説明

画像形成装置、露光装置および像保持体ユニット

【課題】露光装置を像保持体に対して精度良く位置決めする。
【解決手段】感光体ドラム12の回転軸の方向である第1の方向(Z方向)と、第1の方向と直交する第2の方向(Y方向)と、第1の方向と第2の方向との双方に直交する第3の方向(X方向)とにおけるいずれか複数の方向に関して、LPH14から突出した第2突出部材252F,252Rを複数個所で当接させることにより感光体ドラム12に対するLPH14の位置を定めるXZ方向支持部材123F,123Rを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、露光装置および像保持体ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いたプリンタや複写機等の画像形成装置では、感光体ドラム等の像保持体上を露光する露光装置として、LED等の発光素子をライン状に配列した発光素子アレイを用いたものが提案されている。
特許文献1には、このような露光装置において、感光ドラム64との対面距離を結像系レンズアレイ20の感光体対向面を基準面とした突当部を有する突当部材22によって感光ドラム64との位置設定を行う技術が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−195734号公報(第3−4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、第2の位置決め手段と露光部材との間で発生する像保持体の軸方向または光軸方向および像保持体の軸方向の双方に直交する方向の撓みを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、像保持体と、前記像保持体を露光する露光部を有する露光部材と、前記露光部の光軸方向である第1の方向における前記露光部材と前記像保持体との距離を決める第1の位置決め手段と、前記像保持体の軸線の方向である第2の方向と前記第1の方向および当該第2の方向の双方に直交する第3の方向とにおける当該像保持体に対する前記露光部材の位置を決める第2の位置決め手段とを備え、前記第2の位置決め手段は、前記第1の位置決め手段よりも前記露光部材に近い位置で前記距離を決めることを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、請求項1記載の画像形成装置にて、前記第1の位置決め手段は、前記露光部材側にて当該露光部材から前記像保持体側に向けて突出して設けられた第1の突出部と、当該像保持体側にて当該第1の突出部を支持する第1の支持部とを有し、前記第2の位置決め手段は、前記露光部材側にて前記第1の突出部よりも前記露光部から前記第2の方向側に遠い位置に配置されるとともに、当該露光部材から前記像保持体側に向けて突出して設けられた第2の突出部と、当該像保持体側にて当該第2の突出部を支持する第2の支持部とを有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、請求項1記載の画像形成装置にて、前記露光部材を前記第2の方向に付勢する第1の付勢部材をさらに備え、前記第1の位置決め手段は、前記露光部材側にて当該露光部材から前記像保持体側に向けて突出して設けられた第1の突出部と、当該像保持体側にて当該第1の突出部を支持する第1の支持部とを有し、前記第2の位置決め手段は、前記露光部材側にて前記第1の突出部よりも前記露光部から前記第2の方向側に遠い位置に配置されるとともに、当該露光部材から前記像保持体に向けて突出して設けられた第3の突出部と、当該像保持体側にて当該第3の突出部を支持するとともに、前記第1の付勢部材が当該露光部材を当該第2の方向に付勢することにより当該第3の突出部の当該第2の方向と前記第3の方向とにおける位置を決める2つの面が形成された第3の支持部とを有し、当該第3の支持部の当該2つの面は、当該2つの面の当該第3の方向における間隔が当該第1の付勢部材の付勢方向に向けて連続的に狭くなり、かつ、当該2つの面の当該第3の方向における間隔が最大となる開口部が当該第3の突出部の当該第3の方向における幅よりも大きく構成されたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、請求項3記載の画像形成装置にて、前記露光部材は、前記像保持体に対して前記第1の方向に接離自在に構成され、前記露光部材が前記像保持体に対して遠い方向に移動された状態にて前記第3の突出部の先端部が前記第3の支持部を前記第1の方向から投射した領域に位置するように当該露光部材の前記第2の方向への移動を制限する移動制限手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、請求項3記載の画像形成装置にて、前記露光部材は、前記像保持体に対して前記第1の方向に移動可能に構成され、前記第3の突出部は、前記露光部材が前記像保持体に対して遠い方向に移動された状態にて当該第3の突出部の端部が前記第2の支持部の内部に位置するように当該露光部材の前記第2の方向への移動を制限する移動制限手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は、請求項5記載の画像形成装置にて、前記像保持体を含み、当該画像形成装置に対して一体的に前記第2の方向に移動させることで当該画像形成装置に着脱可能な像保持体交換単位をさらに備え、前記第3の支持部は、当該画像形成装置本体側に設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項7に係る発明は、光源から照射される光を像保持体上に結像する光学部材と、前記光学部材側から前記像保持体側に向けて突出して設けられ、当該像保持体と所定の位置関係が定められた部材に当接することにより当該光学部材の光軸方向である第1の方向における当該光学部材と当該像保持体との距離を決める第1の突出部と、前記光学部材側から前記像保持体側に向けて突出して設けられ、当該像保持体と所定の位置関係が定められた部材に当接することにより当該像保持体の軸線の方向である第2の方向と前記第1の方向および当該第2の方向の双方に直交する第3の方向とにおける当該像保持体に対する当該光学部材の位置を決める第2の突出部とを備え、前記第1の突出部は、前記第2の突出部よりも前記光学部材に近い位置に配置されたことを特徴とする露光装置である。
また、請求項8に係る発明は、請求項7記載の露光装置にて、前記光学部材は、列状に配置された複数の発光素子で構成された前記光源から照射される光を前記像保持体上に結像することを特徴とする。
【0010】
請求項9に係る発明は、露光部材により露光される像保持体と、前記露光部材から前記像保持体側に向けて突出して設けられた第1の突出部を支持することにより、当該露光部材の光軸方向である第1の方向における当該露光部材と当該像保持体との距離を決める第1の支持部と、前記露光部材から前記像保持体側に向けて突出して設けられた第2の突出部を支持することにより、当該像保持体の軸線の方向である第2の方向と前記第1の方向および当該第2の方向の双方に直交する第3の方向とにおける当該像保持体に対する当該露光部材の位置を決める第2の支持部とを備え、前記第1の支持部は、前記第2の支持部よりも前記像保持体に近い位置に配置されたことを特徴とする像保持体ユニットである。
