画像形成装置
【課題】画像品位を向上させることができるようにする。
【解決手段】像担持体と、現像剤担持体と、現像剤供給部材と、画像形成装置の装置外温度及び装置外湿度を検出する外部環境検出部と、画像形成装置の装置内温度を検出する内部温度検出部と、装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上であるかどうかを判断する環境条件判定処理手段と、装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上である場合、現像供給電圧差を小さくする電圧設定処理手段とを有する。汚れ印字が発生するのを抑制することができる。
【解決手段】像担持体と、現像剤担持体と、現像剤供給部材と、画像形成装置の装置外温度及び装置外湿度を検出する外部環境検出部と、画像形成装置の装置内温度を検出する内部温度検出部と、装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上であるかどうかを判断する環境条件判定処理手段と、装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上である場合、現像供給電圧差を小さくする電圧設定処理手段とを有する。汚れ印字が発生するのを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタにおいては、感光体ドラムの表面が、帯電ローラによって帯電させられ、LEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像に現像ローラ上で薄層化されたトナーが静電的に付着させられてトナー像が形成され、該トナー像を転写ローラによって用紙上に転写し、画像を形成するようになっている。また、転写後に前記感光体ドラム上に残留したトナーは、クリーニングブレードによって除去される。
【0003】
この場合、プリンタを出荷する際の温度、湿度等の初期の環境条件に対応させて、画像形成のプロセスが設定される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−108089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、環境条件が変化するのに伴って、汚れ印字が発生することがあり、その場合、画像品位が低下してしまう。
【0005】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、画像品位を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の画像形成装置においては、像担持体と、該像担持体に形成された潜像を現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、画像形成装置の装置外温度及び装置外湿度を検出する外部環境検出部と、前記画像形成装置の装置内温度を検出する内部温度検出部と、前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上であるかどうかを判断する環境条件判定処理手段と、前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上である場合、現像電圧と供給電圧との差を表す現像供給電圧差を補正し、小さくする電圧設定処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置においては、像担持体と、該像担持体に形成された潜像を現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、画像形成装置の装置外温度及び装置外湿度を検出する外部環境検出部と、前記画像形成装置の装置内温度を検出する内部温度検出部と、前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上であるかどうかを判断する環境条件判定処理手段と、前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上である場合、現像電圧と供給電圧との差を表す現像供給電圧差を補正し、小さくする電圧設定処理手段とを有する。
【0008】
この場合、装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上である場合、現像供給電圧差が補正され、小さくされるので、汚れ印字が発生するのを抑制することができる。したがって、画像形成装置の画像品位を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0010】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【0011】
図に示されるように、プリンタの下部に媒体収容部としての給紙カセット30が配設され、該給紙カセット30内に媒体としての図示されない用紙が収容される。前記給紙カセット30の前端に隣接させて、用紙を1枚ずつ分離させて給紙するための給紙機構が配設される。該給紙機構は、給紙ローラ31及び分離ローラ32を備え、給紙機構によって給紙された用紙は、搬送ローラ33に送られ、更に搬送ローラ34に送られた後、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像を形成する画像形成ユニット(IDユニット)10Bk、10Y、10M、10Cに供給される。
【0012】
該各画像形成ユニット10Bk、10Y、10M、10Cには、像担持体としての感光体ドラム12Bk、12Y、12M、12Cが配設され、該各感光体ドラム12Bk、12Y、12M、12Cの表面を露光して潜像としての静電潜像を形成するための露光装置としてのLEDヘッド27Bk、27Y、27M、27Cが、各画像形成ユニット10Bk、10Y、10M、10Cに隣接させて、かつ、各感光体ドラム12Bk、12Y、12M、12Cと対向させて配設される。なお、露光装置としてLEDヘッド27Bk、27Y、27M、27Cに代えて図示されないレーザを使用することができる。
【0013】
また、前記各画像形成ユニット10Bk、10Y、10M、10Cに沿って、転写ユニットが配設され、該転写ユニットは、第1の回転体としての駆動ローラr1、第2の回転体としての従動ローラr2、前記駆動ローラr1と従動ローラr2とによって張設され、走行自在に配設された搬送部材としての搬送ベルト57、及び該搬送ベルト57を挟み、前記感光体ドラム12Bk、12Y、12M、12Cと対向させて配設された転写部材としての転写ローラ24Bk、24Y、24M、24Cを備える。なお、画像形成ユニット10Bk、10Y、10M、10C、LEDヘッド27Bk、27Y、27M、27C及び転写ローラ24Bk、24Y、24M、24Cによって、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像形成部が形成される。
【0014】
次に、前記用紙は、前記搬送ベルト57が矢印方向に走行させられるのに伴って搬送され、画像形成ユニット10Bk、10Y、10M、10Cと転写ローラ24Bk、24Y、24M、24Cとの間の各転写部において、前記各転写ローラ24Bk、24Y、24M、24Cは、各画像形成ユニット10Bk、10Y、10M、10Cにおいて形成された各色の現像剤像としてのトナー像を、用紙に順次重ねて転写し、カラーのトナー像を形成する。
【0015】
続いて、用紙は、定着装置としての定着器36に送られ、該定着器36においてカラーのトナー像が用紙に定着させられ、カラーの画像が形成される。そして、定着器36から排出された用紙は、搬送ローラ37によって搬送された後、排出ローラ38によってプリンタ外に排出される。
【0016】
また、給紙不良等によって搬送ベルト35上に現像剤としての図示されないトナーが付着した場合は、転写ベルトクリーニング装置45によって除去され、除去されたトナーはトナー回収容器46に回収される。
【0017】
そして、41は外部環境検出部であり、該外部環境検出部41は、外気に接して、かつ、内部の影響を受けない位置、本実施の形態においては、プリンタの前面の操作パネル39内に配設され、プリンタの本体、すなわち、装置本体外の温度を表す装置外温度、及び装置本体外の湿度を表す装置外湿度を検出する。なお、本実施の形態において、外部環境検出部41は、操作パネル39内に配設されるようになっているが、外気に接して、かつ、内部の影響を受けない位置であれば、いずれの位置に配設することができる。
【0018】
また、42は内部温度検出部であり、該内部温度検出部42は、プリンタ内に、搬送ベルト57に接触させて、かつ、駆動ローラr1と対向させて配設され、装置本体内の温度を表す装置内温度を検出する。本実施の形態において、内部温度検出部42は、定着器36からの熱の影響を受けないように遮蔽板43によって遮蔽される。なお、本実施の形態において、内部温度検出部42は、搬送ベルト57に接触させて、かつ、駆動ローラr1と対向させて配設されるようになっているが、装置本体内における定着器36からの熱の影響を受けない位置であれば、いずれの位置に配設することができる。
【0019】
本実施の形態において、外部環境検出部41としては「MSM3103J375J」及び「HIS−05−N」(北陸電気工業製)が、内部温度検出部42としては「103ET−1」(石塚電子製)が使用される。
【0020】
次に、前記構成の画像形成部について説明する。なお、各色の画像形成部の構造は同じであるので、ブラックの画像形成部についてだけ説明する。
【0021】
図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成部の要部を示す断面図である。
【0022】
画像形成ユニット10Bkは、画像形成ユニット10Bkの本体、すなわち、画像形成ユニット本体、及び該画像形成ユニット本体に対して着脱自在に配設され、トナーを収容する現像剤カートリッジとしてのトナーカートリッジ21を備える。該トナーカートリッジ21の底壁に開口部22が形成され、前記画像形成ユニット本体は、前記開口部22を介してトナーカートリッジ21から落下し、供給されたトナーを貯蔵室20に収容する。なお、前記画像形成ユニット10Bk外であり、感光体ドラム12Bkより上方にLEDヘッド27Bkが、前記感光体ドラム12Bkより下方に転写ローラ24Bkが配設される。
【0023】
前記画像形成ユニット本体は、感光体ドラム12Bk、該感光体ドラム12Bkに一定の圧力で当接させて配設され、感光体ドラム12Bkと同じ矢印方向に回転させられ、感光体ドラム12Bkの表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ13、感光体ドラム12Bkに一定の圧力で当接させて配設され、トナーを保持するとともに、該トナーを回転に伴って感光体ドラム12Bkに付着させて静電潜像を現像し、トナー像を形成する現像剤担持体としての現像ローラ16、該現像ローラ16と接触させて配設され、現像ローラ16にトナーを供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ18、先端を前記現像ローラ16と当接させて配設され、現像ローラ16上に供給されたトナーを均一に薄層化する現像剤規制部材としての現像ブレード17、トナー像の転写後に感光体ドラム12Bkに残留したトナーを除去するクリーニング部材としてのクリーニングブレード19、貯蔵室20内のトナーを攪拌する攪拌バー26等を備える。
【0024】
前記感光体ドラム12Bkは、導電性材料から成る支持体上に、光導電層を被覆することによって形成され、支持体はアルニミウム製の金属パイプによって形成され、光導電層は、支持体上に形成された電荷発生層、及び電荷発生層上に形成された電荷輸送層から成る有機系感光体から成る。
【0025】
