説明

発光装置、プリントヘッドおよび画像形成装置

【課題】同時に点灯させる複数の発光素子の間の光量のばらつきを抑制できる発光装置、並びにこれを用いたプリントヘッドおよび画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の発光サイリスタLがブロック#A、#B、…に分けられ、ブロックを単位として同時に点灯制御される。点灯信号線75は、メイン配線750およびブロック配線75A、75B、…を備えている。ブロック#Aに属する発光サイリスタL(L1〜L8)のカソード端子がブロック配線75Aで接続され、同様に、ブロック#Bに属する発光サイリスタL(L9〜L16)のカソード端子がブロック配線75Bで接続されている。そして、ブロック配線75A、75B、…が、それぞれの接続点Sにてメイン配線750に接続されている。点灯信号線75は、メイン配線750を幹とし、ブロック配線75A、75B、…を枝とするツリー(木)構造を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、プリントヘッドおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した、プリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置では、一様に帯電された感光体上に、画像情報を光記録手段により照射することにより静電潜像を得た後、この静電潜像にトナーを付加して可視化し、記録紙上に転写して定着することによって画像形成が行われる。かかる光記録手段として、レーザを用い、主走査方向にレーザ光を走査させて露光する光走査方式の他、近年では、装置の小型化の要請を受けて発光素子としての発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を主走査方向に多数、配列してなる、LEDプリントヘッド(LPH:LED Print Head)を用いた記録装置が採用されている。
【0003】
特許文献1には、シフト部サイリスタに、接続すべき対応する発光部サイリスタを設けないことにより、複数点灯可能で、途中でデータの書込を中断できる構造の自己走査型発光素子アレイチップが記載されている。
特許文献2には、有機EL素子を複数のブロックに区分し、各有機EL素子のカソード電極と第2の電源線とを接続する共通リード部(共通接続線)に、レーザ照射などによるトリミングを行い切り欠き部を形成し、最も輝度が小さい(暗い)ブロックの有機EL素子のカソードに接続される共通リード部に合わせて、他のブロックの有機EL素子のカソードに接続される共通リード部の抵抗値を調整するラインヘッドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−181741号公報
【特許文献2】特開2005−224958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自己走査型発光素子アレイ(SLED:Self-scanning Light Emitting Device)を用いたLPHを用いる記録装置において、複数の発光素子を同時に点灯させると、同時に点灯させる複数の発光素子間で光量がばらついてしまっていた。
【0006】
本発明は、同時に点灯させる複数の発光素子の間の光量のばらつきを抑制できる発光装置、並びにこれを用いたプリントヘッドおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、列状に配列された複数の発光素子と、前記複数の発光素子を点灯/非点灯が制御される複数のブロックに分割し、前記ブロックに属する発光素子を接続し発光のための電力を供給するブロック配線と、給電点から延伸し前記ブロック配線が接続されるメイン配線と、を含む点灯信号配線とを備えることを特徴とする発光装置である。
請求項2に記載の発明は、前記ブロックに属する発光素子の数が偶数であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置である。
請求項3に記載の発明は、前記ブロックに属する発光素子を接続する前記ブロック配線は、当該ブロックに属する両端の発光素子の間を接続する当該ブロック配線の中点に前記メイン配線との接続点が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置である。
請求項4に記載の発明は、前記点灯信号配線の前記ブロック配線と前記メイン配線とが、異なる配線層からなる多層配線構造にて構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光装置である。
請求項5に記載の発明は、前記点灯信号配線は、前記ブロックに属する発光素子をすべて点灯した場合に点灯した発光素子に流れる電流の最大値と最小値との第1の差と、当該ブロックの一端または他端から中央までに含まれる発光素子を点灯した場合に点灯した発光素子に流れる電流の最大値と最小値との第2の差との差が小さくなるように、抵抗分布が設定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発光装置である。
【0008】
請求項6に記載の発明は、前記ブロックの少なくとも1つは、当該ブロックを構成する複数の発光素子が複数のサブブロックに分割され、前記複数のサブブロックを構成するそれぞれのサブブロックは、前記サブブロックに属する発光素子を接続し、発光のための電力を供給するサブブロック配線を備え、当該複数のサブブロックのそれぞれのサブブロック配線はツリー構造に順次集線されて、前記メイン配線に接続されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発光装置である。
請求項7に記載の発明は、前記サブブロックに属する発光素子の数が偶数であることを特徴とする請求項6に記載の発光装置である。
請求項8に記載の発明は、前記サブブロックに属する発光素子を接続する前記サブブロック配線は、当該サブブロックに属する両端の発光素子の間を接続する当該サブブロック配線の中点に接続点が設けられ、前記接続点からツリー構造に集線されることを特徴とする請求項6または7に記載の発光装置である。
請求項9に記載の発明は、前記サブブロックにおける前記サブブロック配線と、当該サブブロック配線をツリー構造に集線する配線と、前記メイン配線とが、多層配線構造にて構成されていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の発光装置である。
請求項10に記載の発明は、前記点灯信号配線は、前記サブブロックに属する発光素子をすべて点灯した場合に点灯した発光素子に流れる電流の最大値と最小値との第1の差と、当該サブブロックの一端または他端から中央までに含まれる発光素子を点灯した場合に点灯した発光素子に流れる電流の最大値と最小値との第2の差との差が小さくなるように、抵抗分布が設定されていることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1項に記載の発光装置である。
【0009】
請求項11に記載の発明は、列状に配列された複数の発光素子と、前記複数の発光素子を点灯/非点灯が制御される複数のブロックに分割し、前記ブロックに属する発光素子を接続し発光のための電力を供給するブロック配線と、給電点から延伸し前記ブロック配線が接続されるメイン配線とを含む点灯信号配線と、を備える発光装置と、前記ブロックに属する発光素子に発光のための電力を供給する点灯信号を送出する点灯信号供給手段とを備え、像保持体を露光する露光手段と、前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段とを備えたことを特徴とするプリントヘッドである。
請求項12に記載の発明は、前記露光手段の前記点灯信号供給手段は、電流駆動により点灯信号を供給することを特徴とする請求項11に記載のプリントヘッドである。
請求項13に記載の発明は、像保持体を帯電する帯電手段と、列状に配列された複数の発光素子と、前記複数の発光素子を点灯/非点灯が制御される複数のブロックに分割し、前記ブロックに属する発光素子を接続し発光のための電力を供給するブロック配線と、給電点から延伸し前記ブロック配線が接続されるメイン配線とを含む点灯信号配線と、を備える発光装置と、当該ブロックに属する発光素子に発光のための電力を供給する点灯信号を送出する点灯信号供給手段とを備え、前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と、前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、点灯信号配線に分岐を設けない場合に比べて、同時に点灯させる複数の発光素子の光量のばらつきを抑制できる。
請求項2の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、同時に点灯させる複数の発光素子の光量のばらつきをより抑制できる。
請求項3の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、同時に点灯させる複数の発光素子の光量のばらつきをより抑制できる。
請求項4の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、発光装置を小型化できる。
請求項5の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、同時に点灯させる複数の発光素子の光量のばらつきをより抑制した発光装置が構成できる。
請求項6の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、同時に点灯させる複数の発光素子の光量のばらつきをさらに抑制できる。
請求項7の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、同時に点灯させる複数の発光素子の光量のばらつきをより抑制できる。
請求項8の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、同時に点灯させる複数の発光素子の光量のばらつきをより抑制できる。
請求項9の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、発光装置を小型化できる。
請求項10の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、同時に点灯させる複数の発光素子の光量のばらつきをより抑制した発光装置が構成できる。
請求項11の発明によれば、点灯信号配線に分岐を設けない場合に比べて、ばらつきを抑制した露光ができる。
請求項12の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、よりばらつきを抑制した露光ができる。
請求項13の発明によれば、点灯信号配線に分岐を設けない場合に比べて、よりムラを抑制した画像形成ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成の一例を説明するための図である。
【図2】第1の実施の形態が適用されるプリントヘッドの構成を説明するための図である。
【図3】プリントヘッドにおける回路基板および発光部の上面図である。
【図4】回路基板に搭載される信号発生回路の構成および信号発生回路と発光チップとの配線構成を説明するための図である。
【図5】自己走査型発光素子アレイ(SLED)チップである発光チップの等価回路を説明するための図である。
【図6】発光チップの平面レイアウト図および断面図である。
【図7】発光チップの動作の概要を説明するための図である。
【図8】発光チップの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】第1の実施の形態における点灯信号線の平面レイアウト図および等価回路を説明する図である。
【図10】第1の実施の形態を用いない場合における点灯信号線の平面レイアウトおよび等価回路を説明する図である。
【図11】第1の実施の形態において、発光サイリスタに流れる電流を説明する図である。
【図12】第1の実施の形態において、基板の寄生抵抗の影響を考慮した点灯信号線の等価回路を説明する図である。
【図13】第1の実施の形態において、基板の寄生抵抗の影響を考慮した場合に発光サイリスタに流れる電流を説明する図である。
【図14】第2の実施の形態における点灯信号線の平面レイアウトおよび等価回路を説明する図である。
【図15】第2の実施の形態において、発光サイリスタに流れる電流を説明する図である。
