説明

画像形成装置

【課題】像担持体上から回収したトナーを表面に担持して表面移動する回収表面移動体と、回収表面移動体の表面に接触し、摺擦することにより回収表面移動体上のトナーを除去する摺擦回収部材とを備えるクリーニング手段を備えるクリーニング装置を有し、クリーニング装置の長寿命化を図ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置であるプリンタ100は、像担持体である転写ベルト20上からクリーニングブラシ73を介してトナーを回収する回収表面移動体である回収ローラ75と、摺擦回収部材である回収ブレード65とを備えるベルトクリーニング装置50を有し、非画像形成時に、クリーニングブラシ73が転写ベルト20上に残留するトナーを回収するクリーニングブラシ73の当接位置に対してトナーを供給する制御を実行する制御手段としての制御部200を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、潜像担持体である感光体や中間転写体等の像担持体の表面にトナー像転写後に残留したトナーを除去するクリーニング手段としては、ゴム製のブレードを像担持体に当接させてトナーを除去するブレードクリーニング方式のものが知られている。
ブレードクリーニング方式では、ブレードと像担持体表面との密着の精度が低いとトナーがすり抜けてしまいクリーニング性が低下しやすい。これを防止するために、ブレードを強い当接圧で像担持体に押し付けること考えられる。しかしながら、ブレードをあまり強い当接圧で像担持体に押し付けると、ブレードのめくれが発生し、スジ状あるいは帯状のクリーニング不良を引き起こしてしまい、安定したクリーニング性能を保ちつづけることが困難であった。また、長期的には、像担持体の表面膜削れを増進させ、像担持体寿命を短くさせてしまう。
【0003】
また、近年、高画質化の要望が高まり、トナーを小粒径化する傾向にある。さらに、トナー製造コスト低減及び転写率向上の要望から、粉砕(不定形)トナーから重合法等により球形に形成された球形トナーを採用する画像形成装置が製品化されている。このような小粒径、球形トナーを用いると、ブレードクリーニング方式ではクリーニング性が粉砕トナーに比べて劣ることが知られている。
【0004】
小粒径トナーや球形トナーのクリーニング時にも良好なクリーニング性を備え、かつ、感光体の表面膜削れを軽減できる機械的な摺擦を抑えたクリーニング方式として、特許文献1に記載されているようなクリーニング装置がある。特許文献1に記載のクリーニング装置は、ブレードの摺擦によってトナーを像担持体から除去するブレードクリーニング方式と、静電的にトナーを像担持体から除去する静電クリーニング方式とを組み合わせたものである。詳しくは、ブレードクリーニング方式を用いた第一クリーニング手段として、電圧が印加された導電性ブレードを像担持体に接触させて、摺擦することにより像担持体上のトナーを除去する構成を有する。さらに、静電クリーニング方式を用いた第二クリーニング手段として、第一クリーニング手段の下流側に配置され、導電性ブレードとは逆極性の電圧が印加されたブラシローラを像担持体に接触するように回転させることで像担持体上のトナーを静電的に除去する構成を有する。
【0005】
このような特許文献1に記載のクリーニング装置では、第一クリーニング手段の導電性ブレードによって転写残トナーのほとんどが除去されるが、少量の転写残トナーが第一クリーニング手段の導電性ブレードと像担持体との当接位置をすり抜ける。この当接位置をトナーがすり抜けるときに、当接位置をすり抜けるトナーの帯電極性は、電圧が印加された導電性ブレードと像担持体表面との間で生じる放電によって導電性ブレードに印加された電圧と同極性側に揃えられる。そして、帯電極性が揃えられたトナーは逆極性の電圧が印加されたブラシローラによって静電的に除去される。
【0006】
一般的に、転写残トナーの帯電極性分布は広がっており、一方の極性の電圧が印加されたクリーニング部材のみでは除去することはできない。これに対して、特許文献1に記載のクリーニング装置では、放電によってトナーの帯電極性が一方の極性に揃えられているため、逆極性の電圧が印加されたブラシローラで除去することが出来る。
また、ジャム時など大量の転写残トナーがクリーニング位置に入力した場合、静電クリーニング方式のみでは除去能力が追いつかず、クリーニング不良となってしまう。これに対して、特許文献1に記載のクリーニング装置では、導電性ブレードによって転写残トナーのほとんどが除去され、残った少量のトナーを静電クリーニング方式で除去するため大量の転写残トナーが入力した場合であっても、クリーニング不良となることを防止できる。
さらに、ブレードクリーニング方式のみで全ての転写残トナーを除去しようとすると、ブレードを非常に大きな当接圧で像担持体に接触させる必要があるため、ブレードのめくれや像担持体の表面膜削れといった不具合が生じる。これに対して、特許文献1に記載のクリーニング装置では、ブレードクリーニング方式で除去し切れなかったトナーを静電クリーニング方式で除去するため、ブレードが像担持体に接触する位置で転写残トナーを完全に除去する必要が無い。このため、ブレードの当接圧をあまり大きくする必要が無く、ブレードのめくれや像担持体の表面膜削れといった不具合の発生を防止することが出来る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載のクリーニング装置が備える第二クリーニング手段は、ブラシローラに接触しながら回転し、ブラシローラと同極性で、且つ、ブラシローラよりも絶対値の大きな電圧が印加され、ブラシローラに付着したトナーを静電的に回収する回収ローラを備える。さらに、回収ローラに接触して摺擦することにより、回収ローラ表面上のトナーを除去する回収ローラクリーニングブレードを備える。
そして、第二クリーニング手段では、ブラシローラの像担持体に接触してトナーが付着した部分が回収ローラと接触することでトナーが回収されるため、ブラシローラで除去したトナーが像担持体に再付着することを防止できる。さらに、ブラシローラに接触してトナーが付着した回収ローラの部分は回収ローラクリーニングブレードによって、トナーが除去されるため、回収ローラで回収したトナーがブラシローラに再付着することを防止できる。
【0008】
しかしながら、回収ローラクリーニングブレードと回収ローラとの当接位置では、像担持体表面からブラシローラを介して回収ローラで回収されるトナーが潤滑剤としての役割を果たしている。このため、この当接位置に対するトナーの入力量が不足すると、回収ローラクリーニングブレードと回収ローラとの当接位置での摩擦が大きくなり、ブレードめくれとなる不具合やブレードの磨耗が早まる不具合が生じる。ここで、ブレードめくれが生じたことを検出するようにしてその結果で装置が停止するように構成した場合、ブレードめくれが生じると、装置を停止してしまう。また、ブレードめくれが生じても装置を停止しない構成であっても、回収ローラ上のトナーの除去がされないため、ブラシローラからのトナーの回収を行うことができず、ブラシローラで除去したトナーが像担持体に再付着してクリーニング不良となる。また、回収ローラクリーニングブレードの磨耗が早まると、回収ローラに付着したトナーの除去が不十分となり、回収ローラで回収したトナーがブラシローラに再付着し、さらに、像担持体に再付着することでクリーニング不良となる。
【0009】
新品のクリーニング装置の使用開始時や画像面積率の低い画像が連続して形成された場合などは、回収ローラクリーニングブレードと回収ローラとの当接位置に対するトナーの入力量が不足する状態となり易い。新品のクリーニング装置の使用開始時では、第一クリーニング手段の導電性ブレードの当接部分が磨耗しておらず、クリーニング性能が高いため、転写残トナーのほとんどすべてが第一クリーニング手段で除去されてしまう。このため、像担持体上の第二クリーニング手段がトナーを除去する位置にはトナーがほとんど入力されず、回収ローラクリーニングブレードと回収ローラとの当接位置に対するトナーの入力量が不足する。また、画像面積率の低い画像が連続して形成された場合、像担持体上にトナー像として供給されるトナーの量が少なく、その転写残トナーも少ない上、そのほとんどが第一クリーニング手段で除去されるため、回収ローラクリーニングブレードと回収ローラとの当接位置に対するトナーの入力量が不足する。
すなわち、第二クリーニング手段がトナーを除去する位置に入力されるトナーが減少すると、回収ローラクリーニングブレードと回収ローラとの当接位置に対するトナーの入力量が不足することになる。
クリーニング不良が生じる状態となることは、クリーニング装置が寿命に達した状態であるため、上述のようにトナーの入力量が不足することによって生じる回収ローラクリーニングブレードのブレードめくれや磨耗に起因してクリーニング不良となることは、クリーニング装置が寿命に達することを早めることになる。
【0010】
なお、第二クリーニング手段としては、ブラシローラと回収ローラとを備えた構成に限らず、回収ローラの代わりに表面が無端移動するベルト状の回収ベルトを備える構成でも同様であり、ブラシローラを備えず、像担持体上のトナーを回収ローラが直接回収する構成であっても上述したクリーニング装置と同様の不具合が生じ得る。さらに、回収ローラクリーニングブレードのブレードめくれや磨耗と同様の不具合は、回収ローラの表面からトナーを除去する部材がブレード状である構成に限らず、回収ローラの表面に接触してトナーを除去する構成であれば生じ得る。すなわち、第二クリーニング手段としては、像担持体上から直接、または、ブラシローラ等のクリーニング部材を介して回収したトナーを表面に担持して表面移動する回収表面移動体と、回収表面移動体の表面に接触し、摺擦することにより回収表面移動体上のトナーを除去する摺擦回収部材とを備える構成であれば、上述のクリーニング装置の寿命を早める不具合が生じ得る。
さらに、上述のクリーニング装置で生じる不具合は、像担持体の表面移動方向上流側に第一クリーニング手段が配置された構成に限るものではない。上述の第二クリーニング手段と同様の構成を備えるクリーニング手段を備えるクリーニング装置であれば、上述の第一クリーニング手段の構成を備えない構成であっても、上述したクリーニング装置と同様の不具合が生じ得る。すなわち、上述した回収表面移動体と摺擦回収部材とを備えるクリーニング装置であれば、画像形成時の像担持体上の転写残トナーが少ないときに摺擦回収部材と回収表面移動体との当接位置に対するトナーの入力量が不足することに起因して上述したようなクリーニング装置の寿命を早める不具合が生じ得る。
