画像形成装置および画像形成方法
【課題】 現像ロータリーを備える画像形成装置およびその画像形成方法において、現像ロータリーの回転によるトナー攪拌動作を適切なタイミングで実行することにより、ユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】 片面モノクロ印刷ジョブ#1と、両面モノクロ印刷ジョブ#2とを連続して行うときには、片面モノクロ印刷ジョブ#1の実行中の時刻t11で行うべきトナー攪拌動作(ロータリー現像ユニットの回転)を省略し、スループット低下を防止する。片面モノクロ印刷ジョブ#1の実行終了後、直ちに両面モノクロ印刷ジョブ#2を実行するとともに(時刻t12)、両面モノクロ印刷ジョブ#2においてシート(記録材)を反転する間の空き時間を利用してトナー攪拌動作を行う(時刻t13〜t14)。
【解決手段】 片面モノクロ印刷ジョブ#1と、両面モノクロ印刷ジョブ#2とを連続して行うときには、片面モノクロ印刷ジョブ#1の実行中の時刻t11で行うべきトナー攪拌動作(ロータリー現像ユニットの回転)を省略し、スループット低下を防止する。片面モノクロ印刷ジョブ#1の実行終了後、直ちに両面モノクロ印刷ジョブ#2を実行するとともに(時刻t12)、両面モノクロ印刷ジョブ#2においてシート(記録材)を反転する間の空き時間を利用してトナー攪拌動作を行う(時刻t13〜t14)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナーを貯留した現像器を保持しながら回転自在に構成された現像ロータリーを備える画像形成装置およびその画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トナーを貯留した現像器を保持し、所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを備える画像形成装置においては、所定のタイミングで現像ロータリーを回転させることで現像器内のトナーを攪拌する技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、画像形成枚数が一定枚数に達したときに現像ロータリーの回転を行い、これによって現像器内のトナーを攪拌することで、トナーの偏りに起因する画像品質の低下を防止している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−351188号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、トナー攪拌動作の実行タイミングは画像形成枚数で画一的に定められている。しかしながら、このように一定枚数ごとにトナー攪拌動作を行うだけでは、ユーザフレンドリーという観点からは十分とはいえない。例えば、ユーザが出力したい画像の枚数が僅かであるのに、トナー攪拌動作が実行されて画像形成が中断されるのはユーザにとっては不満である。また、一連の印刷ジョブの途中にトナー攪拌動作が実行されるとその前後で画像品質が若干変動してしまう場合がある。
【0005】
これらのことから、トナー攪拌動作の実行タイミングはより柔軟に定められるべきである。しかしながら、上記した従来技術ではトナー攪拌動作の実行タイミングが固定されており、必ずしもユーザフレンドリーなものとなっていなかった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、現像ロータリーを備える画像形成装置およびその画像形成方法において、現像ロータリーの回転によるトナー攪拌動作を適切なタイミングで実行することにより、ユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の態様は、トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを用いて、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を前記トナーを用いて形成する画像形成装置および画像形成方法において、前記印刷ジョブの内容に応じて設定されたタイミングで、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作を実行することを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明では、トナーの攪拌動作の実行タイミングが画一的でなく印刷ジョブの内容に応じて設定されるため、ユーザの利便性向上を図ることが可能となる。トナーの攪拌を行わないことに起因する画像品質の劣化は徐々に進むものであって、例えば画像形成枚数がある値に達したからといって急に画像品質が変化するものではない。したがって、攪拌動作の実行タイミングは画一的に定めるのではなく、必要に応じてそのタイミングをある程度前後させることができるのが望ましい。そして、そのタイミングは、実行すべき印刷ジョブの内容、例えば形成すべき画像の枚数やサイズ、使用する色数等に応じて適宜設定するようにすることで、ユーザにとってより利便性の高い装置を提供することができる。
【0009】
例えば、ユーザが形成したい画像の枚数が僅かであるのに、その途中でトナー攪拌動作のため画像形成が中断されたのでは、ユーザにとって不便である。また、その間トナーの攪拌動作を行わないことによって生じる画像品質の劣化は僅かである。したがって、当該印刷ジョブの実行中には攪拌動作を行わないようにすれば、ユーザが必要以上に待たされることはなくなる。また、当該印刷ジョブの終了後に攪拌動作を行うようにすれば、次に実行される印刷ジョブにおいて画像品質が劣化することもない。
【0010】
また、画像形成枚数が所定の基準枚数に達した場合に攪拌動作を行うように構成した場合であっても、その枚数に達したときにはいつでも攪拌動作を行うのでなく、印刷ジョブの内容に応じてその実行タイミングを調整できるようにするのが望ましい。例えば、印刷ジョブの実行中に画像形成枚数が基準枚数に達したときであっても、当該印刷ジョブにおいて形成すべき画像の残り枚数が少なければ、攪拌動作による画像品質の維持効果よりも、そのまま当該印刷ジョブを継続することにより得られる高いスループットの方が優先されてもよい。すなわち、攪拌動作を実行すべきタイミングが来たときに当該印刷ジョブにおける未形成画像の枚数が所定枚数以下であれば、そのタイミングでは攪拌動作を行わず、当該印刷ジョブの終了後に行うようにしてもよい。
【0011】
また、複数の印刷ジョブを連続的に実行する場合には、1つの印刷ジョブの実行中には攪拌動作を行わず、当該印刷ジョブの実行終了後、次の印刷ジョブを実行する前に攪拌動作を行うようにしてもよい。こうすることで、1つの印刷ジョブの中で形成される一連の画像間における画像品質のばらつきを抑えることができる。
【0012】
なお、この発明は、所定の転写位置にシート状の記録材の両面を順次搬送して、それぞれの面に画像を形成する装置においても有効である。このような装置においては、両面に転写すべき画像をそれぞれ形成する間に、1枚の記録材の一方面が転写位置を通過し次いでその他方面が転写位置に到達するまでの間に対応する空き時間が生じる。したがって、この間に現像ロータリーを回転させトナーの攪拌動作を行えば、空き時間を有効に活用することができ、画像形成のスループットを低下させることなく効率よく攪拌動作を行なうことができる。
【0013】
特に、記録材の両面に画像を形成する印刷ジョブ(以下、「両面印刷ジョブ」という)、および記録材の片面のみに画像を形成する印刷ジョブ(以下、「片面印刷ジョブ」という)を連続して行う場合には、両面印刷ジョブの最後の記録材の両面に形成すべき画像をそれぞれ形成する間に攪拌動作を行うのがよい。こうすることで、攪拌動作は両面印刷ジョブの実行中に行われるのでスループットの低下がなく、また片面印刷ジョブ実行中の攪拌動作の実行回数を最小にすることができる。
【0014】
逆に、片面印刷ジョブと両面印刷ジョブとをこの順番で連続的に実行する場合には、片面印刷ジョブで実行すべき攪拌動作を、両面印刷ジョブの最初の画像を形成した後まで先延ばしするようにしてもよい。片面印刷ジョブの実行中に攪拌動作を行うと画像形成が中断されスループットが低下してしまうのに対し、両面印刷ジョブにおいてはスループットを低下させることなく攪拌動作を行なうことができるからである。
【0015】
また、1枚の記録材の両面間で画像品質に顕著な差が現れないようにするため、1枚の記録材の一方面、他方面それぞれに転写すべき画像を形成する間は攪拌動作を行わないようにしてもよい。
【0016】
ところで、現像ロータリーにそれぞれ異なる色のトナーを貯留した複数の現像器を装着しカラー画像を形成する場合には、画像形成のプロセス中に現像ロータリーの回転が必須的に行われるため、さらに攪拌動作を行う必要はない。一方、1つのトナー色によるモノクロ画像を連続的に形成する場合には、その間には現像ロータリーの回転が行われない。このため、多数枚のモノクロ画像を連続的に形成する場合には、所定のタイミングで画像形成を中断し現像ロータリーを回転させてトナーの攪拌を行うことが望ましい。
【0017】
この場合において、次の印刷ジョブがカラー画像を形成するものであることがわかっているならば、カラー画像を形成するプロセスにおいてトナーが攪拌されることを期待して、モノクロ画像の形成中に行うべき攪拌動作を省略するようにしてもよい。
【0018】
また、この発明の第2の態様は、トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを用いて、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を前記トナーを用いて形成する画像形成装置および画像形成方法において、上記目的を達成するため、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作の実行タイミングを、予め設定されたタイミングで実行するか、あるいは前記印刷ジョブの内容に応じて設定したタイミングで実行するかをユーザに選択させ、その結果に基づき、予め設定されたタイミングで、または前記印刷ジョブの内容に応じて設定されたタイミングで、前記攪拌動作を実行することを特徴としている。
【0019】
画像品質の維持という観点からは、予め決まったタイミングで、例えば一定の画像形成枚数ごとに攪拌動作を行うことが望ましい。その一方、現像ロータリーを回転させる間、画像形成を行えないので、このように画一的な実行タイミングで攪拌動作を行ったのでは画像形成のスループットが低下する場合がある。そこで、予め定められたタイミング(固定タイミング)で攪拌動作を行うのか、印刷ジョブの内容に応じて定められるタイミング(変動タイミング)で攪拌動作を行うのかをユーザに選択させるようにすれば、必要に応じてこれら2つのタイミングを使い分けることができる。ユーザは、スループットよりも画像品質を重視する場合には固定タイミングを、高スループットを求める場合には変動タイミングを選択することができる。こうすることで、ユーザにとってはより利便性に優れた装置となる。
【0020】
また、この発明の第3の態様は、トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを用いて、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を、所定の方向に移動する像担持体上に前記トナーを用いて形成する画像形成装置および画像形成方法において、上記目的を達成するため、前記像担持体の移動方向に沿った長さが第1の長さである第1の画像と、前記移動方向に沿った長さが前記第1の長さよりも長い第2の長さである第2の画像とを相次いで形成する場合には、前記現像ロータリーを用いて前記第1の画像を形成した後に、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作を実行することを特徴としている。
【0021】
プロセス制御を合理的に行うためには、複数枚の画像は一連の画像形成プロセスの周期的な繰り返しによって形成されるのが望ましい。したがって、連続的に形成される複数枚の画像に長さの異なるものが混在している場合には、最も長い画像に合わせた画像形成プロセスが実行されることとなる。このため、その中に短い画像が含まれる場合、その形成を終わってから次の画像を形成するまでの間に空き時間が生じることとなる。そこで、この間に現像ロータリーの回転を行いトナーを攪拌するようにすれば、攪拌動作を効率よく行うことができ、ユーザにとって利便性に優れた装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
図1はこの発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じて、本発明の「制御手段」として機能するエンジンコントローラ10がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
【0023】
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置本体に対し着脱自在となっている。
【0024】
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。
【0025】
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に図1の矢印方向D4に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラ10により制御されている。そして、このエンジンコントローラ10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体22と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向する所定の現像位置に位置決めされると、当該現像器に設けられて選択された色の帯電トナーを担持するとともに所定の現像バイアスを印加された金属製の現像ローラ44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。各現像器の構造については後に詳述する。
【0026】
各現像器4Y、4C、4M、4Kには、図2に示すように、当該現像器に関する情報を記憶するための不揮発性メモリ91〜94と、各メモリと電気的に接続された無線通信用アンテナ49Y,49C,49Mおよび49Kとが設けられている。また、装置本体側においてロータリー現像ユニット4の外周部近傍には、トランスミッタ105を介してCPU101と接続された無線通信用アンテナ109が設けられている。そして、各現像器に設けられたアンテナ49Y、49C、49M、49Kのうち必要に応じて選択された1つが本体側に設けられたアンテナ109とが近接配置されるようにロータリー現像ユニット4が位置決めされると、エンジンコントローラ10のCPU101とメモリ91〜94との間で無線通信が行われる。こうすることで、各現像器に関する情報がCPU101に伝達されるとともに、各メモリ91〜94内の情報が更新記憶される。
【0027】
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路FFに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。
【0028】
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
【0029】
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路FFに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
【0030】
また、この装置は、図2に示すように、メインコントローラ11のCPU111により制御される表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU111からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
【0031】
また、表示部12の近傍には、キースイッチまたはタッチパネルにより構成され、CPU111に接続された入力部13が設けられている。ユーザは要求に応じて、または表示部12に表示されるメッセージに従って、この入力部13に対し所定の設定入力を行うことによって、装置の設定や実行すべき動作モードを変更することができる。
【0032】
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
【0033】
また、ローラ75の近傍には、クリーナ76が配置されている。このクリーナ76は図示を省略する電磁クラッチによってローラ75に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ75側に移動した状態でクリーナ76のブレードがローラ75に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。
