画像形成装置
【課題】載置された原稿の向きが縦向きの場合に、原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面を表示することが可能な複合機を提供する。
【解決手段】載置台105に載置された原稿を一枚ずつ搬送し、原稿の画像を読み取る自動原稿給送装置104を備えた複合機100において、原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、読取部110の主走査方向に対して原稿の短辺側が平行となる向きである縦向きであるか、原稿の長辺側が平行となる向きである横向きであるかを検知する原稿向き検知手段601と、原稿の向きが縦向きである場合に、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面である再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段603とを備えることを特徴とする複合機100を提供する。
【解決手段】載置台105に載置された原稿を一枚ずつ搬送し、原稿の画像を読み取る自動原稿給送装置104を備えた複合機100において、原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、読取部110の主走査方向に対して原稿の短辺側が平行となる向きである縦向きであるか、原稿の長辺側が平行となる向きである横向きであるかを検知する原稿向き検知手段601と、原稿の向きが縦向きである場合に、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面である再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段603とを備えることを特徴とする複合機100を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳しくは、載置された原稿の向きが縦向きの場合に、原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面を表示することが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置は、提供可能な機能を複数備えるようになっており、多機能化を迎えている。その機能は、コピー機能に加えて、ファクシミリ送受信機能、スキャン機能、プリント機能、ステープル機能やパンチ機能に代表される後処理機能、省電力機能等であり、種類も様々である。さらに、上記機能の多様化とともに、機能提供に供される原稿を自動的に順次給送可能な自動原稿給送装置(ADF)も搭載されるようになってきている。
【0003】
ユーザが上記自動原稿給送装置を利用して原稿の画像を画像形成装置に読み取らせる場合、ユーザは自動原稿給送装置に備えられた載置台(原稿トレイ、原稿載置トレイともいう)に原稿を載置させ、スタートボタンを押下すると、自動原稿給送装置に備えられたピックアップローラ等が回転し、載置された原稿を一枚ずつ搬送して、画像を読み取る読取部が原稿の画像を読み取る。画像を読み取られた原稿は、排紙台に排紙される。
【0004】
ところで、載置させる原稿の向きが、縦向き(読取部の主走査方向に対して原稿の短辺側が平行となる向き)である場合、横向き(読取部の主走査方向に対して原稿の長辺側が平行となる向き)である場合と比較すると、原稿の画像読取開始から画像出力(画像形成)終了までの一連の処理時間は長くなる。これは、縦向きに載置された原稿の画像を読み取る場合、読取部の副走査方向(主走査方向と直交する方向、原稿搬送方向と平行する方向)における読取長さが長くなることや、画像データに対応する潜像(静電潜像)を感光ドラムに形成する場合、感光ドラムの回転方向における潜像の辺の長さが長くなることに起因している。
【0005】
原稿の枚数が少ない場合は、原稿の向きの違いによって処理時間はそれほど影響を受けないものの、原稿枚数が多くなると、原稿の向きの違いに応じて処理時間の格差が大きくなるという問題がある。しかしながら、原稿枚数が何十枚(例えば10枚以上)に及ぶ場合でも、ユーザは特に原稿の向きを意識せずにコピー動作を開始しているという実態がある。そうすると、後続に控えた、コピー作業を希望するユーザの待ち時間が長くなる等、日常の業務に支障を来たすという問題があった。
【0006】
上記問題を解決するために、特開平9−312735号公報(特許文献1)には、画像形成すべき処理枚数を認識する枚数認識手段と、画像読取手段によって読み取られた原稿画像を90度回転し得る画像回転手段と、画像読取手段の主走査方向に対して上記原稿の短辺側が平行にセットされた場合、上記画像形成手段での画像形成に先立って上記枚数認識手段により認識された処理枚数と所定の基準枚数とを比較し、上記処理枚数が上記基準枚数よりも多いときに上記画像回転手段にて上記原稿画像を90度回転させる画像回転制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【0007】
上記構成により、処理時間が長いとされる縦向きに原稿がセットされた場合であっても、自動的に用紙搬送方向に対して用紙の短辺側が平行となる横向きの用紙を用いた画像形成処理を実行させ、原稿が縦・横いずれの向きでセットされていても、処理時間の短い画像形成条件が自動的に選択されるようになるため、ユーザとしては、いちいち原稿の向きを意識してセットしなくても、迅速かつ効率的にコピー作業を行うことが可能となるとしている。
【0008】
また、特開平7−177292号公報(特許文献2)には、経路記憶部と原稿サイズ検出手段と用紙サイズ検出手段と給紙検出手段と給紙選択手段を有し、経路記憶部は各用紙給紙部から排紙位置までの距離を記憶し、原稿サイズに応じた用紙給紙部を選択する自動用紙選択モ−ドが指定されると、原稿サイズ検出手段は原稿サイズを検出し、用紙サイズ検出手段は検出した原稿サイズとユ−ザから指定された複写倍率とから原稿を複写するのに適した用紙サイズを検出し、給紙検出手段は検出したサイズの用紙が入っている用紙給紙部を全て検出し、給紙選択手段は経路記憶部に記憶した距離と複写枚数を基に検出した用紙給紙部の中から最も給紙時間が短い用紙給紙部を選択することを特徴とするデジタル複写機が開示されている。
【0009】
上記構成により、原稿サイズに応じた用紙給紙部を選択する自動用紙選択モ−ドが指定されると、原稿サイズと、複写倍率と、用紙給紙部と、各用紙給紙部から排紙位置までの距離と、複写枚数とを基に検出した用紙給紙部の中から最も給紙時間が短い用紙給紙部を選択し、その用紙給紙部から記録用紙を送り出すので、印刷時間を短縮できるとしている。
【0010】
また、特開平8−65443号公報(特許文献3)には、最大複写サイズの記録紙の1頁分以上の画像情報が記憶可能な画像メモリと、上記画像メモリを用いて、画像情報を90度回転する画像情報回転手段とを備え、上記自動用紙選択手段は、原稿サイズおよび変倍率によって決定されるサイズの記録紙が、上記複数の給紙段の異なる段に存在し、かつ、記録紙の縦横載置方向が90度回転された状態でセットされている場合に、複写リピート枚数と所定の基準値との比較に基づいて、画像情報を90度回転させて原稿の載置方向と異なる載置方向の記録紙を選択するか、原稿の載置方向と一致する載置方向の記録紙を選択するかを決定すると共に、上記画像情報回転手段を制御し、さらに上記所定の基準値は、上記原稿の載置方向と異なる載置方向の記録紙および上記原稿の載置方向と一致する載置方向の記録紙のそれぞれが上記給紙手段の第何段目の給紙段であるかによらず、常に一定の値であることを特徴とするデジタル複写機が開示されている。
【0011】
上記構成により、少なくとも画像回転を行っても、行わないで複写を実行した場合に対してジョブ終了までにかかる時間が短くなる記録紙が選択され、生産性が向上するとしている。
【特許文献1】特開平9−312735号公報
【特許文献2】特開平7−177292号公報
【特許文献3】特開平8−65443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、画像回転手段が開示されているが、読み取った画像データを回転する回転処理は、読み取る画像データの解像度や画像形成装置に備えられているCPUの性能等に応じて、回転処理時間が長くなる場合がある。その場合には、上記技術では、効果を奏しないという問題がある。
【0013】
また、特許文献2に記載の技術では、複数のパラメータに基づいて処理を複写機に行わせる必要があるため、適切に作動するソフトウェア等の開発に手間が掛かるという問題がある。
【0014】
また、特許文献3に記載の技術でも、画像情報回転手段により、画像データを回転する回転処理が伴うため、特許文献1に記載の技術と同様の問題を抱えることとなる。
【0015】
さらに、特許文献1乃至3のうち、いずれの技術であっても、出力させる記録紙(シート)に着目した技術であって、載置された原稿に対して何らかのアプローチをユーザに促すものではない。原稿の向きをユーザ自身が変更すれば、処理時間の短縮化を図ることができるにも関わらず、ユーザに積極的に原稿の向きを変更させることがないため、原稿の向きによって生じる処理時間が長くなる問題を根本的に解決することができないという問題がある。
【0016】
また、ユーザが自動原稿給送装置を利用する場合、原稿の向きと処理時間との関係を知らないユーザが多く、普段何気なく原稿を載置台に載置していることが多い。そのため、例えば、載置台に備えられた原稿の端部を規制する規制板が、原稿の向きを縦向きに対応して一度設定されると、後続のユーザが従前の原稿の向きである縦向きに自己の原稿の向きを揃えるという実態がある。その状態が一端発生すると、規制板の位置が変更されない限り、後続のユーザはそのまま原稿を縦向きにして作業を続行する傾向があり、処理時間が長くなる原稿の向きで終始画像形成処理等が進行するという問題がある。
【0017】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、載置された原稿の向きが縦向きの場合に、原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面を表示することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、載置台に載置された原稿を一枚ずつ搬送し、原稿の画像を読み取る自動原稿給送装置を備えた画像形成装置において、原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、読取部の主走査方向に対して原稿の短辺側が平行となる向きである縦向きであるか、原稿の長辺側が平行となる向きである横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、原稿の向きが縦向きである場合に、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面である再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段とを備える。
【0019】
読取部による画像読取方法は、読取部に備えられた撮像素子、イメージセンサに応じて多少異なるが、どのような画像読取方法を採用しても構わない。例えば、イメージセンサは、CCD(Charge Coupled Device)、CMOSセンサ(CMOS sensor)、CIS(Contact Image Sensor)等を挙げることが出来るが、どのイメージセンサを採用しても構わない。
【0020】
原稿の向きを検知する方法は、例えば、原稿の向きに対応して原稿の存在を検知する原稿存在検知センサ(接触センサ、光学センサ)を用い、その原稿存在検知センサのON信号/OFF信号の組み合わせから原稿の向きを検知する方法が挙げられる。
【0021】
再載置催促画面を表示する場所は、例えば、画像形成装置の操作部に備えられたタッチパネルが挙げられるが、他の方法として、画像形成装置に接続されたパーソナルコンピュータの液晶ディスプレイ等に表示しても構わない。
【0022】
また、原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、縦向きであるか、横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、上記載置された原稿の枚数を検知する原稿枚数検知手段と、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が所定の枚数よりも多い場合に、ユーザに再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段とを備えるよう構成することができる。
【0023】
原稿の枚数を検知する方法は、例えば、載置台に設けられたリフト板の上昇幅、リフト板を上昇する際に要したモータの回転量、載置台上の原稿に光を照射し、その反射光の強度、透過光の強度等に基づいて原稿の枚数を検知する方法が挙げられる。
【0024】
所定の枚数は、原稿の画像読取から画像出力までに要する処理時間と、読み込ませる原稿の枚数とに基づいて決定される値であり、その決定方法は、例えば、所定の枚数を越えた枚数の原稿を読み取らせた場合、ユーザ(製造者)がその処理時間を長く感じるか否か、その処理時間で業務に支障を来たすか否か等によって決定される。
【0025】
さらに、原稿を搬送する前に、載置台に載置された原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段を備え、上記原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が原稿のサイズに応じた所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促画面を表示するよう構成することができる。
【0026】
原稿のサイズを検知する方法は、原稿の向きを検知する方法と同様で、例えば、原稿のサイズに対応して原稿の存在を検知する原稿存在検知センサを用い、その原稿存在検知センサのON信号/OFF信号の組み合わせから原稿のサイズを検知する方法が挙げられる。原稿のサイズは、規定サイズ(国内サイズ)でも海外サイズでも構わない。
【0027】
原稿のサイズに応じた所定の枚数とは、処理時間と、読み込ませる原稿のサイズと、原稿の枚数とに基づいて決定される値であり、その決定方法は、上述したように、例えば、ユーザがその処理時間を長く感じるか否か、業務に支障を来たすか否か等で決定されるが、さらに、原稿のサイズに対応する用紙の長辺、短辺の長さを原稿のサイズ相互で比較して決定される場合もある。
【0028】
さらに、上記原稿向き表示手段による再載置催促画面の表示に代えて、または、再載置催促画面の表示とともに、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す音を発生する原稿向き音発生手段を備えるよう構成することができる。
【0029】
ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す音は、例えば、ユーザが予め録音した音声メッセージや所定の警告を意味する警告音、メロディー、音楽等が該当する。音を発生する手段は、例えば、音声を発生するスピーカ等が採用される。
【発明の効果】
【0030】
本発明の画像形成装置によれば、原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、縦向きであるか、横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、原稿の向きが縦向きである場合に、再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段とを備えるよう構成している。
【0031】
これにより、原稿の向きが、画像読取から画像出力までに要する処理時間に影響することを知らないユーザに、載置させた原稿の向きを考慮させ、原稿の向きを横向きに再載置させるよう促すことが可能となる。そのため、ユーザに普段は何気なく載置させている原稿の向きを意識させ、一度設定された規制板に影響されることなく、ユーザに処理時間を短縮する横向きに原稿を載置させることが可能となる。その結果、画像形成装置が迅速に機能提供を行うことが可能となるとともに、原稿の向きを変更するという煩わしい作業をユーザに強要するものの、処理時間の長期化の根本的な問題解決を図れ、読み取った画像データを回転する回転処理や出力させるシートのカセットを検索する検索処理等を行う必要がないため、所定のソフトウェアを作成する手間を解消することができる。
【0032】
また、原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、縦向きであるか、横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、上記載置された原稿の枚数を検知する原稿枚数検知手段と、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が所定の枚数よりも多い場合に、ユーザに再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段とを備えるよう構成することができる。
【0033】
これにより、原稿の向きが縦向きの場合、載置させた原稿の枚数が最も影響を及ぼす所定の枚数を超過した場合に、再載置催促画面を表示することとなる。そのため、再載置催促画面を効果的に表示させ、画像読取から画像出力までに要する処理時間の短縮化を図ることが可能となるとともに、原稿の枚数が少ない場合は、再載置催促画面の表示を省略するため、ユーザに原稿の向きを変更するという煩わしい作業を強要せずに、ユーザに円滑に条件の入力等を行わせることが可能となる。その結果、再載置催促画面を適切に表示させることが可能となる。
