画像形成装置
【課題】 転写手段の抵抗値が転写不良を生じやすい程度に高くなった場合にも、転写不良を防止して画像形成動作を行うことのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 用紙への画像の印刷動作を開始する前に、転写ローラに転写電流を流して、その際の転写電圧の電圧値Vを検出する(S110,S120)。そして、この検出した電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていない(転写ローラの抵抗値が限界基準値を上回っていない)と判定した場合には(S130:NO)、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにして印刷動作を行う(S140,S150)。一方、検出した電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っている(転写ローラの抵抗値が限界基準値を上回っている)と判定した場合には(S130:YES)、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにして印刷動作を行う(S160,S170)。
【解決手段】 用紙への画像の印刷動作を開始する前に、転写ローラに転写電流を流して、その際の転写電圧の電圧値Vを検出する(S110,S120)。そして、この検出した電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていない(転写ローラの抵抗値が限界基準値を上回っていない)と判定した場合には(S130:NO)、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにして印刷動作を行う(S140,S150)。一方、検出した電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っている(転写ローラの抵抗値が限界基準値を上回っている)と判定した場合には(S130:YES)、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにして印刷動作を行う(S160,S170)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上に画像を形成するための画像形成動作を行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、感光ドラムの表面に形成したトナー像を、転写電圧の印加された転写手段としての転写ローラを用いて用紙に転写する構成の画像形成装置が知られている。
こうした画像形成装置において、転写ローラへの転写電圧の印加方式としては、定電流制御や定電圧制御が用いられる。一方、転写ローラの抵抗値に応じて定電圧制御と定電流制御とを切り替えるようにした構成のものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−221810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、転写ローラの抵抗値が長期間の使用等によって高くなると、転写不良が生じやすくなる。すなわち、定電流制御を行う構成の場合には、転写ローラの抵抗値が高くなることにより、所定の電流値の転写電流を流すために必要な転写電圧の電圧値も高くなり、この結果、転写ローラと用紙との間で放電が発生することによる転写不良が生じやすくなってしまう。一方、定電圧制御を行う構成の場合には、転写ローラの抵抗値が高くなることにより、所定の電圧値の転写電圧を印加した際に流れる転写電流の電流値が低くなり、転写電流不足によって転写が不十分となることによる転写不良が生じやすくなってしまう。このため、転写ローラの抵抗値が転写不良を生じやすい程度に高くなった場合には、転写ローラを直ちに交換する必要があった。
【0004】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、転写手段の抵抗値が転写不良を生じやすい程度に高くなった場合にも、転写不良を防止して画像形成動作を行うことのできる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の画像形成装置は、感光体と、感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電手段により帯電された感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光手段により感光体の表面に形成された静電潜像に現像剤を供給して現像剤像(現像剤により形成される可視像)を形成する現像手段と、現像手段により形成された現像剤像を記録媒体に転写するための転写手段と、転写手段に転写電圧を印加することにより、現像剤像を記録媒体に転写するための転写電流を流す転写制御手段と、を備え、記録媒体上に画像を形成するための画像形成動作を行うものである。
【0006】
そして、本画像形成装置では、抵抗判定手段が、転写手段の抵抗値が所定の限界基準値を上回ったか否かを判定し、抵抗判定手段により転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定された場合には、動作モード変更手段が、画像形成動作の動作モードを、転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定される前の動作モードである第1の画像形成モードから、この第1の画像形成モードに比べ転写手段による転写不良が防止される第2の画像形成モードへ変更する。
【0007】
つまり、本画像形成装置では、転写手段の抵抗値がある程度高くなって転写手段による転写不良が生じやすい状態となった場合に、画像形成動作の動作モードを変更するのである。
【0008】
このため、本画像形成装置によれば、長期間の使用等によって転写手段の抵抗値が転写不良を生じやすい程度に高くなった場合にも、転写不良を防止して画像形成動作を行うことができる。すなわち、転写手段の抵抗値が高くなると、一定の転写電流を流すために必要な転写電圧の電圧値が高くなって転写手段と記録媒体との間で放電が生じやすくなったり、一定の転写電圧を印加することにより流れる転写電流の電流値が低くなって現像剤像の転写が不十分になったりすること等により、転写手段による転写不良が生じやすくなる。しかしながら、本画像形成装置では、転写手段の抵抗値が限界基準値を上回った場合には画像形成動作の動作モードを変更するようにしているため、転写手段による転写不良を防止して画像形成動作を行うことができるのである。
【0009】
ところで、請求項2に記載のように、転写制御手段が、少なくとも第1の画像形成モードでは、転写手段に一定の電流値の転写電流を流すように転写電圧を印加する定電流制御を行うように構成されている場合には、第2の画像形成モードは、第1の画像形成モードに比べ転写電流の電流値が低くなり、かつ、転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良が防止されるような条件に設定されているとよい。すなわち、定電流制御を行う構成では、転写手段の抵抗値が高くなるほど転写手段に印加する転写電圧の電圧値が高くなり、転写電圧の電圧値が高くなるほど放電による転写不良が生じやすくなるが、本画像形成装置では、画像形成動作の動作モードを変更することで転写電流の電流値が低くなるような条件に設定されるため、転写電圧の電圧値も低くなり放電による転写不良が防止される。一方、転写電流の電流値が低くなると、現像剤像の転写が不十分になることによる転写不良が生じやすくなるが、本画像形成装置では、画像形成動作の動作モードを変更することで転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良が防止されるような条件に設定されるため、こうした転写不良を防止することができる。
【0010】
ここで、抵抗判定手段は、例えば請求項3に記載のように、転写手段に一定の電流値の転写電流を流すために必要な転写電圧の電圧値が判定用電圧値を上回った場合に、転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定することができる。
【0011】
そして、この場合には、例えば請求項4に記載のように、転写制御手段は、第2の画像形成モードでは転写手段に上記判定用電圧値の転写電圧を印加する定電圧制御を行うように構成することができる。この構成によれば、転写電圧の電圧値が判定用電圧値を超えない範囲で画像形成動作を行うことができる。この結果、放電による転写不良を確実に防止することができる。特に、この構成では、転写電圧の電圧値を必要以上に低下させないようにしているため、転写不良を防止できる範囲で転写電流の電流値を高くすることができる。
【0012】
一方、請求項5に記載のように、転写制御手段が、少なくとも第1の画像形成モードでは、転写手段に一定の電圧値の転写電圧を印加する定電圧制御を行うように構成されている場合には、第2の画像形成モードは、転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良が防止されるような条件に設定されているとよい。すなわち、定電圧制御を行う構成では、転写手段の抵抗値が高くなるほど転写手段に流れる転写電流の電流値が低くなり、転写電流の電流値が低くなるほど現像剤像の転写が不十分になることによる転写不良が生じやすくなるが、本画像形成装置では、画像形成動作の動作モードを変更することで転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良が防止されるような条件に設定されるため、こうした転写不良を防止することができる。
【0013】
ここで、抵抗判定手段は、例えば請求項6に記載のように、転写手段に一定の電圧値の転写電圧を印加することにより流れる転写電流の電流値が判定用電流値を下回った場合に、転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定することができる。
【0014】
そして、この場合には、例えば請求項7に記載のように、転写制御手段は、第2の画像形成モードでは転写手段に上記一定の電圧値の転写電圧を印加することにより流れる電流値の転写電流を、転写手段に流すように転写電圧を印加する定電流制御を行うように構成することができる。この構成によれば、転写電圧の電圧値を高くすることなく画像形成動作を行うことができる。この結果、放電による転写不良を効果的に防止することができる。
【0015】
ところで、転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良(現像剤像の転写が不十分になることによる転写不良等)が防止されるような条件としては、例えば請求項8や請求項10のような条件が考えられる。
【0016】
すなわち、請求項8に記載の画像形成装置では、上記請求項2ないし7のいずれかの画像形成装置において、第2の画像形成モードは、第1の画像形成モードに比べ、画像形成動作における転写時間が長くなるような条件に設定されている。つまり、転写電流の電流値が低い分、転写時間を長くすることにより、転写不良を防止するのである。この構成によれば、形成される画像の品質を損なうことなく転写不良を防止することができる。
【0017】
ここで、転写時間を長くする手法としては、例えば請求項9に記載のように、第2の画像形成モードが、第1の画像形成モードに比べ、記録媒体の搬送速度が低くなるような条件に設定されている構成が挙げられる。この構成によれば、転写時間を容易に長くすることができる。
【0018】
また、請求項10に記載の画像形成装置では、上記請求項2ないし9のいずれかの画像形成装置において、第2の画像形成モードは、第1の画像形成モードに比べ、感光体の表面における露光手段により露光された部分の電位と現像手段に印加される現像電位との電位差の絶対値が小さくなるような条件に設定されている。つまり、感光体の表面における露光手段により露光された部分の電位と現像手段に印加される現像電位との電位差の絶対値が大きいほど、現像剤像を形成する現像剤の量が多くなることから、この電位差の絶対値を小さくすることで現像剤の量を少なくし、転写電流の電流値が低くても現像剤の転写が十分に行われるようにするのである。この構成によれば、画像形成動作の速度を落とすことなく転写不良を防止することができる。
【0019】
ここで、露光部分の電位と現像電位との電位差の絶対値を小さくする手法としては、例えば請求項11又は請求項12のような手法が考えられる。
すなわち、請求項11に記載の画像形成装置では、第2の画像形成モードは、第1の画像形成モードに比べ、現像手段に印加される現像電位の絶対値が低くなるような条件に設定されている。この構成によれば、感光体の表面における露光手段により露光された部分の電位と現像手段に印加される現像電位との電位差の絶対値を容易に小さくすることができる。
【0020】
また、請求項12に記載の画像形成装置では、第2の画像形成モードは、第1の画像形成モードに比べ、露光手段による露光度合いが低くなるような条件に設定されている。この構成によっても、感光体の表面における露光手段により露光された部分の電位と現像手段に印加される現像電位との電位差の絶対値を容易に小さくすることができる。
【0021】
一方、請求項13に記載の画像形成装置は、上記請求項1ないし12のいずれかの画像形成装置において、転写手段によって記録媒体上に転写された現像剤像を加熱してその記録媒体上に定着させる定着手段を備えており、本画像形成装置において、第2の画像形成モードは、定着手段による加熱温度の条件が、第1の画像形成モードとは異なる条件に設定されている。この構成によれば、第1の画像形成モードと第2の画像形成モードとの条件の違いに応じて、定着手段による加熱温度を適切な温度に変更することができる。この結果、定着手段による定着不良を効果的に防止することができる。
【0022】
ところで、請求項14に記載のように、転写手段が、イオン導電性の転写ローラである場合には、画像形成動作の動作モードを変更することによる効果が特に高い。イオン導電性の転写ローラは、抵抗値が均一でばらつきが小さいため転写を良好に行うことができる反面、使用に伴い抵抗値が上昇しやすいからである。
【0023】
一方、請求項15に記載の画像形成装置では、上記請求項1ないし14のいずれかに記載の画像形成装置において、交換判定手段が、抵抗判定手段による判定結果に基づき転写手段の交換が必要であるか否かを判定し、報知手段が、交換判定手段により転写手段の交換が必要であると判定された場合に、報知動作を行う。この構成によれば、転写手段の交換を使用者に促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、第1実施形態の画像形成装置としてのレーザプリンタの概略側断面図である。
同図に示すように、このレーザプリンタは、本体ケーシング10の中に、給紙トレイ20、給紙ローラ21、搬送ローラ対30、プロセスカートリッジ40、スキャナユニット70、転写ローラ80、定着器90、等を備えている。
【0025】
給紙トレイ20は、記録媒体としての用紙を複数枚重ねて収容するためのものであり、本体ケーシング10内の底部に着脱可能に装着されている。
給紙ローラ21は、給紙トレイ20の上方であって本レーザプリンタにおける前面側(図1でいう右側)に設けられている。そして、給紙ローラ21は、後述するモータ131(図3参照)によって回転駆動されることにより、給紙トレイ20に収容されている用紙を1枚ずつ取り出して搬送ローラ対30へ送る。
【0026】
搬送ローラ対30は、用紙の搬送経路において用紙を挟み込んで搬送するものであり、レジストローラ31とピンチローラ32とにより構成されている。レジストローラ31とピンチローラ32とは互いに圧接された状態で配置されており、レジストローラ31が後述するモータ131(図3参照)によって回転駆動されることにより、ピンチローラ32がレジストローラ31に従動して回転する。この搬送ローラ対30の駆動により、給紙ローラ21から搬送されてきた用紙は、その先端がそろえられた上で、転写位置(後述する感光ドラム51と転写ローラ80との接触部分)へ送られる。
【0027】
プロセスカートリッジ40は、本体ケーシング10に対して着脱可能に構成されている。すなわち、本体ケーシング10には、その前面側(図1でいう右側)に開閉可能なカバー11が設けられており、図2に示すように、このカバー11を開いた状態で、プロセスカートリッジ40の取り外し及び取り付けができるように構成されている。また、本実施形態のレーザプリンタに用いられるプロセスカートリッジ40は、感光体カートリッジ50と現像カートリッジ60とから構成されており、現像カートリッジ60は、感光体カートリッジ50に対して着脱できるように構成されている。
【0028】
感光体カートリッジ50は、感光ドラム51、スコロトロン型帯電器52、紙粉除去ブラシ53等を備えている。
感光ドラム51は、金属素管(例えばアルミニウム)からなるドラム本体の表面がポリカーボネートを主成分とする有機感光体からなる正帯電性の感光層によって被覆されたものであり、ドラム本体は接地されている。また、感光ドラム51は、感光体カートリッジ50の筐体により回転自在に支持されており、後述するモータ131(図3参照)によって、搬送ローラ対30から送られてくる用紙を定着器90側へ搬送する方向に(つまり、図1でいう時計回りに)回転駆動される。
【0029】
スコロトロン型帯電器52は、感光ドラム51の回転方向における後述する現像ローラ62の上流側で、感光ドラム51の表面に接触しないように所定の間隔を隔てて設けられている。このスコロトロン型帯電器52は、タングステン等の帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用の帯電器であり、感光ドラム51の表面を一様に正極性に帯電させる。
【0030】
紙粉除去ブラシ53は、感光ドラム51の回転方向における転写ローラ80の下流側かつスコロトロン型帯電器52の上流側で、感光ドラム51の表面に接触するように設けられている。この紙粉除去ブラシ53によって、感光ドラム51の表面に付着する紙粉が除去される。
【0031】
一方、現像カートリッジ60は、感光体カートリッジ50に対して着脱自在に装着される筐体61内に、現像ローラ62、供給ローラ63、層厚規制ブレード64、アジテータ65等を備えている。
【0032】
筐体61内には、現像剤としてのトナーが収容されている。本実施形態のレーザプリンタでは、トナーとして正帯電性の非磁性1成分の重合トナーが用いられている。このトナーは、懸濁重合等の公知の重合方法によって球状に形成したスチレン−アクリル系樹脂に、着色剤、荷電制御剤、ワックス等を配合することによりトナー母粒子を形成し、更に外添剤を添加したものである。
【0033】
