説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】被走査面の走査を効率的に行うと共に、高品質の画像形成を可能とする。
【解決手段】有効走査幅Dpにおいて、シェーディング特性により像高に応じて照射される光ビームの光量が変化する。シェーディング特性は、走査の開始および走査終了位置間の特性が往路と復路とで異なる。往路と復路とで異なる特性を示す補正値を、シェーディング特性に対して適用する。補正値を、像高の所定間隔毎に予め求め、補正値テーブルとしてROMに格納する。走査が開始されると、ROM内の補正値テーブルから、往路走査の順序に従い低い像高から高い像高に向けて補正値を順に読み出し、光ビームの光量に対して、読み出した補正値分の補正を行う。復路走査では、ROMから補正値を往路走査の場合とは逆の順序、すなわち高い像高に対応する補正値から低い像高に向けて、補正値を順に読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームを被走査面に照射することで画像を形成する画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ビームを光偏向器などの偏向手段で偏向させ、その偏向された光ビームを被走査面に微小なスポット光として結像させ、被走査面上を主走査方向に等速走査させる光走査装置が従来から知られている。この光走査装置は、例えばレーザダイオードから射出されたレーザ光による穂刈ビームを光偏向器で偏向反射することによって感光体などの被走査面上を走査させると共に、レーザ光を画像信号に応じて強度変調(例えばオン、オフ)させることにより、被走査面に画像を書き込むようになっている。このような光走査装置は、光ビームプリンタ、光ビームプロッタ、ファクシミリ、デジタル複写機などの画像形成装置における潜像書込手段などに応用されている。
【0003】
従来では、光偏向器としては、ポリゴンミラーやガルバノミラーが広く用いられていた。これらポリゴンミラーやガルバノミラーを用いてより高解像度な画像と高速プリントとを達成するには、偏向器の回転速度をさらに上げなければならない。これは、軸受の耐久性や発熱、騒音、消費電力アップなどの課題を生じ、高速走査には限界があった。
【0004】
これに対し、近年、シリコンマイクロマシニングを利用した光偏向器の研究が進められている。このシリコンマイクロマシニングを利用した光偏向器においては、シリコン基板を用いて振動ミラーとそれを軸支する捻り梁とを一体的に形成し、共振構造の往復振動を行う振動ミラーを構成する。当該振動ミラーを光走査装置の偏向手段として用いれば、装置が小型化され、また共振を利用して往復振動させるので高速走査する際にも耐久性が良く、発熱、騒音および消費電力を大幅に低減することができる。そして、往復振動を行う振動ミラーをポリゴンミラーの代わりとして用いることで、画像形成装置の低騒音化や低消費電力化が可能となる。
【0005】
ここで、往復振動を行う振動ミラーを偏向手段に用いると、被走査面である感光体は主走査方向と直交する方向(副走査方向)に移動しながら走査が行われるため、走査開始側から走査終端にかけて走査線が傾くことになる。つまり、感光体に対して往路走査に続いて復路走査でも記録を行うと、往復の走査線の軌跡がジグザグとなり、画像書込みの密度にムラが出て、画像品質の劣化につながるおそれがある。
【0006】
図25を用いて説明する。図25は、走査方向が一方向の場合と、往復で操作を行った場合の、被走査面上でのスキューの例を示す。図25において、横方向は主走査方向を示す。図25(a)は、入力画像の例を示す。この例では、10チャネルの光源で走査が行われている。図25(b)は、往路または復路の何れか一方のみについて走査した場合の走査線の傾きの例である。また、図25(c)は、往復走査を行った場合の走査線の傾きの例である。
【0007】
図25(b)に例示されるように、一方向のみの走査では、主走査方向への走査速度と、被走査面の移動速度とに従い、走査線が一方向に傾く。一方、図25(c)に例示されるように、往復走査を行った場合には、往路側の走査と復路側の走査とで走査線の傾きが逆になり、走査線の軌跡がジグザグとなる。この場合、図25(c)に領域600で示されるように、往路走査と復路走査の折り返し部分において、往路の走査線と復路の走査線とが重なる部分が発生する。それと共に、領域601で示されるように、往路走査と復路走査の折り返し部分に対して反対側に、往路の走査線と復路の走査線との間に隙間が生じる部分が発生する。領域600の走査線が重なる部分では画像形成結果が黒筋となり、領域601の走査線に隙間が空く部分では画像形成結果が白筋となり、画像品質が劣化する。
【0008】
この画像品質の劣化を回避するために、振動ミラーの往復走査のうち、何れか一方の区間(往路走査あるいは復路走査)にのみ画像書込みを行う方法が、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の方法では、主走査方向における一方の端から他方の端に走査を行った後、再び走査開始位置を一方の端に戻す必要があるため、処理時間に無駄が生じ、非効率的であった。また、走査開始位置を一方の端に戻す際に走査を行うことで、往復での走査が可能になるにも関わらず、一方の区間でしか走査が行われないため、他方の区間を無駄にしていることになる。
【0009】
これに対し、振動ミラーの往復走査を実現するために、光源ユニットからの光ビームの光路を副走査方向へ切り替えるようにした技術が提案されている(特許文献2参照)。この特許文献2によれば、例えば光ビームの往路走査では第1の感光体ドラムを走査し、復路走査では、被走査対象が第2の感光体ドラムを被走査対象とするように光ビームの光路を切り替え、往路走査とは逆方向に第2の感光体ドラムを走査する。主走査方向における一方の端から他方の端に走査を行った後、走査が終了した位置から直前の走査に対して逆方向に走査を行うことができるため、振動ミラーの動作に無駄が少なく、特許文献1の方法に比べて効率的である。
【0010】
ところで、上述したような、レーザ光源から射出された光ビームを振動ミラーなどの光偏光器で偏向反射させて感光体を走査させる書込光学系において、感光体表面に照射される光ビームの強度が像高に依存する特性を示すことが知られている。これを、シェーディング特性と呼ぶ。シェーディング特性は、光ビームがレーザ光源から感光体表面に照射するまでに通過または反射する光学素子の特性のバラツキなどにより発生する。例えば、シェーディング特性は、感光体の主走査方向における中央を像高の基準位置とし、この基準位置から主走査方向の両端側に向かうに連れ、照射光量が減少する特性を示す。この場合に、シェーディング特性は、基準位置に対して両側で非対称な特性となることがある。
【0011】
この、シェーディング特性による、感光体表面における主走査方向での照射光量の変化を補正する方法が、特許文献3に開示されている。特許文献3によれば、シェーディング特性と逆特性となる光量補正をレーザ光源に対して施すことにより、感光体表面における主走査方向での照射光量を一定としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した特許文献1および特許文献2の何れにおいても、1の感光体に対しては一方向にしか走査が行われておらず、1の感光体に対して往復走査を行う方法に比べて画質が向上する一方で、走査は非効率的であるという問題点があった。
【0013】
また、1の感光体ドラムに対して往復で走査を行った場合には、上述したように、往路の走査線と復路の走査線とが重なる部分で黒筋、往路の走査線と復路の走査線との間に隙間が生じる部分では白筋となり、画像品質が劣化するという問題点があった。
【0014】
さらに、従来では、往復走査時におけるシェーディング特性に対する補正について考慮されていなかったため、1の感光体ドラムに対する往復走査時に、上述の黒筋および白筋以外に、往路または復路走査によって形成される画像の濃度が主走査方向でムラになる可能性があった。
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、被走査面の走査を効率的に行うと共に、高品質の画像形成を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、光ビームを射出する光源と、前記光源から射出された前記光ビームを偏向して主走査方向に往復走査する光偏向手段と、前記光偏向手段により偏向された前記光ビームを、被走査面に対して導光して結像させる結像手段と、前記光偏向手段による往路走査と復路走査とで、走査開始位置からの距離に応じた値の変化が異なる補正データを用いて、前記光源から射出される前記光ビームの光量の補正を行う補正手段とを有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、光偏向手段が、光源から射出された光ビームを偏向して主走査方向に往復走査する光偏向ステップと、結像手段が、前記光偏向ステップにより偏向された前記光ビームを、被走査面に対して導光して結像させる結像ステップと、補正手段が、前記光偏向ステップによる往路走査と復路走査とで、走査開始位置からの距離に応じた値の変化が異なる補正データを用いて、前記光源から射出される前記光ビームの光量の補正を行う補正ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被走査面の走査を効率的に行うと共に、高品質の画像形成が可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の各実施形態に適用可能な画像形成装置の一例の構造を示す略線図である。
【図2】図2は、光学装置の一例の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、光学装置の構成の別の例を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の各実施形態に適用可能な、画像形成装置における信号処理系の一例の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、往復走査を行った場合の被走査面上での走査軌跡の例を示す略線図である。
【図6】図6は、シェーディング特性について説明するための略線図である。
【図7】図7は、シェーディング特性を補正して、像高に対して略均一とする補正値の例を示す略線図である。
【図8】図8は、光ビームの往復走査の制御と、シェーディング特性に対する補正値との一例の関係を示す略線図である。
【図9】図9は、本発明の第2の実施形態について説明するための略線図である。
【図10】図10は、本発明の第3の実施形態について説明するための略線図である。
