説明

画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】専用の開閉検知センサを設けることなく、開閉体の開閉状態を精度良く判定することができるようにする。
【解決手段】ランプの光を開閉体に向けて照射させた際にCCDで受光した光量の主走査方向の変動状況に基づいて開閉体の開閉状態を判定する。さらに開閉状態判定部の判定結果及びADFの原稿検知センサの検知結果に基づいて、ADFにより原稿を読み取る第1の読取モード、及び原稿テーブル上の原稿を読み取る第2の読取モードの選択及び読取動作の可否の決定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテンカバーやADFを一体的に備えた開閉体が装置本体に対して開閉可能に支持された画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ装置及び複合機などの画像形成装置やスキャナ装置には、原稿テーブルに原稿を載置して読取を行う他、原稿枚数が多い場合の利便性を高めるために、給紙台上に積載された原稿を順次引き込んで、内部を搬送しながら画像読取センサに原稿の画像を読み取らせる原稿送り装置、いわゆるADF(Auto Document Feeder)が、プラテンカバーと共に、装置本体に対して開閉可能に支持された開閉体に一体的に設けられたものがある。
【0003】
このようにADFが開閉体に設けられた装置では、開閉体が半開状態のままでADFによる原稿の読取が行われると、読取不良や原稿の詰まりや装置の破損が発生する。このため、開閉体の開閉状態を検知して、開閉体が全閉状態にあることが確認された場合にのみ、ADFによる原稿の読取を許可するようにすると良い。
【0004】
また、画像形成装置やスキャナ装置には、書籍などの厚みのある原稿を原稿テーブルの読取りガラス上に載置して読み取る際に、原稿を覆うプラテンカバーを完全に閉じることができないため、このような状態で読み取りが行われると、実際の原稿の読取面に対応する画像の周囲に黒色の枠領域が形成されて、印刷物が見苦しくなるばかりでなく、トナーの消費量が増えてしまうことから、原稿の周囲の枠領域を除去する枠消し処理機能を備えたものがある。
【0005】
このような枠消し処理機能を備えた装置では、開閉体が半開状態のままで原稿の読取及び枠消し処理が行われると、開閉体の反射光を読取センサが受光して、原稿領域と同様に、読取画像上に明度の高い領域が現れるため、この領域を原稿の一部と誤って抽出してしまうという問題が生じる。このため、開閉体の開閉状態を検知して、開閉体が開状態にあることが確認された場合にのみ、枠消し処理を許可するようにすると良い。
【0006】
しかるに、開閉体の開閉状態を検知するには、専用の開閉検知センサを設けることが一般的であるが、コストの削減を図るために、専用の開閉検知センサによらずに開閉体の開閉状態を検知する技術が望まれる。このような技術として、開閉体に向けて光を照射した際に読取センサから出力される信号値を所定の基準値と比較することにより開閉体の開閉状態を判定するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2591471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の技術では、読取センサから出力される信号値を平均化して所定の基準値と比較するだけであるため、開閉体が半開状態にある場合や原稿テーブルの読取りガラス上に原稿が載置されている場合のような全開状態では、誤った判定がなされる可能性があり、開閉体の開閉状態を精度良く判定することができないという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、専用の開閉検知センサを設けることなく、開閉体の開閉状態を精度良く判定することができるように構成された画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像読取装置は、原稿が載置される原稿テーブルと、この原稿テーブル上の原稿に光を照射する光源と、原稿からの反射光を受光して電気信号に変換する撮像手段と、前記原稿テーブルに原稿を押さえ付けるプラテンカバーと、前記撮像手段による原稿読取位置を通過するように原稿を搬送する原稿送り手段と、この原稿送り手段及び前記プラテンカバーを一体的に備え、前記原稿テーブル、前記光源及び前記撮像手段が設けられた装置本体に対して開閉可能に支持された開閉体と、前記光源の光を前記開閉体の基準位置に向けて照射させた際に前記撮像手段で受光した光量の主走査方向の変動状況に基づいて前記開閉体の開閉状態を判定する開閉状態判定手段とを有する構成とする。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、前記のように構成された画像読取装置を備えた構成とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、開閉体が全開状態や全閉状態にある場合の他に、開閉体が半開状態にある場合や原稿テーブルの読取りガラス上に原稿が載置されている場合のような全開状態を考慮して、開閉体の開閉状態を判定することができるため、判定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明が適用される複写機(画像形成装置)の概略構成図
【図2】図1に示した原稿読取部の概略構成図
【図3】図1に示した画像形成装置の制御部の概略構成を示すブロック図
【図4】図2に示した第1の読取モード用の白基準部材を読み取る試験読取で得られる各パターンごとのCCDの出力電圧(光量)の主走査方向の変化状況を示す図
【図5】図4に示した各パターンに対応する原稿読取部の状態を示す斜視図