【図16】第3の実施の形態における点灯信号線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(画像形成装置)
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成の一例を説明するための図である。図1に示す画像形成装置1は、一般にタンデム型と呼ばれる画像形成装置である。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成プロセス部10、画像形成プロセス部10を制御する画像出力制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3に接続され、これらから受信された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
【0013】
画像形成プロセス部10は、一定の間隔を置いて並列的に配置される複数のエンジンからなる画像形成ユニット11を備えている。この画像形成ユニット11は、4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kから構成されている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で一様に帯電する帯電手段の一例としての帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光するプリントヘッド14、プリントヘッド14によって得られた静電潜像を現像する現像手段の一例としての現像器15を備えている。ここで、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、現像器15に収納されたトナーを除いて、略同様に構成されている。そして、画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像を被転写体の一例としての記録用紙に多重転写させるために、この記録用紙を搬送する用紙搬送ベルト21と、用紙搬送ベルト21を駆動させるロールである駆動ロール22と、感光体ドラム12のトナー像を記録用紙に転写させる転写手段の一例としての転写ロール23と、記録用紙にトナー像を定着させる定着器24とを備えている。
【0014】
この画像形成装置1において、画像形成プロセス部10は、画像出力制御部30から供給される各種の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。そして、画像出力制御部30による制御の下で、パーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3から受信された画像データは、画像処理部40によって画像処理が施され、画像形成ユニット11に供給される。そして、例えば黒(K)色の画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により予め定められた電位に帯電され、画像処理部40から供給された画像データに基づいて発光するプリントヘッド14により露光される。これにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)色のトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11Y、11M、11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色トナー像が形成される。
【0015】
各画像形成ユニット11で形成された感光体ドラム12上の各色トナー像は、矢印B方向に移動する用紙搬送ベルト21の移動に伴って供給された記録用紙に、転写ロール23に印加された転写電界により、順次静電転写され、記録用紙上に各色トナーが重畳された合成トナー像が形成される。
その後、合成トナー像が静電転写された記録用紙は、定着器24まで搬送される。定着器24に搬送された記録用紙上の合成トナー像は、定着器24によって熱および圧力による定着処理を受けて記録用紙上に定着され、画像形成装置1から排出される。
【0016】
(プリントヘッド)
図2は、本実施の形態が適用されるプリントヘッド14の構成を説明するための図である。このプリントヘッド14は、ハウジング61、複数のLED(本実施の形態では発光サイリスタ)を備えた発光部63、発光部63や発光部63を駆動する信号発生回路100(後述の図3参照)等を搭載した、露光手段の一例としての回路基板62、発光部63から出射された光を感光体ドラム12表面に結像させる光学手段の一例としてのロッドレンズアレイ64を備えている。
【0017】
ハウジング61は、例えば金属で形成され、回路基板62およびロッドレンズアレイ64を支持し、発光部63の発光点とロッドレンズアレイ64の焦点面とが一致するように設定されている。また、ロッドレンズアレイ64は、感光体ドラム12の軸方向(主走査方向)に沿って配置されている。
【0018】
(回路基板および発光部)
図3は、プリントヘッド14における回路基板62および発光部63の上面図である。
図3に示すように、発光部63は、回路基板62上に、60個の発光装置の一例としての発光チップC1〜C60を、主走査方向に二列に向かい合わせて千鳥状に配置して構成されている。なお、各発光チップC1〜C60を区別しないときは、発光チップC(C1〜C60)または発光チップCと記載する。他の用語についても同様とする。
【0019】
発光チップC(C1〜C60)はすべて同一の構成を有している。そして、各発光チップC(C1〜C60)は、後述するように、発光素子の一例としての発光サイリスタL1、L2、L3、…からなる発光サイリスタ列(発光素子列)を備えている。そして、発光サイリスタ列は発光チップCの矩形の長辺に沿って配置されている。そして、発光サイリスタ列は長辺の一方に寄せて、発光サイリスタL1、L2、L3、…が等間隔になるように配置されている。
なお、発光サイリスタL1、L2、L3、…をそれぞれ区別しないときは発光サイリスタLと呼ぶ。他の用語についても同様とする。
【0020】
回路基板62上には、奇数番号の発光チップC1、C3、C5、…と、偶数番号の発光チップC2、C4、C6、…とが、向かい合わせに配置されている。破線で示す発光チップCつなぎ目においても、発光サイリスタLが主走査方向に対して等間隔に配置されるように、発光チップC1〜C60が配置されている。
さらに、前述したように、回路基板62は発光部63を駆動する信号発生回路100を備えている。
【0021】
図4は、回路基板62(図2参照)に搭載される信号発生回路100の構成および信号発生回路100と発光チップC(C1〜C60)との配線構成を説明するための図である。なお、図4では、配線構成を説明するので、発光チップC1〜C60を千鳥状に表わすのを省略している。
信号発生回路100には、図示しないが、画像出力制御部30および画像処理部40(図1参照)より、画像処理された画像データおよび各種の制御信号が入力される。そして、信号発生回路100は、これらの画像データおよび各種の制御信号に基づいて、画像データの並び替えや発光強度の補正等を行う。
【0022】
信号発生回路100は、各発光チップC(C1〜C60)に対して、発光サイリスタLに発光のための電力を供給するための点灯信号φI(φI1〜φI30)を送信する点灯信号供給手段の一例としての点灯信号発生部110を備えている。
信号発生回路100は、各種の制御信号に基づき、各発光チップC1〜C60に対して、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2を送信する転送信号発生部120を備えている。また、画像データに基づいて点灯させる発光サイリスタLを指定する記憶信号φm(φm1〜φm60)を送信する記憶信号発生部130を備えている。
【0023】
回路基板62には、各発光チップC(C1〜C60)のVsub端子(後述の図5参照)に接続され、基準電位Vsub(例えば0V)を与える電源ライン104が設けられている。さらに、各発光チップC(C1〜C60)のVga端子(後述の図5参照)に接続され、電力供給のための電源電位Vga(例えば−3.3V)を与える電源ライン105が設けられている。
また、回路基板62には、信号発生回路100の転送信号発生部120から発光部63に、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2を、それぞれ送信する第1転送信号ライン106、第2転送信号ライン107が設けられている。第1転送信号ライン106、第2転送信号ライン107は、それぞれが各発光チップC(C1〜C60)のφ1端子、φ2端子(後述の図5参照)に並列接続されている。
【0024】
さらに、回路基板62には、信号発生回路100の記憶信号発生部130から各発光チップC(C1〜C60)に記憶信号φm(φm1〜φm60)を送信する60本の記憶信号ライン108(108_1〜108_60)が設けられている。記憶信号ライン108_1〜108_60はそれぞれが発光チップC1〜C60のφm端子(後述の図5参照)に接続されている。つまり、記憶信号φm(φm1〜φm60)は発光チップC(C1〜C60)に個別に送信されている。
また、回路基板62には、信号発生回路100の点灯信号発生部110から各発光チップC(C1〜C60)に点灯信号φI(φI1〜φI30)を送信する30本の点灯信号ライン109(109_1〜109_30)も設けられている。各点灯信号ライン109(109_1〜109_30)は、発光チップCの2個を組として、発光チップに点灯のための電力を供給する給電点であるφI端子(後述の図5参照)に接続されている。例えば、点灯信号ライン109_1は発光チップC1およびC2のそれぞれのφI端子に並列接続され、点灯信号φI1が共通に供給されている。同様に、点灯信号ライン109_2は発光チップC3およびC4のそれぞれのφI端子に並列接続され、点灯信号φI2が共通に供給されている。以下同様である。よって、点灯信号φIの数(30)は、発光チップCの数(60)の半分である。
【0025】
以上説明したように、本実施の形態では、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2は、すべての発光チップC(C1〜C60)に共通に送信される。記憶信号φm(φm1〜φm60)は、発光チップC(C1〜C60)に個別に送信される。点灯信号φI(φI1〜φI30)は、2個の発光チップC(C1〜C60)に共通に送信される。
このようにすることで、点灯信号ライン109(109_1〜109_30)の数を、発光チップC(C1〜C60)の数より少なくしている。
【0026】
点灯信号ライン109は、発光サイリスタLに点灯(発光)のための電流を供給するため、低抵抗であることが求められる。このため、点灯信号ライン109を幅広配線とすると、回路基板62の幅が広がり、プリントヘッド14の小型化の障害になる。一方、回路基板62の幅を狭めるため、信号ラインを多層構成にすると、プリントヘッド14の低コスト化の障害になる。
そこで、本実施の形態では、発光チップCに個別に点灯信号ライン109を設ける場合に比べて、点灯信号ライン109の数を半数に減らしているので、プリントヘッド14の小型化、低コスト化の点で好ましい。
【0027】
(発光チップの等価回路)
図5は、自己走査型発光素子アレイ(SLED)チップである発光チップC(C1〜C60)の等価回路を説明するための図である。発光チップC(C1〜C60)は同一の構成を有しているので、発光チップC1を例として説明する。ここでは、発光チップC1(C)と表し、発光チップC1と他の発光チップC2〜C60とが同じ構成を有することを示す。
【0028】
発光チップC1(C)は、基板80上に、列状に配列された転送サイリスタT1、T2、T3、…からなる転送サイリスタ列、同様に列状に配列された記憶サイリスタM1、M2、M3、…からなる記憶サイリスタ列、同様に列状に配列された発光サイリスタL1、L2、L3、…からなる発光サイリスタ列を備えている。
なお、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタLは、アノード端子(アノード)、カソード端子(カソード)、ゲート端子(ゲート)の3端子を有する半導体素子である。
【0029】
また、発光チップC1(C)は、転送サイリスタT1、T2、T3、…をそれぞれ番号順に2つをペアにしてそれぞれの間を接続する結合ダイオードDc1、Dc2、Dc3、…を備えている。さらに、接続ダイオードDm1、Dm2、Dm3、…を備えている。
そして、電源線抵抗Rt1、Rt2、Rt3、…、電源線抵抗Rm1、Rm2、Rm3、…、抵抗Rn1、Rn2、Rn3、…を備えている。
