画像形成装置
【課題】 複数の感光ドラム上に形成された各トナー像を中間転写体上あるいは転写材上に順次重ね合わせて画像を形成する画像形成装置において、低コスト化、小型化を図りつつ再転写の発生を抑制する。
【解決手段】 中間転写ベルト8は導電性を備え、中間転写ベルト8に接触する電流供給部材に電圧を印加することにより、電流供給部材から中間転写ベルトを介して複数の感光ドラム2に電流を流すことで、各1次転写部の上流側で放電を発生させことが可能になる。
このことで、再転写の発生を抑制しつつ、画像形成装置の低コスト化、小型化を図ることができる。
【解決手段】 中間転写ベルト8は導電性を備え、中間転写ベルト8に接触する電流供給部材に電圧を印加することにより、電流供給部材から中間転写ベルトを介して複数の感光ドラム2に電流を流すことで、各1次転写部の上流側で放電を発生させことが可能になる。
このことで、再転写の発生を抑制しつつ、画像形成装置の低コスト化、小型化を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のカラー画像形成装置では、高速に印刷するために、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するための各色の画像形成部を独立して有し、各色の画像形成部から順次中間転写ベルトに画像を転写し、更に中間転写ベルトから記録媒体に一括して画像を転写する構成が知られている。
【0003】
各色の画像形成部は、それぞれ像担持体としての感光ドラムを有している。さらに、各画像形成部は、感光ドラムを帯電する帯電部材、感光ドラムにトナー像を現像する現像手段、を有している。各画像形成部の帯電部材は、それぞれ感光ドラムに所定の圧接力で接触し、帯電用の電圧電源(不図示)から印加される帯電電圧によって各感光ドラムの表面を所定の極性、電位に均一に帯電する。
【0004】
各画像形成部の現像手段は、それぞれ感光ドラム上に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像(可視像化)する。
【0005】
各画像形成部の感光ドラムに現像されたトナー像は、各感光ドラムに中間転写ベルトを介して対向する1次転写部材である1次転写ローラによって、中間転写ベルトに1次転写される。各1次転写ローラは、それぞれ1次転写専用の電圧電源がそれぞれ接続されている。
【0006】
中間転写ベルトに1次転写されたトナー像は、2次転写部材によって転写材に2次転写される。2次転写部材である2次転写ローラには、2次転写専用の電圧電源が接続されている。
【0007】
特許文献1には、4つの1次転写ローラにそれぞれ1次転写専用の電圧電源を接続し、1次転写専用の電圧電源を4つ有する構成が開示されている。また、特許文献2には、それぞれの1次転写ローラに印加する転写電圧を、画像形成動作の前に、中間転写ベルトおよび1次転写ローラの通紙耐久や環境変動による抵抗変動が応じて変更する制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−35986号公報
【特許文献2】特開2001−125338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来から知られている中間転写ベルトを使用した画像形成装置には、以下の課題がある。
【0010】
一列に配列された複数の感光ドラムから中間転写ベルトにトナー像を1次転写する構成において、中間転写ベルトと感光ドラムで形成される1次転写部内で発生する放電によって、既に中間転写ベルトに転写されたトナーの極性が反転する場合がある。極性が反転したトナーが、中間転写ベルトから感光ドラムに移動してしまう再転写という現象がある。
【0011】
具体的には、フルカラー画像を出力する場合、中間転写ベルト上に転写されている1色目のトナーは、静電的に中間転写ベルトに吸着している。しかし、1色目のトナー像が2色目以降の感光ドラムと中間転写ベルトの間隙を通過する際、これらの感光ドラムに1色目のトナーの一部が再転写してしまう。再転写が発生すると、画像ムラや濃度低下、などの問題が生じる。1次転写部材に印加する電圧を小さくすることで、1次転写部の電位差を小さくすることが可能になり、再転写の発生を抑制することが可能になる。
【0012】
しかしながら、1次転写部の電位差を小さくすると1次転写効率が低下する傾向にあり、そのため、再転写を抑制するために設定可能な1次転写の電圧の設定が難しいという課題がある。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、1次転写部材に電圧を印加するための電圧電源数を減らしつつ、再転写の発生を抑制する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述の課題を解決するために、本願発明は以下の構成を備える。
【0015】
トナー像を担持する複数の像担持体と、無端状で回転可能であって、前記複数の像担持体から1次転写されたトナー像を転写材に2次転写するための中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトに接触する電流供給部材と、前記電流供給部材に電圧を印加する電源と、を有し、前記中間転写ベルトは、前記中間転写ベルトの回転方向における前記電流供給部材の接触位置から前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体へ電流を流すことが可能な導電性を備えるベルトであり、前記電源は、前記電流供給部材に電圧を印加することにより前記電流供給部材から前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体に電流を流すことで、前記中間転写ベルトの回転方向における複数の前記1次転写部それぞれにおける前記中間転写ベルトと前記像担持体の接触領域の上流側端部よりも上流側で前記像担持体と前記中間転写ベルトの間に放電を発生させ、前記接触領域における前記像担持体と前記中間転写ベルトの間の電位差をパッシェンの放電閾値より小さくすることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0016】
電流供給部材から中間転写ベルトの周方向に電流を供給することによって、一次転写部よりも中間転写ベルトの回転方向上流において放電を発生させ、再転写を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像形成装置を示す概略断面図。
【図2】本発明の中間転写ベルトの周方向抵抗測定方法を説明する概略断面図。
【図3】中間転写ベルトの周方向抵抗測定結果を説明する説明図。
【図4】各画像形成部に1次転写専用の転写電源を有する画像形成装置を示す概略断面図。
【図5】中間転写ベルトの電位測定方法を説明する概略断面図。
【図6】中間転写ベルトの電位測定結果を説明する説明図。
【図7】本発明の1次転写を説明する説明図。
【図8】中間転写ベルトの電位測定結果と1次転写可能領域の関係を説明する説明図。
【図9】中間転写ベルトの回転方向に流れる電流を説明する概略断面図。
【図10】支持部材にツェナーダイオードまたはバリスタを接続した状態を説明する概略断面図。
【図11】電流供給部材として2次転写ローラ15を使用した状態を説明する概略断面図。
【図12】感光体流入電流と転写残トナー量及び再転写トナー量、又は、印加電圧と転写残トナー量及び再転写トナー量を説明する図。
【図13】1次転写部の拡大断面図。
【図14】1次転写部での放電の様子を説明する図。
【図15】本発明の他の画像形成装置を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例1)
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
図1は、インライン方式(4ドラム系)のカラー画像形成装置の構成図である。画像形成装置は、イエロー色の画像を形成する画像形成部1aと、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部1bと、シアン色の画像を形成する画像形成部1cと、ブラック色の画像を形成する画像形成部1dの4つの画像形成部(画像形成ユニット)を備えている。これらの4つの画像形成部は一定の間隔をおいて一列に配置されている。
【0020】
各画像形成部1a、1b、1c、1dには、それぞれ像担持体である感光ドラム2a、2b、2c、2dが配置されている。感光ドラム2a、2b、2c、2dは、本実施例では負帯電の有機感光体でアルミニウム等のドラム基体(不図示)上に感光層(不図示)を有しており、駆動部(不図示)によって所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0021】
各感光ドラム2a、2b、2c、2dの周囲には、帯電部材である帯電ローラ3a、3b、3c、3d、現像手段4a、4b、4c、4dがそれぞれ配置されている。さらに、各感光ドラム2a、2b、2c、2dの周囲には、ドラムクリーニング装置6a、6b、6c、6dがそれぞれ設置されている。さらに、各感光ドラム2a、2b、2c、2dの上方には、露光手段7a、7b、7c、7dがそれぞれ設置されている。各現像手段4a、4b、4c、4dには、それぞれイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、ブラックトナーが収納されている。本実施例のトナーの正規の帯電極性は、負極性である。
【0022】
各画像形成部の対向する位置に、中間転写体であって、回転可能な無端状の中間転写ベルト8が設置されている。中間転写ベルト8は、駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13によって支持されている(以上の3本のローラを、「支持部材」とする。)モータ(不図示)が接続された駆動ローラ11の駆動によって、中間転写ベルト8は、矢印方向(反時計方向)に回転(移動)される。以下、中間転写ベルト8の回転方向を中間転写ベルト8の周方向とする。駆動ローラ11は、中間転写ベルト8を駆動するために表層に高摩擦のゴム層を設け、ゴム層を体積抵抗率が105Ωcm以下の導電性を有する。2次転写対向ローラ12は、中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ15と当接して2次転写部を形成している。2次転写対向ローラ12は、表層にゴム層を設け、ゴム層を体積抵抗率が105Ωcm以下の導電性とした。テンションローラ13は、金属ローラからなり、総圧約60Nの張力を中間転写ベルト8に付与し、中間転写ベルト8に従動して回転する。
【0023】
駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13は、所定の抵抗値の抵抗体を介して接地している。本実施例では、抵抗体の抵抗値は1GΩ、100MΩ、10MΩと3種類を使用している。駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12の各ゴム層の抵抗は、1GΩ、100MΩ、10MΩに比べて十分小さいため、電気的影響を無視することができる。
【0024】
2次転写ローラ15としては、体積抵抗率が107〜109Ωcm、ゴム硬度が30°(アスカーC硬度計)の弾性ローラを用いた。又、2次転写ローラ15は、中間転写ベルト8を介して2次転写対向ローラ12に対し、総圧約39.2Nで押圧される。又、2次転写ローラ15は、中間転写ベルト8の回転に伴い、従動して回転する。更に、2次転写ローラ15には、2次転写電源19から、−2.0〜7.0kVの電圧の印加が可能となっている。
【0025】
中間転写ベルト8の外側には、中間転写ベルト8表面に残った転写残トナーを除去して回収するベルトクリーニング手段75が設置されている。また、中間転写ベルト8の回転方向において、2次転写対向ローラ12と2次転写ローラ15とが当接する2次転写部の下流側には、定着ローラ17aと加圧ローラ17bを有する定着手段17が設置されている。
【0026】
次に、画像形成動作について説明する。
【0027】
