説明

画像形成装置

【課題】 ショートサイズ紙専用の胴内排紙口を設けることによるショートサイズ紙のFCOT向上、およびセキュアプリント時の待ち時間短縮、ロングサイズ紙の定着ー排紙間の紙パスで紙が一度機外空間を通過することによる排紙接着防止。
【解決手段】 ショートサイズ紙専用の胴内排紙口を設ける。定着ー排紙間の紙パスで紙が一度機外空間を通過する 構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機・LBP等、シート材上に画像形成を行なう画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機等の電子写真方式の画像形成装置には、像担持体である例えば感光ドラムに形成した静電潜像を、現像器によってトナーを付着させて顕像化(現像)してトナー像にし、用紙等の記録媒体に転写する方式になっている。そして、画像形成装置には、記録媒体の両面にトナー像を形成する画像形成装置がある。
従来の画像形成装置を図5に示す。
【0003】
図5は、従来の画像形成装置の断面図であり、記録媒体の搬送方向に沿った断面図である。この画像形成装置は、インライン型であり、中間転写体である中間転写ベルト31を用いたフルカラー画像形成装置である。画像形成装置101において、給紙カセット120、又はマルチ給紙トレイ125から供給された記録媒体(以下、「シート」と言う)Pは、レジストローラ対123で一時停止して、斜行している場合には真っ直ぐに直される。画像形成部110の各色毎の感光ドラム111に形成されたカラーのトナー像は、一次転写ブレード117によって、中間転写ベルト31に順次転写される。レジストローラ対123で一時停止していたシートPは、中間転写ベルト31上のトナー像にタイミングを合わせて中間転写ベルト31と二次転写ローラ135との間に送り込まれて、二次転写ローラ135によってトナー像を転写される。トナー像を転写されたシートPは、更に搬送されて、定着器140によってトナー像を定着される。片面だけにトナー像を形成されたシートPは、そのまま排紙ローラ対142によって画像形成装置101の側面に設けた排紙トレイ164に排出されるか、又は搬送路173を通って画像形成装置101の上面に設けた排紙トレイ165に排出される。
【0004】
近年、ネットワークを介してホストコンピュータから送られてきた画像データをプリンタから出力する画像処理システムが提供されている。また、上記の画像処理システムにおいては、複数のユーザがホストコンピュータ等で生成した画像データをネットワーク上に接続されているプリンタから出力するに際し、先に送信されたデータから順次プリントが実行され画像出力が行われる。この画像出力された出力紙は、誰でも見ることができ、またその出力紙を他人が勝手にコピーしたり、持ち去ったりする可能性もあった。
【0005】
そのようなことを避けるために、他人に見られては困るような機密性の高いデータをプリントしたいときには、自分のデータが実際にプリントされるまでプリンタの前で待っていなければならならず大変不便となる問題点があった。そして、この問題点に鑑み、下記特許文献1に開示されているように、機密性の高いデータ等をプリントするに際しその機密性を保持することができる「セキュアプリント」処理を行う画像処理装置が存在する。
【特許文献1】特開平9−65148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来例では、グループ単位でのセキュアプリント処理の運用を行った場合、複数のメンバーが同時にセキュアプリントを行うと、出力のために結局プリンタの前で待っていなければならならず大変不便となる。そのため、近年、画像形成時間の短縮が強く求められている。
【0007】
しかし、簡単に画像形成時間の短縮を行うために、シートPを画像形成装置101の側面に設けた排紙トレイ164に排出すると、画像形成装置本体の設置面積が大きくなるため、設置が困難となる。さらに作像スピード及びシートPの送りスピードを上げて画像形成時間の短縮を行うと、シートPは定着器を通過して排紙トレイ上に排出されるまでの時間が短くなるため、定着器によって与えられた熱が十分に冷却されないままで、シートP上のトナー像が半溶融状態で積載されるため、重なり合ったシートP同士が半溶融トナーで貼り付いてしまう排紙接着という現象が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明においては、画像形成部の上方に第一の排紙部を持つ画像形成装置において、前記画像形成部内の前記第一の排紙部にシートを反転して搬送する反転搬送部の下方に、本体設置面積内に収まる第二の排紙部を設けたことを特徴とする。また、前記第二の排紙部は、ショートサイズ紙専用の排紙部であることを特徴とする。これにより、画像装置本体の設置面積を大きくすることなく、画像形成時間を短縮することができるため、セキュアプリントの際の待ち時間を短縮することができる。
【0009】
また、前記第二の排紙部は、第一の排紙部に排紙するロングサイズ紙の通過する空間を持つことを特徴とする。また、前記第二の排紙部は、第一の排紙部に排紙するロングサイズ紙の搬送ガイドを持つことを特徴とする。また、前記ロングサイズ紙の搬送ガイドは、前記第二の排紙部に対してガイド作用を及ぼす第一の位置と、ガイド作用を及ぼさない第二の位置を持ち、ユーザーの事前設定に基づいて、アクチュエータにより第一の位置と第二の位置を切替可能であることを特徴とする。これにより、セキュアプリントで排紙部に第二の排紙部を選択した場合、プリント出力情報をプリンタに送信しユーザーがプリンタ本体に到着する間に、フェイスアップ排出のためのデータ展開が可能となるため、画像形成時間を短縮することができ、セキュアプリントの際の待ち時間を短縮することができる。さらに、定着器を通過後のシートPが排紙部に至る間に機外空間を通過するため、シートPが冷却され、シート状のトナー像が十分に凝固するため、排紙接着を防止することができる。
