説明

直立したナノワイヤ構造を有するLED及びその製造方法

本発明は、発光ダイオード(LED)に関する。特に本発明は、ナノワイヤを活性部分として有するLEDに関する。本発明にかかるナノ構造のLEDは、基板と、該基板から突出した直立したナノワイヤとを含む。活性領域(120)に光を生成する能力を与えるpn接合は、この構造内に存在する。前記ナノワイヤ(110)、または、前記ナノワイヤから構成される構造は、前記活性領域で生成された光の少なくとも一部を、前記ナノワイヤ(110)により与えられる方向に向ける導波管(116)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード、即ちLEDに関する。特に、本発明は、ナノワイヤを有するLEDに関する。
【背景技術】
【0002】
今日普及しているタイプの発光ダイオード(LED)は、プレーナー技術の上に成り立っている。PN接合を基板上に複数の層として構成することで、デバイスを基本的に水平にすることができる。光生成再結合は、これらの層のサブセットにおいて起こる。半導体層は、空気の屈折率よりも実質的に高い屈折率を有するため、生成された光の相当量が層内で反射されてしまい、デバイスの有効な発光に寄与しない。実際、層はLEDの水平面における導光体のようにふるまう。デバイス内に閉じこめられたLEDの光の影響を緩和し、半導体層から効率的に光を抽出するための対策が提案されている。このような対策は、部分が、水平面に対して様々な角度をとるように、表面を変えることを含む。同様のアプローチが欧州特許公開第1369935号に提案されており、それには、光を拡散するため、または、光を吸収して異なる波長の光を生成するために、ナノサイズの粒子がLEDデバイスに備えられている。加えて、プレーナー技術は、以下に更に記述するように、最小化及び適した素材の選択という点において、制約を加えている。
【0003】
ナノスケール技術の向上、及び、特に、ナノワイヤを製造する能力は、プレーナー技術ではできなかった、構造を設計して素材を組み合わせる可能性を開いた。この発展の基の1つは、ナノワイヤの1D特性が、プレーナー技術で作られたデバイスにおける異素材間の格子整合の必要性を無くすことを可能にしたことである。例えば、InPのナノワイヤは、InAsまたはSi上で、欠陥無く成長することができることがこれまでに示され、用いられている。Samuelsonらによる米国特許公開第2004007546号では、例えば、ナノワイヤLED等、ナノワイヤ構造に基づく複数のデバイスが開示されている。これらのLEDは、量子閉じ込め効果を与える内部ヘテロ構造を有する。
【0004】
米国特許公開第20030168964号は、ナノワイヤの下端にある導電性の透明な基板と、上端にある透明なカバー基板との間にまとまって搭載されたLEDとして動作する、複数のナノワイヤの部品を開示しており、各個別のナノワイヤは、P型、N型、及び発光層の構造を有する。ナノワイヤは、導電性の透明な基板を通して発光するように構成されていると言われている。
【0005】
他のナノワイヤLEDもこれまでに報告されている。Hirumaらは、垂直なGaAsナノワイヤpnLEDを製造した。Haraguchiらによる「量子結晶に形成されるGaAsのpn接合」Appl. Phys. Lett. 60 (6) 1992に記載されているように、ナノワイヤは、SOGに埋め込まれ、Au/Ge/Niトップコンタクトにより覆われている。これらのデバイスは、室温での電気冷光を示した。GaNベースのナノワイヤLEDはQuianらによる「Core/Multishell Nanowire Heterostrucrure as Multicolor, High-Efficiency Light-Emitting Diodes」に記載されてようにして、製造することができる。
【発明の概要】
【0006】
この技術において、LEDを構成するためにナノワイヤを用いることができることは示されている。工業生産方法に適した効率的なデバイスを提供するために、更なる改良が求められている。
【0007】
本発明の目的は、そのような従来技術のデバイス及び方法の欠点を克服する為に、ナノ構造のLED及びその製造方法を提供することである。これは、請求項1に定義されたデバイス及び請求項29に定義された方法により達成することができる。
【0008】
本発明にかかるナノ構造のLEDは、基板と、基板から突出した、直立したナノワイヤとを含む。光を生成する活性領域を生じさせるpn接合は、使用中の構造内にある。ナノワイヤ、ナノワイヤの一部、またはナノワイヤに関連した構造は、活性領域で生成された光の少なくとも一部を、ナノワイヤにより与えられる方向に向かわせる導光体を構成する。
【0009】
ナノ構造のLEDは、ナノワイヤにエピタキシャル接続された体積要素を更に有していても良い。前記体積要素は、典型的には、ナノワイヤの内部または近傍に、活性領域を形成するために、ナノワイヤ自身をドーピングする必要なく、高ドーピング度を提供するように構成されている。
【0010】
導波管の導波特性は、様々な方法で向上させることができる。導波管は、第1の有効屈折率nwを有し、導波管の少なくとも一部を囲む素材は、第2の有効屈折率ncを有し、第1の屈折率記第2の屈折率よりも大きくすることで、nw>nc、良好な導波特性を導波管に持たせることができる。導波特性は、光学的にアクティブな被膜層を導波管に用いることで、更に向上させることができる。
【0011】
本発明のおかげで、生成された光の大部分を利用することができるため、効率的なLEDを提供することができる。ナノワイヤを、生成された光が表面から出て行くように方向付ける導波管として用いることにより、この少なくとも一部を達成することができる。本発明にかかるナノ構造のLEDは、大量生産に良く適しており、記述した方法は工業的な利用に調整することができる。
【0012】
導波管としてナノワイヤの利用することで、光を適切に定義された方向に導くことができる。ファイバーオプティクスの分野のコンセプトを用いることで、用途に応じて、光ビームの焦点を合わせたり、散乱したりすることができる。
【0013】
ナノワイヤ技術は、従来のバルク層技術では不可能だった、素材の選択及び素材の組み合わせを可能性にする。これは、本発明にかかるナノ構造のLEDにおいて、従来技術では達成できなかった、例えば、紫や紫外線といった波長領域の光を生成するLEDを提供するために用いることができる。
【0014】
本発明にかかるデザインにより、ヘテロ構造及びナノワイヤ内に異なるドーピングの領域を含めることができるため、電気的な及び/または光学的特性の最適化を容易にすることができる。
【0015】