コントローラから画像形成動作を開始するための開始信号が発せられると、カセット(不図示)から転写材(記録媒体)が一枚ずつ送り出され、レジストローラ(不図示)まで搬送される。その時、レジストローラ(不図示)は停止されており、転写材の先端は2次転写部の直前で待機している。一方、各画像形成部1a、1b、1c、1dでは、開始信号が発せられると、各感光ドラム2a、2b、2c、2dが、所定のプロセススピードで回転し始める。各感光ドラム2a、2b、2c、2dは、それぞれ帯電ローラ3a、3b、3c、3dによって一様に、本実施例では負極性に帯電される。そして、露光手段7a、7b、7c、7dは、レーザ光を各感光ドラム2a、2b、2c、2d上にそれぞれ走査露光して静電潜像を形成する。
【0028】
そして、先ず感光ドラム2a上に形成された静電潜像に、感光ドラム2aの帯電極性(負極性)と同極性である現像電圧が印加された現像手段4aによりイエローのトナーを付着させて、トナー像として可視像化する。感光ドラムの電位は、帯電ローラにより帯電された後の電位が―500V、露光手段により露光された後の電位(画像部)が―100Vとなるよう帯電量、露光量を調整し、現像バイアスを―300Vとしている。また、プロセススピードを250mm/secとする。搬送方向(回転方向)と垂直方向の長さである画像形成幅は215mm、トナー帯電量は―40μC/g、画像ベタ部の感光ドラム上のトナー量は0.4mg/cm2となるよう設定している。
【0029】
このイエローのトナー像は、回転している中間転写ベルト8上に1次転写される。ここで、各感光ドラムに対向して、各感光ドラムからトナー像が転写される部を、1時転写部とする。この1次転写部は、複数の像担持体に対応する形で中間転写ベルト上に複数ある。本実施例は、中間転写ベルト8の外面に接触する電流供給部材から中間転写ベルト8の回転方向に流れる電流によって、1次転写を行う。(詳細は、後述する。)
電流供給部材は、図1で示すように、ベルトクリーニング装置75の中間転写ベルト8の回転方向下流側で、画像形成部1aの中間転写ベルト8の回転方向上流側に配置される。1次転写用の電流供給部材である1次転写給電ローラ31には、1次転写用の転写電源33を接続する。中間転写ベルト8を介して対応する位置に、1次転写給電対向ローラ32を配している。
【0030】
尚、図1では中間転写ベルト8を介して、各画像形成部の対向する位置に対向部材5a、5b、5c、5dを有する。対向する各感光ドラムに対して中間転写ベルト8を押圧する対向部材5a、5b、5c、5dによってニップを形成することで、ニップ幅を広く安定させることが可能である。本実施例では対向部材5a、5b、5c、5dは、1次転写用の電圧電源に接続される被印加部材ではなく、電気的に絶縁になるようにしている。図4のような被印加部材は、所望の電流が流れるように導電性を有しており、所望の導電性を有する為に被印加部材は抵抗調整が行われ、コストアップの要因になっている。
【0031】
イエローのトナー像が転写された領域は、中間転写ベルト8の回転によって画像形成部1b側に移動する。そして、画像形成部1bにおいても、同様にして感光ドラム2bに形成されたマゼンタのトナー像が、中間転写ベルト8上のイエローのトナー像上に重ね合わせて転写される。以下、同様にして中間転写ベルト8上に重畳転写されたイエロー、マゼンタのトナー像上に、画像形成部1c、1dの感光ドラム2c、2dで形成されたシアン、ブラックのトナー像を、順次重ね合わせてフルカラーのトナー像を中間転写ベルト8上に形成する。
【0032】
そして、中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像先端が2次転写部に移動されるタイミングに合わせて、レジストローラ(不図示)により転写材をこの2次転写部に搬送する。中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像が、2次転写電圧(トナーと逆極性(正極性)の電圧)が印加された2次転写ローラ15により転写材に一括して2次転写される。フルカラーのトナー像が形成された転写材は定着手段17に搬送される。定着ローラ17aと加圧ローラ17bによって形成される定着ニップ部で、フルカラーのトナー像は加熱加圧され、転写材P表面に熱定着された後に外部に排出される。
【0033】
本実施例は、各感光ドラム2a、2b、2c、2dから中間転写ベルト8にトナー像を転写する1次転写を、図4で示すように1次転写ローラ55a、55b、55c、55dに電圧を印加して行わないことを特徴とする。
【0034】
以下に、本実施例の特徴を説明するために、中間転写ベルト8の体積抵抗率、表面抵抗率、周方向抵抗について説明する。尚、周方向抵抗の定義と測定方法については後述する。
【0035】
[本実施例で使用される中間転写ベルト8の体積抵抗率、表面抵抗率]
本実施例の中間転写ベルト8は、厚み100μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂にカーボンを分散させて電気抵抗を調整したものを基層としている。尚、使用される樹脂は、ポリイミド(PI)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等でもよい。
【0036】
さらに、中間転写ベルト8は多層構成である。具体的には基層の外面には、厚み0.5〜3μmで高抵抗のアクリル樹脂の表層を設けている。表層の高抵抗層は、2次転写部の長手方向で通紙域と非通紙領域の電流差を少なくして小サイズ紙の2次転写性が良化する効果を得るためである。
【0037】
次にベルトの製造方法について説明する。本実施例では、インフレーション成形法による製造方法を用いている。基材となるPPSと、導電体粉であるカーボンブラックなどの配合成分を二軸混練機により溶融混練する。得られた混練物を環状ダイスによって押出し成形することによりベルトを製造している。
【0038】
表面コート層は、成形したエンドレスベルトの表面に紫外線硬化樹脂をスプレーコーティングし、乾燥後、紫外線照射により硬化させて形成している。コート層は厚すぎると、割れやすくなるため0.5〜3μmの範囲となるよう塗布量を調整している。
【0039】
本実施例では、導電体粉としてカーボンブラックを用いている。中間転写ベルト8の電気抵抗値を調節するために混合する添加剤は特に制限されるものではない。例えば、抵抗を調整する導電性フィラーとしてはカーボンブラックや各種の導電性金属酸化物等がある。非フィラー系抵抗調整剤としては各種金属塩やグリコール類等の低分子量のイオン導電材やエーテル結合や水酸基等を分子内に含んだ帯電防止樹脂または電子導電性を示す有機高分子化合物等である。
【0040】
添加するカーボン量を増やすとベルトは低抵抗化するが、増やしすぎるとベルト自体の強度が不足し、割れやすくなってくる。本実施例では、ベルト強度が画像形成装置に使用できる範囲内に収まる範囲内で、ベルトを低抵抗化している。
【0041】
本実施例の中間転写ベルトのヤング率は3000MPa程度である。ヤング率E測定は、JIS−K7127の引張弾性率測定方法に準拠し、測定試料の厚みは100μmとした。
【0042】
表1に、基体に対するカーボン量の相対比率を変更したベルトを示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1には、添加したカーボン量と表層コート層の有無を示している。例えば、ベルトBはベルトAに対してカーボン量が1.5倍、ベルトCはベルトAに対してカーボン量が2倍であることを示している。また、ベルトA、ベルトB、ベルトCには表層を設けており、ベルトD、ベルトEは単層のベルトである。ベルトBとベルトDのカーボン量の相対比率は同じで、ベルトCとベルトEのカーボン量の相対比率も同じである。
【0045】
また比較用のベルトとしてカーボン量の相対比率を変えて、抵抗調整したポリイミドの比較例ベルトを製法した。比較例ベルトは、カーボン量の相対比率が0.5であり、体積抵抗率も1010〜1011Ωcmである。この比較例ベルトは、中間転写ベルトに採用されるベルトとしては一般的な抵抗値を有するベルトである。
【0046】
以下に、比較例ベルトと、ベルトA〜Eの体積抵抗率、表面抵抗率の測定結果を示す。
【0047】
まず、前述の比較例ベルトおよびベルトA〜Eに対して、株式会社三菱化学アナリテック製の抵抗率計ハイレスタUP(MCP−HT450)を用いて測定した。測定した体積抵抗率、表面抵抗率(ベルトの外側表面)を表2に示す。測定方法は、JIS−K6911に準拠し、導電性ゴムを電極とすることで電極とベルトの表面の良好な接触性を得た上で測定した。測定条件は、印加時間を30秒間で、印加電圧を10V、100Vとしている。
【0048】
【表2】
【0049】
比較例ベルトは、印加電圧は100Vを印加した場合に、体積抵抗率が1.0×1010Ωcm、表面抵抗率が1.0×1010Ω/□である。しかしながら、比較例ベルトは印加電圧を10Vにすると流れる電流が小さすぎて体積抵抗率を測定できず、「over」と表示される。
【0050】
一方、ベルトB、C、Dは100V印加では、ベルトの抵抗が低いため流れる電流値が大きすぎて、体積抵抗率の測定不能を表すunderが表示される。ベルトBは、100V印加で表面抵抗率は2.0×108Ω/□であったが、ベルトC、Dは、100V印加した場合は、underと表示された。
【0051】
表2中で、ベルトAの印加電圧10Vの各体積抵抗率、表面抵抗率は測定不能である。また、100Vを印加した場合のベルトAと比較例ベルトの表面抵抗率を比較すると、ベルトAの方が高い。これはコート層の影響によるもので、高抵抗の表層コートを有するベルトAのほうが、表層コートを有していない比較例ベルトより抵抗が高いことが分かる。
【0052】
また、ベルトBとベルトD、ベルトCとベルトEを比較することで、コート層があることで、抵抗値が高くなっていることがわかる。また、ベルトBとベルトC、ベルトDとベルトEを比較することで、カーボン量を増やすと、抵抗値が低くなっていることがわかる。ベルトEでは抵抗が低すぎて、全ての項目が測定不能となっている。
【0053】
本実施例では、表2でunderと表示される範囲の中間転写ベルトを使用する必要がある。そこで、上記体積抵抗率、表面抵抗率以外で規定される中間転写ベルトの抵抗を測定した。その別の規定による中間転写ベルト8の抵抗が、上述の中間転写ベルトの周方向の電気抵抗である。
【0054】
[中間転写ベルトの周方向抵抗の求め方]
本実施例では、低抵抗化したベルトの抵抗値を図2で示す方法で測定している。図2(a)では、高圧電源(ここでは二次転写電源19を使用している)から外面ローラ15M(第1の金属ローラ)に一定電圧(測定用電圧)を印加した時に、画像形成部1dの感光ドラム2dM(第2の金属ローラ)に繋いだ電流検知手段である電流計へ流れる電流を検知する。この検知した電流値から、外面ローラ15Mが接触する位置から感光ドラム2dMが接触する位置の間の中間転写ベルト8の電気抵抗を求める方法を用いている。即ち、この方法によって中間転写ベルト8の周方向(回転方向)に流れる電流を測定し、その測定した電流値で測定用電圧を割ることで、ベルトの抵抗を算出している。この時、中間転写ベルト以外の抵抗の影響を無くすため、外面ローラ15M、感光ドラム2dMは金属(アルミニウム)のみからなるものを用い、金属ローラであることを示すために符号にM(Metal)を付加している。本実施例では、外面ローラ15Mの当接部−感光ドラム2dM間の距離は中間転写ベルト上面側が370mm、中間転写ベルト下面側が420mmである。
【0055】
以上の測定方法で、印加電圧を変更してベルトA〜Eを測定した結果が図3(a)である。この測定方法では中間転写ベルトの回転方向である周方向の抵抗を測定している。よって、本実施例では、この測定方法で測定した中間転写ベルトの抵抗を周方向抵抗[Ω]と称している。
【0056】
全てのベルトで印加電圧を上げていくと抵抗が少しずつ低下していく傾向があるが、これは樹脂にカーボンを分散したベルトの特徴である。
【0057】
尚、図2(b)は図2(a)に対して、電流計の位置のみを変えただけである。この時の抵抗測定結果は、図3とほぼ同じ結果であり、本実施例の測定方法は、電流計の位置によって変動しない。
【0058】
ベルトA〜Eでは、図2で示す方法で抵抗測定できるが、比較例ベルトでは抵抗測定できなかった。この理由は、比較例ベルトは、図4で示すような各1次転写ローラ55a、55b、55c、55dに夫々電圧電源が接続された構成の画像形成装置で使用されるベルトであるためである。
