説明

画像表示システムおよび画像表示装置ならびにプログラム

【課題】 意外性のある表示画像を表示し表示画像を見た者に大きなインパクトを与える。
【解決手段】 撮影手段2により被写体を撮影したときに、撮影して得られた被写体Sの画像P1から被写体Sの顔情報FDが抽出される。その後、抽出した顔情報FDを用いて被写体が特定され、特定された被写体の動きが検出される。そして、検出された被写体Sの動きに基づいて、素材記憶手段8bから表示画像APに使用する被服の素材画像CPが選択され、被服の素材画像CPと抽出した顔情報FDとを合成することにより表示画像APが生成される。この生成した表示画像APが表示装置100に表示され被写体Sに提供させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば屋外に設置された表示装置に合成画像である表示画像を表示させる画像表示システムならびに画像表示装置およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、現実の映像と仮想空間の映像とを合成した映像を表示することが広く行われており、その一例として合成した画像を広告表示として用いることにより広告効果を向上させる方法が提案されている(たとえば特許文献1参照)。特許文献1の広告提示システムにおいては、対象者が鏡を見たときにその鏡に映るであろう周辺風景の鏡像と、たとえばCMタレント等の広告情報とを重ね合わせて鏡像表示媒体に表示させる。そして、現実の視界映像と鏡像表示媒体に表示された鏡像とが一致しないことによる意外性により広告効果を向上させるようになっている。
【特許文献1】特開2004−198452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した広告提示システムに限らず表示した合成画像の注目度を高めるときには、合成画像の内容とともに表示方法の意外性が重要になる。たとえば特許文献1に示すような広告提示方法の場合には、周辺風景と広告画像との合成画像を静的に表示しているものであるため、必ずしも合成画像の注目度が高いとはいえない。
【0004】
そこで、本発明は、意外性のある表示画像を表示し表示画像を見た者に大きなインパクトを与えることができる画像表示システムおよび画像表示装置ならびにプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像表示システムは、人物被写体を撮影する撮影手段と、撮影手段により撮影された被写体の画像から該被写体の顔情報を抽出する顔抽出手段と、撮影手段により撮影された被写体の画像から被写体の動きを検出する動き検出手段と、被写体の動きに対応した、表示装置に表示させる表示画像を生成する際の被服の素材となる被服の素材画像が複数記憶された素材記憶手段と、動き検出手段により検出された被写体の動きに基づいて、素材記憶手段から表示画像の生成に使用する被服の素材画像を選択する素材画像選択手段と、素材画像選択手段により選択された被服の素材画像と顔抽出手段により抽出された顔情報とを合成することにより、被写体が被服の素材画像を着用した表示画像を生成する画像生成手段と、画像生成手段により生成された表示画像を表示装置に表示する表示制御手段とを有することを特徴とするものである。
【0006】
ここで、被服の素材画像は静止画であってもよいし動画であってもよく、それに伴い表示画像も静止画・動画のいずれであってもよい。ここで、画像生成手段が表示画像として動画を生成する場合、表示制御手段が、動き検出手段により検出された動きの速さに応じて表示画像の再生速度を調整するようにしてもよい。
【0007】
また、素材記憶手段は、被写体の動きに対応した、表示装置に表示させる表示画像を生成する際の被服の素材となる被服の素材画像が複数記憶されたものであればよく、さらには1つの被写体の動きに対し、たとえば色の違う被服や種類の違う被服等の複数の被服の素材画像が記憶されていても良い。このとき、素材画像選択手段は、被写体の動きに対応した複数の被服の素材画像を選択するものであってもよい。さらに、画像生成手段は、各被服の素材画像毎に表示画像を生成し、表示制御手段はたとえば一定時間毎に各表示画像を切り換えて表示装置に表示するようにしてもよい。
【0008】
