説明

相変化メモリデバイスの研磨用化学機械研磨用スラリー組成物およびそれを使った相変化メモリデバイスの研磨方法

【課題】高速で相変化メモリデバイスを研磨することができる、相変化メモリデバイスの化学機械研磨(CMP)用スラリー組成物、及びそれを用いた研磨方法を提供する。
【解決手段】脱イオン水および窒素化合物を含む、相変化メモリデバイスの化学機械研磨(CMP)用スラリー組成物を用いる。窒素化合物は、脂肪族アミン、芳香族アミン、アンモニウム塩、アンモニウム塩基またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程において用いられる相変化メモリデバイスの研磨用スラリー組成物に関する。
【0002】
より詳しくは、合金またはカルコゲニドの化学機械研磨(CMP)用スラリー組成物およびそのスラリー組成物を用いた相変化メモリデバイスの研磨方法に関する。
【背景技術】
【0003】
デジタルカメラ、カムコーダー、MP3プレーヤー、デジタルマルチメディア放送(DMB)レシーバ、ナビゲーションシステムおよび携帯電話などの電子デバイスについて世界市場の広がりとともに半導体メモリの要求が高まっている。
【0004】
加えて、従来のメモリに比べ、パフォーマンス特性の観点で、高速で、かつ、低減されたパワー消費で作動する大容量メモリに対する要求は高まっている。
【0005】
かような状況下、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、スタティックRAM(SRAM)およびフラッシュメモリの利点や特性を含む、次世代メモリの開発において、相当な研究努力がなされている。
【0006】
相変化メモリ(PRAM)、磁気抵抗メモリ(MRAM)、強誘電体メモリ(FeRAM)およびポリマーメモリは、今では、次世代メモリとして位置づけられている。
【0007】
これらの中でも、PRAMは、従来の高度に集積されたDRAM、高速のSRAMおよび非揮発性NANDフラッシュメモリの利点を兼ね備えており、補完的な金属酸化物−半導体(C−MOS)電界効果トランジスタ(FET)の従来の統合過程に適合する観点で、秀でている。これらの利点により、PRAMは、魅力的であり、近年商業的に成功する高い可能性により、高い関心がある。
【0008】
SLai(Intel)およびTLowrey(Ovonyx)は、2001年に行われた国際電子デバイス会議(IEDM)において論文を発表して以来、相変化メモリ(PRAM)について、広く研究開発が行われている。
【0009】
相変化メモリは、非揮発性メモリであり、書き込みデータに電流または電圧をかけた際に生じるジュール加熱により、結晶(低電気抵抗)および非結晶質(高電気抵抗)相との間で、可逆的相変化を起因することができる材料に使用できる。
【0010】
合金およびカルコゲニドは、代表的なPRAMの相変化物質として用いられ、特に、カルコゲニド、GeSbTe(GST)の組成物について研究が進められている。
【0011】
近年開発が進められているPRAMデバイスの相変化物質のCMPプロセスにおいて、酸化ケイ素(SiO)が研磨停止層を形成すべく使用されている。
【0012】
パターンウエハの研磨中、研磨均一性および表面欠陥(例えば、ディッシングおよび腐食)は、例えば、相変化物質における研磨およびエッチング速度、酸化ケイ素膜の研磨均一性ならびに相変化物質と酸化ケイ素膜との研磨選択性などの、いくつかの工程要因によって、強く影響を受ける。一方で、アルミニウム、銅、タングステンおよび他の金属ワイアの研磨用スラリーは、主に半導体製造工程に用いられている。これら金属層の材料は、単一の成分からなり、PRAMデバイスの相変化物質のようではなく、相変化を起こさない。よって、従来の金属材料は、PRAMデバイスに用いられず、層特性において有意な差異を引き起こさない。金属ワイア研磨用CMPスラリーは、酸化剤、研磨剤および他の有用な添加剤を選択することにより、表面欠陥、欠陥、腐食および腐食を最小限にしながら、所望の研磨速度で、金属層を効果的に研磨することができる。さらに、この研磨用スラリーは、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、これらの酸化物などの他の薄膜材料に対し、選択的に研磨をすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、銅(Cu)またはタングステン(W)のような単一の成分からなる従来の金属層とは異なり、研磨される相変化メモリデバイスの層は、硫黄(S)、セリウム(Se)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、銀(Ag)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)などが結晶相および非結晶質相を可逆的に相変化する特定の割合で混合されてなる。
【0014】
つまり、研磨される材料特性は、従来の金属層材料のそれとは違うため、新規な研磨用の組成物を開発する必要性がある。
【0015】
ここで、相変化メモリ(PRAM)の相変化物質を研磨するための理想的なスラリー組成物は、以下の要求に応える必要がある。
【0016】
i)相変化物質は、高速でエッチング、研磨される。ii)相変化物質と研磨停止層との研磨選択性が高い。iii)ディッシング、腐食、パターン非均一性、欠陥(例えば、傷、欠陥および侵食)などが最小限になる。iv)研磨後、組成物と、相変化物質の表面を構成する成分の相において変化が起こらない。
【0017】
そこで、本発明の目的は、高速で相変化メモリデバイスを研磨することができる、相変化メモリデバイスの化学機械研磨(CMP)用スラリー組成物を提供することにある。
【0018】