【0034】
さらに、ローラ75の近傍には、濃度センサ60が配置されている。この濃度センサ60は、中間転写ベルト71の表面に対向して設けられており、必要に応じ、中間転写ベルト71の外周面に形成されるトナー像の画像濃度を測定する。そして、その測定結果に基づき、この装置では、画像品質に影響を与える装置各部の動作条件、例えば各現像器に与える現像バイアスや、露光ビームLの強度、さらには装置の階調補正特性などの調整を行っている。
【0035】
この濃度センサ60は、例えば反射型フォトセンサを用いて、中間転写ベルト71上の所定面積の領域の濃淡に対応した信号を出力するように構成されている。そして、CPU101は、中間転写ベルト71を周回移動させながらこの濃度センサ60からの出力信号を定期的にサンプリングすることで、中間転写ベルト71上のトナー像各部の画像濃度を検出することができる。
【0036】
図3は現像器の構造を示す断面図である。各現像器4Y、4C、4M、4Kはいずれも同一構造を有している。したがって、ここでは、現像器4Kの構成について図3を参照しながらさらに詳しく説明するが、その他の現像器4Y、4C、4Mについてもその構造および機能は同じである。この現像器4Kでは、その内部にトナーTを収容するハウジング41に供給ローラ43および現像ローラ44が軸着されており、当該現像器4Kが現像位置に位置決めされると、現像ローラ44が感光体2と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向位置決めされるとともに、これらのローラ43、44が本体側に設けられた回転駆動部(図示省略)と係合されて所定の方向に回転する。この現像ローラ44は、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属または合金により円筒状に形成されている。そして、2つのローラ43、44が接触しながら回転することでトナーが現像ローラ44の表面に擦り付けられて所定厚みのトナー層が現像ローラ44表面に形成される。
【0037】
また、この現像器4Kでは、現像ローラ44の表面に形成されるトナー層の厚みを所定厚みに規制するための規制ブレード45が配置されている。この規制ブレード45は、ステンレスやリン青銅などの板状部材451と、板状部材451の先端部に取り付けられたゴムや樹脂部材などの弾性部材452とで構成されている。この板状部材451の後端部はハウジング41に固着されており、図3の矢印に示す現像ローラ44の回転方向において、板状部材451の先端部に取り付けられた弾性部材452が板状部材451の後端部よりも上流側に位置するように配設されている。そして、その弾性部材452が現像ローラ44表面に弾性的に当接して現像ローラ44の表面に形成されるトナー層を最終的に所定の厚みに規制する。
【0038】
このようにして現像ローラ44の表面に形成されたトナー層は、現像ローラ44の回転によって順次、その表面に静電潜像が形成されている感光体2との対向位置に搬送される。そして、エンジンコントローラ10からの現像バイアスが現像ローラ44に印加されると、現像ローラ44上に担持されたトナーは、感光体2の表面各部にその表面電位に応じて部分的に付着し、こうして感光体2上の静電潜像が当該トナー色のトナー像として顕像化される。
【0039】
なお、この現像器4Kでは、ハウジング41の内部が2つのチャンバ47,48に分割されている。つまり、現像器内ではトナーTが両チャンバ47,48に振り分けられた状態で貯留されている。このため、ハウジング41内に多量のトナーが貯留された状態においては、供給ローラ43と現像ローラ44との当接部分(以下、「供給位置」と称する)に過剰なトナーが供給されるのが防止される。また、ハウジング41内のトナーが少量となったときには、ロータリー現像ユニット4の回転によってトナーがチャンバ48側に集められて供給ローラ43と現像ローラ44との当接部分に供給される。その原理を図4を参照しながら説明する。
【0040】
図4はロータリー現像ユニット4を示す断面図である。現像器4K内のトナーTが少なくなった状態でロータリー現像ユニット4を矢印方向D4に回転させ、現像器4Kを図4に示す(a)、(b)および(c)の位置を順番に通過させると、ハウジング41内のトナーTが一箇所に寄せ集められ(図4(a)および(b))、チャンバ48に送り込まれる(図4(c))。そして、現像器4Kが図4(d)の位置に位置決めされると、現像器内のトナーは全てチャンバ48に集められた状態となる。
【0041】
また、現像器内に十分なトナーが貯留された状態であっても、画像形成動作を連続的に行うと、チャンバ48内では現像ローラ44から剥ぎ取られた劣化トナーの比率が増してくる。このような場合にロータリー現像ユニット4を回転させると、チャンバ47に貯留されたフレッシュなトナーとチャンバ48内のトナーとが混合・攪拌されて、ハウジング41内のトナーを均質化させることができる。
【0042】
このように、この実施形態では、ロータリー現像ユニット4を回転させることによって供給位置に供給されるトナーの量を安定化させるとともに、ハウジング41内のトナーの均質化を図っている。しかも、この実施形態では、以下に詳述するように、トナーを攪拌することを目的としたロータリー現像ユニット4の回転動作を適宜のタイミングで実行するようにしている。そのため、この実施形態の現像器4K等では、現像器内のトナーを攪拌・移送するための機構(オーガ等)を設ける必要がなくなっており、この実施形態では、装置を小型かつ低コストに構成することができる。
【0043】
次に、ロータリー現像ユニット4の回転によるトナーの攪拌動作について説明する。この実施形態では、カラー画像を形成するときの画像形成動作(カラー印刷モード)と、モノクロ画像を形成するときの画像形成動作(モノクロ印刷モード)との間で、ロータリー現像ユニット4の回転の態様が異なっている。これに起因して、トナー攪拌のためのロータリー現像ユニット4の回転動作も異なったものとなっている。
【0044】
図5はカラー印刷モードを示すフローチャートである。画像形成動作が実行されていないときには、ロータリー現像ユニット4は所定のホームポジションに位置決め停止されている。このホームポジションでは、各現像器に設けられた現像ローラ44がいずれも感光体22から十分離間した位置にある。そして、メインコントローラ11のインターフェース112を介して、カラー画像に対応する画像信号が与えられたとき、エンジンコントローラ10に設けられたCPU101は、図5に示す画像形成動作を実行する。まず、ロータリー現像ユニット4を回転させ、ブラック現像器4Kを感光体22と対向する現像位置(図1においてイエロー現像器4Yの位置)に位置決めする(ステップS101)。この状態で、画像信号に対応する画像の最初のページ、すなわち1枚目のシートSの一方面に転写すべき1ページ分のブラック色画像を形成する(ステップS102)。
【0045】
上記した単色画像の形成を、マゼンタ、シアンおよびイエローの各色について繰り返し行う(ステップS103,S104)。すなわち、現像ユニット4を90度ずつ回転させて、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4Cおよびイエロー現像器4Yを順番に現像位置に位置させて、それぞれのトナー色の画像を形成する。これにより、中間転写ベルト71上には、ブラック、マゼンタ、シアンおよびイエローの各色が重ね合わされたフルカラー画像が1ページ分形成される。
【0046】
こうして形成され中間転写ベルト71に担持されたカラー画像が第2転写領域TR2まで搬送されてくるタイミングに合わせて、カセット8から1枚目のシートSが第2転写領域TR2に搬送される。そして、第2転写領域TR2において、中間転写ベルト71上のカラー画像がシートSの一方面に転写される。シートS1は定着ユニット9(図1)に送られ画像が定着される。
【0047】
ここで、シートS1の両面に画像を形成する必要があるときは(ステップS105)、シートSを反転搬送経路FRに送り込むとともに(ステップS106)、ステップS101ないしS104の動作を繰り返してシートSの他方面に形成すべきカラー画像を形成する。反転搬送経路FRを経由するシートSの搬送と、カラー画像の形成とを併行して行うことによって、装置を効率よく動作させて画像形成のスループットを向上させることができる。そして、中間転写ベルト71上のカラー画像が到達するタイミングに合わせてシートSの他方面を二次転写領域TR2に送り込み、画像を転写する。これにより、1枚のシートSの両面のそれぞれに所望の画像が形成される。また、シートSの他方面に画像を形成する必要がない(片面印刷)場合には以下のステップS107に進む。
【0048】
次のシートに形成すべき画像があるときには(ステップS107)、上記したステップS101ないしS106の動作を繰り返す一方、次の画像がなければ現像ユニット4をホームポジションに戻して画像形成動作を終了する。
【0049】
このように、カラー印刷モードを実行するときには、シート一面分のカラー画像を形成する動作シーケンスにおいて現像器が順次切り替えられることによって、ロータリー現像ユニット4が1回転している。つまり、一面分の画像を形成する度に現像器内のトナーが攪拌されているので、この場合には特別にトナー攪拌のためのロータリー回転動作を行う必要はない。
【0050】
一方、モノクロ印刷モードでは現像器の切り替えを必要としないので、複数枚の画像を連続的に形成する場合であっても基本的に現像ユニット4の回転は必要ない。しかしながら、この実施形態の現像器では内部にトナーを攪拌する機構を設けていないので、1つの現像器4Kを現像位置に位置決めしたまま多数枚の画像を形成した場合、チャンバ48内におけるトナー残量が低下するとともに劣化トナーの比率が増大し、結果的に画像品質が変動するおそれがある。そこで、この実施形態では、連続的に多数枚のモノクロ画像を形成する場合には、所定のタイミングでロータリー回転によるトナー攪拌動作を実行して、画像品質の維持を図っている。
【0051】
図6は片面モノクロ印刷モードを示すフローチャートである。各シートSの一方面のみにそれぞれモノクロ画像を形成する片面モノクロ印刷モードでは、画像形成枚数が一定枚数に達したときに現像ユニット4の回転によるトナー攪拌動作を行う。片面モノクロ画像に対応する画像信号が与えられたとき、エンジンコントローラ10は、まずロータリー現像ユニット4を回転させてブラック現像器4Kを現像位置に位置させ(ステップS201)、1ページ分のブラック色画像を形成する(ステップS202)。
【0052】
ここで、トナー攪拌動作が必要であるかどうかを判断する(ステップS203)。ここでの判断基準は、先にトナー攪拌動作を行って以後の画像形成枚数が所定枚数(例えば10枚)に達したかどうかである。すなわち、トナー攪拌動作後の画像形成枚数をカウントしておき、そのカウント値が所定枚数に達していればトナー攪拌動作が必要と判断する一方、画像形成枚数が所定枚数に満たなければトナー攪拌動作は不要と判断する。なお、先のトナー攪拌動作実行後、現像ユニット4がいったんホームポジションに戻されていた場合には、その回転動作による攪拌効果が期待できるので、画像形成枚数のカウントをリセットするようにしてもよい。
【0053】
攪拌動作が必要と判断されたときには、続いてロータリー現像ユニット4を1回転させ、現像器内のトナーを攪拌する(ステップS203)。一方、不要と判断されたときにはこのステップを省略する。
【0054】
そして、次に形成すべき画像があるか否かを判断し(ステップS205)、次の画像がある場合には上記したステップS202ないしS204を繰り返して必要枚数の画像を形成する一方、次の画像がなければ現像ユニット4をホームポジションに戻して画像形成動作を終了する(ステップS206)。なお、ホームポジションへのロータリー現像ユニット4の移動は、1回転以上の現像ユニット4の回転を伴うものであることが望ましい。こうすることで、装置はトナーが攪拌された状態で待機状態に移行することとなるので、次に形成される画像の品質を良好に保つことができる。
【0055】
このように、片面モノクロ印刷モードでは、一定の画像形成枚数ごとにロータリー現像ユニット4を回転させて、現像器内のトナーの攪拌動作を行っている。こうすることで、画像品質の変動を抑えることができる。なお、トナー攪拌動作を行う頻度は、画像品質の観点からはできるだけ多い方がよいが、攪拌動作の間は画像形成が中断されることとなるので、あまり多くしすぎると画像形成のスループットが低下してしまう。したがって、その頻度は、画像品質の変動が目立たない範囲でできるだけ低くすることが望ましい。
【0056】
図7は両面モノクロ印刷モードを示すフローチャートである。各シートSの両面にそれぞれモノクロ画像を形成する両面モノクロ印刷モードでは、画像形成枚数が一定枚数に達したときであって、1枚のシートの第1面に転写すべき画像の形成と第2面に転写すべき画像の形成との間にトナー攪拌動作を行う。両面モノクロ画像に対応する画像信号が与えられたとき、エンジンコントローラ10は、ロータリー現像ユニット4を回転させてブラック現像器4Kを現像位置に位置決めし(ステップS301)、1ページ分のモノクロ画像を形成する(ステップS302)。こうして形成した画像については、二次転写領域TR2においてシートSに転写する。シートSは定着ユニット9(図1)に送られ画像が定着された後、もう一方の面にも画像を形成すべく反転搬送経路FRに送り込まれる(ステップS303)。
【0057】
次に、現像ユニット4の回転によるトナー攪拌動作が必要か否かを判断する(ステップS303)。ここで、攪拌動作が必要と判断したときには続いて現像ユニット4を1回転させるが(ステップS305)、不要と判断したときにはこのステップを省略する。
【0058】
続いて、1枚目のシートの第2面、つまり先に画像を転写された面とは反対の面に転写すべき画像を形成する(ステップS306)。こうして形成した画像については、反転搬送経路FRを経て再び二次転写領域TR2に搬送されてきたシートSの他方面に転写する。そして、次のシートに形成すべき画像があるときには(ステップS307)、引き続き上記したステップS302ないしS306の動作を繰り返し実行することによって、必要枚数の画像を形成する。一方、続いて形成すべき画像がなければ、現像ユニット4をホームポジションに戻し画像形成動作を終了する(ステップS308)。
【0059】
このように、この実施形態の両面モノクロ印刷モードでは、1枚のシートの第1面に転写すべき画像を形成してから、その第2面に転写すべき画像を形成するまでの間に、現像ユニット4の回転によるトナー攪拌動作が行われるように、両面モノクロ印刷モードの動作シーケンスが構成されている。このようにする理由について、図8および図9を参照しながら説明する。
【0060】
図8はシート搬送の様子を模式的に示す図である。1枚のシートS1の両面に画像を形成する場合、図8(a)に示すように、まずシートS1の一方面S1aが搬送経路FFに沿って二次転写領域TR2に送り込まれる。次に、二次転写領域TR2を通過したシートS1は反転搬送経路FRに沿って搬送される(図8(b))。その後、シートS1の他方面S1bが二次転写領域TR2に送り込まれて中間転写ベルト71から画像を転写される(図8(c))。
【0061】
このように、シートS1の一方面S1aが二次転写領域TR2を通過してからもう一方の面S1bが二次転写領域TR2に到達するまでの間に、一定の空き時間が発生する。この空き時間は、シートS1の搬送速度および反転搬送経路FRの長さによって決まるシートS1を反転させるのに必要な時間であり、この時間を短縮することは装置の構成上容易でない。一方、シートS1に続けてシートS2に画像を転写する場合を考えてみると、図8(d)に示すよりも、先のシートS1が二次転写領域TR2を通過してから、上記空き時間よりも短い時間間隔で次のシートS2を二次転写領域TR2に送り込むことができる。
【0062】
つまり、このような構成の画像形成装置では、2枚のシートを順次二次転写領域TR2に送り込む場合よりも、1枚のシートの両面を順次二次転写領域TR2に送り込む場合の方が空き時間が多くなってしまう。そこで、この実施形態では、この空き時間を活用してトナー攪拌動作を行うことによって、装置を効率よく動作させて画像形成のスループットを向上させるようにしている。
【0063】
すなわち、1枚のシートに転写する画像を形成してから次のシートに転写する画像を形成するまでの間に現像ユニット4の回転動作を行ったのでは、両シートに転写すべき画像を連続的に形成することができるにもかかわらず、画像形成をいったん中断しなければならないこととなる。これに対して、1枚のシートの両面に転写すべき画像を形成する間に現像ユニット4を回転させるようにすれば、もともと短縮できない空き時間を有効に活用してトナーの攪拌動作を行うことができる。その結果、スループットの低下を防止しながら、画像品質の変動を効果的に抑制することが可能となる。
【0064】
