説明

画像欠陥検査方法、画像欠陥検査装置及び外観検査装置

【課題】比較する2つの画像分布のずれに起因した誤差を低減した画像欠陥検査方法及び画像欠陥検査装置の実現。
【解決手段】2つの画像の対応する部分のグレイレベル差を検出する差画像検出部6と、検出したグレイレベル差を閾値と比較して、グレイレベル差が閾値より大きい場合に、欠陥であると判定する欠陥検出部8とを備える画像欠陥検査装置であって、差画像検出部は、正負の符号付きグレイレベル差を検出し、符号付きグレイレベル差の平均値を算出する平均算出部11と、符号付きグレイレベル差を算出した平均値で補正して符号付き補正グレイレベル差を算出する補正部12と、符号付き補正グレイレベル差から符号なしの絶対値補正グレイレベル差を算出する絶対値変換部13とを備え、欠陥検出部8は、絶対値補正グレイレベル差を閾値と比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対応する信号の差を検出し、検出した差を閾値と比較して、差が閾値より大きい場合に、欠陥であると判定する欠陥検査方法及び装置に関し、特に2つの画像の対応する部分のグレイレベル差を検出し、検出したグレイレベル差を閾値と比較して、グレイレベル差が閾値より大きい場合に、欠陥であると判定する画像欠陥検査方法及び装置、及びそのような方法により半導体ウエハ上に形成された半導体回路パターンの欠陥を検出する外観検査装置に関し、更にいえば閾値を信号(画像)に応じて定める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、同一であるべき2つの画像の対応する部分を比較して、差が大きな部分を欠陥と判定する画像処理方法及び装置を対象とする。ここでは半導体製造工程で半導体ウエハ上に形成した半導体回路パターンの欠陥を検出する外観検査装置(インスペクションマシン)を例として説明を行うが、本発明はこれに限定されるものではない。一般の外観検査装置は、対象表面を垂直方向から照明してその反射光の像を捕らえる明視野検査装置であるが、照明光を直接捕らえない暗視野検査装置も使用されている。暗視野検査装置の場合、対象表面を斜め方向又は垂直方向から照明して正反射は検出しないようにセンサを配置し、照明光の照射位置を順次走査することにより対象表面の暗視野像を得る。従って、暗視野装置ではイメージセンサを使用しない場合もあるが、これも当然発明の対象である。このように、本発明は、同一であるべき2つの画像(信号)の対応する部分を比較して、差が大きな部分を欠陥と判定する画像処理方法及び装置であれば、どのような方法及び装置にも適用可能である。
【0003】
半導体製造工程では、半導体ウエハ上に多数のチップ(ダイ)を形成する。各ダイには何層にも渡ってパターンが形成される。完成したダイは、プローバとテスタにより電気的な検査が行われ、不良ダイは組み立て工程から除かれる。半導体製造工程では、歩留まりが非常に重要であり、上記の電気的な検査の結果は製造工程にフィードバックされて各工程の管理に使用される。しかし、半導体製造工程は多数の工程で形成されており、製造を開始してから電気的な検査が行われるまで非常に長時間を要するため、電気的な検査により工程に不具合があることが判明した時には既に多数のウエハは処理の途中であり、検査の結果を歩留まりの向上に十分に生かすことができない。そこで、途中の工程で形成したパターンを検査して欠陥も検出するパターン欠陥検査が行われる。全工程のうちの複数の工程でパターン欠陥検査を行えば、前の検査の後で発生した欠陥を検出することができ、検査結果を迅速に工程管理に反映することができる。
【0004】
現在使用されている外観検査装置は、半導体ウエハを照明し、半導体回路パターンの画像を光学的に捕らえて画像電気信号を発生し、この画像電気信号を更に多値のデジタル信号(デジタルグレイレベル信号)に変換する。そして、基準となるパターンのグレイレベル信号との差信号(グレイレベル差信号)を生成し、その差が所定の閾値より大きい部分を欠陥と判定している。基準となるパターンは隣接するダイである場合、または隣接する同形状パターンである場合が一般的である。そして欠陥と判定された部分を更に詳細に調べて歩留まりに影響する真の欠陥であるか判定する欠陥分類処理を行う。欠陥分類処理は欠陥の部分を詳細に調べる必要があり、長い処理時間を必要とする。そのため、欠陥を判定する場合には、真の欠陥は漏らさず、且つ真の欠陥以外はできるだけ欠陥と判定しないことが要求される。
【0005】
そこで、閾値の設定が大きな問題になる。閾値を小さくすると欠陥と判定される画素(ピクセル)が増加し、真の欠陥でない部分まで欠陥と判定されることになり、欠陥分類処理に要する時間が長くなるという問題を生じる。逆に、閾値を大きくしすぎると真の欠陥まで欠陥でないと判定されることになり、検査が不充分であるという問題を生じる。
【0006】
従来の閾値をサンプルによって自動的に決定する方法は、あらかじめ類似のサンプルのパターンのデジタルグレイレベル信号を生成し、更にグレイレベル差信号を生成し、差のヒストグラムを作成する。そして、ヒストグラムの差の大きな部分から所定の比率で設定された変動基準差を求め、それに固定差を加算して検出の閾値としていた。これは、差の分布のばらつきが大きい場合が実際にも問題であると考え、そのような場合にも欠陥と判定される画素があまり増加しないようにするためである。この方法では、変動基準差はサンプルにより変化するが、加算される固定差は固定であり、サンプルにより変化しないので、ノイズレベルが変化する場合には適切な閾値を求めることができないという問題がある。