また、前記帯電ローラ13、現像ローラ16及びトナー供給ローラ18は、シリコーン樹脂又はウレタン樹脂によって形成される。そして、前記トナー供給ローラ18は、発泡体としての発泡弾性体によって形成され、表面に凹部から成る複数のセルが形成される。なお、トナー供給ローラ18、攪拌バー26等によって現像剤供給ローラアッセンブリ31が構成され、前記現像ローラ16、トナー供給ローラ18及び現像ブレード17によって現像器が構成される。
【0026】
また、現像ローラ16と当接させてシール用の帯状体としての熱可塑性ウレタン製のフィルム23が長手方向に延在させて配設され、貯蔵室20内のトナーが感光体ドラム12側に漏れないようになっている。なお、57は搬送ベルトである。
【0027】
前記クリーニングブレード19は、エッジ部を感光体ドラム12Bkに一定の圧力で当接させて配設され、クリーニングブレード19によって掻き取られたトナーは、廃トナー搬送スパイラルによって搬送され、更に廃トナー搬送ベルトによって搬送され、トナーカートリッジ21に形成された廃トナー収容室に収容される。
【0028】
前記画像形成ユニット本体は、第1のケースとしてのベースフレーム14及び第2のケースとしてのアッパフレーム15を備え、前記ベースフレーム14によって、感光体ドラム12Bk、帯電ローラ13、現像ローラ16、クリーニングブレード19等が支持される。また、ベースフレーム14の底面に現像ローラ16の下部と当接させて、両面接着テープを介して前記フィルム23が取り付けられる。
【0029】
前記構成の画像形成ユニット10Bkにおいて、印刷時に、現像ローラ16及びトナー供給ローラ18は、現像剤供給用の駆動部としての図示されない駆動モータによっていずれも反時計回りに、かつ、各周速度に一定の差を付けて回転させられ、トナー供給ローラ18によって現像ローラ16にトナーが供給される。そして、現像ローラ16に供給されたトナーは、現像ローラ16の回転に伴って現像ローラ16と現像ブレード17との接触部に送られ、現像ブレード17によって余剰のトナーが掻き落とされ、薄層化され、その後、現像ローラ16の回転に伴って感光体ドラム12Bkに送られる。
【0030】
一方、該感光体ドラム12Bkは、画像形成用の駆動部としての図示されないドラムモータを駆動することによって、時計回り(矢印方向)に回転させられ、感光体ドラム12Bkの回転に伴って、該感光体ドラム12Bkの表面は、帯電ローラ13によって一様に帯電させられ、LEDヘッド27Bkによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像に前記現像ローラ16上のトナーが静電的に付着させられて、一成分現像方式によって現像が行われ、トナー像が形成される。
【0031】
次に、プリンタの制御装置について説明する。
【0032】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【0033】
図に示されるように、制御部40は、外部環境検出部41及び内部温度検出部42の検出結果に基づいて印加電圧を制御する電圧制御部40aを備える。
【0034】
次に、装置内温度と汚れ印字との関係について説明する。この場合、汚れ印字は、画像が形成されない部分である非画像部分としての非印字部分にトナーが付着したり、ハーフトーン印字部に必要以上のトナーが付着して、濃度が高くなったりすることを表す。
【0035】
通常、帯電ローラ13(図3)によって帯電させられる感光体ドラム12Bkの表面の電位を帯電電位としたとき、現像ローラ16に印加される電圧(以下「現像電圧」という。)と現像ローラ16上のトナーが帯電させられた電位(以下「トナー電位」という。)との和の電位が前記帯電電位に対して低いので、前記非印字部分においてはトナーは付着せず、現像ローラ16上に残る。
【0036】
ところが、現像ローラ16上のトナーの帯電量が多くなると、それに伴って、トナー電位が高くなり、現像電圧とトナー電位との和の電位が帯電電位に対して高くなり、非印字部分にトナーが付着してしまう。なお、本実施の形態におけるプリンタにおいて、前記帯電電位、現像電圧及びトナー供給ローラ18に印加される電圧(以下「供給電圧」という。)は負の値を採り、電圧が高いとは負の方向において絶対値が大きいことを表し、電圧が低いとは負の方向において絶対値が小さいことを表す。
【0037】
次に、装置内温度、装置外温度、トナー電位、供給電圧等を変化させたときの印字状態について説明する。
【0038】
なお、汚れ印字の程度、すなわち、汚れの度合いを10段階で評価し、汚れの度合いが大きいほど値が小さくなるように、汚れの度合いが小さいほど値が大きくなるように、汚れレベルを定義する。そして、汚れレベル10を汚れなしとし、汚れレベル9をハーフトーン印字部分の濃度がわずかに高くなる程度とし、汚れ印字が発生する境界を汚れ発生境界としたとき、本実施の形態において、汚れ発生境界はすべて汚れレベル9とする。
【0039】
また、画像に発生するかすれを表す白抜けの度合いを10段階で評価し、白抜けの度合いが大きいほど値が小さくなるように、白抜けの度合いが小さいほど値が大きくなるように、かすれレベルを定義する。
【0040】
まず、装置外環境を異ならせたときの汚れ印字の発生状態について説明する。
【0041】
図4は本発明の第1の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す第1の図である。なお、図において、横軸に装置内温度を、縦軸にトナー電位を採ってある。
【0042】
図から分かるように、装置内温度が高くなるのに従ってトナー電位が高くなる。また、装置外環境を表す装置外温度及び装置外湿度の違いによってトナー電位は変化する。そして、装置外温度が24〔℃〕であり、装置外湿度が50〔%〕である装置外環境、及び装置外温度が28〔℃〕であり、装置外湿度が80〔%〕である装置外環境においては、装置内温度が高くなるのに従ってトナー電位が一次関数的に高くなるが、汚れ印字の発生はない。
【0043】
これに対して、装置外温度が32〔℃〕であり、装置外湿度が20〔%〕である装置外環境、及び装置外温度が28〔℃〕であり、装置外湿度が40〔%〕である装置外環境においては、装置内温度が高くなって、44〔℃〕になると急激にトナー電位が高くなり、44〔℃〕以上になると汚れ印字が発生する。
【0044】
同様に、装置外温度を28〔℃〕以上の各温度とし、装置外湿度を40〔%〕以下の各湿度とし、装置内温度を40〔%〕以上の各温度としたときも、装置内温度が44〔℃〕になると急激にトナー電位が高くなり、44〔℃〕以上になると汚れ印字が発生することが分かる。
【0045】
次に、装置内温度を上昇させたり、下降させたりしたときの汚れ印字の発生状態について説明する。
【0046】
図5は本発明の第1の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す第2の図である。なお、図において、横軸に装置内温度を、縦軸にトナー電位を採ってある。また、装置外温度を32〔℃〕とし、装置外湿度を20〔%〕とする。
【0047】
図に示されるように、装置内温度が上昇するときは、トナー電位が43〔℃〕以上になるまで汚れ印字が発生しないのに対して、装置内温度が下降するときは、トナー電位が一次関数的に低くなり、装置内温度が44〔℃〕以下になっても汚れ印字が発生し、40〔℃〕未満になると汚れ印字が発生しなくなる。
【0048】
そこで、汚れ印字が発生するのを抑制する方法として、現像電圧VDBと供給電圧VS B との差VSB−VDB(以下「現像供給電圧差」という。)を小さくすることが考えられる。通常、供給電圧は現像電圧より高く、例えば、現像電圧が−170〔V〕に、供給電圧が−250〔V〕に設定され、このときの現像供給電圧差は−80〔V〕になる。
【0049】
次に、現像供給電圧差を変化させたときのかすれ及び汚れ印字の発生状態について説明する。
【0050】
図6は本発明の第1の実施の形態におけるかすれの発生状態を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるかすれ及び汚れ印字の発生状態を示す図である。なお、図において、横軸に現像供給電圧差を、縦軸にトナー電位及びかすれレベルを採ってある。また、図6において、装置外温度を32〔℃〕とし、装置外湿度を20〔%〕とし、装置内温度を35〔℃〕とし、図7において、装置外温度を28〔℃〕とし、装置外湿度を40〔%〕とし、装置内温度を45〔℃〕とする。
【0051】
図から、装置内温度が35〔℃〕及び45〔℃〕のいずれの場合も、現像供給電位差が−80〔V〕以上においてかすれが発生しないことが分かる。
【0052】
そして、図6に示されるように、かすれの発生しない現像供給電位差が−80〔V〕以上の範囲において、トナー電位が−100〔V〕より低い限り、図4から汚れ印字が発生しないことが分かる。
【0053】
また、装置内温度が45〔℃〕である場合、かすれの発生しない現像供給電位差(−80〔V〕以上)であっても、現像供給電位差が−70〔V〕以上でトナー電位が−100〔V〕以上であることによって、図4から汚れ印字が発生することが分かる。すなわち、装置内温度が35〔℃〕である場合と同じ範囲に収まっても、汚れ印字が発生してしまう。
【0054】
この場合、現像供給電圧差を−70〔V〕未満にしてトナー電位を低くすると、汚れ印字が発生するのを抑制することができるが、図7に示されるように、現像供給電圧差が−80〔V〕未満になるとかすれが発生する。
【0055】
本実施の形態においては、汚れ印字及びかすれのいずれもが発生する場合、かすれの発生を許容し、汚れ印字が発生するのを抑制することが求められることから、装置外温度が所定の閾値である28〔℃〕以上であり、装置外湿度が所定の閾値である40〔%〕以下であり、装置内温度が下降するときに汚れ印字が発生する装置内温度が所定の閾値である40〔℃〕以上である場合に、現像供給電圧差を設定された値だけ小さくするのが好ましい。
【0056】
図8は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【0057】
まず、印刷データを受信すると、電圧制御部40a(図1)の図示されない電圧設定処理手段は、電圧設定処理を行い、通常の現像電圧及び現像供給電圧差を設定するとともに、現像電圧と現像供給電圧差とを加算することによって供給電圧を算出し、設定する。次に、電圧制御部40aの図示されない環境条件判定処理手段は、環境条件判定処理を行い、外部環境検出部41によって検出された装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下であるかどうかを判断し、装置外温度が28〔℃〕以上でない(未満である)か、又は装置外湿度が40〔%〕以下でない(より高い)場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、制御部40の図示されない画像形成処理手段は、画像形成処理を行い、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0058】
また、装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下である場合は、前記環境条件判定処理手段は、内部温度検出部42によって検出された装置内温度が40〔℃〕以上であるかどうかを判断する。そして、装置内温度が40〔℃〕以上でない場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。また、装置内温度が40〔℃〕以上である場合、前記電圧設定処理手段は、現像供給電圧差を補正値によって変更し、供給電圧を再び算出して設定し、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0059】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 印刷データを受信する。
ステップS2 現像電圧、現像供給電圧差及び供給電圧を設定する。