図9はトナー攪拌動作の実行タイミングを示すタイミングチャートである。ここでは、シート1枚についての動作シーケンスを実行する度に攪拌動作を実行した場合、つまり図7に示すステップS304における判断結果が常に「YES」である場合を例示している。しかしながら、通常はこれより低い頻度でトナー攪拌動作を実行すれば十分である。すなわち、図7に示すステップS304における判断は、片面モノクロ印刷モードの場合と同様に、画像形成枚数が所定枚数に達したときに「YES」となるような判断基準に基づき行われればよい。
【0065】
ただし、複数枚のシートの両面に連続的に画像を形成するような印刷ジョブを実行する際には、少なくともその印刷ジョブにおける最後のシートに転写すべき2つの画像の形成の合間にトナー攪拌動作を行うようにするのが望ましい。すなわち、図7のステップS304において、直前のステップS302において形成した画像が当該ジョブの最後のシートの一方面に転写すべきものである場合には、トナー攪拌が必要と判断されるようにするのが望ましい。こうして印刷ジョブの終了直前にトナー攪拌動作を行っておくことによって、次のような効果が得られる。
【0066】
すなわち、トナー攪拌が終了してから印刷ジョブが終了するので、現像ローラ44に均質かつ十分な量のトナーが供給された状態で装置が待機状態に移行することとなり、次に実行される印刷ジョブを速やかに処理することができる。また、そうして形成される画像の品質も保たれる。特に、次に実行される印刷ジョブが上記した片面モノクロ印刷モードに対応したものであった場合には、スループットの低下を抑えることが可能となる。というのは、既にトナー攪拌動作が実行されているので、次にトナー攪拌動作を実行すべきタイミングが来るまでに形成することのできる画像の枚数を最大とすることができ、トナー攪拌動作の実行頻度を最小限に抑えることができるからである。
【0067】
例えば、両面モノクロ印刷モードの実行後、間をおかずに片面モノクロ印刷モードを実行するような場合であっても、片面モノクロ印刷モードの実行中に実行すべきトナー攪拌動作の回数を最小限に抑えることができる。
【0068】
上記のように構成された両面モノクロ印刷モードが実行されると、まず時刻t0においてロータリー現像ユニット4の回転駆動が開始され、ブラック現像器4Kが現像位置に位置決めされる。そして、現像ローラ44に現像バイアスが印加されて1ページ分のモノクロ画像が形成される。ここで形成される画像は、最初に二次転写領域TR2に送り込まれてくる1枚目のシートS1の一方面S1aに転写すべき画像1Aである。こうして形成された画像は一次転写領域TR1において中間転写ベルト71に転写され、該ベルト71の回転移動に伴って二次転写領域TR2に搬送されて、搬送経路FFに沿って搬送されてきたシートS1の一方面S1aに転写される(時刻t1ないしt2)。先に説明した図8(a)の状態は、図9における時刻t1に対応している。
【0069】
その後、シートS1が反転搬送経路FRを経て反転されその他方面S1bが二次転写領域TR2に搬送されてくる時刻t4までの間には空き時間Δt1が生じる。この間の時刻t3におけるシートS1の状態を表しているのが図8(b)であり、時刻t4におけるシートS1の状態を表しているのが図8(c)である。
【0070】
画像品質を安定させるために、中間転写ベルト71は一定の回転速度で回転させておくことが望ましい。したがって、シートS1の他方面S1bに転写すべき画像1Bの中間転写ベルト71への形成は、画像1Aの形成後、この空き時間Δt1に相当する間隔を空けて行う必要がある。この間、現像器4Kは手待ちの状態となるので、この間を利用してロータリー現像ユニット4を1回転させ現像器4K内のトナーを攪拌する。こうして攪拌され均質化されたトナーを用いて画像1Bを形成する。
【0071】
こうして形成された画像1Bは、二次転写領域TR2においてシートS1の他方面S1bに転写される(時刻t4ないしt5)。図8(d)は、時刻t5におけるシートS1の状態を示している。このとき、図8(d)に示すように、次のシートS2をシートS1に続けて二次転写領域TR2に送り込むことができる。シートS1が反転される搬送経路FRと、カセット8から取り出されたシートが搬送される経路とが、二次転写領域TR2の直前まで交わらないように搬送経路が構成されているからである。
【0072】
したがって、1枚目のシートS1の他方面S1bの後端部が二次転写領域TR2を通過する時刻t5と、2枚目のシートS2の一方面S2aが二次転写領域TR2に到達する時刻t6との間の時間差Δt2は、前記した時間差Δt1よりもずっと小さくすることができる。そこで、この実施形態では、シートS1の他方面S1bに転写すべき画像1Bと、次のシートS2の一方面S2aに転写すべき画像2Aとを連続的に形成することで、画像形成のスループットを高めている。なお、図9の例では、画像1Bおよび画像2Aの形成の間にいったん現像バイアスをオフにしているが、オン状態を継続するようにしてもよい。
【0073】
こうして画像2Aを形成した後、シートS2の他方面S2bに転写すべき画像2Bを形成するまでの間には、前記したと同じ理由で空き時間が生じる。こうして必須的に生じる空き時間の間にロータリー現像ユニット4を回転させトナー攪拌動作を行うことにより、画像形成のスループットを低下させることなく、画像品質を安定に維持することができる。また、3枚目のシートの一方面に転写すべき画像3Aについては、画像2Bの形成に続けて形成することができる。
【0074】
このように構成された画像形成装置に対して、従来の画像形成装置の中には、シートS1の一方面S1a、シートS2の一方面S2a、シートS1の他方面S1bおよびシートS2の他方面S2bをこの順番で二次転写領域へ送り込むように構成されたものがある。このように構成された装置においては、シートS1を反転させる空き時間の間に次のシートS2に転写すべき画像を形成することによって、空き時間の解消およびスループットの向上を図っている。しかしながら、このような構成とするためには、シート2面分の画像を一時的に担持することのできる転写媒体およびシート2枚を同時に搬送することのできる搬送経路を設ける必要があり、不可避的に装置は大型化してしまう。すなわち、このような構成は、小型化を要求される装置には適さない。
【0075】
これに対して、動作シーケンスを前述したように構成すれば、転写媒体および搬送経路はシート1枚分のサイズに対応したものとすればよいので、スループットの低下および画像品質の変動を抑えながら、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0076】
ここまで、カラー印刷モード、片面モノクロ印刷モードおよび両面モノクロ印刷モードのそれぞれについて、各動作モードが単独で実行される場合について説明してきた。これらの動作モードは、外部装置から与えられる印刷ジョブに包含される情報、すなわち、形成すべき画像の枚数や、形成すべき画像がモノクロ画像かカラー画像か、あるいはシートSの片面・両面のいずれに画像を形成するのかといった情報に応じて選択的に実行される。
【0077】
ところで、場合によっては、複数の印刷ジョブを相次いで処理しなければならないときがある。例えば、1つの印刷ジョブに対応する動作モードの実行中に、新たな印刷ジョブが与えられた場合である。このような場合に、前後の印刷ジョブの組み合わせに応じて、上記した攪拌動作の実行タイミングを適宜変更した方がよい場合がある。特に、片面モノクロ印刷モード中に攪拌動作を行うと、画像形成が一時的に中断されてスループットが低下することから、相次いで行う他の動作モードとの間で攪拌動作の実行タイミングを調整し、スループットの低下を防止することが望まれる。
【0078】
以下、より好ましい攪拌動作の実行タイミングについて、いくつかのケースを挙げて説明する。攪拌動作の実行タイミングの変更は、図6のステップS203および図7のステップS304における判断基準を以下に説明する原理に則って適宜変更することによって実現可能である。なお、以下では、カラー印刷モード、片面モノクロ印刷モードおよび両面モノクロ印刷モードが選択実行されるべき印刷ジョブを、それぞれ「カラー印刷ジョブ」、「片面モノクロ印刷ジョブ」および「両面モノクロ印刷ジョブ」と称することとする。
【0079】
(1)片面モノクロ印刷ジョブの後に別の片面モノクロ印刷ジョブを実行する場合
片面モノクロ印刷ジョブを実行する場合には、画像形成枚数が所定枚数に達する度に攪拌動作が実行される。ここで、2つの片面モノクロ印刷ジョブを続けて行う場合には、これらの印刷ジョブを一体のものとして画像形成枚数を通算して数えることができる。つまり、最初の印刷ジョブを終了する時点で攪拌動作を実行すべきタイミングに達していなければ、攪拌動作を行うことなく引き続き後の印刷ジョブを実行することができる。そして、通算された画像形成枚数が後の印刷ジョブの実行中に所定枚数に達した場合には、画像形成を中断して攪拌動作を行えばよい。
【0080】
ただし、後の印刷ジョブにおいて形成すべき画像の枚数が少ない場合には、その実行中の攪拌動作を省略するようにしてもよい。というのは、トナーを攪拌せずに画像形成を続けることによる画像品質の劣化は徐々に進むので、形成する画像の枚数が少なければ最初の画像と最後の画像との間で画像品質の差は僅かであるからである。そして、このように攪拌動作を省略することによって、画像形成のスループットの低下を防止することができる。
【0081】
この考え方は、1つの片面モノクロ印刷ジョブを実行しているときにも適用することができる。すなわち、片面モノクロ印刷ジョブの実行中に画像形成枚数が所定枚数に達し攪拌動作を行うべきタイミングが来た場合、当該印刷ジョブにおいて形成すべき画像がまだ多数残されている場合には攪拌動作を行って、低下し始めた画像品質を回復しておく必要があるが、その後に形成すべき画像の枚数が少ない場合には、むしろそのまま画像形成を継続した方が好ましい。攪拌動作による画像品質の回復よりも、高スループットが得られるという利点の方が大きいからである。
【0082】
このように、予め設定された攪拌動作を実行すべきタイミングが来たとしても、形成すべき画像の枚数が少なければ、攪拌動作を行わずにそのまま印刷ジョブを継続して行うことができる。こうすることによって、画像形成のスループットの低下を防止することができる。
【0083】
なお、1つの印刷ジョブの途中で攪拌動作を実行すると、その前後で僅かながら画像品質の差異を生じる場合がある。画像の品質が重視されこのような差異が許容されない場合には、最初の印刷ジョブの実行後、後の印刷ジョブを実行開始する前、つまり両印刷ジョブの間で攪拌動作を行うようにすればよい。こうすることにより、1つの印刷ジョブにおいて形成される一連の画像の品質のばらつきが抑えられる。
【0084】
(2)片面モノクロ印刷ジョブの後に両面モノクロ印刷ジョブを実行する場合
片面モノクロ印刷ジョブの実行中に攪拌動作を行うと画像形成が一時的に中断されスループットが低下するのに対し、両面モノクロ印刷ジョブの実行中に攪拌動作を行ってもスループットの低下はない。したがって、攪拌動作はできるだけ両面モノクロ印刷ジョブの実行中に行いたい。そこで、このような場合には、片面モノクロ印刷ジョブにおいて本来実行すべき攪拌動作の実行を先延ばしして、両面モノクロ印刷ジョブの実行中に攪拌動作を行うようにすればスループットの低下が防止される。特に、攪拌動作を実行すべきタイミングが来たときに片面モノクロ印刷ジョブにおいて形成すべき画像の残り枚数が少ないときに、その効果が大きい。ただし、片面モノクロ印刷ジョブにおいて形成すべき画像がまだ多数残っているような場合には、その時点で攪拌動作を行っておくのが好ましい。
【0085】
図10は印刷ジョブ間で調整された攪拌動作の実行タイミングの一例を示すタイミングチャートである。ここでは、片面モノクロ印刷ジョブ#1の後に続けて両面モノクロ印刷ジョブ#2を実行する場合を示している。片面モノクロ印刷ジョブ#1の実行中に、先の攪拌動作を行ってからの画像形成枚数が所定値に達し、攪拌動作を実行すべきタイミングt11が来たとする。この場合、直ちに攪拌動作を実行すると画像形成が一時的に中断されることとなる。しかしながら、当該印刷ジョブ#1において形成すべき画像の残り枚数が2枚と少なく、しかも次に実行すべき印刷ジョブ#2が両面モノクロ印刷ジョブであることから、この時刻t11では攪拌動作を実行しない。そして、片面モノクロ印刷ジョブ#1の実行を終了すると直ちに両面モノクロ印刷ジョブ#2の実行を開始し(時刻t12)、その最初の画像を形成した後にロータリー現像ユニット4を回転させ、トナーの攪拌を行う(時刻t13〜t14)。このようにすると、スループットの低下は防止される。
【0086】
ただし、上記した(1)の場合と同様に、スループットより画像品質が重視される場合には、両印刷ジョブの間に攪拌動作を行うことが好ましい。このことは以下に述べる各ケースにおいても同じである。
【0087】
(3)両面モノクロ印刷ジョブの後に片面モノクロ印刷ジョブを実行する場合
両面モノクロ印刷ジョブの実行中においては、スループットを低下させることなく攪拌動作を行うことができる。そこで、両面モノクロ印刷ジョブにおいてできるだけ最後に近いタイミングで攪拌動作を行っておけば、次の片面モノクロ印刷ジョブにおける攪拌動作の実行タイミングを先延ばしすることができる。さらには、片面モノクロ印刷ジョブにおいて形成すべき画像の枚数が少なければその実行中には攪拌動作を行う必要がなくなる。
【0088】
これを可能とするためには、両面モノクロ印刷ジョブの最後の1枚のシートの第1面に転写すべき画像と、その第2面に転写すべき画像とを形成する間の空き時間に現像ユニット4を回転させればよい。この攪拌動作は、先の攪拌動作の実行後の画像形成枚数の多少によらず実行することが望ましいが、先の攪拌動作の実行後に形成した画像の枚数が少なく、しかも、次の片面モノクロ印刷ジョブにおいて形成すべき画像の枚数が少ない場合には省略することができる。特に、先の攪拌動作後に両面モノクロ印刷ジョブおよび片面モノクロ印刷ジョブにおいて形成すべき画像の合計枚数が、攪拌動作を実行すべき所定枚数に達しない場合には、省略して差し支えない。
【0089】
(4)片面モノクロ印刷ジョブの後にカラー印刷ジョブを実行する場合
カラー印刷ジョブを実行するときには必須的に現像ユニット4の回転が行われる。これによりトナー攪拌効果が得られるので、別途攪拌動作を行う必要がない。このことから、片面モノクロ印刷ジョブの実行中に攪拌動作を行うべきタイミングが来た場合であっても、その時点で形成すべき画像の残り枚数が少なければ攪拌動作を省略することができる。その後実行されるカラー印刷ジョブにおいてトナーが攪拌されるからである。
【0090】
(5)カラー印刷ジョブの後に片面モノクロ印刷ジョブを実行する場合
この場合には、片面モノクロ印刷ジョブを実行開始する時点でトナーが攪拌されているので、その実行開始時点から画像形成枚数をカウントし、必要に応じて攪拌動作を実行すればよい。
【0091】
(6)長さの異なる画像が混在する場合
安定した画像品質を得るため、感光体22および中間転写ベルト71については一定の回転速度で回転させておくことが望ましい。また、画像形成動作の動作シーケンスはこれらの回転に同期するように構成されている。このため、感光体22あるいは中間転写ベルト71の移動方向に沿った長さの異なる画像を続けて形成すると、短い画像を形成した後に、次の画像を形成開始するまでの間に空き時間が生じてしまう。これを解消するために、画像の長さに合わせて動作シーケンスを変更しようとすると、制御が複雑となってしまう。そこで、最も長い画像に合わせて動作シーケンスを構成するとともに、そのシーケンスに基づき短い画像を形成した後に生じる空き時間を攪拌動作に充てることによって、複雑な制御は不要となり、しかも、効率よく攪拌動作を行うことができる。
【0092】
図11は画像の長さが異なる場合のトナー攪拌動作の実行タイミングを示すタイミングチャートである。図11(a)は、長シートSlに画像を形成する印刷ジョブ#3と、これより短い短シートSsに画像を形成する印刷ジョブ#4とを連続的に実行する場合を示している。また、図11(b)は、長シートSlに画像を形成する印刷ジョブ#5および#7の間に、短シートSsに対応する画像を1枚だけ形成する印刷ジョブ#6が挿入されている場合を示している。
【0093】
中間転写ベルト71の長さおよび画像形成動作の動作シーケンスは、基本的に長い方のシートSlの長さに合わせて構成されており、同じ長さの画像を複数枚形成する場合には、周期Tlなる動作シーケンスを繰り返し実行することとなる。この周期Tlは、長シートSlの長さに対応する画像と、その後に設ける僅かな余白とを形成するのに要する時間である。
【0094】
ここで、引き続き、短シートSsに画像を形成する場合を考える。短シートSsに合わせて、上記周期Tlよりも短い周期Tsで画像を形成する動作シーケンスが用意されている場合には、その動作シーケンスを実行することで、それぞれの印刷ジョブ#3、#4においては形成する画像のサイズに適合したシーケンスが実行され、全体の処理時間を短縮することができる。このような場合には、必要に応じて、図11(a)に示すように、両印刷ジョブの間に現像ユニット4を回転させトナーの攪拌を行うことが望ましい。
【0095】