【0007】
このような問題を解決するため、閾値を決定する各種の方法が提案されている。例えば、特開平4−107946号公報は、パターンの複数の部分でグレイレベル差を算出し、その統計量に基づいて閾値を決定する方法を開示している。具体的には、グレイレベル差の部分ごとの最大値を求めて最大値ヒストグラムを作成する。そして、その平均値及び標準偏差から最適閾値の初期値を設定し、更に欠陥と検出される画素数から初期値を修正して最適閾値を決定する。しかし、この方法は、(1)あらかじめサンプルを測定する必要があり、(2)複数回検査を行わなければならないという問題がある。更に、欠陥検出数が急変する閾値が最適とされているが、どのようにして急変する閾値を求めるか具体的な方法が記載されていない。
【0008】
また、特許第2996263号は、グレイレベル差と頻度の関係から近似曲線を求め、この近似曲線がゼロとなるグレイレベル差を最適閾値とする方法を開示している。しかし、グレイレベル差と頻度の関係が曲線となるが、曲線はかならずしもゼロにはならないため、近似曲線がゼロにならない場合が存在する。また、直線でも傾きによってはゼロにならない場合が存在する。従って、設定できない場合が起こり得る。更に、この曲線は容易に求めることができると記載されているが、この曲線は実際にはグレイレベル差の分布に依存するため簡単に求めることはできず、処理時間が長くなるという問題がある。
【0009】
特開2002−22421号公報は、標準偏差によるエラー確率変換を行う方法を開示している。しかし、この方法は、(1)標準偏差をグレイレベル差から直接計算するため、多量の計算量を必要とし、処理時間が長くなるという問題があり、(2)欠陥の判定にグレイレベル差ではなく、エラー確率値を使用しているため、すべてのグレイレベル差に対してエラー確率値を求める計算が必要となり、処理時間が長くなるという問題がある。更に、標準偏差を使用するため、正規分布にのみ適用でき、他の分布には適用できないという問題もある。
【0010】
【特許文献1】特開平4−107946号公報(全文)
【特許文献2】特許第2996263号(全文)
【特許文献3】特開2002−22421号公報(全文)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
半導体パターンの検査などにおいては、検査の自動化が求められており、閾値の設定も自動的に行うことが求められている。そのためには、検出したグレイレベル差を即座に処理して最適閾値を設定し、それに基づいて欠陥判定を行う必要があり、上記のような方法を自動的に行って閾値を自動設定することが考えられる。しかし、一方ではスループット向上のため、検査時間の短縮も求められており、上記の方法は、あらかじめサンプルを複数回測定する必要があったり、処理時間が長いなどの問題があり、高スループットの検査装置の閾値設定を自動化するには適していないという問題がある。
【0012】
特に、実際の半導体パターンの検査では、ダイ内の部分によりノイズレベルが異なり、ウエハ上のダイの位置に応じてもノイズレベルが異なり、さらには同じ半導体パターンを形成した場合でもウエハによりノイズレベルが異なる。そのため、検出したグレイレベル差を随時処理して最適閾値を設定する必要があるが、上記の従来の方法を使用したのではこのような要求を満たすことはできない。
【0013】
以上のように、従来の閾値を決定する方法は、閾値の設定も自動的に行う高スループットの外観検査装置には実際上使用できない。
【0014】
更に、これまでは比較する2つの画像のグレイレベルが同じ値を中心として分布しており、グレイレベル差がゼロの画素がもっとも多いと仮定していたが、実際にはこのようなことは保証されず、それが検査誤差の原因になっていた。
【0015】
本発明の第1の目的は、高スループットの外観検査装置で閾値の設定を自動的に行うのに使用できる新しい画像欠陥検査方法及び画像欠陥検査装置の実現することである。
【0016】
本発明の第2の目的は、比較する2つの画像分布のずれに起因した誤差を低減した画像欠陥検査方法及び画像欠陥検査装置の実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記第1の目的を実現するため、本発明の第1の態様の画像欠陥検査方法及び画像欠陥検査装置は、2つの画像の対応する部分のグレイレベル差の累積頻度を算出し、仮定した所定の分布で、累積頻度がグレイレベル差に対してリニアな関係になるように変換して変換累積頻度を算出し、その近似直線を算出し、算出した近似直線に基づいて所定の累積頻度の値から所定の算出方法に従って閾値を決定することを特徴とする。
【0018】
変換累積頻度はグレイレベル差に対してリニアな関係であるので、その後の閾値を決定する処理が容易になり、処理時間が短い。従って、パターンに合わせて自動的に閾値を設定するためにこの方法を利用しても、スループットの低下は小さい。
【0019】
