画像表示システム、画像処理装置、及び、画像表示方法
【課題】車両の周辺を示す画像において、車両の周辺に存在する物体の方向や位置を気づかせることができる技術を提供する。
【解決手段】画像表示システムは、車両の互いに異なる位置に設けられ、それぞれ車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段のうち物体を検出した特定検出手段と物体とを示唆する枠の形態で表した指標を周辺画像へ重畳して表示する。このため、ユーザは物体の方向と位置とを明確に認識できる。
【解決手段】画像表示システムは、車両の互いに異なる位置に設けられ、それぞれ車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段のうち物体を検出した特定検出手段と物体とを示唆する枠の形態で表した指標を周辺画像へ重畳して表示する。このため、ユーザは物体の方向と位置とを明確に認識できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザ(代表的にはドライバ)は、車両を駐車させる際に、駐車されている他の車両などに車両を接触させないよう細心の注意を払う必要がある。また、ユーザは、駐車させていた車両を発進させる際にも、車両の進行方向を横切る人などに車両を接触させないよう細心の注意を払う必要がある。さらに、ユーザは、狭い道路において車両を走行させる際にも、その周囲の物体に車両を接触させないよう細心の注意を払う必要がある。このように、細心の注意を払ったとしもユーザは車両をそれら物体と接触させる虞がある。そこで、車両の周辺を示す周辺画像を車両に備わるディスプレイへ表示させることで、ユーザへ車両の周辺の物体の存在に気づかせてその物体と車両との接触をしないような運転を支援する画像表示システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−19492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ディスプレイにおいて車両の周辺を示す画像が表示されたとしても、ユーザは車両の周辺に存在する物体の方向や位置を気づくことができないために、その物体に車両を接触させる虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、車両の周辺を示す画像において、車両の周辺に存在する物体の方向や位置を気づかせることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、画像を表示する画像表示システムであって、車両の周辺を示す周辺画像を取得する取得手段と、前記車両の互いに異なる位置に設けられ、それぞれ前記車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段と、前記複数の検出手段のうち前記物体を検出した特定検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、前記指標が重畳された前記周辺画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像表示システムにおいて、前記重畳手段は、前記特定検出手段が複数ある場合は、該複数の特定検出手段と前記物体とを示唆する一の枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の画像表示システムにおいて、前記検出手段は、該検出手段と前記物体との距離を検出するものであり、前記重畳手段は、前記距離に応じて前記指標の大きさを変更することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の発明は、画像を処理する画像処理装置であって、車両の周辺を示す周辺画像を取得する取得手段と、前記車両の互いに異なる位置に設けられそれぞれ前記車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段のうち、前記物体を検出した特定検出手段を特定する特定手段と、前記特定検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、前記指標が重畳された前記画像を表示装置へ出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5の発明は、画像を表示する画像表示方法であって、車両の周辺を示す周辺画像を取得する工程と、前記車両の互いに異なる位置に設けられ、それぞれ前記車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段によって前記車両の周辺に存在する物体を検出する工程と、前記複数の検出手段のうち前記物体を検出した特定検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する工程と、前記指標が重畳された前記周辺画像を表示する工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6の発明は、画像を表示する画像表示システムであって、車両の周辺を示す周辺画像を取得する取得手段と、前記車両の周辺に存在する物体を検出する検出手段と、前記物体を検出した検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、前記指標が重畳された前記周辺画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、4及び5の発明によれば、車両の互いに異なる位置に設けられ、それぞれ車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段のうち物体を検出した特定検出手段と物体とを示唆する枠の形態で表した指標が、周辺画像へ重畳されて表示されるため、ユーザは物体の方向と位置とを明確に認識できる。
【0013】
また、請求項2の発明によれば、特定検出手段が複数ある場合は、該複数の特定検出手段と物体とを示唆する一の枠の形態で表した指標が周辺画像へ重畳されて表示されるため、ユーザは物体の方向と位置とを明確に認識できる。
【0014】
また、請求項3の発明によれば、表示される指標の大きさが物体と検出手段との間の距離に応じて変更されるため、ユーザは物体と検出手段を備える車両との間の距離を感覚的に認識できる。
【0015】
請求項6の発明によれば、車両の周辺に存在する物体を検出した検出手段と物体とを示唆する枠の形態で表した指標が、周辺画像へ重畳されて表示されるため、ユーザは物体の方向と位置とを明確に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1の実施の形態の画像表示システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態の、車両におけるカメラ及びソナーの取り付け位置を説明する図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態のカメラの撮影範囲及びソナーの物体を検出する検出範囲を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態の複数のカメラそれぞれが撮影した画像の一例を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施の形態の複数のカメラが撮影した車両の周辺を撮影した画像を合成する画像合成処理を説明する図である。
【図6】図6は、第1の実施の形態の上方から俯瞰した車両の一例を示す図である。
【図7】図7は、第1の実施の形態のマップデータを示す図である。
【図8】図8は、第1の実施の形態のマップデータを示す図である。
【図9】図9は、第1の実施の形態の指標を画像へ重畳する方法を説明する図である。
【図10】図10は、第1の実施の形態の指標を重畳した画像の一例を示す図である。
【図11】図11は、第1の実施の形態の画像表示システムにおける処理の流れを示す図である。
【図12】図12は、第2の実施の形態の上方から俯瞰した車両の一例を示す図である。
【図13】図13は、第2の実施の形態のマップデータを示す図である。
【図14】図14は、第2の実施の形態のマップデータを示す図である。
【図15】図15は、第2の実施の形態の指標を画像へ重畳する方法を説明する図である。
【図16】図16は、第2の実施の形態の画像表示システムにおける処理の流れを示す図である。
【図17】図17は、第2の実施の形態のリヤカメラが撮影した車両の後方周辺を示す画像の一例を示す図である。
【図18】図18は、第3の実施の形態の駐車制御システムの構成を示す図である。
【図19】現在の図19は、操舵角で車両が走行した場合に予測される車両の走行軌跡の導出を説明する図である。
【図20】図20は、第3の実施の形態の左後輪ライン及び右後輪ラインに基づいたハシゴ型のラインの導出を説明する図である。
【図21】図21は、第3の実施の形態の走行軌跡を表すラインを車両の周辺を示す画像への重畳を説明する図である。
【図22】図22は、第3の実施の形態の画像表示システムにおける処理の流れを示す図である。
【図23】図23は、第3の実施の形態のリヤカメラが撮影した車両の後方周辺を示す画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
<1.第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の画像表示システムSyの構成を示す図である。この画像表示システムSyは、車両の周辺に存在する物体の位置と方向とを示す指標を車両の周辺を示す画像へ重畳して表示することが可能である。
【0019】
<1−1.構成>
画像表示システムSyは、フロントカメラ11、左サイドカメラ12、右サイドカメラ13、リヤカメラ14(以下、カメラ11〜14という)、車速センサ15、シフトポジションセンサ16、画像処理装置1、物体検出装置20、及び、表示装置17を備える。
【0020】
画像処理装置1は、カメラ11〜14、車速センサ15、シフトポジションセンサ16、表示装置17、及び、物体検出装置20とケーブルによって電気的に接続される。また、物体検出装置20は、第1ソナー21、第2ソナー22、第3ソナー23、第4ソナー24、第5ソナー25、第6ソナー26(以下、ソナー21〜26という)、及び、画像処理装置1とケーブルによって電気的に接続される。
【0021】
図2は、車両Crにおけるカメラ11〜14及びソナー21〜26の取り付け位置を説明する図である。
【0022】
図2に示すように、フロントカメラ11は、車両Crの前端の左右中央の近傍に設けられ、その光軸は車両Crの前後方向に略沿うとともに、直進方向へ向けられている。左サイドカメラ12は、左サイドミラーに設けられており、その光軸は車両Crの左右方向に略沿うとともに、直進方向を基準にした左側方へ向けられている。右サイドカメラ13は、右サイドミラーに設けられており、その光軸は車両Crの左右方向に略沿うとともに、直進方向を基準にした右側方へ向けられている。リヤカメラ14は、車両Crの後端にあの左右中央の近傍に設けられ、その光軸は車両Crの前後方向に略沿うとともに、直進方向の逆方向へ向けられている。なお、フロントカメラ11やリヤカメラ14の取り付け位置は、左右略中央であることが望ましいが、左右中央から左右方向に多少ずれた位置であってもよい。
【0023】
カメラ11〜14はそれぞれ魚眼レンズを備えている。魚眼レンズを備えたカメラ11〜14の画角θは180度以上である。図3に示すように、カメラ11〜14の撮影範囲Sr1〜Sr4は車両Crの周囲をカバーしている。このような、カメラ11〜14を利用することで、車両Crの全周囲の撮影が可能となっている。
【0024】
また、図2に示すようにソナー21〜26は車両Crの互いに異なる位置に設けられている。第1ソナー21は車両Crの前左角の近傍に設けられ、その超音波の出力方向は車両Crの前左角外側へ向けられている。第2ソナー22は車両Crのフロントカメラ11の近傍に設けられ、その超音波の出力方向は車両Crの前端左右中央の外側へ向けられている。第3ソナー23は車両Crの前右角の近傍に設けられ、その超音波の出力方向は車両Crの前右角外側へ向けられている。第4ソナー24は車両Crの後ろ左角の近傍に設けられ、その超音波の出力方向は車両Crの後ろ左角外側へ向けられている。第5ソナー25は車両Crのリヤカメラ14の近傍に設けられ、その超音波の出力方向は車両Crの後端左右中央の外側へ向けられている。第6ソナー26は車両Crの後ろ右角の近傍に設けられ、その超音波の出力方向は車両Crの後ろ右角外側へ向けられている。
【0025】
ソナー21〜26は、それぞれのソナーが出力して何らかの物体に当たって反射した超音波を入力し、その超音波に関する信号を物体検出装置20へ出力する。図3に示すように、第1ソナー21、第2ソナー22及び第3ソナー23によって物体を検出するときの検出範囲Dr1、Dr2及びDr3は、車両Crの前方周辺をカバーしている。一方、図3に示すように、第4ソナー24、第5ソナー25、及び第6ソナー26によって物体を検出するときの検出範囲Dr4、Dr5及びDr6は、車両Crの後方周辺をカバーしている。このような、ソナー21〜26を利用することで、少なくとも車両Crの前進方向及び後進方向に存在する物体が検出される。
【0026】
図1に戻り、車速センサ15は、車両Crの速度を検出するセンサであり、その速度に関する信号を画像処理装置1へ出力する。
【0027】
シフトポジションセンサ16は、車両Crのシフトポジションを検出するセンサであり、そのシフトポジションに関する信号を画像処理装置1へ出力する。
【0028】
物体検出装置20は、ソナー21〜26の何れかから超音波に関する信号を入力し、入力したその信号に基づいてソナー21〜26のうち何れのソナーで物体を検出したかを判断するとともに、物体を検出したソナーとその物体との距離を判断する。さらに、物体検出装置20は、その判断において物体を検出したソナーを示す信号と物体を検出したソナーとその物体との距離とを示す信号を画像処理装置1へ出力する。
【0029】
