説明

画像形成装置

【課題】
画像劣化を生じさせることなく、感光体ユニットの交換に要する手間を軽減することを課題とする。
【解決手段】
ロックレバー60を取出位置に合わせると、感光体30を含む感光体ユニットが取り出し可能となり、第1転写ローラ43が中間転写体42の内周方向に待避し、テンションローラ49が中間転写体42の内周方向に移動して中間転写体42の張力を緩和し、感光体30と中間転写体42とが離間する。感光体30と中間転写体42とが離間するので、感光ユニットの着脱時に、画像劣化を生じさせることがない。また、この一連の動作は、ワンアクションで行われるので、感光体ユニットの交換に要する手間を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係り、特に感光体に形成された画像を1次転写位置において中間転写体に転写し、該中間転写体に形成された画像を2次転写位置において記録媒体に転写することによって該記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラー画像を複写する機能を備えた電子写真複写機やレーザープリンタ等の画像形成装置が急速に普及している。カラー画像を複写する画像形成装置では、印刷の3原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(Bk)の各色成分のトナー像を感光体ドラム等の潜像担持体上に形成し、これら各色成分のトナー像を転写するようになっている。
【0003】
転写方式としては、潜像担持体上に形成されたトナー像を用紙等の記録媒体に直接転写する方式と、潜像担持体上に形成されたトナー像を例えば無端ベルト状の中間転写体上に一旦1次転写し、中間転写体上に転写されたトナー像を改めて記録媒体上に2次転写する方式が知られている。
【0004】
2次転写することによって記録媒体に画像を形成する画像形成装置では、潜像担持体上に形成された各色成分のトナー像を中間転写体上に順次1次転写して重ねることにより最終トナー像(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの全ての色成分のトナー像が重ね合わされたもの)を形成した後、この最終トナー像を中間転写体から記録媒体に2次転写しかつ定着装置で定着させることによって記録媒体に画像を形成している。
【0005】
ところで、現状では感光体ドラム等の潜像担持体の寿命は画像形成装置の寿命よりも短いため、保守作業として潜像担持体を交換する必要がある。交換時にオペレータに要する手間を軽減するため、潜像担持体はこの潜像担持体の周囲近傍に配設された帯電器やクリーナー等と共に一つの感光体ユニットに内蔵され、この感光体ユニットが画像形成装置に着脱可能に備えられている。従って、オペレータは潜像担持体を含む感光体ユニットを容易に交換することができる。
【0006】
記録媒体が感光体ユニットの下側を水平に搬送される構造の画像形成装置では、潜像担持体にレーザー光の書き込み走査を行う光走査装置(ROS)が潜像担持体の上方、すなわち感光体ユニットの上方に配設されている場合が多い。この場合には、感光体ユニットを画像形成装置の上方に着脱可能に備えることができないため、潜像担持体の軸方向手前側に着脱可能となるように備えられている。
【0007】
しかしながら、潜像担持体が1次転写位置で中間転写体と接触しているため、感光体ユニットの着脱時に潜像担持体及び中間転写体の表面に傷が入ることがある。これにより、記録媒体に形成された画像が劣化する、という問題が生じている。
【0008】
これを防止するため、中間転写体及び複数の巻き掛けローラを含んで構成される中間転写体ユニットを回動させることにより潜像担持体と中間転写体とを離間させる方法が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−123215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記方法では中間転写体ユニットを回動させる場合に、中間転写体ユニットを回動させるための空間が必要となり、装置全体が大型化する、という問題がある。また、感光体ユニットの交換は手間がかからないことがよい。
