発光素子の製造方法
【課題】半導体層の表面に形成される粗面の凹凸の形状及び分布を改善して、光取り出し効率を向上させる。
【解決手段】AlXInYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表される半導体層を備えた発光素子を製造するにあたり、半導体層の表面を、少なくとも半導体層のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギに相当する波長領域の光を照射しない状態で薬液によりウエットエッチングして粗面化するようにした。
【解決手段】AlXInYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表される半導体層を備えた発光素子を製造するにあたり、半導体層の表面を、少なくとも半導体層のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギに相当する波長領域の光を照射しない状態で薬液によりウエットエッチングして粗面化するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AlXGaYIn1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表される半導体層を備えた発光素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光素子として、GaN系の半導体層を有するLED(Light Emitting Diode)素子が知られている。このLED素子は、一般的に、サファイア基板上にAlNバッファ層を介し、n−GaN層、MQW(Multiple Quantum Well)層、p−GaN層がこの順で形成される。そして、n−GaN層とp−GaN層との間で通電することにより、MQW層から光が発せられる。
【0003】
このようなLED素子では、半導体層とこれを封止する媒体との屈折率差が大きいと、素子内で全反射が発生し易くなり、素子からの光取出し効率が低下する。この課題を解決すべく、半導体層の表面をナノオーダーで加工することが試みられているが、加工設備が大型化することに加え、比較的大きな面積のウェハやアレイ状に整列された複数のLED素子を加工する場合には、製造される全ての素子について安定して再現性よく表面を仕上げることは困難である。
【0004】
ここで、KOH水溶液を用いてエッチングによりLED素子の端面を非鏡面化するLED素子の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のLED素子は、成長基板としてサファイア基板でなくGaN基板が用いられ、素子端面をGaN基板のN面とともにエッチングにより非鏡面としている。
【0005】
また、GaNのエッチングについて、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)等のアルカリ水溶液でGaNをウエットエッチングする窒化物半導体レーザ素子が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の窒化物半導体レーザ素子は、電流狭窄層の形成にあたり、Al比率が高いAlGaNをアルカリ現像液であるTMAH水溶液でエッチングすることによって電流狭窄層を形成している。
【特許文献1】特開2005−223362号公報
【特許文献2】特開2005−019835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような発光素子の製造方法では、半導体層のエッチング作業は照明等を用いた環境で行われるため、エッチング作業時にバンドギャップエネルギより高い波長領域の光が半導体層へ入射してしまう。これにより、光励起によって半導体層の表面に電子と正孔の対が発生し、正孔が半導体層の結晶内で結合を切断するよう作用するため、電位の不均衡に起因する侵食の不均一性を回避することができない。この結果、図18に示すように、半導体層の表面に形成される粗面の凹凸の形状、加工精度の低下、及び分布が無秩序となり、微細な加工を精度よく行って光の取り出し効率を十分に向上させることができないという問題点があった。
【0007】
特許文献2に記載されるTMAH水溶液によるエッチングは、Al比率が高いAlGaN層であればエッチング可能であり、Al比率が低いAlGaN層もしくはGaN層ではエッチングされずエッチングストップ層として機能することが記載されている。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、半導体層の表面に形成される粗面の凹凸の形状及び分布を改善して、光取り出し効率を向上させることのできる発光素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明では、
AlXInYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表される半導体層を備えた発光素子を製造するにあたり、
前記半導体層の表面を、少なくとも該半導体層のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギに相当する波長領域の光を照射しない状態で薬液によりウエットエッチングして粗面化することを特徴とする発光素子の製造方法が提供される。
【0010】
この発光素子の製造方法によれば、エッチング作業時にバンドギャップエネルギよりも高いエネルギに相当する波長領域の光が半導体層に入射しないので、従来のように光励起によって半導体層の内部に電子と正孔の対が発生することはない。これにより、半導体層のエッチング時に、半導体層の結晶表面における結合の弱い部分から段階的にエッチングが進行する。そして、半導体層の表面が均一に侵食され、エッチング後に、結晶面を有する角錐状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面{10−1−1}が並んだ粗面を半導体層の表面に得ることができる。
【0011】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記薬液により粗面化される面がN面であることが好ましい。
【0012】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記薬液は、アルカリ水溶液であることが好ましい。
【0013】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記アルカリ水溶液は、KOH水溶液を含むことが好ましい。
【0014】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記KOH水溶液の温度は、60℃〜80℃であることが好ましい。
【0015】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記KOH水溶液の濃度は、0.5〜4.0mol/lであることが好ましい。
【0016】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記KOH水溶液の濃度は、1.0〜2.0mol/lであることが好ましい。
【0017】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記アルカリ水溶液は、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を含むことが好ましい。
【0018】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液の温度は、35℃〜70℃であることが好ましい。
【0019】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液の温度は、55℃〜65であることが好ましい。この水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液の濃度は2.38%以上が好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、結晶面を有する角錐状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面が並んだ粗面が半導体層の表面に形成され、半導体層から出射される光が各凸部の結晶面から取り出されるので、従来に比して光取り出し効率が格段に向上する。また、比較的大きな面積のウェハや例えばアレイ状に整列された複数のチップ状の素子をエッチング処理する場合などでは、半導体層の表面に電位差が生じやすいところ、電位差に起因する侵食の不均一性を的確に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1から図10は本発明の第1の実施形態を示すもので、図1はLED素子の概略模式断面図である。
