプリンタ30は、上述したように、第1給紙トレイ51〜第3給紙トレイ53に格納された記録用紙に対して、原稿データを印刷する印刷装置である。尚、ファクシミリ機能に基づいて原稿データを受信した場合、レーザプリンタ30は、前記復号化部24で復号化された画像データを印刷する。
【0046】
操作パネル17は、複数のキーで構成された操作部である。当該操作パネル17は、複数の数字キーやカーソルキー及び上述したスタートキー等を備えている。この操作パネル17を構成する各キーの操作が行われると、入力信号がCPU11に送信され、入力信号に基づく制御が行われる。
【0047】
LCD18は、液晶ディスプレイで構成された表示装置である。当該LCD18には、CPU11による制御に基づいて、多機能周辺装置1に関する種々の表示が行われる。例えば、LCD18には、当該多機能周辺装置1で実行可能な機能を選択する際に、モード選択画面(図6参照)が表示される。
又、アンプ27には、スピーカ28が接続され、呼出音などをこのスピーカ28から出力する。
【0048】
更に、多機能周辺装置1は、NCU19、電話回線41を介して、交換機29に接続されている。この交換機29は、電話回線42を介して、相手先装置側の交換機(図示せず)に接続され、更に電話回線(図示せず)を介して相手先装置(図示せず)に接続されている。従って、多機能周辺装置1は、電話回線41、交換機29、電話回線42等を介して、相手先装置との間で原稿データのファクシミリ通信を行うことができる。
【0049】
次に、本実施形態に係る多機能周辺装置1で利用される対象原稿70の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図3は、対象原稿70の構成に関する説明図である。
図3に示すように、対象原稿70は、当該対象原稿70を横断する切取線71を含んでいる。この切取線71は、破線又は実線で構成されている。そして、当該切取線71上もしくは近傍に、切取線識別表示73が配置されている。例えば、図3に示す対象原稿70の場合、対象原稿70を横断する破線(即ち、切取線71)の中央部分に位置する「切り取り線」の文字列は、切取線識別表示73に該当する。又、当該切取線71の左端部に配置された「はさみマーク」も切取線識別表示73に該当する。尚、切取線71が横断する方向は、対象原稿70の縦方向であってもよい(図8参照)。
そして、対象原稿70の印刷内容をスキャナ装置22で読み取ることにより、多機能周辺装置1は、対象原稿70の内容に対応する原稿データを生成し得る。即ち、対象原稿70に基づく原稿データには、切取線71及び切取線識別表示73に相当するデータが含まれる。
【0050】
次に、上述した切取線識別データ記憶エリア141に格納されている切取線識別データについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。図4は、切取線識別データ記憶エリア141の記憶内容を模式的に示す説明図である。
図4に示すように、切取線識別データ記憶エリア141には、複数種類の切取線識別データが格納されている。
【0051】
ここで、切取線71を有する原稿(即ち、対象原稿70)において、破線又は実線の直線で描かれる切取線の近傍には、当該原稿を受け取った者が「当該直線が切取線であること」を認識し得るように、文字列やマークが付されている。これらの文字列やマークが本実施形態における「切取線識別表示73」に該当する。そして、切取線71を識別するための表示は、図4に示すように、種々多様な表現態様で表現される。従って、切取線識別データ記憶エリア141には、これらの各表現態様に対応する種類の切取線識別データが格納されている。尚、切取線識別表示73に相当する文字列やマークは、予め記憶されているもの以外に、ユーザが登録できるように構成されていてもよい。
【0052】
次に、本実施形態に係る多機能周辺装置1で実行されるメイン制御プログラムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。図5は、本実施形態に係るメイン制御プログラムのフローチャートである。このメイン制御プログラムに基づく処理は、多機能周辺装置1の起動中において繰り返し実行される。
【0053】
メイン制御プログラムの実行を開始すると、CPU11は、先ず、モード設定処理を実行する(S1)。このモード設定処理(S1)では、CPU11は、ユーザの操作に基づいて、多機能周辺装置1で実現可能な各機能から、ユーザ所望の機能を設定する。具体的には、モード設定処理(S1)では、CPU11は、先ず、モード設定画面をLCD18に表示する(図6参照)。図6に示すように、モード設定画面には、「通常モード」と「切取線モード」が表示される。又、「通常モード」「切取線モード」の表示には、各モード設定時に実行する処理内容(即ち、「コピー」「印刷」「スキャン」「ファックス送信」)が表示される。従って、ユーザは、操作パネル17を操作することで、「通常モード」「切取線モード」の選択及び各モードにおける処理内容を選択し得る。そして、CPU11は、操作パネル17から操作信号に基づいて、モード設定情報をRAM13に格納する。当該モード設定情報は、「通常モード」「切取線モード」の選択結果及び各モードにおける処理内容の選択結果を示す。モード設定処理を終了すると、CPU11は、S2に処理を移行する。
【0054】
S2に移行すると、CPU11は、「切取線モード」が設定されているか否かを判断する。具体的には、CPU11は、RAM13に格納されているモード設定情報に基づいて、S2の判断処理を行う。「切取線モード」が設定されている場合(S2:YES)、CPU11は、S3に処理を移行する。一方、「通常モード」が設定されている場合(S2:NO)、CPU11は、通常処理(S9)に処理を移行する。
【0055】