また、請求項10に係る発明は、請求項9記載の像保持体ユニットにて、前記第1の支持部は、前記像保持体の回転軸に取り付けられたベアリングで構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1によれば、像保持体の軸方向と光軸方向及び像保持体の軸方向の双方に直交する方向とにおける位置決めを露光部の光軸方向の位置決めと比べて、露光部に対してより近い場所で行うことができ、本発明を採用しない場合と比較して、第2の位置決め手段と露光部材との間で発生する像保持体の軸方向または光軸方向及び像保持体の軸方向の双方に直交する方向の撓みを抑制することができる。
また、本発明の請求項2によれば、光軸方向の位置決めを露光部により近い場所で行うことができ、本発明を採用しない場合と比較して、露光部の光軸方向の撓みを抑制することができる。
【0012】
また、本発明の請求項3によれば、本発明を採用しない場合と比較して、支持部を構成する面の幅を押し付け力を有する方向で狭く構成した場合に4つの接点を持って接触することを原因とする位置決め精度の低下を抑制することができる。
また、本発明の請求項4によれば、露光部材を光軸方向で像保持体に対して遠い方向に移動された状態で、第2の突出部の端部が第2の支持部の前記した第1の方向からの投射領域に位置するよう移動を制限するので、露光部材を再び像保持体に対して近い位置に移動させるときに、本発明を採用しない場合と比較して円滑に支持させることができる。
【0013】
また、本発明の請求項5によれば、露光部材を光軸方向で像保持体に対して遠い方向に移動された状態で、第2の突出部の端部が第2の支持部の内部に位置するよう移動を制限するので、露光部材を再び像保持体に対して近い位置に移動させるときに、本発明を採用しない場合と比較して円滑に支持させることができる。
また、本発明の請求項6によれば、第3の支持部が第2の支持部と像保持体の回転軸同軸上において像保持体交換単位側に設けられ、且つ、第2の方向で移動させて着脱する場合には問題となる第3の支持部と第2の突出部干渉の発生を防止できる。
【0014】
本発明の請求項7によれば、像保持体の軸方向と光軸方向及び像保持体の軸方向の双方に直交する方向とにおける位置決めを露光部の光軸方向の位置決めと比べて、露光部に対してより近い場所で行うことができ、本発明を採用しない場合と比較して、第2の位置決め手段と露光部材との間で発生する像保持体の軸方向または光軸方向及び像保持体の軸方向の双方に直交する方向の撓みを抑制することができる。
また、本発明の請求項8によれば、本発明を採用しない場合と比較して、第2の位置決め手段と小型に構成されて撓み易い露光部材との間で発生する像保持体の軸方向または光軸方向及び像保持体の軸方向の双方に直交する方向の撓みを抑制することができる。
【0015】
本発明の請求項9によれば、像保持体の軸方向と光軸方向及び像保持体の軸方向の双方に直交する方向とにおける位置決めを露光部の光軸方向の位置決めと比べて、露光部に対してより近い場所で行うことができ、本発明を採用しない場合と比較して、第2の位置決め手段と露光部材との間で発生する像保持体の軸方向または光軸方向及び像保持体の軸方向の双方に直交する方向の撓みを抑制することができる。
また、本発明の請求項10によれば、本発明を採用しない場合に比較して、露光部の光軸方向に関する露光部材の位置を高精度に位置決めできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタであり、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成プロセス部10、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3や画像読取装置4等といった外部装置に接続され、これらから受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部35、各部に電力を供給する主電源70を備えている。
【0017】
画像形成プロセス部10には、一定の間隔を置いて並列的に配置される4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11K(以下、総称して単に「画像形成ユニット11」とも称す)が備えられている。各画像形成ユニット11は、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を所定電位で一様に帯電する帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を画像データに基づいて露光する露光装置(露光部材)の一例としてのLEDプリントヘッド(LPH)14、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像する現像器15、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16を備えている。
また、各画像形成ユニット11は、現像器15に収納されたトナーを除いて、略同様に構成されている。そして、各画像形成ユニット11は、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0018】
さらに、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト20、各画像形成ユニット11の各色トナー像を中間転写ベルト20に順次転写(一次転写)させる一次転写ロール21、中間転写ベルト20上に転写された重畳トナー像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写ロール22、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着器50を備えている。
【0019】
ここで、各画像形成ユニット11においては、感光体ドラム12と帯電器13とクリーナ16とは、像保持体ユニットとしての一体化されたモジュール(以下、「感光体モジュールMOD」と称す)として構成されている。そして、感光体モジュールMODは、画像形成装置1に対して着脱自在に構成され、感光体ドラム12の寿命等に応じて交換可能である。なお、感光体モジュールMODは、感光体ドラム12のみの構成や、また、上記構成要素に加えて現像器15を一体化した構成も採用することもできる。すなわち、寿命が他の構成要素に比較して短い感光体ドラム12を含んだものであれば、如何なる構成要素との組み合わせによっても感光体モジュールMODを構成することができるが、本実施の形態では、感光体モジュールMODとLPH14とを別体とした構成を前提としている。
また、LPH14は、後段で説明する接離(リトラクト)機構により、画像形成時において設定される感光体ドラム12を露光する際の所定の位置(露光位置)と、例えば感光体モジュールMODの着脱時において設定される感光体ドラム12から離隔した位置との間で、接離自在に構成されている。