さらに、発光チップC1(C)は、1個のスタートダイオードDsを備えている。そして、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とに過剰な電流が流れるのを防止するため、電流制限抵抗R1とR2とを備えている。
【0030】
さて、本実施の形態では、発光サイリスタ列における発光サイリスタLの数が128であると、転送サイリスタT、記憶サイリスタMの数も128である。同様に、接続ダイオードDm、電源線抵抗Rt、Rm、抵抗Rnの数も128である。しかし、結合ダイオードDcの数は、転送サイリスタTの数より1少ない127である。
これらの素子は、図5中において、左側から1、2、3、…のように番号順で配列されている。
図5では、転送サイリスタT1〜T8、記憶サイリスタM1〜M8、発光サイリスタL1〜L8を中心とする部分のみを示している。他の部分は、これらの部分の繰り返しである。
なお、転送サイリスタTおよび記憶サイリスタMについては、発光サイリスタLと同数である必要はなく、発光サイリスタLの数より多くてもよい。
【0031】
では次に、発光チップC1(C)における各素子の電気的な接続について説明する。
転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタLの各アノード端子は、発光チップC1の基板80に接続されている(アノードコモン)。そして、これらのアノード端子は、基板80に設けられたVsub端子(裏面共通電極)を介して電源ライン104(図4参照)に接続されている。この電源ライン104には、基準電位Vsubが供給される。
【0032】
転送サイリスタTのゲート端子Gtは、転送サイリスタTに対応して設けられた電源線抵抗Rtをそれぞれ介して電源線71に接続されている。そして、電源線71はVga端子に接続されている。Vga端子は電源ライン105(図4参照)に接続されて、電源電位Vgaが供給される。
転送サイリスタTの配列に沿って、奇数番号の転送サイリスタT1、T3、T5、…のカソード端子は、第1転送信号線72に接続されている。そして、第1転送信号線72は、電流制限抵抗R1を介して、第1転送信号φ1の入力端子であるφ1端子に接続されている。このφ1端子には、第1転送信号ライン106(図4参照)が接続され、第1転送信号φ1が供給される。
一方、転送サイリスタTの配列に沿って、偶数番号の転送サイリスタT2、T4、T6、…のカソード端子は、第2転送信号線73に接続されている。そして、第2転送信号線73は、電流制限抵抗R2を介して第2転送信号φ2の入力端子であるφ2端子に接続されている。このφ2端子には、第2転送信号ライン107(図4参照)が接続され、第2転送信号φ2が供給される。
【0033】
記憶サイリスタMのゲート端子Gmは、電源線抵抗Rmを介して電源線71に接続されている。
記憶サイリスタMのカソード端子は、抵抗Rnを介して、記憶信号線74に接続されている。そして、記憶信号線74は、記憶信号φm(発光チップC1の場合はφm1)の入力端子であるφm端子に接続されている。このφm端子には、記憶信号ライン108(図4参照:発光チップC1の場合は記憶信号ライン108_1)が接続され、記憶信号φm(図4参照:発光チップC1の場合は記憶信号φm1)が供給される。
【0034】
発光サイリスタLのカソード端子は、点灯信号線(点灯信号配線とも呼ぶ。)75に接続され、点灯信号φI(発光チップC1の場合は点灯信号φI1)の入力端子であるφI端子に接続されている。このφI端子には、点灯信号ライン109(図4参照:発光チップC1の場合は点灯信号ライン109_1)が接続され、点灯信号φI(図4参照:発光チップC1の場合は点灯信号φI1)が供給される。
【0035】
そして、転送サイリスタTのゲート端子Gtは、同じ番号の記憶サイリスタMのゲート端子Gmに、1対1で、それぞれ接続ダイオードDmを介して接続されている。すなわち、接続ダイオードDmのアノード端子は、転送サイリスタTのゲート端子Gtに接続され、接続ダイオードDmのカソード端子は、記憶サイリスタMのゲート端子Gmに接続されている。
また、記憶サイリスタMのゲート端子Gmは、同じ番号の発光サイリスタLのゲート端子Glに、1対1で接続されている。
【0036】
転送サイリスタTのゲート端子Gtを番号順に2個ずつペアとしたゲート端子Gt間に、結合ダイオードDcがそれぞれ接続されている。すなわち、結合ダイオードDcはゲート端子Gtの間に直列接続されている。そして、結合ダイオードDc1の向きは、ゲート端子Gt1からゲート端子Gt2に向かって電流が流れる方向に接続されている。他の結合ダイオードDc2、Dc3、Dc4、…についても同様である。
【0037】
そして、転送サイリスタ列の一端側の転送サイリスタT1のゲート端子Gt1は、スタートダイオードDsのカソード端子と接続されている。一方、スタートダイオードDsのアノード端子は、第2転送信号線73に接続されている。
【0038】
(発光チップの平面レイアウトおよび断面)
図6(a)は、発光チップC1(C)の転送サイリスタT1〜T4、記憶サイリスタM1〜M4、発光サイリスタL1〜L4を中心とする部分の平面レイアウト図である。図6(b)は、図6(a)に示したVIB−VIB線での断面図である。すなわち、図6(b)は、転送サイリスタT1、接続ダイオードDm1、記憶サイリスタM1、発光サイリスタL1の断面を中心に表している。なお、図6(a)および(b)の図中には、素子や端子の一部を前述した名称により表示している。なお、以下において、端子等に符号を付さないで説明している部分がある。
【0039】
図6(b)に示すように、発光チップC1(C)は、例えば、GaAsまたはGaAlAsなどの化合物半導体により構成され、p型の半導体の基板80上に、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83およびn型の第4半導体層84が順に積層されて構成されている。
そして、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83、n型の第4半導体層84を連続してエッチングすることで、複数のアイランド(第1アイランド141〜第7アイランド147等)が形成されている。
なお、図6(a)および(b)では、アイランド上に形成される絶縁層および絶縁層に設けられる開口を省略している。さらに、図6(a)では、絶縁層上に設けられ、素子の端子間を接続する配線(アルミニウム(Al)またはアルミニウム合金(Al合金)等で形成される配線)を実線にて示している。さらに、図6(b)では、この配線の記載も省略している。
【0040】
図6(a)に示すように、第1アイランド141には、発光サイリスタL1と記憶サイリスタM1とが形成されている。第2アイランド142には、抵抗Rn1が形成されている。第3アイランド143には、電源線抵抗Rt1およびRm1が形成されている。第4アイランド144には、結合ダイオードDc1、接続ダイオードDm1および転送サイリスタT1が形成されている。そして、基板80上には、第1アイランド141〜第4アイランド144と同様なアイランドが、並列して形成されている。これらのアイランドには、発光サイリスタL2、L3、L4、…、記憶サイリスタM2、M3、M4、…、転送サイリスタT2、T3、T4、…等が形成されている。これらについては、説明を省略する。
さて、第5アイランド145には、スタートダイオードDsが形成され、第6アイランド146には、電流制限抵抗R1が、第7アイランド147には、電流制限抵抗R2が形成されている。
そして、基板80の裏面にはVsub端子となる裏面共通電極が形成されている。
【0041】
図6(b)に示すように、第1アイランド141に形成された発光サイリスタL1は、基板80をアノード端子、n型の第4半導体層84の領域111に形成されたn型のオーミック電極121をカソード端子、n型の第4半導体層84をエッチング除去して露出させたp型の第3半導体層83上に形成されたp型のオーミック電極131をゲート端子Gl1とする。そして、発光サイリスタL1はオン状態になると、n型のオーミック電極121が形成された部分を除くn型の第4半導体層84の領域111の表面から光を放出する。
さらに、第1アイランド141に形成された記憶サイリスタM1は、基板80をアノード端子、n型の第4半導体層84の領域112に形成されたn型のオーミック電極122をカソード端子、p型のオーミック電極131をゲート端子Gm1とする。なお、p型のオーミック電極131は、発光サイリスタL1のゲート端子Gl1と共通である。
【0042】
図6(b)に示していないが、第2アイランド142に形成された抵抗Rn1は、n型の第4半導体層84をエッチング除去して露出させたp型の第3半導体層83上に形成された2つのp型のオーミック電極(番号を付していない。)間に形成され、p型の第3半導体層83を抵抗層としている。
第3アイランド143に形成された電源線抵抗Rt1、Rm1は、抵抗Rn1と同様に、p型の第3半導体層83上に形成された中央に位置するp型のオーミック電極を共通にして、それを挟む2つのp型のオーミック電極(1つはp型のオーミック電極132、その他は番号を付していない。)間に形成され、p型の第3半導体層83を抵抗層としている。
【0043】
図6(b)に示すように、第4アイランド144に形成された転送サイリスタT1は、基板80をアノード端子、n型の第4半導体層84の領域114に形成されたn型のオーミック電極124をカソード端子、n型の第4半導体層84をエッチング除去して露出させたp型の第3半導体層83上に形成されたp型のオーミック電極133をゲート端子Gt1としている。
同じく、第4アイランド144に形成された接続ダイオードDm1は、n型の第4半導体層84の領域113上のn型のオーミック電極123をカソード端子とし、p型の第3半導体層83上のp型のオーミック電極133をアノード端子としている。
図6(b)には図示していないが、結合ダイオードDc1は接続ダイオードDm1と同様に構成されている。
【0044】
第5アイランド145に形成されたスタートダイオードDsは、n型の第4半導体層84上に設けられたn型のオーミック電極125をカソード端子とし、n型の第4半導体層84を除去して露出させたp型の第3半導体層83のp型のオーミック電極135をアノード端子としている。
第6アイランド146および第7アイランド147にそれぞれ形成された電流制限抵抗R1と電流制限抵抗R2とは、第2アイランド142に設けられた抵抗Rn1、第3アイランド143に設けられた電源線抵抗Rt1、Rm1と同様に構成され、p型の第3半導体層83を抵抗層としている。
【0045】
図6(a)において、素子の接続関係を説明する。図6(a)では、前述したように、絶縁層上に設けられた素子の端子間を接続する配線は、実線にて示されている。
第1アイランド141に設けられた発光サイリスタL1のカソード端子であるn型のオーミック電極121は、点灯信号線75に接続されている。点灯信号線75はφI端子に接続されている。
第1アイランド141に設けられた記憶サイリスタM1のカソード端子であるn型のオーミック電極122は、第2アイランド142の抵抗Rn1の一方の端子に接続されている。抵抗Rn1の他方の端子は、記憶信号線74に接続されている。記憶信号線74はφm端子に接続されている。
発光サイリスタL1のゲート端子Gl1および記憶サイリスタM1のゲート端子Gm1であるp型のオーミック電極131は、第3アイランド143の電源線抵抗Rm1の一方の端子であるp型のオーミック電極132に接続されている。電源線抵抗Rm1の他方の端子は、電源線71に接続されている。電源線71はVga端子に接続されている。
さらに、このp型のオーミック電極132は、第4アイランド144の接続ダイオードDm1のカソード端子であるn型のオーミック電極123に接続されている。
【0046】
第4アイランド144において、転送サイリスタT1のゲート端子Gt1、接続ダイオードDm1のアノード端子および結合ダイオードDc1のアノード端子を兼ねるp型のオーミック電極133は、第5アイランド145のスタートダイオードDsのカソード端子であるn型のオーミック電極125に接続されている。
そして、n型のオーミック電極125は、第3アイランド143に設けられた電源線抵抗Rt1の一方の端子に接続されている。電源線抵抗Rt1の他方の端子は、電源線抵抗Rm1の他方の端子と共通で、電源線71に接続されている。
結合ダイオードDc1のカソード端子は、電源線抵抗Rt2の一方の端子に接続されるとともに、ゲート端子Gt2に接続されている。
【0047】