本発明の実施形態は従属請求項により定義されている。本発明の他の目的、利点、及び新規な特徴は、添付の図面及び請求項を合わせて考慮することで、以下に示す本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】、
【図1b】図1a〜bは、本発明に係るナノ構造のLEDの実施形態を簡略的に示す図である。
【図2】図2は、本発明に係るナノ構造のLEDのナノワイヤの導波特性を概略的に示す図である。
【図3a】、
【図3b】図3a〜bは、本発明に係るナノ構造のLEDに反射層を用いた場合を概略的に示す図である。
【図4】図4は、本発明に係るナノ構造のLEDの一実施形態を概略的に示す図である。
【図5】図5は、本発明に係るナノ構造のLEDの一実施形態を概略的に示す図である。
【図6】図6は、本発明に係るナノ構造のLEDの一実施形態を概略的に示す図である。
【図7】図7は、本発明に係るナノ構造のLEDの一実施形態を概略的に示す図である。
【図8】図8は、本発明に係るナノ構造のLEDの一実施形態を概略的に示す図である。
【図9】図9は、本発明に係るナノ構造のLEDの一実施形態を概略的に示す図である。
【図10】図10は、本発明にかかる複数のナノ構造のLEDのアセンブリを概略的に示す図である。
【図11】図11は、複数のナノ構造のLEDのアセンブリを、反射面と共に概略的に示す図である。
【図12】図12は、本発明にかかるプレーナー発光構造上にナノワイヤを有するナノ構造のLEDの一実施形態を概略的に示す図である。
【図13】図13は、本発明に係る方法における基本的な生成ステップを示す図である。
【図14】図14は、LEDナノ構造を概略的に示す図である。
【図15a】図15aは、図14におけるナノ構造のLEDのSEM画像を表す図である。
【図15b】図15bは、アクティブLEDナノ構造の画像を表す図である。
【図16】図16は、第1のMOVPEステップ後の、本発明のナノワイヤ構造のSEM画像を表す図である。
【図17】図17a〜cは、図14及び図16係るナノワイヤ及びLEDナノ構造の光ルミネッセンスのグラフである。
【図18】図18は、a)GaP及びSi上で成長したGaAsLEDの光ルミネッセンスと電力の依存関係を示し、b)80mAでのGaP及びSiベースのLEDナノ構造からのELスペクトルを示す図である。
【図19】図19a〜bは、NH3フローレート3.0sccmで成長したサンプルのSEM画像を表す図である。
【図20】図20a〜bは、NH3フローレート1.0sccmで成長したサンプルのSEM画像を表す図である。
【図21】図21a〜bは、NH3フローレート0.5sccmで成長したサンプルのSEM画像を表す図である
【図22】図22は、NH3フローレート0.2sccmで成長したサンプルのSEM画像を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
本発明のナノ構造の発光ダイオードは、直立したナノワイヤを有する。半導体基板上でナノワイヤを成長させる適切な方法は、米国特許公開第2003010244号に記載されている。ヘテロ構造を有するエピタキシャル成長したナノワイヤを提供する方法は、米国特許公開第20040075464号に記載されている。
【0019】
この出願の目的のために、直立したナノワイヤは、基板からいくらかの角度を持って突出したナノワイヤと解釈されるべきである。直立したナノワイヤは、例えば、基板からエピタキシャル成長する。基板と成す角度は、典型的には基板及びナノワイヤに含まれる素材、及び、基板の表面,及び成長条件によって変わる。これらのパラメータを制御することで、例えば、垂直方向等の一方向や、限られた1組の方向を指す、ナノワイヤを製造することができる。例えば、ナノワイヤ及び基板が、周期表のコラム第3族、第5族、第4族の元素から成る、亜鉛鉱及びダイアモンド半導体でできている場合、そのようなナノワイヤは、[111]方向に成長することが可能で、どの{111}基板の表面に対しても垂直な方向に成長させることができる。表面に対する法線とナノワイヤの軸方向とが成す角度として与えられる他の方向は、70,53°{111}、54,73°{100}、35,27°{110}、そして90°{110}を含む。従って、ナノワイヤは1つ、または限られたセットの方向を定義する。
【0020】
本発明によれば、ナノ構造LEDのナノワイヤ、ナノワイヤの一部、またはナノワイヤから成る構造を、ナノ構造のLEDにより生成された光の少なくとも一部を、直立したナノワイヤにより与えられる方向に導く導波管として用いる。理想的な導波ナノワイヤLED構造は、コアよりも低い屈折率を有する、1以上の周辺被膜によって覆われた高屈折率コアを含む。構造は、円対称または略円対称である。円対称構造の光生成導波はファイバーオプティクスの応用でよく知られており、希土類が添加されたファイバーアンプ及びレーザーの分野で、多くの類似物を作ることができる。しかしながら、違いの1つは、説明したナノワイヤLED構造が電気励起と見なすことができるのに対し、ファイバーアンプは、光励起であることである。1つのよく知られた形状の長所は、所謂、開口数NAで、NA = √(n12 - n22)であり、n1 及び n2は、それぞれ、コア及び被膜の屈折率である。NAは、導波管によって捕らえられた光の角度によって決まる。導波管のコア内で生成された光では、捕捉角度φは、n1 - cos(φ) = n2として求めることができる。NA及び捕捉した光の角度は、新しいLED構造の最適化において、重要なパラメータである。
【0021】
第3族から第5族の半導体コア素材の典型的な値は、2.5〜3.5の範囲の屈折率である。1.4〜2.0の屈折率を有するSiO2またはSiNなどのガラスタイプの被膜素材と組み合わせた場合、捕捉角度は65度にもなる。捕捉角度65度は、生成された光の75%まで、構造により捕えて、(両方向に)導光することが可能であることを意味する。
【0022】
光抽出の最適化において、構造からの光抽出を最適化するために、ナノワイヤ構造に沿って、NAが変化することを考慮しなければならない。一般的に、光の生成が出口位置から最も離れたところで起きる場合に、NAが最も高くなるようにすることが理想的である。これにより、捕捉され、出口に向けて導光された光を最大にすることができる。反対に、構造の出口端に近いほど、生成された光が任意の方向に放射し、放射光のほとんどが構造の最上部及びその側面にぶつかって、射出するため、NAは小さくすることができる。構造の最上部において低NAを有することで、光の捕捉と、構造内の下方向への導光も最小になるが、これは、リフレクタが構造の底に挿入されていない限り、理想的ではない。低NAは第3族から第5族のナノワイヤのコアを、少し低い屈折率を有する異なる構成の別の第3族から第5族の被膜で覆うことにより得ることができる。.
