説明

監視制御システムおよびこれに利用する信号伝送路冗長化方法

【課題】監視制御対象の設備機器と中央監視制御装置との間で伝送を行う信号伝送路を、効率良く高い信頼性で冗長化することが可能な監視制御システムおよびこれに利用する信号伝送路冗長化方法を提供する。
【解決手段】監視制御システム1は、監視制御対象の複数の設備機器61、62の監視制御処理を行う中央監視制御装置10−1、10−2との間に構築された主伝送系統および予備伝送系統の2つの伝送経路と、主伝送系統内の信号伝送装置のいずれかと予備伝送系統内の信号伝送装置のいずれかとの間に設けられた非常時接続伝送媒体71とを備える。そして中央監視制御装置10−1、10−2は、主伝送系統内の信号伝送装置のいずれかおよび予備伝送系統内の信号伝送装置のいずれかに異常が発生したときに、正常な主伝送系統内の信号伝送装置のいずれかと正常な予備伝送系統内の信号伝送装置のいずれかとの間の非常時接続伝送媒体71を接続状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視制御システムおよびこれに利用する信号伝送路冗長化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルや工場等の大型の施設では、電力、空調、照明などの各設備機器を、中央の監視制御装置で一括して監視および制御する監視制御システムが普及している。この監視制御システムでは、例えば各設備機器から出力された動作状態信号が、設備機器ごとに設置された信号入出力装置により中央監視制御装置に送信され、この動作状態信号に基づいて生成された監視情報が中央監視制御装置に出力されることにより、オペレータにより各設備機器の状態が監視される。また監視されることによりオペレータによりいずれかの設備機器の動作を制御するための操作が中央監視制御装置から入力されると、この操作により生成された制御信号が信号入出力装置により各設備に入力される。また、いずれかの設備機器から故障通知信号が出力されると、この故障通知信号が信号入出力装置により中央監視制御装置に送信され、中央監視制御装置において警報発令処理が行われる。
【0003】
このような中央監視制御装置を用いた監視制御システムを、特高受電部や半導体製造ラインにおける空調機など、施設運用上重要な機器の安定稼動が不可欠な設備を有する施設で用いる場合は、停電による施設運用上の損害や電機機器(発電機、エレベータなど)のトラブル、火災事故の発生等を防ぐため、高い信頼性および確実性を実現することが要求される。
【0004】
そのため、上記のような重要設備を有する施設では、監視制御を行う装置を冗長化し、いずれかの装置で異常が発生した場合でも監視制御処理が続行可能になるように構成している。
【0005】
また昨今では建物の高層化やテナント数の増加に伴い、一般ビル等の設備でも高い信頼性を要するケースが増加し冗長化の気運が高まっており、確実かつ簡易に実現するための技術が求められている。
【0006】
上述したような監視制御システムにおいて、冗長化の対象となる装置としては、(1)当該システムの上位に設置され、オペレータが監視および操作する中央監視制御装置、(2)中央監視制御装置の下位に設置され、プロセス管理機能および信号処理機能を有する信号処理装置、(3)信号処理装置のさらに下位に設置され、監視制御対象の各機器に対応して信号の入出力を行う機能を有する信号入出力装置、および、(4)これら(1)〜(3)の装置にそれぞれ接続され、(1)中央監視制御装置と(2)信号処理装置との間、(2)信号処理装置と(3)信号入出力装置との間を、信号伝送装置を用いてそれぞれ階層毎に接続して信号の伝送を行う信号伝送路、がある。
【0007】
このうち、(4)の信号伝送路は、信号の伝送を中継する信号伝送装置に異常が発生すると全設備の監視制御が不能になるおそれがあることから、図3に示す監視制御システム100aのように、(1)の中央監視制御装置111で取得されたデータを格納するデータサーバ151に接続された信号伝送装置141と、複数の設備機器161〜163等にそれぞれ信号入出力装置131〜133等、信号処理装置121〜123を介して接続された信号伝送装置142〜144とをリング状に接続し、この中の1台の信号伝送装置に異常が発生したときにも他の信号伝送装置においては信号処理装置、入出力装置を介して設備機器との信号の伝送が継続できるようにして冗長化することが一般的であった。