【0020】
本実施の形態の画像形成装置1では、画像形成プロセス部10は、制御部30から供給される各種の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。すなわち、制御部30による制御の下で、PC3や画像読取装置4から入力された画像データは、画像処理部35によって画像処理が施され、不図示のインターフェースを介して各画像形成ユニット11に供給される。そして、例えば黒(K)色の画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により所定電位で一様に帯電され、画像処理部35から送信された画像データに基づいて発光するLPH14により露光される。それにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色のトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11Y,11M,11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
【0021】
各画像形成ユニット11で形成された各色トナー像は、矢印B方向に移動する中間転写ベルト20上に、一次転写ロール21により順次静電吸引されて、各色トナーが重畳された合成トナー像が形成される。中間転写ベルト20上の合成トナー像は、中間転写ベルト20の移動に伴って二次転写ロール22が配置された領域(二次転写部T2)に搬送される。合成トナー像が二次転写部T2に搬送されると、トナー像が二次転写部T2に搬送されるタイミングに合わせて用紙Pが用紙保持部40から二次転写部T2に供給される。そして、二次転写部T2にて二次転写ロール22により形成される転写電界により、合成トナー像は搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写される。
【0022】
その後、合成トナー像が静電転写された用紙Pは、中間転写ベルト20から剥離され、搬送ガイド23を通って定着器50まで搬送される。定着器50に搬送された用紙P上の合成トナー像は、定着器50によって熱および圧力による定着処理を受けて用紙P上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置1の排出部に設けられた排紙積載部45に搬送される。
一方、二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(転写残トナー)は、二次転写の終了後に中間転写ベルト20表面からベルトクリーナ25によって除去され、次の画像形成サイクルに備えられる。
このようにして、画像形成装置1での画像形成がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返して実行される。
【0023】
次に、図2は、露光装置であるLEDプリントヘッド(LPH)14の構成を示した断面構成図である。図2において、LPH14は、支持体としてのハウジング61、光源の一例としてのLEDアレイ(LED)63、LED63やLED63を駆動する駆動信号を生成する信号生成回路100等を搭載するLED回路基板62、LED63からの光を感光体ドラム12表面に結像させる光学部材の一例としてのロッドレンズアレイ64、ロッドレンズアレイ64を支持するとともにLED63を外部から遮蔽するホルダー65、ハウジング61をロッドレンズアレイ64方向に加圧する板バネ66を備えている。
【0024】
ハウジング61は、アルミニウム、SUS等の金属のブロックまたは板金で形成され、LED回路基板62を支持している。また、ホルダー65は、ハウジング61およびロッドレンズアレイ64を支持し、LED63の発光点とロッドレンズアレイ64の焦点面とが一致するように設定している。さらに、ホルダー65はLED63を密閉するように構成されている。それにより、LED63に外部からゴミが付着することを防いでいる。一方、板バネ66は、LED63およびロッドレンズアレイ64の位置関係を保持するように、ハウジング61を介してLED回路基板62をロッドレンズアレイ64方向に加圧している。
このように構成されたLPH14は、調整ネジ(図示せず)によってロッドレンズアレイ64の光軸方向に移動可能に構成され、ロッドレンズアレイ64の結像位置(焦点面)が感光体ドラム12表面上に位置するように調整される。
【0025】
LED回路基板62には、図3(LED回路基板62の平面図)に示したように、例えば58個のLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)からなるLED63が、感光体ドラム12の軸線方向と平行になるように精度良くライン状に配置されている。この場合、各LEDチップ(CHIP1〜CHIP58)に配置された発光素子(LED)の配列(LEDアレイ)の端部境界において、各LEDアレイがLEDチップ同士の連結部で連続的に配列されるように、各LEDチップは交互に千鳥状に配置されている。
また、LED回路基板62には、LED63を駆動する信号(駆動信号)を生成する信号生成回路100およびレベルシフト回路108、所定の電圧を出力する3端子レギュレータ101、LED63の光量補正データ等を記憶するEEPROM102、制御部30および画像処理部35との間での信号の送受信や主電源70からの電力供給を受けるハーネス103が備えられている。
【0026】
ここで、図4は、LED63を説明する図である。本実施の形態のLED63は、信号生成回路100およびレベルシフト回路108から各種駆動信号が供給される。すなわち、信号生成回路100は、LED63に配置されたLED各々の並びに沿って順次点灯可能状態に設定する転送信号CK1R,CK1Cおよび転送信号CK2R,CK2Cと、画像処理部35からの画像データに基づきLED各々を順次点灯する点灯信号ΦIとを生成する。そして、転送信号CK1R,CK1Cおよび転送信号CK2R,CK2Cをレベルシフト回路108に出力し、点灯信号ΦIをLED63に出力する。
レベルシフト回路108は、抵抗R1BとコンデンサC1、および抵抗R2BとコンデンサC2がそれぞれ並列に配置された構成を有し、それぞれの一端がLED63の入力端子に接続され、他端が信号生成回路100の出力端子に接続されている。そして、レベルシフト回路108は、信号生成回路100から出力される転送信号CK1R,CK1Cおよび転送信号CK2R,CK2Cに基づいて転送信号CK1および転送信号CK2を生成し、LED63に出力する。
【0027】
一方、本実施の形態のLED63は、例えば、スイッチ素子としての128個のサイリスタS1〜S128、発光素子としての128個のLED L1〜L128、128個のダイオードD1〜D128、128個の抵抗R1〜R128、さらには信号ラインΦ1,Φ2に過剰な電流が流れるのを防止する転送電流制限抵抗R1A、R2Aを主な構成要素としている。