【0023】
本発明におけるナノ構造のLED100を図1aに概略的に示す。LED100は、基板105及び、基板から所定角度θでエピタキシャル成長したナノワイヤ110とを含む。ナノワイヤの一部は、体積要素115に囲まれている。体積要素115は、ナノワイヤ110にエピタキシャル接続されていることが好ましい。ナノワイヤ110の部分ナノワイヤは、生成された光の少なくとも一部を、ナノワイヤの延びた方向により与えられる通常方向に向ける導波部として動作するように構成され、以下、導波管116と呼ぶ。ダイオード機能に必要なpn接合は、ナノワイヤ110と体積要素115との組み合わせにより構成される。体積要素は、高濃度のドーピングを提供するため、ナノワイヤ110への直接ドーピング無しに、または少なくともナノワイヤ110の直接ドーピングを変えることなく、pn接合を形成することができる。このことは、1D構造のドーピングが、大規模製造では技術的に難しく、コストもかかるため、有利である。体積要素115の機能及び、ナノワイヤ110と体積要素115との相互作用について、以下にさらに説明する。コンタクト125は体積要素115上、例えば最上部、または、周辺外面の包被構成(図示)に備えられている。基板105及び直立した構造の一部は、図示するような薄膜または、ナノ構造のLEDの周囲の空間を埋める素材としてのカバー層107により覆われる。
【0024】
ナノワイヤ110は、典型的には50 nmから500 nm程度の直径を有し、体積要素は500 nmから1000 nm程度の直径を有する。つまり、ナノワイヤを包む体積要素の一部について、厚みが200 nm程度である。ナノワイヤの導波管部116の長さは、典型的且つ好ましくは、1から10 μm程度である。体積要素の長さは、典型的且つ好ましくは、1から5 μm程度である。体積要素の寸法は、例えば、ドーピングの許容という点において、バルク素材に一般的に関連し、予測できるような特性でなければならない。150 nmを超える圧さの、例えばInGaP:Siの体積要素は、許容できるドーピングの受容を示してきた。実際の数字と、互いに関連した実際の部品数との両方において、寸法は、特定の基準を最適化し、素材の異なる組み合わせに適合するように変更することができる。
【0025】
pn接合は、ナノワイヤに構成された活性領域120またはその近辺を構成し、そこで光が生成される。なお、図1aにおける活性領域120の位置は、これに限定されるものではない。図2は、導波管部116の導波特性を示す。ナノ構造LEDの異なる部品の素材は、ナノワイヤが周辺素材それぞれに対して良好な導光特性を有するように選択される。即ち、ナノワイヤ110における素材の屈折率が周辺素材の屈折率よりも高くなければならない。ナノワイヤ110が第1の屈折率nwを有し、導波管部116のナノワイヤを囲む素材、典型的にはカバー層107が第2の屈折率ncを有し、体積要素が第3の屈折率nVEを有する場合、nw>nc且つnw>nVEとなる。ナノ構造のLEDの典型的な値は、nw≒3、nc≒1.5、nEV≒3である。
【0026】
ナノワイヤ110には、1以上の被膜層が備えられる。第1の被膜層112は、ナノワイヤの表面特性を向上させるために導入され、例えば、GaAsのナノワイヤが用いられた場合、GaInPの被膜層112を追加することで、特性が向上することが示されてきた。さらに、例えば、光学的な被膜層113等の被膜層を、特に、ナノワイヤ110の導光特性を向上させるためにファイバーオプティクスの分野で確立されているような方法で導入しても良い。光学的な被膜層113は、典型的には、ナノワイヤの屈折率と、周辺素材の屈折率との間の屈折率を有する。または、被膜層113は、特定の場合に光透過性を向上することが示されている、徐々に変化する屈折率を有する。光学的な被膜層113が用いられた場合、ナノワイヤの屈折率nwにより、ナノワイヤと被膜層の両方の有効屈折率が決まる。
【0027】
適切に定められた直径を有するナノワイヤを成長させる能力は、上述した文献及び以下に例示するように、本発明の一実施形態よれば、ナノ構造のLED100により生成される光の波長に関してナノワイヤ110または少なくとも導波管116の導光特性を最適化するために用いられる。よく知られているように、LEDの光生成の基本である再結合処理は、素材の特性に応じて、狭い波長帯域の光を生成する。実施形態では、ナノワイヤ110の直径は、生成された光の波長に好適に対応するように選択する。好ましくは、ナノワイヤ110の寸法は、生成された光の特定の波長について最適化された均一な光共振器が、ナノワイヤに沿って提供されるような寸法である。コアナノワイヤは光を捕らえるのに充分な幅でなければならない。経験則では、λを生成された光の波長、nwをナノワイヤ110の屈折率とすると、直径はλ/2nwより大きくなければならない。
【0028】
可視領域の光を生成するように構成されたナノ構造のLEDでは、ナノワイヤの導波管の直径は、ナノワイヤを有効な導波管とするためには、好ましくは、80nmより大きくなければならない。赤外線及び近赤外線では、110 nmを超える直径があれば充分である。ナノワイヤの直径の好ましいおおよその上限は成長の制約により与えられ、500 nm程度である。ナノワイヤ110の長さは、典型的且つ好ましくは、1〜10 μm程度であり、活性領域120に充分な体積を提供することができると同時に、内部吸光を起こしてしまうような不必要な長さではない。
【0029】
図1bは、体積要素115が貝殻のような構造の複数の層117、118を有する、本発明の実施形態を示す。複数層はp領域またはn領域を提供するドーピング層117と、動作時に活性領域120を含むウェル層118とを含む。または、ウェルを複数のサブ層で構成しても良い。従って、本実施の形態では、活性領域120は、まず、ナノワイヤ110の半径方向の外側にある。本実施の形態によれば、上述したように、導波管116を、貝殻のような構造の層117及び118と、導波を促進させる特性を有する任意の更なる被膜層119により構成することができる。ナノワイヤ110は、典型的には、導波管116の一部である。または、導波を貝殻のような構造に制限することも可能である。.
