説明

真空ピンセットおよび真空吸着方法

【課題】手作業による操作ミスがあったとしても被処理体の吸着ミスを防止し、確実に吸着・脱着動作を行うことが可能な真空ピンセットを提供する。
【解決手段】本発明の真空ピンセットは、長尺状の本体2と、前記本体の一端部に設けられ、平板状の被処理体を吸着し保持する第一機能部10、および、前記被処理体とは異なる対象物の有無を識別する第二機能部20と、を少なくとも備えた真空ピンセット1A(1)であって、前記第二機能部における前記対象物の有無の識別結果に基づき、前記第一機能部における前記被処理体の吸着条件を切り替える制御手段30を有すること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ピンセットおよび真空吸着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の分野においては、製造工程、検査工程等において、半導体ウエハを吸着するために、真空ピンセットが使用されている。真空ピンセット100は、例えば図6に示すように、ハンドル形状の本体101に設けられた操作ボタン102を押すことによって、真空ポンプ等の真空導入部から通じる真空が吸着部103に達し、ウエハWを吸着する構成が一般的である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
真空ピンセットを用いての作業においては、吸着部103の先端でウエハWを吸着するため、図6に示すように本体101を持ち指先で操作ボタン102を押すことにより真空吸着のON、OFFを切り替える。
しかしながら、従来技術では真空ピンセットを押さえる指の操作を誤ったときに吸着物を落としてしまうという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-107017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、手作業による操作ミスがあったとしても被処理体の吸着ミスを防止し、確実に吸着・脱着動作を行うことが可能な真空ピンセットを提供することを第一の目的とする。
また、本発明は、真空ピンセットの手作業による操作ミスがあったとしても操作ミスによる被処理体の吸着ミスを防止し、確実に吸着・脱着動作を行うことが可能な真空吸着方法を提供することを第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の真空ピンセットは、長尺状の本体と、前記本体の一端部に設けられ、平板状の被処理体を吸着し保持する第一機能部、および、前記被処理体とは異なる対象物の有無を識別する第二機能部と、を少なくとも備えた真空ピンセットであって、前記第二機能部における前記対象物の有無の識別結果に基づき、前記第一機能部における前記被処理体の吸着条件を切り替える制御手段を有すること、を特徴とする。
本発明の請求項2に記載の真空ピンセットは、請求項1において、前記第二機能部は、受信部を備えていること、を特徴とする。
本発明の請求項3に記載の真空ピンセットは、請求項2において、前記第二機能部は、発信部を備えていること、を特徴とする。
本発明の請求項4に記載の真空吸着方法は、本体の一端部に設けられ、平板状の被処理体を吸着し保持する第一機能部、および、前記被処理体とは異なる対象物の有無を識別する第二機能部と、を少なくとも備えた真空ピンセットを用いた真空吸着方法であって、前記第二機能部における前記対象物の有無の識別結果に基づき、前記第一機能部における前記被処理体の吸着条件を切り替える制御手段を用いて、前記第一機能部と前記被処理体との間の着脱動作を行うこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の真空ピンセットは、平板状の被処理体を吸着し保持する第一機能部、および前記被処理体とは異なる対象物の有無を識別する第二機能部を備え、前記第二機能部における前記対象物の有無の識別結果に基づき、前記第一機能部における前記被処理体の吸着条件を切り替える制御手段を有している。被処理体の吸着条件の切り替えを、前記第二機能部における前記対象物の有無の識別結果によって制御することで、万が一、手作業による操作ミスがあったとしても被処理体の吸着ミスを防止することができる。これにより本発明では、確実に吸着・脱着動作を行うことが可能な真空ピンセットを提供することができる。
