画像形成装置
【課題】本発明は、露光部材の回動軌跡を他の部材のレイアウトに適したものとすることで、装置を小型化することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、感光体(感光体ドラム43)を有する複数のプロセスユニット4と、複数のプロセスユニット4の並列方向において、各プロセスユニット4と交互に配列されて前記感光体を露光する複数の露光部材5と、複数のプロセスユニット4の並列方向における一端側の回動軸部31を中心として回動可能に構成されるとともに、露光部材5を支持する支持部材(カバー3)と、を備えている。そして、前記支持部材は、回動に伴って、回動軸部31が軸方向に直交する方向へ移動するように構成されている。
【解決手段】画像形成装置(カラープリンタ1)は、感光体(感光体ドラム43)を有する複数のプロセスユニット4と、複数のプロセスユニット4の並列方向において、各プロセスユニット4と交互に配列されて前記感光体を露光する複数の露光部材5と、複数のプロセスユニット4の並列方向における一端側の回動軸部31を中心として回動可能に構成されるとともに、露光部材5を支持する支持部材(カバー3)と、を備えている。そして、前記支持部材は、回動に伴って、回動軸部31が軸方向に直交する方向へ移動するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動可能となるカバーで露光部材を支持する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置として、帯電された感光体ドラムに光を照射して、光で照射された部分の電位を変えて感光体ドラム上に静電潜像を形成し、その静電潜像に現像剤を供給することにより形成される現像剤像を記録シートに転写することで、記録シートに所定の画像を形成するものが知られている。
【0003】
このような画像形成装置としては、従来、複数の感光体ドラムに光を照射する複数のLEDヘッド(露光部材)と、感光体ドラムやトナー収容室等を備えた複数のプロセスユニットとが前後方向に交互に配設されたものが知られている(特許文献1参照)。そして、この画像形成装置では、各LEDヘッドが、回動可能なトップカバーに支持されることで、感光体ドラムに対して近接・離間可能に構成されている。なお、トップカバーの回動軸は、各プロセスユニットよりも装置本体奥側に回動可能に固定されており、これにより、各LEDヘッドは、感光体ドラムを露光可能な露光位置から各プロセスユニットを抜け出す退避位置まで、手前側から奥側に向かって回動するようになっている。また、トップカバーの回動軸は、上下方向において、露光位置に位置するLEDヘッドと略同じ位置(以下、「ヘッド位置」という)に位置しており、これにより、LEDヘッドの回動軌跡の露光位置での接線が略上方を向くため、各プロセスユニット間から各LEDヘッドが略上方に抜け出すようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−160333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した従来技術では、LEDヘッドの回動軌跡が円弧状になるため、各LEDヘッドと各プロセスユニットとが干渉しないように、各プロセスユニット間の隙間をある程度大きめにしなければならなかった。特に、トップカバーの回動軸を前記したヘッド位置よりも上方に設置した場合には、LEDヘッドの回動軌跡の露光位置での接線が手前斜め上方に傾いて、LEDヘッドの回動軌跡が手前側に膨らむため、各プロセスユニット間の隙間をより大きくしなければならないといった問題があった。また、トップカバーの回動軸をヘッド位置よりも下方に設置した場合には、LEDヘッドの回動軌跡の露光位置での接線が奥斜め上方に傾いて、LEDヘッドの回動軌跡が奥側に傾くため、各プロセスユニット間の隙間をより大きくしなければならないといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、LEDヘッド(露光部材)の回動軌跡を他の部材のレイアウトに適したものとすることで、装置を小型化することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、並べて配置されるとともに、感光体を有する複数のプロセスユニットと、前記複数のプロセスユニットの並列方向において、各プロセスユニットと交互に配列されて前記感光体を露光する複数の露光部材と、前記複数のプロセスユニットの並列方向における一端側の回動軸を中心として回動可能に構成されるとともに、前記露光部材を支持することによって、回動に伴い前記露光部材を、前記感光体を露光する露光位置と、前記複数の露光部材の全てが各プロセスユニットの間から抜け出す退避位置との間で進退可能とする支持部材と、を備えた画像形成装置であって、前記支持部材は、回動に伴って、前記回動軸が軸方向に直交する方向へ移動するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、支持部材の回動軸が回動に伴って軸方向に直交する方向に移動可能であるため、従来のように回動軸を固定するものと比べ、例えば露光部材の回動軌跡を直線に近づけるなど、露光部材の回動軌跡を他の部材のレイアウトに適したものとすることが可能となる。そのため、各プロセスユニット間の間隔を狭めることなどが可能となり、装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、支持部材の回動軸を回動に伴って移動可能とすることで、露光部材の回動軌跡を他の部材のレイアウトに適したものとすることが可能となる。そのため、各プロセスユニット間の間隔を狭めることなどが可能となり、装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は第1の実施形態に係るカラープリンタを示す側面図であり、図2はカラープリンタのカバーの回動軸部周りの構造を示す斜視図である。なお、以下の説明においては、カラープリンタ1の使用時におけるユーザを基準にした方向で説明することとする。すなわち、図1における左側を「手前側」と称し、右側を「奥側」と称し、紙面垂直方向のうち奥側を「左側」と称し、紙面垂直方向のうち手前側を「右側」と称する。なお、上下方向については、図示方向とユーザ使用時の方向が一致するので、そのまま「上下方向」と称することとする。
【0011】
<カラープリンタ>
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、上方が開口した箱状の装置本体2と、この装置本体2の開口を開閉する支持部材の一例としてのカバー3とを備えている。
【0012】
<装置本体>
装置本体2は、プロセスユニット4、露光部材5およびカバー3の回動軸部31に係合する軸係合体6を主に備えている。なお、装置本体2内には、前記したプロセスユニット4等の部品以外に、給紙トレイPT、ベルトBや各種ローラR等で構成される用紙搬送機構FM、転写ローラCR、定着装置HM、図示せぬ排紙機構等の公知の部品が適宜設けられている。そして、この装置本体2内において、用紙Pは、用紙搬送機構FMによって、給紙トレイPT、各感光体ドラム43と各転写ローラCRの間、定着装置HM、排紙機構の順に搬送されてカバー3上に排紙される。
【0013】
<プロセスユニット>
プロセスユニット4は、前後方向に間隔を置いて4つ並べられており、それぞれ異なる色のトナーを収容している。このプロセスユニット4は、主に、トナーを収容するトナー収容室が内部に形成される現像カートリッジ41、現像カートリッジ41の下部に回転可能に設けられる現像ローラ42と、現像ローラ42からトナーが供給される感光体ドラム43を主に備えている。ここで、プロセスユニット4は、現像ローラ42と感光体ドラム43との間を境にして分離可能に構成されていてもよいし、感光体ドラム43と一体に構成されていてもよい。
【0014】
現像カートリッジ41は、前記したトナー収容室および現像ローラ42を備える他、公知の供給ローラや層厚規制ブレード等を主に備えている。そして、トナー収容室内のトナーは、供給ローラによって現像ローラ42に供給され、現像ローラ42上のトナーは層厚規制ブレードによって一定の厚さに規制される。
【0015】
現像ローラ42は、前記したトナー収容室から供給ローラ等を介して送られてくるトナーを感光体ドラム43に供給するものであり、感光体ドラム43と接触するように配置されている。
【0016】
感光体ドラム43は、公知の帯電器で帯電された後、露光部材5で露光されることで静電潜像が形成されるものである。そして、感光体ドラム43上に形成された静電潜像に現像ローラ42からトナーが供給されることで、感光体ドラム43上にトナー像が形成され、このトナー像は転写ローラCRによって引き寄せられることで用紙Pに転写される。
【0017】
<露光部材>
露光部材5は、感光体ドラム43を露光するための光を発する露光部の一例としてのLEDヘッド5Xと、LEDヘッド5Xの基端側をカバー3の下側に連結する連結部5Yとを有している。
