説明

画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】 現像装置を含むプロセスカートリッジにおいて、余分な検知手段を用いずに、トナーシールの有無、及び、カートリッジが画像形成装置本体に装着されたかどうかを検出する手段を提供する。
【解決手段】 トナーシールが除去されずにカートリッジが装置本体に装着されたとき、トナーシールの導電層と現像スリーブとが電気的に導通するような構成とする。このとき、トナーシールと板金との間の静電容量に対応する電気信号が検知される。一方、トナーシールが除去されてからカートリッジが装置本体に装着されたとき、現像スリーブと板金との間の静電容量に対応する電気信号が検知されるため、静電容量の違いによってトナーシールの有無を判定できる。カートリッジが装置本体に装着されていないときは、現像スリーブと板金が本体と導通せず、検知される電気信号がゼロレベルになるため、カートリッジが装着されていないと判定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジ及び該プロセスカートリッジを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置において、感光体及びプロセス手段を一体的にカートリッジ化し、画像形成装置に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が用いられている。現像手段を含むプロセスカートリッジや、感光体を含まず、プロセス手段として現像手段のみを有するプロセスカートリッジ(所謂現像カートリッジ)においては、例えばカートリッジ輸送中などにトナーが飛散するのを防ぐため、トナーを収容するための現像容器の開口部がトナーシールで密閉されている。このトナーシールは、カートリッジを画像形成装置本体に装着して画像形成を行う際には取り除かれている必要がある。カートリッジを画像形成装置に装着する前に、ユーザーによってシールが引き抜かれることで、はじめて現像スリーブにトナーが供給される。
【0003】
しかしながら、トナーシールを引かなくても画像形成装置に装着できるカートリッジの場合、ユーザーがトナーシールを引き忘れたままカートリッジを画像形成装置に挿入するおそれがある。トナーシールが残ったままではトナーが現像スリーブに供給されないため、プリント紙に印字できず、白紙が排出されることになる。ユーザーが画像形成装置の近くにいない場合には、トナーシールの引き忘れに気づかずに、印字が行われないまま白紙を排出し続ける可能性がある。
【0004】
そこで、現像スリーブとアンテナとの間の静電容量を用いて、トナーシールの有無を判断する手段が提案されている。特許文献1では、前記静電容量に対応した電流を出力するアンテナと、画像形成装置本体の検知回路との接点を、絶縁性のトナーシールによって絶縁する構成が開示されている。この構成により、トナーシールが引き抜かれていない状態では、前記検知回路における検出出力がゼロレベルになり、トナーシールの引き忘れをユーザーに知らせることができる。また、トナーシールが引き抜かれている場合には、現像スリーブとアンテナとの間の静電容量からトナー残量を検知するような構成とすることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−208002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、カートリッジが画像形成装置本体に装着されていない状態においても、前記検知回路における検出出力がゼロレベルになる。したがって、前記検出出力がゼロレベルのとき、カートリッジが装着されていないのか、トナーシールが取り除かれていないのか、判断ができない。そのため、カートリッジの有無を検知するには、例えばカートリッジの突起をフォトセンサーで検知するなど、別の検知手段が必要になる。
【0007】