S3においては、CPU11は、原稿データ取得処理を実行する。この原稿データ取得処理(S3)では、CPU11は、スキャナ部3を用いて、原稿載置部2Aに載置された原稿(例えば、対象原稿70)から、原稿データを取得する。原稿載置部2A上に載置された原稿は、自動原稿送り装置2により搬送され、スキャナ装置22の上方を移動する。このとき、スキャナ装置22は、当該原稿から画像データを取得する。そして、CPU11は、原稿から取得した画像データを、原稿データ記憶エリア131に格納する。原稿データを原稿データ記憶エリア131に格納した後、CPU11は、S4に処理を移行する。
【0056】
尚、原稿データ取得処理(S3)は、スキャナ部3を用いて、原稿から原稿データを取得し、原稿データ記憶エリア131に格納する態様に限定されるものではない。即ち、原稿データ取得処理(S3)において、CPU11は、多機能周辺装置1に装着された記憶媒体(例えば、記憶メディア等)から、原稿データ自体を原稿データ記憶エリア131に格納することも可能である。又、電子メールに添付されている原稿データを受信し、当該原稿データを原稿データ記憶エリア131に格納することも可能である。
【0057】
S4においては、CPU11は、原稿方向特定処理を実行する。この原稿方向特定処理(S4)では、CPU11は、後述する原稿方向特定処理プログラムを実行する。そして、原稿方向特定処理(S4)において、CPU11は、対象原稿70中の切取線71の向きに基づいて、対象原稿70に基づく原稿データが縦方向(例えば、図3等参照)であるか、横方向(例えば、図8参照)であるかを特定する。原稿方向特定処理(S4)の詳細については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。原稿方向特定処理(S4)を終了すると、CPU11は、S5に処理を移行する。
【0058】
S5に移行すると、CPU11は、原稿方向特定処理(S4)において、原稿データ中の切取線71を検出したか否かを判断する。具体的には、CPU11は、後述する原稿方向特定処理プログラム中の切取線検出処理(S12)の結果に基づいて、S5の判断を行う。原稿データに対応する原稿に切取線71が存在する場合(S5:YES)、CPU11は、S6に処理を移行する。一方、原稿データに対応する原稿に切取線71が存在しない場合(S5:NO)、CPU11は、そのままメイン制御プログラムを終了する。つまり、原稿載置部2Aに載置された原稿が、ユーザの意図していた原稿とは異なり、間違って載置される可能性もあるため、切取線が存在しない場合は、送信処理自体を行わない。尚、切取線モードが指定されたにも関わらず、切取線が存在しない原稿であった場合に、その旨をユーザに通知してもよい。
【0059】
S6においては、CPU11は、切取線確認処理を実行する。この切取線確認処理(S6)では、CPU11は、後述する切取線確認処理プログラムを実行する。つまり、切取線確認処理(S6)では、CPU11は、切取線検出処理(S12)で検出した切取線71の真偽を確認すると共に、「切取線モード」における処理の対象となる対象領域を当該切取線71に基づいて特定する。切取線確認処理(S6)の詳細については、後に図面を参照しつつ詳細に説明する。切取線確認処理(S6)を終了すると、CPU11は、S7に処理を移行する。
【0060】
S7では、CPU11は、切取線確認処理(S6)により対象領域が特定されたか否かを判断する。原稿データの一部を構成する対象領域が特定されている場合(S7:YES)、CPU11は、S8に処理を移行する。一方、対象領域が特定されていない場合(S7:NO)、CPU11は、そのままメイン制御プログラムを終了する。
【0061】
S8に移行すると、CPU11は、対象領域実行処理を行う。即ち、対象領域実行処理(S8)では、CPU11は、切取線確認処理(S6)で特定された対象領域を処理対象とし、モード設定処理(S1)で選択された処理内容の処理を実行する。即ち、CPU11は、原稿データ記憶エリア131に格納されている原稿データから、対象領域に対応する部分の原稿データを読み出す。そして、CPU11は、読みだした対象領域に対応する部分の原稿データに基づいて、「コピー」「印刷」「スキャン」「ファックス送信」から、S1において選択された一の処理を行う。対象領域実行処理を終了すると、CPU11は、メイン制御プログラムを終了する。
【0062】
ここで、対象領域実行処理(S8)における処理の内容について、具体的に説明する。例えば、モード設定処理(S1)で「ファクシミリ送信」が選択されている場合、CPU11は、原稿データ記憶エリア131から読み出した対象領域に対応する部分の原稿データを、符号化部23により符号化する。そして、操作パネル17による送信相手先の入力を条件に、CPU11は、当該対象領域に対応する部分の原稿データを、当該送信相手先に対するファクシミリ送信を行う。
又、モード設定処理(S1)で「コピー」又は「印刷」が選択されている場合、CPU11は、原稿データ記憶エリア131から読み出した対象領域に対応する部分の原稿データを、レーザプリンタ30により記録用紙に出力する。尚、「コピー」の場合は、原稿データ取得処理(S3)で、スキャナ部3により原稿データを取得した場合に限られる。
【0063】
そして、モード設定処理(S1)で「スキャン」が選択されている場合、CPU11は、原稿データ記憶エリア131から読み出した対象領域に対応する部分の原稿データを、データファイルとして、記憶装置(例えば、フラッシュメモリ14等)に格納する。尚、当該データファイルが格納される記憶装置は、多機能周辺装置1が備える記憶装置に限定されるものではない。即ち、当該記憶装置は、多機能周辺装置1に装着された記憶メディア等の記憶媒体であってもよい。又、当該記憶装置は、多機能周辺装置1に接続された外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ等)の記憶装置でもよい。
【0064】
