説明

画像形成装置

【課題】絶縁層破壊を抑えつつトナー担持体から潜像担持体にトナーを排出させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】潜像担持体と、潜像担持体に潜像を書き込む潜像書込手段と、トナーを担持する表面に沿って設けられ互いに絶縁部材によって絶縁状態にある複数の電極を具備するトナー担持体と、複数の電極に電圧を印加する電圧印加手段とを有し、複数の電極における電極間の電位差で形成される電界によってトナーをホッピングさせながら、潜像担持体上の潜像にトナーを付着させて潜像を現像する現像手段と、潜像担持体上のトナー像を転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、複数の電極それぞれに位相及び振幅が等しく、潜像担持体とトナー担持体との間にトナー担持体から潜像担持体に向かってトナーが飛翔するような電界を形成させる交番電圧を印加して、トナー担持体上のトナーを潜像担持体に排出するモードを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー担持体の表面上でホッピングさせたトナーを潜像担持体の潜像に付着させて現像を行う現像装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置の現像装置は、回転可能な筒状のトナー担持ローラを有している。そして、このトナー担持ローラには、回転軸線方向に延在した形状の細長い電極が回転方向に所定のピッチで配設されている。トナー担持ローラの表面上においては、互いに隣り合う電極の間に交番電界が形成される。そして、交番電界の向きの変化に応じて、互いに隣り合うの電極の一方の真上からホッピングして他方の電極の上に着地したり、他方の電極の上からホッピングして一方の電極の上に着地したりする。トナーはこのようにして2つの電極の間でホッピングを繰り返しながら、トナー担持ローラの回転に伴って、潜像担持体に対向する現像領域まで搬送される。現像領域では、トナー担持ローラの表面からホッピングして潜像担持体上の近傍まで浮上したトナーが、潜像による電界に引かれて潜像に付着する。この付着により、潜像がトナー像に現像される。
【0003】
ホッピングによって電極間を往復移動するトナーをトナー担持ローラの表面移動によって現像領域に搬送するのではなく、トナー担持ローラの表面上のトナーをホッピングによって一定方向に移動させて現像領域まで搬送する画像形成装置も知られている。例えば、A相、B相、C相という3つの電極がその順序で繰り返し配設されたトナー担持ローラを用いる画像形成装置では、トナー担持ローラの表面上でトナーをA相電極上からB相電極上へ、B相電極上からC相電極上へ、C相電極上からA相電極上へというように順次ホッピングさせていくことで、トナーを現像領域に向けて搬送する。
【0004】
これらの画像形成装置のように、ホッピングさせているトナーを現像に用いる方式(以下、ホッピング方式という)では、従来の一成分現像方式や二成分現像方式では実現が望めなかったほどの低電位現像を実現することができる。例えば、周囲の非画像部との電位差が僅か数十[V]である静電潜像にトナーを選択的に付着させることも可能である。
【0005】
ところが、トナー担持ローラ表面上のトナーの帯電量が低下するなどして、トナー担持ローラ表面上でトナーを良好にホッピングさせることができなくなり現像不良を引き起こすことがある。
【0006】
特許文献1に記載の画像形成装置においては、帯電量が低下しホッピングし難くなったトナーをトナー担持ローラ表面上から感光体表面上に飛翔させて排出し、クリーニング装置により感光体表面上から回収するクリーニング回収処理を実施している。また、クリーニング回収処理によりトナーが排出されたトナー担持ローラに、適切な帯電量の新たなトナーを供給している。これにより、トナー担持ローラ表面上で良好にホッピングするトナーによって感光体上の潜像を現像できるので、現像不良の発生を低減させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記クリーニング回収処理時には、現像時に比べて振幅の大きな交番電圧をトナー担持ローラの互いに隣り合う第一電極と第二電極とに位相を異ならせて印加することで、帯電量が低下したトナーをトナー担持ローラから感光体に飛翔させている。このように、現像時に比べて振幅の大きな交番電圧をトナー担持ローラの電極に印加すると帯電量が低下したトナーでも、ある程度は感光体へ飛翔させることができる。
【0008】
しかしながら、第一電極と第二電極との電位差が大きくなり過ぎると第一電極と第二電極との間でリークに伴う絶縁破壊が起こってしまう。このような絶縁破壊が起こらない程度の大きさの交番電圧をクリーニング回収処理時に第一電極と第二電極とに印加すると、帯電量が大きく低下したトナーがトナー担持ローラから感光体に向かって飛翔するような電界を形成できない場合がある。この場合、帯電量が大きく低下したトナーがトナー担持ローラから感光体に飛翔せずにトナー担持ローラに残ってしまうといった問題が生じる。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、絶縁破壊を抑えつつ帯電量が大きく低下したトナーをトナー担持体から潜像担持体に排出させることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像担持体と、前記潜像担持体に潜像を書き込む潜像書込手段と、トナーを担持する表面に沿って設けられ互いに絶縁部材によって絶縁状態にある複数の電極を具備するトナー担持体と、前記複数の電極に電圧を印加する電圧印加手段とを有し、該複数の電極における電極間の電位差で形成される電界によってトナーをホッピングさせながら、潜像担持体上の潜像にトナーを付着させて該潜像を現像する現像手段と、現像によって得られた前記潜像担持体上のトナー像を転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、前記複数の電極それぞれに位相及び振幅が等しく、前記潜像担持体と前記トナー担持体との間に該トナー担持体から該潜像担持体に向かってトナーが飛翔するような電界を形成させる交番電圧を印加して、前記トナー担持体上のトナーを前記潜像担持体に排出するモードを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、上記トナー担持体上のトナーのフレア状態を検知するトナーフレア検知手段とを有しており、前記トナーフレア検知手段の検知結果に基づいて所定のフレアの状態を満たしていない場合に、前記複数の電極それぞれに位相及び振幅が等しく、該振幅が現像開始電圧よりも大きい交番電圧を印加して、前記トナー担持体の表面上のトナーを前記潜像担持体の表面上に転移させながら前記クリーニング手段で回収するクリーニング回収処理を行うことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の画像形成装置において、出力画像の解像度を少なくとも高解像度と低解像度とで選択可能であり、前記出力画像の解像度が低解像度である場合に、前記複数の電極それぞれに位相及び振幅が等しく、該振幅が現像開始電圧よりも大きい交番電圧を印加して、前記トナー担持体から前記潜像担持体にトナーを転移させて該潜像担持体上の潜像を現像することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記出力画像の解像度を変更した場合に、上記トナー像の画像濃度が適正な濃度となるように調整する画像濃度調整手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記画像濃度調整手段は上記潜像書込手段のレーザーパワーを変更して、上記トナー像の画像濃度が適正な濃度となるように調整することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記画像濃度調整手段は現像バイアスを変更することで、上記トナー像の画像濃度が適正な濃度となるように調整することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記現像バイアスを変更する際に上記交番電圧のDutyを変更することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、上記トナー像の画像欠損または濃度ムラを検知する画像検知手段とを有しており、前記画像検知手段の検知結果に基づいて画像欠損または濃度ムラが発生している場合に、前記複数の電極それぞれに位相及び振幅が等しく、該振幅が現像開始電圧よりも大きい交番電圧を印加して、前記トナー担持体の表面上のトナーを前記潜像担持体の表面上に転移させながら前記クリーニング手段で回収するクリーニング回収処理を行うことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記画像検知手段による上記画像欠損または上記濃度ムラの検知を、一定時間放置後の最初の動作時に行うことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記画像検知手段による上記画像欠損または上記濃度ムラの検知を、一定枚数連続で上記現像手段による現像動作を行った際に行うことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記画像検知手段による上記画像欠損または上記濃度ムラの検知を、上記現像手段の置かれている温湿度環境が変化した際に行うことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の画像形成装置において、上記現像手段に設けられ上記トナー担持体にトナーを供給するトナー供給部材と、上記複数の電極に印加する電圧と同じ電圧を前記トナー供給部材に印加するトナー供給部材電圧印加手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の画像形成装置において、上記現像手段に設けられ上記トナー担持体上のトナー量を規制する規制部材と、上記複数の電極に印加する電圧と同じ電圧を前記規制部材に印加する規制部材電圧印加手段とを有することを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の画像形成装置において、上記トナー担持体は、内部に一体化された上記第一電極と、該第一電極を覆う絶縁層と、該絶縁層の上に設けられた上記第二電極と、該絶縁層と該第二電極とを覆う表層を有し、該第一電極と該第二電極によって上記トナーをホッピングさせるための電界を該トナー担持体の外周面の外側に形成することを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項1、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13または14の画像形成装置において、上記潜像担持体上で複数のトナー像を重ね合わせて形成した画像を、上記転写手段により上記転写体に転写することを特徴とするものである。
【0011】
本発明においては、前記モードを実行するときにトナー担持体に設けられた複数の電極それぞれに印加する交番電圧の位相と振幅とが同じなので複数の電極における電極間に電位差が生じず、前記電極間でリークに伴う絶縁破壊が起こらない。そのため、前記電極間に電位差がある場合よりも大きな交番電圧を複数の電極それぞれに印加することができる。よって、前記電極間に電位差がある場合よりもトナー担持体と潜像担持体との間の電位差を大きくし、帯電量が大きく低下したトナーがトナー担持体から潜像担持体に飛翔するような電界を形成させて、トナー担持体から潜像担持体にトナーを飛翔させて排出することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明によれば、絶縁破壊を抑えつつ帯電量が大きく低下したトナーをトナー担持体から潜像担持体に排出させることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】フレアモードや排出モードで第一電極と第二電極とに印加する電圧を示すグラフ。