そして、各サイリスタS1〜S128のアノード端子(入力端)A1〜A128は電源ライン55に接続され、電源ライン55を介して3端子レギュレータ101(図3参照)から駆動電圧VDD(VDD=+3.3V)が供給される。
一方、各サイリスタS1〜S128のゲート端子(制御端)G1〜G128は、各サイリスタS1〜S128に対応して設けられた抵抗R1〜R128を介して電源ライン56に各々接続され、電源ライン56を介して接地(GND)されている。
【0028】
また、奇数番目のサイリスタS1,S3,…,S127のカソード端子(出力端)K1,K3,…,K127には、信号生成回路100およびレベルシフト回路108からの転送信号CK1が転送電流制限抵抗R1Aを介して送信される。偶数番目のサイリスタS2,S4,…,S128のカソード端子(出力端)K2,K4,…,K128には、信号生成回路100およびレベルシフト回路108からの転送信号CK2が転送電流制限抵抗R2Aを介して送信される。
さらには、LED L1〜L128のカソード端子は、信号生成回路100に接続されて点灯信号ΦIが送信される。
【0029】
そして、本実施の形態の信号生成回路100は、転送信号CK1R,CK1Cおよび転送信号CK2R,CK2Cをそれぞれ所定のタイミングでハイレベル(以下、「H」と記す)からローレベル(以下、「L」と記す)、「L」から「H」に設定する。それにより、レベルシフト回路108から出力される転送信号CK1の電位を「H」から「L」、「L」から「H」に繰り返し設定し、かつ、それに交互して出力される転送信号CK2の電位を「H」から「L」、「L」から「H」に繰り返し設定することで、例えば各LEDチップでは、奇数番目サイリスタS1,S3,…,S127を順次オフ→オン→オフの転送動作を行わせる。また、偶数番目のサイリスタS2,S4,…,S128を順次オフ→オン→オフの転送動作を行わせる。それにより、サイリスタS1〜S128をS1→S2→,…,→S127→S128の順番で順次オフ→オン→オフの転送動作を行わせ、それに同期させて、点灯信号ΦIを出力する。それによって、LED L1〜L128は、L1→L2→,…,→L127→L128の順番で順次点灯される。
【0030】
このように、本実施の形態のLPH14では、LED回路基板62に設けられたすべてのLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)において、各LED L1〜L128がL1→L2→,…,→L127→L128の順番に点灯され、感光体ドラム12上に対して画像データに基づく走査露光が行われる。
その場合に、LPH14からの露光は、形成される画像に傾きや歪み等が生じないように、感光体ドラム12の軸線に対して平行に行われる必要がある。そのため、LPH14は、画像形成装置1に設置されるに際しては、感光体ドラム12の軸線に対して高精度に位置設定されることが要求される。ここで、感光体ドラム12(像保持体)の軸線とは、本実施の形態の感光体ドラム12のように像保持体が円筒形状である場合には、感光体ドラム12の回転軸121(後段の図5等参照)の中心線が軸線である。また、例えば像保持体がベルト形状の感光体(ベルト感光体)であって、ベルト感光体の平面部に露光が行われる場合には、ベルト感光体表面の移動方向に直交し、かつ、露光領域におけるベルト感光体表面に平行な方向に向かう線が軸線である。
【0031】
続いて、本実施の形態の画像形成装置1におけるLPH14の位置決め機構について説明する。
図5は、本実施の形態のLPH14の位置決め機構を説明する図である。図5においては、図面左側が画像形成装置1の正面側であって、感光体モジュールMODが着脱操作される側である。また、図面右側が画像形成装置1の背面側であって、回転駆動する駆動モータからの駆動が感光体ドラム12等に伝達される側である。なお、本明細書では、同様の機能を有する部材に関しては、正面側に配置された部材の番号には末尾に「F」を用い、背面側に配置された部材の番号には末尾に「R」を用いることとする。
【0032】
図5に示したように、本実施の形態のLPH14のハウジング61には、LPH14におけるロッドレンズアレイ64の光軸方向(第1の方向:これを、「Y方向」と定義する)の位置を定める第1の突出部の一例としての第1突出部材251F,251R、および、LPH14における感光体ドラム12の軸線方向(第2の方向:これを、「Z方向」と定義する)の位置とY方向およびZ方向の双方に直交する方向(第3の方向:これを、「X方向」と定義する)の位置とを同時に定める第2の突出部の一例としての第2突出部材252F,252Rが配置されている。
一方、本実施の形態の感光体ドラム12を支持する感光体モジュールMODには、感光体ドラム12の回転軸121と同軸に、LPH14側の第1突出部材251F,251Rが突き当てられることでLPH14のY方向位置を設定する第1の支持部の一例としてのY方向支持部材122F,122R、および、第2及び第3の突出部の一例としてのLPH14側の第2突出部材252F,252Rを支持することでLPH14のX方向位置およびZ方向位置を同時に設定する第2及び第3の支持部の一例としてのXZ方向支持部材123F,123Rが配置されている。
そして、本実施の形態の画像形成装置1では、第1突出部材251FとY方向支持部材122Fとが、LPH14のY方向位置を設定する第1の位置決め手段を構成している。同様に、第1突出部材251RとY方向支持部材122Rとが、第1の位置決め手段を構成している。
また、第2突出部材252FとXZ方向支持部材123Fとが、LPH14のX方向位置およびZ方向位置を同時に設定する第2の位置決め手段を構成している。同様に、第2突出部材252RとXZ方向支持部材123Rとが、第2の位置決め手段を構成している。
【0033】
引き続き、図6は、本実施の形態のLPH14での第1突出部材251F,251Rおよび第2突出部材252F,252Rの配置位置を説明する平面図である。LPH14では、第1突出部材251F,251Rおよび第2突出部材252F,252Rは、それぞれ所定の外径を持った円柱状部材で構成されている。そして、ハウジング61の感光体ドラム12に対向する面上において垂直に突出するように設置されるとともに、それぞれの中心軸がLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)の配列方向と一致する方向に配列されたロッドレンズアレイ64の配列線と一致するように配置されている。
また、第1突出部材251F,251Rは、第2突出部材252F,252Rよりもロッドレンズアレイ64に近接して配置されている。それにより、第1突出部材251F,251Rが感光体モジュールMOD側のY方向支持部材122F,122Rに突き当てられた際に(図5も参照)、第1突出部材251F,251Rが支点となって後述する押上げバネ211の付勢力によりロッドレンズアレイ64が撓むことを抑制している。なお、かかる観点から、押上げバネ211は第1突出部材251F,251Rが配置された位置の近傍、またはそれよりもロッドレンズアレイ64側に配置されるのが好ましい。
【0034】
