説明

画像形成装置

【課題】ユーザの利便性を損なうことなく、複数の各文書に係るプリントジョブの出力を一括して遂行可能な画像形成装置を得る。
【解決手段】操作情報取得部71を介して、複数の文書に関する認証情報入力に係る操作情報を取得したとき、認証部77は、認証情報記憶部73の記憶内容と、操作情報取得部71で取得した操作情報と、に基づいて、文書認証情報の正当性に係る認証を行う。そして、複数の文書に係る文書認証情報が正当である旨の認証結果が得られたとき、印刷制御部79は、当該複数の文書に係るプリントジョブを前記エンジン部に一括して遂行させるための制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プライベートプリント機能を有する画像形成装置に係り、特に、プライベートプリント対象として複数の文書が指定されており、これら複数の各文書に共通のパスワードが設定されている場合に、ユーザの利便性を損なうことなく、複数の各文書に係るプリントジョブの出力を一括して遂行可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の印刷機能を有する画像形成装置では、ユーザの多種多様なニーズに応えるために、第三者の目に触れることがないといったセキュリティを維持しながら文書の印刷を遂行可能としたものが出現してきている。
【0003】
かかるセキュリティ機能を有する画像形成装置の一例として、いわゆるプライベートプリント機能を有する画像形成装置が知られている(例えば特許文献1参照)。プライベートプリント機能とは、複数のクライアントPCと、プリントサーバとしての役割を果たす画像形成装置との間を、LAN等のネットワークを介して接続したシステムにおいて、あるクライアントPCから、機密文書や親展文書等の機密保持を要する文書の印刷を画像形成装置宛に、プライベートプリントを行う旨と共に指示した場合に、このプリントジョブは、即時に印刷処理されることなく同装置に一旦蓄積されて、同装置の元にやってきたユーザのパスワード入力による認証手続きを経た後に、同ユーザのプリントジョブの出力を許可する機能をいう。こうしたプライベートプリント機能によれば、出力物の積載トレイからの文書の取り間違いや、積載トレイに放置されている文書が第三者の目に触れることからの情報漏えいを抑止することを通じて、セキュリティ機能が付与された文書印刷環境を構築することができる。
【0004】
ところで、本願発明者の研究によると、従来のプライベートプリント機能に係る技術では、あるユーザのクライアントPCから、プライベートプリント対象として複数の文書が指定されており、これら複数の各文書に共通のパスワードが設定されている場合に、同装置の元にやってきたユーザが、複数の各文書に係るプリントジョブの出力を遂行させるには、個々の各文書についての、パスワード入力による認証手続きを文書の数だけ繰り返し行う必要があり、この繰り返しの認証手続きが煩雑でユーザの利便性を損なうおそれがあることがわかった。これは、プライベートプリント機能では、そのセキュリティ機能を高めるという性質上、複数の各文書には、個々に独立したパスワードが設定されているであろうとの考え方に依拠するものと考えられる。ところが、ユーザのなかには、複数の各文書に共通のパスワードを施した上で、これら複数の各文書を一括して認証する仕組みを画像形成装置に実装して欲しいとの要請が少なからずあり、そのニーズに応える必要が現に生じていたのである。
【特許文献1】特開2005−335281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、プライベートプリント対象として複数の文書が指定されており、これら複数の各文書に共通のパスワードが設定されている場合に、複数の各文書に係るプリントジョブの出力を遂行させるユーザ認証手続きが煩雑でユーザの利便性を損なうおそれがあった点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プライベートプリント対象として複数の文書が指定されており、これら複数の各文書に共通のパスワードが設定されている場合に、ユーザの利便性を損なうことなく、複数の各文書に係るプリントジョブの出力を一括して遂行可能な画像形成装置の提供を目的として、各種情報を表示するための表示部と、プライベートプリント対象となる文書に係るデータが一時的に蓄積される文書蓄