【0030】
以下の本発明の異なる実施形態では、本質的に、図1aを参照して説明したデザインを表す。当業者にとって明らかであるように、異なる実施形態は、図1bを参照して説明した貝殻のような構造に相当するデザインに、マイナーな調整のみを加えたものにも関連している。
【0031】
一実施形態において、反射層108は、図3a〜bでは基板105上に(図3a)、または、カバー層107が用いられる場合には、その上(図3b)に構成される。反射層の目的は、ナノ構造のLEDから下方向に放射される光を反射することである。反射層108は、好ましくは、例えばAlGaS/GaAsまたはGaN/AlGaNの反復層を含む複数層構造の形状、またはメタルフィルムとして提供される。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、図4に示すように、反射層108は、導波管116、またはナノワイヤ/導波管/被膜の組み合わせの一部の下に続くように配置されており、そのため、上にあるナノワイヤ/被膜よりも細い直径の軸113が、基板近くに形成される。そのような軸を生成する方法を以下に説明する。軸113の直径が光の波長よりも充分に小さい場合、方向が決められた光のモードの大部分が導波管の外に出ることで、導波管の細い部分を囲む反射層108により充分に反射することができるようになる。反射層108は、ナノ構造のLEDに対して垂直か、または反射層108に当たった光の大部分が上方向に反射するように設計することができる。90°以外の角度の構成で層及び導波管を製作することにより、光を導波管と異なる方向に向けることができる。そのような特殊ケースは、ナノワイヤが基板から90°ではない角度で成長したときに生じる。導波管116、またはナノワイヤ+被膜が第1の有効な屈折率nwを有し、反射層が第2の有効な屈折率nsを有し、nw>ncである場合、ナノワイヤと反射層が為す角度は、全反射を達成するように選択される。
【0033】
導波管116の下端における反射を得るための別のアプローチは、反射層109を、図5に示すように、ナノワイヤの下の基板に配置することである。反射層は、例えば、この技術では、高い反射表面を生じさせることが知られている、上述した多層構造を有する。更に別の例では、図6に示すように、導波管116内に反射手段111を導入する。そのような反射手段は、ナノワイヤの成長過程で提供される多層構造であり、多層構造は例えば、SiNx/SiOx(絶縁膜)またはGaAs/AlGaAs(半導体)の反復層を含む。ナノ構造のLEDがナノワイヤの最上部から主に発光する場合、反射手段は、活性領域の下、例えば、図示したように基板近くに配置されることが好ましい。または、フリップチップ構造が用いられ、光が導波管116の下部から主に出る場合には、反射手段111を活性領域の上に配置することが好ましい。
【0034】
さらなる実施形態において、図7に示すように、生成された光の大部分がナノワイヤ110の導波管116または導波管116により、基板105を通して下方向に向けられる。光は、基板の厚み全体を通るか、または、基板の厚みを減らす為に、ナノワイヤ110の基部の下に切り欠き部130を基板に設けることにより、基板における光の散乱または吸収を減らす。基板は、透明な素材で作ることが好ましい。または、ナノ構造のLEDを基板から撤去してもよい。この場合、ラップコンタクトにより、ナノワイヤを下端で接続することができる。体積要素115の外側の表面の一部または好ましくは全部を、導波管116を通る生成された光の放射を増やす反射層135で覆っても良い。例えば金属により構成された反射層は、コンタクトとしても用いることができる。ナノワイヤ110及び基板の一部を、SiO2の保護層で覆うようにしても良い。
【0035】
図8に示す実施形態において、体積要素815を散乱素子としても良く、その場合、広い角度に基本的に均一に、光の放射を分布させることができる。そのようなデバイスは、均一な照明が必要とされる、照明目的によく適している。活性領域120を、ナノワイヤ内に構成してもよいが、体積要素内や、図示するようにナノワイヤ110の上端の上、または、ナノワイヤの半径方向の外、及びその上に構成しても良い。ナノワイヤ110は、光を上に方向修正するために、その下端に、例えば、ナノワイヤ内の反射手段111等、上述した反射手段のいくつかを備えることが好ましい。体積要素の幾何図形的配置を、光を更に散乱するようにデザインすることができる。散乱は、ナノワイヤ110の導波管と体積との間の接合部、更に、体積要素115の上部境界により形成されるエッジで起こる。体積要素の高さ及び幅は、エッジが散乱光の角度を更に広げる様に選択される。
【0036】
ナノワイヤLEDの導波特性は、望ましい放射パターンを提供する為に、成形され、ある方向へ導かれた、集光され、且つ、方向が合わせられたビームを提供する。これは、出口インターフェースをレンズのような形にし、先に説明した変数NA方法を用いることにより実現することができる。一般的に、より広い放射パターンを望む場合、出口に近いNAを、出口表面から幾らか離れたところで、徐々にまたは急激に小さい値に変えなければならない。狭い放射パターンを望む場合、フォーカス凹レンズ状の出口表面とするか、または/及び、出口に近いナノワイヤLEDの最上部において、NAをできるだけ高い値に保つことにより、実現することができる。コアナノワイヤの直径もまた、放射パターンの成形において、重要な役割を担う。一般的に、直径が小さいほど、放射パターンが広くなり、直径が大きいコアナノワイヤでは、より制限され、方向付けられた放射パターンを必要とする。この、遠方界放射パターンが、実際には近傍界のフーリエ変換であるため、カウンター直感的と思われる効果は、光学的なエンジニアリングにおいてよく知られている。よく知られているように、短い、または、狭い事象のフーリエ変換は、フーリエ変換の変域において、長いまたは広い事象となる。極端な例としてデルタ関数があるが、これは、無限に広く、一定の密度のフーリエ変換である。光学的な放射と類似するものに、点光源(近傍界におけるデルタ関数)が全方向に一定の密度で光を放射するものがある(遠方界における「無限」に広い放射)。図9に示すように、本発明の一実施形態は、集光され、方向が合わせられたビームを提供するために最適化される。比較的大きい直径、好ましくは150 nmより大きい直径のナノワイヤ110が、体積要素115の上部表面まで延びている。ナノワイヤ110には、上端に凹レンズ状の出口表面112が提供されている。
【0037】
ナノワイヤを成長させる上述した方法により得ることのできる、先に示した円柱形の体積要素115は、例示的な形状として見るべきである。他の可能と考えられる幾何図形的配置は、これに限られる物ではないが、ドーム型のトップを有する円柱状のバルブ、球、楕円、角錐を含む。
【0038】
典型的な実施例では、1つのデバイスに多数のナノ構造のLEDが供給される。そのようなデバイスの一部を図10に示す。複数のナノ構造のLED100は、Znを添加したGaP基板105上にエピタキシャル成長される。LEDのナノワイヤ110は、固有のGaAsから成り、ドーピングされていないInGaPの同心の層が提供される。体積要素115は、SiでドーピングしたInGaPを含む。ナノワイヤの下部及び基板は、SiO2層150により覆われる。基板裏コンタクト155は複数のLEDを繋げている基板上に提供され、各LEDには、体積要素115上に巻き付けられたコンタクト125が提供されている。この巻き付けられたコンタクト125はLEDのグループアドレッシングのために接続されている。