【図6】図3に示した開閉状態判定部で行われるパターン判定の条件の一例を示す図
【図7】図2に示した主制御部で行われる制御の概要を示す図
【図8】図3に示した制御部での処理手順を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、原稿が載置される原稿テーブルと、この原稿テーブル上の原稿に光を照射する光源と、原稿からの反射光を受光して電気信号に変換する撮像手段と、前記原稿テーブルに原稿を押さえ付けるプラテンカバーと、前記撮像手段による原稿読取位置を通過するように原稿を搬送する原稿送り手段と、この原稿送り手段及び前記プラテンカバーを一体的に備え、前記原稿テーブル、前記光源及び前記撮像手段が設けられた装置本体に対して開閉可能に支持された開閉体と、前記光源の光を前記開閉体の基準位置に向けて照射させた際に前記撮像手段で受光した光量の主走査方向の変動状況に基づいて前記開閉体の開閉状態を判定する開閉状態判定手段とを有する構成とする。
【0015】
これによると、開閉体が全開状態や全閉状態にある場合の他に、開閉体が半開状態にある場合や原稿テーブルの読取りガラス上に原稿が載置されている場合のような全開状態を考慮して、開閉体の開閉状態を判定することができるため、判定精度を高めることができる。
【0016】
前記課題を解決するためになされた第2の発明は、前記第1の発明において、前記開閉状態判定手段は、前記撮像手段で受光した光量の主走査方向の変動幅が所定のしきい値を下回り、且つ主走査方向の光量の代表値が所定のしきい値を下回る場合に、前記開閉体が略全開状態にあると判定する構成とする。
【0017】
開閉体が略全開状態にある場合、光源の光が開閉体に殆ど届かず、また開閉体の反射光も周囲に拡散して撮像手段で殆ど受光されないことから、撮像手段が受光する光量は、主走査方向の全体に渡って小さく且つ均一となるため、前記のような判定条件で判定を行うことで、開閉体の略全開状態を精度良く判定することができる。
【0018】
前記課題を解決するためになされた第3の発明は、前記第1・第2の発明において、前記開閉状態判定手段は、前記撮像手段で受光した光量の主走査方向の変動幅が所定のしきい値を下回り、且つ主走査方向の光量の代表値が所定のしきい値を上回る場合に、前記開閉体が全閉状態にあると判定する構成とする。
【0019】
開閉体が全閉状態にある場合、開閉体の反射光が周囲に拡散することなく撮像手段で受光されることから、撮像手段が受光する光量は、主走査方向の全体に渡って大きく且つ均一となるため、前記のような判定条件で判定を行うことで、開閉体の全閉状態を精度良く判定することができる。
【0020】
前記課題を解決するためになされた第4の発明は、前記第1〜第3の発明において、前記開閉体は、主走査方向の一端側に設けられた枢支部を介して前記装置本体に支持されており、前記開閉状態判定手段は、前記撮像手段で受光した光量の主走査方向の変動幅が所定のしきい値を上回り、且つ主走査方向の光量の代表値が所定のしきい値を上回る場合に、前記開閉体が半開状態にあると判定する構成とする。
【0021】
開閉体が半開状態にある場合、撮像手段が設けられた装置本体に対する開閉体の離間距離が、枢支部がある一端側から他端側に向けて次第に大きくなるため、開閉体の反射光を撮像手段が受光する光量は、一端側から他端側に向けて次第に小さくなる特性を示し、主走査方向の全体に渡って大きく且つ不均一となるため、前記のような判定条件で判定を行うことで、開閉体の半開状態を精度良く判定することができる。
【0022】
この他、主走査方向の光量の変動幅が所定のしきい値を上回り、且つ主走査方向の光量の最小値が所定のしきい値を下回る場合に、開閉体が略全開状態または半開状態にあり、且つ原稿テーブルの読取りガラスの一部を覆うように原稿が載置された状態にあると判定するようにしても良い。また、主走査方向の光量の変動幅が所定のしきい値を下回り、且つ主走査方向の光量の最小値が2つのしきい値の間にある場合に、開閉体が略全開状態または半開状態にあり、且つ原稿テーブルの読取りガラスの全部を覆うように原稿が載置された状態にあると判定するようにしても良い。
【0023】
なお、主走査方向の光量の変動幅は、主走査方向の光量の最大値と最小値との差とすると良い。また主走査方向の光量の代表値は、主走査方向の光量の最小値や平均値とすると良い。
【0024】
前記課題を解決するためになされた第5の発明は、前記第1〜第4の発明において、前記原稿送り手段の給紙台に載置された原稿の有無を検知する原稿検知手段と、前記開閉状態判定手段の判定結果及び前記原稿検知手段の検知結果に基づいて、前記原稿送り手段により原稿を読み取る第1の読取モード、及び前記原稿テーブル上の原稿を読み取る第2の読取モードの選択及び読取動作の可否の決定を行う制御手段とをさらに有する構成とする。
【0025】
これによると、適切な読取モードを選択することができ、操作者の意図とは異なる読取モードで読取動作が開始されることを避けることができる。また、必要に応じて読取動作を禁止することで、読取に関する種々の不具合を未然に防ぐことができる。
【0026】
前記課題を解決するためになされた第6の発明は、前記第5の発明において、前記制御手段は、前記開閉状態判定手段により前記開閉体が全閉状態にあると判定され、且つ前記原稿検知手段により前記原稿送り手段に原稿があると検知された場合にのみ、第1の読取モードで読取を行わせる構成とする。
【0027】
これによると、原稿送り手段により原稿を読み取る第1の読取モードを、開閉体が全閉状態にある場合にのみ許可するため、開閉体が略全開状態や半開状態である場合に第1の読取モードが実行されることで発生する読取不良や原稿の詰まりや装置の破損を未然に防ぐことができる。
【0028】