現像ローラ62は、金属製のローラ軸に、導電性の弾性部材(例えばゴム)からなるローラが被覆されたものであり、筐体61に形成された開口から感光ドラム51と対向して接触する位置に設けられている。また、現像ローラ62は、筐体61により回転自在に支持されており、後述するモータ131(図3参照)によって、感光ドラム51と対向接触するニップ部分において感光ドラム51と同じ方向に移動するように(つまり、感光ドラム51と逆方向に回転するように)回転駆動される。また、現像ローラ62には、現像バイアスが印加される。
【0034】
供給ローラ63は、金属製のローラ軸に、導電性のスポンジ部材からなるローラが被覆されたものであり、筐体61内で現像ローラ62と互いに圧接された状態で配置されている。また、供給ローラ63は、筐体61により回転自在に支持されており、後述するモータ131(図3参照)によって、現像ローラ62と対向接触するニップ部分においてこの現像ローラ62と逆方向に移動するように(つまり、現像ローラ62と同じ方向に回転するように)回転駆動される。
【0035】
層厚規制ブレード64は、金属の板ばね部材からなるブレード本体の先端部に、絶縁性のシリコーンゴムからなる断面半円形状の押圧部を備えており、ブレード本体の一端部が筐体61に支持され、他端部の押圧部がブレード本体の弾性力によって現像ローラ62の表面に圧接されている。
【0036】
アジテータ65は、回転軸65aと、回転軸65aから径方向に延びる攪拌部材65bと、攪拌部材65bの遊端部に設けられる可撓性のフィルムからなる掻上部材65cとを備えている。回転軸65aは、後述するモータ131(図3参照)によって回転駆動される。これに伴い、回転軸65aと一体的に設けられている攪拌部材65bが周方向に回転し、掻上部材65cが筐体61内のトナーを均一に攪拌する。
【0037】
一方、スキャナユニット70は、レーザ発光部(図示せず)、ポリゴンミラー71、レンズ(図示せず)、反射鏡72,73,74等を備えており、レーザ発光部から発光される画像データに基づくレーザビームを感光ドラム51の表面に高速走査にて照射する。
【0038】
転写ローラ80は、金属製のローラ軸に、イオン導電性の弾性部材(例えばゴム)からなるローラが被覆されたイオン導電タイプの転写ローラであり、感光ドラム51の下方において、この感光ドラム51と互いに圧接された状態で配置されており、後述するモータ131(図3参照)によって、感光ドラム51と対向接触するニップ部分において感光ドラム51と同じ方向に移動するように(つまり、感光ドラム51と逆方向に回転するように)回転駆動される。また、転写ローラ80には転写電圧(転写バイアス)が印加される。
【0039】
定着器90は、加熱ローラ91、加圧ローラ92等を備えている。加熱ローラ91は、アルミニウム等の金属によって円筒状に形成されたものであり、後述するモータ131(図3参照)によって、加圧ローラ92との接触部において用紙と同じ方向に移動するように(つまり、図1でいう時計回りに)回転駆動される。また、加熱ローラ91は、内部にヒータ(例えばハロゲンランプ)を備えており、このヒータによって所定の加熱温度まで加熱されるようになっている。一方、加圧ローラ92は、金属製のローラ軸に、耐熱性の弾性部材(例えばゴム)からなるローラが被覆されたものであり、加熱ローラ91の下方において、この加熱ローラ91と互いに圧接された状態で配置されている。また、加圧ローラ92は、回転可能に支持されており、加熱ローラ91に従動して回転する。
【0040】
次に、本レーザプリンタが行う画像形成動作としての印刷動作について説明する。
印刷動作においては、感光ドラム51が回転駆動される。そして、この回転に伴い、感光ドラム51の表面が、スコロトロン型帯電器52によって一様に正極性に帯電され、さらに、スキャナユニット70からのレーザビームの高速走査によって露光されることにより、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0041】
一方、供給ローラ63の回転により現像ローラ62にトナーが供給され、その際、供給ローラ63と現像ローラ62との間で摩擦によってトナーが正極性に帯電する。さらに、現像ローラ62上のトナーは、現像ローラ62の回転に伴って、層厚規制ブレード64の押圧部と現像ローラ62との間に進入し、ここで更に摩擦帯電されて、一定厚さの薄層として現像ローラ62上に担持される。
【0042】
そして、現像ローラ62上のトナーは、感光ドラム51の表面に形成された静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光ドラム51の表面のうちレーザビームによって露光され電位が下がっている部分に供給され、選択的に担持されることによって可視像化される。こうして、感光ドラム51の表面にトナー像が形成される。
【0043】
一方、給紙トレイ20から搬送される用紙は、搬送ローラ対30によってその先端が揃えられた後、転写位置(感光ドラム51と転写ローラ80との接触部分)へ送られ、感光ドラム51の表面に接触する。その際、転写バイアスが印加された転写ローラ80によって、感光ドラム51上のトナー像が用紙に転写される。こうして用紙上に転写されたトナー像は、定着器90において、加熱ローラ91と加圧ローラ92との間を通過する際に加熱されて用紙に熱定着され、画像が用紙に印刷される。そして、画像が印刷された用紙は、本体ケーシング10の上部に設けられた排紙トレイ12に排紙される。
【0044】
次に、本レーザプリンタの電気的構成について説明する。
図3は、本レーザプリンタの電気的構成を表すブロック図である。また、図4は、本レーザプリンタの主要部の電気的構成を説明するための説明図である。
【0045】
図3に示すように、本レーザプリンタにおいては、各部の制御を行うCPU100に、入出力インターフェイス(I/O)110を介して、電圧計120、モータ駆動回路130、定着電源140、定電流電源150、高圧電源160、スキャナ制御回路170、表示装置180が接続されている。
【0046】
CPU100は、ROM101及びRAM102を備え、各部の制御を実行する。ROM101には、上述した印刷動作を実現するためのプログラム等が格納されている。RAM102には、各部を駆動制御するための一時的な数値が格納される。
【0047】
電圧計120は、転写ローラ80に印加される転写電圧を検出するためのものであり、一端側の配線が、転写ローラ80のローラ軸と定電流電源150とを接続する配線の途中に接続されており、他端側の配線が接地されている(図4参照)。
【0048】
モータ駆動回路130には、モータ131が接続されており、このモータ131には、図示しないギア列を介して、給紙ローラ21、レジストローラ31、感光ドラム51、現像ローラ62、供給ローラ63、アジテータ65、転写ローラ80、加熱ローラ91が接続されている。つまり、これらのローラ等が、共通のモータ131によって回転駆動されるようになっている。そして、モータ131は、モータ駆動回路130を介して、CPU100のROM101内に格納されているプログラムに従い、その駆動、停止、回転速度等が制御されている。このため、給紙ローラ21、レジストローラ31、感光ドラム51、現像ローラ62、供給ローラ63、アジテータ65、転写ローラ80、加熱ローラ91は、CPUにより実行されるプログラムに基づき制御される。
【0049】
定着電源140は、定着制御回路141を介して加熱ローラ91(具体的には、加熱ローラ91に内蔵されるヒータ)に接続されている(図4参照)。そして、CPU100のROM102内に格納されているプログラムに従い、定着制御回路141を介して加熱ローラ91の温度が制御される。
【0050】
定電流電源150は、転写ローラ80のローラ軸に接続されており(図4参照)、この転写ローラ80に一定の電流値の転写電流を流すように転写電圧を印加する定電流制御を行うように構成されている。そして、CPU100のROM102内に格納されるプログラムに従い、定電流電源150の転写電圧の印加のオン・オフ等が制御される。
【0051】
高圧電源160には、紙粉除去ブラシバイアス印加回路161を介して紙粉除去ブラシ53が、また、現像バイアス印加回路162を介して現像ローラ62のローラ軸が(図4参照)、また、帯電回路163を介してスコロトロン型帯電器52が、それぞれ接続されている。そして、CPU100のROM101内に格納されているプログラムに従い、紙粉除去ブラシバイアス印加回路161を介して紙粉除去ブラシバイアスの印加のオン・オフが制御され、現像バイアス印加回路162を介して現像バイアスの印加のオン・オフが制御され、帯電回路163を介して帯電のオン・オフが制御される。
【0052】
スキャナ制御回路170には、スキャナユニット70(具体的には、スキャナユニット70のレーザ発光部)が接続されている(図4参照)。そして、CPU100のROM101内に格納されているプログラムに従い、スキャナ制御回路170を介してスキャナユニット70から出射されるレーザビームのパワー等が制御される。
【0053】
表示装置180は、図1には示していないが、本体ケーシング10の上面に設けられており、液晶パネルへの文字表示等によってユーザに報知動作を行うように構成されている。
【0054】
ところで、本レーザプリンタは、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回った場合に、印刷動作の動作モードを、標準の印刷モードである第1印刷モード(第1の画像形成モードに相当)から、この第1印刷モードに比べ転写ローラ80による転写不良が防止される第2印刷モード(第2の画像形成モードに相当)へ変更することができるように構成されている。
【0055】
具体的には、第2印刷モードは、第1印刷モードに比べ、下記(a1)〜(a4)の点が異なっている。
(a1):転写電流の電流値が低く設定されている。すなわち、図5(a)に示すように、転写ローラ80の抵抗値が上昇すると(図5(a)でいう実線の曲線→点線の曲線)、ある電流値I1の転写電流を流すために必要な転写電圧の電圧値が上昇するが(V1→V1’)、転写電圧の電圧値が過剰に上昇すると転写ローラと用紙との間で放電が生じやすくなり、これによる転写不良が生じやすくなってしまう。そこで、転写電流の電流値を、第1印刷モードでの電流値I1より低い電流値I2とすることで、転写電圧の電圧値が低くなり(V1’→V2’)放電による転写不良が防止されるのである。
【0056】
(a2):用紙の搬送速度(本実施形態ではモータ131の回転速度)が遅く設定されている。すなわち、図5(b)に示すように、一定のトナー像を転写するために必要な転写電流の電流値は、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)が高いほど(転写時間が短いほど)高くなり、逆に、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)が低ければ(転写時間が長ければ)低くて済む。そこで、上記(a1)のように転写電流の電流値を低くする分(I1→I2)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)も低くして(C1→C2)転写時間が長くなるようにしているのである。これにより、転写電流の電流値が低くなることによってトナー像の転写が不十分となる転写不良(用紙に転写しきれずに感光ドラム51上に残ったトナーが1周して次の用紙に付着してしまう転写残ゴースト等)が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0057】
(a3):スキャナユニット70から照射するレーザビームのパワー(以下「レーザパワー」という。)が低く設定されている。すなわち、上記(a2)のようにモータ131の回転速度を遅く設定することにより、感光ドラム51へのレーザビームの照射時間が長くなることから、モータ131の回転速度を遅くする分、レーザパワーも低くして、感光ドラム51の表面における露光部分の電位が第1印刷モードと第2印刷モードとで変化しないようにするのである。
【0058】
(a4):加熱ローラ91による加熱温度が低く設定されている。すなわち、上記(a2)のようにモータ131の回転速度を遅く設定することにより、定着器90による用紙の加熱時間が長くなることから、モータ131の回転速度を遅くする分、加熱ローラ91による加熱温度も低くして、用紙に与える加熱量が第1印刷モードと第2印刷モードとで変化しないようにするのである。
【0059】
ここで、外部のパーソナルコンピュータ等から送信されてくる印刷指令を受信することにより本レーザプリンタのCPU100が実行する印刷処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0060】
この印刷処理が開始されると、まずS110で、用紙を搬送する前のイニシャル駆動としてモータ131を作動させる。なお、ここでのモータ131の回転速度は、後述するS140での設定条件であるモータ131の回転速度(第1印刷モードでのモータ131の回転速度)と同一である。
【0061】
続いて、S120では、電流値I1の転写電流を転写ローラ80に流し、その際の転写電圧の電圧値Vを検出する。
続いて、S130では、S120で検出した転写電圧の電圧値Vが、あらかじめ設定されている基準電圧値(判定用電圧値に相当)Vrを上回っているか否かを判定する。ここで、基準電圧値Vrは、放電の生じにくい範囲で高い値に設定されており、この基準電圧値Vrを上回ると放電による転写不良が生じやすくなるという判断基準となる。つまり、このS130では、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回ったか否かを判定するのである。
【0062】
そして、S130で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていない(転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vr以下である)と判定した場合には、S140へ移行し、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにする。具体的には、転写電流の電流値をI1、加熱ローラ91の加熱温度をT1、スキャナユニット70のレーザパワーをL1、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)をC1に設定する。つまり、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回っていないと判定した場合(転写ローラ80が良好な状態の場合)には、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにするようになっている。
【0063】
続いて、S150では、S140で設定した条件に基づき、用紙に画像を印刷する印刷動作を実行するための印刷動作実行処理を行う。その後、本印刷処理を終了する。
一方、S130で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていると判定した場合には、S160へ移行し、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにする。具体的には、転写電流の電流値をI2(<I1)、加熱ローラ91の加熱温度をT2(<T1)、スキャナユニット70のレーザパワーをL2(<L1)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)をC2(<C1)に設定する。つまり、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回っていると判定した場合(転写ローラ80が劣化している等の場合)には、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにするようになっている。
【0064】
続いて、S170では、S160で設定した条件に基づき、用紙に画像を印刷する印刷動作を実行するための印刷動作実行処理を行う。
続いて、S180では、変数Mの値をインクリメント(1を加算)する。ここで、変数Mは、転写ローラ80が新品の状態で0に設定される値であり、転写ローラ80の交換が行われるごとに0にリセットされる。つまり、変数Mは、現在使用している転写ローラ80について、その抵抗値が所定の限界基準値を上回ったと判定された回数をカウントするためのものである。
【0065】
続いて、S190では、変数Mの値が、あらかじめ設定されている基準値M0以上であるか否かを判定する。つまり、転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定されたか否かに基づき、転写ローラ80の交換が必要であるか否かを判定するのである。
【0066】
そして、S190で、変数Mの値がM0以上でない(M0未満である)と判定した場合(転写ローラ80の交換が必要でないと判定した場合)には、そのまま本印刷処理を終了する。
【0067】
一方、S190で、変数Mの値がM0以上であると判定した場合(転写ローラ80の交換が必要であると判定した場合)には、S200へ移行し、転写ローラ80の交換が必要である旨のメッセージを表示装置180に表示させた後、本印刷処理を終了する。
【0068】
なお、本実施形態のレーザプリンタでは、感光ドラム51が、本発明の感光体に相当し、スコロトロン型帯電器52が、本発明の帯電手段に相当し、現像ローラ62が、本発明の現像手段に相当し、スキャナユニット70が、本発明の露光手段に相当し、転写ローラ80が、本発明の転写手段に相当し、加熱ローラ91が、本発明の定着手段に相当し、定電流電源150が、本発明の転写制御手段に相当する。また、印刷処理(図6)におけるS130の処理が、本発明の抵抗判定手段に相当し、S160の処理が、本発明の動作モード変更手段に相当し、S190の処理が、本発明の交換判定手段に相当し、表示装置180と、S200の処理とが、本発明の報知手段に相当する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態のレーザプリンタでは、用紙への画像の印刷動作を開始する前に、第1印刷モードの条件で転写ローラ80に転写電流を流して、その際の転写電圧の電圧値Vを検出する(S110,S120)。そして、この検出した電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていない(転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っていない)と判定した場合には(S130:NO)、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにして印刷動作を行う(S140,S150)。つまり、転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っていなければ、標準的な印刷動作を行うのである。一方、検出した電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っている(転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っている)と判定した場合には(S130:YES)、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにして印刷動作を行う(S160,S170)。つまり、転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回った場合には、転写ローラ80の抵抗値が高くなることによって生じやすくなる転写不良が防止されるような条件で印刷動作を行うのである。このため、本レーザプリンタによれば、長期間の使用等によって転写ローラ80の抵抗値が転写不良を生じやすい程度に高くなった場合にも、転写不良を防止して印刷動作を行うことができる。したがって、本レーザプリンタによれば、従来の構成に比べ転写ローラ80の使用可能期間(印刷動作に用いることが可能な期間)を延ばすことができる。
