説明

画像形成装置

【課題】 透明トナー層を有する画像であっても画像乱れの発生を抑制しつつ画像全面にわたって表面の平滑性が確保可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 制御部7は、切換え器58,59を切り換えて、定着装置44により有色トナー像の定着を終えた用紙が第3の搬送路63から用紙戻し搬送装置65を通って二次転写部43の上流側へと搬送されるように制御する。二次転写部43の上流側に搬送された用紙は、二次転写部43で透明トナー像が転写され、定着装置44で定着される。切換え器58の切り換えにより、定着装置44で定着された用紙は第2の搬送路62に搬送され、光沢処理装置45により高光沢処理がなされる。光沢処理装置45により高光沢処理された用紙は排紙トレイ60に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、これらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式や静電記録方式等を採用した複写機やプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置で記録紙(用紙、記録媒体)上にカラー画像を形成する場合において、例えばカラー原稿のコピーをとるときには、以下のようにしていた。すなわち、このような画像形成装置では、カラー原稿をカラースキャナにセットし、カラー原稿に照明を当て、カラー原稿からの反射光をカラースキャナによりRGB等の3色に色分解して読み取る。そして、このカラースキャナで読み取られたカラー原稿の画像データを、画像処理装置によって所定の画像処理を施すと共に、色補正を施して得られるYMCK等の複数色の画像信号を、色別に、画像露光装置に送る。画像露光装置では、画像処理装置から送られてくる複数色の画像信号に基づき、例えば半導体レーザーなどのレーザー光源を変調し、半導体レーザーから画像信号に基づいて変調されたレーザー光線を出射する。
このレーザー光線は、Se(セレン)やアモルファスシリコンなどの無機感光体、又はフタロシアニン顔料やビスアゾ顔料などの顔料を電荷発生層として用いた有機感光体に、一色ずつ複数回照射することで、無機感光体や有機感光体からなる感光体ドラム上に複数個の静電潜像が順次形成される。この感光体ドラム上に順次形成される複数個の静電潜像は、例えば、イエロー(Y)、マジェンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の4色のカラートナーで順次現像される。そして、感光体ドラム上に順次形成されたイエロー、マジェンタ、シアン及び黒の各色のトナー像は、最終的に、記録紙上に多重に一括して転写された後に熱定着ロール等で加熱加圧して定着されることにより、記録紙上にカラー画像が形成される。
【0003】
なお、このような画像形成装置に使用されるカラートナーは、例えば、ポリエステル樹脂、エチレン/アクリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体などの結着樹脂中に、着色剤を分散させてなる平均粒径1〜15μmの粒子に、平均粒径が5〜100nm程度の微粒子、例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子、あるいはPMMA(ポリメチルメタクリレート)やPVDF(フッ化ビニリデン樹脂)等の樹脂微粒子を付着させたものである。また、前出の着色剤としては、例えば、Y(イエロー)では、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、ハンザイエロー等が用いられ、M(マジェンタ)では、ローダミンB、ローズベンガル、ピグメントレッド等が用いられる。また、C(シアン)では、フタロシアニンブルー、アニリンブルー、ピグメントブルー等が用いられ、K(黒)では、カーボンブラック、アニリンブラック、カラー顔料のブレンド等が用いられる。
【0004】
このカラー画像は、加熱定着の際にその表面が平滑化されるため、ある程度光沢を有しているのに対し、用紙の表面は、通常、光沢を有しておらず、カラー画像は、用紙表面と異なった光沢度を有することになる。また、カラートナーに用いられる結着樹脂の種類や加熱定着の方式等により、加熱定着する際のトナーの粘度が変化し、カラー画像の光沢度が変化することが知られている。
【0005】
ところで、カラー画像の光沢度に対する好みは、画像の種類や使用目的等によって異なり、多種多様である。とりわけ、人物や風景などの写真原稿の場合には、一般に、鮮明な画像を得るという観点から、高光沢な画像が好まれる傾向にある。
そこで、カラー画像形成装置で高光沢な画像を得る技術が、例えば、特開平5−142963号公報、特開平3−2765号公報又は特開昭63−259575号公報等に既に提案されている。すなわち、これらの公報には、カラー複写機を用い、トナーの材質や定着条件等を選択することにより、高光沢な画像を得る旨が記載されている。
【0006】
しかし、これらの公報に記載された技術では、トナーによる画像部の光沢度は高くすることができるものの、非画像部の光沢度は高くすることができないことから、記録紙上の光沢度を均一にすることができないという問題点を有している。また、カラートナーの凹凸が画像表面に残り、銀塩写真や印刷のような平滑にはならないため、滑らかな質感が得られないという問題点も有している。
そこで、このような問題点に対処するために、カラートナーの他に透明トナーを記録紙に転写・定着する装置が提案されている(例えば、特許文献1〜5を参照)。すなわち、画像形成装置に、カラートナーからなるカラー画像の表面に透明なトナーのコート層を形成する透明コート層形成装置を設けている。
【0007】
【特許文献1】特開昭50−031824号公報(第2〜4頁、図1〜図2)
【特許文献2】特開昭63−058374号公報(第2〜3頁、図1)
【特許文献3】特開平4−278967号公報(第4〜5頁、図3)
【特許文献4】特開平4−204670号公報(第3頁、図1)
【特許文献5】特開平5−232840号公報(第3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの公報に記載された技術では、感光体あるいは中間転写体に透明トナー層を形成した上に有色トナーを転写するので、分厚く不安定な透明層の上にカラートナーを転写しなければならず、画像乱れが発生しやすくなる。しかも、カラートナーをイエロー、マジェンタ、シアン及び黒と何度も転写しなければならず、画像乱れが増加してしまうという問題がある。この画像乱れを低減するために、例えば透明トナー層をできるだけ薄く形成することも考えられるが、カラートナーの積み重なった画像部と非画像部との段差を吸収できなくなるという問題が新たに発生してしまう。
また、上述の方式とは逆の順序で転写する方式、すなわち、カラートナーを感光体あるいは中間転写体に形成した後に、透明トナー層をさらに転写する方式を採用することも考えられるが、記録紙に一括転写した後には、透明トナー層が最下層に位置してしまう。このため、透明トナー層が有色トナーを被覆することによるオーバーコートとして機能、例えば、ドキュメントオフセットや耐熱性などの保存性能が損なわれてしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、透明トナー層を有する画像であっても画像乱れの発生を抑制しつつ画像全面にわたって表面の平滑性が確保可能な画像形成装置を提供することにある。
また別の目的は、高い光沢度の場合にも対応可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的のもと、本発明が適用される画像形成装置は、形成されたトナー像を転写部で用紙に転写する転写手段と、転写手段により用紙に転写されたトナー像を定着する第1の定着手段と、第1の定着手段の用紙搬送方向下流側に位置し、転写手段により用紙に転写されたトナー像を定着する第2の定着手段と、転写手段によりトナー像が転写された面に別のトナー像をさらに転写するために、第1の定着手段および/または第2の定着手段により定着された用紙を転写手段の転写部の用紙搬送方向上流側へ戻す戻し搬送手段と、を含むものである。