また、本発明の目的は、相変化メモリ材料と、研磨停止層(例えば酸化ケイ素膜)との研磨選択性を向上させ、さらには、研磨工程における欠陥(例えば、ディッシングおよび腐食)を最小限にし、表面を高品質の研磨し、そのCMPスラリー組成物を使った相変化メモリデバイスの研磨方法を提供することにある。
【0019】
さらには、本発明の目的は、CMPスラリー組成物を使用した相変化メモリデバイスの研磨方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的は、脱イオン水および窒素化合物を含む、相変化メモリデバイスの化学機械研磨(CMP)用スラリー組成物を提供することにより達成する。
【0021】
また、上記目的は、相変化材料層と、脱イオン水および窒素化合物を含むCMPスラリー組成物と、を接触させることを含む、相変化材料層を含む相変化メモリデバイスの研磨方法を提供することにより達成する。
【0022】
さらに、上記目的は、該方法により研磨されてなる、相変化メモリデバイスを提供することにより達成する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、研磨の前後で、組成物または相変化材料の相に実質的に変化を引き起こさない。また、相変化メモリデバイスの化学機械研磨用スラリー組成物を提供することで、表面欠陥(傷、欠陥、腐食および研磨残渣)を最小限にし、表面を綺麗に研磨することができる。さらには、金属の不純物を非常に少なくし、廃棄した後に、環境汚染問題を殆どまたは完全に起こさない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
<本発明の第1>
本発明の第1は、脱イオン水および窒素化合物を含む、相変化メモリデバイスの化学機械研磨(CMP)用スラリー組成物(以下、「CMP用スラリー組成物」とも称する。)である。なお、本発明のCMP用スラリーは、「脱イオン水」と「窒素化合物」と、2以上の構成要素を含むため、「組成物」と記載した。
【0026】
本発明のCMP用スラリー組成物は、必要に応じ、スラリー組成物に対して所望のCMP特性を与える、研磨剤粒子、酸化剤またはこれら組み合わせのような1以上の追加成分を含んでもよい。
【0027】
すなわち、本発明のCMPスラリー組成物は、脱イオン水および窒素化合物のみならず、研磨剤粒子を含んでもよい。また、本発明のCMPスラリー組成物は、脱イオン水および窒素化合物のみならず酸化剤を含んでもよい。また、本発明のCMPスラリー組成物は、脱イオン水および窒素化合物のみならず、研磨剤粒子および酸化剤を含んでもよい。
【0028】
本発明のCMP用スラリー組成物は、必要に応じ、合金またはカルコゲニドを含んでもよい。合金またはカルコゲニドは、可逆的相変化結晶相および非結晶質相との間の相変化材料としての役割を果たす。
【0029】
前記相変化メモリデバイスに使用されうる相変化物質の使用の好適な例としては、合金またはカルコゲニドであり、より好ましくは、InSe、SbTe、GeTeなどの二元化合物;GeSbTe、InSbTe、GaSeTe、SnSbTeおよびInSbGeなどの三元化合物;および、AgInSbTe、(GeSn)SbTe、GeSb(SeTe)およびTe81Ge15Sbなどの四元化合物;を含む。つまり、相変化メモリデバイスが、InSe、SbTeGeTe、GeSbTe、InSbTe、GaSeTe、SnSbTe、InSbGe、AgInSbTe、(GeSn)SbTe、GeSb(SeTe)またはTe81Ge15Sbから選択される少なくとも1種の化合物を含むと好ましい。
【0030】
[脱イオン水]
脱イオン水は、水をイオン交換樹脂などによりイオンを除去することにより作製することができる。本発明に用いられる脱イオン水は、市販品を購入してもよい。
【0031】
[窒素化合物]
上記の通り、本発明のCMPスラリー組成物は、脱イオン水および窒素化合物を含む。
【0032】
窒素化合物は、CMPプロセスにおいて、均一で高速に相変化材料を研磨するに好適であり、腐食の発生およびパターンにおけるディッシングを抑制するに好適な材料である。
【0033】
窒素化合物としても特に制限はないが、脂肪族アミン、芳香族アミン、アンモニウム塩、アンモニウム塩基またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、この窒素化合物は、水と混ざり合う。
【0034】
前記脂肪族アミンは、第1級アミン、第2級アミンまたは第3級アミンを含むと好ましく、より好ましくは第2級アミンまたは第3級アミンを含む。脂肪族アミンは単独で用いてもよく、2以上で用いてもよい。
【0035】
また、前記脂肪族アミンは、置換または非置換であってもよく、少なくとも1種のアルキル基またはアルコール基(−ROH;Rは、炭化水素基)を含むと好ましく、より好ましくは少なくとも1種のアルキル基を含む。アルキル基を含むと、相変化材料の研磨速度の観点で好ましい。
【0036】
アルキル基としても特に制限されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イコシル基などが挙げられる。
【0037】
アルコール基としても特に制限されないが、メタノール、エタノール、無水エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ベンジルアルコール及びフェノール等に由来する基が好ましく例示できる。中でも、エタノールに由来する基が好ましい。
【0038】
さらに、前記脂肪族アミンが、少なくとも1つの置換基を有し、該1つの置換基は、1〜7の炭素原子を含むと好ましい。また、該1つの置換基は、1〜4の炭素原子を含むとより好ましい。該1つの置換基は、直鎖または分岐状のアルキル基が好ましい。
【0039】