【0059】
図4の構成の画像形成装置では、隣り合う電圧電源が中間転写ベルトを介してお互いに流れ込む電流によって影響を受けないように(干渉しないように)、中間転写ベルトの体積抵抗、表面抵抗は高く設計されている。比較例ベルトは、各1次転写ローラ55a、55b、55c、55に電圧を印加しても各1次転写部間で干渉しない程度の抵抗を持つベルトであり、周方向に電流が流れにくい性能を持つベルトとして設計されている。比較例ベルトのようなベルトを高抵抗ベルト、ベルトA〜Eのような周方向に電流が流れるベルトを導電性ベルトと定義する。
【0060】
図3(b)は、図2(a)の測定方法で測定した電流をそのままプロットしたものである。前述の図3(a)の縦軸(抵抗[Ω])は、図3(b)の測定された電流値を印加電圧で割ることで換算した値である。
【0061】
図3(b)のように、比較例ベルトでは2000V印加しても周方向に電流は流れなかった。しかしながら、図3(b)に示すように、ベルトA〜Eでは、500v以下で50μA以上流れていることがわかる。本実施例で、中間転写ベルトとして使用するベルトは、上記周方向抵抗で104〜108Ωである。本実施例の画像形成装置であれば、周方向抵抗が104〜108Ωのものであれば、ベルトの周方向に電流が流れ易く、所望の1次転写性を確保するのに好ましい結果が得られた。
【0062】
次に、上記周方向抵抗が104〜108Ωである中間転写ベルト8のベルト表面電位について説明する。図5(a)にベルト表面電位の測定方法を示している。図中では4つの表面電位計で、4箇所の電位測定をしている。尚、図中の5dM、5aMは測定用の金属ローラである。
【0063】
表面電位計37aおよび測定プローブ38aは画像形成部1aの1次転写ローラ5aM(金属ローラ)の電位を測定している。測定器はトレック・ジャパン株式会社製表面電位計MODEL344を使用した。金属ローラは中間転写ベルト内面と同電位となるため、本方法で中間転写ベルト内面電位を測定することができる。同じく、表面電位計37dおよび測定プローブ38dは画像形成部1dの1次転写ローラ5dM(金属ローラ)の電位により中間転写ベルト内面の電位を測定している。
【0064】
また、表面電位計37eおよび測定プローブ38eは駆動ローラ11Mを対向にして中間転写ベルト外面電位を測定しており、表面電位計37fおよび測定プローブ38fはテンションローラ13を対向にして中間転写ベルト外面電位を測定している。また、駆動ローラ11M、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13には各々電気的な抵抗体であるRe、Rf、Rgを接続している。
【0065】
本測定方法で中間転写ベルトの電位を測定したところ、測定箇所による差はほぼ無く、ベルト電位は中間転写ベルト内でほぼ同電位であることがわかった。つまり本実施例で用いたベルトは、ある程度抵抗値を持つものの、導電性を有するベルトと考えて差し支えない。
【0066】
図6に中間転写ベルト電位の測定結果を示す。図6(a)はRe=Rf=Rg=1GΩの抵抗体を用いた場合の結果である。横軸は転写用の転写電源33に印加した電圧、縦軸は中間転写ベルトの電位であり、ベルトA〜Eでの結果を示している。
【0067】
また同様に、図6(b)はRe=Rf=Rg=100MΩ、図6(c)はRe=Rf=Rg=10MΩの場合の結果を示している。
【0068】
どのベルトも印加電圧を上げていくと、ベルト表面電位も上昇する。また、抵抗値を1GΩ、100MΩ、10MΩと下げていくと、ベルト表面電位は下降する。ここではRe、Rf、Rgの抵抗値を全て同じにしているが、どれか1つの抵抗値を下げると、その抵抗に従ってベルト表面電位が下がることが分かっている。
【0069】
また、比較例ベルトのように周方向に電流が流れない抵抗値の中間転写ベルトでは、上述のような方法でベルト表面電位を測定することはできない。図4で示すような各1次転写ローラに専用の電源9により電圧を印加する構成では、電位測定プローブを配置することができない。またベルト周方向の位置で電位が異なるため、支持ローラを対向にして電位測定プローブを配置して測定しても、1次転写部のベルトの表面電位を測定することはできないからである。
【0070】
次に、図7に基づき本実施例の構成で、感光ドラムから中間転写ベルトにトナー像を転写することができる理由を説明する。
【0071】
図7(a)は、1次転写部の電位関係を説明した図である。感光ドラムの電位は、トナー部(画像部)で―100V、中間転写ベルトの表面電位として+200Vの例を示している。感光ドラム上に現像された帯電量qをもつトナーは、感光ドラム電位と中間転写ベルト電位とにより形成された電界Eにより、中間転写ベルト方向の力Fを受けて1次転写される。
【0072】
次に、図7(b)は多重転写を説明した図である。多重転写とは、1度中間転写ベルト上に1次転写されたトナーの上に、さらに他色のトナーを重ねて1次転写することである。図7(b)では、トナーはマイナスに帯電されており、この1度転写されたトナーによりトナー表面の電位が+150Vとなっている例を示している。この場合、感光ドラム上のトナーは、感光ドラム電位とトナー表面電位とにより形成された電界E’により、中間転写ベルト方向の力F’を受けて1次転写される。
【0073】
図7(c)は、多重転写が終了したことを示している。
【0074】
このように、トナーを1次転写するにはトナーの帯電量と、感光ドラムと中間転写ベルトの電位差が関係しており、1次転写性を確保するには中間転写ベルト電位が一定以上必要であることがわかる。
【0075】
本実施例の前述の条件で、感光ドラム上に現像されたトナーを1次転写するのに必要な中間転写ベルト電位を検討すると、200V以上必要であることがわかった。
【0076】
図7(d)は、横軸に中間転写ベルト電位、縦軸に転写効率をプロットしたグラフである。転写効率とは、感光ドラム上に現像されたトナーが何%中間転写ベルト上に転写されたかを示す転写性の指標であり、通常95%以上あれば問題無く転写できていると判断する。図は中間転写ベルト電位200V以上で98%以上の良好な転写をしていることを示している。
【0077】
このとき、各画像形成部1a、1b、1c、1dでの感光ドラムと中間転写ベルトの電位差は全て同じである。つまり、感光ドラム電位―100Vと中間転写ベルト電位+200Vの電位差300Vが、各画像形成部1a、1b、1c、1dの1次転写部に形成されている。この電位差は、上記トナー3色分(単色ベタを100%として300%分)の多重転写に必要な電位差であり、従来の1次転写構成で各1次転写ローラに各々1次転写電圧を印加した場合とほぼ同等である。通常の画像形成装置は4色備えていても400%の画像形成することは無く、最大トナー量として、210〜280%程度で十分なフルカラー画像形成を行うことができている。
【0078】
よって、本実施例では、中間転写ベルトの表面電位が所定電位になるように中間転写ベルトの周方向に電流を流すことで、1次転写を可能としている。言い換えると、転写電源33は、中間転写ベルトの外面に接触する1次転写給電ローラ31から中間転写ベルトを介して複数の感光ドラムに対して電流を流すことで、1次転写をさせている。本実施例では、1次転写給電ローラ31に電圧を印加することによって、一つの転写電源で、1次転写を行うことが可能になる。
【0079】
1次転写給電ローラ31は、クリーニング手段75の中間転写ベルト8の回転方向の下流側に配置されているので、1次転写給電ローラ31に残留トナーや付着物が付着し難くなる。即ち、クリーニング手段75によって清掃され、トナーや付着物が付着していない中間転写ベルト8の表面に対して電流を供給できるので、安定して電流を供給することが可能である。
【0080】
図8(a)(b)(c)は、図6の中間転写ベルト電位に1次転写の成立の条件を付加したものである。図8の点線Aは、1次転写するのに必要な中間転写ベルト電位のラインである。図8(a)、(b)のように、1GΩ、100MΩの場合は、一定以上の印加電圧を印加することで、中間転写ベルトの表面電位が所定電位(本実施例では200V)以上になり、1次転写が良好となっている。図8(c)のように、10MΩの場合は、3000Vより大きな印加電圧を印加する必要がある。10MΩでも転写電圧を上げれば、1次転写が良好となるが、実際は支持ローラに電流を流しているので、より大容量の電源が必要となってしまう。また、このときの転写用の電圧電源から出力された1次転写電流は20μAであった。転写電圧が2kvの場合でも、1次転写給電ローラ31の弾性層の抵抗により実際に中間転写ベルトにかかる電圧は500v以下程度となる。この場合、図3(b)のように、ベルトに数100v電圧が印加されるとベルト周方向に十分電流が流れることがわかる。
【0081】
1次転写給電ローラ31に印加する印加電圧が数百v、転写電流が数十μAの転写構成において、ベルトの周方向抵抗が104〜108Ωで成立している。
【0082】
図9は、1次転写給電ローラ31から中間転写ベルトを流れる電流を模式的に示している。図9では、各支持ローラに抵抗体を接続している状態を抵抗体Re、Rf、Rgで説明している。図9の太い実線の矢印は、1次転写給電ローラ31から感光ドラム方向へ電流が流れていることを示している。太い破線の矢印は、支持ローラへ流れる電流を示しており、抵抗値Re、Rf、Rgが低いときに多く流れると上記説明したものである。各画像形成部1a、1b、1c、1dでの感光ドラムと中間転写ベルトの電位差は略同等であるため、各感光ドラムへ流れる電流も略同等となる。ただし、各画像形成部の感光ドラムの感光層の厚みばらつきなどにより静電容量がばらつくと、各感光ドラムへ流れる電流が多少ばらつくこともある。本実施例では、感光層の厚みが初期から通紙耐久後で10〜20μmの範囲であった。
【0083】
2次転写は、2次転写ローラ15に2次転写用の電圧電源19により2次転写電圧を印加することで、2次転写を実行している。本実施例の条件で、転写材として上質紙(坪量75g/m2)を用い、2次転写するのに必要な2次転写電圧は2kV以上である。
【0084】
次に、1次転写と2次転写のタイミングについて説明する。本実施例の画像形成装置では、1次転写部から2次転写部までは、図1のように、中間転写ベルト半周分離れているので、ベルト半周分の幅に画像1枚分を形成する。1次転写用の転写電源33は、1次転写を開始するタイミングで1次転写給電ローラ31に電圧の印加を開始し、1次転写終了後に印加を停止する。その後1次転写された中間転写体上のトナー像が2次転写部へ到達すると、レジストローラ(不図示)から供給された転写材が2次転写部へ来るタイミングと合わせて電圧電源19が2次転写電圧を印加する。そして、2次転写終了後に印加を停止する。
【0085】
連続プリントする場合は、前の画像形成の2次転写終了の後に、1次転写を行えるよう、帯電、現像のタイミングを合わせておく。こうすることで、1次転写と2次転写が同じタイミングにならないようにすることができる。即ち、1次転写給電ローラ31から中間転写ベルト8に供給される電流が、中間転写ベルト8の周方向に流れて2次転写部に流れ込むことを抑制することが可能である。
【0086】
また図10に示すように、各支持ローラに定電圧素子を接続して、転写電源33と2次転写電源19から電圧を同時に出力して、1次転写と2次転写を同時に行ってもよい。図10(a)は定電圧素子としてツェナーダイオードを各支持部材に接続した状態を説明する図、図10(b)は定電圧素子としてバリスタを各支持部材に接続した状態を説明する図である。
【0087】
ツェナーダイオードまたはバリスタの場合、ツェナー電位またはバリスタ電位を超えると電流が流れて、ツェナー電位またはバリスタ電位を保つ特性を持つ。このため、転写電源33と、2次転写電源19が同時に電圧を出力しても、ツェナー電位またはバリスタ電位以上にベルト電位が上昇することはない。このため、ベルト電位を一定に保つことができ、より1次転写性を安定させることができる。よって、各支持ローラに定電圧素子を接続することで、1次転写と2次転写を同時に行うことが可能である。本実施例では、ツェナー電位またはバリスタの電位を環境の影響を考慮して220vと設定している。
【0088】