本発明は、余分な検知手段を用いずにトナーシールが取り除かれたかどうか、及び、カートリッジが画像形成装置本体に装着されたかどうかを検出する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、本発明に係る画像形成装置、及び、プロセスカートリッジにて達成される。第1の本発明は、現像剤を担持搬送して感光体に供給する現像剤担持体と、内部に導電性の検出部材を有し、前記現像剤を収容するための第1の部屋、及び、前記現像剤担持体が配設されており、開口部を介して前記第1の部屋と連通し、前記開口部を通って前記第1の部屋から進入した前記現像剤を前記現像剤担持体に供給する第2の部屋を備えた現像容器と、使用開始前において前記開口部を封止するように設けられ、使用開始に際して前記開口部から除去されるシール部材であって、前記開口部を封止している状態で少なくとも前記開口部に位置する部分に前記現像剤担持体と電気的に導通した導電層を有するシール部材と、を備えたプロセスカートリッジと、前記プロセスカートリッジを着脱可能に支持する支持手段と、前記現像剤担持体に交流成分を有するバイアス電圧を印加するための電圧印加手段と、前記現像剤担持体に前記バイアス電圧が印加されている状態で、前記シール部材が前記開口部を封止しているときは、前記シール部材と前記検出部材との間の静電容量の大きさに応じた電気信号を出力し、前記シール部材が前記開口部から除去されているときは、前記現像剤担持体と前記検出部材との間の静電容量の大きさに応じた電気信号を出力する信号形成手段と、前記信号形成手段が第1基準静電容量値以下に対応する前記電気信号を出力したときは、前記プロセスカートリッジが装着されていないと判定し、前記第1基準静電容量値より大きい第2基準静電容量値以上に対応する前記電気信号を出力したときは、前記シール部材が除去されていないと判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0009】
第2の本発明は、現像剤を担持搬送して感光体に供給する現像剤担持体と、前記現像剤を収容するための第1の部屋、及び、前記現像剤担持体が配設されており、開口部を介して前記第1の部屋と連通し、前記開口部を通って前記第1の部屋から進入した前記現像剤を前記現像剤担持体に供給する第2の部屋を備えた現像容器と、使用開始前において前記開口部を封止するように設けられ、使用開始に際して前記開口部から除去されるシール部材とを備えたプロセスカートリッジを着脱可能に支持する支持手段と、本体側第1接点と、本体側第2接点と、本体側第3接点と、前記本体側第1接点と前記本体側第3接点に交流成分を有するバイアス電圧を印加するための電圧印加手段と、前記本体側第2接点から入力された電流を用いて電気信号を出力する信号形成手段と、前記電気信号に基づいて、前記プロセスカートリッジが装着されているかどうか、及び、前記シール部材が前記開口部から除去されているかどうかを判定する判定手段と、を有する画像形成装置本体に装着可能な前記プロセスカートリッジであって、前記第1の部屋に配設された導電性の検出部材と、前記現像剤担持体と電気的に導通するカートリッジ側第1接点であって、前記画像形成装置本体に装着された状態において前記本体側第1接点と電気的に接続するカートリッジ側第1接点と、前記検出部材と電気的に導通するカートリッジ側第2接点であって、前記画像形成装置本体に装着された状態において前記本体側第2接点と電気的に接続するカートリッジ側第2接点と、前記画像形成装置本体に装着された状態において前記本体側第3接点と電気的に接続するカートリッジ側第3接点と、を備え、前記シール部材は、前記開口部を封止している状態において少なくとも前記開口部に位置する部分に前記カートリッジ側第3接点と電気的に導通した導電層を有し、前記検出部材は、前記本体側第1接点を介してカートリッジ側第1接点に、及び、前記本体側第3接点を介してカートリッジ側第3接点に前記バイアス電圧が印加されている状態で、前記シール部材が前記開口部を封止しているときは、前記シール部材と前記検出部材との間の静電容量の大きさに応じた電流を、前記シール部材が前記開口部から除去されているときは、前記現像剤担持体と前記検出部材との間の静電容量の大きさに応じた電流を、夫々前記カートリッジ側第2接点から前記本体側第2接点に出力することを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0010】
