説明

画像処理装置

【課題】複数の標本の時間的な変化を簡単に比較することができるようにする。
【解決手段】培養観察装置には、所定の容器の観察位置の細胞を所定の時間間隔で撮像して得られた観察画像群が複数記録されている。ユーザにより、これらの観察画像群のうちのいくつかが選択されると、培養観察装置には、マルチポイント表示画面331が表示される。マルチポイント表示画面331には、観察画像群が表示される表示領域341が複数並べられて設けられており、この表示領域341のそれぞれに、選択された観察画像群の観察画像のそれぞれが時系列で順番に表示される。本発明は、細胞培養観察装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置に関し、特に、タイムラプス観察で得られる観察画像を表示するのに好適な画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
培養細胞を用いた実験、特に癌細胞に対する抗癌剤の効果の観察や、初代培養細胞の培養方法の検討においては、複数のシャーレ、ウェルプレートなどの容器が用いられ、観察条件の異なる細胞の時間的な変化が比較される。
【0003】
すなわち、1つのシャーレ、またはウェルプレートの1つのウェルが1つのサンプルとされて、複数のサンプルのそれぞれに観察対象の標本である細胞が均一に撒かれる。そして、細胞が撒かれたサンプルのそれぞれに、異なる薬剤が添加されたり、同じ薬剤が異なる濃度で添加されたりして、各サンプル内の細胞がタイムラプス観察される。
【0004】
例えば、従来の細胞培養装置には、サンプルごとにタイムラプス観察を行い、各時刻におけるサンプル内の細胞の観察画像を撮像する機能を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。この細胞培養装置によれば、ユーザは、所望のサンプルの各時刻の観察画像を順番に表示させて比較することで、時間とともにどのように細胞が変化するかを把握することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−277754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した技術では、ユーザは、所望する1つのサンプル内の標本の時間的な変化を知ることはできるが、観察条件の異なる複数のサンプル内の標本のそれぞれの時間的な変化を比較することは困難であった。例えば、ユーザは、細胞培養装置を操作して、観察画像をサンプルごとに順番に表示させて各標本を比較しなければならないため、所定のサンプルの標本の観察画像が表示されているときに、他のサンプルの標本の状態を確認することができなかった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、複数のサンプルの標本の時間的な変化を簡単に比較することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、所定の位置の容器の所定の観察位置にある観察対象の標本を撮像して得られた、撮像時刻の異なる複数の観察画像からなる観察画像群を選択する選択手段と、選択された複数の前記観察画像群の前記観察画像が、前記観察画像群ごとに並べられて表示されるように、前記観察対象の位置関係に対応する表示位置に、それぞれ前記観察画像群の観察画像を時系列で順番に表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の標本の時間的な変化をより簡単に比較することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明を適用した培養観察装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0012】
培養観察装置11は、例えば、観察対象の標本である細胞を培養するとともに、その細胞をタイムラプス観察する細胞培養観察装置である。培養観察装置11は、容器保持部21、ステージ22、観察部23、記録部24、入力部25、制御部26、表示制御部27、表示部28、動画像生成部29、および通信部30から構成される。
【0013】
容器保持部21は、細胞の培養室などからなり、観察対象となる細胞の入った容器を保持している。例えば、容器保持部21に保持される容器は、シャーレやウェルプレートなどとされ、容器保持部21は、それらの容器を所定の温度や湿度に保たれた培養室内に保持し、容器内の細胞を培養する。
【0014】
また、容器保持部21は、制御部26の指示に応じて、培養室に保持している複数の容器のうちの所定の容器をステージ22上に載置したり、ステージ22に載置されている容器を容器保持部21に設けられた培養室内に格納したりする。
【0015】
ステージ22は、制御部26の指示に応じて駆動することで、ステージ22上に載置されている容器を移動させる。観察部23は、ステージ22に載置された容器内の細胞を照明光で照明したり、容器内の細胞からの観察光を結像させたりする光学系や、細胞の画像を撮像するカメラなどからなり、制御部26の指示に応じて容器内の細胞の観察画像を撮像する。
【0016】
記録部24は、観察部23により撮像された観察画像や、細胞の観察条件などの各種の情報、制御部26により実行されるプログラム等を記録する。入力部25は、マウスやボタン、タッチパネルなどからなり、ユーザの操作に応じた信号を制御部26に供給する。
【0017】
制御部26は、培養観察装置11の全体を制御する。例えば、制御部26は、容器保持部21、ステージ22、および観察部23を制御して、容器保持部21に保持されている容器内の細胞の観察画像を所定の時間間隔で撮像させたり、観察部23から観察画像を取得して記録部24に記録させたりする。また、制御部26は、表示制御部27に記録部24に記録されている観察画像の表示を指示したり、動画像生成部29に複数の観察画像が同時に表示される動画像の動画像ファイルの生成を指示したりする。
【0018】
さらに、制御部26は、再生位置調整部41を備えている。再生位置調整部41は、入力部25からの信号に応じて、観察画像を撮像時刻順に時系列で表示させるときの先頭の撮像画像を示す再生開始位置情報を生成する。
【0019】
表示制御部27は、制御部26からの指示に応じて、表示部28への画像の表示を制御する。例えば、表示制御部27は、記録部24に記録されている観察画像を表示部28に供給して表示させる。表示部28は、例えば液晶ディスプレイなどからなり、表示制御部27から供給された画像を表示する。
【0020】
動画像生成部29は、制御部26の指示に応じて、表示制御部27から複数の観察画像を取得し、取得した観察画像が並べられて表示される1つの動画像の動画像ファイルを生成する。通信部30は、通信網を介して培養観察装置11に接続されている他の装置と通信し、他の装置と各種の情報の授受を行う。
【0021】
ところで、培養観察装置11では複数の容器が保持されており、それらの容器では細胞が培養されている。例えば、ユーザは入力部25を操作して、所望の容器の所定の観察位置と、細胞の観察条件とを指定することで、指定した観察位置の細胞をタイムラプス観察させることができる。
【0022】