また、図11(a)のように、2次転写電源19から、各1次転写部に電流を供給する構成であっても良い。この場合、2次転写ローラ15が、中間転写ベルト8の外面に接触する電流供給部材である。この構成であれば、2次転写と1次転写をするための電源を一つにすることが可能である。この場合でも、図11(b),(c)のように各支持ローラに定電圧素子を接続する構成であっても良い。定電圧素子を接続することで、中間転写ベルト8の表面電位が所定電位に保たれ、一次転写性を安定させることが可能である。
【0089】
さらに、導電性ベルトを中間転写ベルトとして用いる本実施例の画像形成装置では、1次転写部での再転写を抑制可能である。
【0090】
1次転写部で再転写の発生を抑制する理由について、ベルトから感光ドラム(具体的には、感光ドラムの芯金)に流入する電流(感光体流入電流)と、再転写の関係を、導電性ベルトと高抵抗ベルトを用いて考察した。
【0091】
図12(a)に、感光体流入電流と、転写残トナー量及び再転写トナー量の関係を示す。ここで図12の縦軸は、再転写によって中間転写ベルトから感光ドラムに移動した再転写トナー、又は、転写されずに感光体に残ってしまった転写残トナーの量を示すパラメータである。再転写トナーのパラメータは、感光ドラム上に再転写したトナーをニチバン社製セロテープ(登録商標)CT18で回収したものを転写材に貼りつけ、それをX−rite社製の分光濃度測定機で計測した値と、再転写が全く無い時に計測した値との差分値で示している。転写残トナーのパラメータに関しても同様に測定している。図12(b)に、転写電源の印加電圧と、転写残トナー量及び再転写トナー量の関係を示す。
【0092】
図12(a)、(b)からわかるように高抵抗ベルトにおいては、印加電圧を大きくすると再転写するトナーの量は大きくなる。一方、導電性ベルトにおいては、高抵抗ベルトに対して、同じ値の電圧を印加した場合でも再転写するトナー量は少ない傾向にある。図12(a)、(b)から、一定以下の感光体流入電流では再転写はほぼ発生していないことがしめされる。
【0093】
その理由について、説明する。再転写に関しては、1次転写部の中間転写ベルトと感光ドラムが接触する1次転写部で発生する放電現象によって引き起こされていると考えられている。放電に関しては、一般的にパッシェンの法則が知られている。感光ドラム表面と中間転写ベルト間の距離(ギャップ長)をdとしたときに、感光ドラムと中間転写ベルト間の電位差をVとする。このときVがパッシェンの閾値電圧V(d)を上回れば放電が発生し、下回れば放電は発生しない。
【0094】
よって、再転写の発生を抑制するには、1次転写部における電位差Vを閾値電圧V(d)より小さくすることで放電の発生を抑制し、トナーの極性が反転することを防止すればよい。
【0095】
図13は、図1、図4で示す画像形成装置の1次転写部の拡大図である。(図13(a)が、図1の1次転写部の拡大図、図13(b)が1次転写部の図4の拡大図である。)
上述のように図13(a)の中間転写ベルト8は導電性ベルトであり、ベルトの表面電位が中間転写ベルト8の周方向に亘って、略等電位である。その為、1次転写部の上流側(8a)から放電が開始される。その際、上流の画像形成部で既に中間転写ベルトに1次転写されたトナーは、次の画像形成部の1次転写部の上流側で放電を受ける。また、感光ドラムの表面はネガ(負極性)に帯電しており、ベルト表面上はポジ(正極性)に帯電している。よってベルト上のトナーにはマイナス電荷を持つ電子が衝突してくる為、ベルト上のトナーはより負極性に帯電する。中間転写ベルト上に転写されたトナーが下流の画像形成部の1次転写部を通過する前後でのQ/M=粒子トリボ÷粒子重量の値を調べてみると、感光ドラム通過後の方が、Q/Mの値が高い方にシフトしていることが確かめられている。
【0096】
一方、感光ドラム表面上では放電を受けると電位が上昇するので(正極性側に帯電されるので)、ベルトとの電位差は低下する。そのため、1次転写部に到達するまでに、中間転写ベルトと感光ドラムの電位差の低下の度合いが大きく、1次転写部内に形成される電位差は、パッシェン放電閾値以下になる。そのため、1次転写部内で放電が発生し難くなる。本発明者の検討によると、放電を受ける前の感光体電位は―500Vであり、中間転写ベルト電位は+400Vである。放電を受けた後の電位は―100Vとなり、中間転写ベルト電位との電位差は+500Vとなる。この値はパッシェンの放電閾値以下である。
【0097】
図13(b)の中間転写ベルト8は高抵抗ベルトであり、ベルトの表面電位が中間転写ベルト8の周方向に亘って略等電位にならない。その為、高抵抗ベルトにおいてはニップ上流8aで放電は始まるものの、ベルト電位と感光ドラム表面との電位差を放電閾値以下にするほどの放電はまず起こらない。放電が発生するとその分感光体電位は上昇するが、高抵抗ベルトではニップ上流での放電が少ない為にこの上昇幅が小さい。その為、1次転写部8b及び1次転写部下流8cにおいても放電が継続する。
【0098】
図14は、導電性と高抵抗の中間転写ベルトの1次転写部での放電の様子を高速度カメラで撮影した画像である。図14(a)は、高抵抗ベルトを撮影した画像であり、図14(b)は、導電性ベルトを撮影した画像である。画像は、ガラス面上に中間転写ベルト8を当接させ、そのニップ部周辺をホソカワミクロン社製高速度カメラによって撮影したものである。
【0099】
図14において画像中白くなっている部分が放電による発光部位を示している。高抵抗ベルトにおいては1次転写ニップ上流及び下流において放電が観測されるのに対し、導電性ベルトにおいては上流のみで放電が発生していることがわかる。
【0100】
このように、本実施例の構成によれば、導電性ベルトを用い、中間転写ベルト8に接触する電流供給部材から中間転写ベルトを介して各感光ドラムへ転写電流を流すことで、1次転写を成立させることができる。このことにより、1次転写用の電圧電源数を減らすことができ、画像形成装置の低コスト化、小型化を図ることができる。さらに、導電性ベルトによって、1次転写部の上流側で放電を発生させることによって、再転写を抑制させることが可能になる。
【0101】
本実施例では、電流供給部材を中間転写ベルトの外面に接触する1次給電ローラ32、2次転写ローラ15で説明したが、図15に示すように、内面に1次転写給電ローラ32を接触させる構成であってもよい。転写電源33を、複数の支持ローラのどれか一つに接続する構成であってもよい。
【0102】
また、電流供給部材に供給する電圧は、1次転写性能が十分発揮できるのであれば、定電圧制御、定電流制御および両制御の併用のどれを用いても良い。
【0103】
さらに、中間転写ベルトは、PPSにカーボンを添加して導電性を持たせているが、これに限るものではなく、他の樹脂や金属等でも本例と同等の導電性があれば同様の効果を期待することができる。また、単層および2層の中間転写ベルトを用いたが、弾性層を設けるなどした3層以上のベルトでも前記周方向抵抗であれば、同様の効果を期待することができる。
【0104】
2層の中間転写ベルトは、基層を成形したあとコートすることで製造しているが、一体成型する等、抵抗値が前述の条件を満たしていれば製造方法はこれに限るものではない。
【符号の説明】
【0105】
1a〜1d 画像形成部
2a〜2d 感光ドラム(像担持体)
5a〜5d 対向部材
8 中間転写ベルト
12 2次転写対向ローラ
31 電流供給部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のカラー画像形成装置では、高速に印刷するために、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するための各色の画像形成部を独立して有し、各色の画像形成部から順次中間転写ベルトに画像を転写し、更に中間転写ベルトから記録媒体に一括して画像を転写する構成が知られている。
【0003】
各色の画像形成部は、それぞれ像担持体としての感光ドラムを有している。さらに、各画像形成部は、感光ドラムを帯電する帯電部材、感光ドラムにトナー像を現像する現像手段、を有している。各画像形成部の帯電部材は、それぞれ感光ドラムに所定の圧接力で接触し、帯電用の電圧電源(不図示)から印加される帯電電圧によって各感光ドラムの表面を所定の極性、電位に均一に帯電する。
【0004】
各画像形成部の現像手段は、それぞれ感光ドラム上に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像(可視像化)する。
【0005】
各画像形成部の感光ドラムに現像されたトナー像は、各感光ドラムに中間転写ベルトを介して対向する1次転写部材である1次転写ローラによって、中間転写ベルトに1次転写される。各1次転写ローラは、それぞれ1次転写専用の電圧電源がそれぞれ接続されている。
【0006】
中間転写ベルトに1次転写されたトナー像は、2次転写部材によって転写材に2次転写される。2次転写部材である2次転写ローラには、2次転写専用の電圧電源が接続されている。
【0007】
特許文献1には、4つの1次転写ローラにそれぞれ1次転写専用の電圧電源を接続し、1次転写専用の電圧電源を4つ有する構成が開示されている。また、特許文献2には、それぞれの1次転写ローラに印加する転写電圧を、画像形成動作の前に、中間転写ベルトおよび1次転写ローラの通紙耐久や環境変動による抵抗変動が応じて変更する制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−35986号公報
【特許文献2】特開2001−125338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来から知られている中間転写ベルトを使用した画像形成装置には、以下の課題がある。
【0010】
一列に配列された複数の感光ドラムから中間転写ベルトにトナー像を1次転写する構成において、中間転写ベルトと感光ドラムで形成される1次転写部内で発生する放電によって、既に中間転写ベルトに転写されたトナーの極性が反転する場合がある。極性が反転したトナーが、中間転写ベルトから感光ドラムに移動してしまう再転写という現象がある。
【0011】
具体的には、フルカラー画像を出力する場合、中間転写ベルト上に転写されている1色目のトナーは、静電的に中間転写ベルトに吸着している。しかし、1色目のトナー像が2色目以降の感光ドラムと中間転写ベルトの間隙を通過する際、これらの感光ドラムに1色目のトナーの一部が再転写してしまう。再転写が発生すると、画像ムラや濃度低下、などの問題が生じる。1次転写部材に印加する電圧を小さくすることで、1次転写部の電位差を小さくすることが可能になり、再転写の発生を抑制することが可能になる。
【0012】
しかしながら、1次転写部の電位差を小さくすると1次転写効率が低下する傾向にあり、そのため、再転写を抑制するために設定可能な1次転写の電圧の設定が難しいという課題がある。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、1次転写部材に電圧を印加するための電圧電源数を減らしつつ、再転写の発生を抑制する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述の課題を解決するために、本願発明は以下の構成を備える。
【0015】
トナー像を担持する複数の像担持体と、無端状で回転可能であって、前記複数の像担持体から1次転写されたトナー像を転写材に2次転写するための中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトに接触する電流供給部材と、前記電流供給部材に電圧を印加する電源と、を有し、前記中間転写ベルトは、前記中間転写ベルトの回転方向における前記電流供給部材の接触位置から前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体へ電流を流すことが可能な導電性を備えるベルトであり、前記電源は、前記電流供給部材に電圧を印加することにより前記電流供給部材から前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体に電流を流すことで、前記中間転写ベルトの回転方向における複数の前記1次転写部それぞれにおける前記中間転写ベルトと前記像担持体の接触領域の上流側端部よりも上流側で前記像担持体と前記中間転写ベルトの間に放電を発生させ、前記接触領域における前記像担持体と前記中間転写ベルトの間の電位差をパッシェンの放電閾値より小さくすることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0016】
