発電装置および走行装置
【課題】水素ガスを利用してクリーンな燃焼を実現するとともに、入手しやすい従来の化石燃料に係る燃料ガスもあわせて利用することができるエンジンを備える発電装置と、走行装置を提供すること。
【解決手段】燃料ガスを燃焼させるエンジン36により、発電機52を駆動し、該発電機による電力で電気モータ63を駆動して走行する走行装置であって、前記燃料ガスとしての水素1と、少なくとも水素よりも高カロリーな他の燃料ガス2をそれぞれ送る各燃料ガスの送り管と、各燃料ガスの送り管から開閉手段を介してひとつの管路にまとめて送る燃料ガスの供給管31と、該供給管に設定した可変調圧器34とを有しており、前記可変調圧器が、前記燃料ガスの供給管を介して燃料ガスを供給する際に、前記水素と、前記他の燃料ガスとにそれぞれ適合した圧力を選択して、適切な圧力で燃料ガスを供給する構成。
【解決手段】燃料ガスを燃焼させるエンジン36により、発電機52を駆動し、該発電機による電力で電気モータ63を駆動して走行する走行装置であって、前記燃料ガスとしての水素1と、少なくとも水素よりも高カロリーな他の燃料ガス2をそれぞれ送る各燃料ガスの送り管と、各燃料ガスの送り管から開閉手段を介してひとつの管路にまとめて送る燃料ガスの供給管31と、該供給管に設定した可変調圧器34とを有しており、前記可変調圧器が、前記燃料ガスの供給管を介して燃料ガスを供給する際に、前記水素と、前記他の燃料ガスとにそれぞれ適合した圧力を選択して、適切な圧力で燃料ガスを供給する構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種燃料ガスを燃焼させて発電機を駆動する発電装置と、この発電装置を利用した走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガソリンや軽油を燃料として、空気との混合気を燃焼させる内燃機関であるエンジンは広く用いられており、エンジンを用いて発電機を駆動する発電装置や、エンジンにより走行動力を得る自動車やオートバイなどの走行装置は広く使用されている。
そうした中で、最近は、地球温暖化に対する対策の必要性が強く要請されており、二酸化炭素排出量の大きい化石燃料の使用を削減することが叫ばれている。
そこで、最近は、水素を利用して電気を起こす燃料電池の開発に力が注がれているが、耐久性の不足、高コストなどまだ多くの課題をかかえている。
このため、長い技術の蓄積がある内燃機関を使って水素を利用することが好ましい。
【0003】
例えば、特許文献1にはディーゼルエンジンの発明が記載されている。
この発明では、ノッキングを抑制して圧縮比を高くし熱効率を向上させる利点を持つディーゼルエンジンにおいて、液化天然ガス(liquefied petrolem gas、以下、「LPG」という。)や水素ガスなど発熱量当たりの二酸化炭素排出量が少なく、希薄燃焼させることで有害な窒素酸化物(NOx)排出量を少なくできるが、自己着火温度が高く、通常ディーゼル燃焼させることが困難な燃料をディーゼルエンジンで利用する方法について記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−254105号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、軽油以外のLPGや、水素をディーゼルエンジンで燃焼できれば、たしかに二酸化炭素の排出や窒素酸化物の排出を抑制できるが、例えば、これらの対策として理想的な水素を燃焼させるディーゼルエンジンを開発したところで、ガソリンスタンドのように利用可能な水素スタンドは日本国内でもほとんど整備されておらず、外出先での燃料補給に困ってしまう。
自宅や他の施設で用いる発電装置にこのようなエンジンを利用して発電機を駆動することを考えた場合でも、特に水素燃料の補給・調達はガソリンや軽油、LPGなどのように手軽に行えないという問題がある。
【0006】
すなわち、現在は利用技術の開発が進んでいる水素燃料についても、特に供給インフラの整備がきわめて不十分な状態なことから、単に水素燃料を使えるようにすればいいということでは、現段階における実用的な水素利用技術とはならないのである。
そこで、供給インフラが整っている従来用いられてきた化石燃料の燃料ガスと、水素ガルとを切換え利用できる内燃機関の実現が望まれる。
しかしながら、特にこのようなエンジンを想定した場合に、燃焼させるガス種が異なれば、発熱量も相違することから、このエンジンによる動力を直接伝えて走行装置などを駆動する場合には、いかなるガス種を選択した場合にも同様の走行性能を得ることは難しいという問題もある。
【0007】
本発明は、以上のような欠点を解消するためになされたものであり、水素ガスを利用してクリーンな燃焼を実現するとともに、入手しやすい従来の化石燃料に係る燃料ガスもあわせて利用することができるエンジンを備える発電装置と、走行装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、第1の発明にあっては、燃料ガスを燃焼させるエンジンにより、発電機を駆動する発電装置であって、前記燃料ガスとしての水素と、少なくとも水素よりも高カロリーな他の燃料ガスをそれぞれ送る各燃料ガスの送り管と、各燃料ガスの送り管から開閉手段を介してひとつの管路にまとめて送る燃料ガスの供給管と、該供給管に設定した可変調圧器とを有しており、前記可変調圧器が、前記燃料ガスの供給管を介して燃料ガスを供給する際に、前記水素と、前記他の燃料ガスとにそれぞれ適合した圧力を選択して、適切な圧力で燃料ガスを供給する構成とした発電装置により、達成される。
上記構成によれば、燃料ガスを燃焼させるエンジンとは、内燃機関であり、液体燃料ではなく、燃料ガスを燃焼させるため、気化器は使用しないもので、このエンジンにより発電機を駆動して電力を得るものである。
前記エンジンには、前記供給管を介して水素ガスが送られ、あるいは水素よりも高カロリーな燃料ガスが送られる。供給された燃料ガスはエンジン内で空気と混合され、所定の空燃比にして燃焼される。そして、水素は、前記高カロリーな燃料ガスの場合と比べてカロリーが低い分、高い圧力で供給される必要がある。このため、水素と高カロリーな燃料ガスとは供給圧力を変える必要があることから、各燃料ガスの送り管に設定した開閉手段を介して、前記ひとつの管路にまとめた燃料ガスの供給管には前記可変調圧器を配置し、それぞれの燃料ガスに対応した圧力としてエンジンに供給することによって、異種の燃料ガスにより共通のエンジンにおける燃焼を可能としたものである。すなわち、各燃料ガスの個別の送り管を開閉手段により一つの供給管にまとめ、ここに可変調圧器を設定した新規な構成を採用している。
なお、ここで、「水素よりも高カロリーな燃料ガス」とは燃焼による発熱量が水素より大きい燃料ガスを意味する。
かくして、水素ガスを利用することにより、燃焼によって二酸化炭素を発生させることなく、クリーンな燃焼により電力を生成することができる。そして、水素ガスを使いきってしまった場合、あるいはその供給をすぐに得られない場合には、水素よりも高カロリーな他の燃料ガスを供給管から送り、これを燃焼することで電力を生成することができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記エンジン内には、携帯用燃料ガスの供給管が接続されて、該携帯用燃料ガスのエンジンへの供給圧力を調整する二次調圧器が設けられており、該二次調圧器に前記ガス供給管が接続されるとともに、前記他の燃料ガスおよび携帯燃料ガスとしてLPGを用いる構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、エンジン内の二次調圧器は、前記携帯用ガスボンベに適合するように圧力設定されている。このため、該二次調圧器に携帯用ガスボンベを接続するだけで、エンジンには、携帯用ガスボンベの燃料ガスが適切な圧力で供給される。ここで、他の燃料ガスおよび携帯燃料ガスとしてLPGを利用するようにすれば、LPGは、十分なカロリー(燃焼による発熱量)を有しており、供給インフラも整備されている。しかもエンジンに予め設定された水素以外の燃料ガスと、携帯ガスボンベのガス種を合わせておけばエンジンの燃焼条件の調整も容易である。
さらに、ガス供給管が前記二次調圧器に接続されているので、供給管の可変調圧器の調整された圧力が、後段の二次調圧器を介して、エンジンの適切な供給圧力となるようにされていれば、水素ガス、水素より高カロリーな燃料ガス、そして携帯用ガスボンベにより供給される燃料ガスについて、それぞれ適切な圧力でエンジンに供給されるので、少なくとも3種類の燃料ガスを共通のエンジンで燃焼させることができる。
【0010】
また、上記目的は、第3の発明にあっては、燃料ガスを燃焼させるエンジンにより、発電機を駆動し、該発電機による電力で電気モータを駆動して走行する走行装置であって、 前記燃料ガスとしての水素と、少なくとも水素よりも高カロリーな他の燃料ガスをそれぞれ送る各燃料ガスの送り管と、各燃料ガスの送り管から開閉手段を介してひとつの管路にまとめて送る燃料ガスの供給管と、該供給管に設定した可変調圧器とを有しており、前記可変調圧器が、前記燃料ガスの供給管を介して燃料ガスを供給する際に、前記水素と、前記他の燃料ガスとにそれぞれ適合した圧力を選択して、適切な圧力で燃料ガスを供給する構成とした走行装置により、達成される。
上記構成によれば、燃料ガスを燃焼させるエンジンとは、内燃機関であり、液体燃料ではなく、燃料ガスを燃焼させるため、気化器は使用しないもので、このエンジンにより発電機を駆動して電力を得るものである。
前記エンジンには、前記供給管を介して水素ガスが送られ、あるいは水素よりも高カロリーな燃料ガスが送られる。供給された燃料ガスはエンジン内で空気と混合され、所定の空燃比にして燃焼される。そして、水素は、前記高カロリーな燃料ガスの場合と比べてカロリーが低い分、高い圧力で供給される必要がある。このため、水素と高カロリーな燃料ガスとは供給圧力を変える必要があることから、各燃料ガスの送り管に設定した開閉手段を介して、前記ひとつの管路にまとめた燃料ガスの供給管には前記可変調圧器を配置し、それぞれの燃料ガスに対応した圧力としてエンジンに供給することによって、異種の燃料ガスにより共通のエンジンにおける燃焼を可能としたものである。すなわち、各燃料ガスの個別の送り管を開閉手段により一つの供給管にまとめ、ここに可変調圧器を設定した新規な構成を採用している。
かくして、水素ガスを利用することにより、燃焼によって二酸化炭素を発生させることなく、クリーンな燃焼により電力を生成することができる。この電力を使って電気モータを駆動して走行するようにしたので、水素とそれ以外の燃料ガスに大きなカロリーの相違があっても走行は可能となる。
しかも、水素ガスを使いきってしまった場合、あるいはその供給をすぐに得られない場合には、水素よりも高カロリーな他の燃料ガスを供給管から送り、これを燃焼することで走行できるから、水素を有効利用しながら、実用上不便のない走行装置を得ることができる。
【0011】
第4の発明は、第3の発明の構成において、前記エンジン内には、携帯用燃料ガスの供給管が接続されて、該携帯用燃料ガスのエンジンへの供給圧力を調整する二次調圧器が設けられており、該二次調圧器に前記ガス供給管が接続されるとともに、前記他の燃料ガスおよび携帯燃料ガスとしてLPGを用いる構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、エンジン内の二次調圧器は、前記携帯用ガスボンベに適合するように圧力設定されている。このため、該二次調圧器に携帯用ガスボンベを接続するだけで、エンジンには、携帯用ガスボンベの燃料ガスが適切な圧力で供給される。ここで、他の燃料ガスおよび携帯燃料ガスとしてLPGを利用するようにすれば、LPGは、十分なカロリーを有しており、供給インフラを整備されている。しかもエンジンに予め設定された水素以外の燃料ガスと、携帯ガスボンベのガス種を合わせておけばエンジンの燃焼条件の調整も容易である。
さらに、ガス供給管が前記二次調圧器に接続されているので、供給管の可変調圧器の調整された圧力が、後段の二次調圧器を介して、エンジンの適切な供給圧力となるようにされていれば、水素ガス、水素より高カロリーな燃料ガス、そして携帯用ガスボンベにより供給される燃料ガスについて、それぞれ適切な圧力でエンジンに供給されるので、少なくとも3種類の燃料ガスを共通のエンジンで燃焼させ、走行することができる。
【0012】