ここで、容器としてのシャーレ、またはウェルプレートの1つのウェルを1つのサンプルと呼ぶこととすると、まず、ユーザは入力部25を操作することで、観察対象とする細胞の入った容器のサンプルを指定し、さらに必要に応じてサンプル内の所望する位置を観察位置として指定する。
【0023】
次に、ユーザは入力部25を操作し、観察条件として、例えば細胞の観察画像を撮像する時間間隔(インターバル)、観察開始時刻、観察終了時刻、蛍光観察や位相差観察などの観察方法、観察に用いる対物レンズの倍率などを指定する。
【0024】
このようにユーザにより、観察位置と観察条件とが指定されると、制御部26は、ユーザの操作に応じて入力部25から供給された信号に基づいて、培養観察装置11の各部を制御し、指定された観察位置(サンプル)の指定された観察条件での観察を行う。
【0025】
すなわち、容器保持部21は、制御部26により指定された容器を移動させてステージ22上に載置し、ステージ22は、ステージ22上の容器の観察位置が観察部23としてのカメラの視野内に入るように、制御部26により指定された位置に移動する。また、観察部23は、制御部26の制御に基づいて、ユーザにより指定された時間間隔で観察位置にある細胞の観察画像を撮像する。
【0026】
観察部23により撮像された観察画像が、観察部23から制御部26に供給されると、制御部26は、指定されたサンプルのサンプル名と観察位置、観察部23から供給された観察画像、および入力部25から供給された、ユーザにより入力された観察条件を記録部24に供給する。そして、制御部26は、記録部24に供給したサンプル名、観察位置、観察画像、および観察条件を、タイムラプス観察を行った1つのサンプルに関する情報であるサンプル情報として記録部24に記録させる。
【0027】
このとき、制御部26は、必要に応じて容器保持部21から、サンプル(細胞)の他の観察条件、より詳細には細胞の培養に関する情報、例えば観察対象の標本名、培養室内の温度、培養室内の湿度、サンプルに添加した試薬、試薬の添加時刻、試薬の濃度などの情報を取得して記録部24に供給し、サンプル情報として記録させる。
【0028】
また、制御部26は、必要に応じて、所定の解析プログラムを実行して観察部23からの観察画像を対象とする解析を行い、その解析結果を記録部24に供給してサンプル情報として記録させる。例えば、観察画像を対象とする解析により、観察画像内で確認された細胞の数、細胞からの蛍光の強度の時間的な変化、細胞の増殖率などの情報が得られる。
【0029】
さらに、制御部26は、入力部25から供給された、ユーザが入力したタイムラプス観察時のコメント等を記録部24に供給してサンプル情報として記録させる。したがって、指定されたサンプルのタイムラプス観察が行われると、記録部24には、サンプル名、観察位置、各時刻の観察画像からなる観察画像群、観察条件、解析結果、入力されたコメントなどの情報が、互いに関連付けられてサンプル情報として記録される。
【0030】
このように、ユーザが入力部25を操作して所定のサンプル、より詳細にはサンプル内の細胞のタイムラプス観察を指示すると、指定されたサンプルのタイムラプス観察が行われ、そのサンプルのサンプル情報が記録される。なお、タイムラプス観察時に、例えば、位相差観察および蛍光観察の両方の観察方法で細胞が観察された場合には、位相差観察により得られた観察画像群と、蛍光観察により得られた観察画像群とが互いに関連付けられて、1つのサンプル情報として記録される。また、位相差観察により得られた観察画像群と、蛍光観察により得られた複数の観察画像群、例えば波長の異なる複数の蛍光の観察画像群とが互いに関連付けられて、1つのサンプル情報として記録されてもよい。
【0031】
このようにして記録部24に各サンプルのサンプル情報が蓄積されると、ユーザは、記録されているいくつかのサンプル情報の観察画像群を指定して、それらの観察画像群の観察画像を、1つの表示画面に観察画像群ごとに並べて時系列に表示させることができる。なお、以下、1つの表示画面に複数の観察画像を並べて、それらの観察画像を時系列に表示する表示方法をマルチポイント表示とも称する。
【0032】
次に、図2および図3のフローチャートを参照して、培養観察装置11が観察画像をマルチポイント表示する処理であるマルチポイント表示処理について説明する。
【0033】
ステップS11において、制御部26は、入力部25からの信号に応じて容器を選択する。すなわち、マルチポイント表示処理が開始されると、表示制御部27は、制御部26からの指示に応じて表示部28を制御し、培養観察装置11において培養中である細胞の入った容器の一覧を表示部28に表示させる。
【0034】
これにより、例えば表示部28には、図4に示す容器一覧画面61が表示される。容器一覧画面61には、培養観察装置11の培養室に格納されている容器を示すボタン、より詳細には容器が配置される位置を示すボタンが、培養室内の容器と同じ配列で並べられている。そして、それらのボタンのうち、細胞の培養が行われている容器を示すボタン71−1乃至ボタン71−8は、他のボタンと異なる色で表示されている。また、ボタン71−1乃至ボタン71−8には、ユーザにより入力された容器の名前や、その容器を用いて行われている実験名、実験開始日など、容器を特定する文字が表示されている。なお、以下、ボタン71−1乃至ボタン71−8のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単にボタン71と称する。
【0035】
また、容器一覧画面61の図中、左下には、各種の機能を実行させるときに操作される機能ボタン72が表示されている。
【0036】
このような容器一覧画面61が表示されている状態で、ユーザが入力部25を操作して、ボタン71を選択すると、制御部26は、ユーザの操作に応じてボタン71により特定される容器を選択し、その容器の詳細を示す画面の表示を表示制御部27に指示する。すると、表示制御部27は、制御部26からの指示に応じて、例えば、図5に示す画面を表示部28に表示させる。
【0037】
図5に示す画面では、中央に選択されたボタン71により特定される容器の画像が表示されており、図5の例では、容器として円形の6つのウェルを有するウェルプレートが表示されている。また、画面の図中、左下には、表示部28に表示される画面を、直前に表示されていた容器一覧画面61に切り換えるボタン101が設けられており、ボタン101の図中、右側には、表示されている容器のサンプルの一覧を表示させるボタン102が設けられている。
【0038】
ユーザが入力部25を操作してボタン102を選択すると、制御部26は表示制御部27にサンプルの一覧の表示を指示する。そして、表示制御部27は、制御部26の指示に応じて表示部28に選択されている容器のサンプルの一覧を表示させる。
【0039】
これにより、表示部28には、例えば図6に示すサンプル一覧画面131が表示される。サンプル一覧画面131には、選択された容器に設けられたサンプル、すなわち図5に表示されたウェルプレートの6つのウェルのそれぞれを示す番号1乃至6と、サンプルを特定するサンプル名141−1乃至サンプル名141−6とが図中、縦方向に並べられて表示されている。これらのサンプル名141−1乃至サンプル名141−6のそれぞれは、より詳細にはサンプル名が表示されたボタンとされており、サンプルを選択するときに操作される。なお、以下、サンプル名141−1乃至サンプル名141−6のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単にサンプル名141と称する。