露光部材5は、前後方向において各プロセスユニット4と交互に配列されている。露光部材5は、上下左右方向に延びる平板状に形成されており(図2参照)、その先端には複数のLEDが配列されている。
【0018】
露光部材5は、手前側面5Cと、奥側面5Bとを有している。そして、手前側面5Cおよび奥側面5Bは、それぞれ、露光部材5が露光位置にあるときにおいて、上下方向に延びるように構成されている。また、露光部材5の手前側面5Cに対向するプロセスユニット4の側面4Bと、露光部材5の奥側面5Bに対向するプロセスユニット4の側面4Cは、それぞれ、上下方向に延びるように構成されている。
【0019】
<軸係合体>
図2に示すように、軸係合体6は、装置本体2の奥側の左右両側に1つずつ配設されている。そして、この軸係合体6は、ラック歯61Aが上面に形成されたラックの一例としてのラック部61と、ラック部61の上方に配置された移動方向規制部62と、ラック部61と移動方向規制部62とを繋ぐ連結部63とを備えている。そして、移動方向規制部62には、カバー3の回動軸部31の移動方向を前後方向(ラック歯61の並ぶ方向)のみに規制する長孔62Aが形成されている。ここで、軸係合体6は、装置本体2に一体に形成されていてもよいし、装置本体2とは別体に構成されて固定されていてもよい。また、ラック部61は、移動方向規制部62とは別部品であってもよい。
【0020】
<カバー>
カバー3は、奥側の端部に形成される回動軸部31を中心にして回動可能に構成されている。より正確には、カバー3は、回動軸部31の回動軸31aを中心にして回動可能に構成されている。カバー3の下面には、4つの露光部材5がそれぞれ所定の間隔を空けた状態で固定されている。これにより、各露光部材5は、カバー3の回動に伴って、感光体ドラム43を露光する露光位置(図1参照)と、各露光部材5の全てが各プロセスユニット4の間から抜け出す退避位置(図3(e)参照)との間で進退可能となっている。
【0021】
また、カバー3の回動軸部31の両端から僅かに内側の位置には、回動軸部31よりも大径で回動軸部31と同軸となる大径部32が形成されている。この大径部32の下部には、回動軸部31の両端部を軸係合体6の長孔62Aに挿通させたときに軸係合体6のラック歯61Aに上側から噛み合うピニオンギヤの一例としてのピニオンギヤ部32Aが形成されている。
【0022】
具体的に、ピニオンギヤ部32Aは、各露光部材5が露光位置に位置する際(カバー3が閉じているとき)にラック歯61Aの手前側と噛み合うように配置されている。そして、このようにピニオンギヤ部32Aがラック歯61Aに対して配置されることによって、ピニオンギヤ部32Aは、カバー3を開けていく際に奥側に転動し、カバー3を閉じていく際に手前側に転動するようになっている。なお、ピニオンギヤ部32Aは、回動軸部31とは別部品であってもよい。
【0023】
また、図1に示すように、カバー3の回動軸部31の回動軸31aは、プロセスユニット4の上側(退避位置側)の端部4Aと、露光位置に位置する露光部材5の先端5Aとの中間位置CPよりも上側(露光部材5が退避する側)に配置されている。より具体的には、カバー3の回動軸部31の回動軸31aは、プロセスユニット4の上側(退避位置側)の端部4Aの位置TPよりも、上側に配置されている。
【0024】
ここで、中間位置CPは、プロセスユニット4の上側の端部4Aと、露光位置に位置する露光部材5の先端5Aとに対して上下方向において同じ距離Dだけ離れた位置をいう。
【0025】
ここで、「回動軸31aが中間位置CP(または位置TP)よりも上側」とは、全ての中間位置CP(または位置TP)よりも上側を意味する。すなわち、例えば、プロセスユニット4等が斜め上または斜め下に向かって配列されると、中間位置CP(または位置TP)が複数存在することとなるが、この場合には、全ての中間位置CP(または位置TP)よりも上側になるように回動軸31aが配置される。
【0026】
回動軸31aが位置TPよりも上側に配置されているので、仮に回動軸部31(回動軸31a)が回動軸31aと直交する方向に動かない構造である場合には、露光部材5(手前側面5C)の位置TPよりも下側にある部位(プロセスユニット4と水平方向において重なる部位)の軌跡が、露光位置から手前側に膨らむ円弧状の軌跡を描いて移動するようになっている(図4(b)参照)。
【0027】
次に、カバー3の開閉動作に伴う回動軸部31の移動について、図3および図4を参照して説明する。参照する図面において、図3は完全に閉じた状態のカバーを所定角度ずつ開けていったときの各段階を示す側面図(a)〜(d)と、退避位置までカバーを開けた状態を示す側面図(e)である。また、図4は第1の実施形態における露光部材の回動軌跡を示す側面図(a)と、回動軸部を固定した(回動軸部が回動軸と直交する方向に動かない構造である)従来例における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【0028】
図3(a)〜(e)に順に示すように、カバー3を開けていくと、このカバー3の大径部32のピニオンギヤ部32Aがラック歯61A上を奥側へ転動していくことにより、回動軸部31が長孔62Aに沿って手前側から奥側に向かって移動する。また、これとは逆に、カバー3を図3(e)の状態から閉めていくと、図3(d)〜(a)に順に示すように、このカバー3の大径部32のピニオンギヤ部32Aがラック歯61A上を手前側へ転動していくことにより、回動軸部31が長孔62Aに沿って奥側から手前側に向かって移動する。
【0029】
これにより、図4(a)に示すように、露光部材5の回動軌跡は、略上下方向に沿った緩やかな円弧状になる。すなわち、図4(b)に示すように、回動軸部31を固定(軸方向に移動不能)した従来構造の場合には、各露光部材5(手前側面5C)の位置TPよりも下側にある部位の回動軌跡は露光位置から手前側に膨らむような小径の曲率の大きな円弧状となるが、本実施形態においては、従来の回動軌跡よりも緩やかな(曲率の小さな)円弧状となって、各露光部材5(手前側面5C)の位置TPよりも下側にある部位の軌跡が手前側に膨らむことが抑制される。
【0030】
以上によれば、第1の実施形態において以下のような効果を得ることができる。
回動軸31aがプロセスユニット4の上側の端部4Aの位置TPよりも上側に配置された形態において、回動軸部31をカバー3の開放に応じて奥側へ移動するようにしたので、従来のように回動軸部31を固定するものと比べ、各露光部材5が手前側に膨らむのを抑制でき、各露光部材5の回動軌跡を直線に近づけることができる。そのため、各プロセスユニット4間の間隔を狭めることが可能となり、装置の小型化を図ることができる。
【0031】
また、回動軸部31をカバー3の回動に応じて前後方向へ移動するようにしたので、カバー3の上方への移動量を抑えることができ、カラープリンタ1の設置場所を比較的自由に設定することができる。ちなみに、回動軸部を回動に伴って上方に移動させることでも露光部材の回動軌跡を直線に近づけることができるが、この場合は、カバーが上方へ移動するため、上下に狭い空間にカラープリンタを置くことができず、カラープリンタの設置場所が制限される。
【0032】
回動軸部31を移動させる構造として、主にピニオンギヤ部32Aおよびラック歯61Aを利用した簡単な構造を採用したので、装置の小型化を図ることができる。
【0033】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1の実施形態に係る回動軸部31周りの構造を変更したものであるため、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。参照する図面において、図5は第2の実施形態に係るカラープリンタを示す側面図であり、図6はカバーの回動軸部周りの構造を示す斜視図である。また、図7はカバーを示す側面図であり、図8は完全に閉じた状態のカバーを所定角度ずつ開けていったときの各段階を示す側面図(a)〜(d)と、退避位置までカバーをあけた状態を示す側面図(e)である。
【0034】
図5に示すように、第2の実施形態に係るカラープリンタ1’は、第1の実施形態とは異なる軸係合体6’およびカバー3’を備えている。なお、露光部材5とプロセスユニット4は、第1の実施形態と同様の構成となっている。
【0035】
すなわち、露光部材5は、手前側面5Cと、奥側面5Bとを有している。そして、手前側面5Cおよび奥側面5Bは、それぞれ、露光部材5が露光位置にあるときにおいて、上下方向に延びるように構成されている。また、露光部材5の手前側面5Cに対向するプロセスユニット4の側面4Bと、露光部材5の奥側面5Bに対向するプロセスユニット4の側面4Cは、それぞれ、上下方向に延びるように構成されている。
【0036】
図6に示すように、軸係合体6’は、ラック歯61Aが下面に形成されたラック体61’と、ラック体61’の下方に配置される移動方向規制体62’とを備えて構成されている。そして、移動方向規制体62’には、第1の実施形態と同様の長孔62Aが形成されている。
【0037】