【0008】
しかし、このように複数の信号伝送装置141〜144がリング状に接続された場合、例えば中央監視制御装置111に繋がる信号伝送装置141に異常が発生すると全ての設備機器の監視制御が不能になってしまい、1台の信号伝送装置141の異常による影響が大きいという問題があった。
【0009】
そこで、図4に示す監視制御システム100bのように、(1)中央監視制御装置、(2)信号処理装置、(3)信号入出力装置、および(4)信号伝送路をすべて冗長化し、この中のいずれの装置に異常が発生したときにも中央監視制御装置による監視制御処理が継続可能になるように構成することが考えられる。
【0010】
この図4に示す監視制御システム100bでは、冗長化された2台の中央監視制御装置101および102と、これらの中央監視制御装置101、102で取得されたデータをそれぞれ格納するデータサーバ501および502とを備えており、これらの装置と監視制御対象の設備機器601および602との間の、リング状に接続された信号伝送装置と、信号処理装置と、信号入出力装置とを、太線で示す主系統(A伝送系統)と細線で示す予備系統(B伝送系統)の2系統で構成することにより信号伝送路を冗長化している。
【0011】
図4においては、A伝送系統では、中央監視制御装置101に接続されたA系信号伝送装置411と、中央監視制御装置102に接続されたA系信号伝送装置412と、設備機器601にA系信号入出力装置311、A系信号伝送装置415、およびA系信号処理装置211を介して接続されたA系信号伝送装置413と、設備機器602にA系信号入出力装置312、A系信号伝送装置416、およびA系信号処理装置212を介して接続されたA系信号伝送装置414とがリング状に接続されている。
【0012】
また、B伝送系統では、中央監視制御装置101に接続されたB系信号伝送装置421と、中央監視制御装置102に接続されたB系信号伝送装置422と、設備機器601にB系信号入出力装置321、B系信号伝送装置425、およびB系信号処理装置221を介して接続されたB系信号伝送装置423と、設備機器602にB系信号入出力装置322、B系信号伝送装置426、およびB系信号処理装置222を介して接続されたB系信号伝送装置424とがリング状に接続されている。
【0013】
このようにA伝送系統、B伝送系統の2系統に信号伝送路が冗長化されて監視制御システム100bが構築されることにより、通常時は主伝送系統であるA伝送系統により信号の伝送が行われ、A伝送系統のいずれかに異常が発生すると中央監視制御装置101、102およびデータサーバ501、502によりこれが検知され、予備伝送系統であるB伝送系統に切り替えられて信号の伝送が行われる。
【0014】
この構成により、中央監視制御装置101、102に接続された信号伝送装置411、412に異常が発生した場合にも、伝送系統が切り替えられることにより設備機器601、602の監視制御を継続して行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009−157944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、上述したようにリング状に接続された信号伝送装置を含む各装置を2系統で構成して冗長化すると、主伝送系統であるA伝送系統の信号伝送装置のうち1台でも異常が発生すると伝送系統がB伝送系統に切り替わるため、A伝送系統の他のほとんどの装置が正常であるにも関わらずその資源を活用することができず非効率的であるという問題があった。
【0017】
またさらに、A伝送系統の中の信号伝送装置に異常が発生し伝送系統がB伝送系統に切り替わった後、A伝送系統の信号伝送装置のメンテナンス中にB伝送系統の中の信号伝送装置に異常が発生した場合には、それぞれの伝送系統のほとんどの他装置が正常であるにも関わらずシステム全体の稼動が停止してしまい、非効率的であるとともに信頼性が低下するという問題があった。
