説明

画像形成装置

【課題】コストアップを招くことなく残トナー量をより精度良く見積もり、残トナーを収容する収容容器の満タン検知の精度をより向上させる。
【解決手段】第1のステーションSaと、中間転写ベルト61の移動方向下流側に設けられた第2のステーションSbがある画像形成装置において、制御部は、第1のステーションSaのトナー劣化状態を検出する検出手段の検出結果と、メモリに記憶されたトナー劣化状態と再転写との関係と、第1のステーションSaにおいて画像形成に用いられた現像剤に関する情報と、第2のステーションSbにおいて画像形成に用いられた現像剤に関する情報とに基づいて、第2のステーションSbの廃トナーボックスに収容された現像剤の量に関する検知信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスや静電記録プロセス等によってシート等の記録材上に画像を形成する機能を備えた、例えば、複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を用いた画像形成装置は、高速化、高機能化、カラー化が進められてきており、各種方式の複写機、プリンタ、FAXが上市されている。
近年の動向では、高画質であることはもちろんのこと、多数枚印刷が可能であること、また、市場の拡大により使用される環境条件や記録材が多様化している為、これらに適応しながらも安定した画像が得られることが強く求められるようになっている。
中でも、高速で画像形成を行うことが可能な装置として、次のようなものが知られている。それは、複数の異なる色のトナー像を形成する画像形成ユニットを、記録材担持体としての転写ベルトに担持された記録材の搬送方向に直列に並置し、複数の像担持体から記録材へトナー像を順次多重転写するインライン方式を採用した画像形成装置である。
このような画像形成装置の他には、複数の異なる色のトナー像を形成する画像形成ユニットを、中間転写体としての中間転写ベルトの移動方向に一列に並設するものもある。これは、複数の像担持体から中間転写ベルトへトナー像を順次多重転写し、その後、中間転写ベルト上のトナー像を記録材に一括して転写する方式である。
【0003】
このような画像形成装置では、像担持体上に残留した残トナーを回収するための廃トナータンク(収容容器)が各画像形成ユニットにそれぞれ設けられた構成となっている。
そして、廃トナー量検知手段として、廃トナータンクに回収した廃トナー量を検知する検知機構、例えば、光学センサ等を設けているものがある。廃トナータンクに回収された廃トナー量が一定量を超えた場合には、その廃トナータンクが満タンになったと判断することができる。
また、各色成分の画像データ(画像情報)から各色のトナー使用量を求めることで、トナー使用量の積算値が一定値を超えた場合には、その画像形成ユニットの廃トナータンクが満タンになったと判断することができる(特許文献1,2)。
また、濃度検知センサを複数設けその検出結果から転写効率と再転写率を算出し、そして廃トナー量のニア検知を行う技術もある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−011414号公報
【特許文献2】特開2006−251508号公報
【特許文献3】特開2004−240369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各色成分の画像データから各色のトナー使用量を求めるだけでは、精度良く廃トナー量を検知できない場合があると考えられる。
より精度良く廃トナー量を見積もる為には、各々の画像形成ユニットの使用度合いによるトナーの劣化状態や、下流ステーションを通過する際に発生する再転写量等も考慮する必要があると考えられる。
一方、転写効率と再転写率を考慮するために、濃度センサ等の検知機構を設けた場合、複数の検知機構を設ける必要があるため、コストアップの要因となってしまうことが懸念
される。
【0006】
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、コストアップを招くことなく残トナー量をより精度良く見積もり、残トナーを収容する収容容器の満タン検知の精度をより向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像を現像剤像に現像する現像装置と、前記現像剤像を転写した後に前記像担持体に残留した現像剤を収容容器に回収するクリーニング装置と、を有する画像形成部を、前記現像剤像を転写される記録材を搬送する記録材搬送体又は前記現像剤像を転写される中間転写体の移動方向に沿って複数有する画像形成装置において、
複数の前記画像形成部は、第一の画像形成部と、第二の画像形成部とを備え、前記第二の画像形成部は、前記記録材搬送体又は前記中間転写体の移動方向の下流側に設けられており、
前記第一の画像形成部における現像剤劣化状態に関する情報を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果と、前記第二の画像形成部において現像剤が再転写される量との関係を記憶した記憶手段と、
前記検出手段の検出結果と、前記記憶手段に記憶された前記関係と、前記第一の画像形成部において画像形成に用いられた現像剤に関する情報と、前記第二の画像形成部において画像形成に用いられた現像剤に関する情報とに基づいて、前記第二の画像形成部の前記収容容器に収容された現像剤の量に関する検知信号を出力する制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コストアップを招くことなく残トナー量をより精度良く見積もり、残トナーを収容する収容容器の満タン検知の精度をより向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1に係る画像形成装置の全体構成を示す概略断面図
【図2】実施例1の中間転写ベルトのクリーニング方法について説明する図
【図3】実施例1の廃トナー満タン検知の実行手順を示すフローチャート
【図4】実施例1の感光ドラムと中間転写ベルトで形成されるニップ部の概略図
【図5】実施例1のトナー移送性の測定について説明するための図
【図6】実施例1の現像ローラの回転数に対するトナーの移送性を示す図
【図7】実施例2の廃トナー満タン検知の実行手順を示すフローチャート
【図8】実施例2における転写残トナーの振り分け制御について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は実施例1に係る画像形成装置である4色フルカラーレーザビームプリンタの全体構成を示す概略断面図である。
<1.画像形成装置の全体構成>
まず、図1を参照して本実施例の画像形成装置の全体構成について説明する。本実施例