ステップS3 装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下であるかどうかを判断する。装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下である場合はステップS4に、装置外温度が28〔℃〕以上でないか、又は装置外湿度が40〔%〕以下でない場合はステップS6に進む。
ステップS4 装置内温度が40〔℃〕以上であるかどうかを判断する。装置内温度が40〔℃〕以上である場合はステップS5に、装置内温度が40〔℃〕以上でない場合はステップS6に進む。
ステップS5 現像供給電圧差を変更する。
ステップS6 印刷を行い、処理を終了する。
【0060】
なお、本実施の形態においては、最初の電圧設定処理において、現像電圧を−170〔V〕とし、供給電圧を−250〔V〕とし、現像供給電圧差−80〔V〕とし、装置内温度が40〔℃〕以上である場合、現像供給電圧差を絶対値で40〔V〕小さくして、−40〔V〕とし、現像電圧を−170〔V〕とし、供給電圧を−210〔V〕とする。
【0061】
図9は本発明の第1の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す第3の図である。なお、図において、横軸に装置内温度を、縦軸にトナー電位を採ってある。また、装置外温度を32〔℃〕とし、装置外湿度を20〔%〕とする。
【0062】
図に示されるように、現像供給電圧差を変更する制御を行わない場合は、装置内温度の上昇時に、装置内温度が44〔℃〕より高くなると、汚れ印字が発生するのに対して、制御を行う場合は、装置内温度が40〔℃〕以上でトナー電位が低くなるので、汚れ印字は発生しない。また、装置内温度の下降時においても、汚れ印字は発生しない。
【0063】
このように、本実施の形態においては、装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下であり、装置内温度が40〔℃〕以上である環境条件である場合だけ、現像供給電圧差を通常の設定から変更して小さくすることによって、汚れ印字が発生するのを抑制することができる。なお、前記環境条件以外においては、現像供給電圧差をかすれが発生しない設定としているので、かすれの発生状態が悪化することはない。したがって、プリンタの画像品位を向上させることができる。
【0064】
ところで、前記第1の実施の形態においては、印刷データを電圧制御部40aが受信するたびに、外部環境検出部41及び内部温度検出部42の検出結果に基づいて現像供給電圧差が補正されるようになっている。
【0065】
そこで、外部環境検出部41及び内部温度検出部42の検出結果によって、一度、現像供給電圧差の補正を行うと、その後、印刷データを受信した場合は、装置内温度だけを検出し、補正を開始したときの装置内温度が所定の値だけ低くなるまで、現像供給電圧差の補正を解除しないようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0066】
図10は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第1のフローチャート、図11は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第2のフローチャートである。
【0067】
なお、本実施の形態においては、図7に示される結果から現像供給電圧差の補正を開始する装置内温度を44〔℃〕以上とし、補正を解除する温度を39〔℃〕以下とする制御を行う。
【0068】
まず、印刷データを受信すると、電圧制御部40aの前記電圧設定処理手段は、通常の現像電圧及び現像供給電圧差を設定するとともに、現像電圧と現像供給電圧差とを加算することによって供給電圧を算出し、設定する。次に、電圧制御部40aの前記環境条件判定処理手段は、外部環境検出部41によって検出された装置外温度が所定の閾値である28〔℃〕以上であり、装置外湿度が所定の閾値である40〔%〕以下であるかどうかを判断し、装置外温度が28〔℃〕以上でないか、又は装置外湿度が40〔%〕以下でない場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、制御部40の前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0069】
また、装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下である場合は、前記環境条件判定処理手段は、内部温度検出部42によって検出された装置内温度が第1の閾値である44〔℃〕以上であるかどうかを判断する。そして、装置内温度が44〔℃〕以上でない場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。また、装置内温度が44〔℃〕以上である場合、前記電圧設定処理手段は、現像供給電圧差を補正値によって変更し、供給電圧を再び算出して設定し、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0070】
続いて、現像供給電圧差を変更した後、次の印刷データを受信すると、前記電圧設定処理手段は、補正後の現像電圧及び現像供給電圧差を設定するとともに、現像電圧と現像供給電圧差とを加算することによって供給電圧を算出し、設定する。
【0071】
次に、前記環境条件判定処理手段は、内部温度検出部42によって検出された装置内温度が第2の閾値である39〔℃〕以下であるかどうかを判断する。そして、装置内温度が39〔℃〕以下でない場合、前記画像形成処理手段は、補正後の現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。そして、装置内温度が39〔℃〕以下である場合、前記電圧設定処理手段は、現像供給電圧差の補正を解除し、通常の現像供給電圧差に基づいて供給電圧を算出し、設定し、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0072】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 印刷データを受信する。
ステップS12 現像電圧、現像供給電圧差及び供給電圧を設定する。
ステップS13 装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下であるかどうかを判断する。装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下である場合はステップS14に、装置外温度が28〔℃〕以上でないか、又は装置外湿度が40〔%〕以下でない場合はステップS15に進む。
ステップS14 装置内温度が44〔℃〕以上であるかどうかを判断する。装置内温度が44〔℃〕以上である場合はステップS17に、装置内温度が44〔℃〕以上でない場合はステップS15に進む。
ステップS15 印刷を行う。
ステップS16 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS11に戻り、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
ステップS17 現像供給電圧差を変更する。
ステップS18 印刷を行う。
ステップS19 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS20に進み、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
ステップS20 印刷データを受信する。
ステップS21 現像電圧、現像供給電圧差及び供給電圧を設定する。
ステップS22 装置内温度が39〔℃〕以下であるかどうかを判断する。装置内温度が39〔℃〕以下である場合はステップS25に、装置内温度が39〔℃〕以下でない場合はステップS23に進む。
ステップS23 印刷を行う。
ステップS24 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS20に戻り、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
ステップS25 現像供給電圧差を変更する。
ステップS26 印刷を行う。
ステップS27 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS11に戻り、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
【0073】
なお、本実施の形態においては、最初の電圧設定処理において、現像電圧を−170〔V〕とし、供給電圧を−250〔V〕とし、現像供給電圧差−80〔V〕とし、装置内温度が40〔℃〕以上である場合、現像供給電圧差を絶対値で40〔V〕小さくして、−40〔V〕とし、現像電圧を−170〔V〕とし、供給電圧を−210〔V〕とする。
【0074】
図12は本発明の第2の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す図である。なお、図において、横軸に装置内温度を、縦軸にトナー電位を採ってある。また、装置外温度を32〔℃〕とし、装置外湿度を20〔%〕とする。
【0075】
図に示されるように、現像供給電圧差を変更する制御を行う場合は、装置内温度の上昇時に、トナー電位が低いので、汚れ印字が発生しないことが分かる。
【0076】
図13は本発明の第2の実施の形態におけるかすれの発生状態を示す図である。なお、図において、横軸に装置内温度を、縦軸にかすれレベルを採ってある。
【0077】
図に示されるように、装置内温度の上昇時におけるかすれレベルから、通常の現像供給電圧差においては、前記第1、第2の実施の形態のいずれにおいても、かすれレベルは10であるが、第1の実施の形態においては、40〔℃〕以上になると、現像供給電圧差が小さくされるので、かすれレベルは、装置内温度が40〔℃〕以上、かつ、44〔℃〕未満になると、7になり、44〔℃〕以上になると、8になる。
【0078】
ところが、第2の実施の形態において、かすれレベルは、44〔℃〕未満において10であり、44〔℃〕以上になると8になる。したがって、第2の実施の形態は第1の実施の形態と比較してかすれの発生状態が悪化する装置内温度を高くすることができ、かすれの発生を抑制することができる。
【0079】
また、装置内温度の下降時に、第2の実施の形態においては39〔℃〕以下で、第1の実施の形態においては40〔℃〕未満で通常の現像供給電圧差にされるので、第1の実施の形態における装置内温度の上昇時とかすれレベルを同じにすることができる。
【0080】
このように、本実施の形態においては、装置内温度の上昇時及び下降時のそれぞれの汚れ印字が発生する温度から現像供給電圧差を補正することができるので、補正範囲を狭くすることができる。したがって、汚れ印字が発生するのを抑制することができ、かつ、かすれの発生状態が悪化する温度を高くすることができる。
【0081】
ところで、装置内温度の上昇時に、用紙1枚当たりの画像の面積の割合いを平均印刷面積率としたとき、表1に示されるように、平均印刷面積率が低く、5〔%〕未満、例えば、1.5〔%〕である場合、汚れ印字が発生し、5〔%〕以上である場合、汚れ印字が発生しない。
【0082】
【表1】
【0083】
そこで、平均印刷面積率が、所定の閾値、本実施の形態においては5〔%〕未満である場合に、現像供給電圧差を補正するようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1、第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0084】
図14は本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【0085】
図に示されるように、制御部40は、外部環境検出部41及び内部温度検出部42の検出結果に基づいて印加電圧を制御する電圧制御部40a、印刷指示があったときに、印刷枚数をカウントする画像形成量計数部としての印刷枚数カウンタ40b、並びにドット単位で露光装置としてのLEDヘッド27Bk(図2)、27Y、27M、27Cの露光ドット数をカウントする露光量計数部としての露光ドット数カウンタ40cを備える。