第3の本発明は、現像剤を担持搬送して感光体に供給する現像剤担持体と、前記現像剤を収容するための第1の部屋、及び、前記現像剤担持体が配設されており、開口部を介して前記第1の部屋と連通し、前記開口部を通って前記第1の部屋から進入した前記現像剤を前記現像剤担持体に供給する第2の部屋を備えた現像容器と、使用開始前において前記開口部を封止するように設けられ、使用開始に際して前記開口部から除去されるシール部材とを備えたプロセスカートリッジを着脱可能に支持する支持手段と、本体側第1接点と、本体側第2接点と、前記本体側第1接点に交流成分を有するバイアス電圧を印加するための電圧印加手段と、前記本体側第2接点から入力された電流を用いて電気信号を出力する信号形成手段と、前記電気信号に基づいて、前記プロセスカートリッジが装着されているかどうか、及び、前記シール部材が前記開口部から除去されているかどうかを判定する判定手段と、を有する画像形成装置本体に装着可能な前記プロセスカートリッジであって、前記第1の部屋に配設された導電性の検出部材と、前記現像剤担持体と電気的に導通するカートリッジ側第1接点であって、前記画像形成装置本体に装着された状態において前記本体側第1接点と電気的に接続するカートリッジ側第1接点と、前記検出部材と電気的に導通するカートリッジ側第2接点であって、前記画像形成装置本体に装着された状態において前記本体側第2接点と電気的に接続するカートリッジ側第2接点と、を備え、
前記シール部材は、前記開口部を封止している状態において少なくとも前記開口部に位置する部分に前記現像剤担持体と電気的に導通した導電層を有し、前記検出部材は、前記本体側第1接点を介してカートリッジ側第1接点に前記バイアス電圧が印加されている状態で、前記シール部材が前記開口部を封止しているときは、前記シール部材と前記検出部材との間の静電容量の大きさに応じた電流を、前記シール部材が前記開口部から除去されているときは、前記現像剤担持体と前記検出部材との間の静電容量の大きさに応じた電流を、夫々前記カートリッジ側第2接点から前記本体側第2接点に出力することを特徴とするプロセスカートリッジである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、余分な検知手段を用いることなく、トナーシールが取り除かれたかどうか、及び、カートリッジが画像形成装置本体に装着されたかどうかを検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1におけるトナーシールが除去される前のプロセスカートリッジと本体の模式図
【図2】実施例1におけるトナーシールが除去された後のプロセスカートリッジと本体の模式図
【図3】実施例1における検知された静電容量とトナー残量との関係図
【図4】実施例1における検知の流れを示すフローチャート
【図5】実施例2におけるトナーシールが除去される前のプロセスカートリッジと本体の模式図
【図6】レーザービームプリンターの主要部の概略構成図
【図7】トナーシールが除去される前の現像容器の概略図
【図8】トナーシールが引き抜かれている状態の現像容器の概略図
【図9】トナーシールが除去された後の現像容器の概略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
本実施例では、画像形成装置として電子写真プロセス利用のレーザービームプリンターを用いた場合の例を説明する。
【0015】
図6は、本発明に従うレーザービームプリンターの主要部の概略構成図である。図6において、プリンター本体にプロセスカートリッジ16が装着されている状態である。プロセスカートリッジ16は、感光体1、及び、接触帯電部材としての帯電ローラ2、現像装置3、クリーニング装置9の3つのプロセス手段を備え、支持手段としてのカートリッジ支持台29に対して着脱可能である。
【0016】
感光体1は、帯電ローラ2によって、表面を所定の極性(本例は負)・電位に一様に帯電処理された後、レーザースキャナ5からの露光によって、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像装置3の現像スリーブ6により負に帯電されたトナーが供給され、反転現像される。現像スリーブ6には、電圧印加手段としての高圧電源20から直流電圧に交流電圧を重畳して合成された、交流電圧成分を含む所定のバイアス電圧が印加される。一方、感光体1上のトナー像とタイミングを合わせて、記録材が感光体1と転写ローラ8との当接ニップ部(転写部)へ給送される。転写ローラ8には高圧電源(図示せず)から所定の転写バイアス電圧が印加され、感光体1上のトナー像が記録材に転写される。トナー像が転写された記録材は、定着装置30のニップ部へ搬送され、トナー像が定着処理された後、画像形成物として排出される。
【0017】
プロセスカートリッジ16がカートリッジ支持台29に装着されると、プリンター本体と機械的・電気的にカップリングして、プリンター本体側の駆動機構で感光体1や現像スリーブ6等の駆動が可能となる。また、プリンター本体側の電源から、帯電ローラ2や現像スリーブ6等への所定のバイアス電圧印加が可能となる。