【0022】
図1に示すように、発光素子としてのLED素子2は、導電性の支持基板21の表面に、導電性接合材30及び導電性反射膜27を介して、p−GaN層25、MQW層24及びn−GaN層23をこの順に有する半導体層26が形成される。そして、p電極28が支持基板21の裏面に、n電極29がn−GaN層23上に設けられる。LED素子2は、青色領域にピーク波長を有する光を出射する。本実施形態においては、ピーク波長は460nmである。
【0023】
このLED素子2の製造方法について説明する。
まず、成長基板上にバッファ層を介してn−GaN層23、MQW層24及びp−GaN層25をこの順に形成して半導体層26を形成する。次に、p−GaN層25の上にAg等の反射性金属を含む導電性反射膜27を形成し、Si、Al、Cu等の別体の導電性支持基板21を最上層の導電性反射膜27にAuSn等の導電性接合材30で接合する。そして、成長基板側からバッファ層とn−GaN層23との界面付近にレーザーを照射して成長基板及びバッファ層を分離させる。この分離により露出したn−GaN層23のN面にのN面にアルカリ水溶液を用いた粗面化処理を適用する。この後、n−GaN層23の上にn電極29を形成し、支持基板21の裏面側とp電極28を形成することにより、図1のLED素子2を得ることができる。
【0024】
本実施形態においては、成長基板としてサファイア基板が用いられる。尚、成長基板はこれに限定されることはなく、スピネル、シリコン、炭化シリコン、酸化亜鉛、窒化ガリウム等のIII族窒化物系化合物半導体からなる単結晶基板を用いてもよい。
【0025】
バッファ層は、AlNを用いてMOCVD法で形成される。バッファ層はこれに限定されることはなく、材料としてはGaN、InN、AlGaN、InGaN及びAlInGaN等を用いてもよいし、製法としては分子線結晶成長法(MBE法)、ハイドライド系気相成長法(HVPE法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、電子シャワー法等を用いてもよい。ここで、成長基板としてIII族窒化物系化合物半導体単結晶を用いた場合は、バッファ層を省略してもよい。
【0026】
n−GaN層23は、n型不純物としてSiをドープしたGaNからなる。本実施形態においてはn−GaN層23をGaNで形成しているが、AlGaN、InGaN又はAlInGaNを用いてもよい。また、n−GaN層23にn型不純物としてSiをドープしているが、n型不純物としてGe、Se、Te、C等を用いてもよい。
【0027】
MQW層24は、所定数のペアのQWからなる。具体的に、MQW層24は、複数の青色発光層と、これらの間に介在するバリア層とを有している。各青色発光層は組成がIn0.2Ga0.8Nであり、バリア層は組成がGaNである。
【0028】
p−GaN層25は、p型不純物としてMgをドープしたGaNからなる。本実施形態においてはp−GaN層25をGaNで形成しているが、AlGaN、InGaN又はAlInGaNを用いてもよい。また、p型不純物としてMgをドープしているが、p側不純物としてZn、Be、Ca、Sr、Ba等を用いてもよい。
【0029】
n電極29は、V/Alの2層で構成される。
また、p電極28は、Ti/Ni/Auの3層で構成される。
【0030】
本実施形態のLED素子2の製造方法では、全ての波長領域の光を遮光した状態で、薬液を用いてウエットエッチングすることにより、LED素子2の半導体層26の表面を微細に加工し粗面化する。ここで、同条件で作製した粗面化処理前のLED素子2のサンプルを複数用意し、薬液としてのKOH水溶液の温度及び濃度を変えて、半導体層26の表層のn−GaN層23をエッチングして試料を作製した。
【0031】
試料の作製にあたって、KOH水溶液の濃度条件を6段階に、KOH水溶液の温度条件を4段階にそれぞれ変化させ、計24の条件で得られた試料の光量を測定した。ここで、暗室にてエッチング作業を行うことで、エッチング時に試料へ光が入射しないようにした。そして、各条件ごとに2つのサンプルについて同時に10分間エッチングを行った。具体的に、濃度条件は、0.1mol/L、0.5mol/L、1.0mol/L、2.0mol/L、4.0mol/L及び8.0mol/Lとし、温度条件は、20℃、40℃、60℃及び80℃としている。試料作製後、各試料に同様の電流を流して積分球にて光量を測定した。図2に、1から48までの番号が付された試料について、各試料が作製されたKOH水溶液の濃度及び温度条件と、得られた光量の相対値についての表を示す。図3には、各試料の光量の相対値を縦軸としたグラフを示す。ここで、図2及び図3では、各試料の光量で最大のものを1としたときの、各試料の相対的な光量を示している。
【0032】
図3に示すように、濃度条件が0.5〜4.0mol/Lの範囲で、かつ、温度条件が60℃〜80℃の範囲で作製された試料については、いずれも光量の相対値が0.9を超えている。温度条件が20℃〜40℃の範囲で作製された試料については、濃度条件によらず光量の相対値が低い。また、濃度条件が4.0mol/Lを超えて8.0mol/Lとなると、4.0mol/Lまでは光量が良好であった60℃及び80℃であっても、光量が低下する傾向にある。
【0033】
図4から図9はKOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層26のn−GaN層23の写真であり、図4は濃度条件が0.1mol/Lで温度条件が80℃のもの、図5は濃度条件が0.5mol/Lで温度条件が80℃のもの、図6は濃度条件が1.0mol/Lで温度条件が80℃のもの、図7は濃度条件が2.0mol/Lで温度条件が80℃のもの、図8は濃度条件が4.0mol/Lで温度条件が80℃のもの、図9は濃度条件が8.0mol/Lで温度条件が80℃のものを示す。
【0034】
図4から図9に示すように、遮光した状態で、KOH水溶液により半導体層26の表層のn−GaN層23をエッチングすると、半導体層26の表面に凸部が形成された粗面を得ることができる。ここで、エッチング作業時に半導体層26のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギに相当する波長領域の光が半導体層26に入射しないので、従来のように光励起によって半導体層26の内部に電子と正孔の対が発生することはない。これにより、半導体層26のエッチング時に、半導体層26の結晶表面における結合の弱い部分から段階的にエッチングが進行する。そして、半導体層26の表面が均一に侵食され、図4から図9に示すように、エッチング後に、結晶面を有する角錐状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面が並んだ粗面を半導体層26の表面に得ることができる。
【0035】
ここで、半導体層26における光励起について図10を参照しつつ説明する。図10は、LED素子におけるp−GaN層及びn−GaN層の組成のGaN並びに発光層の組成のIn0.2Ga0.8Nの波長と消衰係数の関係を示すグラフである。
図10に示されるように、GaNについては390nmより長波長の光で消衰係数が0となり、In0.2Ga0.8Nについては460nmより長波長の光で消衰係数が0に近づく。ここで、GaN及びIn0.2Ga0.8Nのバンドギャップエネルギ(Eg)は、スペクトルの吸収端から次式1より求めた値で各々3.5eV(390nm)及び2.8eV(460nm)であり、上記の波長に対応する。
α(hν)=A(hν−Eg)1/2…(式1)
ここで、αは吸収係数、hはプランク定数、νは光の振動数、Aは定数である。消衰係数が0に近づくと、光吸収がほとんどないので、半導体での光励起による電子と正孔の対の生成量が減る。本実施の形態では、半導体層の表層に相当するGaN層をエッチングする場合、GaNのEgに相当する390nmより短波長の光を照射しないようにすればよいし、発光層までエッチングする場合、In0.2Ga0.8NのEgに相当する460nmより短波長の光を照射しないようにすればよい。すなわち、半導体層26の層構成の中でEgが最も小さい発光層のEgに相当する460nmより短波長の光を照射しないようにすることが好ましい。ここで、一般的にエッチング作業において照明に用いられる蛍光灯は、水銀のプラズマ励起波長253.7nmの光で可視光領域の蛍光体を発光させるので、蛍光灯照射下で作業を行うと、エッチングにバラツキが生じ、図4〜図9に示すような粗面を得ることは困難である。
