説明

画像形成装置

【課題】空容量に応じた小冊子印刷を実行することができる。
【解決手段】不揮発性半導体を有し、印刷する画像データを記憶する第1の記憶部92と、画像データを暗号化する暗号化部74と、ハードディスクを有し、暗号化部74により暗号化された画像データを記憶する第2の記憶部95と、小冊子を作製可能な順位となるように2頁分の画像データを合成することにより合成画像データを生成する合成部72と、小冊子印刷が要求されたときに、第1の記憶部92に画像データを記憶するために必要な空き容量がある場合、画像データを第1の記憶部92に記憶させ、第1の記憶部92に画像データを記憶するために必要な空き容量がない場合、合成部72により合成された合成画像データを、暗号化部74により1ラインづつ暗号化させた後、第2の記憶部95に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小冊子印刷処理を実行する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、表裏面にそれぞれ2頁づつ印刷された印刷媒体を重ね合わせて2つ折にして綴じられた小冊子を作製するための小冊子印刷処理を実行する画像形成装置がよく知られている。
【0003】
このような画像形成装置で小冊子印刷処理を実行する場合、1枚の印刷媒体に印刷される4頁分の画像データは、頁が連続していないので、小冊子印刷処理を実行する上で、印刷する画像データの並び替え及び合成を行う必要があった。
【0004】
そのため、画像形成装置は、小冊子印刷処理の対象となる全ての画像データをハードディスクに一時的に記憶した後、該当の画像データを1ラインづつ読み出して合成し、合成済みの画像データをハードディスクに記憶していた。
【0005】
ここで、画像形成装置では、ハードディスクが取り外され持ち出される等による情報漏洩を防止するために、画像データをハードディスクに記憶する際、暗号化した画像データを記憶する場合が多い。そのため、この暗号化する処理時間とハードディスクから読み出す際の復号の処理時間とが必要となり、画像形成装置が印刷するまで相当の時間を要していた。
【0006】
特許文献1には、RAMのバッファエリアに圧縮された1頁分の画像データを格納するだけの空き容量があるか否かを判断し、空き容量がなければ、ブックレット印刷(小冊子印刷)ができないことを報知するための表示を行う画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−6718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、RAMのバッファエリアに空き容量がなければ、ブックレット印刷(小冊子印刷)を実行することができなかった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、メモリの空容量に応じて小冊子印刷を実行する画像形成装置及び小冊子印刷方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置の第1の特徴は、表裏面にそれぞれ2頁づつ印刷された印刷媒体を重ね合わせて2つ折にして綴じられた小冊子を作製するための小冊子印刷処理を実行する画像形成装置であって、印刷する画像データを記憶する第1の記憶手段と、前記画像データを暗号化する暗号化手段と、前記暗号化手段により暗号化された画像データを記憶する当該画像形成装置に対して着脱可能な第2の記憶手段と、前記小冊子を作製可能な順位となるように2頁分の前記画像データを合成することにより合成画像データを生成する合成手段と、前記小冊子印刷処理が要求されたときに、前記第1の記憶手段に前記画像データを記憶するために必要な空き容量がある場合、前記画像データを前記第1の記憶手段に記憶させ、前記第1の記憶手段に前記画像データを記憶するために必要な空き容量がない場合、前記合成手段により所定ラインづつ合成された合成画像データを前記暗号化手段により所定ラインづつ暗号化させ、前記第2の記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、前記記憶制御手段により前記第1の記憶手段に記憶された画像データに基づいて前記合成手段により合成された合成画像データ、又は前記記憶制御手段により前記第2の記憶手段に記憶された合成画像データに基づいて、印刷を実行する印刷手段と、を備えたことにある。
【0011】