【0039】
一実施形態において、上述したように、限定されたいくつかの好ましい方向にナノワイヤが成長する、という本来備わっている特性が利用される。図11に示すように、複数のナノ構造のLED1100が基板1105上に提供されている。全てのLEDは、同じ方向か、または、限定されたいくつかの方向のどれかを有する。好ましくは、LEDは適正に方向付けれた光ビームを生成するように構成される。LEDのグループの側には、LEDから放射される光が反射手段1160により所望の方向に反射されるように、LEDの方向に対応する基板に対する角度で、反射手段1250が提供されている。光路は点線の矢印により概略を示している。LEDが、例えば、4[111]方向に対応する複数の方向を有する場合、対応する複数の反射手段を提供してもよく、その場合、全光を同じ方向、例えば、基板に対して垂直な方向に向けることが好ましい。
【0040】
導波管として動作するナノワイヤを、従来のプレーナーLEDの性能を向上させるために用いることができる。図12に示す実施形態では、複数のナノワイヤ1210がプレーナーLEDの表面上に配置されている。光は、例えばGaAsPからなるプレーナーLEDの活性層1260で生成される。ナノワイヤ1210は、異なる部品が良く適合するように、プレーナーLED層の上にエピタキシャルに接続されている。ナノワイヤ1210は、ナノワイヤを保護し、及び/または特性を向上させる、例えば、Si3N4の被膜層1212により覆われていてもよい。ナノワイヤ1210間の表面は、例えば、Auなどの反射層1208で覆うことが好ましい。活性領域1220で生成される光の少なくとも一部は、導波管として動作しているナノワイヤ1210に入射し、光を基板平面から離すように導く。上述したものと同じ構造により、ナノワイヤはよく定めた方向に光の焦点を合わせるように配置することができる。
【0041】
光の生成に必要なpn接合を形成するために、ナノ構造の少なくとも一部をドーピングする必要がある。上述したように、ナノ素子にドーピングすることの一般的な難しさを一部解消し、良好な電気的な接続特性を促進する為に、体積要素が提供されている。デバイスの効率を上げるために、アクセス抵抗を低減することが重要である。この点に関して、ナノワイヤの長さと断面の小ささがデバイス抵抗を生じさせるため、ナノワイヤ自身は最適ではない。
【0042】
低抵抗のコンタクトを製造する為の主な手段、ナノワイヤの幾何図形的配置により与えられる本質的な低接続表面により複雑化されたタスクは、高ドーピングとコンタクトの半導体側における低バンドギャップ調節であるが、既に述べた通り、ナノ素子のドーピングはいくつかの要因により難問となっている。しかしながら、ナノワイヤデバイスの他の特定部分は、高ドーピングを必要としないか、ドーピングレベルの優先度が低く、他の設計パラメータとバランスを取ることができる。重要な部分のドーピングが、デバイスの性能を下げるデバイスがある。このような反生産的なドーピング効果の例として、電界効果チャンネルにおける、光学的領域における非発光不純物準位、または不純物散乱、移動度の低下がある。
【0043】
本発明に係る体積要素115は、3次元方向に延び、大きな体積と広い表面を持っているため、ナノ素子のための困難なドーピング処理を避けることができ、処理が単純化して信頼性が高まり、アクセス抵抗は下がり、ドーピングと拡大したコンタクト表面とにより、LEDにおける活性成分としてナノワイヤを用いる利点を充分に活用することができる。
【0044】
体積要素/ナノワイヤ構造は、LEDの電気的且つ光学的な性能を共に高める。体積要素115がキャリア蓄積部として動作することで、良く定めたドーピングされた領域からナノワイヤへの高キャリア注入が可能になるため、コンタクト領域を広げ、ナノワイヤとコンタクト間の距離を最短にするために、好ましくは巻き付け構造において低抵抗コンタクトを簡単に製造することができる。低内部抵抗と、増量されたキャリアは、すでに低順電圧のナノワイヤに多くのキャリアを高注入することを保証する。ナノワイヤ110へのキャリアの高注入は、高濃度の電子正孔対をナノワイヤに導入することとなり、発光再結合を増やす。高濃度の電子正孔対と活性領域を光を方向付ける導波管に延長することが相まって、励起発光が可能になり、デバイスの出力が更に上がる。
【0045】
ナノワイヤ110と体積要素115において、異なる素材組成を用いることにより、ナノワイヤとの接続による光学的な障害を減らすために、体積要素115に伝わるようにナノワイヤ素材組成を選択することができる。ナノワイヤを放射された光の方向に伸ばすと、再吸収が増える。再吸収を減らし、放射された光のエネルギーと比較してバンドギャップを上げるために、ナノワイヤの組成は放射された光の方向に調整される。
【0046】
ナノ構造のLEDを製造する方法は、上述した処理によれば、まず、ナノワイヤを成長させることである。そして、ナノワイヤの一部をマスクし、体積要素を選択的に再成長させる。この方法を図13に示す。体積要素は、軸方向及び半径方向共に成長するため、ナノワイヤが部分的にマスクされると、ナノワイヤは体積要素に囲まれるようになる。適切なマスキング素材としては、例えば、窒化シリコン、酸化シリコンなどがある。
【0047】
VLS成長したナノワイヤ等、ナノワイヤの成長が物質により部分的に強調されたシステムを考えると、成長条件を変えることにより半径と軸方向との成長を変化させる能力により、ナノワイヤ/高次元の3D列を形成するために、手順(ナノワイヤ成長、マスク形成、その後の選択的成長)を繰り返すことができる。ナノワイヤ成長と選択的成長とが、個別の成長条件により区別されないシステムでは、まず、ナノワイヤを長さに沿って成長させ、そして、異なる選択的成長ステップにより、異なるタイプの3D領域または体積要素を成長させるとよい。
【0048】
図13に示す、GaAs及びInGaPで形成された活性ナノワイヤ領域を有する発光pnダイオード/アレイを製造するための本発明に係る製造方法は、以下のステップを含む:
1.リソグラフィにより、p+型GaP基板1305上に、部分的な触媒の範囲を限定。
2.ナノワイヤ1310を、部分的な触媒1331から成長させる。成長パラメータは、触媒ワイヤ成長に応じて調整する。
3.ナノワイヤの周りに薄膜InGaP濃縮層1312を半径方向に成長させる(被膜層)。
4.SiO2をマスク素材1332として堆積させる。
5.ナノワイヤの上部を開けるために、マスク1332をバックエッチングする。
6.n+型InGaPの体積要素1315を選択的に成長させる。成長パラメータは半径方向に成長するように調整される。
7.(不図示)コンタクト1325を体積要素上と基板に形成する。
【0049】
成長処理は、例えば、ナノワイヤがヘテロ構造を含み、反射層等が提供されるように、知られた方法で変更することができる。いくつかの実施形態で用いられる軸113は、まず、細いナノワイヤを成長させ(ステップ2)、反射層または、下部分を覆う選択的成長マスクを堆積させ、そして、ナノワイヤの太さが増すように被膜層またはナノワイヤを半径方向に成長させることにより、提供される。.