戻し搬送手段は、用紙の両面に画像を形成するときに用いられる用紙反転搬送手段の一部を利用して構成されたことを特徴とすることができる。第2の定着手段は、用紙に対して高光沢処理を施す光沢処理手段であることを特徴とすることができる。
【0011】
他の観点から捉えると、本発明が適用される画像形成装置は、形成されたトナー像を転写部で用紙に転写する転写手段と、無端状の定着ベルトを備え、定着ベルトを第1姿勢または第1姿勢よりも定着すべき用紙との接触面積が大きい第2姿勢に変更する変更機構を備え、転写手段により用紙に転写されたトナー像を第1姿勢または第2姿勢の定着ベルトを用いて定着する定着手段と、定着手段により定着された用紙を転写部へ戻す戻し搬送手段と、を含み、第1トナー像が転写手段により用紙に転写されて第1姿勢の定着ベルトで一次定着され、戻し搬送手段により転写部に戻された用紙の第1トナー像上に第2トナー像が転写手段により転写されて第2姿勢の定着ベルトで二次定着されることを特徴とするものである。
変更機構は、定着ベルトの幅方向の位置ずれを修正するためのステアリング制御機構を用いたことを特徴とすることができる。また、第1トナー像は有色トナー像であり、第2トナー像は透明トナー像であり、変更機構は、有色トナー像を定着するときには定着ベルトが第1姿勢をとるように変更し、透明トナー像を定着するときには定着ベルトが第2姿勢をとるように変更することを特徴とすることができる。
【0012】
更に本発明を別の観点から捉えると、本発明が適用される画像形成装置は、形成した第1トナー像および第2トナー像を転写部で用紙に別々に転写する転写手段と、用紙を保持しながら回転搬送する用紙保持部を備え、用紙保持部により用紙を転写部に回転搬送する回転搬送手段と、転写手段により用紙に転写された第1トナー像および第2トナー像を定着する第1の定着手段と、第1の定着手段の下流側に位置し、転写手段により用紙に転写された第1トナー像および第2トナー像を定着する第2の定着手段と、を含むものである。
第1トナー像は複数色トナーが多重に形成されたカラー画像であり、第2トナー像は特色からなる画像であることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、透明トナー層を有する画像であっても画像乱れの発生を抑制しつつ画像全面にわたって表面の平滑性が確保可能な画像形成装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置1は、カラー原稿の画像の反射光を色分解して読み取る画像読取装置(カラースキャナ)2と、画像読取装置2で読み取られた画像データ(画像信号)に対して所定の画像処理を施す画像処理部(IPS(Image Processing System))3と、画像処理部3により所定の画像処理が施された画像を図示しない用紙に形成する画像形成部4と、画像形成部4に対して各種の用紙(記録媒体)を供給する用紙供給部5と、各装置(各部)の動作等の制御をする制御部7とを備えている。なお、画像形成装置1は、図示しないパソコンからプリント指示があった画像を図示しない用紙に形成して、主にデジタルスチルカメラ等の写真画像データ出力用として好適な装置に構成することも考えられる。
【0015】
まず、画像読取装置2について説明する。図1に示すように、画像読取装置2は、図示しないプラテンガラス上に載置されたカラー原稿の画像を照明する光源21を備えている。画像読取装置2は、光源21に照明された原稿からの反射光像を、フルレートミラーやハーフレートミラー等の図示しない複数枚のミラー及び図示しない結像レンズを介して、CCD(Charge Coupled Device)等からなる図示しないカラー画像読取素子上に走査露光し、カラー原稿の画像をカラー画像読取素子によってRGBの画像信号として読み取るように構成されている。
【0016】
次に、画像形成部4について説明する。図1に示すように、画像形成部4は、矢印方向に回転可能に配設される感光体ドラム41と、矢印方向に回動可能に配設され、感光体ドラム41上に形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる転写材としての中間転写ベルト(中間転写体)42とを有する。また、画像形成部4は、中間転写ベルト42上に転写されたトナー像を用紙に一括転写(二次転写)させる二次転写部43と、二次転写された画像を用紙上に定着させる定着装置(一次定着部)44と、定着装置44により定着された用紙に光沢処理を行う光沢処理装置(二次定着部、MACS(Micro Accurate Control Screen))45とを有する。
ここで、感光体ドラム41は、特に制限はなく公知のものを使用することができ、単層構造のものであっても良いし、多層構造で機能分離型のものであっても良い。また、この電子写真感光体の材質としては、セレンや、アモルファスシリコン等の無機材質のものであっても良いし、有機材質のものであっても良い。
また、中間転写ベルト42上のカラートナーを用紙上に転写する二次転写部43としては、それ自体公知の転写装置を用いることができる。例えば、電圧を印加した一対の導電性または半導電性のローラー43a、43b等を用いて、中間転写ベルト42と用紙との間に電界を作り、荷電トナー粒子を転写する手段や、中間転写ベルト42の裏面または用紙の裏面に備えたコロトロン帯電器やスコロトロン帯電器などに対向電極を設けて、中間転写ベルト42の裏面または用紙の裏面をコロナ帯電して荷電トナー粒子を転写する手段などを用いることができる。
【0017】
感光体ドラム41の周囲には、感光体ドラム41を所定の電位に帯電する例えば帯電ロールやスコロトロン等の帯電器46aと、画像処理部3から入力されたデジタル画像信号に基づいて感光体ドラム41上に静電潜像が書込まれるレーザー走査装置などの露光器(ROS(Raster Output Scanner))46bとが配設されている。また、感光体ドラム41の周囲には、イエロー(Y),マジェンタ(M),シアン(C),黒(K),透明トナー(CT)の各成分トナーが収容されて感光体ドラム41上の静電潜像をトナーにより可視像化等を行う五つの現像器47Y,47M,47C,47K,47CTを円周方向に順に沿って配設した回転式(ロータリー式)の現像装置47が配設されている。
この現像装置47は、絶縁性の有色トナーを感光体ドラム41に現像してトナー像を形成する手段であり、この目的を満たす限りあらゆる公知の現像装置を使用することができる。現像器47Y,47M,47C,47Kとしては、例えば、トナーをブラシやローラー等を用いて感光体ドラム41に付着させる機能を有する公知の現像器が挙げられる。また、現像器としては、公知のキャリアと混合、帯電された有色トナーを用いてカラー画像を前記記録紙上に形成するものが知られており、例えば、特開昭63−58374号公報に記載されているような公知の装置を使用することができる。なお、現像器47Y,47M,47C,47Kとしては、キャリアを用いない一成分現像剤による現像装置を採用してカラー画像を形成してもよい。
【0018】
感光体ドラム41の周囲には、感光体ドラム41上に形成された各成分トナー像を中間転写ベルト42に転写する一次転写装置48と、転写後に感光体ドラム41上に残留トナーを除去するドラムクリーナ46c等の電子写真用デバイスが配設されている。また、現像器47Y,47M,47C,47K,47CTに対して各トナーを供給するためのトナーカートリッジ49Y,49M,49C,49K,49CTが設けられている。
ここで、一次転写装置48としては、例えば、電圧を印加した導電性または半導電性のローラー、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いて、感光体ドラム41と中間転写ベルト42との間に電界を作り、荷電トナー粒子を転写する手段や、コロナ放電を利用したコロトロン帯電器やスコロトロン帯電器などで中間転写ベルト42の裏面をコロナ帯電して荷電トナー粒子を転写する手段などを用いることができる。
露光器46bは、画像信号に応じて変調される図示しないレーザーダイオードを色別に備えている。図示しないレーザーダイオードから、レーザー光線LBが画像データに応じて変調された状態で出射される。このレーザー光線LBは、f−θレンズやポリゴンミラー等からなる図示しない走査光学系を介して、感光体ドラム41上に走査露光される。そして、レーザー光線LBは、感光体ドラム41に一色ずつ複数回照射して、感光体ドラム41の表面に複数個の静電潜像を順次形成する。