積部と、画像形成に係る操作情報を取得する操作情報取得部と、プリントジョブを遂行するエンジン部と、を備え、プライベートプリント機能を有する画像形成装置であって、文書に係る認証のための文書認証情報を、複数の各文書にそれぞれ対応付けて記憶する認証情報記憶部と、前記操作情報取得部を介して、複数の文書をプライベートプリント対象として指定する旨の操作情報を取得したとき、当該複数の文書に係る認証情報入力を促す催促画面を前記表示部における表示画面上に表示させる表示制御部と、前記操作情報取得部を介して、前記複数の文書に関する認証情報入力に係る操作情報を取得したとき、前記認証情報記憶部の記憶内容と、当該操作情報取得部で取得した操作情報と、に基づいて、文書認証情報の正当性に係る認証を行う認証部と、前記複数の文書に係る文書認証情報が正当である旨の認証結果が前記認証部で得られたとき、当該複数の文書に係るプリントジョブを前記エンジン部に一括して遂行させるための制御を行う印刷制御部と、を備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る画像形成装置では、認証情報記憶部は、文書に係る認証のための文書認証情報を、複数の各文書にそれぞれ対応付けて記憶している。さて一方、操作情報取得部を介して、複数の文書をプライベートプリント対象として指定する旨の操作情報を取得したとき、表示制御部は、当該複数の文書に係る認証情報入力を促す催促画面を表示部における表示画面上に表示させる。また、操作情報取得部を介して、前記複数の文書に関する認証情報入力に係る操作情報を取得したとき、認証部は、前記認証情報記憶部の記憶内容と、当該操作情報取得部で取得した操作情報と、に基づいて、文書認証情報の正当性に係る認証を行う。そして、前記複数の文書に係る文書認証情報が正当である旨の認証結果が前記認証部で得られたとき、印刷制御部は、当該複数の文書に係るプリントジョブを前記エンジン部に一括して遂行させるための制御を行う。すなわち、本発明は、例えば、プライベートプリント対象として複数の文書が指定されており、これら複数の各文書に共通のパスワードが設定されている場合に、各文書を個別に認証していたのでは、その繰り返しの認証操作がユーザの利便性を損なうことに鑑みて、また、このような場合に、一括認証を許したとしても、セキュリティ機能を損なうことはほとんどないと考えられることから、かかる場合には、セキュリティ機能の維持よりもユーザの利便性を優先させて、複数の各文書に係るプリントジョブの出力を一括して遂行し得ることとした。従って、プライベートプリント対象として複数の文書が指定されており、これら複数の各文書に共通のパスワードが設定されている場合に、ユーザの利便性を損なうことなく、複数の各文書に係るプリントジョブの出力を一括して遂行可能な画像形成装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
ユーザの利便性を損なうことなく、複数の各文書に係るプリントジョブの出力を一括して遂行可能な画像形成装置を得るといった目的を、前記複数の文書に係る文書認証情報が正当である旨の認証結果が前記認証部で得られたとき、当該複数の文書に係るプリントジョブを前記エンジン部に一括して遂行させるための制御を行う印刷制御部により実現した。
【実施例】
【0009】
以下、本発明に係る画像形成装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
[画像形成装置周辺の概略構成]
図1は、本発明実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す機能ブロック図、図2は、同画像形成装置における操作パネル部の外観図である。
【0011】
本装置は、例えば、コピージョブ、Fax送信ジョブ、印刷ジョブ、又はネットワーク送信(メール送信やデータ送信)ジョブを含む諸機能が利用可能であり、マイクロコンピュータ及び専用のハードウェア回路等から構成される主制御部11によって制御される。この主制御部11に接続され諸機能を担う入出力機器として、本装置は、スキャナ部21、画像処理部31、エンジン部41、操作パネル部51、ファクシミリ通信部61、HDD(ハードディスクドライブ)63、ネットワークI/F(インタフェース)部65、並びに、ICカード通信部67を備える。
【0012】