【図11】図11は、本発明の第3の実施形態について説明するための略線図である。
【図12】図12は、本発明の第3の実施形態について説明するための略線図である。
【図13】図13は、トナーマークを検知したセンサの出力波形の例について概略的に示す略線図である。
【図14】図14は、各トナーマークを中間転写ベルト114に対して、それぞれ複数走査分を形成することを説明するための略線図である。
【図15】図15は、本発明の第3の実施形態による主走査方向の補正値E(x)の算出方法について説明するための略線図である。
【図16】図16は、本発明の第3の実施形態による主走査方向の補正値E(x)の算出方法について説明するための略線図である。
【図17】図17は、本発明の第3の実施形態による副走査方向の補正値E(y)の算出方法について説明するための略線図である。
【図18】図18は、本発明の第3の実施形態による副走査方向の補正値E(y)の算出方法について説明するための略線図である。
【図19】図19は、本発明の第3の実施形態による光量の補正値を取得するための一例の処理を示すフローチャートである。
【図20】図20は、本発明の第4の実施形態により中間転写ベルトに形成される濃度補正用トナーマークの一例を示す略線図である。
【図21】図21は、本発明の第4の実施形態における主走査方向の補正値E(x)の算出方法を説明するための略線図である。
【図22】図22は、本発明の第5の実施形態により中間転写ベルトに形成される濃度補正用トナーマークの一例を示す略線図である。
【図23】図23は、本発明の第5の実施形態における副走査方向の補正値E(y)の算出方法を説明するための略線図である。
【図24】図24は、本発明の第6の実施形態における副走査方向の補正値E(y)の算出方法を説明するための略線図である。
【図25】図25は、従来技術により往復走査を行った場合の被走査面上での走査軌跡の例を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る画像形成装置および画像形成方法の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の各実施形態に適用可能な画像形成装置100の一例の構造を示す。画像形成装置100は、半導体レーザ、振動ミラーを用いた光偏光器などの光学要素を含む光学装置102と、感光体ドラム、帯電装置、現像装置などを含む像形成部112と、中間転写ベルトなどを含む転写部122を含んで構成される。
【0021】
光学装置102は、半導体レーザなどのレーザ光源から出射された光ビームを偏向させる、光偏光器を含み、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色に対応した光ビームLを射出する。各実施形態では、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)による振動ミラーを用いて光ビームを偏向する光偏光器を用いる。
【0022】
各色の光ビームLは、感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aへと像状照射する。ここでは、色Yの光ビームが感光体ドラム110aに、色Mの光ビームが感光体ドラム108aに、色Cの光ビームが感光体ドラム106aに、色Kの光ビームが感光体ドラム104aに、それぞれ照射されるものとする。
【0023】
感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aへの光ビームLの照射は、上述したように複数の光学要素を使用して行われるため、光ビームLの走査方向である主走査方向と、主走査方向に対して直交する副走査方向とに関して、タイミング同期が行われている。なお、副走査方向は、一般的には、感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aの回転する方向として定義する。
【0024】
感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aは、それぞれアルミニウムなどの導電性ドラム上に、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とを含む光導電層を備えている。光導電層は、それぞれ感光体ドラム104a、106a、108a、110aに対応して配設され、コロトロン、スコロトロンまたは帯電ローラなどを含んで構成される帯電器104b、106b、108bおよび110bにより表面電荷が付与される。
【0025】
各帯電器104b、106b、108bおよび110bにより感光体ドラム104a、106a、108aおよび110a上に付与された静電荷は、それぞれ光ビームLにより像状露光され、静電潜像が形成される。感光体ドラム104a、106a、108aおよび110a上に形成された静電潜像は、それぞれ、現像スリーブ、現像剤供給ローラ、規制ブレードなどを含む現像器104c、106c、108cおよび110cにより現像され、現像剤像が形成される。
【0026】
感光体ドラム104a、106a、108aおよび110a上に担持された現像剤は、搬送ローラ114a、114bおよび114cにより矢線Bの方向に駆動される中間転写ベルト114上に転写される。中間転写ベルト114は、C、M、YおよびK各色の現像剤を担持した状態で2次転写部へと駆動される。2次転写部は、2次転写ベルト118と、搬送ローラ118aおよび118bとを含んで構成される。2次転写ベルト118は、搬送ローラ118aおよび118bにより矢線Cの方向に駆動される。2次転写部には、給紙カセットなどの受像材収容部128から上質紙やプラスチックシートなどの受像材124が搬送ローラ126により供給される。
【0027】
2次転写部は、2次転写バイアスを印加して、中間転写ベルト114上に担持された多色現像剤像を、2次転写ベルト118上に吸着保持された受像材124に転写する。受像材124は、2次転写ベルト118の搬送と共に定着装置120へと供給される。定着装置120は、シリコーンゴム、フッソゴムなどを含む定着ローラなどの定着部材130を含んで構成されていて、受像材124と多色現像剤像とを加圧加熱し、印刷物132として画像形成装置100の外部へと出力する。多色現像剤像を転写した後の中間転写ベルト114は、クリーニングブレードを含むクリーニング部116により転写残現像剤が除去された後、次の像形成プロセスへと供給されている。
【0028】
なお、各実施形態による画像形成装置100は、形成される画像の画質調整のために、中間転写ベルト114に対してテストパターンを形成する。特に、形成される画像のトナー濃度を調整するために用いるパターンを、濃度補正用トナーマークと呼ぶ。各感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aの中間転写ベルト114の駆動方向に対して下流側には、中間転写ベルト114に形成された当該濃度補正用トナーマークを検知するため、センサ115a、115bおよび115cが設けられる。
【0029】
各センサ115a、115bおよび115cは、例えば発光素子と受光素子とを有し、発光素子で発光された光が中間転写ベルト114により反射された反射光を受光素子で受光し、受光強度を測定することで、濃度補正用トナーマークの検知を行う。発光素子および受光素子として、例えばそれぞれ赤外光LED(Light Emitting Diode)およびフォトトランジスタを用いることができる。これらセンサ115a、115bおよび115cは、主走査方向の両端と中央部にそれぞれ設けられ、副走査方向に向かって左端側にセンサ115aが、中央部にセンサ115bが、右端側にセンサ115cがそれぞれ設けられるものとする。
【0030】
図2は、光学装置102の一例の構成を示す斜視図である。この図2の例は、1つの感光体ドラムに対して1つの振動ミラーで走査する場合の例である。なお、図2では、感光体ドラム110aに関する構成のみが示されている。
【0031】
レーザダイオードをレーザ光源とする光源ユニット50から出射した光ビームLが、副走査方向にのみ屈折力を有するシリンドリカルレンズ511で副走査方向にのみ各光ビームが絞られ、振動ミラー52上で主走査方向に長い潜像を形成する。
【0032】
振動ミラー52に入射した光ビームLは、振動ミラー52で偏向走査され、それ以降の結像光学系である、振動ミラー52側の走査レンズ53、被走査面側の走査レンズ54および55、ならびに、折り返しミラー63、64および65を通過し、感光体ドラム110aに照射される。光ビームLを出射しながら振動ミラー52を主走査方向に対して振動させることで、各被走査面である感光体ドラム110aの表面上にて、図中矢印で示されるように、感光体ドラム110aの回転軸に平行な方向に往復して結像走査される。
【0033】
先端同期検知センサ70および後端同期検知センサ71は、振動ミラー52で反射された光ビームを検知して、検知信号を出力する。この検知信号により、走査の先端および後端を知ることができる。
【0034】
なお、図2では、光源ユニット50が1チャネル分の光源を有し1本の光ビームLを射出するように示されているが、実際には、光源ユニット50は、4チャネル、10チャネルなど複数チャネル分の光源を有し、4本、10本などチャネルに対応した複数本の光ビームLが等間隔に並べられて射出される。この複数本の光ビームLは、感光体ドラム110aに対して、副走査方向に並んだ複数チャネルによる光ビーム列として照射される。
【0035】
図3は、光学装置102の構成の別の例を示す斜視図である。この図3の例は、2つの感光体ドラムに対して1つの振動ミラーで走査する場合の例である。なお、図3では、感光体ドラム110aおよび108aに関する構成のみが示されている。また、図3において、図2と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0036】
図3において、図2に示される構成に対して光源ユニット502とハーフミラー56とが追加されると共に、折り返しミラー60、61および62が追加される。光源ユニット501から出射された光ビームL1は、ハーフミラー56を透過して振動ミラー52に到達する。これ以降の光ビームL1の光路は、上述の図2における光源ユニット50から出射される光ビームLの例と同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0037】
なお、この図3の例でも上述と同様に、1の光源ユニットから複数本の光ビームを射出することができる。
【0038】