【図2】実施形態に係る画像形成装置の主要部を示す概略構成図。
【図3】画像形成装置の要部構成の一例を示すブロック図。
【図4】実施形態に係るホッピング現像方式の現像装置の概略構成図。
【図5】本体制御部による現像装置の電源制御に係る制御ブロック図。
【図6】実施形態におけるトナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図。
【図7】(a)トナー担持ローラを展開した状態の平面図、(b)トナー担持ローラと第一電源及び第二電源との関係を模式的に示す斜視図。
【図8】(a)トナー担持ローラを展開した状態で示す模式的平面図、(b)トナー担持ローラの模式的断面図。
【図9】第一電極及び第二電極にそれぞれ印加する第一電圧と第二電圧の一例を示すグラフ。
【図10】第一電極及び第二電極へ印加する第一電圧と第二電圧の他の例を示すグラフ。
【図11】(a)第一電極と第二電極とに時間的に反転する電圧を印加した場合の印加電圧と現像量との関係を示すグラフ。(b)第一電極と第二電極とに同じ電圧を印加した場合の印加電圧と現像量との関係を示すグラフ。
【図12】(a)フレアモード時に第一電極や第二電極に電圧を印加する電源構成を示す図、(b)排出モード時にフレアモード時と同じ電源を使用して第一電極や第二電極に電圧を印加する電源構成を示す図、(c)排出モード時に第一電極や第二電極に共通の電源から電圧を印加する電源構成を示す図、(d)排出モード時にフレアモード時とは異なる電源を使用して第一電極や第二電極に電圧を印加する電源構成を示す図。
【図13】(a)高濃度の濃度調整パターンを示す模式図、(b)低濃度の濃度調整パターンを示す模式図。
【図14】第一電極と第二電極とに位相及び振幅が同じ交番電圧を印加した場合の電圧のグラフ。
【図15】第一電極と第二電極との間でトナーがホッピングして行き来するような電界を電極間に生じさせた場合の模式図。
【図16】トナー担持ローラから感光体にトナーが飛翔するような電界が、感光体とトナー担持ローラの第一電極及び第二電極との間に形成させた場合の模式図。
【図17】現像装置に備えられたフレア度検知装置の概略正面図。
【図18】フレア度検知装置の動作時の現像ローラの様子を示す概念図。
【図19】本体制御部による現像装置の電源制御に係る制御ブロック図。
【図20】(a)高画質モード時に第一電極や第二電極に電圧を印加する電源構成を示す図、(b)低画質モード時に第一電極や第二電極に電圧を印加する電源構成を示す図。
【図21】高画質モードでフレア現像方式を用いた場合と低画質モードで1成分ジャンピング現像方式を用いた場合との現像特性を示すグラフ。
【図22】トナー回収処理時に直流電圧を−1000[V]まで大きくした場合の電圧のグラフ。
【図23】トナー回収処理時に直流電圧を−1500[V]まで大きくした場合の電圧のグラフ。
【図24】トナー回収処理時に直流電圧を−1000[V]まで印加し、第一電極と第二電極との間の電位差が時間t1と時間t2とで反転するときの電気力線を示す図。
【図25】トナー回収処理時に直流電圧を−1500[V]まで印加し、第一電極と第二電極との間の電位差が時間t1と時間t2とで反転するときの電気力線を示す図。
【図26】感光体と現像装置との他の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態1]
以下、本発明を電子写真方式の画像形成装置に適用した一実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る画像形成装置の構成及び動作について説明する。
【0015】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の主要部を示す概略構成図である。
この画像形成装置は、複数の現像装置を有し、潜像担持体としてのベルト状の感光体1上に各色のトナー像を重ねて多色画像を形成する画像形成装置である。ベルト状の感光体1は、水平方向よりも鉛直方向にスペースをとる縦長の姿勢で複数のローラに張架しながら、図示しない駆動部により図中時計回り方向に回転駆動される。この感光体1における図中左側の張架面(以下「左側張架面」という。)はほぼ鉛直方向に延在する姿勢になっている。
【0016】
感光体1の左側張架面の図中左側方には、感光体1と対向するよう、複数色、例えばマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の画像をそれぞれ形成するための複数の画像形成手段として4つのプロセスユニット6M,6C,6Y,6Bkが鉛直方向に並ぶように配設されている。これら4つのプロセスユニット6M,6C,6Y,6Bkは、それぞれ、現像装置4M,4C,4Y,4Bkと、感光体1を一様帯電せしめる帯電装置2M,2C,2Y,2Bkと、図示しない除電器とを1つのユニットとして図示しない共通の保持体に保持している。そして、画像形成装置の筺体に対して現像装置4M,4C,4Y,4Bk、帯電装置2M,2C,2Y,2Bk及び除電器がそれぞれ一体的にプロセスユニット6M,6C,6Y,6Bkとして着脱され、ユーザーによる交換が可能となっている。
【0017】
プロセスユニット6M,6C,6Y,6Bkにおける帯電装置2M,2C,2Y,2Bkと現像装置4M,4C,4Y,4Bkとの間から、潜像形成手段としての光書込装置3による各色の露光ビームLm,Lc,Ly,Lbkが感光体1へ照射される。
【0018】
また、本画像形成装置は、画像形成装置本体内の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ76、画像形成装置本体内の湿度を検知する湿度検知手段としての湿度センサ77、感光体1から記録材に画像を転写する転写手段としての転写ローラ73、及び、感光体1の表面をクリーニングするクリーング手段であるクリーニング装置74を備えている。さらに、図示しない給紙装置や定着装置などを備えている。
【0019】
図3は画像形成装置の要部構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置本体内には、CPUやメモリなどを含む本体制御部100が設けられている。本体制御部100は、画像形成装置本体内に設けられた、画像検知センサ75、温度センサ76、湿度センサ77、及び、センサ部86などから送られる信号に基づいて、感光体1、帯電装置2、光書込装置3及び現像装置4などの制御を行う。なお、本体制御部100は、画像形成装置に設けられる他の部材(例えば給紙装置や定着装置など)の制御も行うものである。
【0020】
感光体1は、図2中矢印方向に回転駆動され、マゼンタのプロセスユニット6Mでマゼンタの帯電装置2Mにより一様に帯電されて、次いで光書込装置3によりマゼンタの画像データで変調された露光ビーム3Mによって露光されることで静電潜像が形成される。この静電潜像がマゼンタの現像装置4Mにより現像されてマゼンタのトナー像となる。その後、感光体1は図示しない除電器により除電される。
【0021】
次いで、感光体1は、シアンのプロセスユニット6Cで、シアンの帯電装置2Cにより一様に帯電された後、光書込装置3によりシアンの画像データで変調された露光ビーム3Cによって露光されることでシアンの静電潜像が形成される。この静電潜像がシアンの現像装置4Cにより現像されてマゼンタのトナー像と重なるシアンのトナー像となる。その後、感光体1は図示しない除電器により除電される。
【0022】
さらに、感光体1は、イエローのプロセスユニット6Yで、イエローの帯電装置2Yにより一様に帯電された後、光書込装置3によりイエローの画像データで変調された露光ビーム3Yによって露光されることでイエローの静電潜像が形成される。この静電潜像がイエローの現像装置4Yにより現像されて上記マゼンタのトナー像及び上記シアンのトナー像と重なるイエローのトナー像となる。その後、感光体1は図示しない除電器により除電される。
【0023】
最後に感光体1は、ブラックのプロセスユニット6Bkで、ブラックの帯電装置2Bkにより一様に帯電された後、光書込装置3によりブラックの画像データで変調された露光ビーム3Bkによって露光されることでブラックの静電潜像が形成される。この静電潜像がブラックの現像装置4Bkにより現像されて、上記マゼンタのトナー像、上記シアンのトナー像及び上記イエローのトナー像と重なるブラックのトナー像となることでフルカラー画像が形成される。
【0024】
一方、給紙装置(不図示)から記録紙等の記録材が給送され、この記録材には、転写バイアスが印加される転写手段としての転写ローラ73により感光体1上のフルカラー画像が転写される。フルカラー画像が転写された記録材は、定着装置(不図示)によりフルカラー画像が定着され、外部へ排出される。感光体1は、フルカラー画像転写後にクリーニング手段であるクリーニング装置74により残留トナー等が除去される。
【0025】
このような構成の画像形成装置では、同一の感光体1上に4色の書き込みを行うので、4つの感光体を用いて各感光体上のトナー像を転写により重ね合わせる一般的なタンデム方式の画像形成装置と比較すると、各トナー像間における位置ズレがほとんど発生せず、高画質のフルカラー画像を得ることができる。
【0026】
なお、本発明は、一般的なタンデム方式の画像形成装置に適用することはできるし、他の画像形成装置にも適用できる。
【0027】
次に、本実施形態の画像形成装置に採用されるホッピング現像方式の現像装置4について説明する。
【0028】
なお、現像装置4M,4C,4Y,4Bkは、収容されるトナーが異なる以外は、同じ構成、動作であるので、以下添え字M,C,Y,Bkを省略して説明を行う。
【0029】
図4は、本実施形態に係るフレア現像方式の現像装置4の概略構成図である。図5は本体制御部100による現像装置4の電源制御に係る制御ブロック図である。
【0030】
現像装置4は、トナー担持体としてのトナー担持ローラ41と、トナー担持ローラ41へトナーを供給するトナー供給部材としてのトナー供給ローラ42と、トナーの層厚を規制するトナー規制部材としての規制ブレード43と、入口シール44と、図中時計回り方向に回転駆動される第1搬送スクリュー45と、図中反時計回りに回転駆動される第2搬送スクリュー46とを有している。第2搬送スクリュー46は、その回転駆動によってトナーを図中手前側から図中奥側へと搬送する。図中奥側の端部付近まで搬送されたトナーは、第1搬送スクリュー45側へ進入し、今度は第1搬送スクリュー45の回転駆動によって図中奥側から図中手前側へと搬送される。第1搬送スクリュー45により搬送されている途中のトナーの一部は、トナー供給ローラ42側へと移動し、トナー供給ローラ42の表面に担持される。トナー供給ローラ42の表面に担持されたトナーは、図中反時計回り方向のトナー供給ローラ42の回転駆動に伴って、トナー供給ローラ42の表面とトナー担持ローラ41の外周面との接触位置(以下「トナー供給位置」という。)へと搬送される。
【0031】
このトナー供給位置では、トナー供給ローラ42の表面とトナー担持ローラ41の外周面とが互いに逆方向(カウンター方向)へ移動している(トナー供給ローラ42とトナー担持ローラ41とは、同方向に回転している)。したがって、トナー供給位置へと搬送されてきたトナー供給ローラ42上のトナーは、トナー担持ローラ41の外周面に擦りつけられ、トナー担持ローラ41の外周面へと移動する。後述するように、本実施形態では、トナー担持ローラ41の外周面を、トナーとの摩擦によってトナーに対して正規帯電極性(本実施形態ではマイナス極性)の電荷を与える絶縁性材料で形成しており、トナーは、トナー担持ローラ41の外周面との摩擦により正規帯電極性側に帯電させる。これにより、規制ブレード43による規制部での帯電付与に加えて、ホッピング状態にするのに必要なトナー帯電量をより安定して確保するようにしている。
【0032】