これら脂肪族アミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の第1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン等の第二級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の第三級アミンが挙げられる。無論、これらに制限されない。
【0040】
他にも、脂肪族アミンの具体例としては、ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが好ましく例示できる。
【0041】
また、前記脂肪族アミンが、複素環化合物をさらに含むと好ましい。複素環化合物としても特に制限されないが、ピリジン、ピペラジン、ピペラジン化合物などが好ましい。中でも、複素環化合物は、ピペラジン化合物を含むと好ましい。つまり、脂肪族アミンは、ピペラジンなどの複素環化合物であってもよい。
【0042】
また、前記アンモニウム塩またはアンモニウム塩基には、特に制限はないが、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、それらの塩またはこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1種の化合物を含むと好ましい。
【0043】
窒素化合物の含有量にも特に制限はないが、スラリー組成物中、スラリー組成物の総質量に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.005〜3質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%である。
【0044】
窒素化合物の含有量は、相変化材料の研磨における窒素化合物の促進作用、相変化材料における等価研磨速度、研磨速度、所望の表面特性および最適pH保持を考慮に入れながら決定できる。
【0045】
なお、研磨速度の測定方法は、実施例によって測定された値をいうものとする。
【0046】
[研磨剤粒子]
上記の通り、本発明のCMPスラリー組成物は、脱イオン水および窒素化合物のみならず、研磨剤粒子を含んでもよい。
【0047】
研磨剤粒子としても特に制限はないが、前記研磨剤粒子が、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、セリア(CeO)およびジルコニア(ZrO)からなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物粒子、合成高分子粒子またはそれらの組み合わせであると好ましい。
【0048】
シリカ(SiO)としては、ヒュームド・シリカなどが好ましく例示できる。
【0049】
合成高分子粒子としても特に制限はなく、研磨されるデバイスにより、従来公知のいずれのポリマー粒子も好適に選択できる。ポリマー粒子としても特に制限はなく、例えば、ポリマーのみからなる研磨剤粒子、ポリマーコートの金属酸化物からなる研磨剤粒子および金属酸化物コートのポリマーからなる研磨剤粒子などが好適に例示できる。これらは単独で用いても、混合物として用いてもよい。
【0050】
研磨剤粒子の大きさにも特に制限はない。ただし、特定の分散安定性および研磨パフォーマンスを得るためには、一次粒子の平均粒径が、好ましくは1〜200nm、より好ましくは5〜100nm、さらに好ましくは10〜80nmである。かかる平均粒径は、例えば、SEM観察、TEM観察などにより測定することができる。
【0051】
また、研磨剤粒子の平均比表面積にも特に制限はない。ただし、特定の分散安定性および研磨パフォーマンスを得るためには、好ましくは10〜500m/g、より好ましくは30〜300m/g、さらに好ましくは40〜250m/gである。かかる平均比表面積は、BET比表面積により測定でき、具体的には、窒素吸着法などにより行うことができる。
【0052】
さらに、研磨剤粒子の含有量にも特に制限はないが、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.05〜20質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。
【0053】
[酸化剤]
上記の通り、本発明のCMPスラリー組成物は、脱イオン水および窒素化合物のみならず酸化剤を含んでもよい。
【0054】
本発明においては、酸化剤は、相変化材料の表層を酸化物またはイオンに酸化し、研磨停止層(例えば、酸化ケイ素膜)が露出し、パターンの表面粗さが向上されるまで、表層の除去を促進し、パターン領域中で、相変化材料の部分を均一に研磨する働きをする。加えて、酸化剤の使用は、研磨停止層に存在する相変化材料の残渣の除去を促進することができ、より均一な研磨が可能となる。
【0055】
本発明においては、酸化剤が、研磨される相変化材料よりも、標準電気化学的酸化還元電位(standard electrochemical redox potential)が高いとよい。つまり、前記酸化剤が、相変化メモリデバイスの相変化材料よりも、高い標準電気化学的酸化還元電位を有すると好ましい。
【0056】
酸化剤としても特に制限はなく、過化合物(per−compound)、鉄または鉄化合物を含むと好ましく、過化合物を含むとより好ましい。酸化剤は単独で用いても、混合物として用いてもよい。
【0057】
本明細書中の「過化合物」は、1以上のペルオキシ基(−O−O−)を含む化合物または最も高い酸化状態にある元素を含む化合物を含むと好ましく、より好ましくは1以上のペルオキシ基(−O−O−)を含む化合物である。本発明で使用される過化合物は、有機または無機いずれであってもよい。
【0058】
ここで、1以上のペルオキシ基(−O−O−)または最も高い酸化状態にある元素を含む化合物は、過酸化水素、ウレア過酸化水素、過炭酸塩、過酸化ベンゾイル、過酢酸、ジ−t−ブチル−ペルオキシド、モノ過硫酸塩(SO)、ジ過硫酸塩(S)もしくはこれらの塩またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の化合物を含むと好ましい。
