説明

画素回路、発光装置および電子機器

【課題】発光素子の輝度を指定する信号が単位回路に取り込まれる時間長を短縮すること
なく各発光素子の輝度の誤差を防止する。
【解決手段】OLED素子83は、駆動信号Scのレベルが閾値Vthを越えることによっ
て発光する。駆動トランジスタ81は、データ信号線Ldjから取り込まれたデータ信号D
jに応じた駆動信号Scを生成する。キャパシタCaは、OLED素子83に対して並列に
配置され、駆動トランジスタ81からOLED素子83に供給される駆動信号Scの波形
を鈍らせる時定数回路として機能する。キャパシタCaの静電容量は、駆動トランジスタ
81によって生成される駆動信号Scのうち所定の時間長よりも短い時間長にて閾値Vth
を越える区間が当該閾値Vthを下回るレベルに減衰されるように選定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OLED(Organic Light Emitting Diode)素子などの発光素子を制御する
技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発光素子を備えた発光装置が従来から提案されている。この種の発光装置におい
ては、発光素子の輝度を指定する信号(以下「データ信号」という)の遅延など種々の原
因によって発光素子の輝度に誤差が発生する場合がある。
【0003】
例えば、各々が発光素子を含む複数の画素回路を共通の配線(以下「データ信号線」と
いう)に接続した構成の発光装置が従来から提案されている。この構成においては、各発
光素子の輝度を時分割にて指定するデータ信号が所定の期間(以下「サンプリング期間」
という)ごとにデータ信号線から各画素回路に順次に取り込まれ、このデータ信号に応じ
て生成された駆動信号の供給によって発光素子の輝度が制御される。この構成において、
データ信号がひとつの発光素子の輝度に応じたレベルを維持する期間と、このデータ信号
に対するサンプリング期間とが時間軸上において完全に合致していれば、各画素回路にデ
ータ信号の所期の区間を取り込んで発光素子の輝度を適正に制御することができる。しか
しながら、データ信号線を伝播するときの波形鈍りなど種々の原因によってデータ信号が
サンプリング期間に対して遅延する場合がある。この場合、ひとつのサンプリング期間内
にてデータ信号のレベルが変動することになるから、発光素子に対して所期の駆動信号を
供給することができず、この結果として発光素子の輝度に誤差が発生し得る。
【0004】
この問題を解決するための技術として、例えば特許文献1や特許文献2には、図16に
示されるように、相前後するサンプリング期間Psに間隔Pdを介挿した構成が開示されて
いる。この構成によれば、各サンプリング期間Psの終点からその直後のサンプリング期
間Psの始点までの間隔Pdにおいてデータ信号Dは何れの画素回路にも取り込まれない。
したがって、図16に「D(遅延あり)」として示されるようにデータ信号Dが時間長Δ
dだけ遅延したとしても、この遅延量Δdが期間Pdの時間長の範囲内である限り、発光
素子の輝度に誤差は発生しない。
【特許文献1】特開平5−241536号公報(図1および図2)
【特許文献2】特開平9−212133号公報(図1および図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この技術においては、データ信号Dが各画素回路に取り込まれる時間長
(サンプリング期間Ps)を間隔Pdの分だけ短縮せざるを得ない。したがって、各画素回
路に対して短い周期にてデータ信号をサンプリングしなければならない場合(例えば、デ
ータ信号線に接続された画素回路の個数が多い場合)には、各画素回路に対してデータ信
号を充分に取り込むことができず、各発光素子の輝度の制御が却って困難になるという問
題がある。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、発光素子の輝度を指
定する信号が画素回路に取り込まれる時間長を短縮することなく各発光素子の輝度の誤差
を防止するという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明に係る画素回路は、駆動信号のレベルに応じた輝度
となる発光素子と、前記発光素子の輝度を指定する駆動信号をデータ信号に応じて生成す
る信号生成回路とを具備し、前記信号生成回路は、データ信号に応じた電位がゲート電極
に供給されることで駆動信号を生成する駆動トランジスタ(例えば図3における駆動トラ
ンジスタ81や図9におけるインバータCb1)と、前記駆動トランジスタから前記発光素
子に供給される駆動信号の波形を鈍らせる(すなわち駆動信号のレベルの単位時間当たり
の変動量を低減する)時定数回路とを含む。
この構成においては、信号生成回路から発光素子に供給される駆動信号の波形が時定数
回路によって鈍化される。したがって、遅延やノイズなど種々の原因によって駆動信号が
短期的に所期値とは相違するレベルに遷移した場合であっても発光素子の輝度に対する影
響は低減される。また、駆動信号の変動の影響が時定数回路によって低減されるため、発
光素子の輝度を指定する信号(データ信号)が画素回路に取り込まれる時間長を短縮する
必要はない。なお、本発明における発光素子とは、電気的な作用によって発光する素子で
ある。例えば、OLED素子のほかに無機ELダイオード素子や発光ダイオード素子など
種々の素子が本発明にいう発光素子の概念に含まれる。
【0007】
駆動信号のレベルが所定の閾値を越えたときに発光する発光素子を備えた画素回路にお
いて、前記時定数回路は、前記信号生成回路に入力されるデータ信号のうち所定の時間長
よりも短い時間長で前記閾値を越える信号が前記信号生成回路に入力される場合に、当該
時定数回路から出力される信号が前記発光素子の前記閾値を下回るレベルに減衰されるよ
うに時定数が決定される。この態様によれば、駆動信号のレベルが短期的に発光素子の閾
値を越えたとしても、この区間のレベルは時定数回路によって当該閾値を下回るレベルに
減衰させられるから、この駆動信号の変動に起因した発光素子の輝度の誤差を確実に防止
することができる。もっとも、本発明において、駆動信号のうち所定値よりも短い時間長
にて閾値を越える総ての区間が当該閾値を下回るレベルに減衰される必要は必ずしもない
。すなわち、時定数回路によって波形が鈍化された後の駆動信号のレベルが閾値を越える
場合であっても、その閾値を越える区間(すなわち発光素子が誤発光する期間)が画素回
路の用途に対して特段の問題とならない程度の時間長となるように駆動信号の波形が鈍化
されていればよい。例えば、本発明の画素回路を利用した表示装置において、実際には駆
動信号の遅延などに起因して発光素子が誤発光したとしても、これが人間の視覚によって
は知覚され得ない程度の時間長であれば、本発明の所期の効果は確かに奏される。
【0008】
本発明の好適な態様において、前記発光素子は第1電極と第2電極とを含み、前記駆動
トランジスタを介して前記第1電極に電気的に接続される電源線を具備し、前記時定数回
路は、前記電源線と前記第1電極との間に配置される。この態様によれば、発光素子の誤
発光を効果的に防止することができる。
【0009】
また、本発明の他の態様においては、発光素子の輝度を指定するデータ信号をデータ信
号線からサンプリング期間にてサンプリングするサンプリング回路(例えば図3における
トランスミッションゲート71)が設けられ、信号生成回路は、サンプリング回路がサン
プリングしたデータ信号に応じて駆動信号を生成する。この構成においては、信号生成回
路が生成した駆動信号のうち、サンプリング期間に対するデータ信号の遅延量よりも短い
時間長にて発光素子の閾値を越える区間が当該閾値を下回るレベルに減衰されるように、
時定数回路の時定数が決定される。ただし、データ信号のサンプリングを信号生成回路が
行なう構成としてもよい。すなわち、この構成における信号生成回路は、例えばデータ信
号線に接続されたスイッチング素子によって構成され、このデータ信号線に供給されるデ
ータ信号をサンプリングすることによって駆動信号として出力する。
【0010】
本発明の望ましい態様において、前記時定数回路は、一方の電極が前記発光素子の一端