図5に示すように、カバー3’は、その回動軸部31が、中間位置CPよりも下側(露光部材5が感光体ドラム43に向けて前進する側)に配置されている。特に、本実施形態においては、回動軸部31の回動軸31aが、露光部材5の先端位置LPよりも、下側にある。
【0038】
ここで、「回動軸31aが中間位置CP(または先端位置LP)よりも下側」とは、全ての中間位置CP(または先端位置LP)よりも下側を意味する。すなわち、例えば、プロセスユニット4等が斜め上または斜め下に向かって配列されると、中間位置CP(または先端位置LP)が複数存在することとなるが、この場合には、全ての中間位置CP(または先端位置LP)よりも下側になるように回動軸31aが配置される。
【0039】
回動軸31aが先端位置LPよりも下側に配置されているので、仮に回動軸部31が動かない構造である場合には、回動に伴って露光部材5の位置TPよりも下方にある部位(プロセスユニット4と水平方向において重なる部位)の軌跡は、奥側へ膨らむ。
【0040】
また、図6および図7に示すように、カバー3’の回動軸部31の両端から僅かに内側の位置には、回動軸部31よりも大径で回動軸部31と同軸となる略半円状の大径部32’が形成されている。そして、この大径部32’の上部には、軸係合体6’のラック歯61Aに下側から噛み合うピニオンギヤ部32Aが形成されている。具体的に、ピニオンギヤ部32Aは、図5に示すように、露光位置においてラック歯61Aの奥側と噛み合うように配置されている。そして、このようにピニオンギヤ部32Aがラック歯61Aに対して配置されることによって、図8(a)〜(e)に示すように、ピニオンギヤ部32Aは、カバー3’を開けていく際に手前側に転動し、カバー3’を閉じていく際に奥側に転動するようになっている。
【0041】
次に、第2の実施形態に係るカバー3’の各露光部材5の回動軌跡について図9を参照して説明する。参照する図面において、図9は第2の実施形態における露光部材の回動軌跡を示す側面図(a)と、回動軸部を固定した従来例における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【0042】
図9(a)に示すように、第2の実施形態において、露光部材5の回動軌跡は、略上下方向に沿った緩やかな円弧状になる。すなわち、図9(b)に示すように、回動軸部31を固定させた従来構造の場合には、各露光部材5は露光位置からの奥側への移動量が大きな小径の円弧状の軌跡上を移動するが、本実施形態においては、従来の回動軌跡よりも緩やかな円弧状となって、各露光部材5の奥側への移動量を小さく抑えることが可能となっている。
【0043】
以上によれば、第2の実施形態において以下のような効果を得ることができる。
回動軸部31が中間位置CPよりも下方に位置する形態において、カバー3’の開放に伴って回動軸部31を手前側に移動させたので、各露光部材5の奥側への移動量を小さく抑えて、各露光部材5の回動軌跡を直線に近づけることができる。そのため、各プロセスユニット4間の間隔を狭めることが可能となり、装置の小型化を図ることができる。
【0044】
また、回動軸部31をカバー3’の回動に応じて前後方向へ移動するようにしたので、カバー3’の上方への移動量を抑えることができ、カラープリンタ1の設置場所を比較的自由に設定することができる。
【0045】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第2の実施形態に係る回動軸部周りの構造を変更したものであるため、第2の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。参照する図面において、図10は第3の実施形態に係るカラープリンタを示す側面図(a)と、第3の実施形態における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【0046】
図10(a)に示すように、第3の実施形態に係るカラープリンタ1”は、軸係合体6”のラック歯61Aが並ぶ方向および長孔62Aの長軸の方向が、回動軸部31から上斜め手前側に向かって傾斜する斜め方向に向けられる点で、第2の実施形態とは異なっている。また、カバー3”のピニオンギヤ部32Aは、斜めになったラック歯61Aに対して下側から噛み合うとともに、露光位置においてラック歯61Aの奥側に噛み合うことが可能な位置に形成される点で、第2の実施形態とは異なっている。すなわち、本実施形態において、回動軸部31は、前後方向に移動可能であるとともに、上下方向(露光位置側から退避位置側に向かう方向)にも移動可能となっている。
【0047】
そして、このようにラック歯61Aおよび長孔62Aの向きが斜めに向けられることによって、カバー3”を開けていくと回動軸部31が上斜め手前側に向かって移動し、カバー3”を閉めていくと回動軸部31が下斜め奥側に向かって移動する。これにより、図10(b)に示すように、各露光部材5の回動軌跡は、第2の実施形態(図9(a)参照)よりも緩やかな円弧状になる。
【0048】
以上によれば、第3の実施形態において以下のような効果を得ることができる。
回動軸部31が中間位置CPよりも下方に位置する形態において、カバー3”の開放に伴って回動軸部31を上斜め手前側に移動させたので、各露光部材5の奥側への移動量が小さく抑えられるとともに、各露光部材5が各プロセスユニット4間から早く抜け出すこととなる。そのため、各露光部材5の回動軌跡をより直線に近づけることができ、各プロセスユニット4間の間隔をより狭めて装置の更なる小型化を図ることができる。
【0049】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
第1の実施形態では、カバー3の回動軸部31の回動軸31aを、プロセスユニット4の上側の端部4Aの位置TPよりも上側に配置したが、本発明はこれに限定されず、例えば、回動軸31aを、中間位置CPよりも上側(露光部材5が退避する側)で、プロセスユニット4の上側の端部4Aの位置TPよりも下側に配置してもよい。
【0050】
このような構成において、仮に、回動軸部31(回動軸31a)が回動軸31aと直交する方向に動かない構造の場合には、カバー3を開いていくと、露光部材5のうちプロセスユニット4の上側の端部の位置TPよりも下側にある部位のうち、回動軸31aよりも下側の部位は手前側に膨らむ軌跡を描き、回転軸31aよりも上側の部位は奥側に傾く軌跡を描く。詳しくは、露光部材5は、回動軸31aよりも下側の部位の手前側への変位量の方が、回転軸31aよりも上側の部位の奥側への変位量よりも大きくなるような、円弧状の軌跡を描く。
【0051】
これに対して、回動軸部31をカバー3の開放に応じて奥側へ移動するように構成すると、従来のように回動軸部31を固定するものと比べ、各露光部材5(回動軸31aよりも下側の部位)の手前側への大きな変位量を抑制でき、各露光部材5の回動軌跡を直線に近づけることができる。そのため、各プロセスユニット4間の間隔を狭めることが可能となり、装置の小型化を図ることができる。
【0052】
第2の実施形態では、カバー3の回動軸部31の回動軸31aを、露光部材5の先端位置LPよりも下側に配置したが、本発明はこれに限定されず、例えば、回動軸31aを、中間位置CPよりも下側(露光部材5が前進する側)で、露光部材5の先端位置LPよりも上側に配置してもよい。
【0053】
このような構成において、仮に、回動軸部31(回動軸31a)が回動軸31aと直交する方向に動かない構造の場合には、カバー3を開いていくと、露光部材5のうちプロセスユニット4の上側の端部の位置TPよりも下側にある部位のうち、回動軸31aよりも下側の部位は手前側に膨らむ軌跡を描き、回転軸31aよりも上側の部位は奥側に傾く軌跡を描く。詳しくは、露光部材5は、回動軸31aよりも上側の部位の奥側への変位量の方が、回転軸31aよりも下側の部位の手前側への変位量よりも大きくなるような、円弧状の軌跡を描く。
【0054】
これに対して、回動軸部31をカバー3の開放に応じて手前側へ移動するように構成すると、従来のように回動軸部31を固定するものと比べ、各露光部材5(回動軸31aよりも上側の部位)の奥側への大きな変位量を抑制でき、各露光部材5の回動軌跡を直線に近づけることができる。そのため、各プロセスユニット4間の間隔を狭めることが可能となり、装置の小型化を図ることができる。
【0055】
第3の実施形態では、第2の実施形態のような回動軸部31が中間位置CPよりも下方に位置する形態において、カバー3”を開く際に、回動軸部31を手前側に移動させるとともに、上方にも移動させるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図11(a)および(b)に示すように、第1の実施形態のような回動軸部31が中間位置CPよりも上方に位置する形態において、カバー3Xを開く際に、回動軸部31を奥側に移動させるとともに、上方にも移動させるように構成してもよい。すなわち、軸係合体6Xのラック歯61Aが並ぶ方向および長孔62Aの長軸の方向を上斜め奥側に向かって傾斜する斜め方向に向け、露光位置においてラック歯61Aの手前側に噛み合うようにピニオンギヤ部32Aを形成すればよい。これによれば、第1の実施形態よりも、各露光部材5の回動軌跡が直線に近づくので、各プロセスユニット4間の間隔をより狭めて装置の更なる小型化を図ることができる。
