説明

界面活性剤をベースとする系における改善された溶解性および性能を有するカチオン性合成ポリマー、ならびにパーソナルケアおよび家庭用用途における使用

本発明は、高分子電解質、およびこのような高分子電解質と非セルロースカチオン性多糖類ポリマーとのブレンドを含む、界面活性剤をベースとする配合物に関する。界面活性剤をベースとする配合物は、パーソナルケアおよび家庭用ケア製品およびテキスタイル用途などの用途において、このように得られた配合物の改善された透明性、ケラチン基質、テキスタイル基質、および硬い表面の基質のそれらの改善されたコンディショニング、ケラチン基質、テキスタイル基質、および硬い表面の基質への分散相材料のそれらの改善された付着、それらの改善された泡立ち性能、ならびにそれらの改善されたレオロジーを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤をベースとする配合物、特に、ポリマー組成物、特に、界面活性剤をベースとするクレンジング組成物(界面活性剤、カチオン性水溶性高分子電解質を含む)を含む、界面活性剤をベースとする配合物、ならびにケラチン基質、テキスタイル基質、および硬い表面の基質を処理するための、パーソナルケアおよび家庭用ケアクレンジング組成物におけるそれらの使用に関する。
【0002】
本発明の高分子電解質、ならびに非セルロースカチオン性多糖類ポリマー(カチオン性ポリガラクトマンナンポリマーおよび誘導体化カチオン性ポリガラクトマンナンポリマーなど)とのこのような高分子電解質のブレンドを含む、界面活性剤をベースとする配合物は、パーソナルケア製品および家庭用ケア製品およびテキスタイル用途などの用途における、このように得られた配合物の改善された透明性、ケラチン基質、テキスタイル基質、および硬い表面の基質のそれらの改善されたコンディショニング、ケラチン基質、テキスタイル基質、および硬い表面の基質への分散相材料のそれらの改善された付着、それらの改善された泡立ち性能、ならびにそれらの改善されたレオロジーのために望ましい。
【背景技術】
【0003】
カチオン性水溶性高分子電解質を含有する界面活性剤をベースとするパーソナルケア組成物は、毛髪および皮膚基質に良好なコンディショニング性能をもたらすことが見出されてきた。カチオン性水溶性高分子電解質ポリマーは、多糖類骨格または合成ポリマー骨格(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリレートエステル、メタクリレートエステル、またはビニルピロリドンなど)をベースとすることができる。
【0004】
商品名N-Hance(登録商標)またはJaguar(登録商標)カチオン性グアーとして市販されているカチオン性グアーなどの非セルロースカチオン性多糖類は、シャンプー、2-イン-1または3-イン-1コンディショニングシャンプーおよびボディーウォッシュ、洗濯用洗剤、およびシャンプーなどの製品においてコンディショナーとして一般に使用され、毛髪にコンディショニングを、皮膚にコンディショニング作用を実現し、または布帛にコンディショニング、柔軟化、および帯電防止の特徴を提供する。
【0005】
カチオン性酸化グアー組成物を含めた、カチオン性酸化多糖類を含有するパーソナルケア組成物は、WO2004/091557および米国特許第7,067,499号に記載されているように、毛髪および皮膚基質に良好なコンディショニング性能をもたらすことが見出されてきた。カチオン性グアーの分子量は、10,000の分子量から数百万までで変動することができ、コンディショニング剤として良好な性能を有する。カチオン性酸化グアーなどのカチオン性酸化多糖類と併せたカチオン性、アニオン性、両性または疎水性アクリルアミドポリマーの使用は、カチオン性グアーとの組合せにおいてWO2004/091557および米国特許第7,067,499号において、ならびにWO2006/026750などの他の文献において記載されてきた。
【0006】
合成ポリマー骨格をベースとするカチオン性高分子電解質ポリマーはまた、パーソナルケア配合物においてコンディショニング剤および付着剤としての使用が見出されてきた。US5,221,530において、単独で使用されたときに、架橋第四級アクリレート/アクリルアミドコポリマーは、良好な湿った状態のコンディショニングおよび乾燥した状態のコンディショニングならびに高レベルの気泡を、シャンプーおよびクレンジング配合物にもたらすことが開示されてきており、米国特許第5417965号において、ポリエチレンイミンとの組合せが教示されている。
【0007】
米国特許第5,756,436号において、>4meq/gの電荷密度を有する合成ポリマー骨格をベースとする非架橋のカチオン性水溶性高分子電解質は、水不溶性のコンディショニング剤を含有するコンディショニングシャンプー中の付着ポリマーとしての使用について記載されてきた。
【0008】
米国特許第6,849,584号において、>2meq/グラムの電荷密度を有する合成ポリマー骨格をベースとする非架橋のカチオン性水溶性高分子電解質はまた、水不溶性の固体微粒子材料および相分離開始剤を含有するパーソナルクレンジング組成物において記載されてきた。
【0009】
米国特許第6,495,498号において、カチオン性高分子電解質ポリマーの組合せを含有するクレンジング組成物がまた記載されてきており、1種のポリマーは、カチオン性グアーなどのカチオン性ポリガラクトマンナンであり、別のポリマーは、水溶性シリコーンコンディショニング剤の存在下にてカチオン性水溶性合成コポリマーでよい。
【0010】
WO2007/065537において、水不溶性のコンディショニング剤の分散相液滴(<4ミクロンの液滴直径)を含有する、カチオン性ポリマーの組合せを含有する水性シャンプー組成物がまた記載されてきており、1種のポリマーは、カチオン性グアーなどのカチオン性ポリガラクトマンナンであり、別のポリマーは、<1meq/グラムの電荷密度を有するカチオン性アクリルアミドコポリマーでよい。
【0011】
WO2008/129493において、カチオン性ポリマーの組合せを含有するパーソナルクレンジング組成物がまた記載されており、1つのポリマーは、<4meq/gの電荷密度を有するカチオン性ポリマーであり、アニオン性界面活性剤と等方性コアセルベートを形成し、第2のカチオン性ポリマーは、>4meq/gの電荷密度を有し、アニオン性界面活性剤と組み合わせてリオトロピック液晶を形成する。
【0012】
これらの文献は、合成ポリマー骨格をベースとするカチオン性高分子電解質ポリマーが、コンディショニングをもたらし、かつ界面活性剤をベースとする配合物からのシリコーンおよび亜鉛の付着を増強できることを示すが、現在市場で流通している市販のカチオン性合成高分子電解質ポリマーは分子量がより高く、その結果、界面活性剤をベースとする配合物に「糸のような」レオロジーを与える。現在市場で流通しているより低いMWのカチオン性合成高分子電解質ポリマーは、界面活性剤をベースとする配合物における溶解性の低下、透明性の低下および付着性能の低下などのいくつかの弱点もまた有する。市場で流通しているカチオン性、アニオン性、および非イオン性合成高分子電解質はまた、高レベルの残留モノマー(アクリルアミドモノマーなど)を含有する。これらの組成物中の残留モノマーレベルを低レベルに減少させることが求められている。
【0013】
さらに、カチオン性(メタ)クリル酸エステルポリマーなどのカチオン性合成高分子電解質の加水分解安定性は、水性配合物においてそれらの性能の重要な態様である。DE3544909において、ポリ(メタ)アクリル酸エステル由来のカチオン性合成高分子電解質ポリマーは、水溶液中のエステル官能基の加水分解の影響を受けやすく、6〜7.5のpH値で数時間から数日の範囲の存続期間を有する。さらに、これらのカチオン性合成高分子電解質ポリマーは、それらの電荷密度によって高い急性水生毒性を有する。エステル官能基が加水分解されるとき、これらのポリマーは、より非常に低い生態毒性を有する。Changら、「Water Science Technology」、44巻、第2〜3、461〜468、2001を参照されたい。
【0014】
その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれているUS7375173において、改善された生態毒性のカチオン性合成高分子電解質ターポリマーを、(メタ)アクリルアミド、四級化された(メタ)アクリルアミド誘導体、および(メタ)アクリル酸誘導体のモノマー、ならびに/または加水分解安定性カチオン性モノマーの重合から調製できることが見出されてきた。この知見を、本明細書において参照として導入し、開示の一部として組み込む。
【0015】
湿った状態および乾燥した状態の測定は、シャンプーおよびコンディショナー用途におけるコンディショニング性能を測定するために使用される典型的な試験法である。現在市場で流通している市販のコンディショニングポリマーは、ポリマーを含有しないシャンプーに対して、乾燥した毛髪のコーミングによって経験する湿った状態のコーミング力を30%〜80%減少させることが報告されてきた。
【0016】
シャンプー用途におけるコンディショニング性能はまた、水による希釈の増加による、コンディショニングポリマーを含有する透明なシャンプーまたはクレンジング配合物の光透過率の減少をモニターすることによって測定することができる。水による希釈による透過率の低下がより大きいと、付着のレベルはより大きい。配合物の透過率の低下または光学的透明度の減少は、シャンプーまたは他のクレンジング配合物からのコンディショニングポリマーの沈殿と関連する。コンディショニングポリマーは、配合物中の界面活性剤との複合体の形態で、または非複合体形態で付着し得る。
【0017】
シャンプー、コンディショナー、または着色剤系から毛髪または頭皮へ、クレンジングまたはコンディショニングボディーウォッシュから皮膚へ、あるいは界面活性剤をベースとするランドリー配合物から布帛へ付着した、シリコーン、他のコンディショニング油または機能材料、亜鉛、または他の活性、あるいは性能材料の量はまた、コンディショニングまたは付着ポリマーのコンディショニングまたは付着性能の尺度である。シリコーン、他のコンディショニング油またはコンディショニング材料、亜鉛、香料、あるいは他の「活性」材料の付着の均一性または不均一性は、化粧用配合物の知覚される性能に対して有意な影響を有し得る。付着プロファイルは、1)毛髪繊維(根元から先端まで繊維に沿った付着が、毛髪繊維の先端または末端に向かった領域におけるダメージを回復し、毛髪着色配合物からの均一性な色を付着させ、繊維に沿って色の均一性を維持するために必要とされる);2)皮膚、特に皮膚の乾燥したまたはダメージを受けた領域(油、他のコンディショニング剤、活性材料(抗菌剤など)、日焼け止め活性剤、または着色剤(セルフタンニング成分など)の付着が、均一性が生じるために必要とされる);ならびに3)布帛(付着は、特にウール、木綿、ポリエステルなどの布帛のダメージを受けたまたは摩耗した領域上に起こる)などの基質上で特に重要である。
【0018】
スキンケア用途において、皮膚の滑らかさ、または皮膚の摩擦の減少もしくはより柔らかな感触、水蒸気透過の減少および改善された皮膚の弾力は、皮膚のコンディショニングを測定するのに使用される試験方法である。コンディショニング性能が望ましい界面活性剤をベースとする家庭用クレンジング生成物配合物(食器洗剤、洗濯用洗剤、布帛柔軟剤、および静電防止製品など)において、コンディショニングとは、液体食器用ソープによって手により柔らかい感触を与え、または洗濯用洗剤もしくは布帛柔軟剤によって布帛により柔らかい感触を与え、静電気作用を除去し、布帛繊維の破断もしくはけば立ちとして知られる変形を除去することを意味する。色の保持または色の鮮やかな特性を布帛に与えることはまた重要であり、測定することができる。
【0019】
市販のカチオン性水溶性合成高分子電解質ポリマーは、コンディショニングをもたらし、界面活性剤をベースとする配合物からのシリコーンおよび亜鉛の付着を増強することが示されてきたが、市場で流通している市販の水溶性合成高分子電解質ポリマーは分子量が高く、その結果、界面活性剤をベースとする配合物に糸のようなレオロジーを与える。市場で流通しているより低いMWのカチオン性水溶性合成高分子電解質ポリマーは、界面活性剤をベースとする配合物中での透明性の低下、界面活性剤をベースとする配合物中での溶解性の低下、および界面活性剤をベースとする配合物中での付着性能の低下などのいくつかの弱点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】WO2004/091557