なお、表示装置の大きさは問わないが、ショーウィンドウの光透過面に被写体のほぼ等身大の前記表示画像を表示可能なものであることが好ましい。そして、表示制御手段は、顔抽出手段が顔情報を抽出したときにショーウィンドウを見ている被写体の目の前に表示画像を表示させるようにしてもよい。
【0009】
さらに、表示制御手段は、動き検出手段において検出された被写体の移動に合わせて被写体にほぼ正対する位置に表示画像が表示されるように、表示装置における表示画像の位置を移動させるものであってもよい。特に、動き検出手段が被写体の歩く動きを検出するものであり、このとき、表示制御手段は、被写体の歩く動きに合わせて被写体にほぼ正対する位置に該被写体とほぼ同一の大きさを有する表示画像を表示装置に表示するものであってもよい。
【0010】
また、撮影手段は、1つのカメラからなるものであってもよいし、複数のカメラからなるものであってもよい。撮影手段が第1カメラと第2カメラとを有する場合、顔抽出手段は第1カメラにより得られた第1画像から被写体の顔情報を抽出するものであってもよい。また、動き検出手段は第2カメラにより得られた第2画像から被写体の動きを検出するものであってもよい。
【0011】
さらに、第2画像内に複数の顔が存在するときに、顔抽出手段により抽出された顔情報を第2画像内において検索することにより、表示画像を提供する被写体を特定する被写体特定手段をさらに有し、動き検出手段が、被写体特定手段により特定された被写体の動きを第2画像から検出するものであってもよい。
【0012】
また、本発明の画像表示装置は、人物被写体を撮影手段により撮影したときの該被写体の画像から該被写体の顔情報を抽出する顔抽出手段と、撮影手段により撮影された被写体の画像から被写体の動きを検出する動き検出手段と、被写体の動きに対応した、表示装置に表示させる表示画像を生成する際の被服の素材となる被服の素材画像が複数記憶された素材記憶手段と、動き検出手段により検出された被写体の動きに基づいて、素材記憶手段から表示画像の生成に使用する被服の素材画像を選択する素材画像選択手段と、素材画像選択手段により選択された被服の素材画像と、顔抽出手段により抽出された顔情報とを合成することにより、被写体が被服の素材画像を着用した表示画像を生成する画像生成手段と、画像生成手段により生成された表示画像を表示装置に表示する表示制御手段とを有することを特徴とするものである。
【0013】
さらに、本発明の画像表示プログラムは、コンピュータに、人物被写体を撮影したときの該被写体の画像から該被写体の顔情報を抽出し、撮影した被写体の画像から被写体の動きを検出し、検出した被写体の動きに基づいて、被写体の動きに対応した、表示装置に表示させる表示画像を生成する際の被服の素材となる被服の素材画像が複数記憶された素材記憶手段から表示画像の生成に使用する被服の素材画像を選択し、選択した被服の素材画像と抽出した顔情報とを合成することにより、被写体が被服の素材画像を着用した表示画像を生成し、生成した表示画像を表示装置に表示することを実行させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像表示システムによれば、人物被写体を撮影する撮影手段と、撮影手段により撮影された被写体の画像から該被写体の顔情報を抽出する顔抽出手段と、撮影手段により撮影された被写体の画像から被写体の動きを検出する動き検出手段と、被写体の動きに対応した、表示装置に表示させる表示画像を生成する際の被服の素材となる被服の素材画像が複数記憶された素材記憶手段と、動き検出手段により検出された被写体の動きに基づいて、素材記憶手段から表示画像の生成に使用する被服の素材画像を選択する素材画像選択手段と、素材画像選択手段により選択された被服の素材画像と顔抽出手段により抽出された顔情報とを合成することにより、被写体が被服の素材画像を着用した表示画像を生成する画像生成手段と、画像生成手段により生成された表示画像を表示装置に表示する表示制御手段とを有することにより、被写体の動作に合わせて動くような意外性のある動きをする被写体の顔情報が含まれた意外性のある表示画像を被写体に提供することができるため、表示画像の注目度を高めることができる。
【0015】