の画像形成装置100は、電子写真方式のフルカラーレーザビームプリンタである。又、本実施例の画像形成装置100は、中間転写方式を用いたインライン型のものである。即ち、本実施例の画像形成装置100は、複数色成分に分解された画像情報に従って形成された各色のトナー像(現像剤像)が、中間転写体上に順次重ね合わせて1次転写された後、記録材に一括して2次転写されることで記録画像が得られるものである。
【0012】
本実施例の画像形成装置100は、複数の画像形成部として、第1,第2,第3,第4のステーション(プロセスステーション)Sa,Sb,Sc,Sdを有する。本実施例では、第1〜第4のステーションSa〜Sdは、それぞれイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のトナー像を形成するためのものである。図1に示すように、第1〜第4のステーションSa〜Sdは、中間転写体としての中間転写ベルト6の移動方向に沿って並んで配置されている。(画像形成装置100は、中間転写ベルト6の移動方向に沿ってステーションを複数有する。)
尚、本実施例では、各ステーションSa〜Sdの構成及び動作は共通する部分が多い。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを示すために図中符号に与えた添え字a,b,c,dは省略して総括的に説明する。
【0013】
画像形成装置100は、ステーションS内に、像担持体としてドラム型の電子写真感光体、即ち、感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、駆動手段(図示せず)によって図示矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。感光ドラム1の表面は、帯電手段としての帯電ローラ(1次帯電器)2により一様に帯電される。次いで、露光装置3より画像情報に従ったレーザ光Lが感光ドラム1に照射され、感光ドラム1上(像担持体上)に静電潜像(静電像)が形成される。更に、感光ドラム1の表面が図示矢印R1方向に進むと、現像手段としての現像装置4によって、画像情報に従って感光ドラム1上に形成された静電潜像がトナー像として現像(可視化)される。本実施例では、現像装置4は、反転現像方式にて、感光ドラム1上の潜像を現像する。即ち、現像装置4は、一様に帯電処理された感光ドラム1上の部分であって、露光によって電位が減衰した画像部(露光部)に、感光ドラム1の帯電極性(本実施例では負極性)と同極性に帯電したトナー(現像剤)を付着させることで現像を行う。
【0014】
中間転写ベルト6は、図示矢印R1にて示す感光ドラム1の表面の移動方向で見た場合には、現像位置より下流側に配置されている。
中間転写ベルト6は、複数の支持部材として駆動ローラ61、2次転写対向ローラ62及びテンションローラ63の3個のローラに張架された、円筒状、且つ、無端ベルト状のフィルムである。中間転写ベルト6は、駆動ローラ61が図示矢印R2方向(時計回り)に回転駆動されることによって、感光ドラム1の表面の移動速度(周速度)と略同じ速度(周速度)で、図示矢印R3方向(時計回り)に移動(回転)する。
【0015】
中間転写ベルト6を挟んで感光ドラム1と対向する位置に、1次転写手段(1次転写部材)としての1次転写ローラ5が配置されている。1次転写ローラ5は、中間転写ベルト6を感光ドラム1に向けて押圧し、感光ドラム1と中間転写ベルト6とが接触する1次転写部(1次転写ニップ部)N1を形成している。
駆動ローラ61、2次転写対向ローラ62及びテンションローラ63に張架された中間転写ベルト6、1次転写ローラ5a〜5dなどによって、中間転写ユニット60が構成されている。
【0016】
感光ドラム1及び中間転写ベルト6の回転に伴って、感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写ローラ5の作用により、中間転写ベルト6の外周面に転写(1次転写)される。この時、1次転写ローラ5には、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の1次転写バイアスが、1次転写電圧供給手段としての1次転写電源50か
ら印加される。これにより、1次転写工程時において、1次転写部N1には、正規の帯電極性に帯電したトナーを感光ドラム1側から中間転写ベルト6側へと移動させる方向の電界が形成される。
【0017】
1次転写工程において中間転写ベルト6に転写されずに感光ドラム1上に残留した残トナーは、感光体クリーニング手段としてのクリーニング装置7によってクリーニングされる。クリーニング装置7は、クリーニング部材として、感光ドラム1の表面に当接するように配置された板状の弾性体で形成されたクリーニングブレード71を有する。
又、クリーニング装置7は、クリーニングブレード71によって感光ドラム1の表面から除去されたトナーを回収する収容容器としての回収トナー容器(廃トナータンク)72を有する。
【0018】
以上のような帯電、露光、現像、1次転写の各工程で構成される画像形成動作が、中間転写ベルト6の表面の移動方向において上流から順番に、第1〜第4のステーションSa〜Sdにおいて、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラッックの各色について行われる。これによって、中間転写ベルト6上に複数色のトナー像、例えばフルカラー画像の場合は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラッックの4色のトナー像が重ねて形成される。
【0019】
中間転写ベルト6を挟んで2次転写対向ローラ62と対向する位置には、2次転写手段としての2次転写部材である2次転写ローラ8が配置されている。2次転写ローラ8は、中間転写ベルト6を介して2次転写対向ローラ62に押圧され、中間転写ベルト6と2次転写ローラ8とが接触する2次転写部(2次転写ニップ部)N2を形成している。
【0020】
中間転写ベルト6上のトナー像は、2次転写ローラ8の作用により、記録材P上に転写(2次転写)される。即ち、記録材供給部20において、カセット21に収容されている記録材Pは、供給ローラ22によって送り出された後、レジストローラ23によって、中間転写ベルト6と2次転写ローラ8とが当接する2次転写部N2に所定のタイミングにて供給される。
それと略同時に、2次転写ローラ8には、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の2次転写バイアスが、2次転写電圧供給手段としての2次転写電源(図示せず)から印加される。これにより、2次転写工程時には、2次転写部N2には、正規の帯電極性に帯電したトナーを中間転写ベルト6側から記録材P側へと移動させる方向の電界が形成される。