【0019】
次に、用紙供給部5について説明する。図1に示すように、用紙供給部5は、用紙を積載する複数(本実施の形態では四つ)の用紙トレイ51A,51B,51C,51Dを有している。また、各用紙トレイ51A〜51Dの上部には、積載された用紙に接触して上面から取り上げる引き込みロール(ナジャーロール)52が設けられている。さらに、引き込みロール52の用紙搬送方向下流側には、用紙を一枚ずつ捌く供給ロールおよび捌きロールからなる用紙捌き部53が設けられている。さらに、用紙捌き部53の用紙搬送方向下流側には、用紙を一旦停止させた後に所定のタイミングをもって再送するテイクアウェイロール54が設けられている。このテイクアウェイロール54は、より下段の用紙トレイ51A〜51Dから用紙が供給される場合には、その用紙を単純に用紙経路に搬送するための搬送ロールとして機能する。
【0020】
このテイクアウェイロール54の用紙搬送方向下流側には、用紙をさらに下流側のロールまで搬送すると共にループ形成を行うプレレジロール55と、一旦停止した後にタイミングを合わせて回転を再開し、二次転写部43に対してレジストレーション調整を施しながら用紙を供給するレジストレーションロール(レジロール)56とが設けられている。さらに、レジストレーションロール(レジロール)56の用紙搬送方向下流側には、二次転写部43でトナー像が転写された用紙が定着装置44へと搬送する搬送ベルト57が設けられている。
定着装置44から搬送方向下流側には、制御部7により制御され、用紙搬送パスを切り換える切換え器58が設けられている。すなわち、この切換え器58は、用紙がそのまま排出される第1の搬送路61と、用紙が光沢処理装置45に進む第2の搬送路62と、用紙をテイクアウェイロール54の下流側に搬送するための第3の搬送路63とのうちのいずれかの一つが搬送路となるように切り換えるためのものである。
第1の搬送路61の搬送先および第2の搬送路62の搬送先には、用紙が排出される排紙トレイ60が設けられている。また、第3の搬送路63内には、用紙の裏面にもプリントするために用紙を反転させる用紙反転装置64と、用紙反転装置64を迂回して搬送する用紙戻し搬送装置65と、制御部7により制御され、第3の搬送路63に進んだ用紙の搬送先として、用紙反転装置64および用紙戻し搬送装置65のいずれか一方に切り換えるための切換え器59とが設けられている。なお、第1の搬送路61、第2の搬送路62および第3の搬送路63には、搬送手段としての複数の搬送ロールが設けられている。また、BCR(Bias Charge Roll)と呼ばれる除電器66が二次転写部43の上流側に隣接して設けられている。
【0021】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置1の動作について図1を用いて説明する。
図1に示すように、矢印方向に回転する感光体ドラム41を帯電器46aで一様に帯電した後、画像情報に応じて色分解と変調がなされたレーザー光線LBを露光器46bにより感光体ドラム41上に照射し、静電潜像を形成する。感光体ドラム41の近傍には、イエロー、マジェンタ、シアン、ブラックの各色のトナーが収められた現像器47Y,47M,47C,47Kが配置され、各色に対応した静電潜像を現像し、トナー像を形成する。この各色トナー像は、一次転写装置48により静電的に中間転写ベルト42に転写され、各色毎に4回これを繰り返すことで、中間転写ベルト42上にフルカラーのトナー像(有色トナー像)が形成される。また、現像器47CTにより感光体ドラム41に透明トナーのトナー像が現像され、そして、透明トナー像は、一次転写装置48により静電的に中間転写ベルト42に転写される。
ここで、中間転写ベルト42は、その表面を表面電位が500Vとなるように一様に帯電したときに、電位半減時間が0.05秒以上、1.0秒以下であることが必要である。電位半減時間が0.05秒未満の場合には、一次転写装置48で有色トナー像を中間転写ベルト42に均一に転写することや、二次転写部43で有色トナー像を用紙に均一に転写することができないからである。また、このような半減時間を満たせば公知の中間転写ベルト42を使用することができる。
この半減時間となるように調節された中間転写ベルト42は、ポリイミド等の誘電体に導電性カーボン等の導電性無機粉、ポリアニリン等の導電性高分子等を分散することで得ることができる。なお、ここにいう半減時間は次のように定義される。すなわち、半減時間とは、まず中間転写ベルト42の裏面を接地して、これを初期電位が−500Vになるように帯電スコロトロンで表面を帯電して、これを電位計の直下に0.05秒以内の時間で移動して電位低下を測定し、電位が−250Vになる時間(移動時間0.05秒を含む)をいう。
【0022】
そして、異種サイズの用紙が複数のトレイに装填された用紙トレイ51A〜51Dから、画像情報に応じたサイズの用紙が送り出され、二次転写部43で形成される転写電界により中間転写ベルト42上のフルカラーのトナー像を用紙に転写させる。そして、未定着のトナー像が形成された用紙は、搬送ベルト57を経由して定着装置44により定着(仮定着、一次定着)される。その後は、ユーザーが支持した内容に応じて制御部7により切換え器58,59が制御される。そして、用紙は、その制御内容に応じて異なる搬送経路を進むことになる。具体的な説明は後述する。
【0023】
次に、定着装置44について図2を用いて説明する。
図2は、定着装置44を説明するために定着装置44が有する一対のロールを示した説明図である。
図2に示すように、定着装置44は、加熱ロール44aと加圧ロール44bとを備えていた2ロールタイプである。加熱ロール44aは、コア44eと、このコア44eを覆う弾性体層44fと、この弾性体層44fをさらに覆う離型層44gと、コア44eの中心部に設けられたヒータ(熱源)44hとを備えている。また、加圧ロール44bは、コア44pと、このコア44pを覆う弾性体層44qと、この弾性体層44qをさらに覆う離型層44rと、コア44pの中心部に設けられたヒータ(熱源)44sとを備えている。
【0024】
すなわち、加熱ロール44aおよび加圧ロール44bは、例えば厚さ4mm、長さ350mmのアルミニウムのコア44e,44p表面に、耐熱性シリコンゴムからなる弾性体層44f,44qを被覆し、さらに弾性体層44f,44qの表面に厚さ30μmのPFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)チューブからなる離型層44g,44rを被覆して形成されている。
そして、加熱ロール44aおよび加圧ロール44bは、例えば、概略外径50mmである。加熱ロール44aの内部には、例えば650Wのハロゲンランプ等のヒータ44hが設けられている。また、加圧ロール44bの内部には、525Wのハロゲンランプ等のヒータ44sが設けられている。加熱ロール44aおよび加圧ロール44bの表面温度がそれぞれ所定の温度(トナーの溶融温度に依存し、本実施形態においては約100〜190℃)となるように内部から加熱する。
加熱ロール44aの弾性体層44fのゴムを硬度33°(JIS−A)、厚さ3mmにしている。加圧ロール44bの弾性体層44qのゴム硬度を45°で厚さを2mmにしている。これにより、定着(一次定着)ニップは、加熱ロール44aに加圧ロール44bが食い込む形状となる。このため、定着時にトナー画像が加熱ロール44aに溶融して接触しても剥離しやすくなる。
【0025】
このように構成された加熱ロール44aおよび加圧ロール44bは、次のような作用を有する。すなわち、搬送ベルト57により搬送されてきた用紙は、加圧ロール44bにより加熱ロール44aに、例えば0.1〜0.8MPaの圧力で押圧される。そして、用紙に保持されているトナー像のトナー樹脂が加熱溶融され、用紙に定着される。
【0026】
次に、光沢処理装置45について図3を用いて説明する。
図3は、光沢処理装置45の概略構成図である。
この光沢処理装置45は、後述するように定着ベルト45cを備えており、ベルト定着により用紙上のトナー画像面(記録面)を高光沢にするものである。すなわち、光沢処理装置45には、デジカメ写真等の画像のトナー画像が転写されたコート紙が搬送されてくる。光沢処理装置45が用紙のトナー画像面を高光沢にするための具体的構成を簡単に説明すると以下のとおりである。