電流供給部材から中間転写ベルトの周方向に電流を供給することによって、一次転写部よりも中間転写ベルトの回転方向上流において放電を発生させ、再転写を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像形成装置を示す概略断面図。
【図2】本発明の中間転写ベルトの周方向抵抗測定方法を説明する概略断面図。
【図3】中間転写ベルトの周方向抵抗測定結果を説明する説明図。
【図4】各画像形成部に1次転写専用の転写電源を有する画像形成装置を示す概略断面図。
【図5】中間転写ベルトの電位測定方法を説明する概略断面図。
【図6】中間転写ベルトの電位測定結果を説明する説明図。
【図7】本発明の1次転写を説明する説明図。
【図8】中間転写ベルトの電位測定結果と1次転写可能領域の関係を説明する説明図。
【図9】中間転写ベルトの回転方向に流れる電流を説明する概略断面図。
【図10】支持部材にツェナーダイオードまたはバリスタを接続した状態を説明する概略断面図。
【図11】電流供給部材として2次転写ローラ15を使用した状態を説明する概略断面図。
【図12】感光体流入電流と転写残トナー量及び再転写トナー量、又は、印加電圧と転写残トナー量及び再転写トナー量を説明する図。
【図13】1次転写部の拡大断面図。
【図14】1次転写部での放電の様子を説明する図。
【図15】本発明の他の画像形成装置を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例1)
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
図1は、インライン方式(4ドラム系)のカラー画像形成装置の構成図である。画像形成装置は、イエロー色の画像を形成する画像形成部1aと、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部1bと、シアン色の画像を形成する画像形成部1cと、ブラック色の画像を形成する画像形成部1dの4つの画像形成部(画像形成ユニット)を備えている。これらの4つの画像形成部は一定の間隔をおいて一列に配置されている。
【0020】
各画像形成部1a、1b、1c、1dには、それぞれ像担持体である感光ドラム2a、2b、2c、2dが配置されている。感光ドラム2a、2b、2c、2dは、本実施例では負帯電の有機感光体でアルミニウム等のドラム基体(不図示)上に感光層(不図示)を有しており、駆動部(不図示)によって所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0021】
各感光ドラム2a、2b、2c、2dの周囲には、帯電部材である帯電ローラ3a、3b、3c、3d、現像手段4a、4b、4c、4dがそれぞれ配置されている。さらに、各感光ドラム2a、2b、2c、2dの周囲には、ドラムクリーニング装置6a、6b、6c、6dがそれぞれ設置されている。さらに、各感光ドラム2a、2b、2c、2dの上方には、露光手段7a、7b、7c、7dがそれぞれ設置されている。各現像手段4a、4b、4c、4dには、それぞれイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、ブラックトナーが収納されている。本実施例のトナーの正規の帯電極性は、負極性である。
【0022】
各画像形成部の対向する位置に、中間転写体であって、回転可能な無端状の中間転写ベルト8が設置されている。中間転写ベルト8は、駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13によって支持されている(以上の3本のローラを、「支持部材」とする。)モータ(不図示)が接続された駆動ローラ11の駆動によって、中間転写ベルト8は、矢印方向(反時計方向)に回転(移動)される。以下、中間転写ベルト8の回転方向を中間転写ベルト8の周方向とする。駆動ローラ11は、中間転写ベルト8を駆動するために表層に高摩擦のゴム層を設け、ゴム層を体積抵抗率が105Ωcm以下の導電性を有する。2次転写対向ローラ12は、中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ15と当接して2次転写部を形成している。2次転写対向ローラ12は、表層にゴム層を設け、ゴム層を体積抵抗率が105Ωcm以下の導電性とした。テンションローラ13は、金属ローラからなり、総圧約60Nの張力を中間転写ベルト8に付与し、中間転写ベルト8に従動して回転する。
【0023】
駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13は、所定の抵抗値の抵抗体を介して接地している。本実施例では、抵抗体の抵抗値は1GΩ、100MΩ、10MΩと3種類を使用している。駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12の各ゴム層の抵抗は、1GΩ、100MΩ、10MΩに比べて十分小さいため、電気的影響を無視することができる。
【0024】
2次転写ローラ15としては、体積抵抗率が107〜109Ωcm、ゴム硬度が30°(アスカーC硬度計)の弾性ローラを用いた。又、2次転写ローラ15は、中間転写ベルト8を介して2次転写対向ローラ12に対し、総圧約39.2Nで押圧される。又、2次転写ローラ15は、中間転写ベルト8の回転に伴い、従動して回転する。更に、2次転写ローラ15には、2次転写電源19から、−2.0〜7.0kVの電圧の印加が可能となっている。
【0025】
中間転写ベルト8の外側には、中間転写ベルト8表面に残った転写残トナーを除去して回収するベルトクリーニング手段75が設置されている。また、中間転写ベルト8の回転方向において、2次転写対向ローラ12と2次転写ローラ15とが当接する2次転写部の下流側には、定着ローラ17aと加圧ローラ17bを有する定着手段17が設置されている。
【0026】
次に、画像形成動作について説明する。
【0027】
コントローラから画像形成動作を開始するための開始信号が発せられると、カセット(不図示)から転写材(記録媒体)が一枚ずつ送り出され、レジストローラ(不図示)まで搬送される。その時、レジストローラ(不図示)は停止されており、転写材の先端は2次転写部の直前で待機している。一方、各画像形成部1a、1b、1c、1dでは、開始信号が発せられると、各感光ドラム2a、2b、2c、2dが、所定のプロセススピードで回転し始める。各感光ドラム2a、2b、2c、2dは、それぞれ帯電ローラ3a、3b、3c、3dによって一様に、本実施例では負極性に帯電される。そして、露光手段7a、7b、7c、7dは、レーザ光を各感光ドラム2a、2b、2c、2d上にそれぞれ走査露光して静電潜像を形成する。
【0028】
そして、先ず感光ドラム2a上に形成された静電潜像に、感光ドラム2aの帯電極性(負極性)と同極性である現像電圧が印加された現像手段4aによりイエローのトナーを付着させて、トナー像として可視像化する。感光ドラムの電位は、帯電ローラにより帯電された後の電位が―500V、露光手段により露光された後の電位(画像部)が―100Vとなるよう帯電量、露光量を調整し、現像バイアスを―300Vとしている。また、プロセススピードを250mm/secとする。搬送方向(回転方向)と垂直方向の長さである画像形成幅は215mm、トナー帯電量は―40μC/g、画像ベタ部の感光ドラム上のトナー量は0.4mg/cm2となるよう設定している。
【0029】
このイエローのトナー像は、回転している中間転写ベルト8上に1次転写される。ここで、各感光ドラムに対向して、各感光ドラムからトナー像が転写される部を、1時転写部とする。この1次転写部は、複数の像担持体に対応する形で中間転写ベルト上に複数ある。本実施例は、中間転写ベルト8の外面に接触する電流供給部材から中間転写ベルト8の回転方向に流れる電流によって、1次転写を行う。(詳細は、後述する。)
電流供給部材は、図1で示すように、ベルトクリーニング装置75の中間転写ベルト8の回転方向下流側で、画像形成部1aの中間転写ベルト8の回転方向上流側に配置される。1次転写用の電流供給部材である1次転写給電ローラ31には、1次転写用の転写電源33を接続する。中間転写ベルト8を介して対応する位置に、1次転写給電対向ローラ32を配している。
【0030】
尚、図1では中間転写ベルト8を介して、各画像形成部の対向する位置に対向部材5a、5b、5c、5dを有する。対向する各感光ドラムに対して中間転写ベルト8を押圧する対向部材5a、5b、5c、5dによってニップを形成することで、ニップ幅を広く安定させることが可能である。本実施例では対向部材5a、5b、5c、5dは、1次転写用の電圧電源に接続される被印加部材ではなく、電気的に絶縁になるようにしている。図4のような被印加部材は、所望の電流が流れるように導電性を有しており、所望の導電性を有する為に被印加部材は抵抗調整が行われ、コストアップの要因になっている。
【0031】
イエローのトナー像が転写された領域は、中間転写ベルト8の回転によって画像形成部1b側に移動する。そして、画像形成部1bにおいても、同様にして感光ドラム2bに形成されたマゼンタのトナー像が、中間転写ベルト8上のイエローのトナー像上に重ね合わせて転写される。以下、同様にして中間転写ベルト8上に重畳転写されたイエロー、マゼンタのトナー像上に、画像形成部1c、1dの感光ドラム2c、2dで形成されたシアン、ブラックのトナー像を、順次重ね合わせてフルカラーのトナー像を中間転写ベルト8上に形成する。
【0032】
そして、中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像先端が2次転写部に移動されるタイミングに合わせて、レジストローラ(不図示)により転写材をこの2次転写部に搬送する。中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像が、2次転写電圧(トナーと逆極性(正極性)の電圧)が印加された2次転写ローラ15により転写材に一括して2次転写される。フルカラーのトナー像が形成された転写材は定着手段17に搬送される。定着ローラ17aと加圧ローラ17bによって形成される定着ニップ部で、フルカラーのトナー像は加熱加圧され、転写材P表面に熱定着された後に外部に排出される。
【0033】
本実施例は、各感光ドラム2a、2b、2c、2dから中間転写ベルト8にトナー像を転写する1次転写を、図4で示すように1次転写ローラ55a、55b、55c、55dに電圧を印加して行わないことを特徴とする。
【0034】
以下に、本実施例の特徴を説明するために、中間転写ベルト8の体積抵抗率、表面抵抗率、周方向抵抗について説明する。尚、周方向抵抗の定義と測定方法については後述する。
【0035】
[本実施例で使用される中間転写ベルト8の体積抵抗率、表面抵抗率]
本実施例の中間転写ベルト8は、厚み100μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂にカーボンを分散させて電気抵抗を調整したものを基層としている。尚、使用される樹脂は、ポリイミド(PI)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等でもよい。
【0036】
さらに、中間転写ベルト8は多層構成である。具体的には基層の外面には、厚み0.5〜3μmで高抵抗のアクリル樹脂の表層を設けている。表層の高抵抗層は、2次転写部の長手方向で通紙域と非通紙領域の電流差を少なくして小サイズ紙の2次転写性が良化する効果を得るためである。
【0037】
次にベルトの製造方法について説明する。本実施例では、インフレーション成形法による製造方法を用いている。基材となるPPSと、導電体粉であるカーボンブラックなどの配合成分を二軸混練機により溶融混練する。得られた混練物を環状ダイスによって押出し成形することによりベルトを製造している。
【0038】
表面コート層は、成形したエンドレスベルトの表面に紫外線硬化樹脂をスプレーコーティングし、乾燥後、紫外線照射により硬化させて形成している。コート層は厚すぎると、割れやすくなるため0.5〜3μmの範囲となるよう塗布量を調整している。
【0039】