【0010】
また、前記第二の排紙部は側面に排気ファンを持つことを特徴とする。これによって、ファンによってより効率の良いシート冷却が可能となるため、さらに作像スピード及びシートPの送りスピードを上げて画像形成時間の短縮を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明してきたように、本発明においては、画像形成部の上方に画像読取部を持ち、前記画像形成部と画像読取部の間の空間に第一の排紙部を持つ画像形成装置において、前記画像形成部内の前記第一の排紙部に用紙搬送する反転排紙部の下方に、本体設置面積内に収まる第二の排紙部を設けたことを特徴とする。また、前記第二の排紙部は、ショートサイズ紙専用の排紙部であることを特徴とする。これにより、画像装置本体の設置面積を大きくすることなく、画像形成時間を短縮することができるため、セキュアプリントの際の待ち時間を短縮することができる。
【0012】
また、前記第二の排紙部は、第一の排紙部に排紙するロングサイズ紙の通過する空間を持つことを特徴とする。また、前記第二の排紙部は、第一の排紙部に排紙するロングサイズ紙の搬送ガイドを持つことを特徴とする。また、前記ロングサイズ紙の搬送ガイドは、前記第二の排紙部に対してガイド作用を及ぼす第一の位置と、ガイド作用を及ぼさない第二の位置を持ち、ユーザーの事前設定に基づいて、アクチュエータにより第一の位置と第二の位置を切替可能であることを特徴とする。これにより、セキュアプリントで排紙部に第二の排紙部を選択した場合、プリント出力情報をプリンタに送信しユーザーがプリンタ本体に到着する間に、フェイスアップ排出のためのデータ展開が可能となるため、画像形成時間を短縮することができるため、セキュアプリントの際の待ち時間を短縮することができる。さらに、定着器を通過後のシートPが排紙部に至る間に機外空間を通過するため、シートPが冷却され、シート状のトナー像が十分に凝固するため、排紙接着を防止することができる。
【0013】
また、前記第二の排紙部は側面に排気ファンを持つことを特徴とする。これによって、ファンによってより効率の良いシート冷却が可能となるため、さらに作像スピード及びシートPの送りスピードを上げて画像形成時間の短縮を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【0015】
以下、図面を用いて本発明を実施した画像形成装置について説明を行う。図1に示すプリンタは、Y(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色の画像形成部10を備えている。感光ドラム11は、帯電器12によってあらかじめ帯電される。その後、感光ドラム11は、レーザスキャナ13によって、潜像を形成されている。潜像は、現像器14によってトナー像になる。感光ドラム11のトナー像は、一次転写ブレード17によって、像担持体である例えば中間転写ベルト31に順次転写される。転写後、感光ドラム11に残ったトナーは、クリーナ15によって除去される。この結果、感光ドラム11の表面は、清浄になり、次の画像形成に備える。
【0016】
一方、シートPは、給紙カセット20、又はマルチ給紙トレイ25から、1枚ずつ送り出されてレジストローラ対23に送り込まれる。レジストローラ対23は、シートPを一旦受け止めて、シートが斜行している場合、真っ直ぐに直す。そして、レジストローラ対23は、中間転写ベルト31上のトナー像と同期を取って、シートを中間転写ベルト31と二次転写ローラ35との間に送り込む。中間転写ベルト上のカラーのトナー像は、転写体である例えば二次転写ローラ35によってシートPに転写される。その後、シートのトナー像は、シートが定着器40によって、加熱加圧されることでシートに定着される。
【実施例1】
【0017】
以下に、図1を用いて本発明の第1の実施例について説明を行う。
【0018】
画像形成装置は装置本体の上面に第一の排紙部としてのロングサイズ排紙部を備え、定着されたシートが反転搬送部71によって画像面が下になるよう反転されて排出される。反転搬送部71は小サイズシート(以下、ショートサイズという)の搬送方向と直交する幅方向の両外側に反転ガイド部材71Cを備え、ショートサイズシートは反転搬送部71で搬送されずに、第二の排紙部としてのショートサイズ排紙部70に排出される。また、ショートサイズ排紙部70は、図1に示すように本体内に凹形状で収まっており、本体設置面積に影響しない構成になっている。
【0019】
本構成を実施するために、従来例よりも定着器40を上流側にシフトする必要がある。そのために、中間転写ベルト31に外掛けローラ38を追加し、中間転写ベルト31を定着器40から離間させている。
【0020】
これによって、画像装置本体の設置面積を大きくすることなく、画像形成時間を短縮することができる。
【実施例2】
【0021】
以下に、図2および図3を用いて本発明の第2の実施例について説明を行う。本実施例は第一の実施例と重複する部分が多いため、相異部分に関して説明する。