なお、表示装置が、ほぼ等身大の被写体を表示することができる大きさを有したショーウィンドウの光透過面に表示画像を表示させるものであり、顔抽出手段が顔情報を抽出したときに、表示制御手段がショーウィンドウを見ている被写体の目の前に表示画像を表示させるものであれば、ショーウィンドウを見ている被写体にとって意外性のある場所に表示画像を表示させることができるため、表示画像の注目度を高めることができる。
【0016】
さらに、表示制御手段が、動き検出手段において検出された被写体の移動に合わせて被写体にほぼ正対する位置に表示画像が表示されるように、表示装置における表示画像の位置を移動させるものであれば、表示画像の意外性を高め表示画像の注目度を向上させることができる。
【0017】
特に、動き検出手段が被写体の歩く動きを検出するものであり、表示制御手段が、被写体の歩く動きに合わせて表示画像を表示装置に表示するものであれば、たとえばショーウィンドウ沿いを歩いている被写体の隣に表示画像が被写体とともに移動するため、表示画像の意外性を高め表示画像の注目度を向上させることができる。
【0018】
さらに、画像生成手段が、表示画像として動画を生成するものであり、表示制御手段が、動き検出手段により検出された動きの速さに応じて表示画像の再生速度を調整するものであれば、表示装置に表示される表示画像の動きを被写体の動きにより忠実に再現することができるため、表示画像の注目度をより向上させることができる。
【0019】
また、撮影手段が第1カメラと第2カメラとを有し、顔抽出手段が第1カメラにより得られた第1画像から被写体の顔情報を抽出するものであり、動き検出手段が第2カメラにより得られた第2画像から被写体の動きを検出するものであれば、第1カメラついては顔抽出に適した撮影条件により撮影を行うとともに、第2カメラについて動き検出に適した撮影条件により撮影を行うことができるため、顔情報の抽出および動き検出を効率的に精度良く行うことができる。
【0020】
また、顔抽出手段により第1画像から抽出された顔情報を第2画像内において検出して表示画像を提供する被写体を特定する被写体特定手段をさらに有し、動き検出手段が、被写体特定手段により特定された被写体の動きを第2画像から検出する構成にすれば、複数人が第2画像に含まれている場合であっても、顔を抽出した被写体を特定し表示画像を提供することができる。
【0021】
また、本発明の画像表示装置およびプログラムによれば、表示画像を提供する被写体を撮影したときに得られた被写体の画像から被写体の顔情報を抽出する顔抽出手段と、被写体の画像から被写体の動きを検出する動き検出手段と、表示画像を生成する際の素材となる被服の素材画像が被写体の動き毎に複数記憶された素材記憶手段と、動き検出手段により検出された被写体の動きに基づいて、素材記憶手段から表示画像として使用する被服の素材画像を選択する素材画像選択手段と、素材画像選択手段により選択された被服の素材画像と、顔抽出手段により抽出された顔情報とを合成することにより表示画像を生成する画像生成手段と、画像生成手段により生成された表示画像を表示装置に表示する表示制御手段とを有することにより、被写体の顔情報が含まれた被写体の動作に合わせて動く動的な表示画像を被写体に提供することができるため、被写体に対する表示画像の注目度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の画像表示システムの実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の画像表示システムの好ましい実施の形態を示す概略図である。図1における画像表示システム1は、たとえばショーウィンドウ10に展示された被服DLの宣伝広告に用いられる表示画像APの生成・表示に用いたものである。画像表示システム1は、ショーウィンドウ10を見ている人物被写体Sを撮影する撮影手段2と、撮影手段により撮影された被写体Sの顔とショーウィンドウ10に飾られた被服とを合成し表示画像APを生成する画像表示装置50と、生成した表示画像APを表示する表示装置100とを有している。
【0023】
撮影手段2は、図1に示すように、ショーウィンドウ10を見ている被写体Sを撮影する第1カメラ2Aと、表示装置100の前を通り過ぎる被写体Sを撮影する第2カメラ2Bとを有している。そして、第1カメラ2Aおよび第2カメラ2Bは、それぞれ第1画像および第2画像を画像表示装置に出力するようになっている。表示装置100は、被服DLが展示されているショーウィンドウ10のガラス面(光透過面)10aに表示画像APを表示させるものであり、表示画像APはショーウィンドウ10に飾られた被服DLと被写体Sとの間に表示されるようになっている。