第4アイランド144の転送サイリスタT1のカソード端子であるn型のオーミック電極124は第1転送信号線72に接続されている。第1転送信号線72は、第6アイランド146の電流制限抵抗R1を介してφ1端子に接続されている。同様に、転送サイリスタT2のカソード端子であるn型のオーミック電極(不図示)は、第2転送信号線73に接続されている。第2転送信号線73は、第7アイランド147の電流制限抵抗R2を介してφ2端子に接続されている。また、第5アイランド145のスタートダイオードDsのアノード端子であるp型のオーミック電極135も第2転送信号線73に接続されている。
ここでは説明を省略するが、他の発光サイリスタL、転送サイリスタT、記憶サイリスタM、ダイオード(Dm、Dc)、電源線抵抗(Rm、Rt)、抵抗(Rn)についても同様である。
【0048】
図6(a)に接続関係を示す直線は、いずれもが互いに交差していない。よって、図6(a)に接続関係を示した直線は、多層配線を用いることなく、1層のAlまたはAl合金を用いた配線層で実現しうる。
本実施の形態における点灯信号線75の構成については、後述する。
このようにして、図5に示す自己走査型発光素子アレイ(SLED)チップである発光チップC(C1〜C60)が構成される。
【0049】
なお、図6(a)および(b)に示した平面レイアウトおよび断面図は一例であって、他の平面レイアウトおよび断面図としてもよい。
また、本実施の形態では、p型の半導体である基板80とp型の第1半導体層81とを別に設けたが、p型の半導体である基板80がp型の第1半導体層81を兼ねることで、第1半導体層81を省略してもよい。
【0050】
(発光部の動作)
次に、発光部63の動作について説明する。
発光部63を構成する発光チップC(C1〜C60)は、一組の第1転送信号φ1、第2転送信号φ2により、発光サイリスタLを点灯(発光)/消灯させる一連の操作(点灯制御)が並行して行われる。よって、発光部63の動作は、発光チップC1の動作を説明すれば足りる。以下では、発光チップC1を例に取って、発光チップCの動作を説明する。
【0051】
(発光チップの点灯制御)
図7は、発光チップC1(C)の動作の概要を説明するための図である。
本実施の形態では、発光チップC1(C)において、予め定められた複数の発光点(発光サイリスタL)をブロックに分け、ブロックを単位として点灯制御する。
図7では、8個の発光サイリスタLをブロックとして、点灯制御する場合を示している。すなわち、本実施の形態では、最大8個の発光サイリスタLを同時に点灯(発光)させる。まず、発光チップC1(C)の左端からブロック#Aで示す8個の発光サイリスタL1〜L8を点灯制御する。次に、隣接するブロック#Bの8個の発光サイリスタL9〜L16を点灯制御する。以下同様に、発光チップCに設けられた発光サイリスタLの数が128であれば、発光サイリスタL128に至るまで、8個毎に発光サイリスタLを点灯制御する。
すなわち、本実施の形態では、ブロック#A、#B、…の順に、時系列的に点灯制御されるとともに、ブロック#A、#B、…では、複数の発光点(発光サイリスタL)が同時に点灯制御されている。
以下では、ブロック#A、#B、…をそれぞれ区別しないときは、ブロックと呼ぶ。
【0052】
(駆動信号波形)
図8は、発光チップC1(C)の動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、図8では、発光サイリスタLのブロック#Aとブロック#Bの一部とを点灯制御する部分のみを示している。
【0053】
図8において、時刻aから時刻xへとアルファベット順に時刻が経過するとする。図7に示すブロック#Aの発光サイリスタL1〜L8は、時刻cから時刻xの期間T(#A)において点灯制御される。ブロック#Bの発光サイリスタL9〜L16は、時刻x以降の期間T(#B)で点灯制御される。なお、図示しないが、期間T(#B)に引き続き、ブロック#C、#D、…の発光サイリスタLが点灯される期間T(#C)、T(#D)、…が引き続く。なお、期間T(#A)、期間T(#B)、…を区別しないときは、期間Tと呼ぶ。
図8の期間T(#A)では、画像データ“11111111”を印字するとして、ブロック#Aの8個の発光サイリスタL1〜L8をすべて点灯させるとした。期間T(#B)でも、画像データ“11111111”を印字するとして、ブロック#Bの8個の発光サイリスタL9〜L16のすべてを点灯させるとした。なお、図8では、発光サイリスタL13までを示している。
【0054】
期間T(#A)、期間T(#B)、…における駆動信号波形は、画像データによって変化する記憶信号φm1(φm)を除いて、同様な波形の繰り返しである。したがって、以下では、時刻cから時刻xまでの期間T(#A)のみを説明する。なお、時刻aから時刻cまでの期間は、発光チップC1(C)が動作を開始する期間である。この期間の信号については、動作の説明において説明する。
【0055】
第1転送信号φ1は、期間T(#A)の開始時刻cでローレベル(以下、「L」と記す。)の電位であって、時刻eで「L」からハイレベル(以下、「H」と記す。)の電位に移行し、時刻gで「H」から「L」に移行する。そして、時刻iまで「L」を維持する。そして、時刻cから時刻iまでを周期とする期間t1における波形を、時刻iから時刻vまでにおいて、3回繰り返す。その後、期間T(#A)の終了時刻xまで「L」を維持する。
一方、第2転送信号φ2は、期間T(#A)の開始時刻cで「H」であって、時刻dで「H」から「L」に移行し、時刻hで「L」から「H」に移行する。さらに、時刻jで「H」から「L」に移行し、時刻iまで「H」を維持する。そして、時刻cから時刻iまでを周期とする期間t1における波形を、時刻iから時刻vまでにおいて、3回繰り返す。その後、期間T(#A)の終了時刻xまで「H」を維持する。
ここで、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とを比較すると、時刻cから時刻vの期間においては、共に「L」となる期間(例えば時刻dから時刻e、時刻gから時刻h)を挟んで、交互に「H」と「L」とを繰り返している。そして、第1転送信号φ1と第2転送信号φ2とは、同時に「H」となる期間を有さない。
【0056】
記憶信号φm1(φm)は、時刻cにおいて「H」から「L」に移行し、時刻dで「L」から記憶レベル(以下、「S」と記す。)の電位に移行する。なお、詳細は後述するが、記憶レベル「S」は、「H」と「L」の間の電位で、ターンオンした記憶サイリスタMのオン状態を維持できる電位をいう。
そして、時刻fで「S」から「L」に、時刻gで「L」から「S」に移行する。さらに、時刻iで「S」から「L」に移行する。
記憶信号φm1(φm)は、時刻cから時刻fの期間t2を周期とした波形となっている。期間t1は2つの期間t2からなっている。
そして、時刻iから時刻sまで、時刻fから時刻iまでの波形を5回繰り返している。なお、時刻iから時刻sまでは、時刻fから時刻iまでと同じ波形の5回の繰り返しである。しかし、最後の時刻sから時刻vまでの波形は異なっていて、時刻sで「S」から「L」に移行するが、時刻uで「L」から「H」に移行する。その後、時刻vまで「H」を維持する。さらに、期間T(#A)の終了時刻xまで「H」を維持する。
なお、記憶信号φm1(φm)の波形は、後述するように、画像データ“11111111”に対応している。
【0057】
ここで、記憶信号φm1(φm)と、第1転送信号φ1および第2転送信号φ2との関係を見ると、記憶信号φm1(φm)は、第1転送信号φ1または第2転送信号φ2のいずれかのみが「L」である期間において「L」である。例えば、第1転送信号φ1が「L」である時刻cから時刻d、第2転送信号φ2が「L」である時刻fから時刻gにおいて、記憶信号φm1(φm)は「L」である。
【0058】
点灯信号φI1(φI)は、発光サイリスタLに発光(点灯)のための電力を供給する信号である。点灯信号φI1(φI)は、時刻cで「H」であって、時刻tにおいて点灯レベル(以下、「Le」と記す。)の電位に移行する。時刻wにおいて「Le」から「H」に移行する。そして、期間T(#A)の終了時刻xで「H」を維持する。
ここで、点灯レベル「Le」は、後述するが、高いしきい電圧に設定された発光サイリスタLをターンオンさせて点灯(発光)させることができる電位をいい、「H」と「L」の間の電位である。
以上、期間T(#A)における駆動信号波形を説明したが、期間T(#B)、…における信号波形は、画像データによって変化する記憶信号φm1(φm)を除いて、同じ波形の繰り返しである。よって、説明を省略する。
【0059】
(サイリスタの基本動作)
発光チップC1(C)の動作を説明する前に、サイリスタ(転送サイリスタT、記憶サイリスタM、発光サイリスタL)の基本動作を説明する。
以下では、例として、図5に示したように、基板80に設定されたサイリスタのアノード端子(Vsub端子)に供給される基準電位Vsubを0V(「H」)、Vga端子に供給される電源電位Vgaを−3.3V(「L」)とする。そして、サイリスタは、図6(b)に示したように、GaAs、GaAlAs等の化合物半導体から構成され、p型の半導体層、n型の半導体層を積層して構成されているとし、pn接合の拡散電位(順方向電位)Vdを1.5Vとする。
【0060】
サイリスタは、カソード端子にしきい電圧より低い電位(負側に大きい電位)が印加されるとターンオンする。ターンオン(オン)すると、サイリスタは、アノード端子とカソード端子との間が電流の流れやすい状態(オン状態)になる。サイリスタのしきい電圧は、ゲート端子の電位から拡散電位Vdを引いた値である。よって、サイリスタのゲート端子の電位が−1.5Vであると、しきい電圧は−3Vとなる。すなわち、−3Vより低い電位がカソード端子に印加されると、サイリスタがターンオンする。
そして、ターンオンすると、サイリスタのゲート端子は、サイリスタのアノード端子の電位(ここでは0V)になる。また、サイリスタのカソード端子は拡散電位Vd(ここでは−1.5V)となる。
【0061】
サイリスタは、ターンオンすると、カソード端子の電位がオン状態を維持するために必要な電位より高い電位(負側に小さい電位)になるまで、オン状態を維持する。例えば、カソード端子が0V(「H」)になって、アノード端子と同電位になれば、サイリスタはターンオフ(オフ)する。ターンオフすると、サイリスタは、アノード端子とカソード端子との間が電流の流れにくい状態(オフ状態)になる。
逆に、サイリスタは、オン状態のカソード端子の電位が−1.5Vであるので、カソード端子に−1.5Vより低い電位が印加され、オン状態を維持しうる電流が供給されると、オン状態を維持し続ける。サイリスタは、ターンオンさせるための電位に比べ、オン状態を維持する電位が低い。
サイリスタは、ゲート端子の電位によって、オン状態をオフ状態に変えることができない。よって、サイリスタはオン状態を維持(保持、記憶)する機能を有しているといえる。
なお、発光サイリスタLは、ターンオンすると点灯(発光)し、ターンオフすると消灯(非発光)する。発光サイリスタLはオン状態における発光を利用する。
【0062】
では、図5を参照しつつ、図8に示したタイミングチャートにしたがって、発光部63および発光チップC1(C)の動作を説明する。
(初期状態)
図8に示したタイミングチャートの時刻aにおいて、発光部63の発光チップC(C1〜C60)のそれぞれのVsub端子は基準電位Vsub(0V)に設定され、それぞれのVga端子は電源電位Vga(−3.3V)に設定される(図4参照)。
そして、転送信号発生部120は第1転送信号φ1、第2転送信号φ2をそれぞれ「H」に、記憶信号発生部130は記憶信号φm(φm1〜φm60)を「H」に設定する(図4参照)。同様に、点灯信号発生部110は点灯信号φI(φI1〜φI30)を「H」に設定する(図4参照)。
【0063】
すると、第1転送信号ライン106が「H」になり、発光部63の各発光チップCのφ1端子を介して、各発光チップCの第1転送信号線72が「H」になる。同様に、第2転送信号ライン107が「H」になり、各発光チップCのφ2端子を介して、各発光チップCの第2転送信号線73が「H」になる。記憶信号ライン108(108_1〜108_60)が「H」になり、各発光チップCのφm端子を介して、各発光チップCの記憶信号線74が「H」になる。さらに、点灯信号ライン109(109_1〜109_30)が「H」になり、各発光チップCのφI端子を介して、各発光チップCの点灯信号線75が「H」になる。
では、発光チップC1〜C60は、並行して動作するので、発光チップC1を例として、発光チップC動作を説明する。
【0064】