前記課題を解決するためになされた第7の発明は、前記第5・第6の発明において、前記開閉体の開状態として第2の読取モードで読取を行わせることで得られた画像から原稿外領域を消去する枠消し処理を行う枠消し処理手段をさらに有し、前記制御手段は、前記開閉状態判定手段により前記開閉体が略全開状態にあると判定され、且つ前記原稿検知手段により前記原稿送り手段に原稿がないと検知された場合に、第2の読取モードで読取を行わせると共に前記枠消し処理手段に枠消し処理を行わせ、一方、前記開閉状態判定手段により前記開閉体が略全開状態にないと判定され、且つ前記原稿検知手段により前記原稿送り手段に原稿がないと検知された場合には、第2の読取モードで読取を行わせると共に前記枠消し処理手段による枠消し処理を行わせない構成とする。
【0029】
これによると、開閉体が略全開状態にある場合にのみ、原稿テーブル上の原稿を読み取る第2の読取モードでの枠消し処理を許可するため、開閉体が半開状態にある場合に枠消し処理が実施されることで開閉体の反射光を原稿領域と誤認識する不具合を未然に防止することができる。
【0030】
前記課題を解決するためになされた第8の発明は、前記第5〜第7の発明において、操作者に警告する警告手段をさらに有し、前記制御手段は、前記開閉状態判定手段により前記開閉体が全閉状態でないと判定され、且つ前記原稿検知手段により前記原稿送り手段に原稿があると検知された場合には、読取動作を禁止して、前記警告手段で所要の警告を行わせる構成とする。
【0031】
これによると、操作者の意図とは異なる読取モードで読取が行われることを避けることができる。
【0032】
この場合、開閉体が全閉状態でないことから、第2の読取モードで原稿テーブル上の原稿を読み取らせる意図が操作者にあると判断され、また原稿送り手段に原稿があることから、第1の読取モードで原稿送り手段により原稿を読み取らせる意図が操作者にあるとも判断され、操作者の意図が不明である。このため、警告を発していずれの読取モードで読取を行おうとしているのかを操作者に明確にさせる必要がある。そこで、原稿送り手段の原稿を取り除く作業や、開閉体を全閉状態とする作業を促す警告メッセージを出力するようにすると良い。
【0033】
なお、警告手段は、警告メッセージなどを表示する表示手段の他、音声出力手段で構成することも可能である。
【0034】
前記課題を解決するためになされた第9の発明は、前記第1〜第8の発明において、第1の読取モード時のシェーディング補正データ取得処理のための白基準部材が、前記開閉体における前記原稿送り手段の原稿読取位置に設けられ、前記制御手段は、第1の読取モード用の前記白基準部材を読み取る処理を前記光源及び前記撮像手段に行わせ、このとき受光した光量に基づいて前記開閉状態判定手段に開閉状態の判定を行わせる構成とする。
【0035】
これによると、第1の読取モード用の白基準部材を読み取り可能な状態を初期状態とすると、操作者によるスタートボタンの操作などの読取開始操作に応じて即座に、第1の読取モード用の白基準部材の読取を実行して開閉体の開閉状態の判定を行うことができる。
【0036】
この場合、第1の読取モード用の白基準部材の読取は、第1の読取モード時のシェーディング補正データ取得処理と同様の手順で行えば良い。
【0037】
前記課題を解決するためになされた第10の発明は、前記第1〜第9の発明において、第2の読取モード時のシェーディング補正データ取得処理のための白基準部材が、前記装置本体における前記原稿テーブルに隣接する位置に設けられ、前記制御手段は、前記開閉状態判定手段により前記開閉体が略全開状態にあると判定された場合に、第2の読取モード用の前記白基準部材を読み取る処理を前記光源及び前記撮像手段に行わせ、このとき受光した光量に基づいて前記光源が異常か否かを判定する構成とする。
【0038】
これによると、第2の読取モード用の白基準部材が装置本体側に設けられているため、開閉体の開閉状態に影響されることなく、光源の異常を判定することができる。
【0039】
この場合、第2の読取モード用の白基準部材の読取は、第2の読取モード時のシェーディング補正データ取得処理と同様の手順で行えば良い。また、光源の異常判定では、撮像手段の出力信号に光源の点灯に応じた変化が現れない場合に異常と判定すれば良い。
【0040】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0041】
図1は、本発明が適用される複写機(画像形成装置)の概略構成図である。この複写機は、原稿の画像を読み取る原稿読取部1と、ここでの読取により得られた画像データに基づいて原稿の画像を電子写真方式、すなわち帯電、露光、現像、転写及び定着の各プロセスを経て記録紙に形成する画像形成部2とを有し、紙収容部3に収容された記録紙が画像形成部2に逐次送り込まれ、ここで所要の画像が形成された記録紙が排紙部4に排出される。
【0042】
画像形成部2は、イエロー、マゼンタ、シアン、及び黒の各色のトナー像を形成する複数のプロセスユニット5〜8と、この各プロセスユニット5〜8内の各感光体ドラム5a〜8aの作像面に対して露光用のレーザ光を走査するLSU(レーザ・スキャニング・ユニット)9と、各感光体ドラム5a〜8a上に作像された各色のトナー像が順次転写される中間転写ベルト10とを有し、各色の感光体ドラム5a〜8aが中間転写ベルト10に沿って並んで配置されたタンデム型の構造となっている。
【0043】
各プロセスユニット5〜8内では、図示しない帯電器により均一に帯電させた各感光体ドラム5a〜8aの作像面に対してLSU9から露光用のレーザ光が走査されることで静電潜像が形成され、この各感光体ドラム5a〜8aの静電潜像が、図示しない現像器から供給される各色のトナーで現像されて各色のトナー像が各感光体ドラム5a〜5aの作像面に形成される。プロセスユニット5〜8内の現像器にはトナーボトル11〜14から各色のトナーが補給される。
【0044】