しかしながら、例えばこのような短シートに対応する動作シーケンスが用意されていない場合、短シートに形成すべき画像の枚数が少ない場合および短シートに画像を形成した後続けて長シートに画像を形成する場合などには、いちいち動作シーケンスを切り替えるよりも、短シートSsに対応する画像の形成を長シートSl用の動作シーケンスにより行う方が効率的である。このような場合には、図11(b)に示すように、短シートSsに対応する画像を形成した後に空き時間Δt3が生じるので、この間に現像ユニット4を回転させトナーの攪拌を行えば、スループットを低下させることなく、しかも画像品質を良好に保つことができる。したがって、例えば、長シートに対応する印刷ジョブ#5の実行中に攪拌動作を行うべきタイミングが来たとしても、画像の残り枚数が少なければその時点の攪拌動作を省略し、続く短シートに対応する印刷ジョブ#6において攪拌動作を実行するというように、攪拌動作の実行タイミングを調整することができる。
【0096】
以上のように、この発明にかかる画像形成装置および画像形成方法の第1実施形態においては、現像ユニット4の回転によるトナーの攪拌動作を行うタイミングを一定とせず、実行すべき印刷ジョブの内容に応じて適宜設定して実行するようにしている。具体的には、画像形成のスループットを重視する場合には、本来行うべき攪拌動作のタイミングを印刷ジョブの内容に応じて変更し実行することによって、画像品質の低下を抑えつつ、スループットの低下を防止している。また、画像品質を重視する場合には、必要に応じて、印刷ジョブの間に攪拌動作を行うことによって、画像品質の低下を防止している。
【0097】
このように、印刷ジョブの内容に応じて設定したタイミングで攪拌動作を行うことによって、この実施形態の画像形成装置は、従来技術の画像形成装置よりもユーザにとって利便性に優れたものとなる。
【0098】
(第2実施形態)
ところで、画像品質を重視するか、スループットを重視するかはユーザによって異なる。また、同じユーザにおいても、その用途によって異なる。したがって、ユーザの要求により、どちらをより重視するかを選択することができればユーザにとって好都合である。そこで、この発明にかかる画像形成装置の第2実施形態では、攪拌動作の実行タイミングを画像品質重視で定めるか、スループット重視で定めるかをユーザ設定により選択できるようにしている。この点を除けば、第2実施形態の画像形成装置の構成および動作は前記した第1実施形態の装置と同一である。
【0099】
図12は攪拌動作の実行タイミングの決定方法を示すフローチャートである。まず、入力部13に対するユーザの設定入力の内容を判定する(ステップS401)。ここで、ユーザの設定入力が、攪拌動作のタイミングを固定タイミングとすることを望むものであった場合には、以後の攪拌動作が、印刷ジョブの内容に関係なく予め設定されたタイミングで行われるような設定を選択する(ステップS402)。一方、ユーザの設定入力が、攪拌動作のタイミングを変動タイミングとすることを望むものであった場合には、以後の攪拌動作は、印刷ジョブの内容に応じて適宜設定されたタイミングで実行されるようにする(ステップS403)。
【0100】
そして、外部装置から新たな印刷ジョブが与えられるまで待機するとともに(ステップS404)、新たな印刷ジョブが与えられたときには、その内容に応じて動作モードを選択し実行する(ステップS405,S406)。選択された動作モードを実行する際には、先に設定された実行タイミングで適宜攪拌動作が行われる。例えば、ユーザが固定タイミングを選択した場合には、予め定められたタイミング、例えば、画像形成枚数が一定枚数に達するごとに攪拌動作が実行されるので、画像品質が一定に維持される。また、ユーザが変動タイミングを選択した場合には、上記した第1実施形態と同様に、印刷ジョブの内容に応じて攪拌動作の実行タイミングが適宜調整されるので、スループットの低下が防止される。
【0101】
なお、攪拌動作の実行タイミングを固定タイミングとするか、変動タイミングとするかについては、上記のようにユーザにいずれかを選択させる以外に、例えば、いずれかのタイミングを装置の標準の実行タイミングとして予め定めておき、これに基づき攪拌動作を実行するとともに、特にユーザからの設定入力があったときには一時的に他の実行タイミングを適用するように構成してもよい。
【0102】
以上のように、この発明にかかる画像形成装置および画像形成方法の第2実施形態においては、ロータリー現像ユニット4の回転によるトナーの攪拌動作を、予め定められた固定タイミングで実行するか、あるいは印刷ジョブの内容に応じた変動タイミングで実行するかを、ユーザに選択させることができるようにしている。こうすることにより、ユーザは好みに応じて両実行タイミングを使い分けることができる。このように、この発明によれば、ユーザに利便性の高い画像形成装置を提供することが可能となる。
【0103】
以上説明したように、上記各実施形態の画像形成装置においては、エンジン部EGが本発明の「像形成手段」として機能している。また、搬送経路FFおよび反転搬送経路FRを構成するゲートローラ81およびその他のローラ82,83等が一体として本発明の「搬送手段」として機能している。さらに、ロータリー現像ユニット4の回転を制御するエンジンコントローラ10が本発明の「制御手段」として機能している。また、入力部13が本発明の「入力手段」として機能している。また、上記各実施形態においては、二次転写領域TR2が本発明の「転写位置」に相当している。
【0104】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態の画像形成装置は4色のトナー色に対応した現像器を装着した状態で使用されるものであるが、この種の装置では、複数装着可能な現像器のうち1つの現像器のみを装着してモノクロ画像のみを印刷する動作が可能となっているものがあり、このような動作をする装置においても本発明を有効に適用することができる。
【0105】
また、上記各実施形態では、画像形成枚数によってトナー攪拌動作を行うか否かを判断している。しかしながら、画像品質の変動は、現像器内のトナーが攪拌されないことのみによって起こるわけではなく、トナーの劣化や残量減少に起因しても生じる。例えば、トナーの残量が少なくなると、現像ローラ44に供給されるトナー量自体が低下する。また、トナー残量は十分であっても、その中の劣化トナーの含有率が異常に高くなる場合もありうる。そこで、トナー残量が所定値を下回ったときや、現像器の使用時間が所定値に達したときなどに、トナー攪拌動作を実行するようにしてもよい。
【0106】
また、変動タイミングで攪拌動作を実施する場合の実行タイミングの定め方として説明した上記(1)ないし(6)の各方法のうち、両面モノクロ印刷ジョブが関係しない(1),(4),(5)および(6)については、シートの片面のみに画像を形成するように構成された画像形成装置に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】この発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】現像器の構造を示す断面図。
【図4】ロータリー現像ユニットを示す断面図。
【図5】カラー印刷モードを示すフローチャート。
【図6】片面モノクロ印刷モードを示すフローチャート。
【図7】両面モノクロ印刷モードを示すフローチャート。
【図8】シート搬送の様子を模式的に示す図。
【図9】トナー攪拌動作の実行タイミングを示すタイミングチャート。
【図10】印刷ジョブ間で調整された攪拌動作の実行タイミングの一例を示す図。
【図11】画像の長さが異なる場合のトナー攪拌動作の実行タイミングを示す図。
【図12】攪拌動作の実行タイミングの決定方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0108】
4…ロータリー現像ユニット(現像ロータリー)、 4C,4K,4M,4Y…現像器、 10…エンジンコントローラ(制御手段)、 13…入力部(入力手段)、 22…感光体、 81,82,83…ローラ(搬送手段)、 EG…エンジン部(像形成手段)、 S,S1,S2…シート(記録材)、 TR2…二次転写領域(転写位置)
【技術分野】
【0001】
この発明は、トナーを貯留した現像器を保持しながら回転自在に構成された現像ロータリーを備える画像形成装置およびその画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トナーを貯留した現像器を保持し、所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを備える画像形成装置においては、所定のタイミングで現像ロータリーを回転させることで現像器内のトナーを攪拌する技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、画像形成枚数が一定枚数に達したときに現像ロータリーの回転を行い、これによって現像器内のトナーを攪拌することで、トナーの偏りに起因する画像品質の低下を防止している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−351188号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、トナー攪拌動作の実行タイミングは画像形成枚数で画一的に定められている。しかしながら、このように一定枚数ごとにトナー攪拌動作を行うだけでは、ユーザフレンドリーという観点からは十分とはいえない。例えば、ユーザが出力したい画像の枚数が僅かであるのに、トナー攪拌動作が実行されて画像形成が中断されるのはユーザにとっては不満である。また、一連の印刷ジョブの途中にトナー攪拌動作が実行されるとその前後で画像品質が若干変動してしまう場合がある。
【0005】
これらのことから、トナー攪拌動作の実行タイミングはより柔軟に定められるべきである。しかしながら、上記した従来技術ではトナー攪拌動作の実行タイミングが固定されており、必ずしもユーザフレンドリーなものとなっていなかった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、現像ロータリーを備える画像形成装置およびその画像形成方法において、現像ロータリーの回転によるトナー攪拌動作を適切なタイミングで実行することにより、ユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の態様は、トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを用いて、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を前記トナーを用いて形成する画像形成装置および画像形成方法において、前記印刷ジョブの内容に応じて設定されたタイミングで、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作を実行することを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明では、トナーの攪拌動作の実行タイミングが画一的でなく印刷ジョブの内容に応じて設定されるため、ユーザの利便性向上を図ることが可能となる。トナーの攪拌を行わないことに起因する画像品質の劣化は徐々に進むものであって、例えば画像形成枚数がある値に達したからといって急に画像品質が変化するものではない。したがって、攪拌動作の実行タイミングは画一的に定めるのではなく、必要に応じてそのタイミングをある程度前後させることができるのが望ましい。そして、そのタイミングは、実行すべき印刷ジョブの内容、例えば形成すべき画像の枚数やサイズ、使用する色数等に応じて適宜設定するようにすることで、ユーザにとってより利便性の高い装置を提供することができる。
【0009】
例えば、ユーザが形成したい画像の枚数が僅かであるのに、その途中でトナー攪拌動作のため画像形成が中断されたのでは、ユーザにとって不便である。また、その間トナーの攪拌動作を行わないことによって生じる画像品質の劣化は僅かである。したがって、当該印刷ジョブの実行中には攪拌動作を行わないようにすれば、ユーザが必要以上に待たされることはなくなる。また、当該印刷ジョブの終了後に攪拌動作を行うようにすれば、次に実行される印刷ジョブにおいて画像品質が劣化することもない。
【0010】
また、画像形成枚数が所定の基準枚数に達した場合に攪拌動作を行うように構成した場合であっても、その枚数に達したときにはいつでも攪拌動作を行うのでなく、印刷ジョブの内容に応じてその実行タイミングを調整できるようにするのが望ましい。例えば、印刷ジョブの実行中に画像形成枚数が基準枚数に達したときであっても、当該印刷ジョブにおいて形成すべき画像の残り枚数が少なければ、攪拌動作による画像品質の維持効果よりも、そのまま当該印刷ジョブを継続することにより得られる高いスループットの方が優先されてもよい。すなわち、攪拌動作を実行すべきタイミングが来たときに当該印刷ジョブにおける未形成画像の枚数が所定枚数以下であれば、そのタイミングでは攪拌動作を行わず、当該印刷ジョブの終了後に行うようにしてもよい。
【0011】
また、複数の印刷ジョブを連続的に実行する場合には、1つの印刷ジョブの実行中には攪拌動作を行わず、当該印刷ジョブの実行終了後、次の印刷ジョブを実行する前に攪拌動作を行うようにしてもよい。こうすることで、1つの印刷ジョブの中で形成される一連の画像間における画像品質のばらつきを抑えることができる。
【0012】
なお、この発明は、所定の転写位置にシート状の記録材の両面を順次搬送して、それぞれの面に画像を形成する装置においても有効である。このような装置においては、両面に転写すべき画像をそれぞれ形成する間に、1枚の記録材の一方面が転写位置を通過し次いでその他方面が転写位置に到達するまでの間に対応する空き時間が生じる。したがって、この間に現像ロータリーを回転させトナーの攪拌動作を行えば、空き時間を有効に活用することができ、画像形成のスループットを低下させることなく効率よく攪拌動作を行なうことができる。
【0013】
特に、記録材の両面に画像を形成する印刷ジョブ(以下、「両面印刷ジョブ」という)、および記録材の片面のみに画像を形成する印刷ジョブ(以下、「片面印刷ジョブ」という)を連続して行う場合には、両面印刷ジョブの最後の記録材の両面に形成すべき画像をそれぞれ形成する間に攪拌動作を行うのがよい。こうすることで、攪拌動作は両面印刷ジョブの実行中に行われるのでスループットの低下がなく、また片面印刷ジョブ実行中の攪拌動作の実行回数を最小にすることができる。
【0014】
逆に、片面印刷ジョブと両面印刷ジョブとをこの順番で連続的に実行する場合には、片面印刷ジョブで実行すべき攪拌動作を、両面印刷ジョブの最初の画像を形成した後まで先延ばしするようにしてもよい。片面印刷ジョブの実行中に攪拌動作を行うと画像形成が中断されスループットが低下してしまうのに対し、両面印刷ジョブにおいてはスループットを低下させることなく攪拌動作を行なうことができるからである。
【0015】
また、1枚の記録材の両面間で画像品質に顕著な差が現れないようにするため、1枚の記録材の一方面、他方面それぞれに転写すべき画像を形成する間は攪拌動作を行わないようにしてもよい。
【0016】
ところで、現像ロータリーにそれぞれ異なる色のトナーを貯留した複数の現像器を装着しカラー画像を形成する場合には、画像形成のプロセス中に現像ロータリーの回転が必須的に行われるため、さらに攪拌動作を行う必要はない。一方、1つのトナー色によるモノクロ画像を連続的に形成する場合には、その間には現像ロータリーの回転が行われない。このため、多数枚のモノクロ画像を連続的に形成する場合には、所定のタイミングで画像形成を中断し現像ロータリーを回転させてトナーの攪拌を行うことが望ましい。
【0017】
この場合において、次の印刷ジョブがカラー画像を形成するものであることがわかっているならば、カラー画像を形成するプロセスにおいてトナーが攪拌されることを期待して、モノクロ画像の形成中に行うべき攪拌動作を省略するようにしてもよい。
【0018】
また、この発明の第2の態様は、トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを用いて、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を前記トナーを用いて形成する画像形成装置および画像形成方法において、上記目的を達成するため、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作の実行タイミングを、予め設定されたタイミングで実行するか、あるいは前記印刷ジョブの内容に応じて設定したタイミングで実行するかをユーザに選択させ、その結果に基づき、予め設定されたタイミングで、または前記印刷ジョブの内容に応じて設定されたタイミングで、前記攪拌動作を実行することを特徴としている。
【0019】