【0070】
また、本レーザプリンタでは、第2印刷モードでは、転写電流を低くすることで放電による転写不良を防止するようにしている。さらに、転写不良が低くなることによって生じる転写不良(用紙へのトナー像の転写が不十分になることによる転写不良等)が防止されるように、モータ131の回転速度を遅くすることで、用紙の搬送速度を低くして転写時間を長くしている。このため、本レーザプリンタによれば、印刷される画像の品質を損なうことなく転写不良を防止することができる。また、加熱ローラ91による加熱温度も低くすることで、用紙の搬送速度を変更することによる定着不良の発生を防ぐことができる。
【0071】
特に、本レーザプリンタでは、イオン導電性の転写ローラ80が用いられていることから、印刷動作の動作モードを変更する構成による効果が高い。すなわち、イオン導電性の転写ローラ80は、抵抗値が均一でばらつきが小さいため転写を良好に行うことができる反面、使用に伴い抵抗値が上昇しやすい性質があるからである。
【0072】
加えて、本レーザプリンタでは、イニシャル駆動中に検出した転写電圧の検出値Vが基準電圧値Vrを上回っていると判定した回数がM0に達した場合に(S190:YES)、転写ローラ80の交換が必要である旨のメッセージを表示装置180に表示するようにしている(S200)。このため、本レーザプリンタによれば、転写ローラ80の交換を使用者に促すことができる。特に、転写電圧の検出値Vが基準電圧値Vrを上回っていると判定しても直ちにメッセージを表示しないようにしているため、気温や湿度等の環境変化によって転写電圧の検出値Vが基準電圧値Vrを一時的に上回っただけであるにもかかわらず、転写ローラ80の交換を促してしまうことを防ぐことができる。
【0073】
[第1実施形態の変形例1]
上記第1実施形態のレーザプリンタでは、第2印刷モードにおいて、転写電圧の電圧値が高くなることによる転写不良を防止するため、第1印刷モードでの転写電流の電流値I1に比べ低い電流値I2で定電流制御を行うようにしているが、これに限ったものではない。例えば、第2印刷モードでは定電圧制御を行うようにしてもよい。
【0074】
すなわち、本変形例1における第2印刷モードは、第1印刷モードに比べ、下記(b1)〜(b4)の点が異なっている。
(b1):転写ローラ80に基準電圧値Vrの転写電圧を印加する定電圧制御を行う。すなわち、図7(a)に示すように、転写ローラ80の抵抗値が上昇すると(図7(a)でいう実線の曲線→点線の曲線)、電流値I1の転写電流を流すために必要な転写電圧の電圧値が上昇するが(V1→V1’)、転写電圧の電圧値が過剰に上昇すると転写ローラと用紙との間で放電が生じやすくなり、これによる転写不良が生じやすくなってしまう。そこで、転写電圧の電圧値の上限を基準電圧値Vr(上記第1実施形態の基準電圧値Vr)とすることで、転写電圧の電圧値が基準電圧値Vrを上回ることが防止され、放電による転写不良が防止されるのである。
【0075】
(b2):用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)が遅く設定されている。すなわち、上記(b1)のように転写電圧の電圧値の上限を基準電圧値Vrとすることで、転写ローラ80の抵抗値が高くなると転写電流の電流値が低くなる(I1→I)。一方、図7(b)に示すように、一定のトナー像を転写する際の用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)は、転写電流の電流値が高いほど高くする(転写時間を短くする)ことができ、逆に、転写電流の電流値が低いほど低くする(転写時間を長くする)必要がある。そこで、転写電流の電流値が低くなる分(I1→I)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)も低くして(C1→C)転写時間が長くなるようにしているのである。これにより、転写電流の電流値が低くなることによってトナー像の転写が不十分となる転写不良が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0076】
(b3):上記第1実施形態と同様の理由から、スキャナユニット70によるレーザパワーが低く設定されている。
(b4):上記第1実施形態と同様の理由から、加熱ローラ91による加熱温度が低く設定されている。
【0077】
次に、本変形例1の印刷処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。なお、同図の印刷処理におけるS210〜S250,S270〜S300の処理については、上記第1実施形態の印刷処理(図6)におけるS110〜S150,S170〜S200の処理と同一の内容であるため、説明を省略する。
【0078】
S230で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていると判定した場合には、S253へ移行し、基準電圧値Vrの転写電圧を転写ローラ80に印加し、その際の転写電流の電流値Iを検出する。ここで検出される電流値Iは、第1印刷モードでの転写電流の電流値I1よりも低い値となる(図7(a)参照)。
【0079】
続いて、S256では、S253で検出した電流値Iに対応する用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)Cを算出する。ここで算出される搬送速度Cは、第1印刷モードでの搬送速度C1よりも低い値となる(図7(b)参照)。そして、算出した搬送速度Cに対応する加熱ローラ91の加熱温度T及びスキャナユニット70のレーザパワーLを算出する。
【0080】
続いて、S260では、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにする。具体的には、定電圧制御の転写電圧の電圧値をVr、加熱ローラ91の加熱温度を上記S256での算出値T(<T1)、スキャナユニット70のレーザパワーを上記S256での算出値L(<L1)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)を上記S256での算出値C(<C1)に設定する。
【0081】
なお、本変形例1では、印刷処理(図8)におけるS230の処理が、本発明の抵抗判定手段に相当し、S260の処理が、本発明の動作モード変更手段に相当し、S290の処理が、本発明の交換判定手段に相当し、表示装置180と、S300の処理とが、本発明の報知手段に相当する。
【0082】
このような変形例1の構成によれば、転写電圧の電圧値が基準電圧値Vrを超えない範囲で印刷動作を行うことができる。このため、放電による転写不良を確実に防止することができる。特に、この構成では、転写電圧の電圧値を必要以上に低下させないようにしているため、転写不良を防止できる範囲で転写電流の電流値を高くすることができる。
【0083】
[第1実施形態の変形例2]
上記第1実施形態のレーザプリンタでは、第2印刷モードにおいて、転写電流の電流値を低くすることによる転写不良を防止するため、第1印刷モードでの用紙の搬送速度C1に比べ低い搬送速度C2で用紙を搬送するようにしているが、これに限ったものではない。例えば、現像ローラ62に印加される現像電位(現像バイアスの電圧値)を低くするようにしてもよい。
【0084】
すなわち、本変形例2における第2印刷モードは、第1印刷モードに比べ、下記(c1)〜(c3)の点が異なっている。
(c1):上記第1実施形態と同様の理由から、転写電流の電流値が低く設定されている。
【0085】
(c2):現像電位が低く設定されている。すなわち、図9(a)に示すように、感光ドラム51の表面の電位は、スコロトロン型帯電器52によって露光された部分が初期電位(帯電電位)V0となっており、そのうちスキャナユニット70からのレーザビームによって露光された部分が露光部電位VLとなる。そして、トナーの付着量は、現像電位Vbと露光部電位VLとの電位差の絶対値の大きさに応じた量となる。つまり、例えば現像電位がVb1の場合、図9(a)の斜線部分の面積が、トナーの付着量に相当する。このため、現像電位Vbと露光部電位VLとの電位差の絶対値が小さいほど、一定のトナー像を形成するトナーの量が少なくなり、この結果、必要な転写電流の電流値も低くて済む(図9(b)参照)。そこで、上記(c1)のように転写電流の電流値が低くなる分(I1→I2)、現像電位Vbを低くすることで現像電位Vbと露光部電位VLとの電位差の絶対値を小さくして、トナー像を形成するトナーの量が少なくなるようにしているのである。これにより、転写電流の電流値が低くなることによってトナー像の転写が不十分となる転写不良が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0086】
(c3):加熱ローラ91による加熱温度が低く設定されている。すなわち、上記(c2)のようにトナー像を形成するトナーの量が少なくなる分、加熱ローラ91による加熱温度も低くして、トナーに与える加熱量が第1印刷モードと第2印刷モードとで変化しないようにするのである。
【0087】
次に、本変形例2の印刷処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。なお、同図の印刷処理におけるS310〜S330,S350,S370〜S400の処理については、上記第1実施形態の印刷処理(図6)におけるS110〜S130,S150,S170〜S200の処理と同一の内容であるため、説明を省略する。
【0088】
S330で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていない(転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vr以下である)と判定した場合には、S340へ移行し、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにする。具体的には、転写電流の電流値をI1、現像電位をVb1、加熱ローラ91の加熱温度をT1に設定する。
【0089】
一方、S330で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていると判定した場合には、S360へ移行し、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにする。具体的には、転写電流の電流値をI2(<I1)、現像電位をVb2(<Vb1)、加熱ローラ91の加熱温度をT2(<T1)に設定する。
【0090】
なお、本変形例2では、印刷処理(図10)におけるS330の処理が、本発明の抵抗判定手段に相当し、S360の処理が、本発明の動作モード変更手段に相当し、S390の処理が、本発明の交換判定手段に相当し、表示装置180と、S400の処理とが、本発明の報知手段に相当する。
【0091】
このような変形例2の構成によれば、印刷される画像の濃度を落とすことで、印刷動作の速度を落とすことなく転写不良を防止することができる。
[第1実施形態の変形例3]
上記第1実施形態のレーザプリンタでは、第2印刷モードにおいて、転写電流の電流値を低くすることによる転写不良を防止するため、第1印刷モードでの用紙の搬送速度C1に比べ低い搬送速度C2で用紙を搬送するようにしているが、これに限ったものではない。例えば、スキャナユニット70による露光度合いを低く(具体的には、レーザパワーを低く)するようにしてもよい。なお、露光度合いとは、単位面積当たりのレーザビームの照射時間や、レーザビームの光強度などで決定される度合いである。
【0092】
すなわち、本変形例3における第2印刷モードは、第1印刷モードに比べ、下記(d1)〜(d3)の点が異なっている。
(d1):上記第1実施形態と同様の理由から、転写電流の電流値が低く設定されている。
【0093】
(d2):レーザパワーが低く設定されている。すなわち、図11(a)に示すように、感光ドラム51の表面における露光部電位VLは、レーザパワーが高いほど低くなるため、レーザパワーを低くすることで露光部電位VLを高くすることができる。一方、トナーの付着量は、現像電位Vbと露光部電位VLとの電位差の絶対値の大きさに応じた量となる。つまり、図11(b)の斜線部分の面積が、トナーの付着量に相当する。このため、現像電位Vbと露光部電位VLとの電位差の絶対値が小さいほど、一定のトナー像を形成するトナーの量が少なくなり、この結果、必要な転写電流の電流値も低くて済む(図11(c)参照)。そこで、上記(d1)のように転写電流の電流値が低くなる分(I1→I2)、露光部電位VLを高くすることで現像電位Vbと露光部電位VLとの電位差の絶対値を小さくして、トナー像を形成するトナーの量が少なくなるようにしているのである。これにより、転写電流の電流値が低くなることによってトナー像の転写が不十分となる転写不良が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0094】
(d3):加熱ローラ91による加熱温度が低く設定されている。すなわち、上記(d2)のようにトナー像を形成するトナーの量が少なくなる分、加熱ローラ91による加熱温度も低くして、トナーに与える加熱量が第1印刷モードと第2印刷モードとで変化しないようにするのである。
【0095】
次に、本変形例3の印刷処理について、図12のフローチャートを用いて説明する。なお、同図の印刷処理におけるS410〜S430,S450,S470〜S500の処理については、上記第1実施形態の印刷処理(図6)におけるS110〜S130,S150,S170〜S200の処理と同一の内容であるため、説明を省略する。
【0096】
S430で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていない(転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vr以下である)と判定した場合には、S440へ移行し、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにする。具体的には、転写電流の電流値をI1、加熱ローラ91の加熱温度をT1、レーザパワーをL1に設定する。
【0097】
一方、S430で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていると判定した場合には、S460へ移行し、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにする。具体的には、転写電流の電流値をI2(<I1)、加熱ローラ91の加熱温度をT2(<T1)、レーザパワーをL2(<L1)に設定する。
【0098】
なお、本変形例3では、印刷処理(図12)におけるS430の処理が、本発明の抵抗判定手段に相当し、S460の処理が、本発明の動作モード変更手段に相当し、S490の処理が、本発明の交換判定手段に相当し、表示装置180と、S500の処理とが、本発明の報知手段に相当する。
【0099】
このような変形例3の構成によれば、印刷動作の速度を落とすことなく転写不良を防止することができる。
次に、第2実施形態のレーザプリンタについて説明する。
【0100】
第2実施形態のレーザプリンタは、基本的な構成は上記第1実施形態のレーザプリンタと同じであるため、同一の構成要素については同一の符号を用いて説明し、詳細な説明については省略する。
【0101】
図13は、本レーザプリンタの電気的構成を表すブロック図である。また、図14は、本レーザプリンタの主要部の電気的構成を説明するための説明図である。
図13に示すように、本第2実施形態のレーザプリンタにおいては、上記第1実施形態のレーザプリンタ(図3)と比較すると、電圧計120に代えて電流計220を備えている点と、定電流電源150に代えて定電圧電源250を備えている点とが異なる。
【0102】
電流計220は、転写ローラ80に流れる転写電流を検出するためのものであり、転写ローラ80のローラ軸と定電圧電源250とを接続する配線の途中に設けられている(図14参照)。
【0103】
定電圧電源250は、電流計220を介して転写ローラ80のローラ軸に接続されており(図14参照)、この転写ローラ80に一定の電圧値の転写電圧を印加する定電圧制御を行うように構成されている。そして、CPU100のROM102内に格納されるプログラムに従い、定電圧電源250の転写電圧の印加のオン・オフ等が制御される。
【0104】
ところで、本第2実施形態のレーザプリンタにおいても、上記第1実施形態のレーザプリンタと同様、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回った場合に、印刷動作の動作モードを、標準の印刷モードである第1印刷モードから、この第1印刷モードに比べ転写ローラ80による転写不良が防止される第2印刷モードへ変更することができるように構成されている。
【0105】
そして、本第2実施形態のレーザプリンタにおいては、第2印刷モードは、第1印刷モードに比べ、下記(e1)〜(e4)の点が異なっている。
(e1):用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)が遅く設定されている。すなわち、図15(a)に示すように、転写ローラ80の抵抗値が上昇すると(図15(a)でいう実線の曲線→点線の曲線)、ある電圧値V1の転写電圧を印加した際に流れる転写電流の電流値が低下し(I1→I1’)、転写電流の電流値が過剰に低下すると感光ドラム51の表面から用紙へのトナー像の転写が十分に行われなくなり、これによる転写不良が生じやすくなってしまう。ここで、図15(b)に示すように、一定のトナー像を転写する際の用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)は、転写電流の電流値が高いほど高くする(転写時間を短くする)ことができ、逆に、転写電流の電流値が低いほど低くする(転写時間を長くする)必要がある。そこで、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)を低くして(C1→C2)転写時間が長くなるようにすることで、転写電流の電流値が低くてもトナー像の転写が不十分となる転写不良を防止できるようにしている。