【0021】
ここで、2次転写工程において記録材Pに転写されずに中間転写ベルト6上に残留した転写残トナーは、第1の帯電部材としてのクリーニングブラシ11により均一に散らされ、第2の帯電部材としてのクリーニングローラ12により電荷が付与される。
クリーニングブラシ11には、第1のクリーニング電圧供給手段としての第1のクリーニング電源(第1の電源、高圧電源)13が接続されている。又、クリーニングローラ12には、第2のクリーニング電圧供給手段としての第2のクリーニング電源(第2の電源、高圧電源)14が接続されている。
【0022】
クリーニングブラシ11、クリーニングローラ12、第1のクリーニング電源13及び第2のクリーニング電源14は、中間転写体クリーニング手段10を構成する。
クリーニングブラシ11及びクリーニングローラ12は、いずれも中間転写ベルト6の表面の移動方向において2次転写部N2よりも下流、且つ、第1のステーションSaの1次転写部よりも上流に配置されている。
【0023】
これにより、クリーニングブラシ11及びクリーニングローラ12は、本実施例では、第1のステーションSaの1次転写部N1aよりも上流で、2次転写後に中間転写ベルト
6上に残留した転写残トナー(ベルト残現像剤)を帯電させる。特に、中間転写ベルト6の表面の移動方向においてクリーニングブラシ11はクリーニングローラ12よりも上流に配置されている。
【0024】
そして、クリーニングローラ12により電荷が付与された転写残トナーは、次回の1次転写工程時に、本実施例では第1のステーションSaの感光ドラム1aに逆転写される(転写同時クリーニング方式)。
又、中間転写ベルト6から逆転写されて感光ドラム1aに付着した転写残トナーは、クリーニング装置7aによって感光ドラム1a上から除去され、回収される。
尚、本実施例では、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びクリーニング装置7は、画像形成装置100の本体に対して着脱可能な、一体型のプロセスカートリッジ30を構成している。
【0025】
<2.1次転写ローラ>
1次転写ローラ5としては、体積抵抗率が10〜10Ωcm、ゴム硬度が30°(アスカーC硬度計)の弾性ローラを用いた。1次転写ローラ5は、中間転写ベルト6を介して感光ドラム1に対し、総圧約9.8Nで押圧される。又、1次転写ローラ5は、中間転写ベルト6の回転に伴い従動して回転する。更に、1次転写ローラ5には、1次転写電源(高圧電源)50から、−2.0〜+3.5kVの電圧の印加が可能となっている。
【0026】
<3.中間転写ベルト>
中間転写ベルト6としては、厚さが100μmで、導電剤を混合することにより体積抵抗率を1011Ωcmに調整した、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のフィルムを用いた。又、中間転写ベルト6は、駆動ローラ61、2次転写対向ローラ62、テンションローラ63の3軸に張架され、テンションローラ63により総圧約60Nの張力が付与されている。
【0027】
<4.2次転写ローラ>
2次転写ローラ8としては、体積抵抗率が10〜10Ωcm、ゴム硬度が30°(アスカーC硬度計)の弾性ローラを用いた。又、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト6を介して2次転写対向ローラ62に対し、総圧約39.2Nで押圧される。又、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト6の回転に伴い従動して回転する。更に、2次転写ローラ8には、2次転写電源(高圧電源)(不図示)から、−2.0〜+4.0kVの電圧の印加が可能となっている。
【0028】
<5.クリーニングブラシ>
クリーニングブラシ11としては、10〜10Ωcmの導電性を有するナイロン製の繊維が略密となるように構成されたブラシを用いた。
本実施例では、クリーニングブラシ11は固定配置されている。本実施例では、クリーニングブラシ11の先端位置は、中間転写ベルト6の表面に対して侵入量が1.0mmとなるように設定されている。
又、クリーニングブラシ11は、中間転写ベルト6を介して駆動ローラ61に対し加圧される。クリーニングブラシ11の長手方向(中間転写ベルト6の表面の移動方向と交差する方向)の長さは、中間転写ベルト6上の画像形成可能領域の同方向の幅と略同じである。
【0029】
このように、中間転写ベルト6の表面の移動方向においてクリーニングローラ12よりも上流側に位置するクリーニングブラシ11は、中間転写ベルト6の移動に伴って中間転写ベルト6の表面を摺擦する。
そして、クリーニングブラシ11には、第1のクリーニング電源13から、−2.0〜
+2.0kVの電圧の印加が可能となっている。
【0030】
<6.クリーニングローラ>
クリーニングローラ12としては、体積抵抗率が10〜10Ωcmの弾性ローラを用いた。クリーニングローラ12は、中間転写ベルト6を介して駆動ローラ61に対し加圧される。
又、クリーニングローラ12は、中間転写ベルト6の回転に伴い従動して回転する。クリーニングローラ12の長手方向(回転軸方向、中間転写ベルト6の表面の移動方向と交差する方向)の長さは、中間転写ベルト6上の画像形成可能領域の同方向の幅と略同じである。
【0031】
このように、中間転写ベルト6の表面の移動方向においてクリーニングブラシ11よりも下流側に位置するクリーニングローラ12は、中間転写ベルト6と接触すると共にその接触領域において中間転写ベルト6と同方向に移動する。そして、クリーニングローラ12には、第2のクリーニング電源14から、−2.0〜+2.0kVの電圧の印加が可能となっている。
【0032】
<7.中間転写体クリーニング>
次に、中間転写ベルト6のクリーニング方法について詳細に説明する。
本実施例では、中間転写体クリーニング手段10の第1,第2の帯電部材を、次のような構成とする。即ち、本実施例では、第1の帯電部材としてのクリーニングブラシ11は、中間転写ベルト6の表面を摺擦するように固定配置された固定部材である。一方、第2の帯電部材としてのクリーニングローラ12は、中間転写ベルト6と接触してその接触領域において中間転写ベルト6と同方向に移動する回転部材である。斯かる構成によって、第1の帯電部材で散らしたトナーを、第2の帯電部材で帯電するようにする。
【0033】
中間転写ベルト6のクリーニング方法について、さらに詳細に説明する。図2は、本実施例の中間転写ベルト6のクリーニング方法について説明するための図であり、クリーニングブラシ11及びクリーニングローラ12の近傍を模式的に拡大して示している。