【0086】
ところで、平均印刷面積率は、印刷枚数の累積値を表す累積印刷枚数によって、露光ドット数の累積値を表す累積露光ドット数を除算することによって表される平均露光ドット数と等しい。そして、A4判のサイズの媒体としての図示されない用紙に対して、5〔%〕の平均印刷面積率で印刷を行う場合、露光ドット数は792×8192となる。そこで、本実施の形態においては、平均露光ドット数が所定の閾値としての792×8192未満である場合に、現像供給電圧差を補正するようにしている。
【0087】
図15は本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第1のフローチャート、図16は本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第2のフローチャートである。
【0088】
まず、印刷データを受信すると、電圧制御部40a(図14)の前記電圧設定処理手段は、通常の現像電圧及び現像供給電圧差を設定するとともに、現像電圧と現像供給電圧差とを加算することによって供給電圧を算出し、設定する。次に、電圧制御部40aの図示されない平均印刷面積率算出処理手段は、平均印刷面積率算出処理を行い、露光ドット数カウンタ40cによるカウント値及び印刷枚数カウンタ40bによるカウント値を読み込み、平均露光ドット数を算出し、電圧制御部40aの図示されない平均印刷面積率判定処理手段は、平均印刷面積率判定処理を行い、平均露光ドット数が792×8192未満であるかどうかを判断する。
【0089】
平均露光ドット数が792×8192未満でない(以上である)場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、制御部40の前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0090】
一方、平均露光ドット数が792×8192未満である場合、電圧制御部40aの前記環境条件判定処理手段は、外部環境検出部41によって検出された装置外温度が所定の閾値である28〔℃〕以上であり、装置外湿度が所定の閾値である40〔%〕以下であるかどうかを判断し、装置外温度が28〔℃〕以上でないか、又は装置外湿度が40〔%〕以下でない場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0091】
また、装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下である場合は、前記環境条件判定処理手段は、内部温度検出部42によって検出された装置内温度が第1の閾値である44〔℃〕以上であるかどうかを判断する。そして、装置内温度が44〔℃〕以上でない場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。一方、装置内温度が44〔℃〕以上である場合、前記電圧設定処理手段は、現像供給電圧差を補正値によって変更し、供給電圧を再び算出して設定し、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0092】
続いて、現像供給電圧差を変更した後、次の印刷データを受信すると、前記電圧設定処理手段は、補正後の現像電圧及び現像供給電圧差を設定するとともに、現像電圧と現像供給電圧差とを加算することによって供給電圧を算出し、設定する。
【0093】
次に、前記平均印刷面積率算出処理手段は、露光ドット数カウンタ40cによるカウント値及び印刷枚数カウンタ40bによるカウント値を読み込み、平均露光ドット数を再び算出し、前記平均印刷面積率判定処理手段は、平均露光ドット数が792×8192未満であるかどうかを判断する。
【0094】
平均露光ドット数が792×8192未満でない場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0095】
一方、平均露光ドット数が792×8192未満である場合、前記環境条件判定処理手段は、内部温度検出部42によって検出された装置内温度が第2の閾値である39〔℃〕以下であるかどうかを判断する。そして、装置内温度が39〔℃〕より高い場合、前記画像形成処理手段は、補正後の現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。そして、装置内温度が39〔℃〕以下である場合、前記電圧設定処理手段は、現像供給電圧差の補正を解除し、通常の現像供給電圧差に基づいて供給電圧を算出し、設定し、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0096】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS31 印刷データを受信する。
ステップS32 現像電圧、現像供給電圧差及び供給電圧を設定する。
ステップS33 平均露光ドット数が792×8192未満であるかどうかを判断する。平均露光ドット数が792×8192未満である場合はステップS34に、792×8192未満でない場合はステップS36に進む。
ステップS34 装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下であるかどうかを判断する。装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下である場合はステップS35に、装置外温度が28〔℃〕以上でないか、又は装置外湿度が40〔%〕以下でない場合はステップS36に進む。
ステップS35 装置内温度が44〔℃〕以上であるかどうかを判断する。装置内温度が44〔℃〕以上である場合はステップS38に、装置内温度が44〔℃〕以上でない場合はステップS36に進む。
ステップS36 印刷を行う。
ステップS37 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS31に戻り、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
ステップS38 現像供給電圧差を変更する。
ステップS39 印刷を行う。
ステップS40 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS41に進み、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
ステップS41 印刷データを受信する。
ステップS42 現像電圧、現像供給電圧差及び供給電圧を設定する。
ステップS43 平均露光ドット数が792×8192未満であるかどうかを判断する。平均露光ドット数が792×8192未満である場合はステップS44に、792×8192未満でない場合はステップS45に進む。
ステップS44 装置内温度が39〔℃〕以下であるかどうかを判断する。装置内温度が39〔℃〕以下である場合はステップS47に、装置内温度が39〔℃〕以下でない場合はステップS45に進む。
ステップS45 印刷を行う。
ステップS46 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS41に戻り、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
ステップS47 現像供給電圧差の補正を解除する。
ステップS48 印刷を行う。
ステップS49 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS31に戻り、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
【0097】
このように、本実施の形態においては、通常の現像供給電圧差をかすれが発生しない値に設定し、平均印刷面積率が、汚れ印字が発生しない値、すなわち、5〔%〕以上である場合は、現像供給電圧差を補正する必要がないので、制御を簡素化することができる。
【0098】
前記各実施の形態においては、画像形成装置としてのプリンタに適用した例について説明しているが、本発明を、複写機、ファクシミリ装置、複合機等に適用することができる。
【0099】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における画像形成部の要部を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す第1の図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す第2の図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるかすれの発生状態を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるかすれ及び汚れ印字の発生状態を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す第3の図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第1のフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第2のフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態におけるかすれの発生状態を示す図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第1のフローチャートである。
【図16】本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第2のフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
12Bk、12Y、12M、12C 感光体ドラム
16 現像ローラ
18 トナー供給ローラ
27Bk、27Y、27M、27C LEDヘッド
40a 電圧制御部
40b 印刷枚数カウンタ
40c 露光ドット数カウンタ
41 外部環境検出部
42 内部温度検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタにおいては、感光体ドラムの表面が、帯電ローラによって帯電させられ、LEDヘッドによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像に現像ローラ上で薄層化されたトナーが静電的に付着させられてトナー像が形成され、該トナー像を転写ローラによって用紙上に転写し、画像を形成するようになっている。また、転写後に前記感光体ドラム上に残留したトナーは、クリーニングブレードによって除去される。
【0003】
この場合、プリンタを出荷する際の温度、湿度等の初期の環境条件に対応させて、画像形成のプロセスが設定される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−108089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、環境条件が変化するのに伴って、汚れ印字が発生することがあり、その場合、画像品位が低下してしまう。