第5の発明は、第3または4のいずれかの発明の構成において、前記水素と他の燃料ガスは、走行負荷に応じて選択燃焼される構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、走行装置では走行コースによって地形の違いがあったり、運転状態によって走行負荷が変化する。走行負荷が比較的小さい場合には水素ガスを燃焼に用いて、走行負荷が大きくなったら水素より高カロリーの燃料ガスを用いることでスムーズな走行が可能となる。
【0013】
第6の発明は、第5の発明の構成において、前記発電機による電力を二次電池に蓄積して、該二次電池から供給される電力で前記電気モータが駆動されるとともに、前記発電機から前記二次電池に送られる電力がモニタされることにより、前記走行負荷を検出して、該走行負荷に応じて燃料ガスを選択する制御手段を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、前記発電機から前記二次電池に送られる電力をモニタすることで、容易に走行負荷に対応した燃料ガスを切換え燃焼できる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、水素ガスを利用してクリーンな燃焼を実現するとともに、入手しやすい従来の化石燃料に係る燃料ガスもあわせて利用することができるエンジンを備える発電装置と、走行装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る発電装置と、これを組み込んだ走行装置の概略構成図である。
先ず、これらの装置の構成について説明する。
(発電装置の構成)
この実施形態において、符号10で示すのが発電装置であり、発電装置10に符号61で示す構成を付加したものが、走行装置60である。
図において、発電装置10は、内燃機関であるエンジン(ガスエンジン)36により発電機52を駆動して電力を生成する装置である。
その電力を二次電池62に蓄積して、電気モータ63に与え、駆動輪64を駆動することで走行装置60を走行させることができる。
【0017】
図において、発電装置10は、燃料ガスの蓄積手段としての高圧ボンベである水素ボンベ1と、少なくとも水素よりも高カロリーな燃料ガスとしての化石燃料、例えば、LPGボンベ2から燃料を「ガス」の状態で供給されるようになっている。
発電装置10を可搬性に優れたものとする場合には、水素ボンベ1とLPGボンベ2は発電装置10の外部にあって、配管により接続する構成とするのが好ましい。
水素ボンベ1はLPGボンベ2よりも高い圧力で燃料ガスを貯蔵している。
また、これらの他に発電装置10には、例えば装置内に着脱機構を設けて、携帯ガスボンベ(カセットガスボンベ)等でなる補助燃料ボンベ3が着脱・内臓できるようにされている。
【0018】
水素ボンベ1には送り管13が接続されており、ボンベ出口に圧力検出手段としての圧力センサ14、後段に開閉手段としての緊急遮断弁11および電磁弁12が接続されている。圧力センサ14と電磁弁12はICなどの電子制御ユニットでなる制御手段51に接続されている。電磁弁12は開閉弁または電磁比例弁である。
LPGボンベ2には送り管23が接続されており、ボンベ出口に圧力センサ24、後流に開閉手段としての緊急遮断弁21および電磁弁22が接続されている。圧力センサ24と電磁弁22は制御手段51に接続されている。電磁弁22は開閉弁または電磁比例弁である。
【0019】
各燃料ガスのボンベからの送り管13,23は、各開閉手段の後段で、ひとつの燃料ガス供給管(以下、「供給管」という。)31に接続され、まとめられている。この供給管31には、ガス検知手段としての例えば電気式ガス検知器32、安全手段の一部としての過流防止装置33、可変一次調圧器34、逆火防止装置35が順次設定され、終端はエンジン36に接続されている。このうち、電気式ガス検知器32、可変一次調圧器34、逆火防止装置35が制御手段51に接続されている。
【0020】
電気式ガス検知器32は、例えば、ケース内にヒートコイルと、該ヒートコイルと所定距離離して温度センサまたはサーミスタを内蔵したものを使用することができる。このケース内に試料ガスを流し、ヒートコイルで加熱することにより、試料ガスが燃焼して温度上昇する時間を計測する。所定温度までの上昇時間及び/または所定時間における温度を計測することで、試料ガスの種類を判別するものである。
過流防止装置33は、燃料ガスが供給管31に多量に流れすぎることを防止して、安定した圧力で燃料ガスを供給するために設定されるものであり、例えば、中空のステム内にスプリングロード式のポペット弁を収容した公知の過流防止弁を用いることができる。すなわち、供給管31において上流の圧力が上がりすぎると、その圧力をバネ荷重で受け、バネが収縮することで流路を絞るように機能するものである。
【0021】
可変一次調圧器34は、例えば、公知の圧力レギュレータが使用できる。これは、内部に供給管31と連通したオリフィスに流れる流体圧力を受けるダイヤフラムなどを収容しており、露出させたつまみ等を回動調整することにより、ダイヤフラムの展張状態を調整することで、流体圧力を変更することができるものである。
この実施形態では、水素ガスとLPGの2種の燃料ガスに対応した圧力を予め決めておき、使用する燃料ガスの選択により、いずれかの圧力を設定する構成とする。
逆火防止装置35は、安全手段の他の一部を構成し、燃料ガスの蓄積手段であるボンベ側に燃焼火炎が及ばないようにするためのものである。具体的には過流防止装置32と同じものを、上流、下流方向を逆に接続するなどして形成することができる。
【0022】
エンジン36は内燃機関である。この実施形態では、燃料は「燃料ガス」として供給されるので、気化器は不要であり、供給管31は直接エンジン36に接続されている。
エンジン36には、二次調圧器としての内部調圧器37が設けられており、供給管31は、この内部調圧器37を介して、エンジン36のマニホールド42を経て、燃焼室41に導かれるようになっている。
ここで、供給管31が二次調圧器である内部調圧器37に接続されており、供給管の31の一次可変調圧器34にて調整された圧力が、後段の内部調圧器37を介して、エンジンの適切な供給圧力となるようにされている。
ここで、エンジン36は例えば、排気量が50cc程度の4サイクルエンジンである。
さらに、エンジン36にはガス漏れセンサ38が配置されているとともに、マニホールド42の空気取り入れ口に吸入空気量検出センサ46、吸気温センサ47、A/Fセンサ(空燃比センサ)43が設定されている。
また、燃焼室41の点火器に関連して点火時期制御手段であるディストリビュータ44、ノッキングセンサ45、排気通路に関連し、温度センサ48、酸素センサ49が設けられており、これらの各センサ等は図1に示すとおり制御手段51と接続されている。
【0023】
エンジン36の駆動軸は、所定の減速比で発電機52に接続されている。
制御手段51は、例えば、専用の集積回路であり、後述する制御方法が実行されるようにプログラム等にて制御を行うものである。制御手段51には、このような制御を行わない場合にはマニュアル操作も可能とするための操作子として、自動/ガス種固定運転選択スイッチ53が接続されている。すなわち、自動/ガス種固定運転選択スイッチ53が「自動」側にスイッチングされていると、後述する制御を実行する。自動/ガス種固定運転選択スイッチ53が「ガス種固定」側にスイッチングされていると、燃料ガスの切り替えは行わず、エンジンの燃焼制御だけを行うようになっている。
【0024】
ここで、好ましくは、この実施形態においては、発電装置10に、水素ボンベ1やLPGボンベ2を接続できない場合、あるいはこれらを接続したままでも、これらの燃料ガスの残量が不足した場合などに、携帯用ガスボンベであるカセットボンベなどに充填した燃料ガスでなる補助燃料3を接続して使用することができるようにされている。
したがって、例えば、発電装置10自体をコンパクトで可搬なものとした場合には、搬送先で、カセットボンベなどを購入して、起動することができるものである。
このような使用を可能にするためには、図1の鎖線で囲まれた構成でなる発電装置10をコンパクトで可搬なものとして形成し、燃料ガスの送り管13,23を、各燃料ガスのボンベ1,2に個別に着脱することができる公知のジョイントとを設けておく。また、以下で説明する補助燃料の送り管18を補助燃料ボンベ3と着脱する公知のジョイントを設けておくことが必要である。
【0025】
図において、補助燃料ボンベ3には送り管18が接続されており、ボンベ出口に圧力検出手段としての圧力センサ15、後段に開閉手段としての緊急遮断弁16および電磁弁17が接続されている。圧力センサ15と電磁弁17は制御手段51に接続されている。電磁弁17は開閉弁または電磁比例弁である。送り管18はエンジン36の内部調圧器37に接続されており、内部調圧器37の調整圧力は、この補助燃料(ボンベ)3から供給される燃料ガスの圧力をエンジン36の燃焼室41に送るための適切な圧力にするように予め設定されている。
【0026】
(走行装置の構成)
次に、図1を参照して、走行装置60の構成を説明する。
例えば、上述した発電装置10が、自動車、オートバイなどの自動二輪車、などの走行装置に組み込まれて、その動力源として利用することができる。すなわち、走行装置側には、発電装置10を装置内に受容し、搭載するスペースを車両の荷台その他の領域に設けておき(図示せず)、搭載とともに、制御手段51と運転席等との電気的接続を行うことができるようにされている。
さらに、車両側には、発電装置10の発電機52と接続される二次電池62と、二次電池62から供給される電力により駆動される電気モータ(以下、「モータ」という。)63と、モータ63により駆動される駆動輪64が設けられている。二次電池62は例えば、リチウムーイオン電池である。
【0027】
発電機52は、車両側のモニタ手段である電流計などの電力モニタ手段54を介して二次電池62に接続されており、電力モニタ手段54は、制御手段51に接続されている。
モータ63は、直流モータでも交流モータでもよい。
直流モータを使用する場合には、二次電池62を所定のコントローラを介して直流モータに接続する構成とすることができる。
よりエネルギー効率を高めるためには、発電機52が生成する電力を一度AC−DCコンバータに入力し、直流電流を二次電池62に供給して、さらに二次電池62をDC−ACコンバータで交流電流に変換して、モータ用のインバータに入力し、例えば、三相交流モータでなるモータ63を駆動するようにしてもよい。
また、好ましくは、ブザや発光手段を利用した報知手段としてのアラーム55を設定して制御手段51と接続し、各燃料ガスのボンベの圧力が基準値以下になったら、知らせるようにしてもよい。
【0028】
(走行装置の運転制御)
次に、走行装置60の運転制御の実施形態を説明する。
なお、図2ないし図4は基本的には図1と同じ構成図であり、図2は運転制御において水素ガス燃焼を行う際の制御手段51の制御対象を太い点線で示した図、図3は運転制御においてLPG燃焼を行う際の制御手段51の制御対象を太い点線で示した図、図4は運転制御において補助燃料の燃焼を行う際の制御手段51の制御対象を太い点線で示した図である。
そして、図5ないし図12は運転制御の実施形態におけるフローチャート、図13は運転制御の実施形態におけるタイムチャートである。
これらの図を参照して、以下、走行装置60の運転制御の実施形態を説明する。
【0029】
図5を参照する。
図1の走行装置60の走行開始(ST11)に当たり、走行装置60の電気系統の電源(図示せず)をオンする(ST12)。
ここで、自動/ガス種固定運転選択スイッチ53のスイッチを選択する(ST13)。切替えは4通りあり、自動/ガス種固定運転選択スイッチ53が、「自動」側すなわち、SW1が選択されると、自動運転、SW2が選択されると水素を燃焼する運転、SW3を選択すると、LPGを燃焼する運転、SW4を選択すると、補助燃料を燃焼する運転が行われる。
ST13では、SW1、すなわち自動運転が選ばれたかどうか判断する。
ST13で肯定結果が得られれば、ST15に進み、否定結果を得た場合は選択されたSW2、SW3またはSW4のいずれかによるガス種の固定運転がされる(ST14)。
【0030】