【0011】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、像担持体上から回収したトナーを表面に担持して表面移動する回収表面移動体と、回収表面移動体の表面に接触し、摺擦することにより回収表面移動体上のトナーを除去する摺擦回収部材とを備えるクリーニング手段を備えるクリーニング装置を有し、クリーニング装置の長寿命化を図ることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、表面移動する像担持体と、該像担持体上にトナー像を形成する画像形成手段と、該像担持体上のトナー像を転写体又は記録媒体に転写する転写手段と、転写後の該像担持体を被清掃体として表面に付着した転写残トナーを除去するクリーニング装置とを有し、該クリーニング装置が、該像担持体上から回収したトナーを表面に担持して表面移動する回収表面移動体と、該回収表面移動体の表面に接触し、摺擦することにより該回収表面移動体上のトナーを除去する摺擦回収部材とを備えるクリーニング手段を有する画像形成装置において、非画像形成時に、上記クリーニング手段が該像担持体上に残留するトナーを回収するトナー回収位置に対してトナーを供給する制御を実行する制御手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、非画像形成時に、上記画像形成手段が上記像担持体の表面上に供給するトナーは、該像担持体の表面移動方向に直交する方向に延在する帯状のトナー像であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、上記クリーニング手段は、回転しながら上記像担持体表面上のトナーを静電的に除去するブラシローラを備え、上記回収表面移動体は該ブラシローラが該像担持体表面上から除去して該ブラシローラに付着したトナーを該ブラシローラから静電的に回収することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の画像形成装置において、上記クリーニング装置が、該像担持体の表面に接触し、摺擦することにより該像担持体上の転写残トナーを除去する摺擦クリーニング部材を有する第一クリーニング手段と、該摺擦クリーニング部材が接触する位置に対して該像担持体の表面移動方向下流側に配置され、該像担持体上に残留するトナーを除去する第二クリーニング手段とを有し、該第二クリーニング手段が上記クリーニング手段であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記制御手段が、上記画像形成手段によって上記像担持体の表面上にトナーを供給し、上記転写手段による転写動作を停止し、上記摺擦クリーニング部材を該像担持体の表面から離間させる制御を非画像形成時に実行することによって上記トナー回収位置に対してトナーを供給することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記制御手段が、上記画像形成手段によって上記像担持体の表面上にトナーを供給し、上記転写手段による転写動作を停止し、上記摺擦クリーニング部材が該像担持体の表面に接触する位置での線圧を画像形成時よりも低くする制御を非画像形成時に実行することによって上記トナー回収位置に対してトナーを供給することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4、5または6の画像形成装置において、上記摺擦クリーニング部材は、所定電極の電圧が印加された導電性ブレードであることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、上記非画像形成時は、ウォームアップ時であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、上記非画像形成時は、一定枚数の画像形成後であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、上記非画像形成時は、1JOB終了後であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、上記非画像形成時は、紙間であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の画像形成装置において、上記画像形成手段がトナー像の形成に用いるトナーの形状係数SF−1が、100〜150であることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の画像形成装置において、上記像担持体は他のトナー像担持体上に形成されたトナー像を一次転写され、一次転写されたトナー像を転写体又は記録媒体に二次転写する中間転写体であり、上記クリーニング装置は、二次転写後の該中間転写体の表面に付着した転写残トナーを除去する中間転写体クリーニング手段であることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の画像形成装置において、上記像担持体は潜像形成手段によって表面に潜像が形成され、現像手段によって表面上の潜像にトナーが供給されることによってトナー像が形成される潜像担持体であり、上記クリーニング装置は、トナー像が転写体又は記録媒体に転写された後の該潜像担持体の表面に付着した転写残トナーを除去する潜像担持体クリーニング手段であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明においては、非画像形成時に、クリーニング手段が像担持体上に残留するトナーを回収するトナー回収位置に対してトナーを供給する制御を制御手段が実行するため、トナー回収位置に対する画像形成時のトナーの供給量に係わらず、回収表面移動体の表面にトナーを確実に供給することが出来る。回収表面移動体の表面にトナーを確実に供給することが出来ることにより、トナーが回収表面移動体と摺擦回収部材との間で潤滑剤として機能し、摺擦回収部材がめくれる不具合や摺擦回収部材の磨耗が早まる不具合を防止することが出来る。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば、摺擦回収部材がめくれる不具合や摺擦回収部材の磨耗が早まる不具合を防止することが出来ることにより、これらの不具合に起因するクリーニング不良の発生を防止することができるので、クリーニング装置の長寿命化を図ることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】実施形態に係るプリンタが備えるベルトクリーニング装置の拡大説明図。
【図3】プリント枚数200[kp]後に高トナー付着量を入力したときの、極性制御ブレードに電圧印加した場合と電圧印加しない場合との極性制御ブレードの当接位置をすり抜けるトナーの量を比較するグラフ。
【図4】ID値とトナー付着量との関係を示すグラフ。
【図5】転写ベルト上に担持されたトナーの2次転写後における帯電電位分布と、極性制御ブレードの当接位置を通過した転写残トナーの帯電電位分布とを示すグラフ。
【図6】極性制御ブレードに印加する電圧を変化させたときの転写残トナーの帯電電位分布の変化を示すグラフ。
【図7】極性制御ブレードが転写ベルトに当接する当接点の経時使用による磨耗の説明図。
【図8】本実施形態のクリーニングブラシのブラシ繊維の断面図。
【図9】クリーニングブラシのブラシ繊維が直毛である場合の断面図。
【図10】形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図。
【図11】非画像形成時に、第二クリーニング手段がトナー像担持体上に残留するトナーを回収するトナー回収位置に対してトナーを供給する制御を行うことができる感光体クリーニング装置の概略説明図。
【図12】1ドラム型のフルカラー画像形成装置の要部構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を画像形成装置であるフルカラープリンタ(以下、プリンタ100という)に適用した場合の実施形態について説明する。
図1は、プリンタ100の概略構成を示す構成図である。
プリンタ100は、図1に示すように、像形成手段としての各構成部材を収納する位置固定された装置本体1と、転写紙Pを収納する引き出し可能な給紙カセット2とを備えている。装置本体1の中央部には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、黒(K)の各色のトナー像を形成するための画像ステーション3Y、3C、3M、3Kを備えている。以下、各符号の添字Y、C、M、Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンダ、黒用の部材であることを示す。
【0017】
図1に示すように、画像ステーション3Y、3C、3M、3Kは、不図示の駆動源より駆動が伝達されて図1中矢印方向に回転するドラム状の感光体10Y、10C、10M、10Kを備えている。感光体10は、アルミニウム製の円筒状基体と、その表面を覆う、例えばOPC(有機光半導体)感光層とから構成されている。各画像ステーション3は、感光体10の周囲に、感光体10を帯電する帯電装置11Y、11C、11M、11K、感光体10に形成された潜像を収容するトナーを用いて現像する現像装置12Y、12C、12M、12K、感光体10上の残留トナーをクリーニングする感光体クリーニング装置13Y、13C、13M、13Kを備える。各画像ステーション3の下方には、感光体10Y、10C、10M、10Kにレーザ光Lを照射可能な露光手段としての光学ユニット4を備えている。各画像ステーション3の上方には、各画像ステーション3により形成されたトナー画像が転写される転写ベルト20を備えた中間転写ユニット5を備えている。
【0018】
なお、プリンタ100の画像形成の一連のプロセスは、ここではN/P(ネガポジ:電位が低い所にトナーが付着する)で画像の形成が成される。
また、転写ベルト20に転写されたトナー画像を転写紙Pに定着する定着装置6を備えている。また、装置本体1の上部には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K)の各色のトナーを収容するトナーボトル7Y、7C、7M、7Kが装填されている。このトナーボトル7Y、7C、7M、7Kは、装置本体1の上部に形成される排紙トレイ8を開くことにより、装置本体1から脱着可能に構成されている。
また、プリンタ100は、各画像ステーション3、中間転写ユニット5、光学ユニット4、定着装置6等のプリンタ100の各部を制御する制御部200を備えている。
【0019】
光学ユニット4は、光源であるレーザダイオードから発射させるレーザ光Lをポリゴンミラー等によって反射させ、感光体10Y、10C、10M、10K上に照射しながら順次走査している。中間転写ユニット5の転写ベルト20は、駆動ローラ21、テンションローラ22、及び従動ローラ23に掛け回され、所定タイミングで図中反時計回り方向に回転駆動される。また、中間転写ユニット5は、感光体10Y、10C、10M、10Kに形成されたトナー像を転写ベルト20に転写する一次転写ローラ24Y、24C、24M、24Kを備えている。中間転写ユニット5は、転写ベルト20上に転写されたトナー像を転写紙Pに転写する二次転写ローラ25、転写紙P上に転写されなかった転写ベルト20上の転写残トナーをクリーニングするベルトクリーニング装置50を備えている。また、転写ベルト20が二次転写ローラ25と対向する位置に対して転写ベルト20の表面移動方向下流側の転写ベルト20と対向する位置には、トナー濃度の制御用に転写ベルト20上に形成されるパターン画像の濃度を検出するPセンサパターン検出器85が配置されている。
【0020】
次に、プリンタ100において、カラー画像を得る行程について説明する。不図示の操作部のプリントボタンが押される、または、不図示の外部装置からの画像形成信号を受信する、と制御部200は、画像形成に必要な各部の所定の動作を開始し、所定の電圧または電流を印加されるように制御して画像形成動作を開始する。画像形成動作が開始されると、駆動ローラ21及び感光体10Y、10C、10M、10Kに不図示の駆動源からの駆動が伝達され、転写ベルト20は図1中の反時計回り方向に表面移動を開始し、感光体10Y、10C、10M、10Kは図1中の時計回り方向に回転を開始する。