【0050】
ナノ構造のLEDの用途、適した製造処理の可能性、素材のコストなどに応じて、広範囲の素材を、構造の異なる部分に用いることができる。更に、ナノワイヤを基にした技術は、そうでなければ組み合わせることが不可能な、欠点の無い素材の組み合わせを許容する。第3族〜第5族の半導体は、高速且つ低電力な電子機器を容易にする特性を有するため、特に重要である。基板に適した素材は、これらに限られるものではないが、Si、GaAs、GaP、GaP:Zn、GaAs、InAs、InP、GaN、Al2O3、SiC、Ge、GaSb、ZnO、InSb、,SOI(シリコン・オン・インシュレーター)、CdS、ZnSe、CdTeを含む。ナノワイヤ110及び体積要素115に適した素材は、これらに限られるものではないが、GaAs(p)、InAs、Ge、ZnO、InN、GaInN、GaN AlGaInN、BN、InP、InAsP、GaInP、InGaP:Si、InGaP:Zn、GaInAs、AlInP、GaAlInP、GaAlInAsP、GaInSb、InSb、Siを含む。例えば、GaPの為の可能なドナードーパントは、Si、Sn、Te、Se、S等であり、同素材に対するアクセプタードーパントは、Zn、Fe、Mg、Be、Cd等である。なお、ナノワイヤ技術は、GaN、InN及びAlN等の窒化物の使用を可能にしたので、従来の技術では容易に達成できなかった波長領域の光を発光するLEDの製造を容易にすることができる。その他の商業的に特に重要な組み合わせは、これらに限るものではないが、GaAs、GaInP、GaAlInP、GaPシステムを含む。典型的なドーピングレベルは、1018から1020の範囲である。当業者であれば、これら及びその他の素材は馴染み深いものであり、他の素材及び素材の組み合わせが可能であることはわかる。
【0051】
低抵抗のコンタクト素材の適切さは、堆積する素材によって異なるが、金属、合金、及びAl、Al-Si、TiSi2、TiN、W、MoSi2、PtSi、CoSi2、WSi2、In、AuGa、AuSb、AuGe、PdGe、Ti/Pt/Au、Ti/Al/Ti/Au、Pd/Au、ITO(InSnO)などの非金属合成物、及び、例えば、メタルとITOの組み合わせを用いることができる。
【0052】
本発明に係るナノ構造のLEDの実現例を、GaP及びSi基板上でエピタキシャル成長したGaAsナノワイヤとして示す。LEDの機能は両方の種類の基板上に確立される。構造は温度依存の光ルミネッセンス、エレクトロルミネッセンス、及び放射パターンに関して評価される。
【0053】
LEDデバイスは、実現物によれば、Si上で成長し、まとめられた第3族〜第5族の発光ナノワイヤダイオードアレイを含む。各デバイスは、GaPまたはSi上に直線成長したGaAsナノワイヤコアの周りに作られる。各ダイオードの部分は、これら個別のナノサイズのp-i-n発光構造における活性領域として動作する。
【0054】
図14に示すLEDデバイス1401は、p-i-nダイオード構造1400を含む。基板1405は、共通のp層として機能するため、デバイスの統合部である。各ナノ構造のLED1400構造は、ナノワイヤ1410、ナノワイヤの少なくとも一部を囲む被膜1430、キャップまたはバルブ1415、及びトップコンタクトを有する。pドープ、nドープ、真性の半導体素材の順番は、基板素材に依存する。GaP上の構造は、p-GaP(基板)1405、i-GaP1411/i-GaAsの(ナノワイヤ)1410、i-InGaP(被膜)1430、n-InGaP(バルブ)1415である。Si上の構造は、p-Si(基板)1405、i-GaP/i-GaAs(ナノワイヤ)1410、i-InGaP(被膜)1430/n-InGaP(バルブ)1415である。ナノワイヤの基部におけるi-GaP1411(ナノワイヤ)は、両方のデバイス共に約60 nmの厚さで、成長品質と電子バリアの向上という、核形成セグメントの2つの目的を助ける。
【0055】
製造処理の概略を以下に記す。THMaメタル有機ソース及びTMInが、前駆体ガスとしてのAsH3、PH3、及びSi2H6と共に用いられる。2つの成長工程が適用される。まず、2 μmの長さのGaAs/GaPナノワイヤが、任意に堆積された、直径60nmのナノメーターサイズの、1/μm2の分子濃度を有するAuエーロゾルを用いて、粒子支援成長により、p-GaP (111)B (p≒1018cm-3)及びSi(111)(p≒1015cm-3)基板上に成長される。ナノワイヤは、GaAsに名目的に格子整合した、厚さ40 nmの放射状のInGaP被膜層により囲まれている。このステップの後、光ルミネッセンスまたはその後のナノLEDの製造のために、サンプルをアンロードする。厚さ80 nmのSiO2が、LEDを製造するために一列に並べられたサンプルの上に堆積される。SiO2は、基板表面のみを覆うところまで、ナノワイヤの約lμmの側面までバックエッチングされる。サンプルはその後MOVPEリアクタに再ロードされ、放射状のSiドープInGaP層は、GaAs/InGaPコア構造の上部に選択的に成長させられる。LEDは、それぞれが約40000の独立したナノ構造のLEDを覆う、厚さ150〜300nmの200×200μm2の正方形のNi/Ge/Auコンタクトにより完全に覆われている。p型コンタクトは、導電性Agペーストで基板の裏側に作られる。他のコンタクト手段として、例えば、透明なコンタクトを用いることがこの技術では知られており、本発明の方法及びデバイスに容易に適応させることができる。構造の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を図15aに示す。
【0056】
SiとGaPデバイスとの重要な違いは、ナノワイヤの基部におけるヘテロ構造シーケンスで、GaP基板上には、p-GaP(基板)/i-GaP層(ナノワイヤ)/i-GaAs層(ナノワイヤ)があるのに対し、Si基板上には、p-Si(基板)/i-GaP(ナノワイヤ)/i-GaAs(ナノワイヤ)がある。また、正孔注入条件及び内部抵抗の両方が、2つの構造間でかなり異なることは、予測できるはずである。
【0057】
図16は、第1のMOVPEステップ後のナノワイヤ構造を示す。図では、薄膜InGaP被膜層を有するGaAsナノワイヤ、ナノワイヤの基部におけるGaP核形成セグメントを示しており、Auベースの種粒子がまだ先端に付着している。このような構造は、PLによる特徴付けのために、中性基板にも移動される。図16に示すように、歩留まりはGaP基板及びSi基板共に、基本的に100%である。Si上でのナノ構造のLEDの製造は、ナノワイヤが基板に垂直な(111)方向に均一に並べられ、基本的に何れのナノワイヤも、基板から延びる、3つの傾いた(111)方向に成長しないところまで精密化される。これをSi(111)上の第3族〜第5族のナノワイヤ成長である従来技術方法と比較する。Si基板上の予め決められたアレイ構造における、良く整列された第3族〜第5族のナノワイヤの成長は、図16に示すように、光学デバイスの大規模製造、及び他のほとんどの応用にとって、欠くことができない。
【0058】
LED機能は、光ルミネッセンス(PL)測定により示すことができる。ここで示す測定は、室温と、10Kの温度で行われた。結果を図17a〜c及び図15bのグラフに示す。473 nmのレーザー発光を、励起源として用いた。PLは光学顕微鏡によって集められ、分光器によって分光し、液体窒素冷却CCDカメラにより検出した。
【0059】