【0010】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、画像劣化を生じさせることなく、感光体ユニットの交換に要する手間を軽減できる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、感光体に形成された画像を1次転写位置において中間転写体に転写し、該中間転写体に形成された画像を2次転写位置において記録媒体に転写することによって該記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、前記感光体を含み該感光体の回転軸方向に取り出し可能な感光体ユニットと、前記1次転写位置において前記感光体上の画像を該感光体に接触した前記中間転写体に転写させると共に前記中間体内週方向に待避可能な転写部材と、前記中間転写体に所定の張力を付与した状態で張架搬送する複数の張架搬送手段と、前記中間転写体の張力を付与または緩和する方向に移動可能な張力調整手段と、前記感光体ユニットを取り出し可能とし、前記転写部材を前記中間転写体内周方向に待避させ、前記張力調整手段によって中間転写体の張力を緩和し、前記感光体と中間転写体とを離間する動作をワンアクションで行う操作手段と、を有している。
【0012】
請求項1に記載の発明の画像形成装置は、前記感光体を含み該感光体の回転軸方向に取り出し可能な感光体ユニットを有し、第1転写位置において感光体に形成された画像を感光体に接触した中間転写体に転写する転写部材が設けられている。転写部材を感光体に形成された画像のトナーの極性(マイナス)と逆極性(プラス)で帯電させることにより感光体上のトナーが中間転写体に付着して画像が転写される。また、画像形成装置には、中間転写体に所定の張力を付与した状態で張架搬送する複数の張架搬送手段が設けられている。張架搬送手段は、例えば中間転写体が巻き掛けられる巻き掛けローラであり、所定の張力を付与することによって弛みが生じることなく搬送される。さらに、画像形成装置には、中間転写体の張力を調整する張力調整手段が設けられている。張力調整手段は、中間転写体を内側から外側に押圧する方向に移動することによって張力を付与し、中間転写体の内周方向に移動することによって張力を緩和することができる。例えば、複数の張架搬送手段のうちの一つを張力調整手段として用いることができる。
【0013】
また、画像形成装置には、感光体ユニットを取り出し可能とし、転写部材を中間転写体の内周方向に待避させ、張力調整手段によって中間転写体の張力を緩和し、感光体と中間転写体とを離間する動作の実行を指示する操作手段が設けられている。この操作手段は、例えば請求項5に記載の発明のように、保守作業の実行を指示する回動可能なレバー等の指示手段であり、請求項6に記載の発明のように、感光体を含んで構成される感光体ユニットの着脱動作時にオペレータにより操作される。感光体ユニットを取り出し可能とする動作、転写部材を中間転写体の内周方向に待避させる待避動作、張力調整手段によって中間転写体の張力を緩和する張力緩和動作、及び感光体と中間転写体とを離間する離間動作は、操作手段によってワンアクションで行われる。
【0014】
なお、感光体と中間転写体とを離間する離間動作は、例えば、請求項2に記載の発明のように、中間転写体を外側から内側にかけて押圧する押圧手段によって行われると共に、請求項3に記載の発明のように、転写部材の待避動作及び中間転写体の張力緩和動作開始後に行われる。また、請求項4に記載の発明のように、感光体ユニットを取り出し可能とする動作、前記転写部材の待避動作、前記中間転写体の張力緩和動作及び前記感光体と中間転写体とを離間する離間動作が、同時に行われるようにすることもできる。
【0015】
以上より、保守作業等の感光体ユニットの着脱時には、転写部材が中間転写体内周方向に待避されると共に感光体と中間転写体とが離間するので、感光体及び中間転写体の表面に傷が付くことを防止でき、画像劣化を生じさせることなく記録媒体に画像を形成することができる。また、中間転写体を外側から内側にかけて押圧することにより感光体と中間転写体とを離間させたときに張力調整手段によって中間転写体の張力が緩和されるので、中間転写体に過剰な張力が加わることがなく、中間転写体を長持ちさせることができる。さらに、感光体ユニットを取り出し可能とする動作、転写部材の待避動作、中間転写体の張力緩和動作及び感光体と中間転写体との離間動作を、ワンアクションで行うので、感光体ユニットの交換に要する手間を軽減できる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、画像劣化を生じさせることなく、感光体ユニットの交換に要する手間を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1には、本発明の実施の形態に係る画像形成装置10が示されている。図1に示されるように、画像形成装置10はケーシング12によって被覆され略箱状に形成されている。