現像装置4においてトナーは負極性に帯電され、高圧電源により1次転写ローラ5、2次転写ローラ8に正極性のバイアスが印加されることで画像形成が行われる。そのため、図2に示すように、2次転写工程後の中間転写ベルト6上の転写残トナーには、2次転写ローラ8に印加された正極性のバイアスの影響で、正負、両方の極性が混在する(図2中A)。
【0034】
そこで、中間転写ベルト6の表面の移動方向においてクリーニングローラ12よりも上流側に位置するクリーニングブラシ11に、第1のクリーニング電源13から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性、つまり、正極性のバイアスを印加する。
これにより、中間転写ベルト6上の転写残トナーは、クリーニングブラシ11を通過する時に、正極性に帯電することとなる。又、この時、正極性に帯電しきれなかった負極性トナーは、クリーニングブラシ11に一部回収される(図2中B)。
【0035】
次に、中間転写ベルト6の表面の移動方向においてクリーニングブラシ11よりも下流側に位置するクリーニングローラ12に、第2のクリーニング電源14から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性、つまり、正極性のバイアスを印加する。
これにより、中間転写ベルト6上の転写残トナーがクリーニングローラ12を通過する時に、転写同時クリーニングを実現させるために最適な値の正極性の電荷を、この転写残トナーに付与することができる(図2中C)。
その後、最適な正極性の電荷が付与された転写残トナーは、本実施例では第1のステーションSaの1次転写部N1aにおいて逆転写されることで感光ドラム1aへ回収される

【0036】
<8.再転写現象について>
以下に、再転写現象について述べる。
再転写とは、複数のステーションのうち画像形成動作が行われたステーションで中間転写ベルト6上に形成されたトナー像が、このステーションに対して下流のステーションを通過する際に、感光ドラム1に再度転写して、剥ぎ取られてしまう現象である。ここで、画像形成動作が行われたステーションは第1画像形成部に相当し、下流のステーションは第2画像形成部に相当する。また、第2画像形成部は、第1画像形成部に対して、中間転写ベルト6の移動方向下流側隣に配置されている。
【0037】
図4を用いて、再転写が起こる原因を以下に説明する。
図4は、感光ドラム1と中間転写ベルト6で形成されるニップ部(接触部)の概略図である。
感光ドラム1の表面は、マイナスに帯電しており、中間転写ベルト6には、上流のステーションで現像されたトナーを中間転写ベルト6上に吸着させるためにプラスが印加されている。感光ドラム1と中間転写ベルト6で形成されるニップ部内には、放電閾値を超える隙間と電位差が生じる条件が存在する場合がある。
【0038】
放電が発生すると、感光ドラム1上にあるトナーにはプラスの電荷が付与される。感光ドラム1表面は、マイナスに帯電されているので、ニップ部のうちの下流側でプラス電荷が付与されたトナーは、感光ドラム1側に引き連れられて、再転写が発生する。感光ドラム1の表面電位と、転写電圧のコントラストが大きいほど放電閾値を超える電位差が生じやすいので、放電回数も増え再転写量も多くなる。
【0039】
再転写が発生する条件として、使用初期でのトナー状態では発生する可能性は低いが、耐久試験の後半でのトナー状態においては、トナーの帯電性も異なり、現像特性や転写特性も異なる傾向を示すため、使用初期よりも発生する可能性は高くなる。また、2次色等の多重にトナーを転写した場合においても、再転写量が増加しやすい傾向にある。
そこで、本実施例では、トナー劣化状態を用いることで、下流ステーションでの再転写度を予測(導出)することとした。
【0040】
<9.トナー劣化度>
以下に、プロセスステーションの使用度合いとトナー劣化状態について述べる。
本実施例の目的は、プロセスステーションの使用度合いを検知することでトナーの劣化状態を検知し、その検知結果に基づいて、下流ステーションでの再転写度を予測制御することで、より精度良く廃トナー満タン検知を行うことである。
【0041】
そこで、本実施例では、現像剤劣化状態検出手段として、各ステーションの使用度合いを検知する検知手段をそれぞれ設けている。この検知手段は、感光ドラム1や現像装置4における現像ローラの回転数を検知するように構成されている。
トナーは、初期状態より、感光ドラムや現像ローラ及び現像ブレードにおいて、摺擦され続けることで、外添剤が遊離したり、トナーの表面に埋没したりする傾向にある。特に、耐久試験の後半においては、この傾向が進み、トナーの移送性が上昇する。
【0042】
トナーの移送性測定は、粉体の様々な流動性阻害要因を含む総合的な流動特性を測定するものである。つまり、総合的な解析により、求める物理量を推定する有効な手段である。
トナー移送性は、トナー間の摩擦力+凝集度の違いを測定しており、トナーの流動性に影響の大きい表面状態(界面状態)を測っている。
【0043】
図5(a)は、トナー移送性測定器の概略構成を示す図である。
サンプル41となるトナー約1gを加振器42と連結された移送テーブルに搬送させ、電子天秤43等で単位時間当たりのトナー搬送量を測定する。
加振器42と連結された移送テーブルとしては、パーツフィーダ等に代表される装置を採用している。パーツフィーダは、磁石と板バネで構成され、電磁石のON/OFFによる力を用いて、板バネを利用し増幅して、振動を発生させる。この振動は、板バネの角度を調整することで方向性を持たせることが可能で、「ボウル」内に投入した部材(ワーク)を一定方向に搬出することができる。本実施例では、この部材をトナーに置き換えて実験することで、トナー移送性を測定した。
【0044】
図5(b)は、移送性を測定する為の単位時間当たりのトナー排出重量を示す図である。
ここで、(トナー移送性)=(単位時間当たりのトナー排出重量)であり、トナー移送性は、(m−m)/(t−t)(mg/sec)として、算出することができる。
【0045】
このようにしてトナー移送性を測定した結果、トナーの初期状態と耐久試験の末期(耐久後半、使用後半)状態については、前述した傾向が見られた。
初期状態では、トナーに付着するシリカ等の外添剤が多いので界面状態がよく滑性が大きい為、摩擦が低下する。そのため、流動性は高く移送性としては小さい。
末期状態では、シリカ等の外添剤が遊離、埋まり込みにより摩擦が増加し流動性が低くなり、移送性としては増大する。
【0046】
図6は、現像ローラの回転数に対するトナーの移送性を示す図である。
トナー移送性は、初期状態では平均約1〜3mg/sec程度と低いが、耐久試験の末期状態では、約10〜15mg/sec以上となり、明らかにトナーの物性状態が異なることがわかる。
そこで、トナー移送性をトナー劣化度として、トナーの状態を検知することができる。表1にトナー移送性に対する再転写度を示す。
【0047】