【0036】
図4に示すように、濃度条件が0.1mol/Lである場合は、図17に示す従来の粗面よりは改善がみられるものの、半導体層26の表面に平坦な部分が残存し、凸部の形状が不均一であり、各凸部の形状も無秩序となっている。また、図5に示すように、濃度条件が0.5mol/Lである場合には、0.1mol/Lのものに対して改善がみられ、均一な形状の凸部が得られるものの、半導体層26の表面に平坦な部分が残存している。これに対し、図4〜図9に示すように、濃度条件が1.0〜8.0mol/Lである場合には、半導体層26の表面に平坦な部分が残存させることなく、かつ、均一な形状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面が並んだ粗面を得ることができる。すなわち、KOH水溶液の濃度が低くなると凸部が不均一となり、半導体層26の表面の平坦部が増加する傾向にある。
【0037】
また、図8及び図9に示すように、濃度条件が4.0〜8.0mol/Lである場合には、他の濃度条件に比して各凸部の表面に微小な凹凸が比較的多く形成される。これに対し、図6及び図7に示すように、濃度条件が1.0〜2.0mol/Lである場合には、各凸部の表面に形成される微小な凹凸は存在しないか比較的少なくなっている。図3のグラフにおいて、濃度条件が4.0mol/Lを超えて8.0mol/Lとなって光量が低下する原因は、この微小な凹凸に起因するものである。
【0038】
このように、第1の実施形態のLED素子2の製造方法によれば、エッチング作業時に半導体層26のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギの波長領域の光が半導体層26に入射しないので、エッチング後に結晶面を有する角錐状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面が並んだ粗面を半導体層26の表面に得ることができ、MQW層24から放射される光を半導体層26の内部で反射させることなく効率良くLED素子2の外部へ放射することができる。また、比較的大きな面積のウェハや例えばアレイ状に整列された複数のチップ状の素子をエッチング処理する場合などでは、電位差が生じやすい半導体層26の表面において、電位差に起因する侵食の不均一性を確実に回避することができる。
【0039】
特に、図3に示すように、KOH水溶液の濃度を0.5〜4.0mol/Lとすると安定的にエッチングされた結晶面の凹凸加工面からの取り出し光量が向上することが確認された。また、KOH水溶液の温度を60℃〜80℃とすることによっても安定的に取り出し光量が向上することが確認された。
【0040】
また、KOH水溶液の濃度を1.0〜2.0mol/Lとすると、半導体層26の表面に平坦な部分が残存させることなく、均一な形状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面が並んだ粗面を得ることができ、なおかつ各凸部の表面に微小な凹凸が存在しないか比較的少なくすることができ、光取出し効率を的確に向上させることができる。
【0041】
尚、前記実施形態においては、全ての波長領域の光を遮光した状態でエッチングを行うものを示したが、半導体層26のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギに相当する波長領域の光を遮光した状態であれば、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、前記実施形態のLED素子2では、完全に光を遮光せずとも、460nm以上である緑色光、赤色光等の照明下で作業しても、結晶面を有する角錐状の凸部が規則的に並んだ粗面を得ることができる。
【0042】
また、前記実施形態においては、青色光を発するLED素子2を示したが、緑色光を発するLED素子2に本発明を適用することが可能である。この場合も、光を完全に遮光してエッチング作業を行うか、赤色光の照明下でエッチング作業を行うようにすればよい。
【0043】
また、前記実施形態においては、薬液としてKOH水溶液を用いたものを示したが、例えば、NaOH水溶液、NH3水溶液等のような他のアルカリ水溶液であってもよいし、さらには半導体層26をエッチング可能であれば酸水溶液を用いてもよい。また、溶媒として水以外を用いてもよいことは勿論である。
【0044】
例えば、他のアルカリ水溶液として、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を用いることができる。以下に、図1で説明したLED素子2を形成するにあたり、レーザー照射に基づいてサファイア基板から分離させたn−GaN層23に対する粗面化処理について説明する。
【0045】
図11から図15は、本発明の第2の実施形態を示すもので、図11はTMAH水溶液を用いたウエットエッチングによる微細加工について示す図である。
【0046】
本実施形態のLED素子2の製造方法では、第1の実施形態と同様に全ての波長領域の光を遮光した状態で、所定の温度に加熱したTMAH水溶液を用いてウエットエッチングを行った。第2の実施形態におけるTMAH水溶液の濃度は2.38%である。これは、半導体製造プロセスで通常使用されるフォトレジストの現像液の濃度と同じものである。このTMAH水溶液を用い、同条件で作製したLED素子2のサンプルを複数用意し、TMAH水溶液の温度を変えて、n−GaN層23の表面をエッチングして試料を作製した。エッチングによる微細加工時間は10分とした。
【0047】
図11は、1から22までの番号が付された試料について各試料の微細加工時の温度条件と、光取り出し効率の測定における通電条件、微細加工前の全放射束、微細加工後の全放射束、および全放射束の微細加工前後比を示す図である。
【0048】
図12は、図11に示す各試料についての全放射束の微細加工前後比を縦軸とした微細加工温度の変化について示すグラフである。同図においては、各温度条件毎に2つの試料について得られた全放射束の微細加工前後比について示している。
【0049】
図12に示すように、TMAH水溶液の温度が35℃以上で全放射束の向上が確認され、特に55〜65℃で微細加工前後比1.4以上の好ましい加工性が得られている。これは、レーザー照射に基づいてサファイア基板から分離させたn−GaN層23の表面、つまりGaN結晶のN面におけるTMAH水溶液の侵食が良好に進んでいることを示している。尚、微細加工温度が70℃で全放射束が低下する傾向が見られるものの、微細加工前後比1.3以上が得られている。
【0050】
このように、Al比率がAlGaN層もしくはGaN層であっても、TMAH水溶液の濃度と温度の関係を上記した設定条件とする方法により、レーザー照射によって基板をリフトオフしたGaN層表面のエッチングが可能となる。
【0051】
図13Aから図13Dは、TMAH水溶液により微細加工時間を変化させてエッチング処理を行った後のn−GaN層の表面を示す写真である。
【0052】
図13Aは、温度条件が60℃で微細加工時間が10分のもの、図13Bは、温度条件が60℃で微細加工時間が15分のもの、図13Cは、温度条件が60℃で微細加工時間が20分のもの、図13Dは、温度条件が60℃で微細加工時間が25分のものを示す。
【0053】
図14Aから図14Dは、図13Aから図13Dに示したn−GaN層の表面を45°の角度から見た状態を示す写真である。
【0054】
図14Aから図14Dに示すように、微細加工時間が長くなるにつれてn−GaN層の表面の粗面化が進行して、平坦な部分の残存が小になる傾向を示す。このことから、TMAH水溶液の温度を維持した状態で10分以上の微細加工時間の条件とすることにより、均一な形状の凸部が規則的に並んだ粗面を得ることができ、光取出し効率を向上させることができる。
【0055】
尚、第2の実施形態においても、完全に遮光した状態でなくとも光照射量を極力下げた条件下でも結晶面を有する角錐状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面が並んだ粗面を得ることが可能である。
【0056】
図15Aおよび図15Bは、n−GaN層の表面に365nmの光を照射した状態でTMAH水溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示す写真である。図15Aは、温度条件が60℃で微細加工時間が10分のもの、図15Bは、温度条件が60℃で微細加工時間が30分のものである。
【0057】