上述したように、モード設定処理(S1)で「通常モード」が設定されている場合(S2:NO)、CPU11は、通常処理(S9)を実行する。この通常処理(S9)では、CPU11は、原稿データ記憶エリア131に格納されている原稿データの全領域を処理対象として、モード設定処理(S1)で選択された処理内容を実行する。つまり、CPU11は、原稿データの全領域に対して、「コピー」「印刷」「スキャン」「ファックス送信」から選択された一の処理を実行する。即ち、通常処理(S9)は、処理対象が相違する点を除き、上述した対象領域実行処理(S8)と同様の処理である。従って、通常処理(S9)に関する説明は省略する。通常処理(S9)を終了すると、CPU11は、メイン制御プログラムを終了する。
【0065】
次に、S4で実行される原稿方向特定処理プログラムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。図7は、原稿方向特定処理プログラムのフローチャートである。
上述したように、原稿方向特定処理(S4)に移行すると、CPU11は、原稿方向特定処理プログラムの実行を開始する。この処理を行うのは、そもそも、原稿データがどのような向きで記憶されているかが分からないために行うものである。即ち、原稿の向きによって切取線の延びる方向も変わるため、本処理において原稿方向を特定する。
【0066】
原稿方向特定処理プログラムの実行を開始すると、CPU11は、先ず、RAM13に形成された方向変更回数カウンタの値を「0」に初期化する。方向変更回数nを「0」に初期化した後、CPU11は、S12に処理を移行する。尚、方向変更回数nは、当該原稿データを90度回転した回数を示す。
【0067】
S12に移行すると、CPU11は、切取線検出処理を実行する。この切取線検出処理(S12)では、CPU11は、対象原稿70に存在する切取線71を構成するラインを検出する。具体的には、CPU11は、先ず、原稿データ記憶エリア131から原稿データを読み出す。そして、CPU11は、所定の検出方向に沿って、当該検出方向と直交する直線を「切取線71」として検出する。尚、上記検出方向は、原稿データの一端部(例えば、上端)から当該一端部に対向する他端部(例えば、下端)に向かう方向である。又、この直線は、実線、破線、一点鎖線等のいずれであっても、「切取線71」として検出される。切取線検出処理を終了すると、CPU11は、S13に処理を移行する。
【0068】
S13においては、CPU11は、切取線検出処理(S12)により、切取線71に対応するデータが原稿データから検出されたか否かを判断する。具体的には、CPU11は、切取線検出処理(S12)の処理結果に基づいて、上記判断を行う。切取線を検出した場合(S13:YES)、CPU11は、そのまま原稿方向特定処理プログラムを終了する。この場合、当該原稿データの方向は、切取線71を検出した方向に特定される。一方、切取線71が検出されなかった場合(S13:NO)、CPU11は、S14に処理を移行する。
【0069】
S14に移行すると、CPU11は、原稿データを90度回転する。つまり、CPU11は、切取線検出処理(S12)における検出方向を、90度変更する。そして、CPU11は、S14の処理実行に基づいて、RAM13に形成された方向変更回数カウンタの値に「1」を加算する(S15)。方向変更回数nに「1」を加算すると、CPU11は、S16に処理を移行する。
【0070】
S15では、CPU11は、方向変更回数nが2より小さいか否かを判断する。つまり、CPU11は、原稿データが180度以上回転していないか否かを判断する。方向変更回数nが1以下である場合(S15:YES)、CPU11は、切取線検出処理(S12)に処理を戻す。この場合、先の検出方向から90度回転した検出方向に従って、当該原稿データに対する切取線71の検出処理が行われる。一方、方向変更回数nが2以上である場合(S15:NO)、CPU11は、そのまま原稿方向特定処理プログラムを終了する。この場合、切取線71が検出されないので、原稿データの方向は特定されない。
【0071】
ここで、原稿における切取線71は、一般的に、長方形状の原稿の或る辺に平行になるように記載される(図3、図8参照)。従って、原稿データを0度、90度回転しても切取線71を検出できない場合、180度以上回転させたとしても、検出の上下方向が変わるだけであって、切取線71を検出することはできない。従って、S15の処理を行うことで、CPU11は、切取線71の検出を効率良く行い得る。
【0072】
又、本実施形態に係る原稿方向確認処理プログラムは、上述したように、切取線71の検出を「原稿データに対して所定の検出方向で検出する場合」と、「90度回転した原稿データに対して所定の検出方向で検出する場合」の2つの場合で実行する。このように構成することにより、多機能周辺装置1は、図3等に示す対象原稿70上の切取線71に加え、図8に示す対象原稿70であっても切取線71を検出し得る。
【0073】
続いて、S6で実行される切取線確認処理プログラムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。図9は、切取線確認処理プログラムのフローチャートである。上述したように、切取線確認処理プログラムは、切取線確認処理(S6)において、CPU11により実行される。
【0074】
切取線確認処理(S6)に移行すると、CPU11は、先ず、RAM13に形成された上下転換回数カウンタの値を「0」に初期化する(S21)。上下転換回数mを「0」に初期化した後、CPU11は、S22に処理を移行する。尚、上下転換回数mは、当該原稿データを180度回転した回数を示す。
【0075】
S22に移行すると、CPU11は、検出対象範囲特定処理を実行する。具体的には、CPU11は、切取線検出処理(S12)の検出結果に基づいて、原稿データから検出された切取線71の原稿データにおける位置を特定する。そして、CPU11は、切取線71の位置に対応する検出対象範囲75を特定する(図10、図11参照)。具体的に、本実施形態において、検出対象範囲75は、当該切取線71の位置から上下方向数ドット分の範囲である。原稿データに対して検出対象範囲を設定した後、CPU11は、S23に処理を移行する。
【0076】