また、累積頻度の変換累積頻度への変換を変換表を用いて行えば、変換に要する時間が短い。
【0020】
更に、すべてのグレイレベル差から算出する必要はなく、所定の密度でサンプリングしたグレイレベル差から算出してもよく、これにより処理時間が短縮できる。
【0021】
閾値は、例えば、近似直線上の所定の累積頻度の値に対応する点のグレイレベル差に、所定のグレイレベル差を加えた値を閾値として決定する。これにより欠陥に相当するグレイレベル差の影響を排除して閾値を決定することができる。欠陥に相当するグレイレベル差は、その欠陥の程度により大きく変動する。従って、欠陥に相当するグレイレベル差を含めて統計処理するとその分変動が大きくなる。欠陥の判定は欠陥の程度に影響されずに設定されるべきであり、そのためには閾値を欠陥の部分に影響されずに設定することが望ましい。処理対象のグレイレベル差に欠陥に相当するグレイレベル差が含まれると、変換累積頻度はあるグレイレベル差までは直線に近似され、そのグレイレベル差から離れたより大きなグレイレベル差の部分に直線がシフトする階段状のグラフになる。そこで、このシフトした部分を除いて直線近似すれば、正常な欠陥のない部分のグレイレベル差の分布、すなわちノイズレベルを正確に求めて閾値が設定できる。
【0022】
使用する分布は、どのような分布でもよく、例えば、正規分布、ポアソン分布、t分布、指数分布、ワイブル(Weibull)又はχ二乗分布のいずれかである。
【0023】
また、最適な分布を適用するため、複数種類の分布に対するグレイレベル差の相関度をそれぞれ算出し、相関度のもっとも高い分布により決定した閾値を使用したり、複数種類の分布に対して複数の個別閾値をそれぞれ算出し、複数の個別閾値の平均を閾値としたり、複数の相関度による複数の個別閾値の加重平均を閾値とするようにしてもよい。相関度は、例えば、複数種類の分布による変換累積頻度及び近似直線をそれぞれ算出し、変換累積頻度と近似直線の間の差から算出される。
【0024】
グレイレベル差は、正負の符号付きのデータでも、絶対値データでもよいが、絶対値データの場合には、正負の符号付きのデータの平均値などで符号付きのデータを補正してから絶対値データを求め、絶対値データに対して単一の閾値で比較を行う。符号付きのデータの場合には、正側と負側の2つの閾値を決定する。
【0025】
閾値の決定は、欠陥を検出する対象となる画像パターンに対して自動的に行い、決定した閾値でその画像パターンの欠陥を判定する。
【0026】
半導体ウエハ上に形成された半導体回路パターンの欠陥を検出する外観検査装置に、上記のような画像欠陥検査方法又は装置を用いれば、パターンのノイズレベルに応じて閾値が自動的に設定される高スループットの半導体パターン用外観検査装置が実現できる。
【0027】
上記第2の目的を実現するため、本発明の第2の態様の画像欠陥検査方法及び画像欠陥検査装置は、正負の符号付きグレイレベル差の平均値を算出し、平均値で符号付きグレイレベル差を補正して符号付き補正グレイレベル差を算出し、符号付き補正グレイレベル差から符号なしの絶対値補正グレイレベル差を算出し、絶対値補正グレイレベル差を前記閾値と比較することを特徴とする。
【0028】
上記第2の目的を実現するため、本発明の第3の態様の画像欠陥検査方法及び画像欠陥検査装置は、正負の符号付きグレイレベル差から正負に渡る累積頻度を算出し、この累積頻度から所定の算出方法に従って正側・負側の2つの閾値を決定し、正側・負側の2つの閾値の差の1/2を補正閾値として決定し、グレイレベル差を正側・負側の2つの閾値の平均値で補正して絶対値補正グレイレベル差を算出し、正側・負側の2つの閾値から絶対値閾値を算出し、絶対値補正グレイレベル差を絶対値閾値と比較することを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、画像のノイズレベルに応じた閾値の設定が簡単な処理で行えるので、画像に応じた閾値の設定が短時間に且つ低コストで行える画像欠陥検査方法及び画像欠陥検査装置が実現できる。更に、この方法及び装置を使用すれば、閾値の設定を自動的に行え、より適切に欠陥を検出できる高スループットの外観検査装置が低コストで実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明の第1実施例の半導体パターン用外観検査装置の概略構成を示すブロック図である。図示のように、2次元又は3次元方向に自在に移動可能なステージ1の上面に試料台(チャックステージ)2が設けられている。この試料台の上に、検査対象となる半導体ウエハ3を載置して固定する。ステージの上部には1次元又は2次元のCCDカメラなどを用いて構成される撮像装置4が設けられており、撮像装置4は半導体ウエハ3上に形成されたパターンの画像信号を発生させる。
【0031】
図2に示すように、半導体ウエハ3上には、複数のダイ3Aが、X方向とY方向にそれぞれ繰返し、マトリクス状に配列されている。各ダイには同じパターンが形成されるので、隣接するダイの対応する部分の画像を比較するのが一般的である。両方のダイに欠陥がなければグレイレベル差は閾値より小さいが、一方に欠陥があればグレイレベル差は閾値より大きくなる(シングルディテクション)。これではどちらのダイに欠陥があるか分からないので、更に異なる側に隣接するダイとの比較を行い、同じ部分のグレイレベル差が閾値より大きくなればそのダイに欠陥があることが分かる(ダブルディテクション)。