【0040】
また、サンプル一覧画面131には、サンプル名141の図中、左側に各サンプルを選択するチェックボックス142−1乃至チェックボックス142−6が設けられている。これらのチェックボックス142−1乃至チェックボックス142−6が操作されて、チェック記号が表示されると、対応するサンプル名141−1乃至サンプル名141−6により特定されるサンプルが選択される。なお、以下、チェックボックス142−1乃至チェックボックス142−6のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単にチェックボックス142と称する。
【0041】
ユーザは、入力部25を操作して、これらのチェックボックス142のうちの所望のものを操作して対応するサンプルを選択し、さらにサンプル一覧画面131の図中、左側に設けられたボタン143を操作すると、選択されたサンプルの観察画像を一覧表示させることができる。すなわち、ボタン143が操作されると、制御部26はユーザの操作に応じて、表示制御部27に、選択されているサンプルの最後に撮像された観察画像、つまり撮像時刻の最も新しい観察画像の表示を指示する。そして、表示制御部27は、制御部26からの指示に応じて、表示部28に選択されたサンプルの最後に撮像された観察画像のそれぞれを並べて表示させる。
【0042】
また、ユーザは文字“select all”が表示されているボタン144を操作することで、全てのチェックボックス142にチェック記号を表示させ、それらのチェックボックス142に対応するサンプルを選択させることができる。
【0043】
このように、図5に示した画面が表示されている状態で、ボタン102が操作されると、容器のサンプルを選択するためのサンプル一覧画面131が表示される。なお、サンプル一覧画面131を表示させるには、必ずしも容器一覧画面61において容器を示すボタン71を選択する必要はなく、例えば容器一覧画面61において機能ボタン72を操作し、所定の条件を満たす容器の検索を行うことでもサンプル一覧画面131を表示させることができる。
【0044】
すなわち、機能ボタン72が操作されると、制御部26は入力部25からの信号に応じて、表示制御部27に機能一覧画面の表示を指示する。すると、表示制御部27は、制御部26からの指示に応じて表示部28に、例えば図7に示す機能一覧画面171を表示させる。
【0045】
機能一覧画面171には、各種の機能を実行させるためのボタンや、機能一覧画面171を閉じるときに操作されるボタン181が設けられている。例えば、各種の機能を実行させるボタンとして、所定の条件を満たす容器を検索するための検索ボタン182が設けられている。ユーザが入力部25を操作して検索ボタン182を選択(操作)すると、制御部26は、ユーザの操作に応じて、容器を検索するときの検索条件を入力する検索条件入力画面の表示を表示制御部27に指示する。すると、表示制御部27は、制御部26からの指示に応じて、表示部28に、例えば図8に示す検索条件入力画面211を表示させる。
【0046】
検索条件入力画面211には、培養者を選択するボタン、サンプル名を入力する入力欄、および容器に入れられた細胞の種類を選択するときに操作されるボタンが設けられている。また、検索条件入力画面211には、サンプル内の細胞の培養開始日を指定するプルダウンボックス、容器の種類を選択するときに操作されるボタン、およびその他の条件を指定するときに操作されるボタンが設けられている。
【0047】
ユーザは、入力部25を操作して、これらのプルダウンボックスやボタンなどを操作することで、検索条件を入力する。
【0048】
また、検索条件入力画面211には、検索を実行させるときに操作されるボタン221や、検索条件入力画面211を閉じるときに操作されるボタン222が設けられている。例えば、ユーザが入力部25を操作して検索条件入力画面211に検索条件を入力し、さらにボタン221を操作すると、制御部26は、入力された検索条件、および記録部24に記録されているサンプル情報に基づいて、容器保持部21に格納されている容器のうち、入力された検索条件を満たす容器を検索する。そして、制御部26は、検索により特定された容器について、その容器のサンプルの一覧を示すサンプル一覧画面131の表示を表示制御部27に指示する。これにより、表示部28には、検索条件を満たす容器のサンプル一覧画面131が表示される。
【0049】
このように、検索条件入力画面211が表示されて、入力された検索条件を満たす容器が検索された場合には、ステップS11において制御部26は、検索の結果得られた容器を選択する。
【0050】
図2のフローチャートの説明に戻り、ステップS11において容器が選択され、サンプル一覧画面131が表示されると、ステップS12において、制御部26は、容器のサンプルを選択する。
【0051】
例えば、ユーザが入力部25を操作して、サンプル一覧画面131から、1つのサンプル名141を選択すると、制御部26は、ユーザの操作に応じて選択されたサンプル名141により特定されるサンプルを選択する。
【0052】
なお、より詳細には、制御部26は、ステップS12において、サンプルだけでなく、サンプル内の観察位置や、その観察位置を観察したときの対物レンズの倍率、観察方法なども選択する。すなわち、制御部26は、サンプル名141が選択されると、選択されたサンプル名141により特定されるサンプルにおける細胞の培養履歴が表示される培養履歴画面の表示を表示制御部27に指示する。
【0053】
表示制御部27は、制御部26の指示に応じて、指示されたサンプルのサンプル情報を記録部24から取得し、取得したサンプル情報に基づいて、表示部28に培養履歴画面を表示させる。例えば、サンプル名141−1が選択されると、表示部28には図9に示す培養履歴画面251が表示される。
【0054】
培養履歴画面251の図中、上側には、サンプル名、サンプル内の細胞の名前、培養者名が表示されており、また、選択された容器を表す画像も表示されている。図9の例では、図中、右上に容器を表す画像として、6つのウェルを有するウェルプレートの画像が表示されており、6つのウェルのうち、ユーザにより選択されたサンプルとしてのウェルは、他のウェルとは異なる色で表示されている。
【0055】
さらに、培養履歴画面251には、タイムラプス観察時に撮像した観察画像の撮像時刻ごとにサンプル内の細胞に関する情報が表示される表示欄261−1乃至表示欄261−5が図中、縦方向に並べられて設けられている。また、表示欄261−1乃至表示欄261−5には、サンプル内の細胞に関する情報の詳細を表示するときに操作される詳細表示ボタン262−1乃至詳細表示ボタン262−5が設けられている。
【0056】
なお、以下、表示欄261−1乃至表示欄261−5のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に表示欄261と称し、詳細表示ボタン262−1乃至詳細表示ボタン262−5のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に詳細表示ボタン262と称する。
【0057】