トナーが供給されたトナー担持ローラ41は、現像装置4のケーシングに設けられた開口から外周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体1に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ41と感光体1とが対向している領域が、本画像形成装置における現像領域となっている。
【0033】
トナー担持ローラ41の表面上に供給されたトナーは、トナー担持ローラ41の回転駆動に伴って、規制ブレード43による規制部へ搬送され、規制ブレード43によりトナー担持ローラ41上のトナー量の規制が行われる。このとき、トナーは、規制ブレード43やトナー担持ローラ41の外周面との摩擦により正規帯電極性側に帯電する。規制ブレード43通過後の帯電トナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ41の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ41の回転に伴って、トナー供給位置から現像領域に向けて搬送される。現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持ローラ41と感光体1上の静電潜像との間の現像電界によって、感光体表面上の静電潜像部分に付着し、これにより現像が行われる。現像に寄与しなかったトナーは、ホッピングしながらトナー担持ローラ41の回転によってさらに搬送され、トナー供給位置へと運ばれる。そして、トナー供給位置へ進入する際に、トナー供給ローラ42によりトナー担持ローラ41上から掻き取られることで、現像装置4のケーシング内部に戻され、再利用される。
【0034】
ここで、トナー担持ローラ41上でミクロ的に見るとホッピングしているトナーを、マクロ的に見るとフレア状に観測される。本実施形態では、このようなトナーの状態をフレア状態と呼ぶ。また、このようなフレア状態のトナーを用いて現像する方式をフレア現像と呼ぶ。なお、「フレア」とは、マクロ的に見たホッピングしているトナーが、太陽のフレアの形状に類似することに由来している。
【0035】
次に、本実施形態におけるトナー担持ローラ41の具体的構成について説明する。
図6は、本実施形態におけるトナー担持ローラ41を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。また、図7(a)はトナー担持ローラ41を展開した状態の平面図であり、図7(b)はトナー担持ローラ41と第一電源61及び第二電源62との関係を模式的に示す斜視図である。
【0036】
本実施形態のトナー担持ローラ41は、中空状のローラ部材で構成されており、その最内周に位置する最内周電極部材又は内周側電極部材としての第一電極53と、最外周側に位置していて第一電極53へ印加される電圧(第一電圧)とは異なる電圧(第二電圧)が印加される最外周電極部材としての櫛歯状(梯子状)の第二電極54とを備えている。また、第一電極53と第二電極54との間にはこれらの間を絶縁するための絶縁部材としての絶縁層55が設けられている。また、第二電極54の外周面側を覆う表面層56も設けられている。すなわち、本実施形態のトナー担持ローラ41は、内周側から順に、第一電極53、絶縁層55、第二電極54、表面層56の4層構造となっている。
【0037】
第一電極53は、トナー担持ローラ41の基体としても機能しており、ステンレス鋼(SUS)やアルミニウム等の導電性材料を円筒状に成型した金属ローラである。このほか、第一電極53の構成としては、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)等からなる樹脂ローラの表面にアルミニウムや銅などの金属層等からなる導電層を形成したものが挙げられる。この導電層の形成方法としては、金属メッキ、蒸着等により形成する方法や、ローラ表面に金属膜を接着する方法などが考えられる。
【0038】
第一電極53の外周面側は絶縁層55に覆われている。本実施形態において、この絶縁層55は、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。また、本実施形態において、絶縁層55の厚みは、3[μm]以上50[μm]以下の範囲内が好ましい。3[μm]よりも小さくなると、第一電極53と第二電極54との間の絶縁性が十分に保てなくなり、第一電極53と第二電極54との間でリークが発生してしまう可能性が高くなる。一方、50[μm]よりも大きくなると、第一電極53と第二電極54との間で作られる電界が表面層56よりも外側に形成されにくくなり、表面層56の外側に強いホッピング電界を形成することが困難となる。
【0039】
ここで、ホッピング電界とは、第一電極53と第二電極54との間にかかっている、両電極間でトナーをホッピングさせる電界のことである。
【0040】
本実施形態では、メラミン樹脂からなる絶縁層55の厚みを20[μm]としている。絶縁層55はスプレー法やディップ法等によって第一電極53上に均一な膜厚で形成することができる。
【0041】
絶縁層55の上には第二電極54が形成される。本実施形態において、この第二電極54は、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されている。櫛歯状(梯子状)の第二電極54の形成方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、絶縁層55の上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって櫛歯状(梯子状)の電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを絶縁層55の上に付着させて櫛歯状(梯子状)の電極を形成するという方法も考えられる。
【0042】
第二電極54及び絶縁層55の外周面側は、絶縁性の表面層56により覆われている。トナーは、表面層56上でホッピングを繰り返す際、この表面層56との接触摩擦によって帯電する。トナーに正規帯電極性(本実施形態ではマイナス極性)を与えるため、本実施形態では、表面層56の材料として、シリコーン、ナイロン(登録商標)、ウレタン、アルキッドメラミン、ポリカーボネート等が使用される。本実施形態ではポリカーボネートを採用している。また、表面層56は、第二電極54を保護する役割も持ち合わせているので、表面層56の膜厚としては、3[μm]以上40[μm]以下の範囲内が好ましい。3[μm]よりも小さいと、経時使用による膜削れ等で第二電極54が露出し、トナー担持ローラ41上に担持されたトナーやトナー担持ローラ41に接触するその他の部材を通じてリークしてしまうおそれがある。一方、40[μm]よりも大きいと、第一電極53と第二電極54との間で作られる電界が表面層56よりも外側に形成されにくくなり、表面層56の外側に強いホッピング電界を形成することが困難となる。本実施形態では、表面層の膜厚は20[μm]としている。表面層56は、絶縁層55と同様にスプレー法やディッピング法等によって形成することができる。
【0043】
本実施形態では、第一電極53と第二電極54との間で作られる電界、より詳しくは、第一電極53の第二電極54とは対向していない部分(第二電極54の櫛歯間に位置する第一電極53の部分)と第二電極54の櫛歯部分との間で作られる電界が、表面層56の外側に形成されることで、トナー担持ローラ41上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをフレア化させる(以下、「フレア状態となっている」ことを「フレア化している」、「フレア状態となっていない」ことを「フレア化していない」と表現する場合もある)。このとき、トナー担持ローラ41上のトナーは、第一電極53に絶縁層55を介して対向した表面層部分と、これに隣接する第二電極54に対向した表面層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
【0044】
トナーを安定してフレア化させるためには、相応する大きさのホッピング電界を形成することが重要となるが、このような大きなホッピング電界を形成するためには第一電極53と第二電極54との間に大きな電位差を形成する必要がある。しかし、このような大きな電位差を安定して形成するためには、第一電極53と第二電極54との間を安定かつ有効に絶縁し、リークを防止することが重要である。
【0045】
ここで、ホッピング電界を形成するための2種類の電極をそれぞれ櫛歯状(梯子状)に形成して同心円上に配置し、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように構成した場合、その櫛歯状(梯子状)電極の形成品質が悪いと、2種類の電極間の絶縁性が著しく低下し、リークが起きやすい。具体的には、例えば、エッチングで電極形成する場合には除去すべき金属膜の一部が残存していたり、インクジェット法やスクリーン印刷法で電極形成する場合には電極間に導電ペーストが付着してしまったりする事態が起こり得る。このような事態が生じると、2種類の電極間でリークが起きやすくなり、適正なホッピング電界を形成することができなくなる。また、この構成においては、ローラの樹脂表面上に櫛歯状(梯子状)電極を高い品質で形成したとしても、2種類の櫛歯状(梯子状)電極を形成した後にその外周面側を絶縁材で覆うことにより電極間に絶縁材を充填して電極間の絶縁性を得るため、電極間にはローラの樹脂表面と絶縁材との界面が形成され、この界面を通じたリークが生じやすく、比較的大きな電圧を印加すると電極間の絶縁性が著しく低下する。
【0046】
本実施形態によれば、第一電極53の上に絶縁層55を設け、その絶縁層55上に櫛歯状(梯子状)の第二電極54を形成した構成であるため、これらの電極間にリークの原因となり得るような界面は存在しない。また、トナー担持ローラ41の製造段階において、リークの原因となり得る導電材が電極間に介在する可能性も非常に少なくできる。したがって、本実施形態によれば、第一電極53と第二電極54との間を安定かつ有効に絶縁することができ、比較的大きな電圧を印加する場合でもリークを効果的に防止することができる。
【0047】
図8(a)はトナー担持ローラ41を展開した状態で示す模式的平面図であり、図8(b)はトナー担持ローラ41の模式的断面図である。
本実施形態は、ホッピング電界を形成するための2種類の電極をそれぞれ櫛歯状(梯子状)に形成して同心円上に配置し、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように構成した図8(a)及び図8(b)に示す構成においても適用可能である。図8(a)及び図8(b)に示したトナー担持ローラ41は、絶縁性基板41Aの表面上に櫛歯状(梯子状)の第一電極53と櫛歯状(梯子状)の第二電極54とを設け、その上に表面保護層41Bを設けたものである。第一電極53と第二電極54とは、トナーの搬送方向と直交する方向に微細なピッチに並行に設けられており、両サイドのバスライン53a,53bを介して第一電源61や第二電源62にそれぞれ接続されている。
【0048】
また、本実施形態において、第二電極54の電極幅(各櫛歯部分の幅)は、10[μm]以上120[μm]以下であるのが好ましい。10[μm]よりも小さいと、細すぎて電極が途中で断線してしまうおそれがある。一方、120[μm]より大きいと、第二電極54の被給電部からの距離が遠い箇所の電圧が低くなり、その箇所でトナーを安定かつ有効にホッピングさせることが困難となる。本実施形態の被給電部は、トナー担持ローラ41の外周面上における軸方向両端に設けられている。よって、本実施形態では、第二電極54の電極幅が120[μm]より大きいと、トナー担持ローラ41の軸方向中央部におけるホッピング電界が軸方向両端部のホッピング電界よりも相対的に低くなり、軸方向中央部に担持されているトナーを安定かつ有効にホッピングさせることが困難となる。
【0049】