【0034】
さらに、原稿を搬送する前に、載置台に載置された原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段を備え、上記原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が原稿のサイズに応じた所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促画面を表示するよう構成している。
【0035】
これにより、原稿のサイズと原稿の枚数に応じて処理時間の長短が異なる実態に、画像形成装置を機動的に対応させ、再載置催促画面を適切な場面で表示させることが可能となる。そのため、載置させる原稿のサイズが異なっていても、再載置催促画面を効果的に表示させることが可能となるとともに、原稿の枚数が少ない場合は、再載置催促画面の表示を省略し、ユーザに業務遂行を円滑に行わせることが可能となる。
【0036】
さらに、上記原稿向き表示手段による再載置催促画面の表示に代えて、または、再載置催促画面の表示とともに、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す音を発生する原稿向き音発生手段を備えるよう構成することができる。
【0037】
これにより、再載置の必要性をユーザに聴覚的に知らせることが可能となる。そのため、表示された再載置催促画面に気がつかないユーザであっても、音によって確実に再載置の必要性を認識することが可能となり、ユーザに適切に横向きの再載置を促すこととなる。その結果、再載置より、画像形成装置が迅速に機能提供を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
【0039】
<画像形成装置>
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置は、プリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機、デジタル複写機、プリンタ等が該当し、コピーサービス、スキャナサービス、ファクシミリサービス、プリンタサービス等を備えた画像形成装置として機能する。
【0040】
図1は、複合機の概略模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。なお、一例として複合機を利用して原稿のコピーを行う際の画像形成装置の動作を簡単に説明する。
【0041】
ユーザが複合機100を利用して例えば原稿の印刷を行う場合、原稿を図1に示す原稿台103、或いは載置台105に配置し、原稿台103近傍に供えられた操作部200に対して印刷の指示を行う。当該指示があると、以下に示す各部(駆動部)が動作することで、印刷が行われる。
【0042】
即ち、図1に示すように、本実施の形態の複合機100は、本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102を備える。本体101の上面は原稿台103が設けられており、原稿台103は、プラテンカバー102によって開閉されるようになっている。プラテンカバー102は、自動原稿給紙装置104と載置台105と排紙台109が設けられている。
【0043】
自動原稿給送装置104の載置台105には、図2Aに示すように、平面視で載置台の上端近傍に固定された、原稿の端部を規制する第一の規制板210と、第一の規制板210に対向する位置である載置台105の下端近傍に上下動可能に備えられた第二の規制板211とが備えられている。第二の規制板211は、原稿の搬送する方向である搬送方向(以下、F方向とする)に対して直交する方向に可動するため、原稿が複数枚に渡る場合は、原稿の束を上記規制板210、211によって整えることが可能である。
【0044】
載置台105には、さらに、原稿の存在の有無(原稿の接触)を検知する原稿存在検知センサ212a〜gが所定数備えられている。所定数の原稿存在検知センサ212a〜gは、載置された原稿のサイズと向きに応じてその原稿の隅を検知可能となるよう配置される。配置方法は、例えば、以下のように配置される。
【0045】
図2Aに示すように、第一の規制板210の下方左側近傍に第一の原稿存在検知センサ212aが設けられており、第一の規制板210に端部を規制させた原稿が載置台105に載置されると、その原稿の隅を確実に検知する。第一の原稿存在検知センサ212aが原稿の存在に対応する信号(ON信号)を発信する場合、原稿が載置台212aに載置されたとみなされる。
【0046】
他の原稿存在検知センサ212b〜gは、様々な原稿のサイズと向きに応じて配置される。例えば、所定の定形サイズ(規定サイズともいう)の原稿が載置台105上に載置された場合、その原稿の一隅は、第一の原稿存在検知センサ212aに検知されることになるが、その原稿の一隅に対向し、かつ原稿の対角線上に位置する他方の一隅が検知されるように、他の原稿存在検知センサ212b〜gが配置される。
【0047】
例えば、定形サイズであるA5サイズの原稿を、複合機100に備えられた読取部110(後述する)の主走査方向に対して原稿の短辺側が平行となる向きである縦向きに載置させた場合、第一の原稿存在検知センサ212aと、A5縦向きに載置させた原稿の一隅に接触するA5縦の原稿存在検知センサ212cがON信号を発信し、他の原稿存在検知センサ212b、212d〜gはON信号を発信することはない。原稿存在検知センサ212a〜gのON信号の組み合わせに基づいて、原稿の向きを検知することが可能となり、併せて原稿のサイズを検知することも可能となる(後述する)。
【0048】
また、例えば、定形サイズであるA4サイズの原稿を、読取部110の主走査方向に対して原稿の長辺側が平行となる向きである横向きに載置させた場合、第一の原稿存在検知センサ212aとA4横の原稿存在検知センサ212d以外に、A4サイズよりも小さいサイズであるA5横の原稿存在検知センサ212b、A5縦の原稿存在検知センサ212cも不可避的に接触するが、この場合は、第一の原稿存在検知センサ212a、A4横の原稿存在検知センサ212d、A5横の原稿存在検知センサ212b、A5縦の原稿存在検知センサ212cのON信号に基づいて、原稿の向きとサイズとが検知される。
【0049】
次に、自動原稿給紙装置104は、プラテンカバー102の内部に形成された原稿搬送路108と、プラテンカバー102の内部に備えられたピックアップローラ106や搬送ローラ107A、107B等で構成される。原稿搬送路108は、載置台105から、本体101に設けられた読取部110にて読み取りが行なわれる読取位置Pを経由して、排紙台109に通じる原稿の搬送路である。
【0050】
自動原稿給紙装置104は、載置台105に載置された原稿1枚ずつをピックアップローラ106で原稿搬送路内108に引き出し、搬送ローラ107A、107B等によって引き出した原稿を、読取位置Pを通過させて排紙台109に排紙する。読取位置Pを通過する時に原稿は読取部110にて読み取られる。
【0051】
図B1に示すように、原稿を原稿搬送路内108に引き込む引込口213の近傍には、載置台105の搬送方向(F方向)前方に、リフト板214と、上限センサ215と、下限センサ216と、コロ217と、ピックアップローラ106とが備えられている。
【0052】
リフト板214は、原稿が載置可能な板状部材であり、リフト板214の側面に備えられたリフト板駆動部218により原稿の積載方向に上下動可能である。上限センサ215は、リフト板214の上昇を所定位置で止めるためのセンサであり、光センサで構成されている。上限センサ215は、リフト板214が上昇してリフト板214上の原稿の先端部がコロ217を押し上げると、そのことが光学的に検知されて停止するようになっている(図B2)。下限センサ216は、リフト板214が最下方位置(ホームポジション)まで下降したことを検知するためのセンサである。
【0053】
コロ217は、ホームポジションに配置されたリフト板214に対し上方に間隔をあけて配置されるとともに、自由状態では自重により下方位置に位置するが、リフト板214により下方から力を受けるのに追従して上方に可動に構成されている。
【0054】
リフト板駆動部218は、リフト板214を上下動させるためのものであり、ステッピングモータ219、ラックアンドピニオン機構(以下、棒体220、歯材、歯車材221等)等で構成されている。リフト板214の一側面には、棒体220が原稿の積載方向に沿って連結され、その棒体220の側面には歯車の歯材(図示せず)が設けられ、歯材と噛合可能でかつ正逆回転自在な歯車材221を備えたステッピングモータ219が設けられる。
【0055】
原稿がリフト板214に載置されると、ステッピングモータ219が歯車材221を正回転させ、歯車材221と噛合する歯材を備えた棒体220が積載方向に上昇させ、さらにその棒体220に連結されたリフト材214を上昇させる。なお、例えば、リフト板214から原稿が取り除かれた際に、ステッピングモータ219がリフト材214を積載方向に対して下方に下降させてホームポジションに移動させる場合は、ステッピングモータ219が歯車材221を逆回転させることとなる。
【0056】
次に、読取部110は、原稿台103及び自動原稿給送装置104の下方に設けられており、図3にその詳細が示されている。読取部110は、原稿台103を照射する主走査方向に長い光源111と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット116と、原稿台からの光を導くミラー112とを備える第一の移動キャリッジ117や、第一の移動キャリッジ117からの反射光を再度反射するミラー113A、113Bを備える第二の移動キャリッジ118、さらにミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群119、当該レンズ群119より補正された光を受光する撮像素子115、撮像素子にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正・修正などを行う画像データ生成部114とで構成されている。
【0057】
自動原稿給紙装置104上の原稿を読み取る場合には、光源111は、読取位置Pを照射できる位置に移動して発光する。光源111からの光は、原稿台103を透過して読取位置Pを通過する原稿にて反射し、スリット116、ミラー112、113A、113B、レンズ群119によって撮像素子115に導かれる。撮像素子115は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部114に送信する。画像データ生成部114には、上記撮像素子115にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部114では、順次変換されたデジタル信号を単位データとし、これら単位データを補正、修正等することで複数の単位データからなる画像データを生成する。
【0058】
また、読取部110は、自動原稿給紙装置104で搬送される原稿だけでなく、原稿台103に載置された原稿も読み取ることが可能となっている。原稿台103に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ112は、光源111を発光しながら副走査方向に移動し、光源111から撮像素子115までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ118は第一の移動キャリッジ117の1/2の速度で撮像素子115方向に移動する。
【0059】
撮像素子115は、自動原稿給紙装置104に搬送された原稿のときと同様に、ミラー112、113A、113Bに導かれた光に基づいて原稿台103に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部114が画像データを生成する。
【0060】
本体101の読取部110の下方には、画像データを印刷する印刷部120を備えている。印刷部120が印刷できる画像データは、上記のように画像データ生成部114にて生成されたものや、複合機100に接続された通信ケーブル201を介して、ネットワーク202から画像形成の指示とともに送信される場合もある。
【0061】
印刷部120が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム121を帯電器122で一様に帯電させ、その後レーザ123で感光ドラム121を照射して感光ドラム121に潜像を形成し、現像器124で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を用紙に転写する方式である。
【0062】
なお、フルカラー画像に対応した画像形成装置では、上記現像器(ロータリー現像器)124が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム121の対向位置に配置される。この状態で、感光ドラム121上の潜像が、現像器124が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト125Aに転写される。なお、現像器124は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット124(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。上記中間転写ベルト125Aへの転写を上記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト125A上にフルカラー画像が形成される。
【0063】
可視像が印刷される用紙は、手差しトレイ131、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
【0064】
印刷部120が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから用紙1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した用紙を搬送ローラ137やレジストローラ138で中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込む。用紙を引き出す場合、手差しトレイ131に載置された用紙を、手差しトレイ用ピックアップローラ136を用いて引き出しても構わない。
【0065】
印刷部120は、中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込んだ用紙に、上記中間転写ベルト125A上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト126で定着装置127に用紙を送る。定着装置127は、ヒータが内蔵された加熱ローラ128と、所定の圧力で加熱ローラ128に押し当てられた加圧ローラ129とで構成されている。加熱ローラ128と加圧ローラ129の間を用紙が通過すると、熱と用紙への押圧力によって可視像が用紙に定着する。印刷部120は、定着装置127を通過した用紙を排紙トレイ130に排紙する。
【0066】
以上が、複合機100における基本的なコピーサービスの処理である。なお、複合機100は、上述した各部(自動原稿給送装置104、読取部110、印刷部120)を適宜協働的に動作することによって、他の機能、例えば、ファクシミリ送受信機能、プリント機能、スキャン機能、後処理機能、メモリ機能等をユーザに提供する。
【0067】
なお、複数の原稿存在検知センサのON信号に基づいて、原稿の向き(原稿のサイズ)を検知する手段を、原稿向き検知手段(原稿サイズ検知手段)とし、リフト板駆動部を制御する手段をリフト移動手段とし、ユーザが操作部200に対して行った印刷等の指示(命令、要求)を受け付ける手段を条件受付手段とし、読取部100にて原稿の画像を読み取る手段を画像読取手段とし、受け付けた指示と読み取った画像データに基づいて、上記機能を提供する手段を総じて機能提供手段とする(後述する)。
【0068】
図4は、複合機100に備えられた操作部200の外観の一例を示す図である。ユーザは、上記操作部200を用いて、上述のような機能提供についての設定条件等を入力したり、書き込み情報を書き込んだり、所定の送信先へ書き込み情報を送信したりする。設定条件の入力、各サービスの実行開始等が行なわれる際に、上記操作部200に備えられたタッチパネル401、タッチペン402、操作キー403が用いられる。
【0069】
上記タッチパネル401には、上述した条件を入力する機能と、入力された設定条件等を表示する機能とが兼ね備えられている。すなわち、タッチパネル401上に表示された画面内の選択項目等を押下することによって、選択項目等に関連付けられた設定条件の入力が行われ、所定のキーボード画面のキーまたは送信先を押下することによって、機能に関連する指示の入力等が行なわれる。また、押下された選択項目や入力された指示等は、タッチパネル401上で、例えば、背景色を白色からグレー色へ変更する表示をすることにより、ユーザが随時視認可能である。
【0070】
タッチパネル401の近傍には、タッチペン402が備えられており、ユーザがそのタッチペン402の先をタッチパネル401に接触させると、タッチパネル401下方に設けられたセンサが接触先を検知する。そのため、タッチペン402の接触により、キーボード画面のキーの押下や所定の手書き情報の入力が可能である。タッチペン402は備えられていなくても構わない。
【0071】