画像ステーション3Y、3C、3M、3Kにおいて、不図示の駆動源によって回転駆動される感光体10Y、10C、10M、10Kの表面が、帯電装置11Y、11C、11M、11Kが備える帯電ローラによって一様に帯電される。その後、光学ユニット4により、各色に対応した画像情報に基づきレーザ光Lが走査露光されて感光体10Y、10C、10M、10K表面に潜像が形成される。感光体10Y、10C、10M、10K上の潜像は、現像装置12Y、12C、12M、12Kの現像ローラ上に担持された各色のトナーによって現像されてトナー像として可視像化される。感光体10Y、10C、10M、10K上のトナー像は、各一次転写ローラ24Y、24C、24M、24Kの作用によって反時計回りに回転駆動される転写ベルト20上に順次重ねて転写される。このときの各色の作像動作は、そのトナー像が転写ベルト20上の同じ位置に重ねて転写されるように、転写ベルト20の移動方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。一次転写終了後の感光体10Y、10C、10M、10Kは、感光体クリーニング装置13Y、13C、13M、13Kのクリーニングブレードによってその表面がクリーニングされ、次の画像形成に備えられる。トナーボトル7Y、7C、7M、7Kに充填されているトナーは、必要性に応じて図示しない搬送経路によって各画像ステーション3Y、3C、3M、3Kの現像装置12Y、12C、12M、12Kに所定量補給される。
【0021】
一方、給紙カセット2内の転写紙Pは、給紙カセット2の近傍に配設された給紙ローラ27によって、装置本体1内に搬送され、レジストローラ対28によって所定のタイミングで、転写ベルト20と二次転写ローラ25とが対向する2次転写部に搬送される。そして、二次転写部において、転写ベルト20上に形成されたトナー画像が転写紙Pに転写される。トナー画像が転写された転写紙Pは、定着装置6を通過することで画像定着が行われ、排出ローラ29によって排紙トレイ8に排出される。感光体10と同様に、転写ベルト20上に残った転写残のトナーは、転写ベルト20の表面移動によって従動ローラ23の位置まで移送され、転写ベルト20を挟んで従動ローラ23と対向する位置に配置されたベルトクリーニング装置50によってクリーニングされる。これにより、転写ベルト20の表面が次の画像形成に備えられる。
なお、4つの画像ステーション3Y、3C、3M、3K及びトナーボトル7Y、7C、7M、7Kの配列順は図1に示す例に限らず、どのような順番であってもよい。
【0022】
感光体クリーニング装置13Yとしては、クリーニングブレードによって感光体10Yの表面から回収された回収トナーを搬送する回収トナー搬送装置を備える。また、クリーニングブレードが感光体10Yに当接する位置に対して感光体10Yの回転方向下流側に、感光体10Y表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置を配置してもよい。潤滑剤塗布装置としては、固形潤滑剤とブラシローラとから成り、回転しながら感光体10Yと固形潤滑剤とに接触するブラシローラが固形潤滑剤を削り取り、感光体10Yに削り取った潤滑剤を塗布する構成である。
また、画像ステーション3Yは、感光体10Y、帯電装置11Y、現像装置12Y、感光体クリーニング装置13Y等を一体的に支持し、プリンタ100本体から着脱自在なプロセスカートリッジを構成している。なお、他の3つの画像ステーション3C、3M、3Kも同様の構成で、プロセスカートリッジとしてプリンタ100本体から着脱自在な構成である。
【0023】
図2は、本実施形態のプリンタ100が備えるベルトクリーニング装置50の拡大説明図である。
ベルトクリーニング装置50のケーシングとしては上ケース51と下ケース62とを備え、転写ベルト20の表面移動方向上流側から、入口シール53、極性制御ブレード56、及び、クリーニングブラシ73の順で転写ベルト20の表面に接触するように配置されている。
入口シール53は、転写ベルト20上の転写残トナーを掻き取らないように厚さ0.2[mm]のポリウレタンゴムからなるシート部材であり、転写ベルト20に対する当接角度11[°]、対向ローラである従動ローラ23に対する食い込み量が1[mm]となるように、転写ベルト20の表面移動方向に対して、トレーリング方向となるように接触している。
【0024】
図2に示すように、入口シール53に対して転写ベルト20の表面移動方向下流側の転写ベルト20表面と対向する位置には、極性制御ブレード電源57からマイナス極性の電圧が印加された導電性の弾性ブレードからなる極性制御ブレード56が配置されている。極性制御ブレード56は転写ベルト20の表面移動方向に対してカウンター方向となるように配置されている。
ベルトクリーニング装置50は、極性制御ブレード56を支持する極性制御ブレードホルダ58と、極性制御ブレードホルダ58を回転可能に支持する極性制御ブレード支軸60とを有する。また、極性制御ブレードホルダ58の極性制御ブレード56が取り付けられた位置に対して極性制御ブレード支軸60を挟んで反対側の端部には加圧バネ87が固定されている。そして、加圧バネ87が収縮する力によって、極性制御ブレードホルダ58が極性制御ブレード支軸60を中心に時計回り方向の回転するモーメントが働き、極性制御ブレード56が転写ベルト20に対して当接する。
また、従動ローラ23の回転軸方向における上ケース51の両端部(図2中の手前側端部と奥側端部)の、入口シール53を設けた位置から極性制御ブレード56が転写ベルト20に接触する位置までの間には、サイドシール54が設けられている。このサイドシール54によって、極性制御ブレード56で掻き取ったトナーが上ケース51の両端部からベルトクリーニング装置50の外に飛散することを防止する。
【0025】
また、ベルトクリーニング装置50は、極性制御ブレードホルダ58を押圧することによって極性制御ブレード56の転写ベルト20に対する加圧を解除する加圧解除レバー70と、加圧解除レバー70を極性制御ブレードホルダ58に対して押圧する加圧解除ソレノイド300とを備える。加圧解除レバー70は、極性制御ブレードホルダ58の加圧バネ87が固定されている端部と、極性制御ブレード支軸60によって支持された位置との間に端部が接触するように配置されている。制御部200からの駆動信号によって加圧解除ソレノイド300が駆動することにより、加圧解除レバー70が極性制御ブレードホルダ58を押圧し、極性制御ブレードホルダ58が極性制御ブレード支軸60を中心に反時計回り方向に回転して、極性制御ブレード56の転写ベルト20に対する加圧が解除される。また、加圧解除ソレノイド300の駆動を停止すると、加圧解除レバー70が極性制御ブレードホルダ58を押圧する力がなくなり、加圧バネ87が収縮する力によって、極性制御ブレード56が転写ベルト20を加圧する状態となる。
本実施形態では、極性制御ブレード電源57が−80[μA]の定電流を極性制御ブレード56に印加する構成であるが、極性制御ブレード電源57が−2[kV]〜−3[kV]程度の定電圧を印加する構成であってもよい。
ベルトクリーニング装置50は極性制御ブレード電源57の下方に、ベルトクリーニング装置50で除去した転写残トナーをベルトクリーニング装置50外に配置した不図示の廃トナーボトルに搬送するトナー排出コイル63を備えている。
【0026】
極性制御ブレード56に対して転写ベルト20の表面移動方向下流側の転写ベルト20表面と対向する位置には、クリーニングブラシ電源71からプラス極性の電圧(本実施形態では、+600[V])が印加された導電性のブラシローラからなるクリーニングブラシ73が配置されている。クリーニングブラシ73が転写ベルト20に接触する位置では転写ベルト20の表面移動方向に対してクリーニングブラシ73のブラシの移動方向が逆方向となるように、クリーニングブラシ73は図2中反時計回り方向に回転する。
【0027】
ベルトクリーニング装置50は、クリーニングブラシ73に接触するように配置され、クリーニングブラシ73と同方向(図2中反時計回り方向)に回転し、クリーニングブラシ73に印加される電圧よりも高いプラス極性の電圧(本実施形態では+1000[V])が回収ローラ電源61から印加された導電性のローラからなる回収ローラ75を備える。クリーニングブラシ73と接触する位置に対して回収ローラ75の表面移動方向下流側には、回収ローラ用シール74が接触し、さらに下流側には、回収ローラ75に印加される電圧よりも高いプラス極性の電圧(本実施形態では+2000[V])が回収ブレード電源68から印加された導電性のブレードからなる回収ブレード65を備える。
【0028】
回収ローラ用シール74は、下ケース62に固定された回収ローラシール用ステー69に固定されており、回収ローラ用シール74は、入口シール53の転写ベルト20に対する接触条件と同様の条件で回収ローラ75に接触している。また、回収ローラシール用ステー69と極性制御ブレードホルダ58との間には、スポンジなどの弾性部材からなる飛散防止シール59が配置されている。さらに、回収ローラ75の回転軸方向における下ケース62の両端部(図2中の手前側端部と奥側端部)の、回収ローラ用シール74を設けた位置から回収ブレード65が回収ローラ75に接触する位置までの間には、回収ローラ用サイドシール76が設けられている。
回収ブレード65は、回収ブレードホルダ66及び回収ブレード用ステー67を介して下ケース62に固定されており、回収ブレードホルダ66とトナー排出コイル63との間には、回収ブレード65で回収したトナーをトナー排出コイル63へ導く、トナー排出ガイド64が配置されている。
【0029】
ベルトクリーニング装置50は、回収ローラ75と接触する位置に対してクリーニングブラシ73の回転方向下流側で、且つ、転写ベルト20と接触する位置に対してクリーニングブラシ73の回転方向下流側で、クリーニングブラシ73に接触する出口シール72を備えている。
回収ローラ用シール74、回収ローラ用サイドシール76及び出口シール72は、飛散トナーが転写ベルト20の表面に付着しないように設けてある。
【0030】
なお、以降に示すq/d分布(帯電量分布)は細川ミクロン製 E−スパートアナライザで計測したもので、縦軸が収集した個数に対する比率を、横軸がトナー1個の帯電量を表す。
本実施形態のプリンタ100では転写残トナーが少ない為、今回の収集個数はトナー個数を500個とした。
図3に示す縦軸がクリーニング残IDを示すグラフは極性制御ブレード56が当接する位置を通過した後の転写ベルト20上のトナーをスコッチテープでテープ転写し、紙上に貼り付け、それを分光測色計(アムテック社製Xライト)で測定し、他方でスコッチテープのみを紙に貼り付けた状態を分光測色計で測定し、転写ベルト20上をテープ転写したテープの反射濃度からスコッチテープのみの反射濃度を引いた値で有る。
また、IDとトナー個数(トナー付着量)は図4に示すように相関関係が有り、トナー個数が多いとIDの値は増加する。従ってIDを測定することでクリーニング性の判断ができる。
【0031】
次にベルトクリーニング装置50での転写残トナーのクリーニングについて説明する。
2次転写部で転写紙Pに転写されず転写ベルト20上に残ったトナーは転写ベルト20の表面移動によって、転写ベルト20を挟んで従動ローラ23とベルトクリーニング装置50とが対向する位置まで移動し、転写ベルト20に入口シール53が当接する位置を通過する。
極性制御ブレード56が当接する位置を通過する前の転写ベルト20上の転写残トナーは2次転写部での電界の影響を受け、図5中の(a)で示すグラフのようにq/d分布は+、−極性が混在した状態となっている。
そして、転写ベルト20上の転写残トナーは極性制御ブレード56が当接する位置を通過するときに、極性制御ブレード56によって転写ベルト20から掻き落とされ、ほとんどが除去される。極性制御ブレード56で掻き落とされた転写残トナーは、そのまま図2中左側下方へ落下し、トナー排出コイル63によってベルトクリーニング装置50のユニット外へ排出される。
【0032】