基板の影響を受けずにナノワイヤからのPLを調べるために、ナノワイヤを壊して、ナノワイヤが成長した基板から移動し、パターン化されたAu表面上に堆積した。この方法でナノワイヤを個別に調べることができる。図17aに示すように、このようにして成長したナノワイヤから10Kで得られたPLスペクトルは、Si基板上から成長したナノワイヤと、Si基板(Si)から成長したナノワイヤと、GaP基板(GaP)から成長したナノワイヤとで似通っていた。破線は、基板上にまだ立っている(多数の)ナノワイヤからのスペクトルである。個別のナノワイヤからのスペクトルは、大きな差を示し、GaP基板から成長したナノワイヤがより体系化されていた。Siから成長したナノワイヤの平均PL濃度は、GaPから成長した対応するナノワイヤの約1/20程度であった。これは、SiのLEDで見られるエレクトロルミネッセンスが、GaPのLEDより10〜30倍低いことに、適正に一致している。室温では、スペクトルは広くて特徴が無く、2つのサンプルからのナノワイヤ間のスペクトルの差は、非常に小さかった。
【0060】
GaP上のLEDも、Si上のLEDも、図Ta−bに示すように、前方バイアスをかけた時に、エレクトロルミネッセンス(EL)を示した。光のスペクトルのピークは、GaAsのバンドギャップエネルギーとかなり一致している。
【0061】
光電力/光電流の依存関係を、Si基(Si)及びGaP基(GaP)のLEDについて、図18a及びbに示す。GaP上のLEDは、Si(40 mA)の半分の電流負荷(20 mA)で点灯し、60 mAでは、電力出力はGaP基板上では、およそ30倍高い。しかしながら、100 mAでは、電力比がSi基LEDの10倍まで減少した。80 mA負荷でのELスペクトルのピークを、両方のデバイスについて示す。SiのLEDピークは、GaP基板デバイスと比較して、多少の赤方偏移と、1.35 eV付近で可能な特別のピークを持つtailを示す。ピークのシフトは、GaP及びSi上での異なるIn及びGa散乱により説明することができ、異なるInGaP組成に導く。デバイスをプッシュし、高電流となることで、ピーク電力がGaPデバイスで約14OmAとなるのを見ることができる。これは、Siデバイスでは見ることができず、これらの電流レベルでは非放射性再結合、または、競合する漏洩メカニズムがELを支配していることを示しているのかも知れない。
【0062】
GaNナノワイヤ上に作られたLEDデバイスは、他の素材の組み合わせでは得ることのできない波長の光を生成することができるため、商業的に高い重要性を有する。更なる実施例として、GaNエピタキシャルフィルム、サファイア、SiCまたはSi、更には自己支持性GaN上に、どのようにしてGaNナノワイヤを選択領域成長により成長させるかを説明する。最初の基板上に、SiNx(厚さ30 nm)の層がPECVDにより堆積される。続くステップで、ドットパターンのGaN開口(直径約100 nm)のアレイをエピタキシャルビームリソグラフィ(EBL)、リアクティブイオンエッチング(RIE)により生成する。開口のピッチは、1.0〜3.2 μmの間にする。そして、GaNナノワイヤを成長させるために、このように処理されたサンプルが水平MOCVDチャンバに挿入される。成長処理は、初期段階を含み、温度は、約60秒の高NH3流量75 sccmを伴って、5分以内に1000〜1500℃の成長ゾーンまで上げられ、これにより、アニール化させる。続くナノワイヤ成長段階では、NH3流量を3.0〜0.2 sccmまで下げ、チャンバにTMG(トリメチルガリウム)を導入して、成長を開始する。この作業では、0.12から1.2 μmol/minの間の低TMG流量にする。NH3流量は、開口からの成長を制御する、きわめて重要な要素である。図19は、3.0 sccmのNH3流量で成長したサンプルのSEM画像を示す。上面図(図19(a))から、レポートしたものと同じ、開口からの選択的成長を見ることができる。ここで特筆すべき点は、成長後の横方向の大きさが1.0 μmよりも大きく、これは、約100 nmの開口よりも遙かに大きい。このように、GaNが開口から成長した後の横方向の成長は、重大である。図19(b)は、サンプルを35°傾けて撮影したSEM画像を示しており、得られるものがワイヤーではなく、角錐であることをはっきりと表している。角錐は6つの等価(1101)面により範囲を定められている。平面のダングリングボンドの濃度(1101)は16.0/nm2であり、(1100)面(12.1/nm2)及び(0001)平面(11.4 /nm2)[3]よりも高い。この点から、(1100)と(0001)の平面は、開口からのGaN成長後に、現れることが予測できる。しかしながら、図19は逆を表している。そのため、可能な説明は、(1101)面がN分極を有するために、NH3流量が高い場合に安定するということである。これによれば、NH3の流量3 sccmは、(1100)面により面が切られたGaNワイヤを成長させるためには実際にはまだ高い。図20はNH3流量が1.0 sccmを下回る状態で成長したサンプルのSEMにより得られた特徴を示す。上面図(図20(a))は図19(a)と同様である。しかし、35°傾けた画像(図20(b))は異なり、(1100)面の垂直な小面が、角錐キャップの下に出現し始める。
【0063】
図21は、NH3流量をさらに0.5 sccmに下げた場合の成長結果を示す図である。約100 nmの開口の大きさよりもまだ大きいが、上面及び35°傾けた画像共に、縦方向にサイズが縮んでいることを示している。そして、傾けた画像(図21(b))は、垂直な小面も表している。NH3流量が0.2 sccmまで下げられると、図22に示すように、本当のGaNナノワイヤの合成が始まる。GaNナノワイヤを製造するために、NH3流量を低過飽和となるように、または、ME(migration enhanced)成長するように調整しなければならない。例えば、角錐など、他の形状にしたい場合、NH3流量を1 sccm以上にすればよい。さらに製造工程、即ち、被膜層とバルブを提供する工程は、上述した方法で行われる。
【0064】
最も実践的と考えられるものと、好適な実施形態とを関連させて本発明を説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、添付の請求項の範囲内で様々な変更及び同等の構成を含むことを意図していることは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板から突出した、少なくとも1つの直立したナノワイヤと、光を生成するための活性領域(120)の形成に寄与するpn接合とを含む、ナノ構造のLEDであって、前記活性領域で生成される光の少なくとも一部を、前記ナノワイヤ(110)によって与えられる方向に向ける導波管(116)を有することを特徴とするナノ構造のLED。
【請求項2】
前記ナノワイヤ(110)の一部が前記導波管(116)を形成することを特徴とする請求項1に記載のナノ構造のLED。
【請求項3】
前記LEDが、前記ナノワイヤ(110)にエピタキシャル接続された体積要素(115)を有し、前記体積要素が、前記活性領域(120)の形成のために、高ドーピング度を提供するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のナノ構造のLED。
【請求項4】
前記ナノワイヤ(110)の一部を囲む貝殻状の構造が、前記導波管(116)を形成していることを特徴とする請求項1に記載のナノ構造のLED。
【請求項5】
前記ナノワイヤ(110)の一部を囲む貝殻状の構造と、前記ナノワイヤの一部とが、前記導波管(116)を形成することを特徴とする請求項1に記載のナノ構造のLED。
【請求項6】
前記導波管(116)は、第1の有効屈折率nwを有し、前記ナノワイヤの少なくとも一部を囲む素材は、第2の有効屈折率ncを有し、前記第1の屈折率は前記第2の屈折率よりも大きく、nw>nc、前記導波管(116)に導波特性を与えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナノ構造のLED。
【請求項7】