転送サイリスタT、記憶サイリスタMおよび発光サイリスタLのそれぞれのカソード端子が接続された第1転送信号線72、第2転送信号線73、記憶信号線74、点灯信号線75が「H」に設定されているので、転送サイリスタT、記憶サイリスタMおよび発光サイリスタLのそれぞれのアノード端子およびカソード端子はともに「H」である。よって、転送サイリスタT、記憶サイリスタMおよび発光サイリスタLはオフ状態にある。
【0065】
さて、転送サイリスタTのゲート端子Gtは、電源線抵抗Rtを介して電源電位Vga(「L」:−3.3V)に設定されている。
同様に、記憶サイリスタMのゲート端子Gm(発光サイリスタLのゲート端子Glも同じ)は電源線抵抗Rmを介して電源電位Vga(「L」:−3.3V)に設定されている。
【0066】
一方、図5中の転送サイリスタ列の一端側のゲート端子Gt1は、スタートダイオードDsのカソード端子に接続されている。そして、スタートダイオードDsのアノード端子は、「H」の第2転送信号線73に接続されている。すると、スタートダイオードDsは、順方向電圧が印加(順バイアス)されている。よって、スタートダイオードDsのカソード端子が接続されたゲート端子Gt1は、スタートダイオードDsのアノード端子の「H」(0V)からスタートダイオードDsの拡散電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。よって、転送サイリスタT1のしきい電圧は、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)から拡散電位Vd(1.5V)を引いた−3Vとなる。
【0067】
なお、転送サイリスタT1に隣接する転送サイリスタT2のゲート端子Gt2は、ゲート端子Gt1に結合ダイオードDc1を介して接続されているため、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)から結合ダイオードDc1の拡散電位Vd(1.5V)を引いた−3Vの電位になり、転送サイリスタT2のしきい電圧は−4.5Vになる。
そして、転送サイリスタT3のゲート端子Gt3は、この計算によると、−4.5Vになるが、電源電位Vga(−3.3V)より低くなることはなく、−3.3Vである。すなわち、本実施の形態では、電源電位Vga(−3.3V)より低い電位にならない。そして、電源電位Vga(−3.3V)に設定されたゲート端子を有するサイリスタのしきい電圧は−4.8Vとなる。
【0068】
同様に、記憶サイリスタM1のゲート端子Gm1(発光サイリスタL1のゲート端子Gl1も同じ。)は、ゲート端子Gt1に接続ダイオードDm1を介して接続されているため、ゲート端子Gt1の電位(−1.5V)から接続ダイオードDm1の拡散電位Vd(1.5V)を引いた−3Vになる。よって、記憶サイリスタM1(発光サイリスタL1も同じ。)のしきい電圧は−4.5Vになる。
このように、サイリスタのゲート端子の電位およびしきい電圧を求めることができる。しかし、本実施の形態では、電源電位Vga(−3.3V)より低いしきい電圧のサイリスタは動作しないので、以下での説明を省略する。
【0069】
(動作開始)
時刻bにおいて、第1転送信号φ1が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、しきい電圧が−3Vである転送サイリスタT1がターンオンする。転送サイリスタT3以降の番号の大きい奇数番目の転送サイリスタTは、しきい電圧が−4.8Vであるので、ターンオンできない。一方、転送サイリスタT2は、しきい電圧が−4.5Vであるが、第1転送信号φ1が「H」(0V)であるので、ターンオンできない。
【0070】
転送サイリスタT1がターンオンすると、ゲート端子Gt1の電位は、アノード端子の電位である「H」(0V)になる。そして、転送サイリスタT1のカソード端子(第1転送信号線72)の電位は−1.5Vになる。
すると、結合ダイオードDc1が順バイアスになり、ゲート端子Gt2の電位は、ゲート端子Gt1の電位(0V)から結合ダイオードDc1の拡散電位Vd(1.5V)を引いた−1.5Vになる。これにより、転送サイリスタT2のしきい電圧が−3Vになる。
しかし、第2転送信号φ2は「H」であるので、転送サイリスタT2はターンオンしない。
【0071】
一方、転送サイリスタT1がターンオンし、ゲート端子Gt1の電位が「H」(0V)になると、接続ダイオードDm1が順バイアスになる。すると、ゲート端子Gm1(ゲート端子Gl1も同じ。)の電位は−1.5Vになって、記憶サイリスタM1(発光サイリスタL1も同じ。)のしきい電圧は−3Vになる。しかし、記憶信号φm1(φm)および点灯信号φI1(φI)は0V(「H」)であるので、記憶サイリスタM1および発光サイリスタL1はターンオンしない。
よって、時刻bの直後(ここでは、時刻bにおける信号の電位の変化によってサイリスタなどに状態の変化が生じた後をいう。)においては、転送サイリスタT1のみがオン状態にある。
【0072】
(動作開始)
時刻cにおいて、記憶信号φm1(φm)が、「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、しきい電圧が−3Vである記憶サイリスタM1がターンオンする。
記憶サイリスタM1がターンオンすると、転送サイリスタT1の場合と同様に、ゲート端子Gm1(ゲート端子Gl1)の電位が「H」(0V)になる。すると、発光サイリスタL1のしきい電圧が−1.5Vになる。しかし、点灯信号φI1(φI)は「H」(0V)であるので、発光サイリスタL1もターンオンせず、点灯(発光)しない。
よって、時刻cの直後においては、転送サイリスタT1および記憶サイリスタM1がオン状態を維持している。
【0073】
なお、記憶サイリスタM1のカソード端子の電位は、「H」(0V)から拡散電位Vd(1.5V)を引いた値である−1.5Vになる。しかし、記憶サイリスタM1は抵抗Rn1を介して記憶信号線74に接続されている。このため、記憶信号線74の電位は、「L」(−3.3V)に維持されている。
【0074】
時刻dにおいて、記憶信号φm1(φm)を「L」から「S」に、第2転送信号φ2を「H」から「L」に移行する。
記憶レベル「S」は、オン状態にある記憶サイリスタMはオン状態を維持するが、オフ状態にある記憶サイリスタMはターンオンできない電位である。
前述したように、時刻cにおいてターンオンさせる記憶サイリスタMのしきい電圧は−3Vである。しかし、オン状態にある記憶サイリスタMのカソード端子の電位は−1.5Vである。よって、「S」は、ターンオンさせるときのしきい電圧(−3V)より高く、オン状態のカソード端子の電位(−1.5V)より低い電位(−3V<「S」≦−1.5V)に設定される。
よって、記憶信号φm1(φm)を「L」から「S」に移行しても、オン状態にある記憶サイリスタM1はオン状態を維持している。
【0075】
一方、第2転送信号φ2を「H」から「L」に移行すると、しきい電圧が−3Vになっている転送サイリスタT2がターンオンする。
転送サイリスタT2がターンオンすると、ゲート端子Gt2の電位が「H」(0V)になる。そして、ゲート端子Gt2に結合ダイオードDc2を介してゲート端子Gt3が接続された転送サイリスタT3のしきい電圧が−3Vになる。同様に、ゲート端子Gt2に接続ダイオードDm2を介してゲート端子Gm2(Gl2)が接続された記憶サイリスタM2および発光サイリスタL2のそれぞれのしきい電圧が−3Vになる。
このとき、転送サイリスタT1はオン状態を維持しているので、転送サイリスタT3のカソード端子が接続された第1転送信号線72の電位は、−1.5Vになっている。このため、転送サイリスタT3はターンオンしない。
また、記憶信号φm1(φm)は「S」であるので、記憶サイリスタM2はターンオンしない。同様に、点灯信号φI1(φI)は「H」であるので、発光サイリスタL2はターンオンしない。
時刻dの直後においては、転送サイリスタT1、T2および記憶サイリスタM1がオン状態を維持している。
【0076】
さて、時刻eにおいて、第1転送信号φ1を「L」から「H」に移行する。すると、転送サイリスタT1は、カソード端子とアノード端子との電位がともに「H」になるため、ターンオフする。
このとき、転送サイリスタT1のゲート端子Gt1は、電源線抵抗Rt1を介して電源線71に接続されているので、電源電位Vgaの−3.3Vになる。一方、ゲート端子Gt2は0Vになっている。よって、結合ダイオードDc1は逆バイアス状態となるので、ゲート端子Gt2が「H」(0V)である影響は、ゲート端子Gt1には及ばない。
すなわち、電位が「H」(0V)になったゲート端子に逆バイアスのダイオードで接続されたゲート端子の電位は、「H」(0V)になったゲート端子からの影響を受けない。よって、以下では説明を省略する。
時刻eの直後においては、転送サイリスタT2および記憶サイリスタM1がオン状態を維持している。
【0077】
次に、時刻fにおいて、記憶信号φm1(φm)を「S」から「L」(−3.3V)に移行すると、しきい電圧が−3Vの記憶サイリスタM2が新たにターンオンする(図8では+M2 onと表記する。以下同様である。)。すなわち、既にオン状態にある記憶サイリスタM1に加え、記憶サイリスタM2がオン状態になる。すると、ゲート端子Gm2の電位が「H」(0V)になり、発光サイリスタL2のしきい電圧が−1.5Vになる。しかし、点灯信号φI1(φI)は「H」(0V)であるので、発光サイリスタL2もターンオンせず、点灯(発光)しない。
よって、時刻fの直後においては、転送サイリスタT1および記憶サイリスタM1、M2がオン状態を維持している。
【0078】
時刻gにおいて、記憶信号φm1(φm)を「L」から「S」に、第1転送信号φ1を「H」から「L」に移行する。
記憶信号φm1(φm)を「L」から「S」にしても、オン状態にある記憶サイリスタM1、M2はオン状態を維持している。
一方、第1転送信号φ1を「H」から「L」に移行すると、しきい電圧が−3Vとなっている転送サイリスタT3がターンオンする。そして、ゲート端子Gt3の電位が「H」(0V)になって、ゲート端子Gt3に結合ダイオードDc3で接続された転送サイリスタT4のしきい電圧が−3Vになる。同様に、ゲート端子Gt3に接続ダイオードDm3で接続された記憶サイリスタM3のしきい電圧が−3Vになる。
このとき、転送サイリスタT2はオン状態を維持している。よって、転送サイリスタT2のカソード端子が接続された第2転送信号線73の電位は、−1.5Vに維持されているので、転送サイリスタT4はターンオンしない。
また、記憶信号φm1(φm)は「S」であるので、記憶サイリスタM3はターンオンしない。
時刻gの直後においては、転送サイリスタT2、T3および記憶サイリスタM1、M2がオン状態を維持している。
【0079】
次に、時刻hにおいて、第2転送信号φ2を「L」から「H」にする。すると、時刻eと同様に、転送サイリスタT2がターンオフする。転送サイリスタT2のゲート端子Gt2は、電源線抵抗Rt2を介して、電源電位Vgaの−3.3Vになる。
時刻hの直後においては、転送サイリスタT3および記憶サイリスタM1、M2がオン状態を維持している。
【0080】
時刻iにおいて、記憶信号φm1(φm)を「S」から「L」(−3.3V)にすると、時刻fと同様に、しきい電圧が−3Vの記憶サイリスタM3がターンオンする。すると、ゲート端子Gm3(ゲート端子Gl3)の電位が「H」(0V)になるので、発光サイリスタL3のしきい電圧が−1.5Vになる。しかし、点灯信号φI1(φI)は「H」(0V)であるので、発光サイリスタL3もターンオンせず、点灯(発光)しない。
よって、時刻iの直後においては、転送サイリスタT3および記憶サイリスタM1、M2、M3がオン状態を維持している。
【0081】
このように、時刻cから時刻sにおいて、期間T(#A)において供給される画像データ“11111111”にしたがって、記憶サイリスタM1〜M8を順にオン状態にしていく。
その結果、時刻sの直後においては、転送サイリスタT8および記憶サイリスタM1〜M8がオン状態を維持している。そして、発光サイリスタL1〜L8のしきい電圧は−1.5Vになっている。
【0082】
時刻tにおいて、点灯信号φI1(φI)を「H」から「Le」に移行すると、しきい電圧が−1.5Vになっている発光サイリスタL1〜L8がターンオンし、点灯(発光)する。
点灯レベル「Le」は、オン状態の記憶サイリスタMに接続され、しきい電圧が高く(−1.5V)なった発光サイリスタLのみがターンオンするように選択される。
ここで、記憶サイリスタMがオン状態になくとも、転送サイリスタTがオン状態にあると、ゲート端子Gm(Gl)の電位は−1.5Vになる。これにより、発光サイリスタLのしきい電圧が−3Vになる。しかし、しきい電圧が−3Vの発光サイリスタLは、「Le」によってターンオンさせてはいけない。