【0106】
(e2):上記第1実施形態と同様の理由から、スキャナユニット70によるレーザパワーが低く設定されている。
(e3):上記第1実施形態と同様の理由から、加熱ローラ91による加熱温度が低く設定されている。
【0107】
(e4):転写電圧の電圧値が低く設定されている。すなわち、上述のように定電圧制御の場合には転写ローラ80の抵抗値の上昇により転写電流の電流値が低下することから、放電を防止できる範囲で流し得る電流値であっても転写不良が生じないような条件に設定する(この例では、上記(e1)のように搬送速度を低くする)ようになっており、転写電圧の電圧値のばらつきを考慮して十分余裕を持つような条件とするために、結果的に転写電圧の電圧値が低く(V1→V2)設定されているのである。
【0108】
次に、本第2実施形態のレーザプリンタのCPU100が実行する印刷処理について、図16のフローチャートを用いて説明する。なお、同図の印刷処理におけるS510,S550,S570〜S600の処理については、上記第1実施形態の印刷処理(図6)におけるS110,S150,S170〜S200の処理と同一の内容であるため、説明を省略する。
【0109】
S520では、電圧値V1の転写電圧を転写ローラ80に印加し、その際の転写電流の電流値Iを検出する。
続いて、S530では、S520で検出した転写電流の電流値Iが、あらかじめ設定されている基準電流値(判定用電流値に相当)Irを下回っているか否かを判定する。ここで、基準電流値Irは、転写不良の生じにくい範囲で低い値に設定されており、この基準電流値Irを下回ると転写不足による転写不良が生じやすくなるという判断基準となる。つまり、このS530では、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回ったか否かを判定するのである。
【0110】
そして、S530で、検出した転写電流の電流値Iが基準電流値Irを下回っていない(転写電流の電流値Iが基準電流値Ir以上である)と判定した場合には、S540へ移行し、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにする。具体的には、転写電圧の電圧値をV1、加熱ローラ91の加熱温度をT1、スキャナユニット70のレーザパワーをL1、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)をC1に設定する。つまり、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回っていないと判定した場合(転写ローラ80が良好な状態の場合)には、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにするようになっている。
【0111】
一方、S530で、検出した転写電流の電流値Iが基準電流値Irを下回っていると判定した場合には、S555へ移行し、モータ131の回転速度をC2として電流値I2の転写電流を流し、その際の転写電圧V2を検出する。ここで、電流値I2は、あらかじめ決められた値であり、第1印刷モードの印刷動作において流れる転写電流の電流値よりも低い値に設定されている。このため、転写電圧V2は、第1印刷モードでの転写電圧V1よりも低い値となる(図15(a)参照)。
【0112】
続いて、S560では、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにする。具体的には、転写電圧の電圧値を上記S555で検出したV2(<V1)、加熱ローラ91の加熱温度をT2(<T1)、スキャナユニット70のレーザパワーをL2(<L1)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)をC2(<C1)に設定する。つまり、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回っていると判定した場合(転写ローラ80が劣化している等の場合)には、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにするようになっている。
【0113】
なお、本実施形態のレーザプリンタでは、印刷処理(図16)におけるS530の処理が、本発明の抵抗判定手段に相当し、S560の処理が、本発明の動作モード変更手段に相当し、S590の処理が、本発明の交換判定手段に相当し、表示装置180と、S600の処理とが、本発明の報知手段に相当する。
【0114】
以上説明したように、本実施形態のレーザプリンタでは、用紙への画像の印刷動作を開始する前に、第1印刷モードの条件で転写ローラ80に転写電圧を印加して、その際の転写電流の電流値Iを検出する(S510,S520)。そして、この検出した電流値Iが基準電流値Irを下回っていない(転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っていない)と判定した場合には(S530:NO)、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにして印刷動作を行う(S540,S550)。つまり、転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っていなければ、標準的な印刷動作を行うのである。一方、検出した電流値Iが基準電流値Irを下回っている(転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っている)と判定した場合には(S530:YES)、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにして印刷動作を行う(S560,S570)。つまり、転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回った場合には、転写ローラ80の抵抗値が高くなることによって生じやすくなる転写不良が防止されるような条件で印刷動作を行うのである。このため、本レーザプリンタによれば、上記第1実施形態のレーザプリンタについて述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0115】
[第2実施形態の変形例]
上記第2実施形態のレーザプリンタでは、第2印刷モードにおいて、第1印刷モードでの転写電圧の電圧値V1に比べ低い電圧値V2で定電圧制御を行うようにしているが、これに限ったものではない。例えば、第2印刷モードでは定電流制御を行うようにしてもよい。
【0116】
すなわち、本変形例における第2印刷モードは、第1印刷モードに比べ、下記(f1)〜(f4)の点が異なっている。
(f1):転写ローラ80に一定の電流値の転写電流を流すように転写電圧を印加する定電流制御を行う。
【0117】
(f2):用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)が遅く設定されている。すなわち、図17(a)に示すように、転写ローラ80の抵抗値が上昇すると(図17(a)でいう実線の曲線→点線の曲線)、ある電圧値V1の転写電圧を印加した際に流れる転写電流の電流値が低下するが(I1→I)、転写電流の電流値が過剰に低下すると感光ドラム51の表面から用紙へのトナー像の転写が十分に行われなくなり、これによる転写不良が生じやすくなってしまう。つまり、図17(b)に示すように、一定のトナー像を転写する際の用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)は、転写電流の電流値が低いほど低くする(転写時間を長くする)必要があるからである。そこで、転写電流の電流値が低くなる分(I1→I)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)も低くして(C1→C)転写時間が長くなるようにしているのである。これにより、転写電流の電流値が低くなることによってトナー像の転写が不十分となる転写不良が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0118】
(f3):上記第1実施形態と同様の理由から、スキャナユニット70によるレーザパワーが低く設定されている。
(f4):上記第1実施形態と同様の理由から、加熱ローラ91による加熱温度が低く設定されている。
【0119】
次に、本変形例の印刷処理について、図18のフローチャートを用いて説明する。なお、同図の印刷処理におけるS610〜S650,S670〜S700の処理については、上記第2実施形態の印刷処理(図16)におけるS510〜S550,S570〜S600の処理と同一の内容であるため、説明を省略する。
【0120】
S630で、検出した転写電流の電流値Iが基準電流値Irを下回っていると判定した場合には、S655へ移行し、S620で検出した電流値Iに対応する用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)Cを算出する。ここで算出される搬送速度Cは、第1印刷モードでの搬送速度C1よりも低い値となる(図17(b)参照)。そして、算出した搬送速度Cに対応する加熱ローラ91の加熱温度T及びスキャナユニット70のレーザパワーLを算出する。
【0121】
続いて、S660では、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにする。具体的には、定電流制御の転写電流をS620で検出した電流値I、加熱ローラ91の加熱温度を上記S655での算出値T(<T1)、スキャナユニット70のレーザパワーを上記S655での算出値L(<L1)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)を上記S655での算出値C(<C1)に設定する。
【0122】
なお、本変形例では、印刷処理(図18)におけるS630の処理が、本発明の抵抗判定手段に相当し、S660の処理が、本発明の動作モード変更手段に相当し、S690の処理が、本発明の交換判定手段に相当し、表示装置180と、S700の処理とが、本発明の報知手段に相当する。
【0123】
本変形例の構成では、転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っていると判定した場合には検出した電流値Iで定電流制御を行うようにしているため、抵抗値の上昇した転写ローラ80に対し放電を防止できる範囲で流し得る最大の電流値に基づいた条件とすることができる。したがって、第2印刷モードにすることによるレーザプリンタのパフォーマンス低下(本変形例では印刷動作の低下であるが、上記第1実施形態の変形例2,3のようにトナー像を薄くする構成を採用した場合には、画像濃度の低下となる。)を最小限に抑えることができる。
【0124】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
例えば、上記各実施形態のレーザプリンタでは、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回っていると判定した回数がM0に達した場合に、転写ローラ80の交換が必要である旨のメッセージを表示装置180に表示するようにしているが、これに限ったものではない。例えば、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回っていると最初に判定した際に、メッセージの表示を行うようにしてもよい。また、このような報知を全く行わないように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】第1実施形態のレーザプリンタの概略側断面図である。
【図2】カバーを開いた状態でのレーザプリンタの概略側断面図である。
【図3】第1実施形態のレーザプリンタの電気的構成を表すブロック図である。
【図4】第1実施形態のレーザプリンタの主要部の電気的構成を説明するための説明図である。
【図5】第1実施形態における第2印刷モードの内容を説明するための説明図である。
【図6】第1実施形態における印刷処理のフローチャートである。
【図7】第1実施形態の変形例1における第2印刷モードの内容を説明するための説明図である。
【図8】第1実施形態の変形例1における印刷処理のフローチャートである。
【図9】第1実施形態の変形例2における第2印刷モードの内容を説明するための説明図である。
【図10】第1実施形態の変形例2における印刷処理のフローチャートである。
【図11】第1実施形態の変形例3における第2印刷モードの内容を説明するための説明図である。
【図12】第1実施形態の変形例3における印刷処理のフローチャートである。
【図13】第1実施形態のレーザプリンタの電気的構成を表すブロック図である。
【図14】第1実施形態のレーザプリンタの主要部の電気的構成を説明するための説明図である。
【図15】第2実施形態における第2印刷モードの内容を説明するための説明図である。
【図16】第2実施形態における印刷処理のフローチャートである。
【図17】第2実施形態の変形例における第2印刷モードの内容を説明するための説明図である。
【図18】第2実施形態の変形例における印刷処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0126】
10…本体ケーシング、11…カバー、12…排紙トレイ、20…給紙トレイ、21…給紙ローラ、30…搬送ローラ対、31…レジストローラ、32…ピンチローラ、40…プロセスカートリッジ、50…感光体カートリッジ、51…感光ドラム、52…スコロトロン型帯電器、53…紙粉除去ブラシ、60…現像カートリッジ、61…筐体、62…現像ローラ、63…供給ローラ、64…層厚規制ブレード、65…アジテータ、70…スキャナユニット、80…転写ローラ、90…定着器、91…加熱ローラ、92…加圧ローラ、100…CPU、101…ROM、102…RAM、110…入出力インターフェイス、120…電圧計、130…モータ駆動回路、131…モータ、140…定着電源、141…定着制御回路、150…定電流電源、160…高圧電源、161…紙粉除去ブラシバイアス印加回路、162…現像バイアス印加回路、163…帯電回路、170…スキャナ制御回路、180…表示装置、220…電流計、250…定電圧電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上に画像を形成するための画像形成動作を行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、感光ドラムの表面に形成したトナー像を、転写電圧の印加された転写手段としての転写ローラを用いて用紙に転写する構成の画像形成装置が知られている。
こうした画像形成装置において、転写ローラへの転写電圧の印加方式としては、定電流制御や定電圧制御が用いられる。一方、転写ローラの抵抗値に応じて定電圧制御と定電流制御とを切り替えるようにした構成のものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−221810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、転写ローラの抵抗値が長期間の使用等によって高くなると、転写不良が生じやすくなる。すなわち、定電流制御を行う構成の場合には、転写ローラの抵抗値が高くなることにより、所定の電流値の転写電流を流すために必要な転写電圧の電圧値も高くなり、この結果、転写ローラと用紙との間で放電が発生することによる転写不良が生じやすくなってしまう。一方、定電圧制御を行う構成の場合には、転写ローラの抵抗値が高くなることにより、所定の電圧値の転写電圧を印加した際に流れる転写電流の電流値が低くなり、転写電流不足によって転写が不十分となることによる転写不良が生じやすくなってしまう。このため、転写ローラの抵抗値が転写不良を生じやすい程度に高くなった場合には、転写ローラを直ちに交換する必要があった。
【0004】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、転写手段の抵抗値が転写不良を生じやすい程度に高くなった場合にも、転写不良を防止して画像形成動作を行うことのできる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の画像形成装置は、感光体と、感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電手段により帯電された感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光手段により感光体の表面に形成された静電潜像に現像剤を供給して現像剤像(現像剤により形成される可視像)を形成する現像手段と、現像手段により形成された現像剤像を記録媒体に転写するための転写手段と、転写手段に転写電圧を印加することにより、現像剤像を記録媒体に転写するための転写電流を流す転写制御手段と、を備え、記録媒体上に画像を形成するための画像形成動作を行うものである。
【0006】
そして、本画像形成装置では、抵抗判定手段が、転写手段の抵抗値が所定の限界基準値を上回ったか否かを判定し、抵抗判定手段により転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定された場合には、動作モード変更手段が、画像形成動作の動作モードを、転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定される前の動作モードである第1の画像形成モードから、この第1の画像形成モードに比べ転写手段による転写不良が防止される第2の画像形成モードへ変更する。
【0007】
つまり、本画像形成装置では、転写手段の抵抗値がある程度高くなって転写手段による転写不良が生じやすい状態となった場合に、画像形成動作の動作モードを変更するのである。
【0008】
このため、本画像形成装置によれば、長期間の使用等によって転写手段の抵抗値が転写不良を生じやすい程度に高くなった場合にも、転写不良を防止して画像形成動作を行うことができる。すなわち、転写手段の抵抗値が高くなると、一定の転写電流を流すために必要な転写電圧の電圧値が高くなって転写手段と記録媒体との間で放電が生じやすくなったり、一定の転写電圧を印加することにより流れる転写電流の電流値が低くなって現像剤像の転写が不十分になったりすること等により、転写手段による転写不良が生じやすくなる。しかしながら、本画像形成装置では、転写手段の抵抗値が限界基準値を上回った場合には画像形成動作の動作モードを変更するようにしているため、転写手段による転写不良を防止して画像形成動作を行うことができるのである。
【0009】