【0056】
前記各実施形態では、回動軸部31を少なくとも前後方向に移動させる構成としたが、本発明はこれに限定されず、回動軸部31を上下方向のみに移動させてもよい。具体的には、例えば図12に示すように、回動軸部31が中間位置CPよりも上方に位置する形態において、軸係合体6Yのラック歯61Aが並ぶ方向および長孔62Aの長軸の方向を上下方向に向ける。また、各ラック歯61Aの先端は、手前側に向ける。さらに、カバー3Yのピニオンギヤ部32Aを、ラック歯61Aに手前側から噛み合うことが可能であり、かつ、露光位置においてラック歯61Aの下側と噛み合うことが可能な位置に形成する。以上によれば、図13(b)に示す回動軸部31を固定した従来構造と比べ、図13(a)に示すように、各露光部材5の手前側への膨らみが僅かに抑えられる。
【0057】
したがって、従来に比べて、各露光部材5の回動軌跡が直線に近づくので、各プロセスユニット4間の間隔を狭めて装置の小型化を図ることができる。また、回動に伴って、回動軸部31が上方(退避側)に移動するので、従来よりも、少ない回動量で、露光部材5をプロセスユニット4の間から退避させることができる。従って、露光部材5の一部が、位置TPよりも下側にあるときにおける、露光部材5の軌跡の膨らみを抑えることができる。
【0058】
前記各実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記各実施形態では、露光部としてLEDヘッド5Xを採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子、蛍光体などの発光素子を多数配列し、これら発光素子を画像データに応じて選択的に発光させるもの、あるいは、液晶素子、PLZTなどからなる光シャッタを多数配列し、これら光シャッタの開閉時間を画像データに応じて選択的に制御することにより、単数又は複数の光源からの光を制御するものなどを採用してもよい。
【0059】
前記各実施形態では、感光体として、感光体ドラムを採用したが、本発明はこれに限定されず、ベルト状の感光体を採用してもよい。
前記各実施形態では、支持部材としてカバー3,3’,…を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、カバーとは別に装置本体内に揺動可能に固定される支持枠であってもよい。
【0060】
前記各実施形態では、ピニオンギヤ部32Aとラック歯61Aによって回動軸部31を軸方向に直交する方向へ移動させたが、本発明はこれに限定されず、回動軸部31を移動させる構造はどのような構造であってもよい。例えば、図14に示すように、カバー3Zの大径部32Zの一部を径方向外側に突出させるとともに、突出させた先端部33によって装置本体2に固定される被押圧壁7の奥側の面を押圧するような構造としてもよい。なお、この場合、長孔62Aを有する軸係合体6Z(または装置本体2)に、カバー3Zの回動軸部31を常時手前側へ付勢するスプリングSを設ける。このような構造であっても、カバー3Zを開けるときに回動軸部31が奥側に移動し、カバー3Zを閉めるときに回動軸部31が手前側に移動する構造を構成できる。
【0061】
前記各実施形態では、LEDヘッド5Xとカバー3を連結する連結部5Yを設けたが、本発明はこれに限定されず、連結部5Yを廃して、LEDヘッドとカバーが直接連結するような構成としてもよい。
【0062】
前記各実施形態では、露光部材5の手前側面5Cや奥側面5Bを上下左右に延びる平面としたが、本発明はこれに限定されず、露光部材の手前側面や奥側面は湾曲していてもよい。また、同様に、プロセスユニット4の面も湾曲していてもよい。また、露光部材は、プロセスユニット4の並列方向においてずれた複数の手前側面を有していてもよい。また、露光部材5は、プロセスユニット4の並列方向においてずれた複数の奥側面を有していてもよい。
【0063】
前記各実施形態においては、露光部材5の軌跡を直線に近づけることにより、プロセスユニット4の間隔を狭くして、装置の小型化を図ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、プロセスカートリッジの配置や、露光部材の形状が複雑な場合は、逆に、露光部材の軌跡を直線から遠ざけた方が、小型化することができる場合が考えられるこのような場合は、露光部材の軌跡をあえて直線から遠ざけるように、回動軸を変位させてもよい。
【0064】
前記各実施形態では、プロセスユニットの配列方向を前後方向としたが、本発明はこれに限定されず、上下方向や左右方向等、どのような方向に配列してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1の実施形態に係るカラープリンタを示す側面図である。
【図2】カラープリンタのカバーの回動軸部周りの構造を示す斜視図である。
【図3】完全に閉じた状態のカバーを所定角度ずつ開けていったときの各段階を示す側面図(a)〜(d)と、退避位置までカバーを開けた状態を示す側面図(e)である。
【図4】第1の実施形態における露光部材の回動軌跡を示す側面図(a)と、回動軸部を固定した従来例における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【図5】第2の実施形態に係るカラープリンタを示す側面図である。
【図6】カバーの回動軸部周りの構造を示す斜視図である。
【図7】カバーを示す側面図である。
【図8】完全に閉じた状態のカバーを所定角度ずつ開けていったときの各段階を示す側面図(a)〜(d)と、退避位置までカバーをあけた状態を示す側面図(e)である。
【図9】第2の実施形態における露光部材の回動軌跡を示す側面図(a)と、回動軸部を固定した従来例における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【図10】第3の実施形態に係るカラープリンタを示す側面図(a)と、第3の実施形態における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【図11】第1の実施形態の変形例に係るカラープリンタを示す側面図(a)と、当該変形例における各露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【図12】回動軸部を上下方向にのみ移動させる形態を示す側面図である。
【図13】図12の形態における各露光部材の回動軌跡を示す側面図(a)と、回動軸部を固定した従来例における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【図14】回動軸部を移動させる構造の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 カラープリンタ
2 装置本体
3 カバー
4 プロセスユニット
5 露光部材
6 軸係合体
31 回動軸部
32 大径部
32A ピニオンギヤ部
43 感光体ドラム
61 ラック部
61A ラック歯
62 移動方向規制部
62A 長孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動可能となるカバーで露光部材を支持する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置として、帯電された感光体ドラムに光を照射して、光で照射された部分の電位を変えて感光体ドラム上に静電潜像を形成し、その静電潜像に現像剤を供給することにより形成される現像剤像を記録シートに転写することで、記録シートに所定の画像を形成するものが知られている。
【0003】