画像品質の維持という観点からは、予め決まったタイミングで、例えば一定の画像形成枚数ごとに攪拌動作を行うことが望ましい。その一方、現像ロータリーを回転させる間、画像形成を行えないので、このように画一的な実行タイミングで攪拌動作を行ったのでは画像形成のスループットが低下する場合がある。そこで、予め定められたタイミング(固定タイミング)で攪拌動作を行うのか、印刷ジョブの内容に応じて定められるタイミング(変動タイミング)で攪拌動作を行うのかをユーザに選択させるようにすれば、必要に応じてこれら2つのタイミングを使い分けることができる。ユーザは、スループットよりも画像品質を重視する場合には固定タイミングを、高スループットを求める場合には変動タイミングを選択することができる。こうすることで、ユーザにとってはより利便性に優れた装置となる。
【0020】
また、この発明の第3の態様は、トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを用いて、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を、所定の方向に移動する像担持体上に前記トナーを用いて形成する画像形成装置および画像形成方法において、上記目的を達成するため、前記像担持体の移動方向に沿った長さが第1の長さである第1の画像と、前記移動方向に沿った長さが前記第1の長さよりも長い第2の長さである第2の画像とを相次いで形成する場合には、前記現像ロータリーを用いて前記第1の画像を形成した後に、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作を実行することを特徴としている。
【0021】
プロセス制御を合理的に行うためには、複数枚の画像は一連の画像形成プロセスの周期的な繰り返しによって形成されるのが望ましい。したがって、連続的に形成される複数枚の画像に長さの異なるものが混在している場合には、最も長い画像に合わせた画像形成プロセスが実行されることとなる。このため、その中に短い画像が含まれる場合、その形成を終わってから次の画像を形成するまでの間に空き時間が生じることとなる。そこで、この間に現像ロータリーの回転を行いトナーを攪拌するようにすれば、攪拌動作を効率よく行うことができ、ユーザにとって利便性に優れた装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
図1はこの発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じて、本発明の「制御手段」として機能するエンジンコントローラ10がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
【0023】
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置本体に対し着脱自在となっている。
【0024】
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。
【0025】
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に図1の矢印方向D4に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラ10により制御されている。そして、このエンジンコントローラ10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体22と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向する所定の現像位置に位置決めされると、当該現像器に設けられて選択された色の帯電トナーを担持するとともに所定の現像バイアスを印加された金属製の現像ローラ44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。各現像器の構造については後に詳述する。
【0026】
各現像器4Y、4C、4M、4Kには、図2に示すように、当該現像器に関する情報を記憶するための不揮発性メモリ91〜94と、各メモリと電気的に接続された無線通信用アンテナ49Y,49C,49Mおよび49Kとが設けられている。また、装置本体側においてロータリー現像ユニット4の外周部近傍には、トランスミッタ105を介してCPU101と接続された無線通信用アンテナ109が設けられている。そして、各現像器に設けられたアンテナ49Y、49C、49M、49Kのうち必要に応じて選択された1つが本体側に設けられたアンテナ109とが近接配置されるようにロータリー現像ユニット4が位置決めされると、エンジンコントローラ10のCPU101とメモリ91〜94との間で無線通信が行われる。こうすることで、各現像器に関する情報がCPU101に伝達されるとともに、各メモリ91〜94内の情報が更新記憶される。
【0027】
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路FFに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。
【0028】
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
【0029】
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路FFに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
【0030】
また、この装置は、図2に示すように、メインコントローラ11のCPU111により制御される表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU111からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
【0031】
また、表示部12の近傍には、キースイッチまたはタッチパネルにより構成され、CPU111に接続された入力部13が設けられている。ユーザは要求に応じて、または表示部12に表示されるメッセージに従って、この入力部13に対し所定の設定入力を行うことによって、装置の設定や実行すべき動作モードを変更することができる。
【0032】
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
【0033】
また、ローラ75の近傍には、クリーナ76が配置されている。このクリーナ76は図示を省略する電磁クラッチによってローラ75に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ75側に移動した状態でクリーナ76のブレードがローラ75に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。
【0034】
さらに、ローラ75の近傍には、濃度センサ60が配置されている。この濃度センサ60は、中間転写ベルト71の表面に対向して設けられており、必要に応じ、中間転写ベルト71の外周面に形成されるトナー像の画像濃度を測定する。そして、その測定結果に基づき、この装置では、画像品質に影響を与える装置各部の動作条件、例えば各現像器に与える現像バイアスや、露光ビームLの強度、さらには装置の階調補正特性などの調整を行っている。
【0035】
この濃度センサ60は、例えば反射型フォトセンサを用いて、中間転写ベルト71上の所定面積の領域の濃淡に対応した信号を出力するように構成されている。そして、CPU101は、中間転写ベルト71を周回移動させながらこの濃度センサ60からの出力信号を定期的にサンプリングすることで、中間転写ベルト71上のトナー像各部の画像濃度を検出することができる。
【0036】
図3は現像器の構造を示す断面図である。各現像器4Y、4C、4M、4Kはいずれも同一構造を有している。したがって、ここでは、現像器4Kの構成について図3を参照しながらさらに詳しく説明するが、その他の現像器4Y、4C、4Mについてもその構造および機能は同じである。この現像器4Kでは、その内部にトナーTを収容するハウジング41に供給ローラ43および現像ローラ44が軸着されており、当該現像器4Kが現像位置に位置決めされると、現像ローラ44が感光体2と当接してまたは所定のギャップを隔てて対向位置決めされるとともに、これらのローラ43、44が本体側に設けられた回転駆動部(図示省略)と係合されて所定の方向に回転する。この現像ローラ44は、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属または合金により円筒状に形成されている。そして、2つのローラ43、44が接触しながら回転することでトナーが現像ローラ44の表面に擦り付けられて所定厚みのトナー層が現像ローラ44表面に形成される。
【0037】
また、この現像器4Kでは、現像ローラ44の表面に形成されるトナー層の厚みを所定厚みに規制するための規制ブレード45が配置されている。この規制ブレード45は、ステンレスやリン青銅などの板状部材451と、板状部材451の先端部に取り付けられたゴムや樹脂部材などの弾性部材452とで構成されている。この板状部材451の後端部はハウジング41に固着されており、図3の矢印に示す現像ローラ44の回転方向において、板状部材451の先端部に取り付けられた弾性部材452が板状部材451の後端部よりも上流側に位置するように配設されている。そして、その弾性部材452が現像ローラ44表面に弾性的に当接して現像ローラ44の表面に形成されるトナー層を最終的に所定の厚みに規制する。
【0038】
このようにして現像ローラ44の表面に形成されたトナー層は、現像ローラ44の回転によって順次、その表面に静電潜像が形成されている感光体2との対向位置に搬送される。そして、エンジンコントローラ10からの現像バイアスが現像ローラ44に印加されると、現像ローラ44上に担持されたトナーは、感光体2の表面各部にその表面電位に応じて部分的に付着し、こうして感光体2上の静電潜像が当該トナー色のトナー像として顕像化される。
【0039】
なお、この現像器4Kでは、ハウジング41の内部が2つのチャンバ47,48に分割されている。つまり、現像器内ではトナーTが両チャンバ47,48に振り分けられた状態で貯留されている。このため、ハウジング41内に多量のトナーが貯留された状態においては、供給ローラ43と現像ローラ44との当接部分(以下、「供給位置」と称する)に過剰なトナーが供給されるのが防止される。また、ハウジング41内のトナーが少量となったときには、ロータリー現像ユニット4の回転によってトナーがチャンバ48側に集められて供給ローラ43と現像ローラ44との当接部分に供給される。その原理を図4を参照しながら説明する。
【0040】
図4はロータリー現像ユニット4を示す断面図である。現像器4K内のトナーTが少なくなった状態でロータリー現像ユニット4を矢印方向D4に回転させ、現像器4Kを図4に示す(a)、(b)および(c)の位置を順番に通過させると、ハウジング41内のトナーTが一箇所に寄せ集められ(図4(a)および(b))、チャンバ48に送り込まれる(図4(c))。そして、現像器4Kが図4(d)の位置に位置決めされると、現像器内のトナーは全てチャンバ48に集められた状態となる。
【0041】
また、現像器内に十分なトナーが貯留された状態であっても、画像形成動作を連続的に行うと、チャンバ48内では現像ローラ44から剥ぎ取られた劣化トナーの比率が増してくる。このような場合にロータリー現像ユニット4を回転させると、チャンバ47に貯留されたフレッシュなトナーとチャンバ48内のトナーとが混合・攪拌されて、ハウジング41内のトナーを均質化させることができる。
【0042】
このように、この実施形態では、ロータリー現像ユニット4を回転させることによって供給位置に供給されるトナーの量を安定化させるとともに、ハウジング41内のトナーの均質化を図っている。しかも、この実施形態では、以下に詳述するように、トナーを攪拌することを目的としたロータリー現像ユニット4の回転動作を適宜のタイミングで実行するようにしている。そのため、この実施形態の現像器4K等では、現像器内のトナーを攪拌・移送するための機構(オーガ等)を設ける必要がなくなっており、この実施形態では、装置を小型かつ低コストに構成することができる。
【0043】
次に、ロータリー現像ユニット4の回転によるトナーの攪拌動作について説明する。この実施形態では、カラー画像を形成するときの画像形成動作(カラー印刷モード)と、モノクロ画像を形成するときの画像形成動作(モノクロ印刷モード)との間で、ロータリー現像ユニット4の回転の態様が異なっている。これに起因して、トナー攪拌のためのロータリー現像ユニット4の回転動作も異なったものとなっている。
【0044】
図5はカラー印刷モードを示すフローチャートである。画像形成動作が実行されていないときには、ロータリー現像ユニット4は所定のホームポジションに位置決め停止されている。このホームポジションでは、各現像器に設けられた現像ローラ44がいずれも感光体22から十分離間した位置にある。そして、メインコントローラ11のインターフェース112を介して、カラー画像に対応する画像信号が与えられたとき、エンジンコントローラ10に設けられたCPU101は、図5に示す画像形成動作を実行する。まず、ロータリー現像ユニット4を回転させ、ブラック現像器4Kを感光体22と対向する現像位置(図1においてイエロー現像器4Yの位置)に位置決めする(ステップS101)。この状態で、画像信号に対応する画像の最初のページ、すなわち1枚目のシートSの一方面に転写すべき1ページ分のブラック色画像を形成する(ステップS102)。
【0045】
上記した単色画像の形成を、マゼンタ、シアンおよびイエローの各色について繰り返し行う(ステップS103,S104)。すなわち、現像ユニット4を90度ずつ回転させて、マゼンタ現像器4M、シアン現像器4Cおよびイエロー現像器4Yを順番に現像位置に位置させて、それぞれのトナー色の画像を形成する。これにより、中間転写ベルト71上には、ブラック、マゼンタ、シアンおよびイエローの各色が重ね合わされたフルカラー画像が1ページ分形成される。
【0046】
こうして形成され中間転写ベルト71に担持されたカラー画像が第2転写領域TR2まで搬送されてくるタイミングに合わせて、カセット8から1枚目のシートSが第2転写領域TR2に搬送される。そして、第2転写領域TR2において、中間転写ベルト71上のカラー画像がシートSの一方面に転写される。シートS1は定着ユニット9(図1)に送られ画像が定着される。
【0047】
ここで、シートS1の両面に画像を形成する必要があるときは(ステップS105)、シートSを反転搬送経路FRに送り込むとともに(ステップS106)、ステップS101ないしS104の動作を繰り返してシートSの他方面に形成すべきカラー画像を形成する。反転搬送経路FRを経由するシートSの搬送と、カラー画像の形成とを併行して行うことによって、装置を効率よく動作させて画像形成のスループットを向上させることができる。そして、中間転写ベルト71上のカラー画像が到達するタイミングに合わせてシートSの他方面を二次転写領域TR2に送り込み、画像を転写する。これにより、1枚のシートSの両面のそれぞれに所望の画像が形成される。また、シートSの他方面に画像を形成する必要がない(片面印刷)場合には以下のステップS107に進む。
【0048】
次のシートに形成すべき画像があるときには(ステップS107)、上記したステップS101ないしS106の動作を繰り返す一方、次の画像がなければ現像ユニット4をホームポジションに戻して画像形成動作を終了する。
【0049】
このように、カラー印刷モードを実行するときには、シート一面分のカラー画像を形成する動作シーケンスにおいて現像器が順次切り替えられることによって、ロータリー現像ユニット4が1回転している。つまり、一面分の画像を形成する度に現像器内のトナーが攪拌されているので、この場合には特別にトナー攪拌のためのロータリー回転動作を行う必要はない。
【0050】
一方、モノクロ印刷モードでは現像器の切り替えを必要としないので、複数枚の画像を連続的に形成する場合であっても基本的に現像ユニット4の回転は必要ない。しかしながら、この実施形態の現像器では内部にトナーを攪拌する機構を設けていないので、1つの現像器4Kを現像位置に位置決めしたまま多数枚の画像を形成した場合、チャンバ48内におけるトナー残量が低下するとともに劣化トナーの比率が増大し、結果的に画像品質が変動するおそれがある。そこで、この実施形態では、連続的に多数枚のモノクロ画像を形成する場合には、所定のタイミングでロータリー回転によるトナー攪拌動作を実行して、画像品質の維持を図っている。
【0051】
図6は片面モノクロ印刷モードを示すフローチャートである。各シートSの一方面のみにそれぞれモノクロ画像を形成する片面モノクロ印刷モードでは、画像形成枚数が一定枚数に達したときに現像ユニット4の回転によるトナー攪拌動作を行う。片面モノクロ画像に対応する画像信号が与えられたとき、エンジンコントローラ10は、まずロータリー現像ユニット4を回転させてブラック現像器4Kを現像位置に位置させ(ステップS201)、1ページ分のブラック色画像を形成する(ステップS202)。