図15Aおよび図15Bに示すように、365nmの光照射については、n−GaN層の侵食が促進されるが、n−GaN層の内部における電子と正孔の対が発生し、時間の経過とともに角錐状の凸部が不規則に並んだ粗面が得られるものの、結晶が侵食して角錐形状が崩れた不安定形状となる。尚、温度条件60℃、微細加工時間10分の条件においては、図15Cに示す比較例としてKOH溶液を用いてn−GaN層の表面に同様に365nmの光照射を行ったものと同等以上の角錐状の凸部が得られている。
【0058】
このように、図15Aに示す365nm,10分の光照射条件におけるエッチングでは、一見するとKOH水溶液による光照射なしのエッチングと同等の好ましい結果が得られているように見えるが、図15Bに示す365nm,30分の光照射状態でのエッチングによる微細加工では、KOH水溶液による10分の光照射条件でのエッチングと同様に結晶面が出ず、角錐が崩れて面を成さないことから、不均一度が顕著になる。このことから、エッチング時に光照射しないことが好ましい。
【0059】
図16Aおよび図16Bは、遮光状態でTMAH水溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示す写真である。図16Aは、温度条件が60℃で微細加工時間が10分のもの、図16Bは、温度条件が60℃で微細加工時間が30分のものである。この遮光状態においても、光照射条件と同様の角錐状の凸部が規則的に並んだ粗面が得られており、KOH水溶液を用いた場合のエッチングと同じ傾向を示す。
【0060】
このように、第2の実施形態のLED素子2の製造方法によれば、KOH水溶液に代わる他のアルカリ水溶液として、半導体製造プロセスで通常使用される入手の容易で安価なTMAH水溶液を用いることで、KOH水溶液と同様にGaN表面に対するナノオーダーの微細加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すLED素子の概略模式断面図である。
【図2】各試料が作製されたKOH水溶液の濃度及び温度条件と、得られた光量の相対値についての表である。
【図3】各試料の光量の相対値を縦軸としたグラフを示す。
【図4】KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真であり、濃度条件が0.1mol/Lで温度条件が80℃のものである。
【図5】KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真であり、濃度条件が0.5mol/Lで温度条件が80℃のものである。
【図6】KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真であり、濃度条件が1.0mol/Lで温度条件が80℃のものである。
【図7】KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真であり、濃度条件が2.0mol/Lで温度条件が80℃のものである。
【図8】KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真であり、濃度条件が4.0mol/Lで温度条件が80℃のものである。
【図9】KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真であり、濃度条件が8.0mol/Lで温度条件が80℃のものである。
【図10】LED素子におけるp−GaN層及びn−GaN層の組成のGaN並びに発光層の組成のIn0.2Ga0.8Nの波長と消衰係数の関係を示すグラフである。
【図11】TMAH水溶液を用いたウエットエッチングによる微細加工について示す図である。
【図12】図11に示す各試料についての全放射束の微細加工前後比を縦軸とした微細加工温度の変化について示すグラフである。
【図13A】TMAH水溶液により微細加工時間を変化させてエッチング処理を行った後のn−GaN層の表面を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が10分のものを示す写真である。
【図13B】TMAH水溶液により微細加工時間を変化させてエッチング処理を行った後のn−GaN層の表面を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が15分のものを示す写真である。
【図13C】TMAH水溶液により微細加工時間を変化させてエッチング処理を行った後のn−GaN層の表面を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が20分のものを示す写真である。
【図13D】TMAH水溶液により微細加工時間を変化させてエッチング処理を行った後のn−GaN層の表面を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が25分のものを示す写真である。
【図14A】図13Aに示したn−GaN層の表面を45°の角度から見た状態を示す写真である。
【図14B】図13Bに示したn−GaN層の表面を45°の角度から見た状態を示す写真である。
【図14C】図13Cに示したn−GaN層の表面を45°の角度から見た状態を示す写真である。
【図14D】図13Dに示したn−GaN層の表面を45°の角度から見た状態を示す写真である。
【図15A】n−GaN層の表面に365nmの光を照射した状態でTMAH水溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が10分のものを示す写真である。
【図15B】n−GaN層の表面に365nmの光を照射した状態でTMAH水溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が30分のものを示す写真である。
【図15C】比較例としてn−GaN層の表面に365nmの光を照射した状態でKOH溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が30分のものを示す写真である。
【図16A】遮光状態でTMAH水溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が10分のものを示す写真である。
【図16B】遮光状態でTMAH水溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が30分のものを示す写真である。
【図17】従来例を示すものであって、KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真である。
【符号の説明】
【0062】
2 LED素子
21 支持基板
23 n−GaN層
24 MQW層
25 p−GaN層
26 半導体層
27 反射膜
28 p電極
29 n電極
30 接合材
【技術分野】
【0001】
本発明は、AlXGaYIn1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表される半導体層を備えた発光素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光素子として、GaN系の半導体層を有するLED(Light Emitting Diode)素子が知られている。このLED素子は、一般的に、サファイア基板上にAlNバッファ層を介し、n−GaN層、MQW(Multiple Quantum Well)層、p−GaN層がこの順で形成される。そして、n−GaN層とp−GaN層との間で通電することにより、MQW層から光が発せられる。
【0003】
このようなLED素子では、半導体層とこれを封止する媒体との屈折率差が大きいと、素子内で全反射が発生し易くなり、素子からの光取出し効率が低下する。この課題を解決すべく、半導体層の表面をナノオーダーで加工することが試みられているが、加工設備が大型化することに加え、比較的大きな面積のウェハやアレイ状に整列された複数のLED素子を加工する場合には、製造される全ての素子について安定して再現性よく表面を仕上げることは困難である。
【0004】
ここで、KOH水溶液を用いてエッチングによりLED素子の端面を非鏡面化するLED素子の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のLED素子は、成長基板としてサファイア基板でなくGaN基板が用いられ、素子端面をGaN基板のN面とともにエッチングにより非鏡面としている。
【0005】
また、GaNのエッチングについて、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)等のアルカリ水溶液でGaNをウエットエッチングする窒化物半導体レーザ素子が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の窒化物半導体レーザ素子は、電流狭窄層の形成にあたり、Al比率が高いAlGaNをアルカリ現像液であるTMAH水溶液でエッチングすることによって電流狭窄層を形成している。