さらに、タッチパネル401近傍には、所定数の操作キー403が設けられ、例えば、テンキー404、スタートキー405、クリアキー406、ストップキー407、リセットキー408、電源キー409が備えられている。なお、上記テンキー404は、部数や倍率を設定する際に具体的な数字の入力に用いられる。
【0072】
次に、図5を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。図4は、複合機100における制御系ハードウェアの概略構成図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0073】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、HDD(Hard Disk Drive)504、各駆動部に対応するドライバ505を内部バス506によって接続している。上記CPU501は、例えば、RAM503を作業領域として利用し、上記ROM502、HDD504等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ505と図示しない操作部200からのデータ、指示を授受し、さらに、原稿向き検知センサ、上限センサ、下限センサ等から発信される信号を授受し、上記図1乃至図4に示した各駆動部等の動作を制御する。また、上記駆動部以外についても、上記CPU501がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。上記ROM502、HDD504等には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
【0074】
<第一の実施形態>
次に図6乃至図7を参照しながら、第一の実施形態の画像形成装置が、載置された原稿の向きが縦向きの場合に、原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面を表示する手順について説明する。図6は、第一の実施形態に係る複合機の機能ブロック図である。図7は、第一の実施形態の実行手順を示すためのフローチャートである。なお、第一の実施形態に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0075】
まず、ユーザはA4サイズの原稿を縦向きで載置台105上に載置し、原稿の両端を第一の規制板210と第二の規制板211で規制すると、所定の原稿存在検知センサ(第一の原稿存在検知センサ212a、A4縦の原稿存在検知センサ212e、A5縦の原稿存在検知センサ212c、A5横の原稿存在検知センサ212b)が、載置された原稿を検知し、ON信号を原稿向き検知手段601に発信する(図7:S101)。なお、この時点では、ユーザは、未だ条件入力等を開始していない。
【0076】
原稿向き検知手段601は、上記ON信号を受信すると、原稿向き記憶手段602に記憶されている原稿向きテーブルを参照して、原稿の向きを検知する(図7:S102)。
【0077】
原稿向きテーブル800には、図8Cに示すように、各原稿存在検知センサ212a〜gがON信号を発信しているか否かの情報801(例えば、ON信号を発信している原稿存在検知センサには「○」802、ON信号を発信していない原稿存在検知センサには「×」803等)と、その情報に基づいて決定される原稿サイズ804(例えば、「A3」、「A4」、原稿が載置されていない状態には「−」等)と、原稿の向き805(「縦向き」、「横向き」、「−」)とが関連付けて記憶されている。原稿向き検知手段601は、受信したON信号の組み合わせに対応する原稿の向き805を取得することにより、載置されている原稿の向きを検知することが可能となる。なお、第一の実施形態では、原稿の向きに着目しているため、原稿サイズ804を併せて検知しても、原稿サイズ804を省略しても構わない。
【0078】
原稿向き検知手段が、第一の原稿存在検知センサ212aとA4縦の原稿存在検知センサ212eとA5縦の原稿存在検知センサ212cとA5横の原稿存在検知センサ212bのON信号に対応する「○」806に基づいて、原稿向きテーブル800から原稿の向き「縦向き」807を検知すると、その「縦向き」807を原稿向き表示手段603に送信する。原稿向き表示手段603は、原稿の向き「縦向き」807を受信すると、再載置催促画面記憶手段604に記憶されている画面表示テーブルを参照して、原稿の向きに応じて、再載置催促画面を表示するか否かの判別を行う(図7:S103)。
【0079】
画面表示テーブル808には、図8Dに示すように、原稿の向き809と、再載置催促画面を表示するか否かを示す情報810(例えば、再載置催促画面を表示する場合には「有り」811、再載置催促画面を表示しない場合には「無し」812等)とが関連付けられて記憶されている。上記構成により、原稿向き表示手段603は、原稿の向きが縦向きである場合に、再載置催促表示画面を表示することが可能となる。
【0080】
原稿向き表示手段603が、受信した「縦向き」807に対応する「有り」811を画面表示テーブル808から取得すると、タッチパネル401上に、載置された原稿の向きを横向きに再載置する旨を示す画面である再載置催促画面を表示する(図7:S103YES→S104、図9E)。
【0081】
再載置催促画面は、図9Eに示すように、ユーザに現時点載置されている原稿の向きを変更するよう促す旨のメッセージ901「原稿の向きを変更してください。」と、原稿の向きを変更する理由902を示す「現時点の原稿の向きでは、処理時間が遅くなる可能性があります。」と、「縦向き」で載置台に載置された原稿の状態を模したイメージ画像である縦向き原稿イメージ画像903と、「縦向き」を「横向き」に変更することを指示する矢印イメージ画像904と、「横向き」で載置台に載置された原稿の状態を模したイメージ画像である横向き原稿イメージ画像905と、ユーザが原稿の向きを変更した後に押下する確認ボタンである「OK」ボタン906とが表示される。
【0082】
ユーザは、再載置催促画面を見ながら、原稿の向きを縦向きから横向きに変更して再度原稿を載置台に載置させる。さらに、ユーザは、再載置催促画面に表示された「OK」ボタン906を押下すると、原稿向き表示手段603は、再載置催促画面を消去して、条件受付手段605に初期画面(ここでは、図9Fに示すコピー設定画面)を表示する旨の信号を送信する。
【0083】
なお、例えば、「OK」ボタン906が押下されずに、ユーザが原稿の向きを横向きに変更した場合に、原稿向き検知手段601が原稿の向きを再検知し、原稿向き表示手段603が、載置された原稿の向きが横向きであることを判別すると、自動的に再載置催促画面を消去して、上記信号を条件受付手段605に送信するよう構成しても構わない。
【0084】
また、上記原稿向き表示手段603は、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す音を発生する原稿向き音発生手段を兼ねており、原稿向き表示手段603が再載置催促画面を表示するとともに、原稿向き音発生手段が、予め所定のメモリに録音された音声メッセージを、複合機に付属の小型スピーカ(図示せず)から発生する。
【0085】
上記音声メッセージは、例えば、「原稿の向きが縦向きですので、処理時間が遅くなる可能性があります。原稿の向きを横向きに変更してください。」という内容で、さらに、複合機近傍に佇むユーザに聞こえる程度の音量で発生される。場合によっては、繰り返し発生するよう構成しても構わない。
【0086】
上記音声メッセージが発生中において、例えば、ユーザが再載置催促画面に表示された「OK」ボタン906を押下した場合、あるいは、ユーザが原稿の向きを横向きに変更した場合に、原稿向き検知手段601が原稿の向きを再検知し、原稿向き音発生手段(原稿向き表示手段603)が、載置された原稿の向きが横向きであることを判別した場合に、当該音声メッセージの発生は停止される。
【0087】
条件受付手段605は、上記信号を受信すると、タッチパネル401上に初期画面を表示し、ユーザから所定の条件の入力を受け付ける。
【0088】
ユーザが初期画面を見ながら、自己の希望する条件を入力し、スタートキーを押下すると、条件受付手段605は、原稿画像の読み取りを開始する旨の信号を画像読取手段606に送信し、原稿の画像読取を開始させる。なお、ここでは、出力させるシートの向きについては、条件入力が行われないものとする。
【0089】
画像読取手段606が原稿の画像を読み取る場合、原稿の向きが横向きで、すなわち、読取部110の主走査方向に対して原稿の長辺側が平行な状態で、原稿の画像が読み取られていくことになる。そのため、読取部110が備える光源111が光を照射すると、読取部110の副走査方向における読取長さは、横向きの方が縦向きと比較すると長くなるため、結果として効率のよい画像読取を行うことが可能となる。
【0090】
例えば、A4サイズであれば、原稿の長辺が297mmであり、短辺が210mmであるため、横向きでの読取長さは、縦向きでの読取長さの1.4倍となる。
【0091】
画像読取手段606が読み取った画像データは、機能提供手段607に送信され、機能提供手段607は、条件受付手段605が受け付けた条件に従って機能提供を行う。
【0092】
出力させるシートの向きがユーザから指定されていない場合は、機能提供手段607が、読み取った画像データのサイズと向きとに対応するように、画像データを印刷物として出力する。すなわち、機能提供手段607が、シートのサイズをA4とし、シートの向きを横向きとして画像データを出力する。
【0093】
機能提供手段607が、画像データを印刷物として出力する場合、印刷部120が備える感光ドラム121に、画像データに対応する潜像が形成されるが、その潜像も横向きの状態で、すなわち、感光ドラム121の軸方向の幅と潜像の長辺側とが平行となる向きの状態で形成されることになる。そのため、上記と同様に、感光ドラム121の軸方向における潜像形成長さは、横向きの方が縦向きと比較すると長くなる(1.4倍)ため、効率よく潜像を形成することになる。
【0094】
さらに、形成された潜像に対応する可視像を転写する場合も、感光ドラム121が可視像を横向きのシートに転写することとなるため、上記と同様に、効率のよい転写を行うことになる。その結果、効率のよい画像出力が可能となる。この場合、読み取った画像データを回転処理することも無いため、画像処理に時間が掛かることも無い
上記手順により、載置された原稿の向きが縦向きの場合に、原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面を表示することが可能となり、結果として、画像読取から画像出力までに要する一連の処理時間を短縮することが可能となる。
【0095】
一方、原稿向き検知手段601が、原稿の向きを横向きと検知した場合は、以下の手順にて、画像データの出力が行われる。
【0096】
ユーザがA4サイズの原稿を横向きで載置台105上に載置させると、原稿向き検知手段601が、所定の原稿存在検知センサ(第一の原稿存在検知センサ212a、A4横の原稿存在検知センサ212d、A5縦の原稿存在検知センサ212c、A5横の原稿存在検知センサ212b)のON信号を受信し、原稿向きテーブル800に基づいて、原稿の向き「横向き」612を検知する(図7:S101→S102)。
【0097】
原稿向き検知手段601は「横向き」612を原稿向き表示手段603に送信し、原稿向き表示手段603は、画面表示テーブル808から「横向き」612に対応する「無し」812を取得する。原稿向き表示手段603が「無し」812を取得すると、再載置催促画面を表示する必要はないと判別し、条件受付手段605に初期画面を表示する旨の信号を送信する(図7:S103NO)。
【0098】
条件受付手段605は、タッチパネル401上に初期画面を表示し、ユーザからの条件の入力を受け付ける。
【0099】
後に続く条件受付手段605、画像読取手段606、機能提供手段607の作動手順は、先ほどと同様であるため、省略する。載置された原稿の向きが横向きであるため、画像読取と画像出力は効率よく行われ、結果として、画像読取から画像出力までに要する処理時間を短縮する。
【0100】
このように、原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、縦向きであるか、横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、原稿の向きが縦向きである場合に、再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段とを備えるよう構成している。
【0101】
これにより、原稿の向きが、画像読取から画像出力までに要する処理時間に影響することを知らないユーザに、載置させた原稿の向きを考慮させ、原稿の向きを横向きに再載置させるよう促すことが可能となる。そのため、ユーザに普段は何気なく載置させている原稿の向きを意識させ、一度設定された規制板に影響されることなく、ユーザに処理時間を短縮する横向きに原稿を載置させることが可能となる。その結果、画像形成装置が迅速に機能提供を行うことが可能となるとともに、原稿の向きを変更するという煩わしい作業をユーザに強要するものの、処理時間の長期化の根本的な問題解決を図れ、読み取った画像データを回転する回転処理や出力させるシートのカセットを検索する検索処理等を行う必要がないため、所定のソフトウェアを作成する手間を解消することができる。
【0102】
さらに、上記原稿向き表示手段による再載置催促画面の表示とともに、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す音を発生する原稿向き音発生手段を備えるよう構成することができる。
【0103】
これにより、再載置の必要性をユーザに聴覚的に知らせることが可能となる。そのため、表示された再載置催促画面に気がつかないユーザであっても、音によって確実に再載置の必要性を認識することが可能となり、ユーザに適切に横向きの再載置を促すこととなる。その結果、再載置より、画像形成装置が迅速に機能提供を行うことが可能となる。
【0104】
<第二の実施形態>
次に図10乃至11を参照しながら、第二の実施形態の画像形成装置が、画像読取から画像出力までの間に生じる処理時間が最短となる原稿の向きをユーザに知らせる手順について説明する。第一の実施の形態と比較して、第二の実施の形態の異なる点は、原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促画面を表示する点である。さらに、上記所定の枚数は、原稿のサイズに応じて適宜設定されている。その他の点については、第一の実施の形態と同様であるため、第一の実施の形態の説明において用いた図面(図1乃至図9)も適宜参照しながら、第二の実施形態について説明する。
【0105】
まず、ユーザはA4サイズの原稿を縦向きで12枚、載置台105上に載置すると、所定の原稿存在検知センサ(第一の原稿存在検知センサ212a、A4縦の原稿存在検知センサ212e、A5縦の原稿存在検知センサ212c、A5横の原稿存在検知センサ212b)が原稿の存在を検知し、ON信号を原稿向き検知手段601に発信する(図11:S201)。
【0106】
原稿向き検知手段601は、上記ON信号と、原稿向き記憶手段602に記憶されている原稿向きテーブル800とに基づいて、原稿の向き「縦向き」807を検知する(図8C、図11:S202)。また、原稿向き検知手段601は、原稿サイズ検知手段を兼ねており、上記ON信号と、原稿向きテーブル800とに基づいて、原稿サイズ「A4」813を検知する。その後、原稿向き検知手段601は、「縦向き」807と「A4」813を原稿向き表示手段603に送信する。
【0107】
さらに、リフト移動手段1001が、原稿の先端部が載置されたリフト板214をホームポジションから原稿の積載方向へ上昇させる。上昇したリフト板214上の原稿の先端部がコロ217を押し上げると、そのことを上限センサ215が検知し、リフト移動手段1001がリフト板214を停止する。
【0108】
原稿枚数検知手段1002が、リフト移動手段1001を監視し、リフト材214のホームポジションからリフト材214の現時点の位置まで上昇させるために要したモータの回転量(例えば、「5回転」)を検知し、原稿枚数記憶手段1003に記憶されている原稿枚数テーブルを参照して、原稿枚数の検知を行う(図11:S203)。
【0109】
原稿枚数テーブル1200には、図12Gに示すように、モータの回転量1201と、そのモータの回転量1201に対応する原稿の枚数1202とが関連付けられて記憶されている。上記構成により、原稿枚数検知手段1002は、載置台105に載置された原稿の枚数を検知することが可能となる。なお、モータの回転量1201と原稿枚数1202との関係は、モータに備えられた歯車材の大きさ、歯材の大きさ、原稿の紙の種類(モノクロ紙、色紙、ハガキ、封筒、名刺等)、紙質(上質紙、普通紙、再生紙等)、厚み等の特性に応じて異なるため、その特性に対応して、原稿枚数テーブル1200は、適宜設計変更されるが、通常は、市販(流通)されている普通紙を基準に、原稿枚数テーブル1200は作成される。また、図12Gに示すように、原稿枚数テーブル1200は、モータの回転量1201の所定の範囲(例えば、「1.6回転から3.0回転」)に対して、一単位の原稿枚数(例えば、「6枚」という単位)を関連付けて記憶するよう構成すると、モータの回転量に応じて厳密な原稿枚数の数値を実験等から算出する必要がないため、余計な手間等が掛からず、好ましい。
【0110】
原稿枚数検知手段1002が、原稿枚数テーブル1100に基づいて、モータの回転量(「5回転」)が属する回転量の所定の範囲「4.6回転から6.0回転」1203を参照し、その「4.6回転から6.0回転」1203に対応する原稿枚数「12枚」1204を取得すると、原稿向き表示手段603に「12枚」1204を送信する。原稿向き表示手段603は、「縦向き」807と「A4」813と「12枚」1204とを受信すると、再載置催促画面記憶手段604に記憶されている枚数−画面表示テーブルを参照して、原稿の向き、原稿サイズ、原稿枚数に応じて、再載置催促画面を表示するか否かの判別を行う(図11:S204)。