画像処理装置1は、取得部2、画像生成部3、制御部4、不揮発性記憶部5、及び、出力部6を備える。取得部2は、例えば、外部機器とのインターフェースであり、カメラ11〜14が撮影した画像などを取得する。出力部6は、例えば、外部機器とのインターフェースであり、表示すべき画像などを表示装置17などの外部へ出力する。
【0030】
画像生成部3は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア回路であり、画像処理を行う機能を備えている。画像生成部3は、その機能の一部として合成画像生成部7と指標重畳部8とを備える。合成画像生成部7は、カメラ11〜14が撮影した車両Crの周辺を示す画像それぞれを合成した合成画像を生成する。カメラ11〜14が撮影した画像及びその画像を合成した合成画像のいずれも車両Crの周辺を示す周辺画像といえる。指標重畳部8は、ソナー21〜26のうち車両Crの周辺に存在する物体を検出したソナーと物体とを示唆する枠の形態で表した指標を合成画像へ重畳する。
【0031】
この枠は、扇形で内部が透明になっており、扇形の中心角の近傍が矩形になっている。この扇形の矩形部分が周辺画像における物体を検出したソナー近傍に位置し、扇形の弧の部分が周辺画像における車両のCrの外側へ向くとともに、少なくとも扇形の内部に周辺画像における物体の一部が位置するようにして、指標が周辺画像へ重畳される。このような重畳がされることで、枠の形態で表した指標は、周辺画像において物体を検出したソナーと物体とを示唆できる。つまり、ユーザは周辺画像において物体の位置と方向とを認識できる。この指標が示す範囲は、物体を検出したソナーの検出範囲におよそ対応する。
【0032】
制御部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及び、RAM(Random Access Memory)などを備えるマイクロコンピュータである。このCPUは、ROMに記憶された種々のプログラムに従って演算処理を行うことで種々の機能を実現させる。
【0033】
制御部4は、演算処理によって実現される機能の一部として、指標選択部9と特定部10とを備える。指標選択部9は、ソナー21〜26のうち物体を検出したソナーに応じた指標を不揮発性記憶部5に記憶されている種々の指標の中から選択する。特定部10は、物体検出装置20から取得部2を介して取得したソナーを示す信号及び距離を示す信号に基づいて、ソナー21〜26のうち何れのソナーで物体を検出したかを特定するとともに、物体を検出したソナーと物体との距離を特定する。
【0034】
不揮発性記憶部5は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などである。この不揮発性記憶部5は、例えば、指標選択部9が選択する種々の指標を記憶している。
【0035】
表示装置17は、その一部の機能としてディスプレイ18を備える。ディスプレイ18は、例えば、タッチパネルディスプレイであり、種々の画像を表示する機能と、ユーザの操作を受け付ける機能とを備える。このユーザの操作の内容を示す信号は、取得部2を介して制御部4に入力される。これにより、画像処理装置1は、ユーザの指示に応じた処理を行うことが可能である。
【0036】
<1−2.画像合成処理>
次に、画像表示システムSyによる画像合成処理について説明する。この画像合成処理は、車両Crの車速が所定速度(例えば、12km/h)以下の場合、或いは、シフトポジションが”R”の場合に実行される。具体的には、車速センサ15から車速に関する信号を取得して、取得したその信号に基づいて車速が所定速度以下であると判断する場合に、合成画像生成部7が画像合成処理を実行する。また、シフトポジションセンサ16からシフトポジションに関する信号を取得して、取得したその信号に基づいてシフトポジションが”R”であると判断する場合に、合成画像生成部7が画像合成処理を実行する。つまり、画像表示システムSyは、このような場合に車両Crの周辺を監視する監視モードとなり、画像合成処理などを実行することで車両Crの周辺を示す合成画像をディスプレイ18へ表示させている。
【0037】
図5は、カメラ11〜14が撮影した車両Crの周辺を撮影した画像を合成する画像合成処理を説明する図である。まず、画像処理装置1が備える取得部2は、カメラ11〜14が撮影した、図4に示すような、画像Ig1〜Ig4をカメラ11〜14より取得する。取得部2は、取得した画像Ig1〜Ig4を画像生成部3へ出力する。
【0038】
画像生成部3は、入力した画像Ig1〜Ig4を図示しない揮発性記憶部へ記憶する。
【0039】
合成画像生成部7は、その揮発性記憶部に記憶された、画像Ig1〜Ig4を、図5に示すような、仮想的な三次元空間における立体曲面Pに投影する。
【0040】
次に、視点位置が車両Crの位置の略中央の直上で、視野方向が直下方向とした仮想視点AGLを設定し、仮想視点AGLにあわせて立体曲面Pの一部を画像として切り出す。これにより、車両Crの略直上から車両Crを見下ろすように、車両Cr及び車両Crの周辺の領域を示す合成画像Ig5が生成される。
【0041】
画像処理装置1では、このような合成画像生成部7の機能を利用することで、車両Crの周辺の任意の視点からみた合成画像を生成して、表示装置17へ生成した合成画像を表示させることができる。これにより、合成画像生成部7は車両Crを仮想的に俯瞰した合成画像を生成する。
【0042】
そして、生成された合成の画像Ig5は後にディスプレイ18へ表示する際のサイズの画像Ig6が切り出される。
【0043】
<1−3.指標重畳処理>
次に、指標重畳処理について説明する。この指標重畳処理は、前述した周辺監視モードの場合で、ソナー21〜26のうちの何れかのソナーで物体が検出されたときに画像表示システムSyによって実行される。
【0044】
図6は、上方から車両Crを俯瞰した図である。この図には、車両Crの左後方に物体Ojが存在している。このように物体Ojが車両Crの左後方に存在する場合は、物体検出装置20が第4ソナー24から取得する超音波に関する信号に基づいて物体Ojを検出して、第4ソナー24を示す信号及び物体と第4ソナー24との距離(1.5m)を示す信号を特定部10へ出力する。
【0045】
特定部10は、取得したそれら信号に基づいて第4ソナー24が物体Ojを検出したことを特定するとともに、特定した第4ソナー24ーと物体との距離を特定する。以下、特定したソナーを特定ソナーといい、特定したその距離を特定距離という。そして、指標選択部9は特定ソナー及び特定距離をもとに不揮発性記憶部5に記憶されている図7及び図8に示すマップデータを参照して適切な指標を選択する。
【0046】
具体的には、特定ソナーである第4ソナー24及び特定距離である1.5mをもとに図7に示すマップデータを参照すると指標コードA6が抽出されて、この指標コードA6をもとに図8に示すマップデータを参照すると、A列・6行目の枠の形態が選択される。
【0047】
この図7に示すマップデータは、特定ソナーや特定距離に応じた指標コードが選ばれるように構成されている。この指標コードによって選ばれる図8に示すマップデータについても、結果的に特定ソナーや特定距離に応じた枠の形態が選ばれるように構成されている。つまり、図7及び図8に示すマップデータは、特定ソナーの搭載位置に応じた枠の形態が選択されるように構成されているとともに、特定距離に応じた大きさの枠の形態が選択されるように構成されている。
【0048】
そして、このように選択された指標Idの信号は、指標選択部9によって指標重畳部8へ出力される。指標重畳部8は入力した信号が示す指標Idを合成画像へ重畳する。
【0049】
図9は、合成画像Ig6へ指標Idを重畳する方法を説明する図である。つまり、指標Idの矩形の部分Ed1(図9の左上に示す)と合成画像Ig6中の車両Crの像の後ろ左角Cnr近傍の位置(図9の上中央に示す)とが重なるように、かつ、少なくとも物体の一部が枠の形態で表した指標Idの内部に位置するように、かつ、指標Idの扇形の弧の部分が車両Crの外側を向くように、指標Idが合成画像Ig6(図9の右上に示す)に重畳される。そして、この重畳された合成画像Ig6とリヤカメラ14が撮影した画像Ig7とをセットにしたセット画像がディスプレイ18に表示される(図9の下に示す)。つまり、このセット画像が指標重畳部8によって出力部6へ出力されて、さらに出力部6によって表示装置17へ出力される。そして、そのセット画像が表示装置17に備わるディスプレイ18において表示される。
【0050】
このような指標重畳処理が実行されることで、例えば、図10に示すように、第4ソナー24が車両Crの後ろ左角外側の比較的遠い位置(例えば、1.5m)に存在する物体Ojを検出した場合(図10の左上に示す)は、その物体Ojを含む比較的大きい指標(図10の右上に示す)が表示される。また、第4ソナー24が車両Crの後ろ左角外側の比較的近い位置(例えば、1.0m)に存在する物体Ojを検出した場合(図10の左中に示す)は、その物体Ojを含む比較的小さい指標(図10の右中に示す)が表示される。また、第4ソナー24が車両Crの後ろ左角外側の直近の位置(例えば、0.5m)に存在する物体Ojを検出した場合(図10の左下に示す)は、その物体Ojを含む極めて小さい指標(図10の右下に示す)が表示される。
【0051】
このため、ディスプレイ18の車両Crを俯瞰した画像Ig7において、ソナー21〜26のうち物体を検出した特定ソナーと物体とを示唆する枠の形態で表した指標Idの中に物体Ojが明確に表示される。つまり、中の部分が透明の枠の形態で表した指標Idが物体Ojを囲むように表示されることで、指標Idと物体Ojとが重ならずに表示され、ユーザはディスプレイ18の車両Crを俯瞰した画像Ig7において物体Ojを明確に認識できるとともに、物体Ojの位置と方向とを明確に認識できる。
【0052】
また、指標Idの大きさが特定距離に応じて変更されるため、ユーザはディスプレイ18の車両Crを俯瞰した画像Ig7において、物体と検出手段を備える車両との間の距離を感覚的に認識できる。
【0053】
<1−4.制御フロー>
図11は、画像表示システムSyにおける処理の流れを示す図である。この図11に示す処理は、周辺監視モードの場合に所定の周期(例えば、1/30秒周期)で繰り返される。
【0054】
まず、取得部2がカメラ11〜14により撮影された画像を取得する(ステップSA1)。この画像には、車両Crの周辺が示されている。
【0055】
次に、合成画像生成部7は、取得された車両Crの周辺を示す複数の画像に基づいて、前述した合成画像生成処理を実行する(ステップSA2)。この処理により、車両Crを上方より俯瞰した合成画像が得られる。
【0056】
次に、ソナー21〜26それぞれが超音波を出力させて、種々の物体に当たって反射した超音波を入力し、物体検出装置20へ入力した超音波に関する信号を出力する。そして、物体検出装置20が入力した超音波に関する信号に基づいてソナー21〜26のうち何れかで物体Ojを検出したか否かを判断する(ステップSA3)。
【0057】
ソナー21〜26のうち何れかで物体を検出した(ステップSA3においてYES)場合は、特定部10が何れのソナーで物体を検出したかを特定する(ステップSA4)。つまり、物体検出装置20は物体を検出したソナーを示す信号及び物体を検出したソナーとその物体との距離を示す信号を特定部10へ出力する。特定部10は入力したそれら信号に基づいて物体を検出したソナーを特定するとともに、物体を検出したソナーとその物体との距離を特定する。そして、特定部10は特定ソナーを示す信号及び特定距離を示す信号を指標選択部9へ出力する。
【0058】
次に、指標選択部9が入力した特定ソナーを示す信号及び特定距離を示す信号に基づいて指標Idを選択する(ステップSA5)。つまり、指標選択部9は、入力された特定ソナーを示す信号及び特定距離を示す信号をもとに不揮発性記憶部5に記憶されているマップデータを参照して適切な指標Idを選択する。これにより、特定ソナーの搭載位置に応じた指標Idが選択され、特定距離に応じた大きさの指標Idが選択される。この指標Idを示す信号を、指標選択部9が指標重畳部8へ出力する。
【0059】
次に、指標重畳部8が入力したその信号に示される指標Idを、合成画像生成部7から入力した合成画像の適切な位置へ重畳する(ステップSA6)。そして、指標重畳部8は、この重畳された合成画像とリヤカメラ14が撮影した画像とをセットにしたセット画像を出力部6へ画像を出力し、出力部6は表示装置17へ出力する。
【0060】
次に、表示装置17が入力したセット画像をディスプレイ18へ表示させる(ステップSA7)。これにより、指標Idが重畳された車両Crの周辺を示す画像がディスプレイ18に表示される。
【0061】
一方、ソナー21〜26のうち何れのソナーも物体Ojを検出しない(ステップSA3においてNO)場合は、出力部6が指標Idを重畳しない合成画像とリヤカメラ14が撮影した画像とをセットにしたセット画像を表示装置17へ出力する。そして、表示装置17が入力したセット画像をディスプレイ18へ表示させる(ステップSA8)。
【0062】
このように、本実施の形態の画像表示システムSyにおいては、ディスプレイ18の車両Crを俯瞰した画像Ig7に、ソナー21〜26のうち物体を検出した特定ソナーの近傍に表示された枠の形態で表した指標Idの中に物体Ojが明確に表示される。つまり、特定ソナーの近傍に表示された枠の形態で表した指標Idが物体Ojを囲むように表示されることで、枠の形態で表した指標Idの内部に物体Ojが明確に表示され、ユーザはディスプレイ18の車両Crを俯瞰した画像Ig7において物体Ojを明確に認識できるとともに、物体Ojの位置と方向とを明確に認識できる。結果、ユーザに車両Crの周辺の物体の存在を気づかせることができ、車両をその物体に接触させないような運転を支援することができる。
【0063】
また、ディスプレイ18に表示される画像に重畳される指標Idの大きさが特定距離に応じて変更されるため、このディスプレイ18を見たユーザは物体Ojとソナーを備える車両との間の距離を感覚的に認識できる。
【0064】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態の画像表示システムSyでは、ソナー21〜26のうち一のソナーで物体を検出した場合に、一のソナーと物体とを示唆する枠の形態で表した指標を表示していた。これに対して、第2の実施の形態の画像表示システムSyでは、複数のソナーで物体を検出した場合に、それら複数のソナーと物体とを示唆する一の枠の形態で表した指標を表示している。