前記導波管(116)は、前記基板と決められた角度を形成し、前記ナノワイヤと基板の間の角度は、前記第1及び第2の反射率について、全反射を達成するのに充分な角度であることを特徴とする請求項6に記載のナノ構造のLED。
【請求項8】
前記導波管(116)には少なくとも1つの被膜層(112/113)が提供されていることを特徴とする請求項6に記載のナノ構造のLED。
【請求項9】
前記1つの被膜層(112/113)は、前記導波管(116)の導波特性を高める光学的な被膜層(113)であることを特徴とする請求項8に記載のナノ構造のLED。
【請求項10】
前記1または複数の被膜層(113)は、前記ナノワイヤ−被膜アセンブリの境界に向けて変化する屈折率を提供することで、前記導波管(116)の導波特性を高めることを特徴とする請求項8に記載のナノ構造のLED。
【請求項11】
前記LEDは、ある特定の波長領域の光を生成するように設計され、前記導波管(116)の直径は、前記ナノワイヤ内での前記光の伝搬が、前記ある特定の波長領域の光のサイズ効果により妨げられない直径であることを特徴とする請求項2乃至10のいずれか1項に記載のナノ構造のLED。
【請求項12】
λを前記生成された光の波長、nを前記導波管(116)の前記屈折率とした場合に、前記導波管(116)の直径はλ/2nより大きいことを特徴とする請求項10に記載のナノ構造のLED。
【請求項13】
前記ナノ構造のLEDは、可視領域において光を生成するように構成され、前記導波管(116)の直径は、80 nmより大きいことを特徴とする請求項12に記載のナノ構造のLED。
【請求項14】
前記ナノ構造のLEDは、赤外線及び近赤外線領域で光を生成するように構成され、前記導波管(116)の直径は、110 nmより大きいことを特徴とする請求項12に記載のナノ構造のLED。
【請求項15】
前記導波管(116)の直径は、λ/2nwより大きく、500 nmより小さいことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載のナノ構造のLED。
【請求項16】
前記活性領域(120)は、前記ナノワイヤ(110)内に構成されることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のナノ構造のLED。
【請求項17】
前記活性領域(120)に結合された前記pn接合は、前記体積要素(115)から前記ナノワイヤ(110)へのキャリアの注入により形成されることを特徴とする請求項16に記載のナノ構造のLED。
【請求項18】
前記導波管(116)または前記導波管(116)/被膜アセンブリは、生成された光の波長の光学的なモードに合う光学的な空洞を形成することを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載のナノ構造のLED。
【請求項19】
前記基板には、反射層(108)が提供され、前記反射層には貫通穴があり、該貫通穴を介して、前記ナノワイヤが伸びていることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載のナノ構造のLED。
【請求項20】
反射手段が前記導波管(116)内に提供され、反射光が基盤方向に向くように構成されていることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載のナノ構造のLED。
【請求項21】
前記反射手段は、複数層構造(111)であることを特徴とする請求項20に記載のナノ構造のLED。
【請求項22】
前記反射手段は、前記導波管(116)の一部の下に延び、前記導波管(116)の断面の外側部分を覆う反射層(108)により供給されることを特徴とする請求項20に記載のナノ構造のLED。
【請求項23】
前記導波管(116)、または導波管(116)及び被膜アセンブリは、第1の有効屈折率nwを有し、前記反射層は、第2の有効屈折率nsを有し、nw>nsであって、前記ナノワイヤと前記反射層の間の角度は、全反射を達成するのに充分な角度であることを特徴とする請求項22に記載のナノ構造のLED。
【請求項24】
前記ナノワイヤ(110)及び体積要素(115)は、前記体積要素(115)から見て、前記基板を介して下方向に前記光を向けるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のナノ構造のLED。
【請求項25】
LED層(1205)を有するプレーナーLEDと、前記プレーナーLED表面上に直立に構成され、前記LED層にエピタキシャル接続された複数のナノワイヤとを更に有することを特徴とする請求項2に記載のナノ構造のLED。
【請求項26】
前記体積要素(115)は、放射された光が、前記ナノワイヤ(110)と前記体積要素(115)との間の接合部における散乱により拡散するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のナノ構造のLED。
【請求項27】
前記体積要素(115)は、前記放射された光が前記ナノワイヤ(110)と前記体積要素(115)との間の接合部における散乱により拡散し、前記体積要素の高さ及び幅は、前記光を更に散乱するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のナノ構造のLED。
【請求項28】
請求項1乃至27のいずれか1項に記載された複数のナノ構造のLEDを有し、ナノ構造のLED(1100)のグループは、一方向または適切に定められた限られた一組の方向に光を放射するように構成され、少なくとも1つの反射手段(1160)は、前記ナノ構造のLED(1100)のグループに関連した方向の1つからの光を反射するように構成されていることを特徴とするデバイス。
【請求項29】
ワイヤの成長を促進する第1の成長モードにおけるナノワイヤの第1の成長と、半径方向の成長を促進する第2の成長モードにおける体積要素の第2の選択的成長とを有することを特徴とするナノ構造のLEDを製造する方法。
【請求項30】
(1)リソグラフィにより、基板(1305)上に、部分的な触媒の範囲を限定し、
(2)ナノワイヤ(1310)を、部分的な触媒1331から成長させ、成長パラメータを、触媒ワイヤ成長に応じて調整し、
(3)前記ナノワイヤの周りに薄膜濃縮層(1312)を半径方向に成長させ、
(4)マスク素材(1332)を堆積し、
(5)前記ナノワイヤの上部を開けるために、前記マスク(1332)をバックエッチングし、
(6)体積要素(1315)を選択的に成長させ、成長パラメータは半径方向に成長するように調整されることを特徴とする請求項29に記載のナノ構造のLEDを製造する方法。
【請求項31】
まず細いナノワイヤを成長させることにより前記ナノワイヤ上に軸(113)を形成するステップと(ステップ2)、反射層、または、前記ナノワイヤの下部を覆う選択的な成長マスクを堆積するステップと、前記ナノワイヤを太くするために、被膜層または前記ナノワイヤを半径方向に成長させるステップとを更に有することを特徴とする請求項30に記載のナノ構造のLEDを製造する方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−514206(P2010−514206A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542711(P2009−542711)
【出願日】平成19年12月22日(2007.12.22)
【国際出願番号】PCT/SE2007/001170
【国際公開番号】WO2008/079076
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(506177590)クナノ アーベー (15)
【氏名又は名称原語表記】QuNano AB
【住所又は居所原語表記】Ideon Park,SE−223 70 Lund,Sweden
【Fターム(参考)】