【0018】
次に現像装置3について説明する。
【0019】
トナーは、現像容器12内部の第1の部屋としてのトナー室T1に収容されている。トナー室T1は、現像枠体31から成る第2の部屋としての現像室T2と、区画壁12aに形成された開口部12bを介して連通している。カートリッジ使用開始に際してトナーシール11が開口部12bから除去されることにより、開口部12bが開放され、トナー室T1内のトナーが現像室T2に進入する。現像室T2では、トナー室T1から進入したトナーが現像スリーブ6に供給される。現像スリーブ6は回転可能な現像剤担持体であり、内部にマグネットが固定されている。本実施例において、トナーは一成分磁性トナーであり、マグネットの磁力により現像スリーブ6上に担持され、現像スリーブ6の回転によって感光体1と現像スリーブ6とが対向する現像領域へと搬送される。現像領域へ搬送されるトナーの量は、例えばウレタンゴムから成る弾性ブレード10によって規制される。
【0020】
次にシール部材としてのトナーシール11について説明する。
【0021】
図7は、カートリッジ使用開始前において、トナーシール11が開口部12bから取り除かれる前の状態における現像容器12の概略図である。トナーシール11は、カバーフィルム11aと、その一端に接合されたテアテープ11bから成る。カバーフィルム11aは、現像容器12の区画壁12aに熱溶着され、開口部12bを封止することにより、トナーを現像容器12内に密閉している。一方、テアテープ11bは、カバーフィルム11aに重なるように折り返されている。テアテープ11bの両端のうち、カバーフィルム11aに接合していない側の一端は、現像容器12の外に突出している。この突出部Qは、ユーザーがトナーシール11をプロセスカートリッジ16から引き抜くときの取っ手とされている。図7では、現像スリーブ6を支持するための現像枠体31が取り外された状態が図示されているが、現像枠体31は、実際には現像容器12の区画壁12aのうち、トナーシールの外側部分に熱溶着される。図8に示すように、ユーザーが突出部Qを矢印方向に引っ張ることにより、カバーフィルム11aが帯状に引き裂かれ、開口部12bが開放される。
【0022】
図9は、トナーシール11を引き抜いた後の状態における現像容器12の概略図である。トナー室T1内のトナーは、開口部12bを通って現像室T2に進入し、現像スリーブ6上に担持されて感光体1へ供給される。
【0023】
本実施例のトナーシール11は、表層からポリエステル層(強度維持層)、アルミニウム層、ポリエステル層、シーラント層(容器接着層)の多層構成になっている。トナーシール11が除去される前の状態において、少なくとも開口部12bに位置する部分に導電層としてのアルミニウム層が存在している。導電層の少なくとも一部はトナーシール11の表面に露出しており、導線等をつなぐことが可能となっている。なお、トナーシールの材料についてはこれに限るものでなく、導電層としてアルミニウム以外に例えばステンレススチール、導電性プラスチックなどを用いてもよい。また、本実施例では、カバーフィルム11aを帯状に引き裂く構成としたが、区画壁12aから全て剥ぎ取られるような構成としてもよい。
【0024】
次に、プロセスカートリッジ16の有無、トナーシール11の有無、トナー残量の検知構成について説明する。
【0025】
図1は、トナーシール11が除去されていないプロセスカートリッジ16が、プリンター本体のカートリッジ支持台29に装着された状態における現像容器12の断面及びプリンター内部の構成を表す模式図である。図1では、開口部12bがトナーシール11によって封止されており、トナーはトナー室T1にしか存在しない。トナー室T1内には、導電性の検出部材である板金14が配設されている。現像スリーブ6はカートリッジ側第1接点34aと、板金14はカートリッジ側第2接点35aと、トナーシール11の導電層はカートリッジ側第3接点36aと、導線等を介して夫々電気的に導通している。プロセスカートリッジがカートリッジ支持台29に装着された状態において、カートリッジ側第1接点34a、カートリッジ側第2接点35a、カートリッジ側第3接点36aは、夫々、プリンター本体の本体側第1接点34b、本体側第2接点35b、本体側第3接点36bと電気的に接触している。本体側第1接点34bと本体側第3接点36bには、プリンター本体内にある電源20から交流成分を含むバイアス電圧が印加される。したがって、トナーシール11が引き抜かれる前のプロセスカートリッジ16をカートリッジ支持台29に装着すると、カートリッジ側第1接点34aとカートリッジ側第3接点36aとが電気的に導通することになる。すなわち、この状態において、トナーシール11の導電層と現像スリーブ6とが電気的に導通している。