【0024】
次に、図2は本発明の画像表示システムの好ましい実施の形態を示すブロック図であり、
図1と図2を参照して画像表示装置50について説明する。なお、図2のような画像表示装置50の構成は、ハードディスク装置等の補助記憶装置に読み込まれた表示画像生成プログラムをコンピュータ(たとえばパーソナルコンピュータ等)上で実行することにより実現される。また、この表示画像生成プログラムは、CD−ROM等の情報記憶媒体に記憶され、もしくはインターネット等のネットワークを介して配布され、コンピュータにインストールされることになる。
【0025】
図2の画像表示装置50は、撮影手段2により撮影より得られた画像に含まれる被写体の顔情報を抽出する顔抽出手段3と、顔抽出手段3により抽出された顔情報FDを用いて画像に含まれる被写体Sの中から表示画像APを提供する被写体Sを特定する被写体特定手段5と、被写体特定手段5により特定された被写体Sの動きを検出する動き検出手段6と、被写体Sの動きに応じた被服の素材画像CPが複数記憶された素材記憶手段8bと、動き検出手段6により検出された被写体Sの動きに基づいて、素材記憶手段8bから表示画像として使用する被服の素材画像CPを選択する素材画像選択手段8aと、素材画像選択手段8aにより選択された被服の素材画像CPを用いて表示画像APを生成する画像生成手段7と、画像生成手段7により生成された表示画像APを表示装置100に表示する表示制御手段9とを有している。
【0026】
ここで、顔抽出手段3は、第1カメラ2Aにより取得された第1画像P1に含まれる顔情報FDを抽出し顔情報記憶手段4に記憶するようになっている。また、顔抽出手段3は、第1画像P1に複数の顔情報FDが含まれている場合には各顔情報FDをそれぞれ抽出し、さらには異なる時間に取得された複数の第1画像P1について顔情報FDの抽出を行う。したがって、顔情報記憶手段4には顔抽出手段3により抽出された複数の顔情報FDが記憶されることになる。
【0027】
なお、顔抽出手段3における顔抽出する手法として、たとえば第1画像P1における顔のおおよその位置および大きさを検出し、この位置および大きさにより示される領域の画像を第1画像から顔情報FDを抽出する方法や、その他の公知の技術を用いることができる。
【0028】
被写体特定手段5は、第2カメラ2Bにより取得された第2画像P2内の顔情報FDと顔情報記憶手段4に記憶された顔情報FDとを照合することにより、顔情報記憶手段4から表示画像APとして用いる顔情報FDを選択するようになっている。すなわち、たとえば図1に示すようなショーウィンドウ10に画像表示システム1を用いる場合、第2カメラ2Bにより撮影された画像には複数の被写体Sが撮影されてしまうことがあり、表示画像APに用いる顔情報FDを正しく選択することができない場合がある。そこで、被写体特定手段5において顔認証を行うことにより被写体特定精度を高め、効果的に被写体Sに表示画像APを提供するようになっている。
【0029】
動き検出手段6は、第2カメラ2Bにより取得された第2画像P2から被写体Sの動きを検出し、たとえば「歩く」、「回る」、「振り向く」といった検出した動き情報を素材画像選択手段8aに出力するようになっている。顔抽出手段3が第1カメラ2Aにより得られた第1画像P1から被写体Sの顔情報FDを抽出し、動き検出手段6が第2カメラ2Bにより得られた第2画像P2から被写体Sの動きを検出することにより、第1カメラ2Aついては顔抽出に適した撮影条件により撮影を行うとともに、第2カメラ2Bについて動き検出に適した撮影条件により撮影を行うことができるため、顔情報FDの抽出および動き検出を効率的に精度良く行うことができる。
【0030】
ここで、動き検出手段6における動きの検出手法として、たとえば所定の大きさを有する注目領域の範囲での時刻t、時刻t+αにおける画像を切り出し、この2つの画像に含まれる被写体の輪郭線を検出し、この輪郭線の差分を求めることにより画像の面内平行方向、面内回転方向および/または放射方向の動きを検出し、この画像の動きに基づいて背景の動きを補償し、背景とは異なる動きをする物体を検出する方法やその他公知の手法を用いることができる。なお、ショーウィンドウ10の前の被写体Sの動作を検出する赤外線センサ等を配置しておき、動き検出手段6が第2画像P2と赤外線センサ等とにより被写体の動作を検出するようにしてもよい。