に接続されるとともに他方の電極に定電位が印加される容量素子(例えば図3や図11に
示される容量Ca)を含む。この態様によれば、例えば発光素子の抵抗成分や配線抵抗と
当該容量とによってRC時定数回路が構成される。この態様によれば、時定数回路の構成
を簡素化することができる。また、他の態様における時定数回路は、前記電源線と前記第
1電極との間に介在する抵抗を含む。この態様においては、容量(例えば発光素子の第1
電極に接続された容量素子や発光素子に付随する容量)と当該抵抗とによってRC時定数
回路が構成される。
【0011】
また、他の態様においては、前記駆動トランジスタは、相補型である第1トランジスタ
と第2トランジスタとからなる第1反転回路(例えば図9や図12に示されるインバータ
Cb1)であり、前記時定数回路は、相補型である第3トランジスタと第4トランジスタと
からなる第2反転回路(例えば図9や図12に示されるインバータCb2)であり、データ
信号に応じた電位が前記第1反転回路の入力端に供給され、前記第1反転回路の出力端は
前記第2反転回路の入力端に接続され、前記第2反転回路の出力端は前記第1電極に接続
されている。なお、以上の態様における第1トランジスタおよび第2トランジスタは、例
えば図9や図12のインバータCb1におけるトランジスタTr1およびTr2にそれぞれ相当
する。また、第3トランジスタおよび第4トランジスタは、例えば図9や図12のインバ
ータCb2におけるトランジスタTr1およびTr2にそれぞれ相当する。
【0012】
この態様においては、第1反転回路や第2反転回路を構成するトランジスタのゲート容
量や当該インバータの出力インピーダンスによってRC時定数回路が構成される。また、
インバータの段数やこれを構成するトランジスタのサイズ(特にゲート長やゲート幅)を
適宜に選定することによって所望の時定数を持った時定数回路が構成される。もっとも、
時定数回路の構成は以上の例示に限定されない。例えば、信号生成回路をトランジスタに
よって構成した場合には、このトランジスタのゲート容量によって時定数回路を構成して
もよい。この構成においては、トランジスタのゲート幅やゲート長を適宜に選定すること
によって時定数回路の時定数を調整することができる。
【0013】
また、本発明に係る画素回路は発光装置に利用される。この発光装置は、駆動信号のレ
ベルに応じた輝度となる発光素子を各々が含む複数の画素回路と、各発光素子の輝度を時
分割にて指定するデータ信号を伝送するデータ信号線とを具備し、前記複数の画素回路の
各々は、当該画素回路に対応したサンプリング期間にて前記データ信号線からサンプリン
グされるデータ信号に応じたレベルの駆動信号を生成する信号生成回路を含み、前記信号
生成回路は、データ信号に応じた電位がゲート電極に供給されることで駆動信号を生成す
る駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタから前記発光素子に供給される駆動信号の
波形を鈍らせる時定数回路とを含む。この構成によれば、本発明に係る画素回路と同様の
作用により、データ信号が画素回路に取り込まれる期間(サンプリング期間)を短縮する
ことなく各発光素子の輝度の誤差を防止することができる。
【0014】
本発明の望ましい態様に係る発光装置において、前記発光素子は、駆動信号のレベルが
閾値を越えることによって発光し、前記時定数回路は、前記信号生成回路に入力されるデ
ータ信号のうち所定の時間長よりも短い時間長で前記閾値を越える信号が前記信号生成回
路に入力される場合に、当該時定数回路から出力される信号が前記発光素子の前記閾値を
下回るレベルに減衰されるように時定数が決定される。この構成によれば、サンプリング
期間に対するデータ信号の遅延に起因した発光素子の輝度の誤差を確実に防止することが
できる。
【0015】
ところで、データ信号線には配線抵抗や寄生容量が付随する。この抵抗や容量は、デー
タ信号の供給元(例えば図1に示される画像処理回路30やこの画像処理回路30から出
力されたデータ信号が入力される端子)から当該データ信号線に沿って離れるほど大きい
から、これらの抵抗や容量によって定まる時定数はデータ信号の供給元から離れるほど大
きい。したがって、総ての画素回路について時定数回路に等しい時定数を設定すれば、デ
ータ信号の供給元から離れた画素回路ほど大きい時定数のもとで駆動信号が減衰されるこ
とになり、この結果として各発光素子の挙動にばらつきが生じ得る。そこで、本発明の望
ましい態様において、各画素回路に含まれる時定数回路の時定数は、データ信号線のうち
当該画素回路が接続される地点に応じて決定される。例えば、第1の画素回路と、データ
信号線のうちデータ信号の供給元からの経路長が第1の画素回路よりも短い地点に接続さ
れた第2の画素回路とに着目すると、第1の画素回路に含まれる時定数回路の時定数は、
第2の画素回路に含まれる時定数回路の時定数よりも小さい。この構成によれば、データ
信号線に付随する抵抗や容量と時定数回路との双方を考慮した時定数を各画素回路にて均
等化することができるから、各発光素子の挙動のばらつきを抑制することができる。
【0016】
より望ましい態様において、前記各画素回路に含まれる時定数回路の時定数は、前記デ
ータ信号線のうちデータ信号の供給元から当該画素回路が接続される地点までの配線抵抗
および寄生容量と当該画素回路の時定数回路とを含む部分の時定数が総ての画素回路につ
いて略同一となるように画素回路ごとに決定される。この構成によれば、データ信号線に
対する画素回路の位置に拘わらず総ての発光素子の挙動を精度よく一致させることができ
る。ただし、この構成においては、総ての画素回路の各々について時定数を別個に選定し
なければならないため構成が煩雑化する可能性もある。そこで、画素回路のグループごと
に時定数が選定された構成も採用される。すなわち、他の態様に係る発光装置において、
前記各画素回路に含まれる時定数回路の時定数は、前記複数の画素回路のうち第1のグル
ープに属する各画素回路の時定数回路の時定数が、前記データ信号線のうちデータ信号の
供給元からの経路長が前記第1のグループの各画素回路よりも短い地点に接続された第2
のグループに属する各画素回路の時定数回路の時定数よりも小さくなるように、画素回路
のグループごとに決定される。なお、ここでは第1および第2のグループのみが明示され
ているが、複数の画素回路が2つのグループにのみ区分された構成に本発明を限定する趣
旨ではない。複数の画素回路が3つ以上のグループに区分された構成においては、そのな
かから選択されたひとつのグループが本発明にいう第1のグループに該当し、他のひとつ
のグループが本発明にいう第2のグループに該当することになる。
【0017】
本発明に係る発光装置は各種の電子機器に利用される。例えば、光線の照射によって画
像が形成される感光体を備えた画像形成装置において、感光体に光線を照射するヘッド部
(ラインヘッド)として利用される。このような画像形成装置としては、プリンタやコピ
ー機、あるいはこれらの機能を併せ持つ複合機がある。この種の画像形成装置には、複数
の発光素子を線状に配列した発光装置が特に好適である。また、本発明に係る発光装置は
、携帯電話機やパーソナルコンピュータといった各種の電子機器の表示デバイスとしても
利用される。これらの電子機器には、複数の発光素子が面状(マトリクス状)に配列され
た発光装置が特に好適である。すなわち、この発光装置は、複数のサンプリング信号線(
走査線)と複数のデータ信号線との各交差に対応して本発明の画素回路が配置され、複数
のサンプリング信号線の各々をサンプリング期間にて順次に選択する垂直走査回路(例え
ば図8に示されるシフトレジスタ)と、各データ信号線に沿って配列された各発光素子の
輝度を時分割にて指定するデータ信号を各データ信号線に出力する水平走査回路(例えば
図8に示される画像処理回路30)とを具備する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<A−1:第1実施形態>
まず、画像形成装置(例えばプリンタ)のヘッド部に採用される発光装置の形態を説明
する。図1は、この発光装置の構成を示すブロック図である。同図に示されるように、発
光装置は、画素部10とその周辺回路とから構成される。画素部10は、画像形成装置の