【0018】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、監視制御対象の設備機器と中央監視制御装置との間で伝送を行う信号伝送路を、効率良く高い信頼性で冗長化することが可能な監視制御システムおよびこれに利用する信号伝送路冗長化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するための実施形態によれば、監視制御システムは、監視制御対象の複数の設備機器とこれらの設備機器の監視制御処理を行う中央監視制御装置との間に構築された主伝送系統および予備伝送系統の2つの伝送経路と、主伝送系統内の信号伝送装置のいずれかと予備伝送系統内の信号伝送装置のいずれかとの間に設けられた非常時接続伝送媒体とを備える。そして中央監視制御装置は、主伝送系統内の信号伝送装置のいずれかおよび予備伝送系統内の信号伝送装置のいずれかに異常が発生したときに、正常な主伝送系統内の信号伝送装置のいずれかと正常な予備伝送系統内の信号伝送装置のいずれかとの間の非常時接続伝送媒体を接続状態とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施形態による監視制御システムの構成を示す構成図である。
【図2】一実施形態による監視制御システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】従来の監視制御システムの構成を示す構成図である。
【図4】従来の他の監視制御システムの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〈一実施形態による監視制御システムの構成〉
本発明の一実施形態による監視制御システムの構成を、図1を参照して説明する。
【0022】
本実施形態による監視制御システム1は、設備機器61および62の監視制御を行う、冗長化された2台の中央監視制御装置10−1および10−2と、これらの中央監視制御装置10−1、10−2で取得されたデータをそれぞれ格納するデータサーバ50−1および50−2とを備えており、これらの装置と監視制御対象の設備機器61および62との間の、リング状に接続された複数の信号伝送装置と、信号処理装置と、信号入出力装置とを、太線で示す主伝送系統(A伝送系統)と細線で示す予備伝送系統(B伝送系統)の2系統で構成することにより信号伝送路が冗長化され伝送システムが構築されている。この信号伝送装置は、例えばスイッチングハブなどの中継装置である。
【0023】
A伝送系統では、中央監視制御装置10−1に接続されたA系信号伝送装置41−1と、中央監視制御装置10−2に接続されたA系信号伝送装置41−2と、設備機器61にA系信号入出力装置31−1、A系信号伝送装置41−5、およびA系信号処理装置21−1を介して接続されたA系信号伝送装置41−3と、設備機器62にA系信号入出力装置31−2、A系信号伝送装置41−6、およびA系信号処理装置21−2を介して接続されたA系信号伝送装置41−4とがリング状に接続されている。これらのA伝送系統内の信号伝送装置41−1〜41−4を、第1系統信号伝送装置とする。
【0024】
また、B伝送系統では、中央監視制御装置10−1に接続されたB系信号伝送装置42−1と、中央監視制御装置10−2に接続されたB系信号伝送装置42−2と、設備機器61にB系信号入出力装置32−1、B系信号伝送装置42−5、およびB系信号処理装置22−1を介して接続されたB系信号伝送装置42−3と、設備機器62にB系信号入出力装置32−2、B系信号伝送装置42−6、およびB系信号処理装置22−2を介して接続されたB系信号伝送装置42−4とがリング状に接続されている。これらのB伝送系統内の信号伝送装置41−1〜41−4を、第2系統信号伝送装置とする。
【0025】