培養履歴画面251では、表示欄261内の詳細表示ボタン262が操作される前の状態において、表示欄261には詳細表示ボタン262、観察画像の撮像時刻、および培養者名だけが表示されている。そして、詳細表示ボタン262が操作されると、表示欄261には、さらに観察画像などの詳細な情報が表示される。
【0058】
図9の例では、表示欄261−2乃至表示欄261−5には、詳細表示ボタン262、撮像時刻、および培養者名だけが表示されている。例えば、表示欄261−2には、撮像時刻を示す文字“2007/Nov/01 11:10”が表示され、培養者名を示す文字“BioStationCT Admin”が表示されている。
【0059】
また、表示欄261−1は、詳細表示ボタン262−1が操作された状態となっており、表示欄261−1には、詳細表示ボタン262、撮像時刻“2007/Nov/01 11:20”、および培養者名“BioStationCT Admin”の他、観察画像などの詳細な情報も表示されている。
【0060】
すなわち、表示欄261−1内には、選択された容器の画像263と、撮像時刻“2007/Nov/01 11:20”におけるサンプル内の観察位置ごとの情報が表示されるサブ表示欄264とが表示されている。さらに、サブ表示欄264内の図中、左側には、円形のウェルの画像が、選択されたサンプルの画像として表示されており、その画像のウェルの中央には、観察位置を示す点が表示されている。
【0061】
また、サブ表示欄264内の図中、右側には、表示欄261内の図中、上側に表示された撮像時刻において、サンプルの画像により示される観察位置を撮像して得られた観察画像265−1乃至観察画像265−4が表示されている。観察画像265−1乃至観察画像265−4のそれぞれの図中、上側には観察条件を示す文字“4×”、“10×”、“20×”、および“FL”が表示されている。
【0062】
例えば、文字“4×”は、その文字の下の観察画像265−1が、倍率が4倍である対物レンズを用いて細胞を位相差観察したときの観察画像であることを示している。また、文字“FL”は、その文字の下の観察画像265−4が、細胞を蛍光観察したときの観察画像であることを示している。このように、サブ表示欄264内には、観察位置と撮像時刻が同じであり、観察条件の異なる観察画像が並べられて表示される。
【0063】
さらに、観察画像265−1乃至観察画像265−4のそれぞれの図中、下側には、それらの画像を拡大して表示させるときに操作される拡大ボタン266−1乃至拡大ボタン266−4が表示されている。なお、以下、観察画像265−1乃至観察画像265−4のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に観察画像265と称し、拡大ボタン266−1乃至拡大ボタン266−4のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に拡大ボタン266と称する。
【0064】
なお、表示欄261−1には、1つのサブ表示欄264だけが表示されているが、表示欄261−1に表示された撮像時刻に、複数の観察位置において観察画像が撮像された場合には、それらの観察位置についてのサブ表示欄のそれぞれが並べられて表示される。さらに、図9に示す状態において、詳細表示ボタン262−1が操作されると、表示欄261−1から画像263およびサブ表示欄264の表示が消えて、表示欄261−1には撮像時刻、詳細表示ボタン262−1、および培養者名だけが表示される。
【0065】
このようにして、培養履歴画面251が表示され、ユーザが入力部25を操作して拡大ボタン266を選択すると、制御部26はユーザの操作に応じて、拡大ボタン266に対応する観察画像265を選択する。
【0066】
例えば、拡大ボタン266−1が選択された場合、制御部26は、ステップS11の処理で選択された容器のサンプルのうち、培養履歴画面251に表示されているサンプル名により特定されるサンプルを選択し、さらにそのサンプル内の中央を観察位置として、4倍の対物レンズで位相差観察したときの観察画像群を選択する。つまり、制御部26は、記録部24に記録されているサンプル情報に含まれる観察画像群のうち、観察画像265−1が含まれている観察画像群を選択する。
【0067】
このように、ステップS12の処理においては、制御部26は、サンプルだけでなく、そのサンプル内の観察位置および観察条件も選択する。これにより、所定の容器のサンプル内の位置を観察位置として、その観察位置を所定の観察条件でタイムラプス観察して得られた観察画像群が選択されることになる。
【0068】
図2のフローチャートの説明に戻り、ステップS12の処理によりサンプルが選択されると、すなわち培養履歴画面251内の拡大ボタン266が選択されると、ステップS13において、表示部28は、選択された拡大ボタン266に対応する観察画像を表示する。
【0069】
例えば、拡大ボタン266−1が選択された場合、制御部26は、ユーザの操作に応じて、表示制御部27に拡大ボタン266−1に対応する観察画像265−1を拡大して表示させる。表示制御部27は、制御部26の指示に応じて、観察画像265−1が拡大して表示される観察画像表示画面を表示部28に表示させる。
【0070】
これにより、表示部28には、例えば図10に示す観察画像表示画面291が表示される。観察画像表示画面291の表示領域301には、拡大ボタン266に対応する観察画像が拡大表示され、表示領域301の図中、右側には、サンプル名やサンプル内の観察位置、観察画像の撮像時刻、観察対象となった細胞の培養条件(観察条件)などが表示されている。
【0071】
また、観察画像表示画面291には、観察画像群の再生を制御するときに操作されるボタン群302が設けられている。例えばユーザは、ボタン群302を操作することで、表示領域301に、選択された拡大ボタン266に対応する観察画像265の含まれる観察画像群を時系列で順番に表示させる。これにより、ユーザは拡大表示された観察画像を見ながら、その観察画像をマルチポイント表示させる画像とするか否かを決めることができる。
【0072】
さらに、観察画像表示画面291には、マルチポイントボタン303、ボタン304、タブ305−1乃至タブ305−4、およびオーバーラップボタン306が設けられている。マルチポイントボタン303は、表示領域301に表示されている観察画像、より詳細には、その観察画像が含まれる観察画像群をマルチポイント表示させる観察画像群として選択するときに操作され、ボタン304は、観察画像表示画面291を閉じるときに操作される。
【0073】
また、タブ305−1乃至タブ305−4は、表示領域301における観察画像の表示を切り換えるときに操作される。すなわち、拡大ボタン266に対応する観察画像265の含まれる観察画像群に、関連付けられた他の観察画像群がある場合、ユーザは、タブ305−1乃至タブ305−4の何れかを選択することで、互いに関連付けられた観察画像群のうちの何れかを表示領域301に表示させることができる。
【0074】
ここで、互いに関連付けられた観察画像群とは、観察対象および各観察画像の撮像時刻が同じであり、観察条件だけが異なる観察画像群をいう。例えば、細胞を位相差観察して得られた観察画像からなる観察画像群と、その観察画像群の各観察画像と撮像時刻が同じであり、同じ細胞を蛍光観察して得られた観察画像からなる観察画像群とは、互いに関連付けられた観察画像群とされる。