ところで、請求項2に記載のように、転写制御手段が、少なくとも第1の画像形成モードでは、転写手段に一定の電流値の転写電流を流すように転写電圧を印加する定電流制御を行うように構成されている場合には、第2の画像形成モードは、第1の画像形成モードに比べ転写電流の電流値が低くなり、かつ、転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良が防止されるような条件に設定されているとよい。すなわち、定電流制御を行う構成では、転写手段の抵抗値が高くなるほど転写手段に印加する転写電圧の電圧値が高くなり、転写電圧の電圧値が高くなるほど放電による転写不良が生じやすくなるが、本画像形成装置では、画像形成動作の動作モードを変更することで転写電流の電流値が低くなるような条件に設定されるため、転写電圧の電圧値も低くなり放電による転写不良が防止される。一方、転写電流の電流値が低くなると、現像剤像の転写が不十分になることによる転写不良が生じやすくなるが、本画像形成装置では、画像形成動作の動作モードを変更することで転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良が防止されるような条件に設定されるため、こうした転写不良を防止することができる。
【0010】
ここで、抵抗判定手段は、例えば請求項3に記載のように、転写手段に一定の電流値の転写電流を流すために必要な転写電圧の電圧値が判定用電圧値を上回った場合に、転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定することができる。
【0011】
そして、この場合には、例えば請求項4に記載のように、転写制御手段は、第2の画像形成モードでは転写手段に上記判定用電圧値の転写電圧を印加する定電圧制御を行うように構成することができる。この構成によれば、転写電圧の電圧値が判定用電圧値を超えない範囲で画像形成動作を行うことができる。この結果、放電による転写不良を確実に防止することができる。特に、この構成では、転写電圧の電圧値を必要以上に低下させないようにしているため、転写不良を防止できる範囲で転写電流の電流値を高くすることができる。
【0012】
一方、請求項5に記載のように、転写制御手段が、少なくとも第1の画像形成モードでは、転写手段に一定の電圧値の転写電圧を印加する定電圧制御を行うように構成されている場合には、第2の画像形成モードは、転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良が防止されるような条件に設定されているとよい。すなわち、定電圧制御を行う構成では、転写手段の抵抗値が高くなるほど転写手段に流れる転写電流の電流値が低くなり、転写電流の電流値が低くなるほど現像剤像の転写が不十分になることによる転写不良が生じやすくなるが、本画像形成装置では、画像形成動作の動作モードを変更することで転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良が防止されるような条件に設定されるため、こうした転写不良を防止することができる。
【0013】
ここで、抵抗判定手段は、例えば請求項6に記載のように、転写手段に一定の電圧値の転写電圧を印加することにより流れる転写電流の電流値が判定用電流値を下回った場合に、転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定することができる。
【0014】
そして、この場合には、例えば請求項7に記載のように、転写制御手段は、第2の画像形成モードでは転写手段に上記一定の電圧値の転写電圧を印加することにより流れる電流値の転写電流を、転写手段に流すように転写電圧を印加する定電流制御を行うように構成することができる。この構成によれば、転写電圧の電圧値を高くすることなく画像形成動作を行うことができる。この結果、放電による転写不良を効果的に防止することができる。
【0015】
ところで、転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良(現像剤像の転写が不十分になることによる転写不良等)が防止されるような条件としては、例えば請求項8や請求項10のような条件が考えられる。
【0016】
すなわち、請求項8に記載の画像形成装置では、上記請求項2ないし7のいずれかの画像形成装置において、第2の画像形成モードは、第1の画像形成モードに比べ、画像形成動作における転写時間が長くなるような条件に設定されている。つまり、転写電流の電流値が低い分、転写時間を長くすることにより、転写不良を防止するのである。この構成によれば、形成される画像の品質を損なうことなく転写不良を防止することができる。
【0017】
ここで、転写時間を長くする手法としては、例えば請求項9に記載のように、第2の画像形成モードが、第1の画像形成モードに比べ、記録媒体の搬送速度が低くなるような条件に設定されている構成が挙げられる。この構成によれば、転写時間を容易に長くすることができる。
【0018】
また、請求項10に記載の画像形成装置では、上記請求項2ないし9のいずれかの画像形成装置において、第2の画像形成モードは、第1の画像形成モードに比べ、感光体の表面における露光手段により露光された部分の電位と現像手段に印加される現像電位との電位差の絶対値が小さくなるような条件に設定されている。つまり、感光体の表面における露光手段により露光された部分の電位と現像手段に印加される現像電位との電位差の絶対値が大きいほど、現像剤像を形成する現像剤の量が多くなることから、この電位差の絶対値を小さくすることで現像剤の量を少なくし、転写電流の電流値が低くても現像剤の転写が十分に行われるようにするのである。この構成によれば、画像形成動作の速度を落とすことなく転写不良を防止することができる。
【0019】
ここで、露光部分の電位と現像電位との電位差の絶対値を小さくする手法としては、例えば請求項11又は請求項12のような手法が考えられる。
すなわち、請求項11に記載の画像形成装置では、第2の画像形成モードは、第1の画像形成モードに比べ、現像手段に印加される現像電位の絶対値が低くなるような条件に設定されている。この構成によれば、感光体の表面における露光手段により露光された部分の電位と現像手段に印加される現像電位との電位差の絶対値を容易に小さくすることができる。
【0020】
また、請求項12に記載の画像形成装置では、第2の画像形成モードは、第1の画像形成モードに比べ、露光手段による露光度合いが低くなるような条件に設定されている。この構成によっても、感光体の表面における露光手段により露光された部分の電位と現像手段に印加される現像電位との電位差の絶対値を容易に小さくすることができる。
【0021】
一方、請求項13に記載の画像形成装置は、上記請求項1ないし12のいずれかの画像形成装置において、転写手段によって記録媒体上に転写された現像剤像を加熱してその記録媒体上に定着させる定着手段を備えており、本画像形成装置において、第2の画像形成モードは、定着手段による加熱温度の条件が、第1の画像形成モードとは異なる条件に設定されている。この構成によれば、第1の画像形成モードと第2の画像形成モードとの条件の違いに応じて、定着手段による加熱温度を適切な温度に変更することができる。この結果、定着手段による定着不良を効果的に防止することができる。
【0022】
ところで、請求項14に記載のように、転写手段が、イオン導電性の転写ローラである場合には、画像形成動作の動作モードを変更することによる効果が特に高い。イオン導電性の転写ローラは、抵抗値が均一でばらつきが小さいため転写を良好に行うことができる反面、使用に伴い抵抗値が上昇しやすいからである。
【0023】
一方、請求項15に記載の画像形成装置では、上記請求項1ないし14のいずれかに記載の画像形成装置において、交換判定手段が、抵抗判定手段による判定結果に基づき転写手段の交換が必要であるか否かを判定し、報知手段が、交換判定手段により転写手段の交換が必要であると判定された場合に、報知動作を行う。この構成によれば、転写手段の交換を使用者に促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、第1実施形態の画像形成装置としてのレーザプリンタの概略側断面図である。
同図に示すように、このレーザプリンタは、本体ケーシング10の中に、給紙トレイ20、給紙ローラ21、搬送ローラ対30、プロセスカートリッジ40、スキャナユニット70、転写ローラ80、定着器90、等を備えている。
【0025】
給紙トレイ20は、記録媒体としての用紙を複数枚重ねて収容するためのものであり、本体ケーシング10内の底部に着脱可能に装着されている。
給紙ローラ21は、給紙トレイ20の上方であって本レーザプリンタにおける前面側(図1でいう右側)に設けられている。そして、給紙ローラ21は、後述するモータ131(図3参照)によって回転駆動されることにより、給紙トレイ20に収容されている用紙を1枚ずつ取り出して搬送ローラ対30へ送る。
【0026】
搬送ローラ対30は、用紙の搬送経路において用紙を挟み込んで搬送するものであり、レジストローラ31とピンチローラ32とにより構成されている。レジストローラ31とピンチローラ32とは互いに圧接された状態で配置されており、レジストローラ31が後述するモータ131(図3参照)によって回転駆動されることにより、ピンチローラ32がレジストローラ31に従動して回転する。この搬送ローラ対30の駆動により、給紙ローラ21から搬送されてきた用紙は、その先端がそろえられた上で、転写位置(後述する感光ドラム51と転写ローラ80との接触部分)へ送られる。
【0027】
プロセスカートリッジ40は、本体ケーシング10に対して着脱可能に構成されている。すなわち、本体ケーシング10には、その前面側(図1でいう右側)に開閉可能なカバー11が設けられており、図2に示すように、このカバー11を開いた状態で、プロセスカートリッジ40の取り外し及び取り付けができるように構成されている。また、本実施形態のレーザプリンタに用いられるプロセスカートリッジ40は、感光体カートリッジ50と現像カートリッジ60とから構成されており、現像カートリッジ60は、感光体カートリッジ50に対して着脱できるように構成されている。
【0028】
感光体カートリッジ50は、感光ドラム51、スコロトロン型帯電器52、紙粉除去ブラシ53等を備えている。
感光ドラム51は、金属素管(例えばアルミニウム)からなるドラム本体の表面がポリカーボネートを主成分とする有機感光体からなる正帯電性の感光層によって被覆されたものであり、ドラム本体は接地されている。また、感光ドラム51は、感光体カートリッジ50の筐体により回転自在に支持されており、後述するモータ131(図3参照)によって、搬送ローラ対30から送られてくる用紙を定着器90側へ搬送する方向に(つまり、図1でいう時計回りに)回転駆動される。
【0029】
スコロトロン型帯電器52は、感光ドラム51の回転方向における後述する現像ローラ62の上流側で、感光ドラム51の表面に接触しないように所定の間隔を隔てて設けられている。このスコロトロン型帯電器52は、タングステン等の帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用の帯電器であり、感光ドラム51の表面を一様に正極性に帯電させる。
【0030】
紙粉除去ブラシ53は、感光ドラム51の回転方向における転写ローラ80の下流側かつスコロトロン型帯電器52の上流側で、感光ドラム51の表面に接触するように設けられている。この紙粉除去ブラシ53によって、感光ドラム51の表面に付着する紙粉が除去される。
【0031】
一方、現像カートリッジ60は、感光体カートリッジ50に対して着脱自在に装着される筐体61内に、現像ローラ62、供給ローラ63、層厚規制ブレード64、アジテータ65等を備えている。
【0032】
筐体61内には、現像剤としてのトナーが収容されている。本実施形態のレーザプリンタでは、トナーとして正帯電性の非磁性1成分の重合トナーが用いられている。このトナーは、懸濁重合等の公知の重合方法によって球状に形成したスチレン−アクリル系樹脂に、着色剤、荷電制御剤、ワックス等を配合することによりトナー母粒子を形成し、更に外添剤を添加したものである。
【0033】
現像ローラ62は、金属製のローラ軸に、導電性の弾性部材(例えばゴム)からなるローラが被覆されたものであり、筐体61に形成された開口から感光ドラム51と対向して接触する位置に設けられている。また、現像ローラ62は、筐体61により回転自在に支持されており、後述するモータ131(図3参照)によって、感光ドラム51と対向接触するニップ部分において感光ドラム51と同じ方向に移動するように(つまり、感光ドラム51と逆方向に回転するように)回転駆動される。また、現像ローラ62には、現像バイアスが印加される。
【0034】
供給ローラ63は、金属製のローラ軸に、導電性のスポンジ部材からなるローラが被覆されたものであり、筐体61内で現像ローラ62と互いに圧接された状態で配置されている。また、供給ローラ63は、筐体61により回転自在に支持されており、後述するモータ131(図3参照)によって、現像ローラ62と対向接触するニップ部分においてこの現像ローラ62と逆方向に移動するように(つまり、現像ローラ62と同じ方向に回転するように)回転駆動される。
【0035】
層厚規制ブレード64は、金属の板ばね部材からなるブレード本体の先端部に、絶縁性のシリコーンゴムからなる断面半円形状の押圧部を備えており、ブレード本体の一端部が筐体61に支持され、他端部の押圧部がブレード本体の弾性力によって現像ローラ62の表面に圧接されている。
【0036】
アジテータ65は、回転軸65aと、回転軸65aから径方向に延びる攪拌部材65bと、攪拌部材65bの遊端部に設けられる可撓性のフィルムからなる掻上部材65cとを備えている。回転軸65aは、後述するモータ131(図3参照)によって回転駆動される。これに伴い、回転軸65aと一体的に設けられている攪拌部材65bが周方向に回転し、掻上部材65cが筐体61内のトナーを均一に攪拌する。
【0037】
一方、スキャナユニット70は、レーザ発光部(図示せず)、ポリゴンミラー71、レンズ(図示せず)、反射鏡72,73,74等を備えており、レーザ発光部から発光される画像データに基づくレーザビームを感光ドラム51の表面に高速走査にて照射する。
【0038】
転写ローラ80は、金属製のローラ軸に、イオン導電性の弾性部材(例えばゴム)からなるローラが被覆されたイオン導電タイプの転写ローラであり、感光ドラム51の下方において、この感光ドラム51と互いに圧接された状態で配置されており、後述するモータ131(図3参照)によって、感光ドラム51と対向接触するニップ部分において感光ドラム51と同じ方向に移動するように(つまり、感光ドラム51と逆方向に回転するように)回転駆動される。また、転写ローラ80には転写電圧(転写バイアス)が印加される。
【0039】
定着器90は、加熱ローラ91、加圧ローラ92等を備えている。加熱ローラ91は、アルミニウム等の金属によって円筒状に形成されたものであり、後述するモータ131(図3参照)によって、加圧ローラ92との接触部において用紙と同じ方向に移動するように(つまり、図1でいう時計回りに)回転駆動される。また、加熱ローラ91は、内部にヒータ(例えばハロゲンランプ)を備えており、このヒータによって所定の加熱温度まで加熱されるようになっている。一方、加圧ローラ92は、金属製のローラ軸に、耐熱性の弾性部材(例えばゴム)からなるローラが被覆されたものであり、加熱ローラ91の下方において、この加熱ローラ91と互いに圧接された状態で配置されている。また、加圧ローラ92は、回転可能に支持されており、加熱ローラ91に従動して回転する。
【0040】
次に、本レーザプリンタが行う画像形成動作としての印刷動作について説明する。
印刷動作においては、感光ドラム51が回転駆動される。そして、この回転に伴い、感光ドラム51の表面が、スコロトロン型帯電器52によって一様に正極性に帯電され、さらに、スキャナユニット70からのレーザビームの高速走査によって露光されることにより、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0041】
一方、供給ローラ63の回転により現像ローラ62にトナーが供給され、その際、供給ローラ63と現像ローラ62との間で摩擦によってトナーが正極性に帯電する。さらに、現像ローラ62上のトナーは、現像ローラ62の回転に伴って、層厚規制ブレード64の押圧部と現像ローラ62との間に進入し、ここで更に摩擦帯電されて、一定厚さの薄層として現像ローラ62上に担持される。
【0042】
そして、現像ローラ62上のトナーは、感光ドラム51の表面に形成された静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光ドラム51の表面のうちレーザビームによって露光され電位が下がっている部分に供給され、選択的に担持されることによって可視像化される。こうして、感光ドラム51の表面にトナー像が形成される。
【0043】
一方、給紙トレイ20から搬送される用紙は、搬送ローラ対30によってその先端が揃えられた後、転写位置(感光ドラム51と転写ローラ80との接触部分)へ送られ、感光ドラム51の表面に接触する。その際、転写バイアスが印加された転写ローラ80によって、感光ドラム51上のトナー像が用紙に転写される。こうして用紙上に転写されたトナー像は、定着器90において、加熱ローラ91と加圧ローラ92との間を通過する際に加熱されて用紙に熱定着され、画像が用紙に印刷される。そして、画像が印刷された用紙は、本体ケーシング10の上部に設けられた排紙トレイ12に排紙される。
【0044】
次に、本レーザプリンタの電気的構成について説明する。
図3は、本レーザプリンタの電気的構成を表すブロック図である。また、図4は、本レーザプリンタの主要部の電気的構成を説明するための説明図である。
【0045】
図3に示すように、本レーザプリンタにおいては、各部の制御を行うCPU100に、入出力インターフェイス(I/O)110を介して、電圧計120、モータ駆動回路130、定着電源140、定電流電源150、高圧電源160、スキャナ制御回路170、表示装置180が接続されている。
【0046】
CPU100は、ROM101及びRAM102を備え、各部の制御を実行する。ROM101には、上述した印刷動作を実現するためのプログラム等が格納されている。RAM102には、各部を駆動制御するための一時的な数値が格納される。
【0047】
電圧計120は、転写ローラ80に印加される転写電圧を検出するためのものであり、一端側の配線が、転写ローラ80のローラ軸と定電流電源150とを接続する配線の途中に接続されており、他端側の配線が接地されている(図4参照)。
【0048】
モータ駆動回路130には、モータ131が接続されており、このモータ131には、図示しないギア列を介して、給紙ローラ21、レジストローラ31、感光ドラム51、現像ローラ62、供給ローラ63、アジテータ65、転写ローラ80、加熱ローラ91が接続されている。つまり、これらのローラ等が、共通のモータ131によって回転駆動されるようになっている。そして、モータ131は、モータ駆動回路130を介して、CPU100のROM101内に格納されているプログラムに従い、その駆動、停止、回転速度等が制御されている。このため、給紙ローラ21、レジストローラ31、感光ドラム51、現像ローラ62、供給ローラ63、アジテータ65、転写ローラ80、加熱ローラ91は、CPUにより実行されるプログラムに基づき制御される。