【0059】
ここで、「塩」としても特に制限されないが、ナトリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩などが好ましく例示できる。なお、本明細書中に記載の「塩」は、特に制限のない限り、これらの塩が同様に好ましく例示できる。
【0060】
最も高い酸化状態にある元素を含む化合物は、過ヨウ素酸、過臭素酸、過塩素酸、過ホウ酸、過マンガン酸塩もしくはこれらの塩またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種であると好ましい。
【0061】
鉄または鉄化合物は、金属の鉄または分子構造中に鉄を含む化合物を含むと好ましい。
【0062】
本発明において使用される安定な酸化剤の例として、特に制限はないが、過酸化水素、モノ過硫酸塩、ジ過硫酸塩、イオン性鉄化合物、鉄キレート化合物またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種であると好ましく、過酸化水素がより好ましい。
【0063】
ここで、過酸化水素とは、予め過酸化水素と、1以上の他の材料(例えば、ラジカル発生触媒)とを反応させることにより得られる付加化合物をも含む。過酸化水素またはその付加化合物は、研磨の前後で、環境汚染を起こすことなく相変化材料の組成物に何らの変化も加えることなく、相変化材料の表面状態を綺麗にする役割に有利に働く。
【0064】
酸化剤として、モノ過硫酸塩、ジ過硫酸塩、イオンの鉄化合物または鉄キレート化合物を使用すると、相変化材料が高速で研磨されうるという観点で有利である。
【0065】
酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、イオン性鉄化合物、鉄キレート化合物としては、プロピレンジアミン四酢酸−Fe(錯体)、プロピレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム、FeClなどが挙げられる。
【0066】
酸化剤の含有量としても特に制限はないが、スラリー組成物中で、スラリー組成物の総質量に対して、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%である。かような範囲であると、相変化材料を適度にエッチングすることができる点で好ましい。
【0067】
[CMPスラリー組成物のpH]
本発明のCMPスラリー組成物のpHにも特に制限はないが、好ましくはpH2〜10、より好ましくはpH2〜9、さらに好ましくはpH2〜5である。
【0068】
本発明のスラリー組成物は、上記した範囲になるようにさらにpH調節剤を含んでもよい。pH調節剤としても特に制限はないが、硝酸、リン酸、硫酸、塩酸、pKa6以下を有する有機カルボン酸またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の酸を含むと好ましい。このように、pH調節剤は、無機酸であっても、有機酸であってもよい。
【0069】
<本発明の第2>
本発明の第2は、相変化材料層と、脱イオン水および窒素化合物を含むCMPスラリー組成物と、を接触させることを含む、相変化材料層を含む相変化メモリデバイスの研磨方法である。
【0070】
本発明の第2において用いられるCMPスラリー組成物は、上記本発明の第1において説明したものがすべて含まれる。例えば、本発明の第2におけるCMPスラリー組成物は脱イオン水および窒素化合物を含むが、その他に、研磨剤粒子、酸化剤およびこれらの組み合わせ等を含んでもよい。
【0071】
相変化材料層を含む相変化メモリデバイスの研磨方法として、相変化材料層と、脱イオン水および窒素化合物を含むCMPスラリー組成物と、を接触させることを含めば、他は特に制限されないが、例えば以下の態様が考えられる。
【0072】
本発明の相変化材料層を含む相変化メモリデバイスの研磨方法の一態様によると、絶縁材料を半導体ウエハに塗布し、絶縁層を形成し、前記絶縁層を平坦化して、前記平坦化された絶縁層をパターニングし、相変化材料を、前記パターニングされた絶縁層に塗布し、相変化材料層を作成し、前記CMPスラリー組成物を相変化材料層に接触させ、前記絶縁層が露出するまで、相変化材料層を研磨する。かようにして、相変化メモリデバイスを作製する。
【0073】
ここで、絶縁材料としては特に制限されないが、例えば、酸化ケイ素(SiO)などが挙げられる。絶縁材料を半導体ウエハに塗布する方法にも特に制限はないが、例えば、蒸着法などがある。塗布の条件にも特に制限はなく、従来公知の知見を適宜参照し、あるいは組み合わせて、設定することができる。
【0074】
形成された絶縁層の厚さも特に制限はない。所望の厚さに制御すればよく、例えば実施例の欄を参照するとよい。パターニングの方法にも特に制限はなく、従来公知の知見を適宜参照し、あるいは組み合わせて、行うことができる。相変化材料層を作製する方法も特に制限はないが、例えば、蒸着法などがある。この際の条件も、従来公知の知見を適宜参照し、あるいは組み合わせて、設定することができる。
【0075】
また、本発明の一態様によると、CMPスラリー組成物を回転研磨パッドに塗布させ、前記研磨パッドを、所定の圧力下で相変化材料層に接触し、摩擦力により相変化材料層の部分を研磨することにより、相変化材料層を研磨する。かようにして、相変化メモリデバイスを作製する。
【0076】
ここで、回転研磨パッドは、従来公知の市販品等を用いればよい。このような市販品の研磨装置を使用する場合の各種条件(ダウンプレッシャー(圧力)、スラリー流速、テーブルスピード、主軸速度等)は、CMPの用途において設定される条件であれば特に制限はされず従来公知の知見が参照され、あるいは組み合わせて設定することができる。詳細は、実施例の欄に記載の内容等を参酌し、適宜組み合わせて設定することができる。