【0075】
タブ305−1乃至タブ305−4のそれぞれには、文字“Ph”、“Ch1”、“Ch2”、および“Ch3”が表示されており、タブ305−1が選択されると、表示領域301には、位相差観察により得られた観察画像が表示される。また、タブ305−2乃至タブ305−4の何れかが選択されると、表示領域301には、蛍光観察により得られた観察画像が表示される。ここで、タブ305−2乃至タブ305−4のそれぞれが選択されたときに表示される観察画像は、撮像された蛍光の波長が異なる観察画像とされる。
【0076】
さらに、オーバーラップボタン306は、互いに関連付けられた観察画像のうちの2つの観察画像を表示領域301に重畳させて表示させるときに操作される。例えば、タブ305−1が選択されて位相差観察により得られた観察画像が表示領域301に表示されている状態で、ユーザがオーバーラップボタン306を操作して、タブ305−2を選択すると、表示領域301には、位相差観察により得られた観察画像に、蛍光観察により得られた観察画像が重畳(合成)されて表示される。
【0077】
図2のフローチャートの説明に戻り、観察画像表示画面291の表示領域301に観察画像が表示されると、ステップS14において、制御部26は、表示されている観察画像の含まれる観察画像群をマルチポイント表示用の観察画像群とするか否かを判定する。
【0078】
例えば、観察画像表示画面291が表示されている状態において、マルチポイントボタン303が選択(操作)された場合、マルチポイント表示用の観察画像群とすると判定され、ボタン304が操作された場合、マルチポイント表示用の観察画像群としないと判定される。
【0079】
ボタン304が操作され、ステップS14において、マルチポイント表示用の観察画像群としないと判定された場合、表示制御部27は、制御部26の指示に応じて表示部28を制御し、観察画像表示画面291を閉じさせる。そして、処理は、ステップS12に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0080】
例えば、観察画像表示画面291が閉じられると、表示部28の表示は、培養履歴画面251に切り換わり、ユーザは、拡大ボタン266を操作してサンプルを選択し直す。なお、ユーザは、入力部25を操作することで、培養履歴画面251を閉じさせて容器一覧画面61を表示させ、容器を選択し直すことも可能である。この場合には、処理はステップS11に戻り、制御部26はユーザの操作に応じて容器の選択を行う。
【0081】
一方、ステップS14において、マルチポイント表示用の観察画像群とすると判定された場合、ステップS15において、制御部26は観察画像表示画面291の表示領域301に表示されている観察画像の観察画像群をマルチポイント表示用の観察画像群として選択する。換言すれば、制御部26は、選択された拡大ボタン266に対応する観察画像265の含まれる観察画像群をマルチポイント表示用の観察画像群とする。
【0082】
ステップS16において、表示部28は、マルチポイント表示画面を表示する。すなわち、制御部26は、表示制御部27に対して、複数のマルチポイント表示用の観察画像群の観察画像が並べられて表示されるマルチポイント表示画面の表示を指示する。そして、表示制御部27は、制御部26の指示に応じて、必要に応じて記録部24からサンプル情報を取得し、取得したサンプル情報を用いて表示部28にマルチポイント表示画面を表示させる。
【0083】
これにより、表示部28には、例えば図11に示すマルチポイント表示画面331が表示される。マルチポイント表示画面331には、マルチポイント表示用の観察画像が表示される表示領域341−1乃至表示領域341−6が並べられて設けられており、表示領域341−1乃至表示領域341−6には、それぞれ異なる観察画像群の観察画像が表示される。
【0084】
図11の例では、マルチポイント表示用の観察画像群が1つしか選択されていないため、表示領域341−2乃至表示領域341−6には観察画像が表示されておらず、表示領域341−1だけに観察画像が表示されている。なお、以下、表示領域341−1乃至表示領域341−6を個々に区別する必要のない場合、単に表示領域341と称する。
【0085】
また、ユーザは、入力部25を操作して表示領域341を選択することで、その選択した表示領域341に表示させるマルチポイント表示用の観察画像群を選択することができる。例えば、表示領域341−2が選択されて、マルチポイント表示用とする観察画像群が指定されると、表示領域341−2には新たに選択された観察画像群の観察画像が表示される。このようにマルチポイント表示画面331では、ユーザは任意の表示領域341に、所望の観察画像を表示させることができるので、ユーザの好みの配列で、複数の観察画像を並べて表示させることができる。
【0086】
さらに、マルチポイント表示画面331には、表示領域341への観察画像の表示を制御するときに操作されるボタン群342が設けられている。ユーザは、ボタン群342を操作することにより、表示領域341に観察画像を時系列で順番に表示させたり、観察画像の時系列での表示を停止、一時停止、または早送りさせたりすることができる。
【0087】
さらに、また、マルチポイント表示画面331における表示領域341の図中、下側にはシークバー343が設けられており、シークバー343には、時系列で表示される観察画像の撮像時刻に対応する位置につまみ343aが表示されている。
【0088】
例えば、表示領域341に観察画像群を構成する観察画像が撮像時刻の古いものから順番に表示される場合、観察画像群の先頭の観察画像が表示されているときには、つまみ343aは、シークバー343上の図中、左端に位置している。そして、つまみ343aは時間の経過とともに、図中、右方向に移動し、観察画像群の最後の観察画像が表示されたときに、シークバー343上の図中、右端に到達する。ユーザは入力部25を操作してつまみ343aを移動させることにより、観察画像群のうちの所望の撮像時刻の観察画像を表示領域341に表示させることができる。
【0089】
また、マルチポイント表示画面331におけるシークバー343の図中、下側には合成設定ボタン344−1乃至合成設定ボタン344−4、ボタン345、再生位置調整ボタン346、およびダウンロードボタン347が設けられている。
【0090】
合成設定ボタン344−1乃至合成設定ボタン344−4は、表示領域341に表示される観察画像に、さらにその観察画像に関連付けられた他の観察画像を重畳して表示させるときに操作される。合成設定ボタン344−1乃至合成設定ボタン344−4には、文字“Ph”、“Ch1”、“Ch2”、および“Ch3”が表示されており、合成設定ボタン344−1が選択されると、表示領域341には、位相差観察により得られた観察画像が表示される。また、合成設定ボタン344−2乃至合成設定ボタン344−4が選択されると、表示領域341には、蛍光観察により得られた観察画像が表示される。ここで、合成設定ボタン344−2乃至合成設定ボタン344−4のそれぞれが選択されたときに表示される観察画像は、撮像された蛍光の波長の異なる観察画像とされる。
【0091】