【0005】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、画像品位を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の画像形成装置においては、像担持体と、該像担持体に形成された潜像を現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、画像形成装置の装置外温度及び装置外湿度を検出する外部環境検出部と、前記画像形成装置の装置内温度を検出する内部温度検出部と、前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上であるかどうかを判断する環境条件判定処理手段と、前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上である場合、現像電圧と供給電圧との差を表す現像供給電圧差を補正し、小さくする電圧設定処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置においては、像担持体と、該像担持体に形成された潜像を現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、画像形成装置の装置外温度及び装置外湿度を検出する外部環境検出部と、前記画像形成装置の装置内温度を検出する内部温度検出部と、前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上であるかどうかを判断する環境条件判定処理手段と、前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上である場合、現像電圧と供給電圧との差を表す現像供給電圧差を補正し、小さくする電圧設定処理手段とを有する。
【0008】
この場合、装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上である場合、現像供給電圧差が補正され、小さくされるので、汚れ印字が発生するのを抑制することができる。したがって、画像形成装置の画像品位を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0010】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【0011】
図に示されるように、プリンタの下部に媒体収容部としての給紙カセット30が配設され、該給紙カセット30内に媒体としての図示されない用紙が収容される。前記給紙カセット30の前端に隣接させて、用紙を1枚ずつ分離させて給紙するための給紙機構が配設される。該給紙機構は、給紙ローラ31及び分離ローラ32を備え、給紙機構によって給紙された用紙は、搬送ローラ33に送られ、更に搬送ローラ34に送られた後、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像を形成する画像形成ユニット(IDユニット)10Bk、10Y、10M、10Cに供給される。
【0012】
該各画像形成ユニット10Bk、10Y、10M、10Cには、像担持体としての感光体ドラム12Bk、12Y、12M、12Cが配設され、該各感光体ドラム12Bk、12Y、12M、12Cの表面を露光して潜像としての静電潜像を形成するための露光装置としてのLEDヘッド27Bk、27Y、27M、27Cが、各画像形成ユニット10Bk、10Y、10M、10Cに隣接させて、かつ、各感光体ドラム12Bk、12Y、12M、12Cと対向させて配設される。なお、露光装置としてLEDヘッド27Bk、27Y、27M、27Cに代えて図示されないレーザを使用することができる。
【0013】
また、前記各画像形成ユニット10Bk、10Y、10M、10Cに沿って、転写ユニットが配設され、該転写ユニットは、第1の回転体としての駆動ローラr1、第2の回転体としての従動ローラr2、前記駆動ローラr1と従動ローラr2とによって張設され、走行自在に配設された搬送部材としての搬送ベルト57、及び該搬送ベルト57を挟み、前記感光体ドラム12Bk、12Y、12M、12Cと対向させて配設された転写部材としての転写ローラ24Bk、24Y、24M、24Cを備える。なお、画像形成ユニット10Bk、10Y、10M、10C、LEDヘッド27Bk、27Y、27M、27C及び転写ローラ24Bk、24Y、24M、24Cによって、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像形成部が形成される。
【0014】
次に、前記用紙は、前記搬送ベルト57が矢印方向に走行させられるのに伴って搬送され、画像形成ユニット10Bk、10Y、10M、10Cと転写ローラ24Bk、24Y、24M、24Cとの間の各転写部において、前記各転写ローラ24Bk、24Y、24M、24Cは、各画像形成ユニット10Bk、10Y、10M、10Cにおいて形成された各色の現像剤像としてのトナー像を、用紙に順次重ねて転写し、カラーのトナー像を形成する。
【0015】
続いて、用紙は、定着装置としての定着器36に送られ、該定着器36においてカラーのトナー像が用紙に定着させられ、カラーの画像が形成される。そして、定着器36から排出された用紙は、搬送ローラ37によって搬送された後、排出ローラ38によってプリンタ外に排出される。
【0016】
また、給紙不良等によって搬送ベルト35上に現像剤としての図示されないトナーが付着した場合は、転写ベルトクリーニング装置45によって除去され、除去されたトナーはトナー回収容器46に回収される。
【0017】
そして、41は外部環境検出部であり、該外部環境検出部41は、外気に接して、かつ、内部の影響を受けない位置、本実施の形態においては、プリンタの前面の操作パネル39内に配設され、プリンタの本体、すなわち、装置本体外の温度を表す装置外温度、及び装置本体外の湿度を表す装置外湿度を検出する。なお、本実施の形態において、外部環境検出部41は、操作パネル39内に配設されるようになっているが、外気に接して、かつ、内部の影響を受けない位置であれば、いずれの位置に配設することができる。
【0018】
また、42は内部温度検出部であり、該内部温度検出部42は、プリンタ内に、搬送ベルト57に接触させて、かつ、駆動ローラr1と対向させて配設され、装置本体内の温度を表す装置内温度を検出する。本実施の形態において、内部温度検出部42は、定着器36からの熱の影響を受けないように遮蔽板43によって遮蔽される。なお、本実施の形態において、内部温度検出部42は、搬送ベルト57に接触させて、かつ、駆動ローラr1と対向させて配設されるようになっているが、装置本体内における定着器36からの熱の影響を受けない位置であれば、いずれの位置に配設することができる。
【0019】
本実施の形態において、外部環境検出部41としては「MSM3103J375J」及び「HIS−05−N」(北陸電気工業製)が、内部温度検出部42としては「103ET−1」(石塚電子製)が使用される。
【0020】
次に、前記構成の画像形成部について説明する。なお、各色の画像形成部の構造は同じであるので、ブラックの画像形成部についてだけ説明する。
【0021】
図3は本発明の第1の実施の形態における画像形成部の要部を示す断面図である。
【0022】
画像形成ユニット10Bkは、画像形成ユニット10Bkの本体、すなわち、画像形成ユニット本体、及び該画像形成ユニット本体に対して着脱自在に配設され、トナーを収容する現像剤カートリッジとしてのトナーカートリッジ21を備える。該トナーカートリッジ21の底壁に開口部22が形成され、前記画像形成ユニット本体は、前記開口部22を介してトナーカートリッジ21から落下し、供給されたトナーを貯蔵室20に収容する。なお、前記画像形成ユニット10Bk外であり、感光体ドラム12Bkより上方にLEDヘッド27Bkが、前記感光体ドラム12Bkより下方に転写ローラ24Bkが配設される。
【0023】
前記画像形成ユニット本体は、感光体ドラム12Bk、該感光体ドラム12Bkに一定の圧力で当接させて配設され、感光体ドラム12Bkと同じ矢印方向に回転させられ、感光体ドラム12Bkの表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ13、感光体ドラム12Bkに一定の圧力で当接させて配設され、トナーを保持するとともに、該トナーを回転に伴って感光体ドラム12Bkに付着させて静電潜像を現像し、トナー像を形成する現像剤担持体としての現像ローラ16、該現像ローラ16と接触させて配設され、現像ローラ16にトナーを供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ18、先端を前記現像ローラ16と当接させて配設され、現像ローラ16上に供給されたトナーを均一に薄層化する現像剤規制部材としての現像ブレード17、トナー像の転写後に感光体ドラム12Bkに残留したトナーを除去するクリーニング部材としてのクリーニングブレード19、貯蔵室20内のトナーを攪拌する攪拌バー26等を備える。
【0024】
前記感光体ドラム12Bkは、導電性材料から成る支持体上に、光導電層を被覆することによって形成され、支持体はアルニミウム製の金属パイプによって形成され、光導電層は、支持体上に形成された電荷発生層、及び電荷発生層上に形成された電荷輸送層から成る有機系感光体から成る。
【0025】
また、前記帯電ローラ13、現像ローラ16及びトナー供給ローラ18は、シリコーン樹脂又はウレタン樹脂によって形成される。そして、前記トナー供給ローラ18は、発泡体としての発泡弾性体によって形成され、表面に凹部から成る複数のセルが形成される。なお、トナー供給ローラ18、攪拌バー26等によって現像剤供給ローラアッセンブリ31が構成され、前記現像ローラ16、トナー供給ローラ18及び現像ブレード17によって現像器が構成される。
【0026】
また、現像ローラ16と当接させてシール用の帯状体としての熱可塑性ウレタン製のフィルム23が長手方向に延在させて配設され、貯蔵室20内のトナーが感光体ドラム12側に漏れないようになっている。なお、57は搬送ベルトである。
【0027】
前記クリーニングブレード19は、エッジ部を感光体ドラム12Bkに一定の圧力で当接させて配設され、クリーニングブレード19によって掻き取られたトナーは、廃トナー搬送スパイラルによって搬送され、更に廃トナー搬送ベルトによって搬送され、トナーカートリッジ21に形成された廃トナー収容室に収容される。
【0028】
前記画像形成ユニット本体は、第1のケースとしてのベースフレーム14及び第2のケースとしてのアッパフレーム15を備え、前記ベースフレーム14によって、感光体ドラム12Bk、帯電ローラ13、現像ローラ16、クリーニングブレード19等が支持される。また、ベースフレーム14の底面に現像ローラ16の下部と当接させて、両面接着テープを介して前記フィルム23が取り付けられる。
【0029】
前記構成の画像形成ユニット10Bkにおいて、印刷時に、現像ローラ16及びトナー供給ローラ18は、現像剤供給用の駆動部としての図示されない駆動モータによっていずれも反時計回りに、かつ、各周速度に一定の差を付けて回転させられ、トナー供給ローラ18によって現像ローラ16にトナーが供給される。そして、現像ローラ16に供給されたトナーは、現像ローラ16の回転に伴って現像ローラ16と現像ブレード17との接触部に送られ、現像ブレード17によって余剰のトナーが掻き落とされ、薄層化され、その後、現像ローラ16の回転に伴って感光体ドラム12Bkに送られる。
【0030】
一方、該感光体ドラム12Bkは、画像形成用の駆動部としての図示されないドラムモータを駆動することによって、時計回り(矢印方向)に回転させられ、感光体ドラム12Bkの回転に伴って、該感光体ドラム12Bkの表面は、帯電ローラ13によって一様に帯電させられ、LEDヘッド27Bkによって露光されて静電潜像が形成され、該静電潜像に前記現像ローラ16上のトナーが静電的に付着させられて、一成分現像方式によって現像が行われ、トナー像が形成される。
【0031】
次に、プリンタの制御装置について説明する。
【0032】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【0033】
図に示されるように、制御部40は、外部環境検出部41及び内部温度検出部42の検出結果に基づいて印加電圧を制御する電圧制御部40aを備える。
【0034】
次に、装置内温度と汚れ印字との関係について説明する。この場合、汚れ印字は、画像が形成されない部分である非画像部分としての非印字部分にトナーが付着したり、ハーフトーン印字部に必要以上のトナーが付着して、濃度が高くなったりすることを表す。
【0035】
