説明

目的地予測装置及び目的地予測方法

【課題】頻度が少なくても定期的に発生する確率が高い目的地についても精度よく予測することができる目的地予測装置を提供する。
【解決手段】目的地予測装置は、自車両の過去の走行における出発地から到着地までの発着履歴を所定の走行履歴記憶部3に記憶しておき、記憶されている発着履歴に含まれる到着地毎の訪問間隔を訪問間隔算出部61によって算出し、算出された到着地毎の訪問間隔に基づいて、各到着地の定期性の有無を定期性有無判別部62によって判別し、定期性があるものと判別された到着地のうち、最終訪問時から現在までの経過時間と、訪問間隔算出部61によって算出された訪問間隔とが一致している到着地があった場合には、目的地予測部64により、その到着地を目的地として予測して利用者に提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の目的地を予測する目的地予測装置及び目的地予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の目的地を予測する技術として、エンジンのイグニッションスイッチがオン状態とされるのにともない、現在の自車両位置や曜日等の情報を検出し、所定の走行履歴記憶手段に蓄積されている過去の出発地、到着地、自車両位置、曜日等の履歴に基づいて、現在の自車両位置や曜日が同じ場合における到着地を抽出し、抽出された到着地の中から最も到着回数が多いものを目的地として予測するナビゲーション装置が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−292029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術においては、走行履歴の中から最も到着回数が多いものを目的地として予測するようにしているので、例えば月に1回美容院に行く等のように、曜日や時間帯等に依存せずに、頻度が少なくても定期的に発生する確率が高い目的地については予測することが困難であり、利用者に提供することが可能な目的地の予測精度が不十分である場合が生じていた。
【0004】
本発明は上述した実情に鑑みて提案されたものであり、その目的は定期的に発生する確率が高い目的地についても精度よく予測することができる目的地予測装置及び目的地予測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自車両の過去の走行における出発地から到着地までの発着履歴を所定の走行履歴記憶手段に記憶しておき、記憶されている発着履歴に含まれる到着地毎の訪問間隔を算出し、算出された到着地毎の訪問間隔に基づいて、各到着地の定期性の有無を判別し、定期性があるものと判別された到着地のうち、最終訪問時から現在までの経過時間と、算出された訪問間隔とが一致している到着地があった場合には、その到着地を目的地として予測して利用者に提示する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、頻度が少なくても定期的に発生する確率が高い行動についても検出することができるようになるため、かかる行動の目的地についても精度よく予測して利用者に提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態としての目的地予測装置について具体的に説明する。
【0008】
[目的地予測装置の構成]
本発明の実施形態として示す目的地予測装置は、図1に示すように、GPS(Global Positioning System)信号を受信するGPS信号受信部1と、自車両の運転の開始及び終了を検出する運転開始・終了検出部2と、自車両の過去の走行履歴を記憶する走行履歴記憶部3と、地図データを格納する地図データベース4と、施設情報を格納する施設情報データベース5と、当該目的地予測装置を統括的に制御する制御部6と、地図データ及び施設情報をはじめとする各種情報を表示する情報表示部7と、各種情報を入力する情報入力部8とを備える。
【0009】
GPS信号受信部1は、自車両の現在位置の他、日時、月日、曜日を特定するために、GPS衛星からGPS信号を受信する。GPS信号受信部1は、受信したGPS信号に基づく自車両の現在位置、日時、月日、曜日等の情報を制御部6に供給する。運転開始・終了検出部2は、イグニッションキーの状態を検出することにより、自車両の運転の開始及び終了を検出する。運転開始・終了検出部2は、運転の開始及び終了を検出すると、その旨を示す検出情報を制御部6に供給する。
【0010】