ヘッド部(ライン型の光ヘッド)として使用される部分である。この画素部10は、X方
向に配列されたm個の単位回路群G(G1,G2,……,Gm)とその各々に対応するmビ
ットのシフトレジスタ50とを有する(mは自然数)。単位回路群G1ないしGmの各々は
、X方向に配列されたn個の単位回路P(P1,P2,……,Pn)を含む。各単位回路P
は、発光素子たるOLED素子83を有する(図3参照)。
【0019】
一方、周辺回路は、制御回路20と画像処理回路30と電源回路40とを含む。制御回
路20は、開始パルス信号SPとクロック信号CLKとを生成してシフトレジスタ50に
出力する。図2に示されるように、開始パルス信号SPは、主走査期間の始点にてアクテ
ィブレベルとなる信号である。一方、クロック信号CLKは、主走査の基準となる時間を
規定する信号である。図2に示されるように、シフトレジスタ50は、開始パルス信号S
Pをクロック信号CLKに従って順次にシフトすることによってm系統のシフト信号SR
1ないしSRmを生成し、これらのシフト信号SR1ないしSRmに基づいてm系統のサンプ
リング信号SMP1ないしSMPmを出力する。各シフト信号SR(SR1、SR2、……、
SRm)は、クロック信号CLKの1周期に相当する時間長だけアクティブレベル(ロー
レベル)となる信号である。また、図2に示されるように、各シフト信号SRi(iは1
≦i≦mを満たす整数)がアクティブレベルになる期間とその次のシフト信号SRi+1が
アクティブレベルになる期間とは、クロック信号CLKの半周期に相当する時間長だけ重
複する。一方、各サンプリング信号SMPiは、第i番目のシフト信号SRiとその次のシ
フト信号SRi+1との否定論理積に相当する信号である。したがって、サンプリング信号
SMP1ないしSMPmの各々は、クロック信号CLKの半周期に相当するサンプリング期
間Ps(Ps1,Ps2,……,Psm)ごとに順番にアクティブレベル(ハイレベル)となる
。サンプリング信号SMP1ないしSMPmはそれぞれサンプリング信号線Ls1ないしLsm
を介して各単位回路群G1ないしGmの各単位回路Pに出力される。
【0020】
図1に示される画像処理回路30は、ひとつの単位回路群Gに含まれる単位回路Pの総
数に相当するn系統のデータ信号D1ないしDnを生成する。各データ信号Dj(jは1≦
j≦nを満たす自然数)は、m個の単位回路群G1ないしGmの各々に含まれる単位回路P
jのOLED素子83の輝度を単位回路群G1ないしGmの配列の順番に時分割にて指定す
る電圧信号である。本実施形態におけるデータ信号D1ないしDnの各々は、サンプリング
期間Psと等しい時間長の単位期間ごとにハイレベルおよびローレベルの何れかとなる。
ハイレベルのデータ信号DjはOLED素子83の発光を指示する。ローレベルのデータ
信号DjはOLED素子83の消灯を指示する。これらのデータ信号D1ないしDnはデー
タ信号線Ld1ないしLdnに出力される。データ信号線Ldjには、単位回路群G1ないしGm
の各々に含まれる単位回路Pj(合計m個)が共通に接続される。画像処理回路30から
出力されたデータ信号Djは、データ信号線Ldjを介して、各単位回路群G1ないしGmの
第j列目の各単位回路Pjに供給される。
【0021】
図1に示される電源回路40は、シフトレジスタ50などの論理回路にて使用される電
源電位のほかに高位側電源電位VHHelとこれよりも低い低位側電源電位VLLelとを生成す
る。高位側電源電位VHHelは電源線Laに供給され、低位側電源電位VLLelは電源線Lbに
供給される。総ての単位回路Pは電源線LaおよびLbに対して共通に接続されており、こ
れらを介して高位側電源電位VHHelおよび低位側電源電位VLLelの給電を受ける。
【0022】
次に、図3は、単位回路群Giに属する単位回路Pjの構成を示す回路図である。同図に
示されるように、単位回路Pjはトランスミッションゲート71を有する。総ての単位回
路群G1ないしGmに含まれる第j列目の単位回路Pjのトランスミッションゲート71は
その入力端子がデータ信号線Ldjに対して共通に接続される。このトランスミッションゲ
ート71は、シフトレジスタ50からサンプリング信号線Lsiを介して供給されるサンプ
リング信号SMPiに基づいてデータ信号Djをサンプリングするスイッチング素子である
。すなわち、トランスミッションゲート71は、サンプリング信号SMPiとその論理レ
ベルをインバータ72によって反転した信号とがアクティブレベルとなる期間にてオン状
態となってデータ信号Djを単位回路Pjに取り込む。
【0023】
トランスミッションゲート71の出力端子にはラッチ回路73が接続される。このラッ
チ回路73は、出力端子がトランスミッションゲート71に接続されたクロックドインバ
ータ731と、入力端子がクロックドインバータ731の出力端子に接続されるとともに
出力端子がクロックドインバータ731の入力端子に接続されたインバータ732とを有
する。クロックドインバータ731の各制御端子には、シフトレジスタ50にて生成され
たシフト信号SRiとその論理レベルをインバータ74によって反転させた信号とが供給
される。このクロックドインバータ731は、シフト信号SRiがアクティブレベル(ロ
ーレベル)を維持する期間にてハイインピーダンス状態となり、シフト信号SRiが非ア
クティブレベル(ハイレベル)を維持する期間においてはインバータとして機能する。
【0024】
ラッチ回路73の出力端子(インバータ732の出力端子)にはインバータ75の入力
端子が接続される。このインバータ75の出力端子はノードQを介して画素回路8aに接
続される。画素回路8aは、pチャネル型のトランジスタ(以下「駆動トランジスタ」と
いう)81とOLED素子83とキャパシタCaとを含む。OLED素子83は、有機E
L(ElectroLuminescent)材料からなる発光層を陽極(第1電極)と陰極(第2電極)と
の間に介在させた発光素子である。
【0025】
駆動トランジスタ81のソース電極は高位側電源電位VHHelが供給される電源線Laに
接続され、そのドレイン電極はOLED素子83の陽極に接続される。OLED素子83
の陰極は低位側電源電位VLLelが供給される電源線Lbに接続される。一方、キャパシタ
CaはOLED素子83に対して並列に配置される。すなわち、キャパシタCaの一方の電
極aはOLED素子83の陽極に接続され、他方の電極bはOLED素子83の陰極(あ
るいは電源線Lb)に接続される。
【0026】
図4は、OLED素子83に印加される電圧とOLED素子83に流れる電流との関係
を示すグラフであり、図5は、OLED素子83に流れる電流とOLED素子83の輝度
(発光量)との関係を示すグラフである。図4および図5に示されるように、OLED素
子83に印加される電圧が閾値Vthを下回る場合には電流がゼロとなるからOLED素子
83は消灯する(輝度がゼロとなる)。一方、電圧が閾値Vthを越えると、その電圧に応
じた電流がOLED素子83に流れ、この結果としてOLED素子83は電流に比例した
輝度にて発光する。図3に示される構成において、ノードQがローレベルに維持されると
駆動トランジスタ81がオン状態となるから、OLED素子83には閾値Vthを越える電
圧が印加されて発光する。一方、ノードQがハイレベルに維持されると駆動トランジスタ
81はオフ状態となるから、OLED素子83に印加される電圧は閾値Vthを下回り、こ
の結果としてOLED素子83は消灯する。以下では、OLED素子83に印加される電
圧を表わす信号を「駆動信号Sc」と表記する。
【0027】
次に、各単位回路Pの動作を説明する。なお、以下では単位回路群G1に属する単位回
路P1に特に着目して動作を説明し、その他の単位回路Pの動作の説明を兼ねるものとす
る。
【0028】
まず、図2に示される時刻t1から時刻t2においては、シフト信号SR1がローレベル
を維持するため、クロックドインバータ731はハイインピーダンス状態となる。また、
サンプリング信号SMP1はローレベルであるため、トランスミッションゲート71はオ
フ状態となる。次に、時刻t2から時刻t3においては、シフト信号SR1がローレベルを
維持するとともにサンプリング信号SMP1はハイレベルとなるから、クロックドインバ