【0049】
定着電源140は、定着制御回路141を介して加熱ローラ91(具体的には、加熱ローラ91に内蔵されるヒータ)に接続されている(図4参照)。そして、CPU100のROM102内に格納されているプログラムに従い、定着制御回路141を介して加熱ローラ91の温度が制御される。
【0050】
定電流電源150は、転写ローラ80のローラ軸に接続されており(図4参照)、この転写ローラ80に一定の電流値の転写電流を流すように転写電圧を印加する定電流制御を行うように構成されている。そして、CPU100のROM102内に格納されるプログラムに従い、定電流電源150の転写電圧の印加のオン・オフ等が制御される。
【0051】
高圧電源160には、紙粉除去ブラシバイアス印加回路161を介して紙粉除去ブラシ53が、また、現像バイアス印加回路162を介して現像ローラ62のローラ軸が(図4参照)、また、帯電回路163を介してスコロトロン型帯電器52が、それぞれ接続されている。そして、CPU100のROM101内に格納されているプログラムに従い、紙粉除去ブラシバイアス印加回路161を介して紙粉除去ブラシバイアスの印加のオン・オフが制御され、現像バイアス印加回路162を介して現像バイアスの印加のオン・オフが制御され、帯電回路163を介して帯電のオン・オフが制御される。
【0052】
スキャナ制御回路170には、スキャナユニット70(具体的には、スキャナユニット70のレーザ発光部)が接続されている(図4参照)。そして、CPU100のROM101内に格納されているプログラムに従い、スキャナ制御回路170を介してスキャナユニット70から出射されるレーザビームのパワー等が制御される。
【0053】
表示装置180は、図1には示していないが、本体ケーシング10の上面に設けられており、液晶パネルへの文字表示等によってユーザに報知動作を行うように構成されている。
【0054】
ところで、本レーザプリンタは、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回った場合に、印刷動作の動作モードを、標準の印刷モードである第1印刷モード(第1の画像形成モードに相当)から、この第1印刷モードに比べ転写ローラ80による転写不良が防止される第2印刷モード(第2の画像形成モードに相当)へ変更することができるように構成されている。
【0055】
具体的には、第2印刷モードは、第1印刷モードに比べ、下記(a1)〜(a4)の点が異なっている。
(a1):転写電流の電流値が低く設定されている。すなわち、図5(a)に示すように、転写ローラ80の抵抗値が上昇すると(図5(a)でいう実線の曲線→点線の曲線)、ある電流値I1の転写電流を流すために必要な転写電圧の電圧値が上昇するが(V1→V1’)、転写電圧の電圧値が過剰に上昇すると転写ローラと用紙との間で放電が生じやすくなり、これによる転写不良が生じやすくなってしまう。そこで、転写電流の電流値を、第1印刷モードでの電流値I1より低い電流値I2とすることで、転写電圧の電圧値が低くなり(V1’→V2’)放電による転写不良が防止されるのである。
【0056】
(a2):用紙の搬送速度(本実施形態ではモータ131の回転速度)が遅く設定されている。すなわち、図5(b)に示すように、一定のトナー像を転写するために必要な転写電流の電流値は、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)が高いほど(転写時間が短いほど)高くなり、逆に、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)が低ければ(転写時間が長ければ)低くて済む。そこで、上記(a1)のように転写電流の電流値を低くする分(I1→I2)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)も低くして(C1→C2)転写時間が長くなるようにしているのである。これにより、転写電流の電流値が低くなることによってトナー像の転写が不十分となる転写不良(用紙に転写しきれずに感光ドラム51上に残ったトナーが1周して次の用紙に付着してしまう転写残ゴースト等)が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0057】
(a3):スキャナユニット70から照射するレーザビームのパワー(以下「レーザパワー」という。)が低く設定されている。すなわち、上記(a2)のようにモータ131の回転速度を遅く設定することにより、感光ドラム51へのレーザビームの照射時間が長くなることから、モータ131の回転速度を遅くする分、レーザパワーも低くして、感光ドラム51の表面における露光部分の電位が第1印刷モードと第2印刷モードとで変化しないようにするのである。
【0058】
(a4):加熱ローラ91による加熱温度が低く設定されている。すなわち、上記(a2)のようにモータ131の回転速度を遅く設定することにより、定着器90による用紙の加熱時間が長くなることから、モータ131の回転速度を遅くする分、加熱ローラ91による加熱温度も低くして、用紙に与える加熱量が第1印刷モードと第2印刷モードとで変化しないようにするのである。
【0059】
ここで、外部のパーソナルコンピュータ等から送信されてくる印刷指令を受信することにより本レーザプリンタのCPU100が実行する印刷処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0060】
この印刷処理が開始されると、まずS110で、用紙を搬送する前のイニシャル駆動としてモータ131を作動させる。なお、ここでのモータ131の回転速度は、後述するS140での設定条件であるモータ131の回転速度(第1印刷モードでのモータ131の回転速度)と同一である。
【0061】
続いて、S120では、電流値I1の転写電流を転写ローラ80に流し、その際の転写電圧の電圧値Vを検出する。
続いて、S130では、S120で検出した転写電圧の電圧値Vが、あらかじめ設定されている基準電圧値(判定用電圧値に相当)Vrを上回っているか否かを判定する。ここで、基準電圧値Vrは、放電の生じにくい範囲で高い値に設定されており、この基準電圧値Vrを上回ると放電による転写不良が生じやすくなるという判断基準となる。つまり、このS130では、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回ったか否かを判定するのである。
【0062】
そして、S130で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていない(転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vr以下である)と判定した場合には、S140へ移行し、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにする。具体的には、転写電流の電流値をI1、加熱ローラ91の加熱温度をT1、スキャナユニット70のレーザパワーをL1、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)をC1に設定する。つまり、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回っていないと判定した場合(転写ローラ80が良好な状態の場合)には、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにするようになっている。
【0063】
続いて、S150では、S140で設定した条件に基づき、用紙に画像を印刷する印刷動作を実行するための印刷動作実行処理を行う。その後、本印刷処理を終了する。
一方、S130で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていると判定した場合には、S160へ移行し、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにする。具体的には、転写電流の電流値をI2(<I1)、加熱ローラ91の加熱温度をT2(<T1)、スキャナユニット70のレーザパワーをL2(<L1)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)をC2(<C1)に設定する。つまり、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回っていると判定した場合(転写ローラ80が劣化している等の場合)には、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにするようになっている。
【0064】
続いて、S170では、S160で設定した条件に基づき、用紙に画像を印刷する印刷動作を実行するための印刷動作実行処理を行う。
続いて、S180では、変数Mの値をインクリメント(1を加算)する。ここで、変数Mは、転写ローラ80が新品の状態で0に設定される値であり、転写ローラ80の交換が行われるごとに0にリセットされる。つまり、変数Mは、現在使用している転写ローラ80について、その抵抗値が所定の限界基準値を上回ったと判定された回数をカウントするためのものである。
【0065】
続いて、S190では、変数Mの値が、あらかじめ設定されている基準値M0以上であるか否かを判定する。つまり、転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定されたか否かに基づき、転写ローラ80の交換が必要であるか否かを判定するのである。
【0066】
そして、S190で、変数Mの値がM0以上でない(M0未満である)と判定した場合(転写ローラ80の交換が必要でないと判定した場合)には、そのまま本印刷処理を終了する。
【0067】
一方、S190で、変数Mの値がM0以上であると判定した場合(転写ローラ80の交換が必要であると判定した場合)には、S200へ移行し、転写ローラ80の交換が必要である旨のメッセージを表示装置180に表示させた後、本印刷処理を終了する。
【0068】
なお、本実施形態のレーザプリンタでは、感光ドラム51が、本発明の感光体に相当し、スコロトロン型帯電器52が、本発明の帯電手段に相当し、現像ローラ62が、本発明の現像手段に相当し、スキャナユニット70が、本発明の露光手段に相当し、転写ローラ80が、本発明の転写手段に相当し、加熱ローラ91が、本発明の定着手段に相当し、定電流電源150が、本発明の転写制御手段に相当する。また、印刷処理(図6)におけるS130の処理が、本発明の抵抗判定手段に相当し、S160の処理が、本発明の動作モード変更手段に相当し、S190の処理が、本発明の交換判定手段に相当し、表示装置180と、S200の処理とが、本発明の報知手段に相当する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態のレーザプリンタでは、用紙への画像の印刷動作を開始する前に、第1印刷モードの条件で転写ローラ80に転写電流を流して、その際の転写電圧の電圧値Vを検出する(S110,S120)。そして、この検出した電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていない(転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っていない)と判定した場合には(S130:NO)、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにして印刷動作を行う(S140,S150)。つまり、転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っていなければ、標準的な印刷動作を行うのである。一方、検出した電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っている(転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っている)と判定した場合には(S130:YES)、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにして印刷動作を行う(S160,S170)。つまり、転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回った場合には、転写ローラ80の抵抗値が高くなることによって生じやすくなる転写不良が防止されるような条件で印刷動作を行うのである。このため、本レーザプリンタによれば、長期間の使用等によって転写ローラ80の抵抗値が転写不良を生じやすい程度に高くなった場合にも、転写不良を防止して印刷動作を行うことができる。したがって、本レーザプリンタによれば、従来の構成に比べ転写ローラ80の使用可能期間(印刷動作に用いることが可能な期間)を延ばすことができる。
【0070】
また、本レーザプリンタでは、第2印刷モードでは、転写電流を低くすることで放電による転写不良を防止するようにしている。さらに、転写不良が低くなることによって生じる転写不良(用紙へのトナー像の転写が不十分になることによる転写不良等)が防止されるように、モータ131の回転速度を遅くすることで、用紙の搬送速度を低くして転写時間を長くしている。このため、本レーザプリンタによれば、印刷される画像の品質を損なうことなく転写不良を防止することができる。また、加熱ローラ91による加熱温度も低くすることで、用紙の搬送速度を変更することによる定着不良の発生を防ぐことができる。
【0071】
特に、本レーザプリンタでは、イオン導電性の転写ローラ80が用いられていることから、印刷動作の動作モードを変更する構成による効果が高い。すなわち、イオン導電性の転写ローラ80は、抵抗値が均一でばらつきが小さいため転写を良好に行うことができる反面、使用に伴い抵抗値が上昇しやすい性質があるからである。
【0072】
加えて、本レーザプリンタでは、イニシャル駆動中に検出した転写電圧の検出値Vが基準電圧値Vrを上回っていると判定した回数がM0に達した場合に(S190:YES)、転写ローラ80の交換が必要である旨のメッセージを表示装置180に表示するようにしている(S200)。このため、本レーザプリンタによれば、転写ローラ80の交換を使用者に促すことができる。特に、転写電圧の検出値Vが基準電圧値Vrを上回っていると判定しても直ちにメッセージを表示しないようにしているため、気温や湿度等の環境変化によって転写電圧の検出値Vが基準電圧値Vrを一時的に上回っただけであるにもかかわらず、転写ローラ80の交換を促してしまうことを防ぐことができる。
【0073】
[第1実施形態の変形例1]
上記第1実施形態のレーザプリンタでは、第2印刷モードにおいて、転写電圧の電圧値が高くなることによる転写不良を防止するため、第1印刷モードでの転写電流の電流値I1に比べ低い電流値I2で定電流制御を行うようにしているが、これに限ったものではない。例えば、第2印刷モードでは定電圧制御を行うようにしてもよい。
【0074】
すなわち、本変形例1における第2印刷モードは、第1印刷モードに比べ、下記(b1)〜(b4)の点が異なっている。
(b1):転写ローラ80に基準電圧値Vrの転写電圧を印加する定電圧制御を行う。すなわち、図7(a)に示すように、転写ローラ80の抵抗値が上昇すると(図7(a)でいう実線の曲線→点線の曲線)、電流値I1の転写電流を流すために必要な転写電圧の電圧値が上昇するが(V1→V1’)、転写電圧の電圧値が過剰に上昇すると転写ローラと用紙との間で放電が生じやすくなり、これによる転写不良が生じやすくなってしまう。そこで、転写電圧の電圧値の上限を基準電圧値Vr(上記第1実施形態の基準電圧値Vr)とすることで、転写電圧の電圧値が基準電圧値Vrを上回ることが防止され、放電による転写不良が防止されるのである。
【0075】
(b2):用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)が遅く設定されている。すなわち、上記(b1)のように転写電圧の電圧値の上限を基準電圧値Vrとすることで、転写ローラ80の抵抗値が高くなると転写電流の電流値が低くなる(I1→I)。一方、図7(b)に示すように、一定のトナー像を転写する際の用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)は、転写電流の電流値が高いほど高くする(転写時間を短くする)ことができ、逆に、転写電流の電流値が低いほど低くする(転写時間を長くする)必要がある。そこで、転写電流の電流値が低くなる分(I1→I)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)も低くして(C1→C)転写時間が長くなるようにしているのである。これにより、転写電流の電流値が低くなることによってトナー像の転写が不十分となる転写不良が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0076】
(b3):上記第1実施形態と同様の理由から、スキャナユニット70によるレーザパワーが低く設定されている。
(b4):上記第1実施形態と同様の理由から、加熱ローラ91による加熱温度が低く設定されている。
【0077】
次に、本変形例1の印刷処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。なお、同図の印刷処理におけるS210〜S250,S270〜S300の処理については、上記第1実施形態の印刷処理(図6)におけるS110〜S150,S170〜S200の処理と同一の内容であるため、説明を省略する。
【0078】
S230で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていると判定した場合には、S253へ移行し、基準電圧値Vrの転写電圧を転写ローラ80に印加し、その際の転写電流の電流値Iを検出する。ここで検出される電流値Iは、第1印刷モードでの転写電流の電流値I1よりも低い値となる(図7(a)参照)。
【0079】
続いて、S256では、S253で検出した電流値Iに対応する用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)Cを算出する。ここで算出される搬送速度Cは、第1印刷モードでの搬送速度C1よりも低い値となる(図7(b)参照)。そして、算出した搬送速度Cに対応する加熱ローラ91の加熱温度T及びスキャナユニット70のレーザパワーLを算出する。
【0080】
続いて、S260では、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにする。具体的には、定電圧制御の転写電圧の電圧値をVr、加熱ローラ91の加熱温度を上記S256での算出値T(<T1)、スキャナユニット70のレーザパワーを上記S256での算出値L(<L1)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)を上記S256での算出値C(<C1)に設定する。