【0111】
枚数−画面表示テーブル1205には、図12Hに示すように、原稿の向き1206と、原稿サイズ1207(例えば、「A3」、「A4」、「−」は、再載置催促画面を表示する必要がないことを示し、原稿サイズ等の判別を行わなくてもよいことを示す情報である。)と、原稿枚数の所定の範囲1208と、再載置催促画面を表示するか否かを示す情報1209(例えば、再載置催促画面を表示する場合には「有り」1210、再載置催促画面を表示しない場合には「無し」1211等)とが関連付けられて記憶されている。
【0112】
上記「有り」1210は、原稿枚数の所定の範囲1208のうち、所定の枚数以上の所定の範囲に関連付けて記憶され、上記「無し」1211は、所定の枚数未満の所定の範囲に関連付けて記憶される。上記所定の枚数は、原稿のサイズに応じて異なる値を有する。
【0113】
例えば、原稿サイズが「A4」であれば所定の枚数は「11枚」となり、「A3」であれば「6枚」となる。これは、A4の長辺は297mm、短辺は210mmであり、A3の長辺は420mm、短辺は297mmであるから、当然A3の原稿画像の読取面積はA4のそれよりも広い。そのため、A3の原稿では、A4の原稿と比較すると、画像を読み取る原稿枚数が少ない場合であっても、再載置催促表示画面を表示するよう構成した方が、その表示による処理時間の短縮化の効果が大きいからである。また、所定の枚数を設定するのは、原稿枚数が少ない場合に再載置催促表示画面を表示すると、ユーザが条件を入力する作業を妨げ、円滑に機能提供に関する作業を進めることができない場合があるためである。
【0114】
上記構成により、原稿向き表示手段603は、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が原稿のサイズに応じた所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促表示画面を表示することが可能となる。
【0115】
原稿向き表示手段603が、枚数−画面表示テーブル1205を参照すると、「縦向き」807には原稿サイズ1207、原稿枚数の所定の範囲1208等が関連付けて記憶されているため、再載置催促画面を表示する必要があると判別する(図11:S204YES)。
【0116】
さらに、原稿向き表示手段603が、「A4」813に対応する原稿枚数の所定の範囲1208(「1枚〜10枚」1212と「11枚〜」1213)を参照し、数値を比較して、「12枚」1204がどちらの範囲に属するか判別する(図11:S205)。「12枚」1204は「11枚〜」1213に属するから、原稿向き表示手段603が「12枚」1204を所定の枚数「11枚」以上と判別し、「11枚〜」1213に関連付けられた「有り」1214を枚数−画面表示テーブル1205から取得する(図11:S205YES)。
【0117】
原稿向き表示手段603が「有り」1214を取得すると、再載置催促画面を表示する必要があると判別し、タッチパネル401上に、再載置催促画面を表示する(図7:S205YES→S206、図9E)。
【0118】
ユーザは、再載置催促画面を見ながら、原稿の向きを縦向きから横向きに変更して再度原稿を載置台105に載置させ、再載置催促画面に表示された「OK」ボタン908を押下すると、原稿向き表示手段603は再載置催促画面を消去し、条件受付手段605はタッチパネル401上に初期画面を表示して、ユーザからの条件の入力を受け付ける。
【0119】
なお、第一の実施形態と同様に、上記原稿向き表示手段603は、原稿向き音発生手段を兼ねており、原稿向き表示手段603が再載置催促画面を表示する際には、原稿向き音発生手段が、予め所定のメモリに録音された音声メッセージを、複合機に付属の小型スピーカ(図示せず)から発生することとなる。上記音声メッセージが発生中において、ユーザが再載置催促画面に表示された「OK」ボタン906を押下すると、当該音声メッセージの発生は停止される。
【0120】
条件受付手段605が条件の入力を受け付けてから、後に続く条件受付手段605、画像読取手段606、機能提供手段607の作動手順は、第一の実施形態と同様であるため、省略する。原稿の向きが「縦向き」807で、原稿の枚数が原稿のサイズ「A4」813に応じた所定の枚数「11枚」よりも多い場合に、原稿の向きが縦向きから横向きに変更されたので、画像読取と画像出力は効率よく行われ、結果として、画像読取から画像出力までに要する処理時間を短縮することが可能となる。
【0121】
一方、原稿枚数検知手段1002が、原稿サイズに応じた所定の枚数よりも少ない原稿の枚数を検知した場合は、以下の手順にて、画像データの出力が行われる。
【0122】
ユーザがA4サイズの原稿を縦向きで5枚、載置台105上に載置させると、原稿向き検知手段1002が、所定の原稿存在検知センサ(第一の原稿存在検知センサ212a、A4縦の原稿存在検知センサ212e、A5縦の原稿存在検知センサ212c、A5横の原稿存在検知センサ212b)のON信号と原稿向きテーブル800に基づいて、原稿の向き「縦向き」807と原稿サイズ「A4」813とを検知する(図11:S201→S202)。
【0123】
さらに、リフト移動手段1001がモータを回転させて、原稿をコロ217まで上昇させると、原稿枚数検知手段1002がモータの回転量(例えば、「2回転」)を検知し、原稿枚数テーブル1200に基づいて、モータの回転量(「2回転」)が属する回転量の所定の範囲「1.6回転から3.0回転」1215を参照し、その「1.6回転から3.0回転」1215に対応する原稿枚数「6枚」1216を取得する(図11:S203)。
【0124】
原稿向き表示手段は「縦向き」807と「A4」813と「6枚」1216とを受信すると、枚数−画面表示テーブルを参照し、「縦向き」807から再載置催促画面を表示する必要があると判別する(図11:S204YES)。
【0125】
さらに、原稿向き表示手段603が、「A4」813に対応する原稿枚数の所定の範囲1208(「1枚〜10枚」1212と「11枚〜」1213)を参照する。「6枚」1216は「1枚〜10枚」1212に属するから、原稿向き表示手段603が「6枚」1216を所定の枚数「11枚」よりも少ないと判別し、「1枚〜10枚」1212に関連付けられた「無し」1217を枚数−画面表示テーブル1205から取得する(図11:S205NO)。
【0126】
原稿向き表示手段603が「無し」1217を取得すると、再載置催促画面を表示する必要はないと判別し、条件受付手段605に初期画面を表示する旨の信号を送信する。条件受付手段605は、タッチパネル401上に初期画面を表示し、ユーザからの条件の入力を受け付ける。
【0127】
後に続く条件受付手段605、画像読取手段606、機能提供手段607の作動手順は、第一の実施形態と同様であるため、省略する。載置された原稿の向きは縦向きであるものの、再載置催促画面の表示を省略しているため、ユーザに円滑に条件を入力させることが可能となる。また、再載置催促画面を表示させなかった条件は、原稿の向きが、画像読取から画像出力までに要する処理時間に対して影響を及ぼす範囲ではないため、処理時間が長期化し、画像形成に関する業務等が停滞することもない。
【0128】
なお、原稿向き検知手段601が原稿の向きを横向きと検知した場合は(図11:S202→S203)、原稿向き表示手段603が再載置催促画面を表示する必要が無いと判別する(図11:S204NO)。その後、条件受付手段605が初期画面を表示してから、機能提供手段607が画像データを出力するまでの作動手順が続くが、それは第一の実施形態と同様であるため、省略する。
【0129】
このように、原稿を搬送する前に、載置台に載置された原稿の枚数を検知する原稿枚数検知手段を備え、上記原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促画面を表示するよう構成している。
【0130】
これにより、原稿の向きが縦向きの場合、載置させた原稿の枚数が最も影響を及ぼす所定の枚数を超過した場合に、再載置催促画面を表示することとなる。そのため、再載置催促画面を効果的に表示させ、画像読取から画像出力までに要する処理時間の短縮化を図ることが可能となるとともに、原稿の枚数が少ない場合は、再載置催促画面の表示を省略するため、ユーザに原稿の向きを変更するという煩わしい作業を強要せずに、ユーザに円滑に条件の入力等を行わせることが可能となる。その結果、再載置催促画面を適切に表示させることが可能となる。
【0131】
さらに、原稿を搬送する前に、載置台に載置された原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段を備え、上記原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が原稿のサイズに応じた所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促画面を表示するよう構成している。
【0132】
これにより、原稿のサイズと原稿の枚数に応じて処理時間の長短が異なる実態に、画像形成装置を機動的に対応させ、再載置催促画面を適切な場面で表示させることが可能となる。そのため、載置させる原稿のサイズが異なっていても、再載置催促画面を効果的に表示させることが可能となるとともに、原稿の枚数が少ない場合は、再載置催促画面の表示を省略し、ユーザに業務遂行を円滑に行わせることが可能となる。
【0133】
なお、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、ユーザが原稿を載置台に載置させた際に、原稿向き表示手段が再載置催促画面を表示するよう構成したが、例えば、スタートキーが押下された時点、原稿が載置されてから所定時間経過した時点等、原稿を搬送する前の時点であれば、どのような時点であっても、本発明の作用効果を奏する。
【0134】
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、載置台に備えられた第一の規制板を固定とし、第二の規制板を可動として構成したが、他の構成、例えば、第一の規制板を可動とし、第二の規制板を固定とする、または、第一の規定板、第二の規制板、いずれも可動とする等の設計変更を行っても構わない。
【0135】
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、原稿向き検知手段が原稿存在検知センサのON信号の組み合わせに基づいて原稿の向きを検知するよう構成したが、載置台の原稿の向きを検知できるのであれば他の方法を採用しても構わない。原稿サイズ検知手段も原稿存在検知センサのON信号の組み合わせに基づいて原稿のサイズを検知するよう構成したが、上記と同様、適宜設計変更を行っても構わない。
【0136】
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、上記原稿向き表示手段が再載置催促画面を表示するとともに、原稿向き音発生手段が所定の音声メッセージを発生するよう構成したが、例えば、ユーザの操作や管理者権限で操作できるメニュー画面等を介して、再載置催促画面の表示を省略し、当該原稿向き表示手段による再載置催促画面の表示に代えて、当該原稿向き音発生手段が所定の音声メッセージを発生するよう構成しても構わない。
【0137】
上記構成とすると、再載置催促画面の表示によってユーザの条件入力を阻害することなく、ユーザに再載置の必要性を知らせることが可能となる。
【0138】
また、第二の実施形態では、原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が原稿のサイズに応じた所定の枚数よりも多い場合に、同一の再載置催促画面を表示するよう構成したが、例えば、原稿のサイズに応じた再載置催促画面を作成しておき、原稿のサイズに対応して種々の再載置催促画面を表示するよう構成しても構わない。
【0139】
また、第二の実施形態では、原稿枚数検知手段は、モータの回転量と原稿枚数テーブルとに基づいて原稿枚数を検知するよう構成したが、他の方法、例えば、載置された原稿に光を照射し、その透過光の強度から原稿の枚数を検知したり、逆に反射光の強度から原稿の枚数を検知するよう構成しても構わない。
【0140】
また、第二の実施形態では、原稿向き表示手段は、取得した原稿枚数と枚数−画面表示テーブルに基づいて原稿枚数が所定の枚数を超過するか否かを判別するよう構成したが、例えば、原稿向き表示手段が原稿枚数を受信する毎に、取得した原稿枚数と、予め記憶させておいた所定の枚数とを比較して、原稿枚数が所定の枚数を超過するか否かを判別するよう構成しても構わない。
【0141】
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、複合機が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。上記構成では、上記プログラムを複合機に読み出させ、その複合機が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる記憶方法として提供することも可能である。
【0142】
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、コピー機能との処理に関して採用したが、例えば、スキャン機能、ファクシミリ送受信機能、プリント機能、ネットワークスキャン機能、後処理機能、メモリ機能等の処理にでも採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上のように、本発明にかかる画像形成装置は、複写機、プリンタ、複合機等に有用であり、載置された原稿の向きが縦向きの場合に、原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面を表示することが可能な画像形成装置として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の実施形態に係る複合機内部の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係る自動原稿給送装置の載置台を示す概念図である。
【図3】本発明の実施形態に係る自動原稿給送装置を示す概念図である。
【図4】本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示された画面の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る発明の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
【図6】第一の実施形態における複合機の機能ブロック図である。
【図7】第一の実施形態の実行手順を示すためのフローチャートである。
【図8】第一の実施形態に係る原稿向きテーブルと画面表示テーブルの一例を示す図である。
【図9】第一の実施形態のタッチパネル上に表示された画面の一例を示す図である。
【図10】第二の実施形態における複合機の機能ブロック図である。
【図11】第二の実施形態の実行手順を示すためのフローチャートである。
【図12】第二の実施形態に係る原稿枚数テーブルと枚数−画面表示テーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0145】
100 複合機
104 自動原稿給送装置
601 原稿向き検知手段
602 原稿向き記憶手段
603 原稿向き表示手段(原稿向き音発生手段)
604 再載置催促記憶手段
605 条件受付手段
606 画像読取手段
607 機能提供手段
1001 リフト板移動手段
1002 原稿枚数検知手段
1003 原稿枚数記憶手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳しくは、載置された原稿の向きが縦向きの場合に、原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面を表示することが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置は、提供可能な機能を複数備えるようになっており、多機能化を迎えている。その機能は、コピー機能に加えて、ファクシミリ送受信機能、スキャン機能、プリント機能、ステープル機能やパンチ機能に代表される後処理機能、省電力機能等であり、種類も様々である。さらに、上記機能の多様化とともに、機能提供に供される原稿を自動的に順次給送可能な自動原稿給送装置(ADF)も搭載されるようになってきている。
【0003】
ユーザが上記自動原稿給送装置を利用して原稿の画像を画像形成装置に読み取らせる場合、ユーザは自動原稿給送装置に備えられた載置台(原稿トレイ、原稿載置トレイともいう)に原稿を載置させ、スタートボタンを押下すると、自動原稿給送装置に備えられたピックアップローラ等が回転し、載置された原稿を一枚ずつ搬送して、画像を読み取る読取部が原稿の画像を読み取る。画像を読み取られた原稿は、排紙台に排紙される。
【0004】
ところで、載置させる原稿の向きが、縦向き(読取部の主走査方向に対して原稿の短辺側が平行となる向き)である場合、横向き(読取部の主走査方向に対して原稿の長辺側が平行となる向き)である場合と比較すると、原稿の画像読取開始から画像出力(画像形成)終了までの一連の処理時間は長くなる。これは、縦向きに載置された原稿の画像を読み取る場合、読取部の副走査方向(主走査方向と直交する方向、原稿搬送方向と平行する方向)における読取長さが長くなることや、画像データに対応する潜像(静電潜像)を感光ドラムに形成する場合、感光ドラムの回転方向における潜像の辺の長さが長くなることに起因している。