本実施例では、導電体粉としてカーボンブラックを用いている。中間転写ベルト8の電気抵抗値を調節するために混合する添加剤は特に制限されるものではない。例えば、抵抗を調整する導電性フィラーとしてはカーボンブラックや各種の導電性金属酸化物等がある。非フィラー系抵抗調整剤としては各種金属塩やグリコール類等の低分子量のイオン導電材やエーテル結合や水酸基等を分子内に含んだ帯電防止樹脂または電子導電性を示す有機高分子化合物等である。
【0040】
添加するカーボン量を増やすとベルトは低抵抗化するが、増やしすぎるとベルト自体の強度が不足し、割れやすくなってくる。本実施例では、ベルト強度が画像形成装置に使用できる範囲内に収まる範囲内で、ベルトを低抵抗化している。
【0041】
本実施例の中間転写ベルトのヤング率は3000MPa程度である。ヤング率E測定は、JIS−K7127の引張弾性率測定方法に準拠し、測定試料の厚みは100μmとした。
【0042】
表1に、基体に対するカーボン量の相対比率を変更したベルトを示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1には、添加したカーボン量と表層コート層の有無を示している。例えば、ベルトBはベルトAに対してカーボン量が1.5倍、ベルトCはベルトAに対してカーボン量が2倍であることを示している。また、ベルトA、ベルトB、ベルトCには表層を設けており、ベルトD、ベルトEは単層のベルトである。ベルトBとベルトDのカーボン量の相対比率は同じで、ベルトCとベルトEのカーボン量の相対比率も同じである。
【0045】
また比較用のベルトとしてカーボン量の相対比率を変えて、抵抗調整したポリイミドの比較例ベルトを製法した。比較例ベルトは、カーボン量の相対比率が0.5であり、体積抵抗率も1010〜1011Ωcmである。この比較例ベルトは、中間転写ベルトに採用されるベルトとしては一般的な抵抗値を有するベルトである。
【0046】
以下に、比較例ベルトと、ベルトA〜Eの体積抵抗率、表面抵抗率の測定結果を示す。
【0047】
まず、前述の比較例ベルトおよびベルトA〜Eに対して、株式会社三菱化学アナリテック製の抵抗率計ハイレスタUP(MCP−HT450)を用いて測定した。測定した体積抵抗率、表面抵抗率(ベルトの外側表面)を表2に示す。測定方法は、JIS−K6911に準拠し、導電性ゴムを電極とすることで電極とベルトの表面の良好な接触性を得た上で測定した。測定条件は、印加時間を30秒間で、印加電圧を10V、100Vとしている。
【0048】
【表2】
【0049】
比較例ベルトは、印加電圧は100Vを印加した場合に、体積抵抗率が1.0×1010Ωcm、表面抵抗率が1.0×1010Ω/□である。しかしながら、比較例ベルトは印加電圧を10Vにすると流れる電流が小さすぎて体積抵抗率を測定できず、「over」と表示される。
【0050】
一方、ベルトB、C、Dは100V印加では、ベルトの抵抗が低いため流れる電流値が大きすぎて、体積抵抗率の測定不能を表すunderが表示される。ベルトBは、100V印加で表面抵抗率は2.0×108Ω/□であったが、ベルトC、Dは、100V印加した場合は、underと表示された。
【0051】
表2中で、ベルトAの印加電圧10Vの各体積抵抗率、表面抵抗率は測定不能である。また、100Vを印加した場合のベルトAと比較例ベルトの表面抵抗率を比較すると、ベルトAの方が高い。これはコート層の影響によるもので、高抵抗の表層コートを有するベルトAのほうが、表層コートを有していない比較例ベルトより抵抗が高いことが分かる。
【0052】
また、ベルトBとベルトD、ベルトCとベルトEを比較することで、コート層があることで、抵抗値が高くなっていることがわかる。また、ベルトBとベルトC、ベルトDとベルトEを比較することで、カーボン量を増やすと、抵抗値が低くなっていることがわかる。ベルトEでは抵抗が低すぎて、全ての項目が測定不能となっている。
【0053】
本実施例では、表2でunderと表示される範囲の中間転写ベルトを使用する必要がある。そこで、上記体積抵抗率、表面抵抗率以外で規定される中間転写ベルトの抵抗を測定した。その別の規定による中間転写ベルト8の抵抗が、上述の中間転写ベルトの周方向の電気抵抗である。
【0054】
[中間転写ベルトの周方向抵抗の求め方]
本実施例では、低抵抗化したベルトの抵抗値を図2で示す方法で測定している。図2(a)では、高圧電源(ここでは二次転写電源19を使用している)から外面ローラ15M(第1の金属ローラ)に一定電圧(測定用電圧)を印加した時に、画像形成部1dの感光ドラム2dM(第2の金属ローラ)に繋いだ電流検知手段である電流計へ流れる電流を検知する。この検知した電流値から、外面ローラ15Mが接触する位置から感光ドラム2dMが接触する位置の間の中間転写ベルト8の電気抵抗を求める方法を用いている。即ち、この方法によって中間転写ベルト8の周方向(回転方向)に流れる電流を測定し、その測定した電流値で測定用電圧を割ることで、ベルトの抵抗を算出している。この時、中間転写ベルト以外の抵抗の影響を無くすため、外面ローラ15M、感光ドラム2dMは金属(アルミニウム)のみからなるものを用い、金属ローラであることを示すために符号にM(Metal)を付加している。本実施例では、外面ローラ15Mの当接部−感光ドラム2dM間の距離は中間転写ベルト上面側が370mm、中間転写ベルト下面側が420mmである。
【0055】
以上の測定方法で、印加電圧を変更してベルトA〜Eを測定した結果が図3(a)である。この測定方法では中間転写ベルトの回転方向である周方向の抵抗を測定している。よって、本実施例では、この測定方法で測定した中間転写ベルトの抵抗を周方向抵抗[Ω]と称している。
【0056】
全てのベルトで印加電圧を上げていくと抵抗が少しずつ低下していく傾向があるが、これは樹脂にカーボンを分散したベルトの特徴である。
【0057】
尚、図2(b)は図2(a)に対して、電流計の位置のみを変えただけである。この時の抵抗測定結果は、図3とほぼ同じ結果であり、本実施例の測定方法は、電流計の位置によって変動しない。
【0058】
ベルトA〜Eでは、図2で示す方法で抵抗測定できるが、比較例ベルトでは抵抗測定できなかった。この理由は、比較例ベルトは、図4で示すような各1次転写ローラ55a、55b、55c、55dに夫々電圧電源が接続された構成の画像形成装置で使用されるベルトであるためである。
【0059】
図4の構成の画像形成装置では、隣り合う電圧電源が中間転写ベルトを介してお互いに流れ込む電流によって影響を受けないように(干渉しないように)、中間転写ベルトの体積抵抗、表面抵抗は高く設計されている。比較例ベルトは、各1次転写ローラ55a、55b、55c、55に電圧を印加しても各1次転写部間で干渉しない程度の抵抗を持つベルトであり、周方向に電流が流れにくい性能を持つベルトとして設計されている。比較例ベルトのようなベルトを高抵抗ベルト、ベルトA〜Eのような周方向に電流が流れるベルトを導電性ベルトと定義する。
【0060】
図3(b)は、図2(a)の測定方法で測定した電流をそのままプロットしたものである。前述の図3(a)の縦軸(抵抗[Ω])は、図3(b)の測定された電流値を印加電圧で割ることで換算した値である。
【0061】
図3(b)のように、比較例ベルトでは2000V印加しても周方向に電流は流れなかった。しかしながら、図3(b)に示すように、ベルトA〜Eでは、500v以下で50μA以上流れていることがわかる。本実施例で、中間転写ベルトとして使用するベルトは、上記周方向抵抗で104〜108Ωである。本実施例の画像形成装置であれば、周方向抵抗が104〜108Ωのものであれば、ベルトの周方向に電流が流れ易く、所望の1次転写性を確保するのに好ましい結果が得られた。
【0062】
次に、上記周方向抵抗が104〜108Ωである中間転写ベルト8のベルト表面電位について説明する。図5(a)にベルト表面電位の測定方法を示している。図中では4つの表面電位計で、4箇所の電位測定をしている。尚、図中の5dM、5aMは測定用の金属ローラである。
【0063】
表面電位計37aおよび測定プローブ38aは画像形成部1aの1次転写ローラ5aM(金属ローラ)の電位を測定している。測定器はトレック・ジャパン株式会社製表面電位計MODEL344を使用した。金属ローラは中間転写ベルト内面と同電位となるため、本方法で中間転写ベルト内面電位を測定することができる。同じく、表面電位計37dおよび測定プローブ38dは画像形成部1dの1次転写ローラ5dM(金属ローラ)の電位により中間転写ベルト内面の電位を測定している。
【0064】
また、表面電位計37eおよび測定プローブ38eは駆動ローラ11Mを対向にして中間転写ベルト外面電位を測定しており、表面電位計37fおよび測定プローブ38fはテンションローラ13を対向にして中間転写ベルト外面電位を測定している。また、駆動ローラ11M、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13には各々電気的な抵抗体であるRe、Rf、Rgを接続している。
【0065】
本測定方法で中間転写ベルトの電位を測定したところ、測定箇所による差はほぼ無く、ベルト電位は中間転写ベルト内でほぼ同電位であることがわかった。つまり本実施例で用いたベルトは、ある程度抵抗値を持つものの、導電性を有するベルトと考えて差し支えない。
【0066】
図6に中間転写ベルト電位の測定結果を示す。図6(a)はRe=Rf=Rg=1GΩの抵抗体を用いた場合の結果である。横軸は転写用の転写電源33に印加した電圧、縦軸は中間転写ベルトの電位であり、ベルトA〜Eでの結果を示している。
【0067】
また同様に、図6(b)はRe=Rf=Rg=100MΩ、図6(c)はRe=Rf=Rg=10MΩの場合の結果を示している。
【0068】
どのベルトも印加電圧を上げていくと、ベルト表面電位も上昇する。また、抵抗値を1GΩ、100MΩ、10MΩと下げていくと、ベルト表面電位は下降する。ここではRe、Rf、Rgの抵抗値を全て同じにしているが、どれか1つの抵抗値を下げると、その抵抗に従ってベルト表面電位が下がることが分かっている。
【0069】
また、比較例ベルトのように周方向に電流が流れない抵抗値の中間転写ベルトでは、上述のような方法でベルト表面電位を測定することはできない。図4で示すような各1次転写ローラに専用の電源9により電圧を印加する構成では、電位測定プローブを配置することができない。またベルト周方向の位置で電位が異なるため、支持ローラを対向にして電位測定プローブを配置して測定しても、1次転写部のベルトの表面電位を測定することはできないからである。
【0070】
次に、図7に基づき本実施例の構成で、感光ドラムから中間転写ベルトにトナー像を転写することができる理由を説明する。
【0071】
図7(a)は、1次転写部の電位関係を説明した図である。感光ドラムの電位は、トナー部(画像部)で―100V、中間転写ベルトの表面電位として+200Vの例を示している。感光ドラム上に現像された帯電量qをもつトナーは、感光ドラム電位と中間転写ベルト電位とにより形成された電界Eにより、中間転写ベルト方向の力Fを受けて1次転写される。
【0072】
次に、図7(b)は多重転写を説明した図である。多重転写とは、1度中間転写ベルト上に1次転写されたトナーの上に、さらに他色のトナーを重ねて1次転写することである。図7(b)では、トナーはマイナスに帯電されており、この1度転写されたトナーによりトナー表面の電位が+150Vとなっている例を示している。この場合、感光ドラム上のトナーは、感光ドラム電位とトナー表面電位とにより形成された電界E’により、中間転写ベルト方向の力F’を受けて1次転写される。
【0073】
図7(c)は、多重転写が終了したことを示している。
【0074】
このように、トナーを1次転写するにはトナーの帯電量と、感光ドラムと中間転写ベルトの電位差が関係しており、1次転写性を確保するには中間転写ベルト電位が一定以上必要であることがわかる。
【0075】
本実施例の前述の条件で、感光ドラム上に現像されたトナーを1次転写するのに必要な中間転写ベルト電位を検討すると、200V以上必要であることがわかった。
【0076】
図7(d)は、横軸に中間転写ベルト電位、縦軸に転写効率をプロットしたグラフである。転写効率とは、感光ドラム上に現像されたトナーが何%中間転写ベルト上に転写されたかを示す転写性の指標であり、通常95%以上あれば問題無く転写できていると判断する。図は中間転写ベルト電位200V以上で98%以上の良好な転写をしていることを示している。