【特許文献2】米国特許第7,067,499号
【特許文献3】WO2006/026750
【特許文献4】US5,221,530
【特許文献5】米国特許第5417965号
【特許文献6】米国特許第5,756,436号
【特許文献7】米国特許第6,849,584号
【特許文献8】米国特許第6,495,498号
【特許文献9】WO2007/065537
【特許文献10】WO2008/129493
【特許文献11】DE3544909
【特許文献12】US7375173
【特許文献13】米国特許出願公開第2008-0112907A1号
【特許文献14】米国特許出願公開第2008-0112906A1号
【特許文献15】独国特許第3544770号
【特許文献16】米国特許第7,375,173号
【特許文献17】US2007/0128147
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Changら、「Water Science Technology」、44巻、第2〜3、461〜468、2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
非セルロースカチオン変性多糖類および合成骨格をベースとするカチオン性水溶性高分子電解質ポリマーは、界面活性剤をベースとするクレンジング配合物中のコンディショニングポリマーとして、ならびにコンディショニング油ならびに毛髪および皮膚のための活性トリートメントをもたらすための付着補助剤として機能することは公知であるが、これらのポリマーを繰り返し使用することは、毛髪または皮膚上に、シリコーンおよび他の油などのコンディショニング成分の望まれない蓄積を生じ得る。この蓄積は、乾燥した毛髪をコーミングするのに必要なエネルギーの増加として、および毛髪へのべたつく感触として明らかである。さらに、これらのポリマーは、毛髪繊維の根元末端によりコンディショニングをもたらすが、シリコーンおよび他の活性剤のより均一な付着を、毛髪繊維の長さに沿って毛髪繊維の中央部分および先端(繊維がよりダメージを受けており、よりコンディショニングを必要とする)にもたらすポリマー組成物を作製することが必要とされている。最後に、抗フケ、および頭皮への抗菌活性材料を送達する領域において、界面活性剤系(シャンプーおよびハンドクレンザーなど)からの抗菌化合物の送達の効率性を増加させること、ならびに頭皮および皮膚へのより良好な標的とする送達、ならびに長期間の活性のために抗菌化合物をその場所に保持することが必要とされている。
【0023】
界面活性剤をベースとする配合物からの、これらの配合物において使用されている界面活性剤またはポリマーによって配合物に与えられる望ましくない糸のような態様を伴わない、材料(シリコーン、香料、亜鉛、および他の活性材料など)の毛髪および頭皮への改善された付着および付着プロファイルが必要とされている。組成物の泡または気泡特性が維持または改善され、油相、例えば、シリコーン、香料油、鉱油、ならびに粒子性材料、例えば、ジンクピリチオン、炭酸亜鉛、および他の活性材料についての付着の量を改善させる、界面活性剤をベースとする配合物がまた必要とされている。
【0024】
より低いレベルの残留モノマーを含有するポリマー組成物がまた必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、ポリマーをBrookfield粘度計、スピンドル#4を使用して30rpmにて脱イオン水中で測定する標準的粘度測定によって測定すると、1.5重量%ポリマーの濃度で、>0.001meq/gおよび4meq/g未満の電荷密度、および10mPas〜3000mPasの溶液粘度を有するカチオン性水溶性高分子電解質を含む、カチオン性水溶性高分子電解質組成物、特に、界面活性剤をベースとするコンディショニングまたはクレンジング組成物に関する。カチオン性水溶性高分子電解質は、断熱ゲル重合過程によって、または水中水型分散物として合成され、(メタ)アクリルアミドのコポリマーおよびターポリマー、ならびに(メタ)アクリルアミドをベースとするカチオン性モノマー、ならびに/または加水分解安定性カチオン性モノマー、ならびに/またはカチオン性(メタ)アクリル酸エステルをベースとするモノマーからなる。カチオン性水溶性高分子電解質は、以下を示す。
(1)従来技術におけるより高いMWのカチオン性水溶性高分子電解質と関連する弾力のあるレオロジーと対照的に、配合物中でのより「糸のよう」ではないレオロジーを維持する一方で、コンディショニングシャンプー配合物またはクレンジング配合物からの、毛髪およびケラチン基質、テキスタイル基質、ならびに硬い表面の基質への、シリコーンまたはコンディショニング剤の付着の増強、ならびに基質のダメージを受けた領域へのシリコーンまたはコンディショニング剤のより標的とされた付着、あるいは基質、例えば、毛髪繊維の長さに亘るシリコーンまたはコンディショニング剤のより均一な付着、
(2)従来技術におけるより高いMWのカチオン性水溶性高分子電解質と比較したときに、亜鉛などの抗フケ活性剤の頭皮への付着の増強、あるいは抗菌配合物からの他の抗菌剤の皮膚または硬い表面の基質への付着、ならびに泡の発生および質感などのクレンジング経験の改善された美的態様、ならびに
(3)従来技術におけるより高いMWのカチオン性水溶性高分子電解質と比較したときに、界面活性剤をベースとする系における溶解性、透明性の増強、および改善された付着プロファイル、
(4)従来技術における他の合成高分子電解質ポリマーと比較したときに、より低い残留モノマーレベル。
【0026】
本発明において、(A)カチオン水溶性合成高分子電解質ポリマー、特に、pH7で1グラム毎に0.001meq超および4meq/g未満のカチオン電荷密度を有するカチオン性アクリルアミドポリマーと、(B)非セルロースカチオン変性多糖類から選択される1種または複数のカチオン性ポリマーと、から選択されるカチオン性ポリマー、ならびに酸または塩基成分との組合せを含む組成物が、(1)pH調節なしで、および凝集なしで水性配合物に両方とも容易に分散性である組成物を生じさせ、(2)このように得られた水性組成物またはポリマーブレンド組成物は、クレンジング組成物などの界面活性剤組成物に配合して、分散相成分(シリコーン、ジンクピリチオン、香料、着色剤、および他の活性成分など)の基質(毛髪、皮膚、布帛など)への付着の増強を示す配合物を生成することができ、ならびに(3)配合物は、糸のような態様の減少および改善された美観(気泡および泡の発生など)を示すことがまた見出されてきた。
【0027】
分散相材料の付着の増強は、分散相材料の粒径と無関係である。
【0028】
カチオン性アクリルアミドポリマーの水溶液の粘度は、カチオン性アクリルアミドの分子量と相関する。カチオン性アクリルアミドポリマーの粘度が200mPas未満に減少すると(@1重量%ポリマー固体;スピンドル#1、10rpm、@20℃、10%NaCl中)、カチオン性アクリルアミドポリマーが界面活性剤をベースとする配合物に与える「糸のような」レオロジーは有意に減少する。
【0029】
約0.001〜10の比のカチオン性アクリルアミド/wtガラクトマンナンポリマーのカチオン性ポリガラクトマンナンと、酸(クエン酸、フマル酸、アジピン酸、および他の中和酸)と、塩基(炭酸水素ナトリウムなど)とをブレンドすることによって、水に容易に分散し、滑らかな水性ポリマー溶液を生じさせる乾燥粉末組成物が生じる。ポリマー水溶液または乾燥粉末組成物の形態のこの組成物を、パーソナルケアまたは家庭用ケア配合物(界面活性剤をベースとする配合物など)に直接加えて、改善されたシリコーン付着、糸のような態様の減少、ならびに改善された泡立ちおよび気泡性能を示す組成物を生成することができる。このポリマー溶液または乾燥粉末組成物はまた、テキスタイル用途、油回収用途、紙用途、およびコーティング用途に使用することができる。
【0030】
この組成物は、化粧用またはパーソナルケア組成物、特にクレンジング組成物(ボディーウォッシュ、シャンプー配合物など)、さらに、コンディショナー組成物の配合において有用である。この組成物はまた、家庭用ケア組成物、テキスタイルケア組成物、紙組成物、紙コーティング組成物、およびコーティング組成物の配合において有用である。
【0031】
個々のポリマーを超えるこの組成物の使用の利点は、特に、パーソナルケアおよび家庭用ケア組成物において、望ましくない「糸のような」レオロジーの悪影響を伴わず、改善された気泡および泡立ち性能を伴う、界面活性剤をベースとする系からの分散相の改善された付着、および組成物が与える改善されたコンディショニング性能である。特定の分子量および電荷密度のカチオン性水溶性合成高分子電解質と特定の分子量および電荷密度の非セルロースカチオン性多糖類ポリマーとをブレンドするさらなる利点によって、pH調節なしで、および凝集なしで水性配合物に両方とも容易に分散する組成物が生じる。組成物は、弾力のある「糸のような」レオロジーを、界面活性剤をベースとする配合物に与えない。対照的に、より高いMWのカチオン性アクリルアミドポリマーは典型的には溶解し、「糸のような」レオロジーを配合物に与える。対照的に、本発明の組成物は、より望ましいレオロジー、および糸のような態様の低下を配合物にもたらす。
【0032】
本発明の組成物は、クレンジング組成物などの界面活性剤組成物に配合されて、減少した糸のような態様および改善された美観(気泡および泡の発生など)を有する一方で、活性成分の改善された付着を実現する配合物を生成することができる。本発明の組成物はまた、ヘアコンディショナーなどのコンディショニング配合物に配合され、毛髪の湿った状態および乾燥状態のコーミングの間に滑らかさおよびからまりの減少を実現することができる。
【0033】
本発明のカチオン性水溶性高分子電解質、ならびにこれらのカチオン性水溶性高分子電解質ポリマーと非セルロースカチオン性多糖類またはそれらの誘導体との組合せを含む、界面活性剤をベースとするコンディショニングまたはクレンジング組成物は、従来技術におけるより高いMWのカチオン性水溶性高分子電解質と関連する弾力のあるレオロジーと対照的に、より「糸のよう」ではないレオロジーを維持する一方で、ダメージを受けた毛髪または漂白した毛髪を含めた全ての毛髪タイプの対する毛髪繊維に沿ったシリコーン付着の改善された均一性または標的とした送達をもたらし、乾燥した状態のコーミングおよび摩擦測定によって測定して、改善された滑らかさまたは柔らかさを毛髪にもたらし、シリコーンおよび非シリコーンクレンジング組成物から送達したときに、泡の発生および質感などの、クレンジング経験の改善されたコーミング性能および改善された美的態様をもたらし、ならびに人工皮膚(頭皮のモデルとして)への抗フケ剤(ジンクピリチオンおよび炭酸亜鉛など)の増強された送達を行なうことが示されてきた。
【0034】
それらの開示が参照により本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開第2008-0112907A1号および同2008-0112906A1号に開示されているように、ホウ酸塩、アルミニウム塩、銅、鉄、カルシウム、およびナトリウム塩、グリオキサール、ならびにチタンおよびジルコニウムをベースとする金属塩をベースとする架橋剤と、ポリオールまたは多糖類ポリマー(カチオン性水溶性高分子電解質ポリマーと非セルロースカチオン性多糖類またはそれらの誘導体とのポリマーの組合せへの表面コーティングとして施される)との組合せの適用は、本発明の組成物の分散性および溶解性能を改善することもまた見出されてきた。
【0035】
これらの組成物はまた、他の効果活性材料(染料または染色剤、抗フケ剤(セレンおよびサリチル酸など)、香料、抗微生物材料、UVプロテクター、サンブロック、毛髪成長剤など)の、頭皮、毛髪への、ならびに毛髪、皮膚、他のケラチン基質、テキスタイル基質、および硬い表面の基質への改善された付着をもたらすことが期待されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】コンディショニングシャンプーからの付着した総シリコーン、および未処理の茶色の毛髪上の分布を示すグラフである。