光源ユニット502から出射された光ビームL2は、ハーフミラー56で反射されて振動ミラー52に到達し、振動ミラー52で偏向走査され、それ以降の結像光学系である、振動ミラー52側の走査レンズ53、被走査面側の走査レンズ54および55、ならびに、折り返しミラー60、61および62を通過し、感光体ドラム108aに照射される。光ビームL1および光ビームL2を出射しながら振動ミラー52を主走査方向に対して振動させることで、各被走査面である感光体ドラム110aおよび108aそれぞれの表面上にて、図中矢印で示されるように、感光体ドラム110aまたは108aの回転軸に平行な方向に往復して結像走査される。
【0039】
なお、以下では、光走査部は、図2に示した、1つの感光体ドラムに対して1つの振動ミラーで走査する場合の構成であるものとする。また、上述では、光源ユニット501および502がそれぞれ1チャネルの光源であるように示されているが、実際には、これら光源ユニット501および502は、複数チャネル、例えば10チャネルの光源が用いられる。
【0040】
図4は、各実施形態に適用可能な、画像形成装置100における信号処理系の一例の構成を示す。なお、ここでは、画像形成装置100の信号処理系のうち、各実施形態に関わりの深い、濃度補正のための構成を中心に示している。また、センサ115a、115bおよび115cは、構成および動作を共通とすることができるため、これらを特に区別する必要のない場合には、センサ115として記述する。
【0041】
CPU(Central Processing Unit)10は、ROM(Read Only Memory)12に予め記憶されたプログラムに従い、RAM(Random Access Memory)11をワークメモリとして用いて所定の演算処理を行うと共に、中間転写ベルト114上に形成された濃度補正パターンの検知結果に基づき濃度補正量を求めることができる。また、CPU10は、データバスを介してI/Oポート13に接続される。I/Oポート13は、後述するFIFOメモリ18からのデータの読み出しや、データバスを介したデータ転送を制御する。
【0042】
センサ115において、発光素子602から出射された赤外光の反射光が受光素子603で受光されると、受光素子603は、受光した赤外光の強度に応じた受光信号を出力する。この受光信号は、増幅部15で増幅され、フィルタ16によってトナーマークの信号成分が選択的に通過され、センサ115に検知された濃度補正用トナーマークの濃度に対応する受光信号とされる。フィルタ16から出力されたこの受光信号は、A/D変換部17に供給されサンプリング制御部19の制御によりディジタル信号に変換されて、サンプリングされる。サンプリング制御部19は、例えばサンプリング周波数が100kHzで受光信号のサンプリングを行う。A/D変換部17でサンプリングされた受光信号は、順次、FIFO(First In First Out)メモリ18に格納される。
【0043】
FIFOメモリ18から出力された受光信号は、I/Oポート13を介してCPU10およびRAM11に供給される。CPU10は、ROM12に記憶されたプログラムに従い、この濃度補正用トナーマークの受光信号に基づき上述の濃度補正値などを算出する。CPU10は、求められたこの濃度補正量分の補正を行うために、レーザ光源のレーザ発光強度を制御するための制御信号を生成し、書込制御部21に供給する。
【0044】
書込制御部21は、例えばVCO(Voltage Controlled Oscillator)を利用したクロックジェネレータといった、出力周波数を詳細に設定できる構成を備えており、この出力を画素クロックとして用いている。書込制御部21は、この画素クロックを基準に、コントローラ20から転送される画像データに応じて図示されないレーザ光源の点灯を制御して、感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aに対する画像の書き込みを行う。例えば、チャネル毎に、レーザ光源の点灯を画素クロック毎に制御して、画像データの1ドットを形成する光ビームを射出させる。
【0045】
書込制御部21が、CPU10により濃度補正値を反映させて生成した制御信号に従い、光源ユニット50によるレーザ光源の発光強度を光ビーム毎に制御することで、感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aに対して、濃度補正値分の補正が施された画像形成を行うことができる。
【0046】
なお、CPU10は、受光素子603からの検知データを適当なタイミングでモニタし、モニタ結果に基づき、発光素子602から出射される赤外光のレベルを制御するための制御信号を生成し、この制御信号をI/Oポート13を介して発光量制御部14に供給する。発光量制御部14は、この制御信号に応じて発光素子602の発光量を制御する。これにより、発光素子602から出射される赤外光のレベルを略一定とすることができ、中間転写ベルト114や光源ユニット50におけるレーザ光源の劣化などが起こっても、濃度補正用トナーマークの検知を確実に行うことが可能となる。
【0047】
各実施形態においては、図2などを用いて説明したように、1の光ビームLにより、1の感光体ドラム上を往復走査する。ここで、走査に関する各パラメータを下記のように定義する。
N:光源ユニットから射出される光ビーム列に含まれる光ビームの本数(チャネル数)
T:感光体ドラムにおける有効走査幅の走査に要する時間
2T0:偏向された光ビーム列の往復の1周期の時間
p:副走査方向の画素密度(dpi:dot per inch)
i:複数の光スポットにより同時に走査される隣接走査線の間隔(mm)
【0048】
この場合に、感光体ドラムの有効走査幅における往復走査の折り返し側の端部で、下記の式(1)を満たすように走査を行うように設定することで、往復走査の折り返し部分における走査線の重なりを無くすことができることが知られている(特開2002−311358号公報、段落「0011」など参照)。なお、式(1)中、K=T/T0である。
N×(25.4mm/Dp)×(1−K)>(N−1)×Pi …(1)
【0049】
図5は、式(1)に従い往復走査を行った場合の被走査面(感光体ドラム)上での走査軌跡の例を示す。このように、往路および復路の折り返し部分、すなわち往路走査と復路走査とが連続する一方の端部における走査線の重なりが解消され、この部分での黒筋が抑制される。一方、折り返し部分に対して有効走査幅方向に反対側の往路走査と復路走査とが連続しない他方の端部では、往路走査と復路走査との間に隙間が空いてしまい、白筋が依然として発生してしまう。また、往路走査および復路走査でのシェーディング特性の補正についても考慮されていない。
【0050】
(第1の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態について説明する。本第1の実施形態では、往路走査および復路走査でそれぞれ異なる特性の補正値を用いてシェーディング特性の補正を行う。図6を用いて、シェーディング特性について説明する。図6(a)に例示されるように、感光体ドラム300を被走査面として、光ビームを同期センサ301の位置から感光体ドラム300の軸方向を主走査方向として走査する。この例では、図6(a)の左側から右側へ向けた走査を往路走査とし、右側から左側へ向けた走査を復路走査とする。
【0051】
なお、同期センサ301は、例えば、同期センサ301の位置Psで2回連続して光ビームを検知すると、往路走査の先端を示す先端検知信号を出力するものとする。図示は省略するが、同期センサ301の出力は、増幅およびフィルタ処理を施された後にA/D変換され、ディジタルデータとされて、I/Oポート13を介してCPU10に供給される。
【0052】
また、感光体ドラム300の主走査方向の位置を像高と呼ぶ。この例では、像高は、感光体ドラム300の中央を像高0mmとし、往路走査方向(右方向)に向けて正の値を取るものとする。また、感光体ドラム300は、像高−150mmから+150mmの範囲を有効走査幅Dpとする。感光体ドラム300は、図1〜図3で示した感光体ドラム104a、106a、108aおよび110aに対応する。
【0053】
図6(b)は、光源ユニットにおける光源を感光体ドラム300の全像高で同一の光量で発光させた場合のシェーディング特性、すなわち、被走査面における像高に対する光ビームの強度分布の例を示す。図6(b)の例では、像高0mmの位置を基準として、この基準位置での強度を100%とした場合に、感光体ドラム300の像高−150mmの位置で強度が略88%、像高150mmの位置で強度が略92%となっており、シェーディング特性が像高0mmに対して左右非対称となっていることが分かる。
【0054】
なお、シェーディング特性は、光ビームが被走査面に照射されるまでに通過または反射する、振動ミラーを含む複数の光学素子における特性の位置依存のバラツキに起因すると考えられるもので、装置毎の固有値である。
【0055】
図7は、図6(b)のシェーディング特性を補正して、像高に対して略均一とする補正値の例を示す。このように、補正値は、光ビームの被走査面における全像高での強度を、基準位置である像高0mmの位置における強度と等しくするように、図6(b)に例示されるシェーディング特性とは逆特性とする。より具体的には、図7の例では、光ビーム強度が略88%となる像高−150mmの位置で補正値を略+12%とし、光ビーム強度が略92%となる像高150mmの位置で補正値を略+8%とする。像高0mmの位置では補正値は0%である。
【0056】
次に、往路走査時および復路走査時のシェーディング特性について説明する。先ず、往路走査時の特性について説明する。図6(b)に例示するシェーディング特性で以て被走査面を往路走査、すなわち、像高−150mmの位置から像高150mmの位置へ向けて走査すると、シェーディング特性に従い、光ビーム強度は、略88%から徐々に増加して像高0mmで100%になり、そこから再び徐々に減少して走査の終端で略92%となる。
【0057】
シェーディング特性が、光学素子における特性の位置依存のバラツキとした場合、往路走査とは逆方向に被走査面を走査する復路走査時には、シェーディング特性が、往路走査時とは逆向きに作用することになる。したがって、図6(b)に例示するシェーディング特性で以て被走査面を復路走査、すなわち、像高150mmの位置から像高−150mmの位置に向けて走査すると、光ビーム強度は、略92%から徐々に増加して像高0mmで100%になり、そこから再び徐々に減少して走査の終端で略88%となる。
【0058】
往路走査時および復路走査時のシェーディング特性に対する補正値は、図7に例示した、シェーディング特性に対する逆特性による補正値を、それぞれ走査方向になぞったものとなる。図8は、光ビームの往復走査の制御と、シェーディング特性に対する補正値との一例の関係を示す。
【0059】