【0026】
本実施例において、トナーシールと板金との間の静電容量を、現像スリーブと板金との間の静電容量より十分に大きくする必要がある。この条件を満たす限り、導電層部分の面積や形状は問わない。
【0027】
一方、図2は、トナーシール11が除去されたプロセスカートリッジ16が、カートリッジ支持台29に装着された状態における現像容器12の断面及びプリンター内部の構成を表す模式図である。トナーシール11が開口部12bから除去されたことにより、トナー室T1と現像室T2とが連通して、トナー室T1内のトナーが現像室T2内に進入し、現像装置3が使用可能な状態になっている。
【0028】
電源20から現像スリーブ6に交流成分を含むバイアス電圧を印加すると、板金14に誘起された電流に基づいて、静電容量検出回路15で処理が行われ、トナーシール11の有無、プロセスカートリッジ16の有無、現像容器12内のトナー残量が検知される。
【0029】
以下、静電容量検出回路15について詳細に説明する。静電容量検出回路15には、板金14に誘起された電流を整流する第1整流回路18、及び、該第1整流回路18で発生した電流信号を電圧Vdcに変換する第1電流−電圧変換回路19が設けられている。第1整流回路18は、本体側第2接点35bと電気的に導通している。また、電源20に対して現像スリーブ6と並列に接続され、所定の静電容量Csを有するコンデンサ21、該コンデンサ21と直列に接続された第2整流回路22、及び、該第2整流回路22で発生した電流信号を電圧Vsに変換する第2電流−電圧変換回路23が設けられている。コンデンサ21として、検出したいトナー量に応じた静電容量を有するものを選択することにより、任意の検出レベルを設定できる。また、コンデンサ21を可変コンデンサとして、静電容量を調整してもよい。さらに、第1電流−電圧変換回路19からの出力電圧Vdcと、第2電流−電圧変換回路23からの出力電圧Vsとの差分を出力する信号形成手段としてのオペアンプ24、及び、該オペアンプ24からの出力信号を受け、その信号レベルを判定する判定手段としてのCPU25が設けられている。
【0030】
なお、本実施例では、第1整流回路18及び第2整流回路22で発生する電流信号を電圧に変換する構成としたが、これに限るものではない。
【0031】
図3は、本実施例において検知された静電容量とトナー残量との関係図を示す。以下、図3を用いて、本実施例の検知方法について説明する。
【0032】
図2のように、トナーシール11が除去されたプロセスカートリッジ16がプリンター本体に装着され、本体側第1接点34b、及び、本体側第3接点36bにバイアス電圧が印加されているとき、板金14と現像スリーブ6との間の静電容量の大きさに応じた電圧信号がオペアンプ24から出力される。このとき、板金14と現像スリーブ6との間の静電容量は、板金14と現像スリーブ6との間に存在するトナー量が多いほど大きく、トナー未消費状態で最大値C2となり、トナーがなくなった状態で最小値C3となる。本実施例では、トナー残量が少なくなったことをユーザーに知らせるために、静電容量がC3よりやや大きく、C2より小さいClowを基準値として設定している。Clowは、現像容器12内のトナーが僅少となってユーザーにその旨報知する必要のあるトナー残量に対応する値である。オペアンプ24から出力される電圧信号に対応する静電容量がClow以下のときは、CPU25によって、トナー残量が少ないと判定され、プリンター本体の操作パネル等に設けられている表示器に警告が表示される。
【0033】
一方、プロセスカートリッジ16がプリンター本体に装着されていない状態においては、本体側第1接点34b、本体側第3接点36bにバイアス電圧が印加されている状態であっても、現像スリーブ6と本体側第1接点34b、及び、板金14と本体側第2接点35bとが電気的に導通しない。そのため、オペアンプ24から出力される電圧信号に対応する静電容量の大きさは、C0ゼロレベルとなり、現像容器12内のトナーが空の状態C3よりも極めて小さくなる。したがって、静電容量がC0以上C3未満となるような第1基準静電容量値C5を閾値に設定することで、プロセスカートリッジ16の有無を判別することができる。すなわち、オペアンプ24から出力される電圧信号に対応する静電容量の大きさがC5以下のときは、CPU25によって、プロセスカートリッジ16がプリンター本体に装着されていないと判定される。