【0065】
第2の実施の形態の画像表示システムSyの構成及び処理は第2の実施の形態と略同様であるため、以下、第2の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0066】
<2−1.指標重畳処理>
まず、指標重畳処理について説明する。この指標重畳処理は、前述した周辺監視モードの場合で、ソナー21〜26のうちの何れかのソナーで物体Ojが検出されたときに画像表示システムSyによって実行される。
【0067】
図12は、上方から車両Crを俯瞰した図である。この図には、車両Crの左後方で比較的中央よりに物体Ojが存在している。このように物体Ojが車両Crの左後方で比較的中央に存在する場合には、画像表示システムSyは物体Ojを第4ソナー24及び第5ソナー25の双方で検出することができる。つまり、物体検出装置20が第4ソナー24から取得する超音波に関する信号に基づいて物体Ojを検出し、第4ソナー24を示す信号及び物体Ojと第4ソナー24との距離(1.5m)を示す信号を特定部10へ出力する。さらに、物体検出装置20が第5ソナー25から取得する超音波に関する信号に基づいて物体Ojを検出し、第5ソナー25を示す信号及び物体Ojと第5ソナー25との距離(1.5m)を示す信号を特定部10へ出力する。
【0068】
特定部10は、取得したそれら信号に基づいて第4ソナー24及び第5ソナー25の双方が物体Ojを検出したことを特定するとともに、それら特定ソナーと物体Ojとの距離を特定する。そして、指標選択部9はそれら特定ソナー及びそれら特定距離をもとに不揮発性記憶部5に記憶されている図13及び図14に示すマップデータを参照して適切な特殊指標を選択する。
【0069】
つまり、特定ソナーである第4ソナー24、第5ソナー25及び特定距離である1.5mをもとに図13に示すマップデータを参照すると特殊指標コードAB6が抽出されて、この特殊指標コードAB6をもとに図14に示すマップデータを参照すると、AB列・6行目の枠の形態が選択される。
【0070】
この図13に示すマップデータは、特定ソナーや特定距離に応じた特殊指標コードが選ばれるように構成されている。この特殊指標コードによって選ばれる図14に示すマップデータについても、結果的に特定ソナーや特定距離に応じた枠の形態が選ばれるように構成されている。つまり、図13及び図14に示すマップデータは、特定ソナーの搭載位置に応じた枠の形態が選択されるように構成されているとともに、特定距離に応じた大きさの枠の形態が選択されるように構成されている。さらに、図13及び図14に示すマップデータは、特定ソナーが複数ある場合は、この複数の特定ソナーと物体とを示唆する一の枠の形態で表した指標が選択される。この指標が示す範囲は、複数の特定ソナーのすべての検出範囲を合併した全体領域におよそ相当する。このように選択された特殊指標Idを示す信号は、指標選択部9によって指標重畳部8へ出力される。指標重畳部8は入力した信号が示す特殊指標Idを合成画像へ重畳する。
【0071】
図15は、合成画像Ig8へ特殊指標Idを重畳する方法を説明する図である。つまり、特殊指標Idの矩形の部分Ed2(図15の左上に示す)と合成画像Ig8中の車両Crの像の後ろ左角Cnr近傍の位置及び後ろ端部中央Ctrの位置(図15の上中央に示す)とが重なるようにし、かつ、少なくとも物体の一部が枠の形態で表した特殊指標Idの内部に位置するように、かつ、画像Ig8中の第4ソナー24及び第5ソナー25と物体とを示唆する一の特殊指標Idの扇形状を成す部分とが一致するようにすることで、特殊指標Idが画像Ig8(図15の右上に示す)に重畳される。そして、この重畳された画像Ig8がリヤカメラ14で撮影した画像Ig9とセットにしたセット画像がディスプレイ18に表示される(図15の下に示す)。つまり、このセット画像が指標重畳部8によって出力部6へ出力されて、さらに出力部6によって表示装置17へ出力される。そして、そのセット画像が表示装置17に備わるディスプレイ18において表示される。
【0072】
もし、物体Ojを検出した複数の特定ソナーと物体とを示唆する指標Idのそれぞれを画像へ重畳すると、それぞれの指標Idが互いに重複する部分が発生してしまい、さらにその重複する部分に物体Ojが存在してしまう虞がある。結果、ユーザはディスプレイ18の画像において、その重複する部分が邪魔になって物体Ojの位置と方向とを見失う虞がある。しかしながら、第2の実施の形態で説明したように、特殊指標Idが物体Ojを検出した複数の特定ソナーと物体とを示唆する一の特殊指標Idを画像Ig7へ重畳することで一の特殊指標Idの中に物体Ojが明確に表示される。結果、ユーザはディスプレイ18の画像において、物体Ojの位置と方向とを明確に認識できる。
【0073】
<2−3.制御フロー>
図16は、画像表示システムSyにおける処理の流れを示す図である。この図16に示す処理は、周辺監視モードの場合に所定の周期(例えば、1/30秒周期)で繰り返される。
【0074】
まず、取得部2がカメラ11〜14により撮影された画像を取得する(ステップSB1)。この画像には、車両Crの周辺が示されている。
【0075】
次に、合成画像生成部7は、取得された車両Crの周辺を示す複数の画像に基づいて、前述した合成画像生成処理を実行する(ステップSB2)。この処理により、車両Crを上方より俯瞰した画像が得られる。
【0076】
次に、ソナー21〜26が超音波を出力させて、種々の物体に当たって反射した超音波を入力し、この超音波に関する信号を物体検出装置20へ出力する。そして、物体検出装置20が入力した超音波に関する信号に基づいてソナー21〜26のうち何れかで物体Ojを検出したか否かを判断する(ステップSB3)。
【0077】
ソナー21〜26のうち何れかで物体Ojを検出した(ステップSB3においてYES)場合は、特定部10が何れのソナーで物体Ojを検出したかを特定する(ステップSB4)。つまり、物体検出装置20は物体Ojを検出したソナーを示す信号及び物体Ojを検出したソナーとその物体Ojとの距離を示す信号を特定部10へ出力する。特定部10は入力したそれら信号に基づいて物体Ojを検出したソナーを特定するとともに、物体Ojを検出したソナーとその物体Ojとの距離を特定する。そして、特定部10は特定ソナーを示す信号及び特定距離を示す信号を指標選択部9へ出力する。
【0078】
次に、入力したそれら信号に基づいて特定ソナーが複数ある(ステップSB5においてYES)と判断する場合は、指標選択部9が入力したそれら信号に基づいて特殊指標Idを選択する(ステップSB6)。つまり、指標選択部9は、入力された複数の特定ソナーを示す信号及び複数の特定距離を示す信号をもとに不揮発性記憶部5に記憶されている図13及び図14に示すマップデータを参照して適切な特殊指標Idを選択する。これにより、複数の特定ソナーの搭載位置に応じた特殊指標Idが選択され、複数の特定ソナーと物体とを示唆する一の特殊指標Idが選択され、特定距離に応じた大きさの特殊指標Idが選択される。指標選択部9は、特殊指標Idを示す信号を指標重畳部8へ出力する。
【0079】
次に、指標重畳部8が入力したその信号に示される特殊指標Idを、合成画像生成部7から入力した合成画像の適切な位置へ重畳する(ステップSB7)。そして、指標重畳部8は、この重畳された合成画像とともにリヤカメラ14が撮影した画像とセットにしたセット画像を出力部6へ画像を出力し、出力部6は表示装置17へ出力する。
【0080】
次に、表示装置17が入力したセット画像をディスプレイ18へ表示させる(ステップSB8)。これにより、特殊指標Idが重畳された車両Crの周辺を示す画像がディスプレイ18に表示される。
【0081】
一方、ソナー21〜26のうち何れのソナーも物体Ojを検出しない(ステップSB3においてNO)場合は、出力部6が特殊指標Idを重畳しない合成画像とともにリヤカメラ14で撮影した画像とセットにしたセット画像を表示装置17へ出力する。そして、表示装置17が入力したセット画像をディスプレイ18へ表示させる(ステップSB10)
また、入力したそれら信号に基づいて特定ソナーの数が単数である(ステップSB5においてNO)と判断する場合は、指標選択部9が入力した信号に基づいて指標Idを選択する(ステップSB9)。つまり、指標選択部9は、入力された一の特定ソナーを示す信号及び特定距離を示す信号をもとに不揮発性記憶部5に記憶されている図7及び図8に示すマップデータを参照して適切な指標Idを選択する。これにより、特定ソナーの搭載位置に応じた指標Idが選択され、特定距離に応じた大きさの指標Idが選択される。この選択した指標Idを示す信号を指標選択部9が指標重畳部8へ出力する。
【0082】
このように、隣接する複数のソナーで物体Ojが検出された場合は、特殊指標Idが物体Ojを検出した複数の特定ソナーと物体とを示唆するとともに中の部分が透明の一の枠で表されるため、一の特殊指標Idの中に物体Ojが明確に表示される。結果、ユーザはディスプレイ18の画像において、物体Ojの位置と方向とを明確に認識できる。
【0083】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、カメラ11〜14が撮影した車両Crの周辺を示す画像それぞれを合成することで、車両Crを上方から俯瞰した合成画像を生成し、この合成画像に指標Idを重畳すると説明した。これに対して、そのような合成画像ではなくカメラ11〜14それぞれが撮影した車両Crの周辺を示す画像それぞれに指標Idを重畳するようにしても良い。
【0084】
例えば、図17に示すように、リヤカメラ14が撮影した車両Crの後方周辺を示す画像に指標Idを重畳しても良い。この場合においても、物体Ojを検出した特定ソナーの搭載位置に応じて指標Idの形態が変更されるとともに、特定距離に応じて指標Idの大きさが変更される。
【0085】
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、画像表示システムSyが、物体Ojを検出したソナーと物体とを示唆する枠の形態で表した指標Idを画像とともに表示することで、ユーザに対して車両Crの周辺の物体Ojの位置と方向とを気づかせて車両をその物体Ojに接触させないような運転を支援すると説明した。
【0086】
これに対して、第3の実施の形態では、画像表示システムSyが、現在の操舵角に基づいて導出される走行軌跡のラインを表示する。このラインの長さを、操舵角が最大の場合に進行方向側の端部から走行軌跡の延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する位置までの走行軌跡の距離に対応する長さにして表示することで、ユーザの駐車スペースへ車両Crを駐車させる運転を支援する。
【0087】
近年、駐車スペースへ車両Crが駐車される際に、車室内のディスプレイ18へ車両Crの周辺を示す画像とともに、現在のステアリングの操舵角に基づいて予測される車両Crの走行軌跡を示すラインを表示させることで、ユーザの駐車スペースへ車両Crを駐車させる運転を支援する画像表示システムが提案されている。ところで、ステアリングを操作して操舵角を変更することによって、表示されるラインの車両Crの進行方向側の端部を駐車スペースの間口へ合わすように調整する場合に、ラインの長さが比較的短いときはその端部とその間口との間に相当の距離があるためその調整がうまくいかない虞がある。一方で、そのラインの長さが比較的長いときにはその端部が駐車スペースの間口を超えて位置するため調整がうまくいかない虞がある。結果、車両Crを駐車スペースへ駐車させるユーザの運転を適切に支援できない虞がある。
【0088】
このため、走行軌跡のラインにおけるその端部を駐車スペースの間口へ合わす調整が可能な長さにして、ユーザの駐車スペースへ車両Crを駐車させる運転を適切に支援する技術を以下に説明する。
【0089】
第3の実施の形態の画像表示システムSyの構成は第1の実施の形態と略同様であるため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。図18は、第3の実施の形態の駐車制御システムSYの構成を示す図である。第3の実施の形態の駐車制御システムSyにおいては、指標重畳部8に代えて、走行軌跡重畳部80を備えている。また、指標選択部9に代えて、走行軌跡導出部90を備えている。また、この画像表示システムSyは、さらに、操舵角センサ27を備えている。なお、この画像表示システムSyは、特定部10、物体検出装置20及びソナー21〜26を備えていない。
【0090】
操舵角センサ27は、ステアリングの回転軸近傍に備えられ、このステアリングがユーザにより操作された際に回転した角度を検知する。走行軌跡導出部90は、操作されたステアリングの操舵角で車両Crが走行した場合に予測される軌跡(走行軌跡)を導出する。走行軌跡重畳部80は導出された走行軌跡を合成画像へ重畳する。
<3−1.走行軌跡導出処理>
まず、走行軌跡導出部90により実行される走行軌跡導出処理について説明する。この走行軌跡導出処理は、シフトポジションが”R”の場合に実行される。具体的には、シフトポジションセンサ16からシフトポジションに関する信号を取得して、取得したその信号に基づいてシフトポジションが”R”であると判断する場合に、走行軌跡導出部90が走行軌跡導出処理を実行する。また、その場合に、合成画像生成部7が画像合成処理を実行する。つまり、画像表示システムSyは、このような場合に車両Crの駐車モードとなり、走行軌跡導出処理、画像合成処理などを実行することで、車両Crの周辺を示す画像をディスプレイ18へ表示させる。
【0091】
図19は、現在の操舵角θ1で車両Crを走行させた場合に予測される車両Crの走行軌跡の導出手法を説明する図である。なお、この走行軌跡の位置は、上方から俯瞰した車両Crの左右中央かつ前後中央の位置を原点にする二次元座標で定義された仮想マップにおいて把握される。この走行軌跡の導出方法としては周知の種々の手法が利用可能であるがそのうちの一例を説明する。
【0092】
現在の操舵角θ1で車両Crを走行させた場合には、車両Crの後方の車軸Axの左右中央の点P1によって、図19の上部に示す円C1が描かれる。この円C1は、車両Crの後方の車軸Axの延長線上に存在する点Cp1を中心とした円であり、操舵角θ1で車両Crを走行させた場合の車両Crの左右中央の走行軌跡に相当する。この円C1の半径R1は、以下の式(1)によって求められる。式(1)に示すLは、車両Crのホイールベースの長さである。