このような画像形成装置としては、従来、複数の感光体ドラムに光を照射する複数のLEDヘッド(露光部材)と、感光体ドラムやトナー収容室等を備えた複数のプロセスユニットとが前後方向に交互に配設されたものが知られている(特許文献1参照)。そして、この画像形成装置では、各LEDヘッドが、回動可能なトップカバーに支持されることで、感光体ドラムに対して近接・離間可能に構成されている。なお、トップカバーの回動軸は、各プロセスユニットよりも装置本体奥側に回動可能に固定されており、これにより、各LEDヘッドは、感光体ドラムを露光可能な露光位置から各プロセスユニットを抜け出す退避位置まで、手前側から奥側に向かって回動するようになっている。また、トップカバーの回動軸は、上下方向において、露光位置に位置するLEDヘッドと略同じ位置(以下、「ヘッド位置」という)に位置しており、これにより、LEDヘッドの回動軌跡の露光位置での接線が略上方を向くため、各プロセスユニット間から各LEDヘッドが略上方に抜け出すようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−160333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した従来技術では、LEDヘッドの回動軌跡が円弧状になるため、各LEDヘッドと各プロセスユニットとが干渉しないように、各プロセスユニット間の隙間をある程度大きめにしなければならなかった。特に、トップカバーの回動軸を前記したヘッド位置よりも上方に設置した場合には、LEDヘッドの回動軌跡の露光位置での接線が手前斜め上方に傾いて、LEDヘッドの回動軌跡が手前側に膨らむため、各プロセスユニット間の隙間をより大きくしなければならないといった問題があった。また、トップカバーの回動軸をヘッド位置よりも下方に設置した場合には、LEDヘッドの回動軌跡の露光位置での接線が奥斜め上方に傾いて、LEDヘッドの回動軌跡が奥側に傾くため、各プロセスユニット間の隙間をより大きくしなければならないといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、LEDヘッド(露光部材)の回動軌跡を他の部材のレイアウトに適したものとすることで、装置を小型化することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、並べて配置されるとともに、感光体を有する複数のプロセスユニットと、前記複数のプロセスユニットの並列方向において、各プロセスユニットと交互に配列されて前記感光体を露光する複数の露光部材と、前記複数のプロセスユニットの並列方向における一端側の回動軸を中心として回動可能に構成されるとともに、前記露光部材を支持することによって、回動に伴い前記露光部材を、前記感光体を露光する露光位置と、前記複数の露光部材の全てが各プロセスユニットの間から抜け出す退避位置との間で進退可能とする支持部材と、を備えた画像形成装置であって、前記支持部材は、回動に伴って、前記回動軸が軸方向に直交する方向へ移動するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、支持部材の回動軸が回動に伴って軸方向に直交する方向に移動可能であるため、従来のように回動軸を固定するものと比べ、例えば露光部材の回動軌跡を直線に近づけるなど、露光部材の回動軌跡を他の部材のレイアウトに適したものとすることが可能となる。そのため、各プロセスユニット間の間隔を狭めることなどが可能となり、装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、支持部材の回動軸を回動に伴って移動可能とすることで、露光部材の回動軌跡を他の部材のレイアウトに適したものとすることが可能となる。そのため、各プロセスユニット間の間隔を狭めることなどが可能となり、装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1は第1の実施形態に係るカラープリンタを示す側面図であり、図2はカラープリンタのカバーの回動軸部周りの構造を示す斜視図である。なお、以下の説明においては、カラープリンタ1の使用時におけるユーザを基準にした方向で説明することとする。すなわち、図1における左側を「手前側」と称し、右側を「奥側」と称し、紙面垂直方向のうち奥側を「左側」と称し、紙面垂直方向のうち手前側を「右側」と称する。なお、上下方向については、図示方向とユーザ使用時の方向が一致するので、そのまま「上下方向」と称することとする。
【0011】
<カラープリンタ>
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、上方が開口した箱状の装置本体2と、この装置本体2の開口を開閉する支持部材の一例としてのカバー3とを備えている。
【0012】
<装置本体>
装置本体2は、プロセスユニット4、露光部材5およびカバー3の回動軸部31に係合する軸係合体6を主に備えている。なお、装置本体2内には、前記したプロセスユニット4等の部品以外に、給紙トレイPT、ベルトBや各種ローラR等で構成される用紙搬送機構FM、転写ローラCR、定着装置HM、図示せぬ排紙機構等の公知の部品が適宜設けられている。そして、この装置本体2内において、用紙Pは、用紙搬送機構FMによって、給紙トレイPT、各感光体ドラム43と各転写ローラCRの間、定着装置HM、排紙機構の順に搬送されてカバー3上に排紙される。
【0013】
<プロセスユニット>
プロセスユニット4は、前後方向に間隔を置いて4つ並べられており、それぞれ異なる色のトナーを収容している。このプロセスユニット4は、主に、トナーを収容するトナー収容室が内部に形成される現像カートリッジ41、現像カートリッジ41の下部に回転可能に設けられる現像ローラ42と、現像ローラ42からトナーが供給される感光体ドラム43を主に備えている。ここで、プロセスユニット4は、現像ローラ42と感光体ドラム43との間を境にして分離可能に構成されていてもよいし、感光体ドラム43と一体に構成されていてもよい。
【0014】
現像カートリッジ41は、前記したトナー収容室および現像ローラ42を備える他、公知の供給ローラや層厚規制ブレード等を主に備えている。そして、トナー収容室内のトナーは、供給ローラによって現像ローラ42に供給され、現像ローラ42上のトナーは層厚規制ブレードによって一定の厚さに規制される。
【0015】
現像ローラ42は、前記したトナー収容室から供給ローラ等を介して送られてくるトナーを感光体ドラム43に供給するものであり、感光体ドラム43と接触するように配置されている。
【0016】
感光体ドラム43は、公知の帯電器で帯電された後、露光部材5で露光されることで静電潜像が形成されるものである。そして、感光体ドラム43上に形成された静電潜像に現像ローラ42からトナーが供給されることで、感光体ドラム43上にトナー像が形成され、このトナー像は転写ローラCRによって引き寄せられることで用紙Pに転写される。
【0017】
<露光部材>
露光部材5は、感光体ドラム43を露光するための光を発する露光部の一例としてのLEDヘッド5Xと、LEDヘッド5Xの基端側をカバー3の下側に連結する連結部5Yとを有している。
露光部材5は、前後方向において各プロセスユニット4と交互に配列されている。露光部材5は、上下左右方向に延びる平板状に形成されており(図2参照)、その先端には複数のLEDが配列されている。
【0018】
露光部材5は、手前側面5Cと、奥側面5Bとを有している。そして、手前側面5Cおよび奥側面5Bは、それぞれ、露光部材5が露光位置にあるときにおいて、上下方向に延びるように構成されている。また、露光部材5の手前側面5Cに対向するプロセスユニット4の側面4Bと、露光部材5の奥側面5Bに対向するプロセスユニット4の側面4Cは、それぞれ、上下方向に延びるように構成されている。
【0019】
<軸係合体>
図2に示すように、軸係合体6は、装置本体2の奥側の左右両側に1つずつ配設されている。そして、この軸係合体6は、ラック歯61Aが上面に形成されたラックの一例としてのラック部61と、ラック部61の上方に配置された移動方向規制部62と、ラック部61と移動方向規制部62とを繋ぐ連結部63とを備えている。そして、移動方向規制部62には、カバー3の回動軸部31の移動方向を前後方向(ラック歯61の並ぶ方向)のみに規制する長孔62Aが形成されている。ここで、軸係合体6は、装置本体2に一体に形成されていてもよいし、装置本体2とは別体に構成されて固定されていてもよい。また、ラック部61は、移動方向規制部62とは別部品であってもよい。
【0020】
<カバー>
カバー3は、奥側の端部に形成される回動軸部31を中心にして回動可能に構成されている。より正確には、カバー3は、回動軸部31の回動軸31aを中心にして回動可能に構成されている。カバー3の下面には、4つの露光部材5がそれぞれ所定の間隔を空けた状態で固定されている。これにより、各露光部材5は、カバー3の回動に伴って、感光体ドラム43を露光する露光位置(図1参照)と、各露光部材5の全てが各プロセスユニット4の間から抜け出す退避位置(図3(e)参照)との間で進退可能となっている。
【0021】
また、カバー3の回動軸部31の両端から僅かに内側の位置には、回動軸部31よりも大径で回動軸部31と同軸となる大径部32が形成されている。この大径部32の下部には、回動軸部31の両端部を軸係合体6の長孔62Aに挿通させたときに軸係合体6のラック歯61Aに上側から噛み合うピニオンギヤの一例としてのピニオンギヤ部32Aが形成されている。
【0022】
具体的に、ピニオンギヤ部32Aは、各露光部材5が露光位置に位置する際(カバー3が閉じているとき)にラック歯61Aの手前側と噛み合うように配置されている。そして、このようにピニオンギヤ部32Aがラック歯61Aに対して配置されることによって、ピニオンギヤ部32Aは、カバー3を開けていく際に奥側に転動し、カバー3を閉じていく際に手前側に転動するようになっている。なお、ピニオンギヤ部32Aは、回動軸部31とは別部品であってもよい。
【0023】
また、図1に示すように、カバー3の回動軸部31の回動軸31aは、プロセスユニット4の上側(退避位置側)の端部4Aと、露光位置に位置する露光部材5の先端5Aとの中間位置CPよりも上側(露光部材5が退避する側)に配置されている。より具体的には、カバー3の回動軸部31の回動軸31aは、プロセスユニット4の上側(退避位置側)の端部4Aの位置TPよりも、上側に配置されている。