【図2】コンディショニングシャンプーからの付着した総シリコーン、および未処理の茶色の毛髪のSLES-3EOによる事前洗浄上の分布を示すグラフである。
【図3】抗フケモデルシャンプーからの亜鉛付着、Zn(平均)ppm-シリコーン粒径の作用(30μ対0.3μジメチコン)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の界面活性剤をベースとする組成物には、家庭用ケア組成物、テキスタイルケア組成物またはパーソナルケア組成物中に典型的に含まれている界面活性剤および活性成分と組み合わせて、カチオン性水溶性高分子電解質が含まれる。本発明の第2の実施形態において、界面活性剤をベースとする系には、カチオン性水溶性高分子電解質および界面活性剤に加えて、カチオン性多糖類がさらに含まれ、この組成物は、組成物の分散相の付着を増加するのに特に有効である。
【0038】
カチオン性水溶性高分子電解質は、(1)(メタ)アクリルアミドのコポリマー、および(メタ)アクリルアミドをベースとするカチオン性モノマー、および/または加水分解安定性カチオン性モノマー、(2)(メタ)アクリルアミドのターポリマー、カチオン性(メタ)アクリル酸エステルをベースとするモノマー、および(メタ)アクリルアミドをベースとするモノマー、および/または加水分解安定性カチオン性モノマーから形成される。本出願に亘り、(メタ)アクリルアミドという用語は、メチルアクリルアミドおよびアクリルアミドを意味し、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を意味する。
【0039】
カチオン性水溶性合成高分子電解質は、約0.001〜4meq/g、好ましくは約1.0〜2.5meq/g、さらに好ましくは約1.5〜2.2meq/gの総電荷密度を有し、それらの溶液粘度は、脱イオン水中の1%溶液として測定して、10〜3000mPas、好ましくは80〜2000mPas、さらに好ましくは90〜1500mPasである。さらに、サイズ排除クロマトグラフィーによって測定する分子量は、本明細書において下記で説明するように、約500,000〜200万、一般に約100万である。
【0040】
(メタ)アクリル酸エステルをベースとするカチオン性モノマーには、四級化されたN原子を含有する(メタ)アクリル酸のカチオン化エステルが含まれる。好ましくは四級化されたジアルキルアミノ(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルおよびアルキレン基中にC1〜C3を有する)、特に、塩化メチルで四級化されたジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのアンモニウム塩が使用される。特に好ましいのは、ハロゲン化アルキル、特に塩化メチルまたは塩化ベンジルまたは硫酸ジメチルで四級化されたアクリル酸ジメチルアミノエチルである(ADAME-Quat)。
【0041】
(メタ)アクリルアミドをベースとするカチオン性モノマーには、四級化されたジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキルおよびアルキレン基中にC1〜C3を有する)が含まれる。特に好ましいのは、ハロゲン化アルキル、特に、塩化メチルまたは塩化ベンジルまたは硫酸ジメチルで四級化されたジメチルアミノプロピルアクリルアミドである。
【0042】
加水分解安定性カチオン性モノマーは、上記で記載したジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドに加えて、OECD加水分解試験に対して安定的であると見なすことができる全てのモノマーでよい。例は、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドまたは水溶性、カチオン性スチレン誘導体である。
【0043】
本発明によってカチオン性高分子電解質として特に好ましいのは、アクリルアミド、塩化メチルで四級化された2-ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート(ADAME-Q)および塩化メチルで四級化された3-ジメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド(DIMAPA-Q)のターポリマーである。別の好ましい高分子電解質は、1.0〜3.0meg/gの電荷密度を有するアクリルアミドおよびアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドから形成される。
【0044】
高分子電解質は、乳化重合、溶液重合、ゲル重合および懸濁重合、好ましくはゲル重合および溶液重合などの公知の方法によって合成することができる。重合の方法を制御することによって、最終生成物中の未反応残留モノマーの濃度を、制御することができる。一般に、約0.04%未満、好ましくは0.02%未満、最も好ましくは0.01%未満の高分子電解質中に存在する残留モノマーを有することが望ましい。さらなる重合後処理工程は、高分子電解質生成物中の未反応残留モノマーを約0.005%未満までさらに減少させることを本発明者らは見出した。
【0045】
好ましくはこのような高分子電解質は、(メタ)アクリル酸エステルをベースとするカチオン性モノマー、および(メタ)アクリルアミドをベースとするモノマーおよび/または加水分解安定性カチオン性モノマーおよび(メタ)アクリルアミドの組合せを混合し、重合を開始させることによって合成される。重合の間、固形ゲルが、モノマー溶液から形成され、続いて粉砕し、乾燥し、すり潰す。
【0046】
重合は、好ましくは断熱重合として行われ、重合は、酸化還元系によって、または光開始剤によって開始することができる。さらに、両方の開始法の組合せが可能である。酸化還元開始剤系は、少なくとも2つの成分(有機または無機酸化剤、および有機または無機還元剤)からなる。多くの場合、ペルオキシド単位を含有する化合物は、この目的のために使用される。例は、無機過酸化物(アルカリ金属および過硫酸アンモニウム、アルカリ金属および過リン酸アンモニウム、過酸化水素およびその塩、特に、過酸化ナトリウムおよび過酸化バリウムなど)、または有機過酸化物(過酸化ベンゾイルおよびブチルヒドロペルオキシドなど)、または過酸(過酢酸など)である。さらに、しかし、過マンガン酸カリウム、塩素酸ナトリウムおよび塩素酸カリウム、二クロム酸カリウムなどの他の酸化剤をまた使用することができる。還元剤として、硫黄含有化合物、例えば、スルフィット、チオスルフェート、スルホン酸および有機チオール(エチルメルカプタンおよび2-ヒドロキシ-エタンチオールなど)、2-メルカプトエチルアンモニウムクロリド、チオグリコール酸およびその他を使用することができる。さらに、アスコルビン酸および低原子価金属塩、好ましくは、銅(I)、マンガン(II)および鉄(II)塩をまた使用することができる。次亜リン酸ナトリウムなどのリン化合物をまた使用することができる。光重合の場合、開始剤の分解をもたらす紫外線によって、反応を開始させる。開始剤として、ベンゾインおよびベンゾイン誘導体(ベンゾインエーテルなど)、ベンジルおよびその誘導体(ベンジルケタールなど)、アクリルジアゾニウム塩、アゾ開始剤(2,2''-アゾビス(イソブチロニトリル)および2,2''-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸塩など)、あるいはアセトフェノン誘導体を使用することができる。酸化および還元成分の量は、モノマー溶液に対して0.00005〜0.5重量パーセント、好ましくは0.001〜0.1重量パーセント、好ましくは0.001〜0.1重量パーセントの範囲でよい。光開始剤について、0.001〜0.1重量パーセント、好ましくは0.01〜0.08重量パーセントの範囲でよい。
【0047】
例えば、独国特許第3544770号に記載されていうように重合は、重合容器において水溶液中でバッチ式にて、または連続的にエンドレスベルト上で行われる。この工程を参照工程として導入し、開示の一部として組み込む。この方法は-20〜50℃、好ましくは-10〜10℃の温度で開始し、外部の熱供給なしに大気圧で行われる。重合の熱によって、重合可能な物質の含量によって50〜150℃の最大の最終温度が達成される。
【0048】
重合が完了すると、ゲルの形状で得られる重合した生成物を粉砕する。
【0049】
粉砕されたゲルをここで空気循環乾燥炉中にて70〜150℃にて、好ましくは80〜130℃にてバッチ式で乾燥させる。乾燥は、バンド乾燥機上または流動床乾燥器中で、同じ温度範囲にて連続的に行うことができる。
【0050】
組成物には、0.001〜50重量%、好ましくは0.005〜25重量%、特に好ましくは0.05〜10重量%のカチオン性低分子量高分子電解質を含み得る。
【0051】
本発明において有用なカチオン性水溶性合成高分子電解質は、組成物の一成分である。組成物の第2の成分は、界面活性剤である。任意選択の成分は、単一の溶媒または溶媒のブレンドでよい、クレンジング組成物中でまた使用し得る適合性の溶媒である。
【0052】
界面活性剤の例は、アニオン性、非イオン性、双性イオン性、カチオン性または両性タイプの界面活性剤、およびそれらのブレンドである。アニオン性、非イオン性、双性イオン性、カチオン性、または両性界面活性剤は、本発明において可溶性または不溶性でよく、(使用されるとき)組成物中に組成物の0.01〜約50重量%の量で存在する。合成アニオン性界面活性剤には、パーソナルケアおよび家庭用配合物において一般に使用される、アルキルおよびアルキルエーテルスルフェート、リン酸エステル、および他のアニオン性界面活性剤が含まれる。
【0053】
非イオン性界面活性剤は、疎水性部分および非イオン性親水性部分を含有する化合物として広く定義することができる。疎水性部分の例は、アルキル、アルキル芳香族、ジアルキルシロキサン、ポリオキシアルキレン、およびフルオロ-置換アルキルでよい。親水性部分の例は、ポリオキシアルキレン、ホスフィンオキシド、スルホキシド、アミンオキシド、およびアミドである。Air Products and Chemicals、Inc.から入手可能な商品名Surfynol(登録商標)で市販されているものなどの非イオン性界面活性剤はまた、本発明において有用である。
【0054】
双性イオン性界面活性剤は、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体として広く記載することができるものによって例示され、脂肪族基は直鎖または分岐鎖でよく、脂肪族置換基の1つは、約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つは、アニオン性水溶性基として、例えば、カルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、またはホスホネートを含有する。
【0055】
本発明のクレンジング組成物のビヒクル系中で使用することができる両性界面活性剤の例は、脂肪族第二級および第三級アミンの誘導体として広く記載されているものであり、脂肪族基は直鎖または分岐鎖でよく、脂肪族置換基の1つは、約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つは、アニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、またはホスホネートを含有する。
【0056】
本発明によれば、系において使用される溶媒は、クレンジング組成物の他の成分と適合性であるべきである。本発明において使用し得る溶媒の例は、水、水と低級アルカノールとの混合物、ならびに3〜6個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を有する多価アルコールである。好ましい溶媒は、水、プロピレングリコール、水-グリセリン、ソルビトール-水、および水-エタノールである。本発明における溶媒(使用されるとき)は、組成物中で組成物の約0.1%〜99重量%のレベルで存在する。
【0057】