各プロセスユニット5〜8内の各感光体ドラム5a〜8a上に作像された各色のトナー像は、中間転写ベルト10上に順次転写され、さらに中間転写ベルト10と転写ローラ15との間に送り込まれた記録紙に転写される。そして、各色のトナー像が転写された記録紙が定着器16に搬送され、熱及び圧力の作用により記録紙上のトナー像を記録紙に定着させる処理が行われる。
【0045】
図2は、図1に示した原稿読取部の概略構成図である。原稿読取部1は、原稿が載置される原稿テーブル21と、この原稿テーブル21上の原稿に光を照射するランプ(光源)22と、原稿からの反射光を受光して電気信号に変換するCCD(撮像手段)23と、原稿テーブル21に原稿を押さえ付けるプラテンカバー24と、このプラテンカバー24を一体的に備え、装置本体25に対して開閉可能に支持された開閉体26とを有している。
【0046】
開閉体26には、CCD23による原稿読取位置を通過するように原稿を搬送するADF(原稿送り手段)27が一体的に設けられており、このADF27により原稿を読み取る第1の読取モードと、原稿テーブル21上の原稿を読み取る第2の読取モードとを選択することができる。ADF27には、給紙台28に載置された原稿の有無を検知する原稿検知センサ(原稿検知手段)29が設けられている。
【0047】
装置本体25内には、ランプ22やCCD23の他に、CCD23上で光を結像させる結像レンズ31と、原稿からの反射光を結像レンズ31に導くミラー32〜34が設けられている。CCD23はRGBの各色ごとに主走査方向に配列されてラインセンサを構成し、ランプ22及びミラー32が搭載された読取キャリッジ35と、ミラー33・34が搭載された読取キャリッジ36とを副走査方向に移動させることで、副走査方向の走査が行われる。
【0048】
ADF27には、原稿の搬送路が設けられており、この搬送路に沿って原稿を搬送することで副走査方向の走査が行われる。すなわち、給紙台28上の原稿が読取ガラス38上の原稿読取位置に搬送され、ここで原稿の画像が読み取られた後、原稿が排紙台39上に排出され、また両面読取においては、2面目の読取の際に原稿が反転され、さらに2面目の読取が終了した原稿が反転させて排紙台39上に排出されるようになっている。
【0049】
また、開閉体26では、ADF27の原稿読取位置にある読取ガラス38に対向して、第1の読取モード時のシェーディング補正データ取得処理のための第1の白基準部材40が設けられている。一方、装置本体25には、原稿テーブル21に隣接する原稿規制板41の下面に、第2の読取モード時のシェーディング補正データ取得処理のための第2の白基準部材42が設けられている。
【0050】
読取キャリッジ35・36は、図2(A)に示すように、第1の読取モード用の白基準部材40を読み取り可能な状態を初期状態とし、ADF27により原稿を読み取る第1の読取モードでは、この初期状態に読取キャリッジ35・36を静止させたままで、シェーディング補正データ取得処理が行われた後、白基準部材40と読取ガラス38との間を原稿が通過することで原稿の画像が読み取られる。
【0051】
一方、原稿テーブル21上の原稿を読み取る第2の読取モードでは、図2(B)に示すように、読取キャリッジ35・36を移動させて第2の読取モード用の白基準部材42を読み取り可能な状態として、シェーディング補正データ取得処理が行われた後、読取キャリッジ35・36を副走査方向に徐々に移動させながら原稿の画像が読み取られる。
【0052】
図3は、図1に示した画像形成装置の制御部の概略構成を示すブロック図である。制御部は、シェーディング補正部51と、読取画像処理部52と、画像メモリ53と、記録画像処理部54とを有している。
【0053】
シェーディング補正部51は、シェーディング補正データ取得処理により得られた補正データに基づいて画素間のばらつきの補正を行うものである。読取画像処理部52は、例えばエッジ強調処理や必要に応じてスムーズ処理及び階調変換処理等を行うものである。画像メモリ53は、画像データを記憶するものである。記録画像処理部54は、画像形成部2による画像形成が適切に行われるように所要の処理を行うものである。
【0054】
さらに制御部は、開閉体26を開状態として原稿テーブル21上の原稿を読み取る第2の読取モードで読取を行わせることで得られた画像から原稿外領域を消去する枠消し処理を行う枠消し処理部(枠消し処理手段)55を有している。
【0055】
この枠消し処理部55は、原稿領域検出部56と、原稿領域メモリ57と、原稿領域補正部58と、信号生成部59とを有している。原稿領域検出部56は、注目画素の近傍の画素との濃度差(濃度変化量)が所定の閾値より高い場合に、原稿領域の端の位置する原稿端点と推定される候補点として検出するものである。原稿領域メモリ57は、ライン上に検出された候補点の位置情報を記憶するものである。原稿領域補正部58は、候補点の位置情報に基づいて原稿端点を確定するものである。信号生成部59は、読取画像上の原稿領域を規定する有効幅信号を生成するものである。
【0056】
コントロールパネル61は、各種の動作を指示する操作部62と、各種の設定内容や装置の状態を表示する表示部63とを備えている。特にここでは、操作者に所要の警告を行うために、表示部(警告手段)63に警告メッセージが表示される。なお、操作者に対する警告は、表示手段による他、音声出力手段により行うようにしても良い。
【0057】
特にここでは、試験読取によりCCD23で取得した主走査方向の光量の変動状況に基づいて開閉体26の開閉状態を判定する開閉状態判定部(開閉状態判定手段)65が設けられており、主制御部66が、第1の読取モード用の白基準部材40を読み取る処理をランプ22及びCCD23に行わせ、このとき取得した光量に基づいて開閉状態判定部65に開閉状態の判定を行わせる。この第1の読取モード用の白基準部材の読取は、第1の読取モード時のシェーディング補正データ取得処理と同様の手順で行えば良い。