図3に示すように、光沢処理装置45は、定着ロール45a、加圧ロール45b、定着ベルト45c、冷却装置45d、剥離ロール45eおよびテンションロール45fを備えている。定着ベルト45cは、剥離ロール45eおよびテンションロール45fに張架されている。定着ベルト45cはさらに、回転する定着ロール45aに従動して循環移動される。なお、定着ロール45aは、図示しない駆動装置により搬送方向に回転される。
【0027】
定着ロール45aは、熱伝導性の高い金属製のコアの周囲にPFAチューブ等からなる離型層が形成された部材である。また、定着ロール45aのコア内部にはハロゲンランプ等の熱源が備わっている。定着ロール45aの表面が所定の温度(トナー及び受像層の溶融温度に依存するが、本実施形態においては120〜190℃)となるように加熱される。これにより、搬送されてくる用紙のトナー画像面をニップ領域において加熱する。
加圧ロール45bは、熱伝導性の高い金属製のコアの周囲にゴム硬度40°程度のシリコンゴム等からなる弾性体層が被覆されている。加圧ロール45bの表面には、定着ロール45aの離型層と同様の離型層が形成されている。また、加圧ロール45bのコアの内部にはハロゲンランプ等の熱源が備わっており、加圧ロール45bの表面が所定の温度となるように加熱される。そして加圧ロール45bは、搬送されてくる用紙をニップ領域において裏面から加熱するとともに定着ロール45aの方向へ所定の圧力で押圧する。
なお、光沢処理装置45の下流に図示しないカッティング装置を設けることも考えられる。その場合には、光沢処理装置45により光沢処理された用紙の四辺の縁の部分を図示しないカッティング装置により裁断することで用紙全面に画像がプリントされた、いわゆる縁無しプリントとすることができる。また、一つの用紙上に複数の画像をプリントした後に、図示しないカッティング装置により複数のプリントに裁断することで生産性を大幅に上げることができる。
【0028】
定着ベルト45cは、例えば熱硬化型ポリイミド製の無端状フィルムの表面にフッ素ゴムやシリコンゴム等による平滑性の高い被覆層が形成された部材である。定着ベルト45cの被覆層の厚さは、望ましくは35μm程度であり、ポリイミド基材層の厚さは、望ましくは70μm程度である。また、定着ベルト45cの表面をフッ素系樹脂及び/又はシリコン樹脂によって被覆することにより剥離性の観点から好ましい。また、75度光沢度計で測定したときの表面の光沢度が60度以上であることは、平滑性の観点から好ましい。
用紙は、定着ベルト45cを介して定着ロール45aと加圧ロール45bとによって形成される定着ニップ領域において加熱される。これにより、用紙上では、トナー及び用紙の受像層が溶融状態にあり、この状態で定着ベルト45cと密着することにより用紙のトナー画像面が平滑に仕上げられる。なお、平滑な画像表面構造を得るという観点から、カラートナーおよび粒子層像を例えば110〜200℃に加熱して溶融変形させて定着することが好ましい。
【0029】
冷却装置45dは、定着ロール45aと剥離ロール45eとの間の区間における定着ベルト45cの内周面に設けられている。そして、冷却装置45dは、その定着ベルト45cの内周面に接して定着ベルト45cの熱を吸収する。これにより、ニップ領域において加熱された用紙が冷却される。このようにして用紙を冷却することで、後述する用紙表面のトナー及び受像層は平滑性を維持したまま固化するので、定着ベルト45cから用紙を容易に剥離できるようになる。
なお、冷却装置45dの冷却温度は、用いられるトナーや用紙の種類に応じて異なるが、用紙のトナー画像面がおよそ50〜95℃となるように冷却することが望ましい。また、冷却装置45dとして、装置の大きさの観点から、ヒートシンクまたはヒートパイプを使って冷却速度を速める手段を用いることが好ましい。また、図示しない剥離爪を定着ベルト45cと用紙との間に挿入する手段、または剥離位置に曲率の小さな図示しないロールを設けて、用紙の剛性によって剥離させる手段を持つことが好ましい。
【0030】
剥離ロール45eは定着ベルト45cの移動に従動して回転する。剥離ロール45eが定着ベルト45cを巻き付けながら張架することで定着ベルト45cの移動方向を変化させることにより、用紙はこの位置において用紙自体の剛性によって自然に剥離される。剥離ロール45eの外径や定着ベルト45cの巻き付け角度θは、用紙の剛性や用紙と定着ベルト45cとの付着力に応じて決定される。定着ベルト45cから剥離された用紙は、後述する排紙トレイ60へ排出される。
テンションロール45fは、図示しないステアリング機構を備えている。すなわち、定着ベルト45cを連続的に循環移動させたときに生じる偏り(定着ベルト45cがテンションロール45fの軸方向のいずれか一方へ移動する現象)を修正するための機構を備えている。テンションロール45fは、その中心軸の一端が固定され(以下、こちらを「固定端」と称す)、他端が定着ロール45aに対して移動可能となっている(以下、こちらを「移動端」と称す)。すなわち、他端側の定着ベルト45cに図示しないエッジセンサを配設し、この図示しないエッジセンサにより、定着ベルト45cの偏りを検出し、制御部7に検出結果が出力される。
例えば定着ベルト45cが徐々に固定端側へと偏っていくことが図示しないエッジセンサにより検出された場合には、移動端が移動することでこの偏りを修正する。逆に、定着ベルト45cが徐々に移動端側へと偏っていくことが図示しないエッジセンサにより検出された場合には、移動端が反対方向に移動することでこの偏りを修正するようになっている。
【0031】
次に、本実施の形態における用紙搬送および定着について図4を用いて説明する。
図4は、図示しないUI画面の一例を説明する説明図である。
図4に示すように、ユーザーは、標準モード、光沢モードおよび高画質モードの中から画質モードを選択することができる。そして、ユーザーが選択指示した画質モードによって、用紙の搬送経路とIOT(Image Output Terminal)動作が異なる。
例えば、ユーザーにより標準モードが選択されたときには、定着装置44により有色トナー像が定着されると必要な処理が終わる。このため、標準モードのときには、制御部7は、切換え器58を作動して用紙の搬送路として第1の搬送路61に切り換える。これにより、定着装置44により有色トナー像が定着された用紙は、切換え器58により切り換えられた第1の搬送路61を搬送され、そのまま排紙トレイ60に排出される。
【0032】
また、例えば、ユーザーにより光沢モードが選択されたときには、有色トナー像(第1トナー像)を定着した後にさらに透明トナー像(第2トナー像)を定着するものである。このため、光沢モードのときには、制御部7は、切換え器58を作動してまず第3の搬送路63に切り換えるとともに切換え器59を作動して用紙戻し搬送装置65を用紙が通るように切り換える。これにより、定着装置44により有色トナー像の定着を終えた用紙は、第3の搬送路63において用紙反転装置64で反転することなく、用紙戻し搬送装置65を通って、二次転写部43の上流側へと搬送される。具体的には、テイクアウェイロール54とプレレジロール55との間に搬送される。このときの用紙は、有色トナー像が定着された面が二次転写部43にて中間転写ベルト42に接するように搬送される。その後、用紙は、レジストレーションロール56により、二次転写部43に対してレジストレーション調整が施されながら二次転写部43に搬送される。なお、二次転写部43に搬送される前に除電器66により用紙が除電されて静電的に調整される。
このように用紙が搬送される一方で、感光体ドラム41上には、透明トナーの現像器47CTによって透明トナー像(透明層)が形成される。この透明トナー像は、中間転写ベルト42上に一次転写装置48によって転写される。そして、二次転写部43では、中間転写ベルト42上の透明トナー像が用紙の有色トナー像上に転写される。転写された透明トナー像が定着された後には、その用紙が排紙トレイ60に排出される。
【0033】