他のコンディショニング成分および非コンディショニング活性成分または効果剤をまた含むことができる。溶解した合成高分子電解質は、コンディショナーおよび付着剤の役割を果たす。この例は、毛髪もしくは皮膚のコンディショニングのためのコンディショナーとして、布帛コンディショナーとして、または抗菌剤としての、水溶液中のポリマーの使用である。しかし、さらなる活性成分または有益剤が必要なとき、使用者または使用者の体にいくらかの利益を提供しなくてはならない。一般に、組成物には、下記に考察するような1種または複数のコンディショニングおよび非コンディショニング活性成分が含まれる。
【0058】
本発明によると、パーソナルケア組成物、家庭用ケア組成物または施設ケア組成物は、クレンジング組成物でよい。クレンジング組成物が、少なくとも1種の活性パーソナルケア成分または有益剤を含有するパーソナルケア製品であるとき、パーソナルケア活性成分または有益剤には、これらに限定されないが、鎮痛剤、麻酔剤、抗生物質製剤、抗真菌剤、消毒剤、抗フケ剤、抗菌剤、ビタミン、ホルモン、抗下痢剤、副腎皮質ステロイド、抗炎症剤、血管拡張剤、角質溶解薬、ドライアイ組成物、創傷治癒剤、抗感染剤、紫外線吸収剤、ならびに溶媒、賦形剤、アジュバントおよび他の成分、例えば、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、高級アルコール、グリセリン、ソルビトール、鉱油、保存剤、機能的ポリマー、界面活性剤、噴射剤、香料、精油、ホホバ油、メドウフォーム種油または他の種油、シリコーン油またはポリマー、皮膚軟化剤、ならびに増粘剤が含まれてもよい。
【0059】
パーソナルケア組成物には、ヘアケア、スキンケア、サンケア、ネイルケア、および口腔ケア組成物が含まれる。本発明によるパーソナルケア製品に適切に含めることができる活性パーソナルケア成分または有益剤の例は、これらだけに限らないが、下記の通りである。
1)芳香剤(香料反応を生じさせることに加えて、また体臭を減少させることができる、香料および脱臭芳香剤の形態で嗅覚反応を生じさせる);
2)皮膚冷却剤(皮膚への涼しくなる感じの形態で触覚反応を生じさせる、メントール、酢酸メンチル、メンチルピロリドンカルボキシレート、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミドおよびメントールの他の誘導体など);
3)皮膚軟化剤(皮膚の滑らかさの増加の形態で触覚反応を生じさせる、ミリスチン酸イソプロピル、シリコーン材料、鉱油、種油、および植物油など);
4)芳香剤以外の脱臭剤(その機能が、皮膚表面におけるミクロフローラ、特に、体臭の発生に関与しているもののレベルを減少させる、または除去することである。芳香剤以外の脱臭剤の前駆体もまた使用することができる);
5)制汗活性剤(その機能が、皮膚表面における発汗している外見を低減または除去することである);
6)保湿剤(水分を加えることによって、または皮膚から蒸発するのを防止することによって、皮膚を湿潤であることを保つ);
7)日焼け止め剤活性成分(皮膚および毛髪を太陽からのUVおよび他の有害な光線から保護する。本発明によると、治療有効量は通常、組成物の0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である);
8)ヘアトリートメント(毛髪をコンディショニングし、毛髪を清浄にし、毛髪のほつれをほぐし、スタイリング剤、ボリューム増加剤および光沢剤、保色剤、抗フケ剤、毛髪成長促進剤、毛髪の染料および顔料、毛髪芳香剤、毛髪弛緩剤、毛髪漂白剤、ヘアモイスチャーライザー、ヘアオイルトリートメント剤、ならびに抗縮れ剤として作用する);ならびに
9)歯磨き剤および口内洗浄剤などの口腔ケア剤(歯および歯ぐきを浄化、漂白、脱臭および保護する)。
【0060】
本発明によると、クレンジング組成物が家庭用ケア組成物であるとき、この家庭用ケア組成物には、カチオン性水溶性合成高分子電解質組成物および少なくとも1種の活性家庭用ケア成分または有益剤が含まれる。家庭用ケア活性成分または有益剤は、使用者にいくらかの利益を提供しなくてはならない。適切に含むことができる活性成分の例は、これらだけに限らないが、本発明によると下記の通りである。
1)芳香剤(香料反応を実現することに加えて、匂いをまた減少させることができる、香料および脱臭剤、芳香剤の形態で嗅覚反応を生じさせる);
2)昆虫忌避剤(その機能は、昆虫を特定の領域から遠ざけ、または皮膚を攻撃しないようにすることである);
3)気泡発生剤(気泡または泡を生じさせる界面活性剤など);
4)ペット用脱臭剤または殺虫剤(ペットの匂いを減少させるピレトリンなど);
5)ペット用シャンプー剤および活性剤(その機能は、皮膚および毛髪表面から汚れ、異物および病原菌を除去することである);
6)工業用等級バー、シャワー用ジェル、および液体ソープ活性剤(皮膚から病原菌、汚れ、グリースおよび油を除去し、皮膚を衛生化し、皮膚をコンディショニングする);
7)消毒成分(家または公共施設において病原菌を殺し、または増殖を防止する);
8)ランドリー柔軟活性剤(静電気を減少させ、布帛をより柔らかく感じさせる);
9)ランドリーまたは洗剤または布帛柔軟剤成分(布帛ケアの洗浄、すすぎ、および乾燥サイクルの間に色の退色を減少させる);
10)便器洗浄剤(しみを除去し、病原菌を殺し、脱臭する);
11)ランドリープレスポッター活性剤(衣服からしみを除去するのに役立つ);ならびに
12)布帛のり付け剤(布帛の外観を高める)。
【0061】
パーソナルケアおよび家庭用ケア活性成分または有益剤の上記の一覧は単に例であり、使用することができる活性成分の完全な一覧ではない。これらのタイプの製品に使用される他の成分は、当業界において周知である。従来使用される上記の成分に加えて、本発明による組成物はまた、着色剤、保存剤、抗酸化剤、栄養サプリメント、αまたはβヒドロキシ酸、活性促進剤、乳化剤、機能性ポリマー、増粘剤(塩、すなわち、NaCl、NH4Cl、およびKCl、水溶性ポリマー、すなわち、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース、および脂肪アルコール、すなわち、セチルアルコールなど)、1〜6個の炭素を有するアルコール、脂肪または脂肪族化合物、抗菌化合物、ジンクピリチオン、シリコーン材料、炭化水素ポリマー、皮膚軟化剤、油、界面活性剤、医薬品、フレーバー、香料、懸濁化剤、ならびにこれらの混合物などの成分を任意選択で含むことができる。
【0062】
本発明によると、使用することができるシリコーン材料は、パーソナルケア組成物、家庭用ケア組成物または施設ケア組成物において使用することができる、ポリマー、オリゴマー、油、ワックス、樹脂、またはガムまたはポリオルガノシロキサンポリエーテルコポリオール、アモジメチコン、カチオン性ポリジメチルシロキサン材料および任意の他のシリコーン材料の形態でよいポリオルガノシロキサンである。本発明において有用なカチオン性水溶性合成高分子電解質組成物は、2-イン-1シャンプー、コンディショナー、ボディーローション、日焼け止め剤、抗縮れおよびヘアスタイリング配合物においてコンディショニング剤として使用することができる。本発明において有用なカチオン性水溶性合成高分子電解質組成物をまた使用して、髪のボリューム、扱いやすさ、毛髪の修復、または色の保持、皮膚の加湿および水分保持、香料の保持、毛髪、皮膚、および布帛上での日焼け止め剤の長期保持、口腔ケア用途におけるフレーバー増強剤および抗菌性能を改善し、家庭用用途における布帛摩耗抵抗(耐磨耗性)および耐変色性を改善することができる。
【0063】
組成物は、最終用途製品に基づいて配合することができる。異なる配合物は、所望の特徴を有する所望の最終生成物を達成するために、異なる添加順序を必要とし得る。
【0064】
本発明によると、カチオン性水溶性合成高分子電解質のコンディショニングの利益は、ヘアケアおよびスキンケア組成物などのパーソナルケア組成物中のコンディショニング剤として示される。性能はまた、口腔ケア組成物(練り歯磨き、経口リンス、虫歯予防口内リンス、および抗菌口内洗浄剤など)、ならびに家庭用ケア組成物(テキスタイル基質のための洗濯用クリーナーおよび柔軟剤製品、ならびに硬い表面のクリーナー製品など)において期待されている。
【0065】
本発明によると、機能系基質は、パーソナルケアおよび家庭用ケア用途と関連する材料であると定義される。パーソナルケアにおいて、基質は、皮膚、毛髪、歯、および粘膜でよい。家庭用ケア製品において、基質は、硬い表面(金属、大理石、セラミクス、花崗岩、木材、硬いプラスチック、およびウォールボードなど)、または柔らかい表面(テキスタイルおよび布帛など)でよい。
【0066】
配合物は、ダメージを受けた毛髪上、または頭皮もしくは皮膚上に使用するための、上記で一覧表示したパーソナルケア成分などの分散相組成物のための付着補助剤として特に有益である。本発明の合成カチオン性高分子電解質を含む配合物を分散相組成物(シリコーン油もしくはホホバ油、メドウフォーム種油など)、または抗フケ活性剤(ジンクピリチオンなど)との組合せに組み込むことによって、ダメージを受けた毛髪および頭皮上に付着した油の量、ならびに頭皮上に付着した抗フケ活性剤の量は増加する。このような組成物にはまた、組成物中に懸濁している油または他の分散相を液滴または粒子として保持する、界面活性剤および懸濁化剤が含まれる。使用の間に希釈されるとき、これらの粒子または液滴は、基質上へ付着する。合成カチオン性高分子電解質を有する本発明の配合物は、ダメージを受けた毛髪上への油の付着を100ppmから1000ppmに増加させることができる。
【0067】
本発明の特定の一実施形態は、非セルロースカチオン変性多糖類をさらに含む。合成高分子電解質と非セルロースカチオン性変性多糖類との組合せは、コンディショニング剤および活性成分の付着をさらに改善する。
【0068】
この実施形態において、組成物は、カチオン性水溶性、合成高分子電解質および非セルロースカチオン変性多糖類の組合せである。非セルロースカチオン変性多糖類は、それらの組成物の一部として、変化する量のタンパク質を含有し得る。本発明によると、非セルロースカチオン変性多糖類、より特定すると、多糖類骨格に共有結合している第四級アンモニウム基を含有するポリガラクトマンナン組成物またはポリグルコマンナン組成物は、約0.0005の下限および約3.0の上限のカチオン性置換度(DS)を有する。好ましくは、カチオン性DSの下限は、0.001、さらに好ましくは0.002、よりさらに好ましくは0.01である。好ましくは、カチオン性DSの上限は、3.0、さらに好ましくは1.0、よりさらに好ましくは0.35である。本発明のカチオン性ポリガラクトマンナンまたはその誘導体は一般に、約10,000の下限および約2,000,000の上限を有する重量平均分子量(MW)を有する。好ましくは、分子量の下限は、約100,000、さらに好ましくは約200,000である。好ましくは、分子量の上限は、約1,500,000、さらに好ましくは約1,000,000である。
【0069】
本発明によると、非セルロースカチオン変性多糖類、さらに好ましくはカチオン性ポリガラクトマンナンまたはカチオン性誘導体化ポリガラクトマンナンは、存在する架橋剤(ホウ素、グリオキサールなど)、または非セルロースカチオン変性多糖類を、水中で凝集することなしに容易に分散性にする他の処理を有することができる。架橋剤含量は、非セルロースカチオン変性多糖類1グラム当たり5重量%未満、好ましくは1重量%未満でよい。架橋剤はまた、本発明のポリマーと不可逆的共有結合架橋を形成し、水系においてより膨潤性能を有する生成物を生じさせることができるタイプでよい。
【0070】
本発明の非セルロースカチオン変性多糖類が由来するポリガラクトマンナンガムは、グアー、イナゴマメ、タラガム、アメリカサイカチ、カシア、およびゴウシュウアオギリからなる群から選択される。本発明において有用な他の非セルロース多糖類には、キサンタンガム、ジェランガム、ウェランガム、ラムザンガム、コンニャクマンナン、アラビアゴム、ダイズ多糖類、キシロフルクトースガムおよびタマリンドガムが含まれる。
【0071】