そして、画像形成装置1が画像形成動作を行う際には、LPH14は後段で詳述する接離機構(リトラクト機構)により、感光体ドラム12に対して露光を行う所定の露光位置に設定される。図5は、LPH14がこの露光位置に設定された状態を示している。本実施の形態の画像形成装置1では、LPH14が露光位置に設定された状態において、LPH14側の第1突出部材251F,251Rが、それぞれY方向支持部材122F,122Rに突き当たるように構成されている。それによって、LPH14のY方向位置が設定される。また、LPH14側の第2突出部材252F,252Rが、それぞれXZ方向支持部材123F,123Rを支持するように構成されている。それによって、LPH14のX方向位置およびZ方向位置が同時に設定される。
【0035】
図7は、LPH14が露光位置に設定された状態における感光体ドラム12、第1突出部材251F,251R、Y方向支持部材122F,122R、第2突出部材252F,252R、XZ方向支持部材123F,123Rの位置関係および断面形状を示した図である。
図7に示したように、XZ方向支持部材123Fは、X平面において、頂点位置が感光体ドラム12の軸線上に設定され、軸線に対してX方向に対称に形成された略V字形の断面形状を有する溝部123Fhが形成されている。そして、この溝部123Fhが第2突出部材252Fを支持することで、X平面において、第2突出部材252Fの中心が感光体ドラム12の軸線上に設定される。すなわち、LPH14は、本体フレームFRAに設けられた第1の付勢部材の一例としての押付けバネ212により、背面側からXZ方向支持部材123F側に向かう方向(Z方向)に付勢されている。そのため、第2突出部材252Fも、XZ方向支持部材123Fの溝部123Fh内においてXZ方向支持部材123F側に付勢される。それにより、第2突出部材252Fは、溝部123FhのV字部側面を2点で支持することとなるので、X平面における第2突出部材252Fの中心位置が感光体ドラム12の軸線位置と一致するように設定される。
ここで、「溝部123Fhの略V字形の断面形状」とは、溝部123Fhを構成する2つの面のX平面における間隔が押付けバネ212の付勢方向に向けて連続的に狭くなる形状をいう。
【0036】
また、XZ方向支持部材123Rには、両端部が曲線で構成された略長方形の断面形状を有する溝部123Rhが形成されている。溝部123Rhは、X方向の幅が第2突出部材252Rの外径と略一致する長さ(すなわち、かかる外径に製造公差を加味した長さ)で形成されるとともに、軸線に対してX方向に対称に形成されている。そのため、この溝部123Rhに第2突出部材252Rが図5に示したように挿入されることで、X平面において、第2突出部材252Rの中心が感光体ドラム12の軸線上に設定される。すなわち、溝部123Rhにより第2突出部材252RのX方向位置が固定されながら、X平面における第2突出部材252Rの中心位置が感光体ドラム12の軸線位置と一致するように設定される。
【0037】
このように、X平面における第2突出部材252Fおよび第2突出部材252Rの中心位置が感光体ドラム12の軸線上に設定される。
また、第2突出部材252FがXZ方向支持部材123Fの溝部123FhのV字部側面に2点で密着して支持されることにより、XZ方向支持部材123Fの溝部123Fhの設置位置で定まるZ方向の位置に、LPH14は高精度にZ方向位置が設定される。
さらに、溝部123Rhにより第2突出部材252RのX方向位置が固定され、第2突出部材252FがXZ方向支持部材123Fの溝部123Fhに向けて、すなわち、Z方向に向けて押付けバネ212により付勢されているので、LPH14のX方向位置およびZ方向位置が固定される。
【0038】
また、図6に示したように、第2突出部材252Fおよび第2突出部材252Rと、第1突出部材251Fおよび第1突出部材251Rとは、ロッドレンズ配列線上に配置している。そのため、X平面における第2突出部材252Fおよび第2突出部材252Rの中心位置がX平面における感光体ドラム12の軸線上に設定されることで、図7に示したように、第1突出部材251Fおよび第1突出部材251Rは、X平面における感光体ドラム12の軸線上においてそれぞれY方向支持部材122FおよびY方向支持部材122Rに突き当たることとなる。
そして、図5に示したように、第1突出部材251Fおよび第1突出部材251Rが、X平面における感光体ドラム12の軸線上においてそれぞれY方向支持部材122FおよびY方向支持部材122Rに突き当てられることにより、高精度にLPH14のY方向位置が設定されることとなる。
【0039】
上記したように、本実施の形態の画像形成装置1では、LPH14のY方向位置を設定する第1の位置決め手段の一例としての第1突出部材251F,251RおよびY方向支持部材122F,122Rと、LPH14のXZ方向位置を設定する第2の位置決め手段の一例としての第2突出部材252F,252RおよびXZ方向支持部材123F,123Rとを用いることにより、それぞれ機能を分離させてLPH14の位置を感光体ドラム12の軸線に対して高精度に設定している。
そして、第1の位置決め手段である第1突出部材251F,251RおよびY方向支持部材122F,122Rは、第2の位置決め手段である第2突出部材252F,252RおよびXZ方向支持部材123F,123Rよりも、ロッドレンズアレイ64に近接して配置されている。それにより、第1突出部材251F,251Rが感光体モジュールMOD側のY方向支持部材122F,122Rに突き当てられた際に(図5も参照)、第1突出部材251F,251Rが支点となって押上げバネ211(後段参照)の付勢力によりロッドレンズアレイ64が撓むことを抑制している。
【0040】
ところで、Y方向支持部材122FおよびY方向支持部材122Rは、図8(感光体ドラム12の正面側の端部領域の断面図)に示したように、感光体ドラム12の回転軸121と同軸に配置され、その表面位置が感光体ドラム12の軸線から所定の位置に設定されるように構成されている。
具体的には、感光体ドラム12の両端部には、感光体ドラム12の内周面にフランジ124が嵌合され、感光体ドラム12とフランジ124とが一体的に構成されている。フランジ124は、内周面に焼結ベアリング125を有する。そして、焼結ベアリング125を介して感光体モジュールMODに固定された回転軸121に軸支され、感光体ドラム12を回転軸121に対して回転自在に支持している。フランジ124の外周面にはボールベアリングが外嵌されている。本実施の形態においては感光体ドラム12の回転に伴う位置決め精度の低下を回避するために、感光体ドラム12の回転に伴って回転しない当該ボールベアリングをLPH14側の第1突出部材251F,251Rを支持するY方向支持部材122F,Y方向支持部材122Rとして用いている。そして、Y方向支持部材122F,Y方向支持部材122Rは、ベアリング支持部材126により、感光体モジュールMODに支持されている。
【0041】