S23においては、CPU11は、識別表示検出処理を実行する。この識別表示検出処理(S23)では、CPU11は、切取線71近傍に配置されている切取線識別表示73を検出する。具体的には、CPU11は、検出対象範囲特定処理(S22)で特定された検出対象範囲75に対して、OCR(Optical Character Recognition)処理を行う。尚、当該OCR処理には、デジタル文字認識処理を含む。そして、CPU11は、検出対象範囲75において認識された文字列やマークと、切取線識別データ記憶エリア141に格納されている切取線識別データを比較する。これにより、OCR処理の認識結果と切取線識別データの一致に基づいて、CPU11は、切取線識別表示73を、検出対象範囲75から検出する。検出結果をRAM13に格納した後、CPU11は、S24に処理を移行する。
【0077】
この識別表示検出処理(S23)において、CPU11は、切取線識別表示73を構成する文字等の上下の一致も判断する。検出対象範囲75からの検出結果が切取線識別データに係る文字列等と上下方向も含めて完全に一致する場合、CPU11は、当該文字列等を切取線識別表示73と判断する。
図10、図11を例に説明すると、図10の場合には、CPU11は、「切り取り線」の文字列等は、切取線識別表示73として検出される。一方、図11の場合、切取線71上に位置する文字列「切り取り線」は、180度回転した状態で認識される。この場合における「切り取り線」の文字列は、切取線識別表示73として認識されることはない。
【0078】
S24では、CPU11は、識別表示検出処理(S23)により、検出対象範囲75から切取線識別表示73を検出したか否かを判断する。このとき、CPU11は、RAM13に格納された識別表示検出処理(S23)の検出結果を参照する。切取線識別表示73を検出した場合(S24:YES)、CPU11は、S25に処理を移行する。一方、検出対象範囲75から切取線識別表示73を検出しなかった場合(S24:NO)、CPU11は、S26に処理を移行する。
【0079】
S25に移行すると、CPU11は、対象領域特定処理を実行する。対象領域特定処理(S25)では、CPU11は、切取線識別表示73を検出した切取線71を境界として、当該原稿データにおける当該切取線71の下方に位置する領域を「対象領域」として特定する。例えば、図10に示す対象原稿70の場合、切取線71の下方に位置する「出欠席の回答用紙部分」が対象領域に特定される。対象領域を特定した後、CPU11は、切取線確認処理プログラムを終了する。
【0080】
一方、検出対象範囲75から切取線識別表示73を検出しなかった場合(S25:NO)、CPU11は、原稿データを180度回転する(S26)。つまり、CPU11は、識別表示検出処理(S23)における原稿データの上下を転換する。そして、CPU11は、S26の処理実行に基づいて、RAM13に形成された上下転換回数カウンタの値に「1」を加算する(S27)。上下転換回数mに「1」を加算すると、CPU11は、S28に処理を移行する。
【0081】
S28では、CPU11は、上下転換回数mが2より小さいか否かを判断する。つまり、CPU11は、原稿データが360度以上回転していないか否かを判断する。上下転換回数mが2未満である場合(S15:YES)、CPU11は、S22に処理を戻す。この場合、先の原稿データの状態から180度回転した状態(例えば、図11に示す状態から180度回転した図10に示す状態)の検出対象範囲75に対して、切取線識別表示73の検出処理を行う。この結果、当初、原稿データの向きが図11のように上下が逆向きになっていて、切取線識別表示73が検出できなかったとしても、180度回転することで、図10と同じ状態になり、切取線識別表示73を検出することができる。つまり、原稿の上下方向を正しく確定した上で、切取線71の下方に位置する領域を対象領域として特定することができる。
一方、上下転換回数mが2以上である場合(S15:NO)、同じ処理を繰り返すことになるため、CPU11は、そのまま切取線確認処理プログラムを終了する。
【0082】
S28の判断処理を行うことにより、当該切取線確認処理プログラムは、識別表示検出処理(S23)の処理回数を必要最小限にとどめることができる。この結果、当該多機能周辺装置1は、識別表示検出処理(S23)に基づく処理負担を必要最小限に留め得る。
【0083】
以上、説明したように、第1実施形態に係る多機能周辺装置1及び多機能周辺装置1の制御プログラムは、対象原稿70に基づく原稿データにおいて、対象原稿70に存在する切取線71を検出し、切取線71により区画される対象領域を特定する。そして、当該多機能周辺装置1及び制御プログラムは、特定された対象領域部分の原稿データに対して、モード設定処理(S1)で設定されたユーザ所望の処理(即ち、「コピー」「印刷」「スキャン」「ファックス送信」)を行い得る。この結果、ユーザは、原稿データにおける必要部分に対する所望の処理結果を得ることができる。又、対象原稿70に当初から存在する「切取線71」により、必要部分(即ち、対象領域)を特定するので、ユーザは、必要部分に対する所望の処理を行う際に、煩雑な作業を負うことはない。
【0084】
又、一般に、切取線の近傍には、「切り取り線」等の文字列や、「はさみマーク」等のマークが配置されている。第1実施形態に係る多機能周辺装置1及び制御プログラムは、この文字列やマークを切取線識別表示73として検出するので、切取線71を確実に検出し、対象領域(即ち、必要部分)を特定し得る。又、「切り取り線」等の文字列に代表される切取線識別表示73を構成する文字等には、上下がある。従って、この切取線識別表示73を検出することにより、原稿データの方向を確実に正しい方向に設定することができ、もって、確実にユーザ所望の必要部分を対象領域に設定し得る。
【0085】
そして、第1実施形態に係る多機能周辺装置1及び制御プログラムは、スキャナ部3により記録用紙に印刷された原稿から原稿データを取得し、当該原稿データに対して、切取線71の検出、切取線識別表示73の検出、対象領域の特定を行い得る。従って、ユーザは、記録用紙に出力された原稿を手にした場合であっても、ユーザ所望の必要部分に対する所望の処理結果を得ることができる。
【0086】