また、本実施形態では、第二電極54の電極ピッチ(櫛歯部分間の距離)は、電極幅と同じか電極幅よりも広いのが好ましい。電極幅よりも小さいと、第一電極53からの電気力線の多くが表面層56の外側に出る前に第二電極54へ収束してしまい、表面層56の外側に形成されるホッピング電界が弱くなってしまうからである。一方、電極ピッチが大きいと、電極間中央のホッピング電界が弱くなってしまう。本実施形態において、電極ピッチは、電極幅以上であって電極幅の5倍以下の範囲内であるのが好ましい。本実施形態では、電極幅及び電極ピッチをいずれも80[μm]に設定している。
【0050】
また、本実施形態では、第二電極54の電極ピッチを、トナー担持ローラ41の周方向にわたって一定となるように設定されている。電極ピッチを一定とすることで、第一電極53と第二電極54との間で作られるホッピング電界がトナー担持ローラ41上の周方向にわたってほぼ均一となる。よって、現像領域で周方向に均一なトナーのホッピングを実現することが可能となり、均一な現像が可能となる。
【0051】
次に、第一電極53及び第二電極54に印加する電圧について説明する。
トナー担持ローラ41上の第一電極53及び第二電極54には、それぞれパルス電源である第一電源61及び第二電源62から第一電圧及び第二電圧が印加される。第一電源61や第二電源62は、図5に示した本体制御部100の第一電源制御部21や第二電源制御部22によって印加する電圧を制御される。第一電源61及び第二電源62が印加する第一電圧及び第二電圧は、矩形波が最も適している。ただし、これに限らず、例えばサイン波でも三角波でもよい。また、本実施形態では、ホッピング電界を形成するための電極が第一電極53及び第二電極54の2相構成であり、第一電極53及び第二電極54には互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0052】
図9は、第一電極53及び第二電極54にそれぞれ印加する第一電圧と第二電圧の一例を示すグラフである。
【0053】
本実施形態において、各電圧は矩形波であり、第一電極53と第二電極54とにそれぞれ印加される第一電圧と第二電圧は、互いに位相がπだけずれた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、第一電極53と第二電極54との間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち表面層56の外側に形成されるホッピング電界によって表面層56上をトナーがホッピングする。本実施形態において、Vppは100[V]以上1000[V]以下の範囲内であるのが好ましい。Vppが100[V]より小さいと、十分なホッピング電界を表面層56上に形成できず、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。一方、Vppが1000[V]より大きいと、電極間の電位差が大きくなり過ぎて経時使用により電極間でリークが発生する可能性が高くなる。本実施形態では、Vppを500[V]に設定している。
【0054】
また、本実施形態において、第一電圧と第二電圧の中心値V0は、画像部電位(静電潜像部分の電位)と非画像部電位(地肌部分の電位)との間に設定され、現像条件によって適宜変動する。
【0055】
本実施形態において、第一電圧と第二電圧の周波数fは、0.1[kHz]以上10[kHz]以下であるのが好ましい。0.1[kHz]より小さいと、トナーのホッピングが現像速度に追いつかなくなるおそれがある。一方、10[kHz]より大きいと、トナーの移動が電界の切り替わりに追従できなくなり、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。本実施形態では、周波数fを500[Hz]に設定している。
【0056】
図10は、第一電極53及び第二電極54へ印加する第一電圧と第二電圧の他の例を示すグラフである。
【0057】
この例では、第一電極53については、図9に示したものと同様の第一電圧が印加されるが、第二電極54については、直流電圧が印加される。この場合、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200[V]以上2000[V]以下である。この例によれば、第一電極53と第二電極54との位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
【0058】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の特徴部について説明する。
【0059】
本実施形態の現像装置4が行うようなフレア現像においては、図11(a)に示すように電極間リーク開始電圧よりも第一電極53と第二電極54との電位差を大きくしすぎると電極間のリークに伴う絶縁層55の破壊が発生してしまう。ところが、第一電極53と第二電極54とに位相や振幅が同じ電圧を印加する分には、第一電極53と第二電極54とに電位差が生じないため、図11(b)に示すように第一電極53や第二電極54に印加する電圧を大きくすることができる。したがって、感光体1やその他の部材とトナー担持ローラ41との電位差を容易に大きくすることができる。
【0060】
本実施形態では、クリーニング回収処理時に第一電極53と第二電極54とにそれぞれ直流電圧に交番電圧を重畳した電圧を印加する。その際、交番電圧の位相及び振幅は第一電極53と第二電極54とで等しく、交番電圧の振幅(Vpp)はトナー劣化時の現像開始電圧よりも大きい。
【0061】
また、トナー担持ローラ41上のトナーのフレア化の状態を検知する手段を持ち、フレア化していない場合には、感光体1とトナー担持ローラ41との間にトナー劣化時の現像開始電圧以上の電圧をかけることで、トナー担持ローラ41から感光体1にトナーを飛翔させ、劣化したトナーを強制的に排出するモードを持つ。以下、このモードを排出モードと呼ぶ。
【0062】
排出モードでは感光体1に劣化トナーを排出しクリーニング装置により感光体1をクリーニングして劣化トナーを回収するクリーニング回収処理が行われる。
【0063】
このクリーニング回収処理では、まず、感光体1の回転駆動を開始する。そして、帯電装置2によって感光体1の表面を−500[V]に一様帯電せしめながら、光書込装置3による光走査を一様帯電後の感光体表面の全領域に施して、感光体1の帯電電位を−50[V]程度まで減衰せしめる。感光体1の回転に伴って、その減衰箇所の現像領域への進入が始まるまでは、トナー担持ローラ41の回転については停止させている。そして、前記減衰箇所が現像領域に進入し始めた後に、トナー担持ローラ41の回転駆動を開始する。このとき、トナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54には、直流電圧に交番電圧を重畳した電圧を図12(b)に示すように第一電源61と第二電源62とによって印加する。その際、図14に示すように交番電圧の位相及び振幅は第一電極53と第二電極54とで等しく、交番電圧の振幅(Vpp)はトナー劣化時の現像開始電圧よりも大きい。
【0064】
なお、第一電極53と第二電極54とに印加される前記交番電圧の位相は、第一電源61と第二電源62とに接続され、図5に示した本体制御部100の位相調整装置制御部24に制御される位相調整装置60によって調整される。これにより、感光体1とトナー担持ローラ41との間にトナー劣化時の現像開始電圧以上の電圧がかけられる。
【0065】
上述したような電圧をトナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54に印加すると、トナー担持ローラ41と感光体1との間には、マイナス極性に帯電したトナーをトナー担持ローラ41側から感光体1側に静電的な力によって移動させる電界が形成される。
【0066】
ここで、トナー担持ローラ41上でトナーをフレア化させる場合には、図1中の波形Aと波形Bで示すように、第一電極53と第二電極54とに印加する交番電圧の位相は180[°]ずれている。これにより、図15のような第一電極53と第二電極54との間でトナーがホッピングして行き来するような電界を電極間に生じさせてトナーを電極間で飛翔させる。
【0067】
一方、排出モードでは、第一電極53と第二電極54とに図1中の直線Cで示される直流電圧に波形Dで示すような振幅と位相が同じ交番電圧を重畳した電圧を印加する。なお、直流電圧は−300[V]〜−1000[V]の範囲内であり、交番電圧はVppが1〜2[kV]で周波数fが1[kHz]〜5[kHz]の範囲内とする。また、第一電極53と第二電極54とに印加する電圧の交番電圧の振幅(最小振幅値)や直流電圧がトナー劣化時の現像開始電圧よりも大きいので、図16のようなトナー担持ローラ41から感光体1にトナーが飛翔するような電界が、感光体1とトナー担持ローラ41の第一電極53及び第二電極54との間に形成される。これにより、トナー担持ローラ41から感光体1に向けてトナーを飛翔させることができ、トナー担持ローラ41上から感光体表面上にトナーが排出され付着する。
【0068】
このようにしてトナー担持ローラ41から感光体表面にトナーを飛翔させて排出し付着させているときには、転写ローラ73に対して、感光体1の電位である−50[V]よりもマイナス側に大きなバイアスを印加する。これにより、感光体表面に付着したトナーは、転写ニップ内に進入しても感光体表面から転写ローラ73の表面上には転移せずに、感光体1に付着したままになる。
【0069】
感光体1の回転駆動に伴って転写ニップを通過した感光体表面上のトナーは、クリーニング装置74によって感光体表面から掻き取られて、クリーニング装置74内に回収される。
【0070】
以上のように本実施形態においては、トナーのフレア状態を検知し、適宜劣化したトナーを排出することが可能となり、現像装置4の寿命を長くすることができる。絶縁層55の破壊無しにトナー担持ローラ41と感光体1間の電位差を大きくし、フレア度が低くてもトナーを感光体1に現像し、劣化したトナーを排出することができる。また、フレア状態の安定化により安定した画質を得ることができるようになる。
【0071】
トナー担持ローラ41上のトナーのフレア状態の検知には、光学センサを用いた方法を採用することができる。
【0072】
図17に示すように、トナーフレア検知手段としてのトナーフレア検知装置57は、トナー担持ローラ41の表面、言い換えると表面層56の表面の状態を光学的に検知することでトナー担持ローラ41に担持されたトナーのフレア度を検知するフレア度検知手段としての正反射型光学センサ部であるセンサ部86と、センサ部86によって光学的に検知されるトナー担持ローラ41表面に向けて流体である気体としての空気を噴出する流体噴出手段としてのエアブローノズル部であるノズル部87とを有している。また、センサ部86は、図5に示した本体制御部100の光学センサ制御部30により制御される。
【0073】
センサ部86は、レーザー光を照射する光源である発光部としてのレーザーセンサー発光部86aと、レーザーセンサー発光部86aから照射されたレーザー光の反射光を受光する受光部としてのレーザーセンサー受光部86bとを有している。
【0074】
レーザーセンサー発光部86aは、トナー担持ローラ41表面であってノズル部87によって空気が吹き付けられる位置に向けてレーザー光を照射する。
【0075】
レーザーセンサー受光部86bはトナー担持ローラ41の表面及びトナーによって反射されたレーザー光の強度に応じた信号を図示しないトナーフレア度制御手段に向けて出力する。
【0076】
なお、センサ部86では感度が高いレーザー光を用いているが、光源としてはLEDなどを用いても良い。
【0077】
ノズル部87は、空気を噴出するノズル口の内径が1[mm]のノズル87aと、ノズル87aに接続され所定の圧力、本形態では200[Pa]の圧力でノズル口から空気を噴出すための流体供給手段としての図示しないエアーコンプレッサーとを有している。ノズル87aは、ノズル口をトナー担持ローラ41表面から高さh、具体的には高さh=2[mm]の距離となるように設置されているとともに、レーザー光が反射される部分に向けて設置してある。