図8(a)は、光ビームの主走査方向における角度変位の時間変化の例を示す。振動ミラーは、共振現象を用いて駆動されるため、その角度変位の時間変化は、図8(a)に例示されるように、正弦波的なカーブとなる。このカーブのうち、角度変化が略直線的になる範囲が有効走査幅Dpとして用いられる。このように有効走査幅Dpを選択することで、良好なリニアリティで走査できる。なお、同期センサ301は、例えば、同期センサ301の位置Psで2回連続して光ビームを検知すると、往路走査の先端を示す先端同期信号を出力する。
【0060】
図8(b)は、この往復走査におけるシェーディング特性に対する補正値の例を示す。このように、本第1の実施形態では、往路走査時と復路走査時とで異なる特性を示す補正値を、シェーディング特性に対して適用する。より具体的には、往路走査と復路走査とで、走査開始位置からの距離に応じて特性の異なる補正値を、シェーディング特性に対して適用する。
【0061】
例えば、シェーディング特性に対する補正値を、像高の所定間隔毎に予め求め、補正値と像高とを関連付けたシェーディング補正値テーブルを作成してROM12などに格納する。シェーディング補正値テーブルの構成は、この例に限定されない。例えば、同期センサ301から先端同期信号が出力されるタイミングを基準として、走査が補正値を求めた像高に達するまでの時間と補正値とを関連付けてシェーディング補正値テーブルとしてもよい。
【0062】
CPU10は、同期センサ301から先端同期信号が供給されたタイミングで、ROM12に格納されるシェーディング補正値テーブルを参照し、往路走査の順序に従った補正値の読み出しを開始する。図7の例では、往路走査時に、CPU10は、走査位置または時間に従い、シェーディング補正値テーブルから、低い像高に対応する補正値から高い像高に対応する補正値に向けて、補正値を順に読み出していく。そして、CPU10は、光源ユニット50が射出する光ビームの光量に対して、シェーディング補正値テーブルから読み出した補正値分の補正を行うような制御信号を生成して、書込制御部21に供給する。
【0063】
走査が往路走査から復路走査に移行すると、CPU10は、ROM12に格納されるシェーディング補正値テーブルを参照し、補正値を往路走査の場合とは逆の順序で読み出す。図7の例では、CPU10は、シェーディング補正値テーブルから、走査位置または時間に従い、高い像高に対応する補正値から低い像高に対応する補正値に向けて、補正値を順に読み出していく。そして、CPU10は、光源ユニット50が射出する光ビームの光量に対して、シェーディング補正値テーブルから読み出した補正値分の補正を行うような制御信号を生成して、書込制御部21に供給する。
【0064】
このように、本第1の実施形態によれば、往路走査と復路走査とで走査開始位置からの距離に応じて値の変化の異なる補正値を用意しているため、往路走査および復路走査のそれぞれにおいて適切にシェーディング特性を補正することができる。これにより、形成される画像の主走査方向での濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本第2の実施形態では、光源ユニットが複数チャネルを有し、各チャネルに対応する複数の光ビームを射出する場合において、光ビームの光量を主走査ライン毎に異ならせて、副走査方向の濃度ムラの補正を行う。すなわち、本第2の実施形態では、光源ユニットが射出する複数の光ビームにより走査される主走査ライン毎に異なる光量補正値テーブルを設定する。この光量補正値テーブルは、往路走査と復路走査との境界部分において、被走査面に対する光ビームによるビームスポットの副走査方向の間隔に応じて、当該間隔が広いほど当該光ビームの強度を強めるように補正する補正値を格納する。
【0066】
より具体的には、往路走査と復路走査の境界部分において、ビームスポットの副走査方向の間隔が広い位置では、当該ビームスポットを形成する光ビームの強度を強めるような補正を行う補正値を格納する。一方、ビームスポットの副走査方向の間隔が狭い位置では、当該ビームスポットを形成する光ビームの強度を弱めるような補正を行う補正値を格納する。
【0067】
このように、往路走査と復路走査との境界部分において、被走査面に対する光ビームによるビームスポットの副走査方向の間隔が広いほど当該光ビームの強度を強めるように補正する光量補正値テーブルを、1回の走査により形成される複数の主走査ラインのそれぞれに対して設定することで、副走査方向の光量補正を行うことができる。これにより、図5を用いて説明したような、1の被走査面に対して往復走査を行った場合における、往路および復路の折り返し部分での黒筋および白筋の発生を軽減させる。
【0068】
本発明の第2の実施形態について、図9を用いて説明する。図9(a)は、光源ユニットから射出される複数の光ビームが被走査面に照射されて形成されるビームスポットの一例を示す。図中の「○(丸印)」がビームスポットを示す。以下では、光源ユニットが10チャネルに対応し、主走査方向の1回の走査で、10の光ビームにより、画素毎のドットを形成するビームスポット列からなる主走査ラインが10本形成されるものとする。また、被走査面の有効走査幅Dpにおける左端の有効走査端Lから、右端の有効走査端Rへ向けた走査を往路走査とし、有効走査端Rから有効走査端Lに向けた走査を復路走査とする。
【0069】
図9(a)の例では、往路走査によりラインL_a1〜L_a10の10本の主走査ラインが形成され、復路走査によりラインL_b1〜L_b10の10本の主走査ラインが形成されている。
【0070】
図9(b)は、各主走査ライン毎の光ビームの光量補正値の例を示す。往路走査と復路走査との折り返し部分における、往路走査と復路走査との境界近傍の主走査ライン(図9(a)の例ではラインL_a1、L_a10、L_b1およびL_b10)のみで光ビームの光量を変化させると、それらの主走査ラインと、隣接する主走査ライン(図9(a)の例ではラインL_a2、L_a9、L_b2およびL_b9)との光量差による濃度ムラが生じてしまう。
【0071】
そこで、本第2の実施形態では、図9(b)に例示されるように、1回の走査で形成される各主走査ラインにおける光ビームの光量を、主走査方向および副走査方向のそれぞれについて徐々に変化させる。すなわち、往路および復路走査それぞれの主走査ラインにおけるビームスポットの、副走査方向に沿った間隔に従い、これらのビームスポットに対応する光ビームの光量を、当該間隔が大きいほど多くし、距離が小さいほど少なくするように決める。これにより、往路走査と復路走査との境界部分における濃度ムラを抑制することができる。
【0072】
より詳細に説明する。図9(b)において、レベルLvl_HおよびレベルLvl_Lは、それぞれ補正値の上限および下限を表す。これらレベルLvl_HおよびレベルLvl_Lは、それぞれ、被走査面が副走査方向に進む速度と主走査方向の走査速度とから求められる、有効走査幅Dpにおけるスキュー量から決定される。なお、レベルLvl_HおよびレベルLvl_Lの差が大きいほど、往路走査と復路走査との境界における濃度ムラを抑制する効果が大きい一方で、隣接するビームスポットとの重なりを考慮する必要がある。
【0073】
主走査ライン内の各ビームスポット毎の光ビームの補正光量の算出方法について説明する。算出に用いる各パラメータを、次のように定義する。
Lvl_L:補正値の下限
Lvl_H:補正値の上限
N:光源ユニットのチャネル数(光ビーム本数)
n:補正対象チャネル
p:有効走査幅(画素数単位)
x:有効走査端Lを0としたときの主走査位置(画素単位)
【0074】
先ず、下記の式(2)および式(3)を用いて、有効走査端Lにおける光量の補正値ELと、有効走査端Rにおける光量の補正値ERとを、各主走査ライン毎にそれぞれ求める。
L=Lvl_L+(n−1)×(Lvl_H−Lvl_L)/(N−1) …(2)
R=Lvl_H−(n−1)×(Lvl_H−Lvl_L)/(N−1) …(3)
【0075】
これら補正値ELおよび補正値ERを用いて、下記の式(4)から、主走査ラインにおける各画素(ビームスポット)の光量の補正値E(x)を求める。
E(x)={(ER−EL)/Dp}×x+EL …(4)
【0076】
上述の式(2)〜式(4)を用いて、光源ユニット50のチャネル毎に、主走査ライン上の各画素の補正値E(x)を算出し、算出された補正値E(x)を各画素の位置x(=像高)に関連付けた光量補正値テーブルを予め作成する。すなわちこの光量補正値テーブルは、例えば図9(b)に例示される各ラインL_a1〜L_a10それぞれについて作成されることになる。チャネル毎の光量補正値テーブルは、例えばROM12に格納される。
【0077】
往路走査の場合、CPU10は、ROM12に格納される光量補正値テーブルをチャネル毎に参照し、同期センサ301から先端同期信号が供給されたタイミングで、往路走査の順所に従った補正値E(x)の読み出しを開始する。上述の式(4)では、有効走査端Lの位置が0とされているので、チャネル毎に、値x=0から順に、値xを1ずつ増加させて補正値E(x)を読み出していく。
【0078】
走査が往路走査から復路走査に移行すると、CPU10は、ROM12に格納される光量補正値テーブルをチャネル毎に参照し、復路走査の順序に従った補正値E(x)の読み出しを行う。復路走査の場合には、チャネル毎に、値x=Dpから順に、値xを1ずつ減少させて補正値E(x)を読み出していく。
【0079】
そして、CPU10は、光源ユニットが射出する光ビームの光量に対して、光量補正値テーブルから読み出した補正値E(x)分の補正を行うような制御信号を生成して、書込制御部21に供給する。
【0080】
図9(a)から分かるように、往路走査による各チャネルの主走査ラインと、復路走査による各チャネルの主走査ラインとは、往路走査と復路走査との境界に対して対称関係にある。そのため、復路走査においては、図9(b)に例示されるように、往路走査の際に用いた光量補正値テーブルを、チャネルを逆順に読み出すことで光量補正を行うことができる。
【0081】
ここで、上述のようにして複数チャネルに対する往路および復路走査に対する光量補正を行うと、往路および復路走査の境界近傍の主走査ライン(図9の例ではラインL_a1、L_a10、L_b1およびL_b10)における濃度が補正前に比べて改善される一方で、その他の主走査ライン(図9の例ではラインL_a2〜L_a9、ならびに、ラインL_b2〜L_b9)についても補正により光量を少しずつ変化させているため、当該補正前には生じていなかった濃度差が生じてしまうことになる。
【0082】
光ビームの本数すなわちチャネル数=Nとすると、ラインL_a1〜L_aN(またはラインL_b1〜L_bN)について、各主走査ライン間に(Lvl_H−Lvl_L)/Nの光量差が生じる。一方、往路走査と復路走査との境界で補正される光量差はLvl_H−Lvl_Lであり、(Lvl_H−Lvl_L)/N<Lvl_H−Lvl_L(N≧2の場合)となることから、画像品質としては向上する。
【0083】