又、第1実施形態に係る多機能周辺装置1及び制御プログラムは、対象領域に対応する部分の原稿データを印刷する場合(即ち、「コピー」「印刷」)に、印刷に係る消耗品(例えば、記録用紙、インク、トナー等)の消費を必要最小限にとどめることができる。そして、多機能周辺装置1及び制御プログラムは、対象領域に対応する部分の原稿データをデータファイルとして記憶媒体に格納する場合(即ち、「スキャン」)、データファイルのデータサイズを必要最小限に留め得る。この結果、ユーザは、記憶媒体の記憶容量を有効に活用し得る。更に、多機能周辺装置1及び制御プログラムは、対象領域に対応する部分の原稿データをファクシミリ送信する場合(即ち、「ファクシミリ送信」)、送信するデータ量を必要最小限にとどめることができる。これに伴い、受信側ユーザの消耗品の消費を必要最小限に留め得る。
【0087】
(第2実施形態)
次に、上述した第1実施形態とは異なる第2実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、第2実施形態に係る多機能周辺装置1は、基本的に、第1実施形態に係る多機能周辺装置1と同様の構成である。従って、第2実施形態においては、第1実施形態と同様である多機能周辺装置1の構成、メイン制御プログラム、原稿方向特定処理プログラムに関する説明は省略する。
【0088】
先ず、第2実施形態に係る多機能周辺装置1で用いられる対象原稿70の構成について説明する。図12は、第2実施形態に係る対象原稿70の一例を示す説明図である。
図12に示すように、第2実施形態に係る対象原稿70は、第1実施形態と同様に、切取線71を含んでいる。この点、第2実施形態に係る対象原稿70は、第1実施形態に係る対象原稿70(図3、図8等参照)と異なり、複数本の切取線71を有している。第2実施形態においては、これらの複数本の切取線71を、対象原稿70の上部から順に、「第1切取線」「第2切取線」「第3切取線」…という。
この点、図12に示す対象原稿70には、3本の切取線71を含んでいる。従って、対象原稿70の上部に位置する切取線71から順に、「第1切取線71A」「第2切取線71B」「第3切取線71C」という。
【0089】
上述したように、第2実施形態においても、メイン制御プログラム、原稿方向特定処理プログラムの内容は第1実施形態と同様である。従って、第1実施形態と相違する切取線確認処理プログラムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。図13は、第2実施形態に係る切取線確認処理プログラムのフローチャートである。
【0090】
切取線確認処理(S6)に移行し、切取線確認処理プログラムの実行が開始されると、CPU11は、先ず、切取線検出処理(S12)の検出結果に基づいて、切取線検出本数Yを取得する(S31)。第2実施形態に係る切取線検出処理(S12)では、原稿データに含まれる全ての切取線71を検出する。切取線71の検出結果に基づいて、切取線検出本数Yを特定した後、CPU11は、S32に処理を移行する。
【0091】
S32に移行すると、CPU11は、対象領域仮設定処理を行う。この対象領域仮設定処理(S32)では、CPU11は、対象原稿70に基づく原稿データに含まれる複数本の切取線71の内、一の切取線71を対象切取線に設定する。そして、CPU11は、当該対象切取線の下方に位置する領域を「対象領域」に仮設定する。対象領域を仮設定した後、CPU11は、S33に処理を移行する。
尚、切取線確認処理(S6)に移行直後の対象領域仮設定処理(S32)では、CPU11は、当該原稿データに含まれる切取線71の内、最も上部に位置する切取線を対象切取線に設定する。例えば、図12に示す対象原稿70の場合、CPU11は、第1切取線71Aを対象切取線に設定し、当該原稿データにおいて、第1切取線71Aの下方に位置する領域を対象領域に仮設定する(図14参照)。
【0092】
S33に移行すると、CPU11は、プレビュー表示処理を実行する。プレビュー表示処理(S33)では、CPU11は、原稿データ記憶エリア131に格納されている原稿データに基づいて、原稿プレビュー画像80を生成する。そして、CPU11は、当該原稿プレビュー画像80をLCD18に表示する。このとき、CPU11は、対象領域仮設定処理(S32)で仮設定されている対象領域に相当する部分を示す対象領域識別表示85を、LCD18に表示する。LCD18に原稿プレビュー画像80、対象領域識別表示85を表示した後、CPU11は、S34に処理を移行する。
【0093】
S34においては、CPU11は、切取線確定操作がユーザにより行われたか否かを判断する。具体的には、CPU11は、操作パネル17からの操作信号(例えば、スタートキーの入力信号)に基づいて、S34の判断を行う。切取線確定操作が行われた場合(S34:YES)、CPU11は、S41に処理を移行する。一方、切取線確定操作が行われていない場合(S34:NO)、CPU11は、S35に処理を移行する。
【0094】
続くS35では、CPU11は、原稿方向変更操作がユーザにより行われたか否かを判断する。具体的には、CPU11は、操作パネル17からの操作信号(例えば、カーソルキーを構成する上カーソルキーの入力信号)に基づいて、S35の判断を行う。原稿方向変更操作が行われた場合(S35:YES)、CPU11は、当該原稿データの方向を180度回転する(S37)。原稿データの方向を180度回転した後(即ち、原稿データの天地を逆にした後)、CPU11は、S33に処理を戻す。この時、CPU11は、LCD18における原稿プレビュー画像80を180度回転した状態に変更する(例えば、CPU11は、図15の表示状態から図14の表示状態に変更する)。この場合、ユーザは、再度プレビュー画面を参照しつつ、切取線確定操作、原稿方向変更操作、対象切取線変更操作を行い得る。一方、原稿方向変更操作が行われていない場合(S35:NO)、CPU11は、S36に処理を移行する。このように、原稿データ記憶エリア131に記憶した原稿データの向きが上下逆であっても、容易に正しい向きに変更することができる。