主制御部11は、スキャナ機能を実現するための動作制御を行うスキャナコントローラ13と、ファクシミリ機能を実現するための動作制御を行うファクシミリコントローラ15、プリンタ機能を実現するための動作制御を行うプリンタコントローラ17、並びに、コピー機能を実現するための動作制御を行うコピーコントローラ19を内蔵し、本装置全体の動作を統括制御する。
【0013】
スキャナ部21は、図示しないスキャナを構成する画像照射ランプ23及びCCD(電荷結合素子:Charge Coupled Device)センサー25を含む。スキャナ部21は、画像照射ランプ23により原稿を照射し、その反射光をCCDセンサー25で受光することにより、原稿から画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像データを画像処理部31へ出力する。
【0014】
画像処理部31は、補正部33、画像加工部35及び画像メモリ37を含む。画像処理部31は、スキャナ部21で読み取られた画像データを必要に応じて補正部33及び画像加工部35により処理し、処理された画像データを画像メモリ37に記憶したり、エンジン部41、ファクシミリ通信部61等へ出力する。補正部33は、スキャナ部21で読み取られた画像データに対してレベル補正、ガンマ補正等の所定の補正処理を行う。画像加工部35は、画像データの圧縮又は伸張処理、及び拡大又は縮小処理等の種々の加工処理を行う。
【0015】
本発明においてプリントジョブを遂行する役割を果たすエンジン部41は、図示しない給紙カセットや給紙ローラ等から構成される用紙搬送部43、図示しない感光体ドラム、露光装置、現像装置等から構成される画像形成部45、図示しない転写ローラ等から構成される転写部47、及び図示しない定着ローラ等から構成される定着部49を含む。エンジン部41は、スキャナ部21で読み取られた画像データ、ネットワークI/F部65を介してLAN(Local Area Network)によりクライアントPC(パーソナルコンピュータ)等から送信されてきた文書或いは画像データ、ファクシミリ通信部61を用いて外部のファクシミリ装置等から受信したファクスデータ等の画像データを用いて、用紙上に画像を印刷する。具体的には、用紙搬送部43は用紙を画像形成部45へ搬送し、画像形成部45は上記の画像データに対応するトナー像を形成し、転写部47はトナー像を用紙に転写し、定着部49はトナー像を用紙に定着させて画像を形成する。
【0016】
操作パネル部51は、図1及び図2に示すように、タッチパネル部53及び機能キー部55を含む。操作パネル部51は、ユーザがスキャナ機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能等に関する操作を行うために使用され、ユーザによる操作指令等を主制御部11に与える。
【0017】
本発明において表示部としての役割を果たすタッチパネル部53は、タッチパネルとカラーLCD(Liquid Crystal Display)とを組み合わせたタッチパネルユニット等から構成され、種々の操作画面、例えば、コピー機能実行時には、原稿サイズ、コピーサイズ、複写部数等に関する情報を表示するとともに、ユーザが該当部分をタッチすることにより種々の操作指令を入力するための操作ボタン類を表示する。タッチパネル部53は、複数の文書をプライベートプリント対象として指定する旨の操作情報を取得したとき、当該複数の文書に係る認証情報入力を促す催促画面を表示画面上に表示する際に用いられる。
【0018】
操作キー部55は、ユーザの操作入力を受付けるための複数の操作キーを備えている。具体的には、例えば、コピー機能やスキャナ機能の実行に係る指示操作を行う際等に操作されるスタートキー57やテンキー等を備えている。これら複数の操作キーは、例えば、ファクシミリ機能、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能などの諸機能のなかから、所要機能のキー入力操作をユーザが選択的に実行する際に用いられる。具体的には、例えば、プライベートプリント機能の利用時にユーザがパスワードに係るキーを選択するためのテンキー入力操作を行う際等に用いられる。
【0019】
ファクシミリ通信部61は、符号化/復号化部(図示省略)、変復調部(図示省略)及びNCU(Network Control Unit)(図示省略)を含む。ファクシミリ通信部61は、スキャナ部21によって読み取られた原稿の画像データを電話回線を介してファクシミリ装置等へ送信したり、ファクシミリ装置等から送信された画像データを受信する。