【0077】
このとき、各画像形成部1a、1b、1c、1dでの感光ドラムと中間転写ベルトの電位差は全て同じである。つまり、感光ドラム電位―100Vと中間転写ベルト電位+200Vの電位差300Vが、各画像形成部1a、1b、1c、1dの1次転写部に形成されている。この電位差は、上記トナー3色分(単色ベタを100%として300%分)の多重転写に必要な電位差であり、従来の1次転写構成で各1次転写ローラに各々1次転写電圧を印加した場合とほぼ同等である。通常の画像形成装置は4色備えていても400%の画像形成することは無く、最大トナー量として、210〜280%程度で十分なフルカラー画像形成を行うことができている。
【0078】
よって、本実施例では、中間転写ベルトの表面電位が所定電位になるように中間転写ベルトの周方向に電流を流すことで、1次転写を可能としている。言い換えると、転写電源33は、中間転写ベルトの外面に接触する1次転写給電ローラ31から中間転写ベルトを介して複数の感光ドラムに対して電流を流すことで、1次転写をさせている。本実施例では、1次転写給電ローラ31に電圧を印加することによって、一つの転写電源で、1次転写を行うことが可能になる。
【0079】
1次転写給電ローラ31は、クリーニング手段75の中間転写ベルト8の回転方向の下流側に配置されているので、1次転写給電ローラ31に残留トナーや付着物が付着し難くなる。即ち、クリーニング手段75によって清掃され、トナーや付着物が付着していない中間転写ベルト8の表面に対して電流を供給できるので、安定して電流を供給することが可能である。
【0080】
図8(a)(b)(c)は、図6の中間転写ベルト電位に1次転写の成立の条件を付加したものである。図8の点線Aは、1次転写するのに必要な中間転写ベルト電位のラインである。図8(a)、(b)のように、1GΩ、100MΩの場合は、一定以上の印加電圧を印加することで、中間転写ベルトの表面電位が所定電位(本実施例では200V)以上になり、1次転写が良好となっている。図8(c)のように、10MΩの場合は、3000Vより大きな印加電圧を印加する必要がある。10MΩでも転写電圧を上げれば、1次転写が良好となるが、実際は支持ローラに電流を流しているので、より大容量の電源が必要となってしまう。また、このときの転写用の電圧電源から出力された1次転写電流は20μAであった。転写電圧が2kvの場合でも、1次転写給電ローラ31の弾性層の抵抗により実際に中間転写ベルトにかかる電圧は500v以下程度となる。この場合、図3(b)のように、ベルトに数100v電圧が印加されるとベルト周方向に十分電流が流れることがわかる。
【0081】
1次転写給電ローラ31に印加する印加電圧が数百v、転写電流が数十μAの転写構成において、ベルトの周方向抵抗が104〜108Ωで成立している。
【0082】
図9は、1次転写給電ローラ31から中間転写ベルトを流れる電流を模式的に示している。図9では、各支持ローラに抵抗体を接続している状態を抵抗体Re、Rf、Rgで説明している。図9の太い実線の矢印は、1次転写給電ローラ31から感光ドラム方向へ電流が流れていることを示している。太い破線の矢印は、支持ローラへ流れる電流を示しており、抵抗値Re、Rf、Rgが低いときに多く流れると上記説明したものである。各画像形成部1a、1b、1c、1dでの感光ドラムと中間転写ベルトの電位差は略同等であるため、各感光ドラムへ流れる電流も略同等となる。ただし、各画像形成部の感光ドラムの感光層の厚みばらつきなどにより静電容量がばらつくと、各感光ドラムへ流れる電流が多少ばらつくこともある。本実施例では、感光層の厚みが初期から通紙耐久後で10〜20μmの範囲であった。
【0083】
2次転写は、2次転写ローラ15に2次転写用の電圧電源19により2次転写電圧を印加することで、2次転写を実行している。本実施例の条件で、転写材として上質紙(坪量75g/m2)を用い、2次転写するのに必要な2次転写電圧は2kV以上である。
【0084】
次に、1次転写と2次転写のタイミングについて説明する。本実施例の画像形成装置では、1次転写部から2次転写部までは、図1のように、中間転写ベルト半周分離れているので、ベルト半周分の幅に画像1枚分を形成する。1次転写用の転写電源33は、1次転写を開始するタイミングで1次転写給電ローラ31に電圧の印加を開始し、1次転写終了後に印加を停止する。その後1次転写された中間転写体上のトナー像が2次転写部へ到達すると、レジストローラ(不図示)から供給された転写材が2次転写部へ来るタイミングと合わせて電圧電源19が2次転写電圧を印加する。そして、2次転写終了後に印加を停止する。
【0085】
連続プリントする場合は、前の画像形成の2次転写終了の後に、1次転写を行えるよう、帯電、現像のタイミングを合わせておく。こうすることで、1次転写と2次転写が同じタイミングにならないようにすることができる。即ち、1次転写給電ローラ31から中間転写ベルト8に供給される電流が、中間転写ベルト8の周方向に流れて2次転写部に流れ込むことを抑制することが可能である。
【0086】
また図10に示すように、各支持ローラに定電圧素子を接続して、転写電源33と2次転写電源19から電圧を同時に出力して、1次転写と2次転写を同時に行ってもよい。図10(a)は定電圧素子としてツェナーダイオードを各支持部材に接続した状態を説明する図、図10(b)は定電圧素子としてバリスタを各支持部材に接続した状態を説明する図である。
【0087】
ツェナーダイオードまたはバリスタの場合、ツェナー電位またはバリスタ電位を超えると電流が流れて、ツェナー電位またはバリスタ電位を保つ特性を持つ。このため、転写電源33と、2次転写電源19が同時に電圧を出力しても、ツェナー電位またはバリスタ電位以上にベルト電位が上昇することはない。このため、ベルト電位を一定に保つことができ、より1次転写性を安定させることができる。よって、各支持ローラに定電圧素子を接続することで、1次転写と2次転写を同時に行うことが可能である。本実施例では、ツェナー電位またはバリスタの電位を環境の影響を考慮して220vと設定している。
【0088】
また、図11(a)のように、2次転写電源19から、各1次転写部に電流を供給する構成であっても良い。この場合、2次転写ローラ15が、中間転写ベルト8の外面に接触する電流供給部材である。この構成であれば、2次転写と1次転写をするための電源を一つにすることが可能である。この場合でも、図11(b),(c)のように各支持ローラに定電圧素子を接続する構成であっても良い。定電圧素子を接続することで、中間転写ベルト8の表面電位が所定電位に保たれ、一次転写性を安定させることが可能である。
【0089】
さらに、導電性ベルトを中間転写ベルトとして用いる本実施例の画像形成装置では、1次転写部での再転写を抑制可能である。
【0090】
1次転写部で再転写の発生を抑制する理由について、ベルトから感光ドラム(具体的には、感光ドラムの芯金)に流入する電流(感光体流入電流)と、再転写の関係を、導電性ベルトと高抵抗ベルトを用いて考察した。
【0091】
図12(a)に、感光体流入電流と、転写残トナー量及び再転写トナー量の関係を示す。ここで図12の縦軸は、再転写によって中間転写ベルトから感光ドラムに移動した再転写トナー、又は、転写されずに感光体に残ってしまった転写残トナーの量を示すパラメータである。再転写トナーのパラメータは、感光ドラム上に再転写したトナーをニチバン社製セロテープ(登録商標)CT18で回収したものを転写材に貼りつけ、それをX−rite社製の分光濃度測定機で計測した値と、再転写が全く無い時に計測した値との差分値で示している。転写残トナーのパラメータに関しても同様に測定している。図12(b)に、転写電源の印加電圧と、転写残トナー量及び再転写トナー量の関係を示す。
【0092】
図12(a)、(b)からわかるように高抵抗ベルトにおいては、印加電圧を大きくすると再転写するトナーの量は大きくなる。一方、導電性ベルトにおいては、高抵抗ベルトに対して、同じ値の電圧を印加した場合でも再転写するトナー量は少ない傾向にある。図12(a)、(b)から、一定以下の感光体流入電流では再転写はほぼ発生していないことがしめされる。
【0093】
その理由について、説明する。再転写に関しては、1次転写部の中間転写ベルトと感光ドラムが接触する1次転写部で発生する放電現象によって引き起こされていると考えられている。放電に関しては、一般的にパッシェンの法則が知られている。感光ドラム表面と中間転写ベルト間の距離(ギャップ長)をdとしたときに、感光ドラムと中間転写ベルト間の電位差をVとする。このときVがパッシェンの閾値電圧V(d)を上回れば放電が発生し、下回れば放電は発生しない。
【0094】
よって、再転写の発生を抑制するには、1次転写部における電位差Vを閾値電圧V(d)より小さくすることで放電の発生を抑制し、トナーの極性が反転することを防止すればよい。
【0095】
図13は、図1、図4で示す画像形成装置の1次転写部の拡大図である。(図13(a)が、図1の1次転写部の拡大図、図13(b)が1次転写部の図4の拡大図である。)
上述のように図13(a)の中間転写ベルト8は導電性ベルトであり、ベルトの表面電位が中間転写ベルト8の周方向に亘って、略等電位である。その為、1次転写部の上流側(8a)から放電が開始される。その際、上流の画像形成部で既に中間転写ベルトに1次転写されたトナーは、次の画像形成部の1次転写部の上流側で放電を受ける。また、感光ドラムの表面はネガ(負極性)に帯電しており、ベルト表面上はポジ(正極性)に帯電している。よってベルト上のトナーにはマイナス電荷を持つ電子が衝突してくる為、ベルト上のトナーはより負極性に帯電する。中間転写ベルト上に転写されたトナーが下流の画像形成部の1次転写部を通過する前後でのQ/M=粒子トリボ÷粒子重量の値を調べてみると、感光ドラム通過後の方が、Q/Mの値が高い方にシフトしていることが確かめられている。
【0096】
一方、感光ドラム表面上では放電を受けると電位が上昇するので(正極性側に帯電されるので)、ベルトとの電位差は低下する。そのため、1次転写部に到達するまでに、中間転写ベルトと感光ドラムの電位差の低下の度合いが大きく、1次転写部内に形成される電位差は、パッシェン放電閾値以下になる。そのため、1次転写部内で放電が発生し難くなる。本発明者の検討によると、放電を受ける前の感光体電位は―500Vであり、中間転写ベルト電位は+400Vである。放電を受けた後の電位は―100Vとなり、中間転写ベルト電位との電位差は+500Vとなる。この値はパッシェンの放電閾値以下である。
【0097】
図13(b)の中間転写ベルト8は高抵抗ベルトであり、ベルトの表面電位が中間転写ベルト8の周方向に亘って略等電位にならない。その為、高抵抗ベルトにおいてはニップ上流8aで放電は始まるものの、ベルト電位と感光ドラム表面との電位差を放電閾値以下にするほどの放電はまず起こらない。放電が発生するとその分感光体電位は上昇するが、高抵抗ベルトではニップ上流での放電が少ない為にこの上昇幅が小さい。その為、1次転写部8b及び1次転写部下流8cにおいても放電が継続する。
【0098】
図14は、導電性と高抵抗の中間転写ベルトの1次転写部での放電の様子を高速度カメラで撮影した画像である。図14(a)は、高抵抗ベルトを撮影した画像であり、図14(b)は、導電性ベルトを撮影した画像である。画像は、ガラス面上に中間転写ベルト8を当接させ、そのニップ部周辺をホソカワミクロン社製高速度カメラによって撮影したものである。
【0099】
図14において画像中白くなっている部分が放電による発光部位を示している。高抵抗ベルトにおいては1次転写ニップ上流及び下流において放電が観測されるのに対し、導電性ベルトにおいては上流のみで放電が発生していることがわかる。
【0100】
このように、本実施例の構成によれば、導電性ベルトを用い、中間転写ベルト8に接触する電流供給部材から中間転写ベルトを介して各感光ドラムへ転写電流を流すことで、1次転写を成立させることができる。このことにより、1次転写用の電圧電源数を減らすことができ、画像形成装置の低コスト化、小型化を図ることができる。さらに、導電性ベルトによって、1次転写部の上流側で放電を発生させることによって、再転写を抑制させることが可能になる。
【0101】
本実施例では、電流供給部材を中間転写ベルトの外面に接触する1次給電ローラ32、2次転写ローラ15で説明したが、図15に示すように、内面に1次転写給電ローラ32を接触させる構成であってもよい。転写電源33を、複数の支持ローラのどれか一つに接続する構成であってもよい。