【0032】
撮像装置4は1次元のCCDカメラを備え、カメラが半導体ウエハ3に対してX方向又はY方向に一定速度で相対的に移動(スキャン)するようにステージ1を移動する。画像信号は多値のデジタル信号(グレイレベル信号)に変換された後、差分検出部6に入力されると共に、信号記憶部5に記憶される。スキャンにより隣のダイのグレイレベル信号が生成されると、それに同期して信号記憶部5に記憶された前のダイのグレイレベル信号を読み出し、差分検出部6に入力する。実際には微小な位置合わせ処理などが行われるがここでは詳しい説明は省略する。
【0033】
差分検出部6には隣接する2個のダイのグレイレベル信号が入力され、2つのグレイレベル信号の差(グレイレベル差)が演算されて検出閾値計算部7と検出部8に出力される。ここでは、差分検出部6は、グレイレベル差の絶対値を算出し、それをグレイレベル差として出力する。検出閾値計算部7は、グレイレベル差から検出閾値を決定し、検出部8に出力する。検出部8は、グレイレベル差を決定された閾値と比較し、欠陥かどうかを判定する。半導体パターンは、メモリセル部、論理回路部、配線部、アナログ回路部などのパターンの種類に応じてノイズレベルが異なるのが一般的である。半導体パターンの部分と種類の対応関係は設計データにより分かる。そこで、例えば、検出閾値計算部7は部分毎に閾値決定処理を行って閾値を決定し、検出部8は部分毎に決定された閾値で判定を行う。
【0034】
なお、本実施例では、半導体ウエハ上の隣接するダイの画像を比較するために信号記憶部5を設けているが、別に記憶した基準試料の画像信号やCADなどのデータから生成した画像信号を差分検出部6に入力してグレイレベル差を生成することも可能であり、その場合には信号記憶部5を除くことができる。
【0035】
以上、第1実施例の外観検査装置の概略構成説明したが、本発明の特徴は検出閾値計算部7にあり、その処理を図3から図7を利用して説明する。
【0036】
図3は、検出閾値計算部7の検出閾値計算処理を示すフローチャートであり、図4は処理において生成されるグラフを示す図である。ステップ101では、差分検出部6で算出された各画素(ピクセル)のグレイレベル差が入力される。ステップ102では、図4の(A)のようなグレイレベル差のヒストグラムを作成する。なお、対象となる画素数が多い場合には、ヒストグラムはすべての画素のグレイレベル差を使用して作成する必要はなく、サンプリングした一部の画素のグレイレベル差を使用して作成してもよい。
【0037】
ステップ103では、ヒストグラムからグレイレベル差に対する累積頻度を作成する。この時、後述するように、累積頻度でなく累積確率を作成してもよい。
【0038】
ステップ104で、グレイレベル差が正規分布、ポアソン分布、又はχ二乗分布などのある分布に従うと仮定して、仮定した分布であった場合に累積頻度がグレイレベル差に対して直線関係となるように変換する。図5の(A)に示すように、グレイレベル差の頻度がある分布を有するとする。その累積頻度は、図5の(B)のようにある単純増加曲線になる。この曲線は、総サンプル数で除して確率で表示すれば、分布の広がり具合を示す係数が同じであれば同じ曲線になる。次に、累積頻度がグレイレベル差に対して直線関係となるように変換する。具体的には、図5の(B)のa−f(図示していないが、実際にはa−h)をA−F(A−H)に比例するように変換すると図5の(C)に示すようになり、A−G(A−H)が等間隔であるとすると、a−g(a−h)も等間隔になる。このように変換した累積頻度を変換累積頻度と称することにする。この処理は、具体的にはグレイレベル差の確率をf(t)とする場合、累積確率F(t)(累積頻度/サンプル数)は次の数1の式で表される。
【0039】
【数1】

【0040】
累積確率F(t)の逆関数F-1(t)により、累積確率を変換することにより行う。このようにして求めた変換累積頻度は図4の(B)のように、直線に近いグラフになる。なお、図では累積頻度として示してあるが、累積確率で表示しても同じである。
【0041】
累積確率の逆関数を求める計算は多量の計算量を必要とするため、あらかじめ分布に応じて変換表を求めておき、それを使用して変換を行う。また、この変換は累積頻度全点に対して行う必要はなく、後述する近似直線を求めるのに必要な点数だけ行えばよい。仮定する分布は、リファレンスサンプル又はサンプルの一部分を用いてあらかじめ作成しておくことができる。リファレンスから仮定する分布を作成する方法は、検査で閾値を求める範囲よりも十分に大きな領域でグレイレベル差のヒストグラムを作成する。この時、色むらなどがないダイ又はそのような領域を選択するか、後述するように符号付きのグレイレベル差の平均値を求め平均値でグレイレベル差がゼロになるように補正するか、50%の確率の時にグレイレベル差がゼロとなるように補正する。そして、補正した値をゼロで折り返してグレイレベル差の絶対値を求めることが望ましい。そして、等間隔のグレイレベル差に対して累積確率を求めて変換表を作成する。
【0042】