【0093】
R1=L/tanθ1 …(1)
次に、円C1から所定の基準長Lsのラインが切り出されることで中央ラインLn1が導出される。
【0094】
基準長Lsは車両Crの最大の操舵角に基づいて規定される。図19の下部に示す図は、この基準長Lsの導出手法を説明する図である。図19の下部に示すように、車両Crを最大の操舵角θ2で旋回させた場合には、車軸Axの左右中央の点P1によって、円C2が描かれる。この円C2は、車両Crの後方の車軸Axの延長線上に存在する点Cp2を中心とした円であり、最大の操舵角θ2で車両Crを走行させた場合の車両Crの左右中央の走行軌跡に相当する。この円C2の半径R2は、以下の式(2)で求められる。
【0095】
R2=L/tanθ2 …(2)
中心を点Cp2とし半径をR2とする円C2において、車両Crの車軸Axの位置からマイナス90度の位置、すなわち、円C2の延伸方向(接線の方向)が車両Crの前後方向に対して直交する位置(以下、「特定位置」という。)Ptが把握される。この特定位置Ptは、車両Crの走行軌跡の延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する位置である。そして、この円C2に沿った、車両Crの後端(進行方向側の端部)Ed3と特定位置Ptとを両端とするラインLn1xが把握される。このラインLn1xの長さは、操舵角が最大の場合において車両Crの進行方向側の端部Ed3から走行軌跡の延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する特定位置Ptまでの走行軌跡の距離を示し、この長さが基準長Lsとなる。
【0096】
このように導出される最大の操舵角θ2に基づく基準長Lsが、現在の操舵角θ1に基づく中央ラインLn1の長さとして採用される。この基準長は予め導出されて制御部4のメモリ内に記憶されている。走行軌跡導出部90は、メモリ内に記憶されているこの基準長のラインを円C1から切り出して中央ラインLn1を導出する。
【0097】
次に、中央ラインLn1に基づいて走行軌跡を示すラインを導出する。具体的には、図19の上部に示すように、走行軌跡導出部90は、中央ラインLn1に応じて車両Cr左後輪及び右後輪それぞれの走行軌跡を示す左後輪ラインLn2及び右後輪ラインLn3を導出する。そして、この左後輪ラインLn2及び右後輪ラインLn3に基づいてハシゴ型のラインを導出する。
【0098】
図20は、左後輪ラインLn2及び右後輪ラインLn3に基づいたハシゴ型のラインの導出を説明する図である。左後輪ラインLn2及び右後輪ラインLn3(図20の上に示す)はハシゴの支持部に相当する。この支持部に等間隔(例えば、中央ラインLn6に沿って実際の1.0mに相当する間隔)でハシゴの足場(横棒)に相当するラインLn4(図20の中央に示す)が描かれる。さらに、複数のラインLn4それぞれの中間に破線Ln5が描かれる。そして、ラインLn2〜5それぞれに所定幅(例えば、3mm)が付けられることで走行軌跡を示すラインLn6(図20の下に示す)が描かれる。
【0099】
また、ラインLn4の近傍に、車両Crの後端からそれぞれのラインLn4までの実際の距離を示す数字が付される。さらに、ラインLn5の近傍に、車両Crの後端からそれぞれのラインLn5までの実際の距離を示す数字が付される。この数字は目盛りSlとして機能する。
【0100】
このような走行軌跡導出処理がされることによって、走行軌跡を示すラインLn6の長さは、現在の操舵角θ1に関わらず、最大の操舵角の場合において、車両Crの進行方向側の端部Ed3から走行ラインLn6の延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する特定位置Ptまでの走行軌跡の距離に対応する長さ(基準長)に設定される。
<3−2.走行軌跡重畳処理>
次に、走行軌跡重畳部80によって実行される走行軌跡重畳処理について説明する。図21は、走行軌跡を示すラインLn6を車両Crの周辺を示す画像への重畳を説明する図である。導出されたラインLn6(図21の左上に示す)が合成画像Ig10(図21の上中央に示す)の適切な位置へ重畳される。具体的には、車両Crを上方から俯瞰した合成画像Ig10において、車両Crの左右中央かつ前後中央の位置を原点にする二次元座標で定義された仮想マップが設定される。また、前述したようにラインLn6についても当該仮想マップ上において位置が把握されている。つまり、この仮想マップの座標を利用することでラインLn6を正しい位置に重畳させ、合成画像Ig10(図21の右上に示す)が生成される。
【0101】
そして、この重畳された合成画像Ig10とリヤカメラ14が撮影した画像Ig11とをセットにしたセット画像がディスプレイ18に表示される(図21の下に示す)。つまり、このセット画像が走行軌跡重畳部80によって出力部6へ出力されて、さらに出力部6によって表示装置17へ出力される。そして、そのセット画像が表示装置17に備わるディスプレイ18において表示される。
【0102】
このように、表示される走行軌跡を示すラインLn6の長さが、現在の操舵角に関わらず、最大の操舵角の場合において車両Crの進行方向側の端部から走行軌跡であるラインの延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する位置までの走行軌跡の距離に対応する長さ(基準長)に設定されため、ユーザの車両Crを駐車スペースへ駐車する運転を適切に支援できる。
【0103】
つまり、ユーザが最も困難と感じる車両Crの駐車方法の一つは、所謂、車庫入れ駐車である。この車庫入れ駐車は、例えば、図21の下に示すように走行路Cs上の車両Crの一旦停車位置から後方へ所定距離(例えば、2m)進んだ位置に対して略直交する位置に存在する駐車スペースPsへ車両Crを駐車させなければならない。このため、そのラインLn6の長さをそのような長さにすることで、車両Crを一旦停車位置において、ステアリングを最大限に操作すれば、そのラインLn6の車両Crの進行方向側の端部を駐車スペースの間口へ適切に合わすことができる。結果、ユーザの車両Crを駐車スペースへ駐車する運転を適切に支援できる。
【0104】
また、そのラインLn6に目盛りSlが付されているためユーザは車両Crと駐車スペースとの相対距離を容易に認識できる。
<3−3.制御フロー>
図22は、画像表示システムSyにおける処理の流れを示す図である。この図22に示す処理は、駐車モードの場合に所定の周期(例えば、1/30秒周期)で繰り返される。
【0105】
まず、取得部2がカメラ11〜14により撮影された画像を取得する(ステップSC1)。この画像には、車両Crの周辺が示されている。
【0106】
次に、合成画像生成部7は、取得された車両Crの周辺を示す複数の画像に基づいて、前述した合成画像生成処理を実行する(ステップSC2)。この処理により、車両Crを上方より俯瞰した画像が得られる。
【0107】
次に、走行軌跡重畳部80が操舵角データとホイールベースデータとを取得する(ステップSC3)。つまり、走行軌跡重畳部80は、操舵角センサ27から入力した操舵角に関する信号に基づいて導出された現在の操舵角データを取得するとともに、不揮発性記憶部5から入力した車両Crのホイールベースデータを取得する。
【0108】
次に、走行軌跡導出部90が取得した操舵角データとホイールベースデータとに基づいて走行軌跡を示すラインLn6を導出する(ステップSC4)。また、走行軌跡を示すラインLn6の長さは、現在の操舵角に関わらず、基準長に設定される。そして、走行軌跡導出部90は導出した走行軌跡を示すラインLn6を走行軌跡重畳部80へ出力する。
【0109】
次に、走行軌跡重畳部80が入力した走行軌跡を示すラインLn6を合成画像へ重畳する(ステップSC5)。また、走行軌跡重畳部80は重畳された合成画像とともにリヤカメラ14が撮影した画像とセットにしたセット画像を生成する。そして、走行軌跡重畳部80は、セット画像を出力部6へ出力し出力部6は表示装置17へ出力する。
【0110】
次に、表示装置17は入力したセット画像をディスプレイ18へ表示させる(ステップSC5)。
【0111】
このように、表示される走行軌跡を示すラインLn6の長さが、現在の操舵角に関わらず、最大の操舵角の場合において車両Crの進行方向側の端部から走行軌跡であるラインの延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する位置までの走行軌跡の距離に対応する長さ(基準長)に設定されため、ユーザの車両Crを駐車スペースへ駐車する運転を適切に支援できる。
【0112】
また、そのラインLn6に目盛りSlが付されているためユーザは車両Crと駐車スペースとの相対距離を容易に認識できる。
【0113】
なお、上記第3の実施の形態では、カメラ11〜14が撮影した車両Crの周辺を示す画像それぞれを合成することで、車両Crを上方から俯瞰した合成画像を生成し、この合成画像に走行軌跡を示すラインLn6を重畳すると説明した。これに対して、そのような合成画像ではなくカメラ11〜14それぞれが撮影した車両Crの周辺を示す画像それぞれに走行軌跡を示すラインを重畳するようにしても良い。
【0114】
例えば、図23に示すように、リヤカメラ14が撮影した車両Crの後方周辺を示す画像に走行軌跡を示すラインLn7を重畳しても良い。
【0115】
なお、上述した具体的実施の形態には以下の発明が含まれている。
【0116】
(1)
画像を表示する画像表示システムであって、車両の周辺を示す周辺画像を取得する画像取得手段と、前記車両の操舵角を取得する操舵角取得手段と、前記操舵角に基づいて、予測される前記車両の走行軌跡を導出する導出手段と、前記走行軌跡を示すラインを前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、前記ラインを重畳した前記周辺画像を表示する表示手段と、を備え、前記重畳手段は、前記操舵角に関わらず前記ラインの長さを、前記操舵角が最大の場合において前記車両の進行方向側の端部から前記走行軌跡の延伸方向が前記車両の前後方向に対して直交する位置までの前記走行軌跡の距離に対応する長さとすることを特徴とする画像表示システム。
【0117】
これによれば、表示される走行軌跡を示すラインの長さが、現在の操舵角に関わらず、最大の操舵角の場合において車両Crの進行方向側の端部から走行軌跡であるラインの延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する位置までの走行軌跡の距離に対応する長さに設定されため、ユーザの車両Crを駐車スペースへ駐車する運転を適切に支援できる。
【0118】
(2)
上記(1)に記載の画像表示システムにおいて、前記重畳手段は、前記走行軌跡を示すラインに、前記車両の進行方向側の端部からの距離を示す目盛を付与することを特徴とする画像表示システム。
【0119】
これによれば、走行軌跡を示すラインに目盛りが付されているためユーザは車両Crと駐車スペースとの相対距離を容易に認識できる。
【符号の説明】
【0120】
1 画像処理装置
2 取得部
3 画像生成部
4 制御部
5 不揮発性記憶部
6 出力部
7 合成画像生成部
8 指標重畳部
9 指標選択部
10 特定部
17 表示装置
20 物体検出装置
27 操舵角センサ
80 走行軌跡重畳部
90 走行軌跡導出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザ(代表的にはドライバ)は、車両を駐車させる際に、駐車されている他の車両などに車両を接触させないよう細心の注意を払う必要がある。また、ユーザは、駐車させていた車両を発進させる際にも、車両の進行方向を横切る人などに車両を接触させないよう細心の注意を払う必要がある。さらに、ユーザは、狭い道路において車両を走行させる際にも、その周囲の物体に車両を接触させないよう細心の注意を払う必要がある。このように、細心の注意を払ったとしもユーザは車両をそれら物体と接触させる虞がある。そこで、車両の周辺を示す周辺画像を車両に備わるディスプレイへ表示させることで、ユーザへ車両の周辺の物体の存在に気づかせてその物体と車両との接触をしないような運転を支援する画像表示システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−19492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ディスプレイにおいて車両の周辺を示す画像が表示されたとしても、ユーザは車両の周辺に存在する物体の方向や位置を気づくことができないために、その物体に車両を接触させる虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、車両の周辺を示す画像において、車両の周辺に存在する物体の方向や位置を気づかせることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、画像を表示する画像表示システムであって、車両の周辺を示す周辺画像を取得する取得手段と、前記車両の互いに異なる位置に設けられ、それぞれ前記車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段と、前記複数の検出手段のうち前記物体を検出した特定検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、前記指標が重畳された前記周辺画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像表示システムにおいて、前記重畳手段は、前記特定検出手段が複数ある場合は、該複数の特定検出手段と前記物体とを示唆する一の枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の画像表示システムにおいて、前記検出手段は、該検出手段と前記物体との距離を検出するものであり、前記重畳手段は、前記距離に応じて前記指標の大きさを変更することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の発明は