次にST15では、三つの燃料ガスの各ボンベ圧力を検出する。すなわち、圧力センサ14で、水素ボンベ1の圧力PHは、圧力センサ14で、LPGボンベ2の圧力PLは圧力センサ15で、補助燃料ボンベ3の圧力PSは、圧力センサ15で検出する。これらがそれぞれ、全て水素ボンベ1の圧力基準値PH0、LPGボンベ2の圧力基準値PL0、補助燃料ボンベ3の圧力基準値PS0以上であるかどうかを判断し、そうでない場合は、制御手段51はアラーム55に指示を出して、ブザの鳴動などにより報知し、燃料不足のまま走行を始めないように警告する。なお、水素ボンベ1の圧力基準値PH0、LPGボンベ2の圧力基準値PL0、補助燃料ボンベ3の圧力基準値PS0は、燃料ガスの物性や基準値圧力におけるボンベ内の燃料ガス残量等の観点からその具体的数値が決定される。本実施形態では、例えば水素ボンベ1の圧力基準値PH0は大気圧基準(ゲージ圧力)で0.5MPa(メガパスカル)に設定されている。同様に、LPGボンベ2の圧力基準値PL0は0.3MPa、補助燃料ボンベ3の圧力基準値PS0は0.4MPaに設定されている。
【0031】
ST15において、補助燃料ボンベ3の圧力だけが圧力基準値PS0より高い時には、ST181に進み、制御手段51は、可変一次調圧器34の圧力を、補助燃料の燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST181)、補助燃料の電磁弁17を開き(ST182)、エンジン36に補助燃料を送る。ここで、電気式ガス検知器32が、いずれのガスも検知しない場合には、エンジン36で燃焼されているガスは補助燃料であるから、当該補助燃料の燃焼を確認する(ST183)。ここでは、例えばカセットボンベからのLPGであることが確認できるので、補助燃料による走行を行う(ST184)。そのまま走行して、目的地到着などにより運転を終了する(ST185)。これに対して、ST183で補助燃料であることが確認できない場合には、アラーム55を起動して警告し(ST186)、走行を停止する(ST187)。
【0032】
ST15で、水素ボンベ1とLPGボンベ2の圧力がともに基準値より高い場合には、ST16に進む。
ここでは、制御手段51が、可変一次調圧器34の圧力を、水素燃料ガスの燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST16)、水素の電磁弁12を開く(ST17)。水素ガスは水素ボンベ1から送り管13を通り、供給管31に送られるので、ここで電気式ガス検知器32によりガス種の判別をする(ST18)。水素以外のガスを検出したらアラーム55で報知し(ST19)、燃焼を停止する(ST19−1)。
ST18で、ガス種を「水素」と判断した場合は、正常であるから、エンジンを始動し(ST20)、燃焼を開始する。
このエンジン燃焼により、図1の発電機52が駆動され、二次電池62へ電力供給がされて、さらに二次電池62がモータ63に電力を供給し、駆動輪64が駆動されて走行装置60が走行する。
【0033】
図13は、走行装置60の走行による負荷と、制御の関係を示す図である。
水素ガスは、LPGよりも燃焼による発熱量が低く、高負荷運転には向かない。これに対して、LPGは現在もタクシー等で走行用の燃料として使用されているように、通常の自動車などにおける走行負荷は問題なくこなすことができる。
そこで、図示されているように、図1のモニタ手段である電流計などの電力モニタ54が、低い電力消費を示す低負荷状態においては、水素ガスを燃料として使用することで、二酸化炭素を出さないクリーンな運転が実現できる。これに対して、電力モニタ54により高い消費電力を示す高負荷状態、例えば、登坂や高速度運転では、LPGを燃焼することで、モータ63に十分な電力を供給し、ストレスなく走行することができる。
【0034】
したがって、図6のAに進み、電力モニタ64により消費電力を検出し、所定の閾値、例えば200W(ワット)を基準値E0としたとき、検出された供給電力Eが基準値E0と比較される(ST21)。供給電力が基準値E0以上である場合には、水素運転は向かないので、図7のBに進む(後述)。供給電力が基準値E0より小さければ、走行負荷は大きくないので、水素運転を続けることとし、図6の水素ボンベ1の圧力を圧力センサ14で検出し、基準値(既述)と比較する(ST22)。基準値以上であれば、水素ガスを燃焼させるクリーンな運転を続ける(ST23)。運転中は、例えば制御手段51の内蔵するタイマーなどにより、所定時間ごとに電力モニタ54により供給電力が基準値以上であるかどうか判断するために、ST21に戻る
【0035】
水素ボンベ1の圧力が基準値より小さい場合、さらにLPGボンベ2の圧力を圧力センサ24で検出し、基準値と比較する(ST23)。検出圧力が基準値より小さい場合は、図8のCに進む(後述)(ST24)。
ST23の検出圧力が基準値以上であれば、水素ボンベの電磁弁12を閉じ(ST25)、可変一次調圧器34の圧力を、LPGの燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST26)、LPGボンベの電磁弁22を開いて、送り管23から供給管31にLPGを供給する(ST27)。供給管31にLPGが送られたことを電気式ガス検知器32で確認する(ST28)、ST28でLPGと確認できない場合には、アラーム55を駆動して警報を出す(ST29)とともに、走行を停止する(ST30)。
【0036】
ST28でLPGと確認できた場合は、LPGの供給をそのまま続けてLPGを燃焼させる運転を継続する。これにより走行負荷が大きくても問題なく走行できる。
運転中は、例えば制御手段51の内蔵するタイマーなどにより、所定時間ごとにLPGボンベの圧力を検出して基準値と比較する(ST32)。基準値を満たしていればST31へ戻りLPG運転を続行し、基準値を下回る場合は、ST33に進む。
次に、補助燃料ボンベ3の圧力を検出して、基準値と比較する(ST33)。
補助燃料ボンベ3の圧力が基準値以下である場合には、アラーム55を駆動して警報を発し(ST34)、LPGボンベの電磁弁22を閉じて(ST35)、走行を停止する(ST36)。
【0037】
ST33で、補助燃料ボンベ3の圧力が基準値を超えていれば、LPGボンベの電磁弁22を閉じて(ST37)、可変一次調圧器34の圧力を、補助燃料の燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST38)、補助燃料ボンベの電磁弁17を開いて、補助燃料ボンベ3からの送り管18を介して、エンジン36の内部調圧器37に供給する(ST39)。続いて、温度センサ48等で燃焼ガスのガス種を確認し(ST40)、ST40で補助燃料以外の例えば水素ガスなどが検出されたら、アラーム55を駆動して警報を発して(ST41)、走行を停止する(ST42)。
ST40で補助燃料が確認されたら、補助燃料で走行を続けて(ST43)、例えば、目的地到着により、走行終了となる(ST44)。
【0038】
なお、上記ST24において、LPGボンベ2の検出圧力が基準値より小さい場合も補助燃料走行を行うので、これを先に説明する。
図8において、補助燃料ボンベ3の圧力を検出し、基準値と比較する(ST161)。圧力が基準値以下の場合は、ガス圧力が低下しているので、アラーム55を駆動して警報を発し(ST162)、水素ボンベの電磁弁12を閉じて(ST163)、走行を停止する(ST164)。
一方、ST161で、補助燃料ボンベ3の圧力が基準値より大きければ、水素ボンベ1の電磁弁12を閉じて(ST165)、可変一次調圧器34で補助燃料のボンベの圧力に適合するように圧力を調整し(ST166)、補助燃料ボンベ3の電磁弁17を開く(ST167)。
温度センサ48等でガス種を確認し(ST168)、補助燃料でなければ、アラーム55を駆動して警報を発し(ST169)、走行を停止する(ST170)。ST168でガス種が補助燃料であることが確認できれば、補助燃料での燃焼により走行し(ST171)、目的地到着などにより走行を終了する(ST172)。
【0039】
次に、上述したST21において、走行負荷が大きいと判断した場合の運転制御を図7を参照して説明する。
この場合は、水素ガスによる運転ができないか、適切でないので、LPGのボンベ2の圧力を検出して基準圧力と比べる(ST51)。
LPGのボンベ2が基準圧力に満たない場合は、図9のDに進む(後述)。
LPGのボンベ2が基準圧力以上であれば、水素ボンベの電磁弁12を閉じて(ST52)、可変一次調圧器34の圧力を、LPGボンベ2の燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST53)、LPGボンベの電磁弁22を開く(ST54)。
次いで、電気式ガス検知器32により使用ガス種を確認する(ST55)。LPG以外のガスであれば、アラーム55を駆動して警報を発し(ST56)、走行を停止する(ST57)。
ST55でガス種がLPGであると確認できれば、LPGによる走行を行い(ST58)、運転中は、例えば制御手段51の内蔵するタイマーなどにより、所定時間ごとにLPGボンベの圧力を検出して基準値と比較する(ST59)。LPGボンベの圧力が基準値以上であれば、電力モニタ54により供給電力が基準値以上であるかどうか判断する(ST60)。供給電力が基準値を超えていれば、走行負荷は大きいと判断して(図13参照)、ST58へ戻りLPG運転を続行する。ST60で、供給電力が、基準値を下回る場合は、図11のFに進む(後述)。
【0040】
図9を参照する。
図7で説明したLPGボンベの圧力が低くて、ガスの残量が残り少ないと判断されたので、続いて補助燃料のボンベ3の圧力を検出して(ST61)、検出圧力が基準値以下である場合には、アラーム55を駆動して警報を発し(ST62)、水素ボンベの電磁弁12を閉じて(ST63)、走行を停止する(ST64)。
一方、ST61で、補助燃料ボンベ3の圧力が基準値以上であれば、水素ボンベ1の電磁弁12を閉じて、可変一次調圧器34で補助燃料のボンベの圧力に適合するように圧力を調整し(ST65)、補助燃料ボンベ3の電磁弁17を開く(ST66)。続いて、温度センサ48等でガス種を確認し(ST67)、補助燃料でなければ、アラーム55を駆動して警報を発し(ST68)、走行を停止する(ST69)。
ST67でガス種が補助燃料であることが確認できれば、補助燃料での燃焼により走行し(ST71)、運転中は、例えば制御手段51の内蔵するタイマーなどにより、所定時間ごとに補助燃料のボンベ3の圧力を検出して基準値と比較する(ST72)。圧力が基準値以上であれば、電力モニタ54の検出値を所定の基準値、例えば200Wと比較する(ST75)。電力モニタ54の検出値が、所定の基準値以上であれば、図12のGに進む。
ST72で、補助燃料のボンベ3の圧力が基準値を下回る場合には、補助燃料ボンベの電磁弁17を閉じて(ST73)、走行を停止する(ST74)。
【0041】
図10を参照する。
既に説明した図7のST59において、LPGボンベ2の圧力が基準値より低く、燃料の残量が少ないと判断される場合には、補助燃料のボンベ3の圧力を検出して、基準値と比較する(ST81)。
検出圧力が基準値以下である場合には、アラーム55を駆動して警報を発し(ST82)、LPGのボンベの電磁弁22を閉じて(ST83)、走行を停止する(ST84)。
一方、ST81で、補助燃料ボンベ3の圧力が基準値以上であれば、LPGのボンベ2の電磁弁22を閉じて、可変一次調圧器34で補助燃料のボンベの圧力に適合するように圧力を調整し(ST86)、補助燃料ボンベ3の電磁弁17を開く(ST88)。続いて、温度センサ48等でガス種を確認し(ST88)、補助燃料でなければ、アラーム55を駆動して警報を発し(ST89)、走行を停止する(ST90)。
【0042】
ST88でガス種が補助燃料であることが確認できれば、補助燃料での燃焼により走行し(ST91)、運転中は、例えば制御手段51の内蔵するタイマーなどにより、所定時間ごとに補助燃料のボンベ3の圧力を検出して基準値と比較する(ST92)。圧力が基準値以上であれば、電力モニタ54の検出値を所定の基準値、例えば200Wと比較する(ST96)。電力モニタ54の検出値が、所定の基準値に満たない場合は、図12のGに進む。電力モニタ54の検出値が、所定の基準値以上であれば、走行負荷は大きいと判断し(図13参照)、ST91に戻り、補助燃料であるLPGで走行する。
これに対して、ST92における検出圧力が基準値に満たない場合には、アラーム55を駆動して警報を発し(ST93)、補助燃料のボンベの電磁弁17を閉じて(ST94)、走行を停止する(ST95)。
【0043】
図11を参照する。