また、例えば、ユーザーにより高画質モードが選択されたときには、有色トナー像を定着した後に特色トナー像を定着し、さらに透明トナー像を定着するものである。このように定着することにより、高画質で光沢の画像を得ることができる。そして、高画質モードのときには、制御部7は、切換え器58を作動してまず第3の搬送路63に切り換えるとともに切換え器59を作動して用紙戻し搬送装置65を用紙が通るように切り換える。これにより、定着装置44により有色トナー像の定着を終えた用紙は、第3の搬送路63において用紙反転装置64で反転することなく、用紙戻し搬送装置65を通って、二次転写部43の上流側へと搬送される。そして、二次転写部43で有色トナー像の上に特色トナー像が転写される。転写された特色トナー像は、定着装置44で定着された後に、再度第3の搬送路63から用紙戻し搬送装置65を通って、二次転写部43の上流側へと搬送される。そして、二次転写部43で有色トナー像および特色トナー像の上に透明トナー像が転写される。転写された透明トナー像が定着された後には、その用紙が排紙トレイ60に排出される。
【0034】
ここで、上述したように有色トナー像(高画質モードのときはさらに特色トナー像)は定着装置44により定着(一次定着、仮定着)されるが、透明トナー像は、次に説明する第1の方法または第2の方法により定着される。すなわち、透明トナー像の定着方法として、第1の方法および第2の方法のいずれか一方が選択される。ここにいう第1の方法は、定着装置44および光沢処理装置45の両方で定着するもので、一次定着(仮定着)および二次定着(光沢処理)を行うものである。また、第2の方法は、光沢処理装置45のみで定着するもので、二次定着(光沢処理)のみを行うものである。第2の方法の場合には、定着装置44では定着されず、そのまま通過して下流側に位置する光沢処理装置45により定着が行われる。すなわち、定着装置44を通過した用紙は、光沢処理装置45で定着ベルト45cに密着するように定着ロール45aと加圧ロール45bとによって圧力と熱が加えられる。そして、用紙は、定着ベルト45cに密着されたままの状態で、冷却装置45dを経て冷却され、剥離ロール45eによって定着ベルト45cから剥離される。これにより、透明トナー像が定着され、その後、排紙トレイ60に排出される。
このように、最後に転写された透明トナー像は、少なくとも光沢処理装置45により光沢処理が行われ、それ以前に転写された有色トナー像および特色トナー像は、光沢処理が行われずに、定着装置44の定着温度を比較的低くして仮定着のみを行っている。この仮定着は、第3の搬送路63および用紙戻し搬送装置65内を搬送されているときに、トナーが用紙から離れないようにする作用を有するものである。このため、本実施の形態では、有色トナー像、特色トナー像および透明トナー像を目的に応じて効率よく定着することができる。
なお、定着装置44と光沢処理装置45の両方を設ける代わりに、定着装置44の温度を可変にして、有色トナー像および特色トナー像の定着時には、定着温度を低くし、透明トナー像の定着時には、定着温度を高くするように制御することも考えられる。しかしながら、このような定着温度の制御は容易ではないことから、本実施の形態のように、定着装置44と光沢処理装置45の両方を設けることは有意義である。
【0035】
なお、上述した第2の方法の場合には、定着装置44において加熱ロール44aおよび加圧ロール44bが互いに接離可能に構成する必要がある。すなわち、加熱ロール44aと加圧ロール44bとの間の軸間距離を変更可能に構成する。その構成の一例を示すと、加熱ロール44aと加圧ロール44bのいずれか一方または両方をソレノイドで位置を変えることでニップが形成される場合とニップが形成されない場合の切換えを行う。
また、上述したように、用紙搬送経路を第1の搬送路61、第2の搬送路62または第3の搬送路63に切り換える切換え器58を定着装置44と光沢処理装置45との間に配設しているが、光沢処理装置45の下流側に配設することも考えられる。
【0036】
ここで、ここにいう第2トナー像(プラスワンカラー)は、透明トナー像に限定されるものではなく、中間転写ベルト42に積層する限界を超えた分を第2トナー像として形成することも考えられる。すなわち、プロセスカラーを第1トナー像と第2トナー像に分けて別々に転写することである。また、透明トナーのほかに、例えば非視認性トナーや発砲トナーなどの特色であってもよく、さらにプラスワンではなく複数の色、例えばYMCKの薄色やR(レッド),B(ブルー),G(グリーン)、蛍光色などの複数の色(特色)を用紙への第2トナー像として形成することも考えられる。
また、上述した実施の形態では、第1トナー像として有色トナー像であり、第2トナー像として透明トナー像である。このような構成は、透明層による保護層の効果と転写不良の抑止を両立するという観点からすると好ましいが、その逆、すなわち、第1トナー像が透明トナー像で、第2トナー像が有色トナー像となる場合も考えられる。
また、画質モードとして、上述したモードのほかに超光沢モードを設定することも考えられる。この超光沢モードにより、均一で高光沢の像を得ることができる。このような超光沢モードがユーザーにより選択されたときには、用紙に順次、第1トナー像として透明トナー像が定着され、第2トナー像として有色トナー像が定着され、さらに第3トナー像として保護層である透明層の透明トナー像が定着される。すなわち、第1トナー像、第2トナー像および第3トナー像の3層構造となる。
【0037】
上述したように、本実施の形態に係る画像形成装置では、カラートナーのつぶれによる画質劣化がなく、カラー画像形成手段の画像作像条件と連動して透明層形成条件や定着条件を制御して、透明トナーの無駄や、透明トナー転写不良、定着部の消費電力低減、記録紙毎の定着温度設定不良による画像欠陥等を発生させることなく、画像の表面が全面にわたって平滑で、しかも、画像濃度に依存することがなく高い光沢度を記録紙上に均一に付与することが可能となっている。
【0038】
ここで、現像器47CTの透明トナーは、透明層を形成するために用いられるものであり、少なくとも結着樹脂を含有してなる。ここにいう透明トナーという用語は、光吸収や光散乱による着色を目的とした色材(着色顔料、着色染料、黒色カーボン粒子、黒色磁性粉など)を含まないトナー粒子であることを意味する。そして、透明トナーは、通常、無色透明であるが、その中に含まれる流動化剤や離型剤の種類や量によっては、透明度が若干低くなっていることがあるが、実質的には無色透明であると言える。
また、透明トナーに含有される結着樹脂としては、実質的に透明であればよく、目的に応じて適宜選択することができる。その一例として、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、その他のビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレア系樹脂などの一般トナー用に用いられる公知の樹脂とその重合体を挙げることができる。これらの中でも、低温定着性、定着強度、保存性などのトナー特性を同時に満足し得る点で、ポリエステル系樹脂が好ましい。また、熱ロール定着器と併用することを考慮すると、結着樹脂は、重量平均分子量が5000〜12000のポリエステルであることが好ましい。
【0039】
透明トナーにおいて、高い光沢度をムラなく均一に得るためには、トナーの流動性と帯電性の制御が必要になる。透明トナーの流動性と帯電性を制御する観点から、透明トナーのトナー表面に、無機微粒子及び/又は樹脂微粒子を外添ないし付着させることが好ましい。
無機微粒子としては、本発明の効果を害しない限り特に制限はなく、外添剤として用いられている公知の微粒子の中から目的に応じて適宜選択することができるが、その材質として例えば、シリカ、二酸化チタン、酸化すず、酸化モリブデンなどが挙げられる。また、帯電性などの安定性を考慮し、これらの無機微粒子に対して、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を用いて疎水化処理を施したものも使用できる。
また、有機微粒子としては、本発明の効果を害しない限り特に制限はなく、外添剤として用いられている公知の微粒子の中から目的に応じて適宜選択することができるが、その材質として例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレア系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
【0040】
そして、無機微粒子及び有機微粒子の平均粒子径は、0.005〜1μmであるのが特に好ましい。これは、平均粒子径が0.005μm未満であると、透明トナーの表面に無機微粒子及び/又は樹脂微粒子を付着させたときに凝集が起こり、所望の効果が得られないことがある一方で、1μmを越えるとより高光沢な画像を得ることが困難になるためである。