ータ731はハイインピーダンス状態を維持する一方、トランスミッションゲート71は
オン状態となる。したがって、その時点にてデータ信号線Ld1に供給されているデータ信
号D1がトランスミッションゲート71を介して単位回路P1に取り込まれる。
【0029】
次いで、時刻t3以後においては、シフト信号SR1がハイレベルとなるからクロックド
インバータ731はインバータとして機能し始める。また、サンプリング信号SMP1は
オフ状態となるからトランスミッションゲート71はオフ状態に遷移する。したがって、
データ信号D1の取り込みは終了し、以後はデータ信号D1の次回の取り込みが開始される
までデータ信号D1の論理レベルがラッチ回路73に保持される。
【0030】
ここで、データ信号D1が所期のタイミングから遅延していないとすれば、図2に「D1
(遅延なし)」として示されるように、このデータ信号D1はサンプリング信号SMP1な
いしSMPmのレベルがアクティブレベルとなるサンプリング期間Psの全区間にわたって
各OLED素子83の輝度に応じたレベルを維持する。しかしながら、図2に「D1(遅
延あり)」として示されるように、データ信号D1にはデータ信号線Ld1における電圧降
下や波形の鈍りといった種々の原因によって時間長Δdの遅延が生じ得る。いま、単位回
路群G1および単位回路群G3の各々に属する単位回路P1のOLED素子83を発光させ
、単位回路群G2に属する単位回路P1のOLED素子83を消灯させる場合を想定すると
、データ信号D1の遅延に起因してノードQの電圧は以下のように変動する。
【0031】
まず、単位回路群G1の単位回路P1には、サンプリング期間Ps1にてデータ信号D1が
取り込まれる。このデータ信号D1は、サンプリング期間Ps1の始点から時間長Δdだけ
遅延したタイミングにてローレベルに遷移するが、その論理レベルがラッチ回路73に保
持されるサンプリング期間Ps1の終点においてもローレベルを維持するから、当該単位回
路P1のノードQの電圧は、サンプリング期間Ps1の始点よりも時間長Δdだけ遅れたタ
イミングからデータ信号D1が次回に取り込まれるまでローレベルを維持する。したがっ
て、単位回路群G1に属する単位回路P1のOLED素子83は、データ信号D1によって
指定された通り、所期の時間長にわたって継続的に点灯する。単位回路群G3に属する第
1列目の単位回路P1についても同様である。
【0032】
一方、単位回路群G2に属する単位回路P1には、サンプリング信号SMP2がアクティ
ブレベルとなるサンプリング期間Ps2にてデータ信号D1が取り込まれる。データ信号D1
に遅延がないとすれば、サンプリング期間Ps2の全区間にわたって、データ信号D1はO
LED素子83の消灯を指示するハイレベルを維持する。しかしながら、上述したように
データ信号D1は時間長Δdだけ遅延しているから、サンプリング期間Ps2の始点から時
間長Δdが経過するまでの期間Tdにおいて、データ信号D1はローレベル(すなわち単位
回路群G1に属する単位回路P1のOLED素子83について点灯を指示するレベル)を維
持し、この期間Tdの経過後に本来のハイレベルに遷移する。サンプリング期間Ps2にお
いてはラッチ回路73のクロックドインバータ731がインバータとして機能しているか
ら、期間TdにおいてノードQはローレベルとなって画素回路8aの駆動トランジスタ81
はオン状態となる。
【0033】
ここで、キャパシタCaが配置されていない従来の構成においては、期間Tdにおいて駆
動トランジスタ81がオン状態に遷移すると、図6に示されるように駆動信号Scの電圧
(すなわちOLED素子83に印加される電圧)は閾値Vthを越えて高位側電源電位VHH
elに到達する。したがって、本来ならば消灯が維持されるべき単位回路群G2のOLED
素子83は誤発光することになる。これに対し、本実施形態においては、OLED素子8
3に並列に配置されたキャパシタCaと当該OLED素子83の抵抗成分や配線抵抗とに
よってRC時定数回路が構成される。したがって、図7に示されるように、期間Tdの始
点における駆動信号Scの立ち上がりは鈍化される。さらに、期間Tdの終点においてノー
ドQがローレベルに遷移することによって駆動トランジスタ81はオフ状態となるから、
駆動信号Scのレベルは閾値Vthに到達する前に期間Tdの終点にて低下し始める。したが
って、駆動信号Scのレベルは期間Tdの全区間にわたって閾値Vthを越えず、この結果と
してOLED素子83の誤発光は発生しない。このように、本実施形態におけるキャパシ
タCaは、駆動信号Scの波形を鈍らせてOLED素子83の誤発光を防止するための時定
数回路として機能する。したがって、キャパシタCaの静電容量は、データ信号D1の遅延
量Δdの最大値に相当する期間Tdの全区間にわたって駆動信号ScのレベルがOLED素
子83の閾値Vthを越えない程度に駆動信号Scの波形が鈍化されるように選定されるこ
とが望ましい。
【0034】
本実施形態によれば、駆動信号Scの波形がキャパシタCaによって鈍化されるから、デ
ータ信号D1の遅延を原因として駆動トランジスタ81が一時的にオン状態となっても、
これに起因したOLED素子83の誤発光は回避される。したがって、発光装置をヘッド
部に採用した画像形成装置においては、感光体に対する露光量を精度よく制御して高品位
の画像を形成することができる。また、相前後するサンプリング期間Psに間隔を介挿す
る必要はないから、データ信号Djをサンプリングする周期が短い場合であっても、各単
位回路Pjに対してデータ信号Djを充分に取り込むことが可能となる。さらに、本実施形
態によれば、キャパシタCaを配置するという極めて簡易な構成によってこれらの効果を
奏することができる。
【0035】
以上に説明したように、本実施形態の画素回路8aは、OLED素子83(発光素子)
と、OLED素子83の陽極に電気的に接続される電源線Laと、電源線Laと陽極との間
に介在してOLED素子83の駆動電流を制御するpチャネル型の駆動トランジスタ81
とを含む。一方、サンプリング信号線Lsiから駆動トランジスタ81のゲート電極までの
各要素(トランスミッションゲート71、インバータ72、ラッチ回路73およびインバ
ータ75)はサンプリング回路として機能する。このサンプリング回路は、サンプリング
信号線Lsiを介して供給されるサンプリング信号SMPiに基づいてデータ信号線Ldjか
らデータ信号Djをサンプリングし、駆動トランジスタ81のゲート電極にデータ信号Dj
に応じた電位を供給する手段である。
【0036】
本実施形態に例示したように、RC時定数回路は、電源線LaとOLED素子83の陽
極(第1電極)との間に配置されることが望ましい。換言すると、サンプリング回路(特
に最後段に位置するインバータ75)から駆動トランジスタ81のゲート電極までの区間
にRC時定数回路は介在しない。この構成によれば、例えばサンプリング回路と駆動トラ
ンジスタ81との間にRC時定数回路が介在する構成と比較して、各単位回路Pjに対し
て確実かつ充分にデータ信号Djを取り込むことが可能となる。そして、本実施形態のよ
うにRC時定数回路が電源線LaとOLED素子83の陽極との間に介在する構成によれ
ば、以上に説明したように、データ信号Djの遅延に起因して期間Tdで駆動トランジスタ
81がオン状態に遷移したとしても、RC時定数回路によってOLED素子83の誤発光
を未然に防止することができる。
【0037】
<B:第2実施形態>
次に、図8を参照して、各種の電子機器の表示装置として採用される発光装置の形態を
説明する。なお、本実施形態のうち第1実施形態と同様の要素については共通の符号を付
してその説明を適宜に省略する。
【0038】
同図に示されるように、この発光装置は、X方向に延在してシフトレジスタ50の各出
力段に接続されたm本のサンプリング信号線(走査線)Ls1ないしLsmと、Y方向に延在
して画像処理回路30の各出力段に接続されたn本のデータ信号線Ld1ないしLdnとを有
する。サンプリング信号線Ls1ないしLsmの各々とデータ信号線Ld1ないしLdnの各々と
の交差には単位回路Pが配置される。したがって、これらの単位回路Pは、X方向および
Y方向にわたってm行n列のマトリクス状に配列される。各単位回路Pの構成や各周辺回