図7のST60において、電力モニタ54により供給電力が基準値より小さいと判断された場合には、走行負荷が小さい(図13参照)ので、水素走行へ切り替える準備をする。すなわち、図11において、水素ボンベ1の圧力が基準圧力以上であるかどうか判断し(ST101)、肯定結果を得れば、LPGのボンベの電磁弁22を閉じ(ST102)、可変一次調圧器34の圧力を、水素燃料ガスの燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST103)、水素ボンベの電磁弁12を開く(ST104)。水素ガスは水素ボンベ1から送り管13を通り、供給管31に送られるので、ここで電気式ガス検知器32によりガス種の判別(確認)をする(ST105)。水素以外のガスを検出したらアラーム55で報知し(ST106)、走行を停止する(ST107)。
ST105で、ガス種を「水素」と判断した場合は、正常であるから、図6のHに進んで、ST23により水素走行をする。
【0044】
ST101で、水素ボンベの圧力が基準圧力に満たないと判断された場合には、ST110に進み、補助燃料ボンベ3の圧力が基準圧力を満たすかどうか判断する(ST110)。補助燃料ボンベ3の圧力が基準圧力に満たない場合、アラーム55を駆動して警報を発し(ST111)、水素ガスのボンベ1の電磁弁12を閉じて(ST112)、走行を停止する(ST113)。
ST110で、補助燃料ボンベ3の圧力が基準圧力を満たすと判断された場合は、LPGボンベ2の電磁弁22を閉じて(ST114)、可変一次調圧器34で補助燃料のボンベの圧力に適合するように圧力を調整し(ST115)、補助燃料ボンベ3の電磁弁17を開く(ST116)。続いて、酸素センサ49等でガス種を確認し(ST117)、補助燃料でなければ、アラーム55を駆動して警報を発し(ST118)、走行を停止する(ST119)。
ST117でガス種が補助燃料であることが確認できれば、補助燃料での燃焼により走行し(ST120)、目的地到着などにより走行を終了する(ST121)。
【0045】
図12を参照する。
図12は、図9や図10において、ST75やST96で電力モニタ54の判断結果として供給電力Eが基準となる値、例えば200Wに満たない場合の制御を示している。
この場合は、走行負荷が小さい(図13参照)ので、水素走行へ切り替える準備をする。すなわち、水素ボンベ1の圧力が基準圧力以上であるかどうか判断し(ST131)、肯定結果を得れば、補助燃料のボンベ3の電磁弁17を閉じ(ST132)、可変一次調圧器34の圧力を、水素燃料ガスの燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST133)、水素ボンベの電磁弁12を開く(ST134)。水素ガスは水素ボンベ1から送り管13を通り、供給管31に送られるので、ここで電気式ガス検知器32によりガス種の判別(確認)をする(ST135)。水素以外のガスを検出したらアラーム55で報知し(ST136)、走行を停止する(ST137)。
ST135で、ガス種を「水素」と判断した場合は、正常であるから、図6のHに進んで、ST23により水素走行をする。
【0046】
ST131で、水素ボンベの圧力が基準圧力に満たないと判断された場合には、ST141に進み、補助燃料ボンベ3の圧力が基準圧力を満たすかどうか判断する(ST141)。補助燃料ボンベ3の圧力が基準圧力に満たない場合、アラーム55を駆動して警報を発し(ST142)、補助燃料のボンベ3の電磁弁17を閉じて(ST143)、走行を停止する(ST144)。
ST141で、補助燃料ボンベ3の圧力が基準圧力を満たすと判断された場合は、可変一次調圧器34で補助燃料のボンベの圧力に適合するように圧力を調整し(ST145)、補助燃料ボンベ3の電磁弁17を開く(ST146)。続いて、温度センサ48等でガス種を確認し(ST147)、補助燃料でなければ、アラーム55を駆動して警報を発し(ST148)、走行を停止する(ST149)。
ST147でガス種が補助燃料であることが確認できれば、補助燃料での燃焼により走行し(ST150)、目的地到着などにより走行を終了する(ST151)。
なお、以上の運転制御において、エンジン36への燃焼ガスの導入切り替え以外の燃料制御、すなわち、空燃比制御や点火時期制御等は、エンジン排気量やエンジンの気筒数その他の構造別に、公知の方法により適切に行うことができることは言うまでもない。
【0047】
本実施形態は以上の構成でなり、各燃料ガスの送り管に設定した電磁弁などの開閉手段を介して、ひとつの管路にまとめた燃料ガスの供給管31には可変一次調圧器34を配置し、それぞれの燃料ガスに対応した圧力としてエンジンに供給することによって、異種の燃料ガスにより共通のエンジンにおける燃焼をすることができる。
すなわち、各燃料ガスの個別の送り管を開閉手段により一つの供給管にまとめ、ここに可変調圧器を設定した新規な構成を採用している。
かくして、水素ガスを利用することにより、燃焼によって二酸化炭素を発生させることなく、クリーンな燃焼により電力を生成することができる。この電力を使って電気モータを駆動して走行するようにしたので、水素とそれ以外の燃料ガスに大きなカロリーの相違があっても走行は可能となる。
しかも、水素ガスを使いきってしまった場合、あるいはその供給をすぐに得られない場合には、水素よりも高カロリーな他の燃料ガスを供給管から送り、これを燃焼することで走行できるから、水素を有効利用しながら、実用上不便のない走行装置を得ることができる。
さらに、LPGボンベ2の燃料ガスを使い切ってしまっても、例えば、補助燃料のボンベ(携帯ガスボンベまたはカセットボンベ)3を携行していれば、当該燃料ガスを用いて走行を継続することも可能である。
さらには、キャンプ地などの移動先等で、発電装置10を走行装置から取り外し、上記カセットボンベ3のLPGを燃焼して、発電装置10による電力の使用をすることもできる。
【0048】
また、エンジン内の二次調圧器である内部調圧器37は、補助燃料のボンベに適合するように圧力設定されている。このため、内部調圧器37に補助燃料のボンベである携帯用ガスボンベを接続するだけで、エンジン36には、この携帯用ガスボンベの燃料ガスが適切な圧力で供給される。
水素以外の燃料ガスとして、LPGを利用している。LPGは、十分なカロリーを有しており、供給インフラを整備されている。しかもエンジンに予め設定された水素以外の燃料ガスと、携帯ガスボンベのガス種を合わせておけばエンジンの燃焼条件の調整も容易である。
さらに、ガス供給管31が内部調圧器37に接続されているので、供給管31の可変一次調圧器34の調整された圧力が、後段の二次調圧器である内部調圧器を介して、エンジンの適切な供給圧力となるようにされているから、水素ガス、水素より高カロリーな燃料ガスとしてのLPG、そして携帯用ガスボンベにより供給される燃料ガスとしてのLPGについて、それぞれ適切な圧力でエンジンに供給されるので、少なくとも2種類の燃料ガスを共通のエンジンで燃焼させ、走行することができる。
【0049】
特に、走行装置60では走行コースによって地形の違いがあったり、運転状態によって走行負荷が変化する。走行負荷が比較的小さい場合には水素ガスを燃焼に用いて、走行負荷が大きくなったら水素より高カロリーの燃料ガスを用いることでスムーズな走行が可能となる。
そして、このような制御を行うに当たり、発電機52から二次電池62に送られる電力をモニタすることで、容易に走行負荷に対応した燃料ガスを切換え燃焼できる。
【0050】
ところで本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
実施形態で説明した各構成はその一部を省略することができるし、さらに、説明しない他の構成と組み合わせることができる。
水素ガスと組み合わされる水素よりも高カロリーの燃料ガスは、水素に限らず、他の燃料ガス、例えばバイオマス等を利用してメタン発酵などにより得られるバイオガス等を使用してもよい。
ガスの検知手段は電気式ガス検知器の他、各種半導体ガスセンサ等を用いることができる。
走行負荷の検出は、消費電力をモニタするのが便利であるが、以外の方法で負荷を算出してもよく、例えば、GPSと地図データを用いて、コース設定した当該コースの走行負荷をデータより算出して制御に用いたりしてもよい。
エンジンは、燃料ガスを燃焼する形式の内燃機関であれば、いかなる形式のものでも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係る走行装置(発電装置)の概略構成図。
【図2】図1の走行装置の運転制御において水素ガス燃焼を行う際の制御部の制御対象を太い点線で示した図。
【図3】図1の走行装置の運転制御においてLPG燃焼を行う際の制御部の制御対象を太い点線で示した図。
【図4】図1の走行装置の運転制御において補助燃料ガスの燃焼を行う際の制御部の制御対象を太い点線で示した図。
【図5】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図6】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図7】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図8】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図9】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図10】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図11】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図12】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図13】図1の走行装置の運転制御の実施形態における走行負荷を示す説明図。
【符号の説明】
【0052】
1・・・水素ガスのボンベ、2・・・LPGのボンベ、3・・・補助燃料ガスのボンベ、10・・・発電装置、31・・・供給管、32・・・電気式ガス検知器、34・・・可変一次調圧器、36・・・エンジン、37・・・内部調圧器(二次調圧器)、51・・・制御手段、52・・・発電機、54・・・電力モニタ、62・・・二次電池、63・・・モータ、60・・・走行装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種燃料ガスを燃焼させて発電機を駆動する発電装置と、この発電装置を利用した走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガソリンや軽油を燃料として、空気との混合気を燃焼させる内燃機関であるエンジンは広く用いられており、エンジンを用いて発電機を駆動する発電装置や、エンジンにより走行動力を得る自動車やオートバイなどの走行装置は広く使用されている。
そうした中で、最近は、地球温暖化に対する対策の必要性が強く要請されており、二酸化炭素排出量の大きい化石燃料の使用を削減することが叫ばれている。
そこで、最近は、水素を利用して電気を起こす燃料電池の開発に力が注がれているが、耐久性の不足、高コストなどまだ多くの課題をかかえている。
このため、長い技術の蓄積がある内燃機関を使って水素を利用することが好ましい。
【0003】
例えば、特許文献1にはディーゼルエンジンの発明が記載されている。
この発明では、ノッキングを抑制して圧縮比を高くし熱効率を向上させる利点を持つディーゼルエンジンにおいて、液化天然ガス(liquefied petrolem gas、以下、「LPG」という。)や水素ガスなど発熱量当たりの二酸化炭素排出量が少なく、希薄燃焼させることで有害な窒素酸化物(NOx)排出量を少なくできるが、自己着火温度が高く、通常ディーゼル燃焼させることが困難な燃料をディーゼルエンジンで利用する方法について記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−254105号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、軽油以外のLPGや、水素をディーゼルエンジンで燃焼できれば、たしかに二酸化炭素の排出や窒素酸化物の排出を抑制できるが、例えば、これらの対策として理想的な水素を燃焼させるディーゼルエンジンを開発したところで、ガソリンスタンドのように利用可能な水素スタンドは日本国内でもほとんど整備されておらず、外出先での燃料補給に困ってしまう。
自宅や他の施設で用いる発電装置にこのようなエンジンを利用して発電機を駆動することを考えた場合でも、特に水素燃料の補給・調達はガソリンや軽油、LPGなどのように手軽に行えないという問題がある。