また、透明トナーの粒子径は、特に限定する必要はないが、有色トナー像を乱さないという観点からは、8μm以上、20μm以下が望ましい。透明トナーの粒径が8μm未満の場合には、現像装置47と感光体ドラム41との間に高い電界を印加する必要がある一方、20μmを越えると一様な透明トナー像を形成することが困難となる。
【0041】
一方、現像器47Y,47M,47C,47Kで使用される有色トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有してなる絶縁性の粒子で、イエロートナー、マジェンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等が挙げられる。この有色トナーの組成、平均粒径等については、本発明の目的を害しない範囲の中から適宜選択される。
また、これらの有色トナーの結着樹脂としては、透明トナーにおける結着樹脂として例示したものが挙げられる。また、加熱定着器と併用することを考慮すると、結着樹脂は、重量平均分子量が5000〜12000のポリエステルであることが好ましい。また、着色剤としては、トナー用として通常用いられている着色剤であれば特に制限はなく、それ自体公知のシアン顔料または染料、マジェンタ顔料または染料、イエロー顔料または染料、ブラック顔料または染料の中から選択できる。好ましくは、高光沢が得られる効果を高めるためには、着色剤の顔料とバインダーの界面での乱反射を抑えることが重要であり、特開平4−242752号公報に示された小粒径の顔料を高分散した着色剤との組合わせが有効である。
また、有色トナーの粒子径は、特に限定する必要はないが、露光器46bによる静電潜像を忠実に再現できる機能を有することを考えると4μm以上、8μm以下であることが望ましい。また、有色トナーとしては適宜作製したものであってもよいし、市販品であっても良い。なお、透明トナー及び有色トナーは、適宜選択したそれ自体公知のキャリアと組み合わされて現像剤とされた後で使用される。また、一成分系現像剤として、現像スリーブまたは帯電部材と摩擦帯電して、帯電トナーを形成して、静電潜像に応じて現像する手段も適用できる。
【0042】
なお、本実施の形態の構成において次のような変形例を挙げることができる。現像装置47は、図1に示すように、現像器47Y,47M,47C,47Kと同じロータリー内部に透明トナーの現像器47CTも収容されているため、透明コート層形成装置も兼ねている。しかしながら、透明トナー層を形成する透明トナーの現像器47CTを、現像器47Y,47M,47C,47Kが収納されたロータリーとは異なり、他の感光体ドラムに対向する位置に設けられたものであっても、本出願人が特開2002−341623号公報において提案するように、中間転写体に対向する位置に設けたものであってもよい。
また、定着ベルト45cは、例えば、定着ロール45aと剥離ロール45eとの間にテンションロール45fを設け、このテンションロール45fにより、定着ベルト45cを張架しているが、テンションロール45fを設けないで、例えば98N(10kg・f)程度の高いテンションで張架されるように構成してもよい。
また、本実施の形態の画像形成装置1は、1本の感光体ドラム21(図1参照)を使用して感光体ドラム21が4回転することでカラー画像を得るいわゆる4サイクル式であるが、高速化のために、各色ごとに4本の感光体ドラムを直列に並べたいわゆるタンデム式の画像形成装置にも適用できる。また、上記実施の形態では公知の中間転写ベルトを使用した方式について説明したが、図示しない中間転写ドラムを使用した方式や、中間転写体を使用せずに感光体ドラムから直接トナー像を記録媒体に転写させる方式も使用可能なことはもちろんである。
また、後述する他の実施の形態については、上述した各種の変形例について同様に適用することができるものである。
【0043】
次に、第2の実施の形態について図5を用いて説明する。なお、本実施の形態は、第1の実施の形態の定着手段(定着装置44と光沢処理装置45)に関してのみ異なるものである。すなわち、本実施の形態では、定着手段として、定着装置44および光沢処理装置45の代わりに、定着装置81を備えている。この定着装置81は、定着装置44および光沢処理装置45を兼用したものと考えることができる。言い換えると、本実施の形態において他の構成等は第1の実施の形態と同じであり、第1の実施の形態と同じ構成については同じ符号を用いることとする。以下、本実施の形態について、第1の実施の形態と異なる個所を中心に説明する。
図5は、定着装置81の構成を説明する概略構成図であり、(a)は定着装置81の第1姿勢を示し、(b)は定着装置81の第2姿勢を示したものである。
図5に示すように、定着装置81は、ベルト定着方式を採用しており、定着ロール81a、加圧ロール81b、定着ベルト81c、冷却装置81dおよび剥離ロール81eを備えている。
付言すると、定着ロール81aは、第1の実施の形態における定着ロール45aに相当する部材であり、加圧ロール81bは同実施形態における加圧ロール45bに相当する部材である。また、定着ベルト81cは、同実施形態における定着ベルト45cに相当する部材であり、冷却装置81dは、同実施形態における冷却装置45dに相当する部材である。
また、剥離ロール81eは、同実施形態における剥離ロール81eに相当する部材であるが、制御部7により制御されるステアリング機構を備えている。このステアリング機構は、第1の実施の形態におけるテンションロール45fが備えている機構と同じものであり、その詳細は省略する。本実施の形態の定着装置81は、第1の実施の形態におけるテンションロール45fを備えていない。
ここで、剥離ロール81eにおけるステアリング機構のステアリング量は、定着ベルト81cの剥離ロール81eに巻き掛けられている部分が用紙に対して接離可能となるように、比較的大きく確保されている。すなわち、定着装置81は、剥離ロール81eが退避することにより剥離ロール81eに巻き掛けられている部分が用紙に当接しない第1姿勢をとることができ(図5の(a)参照)、かつ、剥離ロール81eが用紙搬送路内に位置することにより剥離ロール81eに巻き掛けられている部分が用紙に当接する第2姿勢をとることができる(図5の(b)参照)。このように、定着装置81は、制御部7により第1姿勢と第2姿勢のいずれか一方が選択される。
【0044】
定着装置81の姿勢について具体的に説明すると、第1トナー像としての有色トナー像を定着する場合には、制御部7は、図5の(a)に示すように、定着装置81の剥離ロール81eを退避させて定着ベルト81cを第1姿勢にする。そして、第2トナー像としての透明トナー像を定着する場合には、制御部7は、図5の(b)に示すように、定着装置81の剥離ロール81eを退避させないで定着ベルト81cを第2姿勢にする。第2姿勢では、定着ベルト81cが用紙と接触する面積が第1姿勢のときよりも大きくなる。
このように、定着ベルト81cが第1姿勢のときには2ロール定着方式になり、第2姿勢のときにはベルト定着方式になる。付言すると、定着ベルト81cが第2姿勢のときには、冷却装置81dにより定着ベルト81cの熱が吸収されるので、ニップ領域において用紙が冷却される。
【0045】
本実施の形態では、定着手段について上述したように構成することにより、定着手段についての構成部品を省略することができ、画像形成装置1の内部スペースの有効利用およびコストダウンを実現することが容易になる。
付言すると、第1の実施の形態又は第2の実施の形態の場合には、両面プリント用の用紙搬送パスの一部を利用する構成になっているため、大掛かりな構成変更を行うことなく、例えば画像作像プロセスのソフト変更等で対応できる。
【0046】
次に、第3の実施の形態について図6を用いて説明する。なお、本実施の形態では、用紙を保持搬送する転写ドラム91を備えている点で、第1の実施の形態とは異なる。すなわち、本実施の形態において他の構成等は第1の実施の形態と同じであり、第1の実施の形態と同じ構成については同じ符号を用いることとする。以下、本実施の形態について、第1の実施の形態と異なる個所を中心に説明する。
図6は、第3の実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。