走行履歴記憶部3は、例えばRAM(Random Access Memory)等を用いて構成され、図2に示すように、運転開始日時・曜日、運転開始地点、及び、運転終了地点等、自車両の過去の走行における発着履歴とともに、図3に示すように、出発地及び到着地の名称と緯度経度を登録地点データベースとして記憶する。この走行履歴記憶部3に記憶された情報は、制御部6によって読み出される。
【0011】
地図データベース4及び施設情報データベース5は、それぞれ、例えば、キャッシュメモリ、メインメモリ、ハードディスク、CD、MD、DVD、光ディスク、又は、FDD等、一般的な記憶媒体を用いて構成され、自車両の経路案内を行う際に用いる道路情報(リンク情報)を含む地図データ及び施設情報(ノード情報)を格納する。これら地図データベース4及び施設情報データベース5に格納された地図データ及び施設情報は、それぞれ、制御部6によって読み出される。
【0012】
制御部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等、一般的な動作回路を組み合わせて構成され、GPS信号受信部1及び運転開始・終了検出部2から供給された情報や、走行履歴記憶部3、地図データベース4及び施設情報データベース5から読み出した情報に基づいて、当該目的地予測装置を統括的に制御する。なお、この制御部6の構成については、後述するものとする。
【0013】
情報表示部7は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイ等を用いて構成され、自車両の経路案内を行う際に、制御部6の制御のもとに、地図データベース4や施設情報データベース5に格納されている地図データ及び施設情報をはじめとする各種情報を表示し、運転者に目的地までの経路を提示する。
【0014】
情報入力部8は、例えば、タッチパネル、リモートコントローラ、機械式スイッチ、又は音声入力装置等の入力デバイスを用いて構成され、制御部6の制御のもとに、出力されたメッセージや提示されたリストに対して利用者が返答入力を行うために設けられる。この情報入力部8を介して入力された情報は、制御部6に供給される。
【0015】
[制御部の構成]
制御部6は、各到着地毎に訪問間隔を算出する訪問間隔算出部61と、各到着地の定期性の有無を判別する定期性有無判別部62と、走行履歴記憶部3に記憶された発着履歴を検索する発着履歴検索部63と、この発着履歴検索部63によって検索された発着履歴に含まれる到着地の中から目的地を予測する目的地予測部64と、運転開始・終了検出部2によって運転の開始及び終了を検出した際の地点の名称を検索する地点名称検索部65と、目的地までの経路を算出する経路算出部66とを有する。
【0016】
訪問間隔算出部61は、走行履歴記憶部3に記憶されている発着履歴に基づいて、各到着地毎に訪問間隔を算出する。訪問間隔算出部61は、算出した訪問間隔を示す情報を定期性有無判別部62及び目的地予測部64に供給する。定期性有無判別部62は、訪問間隔算出部61によって算出された各到着地毎の訪問間隔に基づいて、各到着地の定期性の有無を判別する。定期性有無判別部62は、定期性があるものと判別した到着地を示す情報を目的地予測部64に供給する。
【0017】
発着履歴検索部63は、GPS信号受信部1から供給された自車両の現在位置、日時、月日、曜日等の情報と、運転開始・終了検出部2によって運転開始が検出された際の出発位置とを検索条件として、その検索条件に合致する発着履歴を走行履歴記憶部3から検索する。発着履歴検索部63は、検索結果を示す情報を目的地予測部64に供給する。
【0018】
目的地予測部64は、発着履歴検索部63によって検索された発着履歴に含まれる到着地のうち、定期性有無判別部62によって定期性があるものと判別された到着地について、最終訪問時から現在までの経過時間と、訪問間隔算出部61によって算出された訪問間隔とを比較し、これら経過時間と訪問間隔とが略一致している到着地があった場合には、その到着地を目的地として予測する。目的地予測部64は、予測した目的地を示す情報を経路算出部66に供給する。
【0019】
地点名称検索部65は、運転開始・終了検出部2によって運転の開始及び終了が検出された際の地点が走行履歴記憶部3における登録地点データベース内に記憶されていない場合に、その地点の名称を運転の開始及び終了が検出された地点から検索する。地点名称検索部65は、検索した地点の名称のうち、情報入力部8を介して選択された名称を当該地点の名称として登録地点データベースに登録する。