【0006】
すなわち、現在は利用技術の開発が進んでいる水素燃料についても、特に供給インフラの整備がきわめて不十分な状態なことから、単に水素燃料を使えるようにすればいいということでは、現段階における実用的な水素利用技術とはならないのである。
そこで、供給インフラが整っている従来用いられてきた化石燃料の燃料ガスと、水素ガルとを切換え利用できる内燃機関の実現が望まれる。
しかしながら、特にこのようなエンジンを想定した場合に、燃焼させるガス種が異なれば、発熱量も相違することから、このエンジンによる動力を直接伝えて走行装置などを駆動する場合には、いかなるガス種を選択した場合にも同様の走行性能を得ることは難しいという問題もある。
【0007】
本発明は、以上のような欠点を解消するためになされたものであり、水素ガスを利用してクリーンな燃焼を実現するとともに、入手しやすい従来の化石燃料に係る燃料ガスもあわせて利用することができるエンジンを備える発電装置と、走行装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、第1の発明にあっては、燃料ガスを燃焼させるエンジンにより、発電機を駆動する発電装置であって、前記燃料ガスとしての水素と、少なくとも水素よりも高カロリーな他の燃料ガスをそれぞれ送る各燃料ガスの送り管と、各燃料ガスの送り管から開閉手段を介してひとつの管路にまとめて送る燃料ガスの供給管と、該供給管に設定した可変調圧器とを有しており、前記可変調圧器が、前記燃料ガスの供給管を介して燃料ガスを供給する際に、前記水素と、前記他の燃料ガスとにそれぞれ適合した圧力を選択して、適切な圧力で燃料ガスを供給する構成とした発電装置により、達成される。
上記構成によれば、燃料ガスを燃焼させるエンジンとは、内燃機関であり、液体燃料ではなく、燃料ガスを燃焼させるため、気化器は使用しないもので、このエンジンにより発電機を駆動して電力を得るものである。
前記エンジンには、前記供給管を介して水素ガスが送られ、あるいは水素よりも高カロリーな燃料ガスが送られる。供給された燃料ガスはエンジン内で空気と混合され、所定の空燃比にして燃焼される。そして、水素は、前記高カロリーな燃料ガスの場合と比べてカロリーが低い分、高い圧力で供給される必要がある。このため、水素と高カロリーな燃料ガスとは供給圧力を変える必要があることから、各燃料ガスの送り管に設定した開閉手段を介して、前記ひとつの管路にまとめた燃料ガスの供給管には前記可変調圧器を配置し、それぞれの燃料ガスに対応した圧力としてエンジンに供給することによって、異種の燃料ガスにより共通のエンジンにおける燃焼を可能としたものである。すなわち、各燃料ガスの個別の送り管を開閉手段により一つの供給管にまとめ、ここに可変調圧器を設定した新規な構成を採用している。
なお、ここで、「水素よりも高カロリーな燃料ガス」とは燃焼による発熱量が水素より大きい燃料ガスを意味する。
かくして、水素ガスを利用することにより、燃焼によって二酸化炭素を発生させることなく、クリーンな燃焼により電力を生成することができる。そして、水素ガスを使いきってしまった場合、あるいはその供給をすぐに得られない場合には、水素よりも高カロリーな他の燃料ガスを供給管から送り、これを燃焼することで電力を生成することができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記エンジン内には、携帯用燃料ガスの供給管が接続されて、該携帯用燃料ガスのエンジンへの供給圧力を調整する二次調圧器が設けられており、該二次調圧器に前記ガス供給管が接続されるとともに、前記他の燃料ガスおよび携帯燃料ガスとしてLPGを用いる構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、エンジン内の二次調圧器は、前記携帯用ガスボンベに適合するように圧力設定されている。このため、該二次調圧器に携帯用ガスボンベを接続するだけで、エンジンには、携帯用ガスボンベの燃料ガスが適切な圧力で供給される。ここで、他の燃料ガスおよび携帯燃料ガスとしてLPGを利用するようにすれば、LPGは、十分なカロリー(燃焼による発熱量)を有しており、供給インフラも整備されている。しかもエンジンに予め設定された水素以外の燃料ガスと、携帯ガスボンベのガス種を合わせておけばエンジンの燃焼条件の調整も容易である。
さらに、ガス供給管が前記二次調圧器に接続されているので、供給管の可変調圧器の調整された圧力が、後段の二次調圧器を介して、エンジンの適切な供給圧力となるようにされていれば、水素ガス、水素より高カロリーな燃料ガス、そして携帯用ガスボンベにより供給される燃料ガスについて、それぞれ適切な圧力でエンジンに供給されるので、少なくとも3種類の燃料ガスを共通のエンジンで燃焼させることができる。
【0010】
また、上記目的は、第3の発明にあっては、燃料ガスを燃焼させるエンジンにより、発電機を駆動し、該発電機による電力で電気モータを駆動して走行する走行装置であって、 前記燃料ガスとしての水素と、少なくとも水素よりも高カロリーな他の燃料ガスをそれぞれ送る各燃料ガスの送り管と、各燃料ガスの送り管から開閉手段を介してひとつの管路にまとめて送る燃料ガスの供給管と、該供給管に設定した可変調圧器とを有しており、前記可変調圧器が、前記燃料ガスの供給管を介して燃料ガスを供給する際に、前記水素と、前記他の燃料ガスとにそれぞれ適合した圧力を選択して、適切な圧力で燃料ガスを供給する構成とした走行装置により、達成される。
上記構成によれば、燃料ガスを燃焼させるエンジンとは、内燃機関であり、液体燃料ではなく、燃料ガスを燃焼させるため、気化器は使用しないもので、このエンジンにより発電機を駆動して電力を得るものである。
前記エンジンには、前記供給管を介して水素ガスが送られ、あるいは水素よりも高カロリーな燃料ガスが送られる。供給された燃料ガスはエンジン内で空気と混合され、所定の空燃比にして燃焼される。そして、水素は、前記高カロリーな燃料ガスの場合と比べてカロリーが低い分、高い圧力で供給される必要がある。このため、水素と高カロリーな燃料ガスとは供給圧力を変える必要があることから、各燃料ガスの送り管に設定した開閉手段を介して、前記ひとつの管路にまとめた燃料ガスの供給管には前記可変調圧器を配置し、それぞれの燃料ガスに対応した圧力としてエンジンに供給することによって、異種の燃料ガスにより共通のエンジンにおける燃焼を可能としたものである。すなわち、各燃料ガスの個別の送り管を開閉手段により一つの供給管にまとめ、ここに可変調圧器を設定した新規な構成を採用している。
かくして、水素ガスを利用することにより、燃焼によって二酸化炭素を発生させることなく、クリーンな燃焼により電力を生成することができる。この電力を使って電気モータを駆動して走行するようにしたので、水素とそれ以外の燃料ガスに大きなカロリーの相違があっても走行は可能となる。
しかも、水素ガスを使いきってしまった場合、あるいはその供給をすぐに得られない場合には、水素よりも高カロリーな他の燃料ガスを供給管から送り、これを燃焼することで走行できるから、水素を有効利用しながら、実用上不便のない走行装置を得ることができる。
【0011】
第4の発明は、第3の発明の構成において、前記エンジン内には、携帯用燃料ガスの供給管が接続されて、該携帯用燃料ガスのエンジンへの供給圧力を調整する二次調圧器が設けられており、該二次調圧器に前記ガス供給管が接続されるとともに、前記他の燃料ガスおよび携帯燃料ガスとしてLPGを用いる構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、エンジン内の二次調圧器は、前記携帯用ガスボンベに適合するように圧力設定されている。このため、該二次調圧器に携帯用ガスボンベを接続するだけで、エンジンには、携帯用ガスボンベの燃料ガスが適切な圧力で供給される。ここで、他の燃料ガスおよび携帯燃料ガスとしてLPGを利用するようにすれば、LPGは、十分なカロリーを有しており、供給インフラを整備されている。しかもエンジンに予め設定された水素以外の燃料ガスと、携帯ガスボンベのガス種を合わせておけばエンジンの燃焼条件の調整も容易である。
さらに、ガス供給管が前記二次調圧器に接続されているので、供給管の可変調圧器の調整された圧力が、後段の二次調圧器を介して、エンジンの適切な供給圧力となるようにされていれば、水素ガス、水素より高カロリーな燃料ガス、そして携帯用ガスボンベにより供給される燃料ガスについて、それぞれ適切な圧力でエンジンに供給されるので、少なくとも3種類の燃料ガスを共通のエンジンで燃焼させ、走行することができる。
【0012】
第5の発明は、第3または4のいずれかの発明の構成において、前記水素と他の燃料ガスは、走行負荷に応じて選択燃焼される構成としたことを特徴とする。
上記構成によれば、走行装置では走行コースによって地形の違いがあったり、運転状態によって走行負荷が変化する。走行負荷が比較的小さい場合には水素ガスを燃焼に用いて、走行負荷が大きくなったら水素より高カロリーの燃料ガスを用いることでスムーズな走行が可能となる。
【0013】
第6の発明は、第5の発明の構成において、前記発電機による電力を二次電池に蓄積して、該二次電池から供給される電力で前記電気モータが駆動されるとともに、前記発電機から前記二次電池に送られる電力がモニタされることにより、前記走行負荷を検出して、該走行負荷に応じて燃料ガスを選択する制御手段を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、前記発電機から前記二次電池に送られる電力をモニタすることで、容易に走行負荷に対応した燃料ガスを切換え燃焼できる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、水素ガスを利用してクリーンな燃焼を実現するとともに、入手しやすい従来の化石燃料に係る燃料ガスもあわせて利用することができるエンジンを備える発電装置と、走行装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る発電装置と、これを組み込んだ走行装置の概略構成図である。
先ず、これらの装置の構成について説明する。
(発電装置の構成)
この実施形態において、符号10で示すのが発電装置であり、発電装置10に符号61で示す構成を付加したものが、走行装置60である。
図において、発電装置10は、内燃機関であるエンジン(ガスエンジン)36により発電機52を駆動して電力を生成する装置である。
その電力を二次電池62に蓄積して、電気モータ63に与え、駆動輪64を駆動することで走行装置60を走行させることができる。
【0017】
図において、発電装置10は、燃料ガスの蓄積手段としての高圧ボンベである水素ボンベ1と、少なくとも水素よりも高カロリーな燃料ガスとしての化石燃料、例えば、LPGボンベ2から燃料を「ガス」の状態で供給されるようになっている。
発電装置10を可搬性に優れたものとする場合には、水素ボンベ1とLPGボンベ2は発電装置10の外部にあって、配管により接続する構成とするのが好ましい。
水素ボンベ1はLPGボンベ2よりも高い圧力で燃料ガスを貯蔵している。
また、これらの他に発電装置10には、例えば装置内に着脱機構を設けて、携帯ガスボンベ(カセットガスボンベ)等でなる補助燃料ボンベ3が着脱・内臓できるようにされている。
【0018】
水素ボンベ1には送り管13が接続されており、ボンベ出口に圧力検出手段としての圧力センサ14、後段に開閉手段としての緊急遮断弁11および電磁弁12が接続されている。圧力センサ14と電磁弁12はICなどの電子制御ユニットでなる制御手段51に接続されている。電磁弁12は開閉弁または電磁比例弁である。
LPGボンベ2には送り管23が接続されており、ボンベ出口に圧力センサ24、後流に開閉手段としての緊急遮断弁21および電磁弁22が接続されている。圧力センサ24と電磁弁22は制御手段51に接続されている。電磁弁22は開閉弁または電磁比例弁である。
【0019】
各燃料ガスのボンベからの送り管13,23は、各開閉手段の後段で、ひとつの燃料ガス供給管(以下、「供給管」という。)31に接続され、まとめられている。この供給管31には、ガス検知手段としての例えば電気式ガス検知器32、安全手段の一部としての過流防止装置33、可変一次調圧器34、逆火防止装置35が順次設定され、終端はエンジン36に接続されている。このうち、電気式ガス検知器32、可変一次調圧器34、逆火防止装置35が制御手段51に接続されている。
【0020】