【0078】
図17や図18に示すように、ノズル部87が空気を吹き付けることにより、規制ブレード43によって量が一定化されフレア状態とされたトナー担持ローラ41表面上のトナーが空気の圧力によって吹き飛ばされ、トナー担持ローラ41表面が露出したスポット41aが形成される。図18においてスポット41aの周囲の黒塗りの部分はフレア状態のトナーを担持したトナー担持ローラ41の表面を示している。
【0079】
フレア活性率が高くフレア度が高い場合には、トナーはトナー担持ローラ41への付着力が小さく吹き飛びやすいので、図18(a)に示すようにスポット41aの径φは大きくなり、フレア活性率が低くフレア度が低い場合には、トナーはトナー担持ローラ41への付着力が大きく吹き飛びにくいので、図18(b)に示すようにスポット41aの径φは小さくなる。
【0080】
ここで、フレア活性率とは、所定強度のホッピング電界を第一電極53と第二電極54との間に形成した際に、両電極間でホッピングするトナーの割合のことである。また、フレア度とは、生じているトナーフレアの全トナー量に対する割合のことである。フレア活性率はトナーの状態を示しているのに対して、フレア度はフレアの状態を示しており、例えば、フレア活性率が低くてもホッピング電界を強めればフレア度は高くなる。
【0081】
レーザー光の照射領域41bにおいて、スポット41a外側ではフレア状態のトナーによってレーザー光の反射率が低下することから、径φが大きい場合はこれが小さい場合に比べて、レーザーセンサー発光部86aから照射されたレーザー光の反射率は高く、レーザーセンサー受光部86bに入力するレーザー光の強度も大きい。なお、ノズル87aの口径が1[mm]であることから、径φの最大値は1[mm]程度であり、フレア活性率が100[%]に近づくほど径φも最大値に近づく。
【0082】
フレア度の測定に際して、スポット41aの形成のためには、5秒以下の短時間でエアーブローを行えば充分である。スポット41aの形成による現像への影響はない。エアーブローを止めれば、スポット41aが形成された部分はすぐにホッピング電界によりフレア状態に戻るためである。
【0083】
フレア度の測定にはノズル部87は必須ではないが、ノズル部87を配した方がフレア度の検知精度が向上する。
【0084】
また、感光体1や中間転写体などの表面に対向させて、感光体1の表面に形成された画像や中間転写体の表面に形成された画像の部分的な欠損や濃度を検知する画像検知手段としての画像検知センサ75を設け、図5に示した本体制御部100の画像検知センサ制御部31により制御された画像検知センサ75の検知結果に基づいて、トナー担持ローラ41上のトナーのフレア状態を検知するようにしても良い。
【0085】
画像検知センサ75により画像の部分的な欠損または濃度ムラを検知して、画像欠損または濃度ムラが発生している場合には、画像検知センサ制御部31によりトナー担持ローラ41上でのトナーのフレア度が低いとし、上述した排出モードでクリーニング回収処理を実行して、画像欠損や濃度ムラの原因となっているトナー担持ローラ41上のトナーを感光体1に排出させる。このように、画像検知センサ75によって画像欠損や濃度ムラを検知して適宜フレア化しなくなったトナーを排出することで、画像品質が安定し現像装置4の寿命を長くすることができる。
【0086】
画像検知センサ75による画像欠損や濃度ムラの検知を行うタイミングの一例としては、画像形成装置により画像形成を形成してから本体制御部100のタイマー32により時間を計って、一定時間放置後の最初の画像形成装置の動作時に行う。
【0087】
一般に、放置後のトナーは帯電量や付着量が通常と異なり、画像品質の低下が課題となることが多い。特に規制ブレード43とトナー供給ローラ42とが当接した部分では、トナーとトナー担持ローラ41の付着力が高くなることがあるため、画像欠損や濃度ムラ等を引き起こしやすい。したがって、一定時間放置後の最初の画像形成動作時に画像検知センサ75によって画像欠損または濃度ムラを検知して、適宜トナーをトナー担持ローラ41から感光体1に排出すれば、安定的な画像を得ることができる。
【0088】
また、画像検知センサ75による画像欠損や濃度ムラの検知を行うタイミングの他例としては、一定枚数連続で現像動作を行った場合に行う。一定枚数連続で現像動作が行われたかどうかは、例えば、給紙装置から給紙された記録材の枚数を本体制御部100により検知して判断することができる。
【0089】
一定枚数連続で現像動作を行った場合には、リセット不良等によりトナーの帯電量が増加し、トナーとトナー担持ローラ41との付着力が増大することがある。トナー供給ローラ42や規制ブレード43の当たり方のムラによって、その度合いは異なるため、トナー担持ローラ41上のある部分ではフレア度が良く、ある部分ではフレア度が悪いといったことが起こってしまう。そのため、一定枚数連続で現像動作を行った場合に画像検知センサ75によって画像欠損または濃度ムラを検知して、適宜トナーをトナー担持ローラ41から感光体1に排出すれば、安定的な画像を得ることができる。
【0090】
さらに、画像検知センサ75による画像欠損や濃度ムラの検知を行うタイミングの他例としては、現像装置4の置かれている温湿度環境が変化した場合に行う。
【0091】
現像装置4の置かれている温湿度環境が急激な温湿度の変化によってトナー担持ローラ41に結露が発生した場合、トナーとトナー担持ローラ41との付着力が増大し、トナー担持ローラ41上でのトナーのフレア化がし難くなってしまう。この際、トナー担持ローラ41の現像装置開口部側では結露が多く、現像装置4内に入っている部分では結露が少ないため、トナー担持ローラ41のローラ周方向での濃度ムラが大きく発生する。
【0092】
そのため、図2に示すように画像形成装置本体内の現像装置4近傍に温度センサ76と湿度センサ77とを設けて、本体制御部100の温度センサ制御部33により温度センサ76を制御し、湿度センサ制御部34により湿度センサ77を制御して、現像装置4の置かれている温湿度環境を検知する。そして、現像装置4の置かれている温湿度環境が変化した場合に画像検知センサ75によって画像欠損または濃度ムラを検知して、適宜トナーをトナー担持ローラ41から感光体1に排出すれば、安定的な画像を得ることができる。
【0093】
また、画像の現像に用いられたトナー量(感光体1上の現像された画像のトナー付着量)を検知するトナー現像量検知手段を設け、予め定められた現像量になるようにトナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54に印加する電圧を制御するような構成を採用していも良い。このように画像の現像に用いられたトナーの現像量を検知し、それによってトナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54に印加する電圧を制御する現像装置4であれば、使用環境などによらず予め定められた現像量となるように第一電極53や第二電極54に印加する電圧を常に適正な印加電圧を保つことができる。
【0094】
前記トナー現像量検知手段としては、上述したような画像検知センサ75を用いて検知された画像濃度から現像量を予め設定された画像濃度とトナー現像量との関係から求めるような構成を採用することができる。
【0095】
本実施形態では、トナー担持ローラ41から感光体1に向かってトナーが飛翔するような電界と、感光体1からトナー担持ローラ41に向かってトナーが飛翔するような電界とがトナー担持ローラ41と感光体1との間で交互に形成されるように、トナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54へ直流電圧に交番電圧を重畳した電圧を印加する構成を採用することも可能である。この場合、トナー担持ローラ41と感光体1との間をトナーが行き来してトナー担持ローラ41はトナーのアタックを受けるので、トナー担持ローラ41との付着力の非常に高いトナーも引き剥がすことができる。
【0096】
フレアモード時や排出モード時にトナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54に電圧を印加する電源の構成としては、例えば次の3つの構成などを採用することができる。
【0097】
1つ目の構成として、排出モード時に第一電極53と第二電極54とに同じ電圧を印加する場合と、フレアモード時に第一電極53と第二電極54間の電位差が時間的に反転する電圧を第一電極53と第二電極54とに印加する場合とで、同じ電源を用いる。すなわち、図12(a)や図12(b)に示すように、第一電極53には排出モード時とフレアモード時共に第一電源61によって電圧を印加し、第二電極54には排出モード時とフレアモード時共に第二電源62によって電圧を印加する。
【0098】
このように、排出モード時にフレアモード時と同じ電源を使用することで、フレアモード時に使用する第一電源61や第二電源62とは別個で排出モード時に使用する電源を設ける場合よりも、電源の数を減らすことができ低コスト化を図ることができる。また、フレアモード時と排出モード時とで、第一電源61及び第二電源62と別個で設けられた排出モード時に使用する電源との切り替えを行うための部材や装置が必要なく、短い時間で通常のフレアモードと排出モードとを切り替えることができる。
【0099】
2つ目の構成として、フレアモード時に第一電極53と第二電極54間の電位差が時間的に反転する電圧を第一電極53と第二電極54とに印加する場合には、それぞれ別個の電源から第一電極53と第二電極54とに電圧を印加する。そして、排出モード時に第一電極53と第二電極54とに同じ電圧を印加する場合には、第一電極53と第二電極54とに同じ電源から電圧を印加する。すなわち、フレアモード時には、図12(a)に示すように第一電源61から第一電極53に電圧を印加し、第二電源62から第二電極54に電圧を印加する。一方、排出モード時には、本体制御部100の切り替え装置制御部25により制御されて第一電極53や第二電極54に電圧を印加する電源を切り替える、切り替え装置66によって、図12(c)に示すように第一電極53と第二電極54とを電気的に繋げて、第一電源61から第一電極53と第二電極54とに電圧を印加する。
【0100】
このように、排出モード時に第一電極53と第二電極54とに電圧を印加する電源を共通化することで、排出モード時に第一電極53や第二電極54にそれぞれ別個の電源から電圧を印加する場合よりも、使用電力の低減が可能となり省エネルギー化を図ることができる。なお、フレアモード時には切り替え装置66によって第一電極53と第二電極54との電気的な繋がりを解除する。
【0101】
3つ目の構成として、フレアモード時に第一電極53と第二電極54間の電位差が時間的に反転する電圧を第一電極53と第二電極54とに印加する場合と、排出モード時に第一電極53と第二電極54とに同じ電圧を印加する場合とで、異なる電源を用いる。すなわち、図12(d)に示すように、第一電極53にはフレアモード時に第一電源61によって電圧を印加し、排出モード時に切り替え装置66によって電源を切り替えて第三電源63により電圧を印加する。また、第二電極54にはフレアモード時に第二電源62によって電圧を印加し、排出モード時に切り替え装置66によって電源を切り替えて第三電源63により電圧を印加する。なお、排出モード時には第一電源61や第二電源62からの電圧印加は行わない。
【0102】
このように、通常のフレアモード時と排出モード時とで、トナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54に電圧を供給する電源を別にすることで、フレアモード時と排出モード時それぞれの仕様に最適な電源を使用することができ、両者の必要性能の差が大きい場合に、無駄なくそれぞれの電源を設計することができる。
【0103】