【0018】
画像形成装置10の下部には、用紙トレイ16が配設されている。用紙トレイ16には、例えば、B5サイズ、B4サイズ、A4サイズ、A3サイズ等のうちの所望のサイズの用紙18が備えられている。用紙トレイ16における用紙排出部近傍には半月ローラ20が配設されている。半月ローラ20は用紙トレイ16に供給された用紙18を1枚ずつ送り出す。用紙トレイ16から送り出された用紙18は、複数の搬送ローラ対22によって所定方向に搬送される。
【0019】
画像形成装置10の一方の側面には、必要に応じて用紙18を手差しで挿入する手差しトレイ24が配設されている。手差しトレイ24における用紙排出部近傍には、前述した用紙トレイ16と同様に半月ローラ20が配設されており、用紙18を一枚ずつ送り出すことができるようになっている。
【0020】
画像形成装置10の上部には、装置内部(後述する画像形成部28)を搬送されることによって所定の処理が施され、所望の画像が形成された用紙18が排出される排出トレイ26が設けられている。
【0021】
画像形成装置10に備えられた用紙トレイ16の上部には、スキャナで原稿を読み取りかつ各種画像処理を施した画像データ(本実施の形態における画像形成装置10はカラー画像を対象としているため、画像処理を施すことによってシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの4色の画像データに変換される)に基づいて図1に示される矢印A方向に定速回転する感光体30にビーム光を照射する光走査装置32、及び用紙18に所望の画像を定着する定着装置14等を含んで構成される画像形成部28が設けられている。
【0022】
光走査装置32は、光源、回転多面鏡34、fθレンズ、シリンドリカルミラー、反射ミラー36等によって構成されている。図示しない光源から射出されたレーザ光は、回転多面鏡34によって偏向されかつfθレンズ、シリンドリカルミラー、反射ミラー36等を介して感光体30に照射される。
【0023】
また、感光体30の周囲近傍には、感光体30を一様にマイナス帯電する帯電器38、第1転写部41における画像の転写時に中間転写体42に転写されずに感光体30上に残留したトナーを除去する感光体用クリーナー(図示省略)及びマイナス帯電された感光体30を除電する除電ランプ(図示省略)等が配設されている。これらの帯電器38、感光体用クリーナー及び除電ランプ等は、感光体30と共にケーシングによって被覆された1つの感光体ユニット44として構成されている。
【0024】
感光体ユニット44は、図2に示されるように、画像形成装置10の前面扉54を開放しかつロックレバー60によるロックを解除することによって感光体30の回転軸方向手前側に取り出し可能とされている。すなわち、感光体ユニット44は画像形成装置10に対して着脱可能に備えられている。
【0025】
図3に示されるように、ロックレバー60の外側表面には操作用ツマミ62が形成されており、操作用ツマミ62の下部には位置設定マーク64が記されている。この位置設定マーク64をロック位置または取出位置のいずれかに合わせるべく操作用ツマミ62をオペレータが操作することによってロックレバー60を回動させることができる。なお、感光体ユニット44を画像形成装置10の所定位置に備えた場合にはロックレバー60の位置設定マーク64をロック位置に合わせ、感光体ユニット44の着脱時には位置設定マーク64を取出位置に合わせるようになっている。
【0026】
感光体ユニット44の周囲には、ロータリー現像器40、IBTベルトにより構成された中間転写体42等が配設されている。ロータリー現像器40には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー46Y、46M、46C、46Bkが供給されている。中間転写体42は、1次転写ローラ43、アイドルローラ45、2次転写ローラ47、駆動ローラ48及びテンションローラ49等の複数のローラに巻き掛けられている。駆動ローラ48が図示しない駆動源からの駆動力を受けて所定方向(図1に示される矢印B’方向)に回転することにより、それぞれのローラが同一方向に回転する。これにより、中間転写体42は図1に示される矢印B方向に搬送される。
【0027】