【0024】
ここで、中間位置CPは、プロセスユニット4の上側の端部4Aと、露光位置に位置する露光部材5の先端5Aとに対して上下方向において同じ距離Dだけ離れた位置をいう。
【0025】
ここで、「回動軸31aが中間位置CP(または位置TP)よりも上側」とは、全ての中間位置CP(または位置TP)よりも上側を意味する。すなわち、例えば、プロセスユニット4等が斜め上または斜め下に向かって配列されると、中間位置CP(または位置TP)が複数存在することとなるが、この場合には、全ての中間位置CP(または位置TP)よりも上側になるように回動軸31aが配置される。
【0026】
回動軸31aが位置TPよりも上側に配置されているので、仮に回動軸部31(回動軸31a)が回動軸31aと直交する方向に動かない構造である場合には、露光部材5(手前側面5C)の位置TPよりも下側にある部位(プロセスユニット4と水平方向において重なる部位)の軌跡が、露光位置から手前側に膨らむ円弧状の軌跡を描いて移動するようになっている(図4(b)参照)。
【0027】
次に、カバー3の開閉動作に伴う回動軸部31の移動について、図3および図4を参照して説明する。参照する図面において、図3は完全に閉じた状態のカバーを所定角度ずつ開けていったときの各段階を示す側面図(a)〜(d)と、退避位置までカバーを開けた状態を示す側面図(e)である。また、図4は第1の実施形態における露光部材の回動軌跡を示す側面図(a)と、回動軸部を固定した(回動軸部が回動軸と直交する方向に動かない構造である)従来例における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【0028】
図3(a)〜(e)に順に示すように、カバー3を開けていくと、このカバー3の大径部32のピニオンギヤ部32Aがラック歯61A上を奥側へ転動していくことにより、回動軸部31が長孔62Aに沿って手前側から奥側に向かって移動する。また、これとは逆に、カバー3を図3(e)の状態から閉めていくと、図3(d)〜(a)に順に示すように、このカバー3の大径部32のピニオンギヤ部32Aがラック歯61A上を手前側へ転動していくことにより、回動軸部31が長孔62Aに沿って奥側から手前側に向かって移動する。
【0029】
これにより、図4(a)に示すように、露光部材5の回動軌跡は、略上下方向に沿った緩やかな円弧状になる。すなわち、図4(b)に示すように、回動軸部31を固定(軸方向に移動不能)した従来構造の場合には、各露光部材5(手前側面5C)の位置TPよりも下側にある部位の回動軌跡は露光位置から手前側に膨らむような小径の曲率の大きな円弧状となるが、本実施形態においては、従来の回動軌跡よりも緩やかな(曲率の小さな)円弧状となって、各露光部材5(手前側面5C)の位置TPよりも下側にある部位の軌跡が手前側に膨らむことが抑制される。
【0030】
以上によれば、第1の実施形態において以下のような効果を得ることができる。
回動軸31aがプロセスユニット4の上側の端部4Aの位置TPよりも上側に配置された形態において、回動軸部31をカバー3の開放に応じて奥側へ移動するようにしたので、従来のように回動軸部31を固定するものと比べ、各露光部材5が手前側に膨らむのを抑制でき、各露光部材5の回動軌跡を直線に近づけることができる。そのため、各プロセスユニット4間の間隔を狭めることが可能となり、装置の小型化を図ることができる。
【0031】
また、回動軸部31をカバー3の回動に応じて前後方向へ移動するようにしたので、カバー3の上方への移動量を抑えることができ、カラープリンタ1の設置場所を比較的自由に設定することができる。ちなみに、回動軸部を回動に伴って上方に移動させることでも露光部材の回動軌跡を直線に近づけることができるが、この場合は、カバーが上方へ移動するため、上下に狭い空間にカラープリンタを置くことができず、カラープリンタの設置場所が制限される。
【0032】
回動軸部31を移動させる構造として、主にピニオンギヤ部32Aおよびラック歯61Aを利用した簡単な構造を採用したので、装置の小型化を図ることができる。
【0033】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第1の実施形態に係る回動軸部31周りの構造を変更したものであるため、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。参照する図面において、図5は第2の実施形態に係るカラープリンタを示す側面図であり、図6はカバーの回動軸部周りの構造を示す斜視図である。また、図7はカバーを示す側面図であり、図8は完全に閉じた状態のカバーを所定角度ずつ開けていったときの各段階を示す側面図(a)〜(d)と、退避位置までカバーをあけた状態を示す側面図(e)である。
【0034】
図5に示すように、第2の実施形態に係るカラープリンタ1’は、第1の実施形態とは異なる軸係合体6’およびカバー3’を備えている。なお、露光部材5とプロセスユニット4は、第1の実施形態と同様の構成となっている。
【0035】
すなわち、露光部材5は、手前側面5Cと、奥側面5Bとを有している。そして、手前側面5Cおよび奥側面5Bは、それぞれ、露光部材5が露光位置にあるときにおいて、上下方向に延びるように構成されている。また、露光部材5の手前側面5Cに対向するプロセスユニット4の側面4Bと、露光部材5の奥側面5Bに対向するプロセスユニット4の側面4Cは、それぞれ、上下方向に延びるように構成されている。
【0036】
図6に示すように、軸係合体6’は、ラック歯61Aが下面に形成されたラック体61’と、ラック体61’の下方に配置される移動方向規制体62’とを備えて構成されている。そして、移動方向規制体62’には、第1の実施形態と同様の長孔62Aが形成されている。
【0037】
図5に示すように、カバー3’は、その回動軸部31が、中間位置CPよりも下側(露光部材5が感光体ドラム43に向けて前進する側)に配置されている。特に、本実施形態においては、回動軸部31の回動軸31aが、露光部材5の先端位置LPよりも、下側にある。
【0038】
ここで、「回動軸31aが中間位置CP(または先端位置LP)よりも下側」とは、全ての中間位置CP(または先端位置LP)よりも下側を意味する。すなわち、例えば、プロセスユニット4等が斜め上または斜め下に向かって配列されると、中間位置CP(または先端位置LP)が複数存在することとなるが、この場合には、全ての中間位置CP(または先端位置LP)よりも下側になるように回動軸31aが配置される。
【0039】
回動軸31aが先端位置LPよりも下側に配置されているので、仮に回動軸部31が動かない構造である場合には、回動に伴って露光部材5の位置TPよりも下方にある部位(プロセスユニット4と水平方向において重なる部位)の軌跡は、奥側へ膨らむ。
【0040】
また、図6および図7に示すように、カバー3’の回動軸部31の両端から僅かに内側の位置には、回動軸部31よりも大径で回動軸部31と同軸となる略半円状の大径部32’が形成されている。そして、この大径部32’の上部には、軸係合体6’のラック歯61Aに下側から噛み合うピニオンギヤ部32Aが形成されている。具体的に、ピニオンギヤ部32Aは、図5に示すように、露光位置においてラック歯61Aの奥側と噛み合うように配置されている。そして、このようにピニオンギヤ部32Aがラック歯61Aに対して配置されることによって、図8(a)〜(e)に示すように、ピニオンギヤ部32Aは、カバー3’を開けていく際に手前側に転動し、カバー3’を閉じていく際に奥側に転動するようになっている。
【0041】
次に、第2の実施形態に係るカバー3’の各露光部材5の回動軌跡について図9を参照して説明する。参照する図面において、図9は第2の実施形態における露光部材の回動軌跡を示す側面図(a)と、回動軸部を固定した従来例における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【0042】
図9(a)に示すように、第2の実施形態において、露光部材5の回動軌跡は、略上下方向に沿った緩やかな円弧状になる。すなわち、図9(b)に示すように、回動軸部31を固定させた従来構造の場合には、各露光部材5は露光位置からの奥側への移動量が大きな小径の円弧状の軌跡上を移動するが、本実施形態においては、従来の回動軌跡よりも緩やかな円弧状となって、各露光部材5の奥側への移動量を小さく抑えることが可能となっている。
【0043】
以上によれば、第2の実施形態において以下のような効果を得ることができる。
回動軸部31が中間位置CPよりも下方に位置する形態において、カバー3’の開放に伴って回動軸部31を手前側に移動させたので、各露光部材5の奥側への移動量を小さく抑えて、各露光部材5の回動軌跡を直線に近づけることができる。そのため、各プロセスユニット4間の間隔を狭めることが可能となり、装置の小型化を図ることができる。
【0044】
また、回動軸部31をカバー3’の回動に応じて前後方向へ移動するようにしたので、カバー3’の上方への移動量を抑えることができ、カラープリンタ1の設置場所を比較的自由に設定することができる。