電気式ガス検知器32は、例えば、ケース内にヒートコイルと、該ヒートコイルと所定距離離して温度センサまたはサーミスタを内蔵したものを使用することができる。このケース内に試料ガスを流し、ヒートコイルで加熱することにより、試料ガスが燃焼して温度上昇する時間を計測する。所定温度までの上昇時間及び/または所定時間における温度を計測することで、試料ガスの種類を判別するものである。
過流防止装置33は、燃料ガスが供給管31に多量に流れすぎることを防止して、安定した圧力で燃料ガスを供給するために設定されるものであり、例えば、中空のステム内にスプリングロード式のポペット弁を収容した公知の過流防止弁を用いることができる。すなわち、供給管31において上流の圧力が上がりすぎると、その圧力をバネ荷重で受け、バネが収縮することで流路を絞るように機能するものである。
【0021】
可変一次調圧器34は、例えば、公知の圧力レギュレータが使用できる。これは、内部に供給管31と連通したオリフィスに流れる流体圧力を受けるダイヤフラムなどを収容しており、露出させたつまみ等を回動調整することにより、ダイヤフラムの展張状態を調整することで、流体圧力を変更することができるものである。
この実施形態では、水素ガスとLPGの2種の燃料ガスに対応した圧力を予め決めておき、使用する燃料ガスの選択により、いずれかの圧力を設定する構成とする。
逆火防止装置35は、安全手段の他の一部を構成し、燃料ガスの蓄積手段であるボンベ側に燃焼火炎が及ばないようにするためのものである。具体的には過流防止装置32と同じものを、上流、下流方向を逆に接続するなどして形成することができる。
【0022】
エンジン36は内燃機関である。この実施形態では、燃料は「燃料ガス」として供給されるので、気化器は不要であり、供給管31は直接エンジン36に接続されている。
エンジン36には、二次調圧器としての内部調圧器37が設けられており、供給管31は、この内部調圧器37を介して、エンジン36のマニホールド42を経て、燃焼室41に導かれるようになっている。
ここで、供給管31が二次調圧器である内部調圧器37に接続されており、供給管の31の一次可変調圧器34にて調整された圧力が、後段の内部調圧器37を介して、エンジンの適切な供給圧力となるようにされている。
ここで、エンジン36は例えば、排気量が50cc程度の4サイクルエンジンである。
さらに、エンジン36にはガス漏れセンサ38が配置されているとともに、マニホールド42の空気取り入れ口に吸入空気量検出センサ46、吸気温センサ47、A/Fセンサ(空燃比センサ)43が設定されている。
また、燃焼室41の点火器に関連して点火時期制御手段であるディストリビュータ44、ノッキングセンサ45、排気通路に関連し、温度センサ48、酸素センサ49が設けられており、これらの各センサ等は図1に示すとおり制御手段51と接続されている。
【0023】
エンジン36の駆動軸は、所定の減速比で発電機52に接続されている。
制御手段51は、例えば、専用の集積回路であり、後述する制御方法が実行されるようにプログラム等にて制御を行うものである。制御手段51には、このような制御を行わない場合にはマニュアル操作も可能とするための操作子として、自動/ガス種固定運転選択スイッチ53が接続されている。すなわち、自動/ガス種固定運転選択スイッチ53が「自動」側にスイッチングされていると、後述する制御を実行する。自動/ガス種固定運転選択スイッチ53が「ガス種固定」側にスイッチングされていると、燃料ガスの切り替えは行わず、エンジンの燃焼制御だけを行うようになっている。
【0024】
ここで、好ましくは、この実施形態においては、発電装置10に、水素ボンベ1やLPGボンベ2を接続できない場合、あるいはこれらを接続したままでも、これらの燃料ガスの残量が不足した場合などに、携帯用ガスボンベであるカセットボンベなどに充填した燃料ガスでなる補助燃料3を接続して使用することができるようにされている。
したがって、例えば、発電装置10自体をコンパクトで可搬なものとした場合には、搬送先で、カセットボンベなどを購入して、起動することができるものである。
このような使用を可能にするためには、図1の鎖線で囲まれた構成でなる発電装置10をコンパクトで可搬なものとして形成し、燃料ガスの送り管13,23を、各燃料ガスのボンベ1,2に個別に着脱することができる公知のジョイントとを設けておく。また、以下で説明する補助燃料の送り管18を補助燃料ボンベ3と着脱する公知のジョイントを設けておくことが必要である。
【0025】
図において、補助燃料ボンベ3には送り管18が接続されており、ボンベ出口に圧力検出手段としての圧力センサ15、後段に開閉手段としての緊急遮断弁16および電磁弁17が接続されている。圧力センサ15と電磁弁17は制御手段51に接続されている。電磁弁17は開閉弁または電磁比例弁である。送り管18はエンジン36の内部調圧器37に接続されており、内部調圧器37の調整圧力は、この補助燃料(ボンベ)3から供給される燃料ガスの圧力をエンジン36の燃焼室41に送るための適切な圧力にするように予め設定されている。
【0026】
(走行装置の構成)
次に、図1を参照して、走行装置60の構成を説明する。
例えば、上述した発電装置10が、自動車、オートバイなどの自動二輪車、などの走行装置に組み込まれて、その動力源として利用することができる。すなわち、走行装置側には、発電装置10を装置内に受容し、搭載するスペースを車両の荷台その他の領域に設けておき(図示せず)、搭載とともに、制御手段51と運転席等との電気的接続を行うことができるようにされている。
さらに、車両側には、発電装置10の発電機52と接続される二次電池62と、二次電池62から供給される電力により駆動される電気モータ(以下、「モータ」という。)63と、モータ63により駆動される駆動輪64が設けられている。二次電池62は例えば、リチウムーイオン電池である。
【0027】
発電機52は、車両側のモニタ手段である電流計などの電力モニタ手段54を介して二次電池62に接続されており、電力モニタ手段54は、制御手段51に接続されている。
モータ63は、直流モータでも交流モータでもよい。
直流モータを使用する場合には、二次電池62を所定のコントローラを介して直流モータに接続する構成とすることができる。
よりエネルギー効率を高めるためには、発電機52が生成する電力を一度AC−DCコンバータに入力し、直流電流を二次電池62に供給して、さらに二次電池62をDC−ACコンバータで交流電流に変換して、モータ用のインバータに入力し、例えば、三相交流モータでなるモータ63を駆動するようにしてもよい。
また、好ましくは、ブザや発光手段を利用した報知手段としてのアラーム55を設定して制御手段51と接続し、各燃料ガスのボンベの圧力が基準値以下になったら、知らせるようにしてもよい。
【0028】
(走行装置の運転制御)
次に、走行装置60の運転制御の実施形態を説明する。
なお、図2ないし図4は基本的には図1と同じ構成図であり、図2は運転制御において水素ガス燃焼を行う際の制御手段51の制御対象を太い点線で示した図、図3は運転制御においてLPG燃焼を行う際の制御手段51の制御対象を太い点線で示した図、図4は運転制御において補助燃料の燃焼を行う際の制御手段51の制御対象を太い点線で示した図である。
そして、図5ないし図12は運転制御の実施形態におけるフローチャート、図13は運転制御の実施形態におけるタイムチャートである。
これらの図を参照して、以下、走行装置60の運転制御の実施形態を説明する。
【0029】
図5を参照する。
図1の走行装置60の走行開始(ST11)に当たり、走行装置60の電気系統の電源(図示せず)をオンする(ST12)。
ここで、自動/ガス種固定運転選択スイッチ53のスイッチを選択する(ST13)。切替えは4通りあり、自動/ガス種固定運転選択スイッチ53が、「自動」側すなわち、SW1が選択されると、自動運転、SW2が選択されると水素を燃焼する運転、SW3を選択すると、LPGを燃焼する運転、SW4を選択すると、補助燃料を燃焼する運転が行われる。
ST13では、SW1、すなわち自動運転が選ばれたかどうか判断する。
ST13で肯定結果が得られれば、ST15に進み、否定結果を得た場合は選択されたSW2、SW3またはSW4のいずれかによるガス種の固定運転がされる(ST14)。
【0030】
次にST15では、三つの燃料ガスの各ボンベ圧力を検出する。すなわち、圧力センサ14で、水素ボンベ1の圧力PHは、圧力センサ14で、LPGボンベ2の圧力PLは圧力センサ15で、補助燃料ボンベ3の圧力PSは、圧力センサ15で検出する。これらがそれぞれ、全て水素ボンベ1の圧力基準値PH0、LPGボンベ2の圧力基準値PL0、補助燃料ボンベ3の圧力基準値PS0以上であるかどうかを判断し、そうでない場合は、制御手段51はアラーム55に指示を出して、ブザの鳴動などにより報知し、燃料不足のまま走行を始めないように警告する。なお、水素ボンベ1の圧力基準値PH0、LPGボンベ2の圧力基準値PL0、補助燃料ボンベ3の圧力基準値PS0は、燃料ガスの物性や基準値圧力におけるボンベ内の燃料ガス残量等の観点からその具体的数値が決定される。本実施形態では、例えば水素ボンベ1の圧力基準値PH0は大気圧基準(ゲージ圧力)で0.5MPa(メガパスカル)に設定されている。同様に、LPGボンベ2の圧力基準値PL0は0.3MPa、補助燃料ボンベ3の圧力基準値PS0は0.4MPaに設定されている。
【0031】
ST15において、補助燃料ボンベ3の圧力だけが圧力基準値PS0より高い時には、ST181に進み、制御手段51は、可変一次調圧器34の圧力を、補助燃料の燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST181)、補助燃料の電磁弁17を開き(ST182)、エンジン36に補助燃料を送る。ここで、電気式ガス検知器32が、いずれのガスも検知しない場合には、エンジン36で燃焼されているガスは補助燃料であるから、当該補助燃料の燃焼を確認する(ST183)。ここでは、例えばカセットボンベからのLPGであることが確認できるので、補助燃料による走行を行う(ST184)。そのまま走行して、目的地到着などにより運転を終了する(ST185)。これに対して、ST183で補助燃料であることが確認できない場合には、アラーム55を起動して警告し(ST186)、走行を停止する(ST187)。
【0032】
ST15で、水素ボンベ1とLPGボンベ2の圧力がともに基準値より高い場合には、ST16に進む。
ここでは、制御手段51が、可変一次調圧器34の圧力を、水素燃料ガスの燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST16)、水素の電磁弁12を開く(ST17)。水素ガスは水素ボンベ1から送り管13を通り、供給管31に送られるので、ここで電気式ガス検知器32によりガス種の判別をする(ST18)。水素以外のガスを検出したらアラーム55で報知し(ST19)、燃焼を停止する(ST19−1)。
ST18で、ガス種を「水素」と判断した場合は、正常であるから、エンジンを始動し(ST20)、燃焼を開始する。
このエンジン燃焼により、図1の発電機52が駆動され、二次電池62へ電力供給がされて、さらに二次電池62がモータ63に電力を供給し、駆動輪64が駆動されて走行装置60が走行する。
【0033】
図13は、走行装置60の走行による負荷と、制御の関係を示す図である。
水素ガスは、LPGよりも燃焼による発熱量が低く、高負荷運転には向かない。これに対して、LPGは現在もタクシー等で走行用の燃料として使用されているように、通常の自動車などにおける走行負荷は問題なくこなすことができる。
そこで、図示されているように、図1のモニタ手段である電流計などの電力モニタ54が、低い電力消費を示す低負荷状態においては、水素ガスを燃料として使用することで、二酸化炭素を出さないクリーンな運転が実現できる。これに対して、電力モニタ54により高い消費電力を示す高負荷状態、例えば、登坂や高速度運転では、LPGを燃焼することで、モータ63に十分な電力を供給し、ストレスなく走行することができる。
【0034】
したがって、図6のAに進み、電力モニタ64により消費電力を検出し、所定の閾値、例えば200W(ワット)を基準値E0としたとき、検出された供給電力Eが基準値E0と比較される(ST21)。供給電力が基準値E0以上である場合には、水素運転は向かないので、図7のBに進む(後述)。供給電力が基準値E0より小さければ、走行負荷は大きくないので、水素運転を続けることとし、図6の水素ボンベ1の圧力を圧力センサ14で検出し、基準値(既述)と比較する(ST22)。基準値以上であれば、水素ガスを燃焼させるクリーンな運転を続ける(ST23)。運転中は、例えば制御手段51の内蔵するタイマーなどにより、所定時間ごとに電力モニタ54により供給電力が基準値以上であるかどうか判断するために、ST21に戻る