よって、点灯レベル「Le」は記憶サイリスタMがオン状態にあるときの発光サイリスタLのしきい電圧である−1.5Vより低く且つ−3Vより高く(−3V<「Le」≦−1.5V)設定される。
【0083】
なお、発光サイリスタLのカソード端子は、図5に示すように、抵抗Rnのような抵抗を設けず点灯信号線75に接続されている。点灯信号φI1が電流駆動されれば、抵抗を介さなくても、発光サイリスタL1〜L8をターンオンしうる。すなわち、本実施の形態では、複数(ここでは8個)の発光サイリスタLを同時に点灯させている。
なお、本実施の形態において、「同時に点灯」とは、点灯信号φI1(φI)が「H」から「Le」になることにより、しきい電圧が「Le」より高い発光サイリスタLが点灯することをいう。このとき、前述したように、発光サイリスタLは複数であってもよい。
時刻tの直後においては、転送サイリスタT8、記憶サイリスタM1〜M8および発光サイリスタL1〜L8が点灯(オン)状態になっている。
【0084】
次に、時刻uにおいて、記憶信号φm1(φm)を「L」から「H」に移行する。すると、オン状態を維持していた記憶サイリスタM1〜M8がすべてターンオフする。これにより、記憶サイリスタMから、点灯させようとする発光サイリスタLの位置(番号)に関する情報(1〜8)が失われることになる。
しかし、時刻uの前の時刻tにおいて、発光サイリスタL1〜L8がターンオンしているので、点灯させようとする発光サイリスタLの位置(番号)の情報(ここでは、1〜8)が失われても構わない。すなわち、記憶サイリスタMは、点灯させようとする発光サイリスタLの位置(番号)の情報を記憶する役割を有している。
【0085】
同じ時刻uにおいて、第1転送信号φ1を「H」から「L」(−3.3V)に移行すると、しきい電圧が−3Vとなっている転送サイリスタT9がターンオンする。
よって、時刻uの直後においては、転送サイリスタT8、T9および発光サイリスタL1〜L8がオン(点灯)状態になっている。
【0086】
時刻wにおいて、点灯信号φI1(φI)を「Le」から「H」に移行すると、オン(点灯)状態の発光サイリスタL1〜L8がターンオフして、消灯する。
時刻wの直後においては、転送サイリスタT9がオン状態を維持している。
この後、時刻xから、ブロック#Bの発光サイリスタL9〜L16を点灯制御する期間T(#B)が開始する。期間T(#B)は、期間T(#A)の繰り返しとなるので、説明を省略する。
【0087】
なお、上記の説明において、期間T(#A)の発光サイリスタL1〜L8をすべて点灯させるとした。しかし、特定の発光サイリスタLを点灯させない場合には、時刻cなど記憶サイリスタMをターンオンさせるタイミングにおいて、記憶信号φm1(φm)を「S」に維持し、記憶サイリスタMをターンオンさせない(オフ状態を維持する)ようにすればよい。記憶サイリスタMがオフ状態にあると、その記憶サイリスタMに接続された発光サイリスタLのしきい電圧は−3V以下となって、点灯信号φI1(φI)の「Le」ではターンオンできないからである。
【0088】
以上説明したように、本実施の形態では、期間T(#A)において、ブロック#Aの8個の発光サイリスタL1〜L8を同時に点灯させるため、記憶サイリスタM1〜M8をターンオンさせて発光サイリスタL1〜L8の位置(番号)に関する情報を記憶させている。そして、時刻tから時刻wにおいて、発光サイリスタL1〜L8を同時にターンオンさせて、点灯(発光)している。
【0089】
なお、前述したように、発光チップC(C1〜C60)は、第1転送信号φ1、第2転送信号φ2が共通に供給されて、並行して動作する。そして、発光チップC(C1〜C60)は、画像データに基づいて、点灯させようとする発光サイリスタLを指定する記憶信号φm(φm1〜φm60)が個別に供給されている。そして、2個の発光チップC(C1〜C60)を組にして、組毎に共通に点灯信号φI(φI1〜φI30)が供給されている。点灯信号φIは、ある1つの発光期間(例えば、図8における時刻tから時刻wまでの期間)において、組に属する2個の発光チップCの点灯させる発光サイリスタLの数に応じて電流駆動により電流を供給する。ある1つの発光期間において、点灯させる発光サイリスタLの数は、画像データにて事前に分かっている。よって、点灯させる発光サイリスタLの数に応じて、点灯信号φIに流す電流を設定しうる。
本実施の形態では、発光チップC2個に対して、1つの点灯信号φIとしているので、点灯信号ライン109(109_1〜109_30)の数(30)を発光チップC(C1〜C60)の数(60)より少なくできている。よって、回路基板62の幅が広くなるのを抑制しうる。
また、本実施の形態では、同時に複数の発光素子を点灯させるので、単位時間当たりの露光量を一定とすれば、複数の発光チップCをシリアルに接続し、あたかも一つの発光チップCとし、これらの複数の発光チップCに対して記憶信号φmおよび点灯信号φIを共通化してもよい。これによっても、点灯信号ライン109の数を少なくしうる。
【0090】
(点灯信号線)
以下では、点灯信号線75について詳細に説明する。
図9(a)は、本実施の形態における点灯信号線75の平面レイアウト図である。図9(b)は図9(a)に示す点灯信号線75の等価回路を説明する図である。
図9(a)では、発光チップC1(C)の発光サイリスタL1〜L13および点灯信号線75の部分を示している。図6(a)では、点灯信号線75を直線で示したが、図9(a)では幅を有したパターンとして示している。
なお、図9(a)においても、図6(a)および(b)と同様に、点灯信号線75は、発光サイリスタLと記憶サイリスタMとの間に設けられているとし、記憶サイリスタMの記載を省略している。
図9(a)および(b)において、図6(a)および(b)に示したと同様のものには同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0091】
本実施の形態では、点灯信号線75は、メイン配線750およびブロック配線75A、75B、…を備えている。
そして、ブロック#A、#B、…のそれぞれに属する発光サイリスタLのカソード端子は、ブロック配線75A、75B、…で接続されている。それぞれのブロック配線75A、75B、…は、それぞれの中点(重心)に設けられた接続点Sにて、メイン配線750と接続されている。
例えば、図9(a)に示すように、ブロック#Aに属する発光サイリスタL1〜L8のカソード端子がブロック配線75Aで接続され、同様に、ブロック#Bに属する発光サイリスタL9〜L16のカソード端子がブロック配線75Bで接続されている。他のブロック#C、#D、…についても同様である。そして、ブロック配線75A、75B、…が、それぞれの接続点Sにてメイン配線750に接続されている。すなわち、点灯信号線75は、メイン配線750を幹とし、ブロック配線75A、75B、…を枝とするツリー(木)構造を構成している。
ここで、図9(a)に示す点灯信号線75を、ツリーの枝の分岐が1段であることから、1段分岐の点灯信号線75と呼ぶ。
【0092】
メイン配線750およびブロック配線75A、75B、…は、低抵抗なAlまたはAl合金で形成されたとしても、抵抗(以下では、寄生抵抗と呼ぶ。)を有している。同様に、オン状態の発光サイリスタLも、寄生抵抗Rpを有している。
よって、図9(a)に示した点灯信号線75は、図9(b)に示す等価回路で表される。例えば、メイン配線750は、φI端子部分に寄生抵抗Rwを有し、ブロック配線75Aとブロック配線75Bとの間に寄生抵抗Rbを有していると近似できる。ブロック配線75Aは、発光サイリスタL間に寄生抵抗Ralを有していると近似できる。よって、発光サイリスタLおよび点灯信号線75は、寄生抵抗Rw、Rb、Rp、Ralが分布(抵抗分布)することで構成される分布定数回路(図9(b))で近似できる。
【0093】
図10(a)は、本実施の形態を用いない場合における点灯信号線75の平面レイアウト図である。図10(b)は図10(a)に示す点灯信号線75の等価回路を説明する図である。
本実施の形態を用いない場合では、ブロック(ブロック#A、#B、…)毎にブロック配線を設けず、各発光サイリスタLのカソード端子は、メイン配線である点灯信号線75に直接接続されている。
このため、図10(b)に示すように、例えば、φI端子から発光サイリスタL1のアノード端子に至る抵抗値(Rw+Rp)と、φI端子から発光サイリスタL8のアノード端子に至る抵抗値(Rw+7×Ral+Rp)とが、異なることになる(ここでは、発光サイリスタLを個別に考えている。)。他の発光サイリスタL2〜L7についても同様に異なることになる。
発光サイリスタL1〜L8を個別に定電流駆動により点灯する場合には、1個の発光サイリスタLを点灯させる電流をIaとすると、φI端子からそれぞれの発光サイリスタLのアノード端子に至るまでの抵抗値が異なっても、発光サイリスタLに電流Iaが流れ、それぞれの発光サイリスタLの光量は同じとなる。
【0094】
一方、発光サイリスタL1〜L8を同時に点灯させようとする場合には、例え8個の発光サイリスタLを点灯させるために電流8×Iaを供給したとしても、図10(b)に示す等価回路(分布定数回路)から予測されるように、電流は、発光サイリスタL1〜L8に均等に流れず、発光サイリスタL1〜L8間で異なってしまう。すなわち、発光サイリスタLを流れる電流に分布(電流分布)を生じてしまう。このため、同時に点灯させた発光サイリスタL1〜L8のそれぞれで光量が異なってしまう。
【0095】
しかし、図9(a)に示した本実施の形態では、ブロック配線75Aを用いることにより、発光サイリスタL1のアノード端子からφI端子に至る抵抗値は、発光サイリスタL8のアノード端子からφI端子に至る抵抗値と同じになり、発光サイリスタL1のアノード端子からφI端子に至る抵抗値と、発光サイリスタL4のアノード端子からφI端子からに至る抵抗値との差が最も大きくなる。しかし、この抵抗値の差(発光サイリスタL1とL4との差)は、図10(a)に示した本実施の形態を用いない場合(発光サイリスタL1とL8との差)に比べ、小さくなっている。これは、接続点Sに対して、図の左右で対象になるように、寄生抵抗を分布させているためである。
このことにより、本実施の形態では、ブロック#A、#B、…内で、同時に点灯させる発光サイリスタL間での光量のばらつきを抑制している。
また、図9(a)から分かるように、ブロック内の発光サイリスタLの個数が偶数であると、抵抗値の差は、奇数であるときに比べ小さくなる。
【0096】
図11は、図9(a)および(b)に示した本実施の形態(1段分岐の点灯信号線)において、発光サイリスタLに流れる電流を説明する図である。図11の横軸は、発光サイリスタLの番号である。ここでは、ブロック#Aの発光サイリスタL1〜L8を同時に点灯させるとしている。図11の縦軸は、発光サイリスタL1〜L8のそれぞれに流れる電流の値を示している。なお、図11には、図10(a)および(b)に示した本実施の形態を用いない場合(分岐なしの点灯信号線)についても示している。
ここでは、点灯信号線75の材料としてAlを用いるとすると、抵抗率は2.75×10−8Ω・mとなる。そして、メイン配線750およびブロック配線75Aを膜厚1μm、幅14.5μmとしている。発光サイリスタL間をピッチ21.17μmとすると、寄生抵抗Ralは0.04Ωとなる。一方、オン状態における発光サイリスタLの寄生抵抗Rpを20Ωとしている。
また、オン(点灯)状態の1個の発光サイリスタL(発光点1個)に流れる電流を10mAとして、8個の発光サイリスタL1〜L8を同時に点灯させるため、8×10mA=80mAの電流を基板80の裏面共通電極から供給する。
【0097】
発光サイリスタLを個別に点灯させるときの電流は、発光サイリスタL1〜L8によらず10mAである。しかし、図10(a)および(b)に示した本実施の形態を用いない場合(分岐なしの点灯信号線)において、発光サイリスタL1〜L8を同時に点灯させると、図11に示すように、発光サイリスタL1からL8へと、番号が増えるにしたがい電流が低下していく。すなわち、発光サイリスタL1とL8とで、電流に5.5%の違いがある。このため、発光サイリスタL1〜L8の光量が異なってしまう。これは、図10(b)から分かるように、発光サイリスタL1からL8と番号が増えるにつれ、発光サイリスタLのアノード端子からφI端子までの抵抗値が増加するためである。
そして、8個の発光サイリスタL1〜L8は同時に駆動されているため、それぞれの発光サイリスタLに流れる電流や点灯期間は調整できず、個別に光量を調整することが困難である。また、光量の変化は、8個の発光サイリスタLからなるブロック間で周期的に現れるため、画像形成装置1にて形成された画像において、ムラとして目立ちやすい。
【0098】