図6に示す転写ドラム91は、用紙を静電的に吸着して二次転写部43に搬送するものである。この転写ドラム91は、公知の転写ドラムを用いることができる。ただし、未定着のトナー像を乱さずに大量の透明トナーで覆うことを求められることから、公知の搬送ベルトを用いるよりも、転写用紙上にトナーを重ねて転写するためのCTR(Corotron Transfer Roll)を用いて、用紙を静電的に吸着させて搬送する転写ドラム方式を採用するのが望ましい。
本実施の形態では、転写ドラム91を設けたことにより、有色トナー像(カラートナー像)が一括転写された用紙を、未定着のまま二次転写部43の上流側に搬送することができる。
【0047】
ここで、カラー画像を形成する流れとしては、まず、用紙を静電的に転写ドラム91に吸着させて、二次転写部43に用紙を搬送し、中間転写ベルト42に多重に形成された有色トナー像を用紙に一括転写する。有色トナー像が転写された用紙は、転写ドラム91に吸着されたまま回転して、再び二次転写部43の上流側に搬送され、中間転写ベルト42に形成された透明トナー像を、カラートナーが転写された上を覆うようにさらに転写する。透明トナー像が転写された用紙は転写ドラム91から剥離され、定着装置44および/または光沢処理装置45によって定着されることによりカラー画像が形成される。
付言すると、本実施の形態の場合には、薄色YMCKやRGB等とのモーションクオリティ(MQ)やレジずれの課題を考慮すれば、剥離搬送ベルトを用いるよりも、転写ドラムの方式を採用するのが望ましい。また、減衰していく中間転写ベルト42に例えば8色を積み重ねるよりも、4色ずつCTRに分割して積み重ねる方が、IBT(Intermediate Belt Transfer)方式にドラム方式を組み合わせる際には画質的に優位であると考えられる。
また、本実施の形態の場合には、IBT方式を採用することにより、用紙に対する転写をトナーの色ごとに行う必要がなく、中間転写ベルト42から用紙に一括転写を行うものである。したがって、用紙として様々な種類のものが用いられるときでも、中間転写ベルト42上に位置決め精度よく各トナーが積層されるので、用紙の種類による影響を抑制することができる。
【0048】
このように、第1ないし第3の実施の形態によれば、有色トナー像と透明トナー像とを別々に用紙に転写することにより良好な画像を得ることができる。すなわち、従来では、中間転写ベルト42上に透明トナー、イエロー、マジェンタ、シアン、黒の順に積み重ねた後に用紙に一括転写していたため、中間転写ベルト42上の透明層の上にカラートナー層を安定して形成しづらいという問題があった。そして、この問題に対応すべく、例えば透明層を薄くしたり、すり順を逆にしたりしていたが、やはり画像段差やドキュメントの保存性の問題があった。この点で、第1ないし第3の実施の形態によれば、これらカラートナーの転写乱れ(粒状)の防止と段差および用紙保存性との両立という問題を有効に解決することができる。
言い換えると、第1ないし第3の実施の形態によれば、画像表面が画像の全面にわたって平滑で、かつ画像濃度に依存しない高い光沢度の画像を用紙上に一様に再現できる。また、ドキュメントオフセットや耐熱性などのない、高い保存性能を有する画像を用紙上に再現できる。
【実施例1】
【0049】
以下に、上述した実施形態を具体的に示した実施例について説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではないことは勿論である。
実施例1は先に説明した第1の実施の形態の画像形成装置を用いて有色トナー像と透明トナー像とを分割して転写して作成したものである。すなわち、中間転写ベルト42上に形成した有色トナー像を一括して用紙に転写して定着した後に、再度用紙を二次転写部43に搬送して、透明トナー像を転写して定着したものである。
【0050】
〔有色トナー現像剤〕
本実施例1及び以下の他の実施例において使用した有色トナー現像剤は、富士ゼロックス(株)製のDCC500用のシアン現像剤、マジェンタ現像剤、イエロー現像剤、ブラック現像剤を用いた。また、有色トナーの平均粒径は5μmである。
〔透明トナー〕
透明トナーの結着樹脂としては、テレフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/シクロヘキサンジメタノールから得た線状ポリエステル(モル比=5:4:1、ガラス転移温度Tg=62℃、数平均分子量Mn=4500、重量平均分子量Mw=10000)を用い、これをジェットミルで粉砕した後、風力式分級機で分級することで、d50=11μmの透明微粒子を作製した。そして、この透明微粒子100重量部に、後述する2種類の無機微粒子A及びBを高速混合機で付着させた。無機微粒子Aとしては、SiO2(シランカップリング剤で表面を疎水化処理、平均粒径0.05μm、添加量1.0重量部)である。また、無機微粒子Bは、TiO2(シランカップリング剤で表面を疎水化処理、平均粒径0.02μm、屈折率2.5、添加量1.0重量部)である。
そして、このトナーをカラートナーのブラック現像剤と同じキャリアと混合して、2成分現像剤を作製した。
【0051】
画像形成装置としては、上述した図1に示す画像形成装置1を用いた。以下に詳細な条件を記載する。
〔用紙〕
カラー画像形成に用いた用紙としては、OK特アート紙(新王子製紙(株)社製)を用いた。
〔用紙を搬送する機構〕
カラートナーを転写して定着した後に、再度二次転写部43の上流側に用紙を搬送する機構としては、両面プリント用の用紙反転装置64を兼用した。
〔カラートナー現像重量と画像信号〕
現像するカラートナー重量は、各色とも画像信号Cin=100%部分で、0.5mg/cm2となるように、トナーとキャリアの重量比率、感光体帯電電位、露光量、現像バイアスを調整した。また、画像読取装置2としてのスキャナーで読み込んだデータを画像処理部3によって色、階調、シャープネス補正を施し、各色のカラートナーの画像信号を生成した。
〔透明トナー現像重量と画像信号〕
現像する透明トナー重量は、画像信号Cin=100%の部分で、トナー重量を1.0mg/cm2となるように、トナーとキャリアの重量比率、感光体帯電電位、露光量、現像バイアスを調整した。
〔中間転写体とカラートナー像の帯電〕
中間転写体としての中間転写ベルト42には、導電性カーボン粒子を分散したポリイミド樹脂からなるベルトを用いた。半減時間は、0.1秒に調整されている。帯電電位は−500Vとした。
【0052】
このような条件で得られた画像の評価方法を以下に記述する。
〔平滑性評価〕
画像表面の平滑性は、シアン、マジェンタ、イエローの画像信号がCin=50%であるプロセスブラック画像の表面粗度測定結果によって評価した。測定には、表面粗度計、Perthometer C5D(Perthen製)を用いた。針先端径2μmの針で、スキャン速度0.5mm/秒、測定長さ1.0mm、測定ピッチ1μm、カットオフ0.8mmの測定条件で十点平均粗さRzi(μm)を求めた。これを、スキャンと垂直方向に測定ピッチ5μm間隔で、50回繰り返し、Rz1〜Rz50を求め、その平均値をRz(μm)とした。平均値の算出には、画像解析装置SAS−2010(明伸工機製)を用いた。評価は以下の基準で行った。
×……Rzが3μm以上の場合
△……1.5μm以上3μm未満の場合
○……1.5μm未満の場合
〔光沢度差の測定〕
画像の光沢度(グロス)の測定には、Gloss Meter GM−26D(村上色彩技術研究所)を用いた。画像に対しての光の入射角度は75度とした。評価した画像には、シアン画像信号が10%、50%、100%の均一シアン画像と、シアン画像信号、マジェンタ画像信号、イエロー画像信号を各50%としてカラートナーを現像したプロセスグレー画像と、シアン画像信号、マジェンタ画像信号、イエロー画像信号を各100%としてカラートナーを現像したプロセスブラック画像と、カラートナーの画像信号がすべて0%の画像とからなる4種類の画像を用いた。そして、これらの画像の光沢度差の最大値を求め、以下の基準に従い、評価を行った。
×……光沢度の差が30以上の場合
△……光沢度の差が15以上30未満の場合
○……光沢度の差が15未満の場合
〔画像の官能評価〕
画像全体の官能評価は、人物写真の目視評価により行った。20人の評価者を対象として、以下の5段階評価を行った。
1……非常に悪い
2……悪い
3……普通
4……良い