【0020】
本発明で文書蓄積部としての役割を果たすHDD(ハードディスクドライブ)63は、スキャナ部21によって読み取られた画像データを記憶する一方、ネットワークI/F部65を介してクライアントPCから送信されてきた、プライベートプリント機能に係る複数の文書を一時的に蓄積する。HDDに記憶されている文書或いは画像データは、画像形成装置、プログラム及び記録媒体内部で使用されるだけでなく、必要に応じて、ネットワークI/F部65を介してクライアントPC等から確認したり、クライアントPCやFTPサーバ等の所定のフォルダへ転送される場合がある。
【0021】
ネットワークI/F部65は、ネットワークインタフェース(10/100Base−TX)等を用い、LANを介して接続されたクライアントPC等のユーザ端末に対する種々のデータの送受信を制御する。
【0022】
ICカード通信部67は、ユーザが所持しているICタグ等のカードキー69のアクセスを検知し、カードキー69に記憶されているユーザ識別情報を読み出して、主制御部11に転送する機能を備えている。
【0023】
ところで、プライベートプリント対象として複数の文書が指定されており、これら複数の各文書に共通のパスワードが設定されている場合に、ユーザの利便性を損なうことなく、複数の各文書に係るプリントジョブの出力を一括して遂行可能とするために、主制御部11は、画像形成に係る操作情報を取得する操作情報取得部71と、文書に係る認証のための文書認証情報(ただし、複数の各文書に共通の文書認証情報が設定される運用を許す。)を、複数の各文書にそれぞれ対応付けて記憶する認証情報記憶部73と、操作情報取得部71を介して、複数の文書をプライベートプリント対象として指定する旨の操作情報を取得したとき、当該複数の文書に係る認証情報入力を促す催促画面をタッチパネル部53における表示画面上に表示させる表示制御部75と、操作情報取得部71を介して、前記複数の文書に関する認証情報入力に係る操作情報を取得したとき、認証情報記憶部73の記憶内容と、操作情報取得部71で取得した操作情報と、に基づいて、文書認証情報の正当性に係る認証を行う認証部77と、前記複数の文書に係る文書認証情報が正当である旨の認証結果が認証部77で得られたとき、当該複数の文書に係るプリントジョブを前記エンジン部に一括して遂行させるための制御を行う印刷制御部79と、を備えて構成されている。
【0024】
[本発明実施例に係る画像形成装置の動作]
次に、本発明実施例に係る画像形成装置の動作について、図3〜図5を参照して説明する。図3は、本画像形成装置の動作フローチャート図、図4は、プライベートプリント機能に係る複数の文書ファイルを印刷対象として選択した状態の表示画面例を示す説明図、図5(1)は、パスワード入力催促画面例を示す説明図、図5(2)は、印刷開始指示待ち画面例を示す説明図である。
【0025】
本動作説明に先立って、前提となる画像形成装置の構成に言及する。本画像形成装置は、ユーザが所持するカードキー69との間で認証情報に係るデータ交換を通じて装置の使用を許可するカードキー認証モードと、ユーザ識別情報及び暗証番号(認証情報)のキー入力操作をユーザに要求することを通じて装置の使用を許可するパネル認証モードとを二通り備えており、原則として、カードキー認証モードで動作している。以下の実施例では、原則通りの処理であるカードキー認証モードでの、画像形成装置の動作について説明してゆく。
【0026】
図3に示すように、ICカード通信部67は、ICカードキー69のアクセスを常時監視している。このとき、複数の文書に係るプライベートプリントジョブの遂行を試みるために装置の元にやってきたユーザが、ICカードキー69を画像形成装置におけるICカードリーダライタ(不図示)にセットすると、ICカード通信部67は、ICカードキー69のアクセスを検知する(ステップS11)とともに、ICカードキー69に記憶されているユーザ識別情報を読み取り、読み取ったICカードキー69のユーザ識別情報を、主制御部11宛に転送する。
【0027】
主制御部11(具体的には、認証部77)は、ICカード通信部67から転送されてきたユーザ識別情報と、認証情報記憶部73に予め登録されているユーザ識別情報等を照合することで、カードキー認証を介してアクセスしてきたユーザが正規ユーザか否かに係るユーザ認証を行う(ステップS12)。なお、ユーザ認証に際して、暗証番号によるログイン管理機能を追加しても良い。