【0081】
なお、本変形例1では、印刷処理(図8)におけるS230の処理が、本発明の抵抗判定手段に相当し、S260の処理が、本発明の動作モード変更手段に相当し、S290の処理が、本発明の交換判定手段に相当し、表示装置180と、S300の処理とが、本発明の報知手段に相当する。
【0082】
このような変形例1の構成によれば、転写電圧の電圧値が基準電圧値Vrを超えない範囲で印刷動作を行うことができる。このため、放電による転写不良を確実に防止することができる。特に、この構成では、転写電圧の電圧値を必要以上に低下させないようにしているため、転写不良を防止できる範囲で転写電流の電流値を高くすることができる。
【0083】
[第1実施形態の変形例2]
上記第1実施形態のレーザプリンタでは、第2印刷モードにおいて、転写電流の電流値を低くすることによる転写不良を防止するため、第1印刷モードでの用紙の搬送速度C1に比べ低い搬送速度C2で用紙を搬送するようにしているが、これに限ったものではない。例えば、現像ローラ62に印加される現像電位(現像バイアスの電圧値)を低くするようにしてもよい。
【0084】
すなわち、本変形例2における第2印刷モードは、第1印刷モードに比べ、下記(c1)〜(c3)の点が異なっている。
(c1):上記第1実施形態と同様の理由から、転写電流の電流値が低く設定されている。
【0085】
(c2):現像電位が低く設定されている。すなわち、図9(a)に示すように、感光ドラム51の表面の電位は、スコロトロン型帯電器52によって露光された部分が初期電位(帯電電位)V0となっており、そのうちスキャナユニット70からのレーザビームによって露光された部分が露光部電位VLとなる。そして、トナーの付着量は、現像電位Vbと露光部電位VLとの電位差の絶対値の大きさに応じた量となる。つまり、例えば現像電位がVb1の場合、図9(a)の斜線部分の面積が、トナーの付着量に相当する。このため、現像電位Vbと露光部電位VLとの電位差の絶対値が小さいほど、一定のトナー像を形成するトナーの量が少なくなり、この結果、必要な転写電流の電流値も低くて済む(図9(b)参照)。そこで、上記(c1)のように転写電流の電流値が低くなる分(I1→I2)、現像電位Vbを低くすることで現像電位Vbと露光部電位VLとの電位差の絶対値を小さくして、トナー像を形成するトナーの量が少なくなるようにしているのである。これにより、転写電流の電流値が低くなることによってトナー像の転写が不十分となる転写不良が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0086】
(c3):加熱ローラ91による加熱温度が低く設定されている。すなわち、上記(c2)のようにトナー像を形成するトナーの量が少なくなる分、加熱ローラ91による加熱温度も低くして、トナーに与える加熱量が第1印刷モードと第2印刷モードとで変化しないようにするのである。
【0087】
次に、本変形例2の印刷処理について、図10のフローチャートを用いて説明する。なお、同図の印刷処理におけるS310〜S330,S350,S370〜S400の処理については、上記第1実施形態の印刷処理(図6)におけるS110〜S130,S150,S170〜S200の処理と同一の内容であるため、説明を省略する。
【0088】
S330で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていない(転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vr以下である)と判定した場合には、S340へ移行し、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにする。具体的には、転写電流の電流値をI1、現像電位をVb1、加熱ローラ91の加熱温度をT1に設定する。
【0089】
一方、S330で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていると判定した場合には、S360へ移行し、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにする。具体的には、転写電流の電流値をI2(<I1)、現像電位をVb2(<Vb1)、加熱ローラ91の加熱温度をT2(<T1)に設定する。
【0090】
なお、本変形例2では、印刷処理(図10)におけるS330の処理が、本発明の抵抗判定手段に相当し、S360の処理が、本発明の動作モード変更手段に相当し、S390の処理が、本発明の交換判定手段に相当し、表示装置180と、S400の処理とが、本発明の報知手段に相当する。
【0091】
このような変形例2の構成によれば、印刷される画像の濃度を落とすことで、印刷動作の速度を落とすことなく転写不良を防止することができる。
[第1実施形態の変形例3]
上記第1実施形態のレーザプリンタでは、第2印刷モードにおいて、転写電流の電流値を低くすることによる転写不良を防止するため、第1印刷モードでの用紙の搬送速度C1に比べ低い搬送速度C2で用紙を搬送するようにしているが、これに限ったものではない。例えば、スキャナユニット70による露光度合いを低く(具体的には、レーザパワーを低く)するようにしてもよい。なお、露光度合いとは、単位面積当たりのレーザビームの照射時間や、レーザビームの光強度などで決定される度合いである。
【0092】
すなわち、本変形例3における第2印刷モードは、第1印刷モードに比べ、下記(d1)〜(d3)の点が異なっている。
(d1):上記第1実施形態と同様の理由から、転写電流の電流値が低く設定されている。
【0093】
(d2):レーザパワーが低く設定されている。すなわち、図11(a)に示すように、感光ドラム51の表面における露光部電位VLは、レーザパワーが高いほど低くなるため、レーザパワーを低くすることで露光部電位VLを高くすることができる。一方、トナーの付着量は、現像電位Vbと露光部電位VLとの電位差の絶対値の大きさに応じた量となる。つまり、図11(b)の斜線部分の面積が、トナーの付着量に相当する。このため、現像電位Vbと露光部電位VLとの電位差の絶対値が小さいほど、一定のトナー像を形成するトナーの量が少なくなり、この結果、必要な転写電流の電流値も低くて済む(図11(c)参照)。そこで、上記(d1)のように転写電流の電流値が低くなる分(I1→I2)、露光部電位VLを高くすることで現像電位Vbと露光部電位VLとの電位差の絶対値を小さくして、トナー像を形成するトナーの量が少なくなるようにしているのである。これにより、転写電流の電流値が低くなることによってトナー像の転写が不十分となる転写不良が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0094】
(d3):加熱ローラ91による加熱温度が低く設定されている。すなわち、上記(d2)のようにトナー像を形成するトナーの量が少なくなる分、加熱ローラ91による加熱温度も低くして、トナーに与える加熱量が第1印刷モードと第2印刷モードとで変化しないようにするのである。
【0095】
次に、本変形例3の印刷処理について、図12のフローチャートを用いて説明する。なお、同図の印刷処理におけるS410〜S430,S450,S470〜S500の処理については、上記第1実施形態の印刷処理(図6)におけるS110〜S130,S150,S170〜S200の処理と同一の内容であるため、説明を省略する。
【0096】
S430で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていない(転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vr以下である)と判定した場合には、S440へ移行し、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにする。具体的には、転写電流の電流値をI1、加熱ローラ91の加熱温度をT1、レーザパワーをL1に設定する。
【0097】
一方、S430で、検出した転写電圧の電圧値Vが基準電圧値Vrを上回っていると判定した場合には、S460へ移行し、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにする。具体的には、転写電流の電流値をI2(<I1)、加熱ローラ91の加熱温度をT2(<T1)、レーザパワーをL2(<L1)に設定する。
【0098】
なお、本変形例3では、印刷処理(図12)におけるS430の処理が、本発明の抵抗判定手段に相当し、S460の処理が、本発明の動作モード変更手段に相当し、S490の処理が、本発明の交換判定手段に相当し、表示装置180と、S500の処理とが、本発明の報知手段に相当する。
【0099】
このような変形例3の構成によれば、印刷動作の速度を落とすことなく転写不良を防止することができる。
次に、第2実施形態のレーザプリンタについて説明する。
【0100】
第2実施形態のレーザプリンタは、基本的な構成は上記第1実施形態のレーザプリンタと同じであるため、同一の構成要素については同一の符号を用いて説明し、詳細な説明については省略する。
【0101】
図13は、本レーザプリンタの電気的構成を表すブロック図である。また、図14は、本レーザプリンタの主要部の電気的構成を説明するための説明図である。
図13に示すように、本第2実施形態のレーザプリンタにおいては、上記第1実施形態のレーザプリンタ(図3)と比較すると、電圧計120に代えて電流計220を備えている点と、定電流電源150に代えて定電圧電源250を備えている点とが異なる。
【0102】
電流計220は、転写ローラ80に流れる転写電流を検出するためのものであり、転写ローラ80のローラ軸と定電圧電源250とを接続する配線の途中に設けられている(図14参照)。
【0103】
定電圧電源250は、電流計220を介して転写ローラ80のローラ軸に接続されており(図14参照)、この転写ローラ80に一定の電圧値の転写電圧を印加する定電圧制御を行うように構成されている。そして、CPU100のROM102内に格納されるプログラムに従い、定電圧電源250の転写電圧の印加のオン・オフ等が制御される。
【0104】
ところで、本第2実施形態のレーザプリンタにおいても、上記第1実施形態のレーザプリンタと同様、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回った場合に、印刷動作の動作モードを、標準の印刷モードである第1印刷モードから、この第1印刷モードに比べ転写ローラ80による転写不良が防止される第2印刷モードへ変更することができるように構成されている。
【0105】
そして、本第2実施形態のレーザプリンタにおいては、第2印刷モードは、第1印刷モードに比べ、下記(e1)〜(e4)の点が異なっている。
(e1):用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)が遅く設定されている。すなわち、図15(a)に示すように、転写ローラ80の抵抗値が上昇すると(図15(a)でいう実線の曲線→点線の曲線)、ある電圧値V1の転写電圧を印加した際に流れる転写電流の電流値が低下し(I1→I1’)、転写電流の電流値が過剰に低下すると感光ドラム51の表面から用紙へのトナー像の転写が十分に行われなくなり、これによる転写不良が生じやすくなってしまう。ここで、図15(b)に示すように、一定のトナー像を転写する際の用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)は、転写電流の電流値が高いほど高くする(転写時間を短くする)ことができ、逆に、転写電流の電流値が低いほど低くする(転写時間を長くする)必要がある。そこで、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)を低くして(C1→C2)転写時間が長くなるようにすることで、転写電流の電流値が低くてもトナー像の転写が不十分となる転写不良を防止できるようにしている。
【0106】
(e2):上記第1実施形態と同様の理由から、スキャナユニット70によるレーザパワーが低く設定されている。
(e3):上記第1実施形態と同様の理由から、加熱ローラ91による加熱温度が低く設定されている。
【0107】
(e4):転写電圧の電圧値が低く設定されている。すなわち、上述のように定電圧制御の場合には転写ローラ80の抵抗値の上昇により転写電流の電流値が低下することから、放電を防止できる範囲で流し得る電流値であっても転写不良が生じないような条件に設定する(この例では、上記(e1)のように搬送速度を低くする)ようになっており、転写電圧の電圧値のばらつきを考慮して十分余裕を持つような条件とするために、結果的に転写電圧の電圧値が低く(V1→V2)設定されているのである。
【0108】
次に、本第2実施形態のレーザプリンタのCPU100が実行する印刷処理について、図16のフローチャートを用いて説明する。なお、同図の印刷処理におけるS510,S550,S570〜S600の処理については、上記第1実施形態の印刷処理(図6)におけるS110,S150,S170〜S200の処理と同一の内容であるため、説明を省略する。
【0109】
S520では、電圧値V1の転写電圧を転写ローラ80に印加し、その際の転写電流の電流値Iを検出する。
続いて、S530では、S520で検出した転写電流の電流値Iが、あらかじめ設定されている基準電流値(判定用電流値に相当)Irを下回っているか否かを判定する。ここで、基準電流値Irは、転写不良の生じにくい範囲で低い値に設定されており、この基準電流値Irを下回ると転写不足による転写不良が生じやすくなるという判断基準となる。つまり、このS530では、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回ったか否かを判定するのである。
【0110】
そして、S530で、検出した転写電流の電流値Iが基準電流値Irを下回っていない(転写電流の電流値Iが基準電流値Ir以上である)と判定した場合には、S540へ移行し、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにする。具体的には、転写電圧の電圧値をV1、加熱ローラ91の加熱温度をT1、スキャナユニット70のレーザパワーをL1、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)をC1に設定する。つまり、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回っていないと判定した場合(転写ローラ80が良好な状態の場合)には、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにするようになっている。
【0111】
一方、S530で、検出した転写電流の電流値Iが基準電流値Irを下回っていると判定した場合には、S555へ移行し、モータ131の回転速度をC2として電流値I2の転写電流を流し、その際の転写電圧V2を検出する。ここで、電流値I2は、あらかじめ決められた値であり、第1印刷モードの印刷動作において流れる転写電流の電流値よりも低い値に設定されている。このため、転写電圧V2は、第1印刷モードでの転写電圧V1よりも低い値となる(図15(a)参照)。
【0112】
続いて、S560では、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにする。具体的には、転写電圧の電圧値を上記S555で検出したV2(<V1)、加熱ローラ91の加熱温度をT2(<T1)、スキャナユニット70のレーザパワーをL2(<L1)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)をC2(<C1)に設定する。つまり、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回っていると判定した場合(転写ローラ80が劣化している等の場合)には、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにするようになっている。
【0113】
なお、本実施形態のレーザプリンタでは、印刷処理(図16)におけるS530の処理が、本発明の抵抗判定手段に相当し、S560の処理が、本発明の動作モード変更手段に相当し、S590の処理が、本発明の交換判定手段に相当し、表示装置180と、S600の処理とが、本発明の報知手段に相当する。
【0114】
以上説明したように、本実施形態のレーザプリンタでは、用紙への画像の印刷動作を開始する前に、第1印刷モードの条件で転写ローラ80に転写電圧を印加して、その際の転写電流の電流値Iを検出する(S510,S520)。そして、この検出した電流値Iが基準電流値Irを下回っていない(転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っていない)と判定した場合には(S530:NO)、印刷動作の動作モードを第1印刷モードにして印刷動作を行う(S540,S550)。つまり、転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っていなければ、標準的な印刷動作を行うのである。一方、検出した電流値Iが基準電流値Irを下回っている(転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っている)と判定した場合には(S530:YES)、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにして印刷動作を行う(S560,S570)。つまり、転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回った場合には、転写ローラ80の抵抗値が高くなることによって生じやすくなる転写不良が防止されるような条件で印刷動作を行うのである。このため、本レーザプリンタによれば、上記第1実施形態のレーザプリンタについて述べた効果と同様の効果を得ることができる。
【0115】
[第2実施形態の変形例]
上記第2実施形態のレーザプリンタでは、第2印刷モードにおいて、第1印刷モードでの転写電圧の電圧値V1に比べ低い電圧値V2で定電圧制御を行うようにしているが、これに限ったものではない。例えば、第2印刷モードでは定電流制御を行うようにしてもよい。
【0116】
すなわち、本変形例における第2印刷モードは、第1印刷モードに比べ、下記(f1)〜(f4)の点が異なっている。
(f1):転写ローラ80に一定の電流値の転写電流を流すように転写電圧を印加する定電流制御を行う。
【0117】