【0031】
素材画像選択手段8aは、動き検出手段6により検出された被写体Sの動きに基づいて、この動きに合った被服の素材画像CPを素材記憶手段8bから選択するものである。ここで、素材記憶手段8bには、図3に示すように、被写体Sの動き情報に関連づけされた複数の被服の素材画像CPが記憶されている。具体的には、動き情報「歩く」には商品を身につけたモデルが歩いている被服の素材画像CP1が関連づけられて記憶されており、動き情報「回る」には商品を身につけたモデルが回る被服の素材画像CP2が関連づけられて記憶されており、動き情報「振り向く」には商品を身につけたモデルが振り向く被服の素材画像CP3が関連づけられて記憶されている。
【0032】
なお、この被服の素材画像CPは、モデルの実写データであってもよいし、CG(コンピュータグラフィックス)により動く体の画像であってもよい。さらに、被服の素材画像CPは、被写体Sと同一の動作をしたときのモデル等の画像からなるものであってもよいし、表示装置100に表示したときに被写体Sの鏡像となるような画像からなるものであってもよい。
【0033】
画像生成手段7は、素材画像選択手段8aにより選択された被服の素材画像CPを用いて表示画像APを生成するものである。特に、画像生成手段7は、顔抽出手段3により抽出された顔情報FDと、選択された被服の素材画像CPとを合成することにより表示画像APを生成するようになっている。このように、表示画像APに被写体Sの顔情報を含ませることができるため、表示画像APの注目度を高めることができる。さらに、画像表示システム1により被写体Sに提供される表示画像APは、被写体Sの動きに応じて様々な被服の素材画像CPにより生成されたものであって動的なものであるため、従来のような静的な表示画像に比べて被写体Sの注意を引きやすく、これを広告表示に用いた場合には広告効果の向上を図ることができる。
【0034】
表示制御手段9は、画像生成手段7により生成された表示画像APを表示装置100に表示するものである。具体的には、図4に示すように、表示装置100は、たとえば表示画像APをガラス面10a側に投射するプロジェクタ装置100Aと、ガラス面10aに設置された光透過性のスクリーン100Bとを有している。表示制御手段9はプロジェクタ装置100Aの動作を制御することによりスクリーン100B上に映し出される表示画像APの内容および表示位置を制御するようになっている。特に、表示制御手段9は、表示装置100が被写体Sと正対する位置に被写体とほぼ同一の大きさを有する表示画像APを表示装置100に表示するようになっている。このように、ショーウィンドウ10を見ている被写体Sの目の前に表示画像APを表示させることにより、ショーウィンドウ10を見ている被写体Sにとって意外性のある場所に表示画像APを表示させることができるため、表示画像APの注目度を高めることができる。
【0035】
さらに、被写体SがX方向に移動したときに、表示制御手段9は図5のようにプロジェクタ装置100Aを被写体Sの動きに合わせて揺動させる。すると、スクリーン100Bに映し出される表示画像APも被写体Sの移動に合わせて移動するようになる。これにより、たとえばショーウィンドウ沿いを歩いている被写体の隣に表示画像が被写体とともに移動するため、表示画像の意外性を高め表示画像の注目度を向上させることができる。
【0036】
ここで、表示画像APが動画であるとき、表示制御手段9は動き検出手段6により検出された動きの速さに基づいて再生速度を調整する機能を有している。たとえば、表示制御手段9は、被写体Sがゆっくり歩いているときには被写体Sのゆっくりした歩行速度に合わせて表示画像APを再生し、被写体Sが速く歩いているときには被写体Sの速い歩行速度に合わせて表示画像APを再生するようになっている。これにより、表示装置100の表示画像APが被写体Sの位置とずれることなくほぼ正対した状態で移動させることができる。
【0037】