路の機能や作用は第1実施形態と同様である。
【0039】
データ信号線Ld1ないしLdnの各々に沿ってY方向に配列するm個の単位回路Pの各々
は、赤色、緑色および青色の何れかに発光するOLED素子83を有する。例えば、第1
列目の各単位回路Pは赤色のOLED素子83を備え、第2列目の各単位回路Pは緑色の
OLED素子83を備え、第3列目の各単位回路Pは青色のOLED素子83を備えると
いった具合である。電源回路40は、低位側電源電位VLLelのほかに、赤色に対応する列
の各単位回路Pに供給される高位側電源電位VHHel[R]と、緑色に対応する列の各単位回
路Pに供給される高位側電源電位VHHel[G]と、青色に対応する列の各単位回路Pに供給
される高位側電源電位VHHel[B]とを生成する。
【0040】
以上の構成において、シフトレジスタ50からサンプリング信号線Lsiに供給されるサ
ンプリング信号SMPiがサンプリング期間Psiにてアクティブレベルに遷移すると、第
i行目に属するn個の単位回路Pのトランスミッションゲート71が一斉にオン状態とな
る。画像処理回路30から各データ信号線Ld1ないしLdnの各々に供給されるデータ信号
D1ないしDnは、このサンプリング期間Psiにてトランスミッションゲート71から各単
位回路Pに取り込まれる。本実施形態の単位回路Pは、図3に例示したようにOLED素
子83に対して並列に配置されたキャパシタCaを含んでいるから、データ信号Djがサン
プリング期間Psiに対して遅延したとしても、この遅延に起因したOLED素子83の誤
発光は防止される。したがって、各OLED素子83の輝度を高精度に制御して良好な表
示品位が実現される。なお、ここではOLED素子83を制御するための駆動トランジス
タ81が単位回路Pに配置されたアクティブマトリクス方式の発光装置を例示したが、こ
のようなスイッチング素子を持たないパッシブマトリクス方式の発光装置にも本発明は適
用される。
【0041】
<C:第3実施形態>
次に、図9ないし図12を参照して、単位回路Pの他の態様を例示する。なお、以下の
各態様のうち第1および第2実施形態と同様の要素については共通の符号を付してその説
明を適宜に省略する。
【0042】
<C−1:第1の態様>
図9は、本実施形態の第1の態様に係る単位回路P(Pj)の構成を示す回路図である
。同図に示されるように、本態様に係る単位回路Pの画素回路8bは、図3に示した駆動
トランジスタ81およびキャパシタCaに代えて、2個のインバータCb(Cb1およびCb2
)を有する。各インバータCbは、各々のドレイン電極が相互に接続されたpチャネル型
のトランジスタTr1とnチャネル型のトランジスタTr2とを含む。トランジスタTr1のソ
ース電極は電源線Laに接続され、トランジスタTr2のソース電極は電源線Lbに接続され
る。また、インバータCb1の入力端子はインバータ75の出力端子に接続され、インバー
タCb1の出力端子はインバータCb2の入力端子に接続される。インバータCb2の出力端子
はOLED素子83の陽極に接続される。
【0043】
本態様においては、トランジスタTr1およびTr2の各々のゲート容量と出力インピーダ
ンスとによって時定数回路が構成される。したがって、インバータCb1とインバータCb2
とは、データ信号Djに応じた駆動信号Scを生成する手段(第1実施形態や第2実施形態
における駆動トランジスタ81)として機能するとともに、この駆動信号Scの波形を鈍
化する時定数回路としても機能する。駆動信号ScとインバータCb1およびCb2との関係
を便宜的に区分すると、データ信号Djに応じた駆動信号Scを生成する機能がインバータ
Cb1(もしくはインバータCb1の部分であるトランジスタTr1またはTr2)によって実現
され、この駆動信号Scの波形を鈍化する機能がインバータCb2(あるいはインバータCb
1およびCb2の双方)によって実現されるということができる。
【0044】
図10の部分(a)に示されるように、インバータCb1の入力端子の電位は期間Tdに
おける立ち上がりおよび立ち下りが急峻な矩形波となるが、インバータCb1から出力され
る駆動信号Scは、図10の部分(b)に示されるように、論理レベルが反転するともに
波形が鈍化した波形となる。そして、インバータCb2から出力される駆動信号Scは、図
10の部分(c)に示されるように、さらに波形が鈍り、期間Tdの全区間にわたってO
LED素子83の閾値Vthを下回る信号となる。したがって、データ信号Djの遅延に起
因して期間TdにてノードQがローレベルに遷移しても、第1実施形態と同様にOLED
素子83の誤発光は回避される。このように、本態様においてはインバータCb(特にイ
ンバータCb2)が時定数回路として機能する。この時定数回路の時定数は、画素回路8b
におけるインバータCbの総数や各インバータCbにおけるトランジスタTr1およびTr2の
特性(ゲート長やゲート幅)を適宜に選定することによって調整される。
【0045】
<C−2:第2の態様>
図11は、本実施形態の第2の態様に係る単位回路P(単位回路群Giに属する第j列
目の単位回路Pj)の構成を示す回路図である。同図に示されるように、本態様に係る単
位回路Pは、図3と同様の画素回路8aに加えてトランジスタ77と保持容量78とを有
する。トランジスタ77はnチャネル型のトランジスタであり、ソース電極がデータ信号
線Ldjに接続されるとともにドレイン電極が画素回路8aの駆動トランジスタ81のゲー
ト電極に接続される。このトランジスタ77のゲート電極にはサンプリング信号線Lsiか
らサンプリング信号SMPiが供給される。一方、保持容量78は、一端が駆動トランジ
スタ81のゲート電極に接続されるとともに他端が電源線La(あるいは他の電源線)に
接続された容量である。画素回路8aは、図3の構成と同様に、OLED素子83に対し
て並列に配置されたキャパシタCaを有する。
【0046】
この構成において、サンプリング信号SMPiの供給によってトランジスタ77がオン
状態に遷移すると、その時点にてデータ信号線Ldjに供給されているデータ信号Djの論
理レベルが駆動トランジスタ81のゲート電極に印加される。また、この論理レベルは保
持容量78によって保持されるから、サンプリング信号SMPiが非アクティブレベルと
なってトランジスタ77がオフ状態に遷移した後にも、駆動トランジスタ81はその直前
のサンプリング期間Psにて単位回路Pに取り込まれたデータ信号Djに応じた状態に維持
される。本態様においても、第1実施形態と同様に、時定数回路として機能するキャパシ
タCaが画素回路8aに設けられているから、データ信号Djの遅延に起因したOLED素
子83の誤発光は防止される。
【0047】
<C−3:第3の態様>
図12は、第3の態様に係る単位回路Pの構成を示す回路図である。同図に示されるよ
うに、本態様に係る単位回路Pは、キャパシタCaを有する画素回路8a(図11)の代わ
りに、2個のインバータCb1およびCb2を有する画素回路8b(図9)を含む。第1の態
様について説明したように、本態様によっても、データ信号Djの遅延に起因したOLE
D素子83の誤発光は防止される。
【0048】
<C−4:その他の態様>
本発明に係る単位回路Pの構成(特に時定数回路の構成)は以上に例示したものに限ら
れない。例えば、以上に説明した各態様の時定数回路を適宜に組み合わせて採用してもよ
い。すなわち、例えばキャパシタCaおよびインバータCbの双方を単位回路Pに設けた構
成も採用される。また、駆動トランジスタ81とOLED素子83との間に抵抗が介挿さ
れた構成も採用される。この構成においては、駆動トランジスタ81とOLED素子83
との間に介在する抵抗と、OLED素子83の容量成分や配線の寄生容量とによって、駆
動信号Scの波形を鈍らせる時定数回路が構成される。したがって、この抵抗の抵抗値は
、駆動信号Scのレベルが期間TdにてOLED素子83の閾値Vthを越えないように選定
される。また、単位回路Pの構成も任意に変更される。すなわち、データ信号線Ldjから
取り込まれたデータ信号Djに応じた駆動信号ScがOLED素子83に供給される構成で
あれば足り、その他の要素の構成の如何は不問である。
【0049】
なお、以上の各形態においては、説明の便宜のために、画素回路8(8aまたは8b)と