【0077】
<本発明の第3>
本発明の第3は、第2における研磨方法により研磨されてなる、相変化メモリデバイスである。
【0078】
本発明の第3においても、無論上記第1および第2で説明した内容が同様に妥当するため、上記で行った説明については省略する。
【0079】
第2における研磨方法により研磨されてなる、相変化メモリデバイス(以下、「本発明の第3により研磨されてなる、相変化メモリデバイス」とも称する)は、好ましくは、175Åの腐食、150Åの腐食端部(edge over erosion)、100Åのディッシングおよび150Åの粗さ(R)を示す、合金またはカルコゲニドを含む。本発明の第3により研磨されてなる、相変化メモリデバイスは、より好ましくは、150Åの腐食、120Åの腐食端部、80Åのディッシングおよび120Åの粗さ(R)を示す、合金またはカルコゲニドを含む。なお、かような腐食、腐食端部、ディッシングおよび粗さは、少なければ少ないほどよいのは言うまでもない。具体的には、腐食は、好ましくは175Å以下、より好ましくは150Å以下である。また、腐食端部は、好ましくは150Å以下、より好ましくは120Å以下である。ディッシングは、好ましくは100Å以下、より好ましくは80Å以下である。粗さは、好ましくは150Å以下、より好ましくは120Å以下である。
【実施例】
【0080】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」である。
【0081】
<実施例1−2および比較例1−2>
[ブランケットウエハの研磨の評価]
下記表1で示される組成物を有するスラリーを準備した。
【0082】
研磨剤粒子として、一次粒子の平均粒径15nm、平均比表面積200m/gを有するヒュームド・シリカ粒子を、スラリー組成物に対して0.5質量%使用した。
【0083】
実施例1および2においては、ヒュームド・シリカ粒子を均一に、脱イオン水に分散させ、窒素化合物としてトリエチルアミン(TEA)を使用した。一方で、実施例2および比較例2は、酸化剤として過酸化水素を使用し、硝酸は、スラリー組成物を最終pH2.5に調節するために使用した。
【0084】
【表1】

【0085】
これらスラリー組成物を、以下の研磨条件で、相変化材料が蒸着したブランケットウエハを研磨すべく使用した後、相変化材料におけるスラリー組成物の研磨パフォーマンスを評価した。結果を表2に示す。
【0086】
なお、相変化材料として、GeSbTe(GST)、すなわち、ゲルマニウム(Ge):アンチモン(Sb):テルル(Te)(2:2:5)を使用した。相変化材料をD.Cマグネトロンスパッタリングにより、ブランケットウエハに蒸着し、5,000Å厚の層を形成した。
【0087】
15,000Å厚 PETEOS 酸化ケイ素膜を、研磨停止層として使用し、IC1000/Suba IV CMP pad (Rodel社)を研磨パッドとして使用した。
【0088】
相変化材料層は、200mm MIRRA研磨機(アプライドマテリアルズ(AMAT)製)を使用して、ダウンプレッシャーが1.5psiで、スラリー流速が200mL/分、1分間あたり、テーブルスピード100rpm、主軸速度100rpmで研磨を行った。
【0089】
【表2】

【0090】
表2の通り、比較例1および2のスラリー組成物と比較して、窒素化合物を含む実施例1および2のスラリー組成物は、GST層において速い研磨速度を示し、GST層と、酸化ケイ素膜との研磨速度における選択性が有意に向上した。
【0091】
窒素化合物および酸化剤の組み合わせを含むスラリー組成物(実施例2)において、酸化剤の添加は、GST層における研磨速度の向上にはそれほどは繋がらなかったが、GST層における研磨非均一性を有意に減少させた。
【0092】
研磨非均一性は、下記式により算出される。
【0093】
【数1】

【0094】
研磨速度は、49−point polar map 法を使って、ウエハの中心から表面全体に亘り測定した。
【0095】
非均一性が低い値であるということは、研磨がより均一に行われたことを意味する。
【0096】
<実施例3−6>
スラリー組成物は、窒素化合物の種類と成分を表3に示すようにした以外は、実施例1と同様の方法により調製され、GSTにおけるスラリー組成物の研磨特性(すなわち、研磨速度)は、脂肪族アミンのアルキル基に含まれる炭素原子の数、具体的には、ターシャリーアルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミンおよびトリプロピルアミン)、によって比較した。
【0097】
相変化材料が蒸着されたブランケットウエハ上のそれぞれのスラリー組成物の研磨速度は、実施例に記載の手順により測定した。結果を表3に示す。
【0098】
【表3】

【0099】
表3の結果は、実施例3〜6のスラリー組成物は、比較例1および2と比較してGST層上により速い研磨速度を示した。
【0100】
置換の脂肪族アミン(すなわち、トリアルキルアミン)のアルキル基に含まれる炭素原子の数、トリアルキルアミンの成分が増えるにつれ、GST層におけるスラリー組成物の研磨速度は、増加した。
【0101】
<実施例7〜11>
スラリー組成物は、窒素化合物の種類、成分を表4にした以外は、実施例1と同様の方法で調製をした。
【0102】
GSTにおけるスラリー組成物の研磨速度を、窒素化合物の構造によって比較した。
【0103】
相変化材料としてのGSTが蒸着されたブランケットウエハにおける、それぞれのスラリー組成物の研磨速度は、実施例1に記載の手順と同様にして測定した。
【0104】
結果を表4に示す。
【0105】
【表4】

【0106】