図6は本発明の画像表示システムおよび画像表示装置の動作例を示すフローチャートであり、図1から図6を参照して広告が像表示方法の一例について説明する。まず、たとえばショーウィンドウ10の被服DLを見ている通行人を被写体Sとして第1カメラ2Aによる撮影が行われる(ステップST1)。そして、図2の顔抽出手段3において第1カメラ2Aにより取得された第1画像P1から被写体Sの顔情報FDが抽出され顔情報記憶手段4に記憶される(ステップST2)。
【0038】
一方で、第2カメラ2Bにおいても被写体Sの撮影が行われる。そして、被写体特定手段5において第2カメラ2Bにより取得された第2画像P2から顔情報FDの抽出が行われ、抽出された顔情報FDが顔情報記憶手段4に記憶されているか否かが判断される(ステップST3)。顔情報FDが顔情報記憶手段4に記憶されていない場合、第2カメラ2Bにより取得された第2画像P2に含まれる他の顔情報FDの抽出および照合が行われる。一方、抽出された顔情報FDが顔情報記憶手段4に存在する場合、顔情報記憶手段4に記憶されている顔情報FDが画像生成手段7に送られる。
【0039】
また、被写体特定手段5において特定した被写体Sの動きが動き検出手段6により第2画像P2から検出される(ステップST4)。そして、検出した被写体Sの動きに基づいて素材記憶手段8bから被写体Sの動きに対応した被服の素材画像CPが表示画像APとして選択される(ステップST5)。その後、画像生成手段7において、選択した被服の素材画像CPと抽出した顔情報FDとの表示画像APが生成され(ステップST6)、表示制御手段9により生成した表示画像APが被写体Sの鏡像となるような位置に表示装置100に表示される。
【0040】
具体的には、図7のように、被写体Sがショーウィンドウ10の被服DLを立ち止まって見ているとき、あるいはショーウィンドウ10を見ながら(ショーウィンドウ10側に顔を向けながら)歩いているとき、上述した顔検出および動き検出が行われて被写体Sの目の前に表示画像APが表示される。そして、矢印X方向に移動したとき、歩く素材画像CPに基づく表示画像APが生成され被写体Sの移動に伴って表示位置が変化する。その後、被写体Sが立ち止まってたとえば両手を挙げたとき、両手を挙げた素材画像CPに基づく表示画像APが生成・表示される。
【0041】
ショーウィンドウ10のガラス面10aという意外性な場所に、被写体Sの顔が含まれる意外な画像であって、被写体Sの動作に同期した意外な動きする表示画像APを表示させることができるため、被写体Sに大きなインパクトを与えることができる。さらに、驚いた被写体Sは立ち止まり振り向いたり回ったりしたときに、表示画像APもまた振り向いたり回ったりするため、さらに大きなインパクトを与えることができる。
【0042】
なお、図1のようにショーウィンドウ10に複数の被服DLが展示されている場合、各被服DL毎に画像表示システム1が設けられていてもよいし、あるいは、複数の第1カメラ2Aおよび第2カメラ2Bから得られた画像に基づいて1つの画像表示装置50において表示画像APの作成および表示制御を行うようにしてもよい。1つの画像表示装置50において表示画像APの作成および表示制御を行う場合、被写体Sが異なる被服DLの前に移動したときにシームレスに表示画像APの素材画像CPの変更を行うようにしてもよい。これによりさらに効果的な表示画像APの演出を行うことができる。このとき、素材記憶手段8bには1つの被写体の動きに対し、たとえば色の違う被服や種類の違う被服等の複数の被服の素材画像が記憶されるようになる。
【0043】
本発明の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。たとえば図2において第1カメラ2Aを用いて顔情報FDの抽出・記憶を行い、第2カメラ2Bを用いて被写体Sの特定・動きの検出を行うようにしているが、撮影手段2が1つのカメラからなり、このカメラによる撮影から得られた被写体Sの画像から顔情報FDの抽出および動きの検出を行うようにしてもよい。
【0044】
また、図1において、表示装置100が被写体Sの等身大の大きさの表示画像APを表示することができる大きさを有する場合について例示しているが、ショーウィンドウ10内に収容可能な大きさを有する表示装置100を用いるようにしても良い。このとき、撮影手段2は2つのカメラ2A、2Bを有するものであってもよいし、上述したような1つのカメラからなるものであってもよい。
【0045】