このように、本第2の実施形態では、複数チャネルの光ビームにより往復走査する場合に、往路走査および復路走査の折り返し部分が重ならないように走査を行うと共に、チャネル毎に異なる光量補正値テーブルを用いて、画素単位で光ビームの光量補正を行っている。そのため、往路走査および復路走査の折り返し部分の黒筋の発生と、当該折り返し部分に対して有効走査幅方向の対称部分での白筋の発生とが抑制され、より高い画像品質を得ることができる。
【0084】
(第2の実施形態の変形例)
次に、本発明の第2の実施形態の変形例について説明する。上述の第2の実施形態では、シェーディング特性について考慮されていなかった。そこで、本第2の実施形態の変形例では、第2の実施形態に対して上述した第1の実施形態を組み合わせ、往復走査の折り返し部分における画質向上を図ると共に、シェーディング特性の補正も行う。
【0085】
第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせる方法としては、例えば、第1の方法として、第2の実施形態で作成するチャネル毎の補正値テーブルを、第1の実施形態によるシェーディング特性に対する補正値テーブルの値を予め反映させて作成する方法が考えられる。すなわち、上述の式(2)〜式(4)を用いて算出した、各チャネルにおける画素単位の補正値E(x)に対して、第1の実施形態によるシェーディング特性に対する補正値テーブルの、像高が対応する補正値をそれぞれ反映させる。この値を、チャネル毎の補正値E(x)の代わりに補正値テーブルに格納する。CPU10は、走査を行う際に、このシェーディング特性に対する補正値が反映された補正値テーブルから各補正値E(x)を読み出して制御信号を生成し、書込制御部21に供給する。
【0086】
また例えば、第2の方法として、第1の実施形態によるシェーディング特性に対する第1の補正値テーブルと、第2の実施形態によるチャネル毎の第2の補正値テーブルとをそれぞれ作成する方法が考えられる。この方法では、CPU10は、走査を行う際に第1および第2の補正値テーブルからそれぞれ補正値を読み出して、例えば第2の補正値テーブルから読み出した各補正値E(x)に対して、第1の補正値テーブルから読み出した像高が対応する補正値を反映させてシェーディング特性の補正を行い、この補正された値に基づき制御信号を生成して書込制御部21に供給する。
【0087】
これら第1および第2の方法の何れを用いても、光ビームの光量補正を、チャネル毎に行うことができると共に、シェーディング特性に応じて行うことができるため、主走査方向および副走査方向の何れに対しても画質の向上を図ることができる。
【0088】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。上述の第2の実施形態では、各チャネルについて補正値E(x)を予め求めて光量補正値テーブルとして保持しているが、本第3の実施形態では、中間転写ベルト114上に濃度補正用トナーマークを形成し、この濃度補正用トナーマークを検知した結果に基づき画素毎の補正値E(x)を求め、求めた補正値E(x)をメモリに保存する。そして、このメモリに保存された補正値E(x)を用いて、実際の画像形成時における光量補正を行う。
【0089】
本第3の実施形態では、中間転写ベルト114に対し、往路から復路の順に走査を行った場合の、往路と復路の境界に隣接する、往路および復路の2の主走査ラインと、復路から往路の順に走査を行った場合の、復路と往路の境界に隣接する、復路および往路の2の主走査ラインのそれぞれについて、有効走査端L、有効走査幅Dpの中央部および有効走査端Rに、それぞれ濃度補正用トナーマークを形成する。そして、各センサ115a、115bおよび115cにより有効走査端L、有効走査幅Dpの中央部および有効走査端Rの濃度補正用トナーマークの濃度を測定し、測定した濃度の副走査方向の変化が少なくなるように、すなわち、補正後の濃度が各センサ115a、115bおよび115cで略等しく測定されることを目的として、各光ビームの光量補正を行う。
【0090】
図10〜図12を用いて具体的に説明する。図10は、本第3の実施形態により中間転写ベルト114に形成される濃度補正用トナーマークの一例を示す。図10において、「●(黒丸)」が濃度補正用トナーマークを形成するドットを示し、1の主走査ライン当たり3ドットで1の濃度補正用トナーマークが構成されていることが示されている。なお、濃度補正用トナーマークは、3ドットに限らず、さらに多くのドットで構成してもよい。
【0091】
図11は、図10のA部をより詳細に示す。往路走査の最終ラインであるラインL_a10と、当該往路走査から折り返した復路走査の最初のラインであるラインL_b1とにおいて、各センサ115a、115bおよび115cが検知する主走査位置に対してそれぞれトナーマーク200a、200bおよび200cが形成される。すなわち、往路走査から復路走査への折り返しにおける境界に隣接するラインL_a10およびL_b1に対し、有効走査端L、有効走査幅Dpの中央部および有効走査端Rに、トナーマーク200a、200bおよび200cがそれぞれ形成される。この場合、ラインL_a10およびL_b1の間隔は、有効走査端Lにおける間隔lpが有効走査端Rにおける間隔rpよりも大きくなる。
【0092】
図12は、図10のB部をより詳細に示す。復路走査の最終ラインであるラインL_b10と、当該復路走査から折り返した往路走査の最初のラインであるラインL_a1とにおいて、各センサ115a、115bおよび115cが検知する主走査位置に対してそれぞれトナーマーク200d、200eおよび200fが形成される。すなわち、復路走査から往路走査への折り返しにおける境界に隣接するラインL_b10およびL_a1に対し、有効走査端L、有効走査幅Dpの中央部および有効走査端Rに、トナーマーク200d、200eおよび200fがそれぞれ形成される。この場合、ラインL_b10およびL_a1の間隔は、有効走査端Lにおける間隔lpが有効走査端Rにおける間隔rpよりも小さくなる。
【0093】
図13は、各トナーマーク200a〜200fを検知したセンサ115の出力波形の例について概略的に示す。なお、図13で例示される各出力波形は、受光素子603から出力される受光信号をフィルタ16でフィルタリングした後の波形であるものとする。この場合、出力波形の高さがセンサ115により検知されたトナーマークの濃度に対応する。
【0094】
図13(a)は、トナーマーク200a〜200fのうち、副走査方向の幅が最も広いトナーマーク200aまたは200fを検知した場合のセンサ115の出力波形の例を示す。図13(c)は、トナーマーク200a〜200fのうち、副走査方向の幅が最も狭いトナーマーク200cまたは200dを検知した場合のセンサ115の出力波形の例を示す。また、図13(b)は、トナーマーク200a〜200fのうち、有効走査幅Dpの中央部に形成されたトナーマーク200bまたは200eを検知した場合のセンサ115の出力波形の例を示す。
【0095】
往路走査と復路走査との境界が広い領域のトナーマーク200aおよび200fは、副走査方向に隣接するドットが互いに独立している。そのため、これらトナーマーク200aまたは200fを検知したセンサ115の出力波形のピークは、図13(a)に例示されるように、各ドットを単独で検知した際の出力波形のピークと略等しいピークP1となる。
【0096】
一方、往路走査と復路走査との境界が狭い領域のトナーマーク200cおよび200dは、副走査方向に隣接するドットが互いに重なる。そのため、これらトナーマーク200cまたは200dを検知したセンサ115の出力波形のピークは、図13(c)に例示されるように、ドットが重なることにより、各ドットを単独で検知した際の出力波形のピークに対して非常に大きなピークP3となる。
【0097】
なお、有効走査幅Dpの中央部に形成されたトナーマーク200bおよびは200eは、副走査方向に隣接するドットが互いに近接する状態となる。そのため、これらトナーマーク200bまたは200eを検知したセンサ115の出力波形のピークは、図13(b)に例示されるように、ドットが近接することにより、各ドットを単独で検知した際の出力波形のピークに対して多少大きなピークP2となる。
【0098】
図13(a)〜図13(c)から分かるように、各トナーマーク200a〜200fをセンサで検知した際の出力波形のピークの大小関係は、P3>P2>P1となる。そこで、ピークP1およびピークP3がそれぞれピークP2に等しくなるように、補正値を算出する。
【0099】
以下、トナーマーク200aおよび200fの検知結果に基づく光量の補正値を、それぞれ補正値Ea1および補正値Eb3とする。また、トナーマーク200cおよび200dの検知結果に基づく光量の補正値を、それぞれ補正値Ea3および補正値Eb1とする。
【0100】
補正値は、例えば、トナーマーク200a〜200fをセンサ115a〜115cで検知した際のセンサの出力波形のピーク値と、補正値との関係を予め求めておき、この関係に従い、線形補間などを用いて、実際にトナーマーク200a〜200fをセンサ115a〜115cで検知した際の補正値を決定する方法が考えられる。予め求めたピーク値と補正値との関係は、テーブルや関係式として、ROM12などに格納しておく。
【0101】
トナーマーク200a〜200fは、例えば図14に例示されるように、中間転写ベルト114に対して、それぞれ複数走査分を形成することができる。この場合、複数走査分のトナーマークをセンサで検知した出力波形のピーク値などの平均値を求め、この平均値を当該トナーマークによる検知結果として用いて補正値を算出することができる。複数走査分のトナーマークの検知結果を用いることで、より精度のよい補正値を得ることができる。
【0102】
図15および図16を用いて、主走査方向の補正値の算出方法について説明する。上述した補正値Ea1、Ea3、Eb1およびEd3から、主走査方向において、センサ115aとセンサ115bとの間、ならびに、センサ115bとセンサ115cとの間の光量補正値を求める。ここで、トナーマーク200bおよび200eのセンサ115bの検知結果による出力波形のピークP2は、補正値算出の基準となるため、当該検知結果に基づく光量の補正値は、0となる。
【0103】
図15は、往路、復路の順で走査された場合の、往路の最終のラインであるラインL_a10と、復路の最初のラインであるラインL_b1における光量の、画素毎の補正値E(x)の例を示す。このラインL_a10またはラインL_b1において、センサ115aとセンサ115bとの間の部分201には下記の式(5)が適用され、センサ115bとセンサ115cとの間の部分202には下記の式(6)が適用される。なお、以下に示す各式のパラメータの意味は、上述した式(2)〜式(4)で説明した各パラメータと同様なので、ここでの説明を省略する。
E(x)=Ea1−{Ea1/(Dp/2)}×x …(5)