ステップ105では、グレイレベル差と変換累積頻度の関係から近似直線(y=ax+b)を算出する。なお、近似直線は最小2乗法などを使用して求めることも可能であるが、簡易的には変換累積頻度のある1点と原点を直線で結んで近似直線を求めることも可能である。
【0043】
ステップ106では、近似直線のパラメータa、b及び感度設定パラメータ(固定値)から閾値を決定する。
【0044】
図6は、閾値の決定方法の例を説明する図である。図6の(A)は、グレイレベル差と変換累積頻度のグラフにおいて、固定の感度設定パラメータとしてVOPとHOを設定しておき、累積確率(p)に相当する累積頻度P1(pにサンプル数を乗じて求める。)になる直線上の点を求め、その点から縦軸方向にVOP、横軸方向にHO移動したグレイレベル差を閾値とする。従って、閾値TはT=(P1−b+VOP)/a+HOで表されることになる。
【0045】
図6の(B)に示すように、P1+VOPをVOQとして設定しておいて、T=(VOQ−b)/a+HOとしても同じである。
【0046】
図7は、上記のようにして決定した閾値の有効性を説明する図である。図7の(A)のように、画像のノイズが少なく、グレイレベル差が狭い範囲に分布する場合と、図7の(C)のように、画像のノイズが大きく、グレイレベル差が広い範囲に分布する場合とを考える。所定の累積確率に相当する累積頻度P1になるグレイレベル差は、図示のように分布の広がり具合に応じて異なる。そのようなグレイレベル差から、オフセットOを加えたグレイレベル差を閾値とする。オフセットOは、分布の広がり具合(すなわち直線の傾きa)に応じて変化する成分と、固定の成分で構成される。図7の(B)に示すように、傾きaが大きい場合、すなわち画像のノイズが小さい場合には、累積頻度P1になるグレイレベル差が小さくなる上、固定のオフセット成分HOは一定であるが、オフセットの傾きaに応じて変化する成分VO1も小さくなるので、閾値は小さくなる。一方、図7の(D)に示すように、傾きaが小さい場合、すなわち画像のノイズが大きい場合には、累積頻度P1になるグレイレベル差が大きくなる上、固定のオフセット成分HOは一定であるが、オフセットの傾きaに応じて変化する成分VO2も大きくなるので、閾値は大きくなる。このように、オフセット成分も分布の広がり具合(すなわち直線の傾きa)に応じて変化するので、より適切な閾値の設定が可能である。例えば、従来は固定のオフセットであるために、画像のノイズが大きい場合には真の欠陥でない擬似欠陥を多数検出したが、本実施例では、傾きaが小さくなるので閾値が大きくなり、擬似欠陥の検出数を抑制できる。また、これらの演算は、すべてリニアな計算により行えるので、演算に要する処理時間は非常に小さい。なお、所定の累積確率に相当する累積頻度P1、変動オフセット成分及び固定オフセット成分は、蓄積された画像データなどに基づいて適宜設定するようにする。なお、閾値を設定するためにグレイレベル差を処理する画像の範囲は、例えば、設計データから、メモリセルアレイ、デコーダ回路、入出力回路、又は演算ユニットなどの回路の種類に応じて範囲を特定し、各範囲内で適宜対象範囲を設定し、本発明を適用して閾値を設定する。
【0047】
ここで、画像に真の欠陥が含まれる場合の影響について考える。画像に真の欠陥が含まれる場合、グレイレベル差の分布(ヒストグラム)は図8の(A)のようになり、グレイレベル差の大きな部分に欠陥に対応する部分rが生じる。このヒストグラムから変換累積頻度を算出すると図8の(B)のようになる。実線は欠陥がない場合のグラフであり、破線は図8の(A)のような欠陥がある場合のグラフである。図示のように、欠陥がある場合には、直線から離れたより大きなグレイレベル差の部分に直線がシフトする階段状のグラフになる。
【0048】
欠陥に相当するグレイレベル差は、その欠陥の程度により大きく変動する。従って、欠陥に相当するグレイレベル差を含めて統計処理するとその分変動が大きくなる。欠陥の判定は欠陥の程度に影響されずに設定されるべきであり、そのためには閾値を欠陥の部分に影響されずに、正常な部分のノイズレベルにのみ対応して設定することが望ましい。そこで、近似直線を求める場合には、このシフトした部分を除いて近似直線を求める。具体的には、図でsで示すグレイレベル差までのデータで近似直線を求める。これにより、正常な欠陥のない部分のグレイレベル差の分布、すなわちノイズレベルに応じて正確に閾値が設定できる。
【0049】
第1実施例では、比較する2つの画像のグレイレベルが同じ値を中心にして分布している、すなわちグレイレベル差がゼロの画素がもっとも多いと仮定しているが、実際にはこのようなことは保証されない。そこで、第2実施例では、2つの画像のグレイレベルの分布の中心を一致させるように補正する。
【0050】
図9は、本発明の第2実施例の外観検査装置の差分検出部6以降の部分の構成を示す図である。他の部分は第1実施例と同じである。
【0051】
ここでは、差分検出部6は、正負の符号付きグレイレベル差を検出して出力する。平均計算部11は、全画素又はサンプリングした一部の画素の正負の符号付きグレイレベル差の平均を算出する。2つの画像のグレイレベルの分布の中心が一致していればグレイレベル差の平均はゼロになるはずであり、算出した平均のゼロからのずれが2つの分布のずれを表す。補正部12は、平均計算部11で算出された正負の符号付きグレイレベル差の平均のゼロからのずれの分だけ正負の符号付きグレイレベル差を補正して符号付き補正グレイレベル差を算出する。符号付き補正グレイレベル差はゼロを中心として分布する。絶対値変換部13は、符号付き補正グレイレベル差を符号なしの絶対値補正グレイレベル差に変換し、検出閾値計算部7と検出部8に出力する。検出閾値計算部7と検出部8における処理は第1実施例と同じである。