このような構成により、感光体ドラム12は、感光体ドラム12と一体のフランジ124が、焼結ベアリング125を介して感光体モジュールMODに固定された回転軸121に軸支されるとともに、フランジ124の外周面側が感光体モジュールMODに支持されたY方向支持部材122Fであるボールベアリングに軸支されながら回転する。そして、回転軸121の外径と焼結ベアリング125の内外径とフランジ124の内外径とが精度良く製造でき、かつ、ボールベアリング自体の内外径も精度良く製造できることから、Y方向支持部材122FやY方向支持部材122Rとしてのボールベアリングの外輪表面位置は、軸線との距離を高精度に設定することができる。それにより、ボールベアリングで構成されるY方向支持部材122FおよびY方向支持部材122Rの外輪表面に、第1突出部材251Fおよび第1突出部材251Rが突き当てられることにより、高精度にLPH14のY方向位置が設定される。
なお、ボールベアリングで構成されるY方向支持部材122FおよびY方向支持部材122Rの外輪表面側がベアリング支持部材126により支持されることにより、Y方向支持部材122FおよびY方向支持部材122Rの外輪表面は回転しない。そのために、突き当てられる第1突出部材251Fおよび第1突出部材251Rは磨耗することがないので、LPH14のY方向位置の精度の低下が抑制される。
【0042】
続いて、本実施の形態の画像形成装置1におけるLPH14の接離機構(リトラクト機構)について説明する。
図5に示したように、本実施の形態の画像形成装置1では、リトラクト機構として、LPH14のハウジング61にその一部を固定させて配置されたガイドバー232、ガイドバー232に回転自在に支持されたスライドロール231、LPH14のハウジング61を上側に付勢する第2の付勢部材の一例としての押上げバネ211、横方向にスライド移動することでLPH14を上下方向に移動させるリトラクト部材220、リトラクト部材220のスライド移動をガイドするステージ221、リトラクト部材220をスライド移動させるリトラクトハンドル225、LPH14の上下方向の移動をガイドするガイド部材240、LPH14の正面側方向の移動を制限する移動制限手段の一例としてのストッパ230が備えられている。
【0043】
本実施の形態のリトラクト機構における動作を説明する。図5は、上記したように、LPH14が露光位置に設定された状態を示しているが、リトラクトハンドル225が図5中左側に倒されることで、リトラクト部材220は正面側から背面側にスライド移動する。その状態を表した図が、図9である。
図9に示したように、リトラクト部材220が正面側から背面側にスライド移動されると、リトラクト部材220により押し上げられていたLPH14は、ガイドバー232がリトラクト部材220の側面に形成されているレール222に導かれて、押上げバネ211の付勢力に抗しながら押し下げられる。その際に、リトラクト部材220に設けられた斜面をスライドロール231が回転しながら円滑に押し下げられることとなる。それにより、LPH14は下方向に感光体ドラム12から離隔される。
【0044】
この状態では、図9に示したように、第1突出部材251F,251Rと、第2突出部材252F,252Rとは、それぞれY方向支持部材122F,122R、XZ方向支持部材123F,123Rから離脱する。その際に、第1突出部材251F,251Rと、第2突出部材252Rとは、それぞれY方向支持部材122F,122R、XZ方向支持部材123Rから完全に離脱する。すなわち、第1突出部材251F,251Rは、感光体ドラム12の表面位置よりも下側位置に退避する。また、第2突出部材252Rは、XZ方向支持部材123Rの下面よりも下側位置に退避する。
これに対して、第2突出部材252Fは、XZ方向支持部材123Fからは、完全には離脱しない。すなわち、図10(第2突出部材252Fの先端部とXZ方向支持部材123Fとの相対位置を示した図)に示したように、第2突出部材252Fの先端部が、XZ方向支持部材123FのY方向から投射した領域内に位置するように設定され、第2突出部材252Fは、XZ方向支持部材123Fの下面よりも上側位置までしか退避しない。
【0045】
すなわち、感光体モジュールMODの着脱時には、第1突出部材251F,251Rが感光体ドラム12の表面位置よりも下側位置に退避し、かつ、第2突出部材252RがXZ方向支持部材123Rの下面位置よりも下側に退避するように構成している。これに対して、第2突出部材252Fの溝部123Fhは、背面側に解放されているので、第2突出部材252FがXZ方向支持部材123Fの下面よりも上側位置に配置された状態でも着脱可能とする構成にしている。
【0046】
LPH14を図5に示した露光位置に再び設定するには、リトラクトハンドル225を図9右側に倒し、図5の元の位置に戻すように設定する。そうすると、リトラクト部材220は背面側から正面側にスライド移動する。それにより、ガイドバー232がリトラクト部材220の側面に形成されているレール222に導かれて、押上げバネ211の付勢力が加わりながら押し上げられる。その際に、リトラクト部材220に設けられた斜面をスライドロール231が回転しながら円滑に押し上げられることとなる。それにより、LPH14は上方向に移動し、感光体モジュールMODにコンタクトされる。
そして、LPH14が感光体モジュールMODにコンタクトされることにより、第1突出部材251Fおよび第1突出部材251Rは、それぞれY方向支持部材122F,122Rに突き当てられる。また、第2突出部材252Fおよび第2突出部材252Rは、それぞれXZ方向支持部材123F,123Rに支持される。
この状態では、LPH14は、押上げバネ211の付勢力により感光体ドラム12側に付勢されるので、Y方向位置が固定される。また、上記したように、LPH14のX方向位置およびZ方向位置も固定される。
【0047】
ところで、上記したように、LPH14をZ方向位置に高精度に設定するに際しては、第2突出部材252FがXZ方向支持部材123Fの溝部123FhのV字部側面に2点で密着して支持される必要がある。そのために、LPH14は、本体フレームFRAに固設された押付けバネ212により、背面側から第2突出部材252F側に向かう方向(Z方向)に付勢されている。
ところが、LPH14が押付けバネ212により背面側から第2突出部材252F側に付勢されているために、LPH14が下方向に離隔され、感光体モジュールMODから離脱した際には、LPH14は正面側に付勢される。それにより、LPH14は、正面側に向けて移動し、正面側端部がストッパ230と接触する位置において止まることとなる。すなわち、図9に示したように、LPH14が下方向に離隔された場合には、第1突出部材251F,251Rおよび第2突出部材252F,252Rは、それぞれY方向支持部材122F,122RおよびXZ方向支持部材123F,123Rが配置された位置よりも、X平面内でZ方向正面側にずれて位置することとなる。
【0048】
したがって、LPH14を上方向にコンタクトさせて露光位置に設定する場合には、第1突出部材251F,251Rおよび第2突出部材252F,252Rは、X平面内でZ方向正面側にずれた位置から、それぞれY方向支持部材122F,122RおよびXZ方向支持部材123F,123Rに設定されることとなる。