例えば、マルチポイント表示用とされた観察画像群が、位相差観察により得られた観察画像群である場合、合成設定ボタン344−1は、予め選択された状態となっている。そして、この状態において、ユーザがさらに合成設定ボタン344−2および合成設定ボタン344−3を選択すると、表示領域341には、位相差観察により得られた観察画像に対して、さらに合成設定ボタン344−2および合成設定ボタン344−3に対応する、蛍光観察により得られた観察画像のそれぞれが重畳されて表示される。
【0092】
つまり、表示領域341には、位相差観察により得られた観察画像と、蛍光観察により得られた2つの観察画像とが合成されて得られた画像が、時系列で順番に表示されることになる。なお、以下、合成設定ボタン344−1乃至合成設定ボタン344−4のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に合成設定ボタン344と称する。
【0093】
また、ボタン345は、マルチポイント表示画面331を閉じるときに操作され、再生位置調整ボタン346は、表示領域341に時系列で表示される観察画像のうちの先頭の観察画像を変更するときに操作される。
【0094】
例えば、再生位置調整ボタン346が操作され、表示領域341−1に表示される観察画像群から、所定の観察画像が先頭の観察画像として選択された場合、表示領域341−1には、選択された観察画像から順番に時系列で観察画像が表示される。このとき、選択された観察画像よりも撮像時刻が古い観察画像は、表示領域341−1には表示されない。
【0095】
ダウンロードボタン347は、表示領域341のそれぞれに時系列で観察画像が表示される1つの動画像の動画像ファイルを生成させるときに操作される。
【0096】
なお、マルチポイント表示画面331の表示領域341に、観察画像の他、ユーザにより選択された、容器の全体の画像、つまりその容器に設けられた複数のサンプルが表示されている画像が表示されるようにしてもよい。
【0097】
図2のフローチャートの説明に戻り、ステップS16においてマルチポイント表示画面331が表示されると、ステップS17において、制御部26は、新たなマルチポイント表示用の観察画像群を選択するか否かを判定する。例えば、ユーザにより表示領域341が選択されて、マルチポイント表示用の観察画像群の選択が指示されると、マルチポイント表示用の観察画像群を選択すると判定される。
【0098】
ステップS17において、マルチポイント表示用の観察画像群を選択すると判定された場合、処理はステップS13に戻り、新たなマルチポイント表示用の観察画像群が選択される。すなわち、表示制御部27は、制御部26の指示に応じて、表示部28の表示をマルチポイント表示画面331から観察画像表示画面291に切り換える。そして、ユーザによりボタン304が操作されると、表示制御部27は、制御部26の指示に応じて、さらに表示部28の表示を観察画像表示画面291から、培養履歴画面251に切り換える。
【0099】
ユーザは、入力部25を操作して培養履歴画面251から拡大ボタン266を選択し、さらに、これにより新たに表示された観察画像表示画面291のマルチポイントボタン303を選択することで、制御部26にマルチポイント表示用の観察画像群を選択させる。
【0100】
一方、ステップS17において、マルチポイント表示用の観察画像群を選択しないと判定された場合、ステップS18において、制御部26は、再生開始位置の調整を行うか否かを判定する。例えば、マルチポイント表示画面331が表示されている状態で、ユーザにより再生位置調整ボタン346が操作された場合、再生開始位置の調整を行うと判定される。
【0101】
ステップS18において、再生開始位置の調整を行わないと判定された場合、処理はステップS20に進む。
【0102】
これに対してステップS18において、再生開始位置の調整を行うと判定された場合、ステップS19において、再生位置調整部41は、ユーザの操作に応じて、観察画像群を時系列で表示させるときの先頭の観察画像を選択する。そして、再生位置調整部41は、その先頭の観察画像と、観察画像が表示される表示領域341とを示す再生開始位置情報を生成する。
【0103】
例えば、表示領域341−1に表示される観察画像群G1が、サンプルへの試薬の添加前の時刻から所定の時間間隔で撮像された観察画像からなり、表示領域341−2に表示される観察画像群G2が、サンプルへの試薬の添加直後から所定の時間間隔で撮像された観察画像からなるものとする。この場合、マルチポイント表示を行うと、表示領域341−1には、試薬の添加前の時刻からの観察画像が表示され、表示領域341−2には、試薬の添加直後の時刻からの観察画像が表示される。
【0104】
しかしながら、これらの2つのサンプル(観察画像に表示される細胞)の時間的な変化を比較するには、表示領域341−1に表示される観察画像群G1も、試薬の添加直後の時刻の観察画像から表示が開始されることが望ましい。そこで、例えばユーザは、再生位置調整ボタン346を操作し、さらに表示領域341−1を指定して、観察画像群G1の観察画像のうち、サンプルに試薬が添加された直後の時刻の観察画像を、先頭の観察画像として選択することで、観察画像群G1の再生開始位置を調整する。
【0105】
例えば、再生位置調整ボタン346が操作され、さらに表示領域341−1が指定されると、表示部28の表示は、表示領域341−1に表示される観察画像群の観察画像だけが時系列で表示される画面に切り換わる。そしてユーザは、その画面に表示されたシークバーを操作して各撮像時刻の観察画像を表示させながら、先頭の観察画像を指定する。
【0106】
再生位置調整部41は、ユーザの操作に応じて、観察画像群G1の観察画像のうち、ユーザにより指定された観察画像を、時系列で表示する先頭の観察画像として選択し、その観察画像と、観察画像が表示される表示領域341とを示す再生開始位置情報を生成する。これにより、ユーザは、簡単な操作で観察画像群の再生開始位置を調整し、複数のサンプル内の細胞の時間的な変化をより簡単に比較することができる。
【0107】
特に、観察画像とともに試薬の添加のタイミングを示す画像やコメントなどが表示されるようにすると、ユーザは、簡単に観察画像群の再生開始位置を調整することができる。
【0108】
ステップS19において再生開始位置が調整されるか、またはステップS18において、再生開始位置の調整を行わないと判定されると、ステップS20において、制御部26は観察画像の合成表示の設定を行うか否かを判定する。例えば、ユーザにより合成設定ボタン344が操作された場合、合成表示の設定を行うと判定される。
【0109】
ステップS20において、合成表示の設定を行わないと判定された場合、処理はステップS22に進む。一方、ステップS20において、合成表示の設定を行うと判定された場合、ステップS21において、制御部26は、表示領域341に重畳(合成)して表示させる観察画像群を示す合成設定情報を生成する。
【0110】
すなわち、ユーザは合成表示の設定を行おうとする表示領域341を指定し、さらにその表示領域341に表示させる互いに関連付けられた観察画像群が選択されるように、合成設定ボタン344を操作する。すると、制御部26は、ユーザの操作に応じて、合成設定ボタン344により選択された観察画像群と、それらの観察画像群が表示される表示領域341とを示す合成設定情報を生成する。