表4の結果は、実施例7〜11のスラリー組成物は、比較例1〜2のGST層における研磨速度よりも速いことが分かる。特に、脂肪族アルキルアミンまたはアンモニウム塩基を含むスラリー組成物は、よりよい研磨結果を示す。
【0107】
[パターンウエハの研磨の評価]
半導体パターンにおける、スラリー組成物の研磨パフォーマンスを評価するために、パターンウエハを以下の手順により作製した。
【0108】
工程1:窒化ケイ素(SiN)を蒸着して、厚さ850Åにした。
【0109】
工程2:酸化ケイ素(SiO)を蒸着して、厚さ1,500Åにした。
【0110】
工程3:この酸化ケイ素(SiO)膜のパターンを形成した。
【0111】
工程4:相変化材料(GeSbTe)を蒸着して、厚さ2,000Åにした。
【0112】
この酸化ケイ素膜は、パターン領域における停止層として使用した。パターンウエハ上の実施例1〜3の組成物の研磨パフォーマンスを評価した。
【0113】
GSTにおける比較例1〜2の組成物の研磨速度は、あまりに遅すぎてパターンの状態を評価することができなかった。
【0114】
なお、評価は、パターンウエハにおいて、研磨時間を変えた以外は、実施例1と同様の研磨条件下で行った。
【0115】
過研磨(over polishing)(30%)後、EPDシステムを使って、視覚によって終点検出(EPD)を測定し、パターン領域を腐食、ディッシングおよび粗さの観点で観測した。結果を表5に示す。
【0116】
【表5】

【0117】
パターン研磨後、実施例1の組成物は、腐食、腐食端部およびディッシング評価においてよい結果を示した。残渣は、少量のみ観測され、EPDの後の過研磨時間を制御することで十分に除去できる量であった。
【0118】
実施例2の組成物を使ったパターン研磨をした後は残渣が残らなかった。実施例2の組成物は、パターン領域における粗さの点で非常によいパフォーマンスを示した。パターンの端部は、少しだけ腐食したが、許容できるレベル(200Å)を下回り、問題を生じなかった。
【0119】
実施例1の組成物よりも窒素化合物の量を少しだけ多くした実施例3の組成物は、腐食およびディッシングが少しだけ増加したが、残渣および粗さの評価の点で、よい結果であった。
【0120】
上記結果より、実施例1〜3の組成物は、GST研磨に適し、優れたパターン研磨特性を示した。
【0121】
[さらなるブランケットウエハの研磨の評価]
<実施例12−16および比較例3−7>
表1Aに示す組成物を有するスラリーを、研磨剤粒子を含まない脱イオン水を使って調製した。トリエチルアミン(TEA)を、実施例12〜16において窒素化合物として使用した。TEA成分および酸化剤成分の種類を、スラリー組成物によって変えた。また、硝酸は、すべてのスラリー組成物の最終pHを3.5にするために使用した。
【0122】
【表6】

【0123】
それぞれのスラリー組成物を使って、相変化材料が蒸着されたブランケットウエハを以下の研磨条件下により研磨した後、相変化材料のスラリー組成物の研磨パフォーマンスを評価した。結果を表2Aに示す。
【0124】
相変化材料として、GeSbTe(GST)、ゲルマニウム(Ge):アンチモン(Sb):テルル(Te)(2:2:5)を使用した。相変化材料をD.Cマグネトロンスパッタリングで蒸着し、2,000Å厚の層を形成した。15,000Å−厚 PETEOS 酸化ケイ素膜を研磨停止層として使用し、IC1000/SubaIV CMP pad (Rodel社)を研磨パッドとして使用した。
【0125】
相変化材料層を、200mm MIRRA研磨機(アプライドマテリアルズ(AMAT)製)を使って、3.0psiのダウンプレッシャー、スラリー流速200mL/分、1分あたり、テーブル速度100rpm、主軸速度100rpmにして、研磨した。
【0126】
【表7】

【0127】
表2Aから分かる通り、窒素化合物およびそれに対応する酸化剤の組み合わせを含む実施例12〜16のスラリー組成物は、GST層上で速い研磨速度を示し、比較例3〜7のスラリー組成物と比較すると、GST層および酸化ケイ素膜の間で、研磨速度において非常に向上した研磨選択性(SiOと比較すると、100を超える)を示した。
【0128】
加えて、実施例12〜16のスラリー組成物は、比較例3〜7のスラリー組成物よりもGST層上で低い研磨不均一性を示した。
【0129】
研磨非均一性は、以下の式で算出される。
【0130】
【数2】

【0131】
研磨速度は、49−point polar map 法を使ってウエハの中心から表面全体に亘って測定した。
【0132】
非均一性の低い値は、研磨がより均一に行われたことを意味する。
【0133】
<実施例17〜24>
スラリー組成物は、窒素化合物の種類と成分を表3Aに示すように変えた以外は、実施例15と同様に行った。
【0134】
GSTにおけるスラリー組成物の研磨特性(すなわち、研磨速度)を窒素化合物の種類および成分によって比較した。
【0135】
相変化材料が蒸着したブランケットウエハにおけるそれぞれのスラリー組成物の研磨速度は、実施例15に記載の手順によって測定した。結果を表3Aに示す。
【0136】
【表8】

【0137】
表3Aの結果は、アンモニウム塩基を含むスラリー組成物は、アルコール基に置換した脂肪族アミンを含むものよりもGST層における高い研磨速度を示したことが示唆される。
【0138】
[さらなる、パターンウエハにおける研磨評価]
半導体パターンにおけるスラリー組成物の研磨パフォーマンスを実際に評価するため、パターンウエハを以下の手順にて行った。
【0139】
工程1:窒化ケイ素(SiN)を蒸着し、厚さ850Åにした。
【0140】
工程2:酸化ケイ素(SiO)を蒸着し、厚さ1,500Åにした。
【0141】
工程3:酸化ケイ素(SiO)膜にパターンを形成にした。
【0142】
工程4:相変化材料(GeSbTe)を蒸着し、厚さ2,000Åにした。
【0143】
酸化ケイ素膜は、パターン領域における停止層として使用した。