【特許文献1】特開2005−223362号公報
【特許文献2】特開2005−019835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような発光素子の製造方法では、半導体層のエッチング作業は照明等を用いた環境で行われるため、エッチング作業時にバンドギャップエネルギより高い波長領域の光が半導体層へ入射してしまう。これにより、光励起によって半導体層の表面に電子と正孔の対が発生し、正孔が半導体層の結晶内で結合を切断するよう作用するため、電位の不均衡に起因する侵食の不均一性を回避することができない。この結果、図18に示すように、半導体層の表面に形成される粗面の凹凸の形状、加工精度の低下、及び分布が無秩序となり、微細な加工を精度よく行って光の取り出し効率を十分に向上させることができないという問題点があった。
【0007】
特許文献2に記載されるTMAH水溶液によるエッチングは、Al比率が高いAlGaN層であればエッチング可能であり、Al比率が低いAlGaN層もしくはGaN層ではエッチングされずエッチングストップ層として機能することが記載されている。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、半導体層の表面に形成される粗面の凹凸の形状及び分布を改善して、光取り出し効率を向上させることのできる発光素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明では、
AlXInYGa1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表される半導体層を備えた発光素子を製造するにあたり、
前記半導体層の表面を、少なくとも該半導体層のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギに相当する波長領域の光を照射しない状態で薬液によりウエットエッチングして粗面化することを特徴とする発光素子の製造方法が提供される。
【0010】
この発光素子の製造方法によれば、エッチング作業時にバンドギャップエネルギよりも高いエネルギに相当する波長領域の光が半導体層に入射しないので、従来のように光励起によって半導体層の内部に電子と正孔の対が発生することはない。これにより、半導体層のエッチング時に、半導体層の結晶表面における結合の弱い部分から段階的にエッチングが進行する。そして、半導体層の表面が均一に侵食され、エッチング後に、結晶面を有する角錐状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面{10−1−1}が並んだ粗面を半導体層の表面に得ることができる。
【0011】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記薬液により粗面化される面がN面であることが好ましい。
【0012】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記薬液は、アルカリ水溶液であることが好ましい。
【0013】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記アルカリ水溶液は、KOH水溶液を含むことが好ましい。
【0014】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記KOH水溶液の温度は、60℃〜80℃であることが好ましい。
【0015】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記KOH水溶液の濃度は、0.5〜4.0mol/lであることが好ましい。
【0016】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記KOH水溶液の濃度は、1.0〜2.0mol/lであることが好ましい。
【0017】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記アルカリ水溶液は、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を含むことが好ましい。
【0018】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液の温度は、35℃〜70℃であることが好ましい。
【0019】
また、上記発光素子の製造方法において、
前記水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液の温度は、55℃〜65であることが好ましい。この水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液の濃度は2.38%以上が好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、結晶面を有する角錐状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面が並んだ粗面が半導体層の表面に形成され、半導体層から出射される光が各凸部の結晶面から取り出されるので、従来に比して光取り出し効率が格段に向上する。また、比較的大きな面積のウェハや例えばアレイ状に整列された複数のチップ状の素子をエッチング処理する場合などでは、半導体層の表面に電位差が生じやすいところ、電位差に起因する侵食の不均一性を的確に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1から図10は本発明の第1の実施形態を示すもので、図1はLED素子の概略模式断面図である。
【0022】
図1に示すように、発光素子としてのLED素子2は、導電性の支持基板21の表面に、導電性接合材30及び導電性反射膜27を介して、p−GaN層25、MQW層24及びn−GaN層23をこの順に有する半導体層26が形成される。そして、p電極28が支持基板21の裏面に、n電極29がn−GaN層23上に設けられる。LED素子2は、青色領域にピーク波長を有する光を出射する。本実施形態においては、ピーク波長は460nmである。
【0023】
このLED素子2の製造方法について説明する。
まず、成長基板上にバッファ層を介してn−GaN層23、MQW層24及びp−GaN層25をこの順に形成して半導体層26を形成する。次に、p−GaN層25の上にAg等の反射性金属を含む導電性反射膜27を形成し、Si、Al、Cu等の別体の導電性支持基板21を最上層の導電性反射膜27にAuSn等の導電性接合材30で接合する。そして、成長基板側からバッファ層とn−GaN層23との界面付近にレーザーを照射して成長基板及びバッファ層を分離させる。この分離により露出したn−GaN層23のN面にのN面にアルカリ水溶液を用いた粗面化処理を適用する。この後、n−GaN層23の上にn電極29を形成し、支持基板21の裏面側とp電極28を形成することにより、図1のLED素子2を得ることができる。
【0024】
本実施形態においては、成長基板としてサファイア基板が用いられる。尚、成長基板はこれに限定されることはなく、スピネル、シリコン、炭化シリコン、酸化亜鉛、窒化ガリウム等のIII族窒化物系化合物半導体からなる単結晶基板を用いてもよい。
【0025】
バッファ層は、AlNを用いてMOCVD法で形成される。バッファ層はこれに限定されることはなく、材料としてはGaN、InN、AlGaN、InGaN及びAlInGaN等を用いてもよいし、製法としては分子線結晶成長法(MBE法)、ハイドライド系気相成長法(HVPE法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、電子シャワー法等を用いてもよい。ここで、成長基板としてIII族窒化物系化合物半導体単結晶を用いた場合は、バッファ層を省略してもよい。
【0026】
n−GaN層23は、n型不純物としてSiをドープしたGaNからなる。本実施形態においてはn−GaN層23をGaNで形成しているが、AlGaN、InGaN又はAlInGaNを用いてもよい。また、n−GaN層23にn型不純物としてSiをドープしているが、n型不純物としてGe、Se、Te、C等を用いてもよい。
【0027】
MQW層24は、所定数のペアのQWからなる。具体的に、MQW層24は、複数の青色発光層と、これらの間に介在するバリア層とを有している。各青色発光層は組成がIn0.2Ga0.8Nであり、バリア層は組成がGaNである。