【0052】
なお、符号付きグレイレベル差の平均を求めて補正するのではなく、2つの分布の累積頻度が50%になるグレイレベル差を求め、それらが一致するように補正してもよい。
【0053】
第2実施例のように、符号付き補正グレイレベル差及び絶対値補正グレイレベル差を算出して後の処理に使用することにより、比較する2つの画像の分布のずれがなくなり、分布のずれに起因する誤差を低減することができる。符号付き補正グレイレベル差及び絶対値補正グレイレベル差を算出して後の処理に使用することは、第2実施例のように検出閾値計算部7において第1実施例のように変換累積頻度を算出して近似直線を算出して閾値を決定しない場合に限らず、別の方法で閾値を決定する場合やあらかじめ閾値が決定されている場合も有効である。
【0054】
第1及び第2実施例では、グレイレベル差が絶対値で表された例を説明したが、符号付きグレイレベル差に対して閾値を決定することも可能である。以下、符号付きグレイレベル差の場合の実施例を説明する。
【0055】
本発明の第3実施例は、図1に示した第1実施例と同じ構成を有するが、差分検出部6が正負の符号付きグレイレベル差を検出して出力し、検出閾値計算部7と検出部8が正負の符号付きグレイレベル差を処理する点が異なる。
【0056】
図10から図12は、第3実施例における処理を説明する図であり、図10の(A)と(B)は図4の(A)と(B)に対応し、図11は図4の(C)に対応し、図12の(A)から(C)は図5の(A)から(C)に対応する。
【0057】
差分検出部6は正負の符号付きグレイレベル差を検出し、検出閾値計算部7は符号付きグレイレベル差の正側と負側のそれぞれのデータに対して第1実施例と同じ処理を行い、正側・負側の2つの閾値を決定する。
【0058】
まず、図10の(A)のような符号付きグレイレベル差のヒストグラムを作成する。最大頻度のグレイレベル差はゼロからずれている。次に、累積頻度がグレイレベル差に対して直線関係になるように変換して図10の(B)のような変換累積頻度を作成する。この場合、グラフはグレイレベル差がゼロで累積頻度が50%の点を通らない。次に、図11のように、グラフを直線近似して正負両方向の閾値をそれぞれ求める。P1(+)とP1(−)、VOP(+)とVOP(−)、及びHO(+)とHO(−)は正負同じでも別々でもよい。更に、直線近似も、正負両方向同じでも別々でもよい。このようにして求めた正負の閾値Th(+)、TH(−)を閾値として設定して、信号がこの2つの閾値の間であれば正常、2つの閾値の外側、すなわちグレイレベル差<TH(−)又はTh(+)<グレイレベル差であれば欠陥であると判定する。従って、この場合には、閾値は正負の2つの値となる。
【0059】
図12は、上記の処理を説明する図であり、図12の(A)は符号付きグレイレベル差のヒストグラムに相当する頻度曲線を示す。A−Iは等間隔のグレイレベル差を示す。参照符号Eがグレイレベル差ゼロに対応するはずであるが、実際にはグレイレベル差の平均値分ずれている。図12の(B)は符号付きグレイレベル差の累積頻度曲線を示す。グレイレベル差Eが累積頻度0.5に対応するが、実際にはずれることになる。図12の(C)は、グレイレベル差A−Iに対応する累積頻度a−iが、A−Iに対してリニアになるように変換した変換累積頻度を示す。
【0060】
図13は、本発明の第4実施例の外観検査装置の差分検出部6以降の部分の構成を示す図である。第4実施例の外観検査装置は、第3実施例と類似の構成を有し、補正部21が設けられている点が異なる。第3実施例と同様に、差分検出部6は正負の符号付きグレイレベル差を検出し、検出閾値計算部7と補正部21に出力する。検出閾値計算部7は、符号付きグレイレベル差から正負の2つの閾値Th(+)、TH(−)を決定し、(Th(+)−TH(−))/2を閾値として検出部8に出力する。検出閾値計算部7は、正負の閾値Th(+)、TH(−)の平均値(Th(+)+TH(−))/2を算出して補正値として補正部21に出力する。補正部21は、符号付きグレイレベル差から補正値を減算して符号付き補正グレイレベル差を算出して絶対値に変換して検出部に出力する。検出部8は、(Th(+)−TH(−))/2を閾値として、符号なし絶対値補正グレイレベル差を判定する。
【0061】
第4実施例のように、正負の2つの閾値を決定し、それから閾値及び絶対値補正グレイレベル差を算出して比較することは、第4実施例のように検出閾値計算部7において変換累積頻度を算出して近似直線を算出して閾値を決定しない場合に限らず、別の方法で閾値を決定する場合、例えばヒストグラムから逆変換することなしに閾値を決定するも有効である。
【0062】
第1から第4実施例では、グレイレベル差がある分布に従うと仮定して処理を行った。しかし、この仮定した分布が適していないと良好な閾値を設定することができない。そこで、以下に述べる実施例では、この問題を解決する。
【0063】