【0095】
S36においては、CPU11は、対象切取線変更操作がユーザにより行われたか否かを判断する。具体的には、CPU11は、操作パネル17からの操作信号(例えば、カーソルキーを構成する下カーソルキーの入力信号)に基づいて、S36の判断を行う。対象切取線変更操作が行われた場合(S36:YES)、CPU11は、S38に処理を移行する。一方、対象切取線変更操作が行われていない場合(S36:NO)、CPU11は、S33に処理を戻す。この場合、ユーザは、再度、プレビュー画面を参照しつつ、切取線確定操作、原稿方向変更操作、対象切取線変更操作を行い得る。
【0096】
S38に移行すると、CPU11は、現在の対象切取線が原稿データの上端からY本目の切取線71であるか否かを判断する。具体的には、CPU11は、RAM13に格納されている切取線検出本数Yの値と、現在の対象切取線を比較することで、S38の判断を行う。現在の対象切取線がY本目の切取線71である場合(S38:YES)、CPU11は、S39に処理を移行する。一方、現在の対象切取線がY本目の切取線71でない場合(S38:NO)、CPU11は、S40に処理を移行する。
【0097】
S39において、CPU11は、対象切取線初期化処理を実行する。この対象切取線初期化処理(S39)では、CPU11は、原稿データに存在する切取線71の内、最も上部に位置する切取線71(図12の場合、第1切取線71A)を対象切取線に設定する。対象切取線初期化処理を終了すると、CPU11は、S32に処理を戻す。この場合、新たな対象領域が、初期化された対象切取線に基づいて、仮設定される。従って、この対象切取線初期化処理を終了すると、CPU11は、LCD18における原稿プレビュー画像80、対象領域識別表示85の表示を、初期化された対象切取線及び新たに設定された対象領域に対応する表示に変更する(図14参照)。
【0098】
S40では、CPU11は、対象切取線変更処理を実行する。この対象切取線変更処理では、CPU11は、現在の対象切取線の直下に位置する切取線71を対象切取線に設定する。例えば、現在の対象切取線が第2切取線71Bである場合、CPU11は、第3切取線71Cを新たに対象切取線として設定する。対象切取線変更処理を終了すると、CPU11は、S32に処理を戻す。この場合、新たな対象領域が、変更された対象切取線に基づいて、仮設定される。従って、この対象切取線変更処理を終了すると、CPU11は、LCD18における原稿プレビュー画像80、対象領域識別表示85の表示を、図16に示すように、変更された対象切取線(この場合、第3切取線71C)及び新たに設定された対象領域に対応する表示に変更する。
【0099】
S41に移行すると、CPU11は、切取線確定処理を実行する。この切取線確定処理(S41)では、CPU11は、対象領域を区画する切取線71を確定する。具体的には、CPU11は、切取線確定操作に基づいて、現在の対象切取線を、対象領域を区画する切取線に確定する。そして、CPU11は、LCD18におけるプレビュー表示により、仮設定されている対象領域をユーザに報知する。つまり、CPU11は、原稿プレビュー画像80において、対象領域仮設定処理(S32)で仮設定されている対象領域を示す対象領域識別表示85を表示する。この時、CPU11は、「プレビュー表示されている対象領域でよいかを問う」確認メッセージをLCD18に表示する。切取線確定処理を終了すると、CPU11は、S42に処理を移行する。
【0100】
S42においては、CPU11は、対象領域確定操作がユーザにより行われたか否かを判断する。具体的には、CPU11は、操作パネル17からの操作信号(例えば、スタートキーの入力信号)に基づいて、S42の判断を行う。前記確認メッセージに応じて、ユーザの対象領域確定操作が行われた場合(S42:YES)、CPU11は、S45に処理を移行する。一方、ユーザの対象領域確定操作が行われていない場合(S42:NO)、CPU11は、S43に処理を移行する。
【0101】
S43に移行すると、CPU11は、対象領域変更操作がユーザにより行われたか否かを判断する。具体的には、CPU11は、操作パネル17からの操作信号(例えば、前記上カーソルキーの入力信号)に基づいて、S43の判断を行う。対象領域変更操作が行われた場合(S43:YES)、CPU11は、S44に処理を移行する。一方、対象領域変更操作が行われていない場合(S43:NO)、CPU11は、S42に処理を戻す。この場合、ユーザは、対象領域確定操作又は対象領域変更操作を行い得る。
【0102】
S44においては、CPU11は、対象領域変更処理を実行する。この対象領域変更処理(S44)では、CPU11は、ユーザによる対象領域変更操作に基づいて、現在、仮設定されている対象領域を変更する。具体的には、CPU11は、原稿データにおいて、切取線確定処理(S41)で確定された切取線で区画される2つの領域の内、現在仮設定されている領域と異なる他方の領域を、対象領域に仮設定する。図12に示す対象原稿70を例として説明する。現在、第1切取線71Aの下方に位置する領域が対象領域に設定されている場合、CPU11は、第1切取線71Aの上方に位置する領域を対象領域に仮設定する。対象領域変更処理(S44)を終了すると、CPU11は、S42に処理を戻す。
【0103】
S45に移行すると、CPU11は、対象領域特定処理を実行する。この対象領域特定処理(S45)では、CPU11は、ユーザの対象領域確定操作に基づいて、現時点で仮設定されている対象領域を、対象領域実行処理(S8)の処理対象として特定する。対象領域特定処理(S45)を終了すると、CPU11は、切取線確認処理プログラムを終了する。
【0104】
以上、説明したように、第2実施形態に係る多機能周辺装置1及び制御プログラムは、対象原稿70に基づく原稿データにおいて、対象原稿70に存在する切取線71を検出し、切取線71により区画される対象領域を特定する。そして、当該多機能周辺装置1及び制御プログラムは、特定された対象領域部分の原稿データに対して、モード設定処理(S1)で設定されたユーザ所望の処理(即ち、「コピー」「印刷」「スキャン」「ファックス送信」)を行い得る。この結果、ユーザは、原稿データにおける必要部分に対する所望の処理結果を得ることができる。又、対象原稿70に当初から存在する「切取線71」により、必要部分(即ち、対象領域)を特定するので、ユーザは、必要部分に対する所望の処理を行う際に、煩雑な作業を負うことはない。