本発明に係る画像形成装置の第2の特徴は、表裏面にそれぞれ2頁づつ印刷された印刷媒体を重ね合わせて2つ折にして綴じられた小冊子を作製するための小冊子印刷処理を実行する画像形成装置であって、揮発性半導体メモリを有し、印刷する画像データを記憶する第1の記憶手段と、前記画像データを暗号化する暗号化手段と、ハードディスクを有し、前記暗号化手段により暗号化された画像データを記憶する第2の記憶手段と、前記小冊子を作製可能な順位となるように2頁分の前記画像データを合成することにより合成画像データを生成する合成手段と、前記小冊子印刷処理が要求されたときに、前記第1の記憶手段に前記画像データを記憶するために必要な空き容量がある場合、前記画像データを前記第1の記憶手段に記憶させ、前記第1の記憶手段に前記画像データを記憶するために必要な空き容量がない場合、前記合成手段により所定ラインづつ合成された合成画像データを所定ラインづつ前記第1の記憶手段に記憶させ、前記暗号化手段により所定ラインづつ暗号化させた後、前記第2の記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、前記記憶制御手段により前記第1の記憶手段に記憶された画像データに基づいて前記合成手段により合成された合成画像データ、又は前記記憶制御手段により前記第2の記憶手段に記憶された合成画像データに基づいて、印刷を実行する印刷手段と、を備えたことにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像形成装置の第1の特徴によれば、小冊子印刷処理が要求されたときに、第1の記憶手段に画像データを記憶するために必要な空き容量がある場合、画像データを第1の記憶手段に記憶させ、第1の記憶手段に画像データを記憶するために必要な空き容量がない場合、合成手段により所定ラインづつ合成された合成画像データを暗号化手段により所定ラインづつ暗号化させ、第2の記憶手段に記憶させるので、第1の記憶手段の空容量に応じて小冊子印刷を実行することができる。
【0013】
本発明に係る画像形成装置の第2の特徴によれば、小冊子印刷処理が要求されたときに、第1の記憶手段に画像データを記憶するために必要な空き容量がある場合、画像データを第1の記憶手段に記憶させ、第1の記憶手段に画像データを記憶するために必要な空き容量がない場合、合成手段により所定ラインづつ合成された合成画像データを所定ラインづつ第1の記憶手段に記憶させ、暗号化手段により所定ラインづつ暗号化させた後、第2の記憶手段に記憶させるので、第1の記憶手段の空容量に応じて小冊子印刷を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の機能構成を示した機能構成図である。
【図2】本発明の実施例1に係る画像形成装置における小冊子印刷処理を示したフローチャートである。
【図3】本発明の実施例2に係る画像形成装置における小冊子印刷処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1では、表裏面にそれぞれ2頁づつ印刷された印刷媒体を重ね合わせて2つ折にして綴じられた小冊子を作製するための小冊子印刷処理を実行するインクジェット式の画像形成装置を例に挙げて説明する。
【0017】
<画像形成装置の機能構成>
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置1の機能構成を示した機能構成図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施例1に係る画像形成装置1は、画像読み取り部2と、画像形成部3と、ファックス受信部4とを備えている。
【0019】
画像読み取り部2は、画像形成部3の上部に設けられ、図示しないが、原稿を載置するコンタクトガラス、このコンタクトガラスに対して接離自在に設けられたカバー、コンタクトガラス上に載置された原稿を走査する走査ユニット、走査された画像を集束するレンズ、及び集束された画像を処理する画像処理部を備えている。
【0020】
そして、走査ユニットがコンタクトガラス上に載置された原稿を1ライン毎に走査し、画像処理部が走査された画像を処理することにより、画像形成部3が印刷するための画像データを読み取る。
【0021】
ファックス受信部4は、ファクシミリ通信可能なデバイスであり、ファクシミリ受信した画像データを画像形成部3へ供給する。
【0022】
画像形成部3は、給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50と、操作部60と、制御部70と、外部インタフェース部82と、メモリ91と、ハードディスク93とを備えている。