図2に示すように、反転搬送部71は、搬送方向と直交する幅方向(矢印A)に移動可能で、大サイズシート(以下ロングサイズシートという)をガイドする搬送ガイド71cを有する。搬送ガイド71cはシートをガイドする第一の位置と、シートをガイドしない第二の位置を図示せぬアクチュエータにより切替可能となっている。アクチュエータによる搬送ガイド71cの位置の切り換えにより、シートPを排紙ローラ63を介してショートサイズ排紙部70に排出するか、画像形成装置1の上面に配置されているロングサイズ排紙部65に排出される。搬送ガイド71が非ガイド位置にある場合には、シートPはフェイスアップ(トナー像が上側)でショートサイズ専用排紙部70に排出され、搬送ガイド71が図2に示される実線のガイド位置にある場合には、シートPは、フェイスダウン(トナー像が下側)でロングサイズ排紙部65に排出される。
【0022】
図3はセキュアプリントを実行する際の、事前の設定に関するフローチャートである。図に示すように、プリントする用紙サイズにより、ショートサイズであれば第一の排紙部又は第二の排紙部、ロングサイズであれば第一の排紙部、ショートサイズとロングサイズの混合であればまとめて排紙する場合は第一の排紙部、サイズ毎に別々に排出する場合はショートサイズは第二の排紙部でロングサイズは第一の排紙部というように、ユーザーごとに個別の設定が可能となっている。もしユーザー設定がなかった場合は、デフォルト値としてショートサイズであれば第二の排紙部、ロングサイズは第一の排紙部が指定される。ユーザーの事前設定が第二の排紙部であった場合、フェイスアップ(トナー像が上側)となるため、プリント紙の順序をそろえるために、プリント信号データを一度展開してプリント順を逆にする必要がある。
【0023】
今、画像形成装置装本体が作動し、ショートサイズのプリントが行なわれた場合、ユーザーの事前設定により排紙部は第二の排紙部が指定される。このとき、プリント出力情報をプリンタに送信しユーザーがプリンタ本体に到着する間に、フェイスアップ排出のためのデータ展開が可能となるため、画像形成時間を短縮することができ、セキュアプリントの際の待ち時間を短縮することができる。
【0024】
今、画像形成装置装本体が作動し、ロングサイズのシートPが搬送されると、上記アクチュエータにより、搬送ガイド71は図2の矢印A方向にスライドしてショートサイズ専用排紙部70に突出し、ロングサイズシートが、ショートサイズ専用排紙部70空間を通過する際の搬送ガイドとなる。このとき定着器40を通過後のシートPがロングサイズ排紙部65に至る間に機外空間(ショートサイズ専用排紙部70)を通過するため、シートPが冷却され、シート状のトナー像が十分に凝固するため、排紙接着を防止することができる。
【実施例3】
【0025】
以下に、図4を用いて本発明の第3の実施例について説明を行う。本実施例は第2の実施例と重複する部分が多いため、相異部分に関して説明する。
【0026】
図4に示すように、ショートサイズ専用排紙部70は、断面向かって前後方向に排気ファン80を備えており、ショートサイズ専用排紙部70+のエアーを矢印Bに示すように外側に向けて吐き出している。
【0027】
これにより、第1の実施例に示すショートサイズシートの排紙、及び第2の実施例に示すロングサイズシートの排紙の双方において、定着器40通過後のシート冷却を行うことが可能となり、より効率の良いシート冷却が可能となるため、さらに作像スピード及びシートPの送りスピードを上げて画像形成時間の短縮を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の本体断面図/側面図
【図2】本発明の第2の実施例に係る画像形成装置の本体断面図/側面図
【図3】本発明の第2の実施例に係る画像形成装置の事前設定のフローチャート
【図4】本発明の第2の実施例に係る画像形成装置の本体断面図/側面図
【図5】本発明の従来例に係る画像形成装置の本体断面図
【符号の説明】
【0029】
65 ロングサイズ排紙部
70 ショートサイズ専用排紙部
71 ガイド
80 排気ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部の上方に第一の排紙部を持つ画像形成装置において、前記第一の排紙部にシートを反転して搬送する反転搬送部の下方に、本体設置面積内に収まる第二の排紙部を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第二の排紙部は、ショートサイズ紙専用の排紙部であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第二の排紙部は、第一の排紙部に排紙するロングサイズ紙の通過する空間を持つことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第二の排紙部は、第一の排紙部に排紙するロングサイズ紙の搬送ガイドを持つことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ロングサイズ紙の搬送ガイドは、前記第二の排紙部に対してガイド作用を及ぼす第一の位置と、ガイド作用を及ぼさない第二の位置を持ち、ユーザーの事前設定に基づいて、アクチュエータにより第一の位置と第二の位置を切替可能であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第二の排紙部は、側面に排気ファンを持つことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−6515(P2010−6515A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166149(P2008−166149)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】