通常、帯電ローラ13(図3)によって帯電させられる感光体ドラム12Bkの表面の電位を帯電電位としたとき、現像ローラ16に印加される電圧(以下「現像電圧」という。)と現像ローラ16上のトナーが帯電させられた電位(以下「トナー電位」という。)との和の電位が前記帯電電位に対して低いので、前記非印字部分においてはトナーは付着せず、現像ローラ16上に残る。
【0036】
ところが、現像ローラ16上のトナーの帯電量が多くなると、それに伴って、トナー電位が高くなり、現像電圧とトナー電位との和の電位が帯電電位に対して高くなり、非印字部分にトナーが付着してしまう。なお、本実施の形態におけるプリンタにおいて、前記帯電電位、現像電圧及びトナー供給ローラ18に印加される電圧(以下「供給電圧」という。)は負の値を採り、電圧が高いとは負の方向において絶対値が大きいことを表し、電圧が低いとは負の方向において絶対値が小さいことを表す。
【0037】
次に、装置内温度、装置外温度、トナー電位、供給電圧等を変化させたときの印字状態について説明する。
【0038】
なお、汚れ印字の程度、すなわち、汚れの度合いを10段階で評価し、汚れの度合いが大きいほど値が小さくなるように、汚れの度合いが小さいほど値が大きくなるように、汚れレベルを定義する。そして、汚れレベル10を汚れなしとし、汚れレベル9をハーフトーン印字部分の濃度がわずかに高くなる程度とし、汚れ印字が発生する境界を汚れ発生境界としたとき、本実施の形態において、汚れ発生境界はすべて汚れレベル9とする。
【0039】
また、画像に発生するかすれを表す白抜けの度合いを10段階で評価し、白抜けの度合いが大きいほど値が小さくなるように、白抜けの度合いが小さいほど値が大きくなるように、かすれレベルを定義する。
【0040】
まず、装置外環境を異ならせたときの汚れ印字の発生状態について説明する。
【0041】
図4は本発明の第1の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す第1の図である。なお、図において、横軸に装置内温度を、縦軸にトナー電位を採ってある。
【0042】
図から分かるように、装置内温度が高くなるのに従ってトナー電位が高くなる。また、装置外環境を表す装置外温度及び装置外湿度の違いによってトナー電位は変化する。そして、装置外温度が24〔℃〕であり、装置外湿度が50〔%〕である装置外環境、及び装置外温度が28〔℃〕であり、装置外湿度が80〔%〕である装置外環境においては、装置内温度が高くなるのに従ってトナー電位が一次関数的に高くなるが、汚れ印字の発生はない。
【0043】
これに対して、装置外温度が32〔℃〕であり、装置外湿度が20〔%〕である装置外環境、及び装置外温度が28〔℃〕であり、装置外湿度が40〔%〕である装置外環境においては、装置内温度が高くなって、44〔℃〕になると急激にトナー電位が高くなり、44〔℃〕以上になると汚れ印字が発生する。
【0044】
同様に、装置外温度を28〔℃〕以上の各温度とし、装置外湿度を40〔%〕以下の各湿度とし、装置内温度を40〔%〕以上の各温度としたときも、装置内温度が44〔℃〕になると急激にトナー電位が高くなり、44〔℃〕以上になると汚れ印字が発生することが分かる。
【0045】
次に、装置内温度を上昇させたり、下降させたりしたときの汚れ印字の発生状態について説明する。
【0046】
図5は本発明の第1の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す第2の図である。なお、図において、横軸に装置内温度を、縦軸にトナー電位を採ってある。また、装置外温度を32〔℃〕とし、装置外湿度を20〔%〕とする。
【0047】
図に示されるように、装置内温度が上昇するときは、トナー電位が43〔℃〕以上になるまで汚れ印字が発生しないのに対して、装置内温度が下降するときは、トナー電位が一次関数的に低くなり、装置内温度が44〔℃〕以下になっても汚れ印字が発生し、40〔℃〕未満になると汚れ印字が発生しなくなる。
【0048】
そこで、汚れ印字が発生するのを抑制する方法として、現像電圧VDBと供給電圧VS B との差VSB−VDB(以下「現像供給電圧差」という。)を小さくすることが考えられる。通常、供給電圧は現像電圧より高く、例えば、現像電圧が−170〔V〕に、供給電圧が−250〔V〕に設定され、このときの現像供給電圧差は−80〔V〕になる。
【0049】
次に、現像供給電圧差を変化させたときのかすれ及び汚れ印字の発生状態について説明する。
【0050】
図6は本発明の第1の実施の形態におけるかすれの発生状態を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるかすれ及び汚れ印字の発生状態を示す図である。なお、図において、横軸に現像供給電圧差を、縦軸にトナー電位及びかすれレベルを採ってある。また、図6において、装置外温度を32〔℃〕とし、装置外湿度を20〔%〕とし、装置内温度を35〔℃〕とし、図7において、装置外温度を28〔℃〕とし、装置外湿度を40〔%〕とし、装置内温度を45〔℃〕とする。
【0051】
図から、装置内温度が35〔℃〕及び45〔℃〕のいずれの場合も、現像供給電位差が−80〔V〕以上においてかすれが発生しないことが分かる。
【0052】
そして、図6に示されるように、かすれの発生しない現像供給電位差が−80〔V〕以上の範囲において、トナー電位が−100〔V〕より低い限り、図4から汚れ印字が発生しないことが分かる。
【0053】
また、装置内温度が45〔℃〕である場合、かすれの発生しない現像供給電位差(−80〔V〕以上)であっても、現像供給電位差が−70〔V〕以上でトナー電位が−100〔V〕以上であることによって、図4から汚れ印字が発生することが分かる。すなわち、装置内温度が35〔℃〕である場合と同じ範囲に収まっても、汚れ印字が発生してしまう。
【0054】
この場合、現像供給電圧差を−70〔V〕未満にしてトナー電位を低くすると、汚れ印字が発生するのを抑制することができるが、図7に示されるように、現像供給電圧差が−80〔V〕未満になるとかすれが発生する。
【0055】
本実施の形態においては、汚れ印字及びかすれのいずれもが発生する場合、かすれの発生を許容し、汚れ印字が発生するのを抑制することが求められることから、装置外温度が所定の閾値である28〔℃〕以上であり、装置外湿度が所定の閾値である40〔%〕以下であり、装置内温度が下降するときに汚れ印字が発生する装置内温度が所定の閾値である40〔℃〕以上である場合に、現像供給電圧差を設定された値だけ小さくするのが好ましい。
【0056】
図8は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【0057】
まず、印刷データを受信すると、電圧制御部40a(図1)の図示されない電圧設定処理手段は、電圧設定処理を行い、通常の現像電圧及び現像供給電圧差を設定するとともに、現像電圧と現像供給電圧差とを加算することによって供給電圧を算出し、設定する。次に、電圧制御部40aの図示されない環境条件判定処理手段は、環境条件判定処理を行い、外部環境検出部41によって検出された装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下であるかどうかを判断し、装置外温度が28〔℃〕以上でない(未満である)か、又は装置外湿度が40〔%〕以下でない(より高い)場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、制御部40の図示されない画像形成処理手段は、画像形成処理を行い、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0058】
また、装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下である場合は、前記環境条件判定処理手段は、内部温度検出部42によって検出された装置内温度が40〔℃〕以上であるかどうかを判断する。そして、装置内温度が40〔℃〕以上でない場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。また、装置内温度が40〔℃〕以上である場合、前記電圧設定処理手段は、現像供給電圧差を補正値によって変更し、供給電圧を再び算出して設定し、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0059】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 印刷データを受信する。
ステップS2 現像電圧、現像供給電圧差及び供給電圧を設定する。
ステップS3 装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下であるかどうかを判断する。装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下である場合はステップS4に、装置外温度が28〔℃〕以上でないか、又は装置外湿度が40〔%〕以下でない場合はステップS6に進む。
ステップS4 装置内温度が40〔℃〕以上であるかどうかを判断する。装置内温度が40〔℃〕以上である場合はステップS5に、装置内温度が40〔℃〕以上でない場合はステップS6に進む。
ステップS5 現像供給電圧差を変更する。
ステップS6 印刷を行い、処理を終了する。
【0060】
なお、本実施の形態においては、最初の電圧設定処理において、現像電圧を−170〔V〕とし、供給電圧を−250〔V〕とし、現像供給電圧差−80〔V〕とし、装置内温度が40〔℃〕以上である場合、現像供給電圧差を絶対値で40〔V〕小さくして、−40〔V〕とし、現像電圧を−170〔V〕とし、供給電圧を−210〔V〕とする。
【0061】
図9は本発明の第1の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す第3の図である。なお、図において、横軸に装置内温度を、縦軸にトナー電位を採ってある。また、装置外温度を32〔℃〕とし、装置外湿度を20〔%〕とする。
【0062】
図に示されるように、現像供給電圧差を変更する制御を行わない場合は、装置内温度の上昇時に、装置内温度が44〔℃〕より高くなると、汚れ印字が発生するのに対して、制御を行う場合は、装置内温度が40〔℃〕以上でトナー電位が低くなるので、汚れ印字は発生しない。また、装置内温度の下降時においても、汚れ印字は発生しない。
【0063】
このように、本実施の形態においては、装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下であり、装置内温度が40〔℃〕以上である環境条件である場合だけ、現像供給電圧差を通常の設定から変更して小さくすることによって、汚れ印字が発生するのを抑制することができる。なお、前記環境条件以外においては、現像供給電圧差をかすれが発生しない設定としているので、かすれの発生状態が悪化することはない。したがって、プリンタの画像品位を向上させることができる。
【0064】
ところで、前記第1の実施の形態においては、印刷データを電圧制御部40aが受信するたびに、外部環境検出部41及び内部温度検出部42の検出結果に基づいて現像供給電圧差が補正されるようになっている。
【0065】
そこで、外部環境検出部41及び内部温度検出部42の検出結果によって、一度、現像供給電圧差の補正を行うと、その後、印刷データを受信した場合は、装置内温度だけを検出し、補正を開始したときの装置内温度が所定の値だけ低くなるまで、現像供給電圧差の補正を解除しないようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0066】
図10は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第1のフローチャート、図11は本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第2のフローチャートである。
【0067】