E(x)=Ea3/(Dp/2)×(x−Dp/2) …(6)
【0104】
図16は、復路、往路の順で走査された場合の、復路の最終のラインであるラインL_b10と、往路の最初のラインであるラインL_a1における光量の、画素毎の補正値E(x)の例を示す。このラインL_b10またはラインL_a1において、センサ115aとセンサ115bとの間の部分203には下記の式(7)が適用され、センサ115bとセンサ115cとの間の部分204には下記の式(8)が適用される。
E(x)=Eb1−{Eb1/(Dp/2)}×x …(7)
E(x)=Eb3/(Dp/2)×(x−Dp/2) …(8)
【0105】
図17および図18を用いて副走査方向の補正値E(y)の算出方法について説明する。上述した補正値Ea1、Ea3、Eb1およびEb3から、トナーマークを形成していない他のライン(ラインL_a2〜L_a9、ならびに、ラインL_b2〜L_b9)それぞれの補正値E(y)を算出する。なお、値yは、副走査方向の位置を示すパラメータであって、例えば主走査ラインを示す。
【0106】
図17は、有効走査端L(すなわちセンサ115aの主走査位置)における、副走査方向の光量の補正値E(y)の例を示す。有効走査端Lと、補正値0の位置すなわち有効走査幅Dpの中央との間の部分205には下記の式(9)が適用され、有効走査幅Dpの中央と有効走査端Rとの間の部分206には下記の式(10)が適用される。なお、以下に示す各式のパラメータの意味は、上述した式(2)〜式(4)で説明した各パラメータと同様なので、ここでの説明を省略する。
E(y)=Ea1−{Ea1/(N/2)}×n …(9)
E(y)=Eb1/(N/2)×(n−N/2) …(10)
【0107】
図18は、有効走査端R(すなわちセンサ115cの主走査位置)における、副走査方向の光量の補正値E(y)の例を示す。有効走査端Lと有効走査幅Dpの中央との間の部分207には下記の式(11)が適用され、有効走査幅Dpの中央と有効走査端Rとの間の部分208には下記の式(12)が適用される。
E(y)=Ea3−{(Ea3/(N/2)}×n …(11)
E(y)=Eb3/(n/2)×(n−N/2) …(12)
【0108】
なお、上述の式(9)〜式(12)では、有効走査端Lおよび有効走査端Rそれぞれにおける補正値E(y)のみが、各主走査ラインについて算出される。各主走査ラインにおいて、センサ115aとセンサ115bとの間、ならびに、センサ115bとセンサ115cとの間の画素毎の光量補正値は、有効走査端Lおよび有効走査端Rそれぞれにおける各主走査ラインの補正値E(y)を用いて、図13を用いて説明したようにして、予め求めROM12などに格納されたピーク値と補正値との関係に基づき、線形補間などを利用して算出する。
【0109】
図19は、本第3の実施形態による光量の補正値を取得するための一例の処理を示すフローチャートである。この図19のフローチャートにおける各処理は、ROM12に予め格納されるプログラムに従ったCPU10の制御により実行される。CPU10は、光量補正値の取得が開始されると、中間転写ベルト114に対して図14を用いて説明したような濃度補正用トナーマークを形成する(ステップS1)。
【0110】
例えば、CPU10は、濃度補正用トナーマークを形成するための制御信号を生成して書込制御部21に供給する。書込制御部21は、この制御信号に基づき光源ユニット50を制御し、例えば感光体ドラム110aに対して各チャネルの光ビームを照射させて、濃度補正用トナーマークの静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像されて中間転写ベルト114上に転写される。
【0111】
なお、このフローチャートによる光量補正値取得処理は、画像形成装置100の状態が所定の条件を満たした場合に開始するようにできる。例えば、前回の光量補正値取得から所定時間経過後や所定枚数印刷後、光源ユニットにおける光ビームの所定時間射出後などに処理を開始するようにできる。これに限らず、ユーザ操作により処理を開始させるようにもできる。
【0112】
中間転写ベルト114上に転写された濃度補正用トナーマークがセンサ115a〜115cに検知され、検知結果のセンサ115a〜115cそれぞれの受光信号がCPU10に供給される(ステップS2)。すなわち、例えばセンサ115aから出力された受光信号が増幅部15で増幅されフィルタ16でフィルタリングされ、A/D変換部17でサンプリング制御部19の制御により所定時間間隔でサンプリングされ、ディジタルデータに変換される。A/D変換部17でディジタル化された受光信号は、FIFOメモリ18およびI/Oポート13を介してCPU10に供給される。CPU10は、例えば、供給された受光信号に対して閾値判定を行い、当該受光信号のレベルが閾値以上の場合に、濃度補正用トナーマークが検知されたと判断する。
【0113】
次のステップS3で、CPU10は、センサ115a、115bおよび115cから出力された受光信号に基づき検知された濃度補正用トナーマークの波形から、各センサ115a、115bおよび115c間のピーク値の差分を求める。すなわち、図13を参照し、CPU10は、各センサ115a、115bおよび115cの検知結果によるピーク値Pa、ピーク値Pbおよびピーク値Pcを求め、それぞれの差分を求める。これにより、ピーク値Pa、ピーク値Pbおよびピーク値Pcの大小関係を知ることができ、各センサ115a、115bおよび115cが検知した濃度補正用トナーマークが、往路から復路への走査に対応するトナーマーク200a〜200cと、復路から往路への走査に対応するトナーマーク200d〜200fとのうち何れであるかを判定できる。
【0114】
次のステップS4で、CPU10は、センサ115aおよび115cの検知結果から、有効走査幅の両端のセンサ115aおよび115cの位置における光量補正値を求める。すなわち、CPU10は、図13を用いて説明した方法に従い、トナーマーク200aおよび200fの検知結果に基づき、補正値Ea1および補正値Eb3を求める。また、CPU10は、トナーマーク200cおよび200dの検知結果に基づき、補正値Ea3および補正値Eb1を求める。
【0115】
次のステップS5で、CPU10は、ステップS4で求めた補正値Ea1、Eb3、Ea3およびEb1を用いて、上述した式(5)〜式(8)に従い、センサ115aおよび115bの間、ならびに、センサ115bおよび115cの間における、画素毎の補正値E(x)を求める。
【0116】
さらに次のステップS6で、CPU10は、ステップS4で求めた補正値Ea1、Eb3、Ea3およびEb1を用いて、上述した式(9)〜式(12)に従い、濃度補正用トナーマークを形成していない他の主走査ラインの補正値E(y)をそれぞれ求める。そして、求めた各補正値E(y)に基づき、図13を用いて説明したようにして、予め求めROM12などに格納されたピーク値と補正値との関係に基づき、線形補間などを利用して、各主走査ラインの画素毎の補正値E(x)を算出する。
【0117】
次のステップS7で、CPU10は、上述のステップS5およびステップS6で算出した各主走査ラインの画素毎の補正値E(x)を、RAM11に記憶する。これに限らず、データバス上に書き換え可能な不揮発性メモリを接続し(図示しない)、この不揮発性メモリにこの補正値E(x)を記憶させてもよい。求めた補正値E(x)がRAM11や不揮発性メモリに記憶されると、図19のフローチャートにおける一連の処理が終了される。
【0118】
なお、RAM11や不揮発性メモリに記憶された補正値E(x)は、次回の光量補正値取得処理を実行するまで保持され、印刷時の補正値E(x)として用いられる。
【0119】
このように、本第3の実施形態によれば、実際に形成された濃度補正用トナーマークに基づき、主走査ラインの画素毎の光量補正値を求めているので、より精度の高い補正を行うことができる。
【0120】
本第3の実施形態においても、上述した第2の実施形態の変形例と同様に、第1の実施形態によるシェーディング特性の補正を組み合わせ、往復走査の折り返し部分における画質向上を図ると共に、シェーディング特性の補正も行うようにできる。実際の処理としては、第2の実施形態の変形例で説明した第2の方法を略そのまま適用できる。すなわち、本第3の実施形態により求めた各主走査ラインの画素毎の補正値E(x)に対して、第1の実施形態によるシェーディング特性に対する補正値テーブルの、像高(画素位置)が対応する補正値をそれぞれ反映させる。
【0121】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。上述の第3の実施形態では、濃度補正用トナーマークを、有効走査端L、有効走査幅Dpの中央部および有効走査端Rにそれぞれ形成し、センサ115a、センサ115bおよびセンサ115cの3のセンサを用いて補正値E(x)を求めた。これに対し、本第4の実施形態では、濃度補正用トナーマークを、有効走査端Lおよび有効走査端Rのうち何れか一方と、有効走査幅Dpの中央部とにそれぞれ形成し、センサ115aおよび115cのうち何れか一方と、センサ115bとの、2のセンサを用いて補正値E(x)を求めるようにしている。センサの数が2個で済むと共に、濃度補正用トナーマークの形成も第3の実施形態に比べて2/3で済むため、装置コストおよびトナーの消費が抑えられる。
【0122】
図20は、本第4の実施形態により中間転写ベルト114に形成される濃度補正用トナーマークの一例を示す。図20の例では、往路から復路の順で走査した際の往路および復路の境界と、復路から往路の順で走査した際の復路および往路の境界とにおいて、有効走査端L側に位置するセンサ115aに対応するトナーマーク200aおよび200dと、有効走査幅Dpの中央に位置するセンサ115bに対応するセンサ200bおよび200eがそれぞれ形成される。有効走査端R側にはトナーマークを形成しない。勿論、この例に限られず、有効走査幅Dpの中央と有効走査端R側にトナーマークを形成し、有効走査端L側にはトナーマークを形成しないようにもできる。
【0123】
図21を用いて、本第4の実施形態における主走査方向の補正値E(x)の算出方法を説明する。ここで、センサ115cおよびトナーマーク200f(図10参照)を用いたと仮定した場合のセンサ115cでトナーマーク200fを検知した際の受光信号のレベルと、センサ115aでトナーマーク200aを検知した際の受光信号のレベルとが略等しいと考えられる。同様に、センサ115cおよびトナーマーク200c(図10参照)を用いたと仮定した場合のセンサ115cでトナーマーク200cを検知した際の受光信号のレベルと、センサ115aでトナーマーク200dを検知した際の受光信号のレベルとが略等しいと考えることができる。
【0124】