データ信号線Ldjからデータ信号Djを取り込む手段(図3のトランスミッションゲート
71や図11のトランジスタ77)とデータ信号Djを保持する手段(図3のラッチ回路
73や図11の保持容量78)とを含む部分を併せて単位回路Pjと表記した。しかしな
がら、各形態の画素回路8(8aまたは8b)とデータ信号Djを取り込む手段やこれを保
持する手段とを含む部分を本発明の画素回路と把握してもよい。
【0050】
<D:第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る発光装置の構成を説明する。なお、本実施形態のう
ち第1ないし第3実施形態と同様の要素については共通の符号を付してその説明を適宜に
省略する。
【0051】
図13は、各実施形態に係る発光装置のうち1本のデータ信号線Ldjとこれに共通に接
続されたm個の単位回路Pjとを抽出した図である。同図に示されるように、データ信号
線Ldjには、それ自身の配線抵抗Rが付随するとともに他の要素と容量的に結合して寄生
容量Cが付随する。これらの配線抵抗Rや寄生容量Cに起因した時定数は、データ信号D
jの供給元である画像処理回路30から当該データ信号線Ldjに沿って遠ざかった位置ほ
ど大きい。したがって、総ての単位回路Pjの画素回路8(8aまたは8b)における時定
数回路(キャパシタCaやインバータCb)について等しい時定数を設定すれば、画像処理
回路30から離間した単位回路Pjの駆動信号Scほど時定数に起因した鈍りの程度が大き
くなり、この結果として各OLED素子83の輝度がデータ信号線Ldjに沿ってばらつく
という問題が生じ得る。そこで、本実施形態においては、データ信号線Ldjのうち画像処
理回路30に近い位置に接続された単位回路Pj(画素回路8)における時定数回路の時
定数が、これよりも画像処理回路30からみて遠い位置に接続された単位回路Pj(画素
回路8)の時定数回路の時定数よりも大きい数値に設定される。より具体的には、各単位
回路群Giに属する単位回路Pjの時定数回路の時定数τiは、
τ1>τ2>……>τm
という関係を満たすように選定される。時定数τiがキャパシタCaの静電容量やインバ
ータCbの総数(あるいはトランジスタTr1およびTr2の特性)によって決定されること
は上述したとおりである。この構成によれば、配線抵抗Rと寄生容量Cに起因した駆動信
号Scの鈍りの程度と、単位回路Pの時定数回路による駆動信号Scの鈍りの程度との総和
を、総ての単位回路Pjについて略同一に近づけることができるから、データ信号線Ldj
に沿った輝度のばらつきを抑制することができる。
【0052】
なお、ここでは総ての単位回路Pjの各々について個別に時定数が選定された構成を例
示したが、単位回路Pjのグループごとに時定数が選定される構成としてもよい。例えば
、共通のデータ信号線Ldjに接続されたm個の単位回路PjをX方向の中央にて2つのグ
ループに区分し、このうち画像処理回路30に近い側に位置するグループの各単位回路P
jの時定数τaと、これよりも遠い側に位置するグループの各単位回路Pjの時定数τbとが

τa>τb
という関係を満たすように、各単位回路Pjにおける時定数回路の時定数がグループご
とに選定された構成としてもよい。なお、ここではm個の単位回路Pjを2つのグループ
に区分したが、グループの総数やその区分の仕方は任意である。例えば、m個の単位回路
Pjを3つ以上のグループに区分し、画像処理回路30に近いグループの単位回路Pjほど
時定数回路の時定数が小さくなるようにしてもよい。
【0053】
<E:その他の態様>
図3および図11においてはキャパシタCaの電極bがOLED素子83の陰極に接続
された構成を例示したが、この電極bの接続先は任意に変更される。すなわち、電極bに
略一定の電位が印加される構成であればよい。また、単位回路Pに含まれる駆動トランジ
スタ81(あるいは図11および図12のトランジスタ77)の導電型は任意に変更され
る。
【0054】
各実施形態においてはOLED素子15を利用した発光装置を例示したが、これ以外の
発光素子を利用した発光装置にも本発明は適用される。例えば、無機EL素子を利用した
発光装置、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)、表面導電型電
子放出ディスプレイ(SED:Surface-conduction Electron-emitter Display)、弾
道電子放出ディスプレイ(BSD:Ballistic electron Surface emitting Display
)、あるいは発光ダイオードを利用した表示装置など各種の発光装置にも本発明が適用さ
れる。
【0055】
<F:電子機器>
各実施形態に例示した発光装置は各種の電子機器に使用される。本発明に係る電子機器
の一例である画像形成装置の構成を以下に説明する。
【0056】
図14は、各実施形態に係る発光装置を利用した画像形成装置の構成を示す縦断側面図
である。この画像形成装置は、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド20K、2
0C、20M、20Yを、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)1
20K、120C、120M、120Yの露光位置にそれぞれ配置したものであり、タン
デム方式の画像形成装置として構成されている。有機ELアレイ露光ヘッド20K、20
C、20M、20Yは、各実施形態に係る発光装置の画素部10によって構成される。
【0057】
図14に示すように、この画像形成装置は、駆動ローラ121と従動ローラ132が設
けられており、図示矢印方向へ循環駆動される中間転写ベルト130を備えている。この
中間転写ベルト130に対して所定間隔で配置された4個の像担持体としての外周面に感
光層を有する120K、120C、120M、120Yが配置される。符号の後に付加さ
れたK、C、M、Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味し、それぞれ黒、
シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示す。他の部材についても同様であ
る。感光体120K、120C、120M、120Yは、中間転写ベルト130の駆動と
同期して回転駆動される。
【0058】
各感光体120(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体120(K、C、M、
Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電器)211(K、C、M、Y)と
、この帯電手段211(K、C、M、Y)により一様に帯電させられた外周面を感光体1
20(K、C、M、Y)の回転に同期して順次ライン走査する本発明の上記のような有機
ELアレイ露光ヘッド20(K、C、M、Y)が設けられている。
また、この有機ELアレイ露光ヘッド20(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に
現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置214(K、C、M、
Y)を有している。
【0059】
ここで、各有機ELアレイ露光ヘッド20(K、C、M、Y)は、有機ELアレイ露光
ヘッド20(K、C、M、Y)のアレイ方向が感光体ドラム120(K、C、M、Y)の
母線に沿うように設置される。そして、各有機ELアレイ露光ヘッド20(K、C、M、
Y)の発光エナルギーピーク波長と、感光体120(K、C、M、Y)の感度ピーク波長
とは略一致するように設定されている。
【0060】
現像装置214(K、C、M、Y)は、例えば、現像剤として非磁性一成分トナーを用
いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラヘ搬送し、現像ローラ表
面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体120(K
、C、M、Y)に接触あるいは押厚させることにより、感光体120(K、C、M、Y)