【0052】
ここで、トナー攪拌動作が必要であるかどうかを判断する(ステップS203)。ここでの判断基準は、先にトナー攪拌動作を行って以後の画像形成枚数が所定枚数(例えば10枚)に達したかどうかである。すなわち、トナー攪拌動作後の画像形成枚数をカウントしておき、そのカウント値が所定枚数に達していればトナー攪拌動作が必要と判断する一方、画像形成枚数が所定枚数に満たなければトナー攪拌動作は不要と判断する。なお、先のトナー攪拌動作実行後、現像ユニット4がいったんホームポジションに戻されていた場合には、その回転動作による攪拌効果が期待できるので、画像形成枚数のカウントをリセットするようにしてもよい。
【0053】
攪拌動作が必要と判断されたときには、続いてロータリー現像ユニット4を1回転させ、現像器内のトナーを攪拌する(ステップS203)。一方、不要と判断されたときにはこのステップを省略する。
【0054】
そして、次に形成すべき画像があるか否かを判断し(ステップS205)、次の画像がある場合には上記したステップS202ないしS204を繰り返して必要枚数の画像を形成する一方、次の画像がなければ現像ユニット4をホームポジションに戻して画像形成動作を終了する(ステップS206)。なお、ホームポジションへのロータリー現像ユニット4の移動は、1回転以上の現像ユニット4の回転を伴うものであることが望ましい。こうすることで、装置はトナーが攪拌された状態で待機状態に移行することとなるので、次に形成される画像の品質を良好に保つことができる。
【0055】
このように、片面モノクロ印刷モードでは、一定の画像形成枚数ごとにロータリー現像ユニット4を回転させて、現像器内のトナーの攪拌動作を行っている。こうすることで、画像品質の変動を抑えることができる。なお、トナー攪拌動作を行う頻度は、画像品質の観点からはできるだけ多い方がよいが、攪拌動作の間は画像形成が中断されることとなるので、あまり多くしすぎると画像形成のスループットが低下してしまう。したがって、その頻度は、画像品質の変動が目立たない範囲でできるだけ低くすることが望ましい。
【0056】
図7は両面モノクロ印刷モードを示すフローチャートである。各シートSの両面にそれぞれモノクロ画像を形成する両面モノクロ印刷モードでは、画像形成枚数が一定枚数に達したときであって、1枚のシートの第1面に転写すべき画像の形成と第2面に転写すべき画像の形成との間にトナー攪拌動作を行う。両面モノクロ画像に対応する画像信号が与えられたとき、エンジンコントローラ10は、ロータリー現像ユニット4を回転させてブラック現像器4Kを現像位置に位置決めし(ステップS301)、1ページ分のモノクロ画像を形成する(ステップS302)。こうして形成した画像については、二次転写領域TR2においてシートSに転写する。シートSは定着ユニット9(図1)に送られ画像が定着された後、もう一方の面にも画像を形成すべく反転搬送経路FRに送り込まれる(ステップS303)。
【0057】
次に、現像ユニット4の回転によるトナー攪拌動作が必要か否かを判断する(ステップS303)。ここで、攪拌動作が必要と判断したときには続いて現像ユニット4を1回転させるが(ステップS305)、不要と判断したときにはこのステップを省略する。
【0058】
続いて、1枚目のシートの第2面、つまり先に画像を転写された面とは反対の面に転写すべき画像を形成する(ステップS306)。こうして形成した画像については、反転搬送経路FRを経て再び二次転写領域TR2に搬送されてきたシートSの他方面に転写する。そして、次のシートに形成すべき画像があるときには(ステップS307)、引き続き上記したステップS302ないしS306の動作を繰り返し実行することによって、必要枚数の画像を形成する。一方、続いて形成すべき画像がなければ、現像ユニット4をホームポジションに戻し画像形成動作を終了する(ステップS308)。
【0059】
このように、この実施形態の両面モノクロ印刷モードでは、1枚のシートの第1面に転写すべき画像を形成してから、その第2面に転写すべき画像を形成するまでの間に、現像ユニット4の回転によるトナー攪拌動作が行われるように、両面モノクロ印刷モードの動作シーケンスが構成されている。このようにする理由について、図8および図9を参照しながら説明する。
【0060】
図8はシート搬送の様子を模式的に示す図である。1枚のシートS1の両面に画像を形成する場合、図8(a)に示すように、まずシートS1の一方面S1aが搬送経路FFに沿って二次転写領域TR2に送り込まれる。次に、二次転写領域TR2を通過したシートS1は反転搬送経路FRに沿って搬送される(図8(b))。その後、シートS1の他方面S1bが二次転写領域TR2に送り込まれて中間転写ベルト71から画像を転写される(図8(c))。
【0061】
このように、シートS1の一方面S1aが二次転写領域TR2を通過してからもう一方の面S1bが二次転写領域TR2に到達するまでの間に、一定の空き時間が発生する。この空き時間は、シートS1の搬送速度および反転搬送経路FRの長さによって決まるシートS1を反転させるのに必要な時間であり、この時間を短縮することは装置の構成上容易でない。一方、シートS1に続けてシートS2に画像を転写する場合を考えてみると、図8(d)に示すよりも、先のシートS1が二次転写領域TR2を通過してから、上記空き時間よりも短い時間間隔で次のシートS2を二次転写領域TR2に送り込むことができる。
【0062】
つまり、このような構成の画像形成装置では、2枚のシートを順次二次転写領域TR2に送り込む場合よりも、1枚のシートの両面を順次二次転写領域TR2に送り込む場合の方が空き時間が多くなってしまう。そこで、この実施形態では、この空き時間を活用してトナー攪拌動作を行うことによって、装置を効率よく動作させて画像形成のスループットを向上させるようにしている。
【0063】
すなわち、1枚のシートに転写する画像を形成してから次のシートに転写する画像を形成するまでの間に現像ユニット4の回転動作を行ったのでは、両シートに転写すべき画像を連続的に形成することができるにもかかわらず、画像形成をいったん中断しなければならないこととなる。これに対して、1枚のシートの両面に転写すべき画像を形成する間に現像ユニット4を回転させるようにすれば、もともと短縮できない空き時間を有効に活用してトナーの攪拌動作を行うことができる。その結果、スループットの低下を防止しながら、画像品質の変動を効果的に抑制することが可能となる。
【0064】
図9はトナー攪拌動作の実行タイミングを示すタイミングチャートである。ここでは、シート1枚についての動作シーケンスを実行する度に攪拌動作を実行した場合、つまり図7に示すステップS304における判断結果が常に「YES」である場合を例示している。しかしながら、通常はこれより低い頻度でトナー攪拌動作を実行すれば十分である。すなわち、図7に示すステップS304における判断は、片面モノクロ印刷モードの場合と同様に、画像形成枚数が所定枚数に達したときに「YES」となるような判断基準に基づき行われればよい。
【0065】
ただし、複数枚のシートの両面に連続的に画像を形成するような印刷ジョブを実行する際には、少なくともその印刷ジョブにおける最後のシートに転写すべき2つの画像の形成の合間にトナー攪拌動作を行うようにするのが望ましい。すなわち、図7のステップS304において、直前のステップS302において形成した画像が当該ジョブの最後のシートの一方面に転写すべきものである場合には、トナー攪拌が必要と判断されるようにするのが望ましい。こうして印刷ジョブの終了直前にトナー攪拌動作を行っておくことによって、次のような効果が得られる。
【0066】
すなわち、トナー攪拌が終了してから印刷ジョブが終了するので、現像ローラ44に均質かつ十分な量のトナーが供給された状態で装置が待機状態に移行することとなり、次に実行される印刷ジョブを速やかに処理することができる。また、そうして形成される画像の品質も保たれる。特に、次に実行される印刷ジョブが上記した片面モノクロ印刷モードに対応したものであった場合には、スループットの低下を抑えることが可能となる。というのは、既にトナー攪拌動作が実行されているので、次にトナー攪拌動作を実行すべきタイミングが来るまでに形成することのできる画像の枚数を最大とすることができ、トナー攪拌動作の実行頻度を最小限に抑えることができるからである。
【0067】
例えば、両面モノクロ印刷モードの実行後、間をおかずに片面モノクロ印刷モードを実行するような場合であっても、片面モノクロ印刷モードの実行中に実行すべきトナー攪拌動作の回数を最小限に抑えることができる。
【0068】
上記のように構成された両面モノクロ印刷モードが実行されると、まず時刻t0においてロータリー現像ユニット4の回転駆動が開始され、ブラック現像器4Kが現像位置に位置決めされる。そして、現像ローラ44に現像バイアスが印加されて1ページ分のモノクロ画像が形成される。ここで形成される画像は、最初に二次転写領域TR2に送り込まれてくる1枚目のシートS1の一方面S1aに転写すべき画像1Aである。こうして形成された画像は一次転写領域TR1において中間転写ベルト71に転写され、該ベルト71の回転移動に伴って二次転写領域TR2に搬送されて、搬送経路FFに沿って搬送されてきたシートS1の一方面S1aに転写される(時刻t1ないしt2)。先に説明した図8(a)の状態は、図9における時刻t1に対応している。
【0069】
その後、シートS1が反転搬送経路FRを経て反転されその他方面S1bが二次転写領域TR2に搬送されてくる時刻t4までの間には空き時間Δt1が生じる。この間の時刻t3におけるシートS1の状態を表しているのが図8(b)であり、時刻t4におけるシートS1の状態を表しているのが図8(c)である。
【0070】
画像品質を安定させるために、中間転写ベルト71は一定の回転速度で回転させておくことが望ましい。したがって、シートS1の他方面S1bに転写すべき画像1Bの中間転写ベルト71への形成は、画像1Aの形成後、この空き時間Δt1に相当する間隔を空けて行う必要がある。この間、現像器4Kは手待ちの状態となるので、この間を利用してロータリー現像ユニット4を1回転させ現像器4K内のトナーを攪拌する。こうして攪拌され均質化されたトナーを用いて画像1Bを形成する。
【0071】
こうして形成された画像1Bは、二次転写領域TR2においてシートS1の他方面S1bに転写される(時刻t4ないしt5)。図8(d)は、時刻t5におけるシートS1の状態を示している。このとき、図8(d)に示すように、次のシートS2をシートS1に続けて二次転写領域TR2に送り込むことができる。シートS1が反転される搬送経路FRと、カセット8から取り出されたシートが搬送される経路とが、二次転写領域TR2の直前まで交わらないように搬送経路が構成されているからである。
【0072】
したがって、1枚目のシートS1の他方面S1bの後端部が二次転写領域TR2を通過する時刻t5と、2枚目のシートS2の一方面S2aが二次転写領域TR2に到達する時刻t6との間の時間差Δt2は、前記した時間差Δt1よりもずっと小さくすることができる。そこで、この実施形態では、シートS1の他方面S1bに転写すべき画像1Bと、次のシートS2の一方面S2aに転写すべき画像2Aとを連続的に形成することで、画像形成のスループットを高めている。なお、図9の例では、画像1Bおよび画像2Aの形成の間にいったん現像バイアスをオフにしているが、オン状態を継続するようにしてもよい。
【0073】
こうして画像2Aを形成した後、シートS2の他方面S2bに転写すべき画像2Bを形成するまでの間には、前記したと同じ理由で空き時間が生じる。こうして必須的に生じる空き時間の間にロータリー現像ユニット4を回転させトナー攪拌動作を行うことにより、画像形成のスループットを低下させることなく、画像品質を安定に維持することができる。また、3枚目のシートの一方面に転写すべき画像3Aについては、画像2Bの形成に続けて形成することができる。
【0074】
このように構成された画像形成装置に対して、従来の画像形成装置の中には、シートS1の一方面S1a、シートS2の一方面S2a、シートS1の他方面S1bおよびシートS2の他方面S2bをこの順番で二次転写領域へ送り込むように構成されたものがある。このように構成された装置においては、シートS1を反転させる空き時間の間に次のシートS2に転写すべき画像を形成することによって、空き時間の解消およびスループットの向上を図っている。しかしながら、このような構成とするためには、シート2面分の画像を一時的に担持することのできる転写媒体およびシート2枚を同時に搬送することのできる搬送経路を設ける必要があり、不可避的に装置は大型化してしまう。すなわち、このような構成は、小型化を要求される装置には適さない。
【0075】
これに対して、動作シーケンスを前述したように構成すれば、転写媒体および搬送経路はシート1枚分のサイズに対応したものとすればよいので、スループットの低下および画像品質の変動を抑えながら、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0076】
ここまで、カラー印刷モード、片面モノクロ印刷モードおよび両面モノクロ印刷モードのそれぞれについて、各動作モードが単独で実行される場合について説明してきた。これらの動作モードは、外部装置から与えられる印刷ジョブに包含される情報、すなわち、形成すべき画像の枚数や、形成すべき画像がモノクロ画像かカラー画像か、あるいはシートSの片面・両面のいずれに画像を形成するのかといった情報に応じて選択的に実行される。
【0077】
ところで、場合によっては、複数の印刷ジョブを相次いで処理しなければならないときがある。例えば、1つの印刷ジョブに対応する動作モードの実行中に、新たな印刷ジョブが与えられた場合である。このような場合に、前後の印刷ジョブの組み合わせに応じて、上記した攪拌動作の実行タイミングを適宜変更した方がよい場合がある。特に、片面モノクロ印刷モード中に攪拌動作を行うと、画像形成が一時的に中断されてスループットが低下することから、相次いで行う他の動作モードとの間で攪拌動作の実行タイミングを調整し、スループットの低下を防止することが望まれる。
【0078】
以下、より好ましい攪拌動作の実行タイミングについて、いくつかのケースを挙げて説明する。攪拌動作の実行タイミングの変更は、図6のステップS203および図7のステップS304における判断基準を以下に説明する原理に則って適宜変更することによって実現可能である。なお、以下では、カラー印刷モード、片面モノクロ印刷モードおよび両面モノクロ印刷モードが選択実行されるべき印刷ジョブを、それぞれ「カラー印刷ジョブ」、「片面モノクロ印刷ジョブ」および「両面モノクロ印刷ジョブ」と称することとする。
【0079】
(1)片面モノクロ印刷ジョブの後に別の片面モノクロ印刷ジョブを実行する場合
片面モノクロ印刷ジョブを実行する場合には、画像形成枚数が所定枚数に達する度に攪拌動作が実行される。ここで、2つの片面モノクロ印刷ジョブを続けて行う場合には、これらの印刷ジョブを一体のものとして画像形成枚数を通算して数えることができる。つまり、最初の印刷ジョブを終了する時点で攪拌動作を実行すべきタイミングに達していなければ、攪拌動作を行うことなく引き続き後の印刷ジョブを実行することができる。そして、通算された画像形成枚数が後の印刷ジョブの実行中に所定枚数に達した場合には、画像形成を中断して攪拌動作を行えばよい。
【0080】
ただし、後の印刷ジョブにおいて形成すべき画像の枚数が少ない場合には、その実行中の攪拌動作を省略するようにしてもよい。というのは、トナーを攪拌せずに画像形成を続けることによる画像品質の劣化は徐々に進むので、形成する画像の枚数が少なければ最初の画像と最後の画像との間で画像品質の差は僅かであるからである。そして、このように攪拌動作を省略することによって、画像形成のスループットの低下を防止することができる。
【0081】
この考え方は、1つの片面モノクロ印刷ジョブを実行しているときにも適用することができる。すなわち、片面モノクロ印刷ジョブの実行中に画像形成枚数が所定枚数に達し攪拌動作を行うべきタイミングが来た場合、当該印刷ジョブにおいて形成すべき画像がまだ多数残されている場合には攪拌動作を行って、低下し始めた画像品質を回復しておく必要があるが、その後に形成すべき画像の枚数が少ない場合には、むしろそのまま画像形成を継続した方が好ましい。攪拌動作による画像品質の回復よりも、高スループットが得られるという利点の方が大きいからである。
【0082】
このように、予め設定された攪拌動作を実行すべきタイミングが来たとしても、形成すべき画像の枚数が少なければ、攪拌動作を行わずにそのまま印刷ジョブを継続して行うことができる。こうすることによって、画像形成のスループットの低下を防止することができる。
【0083】
なお、1つの印刷ジョブの途中で攪拌動作を実行すると、その前後で僅かながら画像品質の差異を生じる場合がある。画像の品質が重視されこのような差異が許容されない場合には、最初の印刷ジョブの実行後、後の印刷ジョブを実行開始する前、つまり両印刷ジョブの間で攪拌動作を行うようにすればよい。こうすることにより、1つの印刷ジョブにおいて形成される一連の画像の品質のばらつきが抑えられる。