【0023】
給紙部20は、印刷用紙が積層される給紙台を備え、この給紙台から印刷用紙を1枚づつ印刷部30へ向かって搬送経路上を搬送させる。
【0024】
印刷部30は、複数の印字ヘッドが組み込まれたC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色のヘッドユニットを備え、印刷条件により定められる速度で印刷用紙を搬送しながら、ヘッドユニットからインクを吐出することにより、ライン単位で印刷用紙に印刷する。
【0025】
排紙部40は、印刷部30により印刷された印刷用紙を排紙する。
【0026】
反転部50は、印刷部30により印刷された印刷用紙の表裏を反転し、再度、搬送経路に搬送させることにより、印刷部30に印刷用紙の両面を印刷させる。
【0027】
操作部60は、画像形成装置1の上部に設けられ、表示/入力パネル61と、読み取りや印刷等を開始させるためのスタートキー、読み取りや印刷等を停止させるためのストップキー、印刷枚数等を入力するためのテンキー(いずれも図示せず)等の各種操作キーとを備え、利用者操作に基づく操作信号を制御部70に供給する。
【0028】
操作部60の表示/入力パネル61は、前面に配置された感圧式あるいは静電式の透明なタッチパネルと、このタッチパネルの裏面に配置された液晶表示パネル(いずれも図示せず)とを有している。利用者は、液晶表示パネルの表示画面を見ながら、タッチパネルの表面を指などで直接触れることで、小冊子印刷の設定操作、小冊子印刷処理を開始させるための操作等の各種の設定操作等を行うことができる。
【0029】
外部インタフェース部82は、画像読み取り部2との接続インタフェースであり、画像読み取り部2により読み取られた画像データ、及びファックス受信部4からファクシミリ受信した画像データを制御部70へ供給する。
【0030】
メモリ91は、揮発性半導体メモリで構成されている。また、メモリ91は、その記憶領域として第1の記憶部92を有しており、第1の記憶部92は、小冊子印刷が要求されたときに、第1の記憶部92に画像データを記憶するために必要な空き容量がある場合に、小冊子印刷を行うために合成する画像データを記憶する。
【0031】
ハードディスク93は、画像形成装置1に対して着脱可能であり、記憶領域として、プレ記憶部94と、第2の記憶部95とを備えている。
【0032】
プレ記憶部94は、後述する受信部71により受信された画像データを、後述する暗号化部74により暗号化された後、記憶する。
【0033】
第2の記憶部95は、小冊子印刷が要求されたときに、第1の記憶部92に画像データを記憶するために必要な空き容量がない場合、2つの画像データが合成された合成画像データを、暗号化部74により暗号化された後、記憶する。
【0034】
制御部70は、画像形成装置1の中枢的制御を行い、例えば、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、給紙部20から給紙した印刷用紙の片面又は両面に印刷を行う。また、制御部70は、その機能上、受信部71と、合成部72と、復号部73と、暗号化部74と、記憶制御部75とを備える。
【0035】
受信部71は、外部インタフェース部82を介して画像読み取り部2から送信された画像データや、ファックス受信部4からファクシミリ受信した画像データを受信する。
【0036】
合成部72は、小冊子を作製可能な順位となるように2頁分の画像データを合成することにより合成画像データを生成する。
【0037】
小冊子印刷処理を実行する場合、1枚の印刷媒体に印刷される4頁分の画像データは、頁が連続しない。そこで、合成部72は、例えば、1頁目の画像データとn頁(最終頁)の画像データとを合成して合成画像データを生成し、2頁目の画像データとn−1頁(最終頁の1頁前)の画像データとを合成して合成画像データを生成することにより、4頁分の合成画像データを生成する。
【0038】
復号部73は、プレ記憶部94に記憶された暗号化された画像データや、第2の記憶部95に記憶された暗号化された合成画像データを復号する。
【0039】
暗号化部74は、受信部71が受信した画像データをプレ記憶部94に記憶させるために暗号化したり、合成部72により1ラインづつ合成された合成画像データを第2の記憶部95に記憶させるために暗号化したりする。なお、暗号化の方式は、共通鍵暗号方式や公開鍵暗号方式等どのような暗号化方式を採用してもよい。
【0040】