また、図1においてショーウィンドウ10のガラス面10aに表示画像APを表示する場合について例示しているが、図8に示すように、表示装置100がショーウィンドウ10に隣接して配置されているものであってもよい。このとき、第1カメラ2Aがショーウィンドウ10を見ている被写体Sを撮影し、被写体Sが表示装置100側に歩いていったときに表示装置100に表示画像APが表示されるようになっている。このとき、第2カメラ2Bは表示装置100側に設置されており、表示装置100側にいる被写体Sの動きを検出することができるようになっている。この場合であっても、被写体Sに意外性のある画像であって意外性のある動きをする表示画像APを表示することができる。
【0046】
さらに、図2の画像生成手段7において、顔情報FDと被服の素材画像CPとを合成することにより表示画像APを生成するようにしているが、顔情報FDと被服の素材画像CPとを合成せず被服の素材画像CPを表示画像APとして用い、表示装置100の表面に写る被写体Sの顔の位置に合わせて被服の素材画像CPを表示するようにしても良い。
【0047】
また、図2の顔抽出手段3において、抽出した顔情報FDを顔情報記憶手段4に記憶する際に、たとえばショーウィンドウ10に展示された被服等の広告対象年齢層・性別等により抽出した顔情報FDを記憶するか否かの判断を行うようにしても良い。これにより、たとえば女性用の被服の表示画像APとして男性の顔情報FDが合成されるといった不具合を防止することができる。
【0048】
さらに、上記実施の形態において、画像生成手段7において使用される顔情報FDは顔情報記憶手段4に記憶されているものを使用するようにしているが、被写体特定手段5において抽出される顔情報FDを用いるようにしても良い。
【0049】
また、図4と図5において、表示装置100がプロジェクタ装置である場合について例示しているが、ガラス面に設置された光透過性を有するELパネル等により形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の画像表示システムの好ましい実施の形態を示す概略図
【図2】本発明の画像表示システムの好ましい実施の形態を示すブロック図
【図3】図2の画像表示装置における素材記憶手段のデータ構造を示す模式図
【図4】図2の画像表示システムにおける表示装置の一例を示す模式図
【図5】図2の画像表示システムにおける表示装置の一例を示す模式図
【図6】本発明の画像表示システムの動作例を示すフローチャート
【図7】表示装置に表示画像が表示されている様子を示す模式図
【図8】本発明の画像表示システムの別の実施の形態を示す模式図
【符号の説明】
【0051】
1 画像表示システム
2 撮影手段
2A 第1カメラ
2B 第2カメラ
3 顔抽出手段
4 顔情報記憶手段
5 被写体特定手段
6 動き検出手段
7 画像生成手段
8a 素材画像選択手段
8b 素材記憶手段
9 表示制御手段
10 ショーウィンドウ
50 画像表示装置
100 表示装置
AP 表示画像
CP 被服の素材画像
FD 顔情報
P1 第1画像
P2 第2画像
S 被写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物被写体を撮影する撮影手段と、
該撮影手段により撮影された前記被写体の画像から該被写体の顔情報を抽出する顔抽出手段と、
前記撮影手段により撮影された前記被写体の画像から前記被写体の動きを検出する動き検出手段と、
前記被写体の動きに対応した、表示装置に表示させる表示画像を生成する際の被服の素材画像が複数記憶された素材記憶手段と、
前記動き検出手段により検出された前記被写体の動きに基づいて、前記素材記憶手段から前記表示画像の生成に使用する前記被服の素材画像を選択する素材画像選択手段と、
該素材画像選択手段により選択された前記被服の素材画像と前記顔抽出手段により抽出された前記顔情報とを合成することにより、前記被写体が前記被服の素材画像を着用した前記表示画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された前記表示画像を前記表示装置に表示する表示制御手段と
を有することを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