【0045】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前記した第2の実施形態に係る回動軸部周りの構造を変更したものであるため、第2の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。参照する図面において、図10は第3の実施形態に係るカラープリンタを示す側面図(a)と、第3の実施形態における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【0046】
図10(a)に示すように、第3の実施形態に係るカラープリンタ1”は、軸係合体6”のラック歯61Aが並ぶ方向および長孔62Aの長軸の方向が、回動軸部31から上斜め手前側に向かって傾斜する斜め方向に向けられる点で、第2の実施形態とは異なっている。また、カバー3”のピニオンギヤ部32Aは、斜めになったラック歯61Aに対して下側から噛み合うとともに、露光位置においてラック歯61Aの奥側に噛み合うことが可能な位置に形成される点で、第2の実施形態とは異なっている。すなわち、本実施形態において、回動軸部31は、前後方向に移動可能であるとともに、上下方向(露光位置側から退避位置側に向かう方向)にも移動可能となっている。
【0047】
そして、このようにラック歯61Aおよび長孔62Aの向きが斜めに向けられることによって、カバー3”を開けていくと回動軸部31が上斜め手前側に向かって移動し、カバー3”を閉めていくと回動軸部31が下斜め奥側に向かって移動する。これにより、図10(b)に示すように、各露光部材5の回動軌跡は、第2の実施形態(図9(a)参照)よりも緩やかな円弧状になる。
【0048】
以上によれば、第3の実施形態において以下のような効果を得ることができる。
回動軸部31が中間位置CPよりも下方に位置する形態において、カバー3”の開放に伴って回動軸部31を上斜め手前側に移動させたので、各露光部材5の奥側への移動量が小さく抑えられるとともに、各露光部材5が各プロセスユニット4間から早く抜け出すこととなる。そのため、各露光部材5の回動軌跡をより直線に近づけることができ、各プロセスユニット4間の間隔をより狭めて装置の更なる小型化を図ることができる。
【0049】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
第1の実施形態では、カバー3の回動軸部31の回動軸31aを、プロセスユニット4の上側の端部4Aの位置TPよりも上側に配置したが、本発明はこれに限定されず、例えば、回動軸31aを、中間位置CPよりも上側(露光部材5が退避する側)で、プロセスユニット4の上側の端部4Aの位置TPよりも下側に配置してもよい。
【0050】
このような構成において、仮に、回動軸部31(回動軸31a)が回動軸31aと直交する方向に動かない構造の場合には、カバー3を開いていくと、露光部材5のうちプロセスユニット4の上側の端部の位置TPよりも下側にある部位のうち、回動軸31aよりも下側の部位は手前側に膨らむ軌跡を描き、回転軸31aよりも上側の部位は奥側に傾く軌跡を描く。詳しくは、露光部材5は、回動軸31aよりも下側の部位の手前側への変位量の方が、回転軸31aよりも上側の部位の奥側への変位量よりも大きくなるような、円弧状の軌跡を描く。
【0051】
これに対して、回動軸部31をカバー3の開放に応じて奥側へ移動するように構成すると、従来のように回動軸部31を固定するものと比べ、各露光部材5(回動軸31aよりも下側の部位)の手前側への大きな変位量を抑制でき、各露光部材5の回動軌跡を直線に近づけることができる。そのため、各プロセスユニット4間の間隔を狭めることが可能となり、装置の小型化を図ることができる。
【0052】
第2の実施形態では、カバー3の回動軸部31の回動軸31aを、露光部材5の先端位置LPよりも下側に配置したが、本発明はこれに限定されず、例えば、回動軸31aを、中間位置CPよりも下側(露光部材5が前進する側)で、露光部材5の先端位置LPよりも上側に配置してもよい。
【0053】
このような構成において、仮に、回動軸部31(回動軸31a)が回動軸31aと直交する方向に動かない構造の場合には、カバー3を開いていくと、露光部材5のうちプロセスユニット4の上側の端部の位置TPよりも下側にある部位のうち、回動軸31aよりも下側の部位は手前側に膨らむ軌跡を描き、回転軸31aよりも上側の部位は奥側に傾く軌跡を描く。詳しくは、露光部材5は、回動軸31aよりも上側の部位の奥側への変位量の方が、回転軸31aよりも下側の部位の手前側への変位量よりも大きくなるような、円弧状の軌跡を描く。
【0054】
これに対して、回動軸部31をカバー3の開放に応じて手前側へ移動するように構成すると、従来のように回動軸部31を固定するものと比べ、各露光部材5(回動軸31aよりも上側の部位)の奥側への大きな変位量を抑制でき、各露光部材5の回動軌跡を直線に近づけることができる。そのため、各プロセスユニット4間の間隔を狭めることが可能となり、装置の小型化を図ることができる。
【0055】
第3の実施形態では、第2の実施形態のような回動軸部31が中間位置CPよりも下方に位置する形態において、カバー3”を開く際に、回動軸部31を手前側に移動させるとともに、上方にも移動させるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図11(a)および(b)に示すように、第1の実施形態のような回動軸部31が中間位置CPよりも上方に位置する形態において、カバー3Xを開く際に、回動軸部31を奥側に移動させるとともに、上方にも移動させるように構成してもよい。すなわち、軸係合体6Xのラック歯61Aが並ぶ方向および長孔62Aの長軸の方向を上斜め奥側に向かって傾斜する斜め方向に向け、露光位置においてラック歯61Aの手前側に噛み合うようにピニオンギヤ部32Aを形成すればよい。これによれば、第1の実施形態よりも、各露光部材5の回動軌跡が直線に近づくので、各プロセスユニット4間の間隔をより狭めて装置の更なる小型化を図ることができる。
【0056】
前記各実施形態では、回動軸部31を少なくとも前後方向に移動させる構成としたが、本発明はこれに限定されず、回動軸部31を上下方向のみに移動させてもよい。具体的には、例えば図12に示すように、回動軸部31が中間位置CPよりも上方に位置する形態において、軸係合体6Yのラック歯61Aが並ぶ方向および長孔62Aの長軸の方向を上下方向に向ける。また、各ラック歯61Aの先端は、手前側に向ける。さらに、カバー3Yのピニオンギヤ部32Aを、ラック歯61Aに手前側から噛み合うことが可能であり、かつ、露光位置においてラック歯61Aの下側と噛み合うことが可能な位置に形成する。以上によれば、図13(b)に示す回動軸部31を固定した従来構造と比べ、図13(a)に示すように、各露光部材5の手前側への膨らみが僅かに抑えられる。
【0057】
したがって、従来に比べて、各露光部材5の回動軌跡が直線に近づくので、各プロセスユニット4間の間隔を狭めて装置の小型化を図ることができる。また、回動に伴って、回動軸部31が上方(退避側)に移動するので、従来よりも、少ない回動量で、露光部材5をプロセスユニット4の間から退避させることができる。従って、露光部材5の一部が、位置TPよりも下側にあるときにおける、露光部材5の軌跡の膨らみを抑えることができる。
【0058】
前記各実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記各実施形態では、露光部としてLEDヘッド5Xを採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子、蛍光体などの発光素子を多数配列し、これら発光素子を画像データに応じて選択的に発光させるもの、あるいは、液晶素子、PLZTなどからなる光シャッタを多数配列し、これら光シャッタの開閉時間を画像データに応じて選択的に制御することにより、単数又は複数の光源からの光を制御するものなどを採用してもよい。
【0059】
前記各実施形態では、感光体として、感光体ドラムを採用したが、本発明はこれに限定されず、ベルト状の感光体を採用してもよい。
前記各実施形態では、支持部材としてカバー3,3’,…を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、カバーとは別に装置本体内に揺動可能に固定される支持枠であってもよい。
【0060】
前記各実施形態では、ピニオンギヤ部32Aとラック歯61Aによって回動軸部31を軸方向に直交する方向へ移動させたが、本発明はこれに限定されず、回動軸部31を移動させる構造はどのような構造であってもよい。例えば、図14に示すように、カバー3Zの大径部32Zの一部を径方向外側に突出させるとともに、突出させた先端部33によって装置本体2に固定される被押圧壁7の奥側の面を押圧するような構造としてもよい。なお、この場合、長孔62Aを有する軸係合体6Z(または装置本体2)に、カバー3Zの回動軸部31を常時手前側へ付勢するスプリングSを設ける。このような構造であっても、カバー3Zを開けるときに回動軸部31が奥側に移動し、カバー3Zを閉めるときに回動軸部31が手前側に移動する構造を構成できる。