【0034】
一方、図1のように、トナーシール11が除去されずにプロセスカートリッジ16がプリンター本体に装着されている状態においては、トナーシール11が本体側第3接点36bと電気的に導通する。本体側第1接点34b、及び、本体側第3接点36bにバイアス電圧が印加されているとき、トナーシール11と板金14との間の静電容量に対応した電圧信号が、オペアンプ24から出力される。このとき、現像スリーブ6と板金14との間の静電容量も電圧信号に含まれるが、微小なので無視できる。図1の状態では、トナーシール11が除去されていないので、トナー室T1にはトナーが満たされている。本体側第1接点34b、本体側第3接点36bにバイアス電圧が印加されている状態において、オペアンプ24から出力される電圧信号に対応する静電容量C1は、C2より大きくなる。したがって、静電容量がC2以上C1未満となるような第2基準静電容量値C4を閾値に設定することで、トナーシール11の有無を判別することができる。すなわち、オペアンプ24から出力される電圧信号に対応する静電容量の大きさがC4以上のときは、CPU25によって、トナーシール11が除去されていないと判定される。
【0035】
図4は、プロセスカートリッジ16の有無、トナーシール11の有無、トナー残量の検知の流れを示すフローチャートである。以下、図4を用いて本実施例の検知処理を説明する。
【0036】
まず、プリンター本体の電源がONになると(S1)、現像スリーブ6に電源20から交流成分を含むバイアス電圧を印加するようにCPU25が電源20を制御する(S2)。オペアンプ24から出力される電圧信号に対応した静電容量が検知され(S3)、C5以下であるか否かがCPU25によって判断される(S4)。検知された静電容量がC5以下のとき(S4のYES)、CPU25は、「カートリッジ無し」が表示されるようにプリンター本体の表示部を制御する(S8)。一方、検知された静電容量がC5より大きいときは(S4のNO)、C4以上であるか否かがCPU25によって判断される(S5)。検知された静電容量がC4以上のとき(S5のYES)、CPU25は、「トナーシール有り」が表示されるようにプリンター本体の表示部を制御する(S9)。この状態において、プリンターは画像形成を行うことができない。一方、検知された静電容量がC4より小さいときは、Clow以下であるか否かがCPU25によって判断される(S6)。検知された静電容量がClow以下のとき(S6のYES)、CPU25は、「トナーLow」が表示されるようにプリンター本体の表示部を制御する(S10)。検知された静電容量がClowより大きいときは(S6のNO)、印刷動作待ちとなり、画像形成が可能な状態になる(S7)。
【0037】
なお、図4では、プリンター本体の電源がONになると(S1)バイアス電圧を印加するように制御する(S2)としたが、プリンター本体の電源がONの状態でプロセスカートリッジ16を本体に挿入したときや、プリンター本体の電源がONの状態でプロセスカートリッジ16を出し入れするためのドア(図示せず)を閉じたときにも、バイアス電圧を印加するように制御してもよい。
【0038】
以上のような構成により、プロセスカートリッジ16の有無、及び、トナーシール11の有無の検知が可能となる。なお、本実施例においては、現像容器12内のトナー残量も合わせて検知する構成としたが、プロセスカートリッジ16の有無、トナーシール11の有無だけを検知するようにしてもよい。
【0039】
また、本実施例では、現像剤担持体として現像スリーブ6を用いる構成としたが、これに限るものではない。例えば非磁性トナーを使用するプリンターにおいて、現像ローラ(ゴムローラ)の芯金にバイアス電圧を印加するようにしてもよい。
【0040】
また、本実施例では、カートリッジとして、感光体1、及び、帯電ローラ2、現像装置3、クリーニング装置9の3つのプロセス手段を備えたプロセスカートリッジ16を用いたが、これに限るものではなく、現像装置を含むカートリッジであればよい。
【実施例2】
【0041】