すなわち、有効走査端LおよびRそれぞれの位置にあるセンサ115aおよび115cのうち一方と、有効走査幅Dpの中央の位置にあるセンサ115bの2のセンサを用いた構成で以て、上述の第3の実施形態と同様にして、各主走査ラインの画素毎の補正値E(x)を算出できる。
【0125】
図21において、左上から右下へ向かう線は、往路、復路の順で走査された場合の、往路の最終のラインであるラインL_a10と、復路の最初のラインであるラインL_b1における光量の補正値E(x)の例を示す。この線において、センサ115aとセンサ115bとの間の部分209には上述の式(5)が適用され、センサ115bと有効走査端R(センサ115cの位置に相当)との間の部分210には上述の式(6)が適用される。
【0126】
同様に、左下から右上へ向かう線は、復路、往路の順で走査された場合の、復路の最終のラインであるラインL_b10と、往路の最初のラインであるラインL_a1における光量の補正値E(x)の例を示す。この線において、センサ115aとセンサ115bとの間の部分211には上述の式(7)が適用され、センサ115bと有効走査端R(センサ115cに相当)との間の部分212には上述の式(8)が適用される。
【0127】
副走査方向の補正値E(y)の算出方法は、上述の第3の実施形態で式(9)〜式(12)を用いて説明した方法をそのまま適用することができる。このとき、式(9)〜式(12)中の値Eb3として値Ea1を用いると共に、値Ea3として値Eb1を用いる。
【0128】
このようにして、往路、復路の順で走査された場合の往路の最終のラインおよび復路の最初のラインと、復路、往路の順で走査された場合の復路の最終のラインおよび往路の最初のラインとにおける補正値E(x)と、副走査方向の補正値E(y)とがそれぞれ求められたら、図13を用いて説明したようにして、予め求めROM12などに格納されたピーク値と補正値との関係に基づき、各主走査ラインの画素毎の補正値E(x)を、線形補間などを利用して算出する。
【0129】
なお、本第4の実施形態においても、上述した第2の実施形態の変形例と同様に、第1の実施形態によるシェーディング特性の補正を組み合わせ、第2の実施形態の変形例で説明した第2の方法などにより、往復走査の折り返し部分における画質向上を図ると共に、シェーディング特性の補正も行うようにできる。
【0130】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本第5の実施形態では、濃度補正用トナーマークを有効走査端Lおよび有効走査端Rにそれぞれ形成し、有効走査幅Dpの中央部には形成せず、センサ115aおよびセンサ115cの2のセンサを用いて補正値E(x)を求める。センサの数が2個で済むと共に、濃度補正用トナーマークの形成も第3の実施形態に比べて2/3で済むため、装置コストおよびトナーの消費が抑えられる。
【0131】
図22は、本第5の実施形態により中間転写ベルト114に形成される濃度補正用トナーマークの一例を示す。往路から復路の順で走査した際の往路および復路の境界と、復路から往路の順で走査した際の復路および往路の境界とにおいて、有効走査端L側に位置するセンサ115aに対応するトナーマーク200aおよび200dと、有効走査端R側に位置するセンサ115cに対応するトナーマーク200cおよび200fとがそれぞれ形成される。有効走査幅Dpの中央部には濃度補正用トナーマークを形成しない。
【0132】
図23を用いて、本第5の実施形態における副走査方向の補正値E(y)の算出方法を説明する。線213は、往路から復路の順で走査された場合の、往路の最終のラインであるラインL_a10と、復路の最初のラインであるラインL_b1における補正値E(y)の例を示す。また、線214は、復路から往路の順で走査された場合の、復路の最終のラインであるラインL_b10と、往路の最初のラインであるラインL_a1における補正値E(y)の例を示す。
【0133】
この場合、トナーマーク200aおよび200fでそれぞれ検知される受光信号のレベルが略等しいと考えることができる。同様に、トナーマーク200cおよびトナーマーク200dでそれぞれ検知される受光信号のレベルが略等しいと考えることができる。そのため、センサ115aではトナーマーク200aのみを検知し、センサ115cではトナーマーク200cのみを検知することで、光量補正値を算出することができる。またこのとき、トナーマーク200dおよび200fの形成を省略することができる。
【0134】
これら線213および線214に対し、下記の式(13)および式(14)をそれぞれ適用して、副走査方向の補正値E(y)を算出する。
E(y)=Ea1−{(Ea1−Ea3)/N}×n …(13)
E(y)=Ea3+{(Ea1−Ea3)/N}×n …(14)
【0135】
これら式(13)および式(14)それぞれで算出される補正値E(y)は、往路から復路の順で走査された場合の、各主走査ラインにおける有効走査端Lおよび有効走査端Rそれぞれの補正値E(y)に対応する。それと共に、式(13)および式(14)それぞれで算出される補正値E(y)は、復路から往路の順で走査された場合の、各主走査ラインにおける有効走査端Rおよび有効走査端Lそれぞれの補正値E(y)に対応する。
【0136】
各主走査ラインの画素毎の補正値E(x)は、式(13)および式(14)で求めた補正値E(y)を用いて、図13を用いて説明したようにして、予め求めROM12などに格納されたピーク値と補正値との関係に基づき、線形補間などを利用して算出することができる。
【0137】
また、往路と復路の境界以外の領域(ラインL_a1、L_a10、L_b1およびL_b10以外の主走査ライン)において、センサ115aおよび115cの位置にトナーマークを形成し、このトナーマークのセンサ115aおよび115cによる検知結果に基づき、有効走査幅Dpの中央における光量を求めることが考えられる。例えば、このように形成した各トナーマークをセンサ115aおよび115cで検知したそれぞれの出力波形のピーク値の平均値を、有効走査幅Dpの中央におけるピーク値(濃度)と推定する。
【0138】
この推定されたピーク値と、センサ115aおよび115cで検知したそれぞれの出力波形のピーク値とを用いて補正値Ea1、Ea3、Eb1およびEb3を算出する。そして、算出したこれら補正値Ea1、Ea3、Eb1およびEb3を用いて、上述した式(5)〜式(8)に従い当該主走査ラインにおける画素毎の補正値E(x)を求める。
【0139】
なお、本第5の実施形態においても、上述した第2の実施形態の変形例と同様に、第1の実施形態によるシェーディング特性の補正を組み合わせ、第2の実施形態の変形例で説明した第2の方法などにより、往復走査の折り返し部分における画質向上を図ると共に、シェーディング特性の補正も行うようにできる。
【0140】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。上述した図10〜図12を参照し、トナーマーク200aおよび200bをセンサ115aおよび115bで検知した場合の濃度差と、トナーマーク200bおよび200fをセンサ115bおよび115cで検知した場合の濃度差とが略等しいと仮定する。この場合、1のセンサ115aまたは115cを用いて、各主走査ラインの補正値E(x)を算出することができる。そこで、本第6の実施形態では、濃度補正用トナーマークを有効走査端LおよびRのうち何れか一方にのみ形成し、濃度補正用トナーマークに位置が対応する1のセンサのみを用いて補正値E(x)を求める。
【0141】
すなわち、トナーマーク200aおよび200bの濃度差と、トナーマーク200bおよび200fの濃度差とが等しいと仮定した場合、トナーマーク200bに対して対称位置にあるトナーマーク200cおよび200dのトナーマーク200bに対する濃度差も等しいと仮定できる。これにより、トナーマーク200cに対応する補正値Ea3を補正値Eb1に置き換えることができると共に、トナーマーク200fに対応する補正値Eb3を補正値Ea1に置き換えることができる。
【0142】
補正値Ea3を補正値Eb1に、補正値Eb3を補正値Ea1に、それぞれ置き換えた場合、主走査ラインの画素毎の補正値E(x)を求める式(5)〜式(8)は、各補正値に関して補正値Ea1およびEb1のみで表すことができる。したがって、例えば図22を参照して、有効走査端L側に位置するセンサ115aに対応するトナーマーク200aおよび200dをそれぞれ形成し、これらトナーマーク200aおよび200dを1のセンサ115aで検知することで、補正値E(x)を求めることができる。
【0143】
本第6の実施形態における副走査方向の補正値E(y)の算出方法について、図24を用いて説明する。この場合、上述の式(13)および式(14)における補正値Ea3を補正値Eb1に置き換えた下記の式(15)および式(16)を、図23における線213および214にそれぞれ対応する線215および216(図24(a)参照)に対して各々適用する。
E(y)=Ea1−{(Ea1−Eb1)/N}×n …(15)
E(y)=Eb1+{(Ea1−Eb1)/N}×n …(16)
【0144】
各主走査ラインの画素毎の補正値E(x)は、式(15)および式(16)で求めた補正値E(y)を用いて、図13を用いて説明したようにして、予め求めROM12などに格納されたピーク値と補正値との関係に基づき、線形補間などを利用して算出することができる。
【0145】
また、往路と復路の境界以外の領域(ラインL_a1、L_a10、L_b1およびL_b10以外の主走査ライン)において、センサ115aおよび115cの位置にトナーマークを形成し、このトナーマークのセンサ115aおよび115cによる検知結果に基づき、有効走査幅Dpの中央における光量を求めることが考えられる。例えば、このように形成した各トナーマークをセンサ115aおよび115cで検知したそれぞれの出力波形のピーク値の平均値を、有効走査幅Dpの中央におけるピーク値(光量)と推定する。この推定されたピーク値と、センサ115aおよび115cで検知したそれぞれの出力波形のピーク値とを用いて、上述した、補正値Ea3を補正値Eb1に置き換えると共に補正値Eb3を補正値Ea1に置き換えた式(5)〜式(8)に従い、当該主走査ラインにおける画素毎の補正値E(x)を求める。
【0146】
なお、実際には、トナーマーク200aおよび200bをセンサ115aおよび115bで検知した場合の濃度差、ならびに、トナーマーク200bおよび200fをセンサ115bおよび115cで検知した場合の濃度差と、トナーマーク200aおよび200dをセンサ115aで検知した結果に基づき推定した濃度差との間には、図24(b)に例示されるように、若干の差異ΔE2が存在する可能性がある。これは、差異ΔE2の存在は、補正値Ea1≠補正値Eb1となることを意味する。この場合、本来であれば光量の補正が不要な領域である有効走査幅Dpの中央部で、この差異ΔE2分の補正を行う必要が生じることになる。しかしながら、この差異ΔE2は、トナーマーク200aおよび200dを用いた光量補正を行わない場合に生じる差異と比較して十分小さく、問題にはならない。