【0005】
原稿の枚数が少ない場合は、原稿の向きの違いによって処理時間はそれほど影響を受けないものの、原稿枚数が多くなると、原稿の向きの違いに応じて処理時間の格差が大きくなるという問題がある。しかしながら、原稿枚数が何十枚(例えば10枚以上)に及ぶ場合でも、ユーザは特に原稿の向きを意識せずにコピー動作を開始しているという実態がある。そうすると、後続に控えた、コピー作業を希望するユーザの待ち時間が長くなる等、日常の業務に支障を来たすという問題があった。
【0006】
上記問題を解決するために、特開平9−312735号公報(特許文献1)には、画像形成すべき処理枚数を認識する枚数認識手段と、画像読取手段によって読み取られた原稿画像を90度回転し得る画像回転手段と、画像読取手段の主走査方向に対して上記原稿の短辺側が平行にセットされた場合、上記画像形成手段での画像形成に先立って上記枚数認識手段により認識された処理枚数と所定の基準枚数とを比較し、上記処理枚数が上記基準枚数よりも多いときに上記画像回転手段にて上記原稿画像を90度回転させる画像回転制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【0007】
上記構成により、処理時間が長いとされる縦向きに原稿がセットされた場合であっても、自動的に用紙搬送方向に対して用紙の短辺側が平行となる横向きの用紙を用いた画像形成処理を実行させ、原稿が縦・横いずれの向きでセットされていても、処理時間の短い画像形成条件が自動的に選択されるようになるため、ユーザとしては、いちいち原稿の向きを意識してセットしなくても、迅速かつ効率的にコピー作業を行うことが可能となるとしている。
【0008】
また、特開平7−177292号公報(特許文献2)には、経路記憶部と原稿サイズ検出手段と用紙サイズ検出手段と給紙検出手段と給紙選択手段を有し、経路記憶部は各用紙給紙部から排紙位置までの距離を記憶し、原稿サイズに応じた用紙給紙部を選択する自動用紙選択モ−ドが指定されると、原稿サイズ検出手段は原稿サイズを検出し、用紙サイズ検出手段は検出した原稿サイズとユ−ザから指定された複写倍率とから原稿を複写するのに適した用紙サイズを検出し、給紙検出手段は検出したサイズの用紙が入っている用紙給紙部を全て検出し、給紙選択手段は経路記憶部に記憶した距離と複写枚数を基に検出した用紙給紙部の中から最も給紙時間が短い用紙給紙部を選択することを特徴とするデジタル複写機が開示されている。
【0009】
上記構成により、原稿サイズに応じた用紙給紙部を選択する自動用紙選択モ−ドが指定されると、原稿サイズと、複写倍率と、用紙給紙部と、各用紙給紙部から排紙位置までの距離と、複写枚数とを基に検出した用紙給紙部の中から最も給紙時間が短い用紙給紙部を選択し、その用紙給紙部から記録用紙を送り出すので、印刷時間を短縮できるとしている。
【0010】
また、特開平8−65443号公報(特許文献3)には、最大複写サイズの記録紙の1頁分以上の画像情報が記憶可能な画像メモリと、上記画像メモリを用いて、画像情報を90度回転する画像情報回転手段とを備え、上記自動用紙選択手段は、原稿サイズおよび変倍率によって決定されるサイズの記録紙が、上記複数の給紙段の異なる段に存在し、かつ、記録紙の縦横載置方向が90度回転された状態でセットされている場合に、複写リピート枚数と所定の基準値との比較に基づいて、画像情報を90度回転させて原稿の載置方向と異なる載置方向の記録紙を選択するか、原稿の載置方向と一致する載置方向の記録紙を選択するかを決定すると共に、上記画像情報回転手段を制御し、さらに上記所定の基準値は、上記原稿の載置方向と異なる載置方向の記録紙および上記原稿の載置方向と一致する載置方向の記録紙のそれぞれが上記給紙手段の第何段目の給紙段であるかによらず、常に一定の値であることを特徴とするデジタル複写機が開示されている。
【0011】
上記構成により、少なくとも画像回転を行っても、行わないで複写を実行した場合に対してジョブ終了までにかかる時間が短くなる記録紙が選択され、生産性が向上するとしている。
【特許文献1】特開平9−312735号公報
【特許文献2】特開平7−177292号公報
【特許文献3】特開平8−65443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、画像回転手段が開示されているが、読み取った画像データを回転する回転処理は、読み取る画像データの解像度や画像形成装置に備えられているCPUの性能等に応じて、回転処理時間が長くなる場合がある。その場合には、上記技術では、効果を奏しないという問題がある。
【0013】
また、特許文献2に記載の技術では、複数のパラメータに基づいて処理を複写機に行わせる必要があるため、適切に作動するソフトウェア等の開発に手間が掛かるという問題がある。
【0014】
また、特許文献3に記載の技術でも、画像情報回転手段により、画像データを回転する回転処理が伴うため、特許文献1に記載の技術と同様の問題を抱えることとなる。
【0015】
さらに、特許文献1乃至3のうち、いずれの技術であっても、出力させる記録紙(シート)に着目した技術であって、載置された原稿に対して何らかのアプローチをユーザに促すものではない。原稿の向きをユーザ自身が変更すれば、処理時間の短縮化を図ることができるにも関わらず、ユーザに積極的に原稿の向きを変更させることがないため、原稿の向きによって生じる処理時間が長くなる問題を根本的に解決することができないという問題がある。
【0016】
また、ユーザが自動原稿給送装置を利用する場合、原稿の向きと処理時間との関係を知らないユーザが多く、普段何気なく原稿を載置台に載置していることが多い。そのため、例えば、載置台に備えられた原稿の端部を規制する規制板が、原稿の向きを縦向きに対応して一度設定されると、後続のユーザが従前の原稿の向きである縦向きに自己の原稿の向きを揃えるという実態がある。その状態が一端発生すると、規制板の位置が変更されない限り、後続のユーザはそのまま原稿を縦向きにして作業を続行する傾向があり、処理時間が長くなる原稿の向きで終始画像形成処理等が進行するという問題がある。
【0017】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、載置された原稿の向きが縦向きの場合に、原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面を表示することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、載置台に載置された原稿を一枚ずつ搬送し、原稿の画像を読み取る自動原稿給送装置を備えた画像形成装置において、原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、読取部の主走査方向に対して原稿の短辺側が平行となる向きである縦向きであるか、原稿の長辺側が平行となる向きである横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、原稿の向きが縦向きである場合に、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面である再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段とを備える。
【0019】
読取部による画像読取方法は、読取部に備えられた撮像素子、イメージセンサに応じて多少異なるが、どのような画像読取方法を採用しても構わない。例えば、イメージセンサは、CCD(Charge Coupled Device)、CMOSセンサ(CMOS sensor)、CIS(Contact Image Sensor)等を挙げることが出来るが、どのイメージセンサを採用しても構わない。
【0020】
原稿の向きを検知する方法は、例えば、原稿の向きに対応して原稿の存在を検知する原稿存在検知センサ(接触センサ、光学センサ)を用い、その原稿存在検知センサのON信号/OFF信号の組み合わせから原稿の向きを検知する方法が挙げられる。
【0021】
再載置催促画面を表示する場所は、例えば、画像形成装置の操作部に備えられたタッチパネルが挙げられるが、他の方法として、画像形成装置に接続されたパーソナルコンピュータの液晶ディスプレイ等に表示しても構わない。
【0022】
また、原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、縦向きであるか、横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、上記載置された原稿の枚数を検知する原稿枚数検知手段と、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が所定の枚数よりも多い場合に、ユーザに再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段とを備えるよう構成することができる。
【0023】
原稿の枚数を検知する方法は、例えば、載置台に設けられたリフト板の上昇幅、リフト板を上昇する際に要したモータの回転量、載置台上の原稿に光を照射し、その反射光の強度、透過光の強度等に基づいて原稿の枚数を検知する方法が挙げられる。
【0024】
所定の枚数は、原稿の画像読取から画像出力までに要する処理時間と、読み込ませる原稿の枚数とに基づいて決定される値であり、その決定方法は、例えば、所定の枚数を越えた枚数の原稿を読み取らせた場合、ユーザ(製造者)がその処理時間を長く感じるか否か、その処理時間で業務に支障を来たすか否か等によって決定される。
【0025】
さらに、原稿を搬送する前に、載置台に載置された原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段を備え、上記原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が原稿のサイズに応じた所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促画面を表示するよう構成することができる。
【0026】
原稿のサイズを検知する方法は、原稿の向きを検知する方法と同様で、例えば、原稿のサイズに対応して原稿の存在を検知する原稿存在検知センサを用い、その原稿存在検知センサのON信号/OFF信号の組み合わせから原稿のサイズを検知する方法が挙げられる。原稿のサイズは、規定サイズ(国内サイズ)でも海外サイズでも構わない。
【0027】
原稿のサイズに応じた所定の枚数とは、処理時間と、読み込ませる原稿のサイズと、原稿の枚数とに基づいて決定される値であり、その決定方法は、上述したように、例えば、ユーザがその処理時間を長く感じるか否か、業務に支障を来たすか否か等で決定されるが、さらに、原稿のサイズに対応する用紙の長辺、短辺の長さを原稿のサイズ相互で比較して決定される場合もある。
【0028】
さらに、上記原稿向き表示手段による再載置催促画面の表示に代えて、または、再載置催促画面の表示とともに、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す音を発生する原稿向き音発生手段を備えるよう構成することができる。
【0029】
ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す音は、例えば、ユーザが予め録音した音声メッセージや所定の警告を意味する警告音、メロディー、音楽等が該当する。音を発生する手段は、例えば、音声を発生するスピーカ等が採用される。
【発明の効果】
【0030】
本発明の画像形成装置によれば、原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、縦向きであるか、横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、原稿の向きが縦向きである場合に、再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段とを備えるよう構成している。
【0031】
これにより、原稿の向きが、画像読取から画像出力までに要する処理時間に影響することを知らないユーザに、載置させた原稿の向きを考慮させ、原稿の向きを横向きに再載置させるよう促すことが可能となる。そのため、ユーザに普段は何気なく載置させている原稿の向きを意識させ、一度設定された規制板に影響されることなく、ユーザに処理時間を短縮する横向きに原稿を載置させることが可能となる。その結果、画像形成装置が迅速に機能提供を行うことが可能となるとともに、原稿の向きを変更するという煩わしい作業をユーザに強要するものの、処理時間の長期化の根本的な問題解決を図れ、読み取った画像データを回転する回転処理や出力させるシートのカセットを検索する検索処理等を行う必要がないため、所定のソフトウェアを作成する手間を解消することができる。
【0032】
また、原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、縦向きであるか、横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、上記載置された原稿の枚数を検知する原稿枚数検知手段と、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が所定の枚数よりも多い場合に、ユーザに再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段とを備えるよう構成することができる。
【0033】
これにより、原稿の向きが縦向きの場合、載置させた原稿の枚数が最も影響を及ぼす所定の枚数を超過した場合に、再載置催促画面を表示することとなる。そのため、再載置催促画面を効果的に表示させ、画像読取から画像出力までに要する処理時間の短縮化を図ることが可能となるとともに、原稿の枚数が少ない場合は、再載置催促画面の表示を省略するため、ユーザに原稿の向きを変更するという煩わしい作業を強要せずに、ユーザに円滑に条件の入力等を行わせることが可能となる。その結果、再載置催促画面を適切に表示させることが可能となる。
【0034】
さらに、原稿を搬送する前に、載置台に載置された原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段を備え、上記原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が原稿のサイズに応じた所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促画面を表示するよう構成している。
【0035】
これにより、原稿のサイズと原稿の枚数に応じて処理時間の長短が異なる実態に、画像形成装置を機動的に対応させ、再載置催促画面を適切な場面で表示させることが可能となる。そのため、載置させる原稿のサイズが異なっていても、再載置催促画面を効果的に表示させることが可能となるとともに、原稿の枚数が少ない場合は、再載置催促画面の表示を省略し、ユーザに業務遂行を円滑に行わせることが可能となる。
【0036】
さらに、上記原稿向き表示手段による再載置催促画面の表示に代えて、または、再載置催促画面の表示とともに、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す音を発生する原稿向き音発生手段を備えるよう構成することができる。
【0037】
これにより、再載置の必要性をユーザに聴覚的に知らせることが可能となる。そのため、表示された再載置催促画面に気がつかないユーザであっても、音によって確実に再載置の必要性を認識することが可能となり、ユーザに適切に横向きの再載置を促すこととなる。その結果、再載置より、画像形成装置が迅速に機能提供を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
【0039】
<画像形成装置>
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置は、プリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機、デジタル複写機、プリンタ等が該当し、コピーサービス、スキャナサービス、ファクシミリサービス、プリンタサービス等を備えた画像形成装置として機能する。
【0040】
図1は、複合機の概略模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。なお、一例として複合機を利用して原稿のコピーを行う際の画像形成装置の動作を簡単に説明する。
【0041】
ユーザが複合機100を利用して例えば原稿の印刷を行う場合、原稿を図1に示す原稿台103、或いは載置台105に配置し、原稿台103近傍に供えられた操作部200に対して印刷の指示を行う。当該指示があると、以下に示す各部(駆動部)が動作することで、印刷が行われる。
【0042】
即ち、図1に示すように、本実施の形態の複合機100は、本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102を備える。本体101の上面は原稿台103が設けられており、原稿台103は、プラテンカバー102によって開閉されるようになっている。プラテンカバー102は、自動原稿給紙装置104と載置台105と排紙台109が設けられている。
【0043】
自動原稿給送装置104の載置台105には、図2Aに示すように、平面視で載置台の上端近傍に固定された、原稿の端部を規制する第一の規制板210と、第一の規制板210に対向する位置である載置台105の下端近傍に上下動可能に備えられた第二の規制板211とが備えられている。第二の規制板211は、原稿の搬送する方向である搬送方向(以下、F方向とする)に対して直交する方向に可動するため、原稿が複数枚に渡る場合は、原稿の束を上記規制板210、211によって整えることが可能である。