そこで、X平面内でZ方向正面側にずれた位置から、それぞれY方向支持部材122F,122RおよびXZ方向支持部材123F,123Rへの設定を円滑に行うために、第2突出部材252Rを支持するXZ方向支持部材123Rの溝部123Rhは、X方向に対してZ方向に長い幅の断面形状を有し、X平面内でZ方向にリトラクトハンドル225の操作時の移動量よりも長い溝部を構成している。
【0049】
しかし、第2突出部材252Fに関しては、上記したように、押付けバネ212に付勢されながら、XZ方向支持部材123Fの溝部123FhのV字部側面に2点に密着して支持されることで、LPH14のZ方向位置が高精度に設定される。そのため、Y方向支持部材123Fの溝部123Fhを、X平面内でZ方向に長さの余裕が生じるように設計することはできない。そこで、本実施の形態の画像形成装置1では、LPH14が露光位置から退避した場合にも、第2突出部材252Fの先端部がXZ方向支持部材123FのY方向から投射した領域内に位置するように設定し、第2突出部材252FをXZ方向支持部材123Fの下面よりも上側位置までしか退避させないように構成している。
【0050】
すなわち、図11は、LPH14を感光体モジュールMODから離脱した位置から露光位置に設定する際の第2突出部材252FとXZ方向支持部材123Fとの相対位置関係を説明する図である。図11(a)に示したように、LPH14が感光体モジュールMODから離脱した位置では、第2突出部材252Fの上端部は、XZ方向支持部材123Fの下面よりも上側に位置している。すなわち、第2突出部材252Fの上端部は、XZ方向支持部材123F内部に位置している。そのため、LPH14がX平面内でZ方向正面側にずれて位置している場合でも、リトラクト機構により上方向に移動する際に、確実にY方向支持部材123Fの溝部123Fh内部に導かれる。その際に、第2突出部材252Fの上端部およびXZ方向支持部材123Fの溝部123Fhの下部にそれぞれテーパを形成しておくことで、より確実かつ円滑に第2突出部材252FはXZ方向支持部材123Fの溝部123Fhに導かれる。
【0051】
そして、図11(b)に示したように、リトラクト機構による上方向への移動が開始されLPH14が上方向への移動を開始すると、第2突出部材252FはXZ方向支持部材123Fの溝部123Fhの側面に沿って、溝部123Fhの内部を上方向に移動する。そして、図11(c)に示したように、LPH14が露光位置に設定された際に、押付けバネ212により正面側に向かう方向に付勢されながら、第2突出部材252FがXZ方向支持部材123Fの溝部123FhのV字部側面に2点で密着して支持される位置に設定される。
【0052】
ここで、第2突出部材252FがXZ方向支持部材123Fの溝部123FhのV字部側面に2点で密着して支持されるために、図12(第2突出部材252FがXZ方向支持部材123Fに支持された状態での断面図)に示したように、溝部123FhのV字部の開口幅M2が第2突出部材252Fの外径M1よりも大きく形成している。溝部123FhのV字部の開口幅M2を第2突出部材252Fの外径M1と同程度に形成した場合には、第2突出部材252Fが溝部123Fh内において4つの接点を持って接触する場合や、V字部側面の手前の側面において2つの接点を持って接触する場合等があり、その場合には、LPH14のZ方向位置やX方向位置において本来配置したい位置に設定できない。
【0053】
さらに、上記した本実施の形態のリトラクト機構では、ガイド部材240の幅がLPH14のハウジング61の幅よりも大きく形成されている。図13は、(a)が図5でのLL断面図であり、(b)が図5でのNN断面図である。図13(a)に示したように、ガイド部材240の幅T2が、LPH14のハウジング61の幅T1よりも大きく形成されることで、LPH14は、接離動作が行われる際にX方向に動ける自由度が増加する。それにより、第2突出部材252Fは、下部にテーパが形成されたXZ方向支持部材123Fの溝部123FhのV字部側面の2点に円滑に支持される。
また、第2突出部材252Rにおいても、X方向の幅が第1突出部材251Rの外径と略一致するように形成されたXZ方向支持部材123Rの溝部123Rhの下部にテーパが形成され、かつ、LPH14がコンタクトされる際にX方向に動ける自由度を有することから、上端部にテーパが形成された第2突出部材252Rは、XZ方向支持部材123Rの溝部123Rhに円滑に支持される。
【0054】
なお、本実施の形態の画像形成装置1では、第1突出部材251F,251Rと、第2突出部材252F,252Rとを別体で構成したが、第1の位置決め手段と第2の位置決め手段を構成する上で、第1の支持部材と第2の支持部材とを別体で構成し、第1突出部材251Fと第2突出部材252Fと、第1突出部材251Rと第2突出部材252Rを一体で構成して、Y方向位置とX方向位置とZ方向位置と1つの突出部で設定するように構成することもできる。
また、本実施の形態の画像形成装置1では、Y方向支持部材122F,122RとXZ方向支持部材123F,123Rとを感光体モジュールMOD側に設けた構成で説明したが、それらが感光体ドラム12と所定の位置関係を維持することができるように構成できれば、画像形成装置1の本体側に設けることもできる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置1おいては、LPH14側の第1突出部材251F,251Rが、それぞれ感光体モジュールMOD側に設けられたY方向支持部材122F,122Rに突き当たることにより、LPH14のY方向位置が設定される。それと同時に、LPH14側の第2突出部材252F,252Rが、それぞれ感光体モジュールMODに設けられたXZ方向支持部材123F,123Rに支持されることにより、LPH14のX方向位置およびZ方向位置が同時に設定される。そして、第1突出部材251F,251Rは、第2突出部材252F,252Rよりもロッドレンズアレイ64に近接して配置されている。それにより、第1突出部材251F,251Rが感光体モジュールMOD側のY方向支持部材122F,122Rに突き当てられた際にロッドレンズアレイ64が撓むことを抑制しながら、LPH14を感光体ドラム12に対して精度良く位置設定している。
そのため、傾きや歪み等が極めて少ない高品質な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明が適用される画像形成装置の全体構成の一例を示した図である。
【図2】LEDプリントヘッド(LPH)の構成を示した図である。
【図3】LED回路基板の平面図である。
【図4】LEDを説明する図である。
【図5】LPHの位置決め機構を説明する図である。
【図6】LPHでの第1突出部材および第2突出部材の配置位置を説明する平面図である。
【図7】LPHが露光位置に設定された状態における感光体ドラム、第1突出部材、Y方向支持部材、第2突出部材、XZ方向支持部材の位置関係および断面形状を示した図である。
【図8】感光体ドラムの正面側の端部領域の断面図である。
【図9】リトラクト部材が正面側から背面側にスライド移動した状態を表した図である。