記憶制御部75は、小冊子印刷処理が要求されたときに、第1の記憶部92に合成する画像データを記憶するために必要な空き容量がある場合、画像データを第1の記憶部92に記憶させ、第1の記憶部92に合成する画像データを記憶するために必要な空き容量がない場合、合成部72により所定ラインづつ合成された合成画像データを所定ラインづつ第1の記憶部92に記憶させ、暗号化部74により所定ラインづつ暗号化させた後、第2の記憶部95に記憶させる。ここで、所定ラインとは、予め定められた任意のライン本数であり、最低の単位としては1ラインである。
【0041】
<画像形成装置の作用>
次に、本発明の実施例1に係る画像形成装置1における作用について説明する。
【0042】
図2は、本発明の実施例1に係る画像形成装置1における小冊子印刷処理を示したフローチャートである。
【0043】
図2に示すように、利用者による操作部60の操作により、印刷が要求された場合(ステップS101)、制御部70の暗号化部74は、受信部71により受信された画像データを暗号化し、記憶制御部75が、暗号化された画像データをハードディスク93のプレ記憶部94に記憶させる(ステップS102)。
【0044】
次に、制御部70は、小冊子印刷が設定されているか否かを判定する(ステップS103)。
【0045】
ステップS103において、小冊子印刷が設定されていると判定された場合(YESの場合)、制御部70の合成部72は、合成する全ての画像データのデータサイズの合計を算出する(ステップS105)。
【0046】
次に、制御部70の記憶制御部75は、ステップS105において算出された、合成する全ての画像データのデータサイズに基づいて、メモリ91の第1の記憶部92に合成する全ての画像データを記憶するために必要な空容量があるか否かを判定する(ステップS107)。
【0047】
ステップS107において、合成する全ての画像データを記憶するために必要な空容量があると判定された場合(YESの場合)、制御部70の復号部73は、ハードディスク93のプレ記憶部94に記憶された合成する全ての画像データを読み出し、この読み出された画像データを復号する(ステップS109)。
【0048】
そして、記憶制御部75は、ステップS109において復号された画像データをメモリ91の第1の記憶部92に記憶させる(ステップS111)。
【0049】
次に、合成部72は、ステップS111において第1の記憶部92に記憶された画像データを合成して合成画像データを生成する(ステップS113)。例えば、合成部72は、1頁目の画像データとn頁(最終頁)の画像データとを合成して、1つの合成画像データを生成する。
【0050】
次に、制御部70は、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、生成された合成画像データに基づいて、小冊子印刷処理を実行する(ステップS115)。具体的には、制御部70は、生成された合成画像データに基づいて、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、印刷条件により定められる速度で給紙部20から印刷用紙を搬送しながら、印刷部30のヘッドユニットからインクを吐出することにより、ライン単位で印刷用紙に印刷し、印刷された印刷用紙を反転部50に反転させて再給紙するか、または排紙部40に排紙する。
【0051】
そして、制御部70は、印刷要求された全ての合成画像データの印刷が完了した場合(YESの場合)、処理を終了する(ステップS117)。
【0052】
一方、ステップS107において、合成する全ての画像データを記憶するために必要な空容量がないと判定された場合(NOの場合)、制御部70の復号部73は、ハードディスク93のプレ記憶部94に記憶された合成する画像データを1ラインづつ読み出し、この読み出された1ライン分の画像データを復号する(ステップS121)。
【0053】
そして、合成部72は、復号された1ライン分の画像データを合成して、1ライン分の合成画像データを生成して、記憶制御部75が、この合成画像データをメモリ91の第1の記憶部92に記憶させる(ステップS123)。
【0054】
次に、制御部70の暗号化部74は、ステップS123において第1の記憶部92に記憶された1ライン分の合成画像データを暗号化し(ステップS125)、記憶制御部75が、暗号化された1ライン分の合成画像データをハードディスク93の第2の記憶部95に記憶させる(ステップS127)。
【0055】
そして、記憶制御部75は、印刷要求された全ての画像データの合成が完了したか否かを判定する(ステップS129)。
【0056】