、画像を処理する画像処理装置であって、車両の周辺を示す周辺画像を取得する取得手段と、前記車両の互いに異なる位置に設けられそれぞれ前記車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段のうち、前記物体を検出した特定検出手段を特定する特定手段と、前記特定検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、前記指標が重畳された前記画像を表示装置へ出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5の発明は、画像を表示する画像表示方法であって、車両の周辺を示す周辺画像を取得する工程と、前記車両の互いに異なる位置に設けられ、それぞれ前記車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段によって前記車両の周辺に存在する物体を検出する工程と、前記複数の検出手段のうち前記物体を検出した特定検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する工程と、前記指標が重畳された前記周辺画像を表示する工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6の発明は、画像を表示する画像表示システムであって、車両の周辺を示す周辺画像を取得する取得手段と、前記車両の周辺に存在する物体を検出する検出手段と、前記物体を検出した検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、前記指標が重畳された前記周辺画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、4及び5の発明によれば、車両の互いに異なる位置に設けられ、それぞれ車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段のうち物体を検出した特定検出手段と物体とを示唆する枠の形態で表した指標が、周辺画像へ重畳されて表示されるため、ユーザは物体の方向と位置とを明確に認識できる。
【0013】
また、請求項2の発明によれば、特定検出手段が複数ある場合は、該複数の特定検出手段と物体とを示唆する一の枠の形態で表した指標が周辺画像へ重畳されて表示されるため、ユーザは物体の方向と位置とを明確に認識できる。
【0014】
また、請求項3の発明によれば、表示される指標の大きさが物体と検出手段との間の距離に応じて変更されるため、ユーザは物体と検出手段を備える車両との間の距離を感覚的に認識できる。
【0015】
請求項6の発明によれば、車両の周辺に存在する物体を検出した検出手段と物体とを示唆する枠の形態で表した指標が、周辺画像へ重畳されて表示されるため、ユーザは物体の方向と位置とを明確に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1の実施の形態の画像表示システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態の、車両におけるカメラ及びソナーの取り付け位置を説明する図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態のカメラの撮影範囲及びソナーの物体を検出する検出範囲を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態の複数のカメラそれぞれが撮影した画像の一例を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施の形態の複数のカメラが撮影した車両の周辺を撮影した画像を合成する画像合成処理を説明する図である。
【図6】図6は、第1の実施の形態の上方から俯瞰した車両の一例を示す図である。
【図7】図7は、第1の実施の形態のマップデータを示す図である。
【図8】図8は、第1の実施の形態のマップデータを示す図である。
【図9】図9は、第1の実施の形態の指標を画像へ重畳する方法を説明する図である。
【図10】図10は、第1の実施の形態の指標を重畳した画像の一例を示す図である。
【図11】図11は、第1の実施の形態の画像表示システムにおける処理の流れを示す図である。
【図12】図12は、第2の実施の形態の上方から俯瞰した車両の一例を示す図である。
【図13】図13は、第2の実施の形態のマップデータを示す図である。
【図14】図14は、第2の実施の形態のマップデータを示す図である。
【図15】図15は、第2の実施の形態の指標を画像へ重畳する方法を説明する図である。
【図16】図16は、第2の実施の形態の画像表示システムにおける処理の流れを示す図である。
【図17】図17は、第2の実施の形態のリヤカメラが撮影した車両の後方周辺を示す画像の一例を示す図である。
【図18】図18は、第3の実施の形態の駐車制御システムの構成を示す図である。
【図19】現在の図19は、操舵角で車両が走行した場合に予測される車両の走行軌跡の導出を説明する図である。
【図20】図20は、第3の実施の形態の左後輪ライン及び右後輪ラインに基づいたハシゴ型のラインの導出を説明する図である。
【図21】図21は、第3の実施の形態の走行軌跡を表すラインを車両の周辺を示す画像への重畳を説明する図である。
【図22】図22は、第3の実施の形態の画像表示システムにおける処理の流れを示す図である。
【図23】図23は、第3の実施の形態のリヤカメラが撮影した車両の後方周辺を示す画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
<1.第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の画像表示システムSyの構成を示す図である。この画像表示システムSyは、車両の周辺に存在する物体の位置と方向とを示す指標を車両の周辺を示す画像へ重畳して表示することが可能である。
【0019】
<1−1.構成>
画像表示システムSyは、フロントカメラ11、左サイドカメラ12、右サイドカメラ13、リヤカメラ14(以下、カメラ11〜14という)、車速センサ15、シフトポジションセンサ16、画像処理装置1、物体検出装置20、及び、表示装置17を備える。
【0020】
画像処理装置1は、カメラ11〜14、車速センサ15、シフトポジションセンサ16、表示装置17、及び、物体検出装置20とケーブルによって電気的に接続される。また、物体検出装置20は、第1ソナー21、第2ソナー22、第3ソナー23、第4ソナー24、第5ソナー25、第6ソナー26(以下、ソナー21〜26という)、及び、画像処理装置1とケーブルによって電気的に接続される。
【0021】
図2は、車両Crにおけるカメラ11〜14及びソナー21〜26の取り付け位置を説明する図である。
【0022】
図2に示すように、フロントカメラ11は、車両Crの前端の左右中央の近傍に設けられ、その光軸は車両Crの前後方向に略沿うとともに、直進方向へ向けられている。左サイドカメラ12は、左サイドミラーに設けられており、その光軸は車両Crの左右方向に略沿うとともに、直進方向を基準にした左側方へ向けられている。右サイドカメラ13は、右サイドミラーに設けられており、その光軸は車両Crの左右方向に略沿うとともに、直進方向を基準にした右側方へ向けられている。リヤカメラ14は、車両Crの後端にあの左右中央の近傍に設けられ、その光軸は車両Crの前後方向に略沿うとともに、直進方向の逆方向へ向けられている。なお、フロントカメラ11やリヤカメラ14の取り付け位置は、左右略中央であることが望ましいが、左右中央から左右方向に多少ずれた位置であってもよい。
【0023】
カメラ11〜14はそれぞれ魚眼レンズを備えている。魚眼レンズを備えたカメラ11〜14の画角θは180度以上である。図3に示すように、カメラ11〜14の撮影範囲Sr1〜Sr4は車両Crの周囲をカバーしている。このような、カメラ11〜14を利用することで、車両Crの全周囲の撮影が可能となっている。
【0024】
また、図2に示すようにソナー21〜26は車両Crの互いに異なる位置に設けられている。第1ソナー21は車両Crの前左角の近傍に設けられ、その超音波の出力方向は車両Crの前左角外側へ向けられている。第2ソナー22は車両Crのフロントカメラ11の近傍に設けられ、その超音波の出力方向は車両Crの前端左右中央の外側へ向けられている。第3ソナー23は車両Crの前右角の近傍に設けられ、その超音波の出力方向は車両Crの前右角外側へ向けられている。第4ソナー24は車両Crの後ろ左角の近傍に設けられ、その超音波の出力方向は車両Crの後ろ左角外側へ向けられている。第5ソナー25は車両Crのリヤカメラ14の近傍に設けられ、その超音波の出力方向は車両Crの後端左右中央の外側へ向けられている。第6ソナー26は車両Crの後ろ右角の近傍に設けられ、その超音波の出力方向は車両Crの後ろ右角外側へ向けられている。
【0025】
ソナー21〜26は、それぞれのソナーが出力して何らかの物体に当たって反射した超音波を入力し、その超音波に関する信号を物体検出装置20へ出力する。図3に示すように、第1ソナー21、第2ソナー22及び第3ソナー23によって物体を検出するときの検出範囲Dr1、Dr2及びDr3は、車両Crの前方周辺をカバーしている。一方、図3に示すように、第4ソナー24、第5ソナー25、及び第6ソナー26によって物体を検出するときの検出範囲Dr4、Dr5及びDr6は、車両Crの後方周辺をカバーしている。このような、ソナー21〜26を利用することで、少なくとも車両Crの前進方向及び後進方向に存在する物体が検出される。
【0026】
図1に戻り、車速センサ15は、車両Crの速度を検出するセンサであり、その速度に関する信号を画像処理装置1へ出力する。
【0027】
シフトポジションセンサ16は、車両Crのシフトポジションを検出するセンサであり、そのシフトポジションに関する信号を画像処理装置1へ出力する。
【0028】
物体検出装置20は、ソナー21〜26の何れかから超音波に関する信号を入力し、入力したその信号に基づいてソナー21〜26のうち何れのソナーで物体を検出したかを判断するとともに、物体を検出したソナーとその物体との距離を判断する。さらに、物体検出装置20は、その判断において物体を検出したソナーを示す信号と物体を検出したソナーとその物体との距離とを示す信号を画像処理装置1へ出力する。
【0029】
画像処理装置1は、取得部2、画像生成部3、制御部4、不揮発性記憶部5、及び、出力部6を備える。取得部2は、例えば、外部機器とのインターフェースであり、カメラ11〜14が撮影した画像などを取得する。出力部6は、例えば、外部機器とのインターフェースであり、表示すべき画像などを表示装置17などの外部へ出力する。
【0030】
画像生成部3は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア回路であり、画像処理を行う機能を備えている。画像生成部3は、その機能の一部として合成画像生成部7と指標重畳部8とを備える。合成画像生成部7は、カメラ11〜14が撮影した車両Crの周辺を示す画像それぞれを合成した合成画像を生成する。カメラ11〜14が撮影した画像及びその画像を合成した合成画像のいずれも車両Crの周辺を示す周辺画像といえる。指標重畳部8は、ソナー21〜26のうち車両Crの周辺に存在する物体を検出したソナーと物体とを示唆する枠の形態で表した指標を合成画像へ重畳する。
【0031】
この枠は、扇形で内部が透明になっており、扇形の中心角の近傍が矩形になっている。この扇形の矩形部分が周辺画像における物体を検出したソナー近傍に位置し、扇形の弧の部分が周辺画像における車両のCrの外側へ向くとともに、少なくとも扇形の内部に周辺画像における物体の一部が位置するようにして、指標が周辺画像へ重畳される。このような重畳がされることで、枠の形態で表した指標は、周辺画像において物体を検出したソナーと物体とを示唆できる。つまり、ユーザは周辺画像において物体の位置と方向とを認識できる。この指標が示す範囲は、物体を検出したソナーの検出範囲におよそ対応する。
【0032】
制御部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及び、RAM(Random Access Memory)などを備えるマイクロコンピュータである。このCPUは、ROMに記憶された種々のプログラムに従って演算処理を行うことで種々の機能を実現させる。
【0033】
制御部4は、演算処理によって実現される機能の一部として、指標選択部9と特定部10とを備える。指標選択部9は、ソナー21〜26のうち物体を検出したソナーに応じた指標を不揮発性記憶部5に記憶されている種々の指標の中から選択する。特定部10は、物体検出装置20から取得部2を介して取得したソナーを示す信号及び距離を示す信号に基づいて、ソナー21〜26のうち何れのソナーで物体を検出したかを特定するとともに、物体を検出したソナーと物体との距離を特定する。
【0034】
不揮発性記憶部5は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などである。この不揮発性記憶部5は、例えば、指標選択部9が選択する種々の指標を記憶している。
【0035】
表示装置17は、その一部の機能としてディスプレイ18を備える。ディスプレイ18は、例えば、タッチパネルディスプレイであり、種々の画像を表示する機能と、ユーザの操作を受け付ける機能とを備える。このユーザの操作の内容を示す信号は、取得部2を介して制御部4に入力される。これにより、画像処理装置1は、ユーザの指示に応じた処理を行うことが可能である。
【0036】
<1−2.画像合成処理>
次に、画像表示システムSyによる画像合成処理について説明する。この画像合成処理は、車両Crの車速が所定速度(例えば、12km/h)以下の場合、或いは、シフトポジションが”R”の場合に実行される。具体的には、車速センサ15から車速に関する信号を取得して、取得したその信号に基づいて車速が所定速度以下であると判断する場合に、合成画像生成部7が画像合成処理を実行する。また、シフトポジションセンサ16からシフトポジションに関する信号を取得して、取得したその信号に基づいてシフトポジションが”R”であると判断する場合に、合成画像生成部7が画像合成処理を実行する。つまり、画像表示システムSyは、このような場合に車両Crの周辺を監視する監視モードとなり、画像合成処理などを実行することで車両Crの周辺を示す合成画像をディスプレイ18へ表示させている。