なお、本実施の形態においては、図7に示される結果から現像供給電圧差の補正を開始する装置内温度を44〔℃〕以上とし、補正を解除する温度を39〔℃〕以下とする制御を行う。
【0068】
まず、印刷データを受信すると、電圧制御部40aの前記電圧設定処理手段は、通常の現像電圧及び現像供給電圧差を設定するとともに、現像電圧と現像供給電圧差とを加算することによって供給電圧を算出し、設定する。次に、電圧制御部40aの前記環境条件判定処理手段は、外部環境検出部41によって検出された装置外温度が所定の閾値である28〔℃〕以上であり、装置外湿度が所定の閾値である40〔%〕以下であるかどうかを判断し、装置外温度が28〔℃〕以上でないか、又は装置外湿度が40〔%〕以下でない場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、制御部40の前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0069】
また、装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下である場合は、前記環境条件判定処理手段は、内部温度検出部42によって検出された装置内温度が第1の閾値である44〔℃〕以上であるかどうかを判断する。そして、装置内温度が44〔℃〕以上でない場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。また、装置内温度が44〔℃〕以上である場合、前記電圧設定処理手段は、現像供給電圧差を補正値によって変更し、供給電圧を再び算出して設定し、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0070】
続いて、現像供給電圧差を変更した後、次の印刷データを受信すると、前記電圧設定処理手段は、補正後の現像電圧及び現像供給電圧差を設定するとともに、現像電圧と現像供給電圧差とを加算することによって供給電圧を算出し、設定する。
【0071】
次に、前記環境条件判定処理手段は、内部温度検出部42によって検出された装置内温度が第2の閾値である39〔℃〕以下であるかどうかを判断する。そして、装置内温度が39〔℃〕以下でない場合、前記画像形成処理手段は、補正後の現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。そして、装置内温度が39〔℃〕以下である場合、前記電圧設定処理手段は、現像供給電圧差の補正を解除し、通常の現像供給電圧差に基づいて供給電圧を算出し、設定し、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0072】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 印刷データを受信する。
ステップS12 現像電圧、現像供給電圧差及び供給電圧を設定する。
ステップS13 装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下であるかどうかを判断する。装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下である場合はステップS14に、装置外温度が28〔℃〕以上でないか、又は装置外湿度が40〔%〕以下でない場合はステップS15に進む。
ステップS14 装置内温度が44〔℃〕以上であるかどうかを判断する。装置内温度が44〔℃〕以上である場合はステップS17に、装置内温度が44〔℃〕以上でない場合はステップS15に進む。
ステップS15 印刷を行う。
ステップS16 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS11に戻り、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
ステップS17 現像供給電圧差を変更する。
ステップS18 印刷を行う。
ステップS19 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS20に進み、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
ステップS20 印刷データを受信する。
ステップS21 現像電圧、現像供給電圧差及び供給電圧を設定する。
ステップS22 装置内温度が39〔℃〕以下であるかどうかを判断する。装置内温度が39〔℃〕以下である場合はステップS25に、装置内温度が39〔℃〕以下でない場合はステップS23に進む。
ステップS23 印刷を行う。
ステップS24 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS20に戻り、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
ステップS25 現像供給電圧差を変更する。
ステップS26 印刷を行う。
ステップS27 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS11に戻り、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
【0073】
なお、本実施の形態においては、最初の電圧設定処理において、現像電圧を−170〔V〕とし、供給電圧を−250〔V〕とし、現像供給電圧差−80〔V〕とし、装置内温度が40〔℃〕以上である場合、現像供給電圧差を絶対値で40〔V〕小さくして、−40〔V〕とし、現像電圧を−170〔V〕とし、供給電圧を−210〔V〕とする。
【0074】
図12は本発明の第2の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す図である。なお、図において、横軸に装置内温度を、縦軸にトナー電位を採ってある。また、装置外温度を32〔℃〕とし、装置外湿度を20〔%〕とする。
【0075】
図に示されるように、現像供給電圧差を変更する制御を行う場合は、装置内温度の上昇時に、トナー電位が低いので、汚れ印字が発生しないことが分かる。
【0076】
図13は本発明の第2の実施の形態におけるかすれの発生状態を示す図である。なお、図において、横軸に装置内温度を、縦軸にかすれレベルを採ってある。
【0077】
図に示されるように、装置内温度の上昇時におけるかすれレベルから、通常の現像供給電圧差においては、前記第1、第2の実施の形態のいずれにおいても、かすれレベルは10であるが、第1の実施の形態においては、40〔℃〕以上になると、現像供給電圧差が小さくされるので、かすれレベルは、装置内温度が40〔℃〕以上、かつ、44〔℃〕未満になると、7になり、44〔℃〕以上になると、8になる。
【0078】
ところが、第2の実施の形態において、かすれレベルは、44〔℃〕未満において10であり、44〔℃〕以上になると8になる。したがって、第2の実施の形態は第1の実施の形態と比較してかすれの発生状態が悪化する装置内温度を高くすることができ、かすれの発生を抑制することができる。
【0079】
また、装置内温度の下降時に、第2の実施の形態においては39〔℃〕以下で、第1の実施の形態においては40〔℃〕未満で通常の現像供給電圧差にされるので、第1の実施の形態における装置内温度の上昇時とかすれレベルを同じにすることができる。
【0080】
このように、本実施の形態においては、装置内温度の上昇時及び下降時のそれぞれの汚れ印字が発生する温度から現像供給電圧差を補正することができるので、補正範囲を狭くすることができる。したがって、汚れ印字が発生するのを抑制することができ、かつ、かすれの発生状態が悪化する温度を高くすることができる。
【0081】
ところで、装置内温度の上昇時に、用紙1枚当たりの画像の面積の割合いを平均印刷面積率としたとき、表1に示されるように、平均印刷面積率が低く、5〔%〕未満、例えば、1.5〔%〕である場合、汚れ印字が発生し、5〔%〕以上である場合、汚れ印字が発生しない。
【0082】
【表1】
【0083】
そこで、平均印刷面積率が、所定の閾値、本実施の形態においては5〔%〕未満である場合に、現像供給電圧差を補正するようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1、第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0084】
図14は本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【0085】
図に示されるように、制御部40は、外部環境検出部41及び内部温度検出部42の検出結果に基づいて印加電圧を制御する電圧制御部40a、印刷指示があったときに、印刷枚数をカウントする画像形成量計数部としての印刷枚数カウンタ40b、並びにドット単位で露光装置としてのLEDヘッド27Bk(図2)、27Y、27M、27Cの露光ドット数をカウントする露光量計数部としての露光ドット数カウンタ40cを備える。
【0086】
ところで、平均印刷面積率は、印刷枚数の累積値を表す累積印刷枚数によって、露光ドット数の累積値を表す累積露光ドット数を除算することによって表される平均露光ドット数と等しい。そして、A4判のサイズの媒体としての図示されない用紙に対して、5〔%〕の平均印刷面積率で印刷を行う場合、露光ドット数は792×8192となる。そこで、本実施の形態においては、平均露光ドット数が所定の閾値としての792×8192未満である場合に、現像供給電圧差を補正するようにしている。
【0087】
図15は本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第1のフローチャート、図16は本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第2のフローチャートである。
【0088】
まず、印刷データを受信すると、電圧制御部40a(図14)の前記電圧設定処理手段は、通常の現像電圧及び現像供給電圧差を設定するとともに、現像電圧と現像供給電圧差とを加算することによって供給電圧を算出し、設定する。次に、電圧制御部40aの図示されない平均印刷面積率算出処理手段は、平均印刷面積率算出処理を行い、露光ドット数カウンタ40cによるカウント値及び印刷枚数カウンタ40bによるカウント値を読み込み、平均露光ドット数を算出し、電圧制御部40aの図示されない平均印刷面積率判定処理手段は、平均印刷面積率判定処理を行い、平均露光ドット数が792×8192未満であるかどうかを判断する。
【0089】
平均露光ドット数が792×8192未満でない(以上である)場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、制御部40の前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0090】
一方、平均露光ドット数が792×8192未満である場合、電圧制御部40aの前記環境条件判定処理手段は、外部環境検出部41によって検出された装置外温度が所定の閾値である28〔℃〕以上であり、装置外湿度が所定の閾値である40〔%〕以下であるかどうかを判断し、装置外温度が28〔℃〕以上でないか、又は装置外湿度が40〔%〕以下でない場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0091】
また、装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下である場合は、前記環境条件判定処理手段は、内部温度検出部42によって検出された装置内温度が第1の閾値である44〔℃〕以上であるかどうかを判断する。そして、装置内温度が44〔℃〕以上でない場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。一方、装置内温度が44〔℃〕以上である場合、前記電圧設定処理手段は、現像供給電圧差を補正値によって変更し、供給電圧を再び算出して設定し、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0092】