【0020】
経路算出部66は、目的地予測部64によって目的地が予測されると、その目的地までの経路を算出する。経路算出部66は、算出した経路を示す情報を、情報表示部7を介して運転者に提示する。
【0021】
[目的地予測装置の動作]
このような目的地予測装置は、曜日や時間帯等のみならず、到着地の定期性も考慮して目的地を予測する。
【0022】
例えば図4に示すような発着履歴に基づいて、「12月22日(日)に自宅を出発」するときの目的地を予想する場合を考える。従来の目的地予測装置においては、かかる発着履歴に基づいて目的地を予想しようとした場合には、「出発地=自宅」且つ「曜日=日曜日」である到着地を検索すると、スーパーが10回、ペットショップが5回、会社が5回、美容院が4回となることから、最も訪問回数が多いスーパーを最も訪問する確率の高い目的地であると予測することになる。しかしながら、美容院を訪問する間隔を算出すると全て6週間となっており、また、最後に美容院を訪問してから12月22日までの経過時間もちょうど6週間であることを考慮すると、利用者は美容院を定期的に訪問していることがわかり、現在、最終訪問時からちょうど6週間経過していることから、美容院へ行く可能性が高いことがわかる。
【0023】
本発明の実施形態として示す目的地予測装置においては、従来の目的地予測装置では対応することができなかった、かかる曜日や時間帯とは異なる各到着地毎に固有の定期性を考慮した目的地予測を行う。
【0024】
[発着履歴記憶処理]
まず、走行履歴記憶部3に対する発着履歴記憶処理について説明する。
【0025】
目的地予測装置においては、先に図2に示したように、自車両の運転がある度に、運転開始日時・曜日、運転開始地点、及び、運転終了地点を発着履歴として走行履歴記憶部3に累積記憶させるとともに、図3に示したように、過去に走行を開始して終了した地点の緯度経度とそれに付与された地点名称とを登録地点データベースとして走行履歴記憶部3に累積記憶させる。
【0026】
また、目的地予測装置においては、登録地点データベースに記憶されていない地点での出発及び到着がなされた場合には、地点名称検索部65により、その地点の緯度経度に近い地点名称を施設情報データベース5から検索し、候補名称として情報表示部7を介して利用者に提示する。これに応じて、利用者は、リスト提示された候補名称の中から、情報入力部8を介して所望の地点の名称を選択する。これにより、目的地予測装置においては、情報入力部8を介して選択された名称を、新規地点の名称として地点名称検索部65によって登録地点データベースに登録することができる。
【0027】
目的地予測装置は、このようにして走行履歴記憶部3に対して発着履歴と登録地点データベースとを記憶させることにより、目的地予測を行うことが可能となる。具体的には、目的地予測装置においては、以下に示す定期性有無判別処理を行うことにより、発着履歴に含まれる各到着地の定期性の有無を判別し、その結果に基づいて、目的地予測処理を行う。
【0028】
[定期性有無判別処理]
具体的には、目的地予測装置は、図5に示すような一連の手順にしたがって、走行履歴記憶部3に記憶された発着履歴に含まれる各到着地の定期性の有無を判別する。
【0029】
まず、目的地予測装置において、訪問間隔算出部61は、図5に示すように、ステップS1において、登録地点データベースに地点が登録されているか否かを判別する。ここで、目的地予測装置は、登録されている地点がない場合には、そのまま一連の定期性有無判別処理を終了する。一方、目的地予測装置は、登録されている地点があった場合には、ステップS2において、訪問間隔算出部61により、登録地点データベースに登録されている地点のうち、まだ定期性有無の判別を行っていない1つの地点を選択する。
【0030】
続いて、訪問間隔算出部61は、ステップS3において、走行履歴記憶部3に記憶された発着履歴を参照し、ステップS2にて選択された地点に対して3回以上訪問しているか否かを判別する。なお、3回以上の訪問としているのは、訪問回数が2回以下である場合には、訪問間隔が1つしか算出されず、2つ以上の訪問間隔を比較することができないために定期性の判別を行うことができないためである。そこで、訪問間隔算出部61は、訪問回数の閾値として3回という下限を設けている。ただし、より高精度で定期性を判別する場合には、3回ではなく、4回以上の訪問回数を条件としてもよい。目的地予測装置は、3回以上訪問していない場合には、ステップS8へと処理を移行する一方で、3回以上訪問していた場合には、ステップS4へと処理を移行する。