通常の転写残トナー(付着量:約0.05[mg/cm])は電圧が印加された極性制御ブレード56でほぼ完全に除去される。また、詳細は後述するが、ジャム後等の高トナー付着量(付着量:約0.6[mg/cm])でも使用初期から一定枚数(200[kp])程度まではほぼ完全に除去される。しかし、ある程度のプリント枚数をプリントした後には、転写残トナーが極性制御ブレード56の当接位置をすり抜けはじめる。このように、転写残トナーが極性制御ブレード56の当接位置をすり抜ける際に、マイナス極性の電圧が印加された極性制御ブレード56によって図5中の(b)で示すグラフのようにマイナス極性に帯電極性を揃えられる。
なお、本実施形態では、プリント枚数の単位として1000枚プリントを[kp]とし、これは転写紙がA4横(紙進行方向長さ:210[mm]、紙進行方向に直交する方向の長さ:297[mm])のときのプリント枚数である。また、本実施形態において、特にトナーの付着量について記載がない場合は、通常の転写残トナーのトナー付着量(0.05[mg/cm])である。
【0033】
極性制御ブレード56が転写ベルト20に当接する位置を通過した転写トナーは転写ベルト20の表面移動でクリーニングブラシ73が転写ベルト20に当接する位置まで移送される。クリーニングブラシ73には、極性制御ブレード56に印加される電圧とは逆極性のプラス極性の電圧(+600[V])が印加されており、極性制御ブレード56によってマイナス極性に帯電極性が揃えられた転写ベルト20上の転写残トナーを、電気的にクリーニングブラシ73へ移動する。
【0034】
転写ベルト20からクリーニングブラシ73に移動した転写残トナーはクリーニングブラシ73の回転でクリーニングブラシ73と同方向に回転している回収ローラ75とクリーニングブラシ73との接触位置へ移送される。回収ローラ75にはクリーニングブラシ73と同極性で、且つ、より高い電圧(+1000[V])が印加されており、クリーニングブラシ73と回収ローラ75との接触位置では、クリーニングブラシ73に付着したマイナス極性のトナーが回収ローラ75へ電気的に移動する。
【0035】
クリーニングブラシ73から回収ローラ75へ移動した転写残トナーは、回収ローラ75の表面移動により回収ブレード65との接触位置まで移送される。このとき、回収ローラ75に接触している回収ローラ用シール74の接触位置では、転写残トナーは回収ローラ用シール74によって掻き取られることなく接触位置を通過し、回収ローラ75上のトナーは回収ローラ用シール74で掻き取られることなく、回収ブレード65との接触位置まで移送される。
回収ブレード65には回収ローラ75と同極性で、且つ、より高い電圧(+2000[V])が印加されており、回収ローラ75上のトナーは回収ブレード65によって掻き落とされ、トナー排出コイル63でベルトクリーニング装置50のユニット外へ排出される。
【0036】
次にトナーと同極性の電圧(−80[μA]で定電流制御)が印加された極性制御ブレード56が転写ベルト20に当接する位置をすり抜けて行く転写ベルト20上の転写残トナーの帯電極性が揃えられるときの詳細について説明する。
極性制御ブレード56の電気抵抗は10〜10[Ω・cm]、極性制御ブレード56の転写ベルト20に対する当接圧は20[g/cm]、そして、極性制御ブレード56は転写ベルト20の表面移動方向に対してカウンター当接するように構成されている。
【0037】
図6は、転写ベルト20上の転写残トナーが極性制御ブレード56との当接部を通過する前のトナーのq/d分布(図6中の「転写残トナー」)と、極性制御ブレード56に印加する電圧の強さを変化させた場合(定電流制御で、−60[μA]、−80[μA]、−100[μA]の3段階)のトナーのq/d分布とを示すグラフである。
極性制御ブレード56の当接位置をすり抜ける転写残トナーの帯電量は、転写ベルト20と極性制御ブレード56とによって、「摩擦帯電」、「電荷注入」、及び、「放電」等で図6に示すように印加電流(又は電圧)の増加に従いトナーの正規帯電極性(本実施形態ではマイナス極性)側にシフトする。
【0038】
トナーが極性制御ブレード56と転写ベルト20との間にはさまれたとき、極性制御ブレード56に印加された電圧(又は電流)で転写残トナーに電流が流れ込み、転写残トナーは印加電圧側の極性に帯電して極性制御ブレード56の当接位置を通過する。
このような状態で転写残トナーの帯電極性が変化するのは主に極性制御ブレード56と転写ベルト20との間の放電によるものと考えられている。
2次転写部を通過した後の転写ベルト20の表面の電位は転写条件により変化するが、おおよそ−100[V]〜+100[V]の範囲で変化する事が確認されている。
従って、図6に示した極性制御ブレード56への印加電圧が「−80[μA](電圧は約−2[kV]程度)」では、転写ベルト20の表面電位が−100[V]では電位差が1900[V](+100[V]の時は2100[V])となり、十分な電位差が生じるため、放電が始まる。この結果、極性制御ブレード56の当接位置を通過した後の転写残トナーのq/d分布がマイナス極性側にシフトする。
【0039】
また、極性制御ブレード56の当接位置では、当接位置の入口側及び出口側に転写ベルト20と極性制御ブレード56とで形成された楔部の微小ギャップ部の放電により転写残トナーは印加電圧と同極性側に帯電量がシフトする。帯電極性が片側に揃えられて極性制御ブレード56の当接位置を通過した転写残トナーは、転写残トナーの帯電極性と逆極性(プラス極性)の電圧が印加されたクリーニングブラシ73により静電的に除去される。
極性制御ブレード56の当接位置では、転写ベルト20の表面移動によって移送される転写残トナーを機械的に掻き落とすため、使用時間が経過すると極性制御ブレード56の当接位置の入口側の楔部はトナーで汚れる。このため、極性制御ブレード56の当接位置の微小ギャップ部の放電は主に出口側の楔部で行われることになる。
【0040】
次に極性制御ブレード56のクリーニング性能の詳細について説明する。
極性制御ブレード56は従来のクリーニング装置で使用されている絶縁のクリーニングブレードと当接条件はほぼ同じであり、転写残トナーの極性を片側に揃える機能以外に転写残トナーを堰き止める(掻き落す)機能がある。
本実施形態のベルトクリーニング装置50は、上流側の極性制御ブレード56を備えた第一クリーニング手段90と、下流側のクリーニングブラシ73を備えた第二クリーニング手段80との、2つのクリーニング手段を備える構成と考えてよい。
【0041】
下流に配置されているクリーニングブラシ73、及び、その清掃手段(回収ローラ75等)は従来のクリーニング装置が備える絶縁クリーニングブレードとは異なり、清掃対象からのトナー移動が電気的な勾配によって行われている。このようなクリーニング手段での清掃対象から清掃部材へのトナー移動(転写ベルト20からクリーニングブラシ73への移動、クリーニングブラシ73から回収ローラ75への移動)は、清掃対象と清掃部材との電位差を大きくすればするほど多くなるが、電位差が大きくなればなるほど清掃対象に付着するトナーへの電荷注入が多くなり結果的にトナー移動が減少する。
従ってクリーニングブラシ73、及び、その清掃手段のトナー移動はトナー移動量と電荷注入のバランスで電位差を決めることになるが、電荷注入は電位差が小さい方が電化注入しずらい為電位差は小さい方が望ましいが、電位差が小さいとトナー移動量が少なくなる。このため、極性制御ブレード56の当接位置を通過した後の転写ベルト20上のトナー量は少ない方が有利となる。
【0042】
すなわち、極性制御ブレード56の当接位置を通過してよいトナー量にはおおよその限界量がある。実験的にはトナーの付着量が0.1[mg/cm]程度であれば、本実施形態のクリーニングブラシ73で転写ベルト20からほぼ完全にトナーを除去することができ、さらに、クリーニングブラシ73上に移動したトナーのほぼ95[%]を回収ローラ75へ移動でき、クリーニングブラシ73上に残留した残りのトナーもクリーニングブラシ73の当接位置を通過後の転写ベルト20上へほとんど逆付着しないが確認されている。
従って極性制御ブレード56の当接位置を通過するトナー量は0.1[mg/cm]以下が望ましい。
【0043】
また、上述したように極性制御ブレード56の転写ベルト20に対する当接条件は従来のクリーニング装置が備える絶縁のクリーニングブレードの被清掃体に対する当接条件とほぼ同じであり、転写残トナーの極性を片側に揃える機能以外に転写残トナーを堰き止める(掻き落す)機能がある。
従来の絶縁のクリーニングブレードによるトナー除去は、清掃対象とクリーニングブレードとで形成される楔部に、当接位置で塞き止めたトナーが堰を形成し後続のトナーを塞き止めていると考えられている。
一方、本実施形態のベルトクリーニング装置50の極性制御ブレード56は絶縁のクリーニングブレードとほぼ同じ線圧に加え、極性制御ブレード56には、転写残トナーの一部のトナー極性(+、−が混在している転写残トナーの+極性側の転写残トナー)と反対の極性(−極性)の電圧(又は電流)が印加されているため、楔部に積極的にトナーの堰が形成される。
【0044】
すなわち、極性制御ブレード56へ印加された電圧(又は電流)とは逆極性に帯電したトナーは、電気的に強い力で極性制御ブレード56に保持され、楔部に形成されたトナーの堰は崩れにくく強い堰となって後続の転写残トナーを塞き止めることができる。
従って、通常の画像形成時の転写残トナーはもちろん、ジャム後等の高トナー付着量のトナー入力時でも一定枚数(200[kp])程度までは、転写残トナーはほぼ完全に極性制御ブレード56で塞き止められ、極性制御ブレード56の当接位置をほとんどすり抜けない。
【0045】
図3は、極性制御ブレード56にマイナス極性の電圧を印加した場合と、印加しなかった場合とのクリーニング性を比較するグラフである。詳しくは、極性制御ブレード56に−80[μA]の定電流制御の電圧を印加した場合と電圧を印加しなかった場合とのそれぞれの場合で、高トナー付着量(付着量:0.6[mg/cm])で200[kp]使用後の極性制御ブレード56の当接位置を通過した転写ベルト20の表面のクリーニング残IDを示すグラフである。
図3から明らかなように、クリーニングブレード(本実施形態の極性制御ブレード56)に電圧を印加するとクリーニング性能が大きく向上する事が解る。しかしながら、極性制御ブレード56も従来の絶縁性クリーニングブレードと同様に、転写ベルト20と当接している稜線は、使用時間とともに少しずつ磨耗していく。
【0046】
図7は、極性制御ブレード56が転写ベルト20に当接する当接点56tの経時使用による磨耗の説明図であり、図7(a)は使用開始時、図7(b)は200[kp]後、図7(c)は600[kp]後の説明図である。極性制御ブレード56は、時間と共に図7(b)、図(600kp後)に示すように少しずつ摩耗していき、極性制御ブレード56の当接位置をすり抜けるトナーの量も少しずつ増加していく。
なお、図7(b)及び図7(c)は、図7(a)に示す転写ベルト20と当接する稜線を右斜め45[°]から拡大して稜線の摩耗幅を示した図である。
クリーニングブレード(本実施形態の極性制御ブレード56)の稜線の摩耗はおおよそ転写ベルト20の走行距離に比例して多くなることが知られており、今回の実験でも転写ベルト20の走行距離に比例して摩耗幅が多くなることが確認された。
【0047】
極性制御ブレード56の摩耗が進行してきた場合、実験結果ではトナー付着量の少ない状態では転写残トナーは図7(c)に示す摩耗量(600[kp])までは電圧(又は電流)が印加された極性制御ブレード56でほぼ完全に除去できることが確認された。
しかし、200[kp]後であって、ジャム後等のような高トナー付着量(0.6[mg/cm])では図3中の「−80[μA]印加」のグラフに示すようにトナーすり抜けが発生してくる。