また、A伝送系統のA系信号伝送装置41−1とB伝送系統のB系信号伝送装置42−1との間には非常時接続伝送媒体71が設けられ、A伝送系統のA系信号伝送装置41−2とB伝送系統のB系信号伝送装置42−2との間には非常時接続伝送媒体72が設けられ、A伝送系統のA系信号伝送装置41−3とB伝送系統のB系信号伝送装置42−3との間には非常時接続伝送媒体73が設けられ、A伝送系統のA系信号伝送装置41−4とB伝送系統のB系信号伝送装置42−4との間には非常時接続伝送媒体74が設けられている。
【0026】
中央監視制御装置10−1、10−2は、設備機器61および62の監視制御処理を行うものであり、この監視制御処理を行う際に、通常時はA伝送系統を利用して設備機器61および62との間で監視制御信号や動作状態信号の伝送を行い、A系伝送系統の中のA系信号伝送装置41−1〜41−4のいずれかに異常が発生したときにはB伝送系統に切り替えて監視制御信号や動作状態信号の伝送を行い、A系伝送系統の中のA系信号伝送装置41−1〜41−4のいずれかおよびB系伝送系統の中のB系信号伝送装置42−1〜42−2のいずれかに異常が発生したときには正常なA系伝送系統のA系信号伝送装置のいずれかと正常なB系伝送系統のB系信号伝送装置のいずれかとの間の非常時接続伝送媒体を接続状態にして新たな伝送経路を構築して監視制御信号や動作状態信号の伝送を行う。
【0027】
信号処理装置21−1、21−2、22−1、22−2は、中央監視制御装置10−1、10−2から送信される監視制御信号を設備機器61、62に送信するための処理を行う。また、設備機器61、62から送信される動作状態信号を中央監視制御装置10−1、10−2に送信するための処理を行う。
【0028】
信号入出力装置31−1、31−2、32−1、32−2は、信号処理装置21−1、21−2、22−1、22−2と設備機器61、62との間の監視制御信号の伝送の中継を行う。
【0029】
〈一実施形態による監視制御システムの動作〉
次に、本実施形態における監視制御システムの動作について説明する。
【0030】
本実施形態において、中央監視制御装置10−1および10−2には、A系伝送系統の中のどのA系信号伝送装置とB系伝送系統の中のどのB系信号伝送装置との組み合わせで異常が発生したときに、どの非常時接続伝送媒体を接続状態にするかを示す非常時接続情報が記憶されている。
【0031】
例えば、A系伝送系統のA系信号伝送装置41−1または41−3と、B系伝送系統のB系信号伝送装置42−4とに異常が発生したときには非常時接続伝送媒体72を接続状態にし、A系伝送系統のA系信号伝送装置41−2または41−4と、B系伝送系統のB系信号伝送装置42−3とに異常が発生したときには非常時接続媒体71を接続状態にすることが記憶されている。
【0032】
この非常時接続情報が中央監視制御装置10−1および10−2に記憶されている状態で監視制御システム1が稼動すると、中央監視制御装置10−1、10−2のいずれかにより設備機器61、62の監視制御処理が開始される。ここでは、中央監視制御装置10−1により監視制御処理が行われるものとし、所定時間間隔で中央監視制御装置10−1の情報が中央監視制御装置10−2に送信されることで、中央監視制御装置10−1の情報と中央監視制御装置10−2の情報とは同期がとられ冗長化される。
【0033】
中央監視制御装置10−1で実行される監視制御処理の動作を、図2のフローチャートに示す。
【0034】
監視制御処理の開始時には、中央監視制御装置10−1から設備機器61および62に送信される監視制御信号と、設備機器61および62から中央監視制御装置10−1に送信される動作状態信号はA系伝送系統が利用されて伝送される(S1)。
【0035】
例えば、中央監視制御装置10−1から設備機器61に送信される監視制御信号は、中央監視制御装置10−1→A系信号伝送装置41−1→A系信号伝送装置41−3→A系信号処理装置21−1→A系伝送装置41−5→A系信号入出力装置31−1→設備機器61の経路で伝送され、設備機器61から中央監視制御装置10−1に送信される動作制御信号は、この逆の経路で伝送される。中央監視制御装置10−1で生成された監視制御信号および受信された動作状態信号は、データサーバ50−1に記憶される。また、中央監視制御装置10−1の情報およびデータサーバ50−1の情報は所定時間間隔でそれぞれ中央監視制御装置10−2およびデータサーバ50−2に送信されることで、同期がとられる。