【0044】
載置台105には、さらに、原稿の存在の有無(原稿の接触)を検知する原稿存在検知センサ212a〜gが所定数備えられている。所定数の原稿存在検知センサ212a〜gは、載置された原稿のサイズと向きに応じてその原稿の隅を検知可能となるよう配置される。配置方法は、例えば、以下のように配置される。
【0045】
図2Aに示すように、第一の規制板210の下方左側近傍に第一の原稿存在検知センサ212aが設けられており、第一の規制板210に端部を規制させた原稿が載置台105に載置されると、その原稿の隅を確実に検知する。第一の原稿存在検知センサ212aが原稿の存在に対応する信号(ON信号)を発信する場合、原稿が載置台212aに載置されたとみなされる。
【0046】
他の原稿存在検知センサ212b〜gは、様々な原稿のサイズと向きに応じて配置される。例えば、所定の定形サイズ(規定サイズともいう)の原稿が載置台105上に載置された場合、その原稿の一隅は、第一の原稿存在検知センサ212aに検知されることになるが、その原稿の一隅に対向し、かつ原稿の対角線上に位置する他方の一隅が検知されるように、他の原稿存在検知センサ212b〜gが配置される。
【0047】
例えば、定形サイズであるA5サイズの原稿を、複合機100に備えられた読取部110(後述する)の主走査方向に対して原稿の短辺側が平行となる向きである縦向きに載置させた場合、第一の原稿存在検知センサ212aと、A5縦向きに載置させた原稿の一隅に接触するA5縦の原稿存在検知センサ212cがON信号を発信し、他の原稿存在検知センサ212b、212d〜gはON信号を発信することはない。原稿存在検知センサ212a〜gのON信号の組み合わせに基づいて、原稿の向きを検知することが可能となり、併せて原稿のサイズを検知することも可能となる(後述する)。
【0048】
また、例えば、定形サイズであるA4サイズの原稿を、読取部110の主走査方向に対して原稿の長辺側が平行となる向きである横向きに載置させた場合、第一の原稿存在検知センサ212aとA4横の原稿存在検知センサ212d以外に、A4サイズよりも小さいサイズであるA5横の原稿存在検知センサ212b、A5縦の原稿存在検知センサ212cも不可避的に接触するが、この場合は、第一の原稿存在検知センサ212a、A4横の原稿存在検知センサ212d、A5横の原稿存在検知センサ212b、A5縦の原稿存在検知センサ212cのON信号に基づいて、原稿の向きとサイズとが検知される。
【0049】
次に、自動原稿給紙装置104は、プラテンカバー102の内部に形成された原稿搬送路108と、プラテンカバー102の内部に備えられたピックアップローラ106や搬送ローラ107A、107B等で構成される。原稿搬送路108は、載置台105から、本体101に設けられた読取部110にて読み取りが行なわれる読取位置Pを経由して、排紙台109に通じる原稿の搬送路である。
【0050】
自動原稿給紙装置104は、載置台105に載置された原稿1枚ずつをピックアップローラ106で原稿搬送路内108に引き出し、搬送ローラ107A、107B等によって引き出した原稿を、読取位置Pを通過させて排紙台109に排紙する。読取位置Pを通過する時に原稿は読取部110にて読み取られる。
【0051】
図B1に示すように、原稿を原稿搬送路内108に引き込む引込口213の近傍には、載置台105の搬送方向(F方向)前方に、リフト板214と、上限センサ215と、下限センサ216と、コロ217と、ピックアップローラ106とが備えられている。
【0052】
リフト板214は、原稿が載置可能な板状部材であり、リフト板214の側面に備えられたリフト板駆動部218により原稿の積載方向に上下動可能である。上限センサ215は、リフト板214の上昇を所定位置で止めるためのセンサであり、光センサで構成されている。上限センサ215は、リフト板214が上昇してリフト板214上の原稿の先端部がコロ217を押し上げると、そのことが光学的に検知されて停止するようになっている(図B2)。下限センサ216は、リフト板214が最下方位置(ホームポジション)まで下降したことを検知するためのセンサである。
【0053】
コロ217は、ホームポジションに配置されたリフト板214に対し上方に間隔をあけて配置されるとともに、自由状態では自重により下方位置に位置するが、リフト板214により下方から力を受けるのに追従して上方に可動に構成されている。
【0054】
リフト板駆動部218は、リフト板214を上下動させるためのものであり、ステッピングモータ219、ラックアンドピニオン機構(以下、棒体220、歯材、歯車材221等)等で構成されている。リフト板214の一側面には、棒体220が原稿の積載方向に沿って連結され、その棒体220の側面には歯車の歯材(図示せず)が設けられ、歯材と噛合可能でかつ正逆回転自在な歯車材221を備えたステッピングモータ219が設けられる。
【0055】
原稿がリフト板214に載置されると、ステッピングモータ219が歯車材221を正回転させ、歯車材221と噛合する歯材を備えた棒体220が積載方向に上昇させ、さらにその棒体220に連結されたリフト材214を上昇させる。なお、例えば、リフト板214から原稿が取り除かれた際に、ステッピングモータ219がリフト材214を積載方向に対して下方に下降させてホームポジションに移動させる場合は、ステッピングモータ219が歯車材221を逆回転させることとなる。
【0056】
次に、読取部110は、原稿台103及び自動原稿給送装置104の下方に設けられており、図3にその詳細が示されている。読取部110は、原稿台103を照射する主走査方向に長い光源111と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット116と、原稿台からの光を導くミラー112とを備える第一の移動キャリッジ117や、第一の移動キャリッジ117からの反射光を再度反射するミラー113A、113Bを備える第二の移動キャリッジ118、さらにミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群119、当該レンズ群119より補正された光を受光する撮像素子115、撮像素子にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正・修正などを行う画像データ生成部114とで構成されている。
【0057】
自動原稿給紙装置104上の原稿を読み取る場合には、光源111は、読取位置Pを照射できる位置に移動して発光する。光源111からの光は、原稿台103を透過して読取位置Pを通過する原稿にて反射し、スリット116、ミラー112、113A、113B、レンズ群119によって撮像素子115に導かれる。撮像素子115は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部114に送信する。画像データ生成部114には、上記撮像素子115にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部114では、順次変換されたデジタル信号を単位データとし、これら単位データを補正、修正等することで複数の単位データからなる画像データを生成する。
【0058】
また、読取部110は、自動原稿給紙装置104で搬送される原稿だけでなく、原稿台103に載置された原稿も読み取ることが可能となっている。原稿台103に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ112は、光源111を発光しながら副走査方向に移動し、光源111から撮像素子115までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ118は第一の移動キャリッジ117の1/2の速度で撮像素子115方向に移動する。
【0059】
撮像素子115は、自動原稿給紙装置104に搬送された原稿のときと同様に、ミラー112、113A、113Bに導かれた光に基づいて原稿台103に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部114が画像データを生成する。
【0060】
本体101の読取部110の下方には、画像データを印刷する印刷部120を備えている。印刷部120が印刷できる画像データは、上記のように画像データ生成部114にて生成されたものや、複合機100に接続された通信ケーブル201を介して、ネットワーク202から画像形成の指示とともに送信される場合もある。
【0061】
印刷部120が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム121を帯電器122で一様に帯電させ、その後レーザ123で感光ドラム121を照射して感光ドラム121に潜像を形成し、現像器124で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を用紙に転写する方式である。
【0062】
なお、フルカラー画像に対応した画像形成装置では、上記現像器(ロータリー現像器)124が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム121の対向位置に配置される。この状態で、感光ドラム121上の潜像が、現像器124が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト125Aに転写される。なお、現像器124は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット124(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。上記中間転写ベルト125Aへの転写を上記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト125A上にフルカラー画像が形成される。
【0063】
可視像が印刷される用紙は、手差しトレイ131、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
【0064】
印刷部120が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから用紙1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した用紙を搬送ローラ137やレジストローラ138で中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込む。用紙を引き出す場合、手差しトレイ131に載置された用紙を、手差しトレイ用ピックアップローラ136を用いて引き出しても構わない。
【0065】
印刷部120は、中間転写ベルト125Aと転写ローラ125Bの間に送り込んだ用紙に、上記中間転写ベルト125A上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト126で定着装置127に用紙を送る。定着装置127は、ヒータが内蔵された加熱ローラ128と、所定の圧力で加熱ローラ128に押し当てられた加圧ローラ129とで構成されている。加熱ローラ128と加圧ローラ129の間を用紙が通過すると、熱と用紙への押圧力によって可視像が用紙に定着する。印刷部120は、定着装置127を通過した用紙を排紙トレイ130に排紙する。
【0066】
以上が、複合機100における基本的なコピーサービスの処理である。なお、複合機100は、上述した各部(自動原稿給送装置104、読取部110、印刷部120)を適宜協働的に動作することによって、他の機能、例えば、ファクシミリ送受信機能、プリント機能、スキャン機能、後処理機能、メモリ機能等をユーザに提供する。
【0067】
なお、複数の原稿存在検知センサのON信号に基づいて、原稿の向き(原稿のサイズ)を検知する手段を、原稿向き検知手段(原稿サイズ検知手段)とし、リフト板駆動部を制御する手段をリフト移動手段とし、ユーザが操作部200に対して行った印刷等の指示(命令、要求)を受け付ける手段を条件受付手段とし、読取部100にて原稿の画像を読み取る手段を画像読取手段とし、受け付けた指示と読み取った画像データに基づいて、上記機能を提供する手段を総じて機能提供手段とする(後述する)。
【0068】
図4は、複合機100に備えられた操作部200の外観の一例を示す図である。ユーザは、上記操作部200を用いて、上述のような機能提供についての設定条件等を入力したり、書き込み情報を書き込んだり、所定の送信先へ書き込み情報を送信したりする。設定条件の入力、各サービスの実行開始等が行なわれる際に、上記操作部200に備えられたタッチパネル401、タッチペン402、操作キー403が用いられる。
【0069】
上記タッチパネル401には、上述した条件を入力する機能と、入力された設定条件等を表示する機能とが兼ね備えられている。すなわち、タッチパネル401上に表示された画面内の選択項目等を押下することによって、選択項目等に関連付けられた設定条件の入力が行われ、所定のキーボード画面のキーまたは送信先を押下することによって、機能に関連する指示の入力等が行なわれる。また、押下された選択項目や入力された指示等は、タッチパネル401上で、例えば、背景色を白色からグレー色へ変更する表示をすることにより、ユーザが随時視認可能である。
【0070】
タッチパネル401の近傍には、タッチペン402が備えられており、ユーザがそのタッチペン402の先をタッチパネル401に接触させると、タッチパネル401下方に設けられたセンサが接触先を検知する。そのため、タッチペン402の接触により、キーボード画面のキーの押下や所定の手書き情報の入力が可能である。タッチペン402は備えられていなくても構わない。
【0071】
さらに、タッチパネル401近傍には、所定数の操作キー403が設けられ、例えば、テンキー404、スタートキー405、クリアキー406、ストップキー407、リセットキー408、電源キー409が備えられている。なお、上記テンキー404は、部数や倍率を設定する際に具体的な数字の入力に用いられる。
【0072】
次に、図5を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。図4は、複合機100における制御系ハードウェアの概略構成図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0073】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、HDD(Hard Disk Drive)504、各駆動部に対応するドライバ505を内部バス506によって接続している。上記CPU501は、例えば、RAM503を作業領域として利用し、上記ROM502、HDD504等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ505と図示しない操作部200からのデータ、指示を授受し、さらに、原稿向き検知センサ、上限センサ、下限センサ等から発信される信号を授受し、上記図1乃至図4に示した各駆動部等の動作を制御する。また、上記駆動部以外についても、上記CPU501がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。上記ROM502、HDD504等には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
【0074】
<第一の実施形態>
次に図6乃至図7を参照しながら、第一の実施形態の画像形成装置が、載置された原稿の向きが縦向きの場合に、原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面を表示する手順について説明する。図6は、第一の実施形態に係る複合機の機能ブロック図である。図7は、第一の実施形態の実行手順を示すためのフローチャートである。なお、第一の実施形態に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0075】
まず、ユーザはA4サイズの原稿を縦向きで載置台105上に載置し、原稿の両端を第一の規制板210と第二の規制板211で規制すると、所定の原稿存在検知センサ(第一の原稿存在検知センサ212a、A4縦の原稿存在検知センサ212e、A5縦の原稿存在検知センサ212c、A5横の原稿存在検知センサ212b)が、載置された原稿を検知し、ON信号を原稿向き検知手段601に発信する(図7:S101)。なお、この時点では、ユーザは、未だ条件入力等を開始していない。
【0076】
原稿向き検知手段601は、上記ON信号を受信すると、原稿向き記憶手段602に記憶されている原稿向きテーブルを参照して、原稿の向きを検知する(図7:S102)。
【0077】
原稿向きテーブル800には、図8Cに示すように、各原稿存在検知センサ212a〜gがON信号を発信しているか否かの情報801(例えば、ON信号を発信している原稿存在検知センサには「○」802、ON信号を発信していない原稿存在検知センサには「×」803等)と、その情報に基づいて決定される原稿サイズ804(例えば、「A3」、「A4」、原稿が載置されていない状態には「−」等)と、原稿の向き805(「縦向き」、「横向き」、「−」)とが関連付けて記憶されている。原稿向き検知手段601は、受信したON信号の組み合わせに対応する原稿の向き805を取得することにより、載置されている原稿の向きを検知することが可能となる。なお、第一の実施形態では、原稿の向きに着目しているため、原稿サイズ804を併せて検知しても、原稿サイズ804を省略しても構わない。
【0078】