【表1】

【0048】
表1において、再転写度とはトナー移送性を算出後、下流ステーションの転写時に発生すると予測される再転写の度合いである。トナー移送性が低い方が、再転写量も少なくなり、トナー移送性が上昇するにつれて、再転写量も増加する傾向にある。
よって、トナー移送性(トナー劣化度)に基づいて再転写度を予測(導出)することができる。
再転写度が大きい方が、影響する廃トナー量への加算量は増加する傾向にある。
ここで、本実施例においては、トナーの劣化状態を検出する手段として、現像ローラの回転数を例にして挙げた。しかし、感光ドラムの回転数や画像形成装置のプリント回数を基準としても、上記のようにトナー劣化状態を導出することが可能である。
【0049】
<10.ピクセルカウント制御によるトナー消費量のカウント>
画像形成領域の消費量(感光ドラム1上の静電潜像を現像するために使用されるトナーの量)については、画像形成装置100の制御部15で実行されるピクセルカウント制御によって、トナー消費量を算出する。ここで、ピクセルカウント制御を実行してトナー消
費量を導出する画像形成装置の制御部15は、現像剤量導出手段に相当する。
現在の画像形成装置では、パルス変調方式として、印刷ドットの値に応じた幅を有するパルスを生成してレーザ光の発光時間を制御するパルス幅変調(PWM)方式が採用されているのが一般的である。
【0050】
一個の印刷ドットだけを印刷したときのレーザ発光時間、即ちPWM回路から出力されたパルスの幅と、印刷されたドットに消費されるトナー量との関係は、設定している現像特性によるが概ね線形である。
例えば、ある値の印刷ドットを1つだけ単独で印刷したときのトナー消費量がXmgであるとすれば、レーザ発光時間は印刷ドットの値に応じたものであるから、印刷ドットの値をカウントすることによって、トナー消費量を算出することができる。
【0051】
<本実施例の特徴について>
本実施例では、ピクセルカウント制御に応じて算出されたトナー消費量と、前述したトナー劣化状態に応じて予測(導出)した再転写度より求められる廃トナー量の増加分を加算することとしている。これにより、より精度良く廃トナー満タン検知を見積もることが可能になる。
【0052】
最初に、各色の再転写を考慮しない場合の廃トナー量の算出式を記す。
各々のカートリッジの廃トナーは、廃トナー量A=トナー使用量−トナー使用量×転写効率(%)によって算出される。この廃トナー量Aに再転写度より求められる廃トナー量の増加分を加算することで、従来よりも廃トナー満タン検知を精度よく見積もることができる。
現像ローラの回転数から再転写度を予測する手段について説明する。図6は、現像ローラ回転数に対するトナー移送性を示すグラフを示す図である。図6から現像ローラ回転数とトナー移送性は相関するのが解る。また、前述したようにトナー移送性と再転写度とは相関がある。したがって、上流ステーションにおける現像ローラの回転数から、下流ステーションでの再転写度を算出することができる。
現像ローラの回転数とトナー移送性及び再転写度の相関は、現像ローラとプロセススピード:PSによって、各々決められる。プロセススピードとは感光ドラム1の回転速度である。
例えば、現像ローラの直径:φ12mmとPS=120mm/secの場合、初期から20000回転までは再転写度1,〜40000回転までは再転写度2,〜55000回転までを再転写度3,〜60000回転までを再転写度4,60000回転以上を再転写度5と関連づけることができる。
【0053】
ここで、所定の画像形成を行い感光ドラム1から中間転写ベルト6に1次転写をさせた際に、中間転写ベルト6上のトナー載り量がT、1次転写後の感光ドラム1上の転写残のトナー載り量がtだったとする。この時、感光ドラム1から中間転写ベルト6へトナーが転写される率である転写効率αは、α=T/(T+t)で表される。
また、あるステーションの感光ドラム1から中間転写ベルトに転写されたトナーが下流側のステーションを通過する場合において、下流側のステーションの感光体ドラム1に移動してしまうトナー量をtx、下流側のステーションの感光体ドラム1に移動せず中間転写ベルトに留まるトナー量をTxだとする(xは各色y、m、cに対応)。この時、再転写率βxは、βx=Tx/(Tx+tx)と表すことができる。即ち、最上流の画像形成部Saで現像されたトナーの下流の画像形成部の転写部における再転写率βyは、βy=Ty/(Ty+ty)と表すことができる。同様に、下流の画像形成部Sb,Scにて現像されたトナーの下流の画像形成部の転写部における再転写率βm,βcは、βm=Tm/(Tm+tm),βc=Tc/(Tc+tc)と表すことできる。なお、再転写率は前述の再転写度を表す別の指標であり、トナーの劣化度合いに影響がある。そのため、βy
,βm,βcのように各カートリッジで再転写率が異なるようになっている。
転写効率αと再転写率βは、出荷前に実験により算出しメモリ(記憶手段)に記憶をしておく。再転写率βは、後述するように上流側の画像形成部の現像ローラの回転数の検出結果と、下流側の下像形成部の再転写量との関係を記憶したテーブルとして持っている。メモリは各カートリッジに、メモリ16a、16b、16c、16dとして設けられている。
【0054】
各プロセスカートリッジにおいて画像形成をした際のトナー使用量をγy,γm,γc,γkとすると、各クリーナ容器72a,72b,72c,72dに回収される廃トナー量は次のように計算される。
72aには、γy・(1−α)
72bには、γy・α・(1−βy)+γm・(1−α)
72cには、γy・α・(1−βy)+γm・α・(1−βm)+γc・(1−α)
72dには、γy・α・(1−βy)+γm・α・(1−βm)+γc・α・(1−β)+γk・(1−α)
このように、最上流の画像形成部Saは、当該画像形成部Saにおいて画像形成に用いられた現像剤に関する情報に基づいて、廃トナー量を算出する。一方、下流の画像形成部(第二の画像形成部)Sb,Sc,Sdは、上流の画像形成部(第一の画像形成部)において画像形成に用いられた現像剤に関する情報と、当該画像形成部(第二の画像形成部)において画像形成に用いられた現像剤に関する情報とに基づいて、トナー量が算出される。
ここで、βを、再転写度1〜5に対応して変化させることで、廃トナー総量への加算量に重みつけをし、廃トナー総量を精度良く算出することが可能となる。
βを、再転写度1〜5に対応して変化させるために、メモリには、上流側の画像形成部の現像ローラの回転数の検出結果と、下流側の下像形成部の再転写量との関係を記憶したテーブルを記憶している。言い換えれば、メモリは、上流側の画像形成部(第一の画像形成部)における現像剤劣化状態に関する情報を検出する検出手段の検出結果と、下流側の画像形成部において現像剤が再転写される量との関係を記憶したテーブルを持っている。