また、排出モード時にトナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54に大きな電圧を印加すると、トナー担持ローラ41とトナー供給ローラ42との電位差により、トナー担持ローラ41とトナー供給ローラ42との間でリークが生じる虞がある。そのため、図19に示すように、トナー供給ローラ42に電圧を印加する第四電源64を設け、本体制御部100の第四電源制御部26により第四電源64を制御して、トナー供給ローラ42にも第一電極53や第二電極54に印加する電圧と同じ電圧を印加する。これにより、トナー担持ローラ41とトナー供給ローラ42との電位差をなくし、トナー担持ローラ41とトナー供給ローラ42との間でリークが生じるのを抑制することができる。
【0104】
同様に、排出モード時にトナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54に大きな電圧を印加すると、トナー担持ローラ41と規制ブレード43との電位差により、トナー担持ローラ41と規制ブレード43との間でリークが生じる虞がある。そのため、図19に示すように、規制ブレード43に電圧を印加する第五電源65を設け、本体制御部100の第五電源制御部27により第五電源65を制御して、規制ブレード43にも第一電極53や第二電極54に印加する電圧と同じ電圧を印加する。これにより、トナー担持ローラ41と規制ブレード43との電位差をなくし、トナー担持ローラ41と規制ブレード43との間でリークが生じるのを抑制することができる。
【0105】
また、排出モード時に上述したような交番電圧を第一電極53と第二電極54とに印加するだけでなくトナー劣化時の現像開始電圧以上の直流電圧を印加することで、感光体1とトナー担持ローラ41との間に形成されるトナー担持ローラ41から感光体1にトナーを飛翔させるような電界を強めることが可能となり、トナーをより効率よくトナー担持ローラ41から感光体1に飛翔させることができる。また、第一電極53と第二電極54とに同じ大きさの直流電圧を印加することで、第一電極53と第二電極54との電位差をなくし、第一電極53と第二電極54との電位差を大きくし過ぎることで生じる絶縁層55の破壊が生じるのを抑えつつ、第一電極53と第二電極54とに大きな直流電圧を印加することができる。
【0106】
[実施形態2]
フレア現像においては、トナー担持ローラ41の電極幅によってトナー担持ローラ41の静電容量が大きく変化することがわかっており、電極幅を広くすると静電容量が小さくなり、電極幅を狭くすると静電容量が大きくなる。また、電極幅が大きすぎると画像に電極ピッチの濃淡が出来てしまうため、電極幅を十分に狭くする必要がある。このため、トナー担持ローラ41の静電容量は大きくなるという特徴がある。静電容量が大きなトナー担持ローラ41に、トナーを飛翔させるに十分な、時間的に変化する電界を第一電極53と第二電極54との間に形成しようとすると、大きな電流を必要とし消費電力が多くなってしまう。
【0107】
そのため、本実施形態では、大きな電流量を必要とするが高画質の画像を出力できる高画質出力モードと、大きな電流量を必要としないが前記高画質の画像よりも画質が低下した低画質の画像を出力する低画質出力モードとを有し、画像形成を行う際に所望の画質に応じて高画質モードと低画質モードとをユーザーの選択により切り替えることができる。これにより、所望の画質によらず常に高画質モードで画像を形成する場合よりも消費電力を低減することができる。
【0108】
高画質モード時と低画質モード時に第一電極53や第二電極54に電圧を印加する電源の構成としては、例えば次のような構成を採用することができる。
【0109】
高画質モード時には、第一電極53と第二電極54間の電位差が時間的に反転する電圧を、第一電極53と第二電極54とにそれぞれ別個の電源から印加する。そして、低画質モード時には、第一電極53と第二電極54とに同じ電源から同位相で同振幅の電圧を印加する。すなわち、高画質モード時には、図20(a)に示すように第一電源61から第一電極53に電圧を印加し第二電源62から第二電極54に電圧を印加する。一方、低画質モード時には、図20(b)に示すように切り替え装置66によって第一電極53と第二電極54とを電気的に繋げて、第一電源61から図6に示した第一電極53と第二電極54とに図1に示したような同位相で同振幅の交番電圧を印加する。また、その交番電圧の振幅はトナー劣化時の現像開始電圧よりも大きい電圧である。これにより、低画質モード時には、高画質モード時に用いられるフレア現像方式から通常の1成分ジャンピング現像方式に切り替えられる。
【0110】
低画質モード時には第一電極53や第二電極54に印加する交番電圧Vppの使用範囲を500[V]〜3000[V]の範囲で使用し、本実施形態では交番電圧Vppを1800[V]とした。
【0111】
ユーザーによって低画質モードが選択されたときに、トナー担持ローラ41の第一電極53と第二電極54とに位相と振幅が同じで振幅がトナー劣化時の現像開始電圧よりも大きい電圧を印加して、トナー担持ローラ41から感光体1にトナーを飛翔させ、感光体1の表面に形成された潜像をトナーにより現像する。これにより、実施形態1で示した排出モードのクリーニング回収処理では無駄にしていたフレア化しない劣化状態のトナーを効率良く画像形成に利用することができる。また、低画質モード時にトナー担持ローラ41からフレア化しない劣化状態のトナーを排出することができるので、高画質モード時にフレア状態の安定化によって安定した画像を得ることが可能となる。
【0112】
ここで、高画質モードでフレア現像方式を用いた場合と、低画質モードで1成分ジャンピング現像方式を用いた場合とでは、図21に示すように現像特性が異なるため、高画質モードと低画質モードとで単純に現像バイアスの中心値(Vdc)を同じにすると高画質モードと低画質モードとで画像濃度が変わってしまう。
【0113】
そのため、例えば、図13(a)に示したような高濃度のベタパターンのパッチを、現像バイアスの中心電圧を順次変化させながら感光体表面に形成して、センサ部86によりパッチのトナー量を読み取り、そのトナー量が最適なトナー量となる現像バイアスの中心電圧を決定する。
【0114】
他の例としては、図13(b)に示したような低濃度のパターンパッチを、画像濃度調整手段として機能する本体制御部100により光書込装置3のレーザーパワーを順次変化させながら感光体表面に形成して、前記光学センサによりパッチのトナー量を読み取り、そのトナー量が最適なトナー量となるレーザーパワーを決定する。
【0115】
さらに他の例としては、図13(a)に示したような高濃度のベタパターンのパッチを、画像濃度調整手段として機能する本体制御部100により第一電源61や第二電源62などを制御して現像バイアスのDutyを順次変化させながら感光体表面に形成して、センサ部86によりパッチのトナー量を読み取り、そのトナー量が最適なトナー量となる現像バイアスのDutyを決定する。また、現像バイアスのDutyを変化させることは、現像バイアスの面積中心(Vavg)を変化させることが可能となるため、DC成分を変更することと同じ効果が得られる。
【0116】
[参考構成例]
本参考構成例では、トナー担持ローラ41の第一電極53と第二電極54とに直流電圧と交番電圧を重畳した電圧を印加している。そして、交番電圧はトナーフレア形成時とトナー回収処理時とで変化はさせない。つまり、下図のような電圧を第一電極53と第二電極54とにそれぞれ印加している。
【0117】
一方、トナーフレア形成時とトナー回収処理時とで、第一電極53と第二電極54とに印加する直流電圧を変化させており、図22がトナー回収処理時に直流電圧を−1000[V]まで大きくした場合であり、図23がトナー回収処理時に直流電圧を−1500[V]まで大きくした場合である。これにより、図24や図25に示すような電界が、トナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54と感光体1との間に形成されるので、トナー担持ローラ41から感光体1に向けてトナーを飛翔させることができる。
【0118】
本参考構成例の現像装置4が行うようなフレア現像においては、第一電極53と第二電極54との電位差を大きくしすぎると絶縁層55の破壊が発生してしまう。これに対して第一電極53と第二電極54とに印加する交番電圧の大きさを変化させず、第一電極53と第二電極54とに印加する直流電圧を大きくすることで、第一電極53と第二電極54との電位差はそのままに、感光体1とトナー担持ローラ41との電位差を、トナー担持ローラ41から感光体1に向けてトナーが飛翔するような電界が感光体1とトナー担持ローラ41との間に形成される程度まで容易に大きくすることができる。
【0119】
また、トナー担持ローラ41上のトナーのフレア化の状態を検知する手段を持ち、フレア化していないまたはフレア度が低い場合には、第一電極53や第二電極54に印加する直流電圧をトナー劣化時の現像開始電圧よりも大きくし、感光体1とトナー担持ローラ41との間にトナー劣化時の現像開始電圧以上の電圧を設けることで、トナー担持ローラ41から感光体1にトナーを飛翔させ、劣化したトナーを強制的に排出する排出モードを有する。
【0120】
排出モードではトナー担持ローラ41上の劣化トナーを感光体1に排出して、クリーニング装置により感光体1をクリーニングして劣化トナーを回収するクリーニング回収処理が行われる。
【0121】
このクリーニング回収処理では、まず、感光体1の回転駆動を開始する。そして、帯電装置2によって感光体1の表面を−500[V]に一様帯電せしめながら、光書込装置3による光走査を一様帯電後の感光体表面の全領域に施して、感光体1の帯電電位を−70[V]程度まで減衰せしめる。感光体1の回転に伴って、その減衰箇所の現像領域への進入が始まるまでは、トナー担持ローラ41の回転については停止させている。そして、前記減衰箇所が現像領域に進入し始めた後に、トナー担持ローラ41の回転駆動を開始する。このとき、トナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54には、直流電圧に交番電圧を重畳した電圧を図12(b)に示すように第一電源61と第二電源62とによって印加する。その際、第一電極53や第二電極54に例えば図22のように直流電圧Voffset=−1000[V]で交番電圧Vpp=500[V]の電圧を印加したり、図23に示すように直流電圧Voffset=−1500[V]で交番電圧Vpp=500[V]の電圧を印加したりする。なお、第一電極53と第二電極54とでは交番電圧の位相が180[°]ずれている。また、直流電圧としてはトナー劣化時の現像開始電圧よりも大きな電圧を印加しており、これによって感光体1とトナー担持ローラ41との間にトナー劣化時の現像開始電圧以上の電圧が設けられる。
【0122】
上述したような電圧をトナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54に印加すると、トナー担持ローラ41と感光体1との間には、マイナス帯電性のトナーをトナー担持ローラ41側から感光体1側に静電的な力によって移動させる電界が形成され、トナー担持ローラ41から感光体1に向けてトナーを飛翔させることができる。これにより、トナー担持ローラ41上から感光体表面上にトナーが排出され付着する。このようにしてトナー担持ローラ41から感光体表面にトナーを飛翔させて排出し付着させているときには、転写ローラ73に対して、感光体1の電位である−70[V]よりもマイナス側に大きなバイアスを印加する。これにより、感光体表面に付着したベタトナーは、転写ニップ内に進入しても感光体表面から転写ローラ73の表面上には転移せずに、感光体1に付着したままになる。
【0123】
感光体1の回転駆動に伴って転写ニップを通過したベタトナーは、クリーニング装置74によって感光体表面から掻き取られて、クリーニング装置74内に回収される。
【0124】