本実施例は、プロセスカートリッジ16側で、トナーシール11と現像スリーブ6を電気的に導通させるものである。図5は、トナーシール11が除去されていないプロセスカートリッジ16が、プリンター本体に装着された状態における現像容器12の断面及びプリンター内部の構成を表す模式図ある。図5において、トナーシール11と現像スリーブ6とが導線等によって現像容器12内で電気的に導通している。本実施例においては、カートリッジ側第3接点36a、及び、本体側第3接点36bは必要ない。そのため、実施例1の場合よりも部材を減らすことができ、コスト的に有利である。
【0042】
本実施例においても、静電容量検出回路15を用いてトナーシール11の有無、プロセスカートリッジ16の有無、及び、現像容器12内のトナー残量を検知することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 感光体
3 現像装置
6 現像スリーブ
11 トナーシール
11a カバーフィルム
11b テアテープ
12 現像容器
12a 区画壁
12b 開口部
14 板金
15 静電容量検出回路
16 プロセスカートリッジ
24 オペアンプ
25 CPU
29 カートリッジ支持台
31 現像枠体
34a カートリッジ側第1接点
34b 本体側第1接点
35a カートリッジ側第2接点
35b 本体側第2接点
36a カートリッジ側第3接点
36b 本体側第3接点
T1 トナー室
T2 現像室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持搬送して感光体に供給する現像剤担持体と、
内部に導電性の検出部材を有し、前記現像剤を収容するための第1の部屋、及び、前記現像剤担持体が配設されており、開口部を介して前記第1の部屋と連通し、前記開口部を通って前記第1の部屋から進入した前記現像剤を前記現像剤担持体に供給する第2の部屋を備えた現像容器と、
使用開始前において前記開口部を封止するように設けられ、使用開始に際して前記開口部から除去されるシール部材であって、前記開口部を封止している状態で少なくとも前記開口部に位置する部分に前記現像剤担持体と電気的に導通した導電層を有するシール部材と、
を備えたプロセスカートリッジと、
前記プロセスカートリッジを着脱可能に支持する支持手段と、
前記現像剤担持体に交流成分を有するバイアス電圧を印加するための電圧印加手段と、
前記現像剤担持体に前記バイアス電圧が印加されている状態で、前記シール部材が前記開口部を封止しているときは、前記シール部材と前記検出部材との間の静電容量の大きさに応じた電気信号を出力し、前記シール部材が前記開口部から除去されているときは、前記現像剤担持体と前記検出部材との間の静電容量の大きさに応じた電気信号を出力する信号形成手段と、
前記信号形成手段が第1基準静電容量値以下に対応する前記電気信号を出力したときは、前記プロセスカートリッジが装着されていないと判定し、前記第1基準静電容量値より大きい第2基準静電容量値以上に対応する前記電気信号を出力したときは、前記シール部材が除去されていないと判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記信号形成手段において、前記第1基準静電容量値以上かつ前記第2基準静電容量値以下に対応する前記電気信号が出力されたとき、前記判定手段は、前記電気信号に応じて前記現像容器内の現像剤の残量を判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
現像剤を担持搬送して感光体に供給する現像剤担持体と、
前記現像剤を収容するための第1の部屋、及び、前記現像剤担持体が配設されており、開口部を介して前記第1の部屋と連通し、前記開口部を通って前記第1の部屋から進入した前記現像剤を前記現像剤担持体に供給する第2の部屋を備えた現像容器と、
使用開始前において前記開口部を封止するように設けられ、使用開始に際して前記開口部から除去されるシール部材とを備えたプロセスカートリッジを着脱可能に支持する支持手段と、
本体側第1接点と、
本体側第2接点と、
本体側第3接点と、
前記本体側第1接点と前記本体側第3接点に交流成分を有するバイアス電圧を印加するための電圧印加手段と、
前記本体側第2接点から入力された電流を用いて電気信号を出力する信号形成手段と、
前記電気信号に基づいて、前記プロセスカートリッジが装着されているかどうか、及び、前記シール部材が前記開口部から除去されているかどうかを判定する判定手段と、
を有する画像形成装置本体に装着可能な前記プロセスカートリッジであって、