【0084】
(2)片面モノクロ印刷ジョブの後に両面モノクロ印刷ジョブを実行する場合
片面モノクロ印刷ジョブの実行中に攪拌動作を行うと画像形成が一時的に中断されスループットが低下するのに対し、両面モノクロ印刷ジョブの実行中に攪拌動作を行ってもスループットの低下はない。したがって、攪拌動作はできるだけ両面モノクロ印刷ジョブの実行中に行いたい。そこで、このような場合には、片面モノクロ印刷ジョブにおいて本来実行すべき攪拌動作の実行を先延ばしして、両面モノクロ印刷ジョブの実行中に攪拌動作を行うようにすればスループットの低下が防止される。特に、攪拌動作を実行すべきタイミングが来たときに片面モノクロ印刷ジョブにおいて形成すべき画像の残り枚数が少ないときに、その効果が大きい。ただし、片面モノクロ印刷ジョブにおいて形成すべき画像がまだ多数残っているような場合には、その時点で攪拌動作を行っておくのが好ましい。
【0085】
図10は印刷ジョブ間で調整された攪拌動作の実行タイミングの一例を示すタイミングチャートである。ここでは、片面モノクロ印刷ジョブ#1の後に続けて両面モノクロ印刷ジョブ#2を実行する場合を示している。片面モノクロ印刷ジョブ#1の実行中に、先の攪拌動作を行ってからの画像形成枚数が所定値に達し、攪拌動作を実行すべきタイミングt11が来たとする。この場合、直ちに攪拌動作を実行すると画像形成が一時的に中断されることとなる。しかしながら、当該印刷ジョブ#1において形成すべき画像の残り枚数が2枚と少なく、しかも次に実行すべき印刷ジョブ#2が両面モノクロ印刷ジョブであることから、この時刻t11では攪拌動作を実行しない。そして、片面モノクロ印刷ジョブ#1の実行を終了すると直ちに両面モノクロ印刷ジョブ#2の実行を開始し(時刻t12)、その最初の画像を形成した後にロータリー現像ユニット4を回転させ、トナーの攪拌を行う(時刻t13〜t14)。このようにすると、スループットの低下は防止される。
【0086】
ただし、上記した(1)の場合と同様に、スループットより画像品質が重視される場合には、両印刷ジョブの間に攪拌動作を行うことが好ましい。このことは以下に述べる各ケースにおいても同じである。
【0087】
(3)両面モノクロ印刷ジョブの後に片面モノクロ印刷ジョブを実行する場合
両面モノクロ印刷ジョブの実行中においては、スループットを低下させることなく攪拌動作を行うことができる。そこで、両面モノクロ印刷ジョブにおいてできるだけ最後に近いタイミングで攪拌動作を行っておけば、次の片面モノクロ印刷ジョブにおける攪拌動作の実行タイミングを先延ばしすることができる。さらには、片面モノクロ印刷ジョブにおいて形成すべき画像の枚数が少なければその実行中には攪拌動作を行う必要がなくなる。
【0088】
これを可能とするためには、両面モノクロ印刷ジョブの最後の1枚のシートの第1面に転写すべき画像と、その第2面に転写すべき画像とを形成する間の空き時間に現像ユニット4を回転させればよい。この攪拌動作は、先の攪拌動作の実行後の画像形成枚数の多少によらず実行することが望ましいが、先の攪拌動作の実行後に形成した画像の枚数が少なく、しかも、次の片面モノクロ印刷ジョブにおいて形成すべき画像の枚数が少ない場合には省略することができる。特に、先の攪拌動作後に両面モノクロ印刷ジョブおよび片面モノクロ印刷ジョブにおいて形成すべき画像の合計枚数が、攪拌動作を実行すべき所定枚数に達しない場合には、省略して差し支えない。
【0089】
(4)片面モノクロ印刷ジョブの後にカラー印刷ジョブを実行する場合
カラー印刷ジョブを実行するときには必須的に現像ユニット4の回転が行われる。これによりトナー攪拌効果が得られるので、別途攪拌動作を行う必要がない。このことから、片面モノクロ印刷ジョブの実行中に攪拌動作を行うべきタイミングが来た場合であっても、その時点で形成すべき画像の残り枚数が少なければ攪拌動作を省略することができる。その後実行されるカラー印刷ジョブにおいてトナーが攪拌されるからである。
【0090】
(5)カラー印刷ジョブの後に片面モノクロ印刷ジョブを実行する場合
この場合には、片面モノクロ印刷ジョブを実行開始する時点でトナーが攪拌されているので、その実行開始時点から画像形成枚数をカウントし、必要に応じて攪拌動作を実行すればよい。
【0091】
(6)長さの異なる画像が混在する場合
安定した画像品質を得るため、感光体22および中間転写ベルト71については一定の回転速度で回転させておくことが望ましい。また、画像形成動作の動作シーケンスはこれらの回転に同期するように構成されている。このため、感光体22あるいは中間転写ベルト71の移動方向に沿った長さの異なる画像を続けて形成すると、短い画像を形成した後に、次の画像を形成開始するまでの間に空き時間が生じてしまう。これを解消するために、画像の長さに合わせて動作シーケンスを変更しようとすると、制御が複雑となってしまう。そこで、最も長い画像に合わせて動作シーケンスを構成するとともに、そのシーケンスに基づき短い画像を形成した後に生じる空き時間を攪拌動作に充てることによって、複雑な制御は不要となり、しかも、効率よく攪拌動作を行うことができる。
【0092】
図11は画像の長さが異なる場合のトナー攪拌動作の実行タイミングを示すタイミングチャートである。図11(a)は、長シートSlに画像を形成する印刷ジョブ#3と、これより短い短シートSsに画像を形成する印刷ジョブ#4とを連続的に実行する場合を示している。また、図11(b)は、長シートSlに画像を形成する印刷ジョブ#5および#7の間に、短シートSsに対応する画像を1枚だけ形成する印刷ジョブ#6が挿入されている場合を示している。
【0093】
中間転写ベルト71の長さおよび画像形成動作の動作シーケンスは、基本的に長い方のシートSlの長さに合わせて構成されており、同じ長さの画像を複数枚形成する場合には、周期Tlなる動作シーケンスを繰り返し実行することとなる。この周期Tlは、長シートSlの長さに対応する画像と、その後に設ける僅かな余白とを形成するのに要する時間である。
【0094】
ここで、引き続き、短シートSsに画像を形成する場合を考える。短シートSsに合わせて、上記周期Tlよりも短い周期Tsで画像を形成する動作シーケンスが用意されている場合には、その動作シーケンスを実行することで、それぞれの印刷ジョブ#3、#4においては形成する画像のサイズに適合したシーケンスが実行され、全体の処理時間を短縮することができる。このような場合には、必要に応じて、図11(a)に示すように、両印刷ジョブの間に現像ユニット4を回転させトナーの攪拌を行うことが望ましい。
【0095】
しかしながら、例えばこのような短シートに対応する動作シーケンスが用意されていない場合、短シートに形成すべき画像の枚数が少ない場合および短シートに画像を形成した後続けて長シートに画像を形成する場合などには、いちいち動作シーケンスを切り替えるよりも、短シートSsに対応する画像の形成を長シートSl用の動作シーケンスにより行う方が効率的である。このような場合には、図11(b)に示すように、短シートSsに対応する画像を形成した後に空き時間Δt3が生じるので、この間に現像ユニット4を回転させトナーの攪拌を行えば、スループットを低下させることなく、しかも画像品質を良好に保つことができる。したがって、例えば、長シートに対応する印刷ジョブ#5の実行中に攪拌動作を行うべきタイミングが来たとしても、画像の残り枚数が少なければその時点の攪拌動作を省略し、続く短シートに対応する印刷ジョブ#6において攪拌動作を実行するというように、攪拌動作の実行タイミングを調整することができる。
【0096】
以上のように、この発明にかかる画像形成装置および画像形成方法の第1実施形態においては、現像ユニット4の回転によるトナーの攪拌動作を行うタイミングを一定とせず、実行すべき印刷ジョブの内容に応じて適宜設定して実行するようにしている。具体的には、画像形成のスループットを重視する場合には、本来行うべき攪拌動作のタイミングを印刷ジョブの内容に応じて変更し実行することによって、画像品質の低下を抑えつつ、スループットの低下を防止している。また、画像品質を重視する場合には、必要に応じて、印刷ジョブの間に攪拌動作を行うことによって、画像品質の低下を防止している。
【0097】
このように、印刷ジョブの内容に応じて設定したタイミングで攪拌動作を行うことによって、この実施形態の画像形成装置は、従来技術の画像形成装置よりもユーザにとって利便性に優れたものとなる。
【0098】
(第2実施形態)
ところで、画像品質を重視するか、スループットを重視するかはユーザによって異なる。また、同じユーザにおいても、その用途によって異なる。したがって、ユーザの要求により、どちらをより重視するかを選択することができればユーザにとって好都合である。そこで、この発明にかかる画像形成装置の第2実施形態では、攪拌動作の実行タイミングを画像品質重視で定めるか、スループット重視で定めるかをユーザ設定により選択できるようにしている。この点を除けば、第2実施形態の画像形成装置の構成および動作は前記した第1実施形態の装置と同一である。
【0099】
図12は攪拌動作の実行タイミングの決定方法を示すフローチャートである。まず、入力部13に対するユーザの設定入力の内容を判定する(ステップS401)。ここで、ユーザの設定入力が、攪拌動作のタイミングを固定タイミングとすることを望むものであった場合には、以後の攪拌動作が、印刷ジョブの内容に関係なく予め設定されたタイミングで行われるような設定を選択する(ステップS402)。一方、ユーザの設定入力が、攪拌動作のタイミングを変動タイミングとすることを望むものであった場合には、以後の攪拌動作は、印刷ジョブの内容に応じて適宜設定されたタイミングで実行されるようにする(ステップS403)。
【0100】
そして、外部装置から新たな印刷ジョブが与えられるまで待機するとともに(ステップS404)、新たな印刷ジョブが与えられたときには、その内容に応じて動作モードを選択し実行する(ステップS405,S406)。選択された動作モードを実行する際には、先に設定された実行タイミングで適宜攪拌動作が行われる。例えば、ユーザが固定タイミングを選択した場合には、予め定められたタイミング、例えば、画像形成枚数が一定枚数に達するごとに攪拌動作が実行されるので、画像品質が一定に維持される。また、ユーザが変動タイミングを選択した場合には、上記した第1実施形態と同様に、印刷ジョブの内容に応じて攪拌動作の実行タイミングが適宜調整されるので、スループットの低下が防止される。
【0101】
なお、攪拌動作の実行タイミングを固定タイミングとするか、変動タイミングとするかについては、上記のようにユーザにいずれかを選択させる以外に、例えば、いずれかのタイミングを装置の標準の実行タイミングとして予め定めておき、これに基づき攪拌動作を実行するとともに、特にユーザからの設定入力があったときには一時的に他の実行タイミングを適用するように構成してもよい。
【0102】
以上のように、この発明にかかる画像形成装置および画像形成方法の第2実施形態においては、ロータリー現像ユニット4の回転によるトナーの攪拌動作を、予め定められた固定タイミングで実行するか、あるいは印刷ジョブの内容に応じた変動タイミングで実行するかを、ユーザに選択させることができるようにしている。こうすることにより、ユーザは好みに応じて両実行タイミングを使い分けることができる。このように、この発明によれば、ユーザに利便性の高い画像形成装置を提供することが可能となる。
【0103】
以上説明したように、上記各実施形態の画像形成装置においては、エンジン部EGが本発明の「像形成手段」として機能している。また、搬送経路FFおよび反転搬送経路FRを構成するゲートローラ81およびその他のローラ82,83等が一体として本発明の「搬送手段」として機能している。さらに、ロータリー現像ユニット4の回転を制御するエンジンコントローラ10が本発明の「制御手段」として機能している。また、入力部13が本発明の「入力手段」として機能している。また、上記各実施形態においては、二次転写領域TR2が本発明の「転写位置」に相当している。
【0104】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態の画像形成装置は4色のトナー色に対応した現像器を装着した状態で使用されるものであるが、この種の装置では、複数装着可能な現像器のうち1つの現像器のみを装着してモノクロ画像のみを印刷する動作が可能となっているものがあり、このような動作をする装置においても本発明を有効に適用することができる。
【0105】
また、上記各実施形態では、画像形成枚数によってトナー攪拌動作を行うか否かを判断している。しかしながら、画像品質の変動は、現像器内のトナーが攪拌されないことのみによって起こるわけではなく、トナーの劣化や残量減少に起因しても生じる。例えば、トナーの残量が少なくなると、現像ローラ44に供給されるトナー量自体が低下する。また、トナー残量は十分であっても、その中の劣化トナーの含有率が異常に高くなる場合もありうる。そこで、トナー残量が所定値を下回ったときや、現像器の使用時間が所定値に達したときなどに、トナー攪拌動作を実行するようにしてもよい。
【0106】
また、変動タイミングで攪拌動作を実施する場合の実行タイミングの定め方として説明した上記(1)ないし(6)の各方法のうち、両面モノクロ印刷ジョブが関係しない(1),(4),(5)および(6)については、シートの片面のみに画像を形成するように構成された画像形成装置に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】この発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】現像器の構造を示す断面図。
【図4】ロータリー現像ユニットを示す断面図。
【図5】カラー印刷モードを示すフローチャート。
【図6】片面モノクロ印刷モードを示すフローチャート。
【図7】両面モノクロ印刷モードを示すフローチャート。
【図8】シート搬送の様子を模式的に示す図。
【図9】トナー攪拌動作の実行タイミングを示すタイミングチャート。
【図10】印刷ジョブ間で調整された攪拌動作の実行タイミングの一例を示す図。
【図11】画像の長さが異なる場合のトナー攪拌動作の実行タイミングを示す図。
【図12】攪拌動作の実行タイミングの決定方法を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0108】
4…ロータリー現像ユニット(現像ロータリー)、 4C,4K,4M,4Y…現像器、 10…エンジンコントローラ(制御手段)、 13…入力部(入力手段)、 22…感光体、 81,82,83…ローラ(搬送手段)、 EG…エンジン部(像形成手段)、 S,S1,S2…シート(記録材)、 TR2…二次転写領域(転写位置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを有し、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を前記トナーを用いて形成する像形成手段と、
前記現像ロータリーの回転を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記印刷ジョブの内容に応じて設定したタイミングで、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作を実行する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、実行中の印刷ジョブにおいて形成すべき画像の枚数が所定枚数未満であるときには、当該印刷ジョブの実行中には前記攪拌動作を行わず、当該印刷ジョブの実行後に前記攪拌動作を行う請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前回攪拌動作を実行してから後に形成した画像の枚数が所定の基準枚数に達したときであって、実行中の印刷ジョブにおいて形成すべき画像のうちまだ形成していない未形成画像の枚数が所定枚数以上であるときには直ちに前記攪拌動作を実行する一方、前記未形成画像の枚数が前記所定枚数未満であるときには、当該印刷ジョブの実行終了後に前記攪拌動作を実行する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の印刷ジョブを連続して実行する場合には、前記制御手段は、1つの印刷ジョブの実行中には前記攪拌動作を行わず、当該印刷ジョブの実行終了後、次の印刷ジョブの実行開始する前に前記攪拌動作を実行する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
所定の転写位置にシート状の記録材の一方面を搬送して前記像形成手段により形成された第1の画像を転写し、さらに前記記録材の他方面を前記転写位置に搬送して前記像形成手段により形成された第2の画像を転写する搬送手段をさらに備え、
前記記録材の両面に画像を形成可能に構成された請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