本実施の形態の中間転写体42は、ポリイミド系樹脂で構成されており、厚み50〜100μm、体積抵抗率109 〜1012Ω・cm、表面抵抗率1011〜1013Ω/cm2 の調整された半導電性フィルムである。なお、中間転写体42は、厚み、体積抵抗率、表面抵抗率が上記範囲の値である半導電性樹脂材料であれば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、あるいはポリカーボネート系樹脂等に抵抗安定材料を含有させたものを使用できる。
【0028】
中間転写体42の周囲には、画像検出センサ51及び中間転写体用クリーナー50が配設されている。画像検出センサ51は、中間転写体42に形成された最終トナー像を用紙18に転写する第2転写部52よりも中間転写体42の回転方向上流側に設けられており、中間転写体42に形成されたトナー像の有無を検出するようになっている。用紙18は、前述したように用紙トレイ16から半月ローラ20によって送り出され、搬送ローラ対22によって第2転写部52まで搬送される。中間転写体用クリーナー50は、第2転写部52よりも中間転写体42の回転方向下流側に設けられており、中間転写体42から用紙18へのトナー像の転写が終了した後に中間転写体42の表面に残留したトナーを除去するようになっている。
【0029】
第2転写部52の配設位置よりも用紙18の搬送方向下流側には、加熱ローラ56及び加圧ローラ58を含んで構成される定着装置14が配設されている。定着装置14では、最終トナー像が転写された用紙16に定着処理を施すことによって所定の画像が用紙18上に形成される。
【0030】
図4には、中間転写体42が巻き掛けられたアイドルローラ45、第2転写ローラ47、及び駆動ローラ48のそれぞれの回転軸45A、47A、48Aの両端を支持するフレーム68(2枚1組の一方のフレームのみ図示)の外側における構成が示されている。
【0031】
フレーム68には長孔76が形成されており、この長孔76にはシャフト66が挿通されている。シャフト66の一端部には、カム70を介して前述したロックレバー60が取り付けられている。また、フレーム68には、一端が固着されたボス72及びストッパー74が突設されている。カム70に形成された凹部70Aは、ロックレバー60の位置設定マーク64が前述したロック位置に合わせられている場合にボス72に係合する。
【0032】
なお、カム70はロックレバー60の回動動作に連動して回動するが、カム70の回動経路上にボス72及びストッパー74が突設されていることによりカム70が所定量(ロック位置に対して略90度)以上回転することを阻止している。
【0033】
図5には、フレーム68の内側における構成が示されている。図5に示されるように、フレーム68に形成された長孔76に挿通されたシャフト66にはバネ78の一端が掛止されている。バネ78の他端は、テンションローラ49の移動を指示するテンションアーム80に掛止されている。テンションアーム80には両端がフレーム68に固定された支軸80Aが取り付けられている。従って、テンションアーム80は、支軸80Aを中心として図5に示される矢印C方向または矢印D方向に回動する。これにより、テンションローラ49が中間転写体42への張力を付与または緩和する方向に移動して中間転写体42の張力を調整することができるようになっている。
【0034】
第1転写ローラ43の近傍には、中間転写体42を感光体30と離間する方向に押圧する押圧シャフト82の両端を支持する押圧アーム86が配設されている。押圧アーム86は、両端がフレーム68に固定された支軸86Aを中心として図5に示される矢印E方向(中間転写体42の内周方向)に回動する。なお、押圧アーム86の回動は、前述したロックレバー60の回動動作に連動して行われる。すなわち、ロックレバー60を回動させることによりシャフト66がフレームに68に形成された長孔76及び押圧アーム86に形成された通過溝88に沿って移動すると押圧アーム86が回動する。
【0035】
また、押圧アーム86には、第1転写ローラ43の回転軸43Aと常時接触し、押圧アーム86の回動時に第1転写ローラ43の回転軸43Aを押圧して第1転写ローラ43を中間転写体42の内周方向に待避させるための補助板84が取り付けられている。さらに、第1転写ローラ43の回転軸にはバネ90の一端が掛止されている。バネ90の他端は、フレーム68に突設された掛止棒92に掛止されている。通常、第1転写ローラ43はバネ90の付勢力によって感光体30と接触しているが、ロックレバー60の回動に連動して押圧アーム86が回動すると補助板84が第1転写ローラ43の回転軸43Aを押圧することにより、第1転写ローラ43がバネ90の付勢力に反して中間転写体42の内周方向に待避される。