本発明の第5実施例は、第1実施例の検出閾値計算部7における処理を変更した構成を有し、複数種類の分布を適用した場合の相関度を算出してもっとも相関度の高い分布を使用する点が第1実施例と異なる。
【0064】
図14は、第5実施例の検出閾値計算部7における処理を示すフローチャートである。図14に示すように、ステップ103の累積頻度を作成するまでの処理は第1実施例と同じである。ステップ111では、変数nにゼロを入力し、ステップ112ではnを1だけ増加させる。ステップ113では、n番目の分布の変換表を読み出す。第1実施例で説明したように、累積確率の逆関数を求める計算は多量の計算量を必要とするため、あらかじめ分布に応じて変換表を求めておき、それを使用して変換を行う。例えば、ここでは正規分布、ポアソン分布、t分布、指数分布、ワイブル(Weibull)及びχ二乗分布の変換表が順番に記憶されているとするが、本発明はこれに限られるものではなく、どのような分布の変換表が記憶されていてもよい。また、変換表を用いないで累積確率の逆関数を求める場合には、各分布による計算を行うための式を読み出す。
【0065】
ステップ114では、読み出した変換表に従って、n番目の変換累積頻度を算出する。ステップ115では、n番目の分布の変換累積頻度による近似直線を算出する。ステップ116では、n番目の分布の変換累積頻度と近似直線との差から、n番目の分布に対する相関度Rnを算出する。ステップ117では、nがnmax(ここではnmax=6)に一致したかを判定し、一致しない場合にはステップ112に戻り、一致するまでステップ112から117を繰り返す。これにより、n種類の分布についての変換累積頻度、近似直線及び相関度が算出される。ステップ118で、n種類の分布についての相関度のうちもっとも相関度の高い分布、変換累積頻度及び近似直線を選択する。その後、図3のステップ106に進んで、選択した分布、変換累積頻度及び近似直線に従って、第1実施例と同様の方法で検出閾値を決定する。
【0066】
以上、第5実施例における処理を説明したが、第5実施例における処理は第2から第4実施例に適用してもよい。
【0067】
図15は、本発明の第6実施例の検出閾値計算部7における処理を示すフローチャートである。第6実施例は、第5実施例と同様に、第1実施例の検出閾値計算部7における処理を変更した構成を有し、複数種類の分布を適用した場合の検出閾値をそれぞれ算出し、それらの平均を算出して検出閾値とする点が第1実施例と異なる。
【0068】
図15に示すように、第6実施例のステップ121から125は、第5実施例のステップ111から125と同じである。ステップ126では、n番目の分布による検出閾値THnを算出する。ステップ127では、nがnmaxに一致したかを判定し、一致しない場合にはステップ122に戻り、一致するまでステップ122から127を繰り返す。これにより、n種類の分布についての検出閾値が算出される。ステップ128で、n種類の分布についての検出閾値の平均値を算出して検出閾値として出力する。
【0069】
第6実施例における処理も同様に第2から第4実施例に適用できる。
【0070】
図16は、本発明の第7実施例の検出閾値計算部7における処理を示すフローチャートである。第7実施例は、第5実施例と同様に、第1実施例の検出閾値計算部7における処理を変更した構成を有し、複数種類の分布を適用した場合の相関度及び検出閾値をそれぞれ算出し、相関度により検出閾値を加重平均して検出閾値を算出する点が第1実施例と異なる。
【0071】
図16に示すように、第7実施例のステップ131から136は、第5実施例のステップ111から126と同じである。ステップ137では、n番目の分布による検出閾値THnを算出する。ステップ137では、nがnmaxに一致したかを判定し、一致しない場合にはステップ132に戻り、一致するまでステップ132から138を繰り返す。これにより、n種類の分布についての検出閾値が算出される。ステップ118で、n種類の分布についての相関度Rnによる検出閾値THnの加重平均値を算出して検出閾値THとして出力する。
【0072】
第7実施例における処理も同様に第2から第4実施例に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施例の半導体パターン用外観検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】半導体ウエハ上のダイの配列を示す図である。
【図3】第1実施例における検出閾値を決定する処理を示すフローチャートである。
【図4】検出閾値を決定する処理を説明する図である。
【図5】変換累積頻度を算出する処理を説明する図である。
【図6】グレイレベル差と変換累積頻度のグラフで閾値を決定する処理を説明する図である。
【図7】画像の分布具合(ノイズレベル)に応じて検出閾値の変化を示す図である。
【図8】欠陥部分の影響を説明する図である。
【図9】本発明の第2実施例の半導体パターン用外観検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3実施例における符号付きグレイレベル差を対象とした時のグレイレベル差のヒストグラムと変換累積頻度を示す図である。
【図11】本発明の第3実施例における符号付きグレイレベル差を対象とした時の正負2つの閾値の設定を説明する図である。