【0058】
この第1の読取モード用の白基準部材40を読み取る試験読取は、図2(A)に示したように、初期状態で行うことができる。このため、操作者によるスタートボタンの操作などの読取開始操作に応じて即座に試験読取を実行して開閉体の開閉状態の判定を行うことができる。
【0059】
図4は、図2に示した第1の読取モード用の白基準部材を読み取る試験読取で得られる各パターンごとのCCDの出力電圧(光量)の主走査方向の変化状況を示す図である。図5は、図4に示した各パターンに対応する原稿読取部の状態を示す斜視図である。図6は、図3に示した開閉状態判定部で行われるパターン判定の条件の一例を示す図である。
【0060】
図4(A)に示す第1のパターンでは、CCD23の出力電圧(光量)が主走査方向の一端側から他端側に向けて次第に変化する特性を示す。この第1のパターンは、図5(A)に示すように、開閉体26が半開状態(例えば開度10°)である場合に現れる。開閉体26は、主走査方向の一端側(奥側)に設けられた枢支部44を介して装置本体25に支持されており、開閉体26が半開状態であると、読取ガラス38に対する開閉体26の離間距離が一端側(奥側)から他端側(手前側)に向けて次第に大きくなる。このため、開閉体26の反射光をCCD23が受光する光量は、一端側(奥側)から他端側(手前側)に向けて次第に小さくなる。
【0061】
このように開閉体26が半開状態にある場合、光量は主走査方向の全体に渡って大きく且つ不均一で大きく変化するため、開閉状態判定部65では、主走査方向の光量の変動幅が所定のしきい値を上回り、且つ主走査方向の光量の代表値が所定のしきい値を上回る場合に、開閉体26が半開状態にある第1のパターンと判定する。図6の例では、CCD23の出力電圧の最大値Vmaxと最小値Vminの差ΔVが1.5V以上で、且つ最小値Vminが2V以上であれば第1のパターンと判定する。これにより開閉体26の半開状態を精度良く判定することができる。
【0062】
図4(B)に示す第2のパターンでは、CCD23の出力電圧(光量)が主走査方向の位置に応じて大きく異なる特性を示している。この第2のパターンは、図5(B)に示すように、開閉体26が略全開状態または半開状態にあり、且つ原稿テーブル21の一部を覆うように原稿Dが載置された状態となっている場合に現れる。この状態では、原稿テーブル21に近接する読取ガラス38が原稿Dで部分的に覆われ、原稿Dで覆われる部分と覆われない部分とでCCD23が受光する光量が大きく異なる。
【0063】
このように開閉体26が略全開状態または半開状態にあり、且つ原稿テーブル21の一部を覆うように原稿が載置された状態にある場合、光量が主走査方向の位置に応じて大きく異なる特性を示すため、開閉状態判定部65では、主走査方向の光量の変動幅が所定のしきい値を上回り、且つ主走査方向の光量の最小値が所定のしきい値を下回る場合に、第2のパターンと判定する。図6の例では、CCD23の出力電圧の最大値Vmaxと最小値Vminの差ΔVが1.5V以上で、且つ最小値Vminが2V未満であれば第2のパターンと判定する。
【0064】
図4(C)に示す第3のパターンでは、CCD23の出力電圧(光量)が主走査方向の全体に渡って均一で且つ若干小さくなる特性を示している。この第3のパターンは、図5(C)に示すように、開閉体26が略全開状態または半開状態にあり、且つ原稿テーブル21の全部を覆うように原稿Dが載置された状態となっている場合に現れる。この状態では、原稿Dが読取ガラス38を全体的に覆うものの、開閉体26が開いているため、原稿テーブル21に原稿Dが密着しておらず、わずかに浮いた状態となり、原稿Dの反射光が漏れるため、CCD23が受光する光量が若干小さくなる。
【0065】
このように開閉体26が略全開状態または半開状態にあり、且つ原稿テーブル21の全部を覆うように原稿が載置された状態にある場合、光量が主走査方向の全体に渡って均一で且つ中間レベルとなるため、開閉状態判定部65では、主走査方向の光量の変動幅が所定のしきい値下回り、且つ主走査方向の光量の最小値が2つのしきい値の間にある場合に、第3のパターンと判定する。図6の例では、CCD23の出力電圧の最大値Vmaxと最小値Vminの差ΔVが1.5V未満で、且つ最小値Vminが1V以上4V未満であれば第3のパターンと判定する。
【0066】
図4(D)に示す第4のパターンでは、CCD23の出力電圧(光量)が主走査方向の全体に渡って0となっている。この第4のパターンは、図5(D)に示すように、開閉体26が略全開状態(例えば開度45°以上)となっている場合に現れる。この状態では、開閉体26と読取ガラス38とが大きく離間し、ランプ22の光が開閉体26に殆ど届かず、また開閉体26の反射光も周囲に拡散してCCD23で殆ど受光することができない。
【0067】
このように開閉体26が略全開状態にある場合、光量は主走査方向の全体に渡って小さく且つ均一となるため、開閉状態判定部65では、主走査方向の光量の変動幅が所定のしきい値を下回り、且つ主走査方向の光量の代表値が所定のしきい値を下回る場合に、開閉体26が略全開状態にある第4のパターンと判定する構成とする。図6の例では、CCD23の出力電圧の最大値Vmaxと最小値Vminの差ΔVが1.5V未満で、且つ最小値Vminが1V未満であれば第4のパターンと判定する。これにより開閉体26の略全開状態を精度良く判定することができる。
【0068】
図4(E)に示す第5のパターンでは、CCD23の出力電圧(光量)が主走査方向の全体に渡って均一で且つ大きい特性を示している。この第5のパターンは、図5(E)に示すように、開閉体26が全閉状態となっている場合に現れる。この状態では、開閉体26と読取ガラス38とが近接し、開閉体26の反射光が周囲に拡散することなくCCD23で受光される。