【0028】
ステップS12のユーザ認証の結果、アクセスユーザが正規ユーザである旨の承認がなされると、操作情報取得部71は、アクセスユーザが操作キー部55を介して入力した操作情報を取得し(ステップS13)、取得した操作情報を認証部77に渡す。
【0029】
これを受けて認証部77は、ステップS13で取得した操作情報に基づいて、このアクセスユーザが複数の文書をプライベートプリント対象として指定したか否かを調べる。この調査の結果、プライベートプリント対象となる複数の文書が指定されているとき(図4参照のこと。図4の例では、3つの文書がプライベートプリント対象として指定されている。)、さらに、指定された複数の各文書にパスワード(文書認証情報)が設定されているか否かを調べる。なお、プライベートプリント対象となる複数文書の指定は、例えば図4に示す画面上において、複数の文書を指定した後に、「印刷」ボタンを押下操作することで遂行される。
【0030】
この調査の結果、プライベートプリント対象としての指定文書にパスワードが設定されている旨の判定が下されたとき(ステップS14の”Yes”)、表示制御部75は、当該複数の文書に係るパスワード(文書認証情報)入力を促す催促画面(図5(1)参照)をタッチパネル部53における表示画面上に表示させる(ステップS15)。
【0031】
この催促画面を視た当該ユーザが、当該複数の文書に係るパスワード(文書認証情報)入力を行うと、その操作情報が認証部77へと渡される。なお、パスワード(文書認証情報)の入力は、例えば図5(1)に示す催促画面上において、所定のパスワードを入力操作した後に、「OK」ボタンを押下操作することで遂行される。さて、当該複数の文書に係るパスワード(文書認証情報)入力に係る操作情報を受けて、認証部77は、認証情報記憶部73の記憶内容と、前記操作情報と、に基づいて、文書認証情報の正当性に係る認証を行う(ステップS16)。
【0032】
ステップS16における認証の結果、前記複数の文書に係るパスワード(文書認証情報)が正当である旨の判定が下されたとき(ステップS16の”Yes”)、表示制御部75は、当該複数の文書に係る印刷開始指示待ち画面(図5(2)参照)をタッチパネル部53における表示画面上に表示させる(ステップS17)。
【0033】
この指示待ち画面を視た当該ユーザが、当該複数の文書に係る印刷開始の指示を行うと(ステップS18の”Yes”)、その操作情報が印刷制御部79へと渡される。なお、印刷開始の指示は、例えば図5(1)に示す印刷開始指示待ち画面上において、「印刷開始」ボタンを押下操作することで遂行される。さて、この操作情報を受けて、印刷制御部79は、当該複数の文書に係るプリントジョブをエンジン部41に一括して遂行させるための制御を行う(ステップS19)。
【0034】
なお、印刷制御部79は、プライベートプリント対象となる複数の文書のうち、一部の文書に係る文書認証情報が正当である旨の認証結果が得られたとき、当該一部の文書に係るプリントジョブに限定して、エンジン部41に一括して遂行させるための制御を行う構成を採用してもよい。かかる構成を採用すれば、パスワード(文書認証情報)による認証が不調に終わった文書については、出力対象から除外されるので、セキュリティ機能が損なわれることを未然に抑止することができる。
【0035】
また、HDD(文書蓄積部)63に一時的に蓄積された、プライベートプリント対象となる文書に係るデータは、当該文書に係るプリントジョブが遂行された後、削除される、構成を採用することができる。かかる構成を採用すれば、出力遂行が済んだ文書については、その後削除されるので、所定の役割を終えた文書がいつまでも文書蓄積部63に残留し続けている場合と比べて、セキュリティ上の優位性を担保することができる。
【0036】
[実施例の効果]
以上述べたように、本発明実施例に係る画像形成装置は、例えば、プライベートプリント対象として複数の文書が指定されており、これら複数の各文書に共通のパスワードが設定されている場合に、各文書を個別に認証していたのでは、その繰り返しの認証操作がユーザの利便性を損なうことに鑑みて、また、このような場合に、一括認証を許したとしても、セキュリティ機能を損なうことはほとんどないと考えられることから、かかる場合には、セキュリティ機能の維持よりもユーザの利便性を優先させて、複数の各文書に係るプリントジョブの出力を一括して遂行し得ることとした。従って、プライベートプリント対象として複数の文書が指定されており、これら複数の各文書に共通のパスワードが設定されている場合に、ユーザの利便性を損なうことなく、複数の各文書に係るプリントジョブの出力を一括して遂行可能な画像形成装置を得ることができる。