原稿向き検知手段が、第一の原稿存在検知センサ212aとA4縦の原稿存在検知センサ212eとA5縦の原稿存在検知センサ212cとA5横の原稿存在検知センサ212bのON信号に対応する「○」806に基づいて、原稿向きテーブル800から原稿の向き「縦向き」807を検知すると、その「縦向き」807を原稿向き表示手段603に送信する。原稿向き表示手段603は、原稿の向き「縦向き」807を受信すると、再載置催促画面記憶手段604に記憶されている画面表示テーブルを参照して、原稿の向きに応じて、再載置催促画面を表示するか否かの判別を行う(図7:S103)。
【0079】
画面表示テーブル808には、図8Dに示すように、原稿の向き809と、再載置催促画面を表示するか否かを示す情報810(例えば、再載置催促画面を表示する場合には「有り」811、再載置催促画面を表示しない場合には「無し」812等)とが関連付けられて記憶されている。上記構成により、原稿向き表示手段603は、原稿の向きが縦向きである場合に、再載置催促表示画面を表示することが可能となる。
【0080】
原稿向き表示手段603が、受信した「縦向き」807に対応する「有り」811を画面表示テーブル808から取得すると、タッチパネル401上に、載置された原稿の向きを横向きに再載置する旨を示す画面である再載置催促画面を表示する(図7:S103YES→S104、図9E)。
【0081】
再載置催促画面は、図9Eに示すように、ユーザに現時点載置されている原稿の向きを変更するよう促す旨のメッセージ901「原稿の向きを変更してください。」と、原稿の向きを変更する理由902を示す「現時点の原稿の向きでは、処理時間が遅くなる可能性があります。」と、「縦向き」で載置台に載置された原稿の状態を模したイメージ画像である縦向き原稿イメージ画像903と、「縦向き」を「横向き」に変更することを指示する矢印イメージ画像904と、「横向き」で載置台に載置された原稿の状態を模したイメージ画像である横向き原稿イメージ画像905と、ユーザが原稿の向きを変更した後に押下する確認ボタンである「OK」ボタン906とが表示される。
【0082】
ユーザは、再載置催促画面を見ながら、原稿の向きを縦向きから横向きに変更して再度原稿を載置台に載置させる。さらに、ユーザは、再載置催促画面に表示された「OK」ボタン906を押下すると、原稿向き表示手段603は、再載置催促画面を消去して、条件受付手段605に初期画面(ここでは、図9Fに示すコピー設定画面)を表示する旨の信号を送信する。
【0083】
なお、例えば、「OK」ボタン906が押下されずに、ユーザが原稿の向きを横向きに変更した場合に、原稿向き検知手段601が原稿の向きを再検知し、原稿向き表示手段603が、載置された原稿の向きが横向きであることを判別すると、自動的に再載置催促画面を消去して、上記信号を条件受付手段605に送信するよう構成しても構わない。
【0084】
また、上記原稿向き表示手段603は、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す音を発生する原稿向き音発生手段を兼ねており、原稿向き表示手段603が再載置催促画面を表示するとともに、原稿向き音発生手段が、予め所定のメモリに録音された音声メッセージを、複合機に付属の小型スピーカ(図示せず)から発生する。
【0085】
上記音声メッセージは、例えば、「原稿の向きが縦向きですので、処理時間が遅くなる可能性があります。原稿の向きを横向きに変更してください。」という内容で、さらに、複合機近傍に佇むユーザに聞こえる程度の音量で発生される。場合によっては、繰り返し発生するよう構成しても構わない。
【0086】
上記音声メッセージが発生中において、例えば、ユーザが再載置催促画面に表示された「OK」ボタン906を押下した場合、あるいは、ユーザが原稿の向きを横向きに変更した場合に、原稿向き検知手段601が原稿の向きを再検知し、原稿向き音発生手段(原稿向き表示手段603)が、載置された原稿の向きが横向きであることを判別した場合に、当該音声メッセージの発生は停止される。
【0087】
条件受付手段605は、上記信号を受信すると、タッチパネル401上に初期画面を表示し、ユーザから所定の条件の入力を受け付ける。
【0088】
ユーザが初期画面を見ながら、自己の希望する条件を入力し、スタートキーを押下すると、条件受付手段605は、原稿画像の読み取りを開始する旨の信号を画像読取手段606に送信し、原稿の画像読取を開始させる。なお、ここでは、出力させるシートの向きについては、条件入力が行われないものとする。
【0089】
画像読取手段606が原稿の画像を読み取る場合、原稿の向きが横向きで、すなわち、読取部110の主走査方向に対して原稿の長辺側が平行な状態で、原稿の画像が読み取られていくことになる。そのため、読取部110が備える光源111が光を照射すると、読取部110の副走査方向における読取長さは、横向きの方が縦向きと比較すると長くなるため、結果として効率のよい画像読取を行うことが可能となる。
【0090】
例えば、A4サイズであれば、原稿の長辺が297mmであり、短辺が210mmであるため、横向きでの読取長さは、縦向きでの読取長さの1.4倍となる。
【0091】
画像読取手段606が読み取った画像データは、機能提供手段607に送信され、機能提供手段607は、条件受付手段605が受け付けた条件に従って機能提供を行う。
【0092】
出力させるシートの向きがユーザから指定されていない場合は、機能提供手段607が、読み取った画像データのサイズと向きとに対応するように、画像データを印刷物として出力する。すなわち、機能提供手段607が、シートのサイズをA4とし、シートの向きを横向きとして画像データを出力する。
【0093】
機能提供手段607が、画像データを印刷物として出力する場合、印刷部120が備える感光ドラム121に、画像データに対応する潜像が形成されるが、その潜像も横向きの状態で、すなわち、感光ドラム121の軸方向の幅と潜像の長辺側とが平行となる向きの状態で形成されることになる。そのため、上記と同様に、感光ドラム121の軸方向における潜像形成長さは、横向きの方が縦向きと比較すると長くなる(1.4倍)ため、効率よく潜像を形成することになる。
【0094】
さらに、形成された潜像に対応する可視像を転写する場合も、感光ドラム121が可視像を横向きのシートに転写することとなるため、上記と同様に、効率のよい転写を行うことになる。その結果、効率のよい画像出力が可能となる。この場合、読み取った画像データを回転処理することも無いため、画像処理に時間が掛かることも無い
上記手順により、載置された原稿の向きが縦向きの場合に、原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面を表示することが可能となり、結果として、画像読取から画像出力までに要する一連の処理時間を短縮することが可能となる。
【0095】
一方、原稿向き検知手段601が、原稿の向きを横向きと検知した場合は、以下の手順にて、画像データの出力が行われる。
【0096】
ユーザがA4サイズの原稿を横向きで載置台105上に載置させると、原稿向き検知手段601が、所定の原稿存在検知センサ(第一の原稿存在検知センサ212a、A4横の原稿存在検知センサ212d、A5縦の原稿存在検知センサ212c、A5横の原稿存在検知センサ212b)のON信号を受信し、原稿向きテーブル800に基づいて、原稿の向き「横向き」612を検知する(図7:S101→S102)。
【0097】
原稿向き検知手段601は「横向き」612を原稿向き表示手段603に送信し、原稿向き表示手段603は、画面表示テーブル808から「横向き」612に対応する「無し」812を取得する。原稿向き表示手段603が「無し」812を取得すると、再載置催促画面を表示する必要はないと判別し、条件受付手段605に初期画面を表示する旨の信号を送信する(図7:S103NO)。
【0098】
条件受付手段605は、タッチパネル401上に初期画面を表示し、ユーザからの条件の入力を受け付ける。
【0099】
後に続く条件受付手段605、画像読取手段606、機能提供手段607の作動手順は、先ほどと同様であるため、省略する。載置された原稿の向きが横向きであるため、画像読取と画像出力は効率よく行われ、結果として、画像読取から画像出力までに要する処理時間を短縮する。
【0100】
このように、原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、縦向きであるか、横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、原稿の向きが縦向きである場合に、再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段とを備えるよう構成している。
【0101】
これにより、原稿の向きが、画像読取から画像出力までに要する処理時間に影響することを知らないユーザに、載置させた原稿の向きを考慮させ、原稿の向きを横向きに再載置させるよう促すことが可能となる。そのため、ユーザに普段は何気なく載置させている原稿の向きを意識させ、一度設定された規制板に影響されることなく、ユーザに処理時間を短縮する横向きに原稿を載置させることが可能となる。その結果、画像形成装置が迅速に機能提供を行うことが可能となるとともに、原稿の向きを変更するという煩わしい作業をユーザに強要するものの、処理時間の長期化の根本的な問題解決を図れ、読み取った画像データを回転する回転処理や出力させるシートのカセットを検索する検索処理等を行う必要がないため、所定のソフトウェアを作成する手間を解消することができる。
【0102】
さらに、上記原稿向き表示手段による再載置催促画面の表示とともに、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す音を発生する原稿向き音発生手段を備えるよう構成することができる。
【0103】
これにより、再載置の必要性をユーザに聴覚的に知らせることが可能となる。そのため、表示された再載置催促画面に気がつかないユーザであっても、音によって確実に再載置の必要性を認識することが可能となり、ユーザに適切に横向きの再載置を促すこととなる。その結果、再載置より、画像形成装置が迅速に機能提供を行うことが可能となる。
【0104】
<第二の実施形態>
次に図10乃至11を参照しながら、第二の実施形態の画像形成装置が、画像読取から画像出力までの間に生じる処理時間が最短となる原稿の向きをユーザに知らせる手順について説明する。第一の実施の形態と比較して、第二の実施の形態の異なる点は、原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促画面を表示する点である。さらに、上記所定の枚数は、原稿のサイズに応じて適宜設定されている。その他の点については、第一の実施の形態と同様であるため、第一の実施の形態の説明において用いた図面(図1乃至図9)も適宜参照しながら、第二の実施形態について説明する。
【0105】
まず、ユーザはA4サイズの原稿を縦向きで12枚、載置台105上に載置すると、所定の原稿存在検知センサ(第一の原稿存在検知センサ212a、A4縦の原稿存在検知センサ212e、A5縦の原稿存在検知センサ212c、A5横の原稿存在検知センサ212b)が原稿の存在を検知し、ON信号を原稿向き検知手段601に発信する(図11:S201)。
【0106】
原稿向き検知手段601は、上記ON信号と、原稿向き記憶手段602に記憶されている原稿向きテーブル800とに基づいて、原稿の向き「縦向き」807を検知する(図8C、図11:S202)。また、原稿向き検知手段601は、原稿サイズ検知手段を兼ねており、上記ON信号と、原稿向きテーブル800とに基づいて、原稿サイズ「A4」813を検知する。その後、原稿向き検知手段601は、「縦向き」807と「A4」813を原稿向き表示手段603に送信する。
【0107】
さらに、リフト移動手段1001が、原稿の先端部が載置されたリフト板214をホームポジションから原稿の積載方向へ上昇させる。上昇したリフト板214上の原稿の先端部がコロ217を押し上げると、そのことを上限センサ215が検知し、リフト移動手段1001がリフト板214を停止する。
【0108】
原稿枚数検知手段1002が、リフト移動手段1001を監視し、リフト材214のホームポジションからリフト材214の現時点の位置まで上昇させるために要したモータの回転量(例えば、「5回転」)を検知し、原稿枚数記憶手段1003に記憶されている原稿枚数テーブルを参照して、原稿枚数の検知を行う(図11:S203)。
【0109】
原稿枚数テーブル1200には、図12Gに示すように、モータの回転量1201と、そのモータの回転量1201に対応する原稿の枚数1202とが関連付けられて記憶されている。上記構成により、原稿枚数検知手段1002は、載置台105に載置された原稿の枚数を検知することが可能となる。なお、モータの回転量1201と原稿枚数1202との関係は、モータに備えられた歯車材の大きさ、歯材の大きさ、原稿の紙の種類(モノクロ紙、色紙、ハガキ、封筒、名刺等)、紙質(上質紙、普通紙、再生紙等)、厚み等の特性に応じて異なるため、その特性に対応して、原稿枚数テーブル1200は、適宜設計変更されるが、通常は、市販(流通)されている普通紙を基準に、原稿枚数テーブル1200は作成される。また、図12Gに示すように、原稿枚数テーブル1200は、モータの回転量1201の所定の範囲(例えば、「1.6回転から3.0回転」)に対して、一単位の原稿枚数(例えば、「6枚」という単位)を関連付けて記憶するよう構成すると、モータの回転量に応じて厳密な原稿枚数の数値を実験等から算出する必要がないため、余計な手間等が掛からず、好ましい。
【0110】
原稿枚数検知手段1002が、原稿枚数テーブル1100に基づいて、モータの回転量(「5回転」)が属する回転量の所定の範囲「4.6回転から6.0回転」1203を参照し、その「4.6回転から6.0回転」1203に対応する原稿枚数「12枚」1204を取得すると、原稿向き表示手段603に「12枚」1204を送信する。原稿向き表示手段603は、「縦向き」807と「A4」813と「12枚」1204とを受信すると、再載置催促画面記憶手段604に記憶されている枚数−画面表示テーブルを参照して、原稿の向き、原稿サイズ、原稿枚数に応じて、再載置催促画面を表示するか否かの判別を行う(図11:S204)。
【0111】
枚数−画面表示テーブル1205には、図12Hに示すように、原稿の向き1206と、原稿サイズ1207(例えば、「A3」、「A4」、「−」は、再載置催促画面を表示する必要がないことを示し、原稿サイズ等の判別を行わなくてもよいことを示す情報である。)と、原稿枚数の所定の範囲1208と、再載置催促画面を表示するか否かを示す情報1209(例えば、再載置催促画面を表示する場合には「有り」1210、再載置催促画面を表示しない場合には「無し」1211等)とが関連付けられて記憶されている。
【0112】
上記「有り」1210は、原稿枚数の所定の範囲1208のうち、所定の枚数以上の所定の範囲に関連付けて記憶され、上記「無し」1211は、所定の枚数未満の所定の範囲に関連付けて記憶される。上記所定の枚数は、原稿のサイズに応じて異なる値を有する。
【0113】
例えば、原稿サイズが「A4」であれば所定の枚数は「11枚」となり、「A3」であれば「6枚」となる。これは、A4の長辺は297mm、短辺は210mmであり、A3の長辺は420mm、短辺は297mmであるから、当然A3の原稿画像の読取面積はA4のそれよりも広い。そのため、A3の原稿では、A4の原稿と比較すると、画像を読み取る原稿枚数が少ない場合であっても、再載置催促表示画面を表示するよう構成した方が、その表示による処理時間の短縮化の効果が大きいからである。また、所定の枚数を設定するのは、原稿枚数が少ない場合に再載置催促表示画面を表示すると、ユーザが条件を入力する作業を妨げ、円滑に機能提供に関する作業を進めることができない場合があるためである。
【0114】
上記構成により、原稿向き表示手段603は、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が原稿のサイズに応じた所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促表示画面を表示することが可能となる。
【0115】
原稿向き表示手段603が、枚数−画面表示テーブル1205を参照すると、「縦向き」807には原稿サイズ1207、原稿枚数の所定の範囲1208等が関連付けて記憶されているため、再載置催促画面を表示する必要があると判別する(図11:S204YES)。
【0116】
さらに、原稿向き表示手段603が、「A4」813に対応する原稿枚数の所定の範囲1208(「1枚〜10枚」1212と「11枚〜」1213)を参照し、数値を比較して、「12枚」1204がどちらの範囲に属するか判別する(図11:S205)。「12枚」1204は「11枚〜」1213に属するから、原稿向き表示手段603が「12枚」1204を所定の枚数「11枚」以上と判別し、「11枚〜」1213に関連付けられた「有り」1214を枚数−画面表示テーブル1205から取得する(図11:S205YES)。
【0117】
原稿向き表示手段603が「有り」1214を取得すると、再載置催促画面を表示する必要があると判別し、タッチパネル401上に、再載置催促画面を表示する(図7:S205YES→S206、図9E)。
【0118】
ユーザは、再載置催促画面を見ながら、原稿の向きを縦向きから横向きに変更して再度原稿を載置台105に載置させ、再載置催促画面に表示された「OK」ボタン908を押下すると、原稿向き表示手段603は再載置催促画面を消去し、条件受付手段605はタッチパネル401上に初期画面を表示して、ユーザからの条件の入力を受け付ける。
【0119】