非セルロースカチオン変性多糖類のカチオン性官能基を、公知の方法によって骨格に加えることができる。例えば、ポリガラクトマンナンなどの非セルロース多糖類は、第1の第四級アンモニウムアルキル化試薬(3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、および2,3-エポキシ-プロピルトリメチルアンモニウムクロリドなど)と十分な時間および十分な温度で反応させることができる。好ましい例には、2種のグリシジルトリアルキルアンモニウム塩または3-ハロ-2-ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩の組合せが含まれ、第1の第四級アンモニウム試薬は、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリエチルアンモニウムクロリド、グリシジルトリプロピルアンモニウムクロリド、グリシジルエチルジメチルアンモニウムクロリド、グリシジルジエチルメチルアンモニウムクロリド、およびそれらの相当するブロミドおよびヨージド;3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリプロピルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルエチルジメチルアンモニウムクロリド、およびそれらの相当するブロミドおよびヨージド;ならびに第四級アンモニウム化合物(イミダゾリン環含有化合物のハロゲン化物など)である。
【0072】
非セルロースカチオン変性多糖類はまた、他の置換基、例えば、非イオン性置換基、すなわち、ヒドロキシアルキル(アルキルは、1〜30個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の炭化水素部分を表す)(例えば、ヒドロキシメチルヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル)、アルキル、アラルキル、またはアリール基(アルキルは、1〜30個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の炭化水素部分を表す)、あるいはアニオン性置換基(カルボキシメチル基、スルホン酸基、またはホスホン酸基)を含有し得る。これらの任意選択の置換基は、試薬との反応によって非セルロース多糖類に結合しており、例えば、例えば(1)アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド)によって、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、またはヒドロキシブチル基が得られ、あるいは(2)クロロメチル酢酸によって、カルボキシメチル基が得られ、あるいは(3)クロロエチルスルホン酸によって、スルホン酸基が得られ、あるいは(4)クロロエチルホスホン酸によって、ホスホン酸基が得られる。非セルロース誘導体化多糖類を調製するための方法は、当技術分野で周知である。非セルロースカチオン変性多糖類はまた、1種または複数の他の置換基(非イオン性、アニオン性およびカチオン性置換基など)の混合物を含有し得る。
【0073】
本発明によると、本発明の非セルロースカチオン変性多糖類と共にブレンド中で使用することができる機能性ポリマーの例には、水溶性ポリマー、例えば、アクリル酸ホモポリマー(Carbopol(登録商標)製品など)、ならびにアニオン性および両性アクリル酸コポリマー、ビニルピロリドンホモポリマーおよびカチオン性ビニルピロリドンコポリマー;非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性セルロースポリマー(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、およびカチオン性ヒドロキシプロピルセルロースなど);アクリルアミドホモポリマー、ならびにカチオン性、両性および疎水性アクリルアミドコポリマー、ポリエチレングリコールポリマーおよびコポリマー、疎水性ポリエーテル、疎水性ポリエーテルアセタール、疎水的変性ポリエーテルウレタン、ならびに会合性ポリマーと称される他のポリマー、疎水性セルロースポリマー、ポリエチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマー、ならびに非イオン性、アニオン性、疎水性、両性およびカチオン性多糖類、例えば、キサンタン、キトサン、カルボキシメチルグアー、アルギネート、アラビアゴム、非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性グアーポリマー(ヒドロキシプロピルグアー、疎水性グアーポリマー、カルボキシメチルグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、およびヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなど)が含まれる。
【0074】
合成高分子電解質と非セルロース多糖類の比は、重量に基づいて、99:1の多糖類:合成高分子電解質から1:99の多糖類:合成高分子電解質の範囲である。一般に、多糖類および合成高分子電解質の組合せは、5〜30重量%の合成高分子電解質および95〜70重量%の多糖類である。この組合せは、上記で考察した界面活性剤、溶媒および活性成分とブレンドして、改善された家庭用ケア組成物またはパーソナルケア組成物を配合することができる。
【0075】
合成カチオン性高分子電解質およびカチオン性多糖類を有する組成物は、ダメージを受けた毛髪以外の基質への油性成分の付着に特に適している。例えば、油性組成物とのこの組合せを使用することによって、油相の付着を約500ppmから約1200〜1500ppmに増加することができる。配合物中のより多くの油が実際に付着されるため、これによって配合物がより少ない油を使用することが可能となる。
【0076】
この組成物は、上記で考察したコンディショニング油または他のコンディショニング剤のいずれかを組み込むことができ、当然ながら、上記で考察した非コンディショニング有益剤のいずれかと共に用い、上記で考察したようなクリーニング組成物、パーソナルケア製品組成物、家庭用ケア製品組成物、または施設ケア製品組成物を配合することができる。
【0077】
本発明をより詳細に理解するために、下記の実施例を参照することができ、これらの参照は本発明のさらなる例示として意図するが、制限する意味では解釈されない。全ての部および割合は、特に断りのない限り重量による。
【0078】
(実施例)
糸のような態様の減少、および付着性能の改善を含めた美的性能の改善を達成するために、一連のより低分子量のカチオン性ポリアクリルアミドポリマーを、参照により以前に本明細書中に組み込まれている米国特許第7,375,173号に記載されている、断熱ゲル重合手順によって調製した。
【0079】
ブレンドの調製方法
Table 1(表1)の実施例10、11および12において、ブレンド材料の調製のために下記の一般法を使用した。この同じ方法を、実施例の項において記載した全てのブレンド材料の調製のために使用した。
【0080】
カチオン性グアーポリマーは、受入れたままの状態で使用した。本発明のカチオン性合成高分子電解質を、0.2ミクロンのConnidurスクリーンおよび8000RPMミルで操作するBlast Rotorと共に構成されるNetzsch Condux CUM150 Universal Millで粉砕し、粉末(50〜60μm)を生じさせた。カチオン性ポリアクリルアミドのすり潰した形態は、方法の項において記載しているような液体クロマトグラフィー法によって測定すると、本来のすり潰していない試料(183ppm)に対して減少した含量の残留アクリルアミドモノマー(12ppm)を有した。
【0081】
次いで、乾燥ポリマー粉末を、リボンブレンダーまたはLong Roll Jar Millを使用して機械的にブレンドした。25〜50重量%クエン酸水溶液の溶液を、相似の噴霧ブレンダー(Cuisinart14カップフードプロセッサー、Tuthillポンプ、スプレーガン、およびスケール)を使用して、ブレンドした混合物上に噴霧した。所望の水分(6〜8%水分)に達するために、流動床乾燥機を使用してブレンドを乾燥させた。
【0082】
ブレンドを、標準的NMR法を使用して均一性について試験した。
【0083】
(実施例1〜14)
12%ラウリルエーテル硫酸ナトリウム/2%コカミドプロピルベタイン界面活性剤系ブレンドを含有するシャンプー配合物において、Table 1(表1)における実施例2〜3に示されるように、高分子量高粘度カチオン性アクリルアミドポリマーを含有するシャンプー配合物は、長い溶解時間の後でさえ残留している未溶解のゲルを含有した。
【0084】
断熱ゲル重合過程によって調製したより低分子量のカチオン性アクリルアミドポリマーの溶解性は、実施例8および9における本発明のポリマーについて、このように得られたシャンプー配合物中のゲルおよび濁りがないこと(より高い透明性)によって示されるように有意に改善された。実施例8および9における本発明のポリマーは、溶媒重合(実施例5)または乳化重合過程(実施例4)によって調製されたより低いMWのカチオン性アクリルアミドポリマーと比較したときでさえ、シャンプー配合物において改善された溶解性および透明性を示す。
【0085】
実施例5におけるシャンプーは、このポリマーについての低い水性粘度または分子量に関わらず、長い溶解時間の後でさえ未溶解のゲルを含有したことに留意することは重要である。このポリマーは、実施例1〜3、および6〜9におけるポリマーのために使用した断熱ゲル重合過程ではなく、溶媒重合過程によって調製したことが決定された。
【0086】
シャンプーにおける改善された溶解性、および改善された性能のための標的分子量は、実施例8および9においてポリマー粘度として同定された。実施例8および9のポリマーは、Table 1(表1)の実施例4および5におけるポリマーと同様の粘度を有する。しかし、Table 1(表1)およびTable 2(表2)に示されるように、実施例8および9における本発明のポリマーは、Table 1(表1)およびTable 2(表2)に示されているものなど、シャンプーおよびボディーウォッシュ配合物などの界面活性剤をベースとする配合物中でより良好な透明性および溶解性を有する。
【0087】
Table 1(表1)におけるポリマー溶液粘度データを、ポリマー分子量の比較のために使用する。上記のように、実施例4および5のポリマーは、実施例8および9における本発明のポリマーと同様の粘度を有するが、実施例4および5のポリマーは、Table 1(表1)およびTable 2(表2)において600nmでの%透過率(%T)として表されるシャンプーの透明性値によって示されるように、界面活性剤をベースとする系中でのそれらの溶解性において本発明のポリマーと異なる。
【0088】
本発明のポリマーと実施例5のポリマーとの間のさらなる差異は、これらのポリマーをさらに区別する粒子形状および球状粒子含量の測定において留意された。PartAn2001L、光学画像分析システム、非球状パラメーター(NSP)を使用することによって、これらのポリマー粒子の形状係数を測定した。これらの測定は、実施例5のポリマーの粒子について、理想的球状から概ね14%のNSPの偏差を示し、本発明のポリマー(実施例7および9)について、概ね76%の偏差を示した。
【0089】
各シャンプーについてレオメーターで測定したストリングブレイクでのギャップ読み取りは、各シャンプーについての「糸のような」レオロジーの程度の尺度として使用される。Table 1(表1)における実施例5〜12についてのギャップ読み取りの比較によって、シャンプーのギャップ読み取り、および関連する「糸のような態様」は、実施例6における最も高い分子量のカチオン性アクリルアミドについてより大きく、実施例8および9におけるより低粘度のカチオン性アクリルアミドについてより小さかったことが結論付けられる。これらのアクリルアミドを有するカチオン性グアーブレンドの「糸のような」特徴はまた、実施例10>11>12の順番でカチオン性アクリルアミドの分子量が減少するにつれ減少する。Table 1(表1)における実施例13および14における本発明のポリマーはまた、US7375173に記載されているように、Table 1(表1)において使用されているシャンプー配合物において、低および中MWの両方のポリマーについて低いストリング値をもたらす。これらのポリマーによって透明な水溶液が生じ、この配合の不透明なシャンプーがもたらされた。
【0090】
Table 1(表1)における実施例9〜12の本発明のポリマーはまた、比較例1〜7と比較して非常に低い未反応アクリルアミドモノマーを有する。
【0091】
【表1A】