【0028】
p−GaN層25は、p型不純物としてMgをドープしたGaNからなる。本実施形態においてはp−GaN層25をGaNで形成しているが、AlGaN、InGaN又はAlInGaNを用いてもよい。また、p型不純物としてMgをドープしているが、p側不純物としてZn、Be、Ca、Sr、Ba等を用いてもよい。
【0029】
n電極29は、V/Alの2層で構成される。
また、p電極28は、Ti/Ni/Auの3層で構成される。
【0030】
本実施形態のLED素子2の製造方法では、全ての波長領域の光を遮光した状態で、薬液を用いてウエットエッチングすることにより、LED素子2の半導体層26の表面を微細に加工し粗面化する。ここで、同条件で作製した粗面化処理前のLED素子2のサンプルを複数用意し、薬液としてのKOH水溶液の温度及び濃度を変えて、半導体層26の表層のn−GaN層23をエッチングして試料を作製した。
【0031】
試料の作製にあたって、KOH水溶液の濃度条件を6段階に、KOH水溶液の温度条件を4段階にそれぞれ変化させ、計24の条件で得られた試料の光量を測定した。ここで、暗室にてエッチング作業を行うことで、エッチング時に試料へ光が入射しないようにした。そして、各条件ごとに2つのサンプルについて同時に10分間エッチングを行った。具体的に、濃度条件は、0.1mol/L、0.5mol/L、1.0mol/L、2.0mol/L、4.0mol/L及び8.0mol/Lとし、温度条件は、20℃、40℃、60℃及び80℃としている。試料作製後、各試料に同様の電流を流して積分球にて光量を測定した。図2に、1から48までの番号が付された試料について、各試料が作製されたKOH水溶液の濃度及び温度条件と、得られた光量の相対値についての表を示す。図3には、各試料の光量の相対値を縦軸としたグラフを示す。ここで、図2及び図3では、各試料の光量で最大のものを1としたときの、各試料の相対的な光量を示している。
【0032】
図3に示すように、濃度条件が0.5〜4.0mol/Lの範囲で、かつ、温度条件が60℃〜80℃の範囲で作製された試料については、いずれも光量の相対値が0.9を超えている。温度条件が20℃〜40℃の範囲で作製された試料については、濃度条件によらず光量の相対値が低い。また、濃度条件が4.0mol/Lを超えて8.0mol/Lとなると、4.0mol/Lまでは光量が良好であった60℃及び80℃であっても、光量が低下する傾向にある。
【0033】
図4から図9はKOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層26のn−GaN層23の写真であり、図4は濃度条件が0.1mol/Lで温度条件が80℃のもの、図5は濃度条件が0.5mol/Lで温度条件が80℃のもの、図6は濃度条件が1.0mol/Lで温度条件が80℃のもの、図7は濃度条件が2.0mol/Lで温度条件が80℃のもの、図8は濃度条件が4.0mol/Lで温度条件が80℃のもの、図9は濃度条件が8.0mol/Lで温度条件が80℃のものを示す。
【0034】
図4から図9に示すように、遮光した状態で、KOH水溶液により半導体層26の表層のn−GaN層23をエッチングすると、半導体層26の表面に凸部が形成された粗面を得ることができる。ここで、エッチング作業時に半導体層26のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギに相当する波長領域の光が半導体層26に入射しないので、従来のように光励起によって半導体層26の内部に電子と正孔の対が発生することはない。これにより、半導体層26のエッチング時に、半導体層26の結晶表面における結合の弱い部分から段階的にエッチングが進行する。そして、半導体層26の表面が均一に侵食され、図4から図9に示すように、エッチング後に、結晶面を有する角錐状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面が並んだ粗面を半導体層26の表面に得ることができる。
【0035】
ここで、半導体層26における光励起について図10を参照しつつ説明する。図10は、LED素子におけるp−GaN層及びn−GaN層の組成のGaN並びに発光層の組成のIn0.2Ga0.8Nの波長と消衰係数の関係を示すグラフである。
図10に示されるように、GaNについては390nmより長波長の光で消衰係数が0となり、In0.2Ga0.8Nについては460nmより長波長の光で消衰係数が0に近づく。ここで、GaN及びIn0.2Ga0.8Nのバンドギャップエネルギ(Eg)は、スペクトルの吸収端から次式1より求めた値で各々3.5eV(390nm)及び2.8eV(460nm)であり、上記の波長に対応する。
α(hν)=A(hν−Eg)1/2…(式1)
ここで、αは吸収係数、hはプランク定数、νは光の振動数、Aは定数である。消衰係数が0に近づくと、光吸収がほとんどないので、半導体での光励起による電子と正孔の対の生成量が減る。本実施の形態では、半導体層の表層に相当するGaN層をエッチングする場合、GaNのEgに相当する390nmより短波長の光を照射しないようにすればよいし、発光層までエッチングする場合、In0.2Ga0.8NのEgに相当する460nmより短波長の光を照射しないようにすればよい。すなわち、半導体層26の層構成の中でEgが最も小さい発光層のEgに相当する460nmより短波長の光を照射しないようにすることが好ましい。ここで、一般的にエッチング作業において照明に用いられる蛍光灯は、水銀のプラズマ励起波長253.7nmの光で可視光領域の蛍光体を発光させるので、蛍光灯照射下で作業を行うと、エッチングにバラツキが生じ、図4〜図9に示すような粗面を得ることは困難である。
【0036】
図4に示すように、濃度条件が0.1mol/Lである場合は、図17に示す従来の粗面よりは改善がみられるものの、半導体層26の表面に平坦な部分が残存し、凸部の形状が不均一であり、各凸部の形状も無秩序となっている。また、図5に示すように、濃度条件が0.5mol/Lである場合には、0.1mol/Lのものに対して改善がみられ、均一な形状の凸部が得られるものの、半導体層26の表面に平坦な部分が残存している。これに対し、図4〜図9に示すように、濃度条件が1.0〜8.0mol/Lである場合には、半導体層26の表面に平坦な部分が残存させることなく、かつ、均一な形状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面が並んだ粗面を得ることができる。すなわち、KOH水溶液の濃度が低くなると凸部が不均一となり、半導体層26の表面の平坦部が増加する傾向にある。
【0037】
また、図8及び図9に示すように、濃度条件が4.0〜8.0mol/Lである場合には、他の濃度条件に比して各凸部の表面に微小な凹凸が比較的多く形成される。これに対し、図6及び図7に示すように、濃度条件が1.0〜2.0mol/Lである場合には、各凸部の表面に形成される微小な凹凸は存在しないか比較的少なくなっている。図3のグラフにおいて、濃度条件が4.0mol/Lを超えて8.0mol/Lとなって光量が低下する原因は、この微小な凹凸に起因するものである。
【0038】
このように、第1の実施形態のLED素子2の製造方法によれば、エッチング作業時に半導体層26のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギの波長領域の光が半導体層26に入射しないので、エッチング後に結晶面を有する角錐状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面が並んだ粗面を半導体層26の表面に得ることができ、MQW層24から放射される光を半導体層26の内部で反射させることなく効率良くLED素子2の外部へ放射することができる。また、比較的大きな面積のウェハや例えばアレイ状に整列された複数のチップ状の素子をエッチング処理する場合などでは、電位差が生じやすい半導体層26の表面において、電位差に起因する侵食の不均一性を確実に回避することができる。
【0039】
特に、図3に示すように、KOH水溶液の濃度を0.5〜4.0mol/Lとすると安定的にエッチングされた結晶面の凹凸加工面からの取り出し光量が向上することが確認された。また、KOH水溶液の温度を60℃〜80℃とすることによっても安定的に取り出し光量が向上することが確認された。
【0040】
また、KOH水溶液の濃度を1.0〜2.0mol/Lとすると、半導体層26の表面に平坦な部分が残存させることなく、均一な形状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面が並んだ粗面を得ることができ、なおかつ各凸部の表面に微小な凹凸が存在しないか比較的少なくすることができ、光取出し効率を的確に向上させることができる。