【0036】
また、中央監視制御装置10−1から設備機器62に送信される監視制御信号は、中央監視制御装置10−1→A系信号伝送装置41−1→A系信号伝送装置41−2→A系信号伝送装置41−4→A系信号処理装置21−2→A系伝送装置41−6→A系信号入出力装置31−2→設備機器62の経路で伝送され、設備機器62から中央監視制御装置10−1に送信される動作制御信号は、この逆の経路で伝送される。ここで中央監視制御装置10−1で生成された監視制御信号および受信された動作状態信号も、データサーバ50−1に記憶され、さらに中央監視制御装置10−2およびデータサーバ50−2に送信されることで、同期がとられる。
【0037】
この監視制御処理中に、A系信号伝送装置41−1〜41−4のいずれか、例えばA系信号伝送装置41−3で異常が発生するとこれが中央監視制御装置10−1で検知され(S2の「YES」)、監視制御信号および動作状態信号の伝送がB系伝送系統を利用するように切り替えられる(S3)。
【0038】
例えば、中央監視制御装置10−1から設備機器61に送信される監視制御信号は、中央監視制御装置10−1→B系信号伝送装置42−1→B系信号伝送装置42−3→B系信号処理装置22−1→B系信号伝送装置42−5→B系信号入出力装置32−1→設備機器61の経路で伝送され、設備機器61から中央監視制御装置10−1に送信される動作制御信号は、この逆の経路で伝送されるように切り替えられる。ここで中央監視制御装置10−1で生成された監視制御信号および受信された動作状態信号も、データサーバ50−1に記憶され、さらに中央監視制御装置10−2およびデータサーバ50−2に送信されることで、同期がとられる。
【0039】
また、中央監視制御装置10−1から設備機器62に送信される監視制御信号は、中央監視制御装置10−1→B系信号伝送装置42−1→B系信号伝送装置42−2→B系信号伝送装置42−4→B系信号処理装置22−2→B系信号伝送装置42−6→B系信号入出力装置32−2→設備機器62の経路で伝送され、設備機器62から中央監視制御装置10−1に送信される動作制御信号は、この逆の経路で伝送されるように切り替えられる。ここで中央監視制御装置10−1で生成された監視制御信号および受信された動作状態信号も、データサーバ50−1に記憶され、さらに中央監視制御装置10−2およびデータサーバ50−2に送信されることで、同期がとられる。
【0040】
次に、A系伝送系統の中のA系信号伝送装置41−1〜41−4のいずれかで発生した異常に対応するメンテナンス中にさらに、B系伝送系統の中のB系信号伝送装置42−1〜42−2のいずれかで異常が発生するとこれが中央監視制御装置10−1で検知され(S4の「YES」)、予め記憶された非常時接続情報に従って必要な非常時接続伝送媒体が接続状態にされる(S5)。
【0041】
例えば、ステップS3においてA系信号伝送装置41−3に異常が発生し、この異常に対応するメンテナンス中にB系信号伝送装置42−4に異常が発生すると、中央監視制御装置10−1と設備機器62との間の監視制御信号および動作状態信号の伝送が不能な状態となってしまう。
【0042】
そのため、中央監視制御装置10−1に記憶された非常時接続情報に基づいて選択された非常時接続伝送媒体72が接続状態にされることで、A系信号伝送装置41−2とB系信号伝送装置42−2との間に新たな伝送経路が構築され、これが利用されて中央監視制御装置10−1と設備機器62との間の監視制御信号および動作状態信号の伝送が可能になる(S6)。
【0043】
つまり、中央監視制御装置10−1から設備機器62に送信される監視制御信号は、新たな伝送経路を利用して、中央監視制御装置10−1→B系信号伝送装置42−1→B系信号伝送装置42−2→A系信号伝送装置41−2→A系信号伝送装置41−4→A系信号処理装置21−2→A系伝送装置41−6→A系信号入出力装置31−2→設備機器62の経路で伝送され、設備機器62から中央監視制御装置10−1に送信される動作制御信号は、この逆の経路で伝送されるように切り替えられる。ここで中央監視制御装置10−1で生成された監視制御信号および受信された動作状態信号も、データサーバ50−1に記憶され、さらに中央監視制御装置10−2およびデータサーバ50−2に送信されることで、同期がとられる。