【0092】
【表1B】

【0093】
【表2】

【0094】
(実施例15〜19)
Table 2(表2)における実施例は、本発明のポリマーの改善されたシャンプー透明性をさらに示す。実施例18および19における本発明のポリマーは、3種の界面活性剤系において、%透過率値>95%によって示されるように、最良の透明性を示し、ゲルはほどんどないか、ない。実施例15における比較対照ポリマーは、かなりのゲルを示す。実施例16および17における比較対照ポリマーは、3種の内2種の界面活性剤系において、%透過率値90%未満によって示されるように、かなりのゲル、および透明性の減少を示す。
【0095】
(実施例20〜26)
皮膚、毛髪および布帛基質へのトリクロサン、ジンクピリチオンおよび他の亜鉛化合物などの抗菌活性剤および抗真菌活性化合物の付着の増強は興味深い。さらに、これらの基質上へのシリコーンおよび他のコンディショニング油および香料の付着効率性の改善はまた、興味深い。Table 3A(表3)に示すように、実施例22におけるシリコーンエマルジョン(Table 3B(表4))および本発明のポリマーを含有するモデル抗フケシャンプーは、実施例20における市販の抗フケシャンプー製品より、人工皮膚基質上に亜鉛を付着させる。さらに、実施例22における本発明のポリマーを含有するシャンプーは、実施例21におけるより高いMWのカチオン性アクリルアミドを含有するシャンプーと比較して、乾燥した毛髪のコンディショニング感触を改善し、シャンプーの「糸のような」感触を減少させた。さらに、実施例23における本発明のポリマーは、より多い合わせた亜鉛およびシリコーンをVitro-Skin基質にもたらす。実施例25と実施例26との比較は、実施例25において使用される実施例13のより低いMWのポリマーが、本発明のこのターポリマーについて、より多い合わせた亜鉛およびシリコーンをVitro-Skin基質にもたらすことを示す。
【0096】
(実施例27〜33)
Table 4(表6)における実施例は、カチオン性グアーポリマー単独と比較して、カチオン性グアーとカチオン性アクリルアミドとのブレンドを含有するシャンプーについて、毛髪上への改善されたシリコーン付着を示す。改善は、シャンプー中のシリコーン濃度が減少したときに特に注目された。Table 4(表6)に示すように、実施例30および31のブレンド組成物は、実施例29におけるカチオン性グアーと同等の湿った状態および乾燥した状態のコーミング性能を維持する一方で、実施例29における個々のカチオン性グアーポリマーより、1.5重量%シリコーン濃度で有意により多くのシリコーンを毛髪にもたらす。
【0097】
一般に、シリコーンは毛髪繊維の根元末端においてより優勢に付着し、よりコンディショニングを必要とする毛束の中央および先端部分により少なく付着するという点で、毛髪束上のシリコーンの分布はまた興味深い。Table 5(表7)における実施例32に示すように、実施例30のシャンプーは、毛髪繊維に沿ってシリコーンのより望ましい分布をもたらし、実施例29のカチオン性グアーシャンプー組成物を含有する実施例33におけるシャンプーより、繊維の根元末端により少なく付着し、ダメージを受けた毛髪繊維先端においてより多くのシリコーンを付着させる。
【0098】
毛束の長さに沿ったシリコーンの分布を、方法の項に記載されている「シリコーンマッピング」手順に従って測定した。
【0099】
【表3】

【0100】
【表4】

【0101】
【表5】

【0102】
【表6】

【0103】
【表7】

【0104】
【表8A】

【0105】
【表8B】

【0106】
(実施例34〜45)
本発明のカチオン性合成高分子電解質ポリマーの独特な増強された付着効率性は、ホホバ油またメドウフォーム種油を含有するコンディショニング界面活性剤組成物についてのTable 6(表8)における結果によってさらに示される。実施例40に示すように、本発明のポリマー(実施例30と同じポリマー)は、Table 6(表8)における全てのコンディショニングポリマーの大部分のホホバおよびメドウフォーム種油を毛髪にもたらす。実施例43における本発明の合成高分子電解質ポリマーはまた、多くの量のホホバ油、および実施例43におけるポリマーとほぼ同じ多くの量のメドウフォーム種油を毛髪にもたらす。
【0107】
実施例44についてのTable 6(表8)の結果と実施例43との比較に示されているように、本発明の合成高分子電解質ポリマーは、シャンプー中のメドウフォーム油の量を30%減少した後でさえ、同じ多くの量のメドウフォーム種油を毛髪束にもたらす。
【0108】
Table 6(表8)の実施例44に示すように、本発明の合成高分子電解質ポリマーを含有する界面活性剤系はまた、洗浄手順の後に、合成皮膚モデルに有意な量のホホバ油をもたらす。実施例39のカチオン性グアーのみが、この界面活性剤系から同様の量のホホバ油を皮膚モデル基質にもたらした。
【0109】
(実施例46〜60)
本発明の合成高分子電解質による漂白した/ダメージを受けた毛髪上へのシリコーンの付着の増強を、Table 7(表9)およびTable 8(表10-11)に示す。Table 7(表9)における実施例のために使用されるシャンプー配合物は、ヒドロキシ末端シリコーンマイクロエマルジョンを含有する、Table 6(表8)における実施例のために使用されるのと同じ配合物である。実施例49における本発明のポリマーは、500〜700ppmのシリコーンを漂白した毛髪基質上に付着する。実施例50および51における本発明のポリマーブレンドは、200〜300ppmのシリコーンを漂白した毛髪基質上に付着させる。比較例48におけるカチオン性グアーポリマーは、最大100ppmのシリコーンを漂白した毛髪基質上に付着させる。比較例47におけるカチオン性ヒドロキシエチルセルロースは、最大28ppmのシリコーンを漂白した毛髪基質上に付着させる。対照シャンプーは、10ppm未満のシリコーンを漂白した毛髪基質上に付着させる。これらの結果は、本発明のポリマーの改善されたコンディショニングおよび付着性能を示す。
【0110】
【表9】

【0111】
Table 8B(表11)における実施例を、Table 8A(表10)の成分を使用して調製した。実施例56および57における本発明のポリマーを含有するシャンプーで処理した茶色の毛髪試料のコンディショニングされた状態の改善、ならびにTable 8B(表11)における比較例と比較した、これらの配合物による漂白した毛髪に対するシリコーンの改善された付着は、本発明を示す。
【0112】
【表10】

【0113】
【表11A】

【0114】
【表11B】

【0115】
(実施例61〜63)
本発明のポリマーによる2-イン-1シャンプーからの未処理の茶色の毛髪へのシリコーンの独特な付着プロファイルを、図1および2に示す。図1において、毛髪を、シリコーン2-イン-1コンディショニングシャンプーによる処理の前に、ラウレス硫酸ナトリウム(2EO)界面活性剤で事前洗浄した。図2において、毛髪を、シリコーン2-イン-1コンディショニングシャンプーによる処理の前に、ラウレス硫酸ナトリウム(3EO)界面活性剤で事前洗浄した。実施例61は、実施例9の本発明のポリマーを含有する。実施例62は、実施例10において使用されたカチオン性グアーポリマーを含有し、実施例63は、実施例12の本発明のポリマーを含有する。図1における結果は、実施例12における本発明のポリマーが、実施例9および10のポリマーと比較して2倍の量のシリコーンを、未処理の茶色の毛束上に付着させることを示し、多くのシリコーンが毛髪繊維に沿って、中央および毛束の末端に広がる。しかし、実施例61において、シリコーンは、毛束の長さに沿ってより均一に付着し、毛髪束のダメージを受けた先端に広がる。
【0116】
【表12】

【0117】
単繊維接触角測定
Table 9(表12)に示すように、より大きな接触角が、実施例62のシャンプーで処理された毛髪と比較して、実施例61のシャンプーで処理された毛髪繊維の先端について観察される。この結果は、実施例62についての毛髪繊維の先端よりも、実施例61における毛髪繊維の先端が疎水性であることと一致する。このデータは、より多くのシリコーンが本発明のポリマーを含有する実施例61のシャンプーによって毛髪繊維の先端にもたらされることを示す、図1および2における結果を支持する。
【0118】
【表13】