一方、図9(a)および(b)に示した本実施の形態の場合(1段分岐の点灯信号線)では、発光サイリスタL1からL4へ番号が増えるにしたがい、発光サイリスタLを流れる電流が増加する。また、対称的に、発光サイリスタL5からL8へと番号が増えるにしたがい、発光サイリスタLを流れる電流が低下する。すなわち、発光サイリスタL1〜L8に対する電流分布はΛ字型の傾向を有している。
そして、発光サイリスタL1とL4とで、電流の差は1.2%である。よって、1段分岐の点灯信号線75では、分岐なしの点灯信号線75の場合に対して、電流の差が1/5となる。よって、本実施の形態では、光量のばらつきを抑制しうる。
【0099】
なお、図9(a)から分かるように、本実施の形態の場合の1段分岐の点灯信号線75は、図10(a)の分岐なしの点灯信号線75の2倍の幅が必要となる。そこで、点灯信号線75の幅を増やさないために、図9(a)の1段分岐の点灯信号線75のメイン配線750およびブロック配線75A、75B、…のそれぞれの幅を1/2にする。すると、発光サイリスタL1とL4とで、電流の差は2.4%になる。この場合でも、1段分岐の点灯信号線75における電流の差は、分岐なしの点灯信号線75に対して、1/2となる。
すなわち、1段分岐の点灯信号線75の幅を、分岐なしの点灯信号線75と同じにしても、1段分岐の点灯信号線75における発光サイリスタLに流れる電流の差は、分岐なしの点灯信号線75の場合に比べ小さくなり、光量のばらつきを抑制しうる。
【0100】
(基板の寄生抵抗の影響)
ここで、基板80の抵抗(寄生抵抗)の影響を検討する。
これまでの説明では、基板80の抵抗が低く、同時に点灯させる発光サイリスタLの電流(光量)の差に影響を与えない場合を扱った。
しかし、基板80またはp型の第1半導体層81の抵抗が高い場合には、基板80等の寄生抵抗が、同時に点灯させる発光サイリスタLの電流(光量)の差に影響を与えるようになる。
図12(a)は、本実施の形態において、基板80の寄生抵抗の影響を考慮した点灯信号線の等価回路を説明する図である。図12(b)は、本実施の形態を適用しない場合において、基板80の寄生抵抗を考慮した点灯信号線の等価回路を説明する図である。
図12(a)および(b)のいずれにおいても、一点鎖線で囲って示すように、基板80側には、発光サイリスタLのアノード端子間の寄生抵抗Rdと、アノード端子と基板80の裏面に設けられた裏面共通電極との間の寄生抵抗Rdとが存在する。
【0101】
図13は、本実施の形態(1段分岐の点灯信号線)において、基板80の寄生抵抗の影響を考慮した場合に発光サイリスタLに流れる電流を説明する図である。図13の横軸は、発光サイリスタLの番号である。ここでは、ブロック#Cの発光サイリスタL17〜L24を同時に点灯させたとしている。図13の縦軸は、発光サイリスタL17を流れる電流に対する発光サイリスタL17〜L24のそれぞれに流れる電流の比を示している。なお、図13には、本実施の形態を用いない場合(分岐なしの点灯信号線)についても示している。
そして、図13には、画像データとして“11111111”および“11110000”とを与えた場合を示している。すなわち、画像データが“11111111”の場合には、発光サイリスタL17〜L24をすべて点灯している。一方、画像データが“11110000”の場合には、発光サイリスタL17〜L20を点灯し、発光サイリスタL21〜L24を消灯のままとしている。
【0102】
まず、分岐なしの点灯信号線75において、画像データが“11111111”の場合について説明する。
前述した基板80の寄生抵抗の影響が無視できる場合には、図11に示したように、発光サイリスタLの番号が大きくなるにつれ、発光サイリスタLに流れる電流が低下した。しかし、図13に示すように、発光サイリスタL17からL21に番号が増えると、発光サイリスタLに流れる電流が低下する傾向にあるが、発光サイリスタL21からL24に番号が増えると、逆に発光サイリスタLに流れる電流が増加する傾向にある。このように、同時に点灯させた複数の発光サイリスタLに対して、電流分布がU字型になる傾向がある。
【0103】
この電流分布がU字型になる理由は次のように考えられる。
発光サイリスタLを流れる電流は、裏面共通電極から、基板80の寄生抵抗Rs、Rdを介して発光サイリスタLへと流れる。その後、発光サイリスタLの寄生抵抗Rpを経て、点灯信号線75に向かう。そして、点灯信号線75の寄生抵抗Ral、Rw、Rbを経てφI端子に流れる。
隣接して配置された複数の発光サイリスタLがオン状態にあると、オン状態の発光サイリスタL列の中央部分の基板80に流れる電流密度は、周辺部分の基板80に流れる電流密度より高くなる。このため、中央部分では、周辺部より、基板80の寄生抵抗による電位降下が大きくなる。すなわち、中央部分では、基板80の寄生抵抗が大きいと同様な状態になる。よって、中央部分の発光サイリスタLに流れる電流が小さく(U字型に)なると考えられる。
なお、最も電流が小さいのは、発光サイリスタL21であって、中央よりやや番号の大きい側にずれている。これは、図11に示した分岐なしの点灯信号線75において、発光サイリスタLの番号が大きいほど発光サイリスタLに流れる電流が小さくなるという、点灯信号線75の寄生抵抗の影響(右下がりになる傾向)と、上述した基板80の寄生抵抗の影響(U字型になる傾向)とが重なるためである。これにより、最も電流が小さい発光サイリスタLの位置は中央よりやや番号の大きい側にずれている。
そして、電流が最も大きい発光サイリスタL17と、電流がもっとも小さい発光サイリスタL21とで電流の差(電流分布の幅)は、15%である。
【0104】
一方、図9に示す、本実施の形態における1段分岐の点灯信号線75の場合の電流の差(電流分布の幅)は7%である。これは、前述した1段分岐の点灯信号線75の寄生抵抗の影響(Λ字型になる傾向)と上述した基板80の寄生抵抗の影響(U字型になる傾向)とが重なり合い、打ち消しあう(補償する)ためである。
以上のことから、本実施の形態における1段分岐の点灯信号線75では、分岐のない点灯信号線75に比べ、電流分布の幅が1/2になっている。
【0105】
画像データ“11110000”の場合、分岐のない点灯信号線75では、同時に点灯させた発光サイリスタL17〜L20のうち、中央よりやや番号の大きい側にある発光サイリスタL19の電流が最も小さくなっている。この傾向は、画像データ“11111111”の場合と同じである。図12(b)から分かるように、点灯信号線75に分岐を設けていないので、8点の同時点灯と4点の同時点灯とに傾向の差を生じない。
【0106】
これに対し、1段分岐の点灯信号線75では、発光サイリスタL20の電流が、発光サイリスタL17の電流より大きくなっている。この理由は、次のように考えられる。すなわち、基板80の寄生抵抗の影響は、発光サイリスタL18またはL19に流れる電流を最小とするようにU字型になる傾向を有する。つまり、基板80の寄生抵抗に由来するU字型の電流分布は、“1”の並びの重心を対称軸としている。
一方、点灯信号線75の寄生抵抗の影響は、図11に示すように、発光サイリスタL17からL20へと増加する傾向にある。つまり、点灯信号線75の寄生抵抗に由来するΛ型の電流分布は、ブロック配線75A、75B、…のそれぞれの中点に設けられた接続点Sを対称軸としている。
よって、基板80の寄生抵抗の影響(U字型になる傾向)と1段分岐の点灯信号線75の寄生抵抗の影響(Λ字型になる傾向)との対称軸の位置がずれるため、打ち消しあう(補償する)ことができず、発光サイリスタL20に基板80の寄生抵抗の影響(U字型になる傾向)が強く現れたためと考えられる。
このように、画像データによっては、1段分岐の点灯信号線75は、分岐のない点灯信号線75に比べ、電流の差が大きくなってしまうことがありうる。
【0107】
ただし、画像形成装置1にて形成された画像の画質に与える影響を考えるときは、すべての画像データの組み合わせのうち最も電流分布が大きくなるものを比較すれば十分である。
分岐のない点灯信号線75の場合、電流分布の幅が最も大きくなるのは、“11111111”であり、電流が最も大きい発光サイリスタL17と、電流が最も小さい発光サイリスタL21とで電流の差は、15%である。
一方、1段分岐の点灯信号線75において、電流分布の幅が最も大きくなると考えられるのは、画像データが“11111111”、“11110000”、または“00001111”のいずれかの場合と考えられる。
以下に理由を説明する。なお、“11110000”と“00001111”とは、ブロック配線(グループ#Cではブロック配線75C)が接続点S(1段分岐点)に対して左右対称構造となっていることから、片方を考えれば十分である。
(1)基板80の寄生抵抗に由来するU字型の電流分布の対称軸は、“1”の並びの重心を、点灯信号線75の寄生抵抗に由来する電流分布のΛ字型の対称軸は1段分岐の接続点Sを通る。
(2)“11111111”では、基板80の寄生抵抗に由来するU字型の電流分布の影響が最も大きくなる。しかし、U字型とΛ字型との対称軸が一致し、補償の効果は最大となる。
(3)“11110000”では、U字型の対称軸が発光サイリスタL18と発光サイリスタL19との間にあって、発光サイリスタL20と発光サイリスタL21との間にあるΛ字型の対称軸とずれる。このため、補償の効果は少なく、点灯信号線75の寄生抵抗の影響が最大となって、点灯信号線75の寄生抵抗の影響が大きく働くことになる。
【0108】
上記の理由から、基板80の寄生抵抗を一定としたとき、画像データが“11111111”のときの電流分布の幅と、“11110000”の時の電流分布の幅とが同じになるように点灯信号線75の寄生抵抗を選ぶと、電流分布の幅を最も小さくしうる。
つまり、本例では8個の発光点(発光サイリスタL)をグループとし、その中央(重心)から1段分岐で給電する場合を示したが、発光点数に制限は無く、グループにおける全発光点を同時点灯させた時の発光サイリスタLに流れる電流の最大値と最小値の第1の差(電流分布の幅)と、グループの一端または他端から中央までに含まれる発光点(前半(右半分)または後半(左半分)の発光点)のみをすべて点灯させた時の発光サイリスタLに流れる電流の最大値と最小値の第2の差(電流分布の幅)とを同じとなるように点灯信号線75の寄生抵抗を選べばよい。なお、グループに属する発光点の数が奇数である場合は、前半(右半分)または後半(左半分)の発光点が、共に中央の発光点を含むようにすればよい。なお、第1の差と第2の差との差を必ずしも0にする必要はなく、画質に応じて小さくすればよい。
【0109】
<第2の実施の形態>
図14(a)は、第2の実施の形態における点灯信号線75の平面レイアウト図である。図14(b)は図14(a)に示す点灯信号線75の等価回路を説明する図である。第1の実施の形態と同様のものは、同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
本実施の形態では、発光サイリスタLは、ブロック#Aに属する発光サイリスタL1〜L8を、サブブロック#A1に属する発光サイリスタL1〜L4と、サブブロック#A2に属する発光サイリスタL5〜L8とに分けている。ブロック#B、#C、…においても同様である。
点灯信号線75は、メイン配線750と、サブブロック配線75A1、75A2、75B1、75B2、…と、メイン配線750とサブブロック配線75A1、75A2、75B1、75B2、…とを接続するブロック配線75A、75B、…とを備えている。
【0110】
そして、サブブロック#A1に属する発光サイリスタL1〜L4のカソード端子はサブブロック配線75A1に接続され、サブブロック#A2に属する発光サイリスタL5〜L8のカソード端子はサブブロック配線75A2に接続されている。サブブロック配線75A1および75A2はそれぞれの中点に設けられた接続点Sにおいて、ブロック配線75Aに接続されている。
サブブロック#B1、#B2、…においても同様である。
さらに、ブロック配線75A、75B、…がそれぞれの中点に設けられた接続点Sにおいて、メイン配線750に接続されている。
すなわち、点灯信号線75は、メイン配線750を幹とし、ブロック配線75A、75B、…を枝とし、さらにサブブロック配線75A1、75A2、75B1、75B2、…を枝とするツリー(木)構造を構成する。
ここで、図14(a)に示す点灯信号線75を、分岐が2段であることから、2段分岐の点灯信号線75と呼ぶ。
【0111】
図14(a)に示した点灯信号線75は、図14(b)に示す等価回路で表される。例えば、メイン配線750は、φI端子部分に寄生抵抗Rw、ブロック配線75Aとブロック配線75Bとの間に寄生抵抗Rcとを有していると近似できる。ブロック配線75A、75B、…は、サブブロック配線75A1とメイン配線750との間に寄生抵抗Rbを、サブブロック配線75A2とメイン配線750との間に寄生抵抗Rbを有していると近似できる。サブブロック配線75A1は、発光サイリスタL間に寄生抵抗Ralを有していると近似できる。よって、発光サイリスタLおよび点灯信号を供給する点灯信号線75は、寄生抵抗Rw、Rb、Rc、Rp、Ralが分布して構成する分布定数回路(図14(b))で近似できる。