【0069】
このように開閉体26が全閉状態にある場合、光量は主走査方向の全体に渡って大きく且つ均一となるため、開閉状態判定部65では、主走査方向の光量の変動幅が所定のしきい値を下回り、且つ主走査方向の光量の代表値が所定のしきい値を上回る場合に、開閉体26が全閉状態にある第5のパターンと判定する。図6の例では、CCD23の出力電圧の最大値Vmaxと最小値Vminの差ΔVが1.5V未満で、且つ最小値Vminが4V以上であれば第5のパターンと判定する。これにより開閉体26の全閉状態を精度良く判定することができる。
【0070】
なお、CCD23の出力電圧に関し、ゴミによる影響を避けるため、単位画素数(例えば500画素)ごとにブロック分けしてその平均値を算出して判定に用いる。
【0071】
ところで、開閉体26が略全開状態にある場合に現れる第4のパターンは、ランプ22が異常で点灯していない場合も同様となる。このため、第4のパターンで、且つランプ22が正常で点灯していることが確認された場合に、開閉体26が略全開状態にあると判定することができる。
【0072】
そこで、主制御部66では、開閉状態判定部65により第4のパターンと判定された場合に、図2(B)に示したように、第2の読取モード用の白基準部材42を読み取る処理をランプ22及びCCD23に行わせ、このとき取得した光量に基づいてランプ22が異常か否かを判定する。このようにすると、第2の読取モード用の白基準部材42が装置本体25側に設けられているため、開閉体26の開閉状態に影響されることなく、ランプ22の異常を判定することができる。
【0073】
この場合、第2の読取モード用の白基準部材42の読取は、第2の読取モード時のシェーディング補正データ取得処理と同様の手順で行えば良い。また、ランプ22の異常判定では、CCD23の出力電圧にランプ22の点灯に応じた変化が現れない場合に異常と判定すれば良い。
【0074】
図7は、図2に示した主制御部で行われる制御の概要を示す図である。主制御部(制御手段)66では、開閉状態判定部65で行われるCCD23の出力電圧(光量)に基づくパターン判定での判定結果と、ADF27の原稿の有無を検知する原稿検知センサ29での検知結果とに基づいて、読取モードの選択や読取動作の可否の決定が行われる。
【0075】
ここでは、開閉状態判定部65により開閉体26が全閉状態にある、すなわち第5のパターンと判定され、且つ原稿検知センサ29によりADF27に原稿があると検知された場合にのみ、ADF27により原稿を読み取る第1の読取モードで読取を行わせるようにする。このように第1の読取モードを開閉体26が全閉状態にある場合にのみ許可することで、開閉体26が略全開状態や半開状態である場合に第1の読取モードが実行されることで発生する読取不良や原稿の詰まりや破損を未然に防ぐことができる。
【0076】
また、開閉状態判定部65により開閉体26が略全開状態にある、すなわち第4のパターンと判定され、且つ原稿検知センサ29によりADF27に原稿がないと検知された場合に、第2の読取モードで読取を行わせると共に枠消し処理部55に枠消し処理を行わせ、一方、開閉状態判定部65により開閉体26が略全開状態にない、すなわち第1〜第3のパターンか第5のパターンと判定され、且つ原稿検知センサ29によりADF27に原稿がないと検知された場合には、第2の読取モードで読取を行わせると共に枠消し処理部55による枠消し処理を行わせないようにする。
【0077】
これによると、開閉体26が略全開状態にある場合にのみ、原稿テーブル21上の原稿を読み取る第2の読取モードでの枠消し処理を許可するため、開閉体26が半開状態にある場合に枠消し処理が実施されることで開閉体26の反射光を原稿領域と誤認識する不具合を未然に防止することができる。
【0078】
なお、第5のパターンでADF27に原稿がない場合は、開閉体26を全閉状態として原稿テーブル21上の原稿を読み取る通常の読取となるため、枠消し処理の必要はない。また、第1〜第3のパターンでADF27に原稿がない場合は、操作者が原稿テーブル21上の原稿を読み取ろうとしているものと判断され、原稿テーブル21上の原稿を読み取る第2の読取モードで枠消し処理を実施しないようにすれば良い。
【0079】
また、開閉状態判定部65により開閉体26が全閉状態でない、すなわち第1〜第3のパターンか第4のパターンと判定され、且つ原稿検知センサ29によりADF27に原稿があると検知された場合には、読取動作を禁止して、コントロールパネル61の表示部(警告手段)63で操作者に警告するようにする。これにより操作者の意図とは異なる読取モードで読取が行われることを避けることができる。
【0080】
この場合、開閉体26が全閉状態でないことから、第2の読取モードで原稿テーブル21上の原稿を読み取らせる意図が操作者にあると判断され、またADF27に原稿があることから、第1の読取モードでADF27により原稿を読み取らせる意図が操作者にあるとも判断され、操作者の意図が不明である。このため、警告を発していずれの読取モードで読取を行おうとしているのかを操作者に明確にさせる必要がある。そこで、ADF27の原稿を取り除く作業や、開閉体26を全閉状態とする作業を促す警告メッセージを出力するようにすると良い。
【0081】
図8は、図3に示した制御部での処理手順を示すフロー図である。ここでは、まずコントロールパネル61上のスタートボタンを操作者が操作すると(ST101)、ランプ22を点灯させて開閉体26に設けられた第1の白基準部材40の読取が行われ(ST102)、このときのCCD23の出力電圧(光量)に基づいて第1〜第5のパターンのいずれに該当するかの判定が行われる(ST103)。
【0082】