【0041】
尚、前記実施形態においては、全ての波長領域の光を遮光した状態でエッチングを行うものを示したが、半導体層26のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギに相当する波長領域の光を遮光した状態であれば、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、前記実施形態のLED素子2では、完全に光を遮光せずとも、460nm以上である緑色光、赤色光等の照明下で作業しても、結晶面を有する角錐状の凸部が規則的に並んだ粗面を得ることができる。
【0042】
また、前記実施形態においては、青色光を発するLED素子2を示したが、緑色光を発するLED素子2に本発明を適用することが可能である。この場合も、光を完全に遮光してエッチング作業を行うか、赤色光の照明下でエッチング作業を行うようにすればよい。
【0043】
また、前記実施形態においては、薬液としてKOH水溶液を用いたものを示したが、例えば、NaOH水溶液、NH3水溶液等のような他のアルカリ水溶液であってもよいし、さらには半導体層26をエッチング可能であれば酸水溶液を用いてもよい。また、溶媒として水以外を用いてもよいことは勿論である。
【0044】
例えば、他のアルカリ水溶液として、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を用いることができる。以下に、図1で説明したLED素子2を形成するにあたり、レーザー照射に基づいてサファイア基板から分離させたn−GaN層23に対する粗面化処理について説明する。
【0045】
図11から図15は、本発明の第2の実施形態を示すもので、図11はTMAH水溶液を用いたウエットエッチングによる微細加工について示す図である。
【0046】
本実施形態のLED素子2の製造方法では、第1の実施形態と同様に全ての波長領域の光を遮光した状態で、所定の温度に加熱したTMAH水溶液を用いてウエットエッチングを行った。第2の実施形態におけるTMAH水溶液の濃度は2.38%である。これは、半導体製造プロセスで通常使用されるフォトレジストの現像液の濃度と同じものである。このTMAH水溶液を用い、同条件で作製したLED素子2のサンプルを複数用意し、TMAH水溶液の温度を変えて、n−GaN層23の表面をエッチングして試料を作製した。エッチングによる微細加工時間は10分とした。
【0047】
図11は、1から22までの番号が付された試料について各試料の微細加工時の温度条件と、光取り出し効率の測定における通電条件、微細加工前の全放射束、微細加工後の全放射束、および全放射束の微細加工前後比を示す図である。
【0048】
図12は、図11に示す各試料についての全放射束の微細加工前後比を縦軸とした微細加工温度の変化について示すグラフである。同図においては、各温度条件毎に2つの試料について得られた全放射束の微細加工前後比について示している。
【0049】
図12に示すように、TMAH水溶液の温度が35℃以上で全放射束の向上が確認され、特に55〜65℃で微細加工前後比1.4以上の好ましい加工性が得られている。これは、レーザー照射に基づいてサファイア基板から分離させたn−GaN層23の表面、つまりGaN結晶のN面におけるTMAH水溶液の侵食が良好に進んでいることを示している。尚、微細加工温度が70℃で全放射束が低下する傾向が見られるものの、微細加工前後比1.3以上が得られている。
【0050】
このように、Al比率がAlGaN層もしくはGaN層であっても、TMAH水溶液の濃度と温度の関係を上記した設定条件とする方法により、レーザー照射によって基板をリフトオフしたGaN層表面のエッチングが可能となる。
【0051】
図13Aから図13Dは、TMAH水溶液により微細加工時間を変化させてエッチング処理を行った後のn−GaN層の表面を示す写真である。
【0052】
図13Aは、温度条件が60℃で微細加工時間が10分のもの、図13Bは、温度条件が60℃で微細加工時間が15分のもの、図13Cは、温度条件が60℃で微細加工時間が20分のもの、図13Dは、温度条件が60℃で微細加工時間が25分のものを示す。
【0053】
図14Aから図14Dは、図13Aから図13Dに示したn−GaN層の表面を45°の角度から見た状態を示す写真である。
【0054】
図14Aから図14Dに示すように、微細加工時間が長くなるにつれてn−GaN層の表面の粗面化が進行して、平坦な部分の残存が小になる傾向を示す。このことから、TMAH水溶液の温度を維持した状態で10分以上の微細加工時間の条件とすることにより、均一な形状の凸部が規則的に並んだ粗面を得ることができ、光取出し効率を向上させることができる。
【0055】
尚、第2の実施形態においても、完全に遮光した状態でなくとも光照射量を極力下げた条件下でも結晶面を有する角錐状の凸部の表面が規則的に設けられたファセット面が並んだ粗面を得ることが可能である。
【0056】
図15Aおよび図15Bは、n−GaN層の表面に365nmの光を照射した状態でTMAH水溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示す写真である。図15Aは、温度条件が60℃で微細加工時間が10分のもの、図15Bは、温度条件が60℃で微細加工時間が30分のものである。
【0057】
図15Aおよび図15Bに示すように、365nmの光照射については、n−GaN層の侵食が促進されるが、n−GaN層の内部における電子と正孔の対が発生し、時間の経過とともに角錐状の凸部が不規則に並んだ粗面が得られるものの、結晶が侵食して角錐形状が崩れた不安定形状となる。尚、温度条件60℃、微細加工時間10分の条件においては、図15Cに示す比較例としてKOH溶液を用いてn−GaN層の表面に同様に365nmの光照射を行ったものと同等以上の角錐状の凸部が得られている。
【0058】
このように、図15Aに示す365nm,10分の光照射条件におけるエッチングでは、一見するとKOH水溶液による光照射なしのエッチングと同等の好ましい結果が得られているように見えるが、図15Bに示す365nm,30分の光照射状態でのエッチングによる微細加工では、KOH水溶液による10分の光照射条件でのエッチングと同様に結晶面が出ず、角錐が崩れて面を成さないことから、不均一度が顕著になる。このことから、エッチング時に光照射しないことが好ましい。
【0059】
図16Aおよび図16Bは、遮光状態でTMAH水溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示す写真である。図16Aは、温度条件が60℃で微細加工時間が10分のもの、図16Bは、温度条件が60℃で微細加工時間が30分のものである。この遮光状態においても、光照射条件と同様の角錐状の凸部が規則的に並んだ粗面が得られており、KOH水溶液を用いた場合のエッチングと同じ傾向を示す。
【0060】
このように、第2の実施形態のLED素子2の製造方法によれば、KOH水溶液に代わる他のアルカリ水溶液として、半導体製造プロセスで通常使用される入手の容易で安価なTMAH水溶液を用いることで、KOH水溶液と同様にGaN表面に対するナノオーダーの微細加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すLED素子の概略模式断面図である。
【図2】各試料が作製されたKOH水溶液の濃度及び温度条件と、得られた光量の相対値についての表である。
【図3】各試料の光量の相対値を縦軸としたグラフを示す。
【図4】KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真であり、濃度条件が0.1mol/Lで温度条件が80℃のものである。
【図5】KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真であり、濃度条件が0.5mol/Lで温度条件が80℃のものである。
【図6】KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真であり、濃度条件が1.0mol/Lで温度条件が80℃のものである。
【図7】KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真であり、濃度条件が2.0mol/Lで温度条件が80℃のものである。
【図8】KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真であり、濃度条件が4.0mol/Lで温度条件が80℃のものである。