ここで、図3中の「−80[μA]印加」のグラフでは、極性制御ブレード56の当接位置をすり抜けてくるトナー量はIDでおおよそ「0.005」程度で図4に示すIDとトナー付着量との関係を示すグラフによれば、約0.03[mg/cm]程度である。このトナー付着量は、上述したクリーニングブラシ73でほぼ完全に除去することが出来るトナー量の0.1[mg/cm]を下回るため、200[kp]後で、且つ、高トナー付着量(0.6[mg/cm])であっても、極性制御ブレード56の当接位置をすり抜けたトナーは下流側のクリーニングブラシ73で、不具合無く、ほぼ完全にクリーニングできる。
【0048】
また、600[kp]後では200[kp]後に比べて極性制御ブレード56をすり抜けるトナー量は当然増加し、おおよそ「0.1[mg/cm]」程度となり、クリーニングブラシ73でほぼ完全に除去することが出来るトナー量に達する。その後はプリント枚数の増加に伴い、極性制御ブレード56の当接位置を通過した転写ベルト20上のクリーニング性能は低下するため、クリーニングブラシ73の当接位置に入力されるトナー量が「0.1[mg/cm]」を上回り、画像上にポジ残像が発生し、ベルトクリーニング装置50が寿命となる。
【0049】
高トナー付着量のトナーが入力してくるときは、ほとんどジャム後であるため、転写ベルト20を2〜3周すれば、極性制御ブレード56のみでほぼ完全にクリーニングできるが、その時間だけ次の画像形成が遅くなる。
これに対して、本実施形態のベルトクリーニング装置50のように、極性制御ブレード56の下流にクリーニングブラシ73及びその清掃手段を備える構成であれば、高トナー付着量のトナーが入力した場合であっても、転写ベルト20の表面がベルトクリーニング装置50との対向部を一度通過するだけでほぼ完全にクリーニングでき、次の画像形成が短時間で可能となる。
【0050】
しかしながら、上述したように、約200[kp]程度まではどのような場合でも、転写ベルト20上の転写残トナーは極性制御ブレード56によってほぼ完全に除去されるため、転写ベルト20のクリーニングブラシ73の当接位置にはトナーがほとんど移送されてこない。これにより、回収ローラ75にもトナーが供給されず、回収ローラ75表面の回収ブレード65との当接位置で潤滑剤として作用するトナーが入力されないため、回収ローラ75に当接している回収ブレード65にブレードメクレが生じ易くなり、また、摩耗が加速される。
【0051】
一般に絶縁のクリーニングブレードは機械の初めての稼動時は一部トナー像が無い領域(現像部からクリーニング部まで)がある為、クリーニングブレードのメクレ防止にフッ素系の粉末やトナーをクリーニングブレード又は像担持体へ塗布し初期動作時のクリーニングブレードメクレ防止に使用している。
【0052】
なお、回収ブレード65の当接位置に潤滑剤として作用するトナーが入力されている状態では、回収ブレード65は極性制御ブレード56と同じように磨耗していくが、トナーが入力されていない状態であると、極性制御ブレード56よりも磨耗が早まる。従って、クリーニングブラシ73の当接位置へトナーが入力してこない状態で回収ローラ75が回転駆動すると回収ブレード65の磨耗が加速され、同じプリント枚数でも図7(b)、図7(c)に示すような摩耗量より更に多く摩耗することになる。回収ブレード65の摩耗量が図7(c)に示す量より多くなると回収ローラ75表面にクリーニング不良が発生する。
本実施形態のベルトクリーニング装置50では、極性制御ブレード56と同様に回収ブレード65は摩耗が進行すると当然、回収ローラ75上のクリーニング不良が発生し回収ローラ75表面にトナー層ができる。これにより、クリーニングブラシ73上のトナーを回収ローラ75へ移動できなくなり、その結果、転写ベルト20上のトナーがクリーニングできなくなるので転写ベルト20上のクリーニング不良となる。
【0053】
次に、本実施形態のプリンタ100の特徴部について説明する。
プリンタ100の制御部200は、非画像形成時に、クリーニングブラシ73が転写ベルト20上に残留するトナーを回収するクリーニングブラシ73の当接位置に対してトナーを供給する制御(以下、ブラシ部トナー供給制御と呼ぶ)を実行する。詳しくは、制御部200が、画像ステーション3、中間転写ユニット5、光学ユニット4を制御して、4つの画像ステーション3のうちの何れか一つによって、クリーニングブラシ73へ供給するためのブラシクリーニング用トナー像を転写ベルト20上に形成する。また、制御部200は、ブラシクリーニング用トナー像が2次転写部で転写されることなくを通過するように、画像形成時に二次転写ローラ25に印加する二次転写電流をOFFとする。さらに、制御部200は加圧解除ソレノイド300を駆動して加圧解除レバー70によって極性制御ブレードホルダ58を押圧し、ブラシクリーニング用トナー像が極性制御ブレード56の当接位置に到達する前に極性制御ブレード56の転写ベルト20に対する加圧を解除させる。
非画像形成時にこのような制御を実行し、クリーニングブラシ73及び回収ローラ75へ定期的にトナーを供給することができ、回収ローラ75と回収ブレード65との当接部へトナーが噛み込み、潤滑剤として作用し、回収ブレード65のめくれ防止や磨耗の加速を防止することができる。
【0054】
本実施形態のプリンタ100では、以下の条件で非画像形成時にブラシ部トナー供給制御を行った。
・トナー供給を行う非画像形成時の所定のタイミング:紙間(約90[mm])
・ブラシクリーニング用トナー像の画像の大きさ:転写ベルト20の表面移動方向の長さ45[mm](クリーニングブラシ73の一周分)、転写ベルト20の表面移動方向に直交する方向の長さ287[mm]
・ブラシクリーニング用トナー像のトナー付着量:0.5[mg/cm
・極性制御ブレードの離間状態:転写ベルト20の表面から約0.5[mm]離間
【0055】
このような条件でブラシ部トナー供給制御を行い、定期的に回収ローラ75へのトナーの供給を行った場合、回収ローラ75上のクリーニング不良が発生するまでのプリント枚数は、約600[kp]程度であった。
一方、非画像形成時にクリーニングブラシ73の当接位置へのトナーの供給を行わず、回収ローラ75へのトナー供給がない場合、回収ローラ75上のクリーニング不良が発生するまでのプリント枚数は、約300[kp]程度であった。
なお、非画像形成時にクリーニングブラシ73の当接位置へのトナーの供給を行わない構成であっても、プリント枚数が200kp辺りから極性制御ブレード56をすり抜けるトナーが発生し、すり抜けたトナーによってクリーニングブラシ73及び回収ローラ75へのトナー供給が行われ始める。しかしながら、200[kp]〜300[kp]の間にトナー供給が行われても、200[kp]までの間に回収ブレード65が磨耗してしまっているので、300[kp]でクリーニング不良が発生する。また、磨耗は徐々に進行するが、その量は微々たるもので、さらに、長手方向(転写ベルト20の表面移動方向に直交する方向)について均一に磨耗するわけではなく、ランダムに磨耗するので、回収ブレード65の磨耗を少なくするためには、長手方向に均一にトナーを供給する必要がある。
【0056】
上述したように、非画像形成時に定期的にクリーニングブラシ73の当接位置へのトナーの供給を行い、回収ローラ75へトナー供給を行えば寿命は延びる。
回収ブレード65の摩耗量は極性制御ブレード56の磨耗量とほぼ同程度であるので高トナー付着量(0.6[mg/cm])のトナーが回収ローラ75上の回収ブレード65の当接位置に入力してくると、当然クリーニング不良が発生する。しかし、上述したように極性制御ブレード56の摩耗量がプリント枚数600[kp]程度のときの磨耗量であっても、極性制御ブレード56の当接位置をすり抜けるトナー量は約0.1[mg/cm]程度であるため、この程度のトナーが回収ブレード65の当接位置に入力してきてもほぼ完全にクリーニングでき、クリーニング不良の不具合は発生しない。
【0057】
本実施形態のプリンタ100では、転写ベルト20を駆動するときには、クリーニングブラシ73及び回収ローラ75も駆動する構成であるが、極性制御ブレード56の当接位置をトナーがすり抜けるような高トナー付着量のトナーが入力してくる場合にのみクリーニングブラシ73及び回収ローラ75を駆動回転させ、通常は駆動回転を停止させても寿命を延ばすことができる。
【0058】
また、本実施形態のプリンタ100では、紙間にブラシ部トナー供給制御を実行するため、プリント速度の低下にはならない。
非画像形成時に定期的にクリーニングブラシ73の当接位置へのトナーの供給を行う構成としては、プリンタ100を立ち上げるとき、定着装置6が設定温度に達するまでの時間、所謂ウォームアップ時にブラシ部トナー供給制御を実行すれば、プリント速度の低下にはならない。
また、一定枚数(1000枚程度)毎にブラシ部トナー供給制御を実行すればプリント速度の低下にはならない。
さらに、1JOB(1回にプリントする)終了毎にブラシ部トナー供給制御を実行すればプリント速度の低下にはならない。
なお、一定枚数毎や1JOB毎のタイミングでブラシ部トナー供給制御を実行する構成では、本実施形態のように紙間でブラシ部トナー供給制御を実行する構成に比べて、回収ローラ75へのトナーの供給量が少なくなり、回収ブレード65の寿命が短くなるが、ブラシ部トナー供給制御を実行しない構成よりは寿命を延ばすことが出来る。
【0059】
次に回収ローラ75に当接している回収ブレード65へのトナー供給について説明する。
クリーニングブラシ73及び回収ローラ75へのトナー供給は長手方向全幅に供給するのが望ましい。つまり横帯状のトナー像でトナー付着量は約0.1[mg/cm]以下が望ましい。
非画像形成時に4つの感光体10のうちの一つで、通常の書き込み現像、及び1次転写が行われ転写ベルト20上に横帯状のトナー像が形成される。横帯状のトナー像はトナー像担持体である転写ベルト20の表面移動方向に直角で、画像領域全幅に形成される。横帯状のトナー像の転写ベルト20の表面移動方向の長さは約50[mm]程度でよい。この時、二次転写電流はOFFとなっており、横帯状のトナー像は転写ベルト20の表面移動でベルトクリーニング装置50によるクリーニング部へ運ばれる。
【0060】
ベルトクリーニング装置50では、加圧解除ソレノイド300の駆動によって加圧解除レバー70が押され、加圧解除レバー70は図中右に移動し、極性制御ブレードホルダ58を押圧して、極性制御ブレード56を転写ベルト20に対して離間した状態にする。
横帯状のトナー像は極性制御ブレード56の当接位置を通過しクリーニングブラシ73によって転写ベルト20上から除去され、クリーニングブラシ73に付着したトナーは回収ローラ75表面へ移動する。そして、このトナーは、回収ローラ75と回収ブレード65とで形成される楔部へ溜まり一部が回収ローラ75と回収ブレード65との接触部へ噛み込み潤滑剤として作用する。
【0061】
本実施形態のプリンタ100では、クリーニングブラシ73の当接位置にトナーを供給するときに、極性制御ブレード56を転写ベルト20に対して離間させる構成であるが、極性制御ブレード56を転写ベルト20に対して完全に離反せず線圧を弱く(10[g/cm]程度)する構成であっても良い。
線圧を極端に弱めた場合では完全に離反した場合に比べ極性制御ブレード56の当接位置を通過するトナー量は少なくなるが、トナーはすり抜けていき、クリーニングブラシ73及び回収ローラ75へトナーが供給される。
【0062】
なお、クリーニングブラシ73の当接位置にトナーを供給するときのトナー像が横帯状ではなく、例えば縦帯状の場合は回収ブレード65の当接位置ではトナーが供給される部分と供給されない部分とが発生する。これにより、回収ブレード65には摩耗が少ない部分と摩耗が多い部分とが生じ、摩耗が多い部分が一部でも最終的には画像にクリーニング不良の異常画像が発生する。