5……非常に良い
次に、その平均値を求めて、下記の基準で評価した。
×……平均値が2未満の場合
△……2以上4未満の場合
○……4以上の場合
〔トナー材料評価〕
また、用いたトナー材料の評価は次のように実施した。すなわち、分子量の測定は、ゲルパーミッションクロマトグラフィを用いた。溶剤には、テトラヒドロフランを用いた。また、トナーの平均粒径は、コールターカウンターを用いて測定して、重量平均のd50を適用した。
【実施例2】
【0053】
実施例2は、先に説明した第3の実施の形態(図6参照)の構成によるカラー画像形成装置を用いたものであり、記録紙を転写ドラム91に静電吸着することにより、用紙上に転写された有色トナー像が未定着の状態で、透明トナー像をさらに転写する構成としたこと以外は、実施例1と同じ条件で画像を作成した。
〔記録紙を搬送する機構〕
搬送ベルトとしては、富士ゼロックス(株)製のAcolor CTRを使用し、搬送ベルトを図示しない帯電器によって帯電し、用紙を吸着させて搬送を行った。
〔用紙へのトナーの転写〕
転写装置としての転写ドラム91は、コロトロン装置を使用した。さらに、バッフルによって用紙を感光体に接触させながら転写電界を規制させて、転写ドラム91を2回転させて有色トナー像と透明トナー像を分割して用紙に転写させた。
【実施例3】
【0054】
実施例3は、第1の実施の形態の画像形成装置1を用いて用紙に受像層(透明トナー層)を形成した後に、有色トナー像を形成し、さらに保護層として透明トナー層を形成したものである。すなわち、実施例3は、有色トナー像を透明トナー像でサンドイッチした超光沢モードである。実施例3は、このような層構造以外は第1の実施の形態の場合と同じである。
なお、透明トナー像が2つ存在することになるが、受像層になる透明トナー像と保護層になる透明トナー像とで異なる特性を有するトナーを用いるようにしてもよい。すなわち、受像層の方は、転写性および流動性を重要視し、保護層の方は、透明性および耐熱性を重要視して、外添剤や樹脂種類を異ならせることも考えられる。
【0055】
〔比較例1〕
透明トナーを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にカラー画像を作成した。
〔比較例2〕
以下に記載した以外は、実施例1と同一条件でカラー画像を作成した。第1の実施の形態の作像シーケンスを変更して、CT,YMCKの順で中間転写ベルト42にトナー像をすべて積み重ねた後に、記録紙に一括転写するようにして作成した。
【0056】
図7は上記実施例1〜3及び比較例1〜2のカラー画像の評価結果を示す表である。この図7から明らかなように、実施例1の場合には、平滑性、光沢度差及び官能評価の結果はすべて良好であった。また、実施例2の場合には、平滑性、光沢度差及び官能評価の結果はやや良好であった。また、実施例3の場合には、平滑性、光沢度差は良好であった。
なお、実施例3の場合には、用紙に透明層を形成して、ある程度の紙粉やごみを透明層内部に埋め込む下地処理により、カラートナーを転写するときに発生する紙粉やごみの段差による白点を減少させることができる。また、実施例3における官能評価が△である原因としては、受像層としての透明トナー像が最適化できていないことが考えられる。
このように、上述した各実施の形態の構成によれば、転写ムラによる画質低下を招くことなく、画像の表面が全面にわたって平滑で、しかも、画像濃度に依存することがなく高い光沢度を記録紙上に均一に付与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1の実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成を示した図である。
【図2】定着装置が有する一対のロールを示した説明図である。
【図3】光沢処理装置の概略構成図である。
【図4】UI画面の一例を説明する説明図である。
【図5】第2の実施の形態が適用される画像形成装置における定着装置の概略構成図である。
【図6】第3の実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。
【図7】実施例1〜3及び比較例1〜2のカラー画像の評価結果を示す表である。
【符号の説明】
【0058】
1…画像形成装置、41…感光体ドラム、42…中間転写ベルト、43…二次転写部、44,81…定着装置、45…光沢処理装置、58,59…切換え器、60…排紙トレイ、61…第1の搬送路、62…第2の搬送路、63…第3の搬送路、64…用紙反転装置、65…用紙戻し搬送装置、7…制御部、91…転写ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形成されたトナー像を転写部で用紙に転写する転写手段と、
前記転写手段により用紙に転写されたトナー像を定着する第1の定着手段と、
前記第1の定着手段の用紙搬送方向下流側に位置し、前記転写手段により用紙に転写されたトナー像を定着する第2の定着手段と、
前記転写手段によりトナー像が転写された面に別のトナー像をさらに転写するために、前記第1の定着手段および/または前記第2の定着手段により定着された用紙を前記転写手段の前記転写部の用紙搬送方向上流側へ戻す戻し搬送手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記戻し搬送手段は、用紙の両面に画像を形成するときに用いられる用紙反転搬送手段の一部を利用して構成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の定着手段は、用紙に対して高光沢処理を施す光沢処理手段であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
形成されたトナー像を転写部で用紙に転写する転写手段と、
無端状の定着ベルトを備え、当該定着ベルトを第1姿勢または当該第1姿勢よりも定着すべき用紙との接触面積が大きい第2姿勢に変更する変更機構を備え、前記転写手段により用紙に転写されたトナー像を第1姿勢または第2姿勢の定着ベルトを用いて定着する定着手段と、
前記定着手段により定着された用紙を前記転写部へ戻す戻し搬送手段と、
を含み、
第1トナー像が前記転写手段により用紙に転写されて第1姿勢の前記定着ベルトで一次定着され、前記戻し搬送手段により前記転写部に戻された用紙の第1トナー像上に第2トナー像が前記転写手段により転写されて第2姿勢の当該定着ベルトで二次定着されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記変更機構は、前記定着ベルトの幅方向の位置ずれを修正するためのステアリング制御機構を用いたことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1トナー像は有色トナー像であり、前記第2トナー像は透明トナー像であり、
前記変更機構は、有色トナー像を定着するときには前記定着ベルトが第1姿勢をとるように変更し、透明トナー像を定着するときには当該定着ベルトが第2姿勢をとるように変更することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
形成した第1トナー像および第2トナー像を転写部で用紙に別々に転写する転写手段と、
用紙を保持しながら回転搬送する用紙保持部を備え、当該用紙保持部により用紙を前記転写部に回転搬送する回転搬送手段と、
前記転写手段により用紙に転写された第1トナー像および第2トナー像を定着する第1の定着手段と、
前記第1の定着手段の下流側に位置し、前記転写手段により用紙に転写された第1トナー像および第2トナー像を定着する第2の定着手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項8】
前記第1トナー像は複数色トナーが多重に形成されたカラー画像であり、前記第2トナー像は特色からなる画像であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−251722(P2006−251722A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71936(P2005−71936)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】