【0044】
以上の本実施形態によれば、A系伝送系統の中のA系信号伝送装置41−1〜41−4のいずれかおよびB系伝送系統の中のB系信号伝送装置42−1〜42−2のいずれかに異常が発生したときに、正常なA系伝送系統のA系信号伝送装置のいずれかと正常なB系伝送系統のB系信号伝送装置のいずれかとの間の非常時接続伝送媒体を接続状態として新たな伝送経路を構築して監視制御信号や動作状態信号の伝送を行うことにより、効率良く高い信頼性で信号伝送路を冗長化することが可能になる。
【0045】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…監視制御システム
10−1、10−2…中央監視制御装置
21−1、21−2…A系信号処理装置
22−1、22−2…B系信号処理装置
31−1、31−2…A系信号入出力装置
32−1、32−2…B系信号入出力装置
41−1〜41−6…A系信号伝送装置
42−1〜42−6…B系信号伝送装置
50−1、50−2…データサーバ
61、62…設備機器
71〜74…非常時接続伝送媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視制御対象の複数の設備機器にそれぞれ接続された複数の第1系統信号伝送装置と、前記複数の設備機器の監視制御処理を行う中央監視制御装置に接続された第1系統信号伝送装置とが、リング状に接続されて構成された主伝送系統と、
前記複数の設備機器にそれぞれ接続された複数の第2系統信号伝送装置と、前記中央監視制御装置に接続された第2系統信号伝送装置とが、リング状に接続されて構成された予備伝送系統と、
前記第1系統信号伝送装置のいずれかと、前記第2系統信号伝送装置のいずれかとの間に設けられた非常時接続伝送媒体と、
を備え、
前記中央監視制御装置は、前記第1系統信号伝送装置のいずれかおよび前記第2系統信号伝送装置のいずれかに異常が発生したときに、正常な前記第1系統信号伝送装置のいずれかと正常な前記第2系統信号伝送装置のいずれかとの間の前記非常時接続伝送媒体を接続状態とする
ことを特徴とする監視制御システム。
【請求項2】
前記中央監視制御装置は、異常が発生した前記第1系統信号伝送装置と前記第2系統信号伝送装置との組み合わせごとの、接続状態にする前記非常時接続伝送媒体を示す非常時接続情報を予め記憶し、
前記第1系統信号伝送装置のいずれかおよび前記第2系統信号伝送装置のいずれかに異常が発生したときに、前記非常時接続情報に基づいて選択された非常時接続伝送媒体を、接続状態とする
ことを特徴とする請求項1に記載の監視制御システム。
【請求項3】
監視制御対象の複数の設備機器にそれぞれ接続された複数の第1系統信号伝送装置と、前記複数の設備機器の監視制御処理を行う中央監視制御装置に接続された第1系統信号伝送装置とが、リング状に接続されて構成された主伝送系統と、
前記複数の設備機器にそれぞれ接続された複数の第2系統信号伝送装置と、前記中央監視制御装置に接続された第2系統信号伝送装置とが、リング状に接続されて構成された予備伝送系統と、
前記第1系統信号伝送装置のいずれかと、前記第2系統信号伝送装置のいずれかとの間に設けられた非常時接続伝送媒体と、
を備えた監視制御システムが、
前記第1系統信号伝送装置のいずれかおよび前記第2系統信号伝送装置のいずれかに異常が発生したときに、正常な前記第1系統信号伝送装置のいずれかと正常な前記第2系統信号伝送装置のいずれかとの間の前記非常時接続伝送媒体を接続状態とする
ことを特徴とする信号伝送路冗長化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−147227(P2012−147227A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3800(P2011−3800)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】