【0061】
前記各実施形態では、LEDヘッド5Xとカバー3を連結する連結部5Yを設けたが、本発明はこれに限定されず、連結部5Yを廃して、LEDヘッドとカバーが直接連結するような構成としてもよい。
【0062】
前記各実施形態では、露光部材5の手前側面5Cや奥側面5Bを上下左右に延びる平面としたが、本発明はこれに限定されず、露光部材の手前側面や奥側面は湾曲していてもよい。また、同様に、プロセスユニット4の面も湾曲していてもよい。また、露光部材は、プロセスユニット4の並列方向においてずれた複数の手前側面を有していてもよい。また、露光部材5は、プロセスユニット4の並列方向においてずれた複数の奥側面を有していてもよい。
【0063】
前記各実施形態においては、露光部材5の軌跡を直線に近づけることにより、プロセスユニット4の間隔を狭くして、装置の小型化を図ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、プロセスカートリッジの配置や、露光部材の形状が複雑な場合は、逆に、露光部材の軌跡を直線から遠ざけた方が、小型化することができる場合が考えられるこのような場合は、露光部材の軌跡をあえて直線から遠ざけるように、回動軸を変位させてもよい。
【0064】
前記各実施形態では、プロセスユニットの配列方向を前後方向としたが、本発明はこれに限定されず、上下方向や左右方向等、どのような方向に配列してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1の実施形態に係るカラープリンタを示す側面図である。
【図2】カラープリンタのカバーの回動軸部周りの構造を示す斜視図である。
【図3】完全に閉じた状態のカバーを所定角度ずつ開けていったときの各段階を示す側面図(a)〜(d)と、退避位置までカバーを開けた状態を示す側面図(e)である。
【図4】第1の実施形態における露光部材の回動軌跡を示す側面図(a)と、回動軸部を固定した従来例における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【図5】第2の実施形態に係るカラープリンタを示す側面図である。
【図6】カバーの回動軸部周りの構造を示す斜視図である。
【図7】カバーを示す側面図である。
【図8】完全に閉じた状態のカバーを所定角度ずつ開けていったときの各段階を示す側面図(a)〜(d)と、退避位置までカバーをあけた状態を示す側面図(e)である。
【図9】第2の実施形態における露光部材の回動軌跡を示す側面図(a)と、回動軸部を固定した従来例における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【図10】第3の実施形態に係るカラープリンタを示す側面図(a)と、第3の実施形態における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【図11】第1の実施形態の変形例に係るカラープリンタを示す側面図(a)と、当該変形例における各露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【図12】回動軸部を上下方向にのみ移動させる形態を示す側面図である。
【図13】図12の形態における各露光部材の回動軌跡を示す側面図(a)と、回動軸部を固定した従来例における露光部材の回動軌跡を示す側面図(b)である。
【図14】回動軸部を移動させる構造の変形例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 カラープリンタ
2 装置本体
3 カバー
4 プロセスユニット
5 露光部材
6 軸係合体
31 回動軸部
32 大径部
32A ピニオンギヤ部
43 感光体ドラム
61 ラック部
61A ラック歯
62 移動方向規制部
62A 長孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並べて配置されるとともに、感光体を有する複数のプロセスユニットと、
前記複数のプロセスユニットの並列方向において、各プロセスユニットと交互に配列されて前記感光体を露光する複数の露光部材と、
前記複数のプロセスユニットの並列方向における一端側の回動軸を中心として回動可能に構成されるとともに、前記露光部材を支持することによって、回動に伴い前記露光部材を、前記感光体を露光する露光位置と、前記複数の露光部材の全てが各プロセスユニットの間から抜け出す退避位置との間で進退可能とする支持部材と、を備えた画像形成装置であって、
前記支持部材は、回動に伴って、前記回動軸が軸方向に直交する方向へ移動するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記回動軸が、前記退避位置に向けての前記支持部材の回動に伴って、前記並列方向における前記一端側に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回動軸は、前記プロセスユニットの前記退避位置側の端部よりも、前記退避位置側に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記回動軸が、前記退避位置に向けての前記支持部材の回動に伴って、前記並列方向における前記他端側に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回動軸は、前記露光部材の前記露光位置側の端部よりも、前記露光位置側に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記回動軸が、前記退避位置に向けての前記支持部材の回動に伴って、前記露光位置側から前記退避位置側に向かう方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記支持部材が前記回動軸を中心に回動する回動軸部を有し、
前記回動軸部に設けられるピニオンギヤと、
前記ピニオンギヤと噛み合うラックとを備え、
前記ピニオンギヤが前記ラック上を転動することで、前記回動軸部が回動に伴って移動することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
並べて配置されるとともに、感光体を有する複数のプロセスユニットと、
前記複数のプロセスユニットの並列方向において、各プロセスユニットと交互に配列されて前記感光体を露光する複数の露光部材と、
前記複数のプロセスユニットの並列方向における一端側の回動軸を中心として回動可能に構成されるとともに、前記露光部材を支持することによって、回動に伴い前記露光部材を、前記感光体を露光する露光位置と、前記複数の露光部材の全てが各プロセスユニットの間から抜け出す退避位置との間で進退可能とする支持部材と、を備えた画像形成装置であって、
前記支持部材は、回動に伴って、前記回動軸が軸方向に直交する方向へ移動するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記回動軸が、前記退避位置に向けての前記支持部材の回動に伴って、前記並列方向における前記一端側に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回動軸は、前記プロセスユニットの前記退避位置側の端部よりも、前記退避位置側に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記回動軸が、前記退避位置に向けての前記支持部材の回動に伴って、前記並列方向における前記他端側に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回動軸は、前記露光部材の前記露光位置側の端部よりも、前記露光位置側に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記回動軸が、前記退避位置に向けての前記支持部材の回動に伴って、前記露光位置側から前記退避位置側に向かう方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記支持部材が前記回動軸を中心に回動する回動軸部を有し、
前記回動軸部に設けられるピニオンギヤと、
前記ピニオンギヤと噛み合うラックとを備え、
前記ピニオンギヤが前記ラック上を転動することで、前記回動軸部が回動に伴って移動することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−134004(P2009−134004A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309080(P2007−309080)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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