【図12】本発明の第3実施例における符号付きグレイレベル差を対象とした時の処理を説明する図である。
【図13】本発明の第4実施例の半導体パターン用外観検査装置の概略構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第5実施例における検出閾値を決定する処理を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第6実施例における検出閾値を決定する処理を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第7実施例における検出閾値を決定する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1 ステージ
2 試料台
3 半導体ウエハ
4 撮像装置
5 信号記憶部
6 差分検出部
7 検出閾値計算部
8 検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの画像の対応する部分のグレイレベル差を検出し、
検出した前記グレイレベル差を閾値と比較して、前記グレイレベル差が前記閾値より大きい場合に、欠陥であると判定する画像欠陥検査方法であって、
前記グレイレベル差は、正負の符号付きデータであり、
前記符号付きグレイレベル差の平均値を算出し、
前記グレイレベル差を前記算出した平均値で補正して符号付き補正グレイレベル差を算出し、
前記符号付き補正グレイレベル差から符号なしの絶対値補正グレイレベル差を算出し、
前記絶対値補正グレイレベル差を前記閾値と比較することを特徴とする画像欠陥検査方法。
【請求項2】
2つの画像の対応する部分のグレイレベル差を検出する差画像検出部と、
検出した前記グレイレベル差を閾値と比較して、前記グレイレベル差が前記閾値より大きい場合に、欠陥であると判定する欠陥検出部とを備える画像欠陥検査装置であって、
前記差画像検出部は、正負の符号付きグレイレベル差を検出し、
前記符号付きグレイレベル差の平均値を算出する平均算出部と、
前記符号付きグレイレベル差を前記算出した平均値で補正して符号付き補正グレイレベル差を算出する補正部と、
前記符号付き補正グレイレベル差から符号なしの絶対値補正グレイレベル差を算出する絶対値変換部とを備え、
前記欠陥検出部は、前記絶対値補正グレイレベル差を前記閾値と比較する画像欠陥検査装置。
【請求項3】
2つの画像の対応する部分のグレイレベル差を検出し、
検出した前記グレイレベル差を閾値と比較して、前記グレイレベル差が前記閾値より大きい場合に、欠陥であると判定する画像欠陥検査方法であって、
前記グレイレベル差は、正負の符号付きデータであり、
前記グレイレベル差から正負に渡る累積頻度を算出し、
前記累積頻度から所定の算出方法に従って正側・負側の2つの閾値を決定し、
前記正側・負側の2つの閾値の差の1/2を補正閾値として決定し、
前記グレイレベル差を前記正側・負側の2つの閾値の和の1/2で補正して絶対値補正グレイレベル差を算出し、
前記正側・負側の2つの閾値から絶対値閾値を算出し、
前記絶対値補正グレイレベル差を前記絶対値閾値と比較することを特徴とする画像欠陥検査方法。
【請求項4】
2つの画像の対応する部分のグレイレベル差を検出する差画像検出部と、
検出した前記グレイレベル差を閾値と比較して、前記グレイレベル差が前記閾値より大きい場合に、欠陥であると判定する欠陥検出部とを備える画像欠陥検査装置であって、
前記差画像検出部は、正負の符号付きグレイレベル差を検出し、
前記グレイレベル差から正負に渡る累積頻度を算出する累積頻度算出部と、
前記累積頻度から所定の算出方法に従って正側・負側の2つの閾値を決定する閾値決定部と、
前記正側・負側の2つの閾値の差の1/2を算出して補正閾値を決定する補正閾値決定部と、
前記グレイレベル差を前記正側・負側の2つの閾値の和の1/2で補正して絶対値補正グレイレベル差を算出する絶対値補正グレイレベル算出部と、
前記正側・負側の2つの閾値から絶対値閾値を算出する絶対値閾値算出部とを備え、
前記欠陥検出部は、前記絶対値補正グレイレベル差を前記絶対値閾値と比較する画像欠陥検査装置。
【請求項5】
半導体ウエハ上に形成された半導体回路パターンの欠陥を検出する外観検査装置であって、
前記半導体ウエハ上の前記半導体回路パターンの画像を生成する撮像手段と、
請求項2または4に記載の画像欠陥検査装置とを備え、
前記画像欠陥検査装置が、前記半導体回路パターンの欠陥を検出することを特徴とする外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−298788(P2008−298788A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175786(P2008−175786)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【分割の表示】特願2003−188209(P2003−188209)の分割
【原出願日】平成15年6月30日(2003.6.30)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】