また、回収ローラ75の表面移動方向に直交する方向の回収ブレード65の長さは、画像域より両端に約2[mm]ずつ広く設けられているが、画像域全体にトナーが供給されると回収ブレード65と回収ローラ75とで形成される楔部でトナーは若干横に広がるので、回収ブレード65の当接部の全域にトナーは行き渡る。
【0063】
次に、転写ベルト20上のトナーがクリーニングブラシ73によって静電的に除去される静電クリーニング部のその他の詳細構成について説明する。
図8は、クリーニングブラシ73の転写ベルト20と接触する一本のブラシ繊維81の縦断面図である。図8に示すように、クリーニングブラシ73のブラシ繊維81は、内部が導電性材料82からなり、表面部が絶縁性材料83からなる二層構造の芯鞘構造となっている。このような芯鞘構造のブラシ繊維81は表面部である表層が絶縁性材料83であるため、繊維の切断面以外は導電性材料82とトナーTとが接触しない。これにより、クリーニングブラシ73から除去するトナーTへの電荷注入を抑制することができる。
また、クリーニングブラシ73のブラシ繊維81は、図8に示すようにクリーニングブラシ73の回転方向(図8中矢印B方向)後方側に繊維を倒した、所謂、斜毛(倒毛とも言う)となっている。
【0064】
ここで、ブラシ繊維81が直毛である場合について説明する。
図9は、内部が導電性材料82、表面部が絶縁性材料83からなる芯鞘構造のブラシ繊維81がブラシ回転軸である芯金73aに放射状に取り付けられた、所謂、直毛の場合の一本のブラシ繊維81の縦断面図である。図9中の矢印Bはクリーニングブラシ73の回転方向、すなわちブラシ繊維81の移動方向を示す。図9に示すように、ブラシ繊維81が直毛であるとブラシ繊維81先端の繊維の断面で露出した導電性材料82とトナーTとが接触し、クリーニングブラシ73からトナーへの電荷注入が発生するおそれがある。
一方、図8に示す本実施形態のように、ブラシ繊維81が斜毛であれば、ブラシ繊維81内部の導電性材料82はトナーTとほとんど接触しない。これにより、転写ベルト20からクリーニングブラシ73、クリーニングブラシ73から回収ローラ75へとトナーTが移動する間、クリーニングブラシ73からトナーTへの電荷注入を抑制することができる。
【0065】
また、回収ローラ75はクリーニングブラシ73と回収ローラ75との間でトナーへの電荷注入を少なくするため、金属の芯金にPVDFチューブを巻き更に表層に絶縁層を設けている。
【0066】
次に回収ブレード65へ電圧を印加する理由について説明する。
回収ローラ75表面では回収ブレード65でトナーが掻き落とされるとき、回収ローラ75の表面電位が低下する。その理由はまだ明らかになっていないが、回収ローラ75の表面に付着した電荷を持ったトナーが回収ブレード65で掻き落とされるときに剥離放電がおきて、高抵抗層・あるいは絶縁層に負極性の電荷を与えてしまう、もしくはトナー付着により回収ローラ75の表面層に負極性の電荷を与え、回収ブレード65でトナーを掻き落としても与えた電荷が残ってしまうと考えている。
そこで回収ローラ75の表面に当接する導電性の回収ブレード65へ回収ローラ75の軸に印加している電圧よりも高い電圧を印加している。なお、画像形成時の各部(極性制御ブレード56、クリーニングブラシ73、回収ローラ75、及び、回収ブレード65)への印加電圧は本実施形態で上述した極性と逆極性でも可能である。
【0067】
また、回収ローラ75上のトナー除去は回収ブレード65用いて機械的に掻き落としているので当然従来と同様に困難である。以下、回収ローラ75上の球形トナーの除去が回収ブレード65によって可能であることについて説明する。
回収ローラ75はクリーニングブラシ73に付着したトナーをクリーニングブラシ73と回収ローラ75間の電位勾配で回収ローラ75へ転位させる機能があれば良い訳で、転写ベルト20とは異なり材料は何でもかまわない。
そこで回収ローラ75の表面を摩擦係数の低い材料でコーティングしたり、金属ローラに摩擦係数の低いチューブを巻いたりすれば球形トナーでも容易に除去できる。
具体的にはフッ素コーティングやPVDF、PFAチューブを巻いた回収ローラ75にすればよい。
また、本実施形態のプリンタ100では、回収ブレード65へは電圧が印加されているので極性制御ブレード56と同様な効果でクリーニング性能が向上する。
【0068】
以下、本実施形態のベルトクリーニング装置50の各部品の特性値及び当接条件等の具体的な構成を示す。
転写ベルト20の具体的な構成条件を以下に示す。
・転写ベルトの線速:138[mm/s]
クリーニングブラシ73の具体的な構成条件を以下に示す。
・材質:導電性ポリエステル
・毛足長さ:5[mm]
・対転写ベルトへの食いこみ量:1[mm]
・クリーニングブラシの線速:138[mm/s](転写ベルトと同じ線速)
・クリーニングブラシ軸への印加電圧:+600[V]
・ブラシ繊維の原糸抵抗:10[Ω・cm]
・ブラシ植毛密度:10[万本/inch
・ブラシ形態:ブラシ回転方向下流側へ傾斜
・ブラシローラ径:Φ14[mm]
・回転方向:図2中の反時計周り方向
回収ローラ75の具体的な構成条件を以下に示す。
・回収ローラの材質:SUS芯金にPVDFチューブ(100[μm])表層UVコート層(5[μm]:絶縁)
・ローラ径:Φ14[mm]
・回収ローラの線速:138[mm/s]
・回収ローラの軸部への印加電圧:+1000[V]
・回転方向:図中向かって反時計周り方向
・回収ローラの電気抵抗:10〜10[Ω・cm]
【0069】
極性制御ブレード56の具体的な構成条件を以下に示す。
・ブレードの電気抵抗:10〜10[Ω・cm]
・当接方向:転写ベルト20の表面移動方向に対してカウンターで当接
・当接角度:転写ベルト20に対して20[°]
・当接圧:線圧で20[g/cm]
・印加電圧:定電流制御で−80[μA](又は−2[kV])
また、極性制御ブレード56は板金からなる極性制御ブレードホルダ58上に接着された板状部材によって構成され、厚みが2[mm]、自由長が7[mm]、JIS−A硬度計で60〜80、反撥弾性は30[%]となるものを用いたが、この値以外のものでも使用可能である。
また、極性制御ブレード56の少なくとも転写ベルト20と当接する面にはアクリル系のコート層(約5[μm])が設けてある。このコート層は極性制御ブレード56の摩耗を低減するためである。
【0070】
回収ブレード65の具体的な構成条件を以下に示す。
・回収ブレードへの印加電圧:+2000[V]
・ブレードの電気抵抗:10〜10[Ω・cm]
・当接方向:回収ローラ75の表面移動方向に対してカウンターで当接
・当接角度:20[°]
・当接圧:線圧で20[g/cm]
また、回収ブレード65は板金からなる回収ブレードホルダ66上に接着された板状部材によって構成され、厚みが2[mm]、自由長が7[mm]、JIS−A硬度計で60〜80、反撥弾性は30[%]となるものを用いたが、この値以外のものでも使用可能である。
また、回収ブレード65の少なくとも回収ローラ75と当接する面にはアクリル系のコート層(約5[μm])が設けてある。このコート層は回収ブレード65の摩耗を低減するためである。
【0071】
二つのシール部材(入口シール53、回収ローラ用シール74)の具体的な構成条件を以下に示す。
・材質:ポリウレタンゴム
・厚さ:0.2[mm]
・自由長:7[mm]
・転写ベルトまたは回収ローラに対する当接角度:11[°]
・転写ベルトまたは回収ローラに対する食い込み量:1[mm]
出口シール72の具体的な構成条件を以下に示す。
・材質:ポリウレタンゴム
・厚さ:0.2[mm]
・自由長:7[mm]
・クリーニングブラシにちする当接角度:11[°]
・クリーニングブラシに対する食い込み量:1[mm]
【0072】
本実施形態のプリンタ100に用いることができる転写ベルト20の材質としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成樹脂又は各種のゴムに、カーボンブラック等の導電剤を適当量含有させたものが用いられ、その体積抵抗率が10〜1014[Ω・cm]となるものが使われている。
また、転写ベルト20としては弾性を有する弾性ベルトでも使用可能であり、この場合、導電性弾性層の主基材として、シリコーンゴム、NBR、H−NBR、CR、EPDM、ウレタンゴム等が用いられ、導電性の保護層の材料は、摩擦抵抗の低減、電気特性の環境に対する安定性、表面粗さ低減による残留トナークリーニング性能の向上といった目的を達成できるものであれば、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、PVdFなどのフッ素樹脂系ポリマーを、アルコール可溶性ナイロン系、シリコーン樹脂系、シランカプラー、ウレタン樹脂系のエマルジョンや有機溶媒に、溶解・分散した塗料を使用することができる。
上述の導電性の保護層は、上述の塗料をディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコートなどにより設けることができる。さらに、保護層に表面処理または研磨を施すことにより離型性、導電性、耐磨耗性、表面クリーニング性等を改善することができる。
【0073】
近年、画像形成装置においては、より高精度および高精細な画像が形成できるよう、高解像度を有することが要求されている。その達成手段の1つとしてより粒径を小さくしたトナーを用いることがあげられる。又従来より転写率向上のためにトナーの形状を不定形からより球に近い形状のものが使われるようになってきている。
しかしながら、従来のクリーニング装置で使用されている絶縁のクリーニングブレードをトナー像担持体に当接させるブレードクリーニング方式では、小粒径トナーや球形のトナーをクリーニングすることは粒径が小さいことや、形状が球形であることから、ブレードの当接位置をトナーがすり抜けやすくクリーニング不良が発生しクリーニングが困難な状況である。しかしながら小粒径トナーや、球形トナーを用いると画像品質が良くなるので、小粒径の球形トナーの使用が望ましい。
本実施形態のベルトクリーニング装置50では、極性制御ブレード56を転写ベルト20に当接させた位置に対して、転写ベルト20の表面移動方向下流側にクリーニングブラシ73を設け、静電クリーニング方式によってトナーを除去するため、小粒径の球形トナーを使用したとしても、良好なクリーニングを行うことが出来る。また、プリンタ100において、小粒径の球形トナーを用いることにより、高画質化を達成することができる。
【0074】
本実施形態のプリンタ100では、トナーとして形状係数SF−1が100〜150である真円度の高い、いわゆる球形トナーを用いている。球形トナーを用いた場合、粉砕トナーを用いた場合に比べて極性制御ブレード56による転写ベルト20上からのトナー除去は少なくなる。しかし、トナーすり抜けが多くても上述したように極性制御ブレード56でトナーの帯電極性を片側に揃えてクリーニングブラシ73で転写ベルト20上から除去するため、球形トナーを用いたとしてもクリーニング性を維持することができる。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーとトナー像担持体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーとトナー像担持体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1が150を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