【0031】
目的地予測装置は、ステップS4へと処理を移行すると、訪問間隔算出部61により、ステップS2にて選択された地点の訪問間隔を全て算出する。このとき、訪問間隔算出部61は、日数単位で算出するようにしてもよく、また、時間単位、分単位、秒単位で算出するようにしてもよい。
【0032】
続いて、目的地予測装置は、ステップS5において、訪問間隔算出部61により、ステップS4にて算出された訪問間隔を用いて、訪問間隔の平均値及び標準偏差を算出する。目的地予測装置は、ここで算出した標準偏差、すなわち、訪問間隔のばらつきの程度の大きさに基づいて、定期性の有無を判別する。
【0033】
すなわち、目的地予測装置は、ステップS6において、定期性有無判別部62により、ステップS5にて算出された標準偏差の大きさが2日以下であるか否かを判別し、2日よりも大きい場合には、ステップS8へと処理を移行する一方で、2日以下である場合には、ステップS7において、定期性があるものと判別する。なお、ここでは、標準偏差の上限を2日としているが、目的地予測装置においては、ばらつきが全くなく全ての訪問間隔が一致している場合にのみ、定期性があるものと判別するようにしてもよく、また、標準偏差の上限を訪問間隔の平均値の大きさに応じて変化させるようにしてもよい。例えば、目的地予測装置においては、訪問間隔の平均値が7日未満である場合には、定期性があるものと判別するための標準偏差を0日とし、訪問間隔の平均値が8日以上14日未満である場合には、定期性があるものと判別するための標準偏差を1日とし、訪問間隔の平均値が14日以上21日未満である場合には、定期性があるものと判別するための標準偏差を2日とし、訪問間隔の平均値が21日以上である場合には、定期性があるものと判別するための標準偏差を7日とする、といったように、標準偏差が平均値と比べて十分に小さい場合に、定期性があるものと判別するようにしてもよい。
【0034】
以上により、目的地予測装置は、ステップS2にて選択された地点についての定期性の有無を判別することができる。そして、目的地予測装置は、ステップS8において、まだ定期性の有無の判別を行っていない地点が登録地点データベースに地点が登録されているか否かを判別する。目的地予測装置は、定期性の有無の判別を行っていない地点がある場合には、ステップS2からの処理を繰り返す一方で、かかる地点がない場合には、一連の定期性有無判別処理を終了し、図6に示すような一連の手順にしたがって、定期性を利用した目的地予測処理を行う。
【0035】
[目的地予測処理]
まず、目的地予測装置は、図6に示すように、ステップS11において、運転開始・終了検出部2によってイグニッションキーが差し込まれたか否かを判別することにより、運転開始の有無を判別する。目的地予測装置は、イグニッションキーが差し込まれたのを検出するまで処理を繰り返し、イグニッションキーが差し込まれたのを検出すると、ステップS12において、GPS信号受信部1により、イグニッションキーが差し込まれた時点、すなわち、運転開始時点での自車両の現在位置(出発地)日時、月日、曜日等の情報を取得する。
【0036】
続いて、目的地予測装置は、ステップS13において、発着履歴検索部63により、ステップS12にて取得した出発地に近い登録地点名称を走行履歴記憶部3における登録地点データベースから検索し、「出発地がその登録地点名称」であることを検索条件として、走行履歴記憶部3に記憶されている発着履歴を検索する。
【0037】
そして、目的地予測装置は、ステップS14において、目的地予測部64により、ステップS13にて検索された発着履歴に含まれる各到着地の中に、先に図5を用いて説明した定期性有無判別処理にて定期性があるものと判別された地点があるか否かを判別する。
【0038】
ここで、目的地予測装置は、定期性があるものと判別された地点がなかった場合には、ステップS17へと処理を移行し、目的地予測部64により、最も訪問回数が多い地点を目的地であるものと判別し、ステップS18へと処理を移行する。
【0039】
一方、目的地予測装置は、定期性があるものと判別された地点がある場合には、ステップS15において、目的地予測部64により、ステップS14にて判別された定期性のある地点のそれぞれについて、各到着地への訪問がどの程度の確率で生じるのかを表す指標としての定期性評価値Pを算出する。具体的には、目的地予測部64は、以下のようにして定期性評価値Pを算出する。図7に、ある地点への最終訪問時を原点とした時間(日数)を横軸とし、当該地点への訪問が生じる確率を縦軸としたグラフを示す。また、図7中の関数f(t)は、以下の数式2で表される確率密度関数である。なお、数式2において、μは、ある地点Aの訪問間隔の平均値であり、σは、地点Aの訪問間隔の標準偏差である。また、tは、地点Aへの最終訪問時から現在までの経過時間である。