以上のように本実施形態においては、トナーのフレア状態を検知し、適宜劣化したトナーを排出することが可能となり、現像装置4の寿命を長くすることができる。絶縁層55の破壊無しにトナー担持ローラ41と感光体1間の電位差を大きくし、フレア度が低くてもトナーを感光体1に現像し、劣化したトナーを排出することができる。また、フレア状態の安定化により安定した画質を得ることができるようになる。
【0125】
トナー担持ローラ41上のトナーのフレア状態の検知方法としては、実施形態1で説明したような光学センサを用いた方法や、画像検知センサ75の検知結果に基づいてトナー担持ローラ41上のトナーのフレア状態を検知する方法などを用いればよい。
【0126】
また、画像の現像に用いられたトナーの現像量を検知するトナー現像量検知手段を設け、予め定められた現像量になるようにトナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54に印加する電圧を制御するような構成を採用しても良い。このように画像の現像に用いられたトナーの現像量を検知し、それによってトナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54に印加する電圧を制御する現像装置4であれば、使用環境などによらず予め定められた現像量となるように第一電極53や第二電極54に印加する電圧を常に適正な印加電圧を保つことができる。
【0127】
前記トナー現像量検知手段としては、上述したような画像検知センサ75を用いて検知された画像濃度から現像量を予め設定された画像濃度とトナー現像量との関係から求めるような構成を採用することができる。
【0128】
排出モード時におけるトナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54への電圧の印加の仕方について図24を用いて説明する。
【0129】
第一電極53と第二電極54との間の電位差が時間t1と時間t2とで反転するとき、図24(b)に示す時間t2においては、第一電極53と感光体1との間に、トナー担持ローラ41から感光体1に向かってトナーが飛翔するような電界を形成させると共に、第一電極53と第二電極54との間で、第一電極53から第二電極54あるいは第二電極54から第一電極53に向かう電界、すなわち、第一電極53と第二電極54との間でトナーがホッピングして移動するような電界を形成させるように、第一電極53と第二電極54とに印加する直流電圧を制御する。一方、図24(a)に示す時間t1においては、第一電極53と第二電極54との間でトナーがホッピングして移動するような電界を形成させずに、第一電極53と感光体1との間、及び、第二電極54と感光体1との間に、トナー担持ローラ41から感光体1に向かってトナーが飛翔するような電界を形成させるように、第一電極53と第二電極54とに印加する直流電圧を制御する。
【0130】
時間t2においては、第一電極53と第二電極54との間には両電極間でトナーがホッピングして移動するような電界が形成されるので、劣化の度合いの小さなトナーは両電極間をホッピングして移動する。その結果、一方の電極側からホッピングしたトナーが他方の電極側に着地した際にトナー担持ローラ41の表面に付着した劣化トナーと衝突して引き剥がし、より効率的に劣化したトナーをトナー担持ローラ41から感光体1に排出することができる。
【0131】
また、排出モード時におけるトナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54への電圧の印加の仕方を次のようにしても良く図25を用いて説明する。
【0132】
第一電極53と第二電極54との間の電位差が時間t1と時間t2とで反転するとき、図25(a)に示す時間t1と図25(b)に示す時間t2とのいずれにおいても、第一電極53と第二電極54との間でトナーがホッピングして移動するような電界を形成させずに、第一電極53と感光体1との間、及び、第二電極54と感光体1との間に、トナー担持ローラ41から感光体1に向かってトナーが飛翔するような電界を形成させるように、第一電極53と第二電極54とに印加する直流電圧を制御する。
【0133】
これにより、トナー担持ローラ41と感光体1と間のトナー担持ローラ41から感光体1にトナーが飛翔するような電界をより強めることができるので、完全にフレア化しなくなったトナーでも現像することができ、劣化したトナーをトナー担持ローラ41から感光体1に排出することができる。
【0134】
また、排出モード時にトナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54に大きな電圧を印加すると、トナー担持ローラ41とトナー供給ローラ42との電位差により、トナー担持ローラ41とトナー供給ローラ42との間でリークが生じる虞がある。そのため、トナー供給ローラ42に電圧を印加する電源を設け、トナー供給ローラ42にも第一電極53や第二電極54に印加する電圧と同じ電圧を印加する。これにより、トナー担持ローラ41とトナー供給ローラ42との電位差をなくし、トナー担持ローラ41とトナー供給ローラ42との間でリークが生じるのを抑制することができる。
【0135】
同様に、排出モード時にトナー担持ローラ41の第一電極53や第二電極54に大きな電圧を印加すると、トナー担持ローラ41と規制ブレード43との電位差により、トナー担持ローラ41と規制ブレード43との間でリークが生じる虞がある。そのため、規制ブレード43に電圧を印加する電源を設け、規制ブレード43にも第一電極53や第二電極54に印加する電圧と同じ電圧を印加する。これにより、トナー担持ローラ41と規制ブレード43との電位差をなくし、トナー担持ローラ41と規制ブレード43との間でリークが生じるのを抑制することができる。
【0136】
以上、本実施形態によれば、潜像担持体である感光体1と、感光体1に潜像を書き込む潜像書込手段である光書込装置3と、トナーを担持する表面に沿って設けられ互いに絶縁部材である絶縁層55によって絶縁状態にある複数の電極である第一電極53及び第二電極54を具備するトナー担持体であるトナー担持ローラ41と、第一電極53及び第二電極54に電圧を印加する電圧印加手段である第一電源61及び第二電源62とを有し、第一電極53と第二電極54との電位差で形成される電界によってトナーをホッピングさせながら、感光体1上の潜像にトナーを付着させて前記潜像を現像する現像手段である現像装置4と、現像によって得られた感光体1上のトナー像を転写体に転写する転写手段である転写ローラ73とを備えた画像形成装置において、所定の条件に基づいて、第一電極53と第二電極54それぞれに位相及び振幅が等しく、感光体1とトナー担持ローラ41との間にトナー担持ローラ41から感光体1に向かってトナーが飛翔するような電界が形成されるような交番電圧を印加して、トナー担持ローラ41上のトナーを感光体1に排出する排出モードや低画質出力モードを設けた。これにより、トナー担持ローラ41の第一電極53と第二電極54とに印加する交番電圧の位相と振幅とが同じなので第一電極53と第二電極54とに電位差が生じず、第一電極53と第二電極54との間でリークに伴う絶縁層55の破壊が起こらない。そのため、電極間に電位差がある場合よりも大きな交番電圧を第一電極53と第二電極54とに印加することができる。よって、電極間に電位差がある場合よりもトナー担持ローラ41と感光体1との間の電位差を大きくし、帯電量が大きく低下したトナーがトナー担持ローラ41から感光体1に飛翔するような電界を形成させて、トナー担持ローラ41から感光体1にトナーを飛翔させて排出することができる。したがって、絶縁層55の破壊を抑えつつ帯電量が大きく低下したトナーをトナー担持ローラ41から感光体1に排出させることができる。
また、実施形態1によれば、感光体1の表面をクリーニングするクリーニング手段であるクリーニング装置74と、トナー担持ローラ41上のトナーのフレア状態を検知するトナーフレア検知手段であるトナーフレア検知装置57とを有しており、トナーフレア検知装置57の検知結果に基づいて所定のフレアの状態を満たしていない場合に、第一電極53と第二電極54それぞれに位相及び振幅が等しく、前記振幅がトナー劣化時の現像開始電圧よりも大きい交番電圧を印加して、トナー担持ローラ41の表面上のトナーを感光体1の表面上に転移させながらクリーニング装置74で回収するクリーニング回収処理を行う。これにより、適宜劣化したトナーを排出することが可能となり、現像装置4の寿命を長くすることができる。絶縁層55の破壊無しにトナー担持ローラ41と感光体1間の電位差を大きくし、フレア度が低くてもトナーを感光体1に現像し、劣化したトナーを排出することができる。また、フレア状態の安定化により安定した画質を得ることができるようになる。
また、実施形態2によれば、出力画像の解像度を少なくとも高解像度と低解像度とで選択可能であり、出力画像の解像度が低解像度である場合に、第一電極53と第二電極54それぞれに位相及び振幅が等しく、前記振幅がトナー劣化時の現像開始電圧よりも大きい交番電圧を印加して、トナー担持ローラ41から感光体1にトナーを転移させて感光体1上の潜像を現像する。これにより、実施形態1で示した排出モードのクリーニング回収処理では無駄にしていたフレア化しない劣化状態のトナーを効率良く画像形成に利用することができる。また、低画質モード時にトナー担持ローラ41からフレア化しない劣化状態のトナーを排出することができるので、高画質モード時にフレア状態の安定化によって安定した画像を得ることが可能となる。
また、実施形態2によれば、出力画像の解像度を変更した場合に、トナー像の画像濃度が適正な濃度となるように調整する画像濃度調整手段として機能する本体制御部100を有し、光書込装置3のレーザーパワーを変更してトナー像の画像濃度が適正な濃度となるように調整したり、現像バイアスを変更することでトナー像の画像濃度が適正な濃度となるように調整したりする。なお、現像バイアスを変更する際に、交番電圧のDutyを変更しても良い。
また、実施形態1によれば、感光体1の表面をクリーニングするクリーニング手段であるクリーニング装置74と、前記トナー像の画像欠損または濃度ムラを検知する画像検知手段である画像検知センサ75とを有しており、画像検知センサ75の検知結果に基づいて画像欠損または濃度ムラが発生している場合に、第一電極53と第二電極54それぞれに位相及び振幅が等しく、前記振幅がトナー劣化時の現像開始電圧よりも大きい交番電圧を印加して、トナー担持ローラ41の表面上のトナーを感光体1の表面上に転移させながらクリーニング装置74で回収するクリーニング回収処理を行う。これにより、適宜フレア化しなくなったトナーを排出することで、画像品質が安定し現像装置4の寿命を長くすることができる。
また、実施形態1によれば、画像検知センサ75による画像欠損または濃度ムラの検知を、一定時間放置後の最初の動作時に行うことで、放置後のトナーは帯電量や付着量が通常と異なり、画像品質の低下が課題となることが多いが、適宜トナーをトナー担持ローラ41から感光体1に排出すれば、安定的な画像を得ることができる。
また、実施形態1によれば、画像検知センサ75による画像欠損または濃度ムラの検知を、一定枚数連続で現像装置4による現像動作を行った際に行うことで、リセット不良等によりトナーの帯電量が増加し、トナーとトナー担持ローラ41との付着力が増大することがあるが、適宜トナーをトナー担持ローラ41から感光体1に排出すれば、安定的な画像を得ることができる。
また、実施形態1によれば、画像検知センサ75による画像欠損または濃度ムラの検知を、現像装置4の置かれている温湿度環境が変化した際に行うことで、現像装置4の置かれている温湿度環境が急激な温湿度の変化によってトナー担持ローラ41に結露が発生した場合、トナーとトナー担持ローラ41との付着力が増大し、トナー担持ローラ41上でのトナーのフレア化がし難くなってしまうが、適宜トナーをトナー担持ローラ41から感光体1に排出すれば、安定的な画像を得ることができる。
また、各実施形態によれば、現像装置4に設けられトナー担持ローラ41にトナーを供給するトナー供給部材であるトナー供給ローラ42と、第一電極53と第二電極54とに印加する電圧と同じ電圧をトナー供給ローラ42に印加するトナー供給部材電圧印加手段である第四電源64とを有する。これにより、トナー担持ローラ41とトナー供給ローラ42との電位差をなくし、トナー担持ローラ41とトナー供給ローラ42との間でリークが生じるのを抑制することができる。