【0144】
実施例13〜15および比較例4〜8のパターンウエハにおける研磨パフォーマンスを評価した。
【0145】
評価は、研磨時間を変えた以外は、実施例12に記載の研磨条件と同様の条件下でパターンウエハにおいて行った。
【0146】
過研磨(50%)を行って、EPDシステムを使って視覚による終点検出(EPD)時間を測定した後、パターン領域を腐食、ディッシングおよび粗さの観点で評価した。結果を表4Aに示す。
【0147】
【表9】

【0148】
表4Aによれば、窒素化合物および酸化剤を含む実施例13〜15のスラリー組成物は、比較例3〜7のそれよりも腐食、EOE、ディッシング、残渣および粗さの評価の点で、かなりよい結果を示したことが示唆される。
【0149】
上記記載より明らかな通り、本発明は、相変化メモリデバイスの研磨用CMPスラリー組成物、および、CMPスラリー組成物を使って相変化メモリデバイスを研磨する方法を提供する。
【0150】
本発明のスラリー組成物によれば、高速で相変化メモリデバイスを研磨でき相変化メモリ材料および研磨停止層(例えば、酸化ケイ素膜)の間の研磨選択性を有意に向上させ、工程における欠陥(例えばディッシングおよび腐食)の発生を最小限化し、高質な研磨された表面を提供することができる。研磨後、本発明の組成物は、腐食、EOEおよびディッシングの点でよい結果を示すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱イオン水および窒素化合物を含む、相変化メモリデバイスの化学機械研磨(CMP)用スラリー組成物。
【請求項2】
前記相変化メモリデバイスが、合金またはカルコゲニドを含む、請求項1に記載のスラリー組成物。
【請求項3】
前記相変化メモリデバイスが、InSe、SbTe、GeTe、GeSbTe、InSbTe、GaSeTe、SnSbTe、InSbGe、AgInSbTe、(GeSn)SbTe、GeSb(SeTe)またはTe81Ge15Sbから選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1または2に記載のスラリー組成物。
【請求項4】
前記窒素化合物が、脂肪族アミン、芳香族アミン、アンモニウム塩、アンモニウム塩基またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項5】
前記脂肪族アミンが、第1級アミン、第2級アミンまたは第3級アミンを含む、請求項4に記載のスラリー組成物。
【請求項6】
前記脂肪族アミンが、第2級アミンまたは第3級アミンを含む、請求項5に記載のスラリー組成物。
【請求項7】
前記脂肪族アミンが、少なくとも1種のアルキル基またはアルコール基を含む、請求項5に記載のスラリー組成物。
【請求項8】
前記脂肪族アミンが、少なくとも1種のアルキル基を含む、請求項7に記載のスラリー組成物。
【請求項9】
前記脂肪族アミンが、少なくとも1つの置換基を有し、該1つの置換基は、1〜7の炭素原子を含む、請求項4〜8のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項10】
前記脂肪族アミンが、複素環化合物をさらに含む、請求項4〜9のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項11】
前記複素環化合物が、ピペラジン化合物を含む、請求項10に記載のスラリー組成物。
【請求項12】
前記アンモニウム塩またはアンモニウム塩基が、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、それらの塩またはこれらの組み合わせから選択される、少なくとも1種の化合物を含む、請求項4〜11のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項13】
前記窒素化合物の含有量が、スラリー組成物の総質量に対して、0.001〜5質量%である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項14】
研磨剤粒子をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項15】
前記研磨剤粒子が、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、セリア(CeO)およびジルコニア(ZrO)からなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物粒子、合成高分子粒子またはそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載のスラリー組成物。
【請求項16】
前記研磨剤粒子が、一次粒子の平均粒径1〜200nmであり、平均比表面積10〜500m/gである、請求項14または15に記載のスラリー組成物。
【請求項17】
前記研磨剤粒子の含有量が、スラリー組成物の総質量に対して、0.01〜30質量%である、請求項14〜16のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項18】
酸化剤をさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項19】
前記酸化剤が、相変化メモリデバイスの相変化材料よりも、高い標準電気化学的酸化還元電位を有する、請求項18に記載のスラリー組成物。
【請求項20】
前記酸化剤が、過化合物、鉄または鉄化合物を含む、請求項18または19に記載のスラリー組成物。
【請求項21】
前記酸化剤が、過化合物を含む請求項18〜20のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項22】