このパターン判定(ST103)で第1のパターン、すなわち図5(A)に示すように、開閉体26が半開状態にある、または第2のパターン、すなわち図5(B)に示すように、原稿が読取ガラス38を部分的に覆うように載置されている、または第3のパターン、すなわち図5(C)に示すように、原稿が読取ガラス38を全体的に覆うように載置されていると判定されると、次に原稿検知センサ29の信号に基づいてADF27に原稿があるか否かが判定され(ST104)、ADF27に原稿がない場合には(ST104でNo)、第2の読取モードとなり、原稿テーブル21上の原稿の読取が行われる。このとき枠消し処理は実施されない。
【0083】
一方、ADF27に原稿がある場合には(ST104でYes)、操作者にADF27の原稿を取り除く作業や、開閉体26を全閉状態とする作業を促す警告メッセージ(例えば、「原稿を外すか、ADFをしっかり閉めて、スタートボタンを押してください。」)がコントロールパネル61の表示部63に表示され、スタートボタンの操作待ち状態となる。
【0084】
また、パターン判定(ST103)で第4のパターン、すなわち図5(D)に示すように、開閉体26が略全開状態にあるか、あるいはランプ22が異常で点灯していないと判定されると、次に装置本体25側に設けられた第2の白基準部材42の読取が行われ(ST106)、このときのCCD23の出力電圧(光量)に基づいてランプ22が正常に点灯しているか否かの判定が行われ(ST107)、ここでランプ22が点灯していなければランプ22の故障と判断し、ランプ故障モードに移行して、装置を停止すると共に、ランプ故障を知らせる警告を表示する。
【0085】
一方、ランプ22が点灯していると判定されると(ST107でYes)、次に原稿検知センサ29の信号に基づいてADF27に原稿があるか否かが判定され(ST108)、ADF27に原稿がない場合には(ST108でNo)、第2の読取モードとなり、原稿テーブル21上の原稿の読取が行われる。このとき枠消し処理が実施される。
【0086】
一方、ADF27に原稿がある場合には(ST108でYes)、前記と同様に、操作者にADF27の原稿を取り除く作業や、開閉体26を全閉状態とする作業を促す警告メッセージ(例えば、「原稿を外すか、ADFをしっかり閉めて、スタートボタンを押してください。」)がコントロールパネル61の表示部63に表示され、スタートボタンの操作待ち状態となる。
【0087】
また、パターン判定(ST103)で第5のパターン、すなわち図5(E)に示すように、開閉体26が全閉状態となっていると判定されると、次に原稿検知センサ29の信号に基づいてADF27に原稿があるか否かが判定され(ST110)、ADF27に原稿がない場合には(ST110でNo)、第2の読取モードとなり、原稿テーブル21上の原稿の読取が行われる。このとき枠消し処理は実施されない。
【0088】
一方、ADF27に原稿がある場合には(ST110でYes)、第1の読取モードとなり、ADF27による原稿の読取が行われる。
【0089】
なお、第2〜第4のパターンでは、操作者が原稿テーブル21上の原稿を読み取ろうとしている蓋然性が高く、また第2の読取モードで原稿テーブル21上の原稿を読み取る場合、ADF27にある原稿は特に読取の支障とはならない。このため、第2〜第4のパターンでは、ADF27に原稿があるか否かの判定を行うことなく、第2の読取モードとして原稿テーブル21上の原稿を読み取るようにしても良い。
【0090】
一方、第1のパターンでは、操作者にADF27により原稿を読み取る意図があるものの、開閉体26の閉じ方が不十分で半開状態となっているのか、あるいは原稿テーブル21上の原稿を読み取る意図で開閉体26を開いたのか不明であるため、前記のように、操作者にADF27の原稿を取り除く作業や、開閉体26を全閉状態とする作業を促す警告メッセージを表示するようにすると良い。
【0091】
また、各パターンで警告メッセージの内容を変える、例えばそれぞれの状況を説明する文言を表示するようにしても良い。これにより操作者に注意を促すことができる。
【0092】
以上のように、試験読取によりCCD23で取得した光量の主走査方向の変動状況に基づいて開閉体26の開閉状態を判定するため、全開状態や全閉状態の他に、開閉体26が半開状態にある場合や原稿テーブル21上に原稿が載置されている場合のような特殊な状態を考慮して、開閉体26の開閉状態を判定することができるため、判定精度を高めることができる。
【0093】
また、開閉状態判定部65の判定結果及び原稿検知センサ29の検知結果に応じて、ADF27により原稿を読み取る第1の読取モード、及び原稿テーブル21上の原稿を読み取る第2の読取モードの選択及び読取動作の可否の決定を行うため、適切な読取モードを選択することができ、操作者の意図とは異なる読取モードで読取動作が開始されることを避けることができる。また、必要に応じて読取動作を禁止することで、読取に関する種々の不具合を未然に防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明にかかる画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置は、専用の開閉検知センサを設けることなく、開閉体の開閉状態を精度良く判定することができる効果を有し、プラテンカバーやADFを一体的に備えた開閉体が装置本体に対して開閉可能に枢支された画像読取装置及びこれを備えた画像形成装置などとして有用である。
【符号の説明】
【0095】
1 原稿読取部
21 原稿テーブル
22 ランプ(光源)
23 CCD(撮像手段)
24 プラテンカバー
25 装置本体
26 開閉体
27 ADF(原稿送り手段)
28 給紙台
29 原稿検知センサ(原稿検知手段)
38 読取ガラス
39 排紙台
40 白基準部材
41 原稿規制板
42 白基準部材
44 枢支部
55 枠消し処理部(枠消し処理手段)