ステップS129において、全ての画像データの合成が完了したと判定された場合(YESの場合)、記憶制御部75は、第2の記憶部95に記憶された合成画像データのうち、最先の合成画像データ、即ち、印刷する順位が最も早い合成画像データをメモリ91の第1の記憶部92に記憶するために必要な空容量があるか否かを判定する(ステップS131)。
【0057】
ステップS131において、最先の合成画像データを記憶するために必要な空容量があると判定された場合(YESの場合)、制御部70の復号部73は、最先の合成画像データを第2の記憶部95から読み出し、この読み出された合成画像データを復号する(ステップS133)。
【0058】
そして、記憶制御部75は、ステップS133において復号された合成画像データをメモリ91の第1の記憶部92に記憶させる(ステップS135)。
【0059】
次に、制御部70は、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、第1の記憶部92に記憶された合成画像データに基づいて、小冊子印刷処理を実行する(ステップS137)。具体的には、制御部70は、第1の記憶部92に記憶された合成画像データに基づいて、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、印刷条件により定められる速度で給紙部20から印刷用紙を搬送しながら、印刷部30のヘッドユニットからインクを吐出することにより、ライン単位で印刷用紙に印刷し、印刷された印刷用紙を反転部50に反転させて再給紙するか、または排紙部40に排紙する。
【0060】
そして、制御部70は、印刷要求された全ての合成画像データの印刷が完了した場合(YESの場合)、処理を終了する(ステップS139)。
【0061】
以上のように、本発明の実施例1に係る画像形成装置1によれば、小冊子印刷処理が要求されたときに、第1の記憶部92に合成する画像データを記憶するために必要な空き容量がある場合、画像データを第1の記憶部92に記憶させ、第1の記憶部92に合成する画像データを記憶するために必要な空き容量がない場合、合成部72により1ラインづつ合成された合成画像データを1ラインづつ第1の記憶部92に記憶させ、暗号化部74により1ラインづつ暗号化させた後、第2の記憶部95に記憶させるので、空容量に応じた小冊子印刷を実行することができる。具体的には、第1の記憶部92の空き容量がある場合には、素早く小冊子印刷を実行すると共に、第1の記憶部92の空き容量がない場合も、一時的に第2の記憶部95に記憶した後に小冊子印刷を実行することができる。
【実施例2】
【0062】
本発明の実施例1では、小冊子印刷処理が要求されたときに、第1の記憶部92に合成する全ての画像データを記憶するために必要な空き容量がある場合、画像データを第1の記憶部92に記憶させ、第1の記憶部92に合成する全ての画像データを記憶するために必要な空き容量がない場合、合成部72により1ラインづつ合成された合成画像データを1ラインづつ第1の記憶部92に記憶させ、暗号化部74により1ラインづつ暗号化させた後、第2の記憶部95に記憶させる画像形成装置1を例に挙げて説明した。
【0063】
本発明の実施例2では、小冊子印刷処理が要求されたときに、第1の記憶部92に合成する2つの画像データを記憶するために必要な空き容量がある場合、画像データを第1の記憶部92に記憶させ、第1の記憶部92に合成する2つの画像データを記憶するために必要な空き容量がない場合、合成部72により1ラインづつ合成された合成画像データを1ラインづつ第1の記憶部92に記憶させ、暗号化部74により1ラインづつ暗号化させた後、第2の記憶部95に記憶させる画像形成装置1Aを例に挙げて説明する。
【0064】
なお、本発明の実施例2に係る画像形成装置1Aの機能構成は、図1に示した本発明の実施例1に係る画像形成装置1の機能構成と同一であるので、説明を省略する。
【0065】
<画像形成装置の作用>
次に、本発明の実施例2に係る画像形成装置1Aにおける作用について説明する。
【0066】
図3は、本発明の実施例2に係る画像形成装置1Aにおける小冊子印刷処理を示したフローチャートである。なお、なお、図3に示すフローチャートの処理ステップのうち、図2に示したフローチャートにおける処理ステップと同一ステップ番号が付された処理は、それぞれ同一処理であるので、説明を省略する。
【0067】
ステップS103において、小冊子印刷が設定されていると判定された場合(YESの場合)、制御部70の合成部72は、合成する2つの画像データのデータサイズを算出する(ステップS205)。
【0068】