【0147】
また、本第6の実施形態においても、上述した第2の実施形態の変形例と同様に、第1の実施形態によるシェーディング特性の補正を組み合わせ、第2の実施形態の変形例で説明した第2の方法などにより、往復走査の折り返し部分における画質向上を図ると共に、シェーディング特性の補正も行うようにできる。
【0148】
このように、本第6の実施形態によれば、濃度補正用トナーマークを検知するためのセンサの数が1個で済むと共に、濃度補正用トナーマークの形成も第3の実施形態に比べて1/3で済むため、装置コストおよびトナーの消費が抑えられる。
【0149】
なお、上述した本発明の第3〜第6の実施形態に適用可能な画像形成装置は、色K、Y、CおよびMの各色によるフルカラーの画像形成が可能である。上述の第3〜第6の実施形態のそれぞれにおいて、これら色K、Y、CおよびMのうち少なくとも1色(例えば色K)のみについて、濃度補正用トナーマークおよび当該トナーマークの検知、ならびに、トナーマークの検知結果に基づく光量の補正値の作成を行えばよい。この場合、1色について求めた補正値は、他の色に対しても適用される。これにより、濃度補正用トナーマークの形成によるトナーの消費を抑えることができる。
【0150】
また、例えば第3の実施形態などにおいて、色によって濃度補正用トナーマークを検知するためのセンサ数を異ならせることができる。例えば、頻繁に使用される色Kについてはセンサ115a、115bおよび115cの3のセンサを用い、他の色については、センサ115a、115bおよび115cのうち1乃至2のセンサを用いる。このとき、濃度補正用トナーマークも、用いるセンサの位置に応じて形成を省略できる。これにより、濃度補正用トナーマークの形成によるトナーの消費を抑えることができる。
【符号の説明】
【0151】
10 CPU
11 RAM
12 ROM
21 書込制御部
50 光源ユニット
100 画像形成装置
102 光学装置
104a,106a,108a,110a 感光体ドラム
112 像形成部
114 中間転写ベルト
115,115a,115b,115c センサ
122 転写部
200a,200b,200c,200d,200e,200f トナーマーク
603 受光素子
【先行技術文献】
【特許文献】
【0152】
【特許文献1】特開2005−345866号公報
【特許文献2】特開2008−15210号公報
【特許文献3】特開2005−178041号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを射出する光源と、
前記光源から射出された前記光ビームを偏向して主走査方向に往復走査する光偏向手段と、
前記光偏向手段により偏向された前記光ビームを、被走査面に対して導光して結像させる結像手段と、
前記光偏向手段による往路走査と復路走査とで、走査開始位置からの距離に応じた値の変化が異なる補正データを用いて、前記光源から射出される前記光ビームの光量の補正を行う補正手段と
を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記補正手段は、
前記往路走査の走査開始位置から走査終了位置までの値の変化を示す前記補正データを、前記復路走査時に、該走査終了位置から該走査開始位置へ向けて用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正手段が行う前記補正は、
前記光偏向手段および前記結像手段によるシェーディング特性に対する補正である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記光源は複数の光ビームを射出し、
前記補正手段は、
前記複数の光ビームのそれぞれでさらに異なる補正データを用いて前記補正を行う
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記補正手段は、
副走査方向について、前記複数の光ビーム毎に、該光ビームの光量が、走査開始位置では下限値から上限値に向けて線形に増加し、走査終了位置では上限値から下限値に向けて線形に減少し、主走査方向について、前記複数の光ビーム毎の光量が、該走査開始位置の光量から該走査終了位置の光量まで画素単位で線形に変化する前記補正データを用いて前記補正を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記補正手段は、
前記光偏向手段および前記結像手段によるシェーディング特性に対する補正をさらに行う
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記光ビームにより前記被走査面に結像されて形成された像を、所定速度で駆動される像担持体に転写する転写手段と、
前記被走査面に結像され前記像担持体に転写される複数のマークを発生させるマーク発生手段と、
前記像担持体に転写された前記複数のマークの濃度をセンサを用いて検知する検知手段と
をさらに有し、
前記補正手段は、
前記検知手段に検知された前記複数のマークの濃度の差分を算出し、該差分に基づき前記補正データを作成する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記マーク発生手段は、
少なくとも前記被走査面の有効走査幅の両端および中央部に対してそれぞれ前記マークを発生させ、
前記検知手段は、
3の前記センサを用いて前記有効走査幅の両端および中央部にそれぞれ形成されたマークの濃度を検知し、
前記補正手段は、
前記検知手段により前記3のセンサで検知された、前記両端それぞれのマークの濃度と前記中央部のマークの濃度との差分が0になるように前記補正データを作成する
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記マーク発生手段は、
往路から復路の順に走査を行った場合の往路と復路との境界に隣接する往路および復路の2の主走査ラインと、復路から往路の順に走査を行った場合の復路と往路との境界に隣接する復路および往路の2の主走査ラインとのそれぞれに対し、有効走査幅の前記両端および前記中央部に対してそれぞれ前記マークを発生させる
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記マーク発生手段は、
前記被走査面の有効走査幅の両端および中央部のうち2箇所に対してそれぞれ前記マークを発生させ、
前記検知手段は、
前記マーク発生手段により発生された前記2箇所の前記マークそれぞれに位置が対応する2の前記センサを用いて前記マークの濃度を検知し、
前記補正手段は、
前記検知手段により前記2のセンサで検知された2の前記マークの濃度に基づき前記補正データを作成する
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記マーク発生手段は、
往路から復路の順に走査を行った場合の往路と復路との境界に隣接する往路および復路の2の主走査ラインと、復路から往路の順に走査を行った場合の復路と往路との境界に隣接する復路および往路の2の主走査ラインのそれぞれに対し、有効走査幅の前記両端のうち一方と、前記中央部に対してそれぞれ前記マークを発生させ、
前記補正手段は、
前記検知手段により前記2のセンサで検知された、前記両端のうち一方のマークの濃度と前記中央部のマークの濃度との差分が0になるように前記補正データを作成する
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記マーク発生手段は、
往路から復路の順に走査を行った場合の往路と復路との境界に隣接する往路および復路の2の主走査ラインと、復路から往路の順に走査を行った場合の復路と往路との境界に隣接する復路および往路の2の主走査ラインとのうち少なくとも一方に対し、有効走査幅の前記両端にそれぞれ前記マークを発生させる
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記マーク発生手段は、
少なくとも前記被走査面の有効走査幅の両端のうち何れか一方に対して前記マークを発生させ、
前記検知手段は、
1の前記センサを用いて前記マークを検知し、
前記補正手段は、
前記検知手段により前記1のセンサで検知された前記マークの濃度に基づき前記補正データを作成する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記マーク発生手段は、
往路から復路の順に走査を行った場合の往路と復路との境界に隣接する往路および復路の2の主走査ラインと、復路から往路の順に走査を行った場合の復路と往路との境界に隣接する復路および往路の2の主走査ラインのそれぞれに対し、有効走査幅の前記両端のうち何れか一方に対して前記マークを発生させる
ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記補正手段は、
副走査方向について、前記複数の光ビーム毎に、該光ビームの光量が、走査開始位置では線形に増加し、走査終了位置では線形に減少し、主走査方向について、前記複数の光ビーム毎の光量が、該走査開始位置の光量から該走査終了位置の光量まで画素単位で線形に変化する前記補正データを用いて前記補正を行う
ことを特徴とする請求項7乃至請求項14の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記補正手段は、
前記光偏向手段および前記結像手段によるシェーディング特性に対する補正をさらに行う
ことを特徴とする請求項7乃至請求項15の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項17】
光偏向手段が、光源から射出された光ビームを偏向して主走査方向に往復走査する光偏向ステップと、
結像手段が、前記光偏向ステップにより偏向された前記光ビームを、被走査面に対して導光して結像させる結像ステップと、
補正手段が、前記光偏向ステップによる往路走査と復路走査とで、走査開始位置からの距離に応じた値の変化が異なる補正データを用いて、前記光源から射出される前記光ビームの光量の補正を行う補正ステップと
を有する
ことを特徴とする画像形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2012−37616(P2012−37616A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175544(P2010−175544)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】