【0111】
ステップS21において合成設定情報が生成されるか、またはステップS20において合成表示の設定を行わないと判定された場合、ステップS22において、制御部26は、マルチポイント表示での観察画像の時系列の表示が指示されたか否かを判定する。例えば、ユーザによりボタン群342が操作され、観察画像の時系列の表示が指示された場合、観察画像の時系列の表示が指示されたと判定される。
【0112】
ステップS22において、観察画像の時系列の表示が指示されていないと判定された場合、処理はステップS24に進む。これに対して、ステップS22において、観察画像の時系列の表示が指示されたと判定された場合、ステップS23において、表示部28は各表示領域341に観察画像を時系列に順番に表示する。
【0113】
すなわち、制御部26は、表示制御部27に再生開始位置情報および合成設定情報を供給するとともに、表示制御部27にマルチポイント表示用の観察画像群として選択されている観察画像群の表示領域341への時系列での表示を指示する。すると、表示制御部27は、制御部26からの再生開始位置情報および合成設定情報に基づいて、表示領域341−1乃至表示領域341−6のそれぞれに、選択された観察画像群の観察画像のそれぞれを時系列で順番に表示させる。
【0114】
このとき、表示制御部27は、再生開始位置情報により示される表示領域341については、その再生開始位置情報により示される観察画像を先頭とし、それ以降の撮像時刻の観察画像が時系列で順番に表示されるように、表示領域341への観察画像の表示を制御する。また、表示制御部27は、合成設定情報により示される表示領域341については、その合成設定情報により示される複数の観察画像群の観察画像が合成されて表示領域341に表示されるように表示領域341への観察画像の表示を制御する。
【0115】
これにより、例えば、表示領域341−1には、位相差観察により得られた観察画像と、蛍光観察により得られた観察画像とが合成されて表示される。このように、位相差観察により得られた観察画像と、蛍光観察により得られた観察画像とを重ねて同時に表示させることで、ユーザは、細胞のどの部位から蛍光が発現しているかを容易に把握することができる。また、ユーザはどの程度細胞が増殖し、各細胞の部位からどの程度蛍光が発現しているかも容易に把握することができる。
【0116】
さらに、マルチポイント表示時において、表示制御部27は、表示領域341に表示される観察画像群の先頭の観察画像のそれぞれの撮像時刻から、同じ時間が経過したときに撮像された観察画像のそれぞれが同時に表示されるように、観察画像の表示を制御する。
【0117】
具体的には、例えば表示領域341−1に表示される観察画像群G21が、時間間隔tで撮像された観察画像からなり、表示領域341−2に表示される観察画像群G22が、時間間隔2tで撮像された観察画像からなるとする。このとき、表示制御部27は、表示領域341−1に観察画像群G21の先頭の観察画像を表示させるとともに、表示領域341−2に観察画像群G22の先頭の観察画像を表示させる。
【0118】
そして、表示制御部27は、所定の時間が経過すると、表示領域341−1の表示を観察画像群G21の先頭の観察画像から、2番目の観察画像に切り換え、さらに所定の時間が経過すると、表示領域341−1の表示を観察画像群G21の3番目の観察画像に切り換える。また、表示領域341−2ついては、表示制御部27は、表示領域341−1に3番目の観察画像が表示される直前までは、表示領域341−2に観察画像群G22の先頭の観察画像を表示させたままとする。そして、表示制御部27は、表示領域341−1に3番目の観察画像が表示されるタイミングで、表示領域341−2に観察画像群G22の2番目の観察画像を表示させる。
【0119】
ここで、観察画像群G21の3番目の観察画像は、先頭の観察画像の撮像時刻から時間2tが経過したときに撮像された観察画像であり、また観察画像群G22の2番目の観察画像は、先頭の観察画像の撮像時刻から時間2tが経過したときに撮像された観察画像である。このように、それぞれの表示領域341に表示される先頭の観察画像の撮像時刻から、同じ時間が経過したときに撮像された観察画像のそれぞれが同時に表示されるようにすることで、ユーザは、複数のサンプル内の細胞の時間的変化を簡単に比較することができる。
【0120】
なお、表示領域341に観察画像を時系列に表示させる場合、表示制御部27が必要に応じて記録部24からサンプル情報を取得し、取得したサンプル情報に含まれる観察条件や解析結果、ユーザのコメントなどを観察画像とともに表示させるようにしてもよい。
【0121】
ステップS23において観察画像がマルチポイント表示されるか、またはステップS22において観察画像の時系列の表示が指示されていないと判定されると、ステップS24において、制御部26は、動画像ファイルの生成が指示されたか否かを判定する。例えば、ユーザによりダウンロードボタン347が操作された場合、動画像ファイルの生成が指示されたと判定される。
【0122】
ステップS24において、動画像ファイルの生成が指示されていないと判定された場合、処理はステップS26に進む。これに対して、ステップS24において、動画像ファイルの生成が指示されたと判定された場合、ステップS25において、動画像生成部29は、動画像ファイルを生成する。
【0123】
すなわち、ダウンロードボタン347が操作されて動画像ファイルの生成が指示されると、制御部26は、動画像生成部29に動画像ファイルの生成を指示する。すると、動画像生成部29は、制御部26の指示に応じて、表示制御部27からマルチポイント表示画面331を表示するための画像データや、表示領域341に表示させる観察画像群を取得する。そして、動画像生成部29は、取得した画像データや観察画像群に基づいて、マルチポイント表示画面331の表示領域341のそれぞれに、対応する観察画像群の観察画像のそれぞれが時系列で表示される1つの動画像の動画像ファイルを生成する。
【0124】
この動画像では、例えば図12に示すように、マルチポイント表示画面331の表示領域341のそれぞれに観察画像のそれぞれが表示されている画像が、動画像を構成する1コマ分の画像とされている。すなわち、表示領域341における観察画像の表示が切り換わった、各時刻のマルチポイント表示画面331が時系列に並べられてできる動画像の動画像ファイルが動画像生成部29により生成される。
【0125】
したがって、動画像生成部29により生成された動画像ファイルの動画像を再生して表示部28に表示させると、表示部28には、ステップS23の処理におけるマルチポイント表示のときに表示部28に表示される画面と同じ画面が表示されることになる。
【0126】
ところが、マルチポイント表示においては、観察画像群に基づいて、表示領域341のそれぞれに、観察画像群のそれぞれを構成する観察画像のそれぞれが時系列に表示される。そのため、例えばボタン345が操作されて、一度、マルチポイント表示画面331が閉じられてしまうと、同じ観察画像のそれぞれを同じ表示領域341のそれぞれにマルチポイント表示させるには、ユーザは再度、同じ観察画像群を選び直さなければならない。
【0127】