つまり、下流の画像形成部(第二の画像形成部)Sb,Sc,Sdは、上流の画像形成部(第一の画像形成部)において画像形成に用いられた現像剤に関する情報と、当該画像形成部(第二の画像形成部)において画像形成に用いられた現像剤に関する情報と、メモリに記憶された関係情報と、上流側のトナー劣化に関する検出情報と、に基づいて、トナー量が算出される。
また、転写ベルトから記録紙への2次転写残に対して、中間転写体クリーニング手段において正極性に再帯電され、第1のステーションの1次転写部において、感光ドラム1aに転写され回収される。
もし、第1のステーションの廃トナー量の積算廃トナー量が多いと予想した場合、他のステーションに意図的に回収を振り分けることも可能となる。
【0055】
本実施例における廃トナー量を見積る方法を以下に説明する。図3は、廃トナー量を見積もる方法を説明するため図であり、画像形成装置の制御部15により実行される廃トナー満タン検知の実行手順を示すフローチャートである。
まず、各プロセスカートリッジにおいて、前述したピクセルカウント制御に基づいて、各色成分の画像データ(画像情報)から各色のトナー使用量を求める(S11)。
そして、プロセスカートリッジのトナー劣化状態を現像ローラの回転数より算出し(S12)、このトナー状態の算出結果より表1を用いて再転写度を予測する(S13)。さらに再転写度に基づいた廃トナー量を算出する(S14)。
【0056】
そして、S11で求めた各プロセスカートリッジの各色のトナー使用量に、S14で求めた廃トナー量を加算した値の積算値を、各プロセスカートリッジに装着されている不揮
発メモリ内に予め記憶されている廃トナー満タン予測閾値と比較する(S15)。この積算値が不揮発メモリ内の閾値を超えたら、回収トナー容器72が廃トナーで満タン(満杯)であると判断して、検知信号を発信する。検知信号に基づいて画像形成装置上に設けられた表示部は警告状態であることを報知する(S16)。この検知信号が、収容容器に収容された現像剤の量に関する検知信号である。
【0057】
例えば、第1のステーションSaで画像形成動作が行われる場合には、第1のステーションSaに対して、中間転写ベルト6の移動方向下流側隣の第2のステーションSbの感光ドラム1bに再転写することとなる。このような場合には、第1のステーションSaでのトナー劣化状態が算出され、算出結果より再転写量が予測される。第2のステーションSbでは、画像データから得られたトナー使用量に、再転写度に基づいた廃トナー量(再転写量)を加算した値の積算値と、廃トナー満タン検知の為の閾値とが比較される。第2,第3のステーションSb,Scで画像形成動作が行われる場合も同様である(第2,第3のステーションSb,Scで画像形成動作が行われる場合には、それぞれ第3,第4のステーションSc,Sdで再転写されることとなる)。
このことで、より精度良く廃トナー満タン検知を行うことが可能となる。
ここで、中間転写ベルト6の移動方向最上流の第1のステーションSaの感光ドラム1aでは、再転写を考慮する必要はないため、画像データから得られたトナー使用量の積算値が、廃トナー満タン検知の為の閾値と比較されることとなる。
なお、前述したように、転写同時クリーニング方式を採用した場合には、中間転写ベルト6上に残留した転写残トナーが第1のステーションSaの感光ドラム1aに逆転写される。第1のステーションSaにおいて、このような、中間転写ベルト6上に残留した転写残トナーを考慮して、廃トナー満タン検知を行う場合については、後述の実施例2で詳細に説明する。
【0058】
ここで、S11においては、各色成分の画像データから各色のトナー使用量を求めたが、これに限らず、各プロセスカートリッジにおける画像形成動作をした回数(画像形成回数)に基づいて、各色のトナー使用量を求めてもよい。
また、S13において、再転写度を予測する際、本実施例では、表1に示す関係を用いたが、これに限らず、予め記憶されている関係であってトナーの劣化状態と再転写する度合との関係を用いるものであればよい。また、S14では、予め記憶されている関係であって再転写の度合と再転写されるトナーの量との関係から、S13で予測された再転写度に基づいて廃トナー量を導出するものであればよい。ここで、S13を実行する画像形成装置の制御部15が再転写度導出手段に相当し、S14を実行する画像形成装置の制御部15が再転写量導出手段に相当する。
【0059】
以上説明したように、本実施例では、各ステーションの使用度合いを検出し、トナーの劣化状態を算出し、その後、算出結果に基づいて、下流ステーションでの再転写量を導出することを特徴としている。これにより、各ステーションの廃トナー量をより精度良く見積もることができるので、より精度良く廃トナー満タン検知を行うことが可能となる。なお、本実例では、制御部15は検知信号に基づいて表示部に警告を報知しているがこれ以外の形態にも適用可能である。例えば、検知信号に基づいてネットワークでつながった端末に警告を表示させたり、検知信号に基づいて画像形成の動作を停止するようにしてもよい。
【0060】
尚、本実施例では、画像形成装置として、中間転写ベルト上に1次転写を行い、2次転写後にて転写同時クリーニング方式を用いる画像形成装置について具体的に述べたが、これに限るものではない。すなわち画像形成装置としては、記録材搬送ベルト(転写ベルト)に担持された記録材を搬送し、複数の像担持体から記録材搬送ベルト上の記録材へトナー像を直接順次多重転写するインライン方式の画像形成装置であってもよい。この場合の
再転写とは、転写ベルトに担持された記録材上に形成されたトナー像が、下流にあるプロセスステーションを通過する際に、感光ドラムに再度転写して、剥ぎ取られてしまう現象をいう。
このような方式の画像形成装置においても、本発明を適用することで、上記同様の効果を得ることができる。
また、中間転写ベルト上、もしくは転写ベルト上の転写残トナーを回収する手段としては、上記のような構成に限定されるものではなく、ブレード等で直接回収するような手段であってもよい。
【実施例2】
【0061】
次に、実施例2について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1で説明した画像形成装置と同じである。従って、実施例1の画像形成装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施例では、各々のプロセスカートリッジの使用度合いからトナー劣化状態を算出し、算出結果から導出される再転写量に基づいて、各々のプロセスカートリッジの廃トナー総量を算出する。そして、廃トナー総量に応じて、中間転写ベルト6上の転写残トナーを回収させるプロセスカートリッジを適宜、振り分けることを特徴としている。