【0037】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像形成装置もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【0038】
すなわち、本発明実施例において、カードキー認証モードで動作中の画像形成装置を例示して説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、例えば、ユーザ識別情報及び暗証番号のキー入力操作をユーザに要求することを通じて装置の使用を許可するパネル認証モードで動作中の画像形成装置にも、本発明を適用可能である。
【0039】
最後に、本発明における「ユーザ」とは、個人ユーザを含むことは当然として、例えば、ある部署の所属員を包括して意味する部門ユーザをも、その概念に含むことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】同画像形成装置における操作パネル部の外観図である。
【図3】本画像形成装置の動作説明に供するフローチャート図である。
【図4】プライベートプリント機能に係る複数の文書ファイルを印刷対象として選択した状態の表示画面例を示す説明図である。
【図5】図5(1)は、パスワード入力催促画面例を示す説明図、図5(2)は、印刷開始指示待ち画面例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
11 主制御部
41 エンジン部
53 タッチパネル部(表示部)
63 HDD(文書蓄積部)
71 操作情報取得部
73 認証情報記憶部
75 表示制御部
77 認証部
79 印刷制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種情報を表示するための表示部と、プライベートプリント対象となる文書に係るデータが一時的に蓄積される文書蓄積部と、画像形成に係る操作情報を取得する操作情報取得部と、プリントジョブを遂行するエンジン部と、を備え、プライベートプリント機能を有する画像形成装置であって、
文書に係る認証のための文書認証情報を、複数の各文書にそれぞれ対応付けて記憶する認証情報記憶部と、
前記操作情報取得部を介して、複数の文書をプライベートプリント対象として指定する旨の操作情報を取得したとき、当該複数の文書に係る認証情報入力を促す催促画面を前記表示部における表示画面上に表示させる表示制御部と、
前記操作情報取得部を介して、前記複数の文書に関する認証情報入力に係る操作情報を取得したとき、前記認証情報記憶部の記憶内容と、当該操作情報取得部で取得した操作情報と、に基づいて、文書認証情報の正当性に係る認証を行う認証部と、
前記複数の文書に係る文書認証情報が正当である旨の認証結果が前記認証部で得られたとき、当該複数の文書に係るプリントジョブを前記エンジン部に一括して遂行させるための制御を行う印刷制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記印刷制御部は、
前記複数の文書のうち、一部の文書に係る文書認証情報が正当である旨の認証結果が得られたとき、当該一部の文書に係るプリントジョブを前記エンジン部に一括して遂行させるための制御を行う、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記文書蓄積部に一時的に蓄積された、プライベートプリント対象となる文書に係るデータは、当該文書に係るプリントジョブが遂行された後、削除される、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−41451(P2010−41451A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202613(P2008−202613)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】