これに対して、動画像生成部29に、各時刻におけるマルチポイント表示画面331の画像が1コマ分の画像とされる動画像の動画像ファイルを生成させると、ユーザはその動画像を再生させて、同じ組み合わせの観察画像が並べられて時系列に表示される画像を何度でも簡単に見ることができる。しかも、ユーザは、いちいち観察画像群を選択し直す必要もない。
【0128】
なお、生成された動画像ファイルの動画像を再生した場合にも、ステップS23の処理におけるマルチポイント表示の場合と同様に、表示領域341に複数の観察画像が重畳されて表示されたり、観察画像とともに観察条件や解析結果、コメントなどが表示されたり、あるいは先頭の観察画像として選択された観察画像から順番に表示されたりする。また、動画像とは別に、観察条件や解析結果、コメントなどを表示することができるように、これらの情報が動画像に付加されるようにしてもよい。
【0129】
このようにして、動画像生成部29により生成された動画像ファイルは、制御部26に供給され、制御部26により記録部24に記録されたり、通信部30を介して、培養観察装置11に接続された他の装置に送信されたりする。
【0130】
ステップS25において動画像ファイルが生成されるか、またはステップS24において、動画像ファイルの生成が指示されなかったと判定されると、ステップS26において、制御部26は、観察画像をマルチポイント表示する処理を終了するか否かを判定する。例えば、マルチポイント表示画面331のボタン345が操作された場合、処理を終了すると判定される。
【0131】
ステップS26において、処理を終了しないと判定された場合、処理はステップS17に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0132】
これに対して、ステップS26において、処理を終了すると判定された場合、制御部26は、表示制御部27を制御して、マルチポイント表示画面331を閉じさせ、マルチポイント表示処理は終了する。
【0133】
以上のようにして、培養観察装置11は、マルチポイント表示画面331に複数の観察画像群の観察画像のそれぞれを並べて時系列に表示する。このように、複数の観察画像のそれぞれを並べて時系列に表示することで、ユーザは、複数の異なる標本(細胞)の時間的な変化を簡単に比較することができる。
【0134】
なお、以上においては、ユーザが培養観察装置11を操作することにより、マルチポイント表示処理などの各種の処理を培養観察装置11に実行させると説明したが、ユーザが、例えば、通信網を介して培養観察装置11に接続されているパーソナルコンピュータなどの装置を操作することで、培養観察装置11に処理を実行させるようにしてもよい。そのような場合、例えば培養観察装置11は、パーソナルコンピュータの遠隔制御に基づいて、各種の処理を行い、その処理の結果をパーソナルコンピュータに送信する。そして、パーソナルコンピュータは、培養観察装置11から送信されてきた処理結果を受信して表示する。
【0135】
また、培養観察装置11に限らず、パーソナルコンピュータや顕微鏡などの装置にサンプル情報を記録させておき、それらの装置に図2および図3を参照して説明したマルチポイント表示処理を実行させるようにしてもよい。
【0136】
さらに、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。上述した一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、一連の処理を行うために制御部26に実行させるプログラムは、予め記録部24に記録されているか、または培養観察装置11と接続されているサーバなどの外部装置から培養観察装置11の記録部24にインストールすることができる。
【0137】
なお、上述した一連の処理を実行させるプログラムは、必要に応じてルータ、モデムなどのインタフェースを介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の通信媒体を介して培養観察装置11にインストールされるようにしてもよい。
【0138】
また、制御部26等のコンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0139】
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明を適用した培養観察装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】マルチポイント表示処理を説明するフローチャートである。
【図3】マルチポイント表示処理を説明するフローチャートである。
【図4】容器一覧画面の表示例を示す図である。
【図5】選択された容器を示す画面の表示例を示す図である。
【図6】サンプル一覧画面の表示例を示す図である。
【図7】機能一覧画面の表示例を示す図である。
【図8】検索条件入力画面の表示例を示す図である。
【図9】培養履歴画面の表示例を示す図である。
【図10】観察画像表示画面の表示例を示す図である。
【図11】マルチポイント表示画面の表示例を示す図である。
【図12】動画像ファイルを説明する図である。
【符号の説明】
【0141】
11 培養観察装置, 21 容器保持部, 23 観察部, 24 記録部, 26 制御部, 27 表示制御部, 28 表示部, 29 動画像生成部, 30 通信部, 41 再生位置調整部, 251 培養履歴画面, 331 マルチポイント表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置の容器の所定の観察位置にある観察対象の標本を撮像して得られた、撮像時刻の異なる複数の観察画像からなる観察画像群を選択する選択手段と、
選択された複数の前記観察画像群の前記観察画像が、前記観察画像群ごとに並べられて表示されるように、前記観察対象の位置関係に対応する表示位置に、それぞれ前記観察画像群の観察画像を時系列で順番に表示させる表示制御手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
選択された前記複数の観察画像群に基づいて、前記表示位置のそれぞれに、対応する前記観察画像群のそれぞれの観察画像が時系列に表示される1つの動画像を生成する動画像生成手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
選択された前記観察画像群から、前記表示位置への時系列の表示を開始する先頭の観察画像を選択する再生位置調整手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記表示位置に、対応する前記観察画像群の観察画像と、その観察画像群に関連付けられた他の観察画像群の観察画像とを重畳して表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記観察画像に関連付けられた前記標本の観察に関する情報を、前記観察画像とともに前記表示位置に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−162708(P2009−162708A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2840(P2008−2840)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】