このように構成することで、中間転写ベルト6上の転写残トナーが、特定のプロセスカートリッジ内の回収トナー容器72に偏って回収されることを防止でき、より効率的に複数の回収トナー容器72を有効活用することができる。
【0062】
<転写残トナーの振り分け制御>
以下に、中間転写ベルト6上の転写残トナーの振り分けについて説明する。
図8(a)は、本実施例において、画像形成装置の制御部15により実行される、中間転写ベルト6上の転写残トナーの振り分け制御について説明するための概略断面図を示す。
【0063】
前述した中間転写体クリーニング手段によって、最適な正極性の電荷が付与された中間転写ベルト6上の転写残トナーは、実施例1では第1のステーションSaの1次転写部N1aにおいて逆転写されることで感光ドラム1aへ回収される。
しかし、1次転写部N1aにおいて、負極性のバイアスを印加することで、そのステーションにおいて転写残トナーを回収することなく通過させることができる。
そして、回収させたいステーションにおいて、1次転写部に正極性のバイアスを印加することで、所望のプロセスカートリッジに中間転写ベルト6上の転写残トナーを回収することができる。
【0064】
本実施例では、実施例1のように上流ステーションのトナー劣化度に基づいて、下流ステーションでの再転写度を求め、各ステーションの廃トナー量を正確に算出する。そして、当該廃トナー量に基づいて、廃トナー量が少ないステーションに中間転写ベルト6上の転写残トナーを優先的に振り分けるようにする。
【0065】
ここで、中間転写ベルト6上の転写残トナーの振り分け先は、再転写度を考慮する場合には、中間転写ベルト6の移動方向最上流の第1のステーションSaを除いた第2〜4のステーションSb〜Sdのいずれかとするのが有効である。本実施例においては、生産性(作業効率)等も考慮し、通紙モードに対応して、中間転写ベルト6上の転写残トナーを回収するカートリッジを振り分けることとした。以下に、プリントジョブが連続通紙モードの場合と間欠通紙モードの場合それぞれにおける、転写残トナーの振り分け制御について説明する。ここで、連続通紙モードとは、複数枚の記録材に連続して画像形成動作が行われている場合であって、画像形成動作が行われている記録材に対して、連続して画像形
成動作が行われる後続の記録材が存在する場合をいう。
【0066】
プリントジョブが連続通紙モードの場合、プロセスステーションの転写部における印加バイアス(転写バイアス)としては、全ステーションにおいて正極性のバイアスを印加することとしている。
これにより、2次転写における転写残トナーは全て、第1のステーションSaで回収することができる。
このような構成により、次ページのトナー像の1次転写と同時に、中間転写体上における前ページの転写残トナーのクリーニングが可能となり、画像形成装置のプリントスピードを遅くすることなく、連続した画像形成が可能となる。
【0067】
そして、プリントジョブが間欠通紙モードの場合には、画像形成動作終了後の感光ドラムの後回転時に、第2〜4のステーションSb〜Sdのうち再転写度が最も小さい(廃トナーの加算量が最も小さい)ステーションから回収するように構成している。この時、第1のステーションSaにおいては、転写部の印加バイアスをマイナス電荷のバイアスとしておき、中間転写ベルト6上の転写残トナーが感光ドラム1aで回収しないようにする。このような構成により、第2〜4のステーションSb〜Sdにおいては、各ステーションに平均的に転写残トナーがわたるように、各々の転写部での印加バイアスを逐次変化させて、転写残トナーを通過させるか又は回収するかを選択することができる。
【0068】
本実施例における廃トナー量の見積る方法としては、以下のようになる。
図7は、転写残トナーの振り分け及び廃トナー量の見積り方法を説明するための図であり、画像形成装置の制御部15により実行される廃トナー満タン検知の実行手順を示すフローチャートである。
各々のステーションにおけるプロセスカートリッジのトナー劣化状態の算出結果より、廃トナー量を予測するまでは、実施例1と同様であるため、説明を省略する(S11〜S14)。
【0069】
次に、廃トナー量に基づいて、転写残トナーを振り分けるステーションを判断する(S21)。転写残トナーを振り分けるステーションは、廃トナー量が少ないステーションを優先的に選択するようにする。そして、各カートリッジにおいて、廃トナーの総量の算出を行う。つまり、画像データ(画像情報)から求めた各色のトナー使用量と、再転写度に基づいた廃トナー量と、振り分けた転写残トナー量との総和の積算値を求める(S22)。ここで、転写残トナー量は、トナーの劣化状態に基づいて、予め記憶されているトナーの劣化状態と転写残トナー量との関係から画像形成装置の制御部15(ベルト残現像剤量導出手段に相当)により決定される。トナーの劣化状態は、実施例1で説明したように、例えば現像ローラの回転数から導出することができる。より精度良く転写残トナー量を導出するには、トナーの劣化状態に加えてトナー使用量を用いるとよい。前述したピクセルカウント制御に基づいて、各色成分の画像データ(画像情報)から各色のトナー使用量を求め、このトナー使用量とトナー劣化状態から転写残トナー量を導出することができる。
【0070】
前述の積算値と、各々のプロセスカートリッジに装着されている不揮発メモリ内に予め記憶されている廃トナー満タン予測閾値と比較する(S15)。
積算値が不揮発メモリ内の閾値を超えたら、回収トナー容器72が廃トナーで満タンであると判断して、画像形成装置上に警告状態であることを報知する(S16)。なお、本実例では、制御部15は検知信号に基づいて表示部に警告を報知しているがこれ以外の形態にも適用可能である。例えば、検知信号に基づいてネットワークでつながった端末に警告を表示させたり、検知信号に基づいて画像形成の動作を停止させたりするようにしてもよい。
ここで、第1のステーションSaの感光ドラム1では、再転写を考慮する必要はないた
め、画像データから得られたトナー使用量と、連続通紙モード時に回収される転写残トナー量との総和の積算値が、廃トナー満タン検知の為の閾値と比較されることとなる。
まとめると、中間転写ベルト61からトナーが感光ドラム1に回収されるような装置においては、最上流のステーションSa(第一の画像形成部)では、ステーションSaの画像形成による廃トナー量と、中間転写ベルト61から感光ドラム1aに回収されるトナー量とに基づいて廃トナー総量を算出する。
一方、ステーションSb、Sc,Sd(第二の画像形成部)では、実施例1のように、上流側のステーション(第一の画像形成部)のトナーの再転写量を考慮した廃トナー量と、さらに、中間転写ベルト61から感光ドラム1b、1c、1dに回収されるトナー量とに基づいて廃トナー総量を算出する。
【0071】
ここで、転写部での印加バイアスによって、転写残トナーの回収先を変えることができるが、中間転写ベルトと各々の感光ドラムが物理的に離間することによって、転写残トナーを通過させるか又は回収するかを選択してもよい。