63 表示部(警告手段)
65 開閉状態判定部(開閉状態判定手段)
66 主制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される原稿テーブルと、
この原稿テーブル上の原稿に光を照射する光源と、
原稿からの反射光を受光して電気信号に変換する撮像手段と、
前記原稿テーブルに原稿を押さえ付けるプラテンカバーと、
前記撮像手段による原稿読取位置を通過するように原稿を搬送する原稿送り手段と、
この原稿送り手段及び前記プラテンカバーを一体的に備え、前記原稿テーブル、前記光源及び前記撮像手段が設けられた装置本体に対して開閉可能に支持された開閉体と、
前記光源の光を前記開閉体の基準位置に向けて照射させた際に前記撮像手段で受光した光量の主走査方向の変動状況に基づいて前記開閉体の開閉状態を判定する開閉状態判定手段とを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記開閉状態判定手段は、前記撮像手段で受光した光量の主走査方向の変動幅が所定のしきい値を下回り、且つ主走査方向の光量の代表値が所定のしきい値を下回る場合に、前記開閉体が略全開状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記開閉状態判定手段は、前記撮像手段で受光した光量の主走査方向の変動幅が所定のしきい値を下回り、且つ主走査方向の光量の代表値が所定のしきい値を上回る場合に、前記開閉体が全閉状態にあると判定することを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記開閉体は、主走査方向の一端側に設けられた枢支部を介して前記装置本体に支持されており、
前記開閉状態判定手段は、前記撮像手段で受光した光量の主走査方向の変動幅が所定のしきい値を上回り、且つ主走査方向の光量の代表値が所定のしきい値を上回る場合に、前記開閉体が半開状態にあると判定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記原稿送り手段の給紙台に載置された原稿の有無を検知する原稿検知手段と、
前記開閉状態判定手段の判定結果及び前記原稿検知手段の検知結果に基づいて、前記原稿送り手段により原稿を読み取る第1の読取モード、及び前記原稿テーブル上の原稿を読み取る第2の読取モードの選択及び読取動作の可否の決定を行う制御手段とをさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記開閉状態判定手段により前記開閉体が全閉状態にあると判定され、且つ前記原稿検知手段により前記原稿送り手段に原稿があると検知された場合にのみ、第1の読取モードで読取を行わせることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記開閉体の開状態として第2の読取モードで読取を行わせることで得られた画像から原稿外領域を消去する枠消し処理を行う枠消し処理手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記開閉状態判定手段により前記開閉体が略全開状態にあると判定され、且つ前記原稿検知手段により前記原稿送り手段に原稿がないと検知された場合に、第2の読取モードで読取を行わせると共に前記枠消し処理手段に枠消し処理を行わせ、一方、前記開閉状態判定手段により前記開閉体が略全開状態にないと判定され、且つ前記原稿検知手段により前記原稿送り手段に原稿がないと検知された場合には、第2の読取モードで読取を行わせると共に前記枠消し処理手段による枠消し処理を行わせないことを特徴とする請求項5若しくは請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
操作者に警告する警告手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記開閉状態判定手段により前記開閉体が全閉状態でないと判定され、且つ前記原稿検知手段により前記原稿送り手段に原稿があると検知された場合には、読取動作を禁止して、前記警告手段で所要の警告を行わせることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項9】
第1の読取モード時のシェーディング補正データ取得処理のための白基準部材が、前記開閉体における前記原稿送り手段の原稿読取位置に設けられ、
前記制御手段は、第1の読取モード用の前記白基準部材を読み取る処理を前記光源及び前記撮像手段に行わせ、このとき受光した光量に基づいて前記開閉状態判定手段に開閉状態の判定を行わせることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項10】
第2の読取モード時のシェーディング補正データ取得処理のための白基準部材が、前記装置本体における前記原稿テーブルに隣接する位置に設けられ、
前記制御手段は、前記開閉状態判定手段により前記開閉体が略全開状態にあると判定された場合に、第2の読取モード用の前記白基準部材を読み取る処理を前記光源及び前記撮像手段に行わせ、このとき受光した光量に基づいて前記光源が異常か否かを判定することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の画像読取装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−273028(P2010−273028A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122151(P2009−122151)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】