【0119】
(実施例64〜69)
Table 10(表13)に示すように、実施例65、66、および67における本発明のポリマーは、対照リンス(ポリマーを含まない)と比較して、実施例68におけるカチオン性グアーリンスと比較して、および実施例69における市販のコンディショニングリンスと比較して、これらのポリマーを含有するコンディショニングリンスで処理した漂白した毛髪について、湿った状態および乾燥した状態のコーミングエネルギーを有意に減少させる。
【0120】
(実施例70〜80)
Table 11(表14)に示されるように、本発明のポリマーは、2-イン-1コンディショニングシャンプーからアモジメチコンコンディショニング剤を漂白した毛髪にもたらす。実施例76、77、79、および80における本発明のポリマーを含有するシャンプーで、実施例70におけるカチオン性シリコーンおよび実施例71におけるアモジメチコンを含有するポリマーを含まない対照で処理した毛髪についての漂白した毛髪に対するより低い湿った状態のコーミングエネルギー値は、アモジメチコンおよび本発明のポリマーの組合せによって毛髪束にもたらされるコンディショニングを示す。実施例76、77、79、および80における本発明のポリマーは、実施例72および73におけるカチオン性セルロースポリマーよりも、アモジメチコンコンディショニング剤によってより多くのコンディショニングを漂白した毛髪にもたらす。
【0121】
実施例74および75におけるカチオン性グアーポリマーはまた、これらのポリマーについて観察される低い湿った状態のコーミングエネルギーによって明らかなように、漂白した毛髪に良好なコンディショニングをもたらす。
【0122】
アモジメチコンレベルを50%減少させること(実施例79を80と比較し、実施例77を78と比較する)は、コーミングエネルギーが、アモジメチコンレベルを50%減少させた後でさえ、実施例79と比較して、実施例80のポリマーについて減少することを示す。アモジメチコンのよりさらなる減少が、良好なコンディショニング性能を維持する一方で実施例80のポリマーで達成できることを、この結果は示唆する。
【0123】
(実施例81〜101)
本発明のさらなるポリマーを、Table 12(表15)に示すように調製した。これらの組成物の選択したセットについて、Vitro Skin基質への亜鉛付着を、Table 3A(表3)に示される配合物の変更したバージョンを使用して試験した。
【0124】
Table 12(表15)に示すように、実施例104〜106における本発明のポリマーは、市販の対照抗フケシャンプーと比較して、および付着のために使用される市販のカチオン性グアーポリマーと比較して、2倍を超える量の亜鉛をVitro Skin基質上に付着させる。配合物中のシリコーンの粒径を低下させることは、Vitro Skin上に付着する亜鉛の量に影響を与えるが、本発明のポリマーは、市販のシャンプーおよびカチオン性グアーベンチマークポリマーよりさらに優れる。
【0125】
【表14】

【0126】
【表15A】

【0127】
【表15B】

【0128】
【表15C】

【0129】
【表16】

【0130】
標準的試験手順
湿ったおよび乾燥した毛髪のコーミング可能性測定は、シャンプーおよびコンディショナー用途におけるコンディショニング性能を測定するために使用する典型的な試験方法である。スキンケア用途において、皮膚の滑らかさ、または皮膚の摩擦の減少もしくはより柔らかな感触、水蒸気透過の減少および改善された皮膚の弾力は、皮膚のコンディショニングを測定するために使用する試験方法である。コンディショニング性能が望ましい界面活性剤をベースとする家庭用クレンジング製品配合物(食器洗剤、布帛柔軟剤、および静電防止製品など)において、コンディショニングとは、より柔らかな感触を布帛に与え、静電気作用を解消し、布帛繊維の破断もしくはけば立ちとして知られる変形を解消することを意味する。保色性を布帛に与えることはまた重要であり、測定することができる。
【0131】
毛髪束へのシャンプーからのシリコーン付着、および人工皮膚への亜鉛付着は、いくつかの技術によって測定することができる。毛髪へのシリコーン付着を定量化するために使用される1つの技術、および人工皮膚などの固体基質への亜鉛付着を定量化する1つの技術を下記に記載する。
【0132】
シリコーン付着測定
各2〜5グラムの毛髪束試料を、試料保持器を取り除いた後最も近いmgまで秤量し、概ね150mlの塩化メチレンと共に清潔な8オンスのジャー中に入れた。試料を、室温で1.5時間振盪した。塩化メチレン上清を、Whatman#41濾紙を使用して濾過し、清潔な8オンスのジャーに定量的に移し、穏やかな熱および窒素散布スパージによって蒸発乾燥させた。次いで、各試料を2mlのクロロホルム-dに溶解し、5mlの容量フラスコに定量的に移した。3回のクロロホルム-dリンスを使用して、各試料を5mlの容量フラスコに移した。全てのフラスコを溶媒によってマークまで希釈し、逆にした。各試料をNICOLET MAGNA550FT-IRにおいて、0.1cm-固定パスソルトセルを使用して、4cm-1分解能および0.4747速度での150の重ね合わせスキャン(co-added scans)で試験した。クロロホルム-d参照スペクトルを使用して、溶媒バンドを差し引いた(差異=1.0)。シリコーンレベルは、1260cm-1(ベースライン1286および1227cm-1)でのSi-CH3ストレッチのピーク高さを測定し、続いて10〜300百万分率(ppm)に及ぶ低レベル較正曲線を使用してシリコーンのmg/mlに変換することによって決定した。各試料を、希釈容量および試料重量について補正した。全ての値は、最も近いppmまで報告する。
【0133】
毛束長さに沿ったシリコーンマッピング
シリコーン付着の相対濃度を、表面赤外技術、減衰全反射法-赤外分光法(ATR-IR)を使用してマッピングした。この技術を使用して、毛髪繊維に沿ってシリコーンの表面付着を定性的にマッピングすることができる。ATRアクセサリーは、フーリエ変換赤外(FTIR)分光計と共に最も一般的に使用され、FTIR/ATRと称される。この技術は、ATR結晶角度、ATR結晶の屈折率、および試料の屈折率を含めたいくつかの要因によって、研究する分析物の深さが約0.3μmから4μmまたは5μmまで変化し得る表面分析法である。この技術は、3μmの深さまで表面層中のシリコーンの相対量を測定する。この研究において使用されるATR-IR技術は、796.5cm-1近くでのシリコーンバンドのピーク高さ(タンジェントベースライン)と、940.1cm-1〜919.9cm-1の毛髪参照バンドの領域スライス(タンジェントベースライン)の比を使用して、式1によって相対的表面シリコーンレベルを決定する。表面シリコーン測定のこの方法は、300ppm〜4000ppmの範囲に亘って全ての抽出されたシリコーンレベルと相関することが示された。比:796.5cm-1でのピーク高さ/ピーク面積(940.1cm-1〜919.9cm-1=相対的表面シリコーンレベル(検出限界=0.05)(式1)
【0134】
この技術を使用して、概ね10〜20の房の毛髪を、1mmの円形スポットで1回の測定で測定し得る。各毛束からの繊維束を、重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器を備えたThermo-Nicolet MAGNA*760FTIR分光計のGolden Gate* diamond ATRアクセサリー上に置く。赤外スペクトルを、毛束の上から始めて、下まで計測して、毛髪束上の12の異なる位置で集める。
【0135】
亜鉛およびコンディショニング油付着
Vitro-Skin試料上の亜鉛の測定
1グラムのシャンプーを、30mlガラスジャー中の20グラムの水上に層にする。磁気撹拌棒を使用して、混合物を10秒間撹拌する。混合物を、(製造者の指示によって)事前に水和させてある2.5平方cmのVitro-Skin(登録商標)(IMS Inc.、Portland、ME)の中心上に注ぎ、次いでブフナー漏斗上にて脱イオン水で事前に湿らせる。液体を、重力濾過によってVitro-Skinを通して濾過する。Vitro-Skinを、重力濾過によって脱イオン水(50ml、@40C)の3回のリンスですすぎ、3回目のすすぎを吸引器による真空下で行う。次いで、Vitro-Skin試料を漏斗から取り除き、一晩周囲温度で空気乾燥させる。次いで、Vitro-Skin試料を、X線蛍光を使用して亜鉛について分析する。
【0136】
ホホバおよびメドウフォーム種油の付着-定量化
毛髪束またはVitro Skin試料を、秤量し、100mlのヘプタンで2回抽出した。2つの抽出溶液を合わせ、蒸発乾燥させ、重量を記録した。
【0137】
単繊維張力計による測定
2-イン-1コンディショニングシャンプーで処理した毛髪の先端末端の疎水性を、Kruss42K100SF単繊維張力計を使用して決定し、水に浸漬するときの毛髪先端の水和性を測定した。
42 第三者が所有する商標。
【0138】
湿った/乾燥した状態のコーミング性能の測定-未処理のヨーロッパ人の中程度の茶色の毛髪およびヨーロッパ人の明るく漂白した中程度の茶色の毛髪の状態:
一定温度および湿度(72°Fおよび50%相対湿度)で測定した。
装置:
Instron1122(2ポンドロードセル、500グラム範囲を使用)
【0139】
事前洗浄手順:
各毛束をラウリル硫酸ナトリウム、SLS、または他のアニオン性界面活性剤、例えば、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)で2回洗浄した(0.1g〜5g界面活性剤/1グラム毛束を使用して、2回洗浄し、次いで一晩73°Fおよび50%相対湿度で空気乾燥させる)。2回洗浄した毛束を、大きな歯の櫛で5回および小さな歯の櫛で5回、手でコーミングした(全部で10回)。
【0140】
漂白した毛髪および未処理の毛髪について下記のコーミングプロトコルを使用した。2〜3の毛束を使用し、毛束毎に8回コーミングしたその2〜3の毛束から平均を報告し、上記のように測定前に毛束をさらに事前コーミングした。
【0141】
シャンプー手順
1.各毛束を、1グラムの毛束当たり0.1gのシャンプーで2回シャンプーした(全ての毛束は3.0gであった)。
2.各シャンプーした毛束を、大きな歯の櫛で2回、手でコーミングした。
3.手でコーミングした毛束を、Instron機器中に載せ、クロスヘッドをボトムストップまで下げた。毛束を、小さな歯の櫛で2回コーミングし、ダブルコーム中に置いた。
Instronは、標準条件下で操作した。
試験を行った後、毛束にDI水を噴霧し、水分を保った
4.8回の試験が終了した後、毛束を一晩つるした。
5.次の日に、各毛束を乾燥コーミングし、8回試験した。乾燥した毛束の手によるコーミングは行わなかった。
6.16回のInstron操作についての平均化した湿った状態のコーミングエネルギー、および標準偏差を伴う報告した平均。
7.16回のInstron操作についての平均化した乾燥した状態のコーミングエネルギー、および標準偏差を伴う報告した平均。
【0142】
カチオン性ポリアクリルアミドポリマー中の残留アクリルアミドモノマーの測定のためのHPLCイオン排除法
この方法は、カチオン性アクリルアミドポリマー中の平均化した未反応アクリルアミドを決定するために開発された。この方法は、Bio-Rad Aminex HPX87Hカラムおよび均一濃度の移動相(水中0.1Nの硫酸)を用いる。検出は、200nmでの紫外吸光検出器を使用して行う。
【0143】
装置
(1)液体クロマトグラフ、Agilent1200 Series Quaternary LCシステム、ダイオードアレイ検出器、オートサンプラー、サーモスタットを付けたカラムコンパートメントおよびChemStationソフトウェアまたは同等のものを備える、Agilent Technologies、2850、Centerville Road BU3-2、Wilmington、DE19808-1610(www.agilent.com/chemから入手可能。
(2)Bio-Rad Aminex HPX-87H、300mm×7.8mm、Bio-Rad Laboratories、Inc.、2000Alfred Nobel Drive、Hercules、CA94547(www.bio-rad.com)から入手可能、カタログ番号125-0140。
(3)Branson220音波バス、Branson Cleaning Equipment Company、P arrott Drive、Shelton、CTから入手可能、または同等のもの。
(5)オートサンプラーバイアル、2mL、VWR Internationalから入手可能、カタログ番号5182-0555または同等のもの。
(6)Vortex、モデルG-560Genie2-同書または同等のもの。
(7)化学天秤、0.1g〜最も近い0.00001g(100ミリグラム〜最も近い0.01ミリグラム)を秤量可能、Mettler-Toledo AX205または同等のもの。
【0144】
試薬
(1)脱イオン水、高純度 利用可能な最も高純度を使用する。脱イオン水は、MiIIi-Q Reagent Water System、Millipore Corporation、290Concord Rd.、Billerica、MA01821などのイオン交換清浄装置によって調製することができる。細菌増殖は避けなくてはならない。
(2)Burdick & Jackson HPLCグレードアセトニトリル Honeywell Burdick & Jackson、101Columbia Road、Morristown、NJ 07962から入手可能、カタログ番号015-4。
(3)アクリルアミド 99+%、電気泳動グレード、Sigma-Aldrich(www.sigma-aldrich.com)から入手可能、カタログ番号148660-500G。
(4)リン酸 85%、ACS試薬グレード(H3PO4、CAS7664-38-2)-同ホームページ、カタログ番号466123-25Gまたは同等のもの。
(5)抽出溶液 800mLのBurdick & Jacksonグレードのアセトニトリルを、200mLの高純度脱イオン水と混合する。溶液を室温に調節する。
【0145】
機器操作パラメーター
カラム Bio-Rad Aminex HPX-87H、300mm×7.8mm
移動相 均一濃度、水中0.01Nの硫酸
流量 0.5mL/分
カラム温度 50℃
注入量 50μL
検出器
ダイオードアレイ、モニターした波長:200nm、参照波長:550nm、バンド幅100nm。
【0146】
較正
(1)最も近い0.0001gまで100mLの容量フラスコ中に約0.02gのアクリルアミドを秤量する。
(2)抽出溶液(試薬5)、80/20アセトニトリル/水で、マークまで充填する。
(3)振盪し、アクリルアミドを溶解する。これによって約0.2mg/mLのアクリルアミド溶液を生じる。
(4)1mLの上記の溶液を100mLの容量フラスコ中にピペットで移す。
(5)抽出溶液(試薬5)、80/20アセトニトリル/水で、マークまで充填する。
(6)振盪し、溶液を混合する。これによって約0.002mg/mLのアクリルアミ溶液が生じる。
(7)クロマトグラフを操作条件とし、ブランク(試薬5)を注入する。
(8)クロマトグラフ操作条件とし、アクリルアミド標準液を注入する。
(9)標準液のクロマトグラムにおいてアクリルアミドについてのピーク面積を決定する。標準液のクロマトグラムを図1に示す。
【0147】
手順
(1)約0.1gの試料を最も近い0.0001gまで17mLのバイアルに秤量する。
(2)5mLの80/20アセトニトリル/水(試薬5)をバイアル中にピペットで移す。
(3)試料を音波バス中に15分間置く。
(4)ボルテックスして混合し、試料を室温と平衡させる。
(5)液体(必要に応じて濾過する)をHPLCオートサンプラーバイアル中にデカントする。
(6)クロマトグラフを操作条件とし、試料溶液を注入する。
(7)クロマトグラムにおいてアクリルアミドに相当するピークを同定し、ピーク面積を決定する。試料のクロマトグラムを図2に示す。
【0148】
計算
【0149】
【数1】