前記過化合物が、1以上のペルオキシ基(−O−O−)を含む化合物または最も高い酸化状態にある元素を含む化合物である、請求項20または21に記載のスラリー組成物。
【請求項23】
前記過化合物が、1以上のペルオキシ基(−O−O−)を含む化合物である、請求項20〜22のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項24】
前記1以上のペルオキシ基(−O−O−)を含む化合物が、過酸化水素、ウレア過酸化水素、過炭酸塩、過酸化ベンゾイル、過酢酸、ジ−t−ブチル−ペルオキシド、モノ過硫酸塩(SO)、ジ過硫酸塩(S)もしくはこれらの塩またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項22または23に記載のスラリー組成物。
【請求項25】
前記最も高い酸化状態にある元素を含む化合物が、過ヨウ素酸、過臭素酸、過塩素酸、過ホウ酸、過マンガン酸塩もしくはこれらの塩またはこれらの組み合わせから選択される、請求項22〜24のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項26】
前記鉄または鉄化合物が、金属の鉄または分子構造中に鉄を含む化合物を含む、請求項20〜25のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項27】
前記酸化剤が、過酸化水素、モノ過硫酸塩、ジ過硫酸塩、イオン性鉄化合物、鉄キレート化合物またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項18に記載のスラリー組成物。
【請求項28】
前記酸化剤が、過酸化水素を含む、請求項18に記載のスラリー組成物。
【請求項29】
前記酸化剤の含有量が、スラリー組成物の総質量に対して、0.01〜10質量%である、請求項18〜28のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項30】
研磨剤粒子および酸化剤をさらに含む、請求項1〜29のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項31】
前記スラリー組成物が、pH2〜10を有する、請求項1〜30のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項32】
pH調節剤をさらに含む、請求項1〜31のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項33】
前記pH調節剤が、硝酸、リン酸、硫酸、塩酸、pKa6以下を有する有機カルボン酸またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の酸を含む、請求項32に記載のスラリー組成物。
【請求項34】
相変化材料層と、脱イオン水および窒素化合物を含むCMPスラリー組成物と、を接触させることを含む、相変化材料層を含む相変化メモリデバイスの研磨方法。
【請求項35】
前記CMPスラリー組成物が、さらに研磨剤粒子を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記CMPスラリー組成物が、さらに酸化剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記CMPスラリー組成物が、さらに研磨剤粒子および酸化剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
絶縁材料を半導体ウエハに塗布し、絶縁層を形成し、
前記絶縁層を平坦化して、
前記平坦化された絶縁層をパターニングし、
相変化材料を、前記パターニングされた絶縁層に塗布し、相変化材料層を作成し、
前記CMPスラリー組成物を相変化材料層に接触させ、前記絶縁層が露出するまで、相変化材料層を研磨することにより、相変化メモリデバイスを作製する、請求項34〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記CMPスラリー組成物を回転研磨パッドに塗布させ、
前記研磨パッドを、所定の圧力下で相変化材料層に接触し、摩擦力により相変化材料層の部分を研磨することにより、相変化材料層を研磨する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
請求項34〜39のいずれか1項に記載の方法により研磨されてなる、相変化メモリデバイス。
【請求項41】
175Åの腐食、150Åの腐食端部、100Åのディッシングおよび150Åの粗さ(R)を示す、合金またはカルコゲニドを含む、相変化メモリデバイス。
【請求項42】
150Åの腐食、120Åの腐食端部、80Åのディッシングおよび120Åの粗さ(R)を示す、合金またはカルコゲニドを含む、請求項41に記載の、相変化メモリデバイス。
【請求項43】
相変化メモリデバイスが、InSe、SbTe、GeTe、GeSbTe、InSbTe、GaSeTe、SnSbTe、InSbGe、AgInSbTe、(GeSn)SbTe、GeSb(SeTe)またはTe81Ge15Sbの少なくとも1種の化合物を含む、請求項41または42に記載の相変化メモリデバイス。

【公開番号】特開2013−12747(P2013−12747A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167186(P2012−167186)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【分割の表示】特願2008−163546(P2008−163546)の分割
【原出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(308010354)第一毛織株式会社 (14)
【Fターム(参考)】