続いて、現像供給電圧差を変更した後、次の印刷データを受信すると、前記電圧設定処理手段は、補正後の現像電圧及び現像供給電圧差を設定するとともに、現像電圧と現像供給電圧差とを加算することによって供給電圧を算出し、設定する。
【0093】
次に、前記平均印刷面積率算出処理手段は、露光ドット数カウンタ40cによるカウント値及び印刷枚数カウンタ40bによるカウント値を読み込み、平均露光ドット数を再び算出し、前記平均印刷面積率判定処理手段は、平均露光ドット数が792×8192未満であるかどうかを判断する。
【0094】
平均露光ドット数が792×8192未満でない場合、前記電圧設定処理手段は、先に設定した現像電圧及び供給電圧を変更せず、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0095】
一方、平均露光ドット数が792×8192未満である場合、前記環境条件判定処理手段は、内部温度検出部42によって検出された装置内温度が第2の閾値である39〔℃〕以下であるかどうかを判断する。そして、装置内温度が39〔℃〕より高い場合、前記画像形成処理手段は、補正後の現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。そして、装置内温度が39〔℃〕以下である場合、前記電圧設定処理手段は、現像供給電圧差の補正を解除し、通常の現像供給電圧差に基づいて供給電圧を算出し、設定し、前記画像形成処理手段は、設定された現像電圧及び供給電圧で印刷を行う。
【0096】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS31 印刷データを受信する。
ステップS32 現像電圧、現像供給電圧差及び供給電圧を設定する。
ステップS33 平均露光ドット数が792×8192未満であるかどうかを判断する。平均露光ドット数が792×8192未満である場合はステップS34に、792×8192未満でない場合はステップS36に進む。
ステップS34 装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下であるかどうかを判断する。装置外温度が28〔℃〕以上であり、装置外湿度が40〔%〕以下である場合はステップS35に、装置外温度が28〔℃〕以上でないか、又は装置外湿度が40〔%〕以下でない場合はステップS36に進む。
ステップS35 装置内温度が44〔℃〕以上であるかどうかを判断する。装置内温度が44〔℃〕以上である場合はステップS38に、装置内温度が44〔℃〕以上でない場合はステップS36に進む。
ステップS36 印刷を行う。
ステップS37 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS31に戻り、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
ステップS38 現像供給電圧差を変更する。
ステップS39 印刷を行う。
ステップS40 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS41に進み、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
ステップS41 印刷データを受信する。
ステップS42 現像電圧、現像供給電圧差及び供給電圧を設定する。
ステップS43 平均露光ドット数が792×8192未満であるかどうかを判断する。平均露光ドット数が792×8192未満である場合はステップS44に、792×8192未満でない場合はステップS45に進む。
ステップS44 装置内温度が39〔℃〕以下であるかどうかを判断する。装置内温度が39〔℃〕以下である場合はステップS47に、装置内温度が39〔℃〕以下でない場合はステップS45に進む。
ステップS45 印刷を行う。
ステップS46 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS41に戻り、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
ステップS47 現像供給電圧差の補正を解除する。
ステップS48 印刷を行う。
ステップS49 次の印刷データがあるかどうかを判断する。次の印刷データがある場合はステップS31に戻り、次の印刷データがない場合は処理を終了する。
【0097】
このように、本実施の形態においては、通常の現像供給電圧差をかすれが発生しない値に設定し、平均印刷面積率が、汚れ印字が発生しない値、すなわち、5〔%〕以上である場合は、現像供給電圧差を補正する必要がないので、制御を簡素化することができる。
【0098】
前記各実施の形態においては、画像形成装置としてのプリンタに適用した例について説明しているが、本発明を、複写機、ファクシミリ装置、複合機等に適用することができる。
【0099】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における画像形成部の要部を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す第1の図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す第2の図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるかすれの発生状態を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるかすれ及び汚れ印字の発生状態を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す第3の図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第1のフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第2のフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施の形態における汚れ印字の発生状態を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態におけるかすれの発生状態を示す図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの制御装置を示すブロック図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第1のフローチャートである。
【図16】本発明の第3の実施の形態におけるプリンタの動作を示す第2のフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
12Bk、12Y、12M、12C 感光体ドラム
16 現像ローラ
18 トナー供給ローラ
27Bk、27Y、27M、27C LEDヘッド
40a 電圧制御部
40b 印刷枚数カウンタ
40c 露光ドット数カウンタ
41 外部環境検出部
42 内部温度検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)像担持体と、
(b)該像担持体に形成された潜像を現像する現像剤担持体と、
(c)該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、
(d)画像形成装置の装置外温度及び装置外湿度を検出する外部環境検出部と、
(e)前記画像形成装置の装置内温度を検出する内部温度検出部と、
(f)前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上であるかどうかを判断する環境条件判定処理手段と、
(g)前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上である場合、現像電圧と供給電圧との差を表す現像供給電圧差を補正し、小さくする電圧設定処理手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電圧設定処理手段は、前記装置内温度が第1の閾値以上である場合、前記現像供給電圧差を補正し、前記装置内温度が、前記第1の閾値より低い第2の閾値以下である場合、前記現像供給電圧差の補正を解除する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
(a)露光装置による露光ドット数をカウントする露光量計数部と、
(b)印刷枚数をカウントする画像形成量計数部と、
(c)前記露光ドット数及び印刷枚数に基づいて平均露光ドット数を算出する平均印刷面積率算出処理手段と、
(d)前記平均露光ドット数が閾値未満であるかどうかを判断する平均印刷面積率判定処理手段とを有するとともに、
(e)前記平均露光ドット数が閾値未満である場合、環境条件判定処理手段は、前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上であるかどうかを判断し、前記電圧設定処理手段は、前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上である場合に、現像電圧と供給電圧との差を表す現像供給電圧差を補正する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
(a)像担持体と、
(b)該像担持体に形成された潜像を現像する現像剤担持体と、
(c)該現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材と、
(d)画像形成装置の装置外温度及び装置外湿度を検出する外部環境検出部と、
(e)前記画像形成装置の装置内温度を検出する内部温度検出部と、
(f)前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上であるかどうかを判断する環境条件判定処理手段と、
(g)前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上である場合、現像電圧と供給電圧との差を表す現像供給電圧差を補正し、小さくする電圧設定処理手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電圧設定処理手段は、前記装置内温度が第1の閾値以上である場合、前記現像供給電圧差を補正し、前記装置内温度が、前記第1の閾値より低い第2の閾値以下である場合、前記現像供給電圧差の補正を解除する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
(a)露光装置による露光ドット数をカウントする露光量計数部と、
(b)印刷枚数をカウントする画像形成量計数部と、
(c)前記露光ドット数及び印刷枚数に基づいて平均露光ドット数を算出する平均印刷面積率算出処理手段と、
(d)前記平均露光ドット数が閾値未満であるかどうかを判断する平均印刷面積率判定処理手段とを有するとともに、
(e)前記平均露光ドット数が閾値未満である場合、環境条件判定処理手段は、前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上であるかどうかを判断し、前記電圧設定処理手段は、前記装置外温度が所定の閾値以上であり、装置外湿度が所定の閾値以下であり、装置内温度が所定の閾値以上である場合に、現像電圧と供給電圧との差を表す現像供給電圧差を補正する請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−199010(P2009−199010A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43343(P2008−43343)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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