【0037】
図5は、カメラ11〜14が撮影した車両Crの周辺を撮影した画像を合成する画像合成処理を説明する図である。まず、画像処理装置1が備える取得部2は、カメラ11〜14が撮影した、図4に示すような、画像Ig1〜Ig4をカメラ11〜14より取得する。取得部2は、取得した画像Ig1〜Ig4を画像生成部3へ出力する。
【0038】
画像生成部3は、入力した画像Ig1〜Ig4を図示しない揮発性記憶部へ記憶する。
【0039】
合成画像生成部7は、その揮発性記憶部に記憶された、画像Ig1〜Ig4を、図5に示すような、仮想的な三次元空間における立体曲面Pに投影する。
【0040】
次に、視点位置が車両Crの位置の略中央の直上で、視野方向が直下方向とした仮想視点AGLを設定し、仮想視点AGLにあわせて立体曲面Pの一部を画像として切り出す。これにより、車両Crの略直上から車両Crを見下ろすように、車両Cr及び車両Crの周辺の領域を示す合成画像Ig5が生成される。
【0041】
画像処理装置1では、このような合成画像生成部7の機能を利用することで、車両Crの周辺の任意の視点からみた合成画像を生成して、表示装置17へ生成した合成画像を表示させることができる。これにより、合成画像生成部7は車両Crを仮想的に俯瞰した合成画像を生成する。
【0042】
そして、生成された合成の画像Ig5は後にディスプレイ18へ表示する際のサイズの画像Ig6が切り出される。
【0043】
<1−3.指標重畳処理>
次に、指標重畳処理について説明する。この指標重畳処理は、前述した周辺監視モードの場合で、ソナー21〜26のうちの何れかのソナーで物体が検出されたときに画像表示システムSyによって実行される。
【0044】
図6は、上方から車両Crを俯瞰した図である。この図には、車両Crの左後方に物体Ojが存在している。このように物体Ojが車両Crの左後方に存在する場合は、物体検出装置20が第4ソナー24から取得する超音波に関する信号に基づいて物体Ojを検出して、第4ソナー24を示す信号及び物体と第4ソナー24との距離(1.5m)を示す信号を特定部10へ出力する。
【0045】
特定部10は、取得したそれら信号に基づいて第4ソナー24が物体Ojを検出したことを特定するとともに、特定した第4ソナー24ーと物体との距離を特定する。以下、特定したソナーを特定ソナーといい、特定したその距離を特定距離という。そして、指標選択部9は特定ソナー及び特定距離をもとに不揮発性記憶部5に記憶されている図7及び図8に示すマップデータを参照して適切な指標を選択する。
【0046】
具体的には、特定ソナーである第4ソナー24及び特定距離である1.5mをもとに図7に示すマップデータを参照すると指標コードA6が抽出されて、この指標コードA6をもとに図8に示すマップデータを参照すると、A列・6行目の枠の形態が選択される。
【0047】
この図7に示すマップデータは、特定ソナーや特定距離に応じた指標コードが選ばれるように構成されている。この指標コードによって選ばれる図8に示すマップデータについても、結果的に特定ソナーや特定距離に応じた枠の形態が選ばれるように構成されている。つまり、図7及び図8に示すマップデータは、特定ソナーの搭載位置に応じた枠の形態が選択されるように構成されているとともに、特定距離に応じた大きさの枠の形態が選択されるように構成されている。
【0048】
そして、このように選択された指標Idの信号は、指標選択部9によって指標重畳部8へ出力される。指標重畳部8は入力した信号が示す指標Idを合成画像へ重畳する。
【0049】
図9は、合成画像Ig6へ指標Idを重畳する方法を説明する図である。つまり、指標Idの矩形の部分Ed1(図9の左上に示す)と合成画像Ig6中の車両Crの像の後ろ左角Cnr近傍の位置(図9の上中央に示す)とが重なるように、かつ、少なくとも物体の一部が枠の形態で表した指標Idの内部に位置するように、かつ、指標Idの扇形の弧の部分が車両Crの外側を向くように、指標Idが合成画像Ig6(図9の右上に示す)に重畳される。そして、この重畳された合成画像Ig6とリヤカメラ14が撮影した画像Ig7とをセットにしたセット画像がディスプレイ18に表示される(図9の下に示す)。つまり、このセット画像が指標重畳部8によって出力部6へ出力されて、さらに出力部6によって表示装置17へ出力される。そして、そのセット画像が表示装置17に備わるディスプレイ18において表示される。
【0050】
このような指標重畳処理が実行されることで、例えば、図10に示すように、第4ソナー24が車両Crの後ろ左角外側の比較的遠い位置(例えば、1.5m)に存在する物体Ojを検出した場合(図10の左上に示す)は、その物体Ojを含む比較的大きい指標(図10の右上に示す)が表示される。また、第4ソナー24が車両Crの後ろ左角外側の比較的近い位置(例えば、1.0m)に存在する物体Ojを検出した場合(図10の左中に示す)は、その物体Ojを含む比較的小さい指標(図10の右中に示す)が表示される。また、第4ソナー24が車両Crの後ろ左角外側の直近の位置(例えば、0.5m)に存在する物体Ojを検出した場合(図10の左下に示す)は、その物体Ojを含む極めて小さい指標(図10の右下に示す)が表示される。
【0051】
このため、ディスプレイ18の車両Crを俯瞰した画像Ig7において、ソナー21〜26のうち物体を検出した特定ソナーと物体とを示唆する枠の形態で表した指標Idの中に物体Ojが明確に表示される。つまり、中の部分が透明の枠の形態で表した指標Idが物体Ojを囲むように表示されることで、指標Idと物体Ojとが重ならずに表示され、ユーザはディスプレイ18の車両Crを俯瞰した画像Ig7において物体Ojを明確に認識できるとともに、物体Ojの位置と方向とを明確に認識できる。
【0052】
また、指標Idの大きさが特定距離に応じて変更されるため、ユーザはディスプレイ18の車両Crを俯瞰した画像Ig7において、物体と検出手段を備える車両との間の距離を感覚的に認識できる。
【0053】
<1−4.制御フロー>
図11は、画像表示システムSyにおける処理の流れを示す図である。この図11に示す処理は、周辺監視モードの場合に所定の周期(例えば、1/30秒周期)で繰り返される。
【0054】
まず、取得部2がカメラ11〜14により撮影された画像を取得する(ステップSA1)。この画像には、車両Crの周辺が示されている。
【0055】
次に、合成画像生成部7は、取得された車両Crの周辺を示す複数の画像に基づいて、前述した合成画像生成処理を実行する(ステップSA2)。この処理により、車両Crを上方より俯瞰した合成画像が得られる。
【0056】
次に、ソナー21〜26それぞれが超音波を出力させて、種々の物体に当たって反射した超音波を入力し、物体検出装置20へ入力した超音波に関する信号を出力する。そして、物体検出装置20が入力した超音波に関する信号に基づいてソナー21〜26のうち何れかで物体Ojを検出したか否かを判断する(ステップSA3)。
【0057】
ソナー21〜26のうち何れかで物体を検出した(ステップSA3においてYES)場合は、特定部10が何れのソナーで物体を検出したかを特定する(ステップSA4)。つまり、物体検出装置20は物体を検出したソナーを示す信号及び物体を検出したソナーとその物体との距離を示す信号を特定部10へ出力する。特定部10は入力したそれら信号に基づいて物体を検出したソナーを特定するとともに、物体を検出したソナーとその物体との距離を特定する。そして、特定部10は特定ソナーを示す信号及び特定距離を示す信号を指標選択部9へ出力する。
【0058】
次に、指標選択部9が入力した特定ソナーを示す信号及び特定距離を示す信号に基づいて指標Idを選択する(ステップSA5)。つまり、指標選択部9は、入力された特定ソナーを示す信号及び特定距離を示す信号をもとに不揮発性記憶部5に記憶されているマップデータを参照して適切な指標Idを選択する。これにより、特定ソナーの搭載位置に応じた指標Idが選択され、特定距離に応じた大きさの指標Idが選択される。この指標Idを示す信号を、指標選択部9が指標重畳部8へ出力する。
【0059】
次に、指標重畳部8が入力したその信号に示される指標Idを、合成画像生成部7から入力した合成画像の適切な位置へ重畳する(ステップSA6)。そして、指標重畳部8は、この重畳された合成画像とリヤカメラ14が撮影した画像とをセットにしたセット画像を出力部6へ画像を出力し、出力部6は表示装置17へ出力する。
【0060】
次に、表示装置17が入力したセット画像をディスプレイ18へ表示させる(ステップSA7)。これにより、指標Idが重畳された車両Crの周辺を示す画像がディスプレイ18に表示される。
【0061】
一方、ソナー21〜26のうち何れのソナーも物体Ojを検出しない(ステップSA3においてNO)場合は、出力部6が指標Idを重畳しない合成画像とリヤカメラ14が撮影した画像とをセットにしたセット画像を表示装置17へ出力する。そして、表示装置17が入力したセット画像をディスプレイ18へ表示させる(ステップSA8)。
【0062】
このように、本実施の形態の画像表示システムSyにおいては、ディスプレイ18の車両Crを俯瞰した画像Ig7に、ソナー21〜26のうち物体を検出した特定ソナーの近傍に表示された枠の形態で表した指標Idの中に物体Ojが明確に表示される。つまり、特定ソナーの近傍に表示された枠の形態で表した指標Idが物体Ojを囲むように表示されることで、枠の形態で表した指標Idの内部に物体Ojが明確に表示され、ユーザはディスプレイ18の車両Crを俯瞰した画像Ig7において物体Ojを明確に認識できるとともに、物体Ojの位置と方向とを明確に認識できる。結果、ユーザに車両Crの周辺の物体の存在を気づかせることができ、車両をその物体に接触させないような運転を支援することができる。
【0063】
また、ディスプレイ18に表示される画像に重畳される指標Idの大きさが特定距離に応じて変更されるため、このディスプレイ18を見たユーザは物体Ojとソナーを備える車両との間の距離を感覚的に認識できる。
【0064】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態の画像表示システムSyでは、ソナー21〜26のうち一のソナーで物体を検出した場合に、一のソナーと物体とを示唆する枠の形態で表した指標を表示していた。これに対して、第2の実施の形態の画像表示システムSyでは、複数のソナーで物体を検出した場合に、それら複数のソナーと物体とを示唆する一の枠の形態で表した指標を表示している。
【0065】
第2の実施の形態の画像表示システムSyの構成及び処理は第2の実施の形態と略同様であるため、以下、第2の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0066】
<2−1.指標重畳処理>
まず、指標重畳処理について説明する。この指標重畳処理は、前述した周辺監視モードの場合で、ソナー21〜26のうちの何れかのソナーで物体Ojが検出されたときに画像表示システムSyによって実行される。
【0067】
図12は、上方から車両Crを俯瞰した図である。この図には、車両Crの左後方で比較的中央よりに物体Ojが存在している。このように物体Ojが車両Crの左後方で比較的中央に存在する場合には、画像表示システムSyは物体Ojを第4ソナー24及び第5ソナー25の双方で検出することができる。つまり、物体検出装置20が第4ソナー24から取得する超音波に関する信号に基づいて物体Ojを検出し、第4ソナー24を示す信号及び物体Ojと第4ソナー24との距離(1.5m)を示す信号を特定部10へ出力する。さらに、物体検出装置20が第5ソナー25から取得する超音波に関する信号に基づいて物体Ojを検出し、第5ソナー25を示す信号及び物体Ojと第5ソナー25との距離(1.5m)を示す信号を特定部10へ出力する。
【0068】
特定部10は、取得したそれら信号に基づいて第4ソナー24及び第5ソナー25の双方が物体Ojを検出したことを特定するとともに、それら特定ソナーと物体Ojとの距離を特定する。そして、指標選択部9はそれら特定ソナー及びそれら特定距離をもとに不揮発性記憶部5に記憶されている図13及び図14に示すマップデータを参照して適切な特殊指標を選択する。
【0069】
つまり、特定ソナーである第4ソナー24、第5ソナー25及び特定距離である1.5mをもとに図13に示すマップデータを参照すると特殊指標コードAB6が抽出されて、この特殊指標コードAB6をもとに図14に示すマップデータを参照すると、AB列・6行目の枠の形態が選択される。
【0070】
この図13に示すマップデータは、特定ソナーや特定距離に応じた特殊指標コードが選ばれるように構成されている。この特殊指標コードによって選ばれる図14に示すマップデータについても、結果的に特定ソナーや特定距離に応じた枠の形態が選ばれるように構成されている。つまり、図13及び図14に示すマップデータは、特定ソナーの搭載位置に応じた枠の形態が選択されるように構成されているとともに、特定距離に応じた大きさの枠の形態が選択されるように構成されている。さらに、図13及び図14に示すマップデータは、特定ソナーが複数ある場合は、この複数の特定ソナーと物体とを示唆する一の枠の形態で表した指標が選択される。この指標が示す範囲は、複数の特定ソナーのすべての検出範囲を合併した全体領域におよそ相当する。このように選択された特殊指標Idを示す信号は、指標選択部9によって指標重畳部8へ出力される。指標重畳部8は入力した信号が示す特殊指標Idを合成画像へ重畳する。
【0071】
図15は、合成画像Ig8へ特殊指標Idを重畳する方法を説明する図である。つまり、特殊指標Idの矩形の部分Ed2(図15の左上に示す)と合成画像Ig8中の車両Crの像の後ろ左角Cnr近傍の位置及び後ろ端部中央Ctrの位置(図15の上中央に示す)とが重なるようにし、かつ、少なくとも物体の一部が枠の形態で表した特殊指標Idの内部に位置するように、かつ、画像Ig8中の第4ソナー24及び第5ソナー25と物体とを示唆する一の特殊指標Idの扇形状を成す部分とが一致するようにすることで、特殊指標Idが画像Ig8(図15の右上に示す)に重畳される。そして、この重畳された画像Ig8がリヤカメラ14で撮影した画像Ig9とセットにしたセット画像がディスプレイ18に表示される(図15の下に示す)。つまり、このセット画像が指標重畳部8によって出力部6へ出力されて、さらに出力部6によって表示装置17へ出力される。そして、そのセット画像が表示装置17に備わるディスプレイ18において表示される。