【0036】
次に、本発明の実施の形態の作用を説明する。
【0037】
画像形成装置10は、画像の形成が指示されると感光体30が帯電器38によって一様にマイナスに帯電され、光走査装置32から射出されるレーザ光が用紙16に形成するべき画像に対応して照射される。これにより、感光体30上にはまず第1色目のブラックの潜像が形成される。感光体30上に形成された潜像は、ロータリー現像器40のブラックの現像器によってブラックトナーで現像される。すなわち、帯電器38によってマイナスに帯電された感光体30は光走査装置32から射出されるレーザ光が照射された部分がプラスに帯電されて潜像が形成され、感光体30のプラス帯電された部分(潜像)にマイナスの電荷を有するトナーが付着することによって現像されるようになっている。現像されたブラックトナー像は第1転写部41において中間転写体42に転写される。
【0038】
上記を繰り返すことによって、第2色目のイエロー、第3色目のマゼンタ、及び第4色目のシアンまで計4色のトナー像を中間転写体26に順次転写する。4色のトナー像が中間転写体42に転写されると、中間転写体42の表面に最終トナー像が形成される。
【0039】
画像検出センサ51により中間転写体42に最終トナー像が形成されていることが検出された場合には、第2転写部52で最終トナー像を用紙16に転写する。最終トナー像が転写された用紙16を定着装置14によって定着処理を施すことによって画像が形成される。
【0040】
ここで、感光体ユニット44の着脱方法について説明する。
【0041】
感光体ユニット44の着脱時には、図3に示されるように、まず画像形成装置10の前面扉54を開き、ロックレバー60を回動させて位置設定マーク64を取出位置に合わせる。これにより、ロックレバー60による感光体ユニット44のロックが解除される。ロックレバー60を回動させると、シャフト66がフレーム68に形成された長孔76に沿って移動しかつ押圧アーム86に形成された通過溝88に沿って移動する。
【0042】
図6及び図7に示されるように、ロックレバー60が回動してシャフト66が長孔68の一端から長手方向中間位置まで移動すると、押圧アーム86が支軸86Aを中心として所定量回動する。従って、押圧アーム86の補助板84が第1転写ローラ43の回転軸43Aを押圧するので、第1転写ローラ43がバネ90の付勢力に反して中間転写体42の内周方向に待避される。また、テンションアーム80が支軸80Aを中心として図5に示される矢印D方向に所定量回動する。これにより、中間転写体42の張力が緩和される。
【0043】
さらに、図8及び図9に示されるように、ロックレバー60が回動してシャフト66が長孔76の他端まで移動すると、押圧アーム86がさらに回動する。これにより、押圧アーム86に両端が支持された押圧シャフト82は中間転写体42を感光体30と離間する方向、すなわち中間転写体42を外側から内側にかけて押圧する。従って、第1転写部41近傍では、感光体ユニット44に備えられた感光体30と中間転写体42が離間する。
【0044】
このように、ロックレバーによるロック解除時に第1転写ローラが中間転写体の内周方向に待避すると共に、感光体と中間転写体が離間するので、感光体ユニットの着脱時に感光体及び中間転写体の表面に傷を付けることを防止できる。これにより、画像欠陥を生じさせることなく用紙に画像を形成することができる。また、中間転写体を外側から内側にかけて押圧して感光体と中間転写体を離間させたときに、テンションローラによって中間転写体の張力が緩和されるので、中間転写体の過剰な張力が加わることがなく、中間転写体を長持ちさせることができる。さらに、第1転写ローラの待避動作、中間転写体の張力緩和動作及び感光体と中間転写体との離間動作は中間転写体の内周方向に対して行われるので、余計な移動空間を備える必要がなく、装置の小型化を図ることができる。そのうえ、感光体ユニットを取り出し可能とする動作、転写部材の待避動作、中間転写体の張力緩和動作及び感光体と中間転写体との離間動作を、ワンアクションで行うので、感光体ユニットの交換に要する手間を軽減できる。
【0045】
なお、本実施の形態では、押圧シャフト82によって中間転写体42を外側から内側にかけて押圧して感光体30と中間転写体42とを離間させる離間動作が第1転写ローラ43の待避動作及びテンションローラ49による中間転写体42の張力緩和動作の開始後の行われる場合について説明したが、離間動作、待避動作及び張力緩和動作が行われる順番はこれに限定されるものではない。例えば、離間動作、待避動作及び張力緩和動作が同時に実行される構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】画像形成装置を示す概略外観図である。