の電位レベルに応じて現像剤を付着させることによりトナー像として現像するものである

【0061】
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼン
タ、イエローの各トナー像は、中間転写ベルト130上に順次一次転写され、中間転写ベ
ルト130上で順次重ね合わされてフルカラーとなる。ピックアップローラ203によっ
て、給紙カセット201から1枚ずつ給送された記録媒体202は、二次転写ローラ13
6に送られる。中間転写ベルト130上のトナー像は、二次転写ローラ136において用
紙等の記録媒体202に二次転写され、定着部である定着ローラ対137を通ることで記
録媒体202上に定着される。この後、記録媒体202は、排紙ローラ対138によって
、装置上部に形成された排紙トレイ上へ排出される。
このように、図14の画像形成装置は、書き込み手段として有機ELアレイを用いてい
るので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも、装置の小型化を図ることができる。
【0062】
次に、本発明に係る画像形成装置に係る他の実施の形態について説明する。
図15は、画像形成装置の縦断側面図である。図15において、画像形成装置には主要
構成部材として、ロータリ構成の現像装置161、像担持体として機能する感光体ドラム
165、有機ELアレイが設けられている露光ヘッド167、中間転写ベルト169、用
紙搬送路174、定着器の加熱ローラ172、給紙トレイ178が設けられている。露光
ヘッド167は上述した各実施形態に係る発光装置の画素部10によって構成されている

【0063】
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として反時計回り方向に
回転する。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、
シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられてい
る。現像ローラ162a〜162dおよびトナー供給ローラ163a〜163dは、4色
の各像形成ユニットに各々配置されている。また、規制フレード164a〜164dによ
ってトナーは所定の厚さに規制される。
【0064】
感光体ドラム165は、帯電器168によって帯電され、図示を省略した駆動モータ、
例えばステップモータにより現像ローラ162aとは逆方向に駆動される。中間転写ベル
ト169は、従動ローラ170bと駆動ローラ170a間に張架されており、駆動ローラ
170aが感光体ドラム165の駆動モータに連結されて、中間転写ベルトに動力を伝達
している。当該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは
感光体ドラム165とは逆方向に回動される。
【0065】
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており
、用紙を搬送する。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、
二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写される。二次転写ローラ171は、クラ
ッチにより中間転写ベルト169に離当接され、クラッチオンで中間転写ベルト169に
当接されて用紙に画像が転写される。
【0066】
上記のようにして画像が転写された用紙は、次に、定着ヒータを有する定着器で定着処
理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。定
着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印F方向に進行する。この状態
から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬
送路175を矢印G方向に進行する。用紙は、給紙トレイ178から、ピックアップロー
ラ179によって1枚ずつ取り出されるようになっている。
用紙搬送路において、搬送ローラを駆動する駆動モータは、例えば低速のブラシレスモ
ークが用いられる。また、中間転写ベルト169は色ずれ補正などが必要となるのでステ
ップモータが用いられている。これらの各モータは、図示を省略している制御手段からの
信号により制御される。
【0067】
図の状態で、イエロー(Y)の静電潜像が感光体ドラム165に形成され、現像ローラ
162aに高電圧が印加されることにより、感光体ドラム165にはイエローの画像が形
成される。イエローの裏側および表側の画像がすべて中間転写ベルト169に担持される
と、現像ロータリ161aが90度回転する。
中間転写ベルト169は1回転して感光体ドラム165の位置に戻る。次にシアン(C
)の2面の画像が感光体ドラム165に形成され、この画像が中間転写ベルト169に担
持されているイエローの画像に重ねて担持される。以下、同様にして現像ロータリ161
の90度回転、中間転写ベルト169への画像担持後の1回転処理が繰り返される。
【0068】
4色のカラー画像担持には中間転写ベルト169は4回転して、その後に更に回転位置
が制御されて二次転写ローラ171の位置で用紙に画像を転写する。給紙トレイ178か
ら給紙された用紙を搬送路174で搬送し、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に
カラー画像を転写する。片面に画像が転写された用紙はのように排紙ローラ対176で反
転されて、搬送径路で待機している。その後、用紙は適宜のタイミングで二次転写ローラ
171の位置に搬送されて、他面にカラー画像が転写される。ハウジング180には、排
気ファン181が設けられている。
【0069】
ところで、以上の各態様に係る画像形成装置においては、OLED素子83から像担持
体(例えば図14の感光体ドラム120(K、C、M、Y)や図15の感光体ドラム16
5)に照射される光量が所定の閾値Lthを越えたときに感光して静電潜像が形成される。
ここで、像担持体に対して閾値Lthに相当する光量を照射するためにOLED素子83に
印加されるべき電圧Vth1がOLED素子83の閾値Vthよりも大きい場合には、データ
信号Djの遅延に起因して駆動信号Scのレベルが電圧Vthを超えることによりOLED素
子83が発光したとしても、このレベルが電圧Vth1以下であれば(すなわち像担持体に
照射される光量が閾値Lthを下回る光量であれば)、像担持体に形成される静電潜像にデ
ータ線Djの遅延の影響は現れない。したがって、本発明に係る発光装置を光書込み型の
画像形成装置に採用した場合には、期間Tdにおける駆動信号Scのレベルが、像担持体を
感光させるための閾値Vth1を下回るレベル(閾値Vthを越えるレベルでもよい)に減衰
されるように時定数回路の時定数が選定された構成としてもよい。
【0070】
また、上述した発光装置を画像読取装置に適用してもよい。この画像読取装置は、対象
物に光線を照射する発光部と、対象物によって反射された光線を読み取って画像信号を出
力する読み取り部とを備え、上述した発光装置を発光部に用いたことを特徴とする。ここ
で、発光部が移動して読み取り部が固定であってもよいし、発光部と読み取り部が一体と
なって移動するもであってもよい。後者の場合には、読み取り部をTFTで構成し、読み
取り部と発光部を1枚の基板上に形成してもよい。このような画像読取装置としては、ス
キャナやバーコードリーダーが該当する。
【0071】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器は画像形成装置や画像読取装置に限
定されない。例えば、各種の電子機器における表示デバイスとして各実施形態に係る発光
装置を利用してもよい。このような電子機器としては、パーソナルコンピュータ、携帯電
話機、携帯型情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメ
ラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパ
ー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ
、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
これらの電子機器には、第2実施形態として説明したように複数の単位回路Pを面状に配
列した発光装置が好適に採用される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発光装置の構成を示すブロック図である。
【図2】発光装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】ひとつの単位回路の構成を示す回路図である。
【図4】従来の単位回路においてOLED素子が誤発光することを説明するための図である。
【図5】本実施形態の単位回路によって誤発光が防止されることを説明するための図である。
【図6】OLED素子の電圧と電流との関係を示すグラフである。
【図7】OLED素子の電流と輝度(発光量)との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る発光装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る単位回路の構成を示す回路図である。
【図10】駆動信号の変化の様子を示す図である。
【図11】他の態様に係る単位回路の構成を示す回路図である。
【図12】他の態様に係る単位回路の構成を示す回路図である。
【図13】本発明の第4実施形態における各単位回路の時定数について説明するための図である。
【図14】画像形成装置の構成を示す縦断側面図である。
【図15】他の態様に係る画像形成装置の構成を示す縦断側面図である。
【図16】従来の構成における問題点を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0073】
10……画素部、20……制御回路、30……画像処理回路、40……電源回路、50…
…シフトレジスタ、G(G1,G2,……,Gm)……単位回路群、P(P1,P2,……,
Pn)……単位回路、71……トランスミッションゲート、73……ラッチ回路、8(8a
,8b)……画素回路、81……トランジスタ、83……OLED素子、Ca……キャパシ
タ、Cb(Cb1,Cb2)……インバータ、Ld1,Ld2,……,Ldn……データ信号線、Ls
1,Ls2,……,Lsm……サンプリング信号線、La,Lb……電源線、SR(SR1,SR
2,……SRm)……シフト信号、SMP(SMP1,SMP2,……,SMPm)……サン
プリング信号、D(D1,D2,……,Dn)……データ信号、Sc……駆動信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号のレベルに応じた輝度となる発光素子と、
前記発光素子の輝度を指定する駆動信号をデータ信号に応じて生成する信号生成回路と
を具備し、
前記信号生成回路は、データ信号に応じた電位がゲート電極に供給されることで駆動信
号を生成する駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタから前記発光素子に供給される
駆動信号の波形を鈍らせる時定数回路とを含む
ことを特徴とする画素回路。
【請求項2】
前記発光素子は、駆動信号のレベルが閾値を越えることによって発光し、
前記時定数回路は、前記信号生成回路に入力されるデータ信号のうち所定の時間長より
も短い時間長で前記閾値を越える信号が前記信号生成回路に入力される場合に、当該時定
数回路から出力される信号が前記発光素子の前記閾値を下回るレベルに減衰されるように
時定数が決定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の画素回路。
【請求項3】
前記発光素子は第1電極と第2電極とを含み、
前記駆動トランジスタを介して前記第1電極に電気的に接続される電源線を具備し、
前記時定数回路は、前記電源線と前記第1電極との間に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の画素回路。
【請求項4】
前記時定数回路は、一方の電極が前記発光素子の第1電極に接続されるとともに他方の
電極に略一定の電位が印加される容量素子を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の画素回路。
【請求項5】
前記時定数回路は、前記電源線と前記第1電極との間に介在する抵抗を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の画素回路。
【請求項6】
前記発光素子は第1電極と第2電極とを含み、
前記駆動トランジスタは、相補型である第1トランジスタと第2トランジスタとからな
る第1反転回路であり、
前記時定数回路は、相補型である第3トランジスタと第4トランジスタとからなる第2
反転回路であり、
データ信号に応じた電位が前記第1反転回路の入力端に供給され、前記第1反転回路の
出力端は前記第2反転回路の入力端に接続され、前記第2反転回路の出力端は前記第1電
極に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の画素回路。
【請求項7】
駆動信号のレベルに応じた輝度となる発光素子を各々が含む複数の画素回路と、
各発光素子の輝度を時分割にて指定するデータ信号を伝送するデータ信号線とを具備し

前記複数の画素回路の各々は、
当該画素回路に対応したサンプリング期間にて前記データ信号線からサンプリングされ
るデータ信号に応じたレベルの駆動信号を生成する信号生成回路を含み、
前記信号生成回路は、データ信号に応じた電位がゲート電極に供給されることで駆動信
号を生成する駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタから前記発光素子に供給される
駆動信号の波形を鈍らせる時定数回路とを含む
ことを特徴とする発光装置。
【請求項8】
前記発光素子は、駆動信号のレベルが閾値を越えることによって発光し、
前記時定数回路は、前記信号生成回路に入力されるデータ信号のうち所定の時間長より
も短い時間長で前記閾値を越える信号が前記信号生成回路に入力される場合に、当該時定
数回路から出力される信号が前記発光素子の前記閾値を下回るレベルに減衰されるように
時定数が決定されている
ことを特徴とする請求項7に記載の画素回路。
【請求項9】
前記複数の画素回路のうち第1の画素回路に含まれる時定数回路の時定数は、前記デー
タ信号線のうちデータ信号の供給元からの経路長が前記第1の画素回路よりも短い地点に
接続された第2の画素回路の時定数よりも小さい
ことを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
【請求項10】
前記各画素回路に含まれる時定数回路の時定数は、前記データ信号線のうちデータ信号
の供給元から当該画素回路が接続される地点までの配線抵抗および寄生容量と当該画素回
路の時定数回路とを含む部分の時定数が総ての画素回路について略同一となるように画素
回路ごとに決定されている
ことを特徴とする請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記各画素回路に含まれる時定数回路の時定数は、前記複数の画素回路のうち第1のグ
ループに属する各画素回路の時定数回路の時定数が、前記データ信号線のうちデータ信号
の供給元からの経路長が前記第1のグループの各画素回路よりも短い地点に接続された第
2のグループに属する各画素回路の時定数回路の時定数よりも小さくなるように、画素回
路の各グループごとに決定されている
ことを特徴とする請求項9に記載の発光装置。
【請求項12】
請求項7から請求項11の何れか1項に記載の発光装置を具備する電子機器。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−231911(P2006−231911A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347545(P2005−347545)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】