そして、図14(b)から分かるように、本実施の形態では、前述の第1の実施の形態より、発光サイリスタL間において、発光サイリスタLのアノード端子からφI端子に至る抵抗値の差を小さくしている。
【0112】
図15は、本実施の形態(2段分岐の点灯信号線75)において、発光サイリスタLに流れる電流を説明する図である。図15の横軸は、発光サイリスタLの番号である。ここでは、ブロック#Aの発光サイリスタL1〜L8を同時に点灯させたとしている。図15の縦軸は、発光サイリスタL1〜L8のそれぞれに流れる電流を示している。なお、図15には、本実施の形態を用いない場合(分岐なしの点灯信号線)についても示している。
これらは、基板80等の寄生抵抗の影響を受けない場合とし、第1の実施の形態における図11の場合と同様にして求めた。
【0113】
本実施の形態における2段分岐の点灯信号線75では、サブブロック#A1の両端に位置する発光サイリスタL1およびL4の電流が、サブブロック#A1の中央に位置する発光サイリスタL2およびL3の電流より小さい。サブブロック#A2においても同様である。2段分岐の点灯信号線75では、ブロック内の発光サイリスタL間の電流の差(電流分布の幅)が0.2%である。これは、分岐なしの点灯信号線75の場合の、1/30になっている。これにより、発光サイリスタLのブロック内の発光サイリスタLの光量のばらつきをより抑制しうる。
【0114】
本実施の形態では、サブブロック#A1、#A2、…に属する発光サイリスタLの数は4個である。そこで、さらに、サブブロックを二つに分けて、新たなサブブロックにそれぞれ2個の発光サイリスタLが属するとしてもよい。この場合、分岐が3段となるので3段分岐の点灯信号線75となる。
3段分岐の点灯信号線75では、ブロック#Aにおける発光サイリスタL1〜L8をすべて点灯する場合の発光サイリスタL間の電流の差(電流分布の幅)は、発光サイリスタLを個別に点灯させた場合にほぼ一致する。
【0115】
本実施の形態では、すべてのブロックをサブブロックに分割したが、一部のブロックのみをサブブロックに分割してもよい。また、サブブロックに属する発光サイリスタLの個数が、サブブロック間で異なっていてもよい。なお、サブブロックに属する発光サイリスタLの個数が偶数であると、ブロックにおける発光サイリスタLに流れる電流の差が、奇数のときより小さくなる。
なお、基板80の寄生抵抗の影響は、第1の実施の形態と同様に考えればよい。
【0116】
<第3の実施の形態>
図16は、第3の実施の形態における点灯信号線75の断面図である。
本実施の形態では、図9(a)および(b)で示した2段分岐の点灯信号線75を、配線層を多層にして構成している。なお、図9(a)では、2段分岐の点灯信号線75を、平面レイアウトにおいて構成していた。
図6(b)および図9と同様なものは同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図16では、発光サイリスタL1〜L9のn型のオーミック電極(発光サイリスタL1ではn型のオーミック電極121)に開口を設けた第1絶縁層85を設けている。そして、第1絶縁層85上に第1配線層86を、第1配線層86上に第2絶縁層87を、第2絶縁層87上に第2配線層88を設けている。
すなわち、第1配線層86と第2配線層88とが、第2絶縁層87を挟んで多層に構成されている。
そして、発光サイリスタL1〜L8のカソード端子を接続する第1配線層86がブロック配線75Aを構成する。そして、ブロック配線75Aは、発光サイリスタL4とL5との間の中点に設けられた接続点S(開口)により、第2配線層88が構成するメイン配線750に接続されている。
【0117】
このように、多層配線層により、分岐した点灯信号線75を構成することができる。なお、第2の実施の形態で説明した、2段分岐の点灯信号線75を構成する場合には、サブブロック配線75A1、75A2、…と、ブロック配線75A、75B、…と、メイン配線750とを、それぞれ別の配線層に割り当てた3層構造の多層配線としてもよい。
また、2層の多層配線とし、サブブロック配線75A1、75A2、…と、ブロック配線75A、75B、…と、メイン配線750とのいずれか2つを1つの配線層に割り当て、残りの1つを他の配線層に割り当ててもよい。
【0118】
なお、第1および第3の実施の形態では、ブロック配線75A、75B、…の中点に設けられた接続点Sにおいてメイン配線750と接続するとした。ここで、接続点Sはかならずしも中点である必要はなく、ブロック内において発光サイリスタLの電流(光量)の差が、予め定められた範囲に入ればよい。よって、接続点Sはブロック配線75A、75B、…のそれぞれの中点に設けなくともよく、メイン配線750、ブロック配線75A、75B、…のレイアウトによって、接続点Sの位置を変更しうる。
第2の実施の形態における、サブブロック配線においても、同様である。
【0119】
また、第1から第3の実施の形態において、8個の発光サイリスタLをブロックとしたが、8個に限らず、8個を越える個数の発光サイリスタLをブロックにしてもよく、8個に満たない個数の発光サイリスタLをブロックにしてもよい。また、ブロック間で属する発光サイリスタLの個数が異なってもよい。
さらに、第1から第3の実施の形態において、発光サイリスタLへの電力の供給は電流駆動で行うとしたが、電圧駆動であってもかまわない。このとき、発光サイリスタLのカソード端子と、点灯信号線75との間に抵抗を設けてもよい。
本実施の形態では、図5に示した自己走査型発光素子アレイ(SLED)について説明したが、同時に複数の発光サイリスタLを点灯させうる他の構成の自己走査型発光素子アレイ(SLED)を用いてもよいことは明らかである。
【0120】
本実施の形態では、p型の半導体である基板80上に、p型の第1半導体層81、n型の第2半導体層82、p型の第3半導体層83、n型の第4半導体層84を積層した。しかし、p型の半導体である基板80がp型の第1半導体層81を兼ねることで、p型の第1半導体層81を省略してもよい。
また、n型の基板上に、n型の半導体層、p型の半導体層、n型の半導体層、p型の半導体層を積層して、カソードコモンのサイリスタを用いてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1…画像形成装置、11…画像形成ユニット、12…感光体ドラム、13…帯電器、14…プリントヘッド、15…現像器、24…定着器、61…ハウジング、62…回路基板、63…発光部、64…ロッドレンズアレイ、71…電源線、72…第1転送信号線、73…第2転送信号線、74…記憶信号線、75…点灯信号線、80…基板、81…p型の第1半導体層、82…n型の第2半導体層、83…p型の第3半導体層、84…n型の第4半導体層、100…信号発生回路、110…点灯信号発生部、120…転送信号発生部、130…記憶信号発生部、750…メイン配線、T…転送サイリスタ、M…記憶サイリスタ、L…発光サイリスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列状に配列された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を点灯/非点灯が制御される複数のブロックに分割し、前記ブロックに属する発光素子を接続し発光のための電力を供給するブロック配線と、給電点から延伸し前記ブロック配線が接続されるメイン配線と、を含む点灯信号配線と
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記ブロックに属する発光素子の数が偶数であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記ブロックに属する発光素子を接続する前記ブロック配線は、当該ブロックに属する両端の発光素子の間を接続する当該ブロック配線の中点に前記メイン配線との接続点が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記点灯信号配線の前記ブロック配線と前記メイン配線とが、異なる配線層からなる多層配線構造にて構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記点灯信号配線は、前記ブロックに属する発光素子をすべて点灯した場合に点灯した発光素子に流れる電流の最大値と最小値との第1の差と、当該ブロックの一端または他端から中央までに含まれる発光素子を点灯した場合に点灯した発光素子に流れる電流の最大値と最小値との第2の差との差が小さくなるように、抵抗分布が設定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記ブロックの少なくとも1つは、当該ブロックを構成する複数の発光素子が複数のサブブロックに分割され、前記複数のサブブロックを構成するそれぞれのサブブロックは、前記サブブロックに属する発光素子を接続し、発光のための電力を供給するサブブロック配線を備え、当該複数のサブブロックのそれぞれのサブブロック配線はツリー構造に順次集線されて、前記メイン配線に接続されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記サブブロックに属する発光素子の数が偶数であることを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記サブブロックに属する発光素子を接続する前記サブブロック配線は、当該サブブロックに属する両端の発光素子の間を接続する当該サブブロック配線の中点に接続点が設けられ、前記接続点からツリー構造に集線されることを特徴とする請求項6または7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記サブブロックにおける前記サブブロック配線と、当該サブブロック配線をツリー構造に集線する配線と、前記メイン配線とが、多層配線構造にて構成されていることを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記点灯信号配線は、前記サブブロックに属する発光素子をすべて点灯した場合に点灯した発光素子に流れる電流の最大値と最小値との第1の差と、当該サブブロックの一端または他端から中央までに含まれる発光素子を点灯した場合に点灯した発光素子に流れる電流の最大値と最小値との第2の差との差が小さくなるように、抵抗分布が設定されていることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
列状に配列された複数の発光素子と、前記複数の発光素子を点灯/非点灯が制御される複数のブロックに分割し、前記ブロックに属する発光素子を接続し発光のための電力を供給するブロック配線と、給電点から延伸し前記ブロック配線が接続されるメイン配線とを含む点灯信号配線と、を備える発光装置と、
前記ブロックに属する発光素子に発光のための電力を供給する点灯信号を送出する点灯信号供給手段と
を備え、像保持体を露光する露光手段と、
前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と
を備えたことを特徴とするプリントヘッド。
【請求項12】
前記露光手段の前記点灯信号供給手段は、電流駆動により点灯信号を供給することを特徴とする請求項11に記載のプリントヘッド。
【請求項13】
像保持体を帯電する帯電手段と、
列状に配列された複数の発光素子と、前記複数の発光素子を点灯/非点灯が制御される複数のブロックに分割し、前記ブロックに属する発光素子を接続し発光のための電力を供給するブロック配線と、給電点から延伸し前記ブロック配線が接続されるメイン配線とを含む点灯信号配線と、を備える発光装置と、当該ブロックに属する発光素子に発光のための電力を供給する点灯信号を送出する点灯信号供給手段とを備え、前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と、
前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−63003(P2011−63003A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218093(P2009−218093)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】