【数2】

【0040】
目的地予測部64は、かかる経過時間tと、地点Aへの訪問間隔の平均値μ及び標準偏差σによって表される確率密度関数f(t)とに基づいて、地点Aへの訪問が生じる確率、すなわち、定期性評価値Pを算出する。目的地予測部64は、このような方法により、定期性があるものと判別された全ての地点の定期性評価値Pを算出する。続いて、目的地予測装置は、ステップS16において、目的地予測部64により、ステップS15にて算出された定期性がある各到着地の定期性評価値Pのうち最も値が高いものを判別し、その定期性評価値Pに対応する地点を目的地であるものと判別する。
【0041】
なお、目的地予測部64は、定期性評価値Pが最も高い到着地を目的地として判別するのではなく、定期性評価値Pが高いものから順にリストとして情報表示部7を介して利用者に提示し、そのリストから当該利用者が選択した到着地を目的地として判別するようにしてもよい。また、目的地予測部64は、最終訪問時から現在までの経過時間tが訪問間隔の平均値μと一致している定期性がある地点を目的地であるものと判別するようにしてもよい。さらに、目的地予測部64は、最終訪問時から現在までの経過時間tと訪問間隔の平均値μとの差分が当該訪問間隔の標準偏差σ以内である場合に、当該到着地を目的地として判別するようにしてもよい。
【0042】
さらにまた、目的地予測部64は、定期性評価値Pを求めるために確率密度関数f(t)を用いているが、その全体を対象とするのではなく、いわゆる3シグマ処理を行うことによって確率が低いものを予め対象外とするようにしてもよい。すなわち、目的地予測部64は、地点Aへの最終訪問時から現在までの経過時間tと訪問間隔の平均値μの差が標準偏差σの3倍を超えた場合には、その確率が非常に低いことから、定期性評価値Pを0と算出するようにしてもよい。また、目的地予測部64は、同じ定期性評価値Pが算出された場合には、訪問回数が多い到着地を目的地として判別すればよい。
【0043】
目的地予測装置は、このようにして目的地を予測して設定すると、ステップS18において、経路算出部66により、地図データベース4を用いて現在位置から設定された目的地までの経路を算出し、ステップS19において、算出した経路情報を、情報表示部7を介して利用者に提示し、一連の目的地予測処理を終了する。
【0044】
目的地予測装置は、このような一連の手順にしたがって、走行履歴記憶部3に記憶された発着履歴に含まれる各到着地の定期性の有無を判別し、その定期性を指標とすることにより、到着地の優先度を上げて目的地を予測することができる。
【0045】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態として示した目的地予測装置においては、自車両の過去の走行における出発地から到着地までの発着履歴を所定の走行履歴記憶部3に記憶しておき、記憶されている発着履歴に含まれる到着地毎の訪問間隔を訪問間隔算出部61によって算出し、算出された到着地毎の訪問間隔に基づいて、各到着地の定期性の有無を定期性有無判別部62によって判別し、定期性があるものと判別された到着地のうち、最終訪問時から現在までの経過時間と、訪問間隔算出部61によって算出された訪問間隔とが略一致している到着地があった場合には、目的地予測部64により、その到着地を目的地として予測して利用者に提示する。これにより、この目的地予測装置においては、頻度が少なくても定期的に発生する確率が高い行動についても検出することができるようになるため、かかる行動の目的地についても精度よく予測して利用者に提示することができる。具体的には、この目的地予測装置においては、定期性有無判別部62により、訪問間隔算出部61によって算出された任意の到着地についての訪問間隔が全て一致している場合に定期性があるものと判別することにより、頻度が少なくても定期的に発生する確率が高い目的地を精度よく予測することができる。
【0046】
また、この目的地予測装置においては、定期性有無判別部62により、訪問間隔算出部61によって算出された任意の到着地についての訪問間隔の標準偏差σを算出し、算出した標準偏差σが当該訪問間隔の平均値μと比べて十分に小さい場合に定期性があるものと判別することにより、訪問間隔にばらつきがあった場合であっても、そのばらつきの程度が十分に小さいか否かの判別を行うことができ、定期的に発生する確率が高い目的地をより高精度に予測することができる。