図8(b)は、当接離間手段が設けられたカートリッジにおける振り分け制御について説明するための概略断面図である。
この画像形成装置においては、中間転写ベルト6上の転写残トナーを通過させたいステーションにおいて、中間転写ベルトと感光ドラムを、当接離間手段によって物理的に離間させている。そして、中間転写ベルト6上の転写残トナーを回収させたいステーションにおいて、中間転写ベルトと感光ドラムとを当接離間手段によって物理的に当接させることで、所望のステーションで転写残トナーを回収させることをコントロールすることができる。
【0072】
このように、本実施例では、転写同時クリーニング方式を用いる画像形成装置において、プロセスカートリッジの使用度合いを検出し、トナーの劣化状態を算出している。その後、算出結果に基づいて、下流ステーションでの再転写度を予測し、さらに予測結果に基づいて、中間転写ベルト6上の転写残トナーを回収させるカートリッジを逐次、選択している。
このような構成により、中間転写ベルト6上の転写残トナーが、特定のプロセスカートリッジ内の回収トナー容器(廃トナータンク)72に偏って回収されることを防止することができ、より効率的に複数の回収トナー容器72を有効活用することができる。
【0073】
尚、本実施例においても、中間転写ベルトを用いた画像形成装置について説明したが、これに限られるものではない。記録材搬送ベルト(記録材搬送体)を用いて記録材を担持搬送し、複数の像担持体から記録材へトナー像を直接順次多重転写するインライン方式の画像形成装置であってもよい。このような装置等の転写同時クリーニング方式でない装置における連続通紙モードの場合には、連続して画像形成される先の記録材と後の記録材との間で、ベルト上の残トナーのクリーニングが行われることとなる。
なお、中間転写ベルト上、もしくは転写ベルト上の転写残トナーを回収する手段としては、上記のような構成に限定されるものではなく、転写残トナーが感光ドラムに回収されるものであればよい。
【符号の説明】
【0074】
1…感光ドラム、6…中間転写ベルト、72…回収トナー容器、100…画像形成装置、S…(プロセス)ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体に形成された静電潜像を現像剤像に現像する現像装置と、前記現像剤像を転写した後に前記像担持体に残留した現像剤を収容容器に回収するクリーニング装置と、を有する画像形成部を、前記現像剤像を転写される記録材を搬送する記録材搬送体又は前記現像剤像を転写される中間転写体の移動方向に沿って複数有する画像形成装置において、
複数の前記画像形成部は、第一の画像形成部と、第二の画像形成部とを備え、前記第二の画像形成部は、前記記録材搬送体又は前記中間転写体の移動方向の下流側に設けられており、
前記第一の画像形成部における現像剤劣化状態に関する情報を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果と、前記第二の画像形成部において現像剤が再転写される量との関係を記憶した記憶手段と、
前記検出手段の検出結果と、前記記憶手段に記憶された前記関係と、前記第一の画像形成部において画像形成に用いられた現像剤に関する情報と、前記第二の画像形成部において画像形成に用いられた現像剤に関する情報とに基づいて、前記第二の画像形成部の前記収容容器に収容された現像剤の量に関する検知信号を出力する制御部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録材搬送体又は前記中間転写体に残留した現像剤は、前記第二の画像形成部の前記像担持体に転写して前記収容容器に回収され、
前記制御部は、さらに前記記録材搬送体又は前記中間転写体に残留した現像剤が前記第二の画像形成部の前記収容容器に回収される量に関する情報を用いて、前記第二の画像形成部の前記収容容器に収容された現像剤の量に関する検知信号を出力する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第一の画像形成部は、複数の前記画像形成部のうち前記記録材搬送体又は前記中間転写体の移動方向の最上流に設けられた画像形成部であり、
前記制御部は、画像形成部において画像形成に用いられた現像剤に関する情報に基づいて、前記第一の画像形成部の前記収容容器に収容された現像剤の量に関する検知信号を出力する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録材搬送体又は前記中間転写体に残留した現像剤は、前記第一の画像形成部の前記像担持体に転写して前記収容容器に回収され、
前記制御部は、さらに前記記録材搬送体又は前記中間転写体に残留した現像剤が前記第一の画像形成部の前記収容容器に回収される量に関する情報を用いて前記第一の画像形成部の前記収容容器に収容された現像剤の量に関する検知信号を出力する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録材搬送体又は前記中間転写体に残留した現像剤は、複数の画像形成部の前記収容容器に収容された現像剤の量を比較し、前記収容容器に収容された現像剤の量が少ない画像形成部に対して優先的に回収されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像装置は、前記像担持体と対向して配置され前記静電潜像を現像するための現像ローラを備え、
前記検出手段は、前記現像ローラの回転数を検出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記像担持体の回転数を検出することを特徴とする請求項1乃至5の
いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検出手段は、画像形成のプリント回数を検出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
情報を表示するための表示部を備え、前記検知信号に基づいて前記表示部は警告状態であることを表示する請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記検知信号に基づいて前記画像形成装置の画像形成の動作を停止させることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−29819(P2013−29819A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129774(P2012−129774)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】