図10は、形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記(1)式で表される。球状物質(本実施形態ではトナー)を二次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
つまり次式、
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)・・・(1)
によって定義されるものである。
【0075】
上述した実施形態では、非画像形成時に、第二クリーニング手段80がトナー像担持体上に残留するトナーを回収するトナー回収位置に対してトナーを供給する制御をトナー像担持体である転写ベルト20上のトナーを除去するベルトクリーニング装置50に対して実行する構成である。このような制御を行うクリーニング装置として転写ベルト20をクリーニングするベルトクリーニング装置50に限るものではなく、感光体10をクリーニングする感光体クリーニング装置13であってもよい。
図11は、非画像形成時に、第二クリーニング手段80がトナー像担持体上に残留するトナーを回収するトナー回収位置に対してトナーを供給する制御を行うことができる感光体クリーニング装置13の概略説明図である。
図11中の感光体クリーニング装置13は、図2を用いて説明したベルトクリーニング装置50とクリーニングする対象が異なる点以外はほぼ同様の構成であり、図11中の各部材のうち、図2に示す各部材と符号が同じ符号を付した部材は、ベルトクリーニング装置50の各部材と同様の機能を有する。
そして、図11に示す感光体クリーニング装置13においても、制御部200が、非画像形成時に、クリーニングブラシ73が感光体10上に残留するトナーを回収するクリーニングブラシ73の当接位置に対してトナーを供給する制御を実行することにより、ベルトクリーニング装置50と同様に回収ブレード65の磨耗の加速やブレードめくれを防止でき、感光体クリーニング装置13の長寿命化を図ることができる。
【0076】
上述した実施形態のプリンタ100は、各色のトナー像を形成する4つの画像ステーション3がそれぞれ感光体10を備えるタンデム型のフルカラー画像形成装置であるが、本発明の特徴部を適用可能な画像形成装置としてはこれに限るものではない。
非画像形成時に、第二クリーニング手段がトナ−担持体上に残留するトナーを回収する第二クリーニング手段の当接位置に対してトナーを供給する制御を行うクリーニング装置としては、トナー像担持体の表面に接触し、摺擦することによりトナー像担持体上の転写残トナーを除去する摺擦クリーニング部材を有する第一クリーニング手段と、摺擦クリーニング部材が接触する位置に対してトナー像担持体の表面移動方向下流側に配置され、トナー像担持体上に残留するトナーを除去する第二クリーニング手段とを有し、第二クリーニング手段が、トナー像担持体上から回収したトナーを表面に担持して表面移動する回収表面移動体と、回収表面移動体の表面に接触し、摺擦することにより回収表面移動体上のトナーを除去する摺擦回収部材とを備えるクリーニング装置であればよい。
【0077】
次に、本発明の特徴的な制御を行う構成を、1ドラム型のフルカラー画像形成装置の要部構成図カラー画像形成装置に適用した例について、図12を用いて説明する。
図12のプリンタ100において画像形成を行う場合、まず、感光体10を図12中反時計方向に回転駆動するとともに中間転写部78の転写ベルト20を図12中時計方向に回転駆動する。そして、感光体10の表面を帯電装置11の帯電ローラで一様に帯電した後、感光体10の表面に対してC用画像データで変調されたレーザー光Lを照射して、感光体10の表面にC用静電潜像を形成する。そして、このC用静電潜像を現像装置12CによりCトナーで現像を行う。これにより得られたC用トナー像は、中間転写部78の転写ベルト20上に一次転写される。その後、感光体10の表面に残留した転写残トナーを感光体クリーニング装置13で除去した後、再び感光体10の表面を帯電装置11で一様に帯電する。次に、感光体10の表面に対してM用画像データで変調されたレーザー光Lを照射して、感光体10の表面にM用静電潜像を形成する。そして、このM用静電潜像を現像装置12MによりMトナーで現像を行う。これにより得られたM用トナー像は、中間転写部78の転写ベルト20上に既に一次転写されているC用トナー像と重なり合うようにして、転写ベルト20上に一次転写される。以後、Y及びKについても、同様に転写ベルト20上に一次転写する。このようにして互いに重なり合った状態の転写ベルト20上の各色トナー像は、二次転写ローラ25により二次転写領域に搬送されてきた転写紙P上に転写される。このようにしてトナー像が転写された転写紙Pは、紙搬送ベルト79によって、図示しない定着部に搬送される。この定着部で、転写紙Pを加熱、加圧して、転写紙P上のトナー像を転写紙Pに定着させる。定着後の転写紙Pは、図示しない排紙トレー上に排出する。転写後の感光体10の表面に残留した転写残トナーは、感光体クリーニング装置13で除去される。また、転写ベルト20の表面に残留した転写残トナーは、ベルトクリーニング装置50で除去される。
【0078】
図12に示すプリンタ100において、ベルトクリーニング装置50として図2に示すベルトクリーニング装置50と同様の構成を備え、非画像形成時に、クリーニングブラシ73が転写ベルト20上に残留するトナーを回収するクリーニングブラシ73の当接位置に対してトナーを供給する制御を実行することにより、ベルトクリーニング装置50の長寿命化を図ることができる。
また、図12に示すプリンタ100において、感光体クリーニング装置13として図11に示す感光体クリーニング装置13と同様の構成を備え、非画像形成時に、クリーニングブラシ73が感光体10上に残留するトナーを回収するクリーニングブラシ73の当接位置に対してトナーを供給する制御を実行することにより、感光体クリーニング装置13の長寿命化を図ることができる。
【0079】
以上、本実施形態によれば、プリンタ100は、表面移動する像担持体である転写ベルト20と、転写ベルト20上にトナー像を形成する画像形成手段である画像ステーション3と、転写ベルト20上のトナー像を記録媒体である転写紙Pに転写する転写手段である二次転写ローラ25と、2次転写後の転写ベルト20を被清掃体として表面に付着した転写残トナーを除去するクリーニング装置であるベルトクリーニング装置50とを有する。プリンタ100が有するベルトクリーニング装置50は、転写ベルト20の表面に接触し、摺擦することにより転写ベルト20上の転写残トナーを除去する摺擦クリーニング部材である極性制御ブレード56を有する第一クリーニング手段90と、極性制御ブレード56が接触する位置に対して転写ベルト20の表面移動方向下流側に配置され、転写ベルト20上に残留するトナーを除去する第二クリーニング手段80とを有し、第二クリーニング手段80は、転写ベルト20上からクリーニングブラシ73を介して回収したトナーを表面に担持して表面移動する回収表面移動体である回収ローラ75と、回収ローラ75の表面に接触し、摺擦することにより回収ローラ75上のトナーを除去する摺擦回収部材である回収ブレード65とを備える構成の画像形成装置である。そして、プリンタ100では、制御手段である制御部200が非画像形成時に、第二クリーニング手段80のクリーニングブラシ73が転写ベルト20上に残留するトナーを回収するトナー回収位置であるクリーニングブラシ73の当接位置に対してトナーを供給する制御を実行する。これにより、第一クリーニング手段90の極性制御ブレード56の当接位置における画像形成時のトナーの通過量に係わらず、回収ローラ75の表面にトナーを確実に供給することが出来る。回収ローラ75の表面にトナーを確実に供給することが出来ることにより、トナーが回収ローラ75と回収ブレード65との間で潤滑剤として機能し、回収ブレード65がめくれる不具合や回収ブレード65の磨耗が早まる不具合を防止することができ、回収ブレード65の寿命を向上することができる。よって、回収ブレード65の寿命に起因するクリーニング不良の発生を防止することができるので、ベルトクリーニング装置50の長寿命化を図ることができる。
なお、本実施形態では、クリーニングブラシ73からトナーを受け渡される回収表面移動体としてローラ状の回収ローラ75を用いているが、回収表面移動体としては、ローラ状に限るものではなく、無端ベルトから構成される部材であってよい。また、第二クリーニング手段としては、クリーニングブラシ73のようなブラシローラを介して回収表面移動体がトナー像担持体からトナーを回収する構成に限るものではなく、回収表面移動体がトナー像担持体から直接トナーを回収する構成であってもよい。
【0080】
また、本実施形態のクリーニング装置は、摺擦クリーニング部材である極性制御ブレード56を有する第一クリーニング手段90の下流側に、回収表面移動体である回収ローラ75と摺擦回収部材である回収ブレード65とを有する第二クリーニング手段80を配置した構成である。上述の第二クリーニング手段80と同様のクリーニング手段を備える構成であれば、上述の第一クリーニング手段90を備えない構成であっても、像担持体上の転写残トナーが少ないときに画像形成時に摺擦回収部材と回収表面移動体との当接位置に対するトナーの入力量が不足することに起因してクリーニング装置の寿命を早める不具合が生じ得る。よって、非画像形成時に、トナー回収位置に対してトナーを供給する制御を実行する構成は、上述の第二クリーニング手段80と同様のクリーニング手段を有するクリーニング装置を備えた画像形成装置であればクリーニング装置の長寿命化を図ることができる。
【0081】
また、プリンタ100では、制御部200が、画像ステーション3によって転写ベルト20の表面上にトナーを供給し、二次転写ローラ25への二次転写電流の印加を停止することにより2次転写動作を停止し、加圧解除ソレノイド300を駆動して、極性制御ブレード56を転写ベルト20の表面から離間させる制御を非画像形成時である紙間に実行することによって、クリーニングブラシ73の当接位置に対してトナーを供給する。このような構成では極性制御ブレード56が転写ベルト20の表面から離間するため、回収ローラ75の表面へのトナーの供給量を確保することができ、回収ブレード65が回収ローラ75に当接する位置で、トナーが潤滑剤として作用するのに十分なトナーを回収ローラ75に供給することが出来る。
【0082】
また、プリンタ100では、制御部200が、画像ステーション3によって転写ベルト20の表面上にトナーを供給し、二次転写ローラ25への二次転写電流の印加を停止することにより2次転写動作を停止し、加圧解除ソレノイド300を駆動して、極性制御ブレード56が転写ベルト20の表面に接触する位置での線圧を画像形成時よりも低くする制御を非画像形成時である紙間に実行するようにしてもよい。このように、線圧を極端に弱めた場合では完全に離反した場合に比べ極性制御ブレード56の当接位置を通過するトナー量は少なくなるが、トナーはすり抜けていき、クリーニングブラシ73及び回収ローラ75へトナーが供給される。これにより、回収ローラ75の表面へのトナーの供給量を確保することができる。
【0083】
また、プリンタ100は、非画像形成時に、画像ステーション3が転写ベルト20の表面上に供給するトナーは、転写ベルト20の表面移動方向に直交する方向に延在する帯状のトナー像である。これにより、回収ブレード65が回収ローラ75に当接する部分のほぼ全幅にトナーを供給することができ、より確実に回収ブレード65の寿命向上を図ることができる。
【0084】