【0035】
水素ボンベ1の圧力が基準値より小さい場合、さらにLPGボンベ2の圧力を圧力センサ24で検出し、基準値と比較する(ST23)。検出圧力が基準値より小さい場合は、図8のCに進む(後述)(ST24)。
ST23の検出圧力が基準値以上であれば、水素ボンベの電磁弁12を閉じ(ST25)、可変一次調圧器34の圧力を、LPGの燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST26)、LPGボンベの電磁弁22を開いて、送り管23から供給管31にLPGを供給する(ST27)。供給管31にLPGが送られたことを電気式ガス検知器32で確認する(ST28)、ST28でLPGと確認できない場合には、アラーム55を駆動して警報を出す(ST29)とともに、走行を停止する(ST30)。
【0036】
ST28でLPGと確認できた場合は、LPGの供給をそのまま続けてLPGを燃焼させる運転を継続する。これにより走行負荷が大きくても問題なく走行できる。
運転中は、例えば制御手段51の内蔵するタイマーなどにより、所定時間ごとにLPGボンベの圧力を検出して基準値と比較する(ST32)。基準値を満たしていればST31へ戻りLPG運転を続行し、基準値を下回る場合は、ST33に進む。
次に、補助燃料ボンベ3の圧力を検出して、基準値と比較する(ST33)。
補助燃料ボンベ3の圧力が基準値以下である場合には、アラーム55を駆動して警報を発し(ST34)、LPGボンベの電磁弁22を閉じて(ST35)、走行を停止する(ST36)。
【0037】
ST33で、補助燃料ボンベ3の圧力が基準値を超えていれば、LPGボンベの電磁弁22を閉じて(ST37)、可変一次調圧器34の圧力を、補助燃料の燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST38)、補助燃料ボンベの電磁弁17を開いて、補助燃料ボンベ3からの送り管18を介して、エンジン36の内部調圧器37に供給する(ST39)。続いて、温度センサ48等で燃焼ガスのガス種を確認し(ST40)、ST40で補助燃料以外の例えば水素ガスなどが検出されたら、アラーム55を駆動して警報を発して(ST41)、走行を停止する(ST42)。
ST40で補助燃料が確認されたら、補助燃料で走行を続けて(ST43)、例えば、目的地到着により、走行終了となる(ST44)。
【0038】
なお、上記ST24において、LPGボンベ2の検出圧力が基準値より小さい場合も補助燃料走行を行うので、これを先に説明する。
図8において、補助燃料ボンベ3の圧力を検出し、基準値と比較する(ST161)。圧力が基準値以下の場合は、ガス圧力が低下しているので、アラーム55を駆動して警報を発し(ST162)、水素ボンベの電磁弁12を閉じて(ST163)、走行を停止する(ST164)。
一方、ST161で、補助燃料ボンベ3の圧力が基準値より大きければ、水素ボンベ1の電磁弁12を閉じて(ST165)、可変一次調圧器34で補助燃料のボンベの圧力に適合するように圧力を調整し(ST166)、補助燃料ボンベ3の電磁弁17を開く(ST167)。
温度センサ48等でガス種を確認し(ST168)、補助燃料でなければ、アラーム55を駆動して警報を発し(ST169)、走行を停止する(ST170)。ST168でガス種が補助燃料であることが確認できれば、補助燃料での燃焼により走行し(ST171)、目的地到着などにより走行を終了する(ST172)。
【0039】
次に、上述したST21において、走行負荷が大きいと判断した場合の運転制御を図7を参照して説明する。
この場合は、水素ガスによる運転ができないか、適切でないので、LPGのボンベ2の圧力を検出して基準圧力と比べる(ST51)。
LPGのボンベ2が基準圧力に満たない場合は、図9のDに進む(後述)。
LPGのボンベ2が基準圧力以上であれば、水素ボンベの電磁弁12を閉じて(ST52)、可変一次調圧器34の圧力を、LPGボンベ2の燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST53)、LPGボンベの電磁弁22を開く(ST54)。
次いで、電気式ガス検知器32により使用ガス種を確認する(ST55)。LPG以外のガスであれば、アラーム55を駆動して警報を発し(ST56)、走行を停止する(ST57)。
ST55でガス種がLPGであると確認できれば、LPGによる走行を行い(ST58)、運転中は、例えば制御手段51の内蔵するタイマーなどにより、所定時間ごとにLPGボンベの圧力を検出して基準値と比較する(ST59)。LPGボンベの圧力が基準値以上であれば、電力モニタ54により供給電力が基準値以上であるかどうか判断する(ST60)。供給電力が基準値を超えていれば、走行負荷は大きいと判断して(図13参照)、ST58へ戻りLPG運転を続行する。ST60で、供給電力が、基準値を下回る場合は、図11のFに進む(後述)。
【0040】
図9を参照する。
図7で説明したLPGボンベの圧力が低くて、ガスの残量が残り少ないと判断されたので、続いて補助燃料のボンベ3の圧力を検出して(ST61)、検出圧力が基準値以下である場合には、アラーム55を駆動して警報を発し(ST62)、水素ボンベの電磁弁12を閉じて(ST63)、走行を停止する(ST64)。
一方、ST61で、補助燃料ボンベ3の圧力が基準値以上であれば、水素ボンベ1の電磁弁12を閉じて、可変一次調圧器34で補助燃料のボンベの圧力に適合するように圧力を調整し(ST65)、補助燃料ボンベ3の電磁弁17を開く(ST66)。続いて、温度センサ48等でガス種を確認し(ST67)、補助燃料でなければ、アラーム55を駆動して警報を発し(ST68)、走行を停止する(ST69)。
ST67でガス種が補助燃料であることが確認できれば、補助燃料での燃焼により走行し(ST71)、運転中は、例えば制御手段51の内蔵するタイマーなどにより、所定時間ごとに補助燃料のボンベ3の圧力を検出して基準値と比較する(ST72)。圧力が基準値以上であれば、電力モニタ54の検出値を所定の基準値、例えば200Wと比較する(ST75)。電力モニタ54の検出値が、所定の基準値以上であれば、図12のGに進む。
ST72で、補助燃料のボンベ3の圧力が基準値を下回る場合には、補助燃料ボンベの電磁弁17を閉じて(ST73)、走行を停止する(ST74)。
【0041】
図10を参照する。
既に説明した図7のST59において、LPGボンベ2の圧力が基準値より低く、燃料の残量が少ないと判断される場合には、補助燃料のボンベ3の圧力を検出して、基準値と比較する(ST81)。
検出圧力が基準値以下である場合には、アラーム55を駆動して警報を発し(ST82)、LPGのボンベの電磁弁22を閉じて(ST83)、走行を停止する(ST84)。
一方、ST81で、補助燃料ボンベ3の圧力が基準値以上であれば、LPGのボンベ2の電磁弁22を閉じて、可変一次調圧器34で補助燃料のボンベの圧力に適合するように圧力を調整し(ST86)、補助燃料ボンベ3の電磁弁17を開く(ST88)。続いて、温度センサ48等でガス種を確認し(ST88)、補助燃料でなければ、アラーム55を駆動して警報を発し(ST89)、走行を停止する(ST90)。
【0042】
ST88でガス種が補助燃料であることが確認できれば、補助燃料での燃焼により走行し(ST91)、運転中は、例えば制御手段51の内蔵するタイマーなどにより、所定時間ごとに補助燃料のボンベ3の圧力を検出して基準値と比較する(ST92)。圧力が基準値以上であれば、電力モニタ54の検出値を所定の基準値、例えば200Wと比較する(ST96)。電力モニタ54の検出値が、所定の基準値に満たない場合は、図12のGに進む。電力モニタ54の検出値が、所定の基準値以上であれば、走行負荷は大きいと判断し(図13参照)、ST91に戻り、補助燃料であるLPGで走行する。
これに対して、ST92における検出圧力が基準値に満たない場合には、アラーム55を駆動して警報を発し(ST93)、補助燃料のボンベの電磁弁17を閉じて(ST94)、走行を停止する(ST95)。
【0043】
図11を参照する。
図7のST60において、電力モニタ54により供給電力が基準値より小さいと判断された場合には、走行負荷が小さい(図13参照)ので、水素走行へ切り替える準備をする。すなわち、図11において、水素ボンベ1の圧力が基準圧力以上であるかどうか判断し(ST101)、肯定結果を得れば、LPGのボンベの電磁弁22を閉じ(ST102)、可変一次調圧器34の圧力を、水素燃料ガスの燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST103)、水素ボンベの電磁弁12を開く(ST104)。水素ガスは水素ボンベ1から送り管13を通り、供給管31に送られるので、ここで電気式ガス検知器32によりガス種の判別(確認)をする(ST105)。水素以外のガスを検出したらアラーム55で報知し(ST106)、走行を停止する(ST107)。
ST105で、ガス種を「水素」と判断した場合は、正常であるから、図6のHに進んで、ST23により水素走行をする。
【0044】
ST101で、水素ボンベの圧力が基準圧力に満たないと判断された場合には、ST110に進み、補助燃料ボンベ3の圧力が基準圧力を満たすかどうか判断する(ST110)。補助燃料ボンベ3の圧力が基準圧力に満たない場合、アラーム55を駆動して警報を発し(ST111)、水素ガスのボンベ1の電磁弁12を閉じて(ST112)、走行を停止する(ST113)。
ST110で、補助燃料ボンベ3の圧力が基準圧力を満たすと判断された場合は、LPGボンベ2の電磁弁22を閉じて(ST114)、可変一次調圧器34で補助燃料のボンベの圧力に適合するように圧力を調整し(ST115)、補助燃料ボンベ3の電磁弁17を開く(ST116)。続いて、酸素センサ49等でガス種を確認し(ST117)、補助燃料でなければ、アラーム55を駆動して警報を発し(ST118)、走行を停止する(ST119)。
ST117でガス種が補助燃料であることが確認できれば、補助燃料での燃焼により走行し(ST120)、目的地到着などにより走行を終了する(ST121)。
【0045】
図12を参照する。
図12は、図9や図10において、ST75やST96で電力モニタ54の判断結果として供給電力Eが基準となる値、例えば200Wに満たない場合の制御を示している。
この場合は、走行負荷が小さい(図13参照)ので、水素走行へ切り替える準備をする。すなわち、水素ボンベ1の圧力が基準圧力以上であるかどうか判断し(ST131)、肯定結果を得れば、補助燃料のボンベ3の電磁弁17を閉じ(ST132)、可変一次調圧器34の圧力を、水素燃料ガスの燃焼用に予め定めた圧力に設定し(ST133)、水素ボンベの電磁弁12を開く(ST134)。水素ガスは水素ボンベ1から送り管13を通り、供給管31に送られるので、ここで電気式ガス検知器32によりガス種の判別(確認)をする(ST135)。水素以外のガスを検出したらアラーム55で報知し(ST136)、走行を停止する(ST137)。
ST135で、ガス種を「水素」と判断した場合は、正常であるから、図6のHに進んで、ST23により水素走行をする。
【0046】
ST131で、水素ボンベの圧力が基準圧力に満たないと判断された場合には、ST141に進み、補助燃料ボンベ3の圧力が基準圧力を満たすかどうか判断する(ST141)。補助燃料ボンベ3の圧力が基準圧力に満たない場合、アラーム55を駆動して警報を発し(ST142)、補助燃料のボンベ3の電磁弁17を閉じて(ST143)、走行を停止する(ST144)。
ST141で、補助燃料ボンベ3の圧力が基準圧力を満たすと判断された場合は、可変一次調圧器34で補助燃料のボンベの圧力に適合するように圧力を調整し(ST145)、補助燃料ボンベ3の電磁弁17を開く(ST146)。続いて、温度センサ48等でガス種を確認し(ST147)、補助燃料でなければ、アラーム55を駆動して警報を発し(ST148)、走行を停止する(ST149)。
ST147でガス種が補助燃料であることが確認できれば、補助燃料での燃焼により走行し(ST150)、目的地到着などにより走行を終了する(ST151)。
なお、以上の運転制御において、エンジン36への燃焼ガスの導入切り替え以外の燃料制御、すなわち、空燃比制御や点火時期制御等は、エンジン排気量やエンジンの気筒数その他の構造別に、公知の方法により適切に行うことができることは言うまでもない。