【図3】ロックレバー近傍の構成を示す概略側面図である。
【図4】画像形成装置に備えられた中間転写体及び感光体近傍の詳細構成を示す構成図である(ロックレバーによるロック時)。
【図5】画像形成装置に備えられた中間転写体及び感光体近傍の詳細構成を示す構成図である(ロックレバーによるロック時)。
【図6】画像形成装置に備えられた中間転写体及び感光体近傍の詳細構成を示す構成図である(ロックレバー所定量回動時)。
【図7】画像形成装置に備えられた中間転写体及び感光体近傍の詳細構成を示す構成図である(ロックレバー所定量回動時)。
【図8】画像形成装置に備えられた中間転写体及び感光体近傍の詳細構成を示す構成図である(ロックレバーによるロック解除時)
【図9】画像形成装置に備えられた中間転写体及び感光体近傍の詳細構成を示す構成図である(ロックレバーによるロック解除時)
【符号の説明】
【0047】
10 画像形成装置
30 感光体
42 中間転写体
43 第1転写ローラ(転写部材)
44 感光体ユニット
45 アイドルローラ(張架搬送手段)
47 2次転写ローラ(張架搬送手段)
48 駆動ローラ(張架搬送手段)
49 テンションローラ(張力調整手段)
60 ロックレバー(操作手段)
82 押圧シャフト(押圧手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体に形成された画像を1次転写位置において中間転写体に転写し、該中間転写体に形成された画像を2次転写位置において記録媒体に転写することによって該記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
前記感光体を含み該感光体の回転軸方向に取り出し可能な感光体ユニットと、
前記1次転写位置において前記感光体上の画像を該感光体に接触した前記中間転写体に転写させる転写部材と、
前記中間転写体に所定の張力を付与した状態で張架搬送する複数の張架搬送手段と、
前記中間転写体の張力を付与または緩和する方向に移動可能な張力調整手段と、
前記感光体ユニットを取り出し可能とし、前記転写部材を前記中間転写体内周方向に待避させ、前記張力調整手段によって中間転写体の張力を緩和し、前記感光体と中間転写体とを離間する動作をワンアクションで行う操作手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記感光体と中間転写体とを離間する離間動作は、該中間転写体を外側から内側にかけて押圧する押圧手段によって行われることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記感光体と中間転写体とを離間する離間動作は、前記転写部材の待避動作及び前記中間転写体の張力緩和動作開始後に行われることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記感光体ユニットを取り出し可能とする動作、前記転写部材の待避動作、前記中間転写体の張力緩和動作及び前記感光体と中間転写体とを離間する離間動作は、同時に行われることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記操作手段は、保守作業の実行を指示する回動可能な指示手段であり、前記中間転写体の張力緩和動作、前記転写部材の待避動作及び前記感光体と中間転写体との離間動作は、前記操作手段の回動と連動して行われることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記保守作業は、前記感光体を含んで構成される感光体ユニットの着脱動作であることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2004−258693(P2004−258693A)
【公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181772(P2004−181772)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【分割の表示】特願平10−99462の分割
【原出願日】平成10年4月10日(1998.4.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】