【図9】KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真であり、濃度条件が8.0mol/Lで温度条件が80℃のものである。
【図10】LED素子におけるp−GaN層及びn−GaN層の組成のGaN並びに発光層の組成のIn0.2Ga0.8Nの波長と消衰係数の関係を示すグラフである。
【図11】TMAH水溶液を用いたウエットエッチングによる微細加工について示す図である。
【図12】図11に示す各試料についての全放射束の微細加工前後比を縦軸とした微細加工温度の変化について示すグラフである。
【図13A】TMAH水溶液により微細加工時間を変化させてエッチング処理を行った後のn−GaN層の表面を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が10分のものを示す写真である。
【図13B】TMAH水溶液により微細加工時間を変化させてエッチング処理を行った後のn−GaN層の表面を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が15分のものを示す写真である。
【図13C】TMAH水溶液により微細加工時間を変化させてエッチング処理を行った後のn−GaN層の表面を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が20分のものを示す写真である。
【図13D】TMAH水溶液により微細加工時間を変化させてエッチング処理を行った後のn−GaN層の表面を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が25分のものを示す写真である。
【図14A】図13Aに示したn−GaN層の表面を45°の角度から見た状態を示す写真である。
【図14B】図13Bに示したn−GaN層の表面を45°の角度から見た状態を示す写真である。
【図14C】図13Cに示したn−GaN層の表面を45°の角度から見た状態を示す写真である。
【図14D】図13Dに示したn−GaN層の表面を45°の角度から見た状態を示す写真である。
【図15A】n−GaN層の表面に365nmの光を照射した状態でTMAH水溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が10分のものを示す写真である。
【図15B】n−GaN層の表面に365nmの光を照射した状態でTMAH水溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が30分のものを示す写真である。
【図15C】比較例としてn−GaN層の表面に365nmの光を照射した状態でKOH溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が30分のものを示す写真である。
【図16A】遮光状態でTMAH水溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が10分のものを示す写真である。
【図16B】遮光状態でTMAH水溶液のエッチングによる微細加工を行った状態を示し、温度条件が60℃で微細加工時間が30分のものを示す写真である。
【図17】従来例を示すものであって、KOH水溶液によりエッチング処理を行った後の半導体層の表面の写真である。
【符号の説明】
【0062】
2 LED素子
21 支持基板
23 n−GaN層
24 MQW層
25 p−GaN層
26 半導体層
27 反射膜
28 p電極
29 n電極
30 接合材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AlXGaYIn1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表される半導体層を備えた発光素子を製造するにあたり、
前記半導体層の表面を、少なくとも該半導体層のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギに相当する波長領域の光を照射しない状態で薬液によりウエットエッチングして粗面化することを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項2】
前記薬液により粗面化される面がN面であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子の製造方法。
【請求項3】
前記薬液は、アルカリ水溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記アルカリ水溶液は、KOH水溶液を含むことを特徴とする請求項3に記載の発光素子の製造方法。
【請求項5】
前記KOH水溶液の温度は、60℃〜80℃であることを特徴とする請求項4に記載の発光素子の製造方法。
【請求項6】
前記KOH水溶液の濃度は、0.5〜4.0mol/lであることを特徴とする請求項4または5に記載の発光素子の製造方法。
【請求項7】
前記KOH水溶液の濃度は、1.0〜2.0mol/lであることを特徴とする請求項6に記載の発光素子の製造方法。
【請求項8】
前記アルカリ水溶液は、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を含むことを特徴とする請求項3に記載の発光素子の製造方法。
【請求項9】
前記水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液の温度は、35℃〜70℃であることを特徴とする請求項8に記載の発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液の温度は、55℃〜65℃であることを特徴とする請求項9に記載の発光素子の製造方法。
【請求項1】
AlXGaYIn1-X-YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)で表される半導体層を備えた発光素子を製造するにあたり、
前記半導体層の表面を、少なくとも該半導体層のバンドギャップエネルギよりも高いエネルギに相当する波長領域の光を照射しない状態で薬液によりウエットエッチングして粗面化することを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項2】
前記薬液により粗面化される面がN面であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子の製造方法。
【請求項3】
前記薬液は、アルカリ水溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記アルカリ水溶液は、KOH水溶液を含むことを特徴とする請求項3に記載の発光素子の製造方法。
【請求項5】
前記KOH水溶液の温度は、60℃〜80℃であることを特徴とする請求項4に記載の発光素子の製造方法。
【請求項6】
前記KOH水溶液の濃度は、0.5〜4.0mol/lであることを特徴とする請求項4または5に記載の発光素子の製造方法。
【請求項7】
前記KOH水溶液の濃度は、1.0〜2.0mol/lであることを特徴とする請求項6に記載の発光素子の製造方法。
【請求項8】
前記アルカリ水溶液は、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を含むことを特徴とする請求項3に記載の発光素子の製造方法。
【請求項9】
前記水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液の温度は、35℃〜70℃であることを特徴とする請求項8に記載の発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液の温度は、55℃〜65℃であることを特徴とする請求項9に記載の発光素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図10】
【図11】
【図12】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図2】
【図3】
【図10】
【図11】
【図12】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【公開番号】特開2009−43901(P2009−43901A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206865(P2007−206865)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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