【0047】
さらに、この目的地予測装置においては、目的地予測部64により、定期性有無判別部62によって定期性があるものと判別された任意の到着地への最終訪問時から現在までの経過時間tと、訪問間隔算出部61によって算出された訪問間隔の平均値μとを比較し、その差分が当該訪問間隔の標準偏差σ以内である場合に、当該到着地を目的地として予測することにより、訪問間隔にばらつきがあった場合であっても、そのばらつきの程度が十分に小さいか否かの判別を行うことができ、定期的に発生する確率が高い目的地をより高精度に予測することができる。
【0048】
さらにまた、この目的地予測装置においては、目的地予測部64により、定期性有無判別部62によって定期性があるものと判別された到着地毎に、訪問間隔算出部61によって算出された訪問間隔の平均値μと標準偏差σとを用いて上式(1)によって表される当該到着地への最終訪問時を原点とした確率密度関数f(t)と、当該到着地への最終訪問時から現在までの経過時間tとに基づいて、当該到着地への訪問が生じる確率である定期性評価値Pを算出し、算出した定期性評価値Pに基づいて目的地を予測することにより、訪問間隔にばらつきがあった場合であっても、そのばらつきの程度が十分に小さいか否かの判別を行うことができ、また、そのような到着地が複数あった場合であっても、より訪問する確率が高い目的地を高精度に予測することができる。
【0049】
また、この目的地予測装置においては、目的地予測部64により、定期性有無判別部62によって定期性があるものと判別された到着地のうち、定期性評価値Pが最も高い到着地を目的地として予測することにより、訪問間隔にばらつきがある到着地が複数あった場合であっても、より訪問する確率が最も高い目的地を高精度に予測することができる。さらに、この目的地予測装置においては、目的地予測部64により、定期性有無判別部62によって定期性があるものと判別された到着地のうち、定期性評価値Pが高い到着地から順にリストとして利用者に提示し、そのリストから当該利用者が選択した到着地を目的地とすることにより、訪問間隔にばらつきがある到着地が複数あった場合であっても、利用者の意図を反映した目的地を高精度に予測することができる。
【0050】
さらにまた、この目的地予測装置においては、目的地予測部64により、定期性有無判別部62によって定期性があるものと判別された到着地のうち、最終訪問時から現在までの経過時間tが訪問間隔の平均値μと一致している到着地を目的地として予測することにより、訪問間隔にばらつきがあった場合であっても、そのばらつきの程度が十分に小さいか否かの判別を行うことができ、定期的に発生する確率が高い目的地をより高精度に予測することができる。
【0051】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態として示す目的地予測装置の構成について示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態として示す目的地予測装置における走行履歴記憶部に記憶される発着履歴の具体例について示す図である。
【図3】本発明の実施形態として示す目的地予測装置における走行履歴記憶部に記憶される登録地点データベースの具体例について示す図である。
【図4】本発明の実施形態として示す目的地予測装置における走行履歴記憶部に記憶される発着履歴の具体例について示す図であり、従来の目的地予測装置との差異について説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態として示す目的地予測装置において、定期性有無判別処理を行う際の一連の手順について示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態として示す目的地予測装置において、目的地予測処理を行う際の一連の手順について示すフローチャートである。
【図7】定期性評価値の算出方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0053】
1 GPS信号受信部
2 運転開始・終了検出部
3 走行履歴記憶部
4 地図データベース
5 施設情報データベース
6 制御部
7 情報表示部
8 情報入力部
61 訪問間隔算出部
62 定期性有無判別部
63 発着履歴検索部
64 目的地予測部
65 地点名称検索部