【図10】第2突出部材(252F)の先端部とXZ方向支持部材(123F)との相対位置を示した図である。
【図11】LPHを感光体モジュールから離脱した位置から露光位置に設定する際の第1突出部材とXZ方向支持部材との相対位置関係を説明する図である。
【図12】第1突出部材がXZ方向支持部材に支持された状態での断面図である。
【図13】(a)が図5のLL断面図であり、(b)が図5のNN断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1…画像形成装置、10…画像形成プロセス部、11(11Y,11M,11C,11K)…画像形成ユニット、12…感光体ドラム、14…LEDプリントヘッド(LPH)、30…制御部、61…ハウジング、62…LED回路基板、63…LEDアレイ(LED)、64…ロッドレンズアレイ、122F,122R…Y方向支持部材、123F,123R…XZ方向支持部材、123Fh,123Rh…溝部、211…押上げバネ、212…押付けバネ、251F,251R…第1突出部材、252F,252R…第2突出部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体と、
前記像保持体を露光する露光部を有する露光部材と、
前記露光部の光軸方向である第1の方向における前記露光部材と前記像保持体との距離を決める第1の位置決め手段と、
前記像保持体の軸線の方向である第2の方向と前記第1の方向および当該第2の方向の双方に直交する第3の方向とにおける当該像保持体に対する前記露光部材の位置を決める第2の位置決め手段とを備え、
前記第2の位置決め手段は、前記第1の位置決め手段よりも前記露光部材に近い位置で前記距離を決めることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の位置決め手段は、前記露光部材側にて当該露光部材から前記像保持体側に向けて突出して設けられた第1の突出部と、当該像保持体側にて当該第1の突出部を支持する第1の支持部とを有し、
前記第2の位置決め手段は、前記露光部材側にて前記第1の突出部よりも前記露光部から前記第2の方向側に遠い位置に配置されるとともに、当該露光部材から前記像保持体側に向けて突出して設けられた第2の突出部と、当該像保持体側にて当該第2の突出部を支持する第2の支持部とを有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記露光部材を前記第2の方向に付勢する第1の付勢部材をさらに備え、
前記第1の位置決め手段は、前記露光部材側にて当該露光部材から前記像保持体側に向けて突出して設けられた第1の突出部と、当該像保持体側にて当該第1の突出部を支持する第1の支持部とを有し、
前記第2の位置決め手段は、前記露光部材側にて前記第1の突出部よりも前記露光部から前記第2の方向側に遠い位置に配置されるとともに、当該露光部材から前記像保持体に向けて突出して設けられた第3の突出部と、当該像保持体側にて当該第3の突出部を支持するとともに、前記第1の付勢部材が当該露光部材を当該第2の方向に付勢することにより当該第3の突出部の当該第2の方向と前記第3の方向とにおける位置を決める2つの面が形成された第3の支持部とを有し、当該第3の支持部の当該2つの面は、当該2つの面の当該第3の方向における間隔が当該第1の付勢部材の付勢方向に向けて連続的に狭くなり、かつ、当該2つの面の当該第3の方向における間隔が最大となる開口部が当該第3の突出部の当該第3の方向における幅よりも大きく構成されたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記露光部材は、前記像保持体に対して前記第1の方向に接離自在に構成され、
前記露光部材が前記像保持体に対して遠い方向に移動された状態にて前記第3の突出部の先端部が前記第3の支持部を前記第1の方向から投射した領域に位置するように当該露光部材の前記第2の方向への移動を制限する移動制限手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記露光部材は、前記像保持体に対して前記第1の方向に移動可能に構成され、
前記第3の突出部は、前記露光部材が前記像保持体に対して遠い方向に移動された状態にて当該第3の突出部の端部が前記第2の支持部の内部に位置するように当該露光部材の前記第2の方向への移動を制限する移動制限手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像保持体を含み、当該画像形成装置に対して一体的に前記第2の方向に移動させることで当該画像形成装置に着脱可能な像保持体交換単位をさらに備え、
前記第3の支持部は、当該画像形成装置本体側に設けられたことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
光源から照射される光を像保持体上に結像する光学部材と、
前記光学部材側から前記像保持体側に向けて突出して設けられ、当該像保持体と所定の位置関係が定められた部材に当接することにより当該光学部材の光軸方向である第1の方向における当該光学部材と当該像保持体との距離を決める第1の突出部と、
前記光学部材側から前記像保持体側に向けて突出して設けられ、当該像保持体と所定の位置関係が定められた部材に当接することにより当該像保持体の軸線の方向である第2の方向と前記第1の方向および当該第2の方向の双方に直交する第3の方向とにおける当該像保持体に対する当該光学部材の位置を決める第2の突出部とを備え、
前記第1の突出部は、前記第2の突出部よりも前記光学部材に近い位置に配置されたことを特徴とする露光装置。
【請求項8】
前記光学部材は、列状に配置された複数の発光素子で構成された前記光源から照射される光を前記像保持体上に結像することを特徴とする請求項7記載の露光装置。
【請求項9】
露光部材により露光される像保持体と、
前記露光部材から前記像保持体側に向けて突出して設けられた第1の突出部を支持することにより、当該露光部材の光軸方向である第1の方向における当該露光部材と当該像保持体との距離を決める第1の支持部と、
前記露光部材から前記像保持体側に向けて突出して設けられた第2の突出部を支持することにより、当該像保持体の軸線の方向である第2の方向と前記第1の方向および当該第2の方向の双方に直交する第3の方向とにおける当該像保持体に対する当該露光部材の位置を決める第2の支持部とを備え、
前記第1の支持部は、前記第2の支持部よりも前記像保持体に近い位置に配置されたことを特徴とする像保持体ユニット。
【請求項10】
前記第1の支持部は、前記像保持体の回転軸に取り付けられたベアリングで構成されたことを特徴とする請求項9記載の像保持体ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−143010(P2008−143010A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332368(P2006−332368)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】