印刷ジョブが前記記録材の両面に画像を形成するものであるときには、前記像形成手段が1枚の記録材の一方面に転写すべき画像の形成を終了してから当該記録材の他方面に転写すべき画像の形成を開始するまでの間に、前記制御手段が前記攪拌動作を実行する請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
第1の印刷ジョブが前記記録材の両面に画像を形成するものであり、かつ、次に実行すべき第2の印刷ジョブが記録材の片面に画像を形成するものである場合には、前記像形成手段が前記第1の印刷ジョブの最後の記録材の一方面に転写すべき画像の形成を終了してから当該記録材の他方面に転写すべき画像の形成を開始するまでの間に、前記制御手段が前記攪拌動作を実行する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
第1の印刷ジョブが記録材の片面に画像を形成するものであり、かつ、次に実行すべき第2の印刷ジョブが記録材の両面に画像を形成するものである場合には、前記制御手段は、前記第1の印刷ジョブの実行中には前記攪拌動作を行わず、前記第2の印刷ジョブの実行中に前記攪拌動作を実行する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
印刷ジョブが前記記録材の両面に画像を形成するものであるときに、前記像形成手段は、1枚の記録材の一方面に転写すべき画像の形成を終了してから当該記録材の他方面に転写すべき画像の形成を開始するまでの間には前記攪拌動作を行わない請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記像形成手段は、互いにトナー色の異なる複数の前記現像器を前記現像ロータリーに装着し、前記現像ロータリーの回転により前記複数の現像器を切り替えながら複数のトナー色によるカラー画像を形成するカラー画像形成モードと、少なくとも1つの前記現像器を前記現像ロータリーに装着して当該現像器に貯留されたトナーによるモノクロ画像を形成するモノクロ画像形成モードとを実行可能に構成され、
前記制御手段は、前記カラー画像形成モードの実行中には前記攪拌動作を実行しない一方、前記モノクロ画像形成モードの実行中には、必要に応じて前記攪拌動作を実行する
請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
実行中の印刷ジョブがモノクロ画像形成モードに対応するものであり、次に実行すべき印刷ジョブがカラー画像形成モードに対応するものである場合において、
前回攪拌動作を実行してから後に形成した画像の枚数が所定の基準枚数に達しており、かつ、実行中の印刷ジョブにおいて形成すべき画像のうちまだ形成していない未形成画像の枚数が所定枚数以上であるときには前記制御手段が直ちに前記攪拌動作を実行する一方、前記未形成画像の枚数が前記所定枚数未満であるときには、前記攪拌動作を実行することなく次の印刷ジョブを実行する請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを有し、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を前記トナーを用いて形成する像形成手段と、
前記現像ロータリーの回転を制御し、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作を実行する制御手段と、
前記制御手段による前記攪拌動作を、予め定められたタイミングで実行させるか、前記印刷ジョブの内容に応じて設定されるタイミングで実行させるかをユーザに選択させるための入力手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを有し、前記トナーを用いて画像を形成する像形成手段と、
前記現像ロータリーの回転を制御する制御手段と、
前記像形成手段により形成された画像を担持して該画像を所定の方向に搬送する像担持体と
を備え、前記像形成手段が、前記像担持体による画像の搬送方向に沿った長さが第1の長さである第1の画像と、前記搬送方向に沿った長さが前記第1の長さよりも長い第2の長さである第2の画像とを所定の順序で形成する場合には、
前記制御手段は、前記像形成手段が前記第1の画像の形成を終了した直後に、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作を実行する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記現像器が、その内部にトナーを攪拌するためのオーガを設けないオーガレス構造となっている請求項1ないし13のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを用いて、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を前記トナーを用いて形成する画像形成方法において、
前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作の実行タイミングを、前記印刷ジョブの内容に応じて設定する工程と、
前記設定されたタイミングで、前記攪拌動作を実行する工程と
を備えることを特徴とする画像形成方法。
【請求項16】
トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを用いて、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を前記トナーを用いて形成する画像形成方法において、
前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作の実行タイミングを、予め設定されたタイミングで実行するか、あるいは前記印刷ジョブの内容に応じて設定したタイミングで実行するかをユーザに選択させる工程と、
前記工程において前記印刷ジョブの内容に応じて設定したタイミングで実行することを選択されたときに実行され、前記印刷ジョブの内容に応じて前記攪拌動作の実行タイミングを設定する工程と、
設定された実行タイミングで前記攪拌動作を実行する工程と
を備えることを特徴とする画像形成方法。
【請求項17】
トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを用いて、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を、所定の方向に移動する像担持体上に前記トナーを用いて形成する画像形成方法において、
前記像担持体の移動方向に沿った長さが第1の長さである第1の画像と、前記移動方向に沿った長さが前記第1の長さよりも長い第2の長さである第2の画像とを所定の順序で形成する場合には、
前記現像ロータリーを用いて前記第1の画像を形成する工程と、
前記現像ロータリーを用いて前記第2の画像を形成する工程と
を前記所定の順序で実行するとともに、
前記第1の画像を形成する工程の実行直後に、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作を実行する工程を実行する
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを有し、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を前記トナーを用いて形成する像形成手段と、
前記現像ロータリーの回転を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記印刷ジョブの内容に応じて設定したタイミングで、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作を実行する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、実行中の印刷ジョブにおいて形成すべき画像の枚数が所定枚数未満であるときには、当該印刷ジョブの実行中には前記攪拌動作を行わず、当該印刷ジョブの実行後に前記攪拌動作を行う請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前回攪拌動作を実行してから後に形成した画像の枚数が所定の基準枚数に達したときであって、実行中の印刷ジョブにおいて形成すべき画像のうちまだ形成していない未形成画像の枚数が所定枚数以上であるときには直ちに前記攪拌動作を実行する一方、前記未形成画像の枚数が前記所定枚数未満であるときには、当該印刷ジョブの実行終了後に前記攪拌動作を実行する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の印刷ジョブを連続して実行する場合には、前記制御手段は、1つの印刷ジョブの実行中には前記攪拌動作を行わず、当該印刷ジョブの実行終了後、次の印刷ジョブの実行開始する前に前記攪拌動作を実行する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
所定の転写位置にシート状の記録材の一方面を搬送して前記像形成手段により形成された第1の画像を転写し、さらに前記記録材の他方面を前記転写位置に搬送して前記像形成手段により形成された第2の画像を転写する搬送手段をさらに備え、
前記記録材の両面に画像を形成可能に構成された請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
印刷ジョブが前記記録材の両面に画像を形成するものであるときには、前記像形成手段が1枚の記録材の一方面に転写すべき画像の形成を終了してから当該記録材の他方面に転写すべき画像の形成を開始するまでの間に、前記制御手段が前記攪拌動作を実行する請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
第1の印刷ジョブが前記記録材の両面に画像を形成するものであり、かつ、次に実行すべき第2の印刷ジョブが記録材の片面に画像を形成するものである場合には、前記像形成手段が前記第1の印刷ジョブの最後の記録材の一方面に転写すべき画像の形成を終了してから当該記録材の他方面に転写すべき画像の形成を開始するまでの間に、前記制御手段が前記攪拌動作を実行する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
第1の印刷ジョブが記録材の片面に画像を形成するものであり、かつ、次に実行すべき第2の印刷ジョブが記録材の両面に画像を形成するものである場合には、前記制御手段は、前記第1の印刷ジョブの実行中には前記攪拌動作を行わず、前記第2の印刷ジョブの実行中に前記攪拌動作を実行する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
印刷ジョブが前記記録材の両面に画像を形成するものであるときに、前記像形成手段は、1枚の記録材の一方面に転写すべき画像の形成を終了してから当該記録材の他方面に転写すべき画像の形成を開始するまでの間には前記攪拌動作を行わない請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記像形成手段は、互いにトナー色の異なる複数の前記現像器を前記現像ロータリーに装着し、前記現像ロータリーの回転により前記複数の現像器を切り替えながら複数のトナー色によるカラー画像を形成するカラー画像形成モードと、少なくとも1つの前記現像器を前記現像ロータリーに装着して当該現像器に貯留されたトナーによるモノクロ画像を形成するモノクロ画像形成モードとを実行可能に構成され、
前記制御手段は、前記カラー画像形成モードの実行中には前記攪拌動作を実行しない一方、前記モノクロ画像形成モードの実行中には、必要に応じて前記攪拌動作を実行する
請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
実行中の印刷ジョブがモノクロ画像形成モードに対応するものであり、次に実行すべき印刷ジョブがカラー画像形成モードに対応するものである場合において、
前回攪拌動作を実行してから後に形成した画像の枚数が所定の基準枚数に達しており、かつ、実行中の印刷ジョブにおいて形成すべき画像のうちまだ形成していない未形成画像の枚数が所定枚数以上であるときには前記制御手段が直ちに前記攪拌動作を実行する一方、前記未形成画像の枚数が前記所定枚数未満であるときには、前記攪拌動作を実行することなく次の印刷ジョブを実行する請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを有し、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を前記トナーを用いて形成する像形成手段と、
前記現像ロータリーの回転を制御し、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作を実行する制御手段と、
前記制御手段による前記攪拌動作を、予め定められたタイミングで実行させるか、前記印刷ジョブの内容に応じて設定されるタイミングで実行させるかをユーザに選択させるための入力手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを有し、前記トナーを用いて画像を形成する像形成手段と、
前記現像ロータリーの回転を制御する制御手段と、
前記像形成手段により形成された画像を担持して該画像を所定の方向に搬送する像担持体と
を備え、前記像形成手段が、前記像担持体による画像の搬送方向に沿った長さが第1の長さである第1の画像と、前記搬送方向に沿った長さが前記第1の長さよりも長い第2の長さである第2の画像とを所定の順序で形成する場合には、
前記制御手段は、前記像形成手段が前記第1の画像の形成を終了した直後に、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作を実行する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記現像器が、その内部にトナーを攪拌するためのオーガを設けないオーガレス構造となっている請求項1ないし13のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを用いて、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を前記トナーを用いて形成する画像形成方法において、
前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作の実行タイミングを、前記印刷ジョブの内容に応じて設定する工程と、
前記設定されたタイミングで、前記攪拌動作を実行する工程と
を備えることを特徴とする画像形成方法。
【請求項16】
トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを用いて、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を前記トナーを用いて形成する画像形成方法において、
前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作の実行タイミングを、予め設定されたタイミングで実行するか、あるいは前記印刷ジョブの内容に応じて設定したタイミングで実行するかをユーザに選択させる工程と、
前記工程において前記印刷ジョブの内容に応じて設定したタイミングで実行することを選択されたときに実行され、前記印刷ジョブの内容に応じて前記攪拌動作の実行タイミングを設定する工程と、
設定された実行タイミングで前記攪拌動作を実行する工程と
を備えることを特徴とする画像形成方法。
【請求項17】
トナーを貯留する現像器および該現像器を保持しながら所定の回転軸中心に回転自在に構成された現像ロータリーを用いて、外部から与えられる印刷ジョブに対応した画像を、所定の方向に移動する像担持体上に前記トナーを用いて形成する画像形成方法において、
前記像担持体の移動方向に沿った長さが第1の長さである第1の画像と、前記移動方向に沿った長さが前記第1の長さよりも長い第2の長さである第2の画像とを所定の順序で形成する場合には、
前記現像ロータリーを用いて前記第1の画像を形成する工程と、
前記現像ロータリーを用いて前記第2の画像を形成する工程と
を前記所定の順序で実行するとともに、
前記第1の画像を形成する工程の実行直後に、前記現像ロータリーを回転させて前記現像器内のトナーを攪拌する攪拌動作を実行する工程を実行する
ことを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−189623(P2006−189623A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−1466(P2005−1466)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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