【0105】
又、第2実施形態に係る多機能周辺装置1及び制御プログラムは、プレビュー表示処理(S33)により、原稿データに基づく原稿プレビュー画像80をLCD18に表示し得る。更に、CPU11は、当該原稿プレビュー画像80における対象領域識別表示85によって、仮設定されている対象領域をユーザに報知する。これにより、ユーザは、対象原稿70における切取線71が確実に認識されたか否かを確認し得る。又、ユーザは、LCD18の表示を確認することで、所望の領域が対象領域となっているか否かを確認することができる。
【0106】
更に、第2実施形態に係る多機能周辺装置1及び制御プログラムは、ユーザの操作(即ち、原稿方向変更操作、対象切取線変更操作、対象領域変更操作等)により、対象領域実行処理(S8)の処理対象となる対象領域を所望の態様に変更し得る。この結果、ユーザは、自らが所望する必要部分に対する処理結果を確実に得ることができる。
【0107】
そして、第2実施形態に係る多機能周辺装置1及び制御プログラムは、スキャナ部3により記録用紙に印刷された原稿から原稿データを取得し、当該原稿データに対して、切取線71の検出及び対象領域の特定を行い得る。従って、ユーザは、記録用紙に出力された原稿を手にした場合であっても、ユーザ所望の必要部分に対してのみ所望の処理を実行した結果を得ることができる。
【0108】
又、第2実施形態に係る多機能周辺装置1及び制御プログラムは、対象領域に対応する部分の原稿データを印刷する場合(即ち、「コピー」「印刷」)に、印刷に係る消耗品(例えば、記録用紙、インク、トナー等)の消費を必要最小限にとどめることができる。そして、多機能周辺装置1及び制御プログラムは、対象領域に対応する部分の原稿データをデータファイルとして記憶媒体に格納する場合(即ち、「スキャン」)、データファイルのデータサイズを必要最小限に留め得る。この結果、ユーザは、記憶媒体の記憶容量を有効に活用し得る。更に、多機能周辺装置1及び制御プログラムは、対象領域に対応する部分の原稿データをファクシミリ送信する場合(即ち、「ファクシミリ送信」)、送信するデータ量を必要最小限にとどめることができる。これに伴い、受信側ユーザの消耗品の消費を必要最小限に留め得る。
【0109】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
例えば、本発明を多機能周辺装置に適用した実施形態に基づいて、本発明を説明したが、この態様に限定されるものではない。即ち、本発明は、種々の画像処理装置に適用し得る。例えば、本発明をパーソナルコンピュータに適用することも可能である。この場合、「切取線モード」を有効にする際には、図17に示すプロパティウィンドウをディスプレイに表示し、これに対する操作(例えば、当該プロパティウィンドウ中の選択肢「切取線モード」に対する操作)を行うように構成すればよい。
【0110】
尚、パーソナルコンピュータに適用した場合も、対象領域実行処理(S8)において、ファクシミリ送信を行い得る。つまり、本発明は、所謂「PC−FAX機能」を行う場合にも適用し得る。ここで、「PC−FAX機能」とは、パーソナルコンピュータに格納されているPC−FAXプログラムにより、パーソナルコンピュータから、直接相手先ファクシミリ装置に対して、ファクシミリ送信を行う機能である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】多機能周辺装置の模式的な断面図である。
【図2】多機能周辺装置の制御系構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態における対象原稿の一例を示す説明図(1)である。
【図4】切取線識別データ記憶エリアの記憶内容を模式的に示す説明図である。
【図5】多機能周辺装置のメイン制御プログラムのフローチャートである。
【図6】モード設定画面の表示例を示す説明図である。
【図7】原稿方向特定処理プログラムのフローチャートである。
【図8】第1実施形態における対象原稿の一例を示す説明図(2)である。
【図9】第1実施形態に係る切取線確認処理プログラムのフローチャートである。
【図10】切取線識別表示及び検出対象範囲に関する説明図(1)である。
【図11】切取線識別表示及び検出対象範囲に関する説明図(2)である。
【図12】第2実施形態における対象原稿の一例を占めす説明図である。
【図13】第2実施形態に係る切取線確認処理プログラムのフローチャートである。
【図14】プレビュー画面の表示例を示す説明図(1)である。
【図15】プレビュー画面の表示例を示す説明図(2)である。
【図16】プレビュー画面の表示例を示す説明図(3)である。
【図17】本発明をパーソナルコンピュータに適用した場合におけるプロパティウィンドウの表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0112】
1 多機能周辺装置
3 スキャナ部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 フラッシュメモリ
17 操作パネル
19 NCU
20 モデム
21 バッファ
22 スキャナ装置
23 符号化部
24 復号化部
30 レーザプリンタ
70 対象原稿
71 切取線
73 切取線識別表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる操作が行われる操作手段と、
原稿に対応する原稿データが格納される記憶手段と、