【0102】
また、電流供給部材に供給する電圧は、1次転写性能が十分発揮できるのであれば、定電圧制御、定電流制御および両制御の併用のどれを用いても良い。
【0103】
さらに、中間転写ベルトは、PPSにカーボンを添加して導電性を持たせているが、これに限るものではなく、他の樹脂や金属等でも本例と同等の導電性があれば同様の効果を期待することができる。また、単層および2層の中間転写ベルトを用いたが、弾性層を設けるなどした3層以上のベルトでも前記周方向抵抗であれば、同様の効果を期待することができる。
【0104】
2層の中間転写ベルトは、基層を成形したあとコートすることで製造しているが、一体成型する等、抵抗値が前述の条件を満たしていれば製造方法はこれに限るものではない。
【符号の説明】
【0105】
1a〜1d 画像形成部
2a〜2d 感光ドラム(像担持体)
5a〜5d 対向部材
8 中間転写ベルト
12 2次転写対向ローラ
31 電流供給部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する複数の像担持体と、無端状で回転可能であって、前記複数の像担持体から1次転写されたトナー像を転写材に2次転写するための中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトに接触する電流供給部材と、前記電流供給部材に電圧を印加する電源と、を有し、
前記中間転写ベルトは、前記中間転写ベルトの回転方向における前記電流供給部材の接触位置から前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体へ電流を流すことが可能な導電性を備えるベルトであり、
前記電源は、前記電流供給部材に電圧を印加することにより前記電流供給部材から前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体に電流を流すことで、前記中間転写ベルトの回転方向における複数の前記1次転写部それぞれにおける前記中間転写ベルトと前記像担持体の接触領域の上流側端部よりも上流側で前記像担持体と前記中間転写ベルトの間に放電を発生させ、前記接触領域における前記像担持体と前記中間転写ベルトの間の電位差をパッシェンの放電閾値より小さくすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電源は、前記電流供給部材に電圧を印加することにより前記電流供給部材から前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体に電流を流すことで複数の前記像担持体から前記中間転写ベルトにトナー像を1次転写させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中間転写ベルトの外周面に接触して前記中間転写ベルトと2次転写部を形成する2次転写部材と、前記2次転写部材に電圧を印加する2次転写電源と、を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電源は、前記複数の像担持体から前記中間転写ベルトにトナー像の1次転写が終わったタイミングで前記電流供給部材に対する電圧の印加を停止し、前記第2次転写電源は、前記タイミングの後に、前記2次転写部材に対する電圧の印加を開始することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記中間転写ベルトを支持する複数の支持部材を有し、前記複数の支持部材は前記中間転写ベルトの表面電位を所定電位以上に維持する為の定電圧素子が接続されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定電圧素子は、ツェナーダイオード又はバリスタであることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電源から前記電流供給部材に電圧を印加することによって、前記像担持体から前記中間転写ベルトにトナー像を1次転写させつつ、前記2次転写電源から前記2次転写部材に電圧を印加することによって、前記中間転写ベルトから転写材へトナー像を2次転写することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記中間転写ベルトに測定用電源から測定用電圧が印加された第1の金属ローラを接触させ、前記中間転写ベルトに電流検知手段が接続された第2の金属ローラを前記第1の金属ローラから前記中間転写ベルトの回転方向において離れた位置で接触させ、前記測定用電圧を、前記電流検知手段が検知した電流値で割った値を前記中間転写ベルトの周方向抵抗と定義し、前記中間転写ベルトの前記周方向抵抗の値は、104Ω以上、且つ、108Ω以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記中間転写ベルトは、多層構成であり、表層の抵抗が他の層の抵抗よりも高いことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体にそれぞれ対向する位置に複数の対向部材を有し、前記複数の対向部材によって前記中間転写ベルトと前記複数の像担持体は接触することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記複数の対向部材は、電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記電源は、前記電流供給部材から前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体に電流を流すことで、前記複数の像担持体からトナー像が転写される各1次転写部の前記中間転写ベルトの表面電位を等電位にすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記中間転写ベルトに付着したトナーを回収するクリーニングdeviseを備え、前記電流供給部材は、前記中間転写ベルトの回転方向において、前記クリーニングdeviseの下流であって、前記複数の像担持体よりも上流の位置で、前記中間転写ベルトの外面に接触することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記電流供給部材は、前記中間転写ベルトに接触して2次転写部を形成する2次転写部材であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナー像を担持する複数の像担持体と、無端状で回転可能であって、前記複数の像担持体から1次転写されたトナー像を転写材に2次転写するための中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトに接触する電流供給部材と、前記電流供給部材に電圧を印加する電源と、を有し、
前記中間転写ベルトは、前記中間転写ベルトの回転方向における前記電流供給部材の接触位置から前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体へ電流を流すことが可能な導電性を備えるベルトであり、
前記電源は、前記電流供給部材に電圧を印加することにより前記電流供給部材から前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体に電流を流すことで、前記中間転写ベルトの回転方向における複数の前記1次転写部それぞれにおける前記中間転写ベルトと前記像担持体の接触領域の上流側端部よりも上流側で前記像担持体と前記中間転写ベルトの間に放電を発生させ、前記接触領域における前記像担持体と前記中間転写ベルトの間の電位差をパッシェンの放電閾値より小さくすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電源は、前記電流供給部材に電圧を印加することにより前記電流供給部材から前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体に電流を流すことで複数の前記像担持体から前記中間転写ベルトにトナー像を1次転写させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中間転写ベルトの外周面に接触して前記中間転写ベルトと2次転写部を形成する2次転写部材と、前記2次転写部材に電圧を印加する2次転写電源と、を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電源は、前記複数の像担持体から前記中間転写ベルトにトナー像の1次転写が終わったタイミングで前記電流供給部材に対する電圧の印加を停止し、前記第2次転写電源は、前記タイミングの後に、前記2次転写部材に対する電圧の印加を開始することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記中間転写ベルトを支持する複数の支持部材を有し、前記複数の支持部材は前記中間転写ベルトの表面電位を所定電位以上に維持する為の定電圧素子が接続されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定電圧素子は、ツェナーダイオード又はバリスタであることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電源から前記電流供給部材に電圧を印加することによって、前記像担持体から前記中間転写ベルトにトナー像を1次転写させつつ、前記2次転写電源から前記2次転写部材に電圧を印加することによって、前記中間転写ベルトから転写材へトナー像を2次転写することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記中間転写ベルトに測定用電源から測定用電圧が印加された第1の金属ローラを接触させ、前記中間転写ベルトに電流検知手段が接続された第2の金属ローラを前記第1の金属ローラから前記中間転写ベルトの回転方向において離れた位置で接触させ、前記測定用電圧を、前記電流検知手段が検知した電流値で割った値を前記中間転写ベルトの周方向抵抗と定義し、前記中間転写ベルトの前記周方向抵抗の値は、104Ω以上、且つ、108Ω以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記中間転写ベルトは、多層構成であり、表層の抵抗が他の層の抵抗よりも高いことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体にそれぞれ対向する位置に複数の対向部材を有し、前記複数の対向部材によって前記中間転写ベルトと前記複数の像担持体は接触することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記複数の対向部材は、電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記電源は、前記電流供給部材から前記中間転写ベルトを介して前記複数の像担持体に電流を流すことで、前記複数の像担持体からトナー像が転写される各1次転写部の前記中間転写ベルトの表面電位を等電位にすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記中間転写ベルトに付着したトナーを回収するクリーニングdeviseを備え、前記電流供給部材は、前記中間転写ベルトの回転方向において、前記クリーニングdeviseの下流であって、前記複数の像担持体よりも上流の位置で、前記中間転写ベルトの外面に接触することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記電流供給部材は、前記中間転写ベルトに接触して2次転写部を形成する2次転写部材であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−98710(P2012−98710A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212311(P2011−212311)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]