小冊子印刷処理を実行する場合、1枚の印刷媒体に印刷される4頁分の画像データは、頁が連続しておらず、例えば、1頁目の画像データとn頁(最終頁)の画像データとを合成し、2頁目の画像データとn−1頁(最終頁の1頁前)の画像データとを合成して4頁分とする。そのため、合成部72は、合成する片面分(2頁分)の画像データのデータサイズの合計を算出する。
【0069】
次に、制御部70の記憶制御部75は、ステップS205において算出された、合成する2つの画像データのデータサイズに基づいて、メモリ91の第1の記憶部92に合成する2つの画像データを記憶するために必要な空容量があるか否かを判定する(ステップS207)。
【0070】
ステップS207において、合成する2つの画像データを記憶するために必要な空容量があると判定された場合(YESの場合)、制御部70の復号部73は、ハードディスク93のプレ記憶部94に記憶された合成する2つの画像データを読み出し、この読み出された2つの画像データを復号する(ステップS209)。
【0071】
そして、記憶制御部75は、ステップS209において復号された画像データをメモリ91の第1の記憶部92に記憶させる(ステップS211)。
【0072】
次に、合成部72は、ステップS211において第1の記憶部92に記憶された画像データを合成して合成画像データを生成する(ステップS213)。例えば、合成部72は、1頁目の画像データとn頁(最終頁)の画像データとを合成して、1つの合成画像データを生成する。
【0073】
一方、ステップS207において、合成する2つの画像データを記憶するために必要な空容量がないと判定された場合(NOの場合)、制御部70の復号部73は、ハードディスク93のプレ記憶部94に記憶された合成する2つの画像データを1ラインづつ読み出し、この読み出された1ライン分の画像データを復号する(ステップS221)。
【0074】
そして、合成部72は、復号された1ライン分の画像データを合成して、1ライン分の合成画像データを生成して、記憶制御部75が、この合成画像データをメモリ91の第1の記憶部92に記憶させる(ステップS223)。
【0075】
次に、制御部70の暗号化部74は、ステップS123において第1の記憶部92に記憶された1ライン分の合成画像データを暗号化し(ステップS225)、記憶制御部75が、暗号化された1ライン分の合成画像データをハードディスク93の第2の記憶部95に記憶させる(ステップS227)。
【0076】
そして、記憶制御部75は、第2の記憶部95に記憶された合成画像データをメモリ91の第1の記憶部92に記憶するために必要な空容量があるか否かを判定する(ステップS231)。
【0077】
ステップS231において、合成画像データを記憶するために必要な空容量があると判定された場合(YESの場合)、制御部70の復号部73は、合成画像データを第2の記憶部95から読み出し、この読み出された合成画像データを復号する(ステップS233)。
【0078】
そして、記憶制御部75は、ステップS233において復号された合成画像データをメモリ91の第1の記憶部92に記憶させる(ステップS235)。
【0079】
次に、制御部70は、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、ステップS213において生成された合成画像データ、又は、ステップS235においてメモリ91の第1の記憶部92に記憶された合成画像データに基づいて、小冊子印刷処理を実行する(ステップS237)。
【0080】
そして、制御部70は、印刷要求された全ての合成画像データの印刷が完了した場合(YESの場合)、処理を終了する(ステップS239)。
【0081】
以上のように、本発明の実施例2に係る画像形成装置1Aによれば、小冊子印刷処理が要求されたときに、第1の記憶部92に合成する2つの画像データを記憶するために必要な空き容量がある場合、画像データを第1の記憶部92に記憶させ、第1の記憶部92に合成する2つの画像データを記憶するために必要な空き容量がない場合、合成部72により1ラインづつ合成された合成画像データを1ラインづつ第1の記憶部92に記憶させ、暗号化部74により1ラインづつ暗号化させた後、第2の記憶部95に記憶させるので、合成する2つの画像データ毎に、第1の記憶部92に記憶させるか否かを判定できるので、より適切に空容量に応じた小冊子印刷を実行することができる。具体的には、第1の記憶部92の空き容量がある場合には、素早く小冊子印刷を実行すると共に、第1の記憶部92の空き容量がない場合も、一時的に第2の記憶部95に記憶した後に小冊子印刷を実行することができる。