【0072】
もし、物体Ojを検出した複数の特定ソナーと物体とを示唆する指標Idのそれぞれを画像へ重畳すると、それぞれの指標Idが互いに重複する部分が発生してしまい、さらにその重複する部分に物体Ojが存在してしまう虞がある。結果、ユーザはディスプレイ18の画像において、その重複する部分が邪魔になって物体Ojの位置と方向とを見失う虞がある。しかしながら、第2の実施の形態で説明したように、特殊指標Idが物体Ojを検出した複数の特定ソナーと物体とを示唆する一の特殊指標Idを画像Ig7へ重畳することで一の特殊指標Idの中に物体Ojが明確に表示される。結果、ユーザはディスプレイ18の画像において、物体Ojの位置と方向とを明確に認識できる。
【0073】
<2−3.制御フロー>
図16は、画像表示システムSyにおける処理の流れを示す図である。この図16に示す処理は、周辺監視モードの場合に所定の周期(例えば、1/30秒周期)で繰り返される。
【0074】
まず、取得部2がカメラ11〜14により撮影された画像を取得する(ステップSB1)。この画像には、車両Crの周辺が示されている。
【0075】
次に、合成画像生成部7は、取得された車両Crの周辺を示す複数の画像に基づいて、前述した合成画像生成処理を実行する(ステップSB2)。この処理により、車両Crを上方より俯瞰した画像が得られる。
【0076】
次に、ソナー21〜26が超音波を出力させて、種々の物体に当たって反射した超音波を入力し、この超音波に関する信号を物体検出装置20へ出力する。そして、物体検出装置20が入力した超音波に関する信号に基づいてソナー21〜26のうち何れかで物体Ojを検出したか否かを判断する(ステップSB3)。
【0077】
ソナー21〜26のうち何れかで物体Ojを検出した(ステップSB3においてYES)場合は、特定部10が何れのソナーで物体Ojを検出したかを特定する(ステップSB4)。つまり、物体検出装置20は物体Ojを検出したソナーを示す信号及び物体Ojを検出したソナーとその物体Ojとの距離を示す信号を特定部10へ出力する。特定部10は入力したそれら信号に基づいて物体Ojを検出したソナーを特定するとともに、物体Ojを検出したソナーとその物体Ojとの距離を特定する。そして、特定部10は特定ソナーを示す信号及び特定距離を示す信号を指標選択部9へ出力する。
【0078】
次に、入力したそれら信号に基づいて特定ソナーが複数ある(ステップSB5においてYES)と判断する場合は、指標選択部9が入力したそれら信号に基づいて特殊指標Idを選択する(ステップSB6)。つまり、指標選択部9は、入力された複数の特定ソナーを示す信号及び複数の特定距離を示す信号をもとに不揮発性記憶部5に記憶されている図13及び図14に示すマップデータを参照して適切な特殊指標Idを選択する。これにより、複数の特定ソナーの搭載位置に応じた特殊指標Idが選択され、複数の特定ソナーと物体とを示唆する一の特殊指標Idが選択され、特定距離に応じた大きさの特殊指標Idが選択される。指標選択部9は、特殊指標Idを示す信号を指標重畳部8へ出力する。
【0079】
次に、指標重畳部8が入力したその信号に示される特殊指標Idを、合成画像生成部7から入力した合成画像の適切な位置へ重畳する(ステップSB7)。そして、指標重畳部8は、この重畳された合成画像とともにリヤカメラ14が撮影した画像とセットにしたセット画像を出力部6へ画像を出力し、出力部6は表示装置17へ出力する。
【0080】
次に、表示装置17が入力したセット画像をディスプレイ18へ表示させる(ステップSB8)。これにより、特殊指標Idが重畳された車両Crの周辺を示す画像がディスプレイ18に表示される。
【0081】
一方、ソナー21〜26のうち何れのソナーも物体Ojを検出しない(ステップSB3においてNO)場合は、出力部6が特殊指標Idを重畳しない合成画像とともにリヤカメラ14で撮影した画像とセットにしたセット画像を表示装置17へ出力する。そして、表示装置17が入力したセット画像をディスプレイ18へ表示させる(ステップSB10)
また、入力したそれら信号に基づいて特定ソナーの数が単数である(ステップSB5においてNO)と判断する場合は、指標選択部9が入力した信号に基づいて指標Idを選択する(ステップSB9)。つまり、指標選択部9は、入力された一の特定ソナーを示す信号及び特定距離を示す信号をもとに不揮発性記憶部5に記憶されている図7及び図8に示すマップデータを参照して適切な指標Idを選択する。これにより、特定ソナーの搭載位置に応じた指標Idが選択され、特定距離に応じた大きさの指標Idが選択される。この選択した指標Idを示す信号を指標選択部9が指標重畳部8へ出力する。
【0082】
このように、隣接する複数のソナーで物体Ojが検出された場合は、特殊指標Idが物体Ojを検出した複数の特定ソナーと物体とを示唆するとともに中の部分が透明の一の枠で表されるため、一の特殊指標Idの中に物体Ojが明確に表示される。結果、ユーザはディスプレイ18の画像において、物体Ojの位置と方向とを明確に認識できる。
【0083】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、カメラ11〜14が撮影した車両Crの周辺を示す画像それぞれを合成することで、車両Crを上方から俯瞰した合成画像を生成し、この合成画像に指標Idを重畳すると説明した。これに対して、そのような合成画像ではなくカメラ11〜14それぞれが撮影した車両Crの周辺を示す画像それぞれに指標Idを重畳するようにしても良い。
【0084】
例えば、図17に示すように、リヤカメラ14が撮影した車両Crの後方周辺を示す画像に指標Idを重畳しても良い。この場合においても、物体Ojを検出した特定ソナーの搭載位置に応じて指標Idの形態が変更されるとともに、特定距離に応じて指標Idの大きさが変更される。
【0085】
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、画像表示システムSyが、物体Ojを検出したソナーと物体とを示唆する枠の形態で表した指標Idを画像とともに表示することで、ユーザに対して車両Crの周辺の物体Ojの位置と方向とを気づかせて車両をその物体Ojに接触させないような運転を支援すると説明した。
【0086】
これに対して、第3の実施の形態では、画像表示システムSyが、現在の操舵角に基づいて導出される走行軌跡のラインを表示する。このラインの長さを、操舵角が最大の場合に進行方向側の端部から走行軌跡の延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する位置までの走行軌跡の距離に対応する長さにして表示することで、ユーザの駐車スペースへ車両Crを駐車させる運転を支援する。
【0087】
近年、駐車スペースへ車両Crが駐車される際に、車室内のディスプレイ18へ車両Crの周辺を示す画像とともに、現在のステアリングの操舵角に基づいて予測される車両Crの走行軌跡を示すラインを表示させることで、ユーザの駐車スペースへ車両Crを駐車させる運転を支援する画像表示システムが提案されている。ところで、ステアリングを操作して操舵角を変更することによって、表示されるラインの車両Crの進行方向側の端部を駐車スペースの間口へ合わすように調整する場合に、ラインの長さが比較的短いときはその端部とその間口との間に相当の距離があるためその調整がうまくいかない虞がある。一方で、そのラインの長さが比較的長いときにはその端部が駐車スペースの間口を超えて位置するため調整がうまくいかない虞がある。結果、車両Crを駐車スペースへ駐車させるユーザの運転を適切に支援できない虞がある。
【0088】
このため、走行軌跡のラインにおけるその端部を駐車スペースの間口へ合わす調整が可能な長さにして、ユーザの駐車スペースへ車両Crを駐車させる運転を適切に支援する技術を以下に説明する。
【0089】
第3の実施の形態の画像表示システムSyの構成は第1の実施の形態と略同様であるため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。図18は、第3の実施の形態の駐車制御システムSYの構成を示す図である。第3の実施の形態の駐車制御システムSyにおいては、指標重畳部8に代えて、走行軌跡重畳部80を備えている。また、指標選択部9に代えて、走行軌跡導出部90を備えている。また、この画像表示システムSyは、さらに、操舵角センサ27を備えている。なお、この画像表示システムSyは、特定部10、物体検出装置20及びソナー21〜26を備えていない。
【0090】
操舵角センサ27は、ステアリングの回転軸近傍に備えられ、このステアリングがユーザにより操作された際に回転した角度を検知する。走行軌跡導出部90は、操作されたステアリングの操舵角で車両Crが走行した場合に予測される軌跡(走行軌跡)を導出する。走行軌跡重畳部80は導出された走行軌跡を合成画像へ重畳する。
<3−1.走行軌跡導出処理>
まず、走行軌跡導出部90により実行される走行軌跡導出処理について説明する。この走行軌跡導出処理は、シフトポジションが”R”の場合に実行される。具体的には、シフトポジションセンサ16からシフトポジションに関する信号を取得して、取得したその信号に基づいてシフトポジションが”R”であると判断する場合に、走行軌跡導出部90が走行軌跡導出処理を実行する。また、その場合に、合成画像生成部7が画像合成処理を実行する。つまり、画像表示システムSyは、このような場合に車両Crの駐車モードとなり、走行軌跡導出処理、画像合成処理などを実行することで、車両Crの周辺を示す画像をディスプレイ18へ表示させる。
【0091】
図19は、現在の操舵角θ1で車両Crを走行させた場合に予測される車両Crの走行軌跡の導出手法を説明する図である。なお、この走行軌跡の位置は、上方から俯瞰した車両Crの左右中央かつ前後中央の位置を原点にする二次元座標で定義された仮想マップにおいて把握される。この走行軌跡の導出方法としては周知の種々の手法が利用可能であるがそのうちの一例を説明する。
【0092】
現在の操舵角θ1で車両Crを走行させた場合には、車両Crの後方の車軸Axの左右中央の点P1によって、図19の上部に示す円C1が描かれる。この円C1は、車両Crの後方の車軸Axの延長線上に存在する点Cp1を中心とした円であり、操舵角θ1で車両Crを走行させた場合の車両Crの左右中央の走行軌跡に相当する。この円C1の半径R1は、以下の式(1)によって求められる。式(1)に示すLは、車両Crのホイールベースの長さである。
【0093】
R1=L/tanθ1 …(1)
次に、円C1から所定の基準長Lsのラインが切り出されることで中央ラインLn1が導出される。
【0094】
基準長Lsは車両Crの最大の操舵角に基づいて規定される。図19の下部に示す図は、この基準長Lsの導出手法を説明する図である。図19の下部に示すように、車両Crを最大の操舵角θ2で旋回させた場合には、車軸Axの左右中央の点P1によって、円C2が描かれる。この円C2は、車両Crの後方の車軸Axの延長線上に存在する点Cp2を中心とした円であり、最大の操舵角θ2で車両Crを走行させた場合の車両Crの左右中央の走行軌跡に相当する。この円C2の半径R2は、以下の式(2)で求められる。
【0095】
R2=L/tanθ2 …(2)
中心を点Cp2とし半径をR2とする円C2において、車両Crの車軸Axの位置からマイナス90度の位置、すなわち、円C2の延伸方向(接線の方向)が車両Crの前後方向に対して直交する位置(以下、「特定位置」という。)Ptが把握される。この特定位置Ptは、車両Crの走行軌跡の延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する位置である。そして、この円C2に沿った、車両Crの後端(進行方向側の端部)Ed3と特定位置Ptとを両端とするラインLn1xが把握される。このラインLn1xの長さは、操舵角が最大の場合において車両Crの進行方向側の端部Ed3から走行軌跡の延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する特定位置Ptまでの走行軌跡の距離を示し、この長さが基準長Lsとなる。
【0096】
このように導出される最大の操舵角θ2に基づく基準長Lsが、現在の操舵角θ1に基づく中央ラインLn1の長さとして採用される。この基準長は予め導出されて制御部4のメモリ内に記憶されている。走行軌跡導出部90は、メモリ内に記憶されているこの基準長のラインを円C1から切り出して中央ラインLn1を導出する。
【0097】
次に、中央ラインLn1に基づいて走行軌跡を示すラインを導出する。具体的には、図19の上部に示すように、走行軌跡導出部90は、中央ラインLn1に応じて車両Cr左後輪及び右後輪それぞれの走行軌跡を示す左後輪ラインLn2及び右後輪ラインLn3を導出する。そして、この左後輪ラインLn2及び右後輪ラインLn3に基づいてハシゴ型のラインを導出する。
【0098】
図20は、左後輪ラインLn2及び右後輪ラインLn3に基づいたハシゴ型のラインの導出を説明する図である。左後輪ラインLn2及び右後輪ラインLn3(図20の上に示す)はハシゴの支持部に相当する。この支持部に等間隔(例えば、中央ラインLn6に沿って実際の1.0mに相当する間隔)でハシゴの足場(横棒)に相当するラインLn4(図20の中央に示す)が描かれる。さらに、複数のラインLn4それぞれの中間に破線Ln5が描かれる。そして、ラインLn2〜5それぞれに所定幅(例えば、3mm)が付けられることで走行軌跡を示すラインLn6(図20の下に示す)が描かれる。
【0099】
また、ラインLn4の近傍に、車両Crの後端からそれぞれのラインLn4までの実際の距離を示す数字が付される。さらに、ラインLn5の近傍に、車両Crの後端からそれぞれのラインLn5までの実際の距離を示す数字が付される。この数字は目盛りSlとして機能する。
【0100】