(f2):用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)が遅く設定されている。すなわち、図17(a)に示すように、転写ローラ80の抵抗値が上昇すると(図17(a)でいう実線の曲線→点線の曲線)、ある電圧値V1の転写電圧を印加した際に流れる転写電流の電流値が低下するが(I1→I)、転写電流の電流値が過剰に低下すると感光ドラム51の表面から用紙へのトナー像の転写が十分に行われなくなり、これによる転写不良が生じやすくなってしまう。つまり、図17(b)に示すように、一定のトナー像を転写する際の用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)は、転写電流の電流値が低いほど低くする(転写時間を長くする)必要があるからである。そこで、転写電流の電流値が低くなる分(I1→I)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)も低くして(C1→C)転写時間が長くなるようにしているのである。これにより、転写電流の電流値が低くなることによってトナー像の転写が不十分となる転写不良が生じてしまうことを防ぐことができる。
【0118】
(f3):上記第1実施形態と同様の理由から、スキャナユニット70によるレーザパワーが低く設定されている。
(f4):上記第1実施形態と同様の理由から、加熱ローラ91による加熱温度が低く設定されている。
【0119】
次に、本変形例の印刷処理について、図18のフローチャートを用いて説明する。なお、同図の印刷処理におけるS610〜S650,S670〜S700の処理については、上記第2実施形態の印刷処理(図16)におけるS510〜S550,S570〜S600の処理と同一の内容であるため、説明を省略する。
【0120】
S630で、検出した転写電流の電流値Iが基準電流値Irを下回っていると判定した場合には、S655へ移行し、S620で検出した電流値Iに対応する用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)Cを算出する。ここで算出される搬送速度Cは、第1印刷モードでの搬送速度C1よりも低い値となる(図17(b)参照)。そして、算出した搬送速度Cに対応する加熱ローラ91の加熱温度T及びスキャナユニット70のレーザパワーLを算出する。
【0121】
続いて、S660では、印刷動作の動作モードを第2印刷モードにする。具体的には、定電流制御の転写電流をS620で検出した電流値I、加熱ローラ91の加熱温度を上記S655での算出値T(<T1)、スキャナユニット70のレーザパワーを上記S655での算出値L(<L1)、用紙の搬送速度(モータ131の回転速度)を上記S655での算出値C(<C1)に設定する。
【0122】
なお、本変形例では、印刷処理(図18)におけるS630の処理が、本発明の抵抗判定手段に相当し、S660の処理が、本発明の動作モード変更手段に相当し、S690の処理が、本発明の交換判定手段に相当し、表示装置180と、S700の処理とが、本発明の報知手段に相当する。
【0123】
本変形例の構成では、転写ローラ80の抵抗値が限界基準値を上回っていると判定した場合には検出した電流値Iで定電流制御を行うようにしているため、抵抗値の上昇した転写ローラ80に対し放電を防止できる範囲で流し得る最大の電流値に基づいた条件とすることができる。したがって、第2印刷モードにすることによるレーザプリンタのパフォーマンス低下(本変形例では印刷動作の低下であるが、上記第1実施形態の変形例2,3のようにトナー像を薄くする構成を採用した場合には、画像濃度の低下となる。)を最小限に抑えることができる。
【0124】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
例えば、上記各実施形態のレーザプリンタでは、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回っていると判定した回数がM0に達した場合に、転写ローラ80の交換が必要である旨のメッセージを表示装置180に表示するようにしているが、これに限ったものではない。例えば、転写ローラ80の抵抗値が所定の限界基準値を上回っていると最初に判定した際に、メッセージの表示を行うようにしてもよい。また、このような報知を全く行わないように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】第1実施形態のレーザプリンタの概略側断面図である。
【図2】カバーを開いた状態でのレーザプリンタの概略側断面図である。
【図3】第1実施形態のレーザプリンタの電気的構成を表すブロック図である。
【図4】第1実施形態のレーザプリンタの主要部の電気的構成を説明するための説明図である。
【図5】第1実施形態における第2印刷モードの内容を説明するための説明図である。
【図6】第1実施形態における印刷処理のフローチャートである。
【図7】第1実施形態の変形例1における第2印刷モードの内容を説明するための説明図である。
【図8】第1実施形態の変形例1における印刷処理のフローチャートである。
【図9】第1実施形態の変形例2における第2印刷モードの内容を説明するための説明図である。
【図10】第1実施形態の変形例2における印刷処理のフローチャートである。
【図11】第1実施形態の変形例3における第2印刷モードの内容を説明するための説明図である。
【図12】第1実施形態の変形例3における印刷処理のフローチャートである。
【図13】第1実施形態のレーザプリンタの電気的構成を表すブロック図である。
【図14】第1実施形態のレーザプリンタの主要部の電気的構成を説明するための説明図である。
【図15】第2実施形態における第2印刷モードの内容を説明するための説明図である。
【図16】第2実施形態における印刷処理のフローチャートである。
【図17】第2実施形態の変形例における第2印刷モードの内容を説明するための説明図である。
【図18】第2実施形態の変形例における印刷処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0126】
10…本体ケーシング、11…カバー、12…排紙トレイ、20…給紙トレイ、21…給紙ローラ、30…搬送ローラ対、31…レジストローラ、32…ピンチローラ、40…プロセスカートリッジ、50…感光体カートリッジ、51…感光ドラム、52…スコロトロン型帯電器、53…紙粉除去ブラシ、60…現像カートリッジ、61…筐体、62…現像ローラ、63…供給ローラ、64…層厚規制ブレード、65…アジテータ、70…スキャナユニット、80…転写ローラ、90…定着器、91…加熱ローラ、92…加圧ローラ、100…CPU、101…ROM、102…RAM、110…入出力インターフェイス、120…電圧計、130…モータ駆動回路、131…モータ、140…定着電源、141…定着制御回路、150…定電流電源、160…高圧電源、161…紙粉除去ブラシバイアス印加回路、162…現像バイアス印加回路、163…帯電回路、170…スキャナ制御回路、180…表示装置、220…電流計、250…定電圧電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段により帯電された感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光手段により前記感光体の表面に形成された静電潜像に現像剤を供給して現像剤像を形成する現像手段と、
前記現像手段により形成された現像剤像を記録媒体に転写するための転写手段と、
前記転写手段に転写電圧を印加することにより、現像剤像を記録媒体に転写するための転写電流を流す転写制御手段と、
を備え、記録媒体上に画像を形成するための画像形成動作を行う画像形成装置において、
前記転写手段の抵抗値が所定の限界基準値を上回ったか否かを判定する抵抗判定手段と、
前記抵抗判定手段により前記転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定された場合には、画像形成動作の動作モードを、前記転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定される前の動作モードである第1の画像形成モードから、この第1の画像形成モードに比べ前記転写手段による転写不良が防止される第2の画像形成モードへ変更する動作モード変更手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記転写制御手段は、少なくとも前記第1の画像形成モードでは、前記転写手段に一定の電流値の転写電流を流すように転写電圧を印加する定電流制御を行うように構成されており、
前記第2の画像形成モードは、前記第1の画像形成モードに比べ転写電流の電流値が低くなり、かつ、転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良が防止されるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記抵抗判定手段は、前記転写手段に前記一定の電流値の転写電流を流すために必要な転写電圧の電圧値が判定用電圧値を上回った場合に、前記転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記転写制御手段は、前記第2の画像形成モードでは、前記転写手段に前記判定用電圧値の転写電圧を印加する定電圧制御を行うように構成されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記転写制御手段は、少なくとも前記第1の画像形成モードでは、前記転写手段に一定の電圧値の転写電圧を印加する定電圧制御を行うように構成されており、
前記第2の画像形成モードは、転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良が防止されるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記抵抗判定手段は、前記転写手段に前記一定の電圧値の転写電圧を印加することにより流れる転写電流の電流値が判定用電流値を下回った場合に、前記転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記転写制御手段は、第2の画像形成モードでは、前記転写手段に前記一定の電圧値の転写電圧を印加することにより流れる電流値の転写電流を、前記転写手段に流すように転写電圧を印加する定電流制御を行うように構成されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記第2の画像形成モードは、前記第1の画像形成モードに比べ、画像形成動作における転写時間が長くなるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置において、
前記第2の画像形成モードは、前記第1の画像形成モードに比べ、記録媒体の搬送速度が低くなるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項2ないし請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記第2の画像形成モードは、前記第1の画像形成モードに比べ、前記感光体の表面における前記露光手段により露光された部分の電位と前記現像手段に印加される現像電位との電位差の絶対値が小さくなるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成装置において、
前記第2の画像形成モードは、前記第1の画像形成モードに比べ、前記現像手段に印加される現像電位の絶対値が低くなるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10に記載の画像形成装置において、
前記第2の画像形成モードは、前記第1の画像形成モードに比べ、前記露光手段による露光度合いが低くなるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記転写手段によって記録媒体上に転写された現像剤像を加熱してその記録媒体上に定着させる定着手段を備え、
前記第2の画像形成モードは、前記定着手段による加熱温度の条件が、前記第1の画像形成モードとは異なる条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記転写手段は、イオン導電性の転写ローラであること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記抵抗判定手段による判定結果に基づき前記転写手段の交換が必要であるか否かを判定する交換判定手段と、
前記交換判定手段により前記転写手段の交換が必要であると判定された場合に、報知動作を行う報知手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
感光体と、
前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段により帯電された感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光手段により前記感光体の表面に形成された静電潜像に現像剤を供給して現像剤像を形成する現像手段と、
前記現像手段により形成された現像剤像を記録媒体に転写するための転写手段と、
前記転写手段に転写電圧を印加することにより、現像剤像を記録媒体に転写するための転写電流を流す転写制御手段と、
を備え、記録媒体上に画像を形成するための画像形成動作を行う画像形成装置において、
前記転写手段の抵抗値が所定の限界基準値を上回ったか否かを判定する抵抗判定手段と、
前記抵抗判定手段により前記転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定された場合には、画像形成動作の動作モードを、前記転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定される前の動作モードである第1の画像形成モードから、この第1の画像形成モードに比べ前記転写手段による転写不良が防止される第2の画像形成モードへ変更する動作モード変更手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記転写制御手段は、少なくとも前記第1の画像形成モードでは、前記転写手段に一定の電流値の転写電流を流すように転写電圧を印加する定電流制御を行うように構成されており、
前記第2の画像形成モードは、前記第1の画像形成モードに比べ転写電流の電流値が低くなり、かつ、転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良が防止されるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記抵抗判定手段は、前記転写手段に前記一定の電流値の転写電流を流すために必要な転写電圧の電圧値が判定用電圧値を上回った場合に、前記転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記転写制御手段は、前記第2の画像形成モードでは、前記転写手段に前記判定用電圧値の転写電圧を印加する定電圧制御を行うように構成されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記転写制御手段は、少なくとも前記第1の画像形成モードでは、前記転写手段に一定の電圧値の転写電圧を印加する定電圧制御を行うように構成されており、
前記第2の画像形成モードは、転写電流の電流値が低くなることによって生じる転写不良が防止されるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記抵抗判定手段は、前記転写手段に前記一定の電圧値の転写電圧を印加することにより流れる転写電流の電流値が判定用電流値を下回った場合に、前記転写手段の抵抗値が限界基準値を上回ったと判定すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記転写制御手段は、第2の画像形成モードでは、前記転写手段に前記一定の電圧値の転写電圧を印加することにより流れる電流値の転写電流を、前記転写手段に流すように転写電圧を印加する定電流制御を行うように構成されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記第2の画像形成モードは、前記第1の画像形成モードに比べ、画像形成動作における転写時間が長くなるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置において、
前記第2の画像形成モードは、前記第1の画像形成モードに比べ、記録媒体の搬送速度が低くなるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項2ないし請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記第2の画像形成モードは、前記第1の画像形成モードに比べ、前記感光体の表面における前記露光手段により露光された部分の電位と前記現像手段に印加される現像電位との電位差の絶対値が小さくなるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成装置において、
前記第2の画像形成モードは、前記第1の画像形成モードに比べ、前記現像手段に印加される現像電位の絶対値が低くなるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10に記載の画像形成装置において、
前記第2の画像形成モードは、前記第1の画像形成モードに比べ、前記露光手段による露光度合いが低くなるような条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記転写手段によって記録媒体上に転写された現像剤像を加熱してその記録媒体上に定着させる定着手段を備え、
前記第2の画像形成モードは、前記定着手段による加熱温度の条件が、前記第1の画像形成モードとは異なる条件に設定されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記転写手段は、イオン導電性の転写ローラであること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記抵抗判定手段による判定結果に基づき前記転写手段の交換が必要であるか否かを判定する交換判定手段と、
前記交換判定手段により前記転写手段の交換が必要であると判定された場合に、報知動作を行う報知手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−3538(P2006−3538A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178514(P2004−178514)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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