前記表示装置が、ショーウィンドウの光透過面に前記被写体のほぼ等身大の前記表示画像を表示可能なものであり、前記表示制御手段がショーウィンドウを見ている前記被写体の目前に前記表示画像を表示させるものであることを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記表示制御手段が、前記動き検出手段において検出された前記被写体の移動に合わせて前記被写体にほぼ正対する位置に前記表示画像が表示されるように、前記表示装置における前記表示画像の位置を移動させるものであることを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記動き検出手段が前記被写体の歩く動きを検出するものであり、前記表示制御手段が、前記被写体の歩く動きに合わせて前記表示画像を前記表示装置に表示するものであることを特徴とする請求項3に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記画像生成手段が前記表示画像として動画を生成するものであり、前記表示制御手段が前記動き検出手段により検出された動きの速さに応じて前記表示画像の再生速度を調整するものであることを特徴とする請求項1または4に記載の画像表示システム。
【請求項6】
前記撮影手段が第1カメラと第2カメラとを有し、前記顔抽出手段が前記第1カメラにより得られた第1画像から前記被写体の顔情報を抽出するものであり、前記動き検出手段が前記第2カメラにより得られた第2画像から前記被写体の動きを検出するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項7】
前記顔抽出手段により前記第1画像から抽出された前記顔情報を前記第2画像内において検索し前記表示画像を提供する前記被写体を特定する被写体特定手段をさらに有し、前記動き検出手段が、該被写体特定手段により特定された前記被写体の動きを前記第2画像から検出するものであることを特徴とする請求項6に記載の画像表示システム。
【請求項8】
人物被写体を撮影手段により撮影したときの該被写体の画像から該被写体の顔情報を抽出する顔抽出手段と、
前記被写体を撮影する撮影手段により撮影された前記被写体の画像から前記被写体の動きを検出する動き検出手段と、
前記被写体の動きに対応した、表示装置に表示させる表示画像を生成する際の被服の素材となる被服の素材画像が複数記憶された素材記憶手段と、
前記動き検出手段により検出された前記被写体の動きに基づいて、前記素材記憶手段から前記表示画像の生成に使用する前記被服の素材画像を選択する素材画像選択手段と、
該素材画像選択手段により選択された前記被服の素材画像と、前記顔抽出手段により抽出された前記顔情報とを合成することにより、前記被写体が前記被服の素材画像を着用した前記表示画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された前記表示画像を前記表示装置に表示する表示制御手段と
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
コンピュータに、
人物被写体を撮影したときの該被写体の画像から該被写体の顔情報を抽出し、
撮影した前記被写体の画像から前記被写体の動きを検出し、
検出した前記被写体の動きに基づいて、前記被写体の動きに対応した、表示装置に表示させる表示画像を生成する際の被服の素材となる被服の素材画像が複数記憶された素材記憶手段から前記表示画像の生成に使用する前記被服の素材画像を選択し、
選択した前記被服の素材画像と抽出した前記顔情報とを合成することにより、前記被写体が前記被服の素材画像を着用した前記表示画像を生成し、
生成した前記表示画像を前記表示装置に表示する
ことを実行させるための画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−4427(P2007−4427A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183120(P2005−183120)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【復代理人】
【識別番号】100134245
【弁理士】
【氏名又は名称】本澤 大樹
【Fターム(参考)】