前記記憶手段に格納された原稿データに基づいて、前記原稿における切断対象部分の境界を示す切取線が当該原稿データに対応する原稿に存在するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記原稿データに対応する原稿に前記切取線が存在すると判断された場合、前記切取線によって区画される原稿上の領域の何れかに対応する部分を処理対象領域に設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された処理対象領域に係る原稿データに対して、前記操作手段により指定された内容の処理を実行する実行手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置において、
前記原稿データの上下方向を検出する検出手段を備え、
前記設定手段は、前記検出手段による上下方向の検出結果に基づいて、前記処理対象領域を設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像処理装置において、
前記判断手段により、前記原稿データに対応する原稿に前記切取線が存在すると判断された場合、前記切取線を含む所定範囲の原稿データに対して、文字認識処理を実行する文字認識手段を備え、
前記検出手段は、前記文字認識手段の認識処理結果に基づいて、前記原稿データにおける原稿の上下方向を検出するものであり、
前記設定手段は、前記検出手段によって検出された原稿の上下方向に基づいて、前記処理対象領域を設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像処理装置において、
前記記憶手段に格納されている原稿データに基づいて、プレビュー画像を表示するプレビュー表示手段と、
前記プレビュー表示手段に前記原稿データに基づくプレビュー画像を表示する場合に、前記設定手段により設定された処理対象領域に対応するプレビュー画像部分を、前記プレビュー画像の他の領域と識別可能に表示するように、前記プレビュー表示手段を制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像処理装置において、
前記プレビュー表示手段に、前記プレビュー画像が前記処理対象領域を識別可能な態様で表示されている場合に、ユーザの操作に基づいて、現在設定されている処理対象領域を、前記切取線によって区画される他の原稿上の領域に変更するように、前記設定手段を制御する変更手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5記載の画像処理装置において、
原稿データを送信する送信手段と、を備え、
前記実行手段は、
前記設定手段により設定された処理対象領域に対応する原稿データを送信するように、前記送信手段を制御することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6記載の画像処理装置において、
前記実行手段は、
前記設定手段により設定された処理対象領域に対応する原稿データを、データファイルとして前記記憶手段に格納することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7記載の画像処理装置において、
印刷媒体に対する印刷を行う印刷手段と、を備え、
前記実行手段は、
前記設定手段により設定された処理対象領域に対応する原稿データを、前記印刷媒体に印刷するように、前記印刷手段を制御することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8記載の画像処理装置において、
原稿の読取によって、当該原稿に対応する原稿データを生成し、生成した原稿データを前記記憶手段に格納する読取手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
ユーザによる操作が行われる操作手段と、原稿に対応する原稿データが格納される記憶手段と、を備え、前記原稿データに対する処理を実行可能な画像処理装置の制御プログラムであって、
前記記憶手段に格納された原稿データに基づいて、前記原稿における切断対象部分の境界を示す切取線が当該原稿データに対応する原稿に存在するか否かを判断する判断ステップと、
前記原稿データに対応する原稿に前記切取線が存在すると判断された場合、前記切取線によって区画される原稿上の領域の何れかに対応する部分を処理対象領域に設定する設定ステップと、
設定された処理対象領域に係る原稿データに対して、前記操作手段により指定された内容の処理を実行する実行ステップと、を備えることを特徴とする画像処理装置の制御プログラム。
【請求項11】
請求項10記載の画像処理装置の制御プログラムにおいて、
前記原稿データに対応する原稿に前記切取線が存在すると判断された場合、前記切取線を含む所定範囲の原稿データに対して、文字認識処理を実行する文字認識ステップと、
前記文字認識処理の結果に基づいて、前記原稿データにおける原稿の向きを検出する検出ステップと、を備え、
前記設定ステップは、
前記検出ステップで検出された原稿の向きに基づいて、前記処理対象領域を設定することを特徴とする画像処理装置の制御プログラム。
【請求項12】
請求項10記載の画像処理装置の制御プログラムにおいて、
前記画像処理装置は、
前記記憶手段に格納されている原稿データに基づいて、プレビュー画像を表示するプレビュー表示手段と、を備え、
前記画像処理装置の制御プログラムは、
前記プレビュー表示手段に前記原稿データに基づくプレビュー画像を表示する場合に、前記設定手段により設定された処理対象領域に対応するプレビュー画像部分を、前記プレビュー画像の他の領域と識別可能に表示するように、前記プレビュー表示手段を制御する表示制御ステップと、を備えることを特徴とする画像処理装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−206927(P2009−206927A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48062(P2008−48062)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】