前記第1の部屋に配設された導電性の検出部材と、
前記現像剤担持体と電気的に導通するカートリッジ側第1接点であって、前記画像形成装置本体に装着された状態において前記本体側第1接点と電気的に接続するカートリッジ側第1接点と、
前記検出部材と電気的に導通するカートリッジ側第2接点であって、前記画像形成装置本体に装着された状態において前記本体側第2接点と電気的に接続するカートリッジ側第2接点と、
前記画像形成装置本体に装着された状態において前記本体側第3接点と電気的に接続するカートリッジ側第3接点と、を備え、
前記シール部材は、前記開口部を封止している状態において少なくとも前記開口部に位置する部分に前記カートリッジ側第3接点と電気的に導通した導電層を有し、
前記検出部材は、前記本体側第1接点を介してカートリッジ側第1接点に、及び、前記本体側第3接点を介してカートリッジ側第3接点に前記バイアス電圧が印加されている状態で、前記シール部材が前記開口部を封止しているときは、前記シール部材と前記検出部材との間の静電容量の大きさに応じた電流を、前記シール部材が前記開口部から除去されているときは、前記現像剤担持体と前記検出部材との間の静電容量の大きさに応じた電流を、夫々前記カートリッジ側第2接点から前記本体側第2接点に出力することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項4】
現像剤を担持搬送して感光体に供給する現像剤担持体と、
前記現像剤を収容するための第1の部屋、及び、前記現像剤担持体が配設されており、開口部を介して前記第1の部屋と連通し、前記開口部を通って前記第1の部屋から進入した前記現像剤を前記現像剤担持体に供給する第2の部屋を備えた現像容器と、
使用開始前において前記開口部を封止するように設けられ、使用開始に際して前記開口部から除去されるシール部材とを備えたプロセスカートリッジを着脱可能に支持する支持手段と、
本体側第1接点と、
本体側第2接点と、
前記本体側第1接点に交流成分を有するバイアス電圧を印加するための電圧印加手段と、
前記本体側第2接点から入力された電流を用いて電気信号を出力する信号形成手段と、
前記電気信号に基づいて、前記プロセスカートリッジが装着されているかどうか、及び、前記シール部材が前記開口部から除去されているかどうかを判定する判定手段と、
を有する画像形成装置本体に装着可能な前記プロセスカートリッジであって、
前記第1の部屋に配設された導電性の検出部材と、
前記現像剤担持体と電気的に導通するカートリッジ側第1接点であって、前記画像形成装置本体に装着された状態において前記本体側第1接点と電気的に接続するカートリッジ側第1接点と、
前記検出部材と電気的に導通するカートリッジ側第2接点であって、前記画像形成装置本体に装着された状態において前記本体側第2接点と電気的に接続するカートリッジ側第2接点と、を備え、
前記シール部材は、前記開口部を封止している状態において少なくとも前記開口部に位置する部分に前記現像剤担持体と電気的に導通した導電層を有し、
前記検出部材は、前記本体側第1接点を介してカートリッジ側第1接点に前記バイアス電圧が印加されている状態で、前記シール部材が前記開口部を封止しているときは、前記シール部材と前記検出部材との間の静電容量の大きさに応じた電流を、前記シール部材が前記開口部から除去されているときは、前記現像剤担持体と前記検出部材との間の静電容量の大きさに応じた電流を、夫々前記カートリッジ側第2接点から前記本体側第2接点に出力することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記判定手段が、前記信号形成手段が第1基準静電容量値以下に対応する前記電気信号を出力したときは、前記プロセスカートリッジが装着されていないと判定し、前記第1基準静電容量値より大きい第2基準静電容量値以上に対応する前記電気信号を出力したときは、前記シール部材が除去されていないと判定する画像形成装置本体に装着可能であることを特徴とする請求項3又は4に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−215342(P2011−215342A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82826(P2010−82826)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】