また、プリンタ100のベルトクリーニング装置50が備える極性制御ブレード56は、所定電極としてマイナス極性の電圧が印加された導電性ブレードである。このように導電性ブレードにマイナス極性の電圧を印加する構成であれば、逆極性であるプラス極性に帯電したトナーが極性制御ブレード56に付着して堰を形成する。これにより、第一クリーニング手段90のクリーニング性が向上する。このとき、第一クリーニング手段のクリーニング性が向上すると、第二クリーニング手段80に入力されるトナーの量が減少し、回収ブレード65の磨耗の進行が生じ易い。プリンタ100では制御部200が非画像形成時に回収ローラ75にトナーを供給する制御を実行しているため、第一クリーニング手段90が高いクリーニング性を有する構成であっても回収ブレード65の磨耗の進行を抑制することができる。
なお、新品のクリーニング装置の使用開始時など、第一クリーニング手段のクリーニング性能が高いことによって、第二クリーニング手段がトナーを除去する位置に入力されるトナーが少なくクリーニング装置の寿命を早める不具合は、第一クリーニング手段が備えるクリーニング部材が電圧が印加された導電性ブレードである構成に限るものではない。第一クリーニング手段が備えるクリーニング部材が像担持体の表面に接触し、摺擦することにより像担持体上の転写残トナーを除去する摺擦クリーニング部材であれば、生じ得る不具合である。しかし、本実施形態のように、非画像形成時に第二クリーニング手段がトナーを除去する位置にトナーを入力する制御を実行することにより、クリーニング装置の長寿命化を図ることができる。
【0085】
また、プリンタ100では、第二クリーニング手段80は、回転しながら転写ベルト20表面上のトナーを静電的に除去するブラシローラであるクリーニングブラシ73を備え、回収ローラ75はクリーニングブラシ73が転写ベルト20表面上から除去してクリーニングブラシ73に付着したトナーをクリーニングブラシ73から静電的に回収するものである。ベルトクリーニング装置50では、マイナス極性の電圧が印加された極性制御ブレード56が転写ベルト20の表面に当接する位置を通過するトナーの帯電電位をマイナス極性側に変化させる。そして、第二クリーニング手段80が備えるクリーニングブラシ73に極性制御ブレード56に印加された電圧とは逆極性のプラス極性の電圧を印加することで、極性制御ブレード56の当接位置を通過したトナーを静電的に除去することができ、クリーニングが困難な小径トナーや球形トナーであっても良好なクリーニング性を実現することが出来る。
【0086】
また、プリンタ100において、第二クリーニング手段が転写ベルト20上に残留するトナーを回収するトナー回収位置に対してトナーを供給する制御を制御部200が実行する非画像形成時が、プリンタ100を立ち上げるときのウォームアップ時であることにより、画像形成速度が低下することを防止できる。
【0087】
また、プリンタ100において、第二クリーニング手段80が転写ベルト20上に残留するトナーを回収するトナー回収位置に対してトナーを供給する制御を制御部200が実行する非画像形成時が、一定枚数の画像形成後である場合も画像形成速度が低下することを防止できる。
【0088】
また、プリンタ100において、第二クリーニング手段80が転写ベルト20上に残留するトナーを回収するトナー回収位置に対してトナーを供給する制御を制御部200が実行する非画像形成時が、1JOB終了後である場合も画像形成速度が低下することを防止できる。
【0089】
また、プリンタ100において、第二クリーニング手段80が転写ベルト20上に残留するトナーを回収するトナー回収位置に対してトナーを供給する制御を制御部200が実行する非画像形成時が、紙間である場合も画像形成速度が低下することを防止できる。
【0090】
また、プリンタ100の画像ステーション3の現像装置12がトナー像の形成に用いるトナーの形状係数SF−1が、100〜150であることにより、プリンタ100の画質の向上を図ることができる。
【0091】
また、プリンタ100において、非画像形成時に第二クリーニング手段80がトナー像担持体上に残留するトナーを回収するトナー回収位置に対してトナーを供給する制御を実行されるクリーニング装置が、中間転写体である転写ベルト20上のトナーを除去する中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置50であることにより、混色防止を防止することができる。
【0092】
また、プリンタ100において、非画像形成時に第二クリーニング手段80がトナー像担持体上に残留するトナーを回収するトナー回収位置に対してトナーを供給する制御を実行されるクリーニング装置が、潜像担持体である感光体10上のトナーを除去する潜像担持体クリーニング手段としての感光体クリーニング装置13であることにより、感光体10上の転写残トナーを確実に除去することができ、高画質化を実現することが出来る。
【符号の説明】
【0093】
1 装置本体
2 給紙カセット
3 画像ステーション
4 光学ユニット
5 中間転写ユニット
6 定着装置
7 トナーボトル
8 排紙トレイ
10 感光体
11 帯電装置
12 現像装置
13 感光体クリーニング装置
20 転写ベルト
21 駆動ローラ
22 テンションローラ
23 従動ローラ
24 一次転写ローラ
25 二次転写ローラ
27 給紙ローラ
28 レジストローラ対
29 排出ローラ
50 ベルトクリーニング装置
51 上ケース
53 入口シール
54 サイドシール
56 極性制御ブレード
56t 当接点
57 極性制御ブレード電源
58 極性制御ブレードホルダ
59 飛散防止シール
60 極性制御ブレード支軸
61 回収ローラ電源
62 下ケース
63 トナー排出コイル
64 トナー排出ガイド
65 回収ブレード
66 回収ブレードホルダ
67 回収ブレード用ステー
68 回収ブレード電源
69 回収ローラシール用ステー
70 加圧解除レバー
71 クリーニングブラシ電源
72 出口シール
73 クリーニングブラシ
73a 芯金
74 回収ローラ用シール
75 回収ローラ
76 回収ローラ用サイドシール
78 中間転写部
79 紙搬送ベルト
80 第二クリーニング手段
81 ブラシ繊維
82 導電性材料
83 絶縁性材料
85 Pセンサパターン検出器
87 加圧バネ
90 第一クリーニング手段
100 プリンタ
200 制御部
300 加圧解除ソレノイド
P 転写紙
T トナー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2008−96537号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面移動する像担持体と、
該像担持体上にトナー像を形成する画像形成手段と、
該像担持体上のトナー像を転写体又は記録媒体に転写する転写手段と、
転写後の該像担持体を被清掃体として表面に付着した転写残トナーを除去するクリーニング装置とを有し、
該クリーニング装置が、該像担持体上から回収したトナーを表面に担持して表面移動する回収表面移動体と、該回収表面移動体の表面に接触し、摺擦することにより該回収表面移動体上のトナーを除去する摺擦回収部材とを備えるクリーニング手段を有する画像形成装置において、
非画像形成時に、上記クリーニング手段が該像担持体上に残留するトナーを回収するトナー回収位置に対してトナーを供給する制御を実行する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
非画像形成時に、上記画像形成手段が上記像担持体の表面上に供給するトナーは、該像担持体の表面移動方向に直交する方向に延在する帯状のトナー像であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、
上記クリーニング手段は、回転しながら上記像担持体表面上のトナーを静電的に除去するブラシローラを備え、
上記回収表面移動体は該ブラシローラが該像担持体表面上から除去して該ブラシローラに付着したトナーを該ブラシローラから静電的に回収することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の画像形成装置において、
上記クリーニング装置が、該像担持体の表面に接触し、摺擦することにより該像担持体上の転写残トナーを除去する摺擦クリーニング部材を有する第一クリーニング手段と、
該摺擦クリーニング部材が接触する位置に対して該像担持体の表面移動方向下流側に配置され、該像担持体上に残留するトナーを除去する第二クリーニング手段とを有し、
該第二クリーニング手段が上記クリーニング手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
上記制御手段が、上記画像形成手段によって上記像担持体の表面上にトナーを供給し、上記転写手段による転写動作を停止し、上記摺擦クリーニング部材を該像担持体の表面から離間させる制御を非画像形成時に実行することによって上記トナー回収位置に対してトナーを供給することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4の画像形成装置において、
上記制御手段が、上記画像形成手段によって上記像担持体の表面上にトナーを供給し、上記転写手段による転写動作を停止し、上記摺擦クリーニング部材が該像担持体の表面に接触する位置での線圧を画像形成時よりも低くする制御を非画像形成時に実行することによって上記トナー回収位置に対してトナーを供給することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4、5または6の画像形成装置において、
上記摺擦クリーニング部材は、所定電極の電圧が印加された導電性ブレードであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、
上記非画像形成時は、ウォームアップ時であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、
上記非画像形成時は、一定枚数の画像形成後であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、
上記非画像形成時は、1JOB終了後であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、
上記非画像形成時は、紙間であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の画像形成装置において、
上記画像形成手段がトナー像の形成に用いるトナーの形状係数SF−1が、100〜150であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の画像形成装置において、
上記像担持体は他のトナー像担持体上に形成されたトナー像を一次転写され、一次転写されたトナー像を転写体又は記録媒体に二次転写する中間転写体であり、
上記クリーニング装置は、二次転写後の該中間転写体の表面に付着した転写残トナーを除去する中間転写体クリーニング手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の画像形成装置において、
上記像担持体は潜像形成手段によって表面に潜像が形成され、現像手段によって表面上の潜像にトナーが供給されることによってトナー像が形成される潜像担持体であり、
上記クリーニング装置は、トナー像が転写体又は記録媒体に転写された後の該潜像担持体の表面に付着した転写残トナーを除去する潜像担持体クリーニング手段であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−160428(P2010−160428A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3873(P2009−3873)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】