このような走行軌跡導出処理がされることによって、走行軌跡を示すラインLn6の長さは、現在の操舵角θ1に関わらず、最大の操舵角の場合において、車両Crの進行方向側の端部Ed3から走行ラインLn6の延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する特定位置Ptまでの走行軌跡の距離に対応する長さ(基準長)に設定される。
<3−2.走行軌跡重畳処理>
次に、走行軌跡重畳部80によって実行される走行軌跡重畳処理について説明する。図21は、走行軌跡を示すラインLn6を車両Crの周辺を示す画像への重畳を説明する図である。導出されたラインLn6(図21の左上に示す)が合成画像Ig10(図21の上中央に示す)の適切な位置へ重畳される。具体的には、車両Crを上方から俯瞰した合成画像Ig10において、車両Crの左右中央かつ前後中央の位置を原点にする二次元座標で定義された仮想マップが設定される。また、前述したようにラインLn6についても当該仮想マップ上において位置が把握されている。つまり、この仮想マップの座標を利用することでラインLn6を正しい位置に重畳させ、合成画像Ig10(図21の右上に示す)が生成される。
【0101】
そして、この重畳された合成画像Ig10とリヤカメラ14が撮影した画像Ig11とをセットにしたセット画像がディスプレイ18に表示される(図21の下に示す)。つまり、このセット画像が走行軌跡重畳部80によって出力部6へ出力されて、さらに出力部6によって表示装置17へ出力される。そして、そのセット画像が表示装置17に備わるディスプレイ18において表示される。
【0102】
このように、表示される走行軌跡を示すラインLn6の長さが、現在の操舵角に関わらず、最大の操舵角の場合において車両Crの進行方向側の端部から走行軌跡であるラインの延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する位置までの走行軌跡の距離に対応する長さ(基準長)に設定されため、ユーザの車両Crを駐車スペースへ駐車する運転を適切に支援できる。
【0103】
つまり、ユーザが最も困難と感じる車両Crの駐車方法の一つは、所謂、車庫入れ駐車である。この車庫入れ駐車は、例えば、図21の下に示すように走行路Cs上の車両Crの一旦停車位置から後方へ所定距離(例えば、2m)進んだ位置に対して略直交する位置に存在する駐車スペースPsへ車両Crを駐車させなければならない。このため、そのラインLn6の長さをそのような長さにすることで、車両Crを一旦停車位置において、ステアリングを最大限に操作すれば、そのラインLn6の車両Crの進行方向側の端部を駐車スペースの間口へ適切に合わすことができる。結果、ユーザの車両Crを駐車スペースへ駐車する運転を適切に支援できる。
【0104】
また、そのラインLn6に目盛りSlが付されているためユーザは車両Crと駐車スペースとの相対距離を容易に認識できる。
<3−3.制御フロー>
図22は、画像表示システムSyにおける処理の流れを示す図である。この図22に示す処理は、駐車モードの場合に所定の周期(例えば、1/30秒周期)で繰り返される。
【0105】
まず、取得部2がカメラ11〜14により撮影された画像を取得する(ステップSC1)。この画像には、車両Crの周辺が示されている。
【0106】
次に、合成画像生成部7は、取得された車両Crの周辺を示す複数の画像に基づいて、前述した合成画像生成処理を実行する(ステップSC2)。この処理により、車両Crを上方より俯瞰した画像が得られる。
【0107】
次に、走行軌跡重畳部80が操舵角データとホイールベースデータとを取得する(ステップSC3)。つまり、走行軌跡重畳部80は、操舵角センサ27から入力した操舵角に関する信号に基づいて導出された現在の操舵角データを取得するとともに、不揮発性記憶部5から入力した車両Crのホイールベースデータを取得する。
【0108】
次に、走行軌跡導出部90が取得した操舵角データとホイールベースデータとに基づいて走行軌跡を示すラインLn6を導出する(ステップSC4)。また、走行軌跡を示すラインLn6の長さは、現在の操舵角に関わらず、基準長に設定される。そして、走行軌跡導出部90は導出した走行軌跡を示すラインLn6を走行軌跡重畳部80へ出力する。
【0109】
次に、走行軌跡重畳部80が入力した走行軌跡を示すラインLn6を合成画像へ重畳する(ステップSC5)。また、走行軌跡重畳部80は重畳された合成画像とともにリヤカメラ14が撮影した画像とセットにしたセット画像を生成する。そして、走行軌跡重畳部80は、セット画像を出力部6へ出力し出力部6は表示装置17へ出力する。
【0110】
次に、表示装置17は入力したセット画像をディスプレイ18へ表示させる(ステップSC5)。
【0111】
このように、表示される走行軌跡を示すラインLn6の長さが、現在の操舵角に関わらず、最大の操舵角の場合において車両Crの進行方向側の端部から走行軌跡であるラインの延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する位置までの走行軌跡の距離に対応する長さ(基準長)に設定されため、ユーザの車両Crを駐車スペースへ駐車する運転を適切に支援できる。
【0112】
また、そのラインLn6に目盛りSlが付されているためユーザは車両Crと駐車スペースとの相対距離を容易に認識できる。
【0113】
なお、上記第3の実施の形態では、カメラ11〜14が撮影した車両Crの周辺を示す画像それぞれを合成することで、車両Crを上方から俯瞰した合成画像を生成し、この合成画像に走行軌跡を示すラインLn6を重畳すると説明した。これに対して、そのような合成画像ではなくカメラ11〜14それぞれが撮影した車両Crの周辺を示す画像それぞれに走行軌跡を示すラインを重畳するようにしても良い。
【0114】
例えば、図23に示すように、リヤカメラ14が撮影した車両Crの後方周辺を示す画像に走行軌跡を示すラインLn7を重畳しても良い。
【0115】
なお、上述した具体的実施の形態には以下の発明が含まれている。
【0116】
(1)
画像を表示する画像表示システムであって、車両の周辺を示す周辺画像を取得する画像取得手段と、前記車両の操舵角を取得する操舵角取得手段と、前記操舵角に基づいて、予測される前記車両の走行軌跡を導出する導出手段と、前記走行軌跡を示すラインを前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、前記ラインを重畳した前記周辺画像を表示する表示手段と、を備え、前記重畳手段は、前記操舵角に関わらず前記ラインの長さを、前記操舵角が最大の場合において前記車両の進行方向側の端部から前記走行軌跡の延伸方向が前記車両の前後方向に対して直交する位置までの前記走行軌跡の距離に対応する長さとすることを特徴とする画像表示システム。
【0117】
これによれば、表示される走行軌跡を示すラインの長さが、現在の操舵角に関わらず、最大の操舵角の場合において車両Crの進行方向側の端部から走行軌跡であるラインの延伸方向が車両Crの前後方向に対して直交する位置までの走行軌跡の距離に対応する長さに設定されため、ユーザの車両Crを駐車スペースへ駐車する運転を適切に支援できる。
【0118】
(2)
上記(1)に記載の画像表示システムにおいて、前記重畳手段は、前記走行軌跡を示すラインに、前記車両の進行方向側の端部からの距離を示す目盛を付与することを特徴とする画像表示システム。
【0119】
これによれば、走行軌跡を示すラインに目盛りが付されているためユーザは車両Crと駐車スペースとの相対距離を容易に認識できる。
【符号の説明】
【0120】
1 画像処理装置
2 取得部
3 画像生成部
4 制御部
5 不揮発性記憶部
6 出力部
7 合成画像生成部
8 指標重畳部
9 指標選択部
10 特定部
17 表示装置
20 物体検出装置
27 操舵角センサ
80 走行軌跡重畳部
90 走行軌跡導出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画像表示システムであって、
車両の周辺を示す周辺画像を取得する取得手段と、
前記車両の互いに異なる位置に設けられ、それぞれ前記車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段と、
前記複数の検出手段のうち前記物体を検出した特定検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、
前記指標が重畳された前記周辺画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示システムにおいて、
前記重畳手段は、前記特定検出手段が複数ある場合は、該複数の特定検出手段と前記物体とを示唆する一の枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳することを特徴とする画像表示システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像表示システムにおいて、
前記検出手段は、該検出手段と前記物体との距離を検出するものであり、
前記重畳手段は、前記距離に応じて前記指標の大きさを変更することを特徴とする画像表示システム。
【請求項4】
画像を処理する画像処理装置であって、
車両の周辺を示す周辺画像を取得する取得手段と、
前記車両の互いに異なる位置に設けられそれぞれ前記車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段のうち、前記物体を検出した特定検出手段を特定する特定手段と、
前記特定検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、
前記指標が重畳された前記画像を表示装置へ出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
画像を表示する画像表示方法であって、
車両の周辺を示す周辺画像を取得する工程と、
前記車両の互いに異なる位置に設けられ、それぞれ前記車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段によって前記車両の周辺に存在する物体を検出する工程と、
前記複数の検出手段のうち前記物体を検出した特定検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する工程と、
前記指標が重畳された前記周辺画像を表示する工程と、
を備えることを特徴とする画像表示方法。
【請求項6】
画像を表示する画像表示システムであって、
車両の周辺を示す周辺画像を取得する取得手段と、
前記車両の周辺に存在する物体を検出する検出手段と、
前記物体を検出した検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、
前記指標が重畳された前記周辺画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項1】
画像を表示する画像表示システムであって、
車両の周辺を示す周辺画像を取得する取得手段と、
前記車両の互いに異なる位置に設けられ、それぞれ前記車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段と、
前記複数の検出手段のうち前記物体を検出した特定検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、
前記指標が重畳された前記周辺画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示システムにおいて、
前記重畳手段は、前記特定検出手段が複数ある場合は、該複数の特定検出手段と前記物体とを示唆する一の枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳することを特徴とする画像表示システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像表示システムにおいて、
前記検出手段は、該検出手段と前記物体との距離を検出するものであり、
前記重畳手段は、前記距離に応じて前記指標の大きさを変更することを特徴とする画像表示システム。
【請求項4】
画像を処理する画像処理装置であって、
車両の周辺を示す周辺画像を取得する取得手段と、
前記車両の互いに異なる位置に設けられそれぞれ前記車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段のうち、前記物体を検出した特定検出手段を特定する特定手段と、
前記特定検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、
前記指標が重畳された前記画像を表示装置へ出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
画像を表示する画像表示方法であって、
車両の周辺を示す周辺画像を取得する工程と、
前記車両の互いに異なる位置に設けられ、それぞれ前記車両の周辺に存在する物体を検出する複数の検出手段によって前記車両の周辺に存在する物体を検出する工程と、
前記複数の検出手段のうち前記物体を検出した特定検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する工程と、
前記指標が重畳された前記周辺画像を表示する工程と、
を備えることを特徴とする画像表示方法。
【請求項6】
画像を表示する画像表示システムであって、
車両の周辺を示す周辺画像を取得する取得手段と、
前記車両の周辺に存在する物体を検出する検出手段と、
前記物体を検出した検出手段と前記物体とを示唆する枠の形態で表した指標を前記周辺画像へ重畳する重畳手段と、
前記指標が重畳された前記周辺画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする画像表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−244600(P2012−244600A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116163(P2011−116163)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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