【0047】
本実施形態は以上の構成でなり、各燃料ガスの送り管に設定した電磁弁などの開閉手段を介して、ひとつの管路にまとめた燃料ガスの供給管31には可変一次調圧器34を配置し、それぞれの燃料ガスに対応した圧力としてエンジンに供給することによって、異種の燃料ガスにより共通のエンジンにおける燃焼をすることができる。
すなわち、各燃料ガスの個別の送り管を開閉手段により一つの供給管にまとめ、ここに可変調圧器を設定した新規な構成を採用している。
かくして、水素ガスを利用することにより、燃焼によって二酸化炭素を発生させることなく、クリーンな燃焼により電力を生成することができる。この電力を使って電気モータを駆動して走行するようにしたので、水素とそれ以外の燃料ガスに大きなカロリーの相違があっても走行は可能となる。
しかも、水素ガスを使いきってしまった場合、あるいはその供給をすぐに得られない場合には、水素よりも高カロリーな他の燃料ガスを供給管から送り、これを燃焼することで走行できるから、水素を有効利用しながら、実用上不便のない走行装置を得ることができる。
さらに、LPGボンベ2の燃料ガスを使い切ってしまっても、例えば、補助燃料のボンベ(携帯ガスボンベまたはカセットボンベ)3を携行していれば、当該燃料ガスを用いて走行を継続することも可能である。
さらには、キャンプ地などの移動先等で、発電装置10を走行装置から取り外し、上記カセットボンベ3のLPGを燃焼して、発電装置10による電力の使用をすることもできる。
【0048】
また、エンジン内の二次調圧器である内部調圧器37は、補助燃料のボンベに適合するように圧力設定されている。このため、内部調圧器37に補助燃料のボンベである携帯用ガスボンベを接続するだけで、エンジン36には、この携帯用ガスボンベの燃料ガスが適切な圧力で供給される。
水素以外の燃料ガスとして、LPGを利用している。LPGは、十分なカロリーを有しており、供給インフラを整備されている。しかもエンジンに予め設定された水素以外の燃料ガスと、携帯ガスボンベのガス種を合わせておけばエンジンの燃焼条件の調整も容易である。
さらに、ガス供給管31が内部調圧器37に接続されているので、供給管31の可変一次調圧器34の調整された圧力が、後段の二次調圧器である内部調圧器を介して、エンジンの適切な供給圧力となるようにされているから、水素ガス、水素より高カロリーな燃料ガスとしてのLPG、そして携帯用ガスボンベにより供給される燃料ガスとしてのLPGについて、それぞれ適切な圧力でエンジンに供給されるので、少なくとも2種類の燃料ガスを共通のエンジンで燃焼させ、走行することができる。
【0049】
特に、走行装置60では走行コースによって地形の違いがあったり、運転状態によって走行負荷が変化する。走行負荷が比較的小さい場合には水素ガスを燃焼に用いて、走行負荷が大きくなったら水素より高カロリーの燃料ガスを用いることでスムーズな走行が可能となる。
そして、このような制御を行うに当たり、発電機52から二次電池62に送られる電力をモニタすることで、容易に走行負荷に対応した燃料ガスを切換え燃焼できる。
【0050】
ところで本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
実施形態で説明した各構成はその一部を省略することができるし、さらに、説明しない他の構成と組み合わせることができる。
水素ガスと組み合わされる水素よりも高カロリーの燃料ガスは、水素に限らず、他の燃料ガス、例えばバイオマス等を利用してメタン発酵などにより得られるバイオガス等を使用してもよい。
ガスの検知手段は電気式ガス検知器の他、各種半導体ガスセンサ等を用いることができる。
走行負荷の検出は、消費電力をモニタするのが便利であるが、以外の方法で負荷を算出してもよく、例えば、GPSと地図データを用いて、コース設定した当該コースの走行負荷をデータより算出して制御に用いたりしてもよい。
エンジンは、燃料ガスを燃焼する形式の内燃機関であれば、いかなる形式のものでも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係る走行装置(発電装置)の概略構成図。
【図2】図1の走行装置の運転制御において水素ガス燃焼を行う際の制御部の制御対象を太い点線で示した図。
【図3】図1の走行装置の運転制御においてLPG燃焼を行う際の制御部の制御対象を太い点線で示した図。
【図4】図1の走行装置の運転制御において補助燃料ガスの燃焼を行う際の制御部の制御対象を太い点線で示した図。
【図5】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図6】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図7】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図8】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図9】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図10】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図11】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図12】図1の走行装置の運転制御の実施形態の一部を示すフローチャート。
【図13】図1の走行装置の運転制御の実施形態における走行負荷を示す説明図。
【符号の説明】
【0052】
1・・・水素ガスのボンベ、2・・・LPGのボンベ、3・・・補助燃料ガスのボンベ、10・・・発電装置、31・・・供給管、32・・・電気式ガス検知器、34・・・可変一次調圧器、36・・・エンジン、37・・・内部調圧器(二次調圧器)、51・・・制御手段、52・・・発電機、54・・・電力モニタ、62・・・二次電池、63・・・モータ、60・・・走行装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを燃焼させるエンジンにより、発電機を駆動する発電装置であって、
前記燃料ガスとしての水素と、少なくとも水素よりも高カロリーな他の燃料ガスをそれぞれ送る各燃料ガスの送り管と、
各燃料ガスの送り管から開閉手段を介してひとつの管路にまとめて送る燃料ガスの供給管と、
該供給管に設定した可変調圧器と
を有しており、
前記可変調圧器が、前記燃料ガスの供給管を介して燃料ガスを供給する際に、前記水素と、前記他の燃料ガスとにそれぞれ適合した圧力を選択して、適切な圧力で燃料ガスを供給する構成とした
ことを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記エンジン内には、携帯用燃料ガスの供給管が接続されて、該携帯用燃料ガスのエンジンへの供給圧力を調整する二次調圧器が設けられており、該二次調圧器に前記ガス供給管が接続されるとともに、前記他の燃料ガスおよび携帯燃料ガスとしてLPGを用いる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
燃料ガスを燃焼させるエンジンにより、発電機を駆動し、該発電機による電力で電気モータを駆動して走行する走行装置であって、
前記燃料ガスとしての水素と、少なくとも水素よりも高カロリーな他の燃料ガスをそれぞれ送る各燃料ガスの送り管と、
各燃料ガスの送り管から開閉手段を介してひとつの管路にまとめて送る燃料ガスの供給管と、
該供給管に設定した可変調圧器と
を有しており、
前記可変調圧器が、前記燃料ガスの供給管を介して燃料ガスを供給する際に、前記水素と、前記他の燃料ガスとにそれぞれ適合した圧力を選択して、適切な圧力で燃料ガスを供給する構成とした
ことを特徴とする走行装置。
【請求項4】
前記エンジン内には、携帯用燃料ガスの供給管が接続されて、該携帯用燃料ガスのエンジンへの供給圧力を調整する二次調圧器が設けられており、該二次調圧器に前記ガス供給管が接続されるとともに、前記他の燃料ガスおよび携帯燃料ガスとしてLPGを用いる構成としたことを特徴とする請求項3に記載の走行装置。
【請求項5】
前記水素と他の燃料ガスは、走行負荷に応じて選択燃焼される構成としたことを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の走行装置。
【請求項6】
前記発電機による電力を二次電池に蓄積して、該二次電池から供給される電力で前記電気モータが駆動されるとともに、前記発電機から前記二次電池に送られる電力がモニタされることにより、前記走行負荷を検出して、該走行負荷に応じて燃料ガスを選択する制御手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の走行装置。
【請求項1】
燃料ガスを燃焼させるエンジンにより、発電機を駆動する発電装置であって、
前記燃料ガスとしての水素と、少なくとも水素よりも高カロリーな他の燃料ガスをそれぞれ送る各燃料ガスの送り管と、
各燃料ガスの送り管から開閉手段を介してひとつの管路にまとめて送る燃料ガスの供給管と、
該供給管に設定した可変調圧器と
を有しており、
前記可変調圧器が、前記燃料ガスの供給管を介して燃料ガスを供給する際に、前記水素と、前記他の燃料ガスとにそれぞれ適合した圧力を選択して、適切な圧力で燃料ガスを供給する構成とした
ことを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記エンジン内には、携帯用燃料ガスの供給管が接続されて、該携帯用燃料ガスのエンジンへの供給圧力を調整する二次調圧器が設けられており、該二次調圧器に前記ガス供給管が接続されるとともに、前記他の燃料ガスおよび携帯燃料ガスとしてLPGを用いる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
燃料ガスを燃焼させるエンジンにより、発電機を駆動し、該発電機による電力で電気モータを駆動して走行する走行装置であって、
前記燃料ガスとしての水素と、少なくとも水素よりも高カロリーな他の燃料ガスをそれぞれ送る各燃料ガスの送り管と、
各燃料ガスの送り管から開閉手段を介してひとつの管路にまとめて送る燃料ガスの供給管と、
該供給管に設定した可変調圧器と
を有しており、
前記可変調圧器が、前記燃料ガスの供給管を介して燃料ガスを供給する際に、前記水素と、前記他の燃料ガスとにそれぞれ適合した圧力を選択して、適切な圧力で燃料ガスを供給する構成とした
ことを特徴とする走行装置。
【請求項4】
前記エンジン内には、携帯用燃料ガスの供給管が接続されて、該携帯用燃料ガスのエンジンへの供給圧力を調整する二次調圧器が設けられており、該二次調圧器に前記ガス供給管が接続されるとともに、前記他の燃料ガスおよび携帯燃料ガスとしてLPGを用いる構成としたことを特徴とする請求項3に記載の走行装置。
【請求項5】
前記水素と他の燃料ガスは、走行負荷に応じて選択燃焼される構成としたことを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の走行装置。
【請求項6】
前記発電機による電力を二次電池に蓄積して、該二次電池から供給される電力で前記電気モータが駆動されるとともに、前記発電機から前記二次電池に送られる電力がモニタされることにより、前記走行負荷を検出して、該走行負荷に応じて燃料ガスを選択する制御手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の走行装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−25051(P2010−25051A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189852(P2008−189852)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(302012028)
【出願人】(000158312)岩谷産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(302012028)
【出願人】(000158312)岩谷産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
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