なお、第一の実施形態と同様に、上記原稿向き表示手段603は、原稿向き音発生手段を兼ねており、原稿向き表示手段603が再載置催促画面を表示する際には、原稿向き音発生手段が、予め所定のメモリに録音された音声メッセージを、複合機に付属の小型スピーカ(図示せず)から発生することとなる。上記音声メッセージが発生中において、ユーザが再載置催促画面に表示された「OK」ボタン906を押下すると、当該音声メッセージの発生は停止される。
【0120】
条件受付手段605が条件の入力を受け付けてから、後に続く条件受付手段605、画像読取手段606、機能提供手段607の作動手順は、第一の実施形態と同様であるため、省略する。原稿の向きが「縦向き」807で、原稿の枚数が原稿のサイズ「A4」813に応じた所定の枚数「11枚」よりも多い場合に、原稿の向きが縦向きから横向きに変更されたので、画像読取と画像出力は効率よく行われ、結果として、画像読取から画像出力までに要する処理時間を短縮することが可能となる。
【0121】
一方、原稿枚数検知手段1002が、原稿サイズに応じた所定の枚数よりも少ない原稿の枚数を検知した場合は、以下の手順にて、画像データの出力が行われる。
【0122】
ユーザがA4サイズの原稿を縦向きで5枚、載置台105上に載置させると、原稿向き検知手段1002が、所定の原稿存在検知センサ(第一の原稿存在検知センサ212a、A4縦の原稿存在検知センサ212e、A5縦の原稿存在検知センサ212c、A5横の原稿存在検知センサ212b)のON信号と原稿向きテーブル800に基づいて、原稿の向き「縦向き」807と原稿サイズ「A4」813とを検知する(図11:S201→S202)。
【0123】
さらに、リフト移動手段1001がモータを回転させて、原稿をコロ217まで上昇させると、原稿枚数検知手段1002がモータの回転量(例えば、「2回転」)を検知し、原稿枚数テーブル1200に基づいて、モータの回転量(「2回転」)が属する回転量の所定の範囲「1.6回転から3.0回転」1215を参照し、その「1.6回転から3.0回転」1215に対応する原稿枚数「6枚」1216を取得する(図11:S203)。
【0124】
原稿向き表示手段は「縦向き」807と「A4」813と「6枚」1216とを受信すると、枚数−画面表示テーブルを参照し、「縦向き」807から再載置催促画面を表示する必要があると判別する(図11:S204YES)。
【0125】
さらに、原稿向き表示手段603が、「A4」813に対応する原稿枚数の所定の範囲1208(「1枚〜10枚」1212と「11枚〜」1213)を参照する。「6枚」1216は「1枚〜10枚」1212に属するから、原稿向き表示手段603が「6枚」1216を所定の枚数「11枚」よりも少ないと判別し、「1枚〜10枚」1212に関連付けられた「無し」1217を枚数−画面表示テーブル1205から取得する(図11:S205NO)。
【0126】
原稿向き表示手段603が「無し」1217を取得すると、再載置催促画面を表示する必要はないと判別し、条件受付手段605に初期画面を表示する旨の信号を送信する。条件受付手段605は、タッチパネル401上に初期画面を表示し、ユーザからの条件の入力を受け付ける。
【0127】
後に続く条件受付手段605、画像読取手段606、機能提供手段607の作動手順は、第一の実施形態と同様であるため、省略する。載置された原稿の向きは縦向きであるものの、再載置催促画面の表示を省略しているため、ユーザに円滑に条件を入力させることが可能となる。また、再載置催促画面を表示させなかった条件は、原稿の向きが、画像読取から画像出力までに要する処理時間に対して影響を及ぼす範囲ではないため、処理時間が長期化し、画像形成に関する業務等が停滞することもない。
【0128】
なお、原稿向き検知手段601が原稿の向きを横向きと検知した場合は(図11:S202→S203)、原稿向き表示手段603が再載置催促画面を表示する必要が無いと判別する(図11:S204NO)。その後、条件受付手段605が初期画面を表示してから、機能提供手段607が画像データを出力するまでの作動手順が続くが、それは第一の実施形態と同様であるため、省略する。
【0129】
このように、原稿を搬送する前に、載置台に載置された原稿の枚数を検知する原稿枚数検知手段を備え、上記原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促画面を表示するよう構成している。
【0130】
これにより、原稿の向きが縦向きの場合、載置させた原稿の枚数が最も影響を及ぼす所定の枚数を超過した場合に、再載置催促画面を表示することとなる。そのため、再載置催促画面を効果的に表示させ、画像読取から画像出力までに要する処理時間の短縮化を図ることが可能となるとともに、原稿の枚数が少ない場合は、再載置催促画面の表示を省略するため、ユーザに原稿の向きを変更するという煩わしい作業を強要せずに、ユーザに円滑に条件の入力等を行わせることが可能となる。その結果、再載置催促画面を適切に表示させることが可能となる。
【0131】
さらに、原稿を搬送する前に、載置台に載置された原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段を備え、上記原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が原稿のサイズに応じた所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促画面を表示するよう構成している。
【0132】
これにより、原稿のサイズと原稿の枚数に応じて処理時間の長短が異なる実態に、画像形成装置を機動的に対応させ、再載置催促画面を適切な場面で表示させることが可能となる。そのため、載置させる原稿のサイズが異なっていても、再載置催促画面を効果的に表示させることが可能となるとともに、原稿の枚数が少ない場合は、再載置催促画面の表示を省略し、ユーザに業務遂行を円滑に行わせることが可能となる。
【0133】
なお、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、ユーザが原稿を載置台に載置させた際に、原稿向き表示手段が再載置催促画面を表示するよう構成したが、例えば、スタートキーが押下された時点、原稿が載置されてから所定時間経過した時点等、原稿を搬送する前の時点であれば、どのような時点であっても、本発明の作用効果を奏する。
【0134】
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、載置台に備えられた第一の規制板を固定とし、第二の規制板を可動として構成したが、他の構成、例えば、第一の規制板を可動とし、第二の規制板を固定とする、または、第一の規定板、第二の規制板、いずれも可動とする等の設計変更を行っても構わない。
【0135】
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、原稿向き検知手段が原稿存在検知センサのON信号の組み合わせに基づいて原稿の向きを検知するよう構成したが、載置台の原稿の向きを検知できるのであれば他の方法を採用しても構わない。原稿サイズ検知手段も原稿存在検知センサのON信号の組み合わせに基づいて原稿のサイズを検知するよう構成したが、上記と同様、適宜設計変更を行っても構わない。
【0136】
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、上記原稿向き表示手段が再載置催促画面を表示するとともに、原稿向き音発生手段が所定の音声メッセージを発生するよう構成したが、例えば、ユーザの操作や管理者権限で操作できるメニュー画面等を介して、再載置催促画面の表示を省略し、当該原稿向き表示手段による再載置催促画面の表示に代えて、当該原稿向き音発生手段が所定の音声メッセージを発生するよう構成しても構わない。
【0137】
上記構成とすると、再載置催促画面の表示によってユーザの条件入力を阻害することなく、ユーザに再載置の必要性を知らせることが可能となる。
【0138】
また、第二の実施形態では、原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が原稿のサイズに応じた所定の枚数よりも多い場合に、同一の再載置催促画面を表示するよう構成したが、例えば、原稿のサイズに応じた再載置催促画面を作成しておき、原稿のサイズに対応して種々の再載置催促画面を表示するよう構成しても構わない。
【0139】
また、第二の実施形態では、原稿枚数検知手段は、モータの回転量と原稿枚数テーブルとに基づいて原稿枚数を検知するよう構成したが、他の方法、例えば、載置された原稿に光を照射し、その透過光の強度から原稿の枚数を検知したり、逆に反射光の強度から原稿の枚数を検知するよう構成しても構わない。
【0140】
また、第二の実施形態では、原稿向き表示手段は、取得した原稿枚数と枚数−画面表示テーブルに基づいて原稿枚数が所定の枚数を超過するか否かを判別するよう構成したが、例えば、原稿向き表示手段が原稿枚数を受信する毎に、取得した原稿枚数と、予め記憶させておいた所定の枚数とを比較して、原稿枚数が所定の枚数を超過するか否かを判別するよう構成しても構わない。
【0141】
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、複合機が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。上記構成では、上記プログラムを複合機に読み出させ、その複合機が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる記憶方法として提供することも可能である。
【0142】
また、第一の実施形態乃至第二の実施形態では、コピー機能との処理に関して採用したが、例えば、スキャン機能、ファクシミリ送受信機能、プリント機能、ネットワークスキャン機能、後処理機能、メモリ機能等の処理にでも採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上のように、本発明にかかる画像形成装置は、複写機、プリンタ、複合機等に有用であり、載置された原稿の向きが縦向きの場合に、原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面を表示することが可能な画像形成装置として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の実施形態に係る複合機内部の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係る自動原稿給送装置の載置台を示す概念図である。
【図3】本発明の実施形態に係る自動原稿給送装置を示す概念図である。
【図4】本発明の実施形態に係るタッチパネル上に表示された画面の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る発明の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
【図6】第一の実施形態における複合機の機能ブロック図である。
【図7】第一の実施形態の実行手順を示すためのフローチャートである。
【図8】第一の実施形態に係る原稿向きテーブルと画面表示テーブルの一例を示す図である。
【図9】第一の実施形態のタッチパネル上に表示された画面の一例を示す図である。
【図10】第二の実施形態における複合機の機能ブロック図である。
【図11】第二の実施形態の実行手順を示すためのフローチャートである。
【図12】第二の実施形態に係る原稿枚数テーブルと枚数−画面表示テーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0145】
100 複合機
104 自動原稿給送装置
601 原稿向き検知手段
602 原稿向き記憶手段
603 原稿向き表示手段(原稿向き音発生手段)
604 再載置催促記憶手段
605 条件受付手段
606 画像読取手段
607 機能提供手段
1001 リフト板移動手段
1002 原稿枚数検知手段
1003 原稿枚数記憶手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台に載置された原稿を一枚ずつ搬送し、原稿の画像を読み取る自動原稿給送装置を備えた画像形成装置において、
原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、読取部の主走査方向に対して原稿の短辺側が平行となる向きである縦向きであるか、原稿の長辺側が平行となる向きである横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、
原稿の向きが縦向きである場合に、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面である再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
載置台に載置された原稿を一枚ずつ搬送し、原稿の画像を読み取る自動原稿給送装置を備えた画像形成装置において、
原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、読取部の主走査方向に対して原稿の短辺側が平行となる向きである縦向きであるか、原稿の長辺側が平行となる向きである横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、
上記載置された原稿の枚数を検知する原稿枚数検知手段と、
原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が所定の枚数よりも多い場合に、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面である再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
さらに、原稿を搬送する前に、載置台に載置された原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段を備え、
上記原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が原稿のサイズに応じた所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促画面を表示することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
さらに、上記原稿向き表示手段による再載置催促画面の表示に代えて、または、再載置催促画面の表示とともに、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す音を発生する原稿向き音発生手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項1】
載置台に載置された原稿を一枚ずつ搬送し、原稿の画像を読み取る自動原稿給送装置を備えた画像形成装置において、
原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、読取部の主走査方向に対して原稿の短辺側が平行となる向きである縦向きであるか、原稿の長辺側が平行となる向きである横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、
原稿の向きが縦向きである場合に、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面である再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
載置台に載置された原稿を一枚ずつ搬送し、原稿の画像を読み取る自動原稿給送装置を備えた画像形成装置において、
原稿を搬送する前に、載置された原稿の向きが、読取部の主走査方向に対して原稿の短辺側が平行となる向きである縦向きであるか、原稿の長辺側が平行となる向きである横向きであるかを検知する原稿向き検知手段と、
上記載置された原稿の枚数を検知する原稿枚数検知手段と、
原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が所定の枚数よりも多い場合に、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す画面である再載置催促画面を表示する原稿向き表示手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
さらに、原稿を搬送する前に、載置台に載置された原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知手段を備え、
上記原稿向き表示手段が、原稿の向きが縦向きで、原稿の枚数が原稿のサイズに応じた所定の枚数よりも多い場合に、再載置催促画面を表示することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
さらに、上記原稿向き表示手段による再載置催促画面の表示に代えて、または、再載置催促画面の表示とともに、ユーザに原稿の向きを横向きに再載置することを促す音を発生する原稿向き音発生手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−13251(P2010−13251A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175998(P2008−175998)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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