【0082】
なお、本発明の実施例1〜2に係る画像形成装置1,1Aでは、画像読み取り部2により読み取られた画像データに基づいて小冊子印刷処理を実行したがこれに限らない。例えば、ファックス受信部4からファクシミリ受信した画像データに基づいて、小冊子印刷処理を実行するようにしてもよい。
【0083】
また、本発明の実施例1〜2に係る画像形成装置1,1Aでは、ライン単位で印刷を行うインクジェット方式のラインカラープリンタを例に挙げて説明したが、これに限らず、シリアルインクジェット方式、レーザ方式、又は孔版印刷方式等の画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1,1A…画像形成装置
2…画像読み取り部
3…画像形成部
4…ファックス受信部
20…給紙部
30…印刷部
40…排紙部
50…反転部
60…操作部
61…表示/入力パネル
70…制御部
71…受信部
72…合成部
73…復号部
74…暗号化部
75…記憶制御部
82…外部インタフェース部
91…メモリ
92…第1の記憶部
93…ハードディスク
94…プレ記憶部
95…第2の記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面にそれぞれ2頁づつ印刷された印刷媒体を重ね合わせて2つ折にして綴じられた小冊子を作製するための小冊子印刷処理を実行する画像形成装置であって、
印刷する画像データを記憶する第1の記憶手段と、
前記画像データを暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段により暗号化された画像データを記憶する当該画像形成装置に対して着脱可能な第2の記憶手段と、
前記小冊子を作製可能な順位となるように2頁分の前記画像データを合成することにより合成画像データを生成する合成手段と、
前記小冊子印刷処理が要求されたときに、前記第1の記憶手段に前記画像データを記憶するために必要な空き容量がある場合、前記画像データを前記第1の記憶手段に記憶させ、前記第1の記憶手段に前記画像データを記憶するために必要な空き容量がない場合、前記合成手段により所定ラインづつ合成された合成画像データを前記暗号化手段により所定ラインづつ暗号化させ、前記第2の記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
前記記憶制御手段により前記第1の記憶手段に記憶された画像データに基づいて前記合成手段により合成された合成画像データ、又は前記記憶制御手段により前記第2の記憶手段に記憶された合成画像データに基づいて、印刷を実行する印刷手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
表裏面にそれぞれ2頁づつ印刷された印刷媒体を重ね合わせて2つ折にして綴じられた小冊子を作製するための小冊子印刷処理を実行する画像形成装置であって、
揮発性半導体メモリを有し、印刷する画像データを記憶する第1の記憶手段と、
前記画像データを暗号化する暗号化手段と、
ハードディスクを有し、前記暗号化手段により暗号化された画像データを記憶する第2の記憶手段と、
前記小冊子を作製可能な順位となるように2頁分の前記画像データを合成することにより合成画像データを生成する合成手段と、
前記小冊子印刷処理が要求されたときに、前記第1の記憶手段に前記画像データを記憶するために必要な空き容量がある場合、前記画像データを前記第1の記憶手段に記憶させ、前記第1の記憶手段に前記画像データを記憶するために必要な空き容量がない場合、前記合成手段により所定ラインづつ合成された合成画像データを所定ラインづつ前記第1の記憶手段に記憶させ、前記暗号化手段により所定ラインづつ暗号化させた後、前記第2の記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
前記記憶制御手段により前記第1の記憶手段に記憶された画像データに基づいて前記合成手段により合成された合成画像データ、又は前記記憶制御手段により前記第2の記憶手段に記憶された合成画像データに基づいて、印刷を実行する印刷手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−80182(P2012−80182A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221060(P2010−221060)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】