【0150】
式中、
As=試料クロマトグラム中に見出されるアクリルアミドピークの面積
Crs=参照標準液中のアクリルアミドの濃度(mg/mL)
Ars=参照標準クロマトグラム中に見出されるアクリルアミドピークの面積
Cs=試料の濃度(mg/mL)
である。
【0151】
報告
最も近い0.0001%まで試料中のアクリルアミドの重量%を報告する。
【0152】
上記の技術のいくつかの例を、漂白した毛髪および未処理の茶色の毛髪に対して標準的コーミングプロトコルを使用して、Table 1(表1)、シャンプー配合物Iにおいて下記の実施例1〜6において示した。この配合物は例としてのみ示し、他のシリコーン、または他の油(鉱油もしくは任意の他の一般に使用されるコンディショニング油など)、湿潤剤(グリセロールなど)、またはコンディショニング成分(パントテン酸または誘導体など)を含有する他の配合物を含むことができる。
【0153】
分子量
重量平均分子量は、水性サイズ排除クロマトグラフィーを使用して決定した。
【0154】
カチオン性ポリマーについてのサイズ排除分析の条件
ポリマーを約2mg/mlの濃度で移動相に溶解し、0.15mlの容量をカラムに注入した。
移動相:0.2Mの塩化ナトリウム/0.1%トリフルオロ酢酸、pH2
流量:0.8ml/分
カラム:Suprema Maxプレ-カラム+3000Å+100Å(8.0mm×300mm、100μm)カラム、直列
カラム温度:35℃
DRI検出器温度:35℃
光散乱光度計:感度×100
試料濃度:典型的には、移動相中2mg/ml(0.2%、他に断らない限り)
試料の調製:移動相中で最低1〜2時間撹拌する
試料溶液の外観:透明;混濁状である場合は書き留める
濾過:0.45μm、PVDFメンブランフィルター;濾過が困難である場合は書き留める
【0155】
カチオン性水溶性合成高分子電解質組成物は、毛髪、皮膚、歯、口腔粘膜、またはテキスタイル布帛などの基質上に高い効率性で付着することができ、基質に利益を与えることができる。基質への付着によって、カチオン性水溶性合成高分子電解質組成物はまた、状態を改善し、または基質の特徴を増強する他の成分を付着させることができる。本発明において有用なカチオン性水溶性合成高分子電解質組成物はまた、これらのポリマーがクリームおよびローションにおいて典型的には使用される油相をより良好にもたらし得るため、クレンジング配合物または保湿配合物から皮膚をコンディショニングする可能性を有する。
【0156】
驚いたことに、カチオン性水溶性合成高分子電解質組成物は、界面活性剤をベースとする配合物に許容されない「糸のような」特徴を与えることなしに、付着剤として性能を発揮するのに有用であることが見出された。カチオン性水溶性合成高分子電解質組成物は、界面活性剤系から毛髪への蓄積の減少、ダメージを受けた毛髪または漂白した毛髪を含めた全ての毛髪タイプへの毛髪繊維に沿ってシリコーン付着の改善された均一性、シリコーンおよび非シリコーンシャンプーからもたらされたときに、乾燥した状態のコーミングおよび摩擦測定によって測定した、毛髪の改善された滑らかさまたは柔らかさ、ならびに頭皮および毛髪への他の活性材料(染料または染色剤、ジンクピリチオン、香料、抗微生物材料など)の改善された付着を伴う付着剤として性能を発揮する。カチオン性水溶性合成高分子電解質組成物は、それらの組成物の一部として非セルロースカチオン変性多糖類と合わせることができる。この合わせたポリマー組成物は、高い有効性で付着し、毛髪/皮膚上に施された付着物に均一性を与えることができ、大きなコンディショニングの利益をケラチン基質に与えることができる。このようなポリマーは、ヘアスタイリング、ボディーローションおよび日焼け止め剤において他の利益を与える。
【0157】
本発明を好ましい実施形態を参照して記載してきたが、形態およびその詳細における変形および改変は、特許請求した本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができることを理解すべきである。このような変形および改変は、本明細書に添付の特許請求の趣旨および範囲内であると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)(メタ)アクリルアミドのポリマー、ならびに、i)カチオン性(メタ)アクリルアミドモノマー、およびii)カチオン性(メタ)アクリル酸モノマー、およびiii)加水分解安定性カチオン性モノマーの1つまたは複数を含むカチオン性合成水溶性高分子電解質であって、200万未満の重量平均分子量および0.001meg/g〜4meg/gの電荷密度;ならびに50ppm未満の未反応アクリルアミドモノマーのレベルを有する前記高分子電解質と、
2)界面活性剤と、
3)溶媒と
を含む、カチオン性高分子電解質配合物。
【請求項2】
前記高分子電解質が、断熱ゲル重合によって形成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の活性パーソナルケア成分または有益剤をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
0.01〜30重量%の高分子電解質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
0.01〜50%の界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
0.01〜99%の溶媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤が、アニオン性、カチオン性、非イオン性、双性イオン性、両性、ジェミニ型、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
非セルロースカチオン性多糖類をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
多糖類が、グアー、イナゴマメ、タラ、アメリカサイカチ、カシアガム、ゴウシュウアオギリ、キサンタムガム、ジェランガム、ウェランガム、ラムザンガム、コンニャクマンナン、アカシアゴム、ダイズ多糖類、キシロフルクトースガム、アルギネート、およびタマリンドガムからなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記活性パーソナルケア成分または有益剤が、コンディショニング剤を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記薬剤が、シリコーン油、ホホバ油、メドウフォーム種油、種油、グリセリン、皮膚軟化剤、または保湿剤である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記活性成分が、抗フケ剤を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
前記抗フケ剤が、ジンクピリチオン、セレン、または抗菌化合物である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
1)(メタ)アクリルアミドのポリマー、ならびにi)カチオン性(メタ)アクリルアミドモノマー、およびii)カチオン性(メタ)アクリル酸モノマー、およびiii)加水分解安定性カチオン性モノマーの1つまたは複数を含むカチオン性合成水溶性高分子電解質であって、200万未満の重量平均分子量および0.001meg/g〜4meg/gの電荷密度を有する前記高分子電解質と、
2)界面活性剤と、
3)溶媒と、
4)非セルロースカチオン性多糖類と
を含む、カチオン性高分子電解質配合物。
【請求項15】
重量に基づいて5:95〜95:5の合成水溶性高分子電解質と多糖類の比を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記活性成分が、有益剤を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記有益剤が、シリコーン油、ホホバ油、またはメドウフォーム種油、種油、植物油、グリセリン、皮膚軟化剤、または保湿剤である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
表面上に油を付着させる方法であって、
1)(メタ)アクリルアミドのポリマー、ならびに、i)カチオン性(メタ)アクリルアミドモノマー、およびii)カチオン性(メタ)アクリル酸モノマー、およびiii)加水分解安定性カチオン性モノマーの1つまたは複数を含むカチオン性合成水溶性高分子電解質であって、200万未満の重量平均分子量および0.001meg/g〜4meg/gの電荷密度を有する前記高分子電解質と、
2)界面活性剤と、
3)溶媒と、
4)活性パーソナルケア成分または有益剤と、
5)カチオン性多糖類と
を含む組成物を、前記表面上に施す工程と、
前記組成物を水で希釈し、前記表面上で希釈液を形成させる工程と、
前記希釈液を前記表面からすすぐ工程と
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−532223(P2012−532223A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517918(P2012−517918)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/040913
【国際公開番号】WO2011/003068
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】