また、各実施形態によれば、現像装置4に設けられトナー担持ローラ41上のトナー量を規制する規制部材である規制ブレード43と、第一電極53と第二電極54とに印加する電圧と同じ電圧を規制ブレード43に印加する規制部材電圧印加手段である第五電源65とを有する。これにより、トナー担持ローラ41と規制ブレード43との電位差をなくし、トナー担持ローラ41と規制ブレード43との間でリークが生じるのを抑制することができる。
また、各実施形態によれば、トナー担持ローラ41は、内部に一体化された第一電極53と、第一電極53を覆う絶縁層55と、絶縁層55の上に設けられた第二電極54と、絶縁層55と第二電極54とを覆う表層である表面層56を有し、第一電極53と第二電極54によってトナーをホッピングさせるための電界をトナー担持ローラ41の外周面の外側に形成する。トナーを安定してフレア化させるためには、相応する大きさのホッピング電界を形成することが重要となるが、このような大きなホッピング電界を形成するためには第一電極53と第二電極54との間に大きな電位差を形成する必要がある。しかし、このような大きな電位差を安定して形成するためには、第一電極53と第二電極54との間を安定かつ有効に絶縁し、リークを防止することが重要である。ここで、ホッピング電界を形成するための2種類の電極をそれぞれ櫛歯状(梯子状)に形成して同心円上に配置し、互いの櫛歯部分が相手の櫛歯間に入り込むように構成した場合、その櫛歯状(梯子状)電極の形成品質が悪いと、2種類の電極間の絶縁性が著しく低下し、リークが起きやすく、適正なホッピング電界を形成することができなくなる。これに対して、第一電極53の上に絶縁層55を設け、その絶縁層55上に櫛歯状(梯子状)の第二電極54を形成した構成であると、これらの電極間にリークの原因となり得るような界面は存在しない。また、トナー担持ローラ41の製造段階において、リークの原因となり得る導電材が電極間に介在する可能性も非常に少なくできる。したがって、第一電極53と第二電極54との間を安定かつ有効に絶縁することができ、比較的大きな電圧を印加する場合でもリークを効果的に防止することができる。
また、各実施形態によれば、感光体1上で複数のトナー像を重ね合わせて形成した画像を、転写ローラ73により転写体である記録材に転写する。これにより、同一の感光体1上に4色の書き込みを行うので、4つの感光体を用いて各感光体上のトナー像を転写により重ね合わせる一般的なタンデム方式の画像形成装置と比較すると、各トナー像間における位置ズレがほとんど発生せず、高画質のフルカラー画像を得ることができる。
【0137】
なお、各実施形態においては、感光体1としてベルト状のものを用いているが、図26に示すようなドラム状の感光体ドラム98を用いても良い。また、図26に示す現像装置96はトナーをトナー収容部90に収容しており、トナー供給ローラ92によってトナー担持ローラ91上に汲み上げられて規制ブレード93による規制部へと運ばれる。この規制ブレード93でトナー量の規制及びトナーへの帯電付与が行われ、トナーはトナー担持ローラ91の電極に電源99によって印加された交番電圧によりホッピングしながら現像領域へ搬送される。トナー担持ローラ91に印加される交番電圧は矩形波が最も適しているが、サイン波でも三角波でも良い。また、トナー担持ローラ91上の隣り合う2相の電極間に位相がπだけずれた交番電圧を印加している。前記現像領域ではトナー担持ローラ91の表面の平均電位と感光体ドラム98の表面電位との差によってトナー担持ローラ91から感光体ドラム98の表面に形成された潜像にトナーが付着してトナー像が形成される。前記現像領域を通過し現像に寄与しなかったトナー担持ローラ91上のトナーは、再びトナー収容部90に戻ってくる。これを繰り返すことによって、トナー担持ローラ91上には常にほぼ一定量のトナーフレアが形成されることになる。
【符号の説明】
【0138】
1 感光体
2 帯電装置
3 光書込装置
4 現像装置
6 プロセスユニット
20 電源制御部
21 第一電源制御部
22 第二電源制御部
23 第三電源制御部
24 位相調整装置制御部
25 切り替え装置制御部
26 トナー供給ローラ電源制御部
27 規制ブレード電源制御部
30 光学センサ制御部
31 画像検知センサ制御部
32 タイマー
33 温度センサ制御部
34 湿度センサ制御部
41 トナー担持ローラ
41a スポット
41b 照射領域
42 トナー供給ローラ
43 規制ブレード
44 入口シール
45 搬送スクリュー
46 搬送スクリュー
53 第一電極
54 第二電極
55 絶縁層
56 表面層
57 トナーフレア検知装置
58 トナーフレア度制御手段
60 位相調整装置
61 第一電源
62 第二電源
63 第三電源
64 第四電源
65 第五電源
66 切り替え装置
73 転写ローラ
74 クリーニング装置
75 画像検知センサ
76 温度センサ
77 湿度センサ
83 保護層
86 センサ部
86a レーザーセンサー発光部
86b レーザーセンサー受光部
87 ノズル部
87a ノズル
90 トナー収容部
91 トナー担持ローラ
92 トナー供給ローラ
93 ドクターブレード
96 現像装置
98 感光体ドラム
99 電源
100 本体制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】
【特許文献1】特開2010−60918号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と、
前記潜像担持体に潜像を書き込む潜像書込手段と、
トナーを担持する表面に沿って設けられ互いに絶縁部材によって絶縁状態にある複数の電極を具備するトナー担持体と、前記複数の電極に電圧を印加する電圧印加手段とを有し、該複数の電極における電極間の電位差で形成される電界によってトナーをホッピングさせながら、潜像担持体上の潜像にトナーを付着させて該潜像を現像する現像手段と、
現像によって得られた前記潜像担持体上のトナー像を転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
前記複数の電極それぞれに位相及び振幅が等しく、前記潜像担持体と前記トナー担持体との間に該トナー担持体から該潜像担持体に向かってトナーが飛翔するような電界を形成させる交番電圧を印加して、前記トナー担持体上のトナーを前記潜像担持体に排出するモードを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、
上記トナー担持体上のトナーのフレア状態を検知するトナーフレア検知手段とを有しており、
前記トナーフレア検知手段の検知結果に基づいて所定のフレアの状態を満たしていない場合に、前記複数の電極それぞれに位相及び振幅が等しく、該振幅が現像開始電圧よりも大きい交番電圧を印加して、前記トナー担持体の表面上のトナーを前記潜像担持体の表面上に転移させながら前記クリーニング手段で回収するクリーニング回収処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1の画像形成装置において、
出力画像の解像度を少なくとも高解像度と低解像度とで選択可能であり、
前記出力画像の解像度が低解像度である場合に、前記複数の電極それぞれに位相及び振幅が等しく、該振幅が現像開始電圧よりも大きい交番電圧を印加して、前記トナー担持体から前記潜像担持体にトナーを転移させて該潜像担持体上の潜像を現像することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
上記出力画像の解像度を変更した場合に、上記トナー像の画像濃度が適正な濃度となるように調整する画像濃度調整手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
上記画像濃度調整手段は上記潜像書込手段のレーザーパワーを変更して、上記トナー像の画像濃度が適正な濃度となるように調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4の画像形成装置において、
上記画像濃度調整手段は現像バイアスを変更することで、上記トナー像の画像濃度が適正な濃度となるように調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記現像バイアスを変更する際に上記交番電圧のDutyを変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1の画像形成装置において、
上記潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、
上記トナー像の画像欠損または濃度ムラを検知する画像検知手段とを有しており、
前記画像検知手段の検知結果に基づいて画像欠損または濃度ムラが発生している場合に、前記複数の電極それぞれに位相及び振幅が等しく、該振幅が現像開始電圧よりも大きい交番電圧を印加して、前記トナー担持体の表面上のトナーを前記潜像担持体の表面上に転移させながら前記クリーニング手段で回収するクリーニング回収処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
上記画像検知手段による上記画像欠損または上記濃度ムラの検知を、一定時間放置後の最初の動作時に行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8の画像形成装置において、
上記画像検知手段による上記画像欠損または上記濃度ムラの検知を、一定枚数連続で上記現像手段による現像動作を行った際に行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項8の画像形成装置において、
上記画像検知手段による上記画像欠損または上記濃度ムラの検知を、上記現像手段の置かれている温湿度環境が変化した際に行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11の画像形成装置において、
上記現像手段に設けられ上記トナー担持体にトナーを供給するトナー供給部材と、
上記複数の電極に印加する電圧と同じ電圧を前記トナー供給部材に印加するトナー供給部材電圧印加手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12の画像形成装置において、
上記現像手段に設けられ上記トナー担持体上のトナー量を規制する規制部材と、
上記複数の電極に印加する電圧と同じ電圧を前記規制部材に印加する規制部材電圧印加手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の画像形成装置において、
上記トナー担持体は、内部に一体化された上記第一電極と、該第一電極を覆う絶縁層と、該絶縁層の上に設けられた上記第二電極と、該絶縁層と該第二電極とを覆う表層を有し、該第一電極と該第二電極によって上記トナーをホッピングさせるための電界を該トナー担持体の外周面の外側に形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項1、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12、13または14の画像形成装置において、
上記潜像担持体上で複数のトナー像を重ね合わせて形成した画像を、上記転写手段により上記転写体に転写することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−78781(P2012−78781A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125383(P2011−125383)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】