66 経路算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の過去の走行における出発地から到着地までの発着履歴を記憶する走行履歴記憶手段と、
前記走行履歴記憶手段に記憶されている発着履歴に含まれる到着地毎の訪問間隔を算出する訪問間隔算出手段と、
前記訪問間隔算出手段によって算出された到着地毎の訪問間隔に基づいて、各到着地の定期性の有無を判別する定期性有無判別手段と、
前記定期性有無判別手段によって定期性があるものと判別された到着地のうち、最終訪問時から現在までの経過時間と、前記訪問間隔算出手段によって算出された訪問間隔とが一致している到着地があった場合、その到着地を目的地として予測して利用者に提示する目的地予測手段と
を備えることを特徴とする目的地予測装置。
【請求項2】
請求項1に記載の目的地予測装置において、
前記定期性有無判別手段は、前記訪問間隔算出手段によって算出された任意の到着地についての訪問間隔が全て一致している場合に定期性があるものと判別することを特徴とする目的地予測装置。
【請求項3】
請求項1に記載の目的地予測装置において、
前記定期性有無判別手段は、前記訪問間隔算出手段によって算出された任意の到着地についての訪問間隔の標準偏差を算出し、算出した標準偏差が当該訪問間隔の平均値と比べて十分に小さい場合に定期性があるものと判別することを特徴とする目的地予測装置。
【請求項4】
請求項3に記載の目的地予測装置において、
前記目的地予測手段は、前記定期性有無判別手段によって定期性があるものと判別された任意の到着地への最終訪問時から現在までの経過時間と、前記訪問間隔算出手段によって算出された訪問間隔の平均値とを比較し、その差分が当該訪問間隔の標準偏差以内である場合に、当該到着地を目的地として予測することを特徴とする目的地予測装置。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載の目的地予測装置において、
前記目的地予測手段は、前記定期性有無判別手段によって定期性があるものと判別された到着地毎に、前記訪問間隔算出手段によって算出された訪問間隔の平均値μと標準偏差σとを用いて下記数式によって表される当該到着地への最終訪問時を原点とした確率密度関数f(t)と、当該到着地への最終訪問時から現在までの経過時間tとに基づいて、当該到着地への訪問が生じる確率である定期性評価値を算出し、算出した定期性評価値に基づいて目的地を予測することを特徴とする目的地予測装置。
【数1】

【請求項6】
請求項5に記載の目的地予測装置において、
前記目的地予測手段は、前記定期性有無判別手段によって定期性があるものと判別された到着地のうち、前記定期性評価値が最も高い到着地を目的地として予測することを特徴とする目的地予測装置。
【請求項7】
請求項5に記載の目的地予測装置において、
前記目的地予測手段は、前記定期性有無判別手段によって定期性があるものと判別された到着地のうち、前記定期性評価値が高い到着地から順にリストとして利用者に提示し、前記リストから当該利用者が選択した到着地を目的地とすることを特徴とする目的地予測装置。
【請求項8】
請求項5に記載の目的地予測装置において、
前記目的地予測手段は、前記定期性有無判別手段によって定期性があるものと判別された到着地のうち、最終訪問時から現在までの経過時間tが訪問間隔の平均値μと一致している到着地を目的地として予測することを特徴とする目的地予測装置。
【請求項9】
自車両の過去の走行における出発地から到着地までの発着履歴を所定の走行履歴記憶手段に記憶する走行履歴記憶工程と、
前記走行履歴記憶手段に記憶されている発着履歴に含まれる到着地毎の訪問間隔を算出する訪問間隔算出工程と、
前記訪問間隔算出工程にて算出された到着地毎の訪問間隔に基づいて、各到着地の定期性の有無を判別する定期性有無判別工程と、
前記定期性有無判別工程にて定期性があるものと判別された到着地のうち、最終訪問時から現在までの経過時間と、前記訪問間隔算出工程にて算出された訪問間隔とが一致している到着地があった場合、その到着地を目的地として予測して利用者に提示する目的地予測工程と
を有することを特徴とする目的地予測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−19631(P2010−19631A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179205(P2008−179205)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】