また、本発明の真空吸着方法では、平板状の被処理体を吸着し保持する第一機能部、および、前記被処理体とは異なる対象物の有無を識別する第二機能部と、を少なくとも備えた真空ピンセットを用いるとともに、前記第二機能部における前記対象物の有無の識別結果に基づき、前記第一機能部における前記被処理体の吸着条件を切り替える制御手段を用いて、前記第一機能部と前記被処理体との間の着脱動作を行っている。被処理体の吸着条件の切り替えを、前記第二機能部における前記対象物の有無の識別結果によって制御することで、万が一、手作業による操作ミスがあったとしても被処理体の吸着ミスを防止することができる。これにより本発明では、手作業による操作ミスがあったとしても、被処理体の吸着ミスを防止し、確実に吸着・脱着動作を行うことが可能な真空吸着方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の真空ピンセットの一構成例(第一実施形態)を模式的に示す図。
【図2】半導体製造装置において、ステージ部分を模式的に示す図。
【図3】ステージに半導体基板が載置されるとともに座繰りに真空ピンセットの先端部が挿入された状態を模式的に示した図。
【図4】本発明の真空ピンセットの一構成例(第二実施形態)を模式的に示す図。
【図5】ステージに半導体基板が載置されるとともに座繰りに真空ピンセットの先端部が挿入された状態を模式的に示す断面図。
【図6】従来の真空ピンセットの一構成例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る真空ピンセットおよび真空吸着方法の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
以下、本発明の第一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の真空ピンセットの一構成例を模式的に示す図であり、図1(a)は真空ピンセットの平面図、図1(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
本発明の真空ピンセット1A(1)は、長尺状の本体2と、前記本体2の一端部に設けられ、平板状の被処理体を吸着し保持する第一機能部10、および、前記被処理体とは異なる対象物の有無を識別する第二機能部20と、を少なくとも備える。
本発明の真空ピンセット1A(1)は、把持部である本体2と、平板状の被処理体を吸着し保持する吸着面からなる第一機能部10を主な構成要素としている。
【0011】
まず、本発明の真空ピンセット1A(1)の全体構成を説明する。
本発明の真空ピンセット1A(1)は、図1に示すように、本体2と本体2の一方の端部に設けられた第一機能部10とから構成されている。第一機能部10は、平板状の被処理体を吸着するための吸着孔11が設けられている。
なお、平板状の被処理体として、ここでは半導体基板Wを例として挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0012】
本体2の他方の端部には、真空引き用ホース18が設けられている。真空引き用ホース18は、図示しない真空ポンプに接続されている。また、真空引き用ホース18と吸着孔11とは、吸引流路19で接続されている。
さらに、本体2には操作ボタン3が設けられており、該操作ボタン3を手作業で押すことによって真空引き用ホース18から通じる真空が吸着孔11に達し、被処理体を吸着する構成となっている。
【0013】
第一機能部10は平坦なプラスチック材質で構成されている。第一機能部10の材質は高度の耐熱性及び耐薬品性を備えた合成樹脂材の使用が望ましく、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)などの使用が可能である。
【0014】
そして本発明の真空ピンセット1A(1)は、前記被処理体(半導体基板W)とは異なる対象物の有無を識別する第二機能部20と、前記第二機能部20における前記対象物の有無の識別結果に基づき、前記第一機能部10における前記被処理体の吸着条件を切り替える制御手段30を有する。
【0015】
本発明では、被処理体の吸着条件の切り替えを、前記第二機能部20における前記対象物の有無の識別結果によって制御することで、万が一、手作業による操作ミスがあったとしても被処理体の吸着ミスを防止することができる。これにより本発明では、手作業による操作ミスがあったとしても、被処理体の吸着ミスを防止し、確実に吸着・脱着動作を行うことが可能である。
【0016】
第二機能部20は、前記被処理体とは異なる対象物の有無を識別する。
本実施形態の真空ピンセット1A(1)において、前記第二機能部20は、受信部を備えている。具体的には、例えば被処理体とは異なる対象物に、信号を発信する発信部を設け、真空ピンセット1に前記信号を感知する受信部を設ける。
【0017】
被処理体とは異なる対象物としては、例えば、半導体基板W(被処理体)を載置するステージ50(図2)、半導体基板Wを搬送するキャリヤ(不図示)、被処理体である半導体基板W以外の半導体基板(不図示)、等が挙げられる。
前記信号としては、特に限定されるものではないが、例えば光、磁気、電流などの電磁気的信号、熱的信号、機械的信号、超音波などの音的信号、等が挙げられる。
【0018】
以下、具体的に説明する。なお、ここでは、被処理体である半導体基板Wを半導体製造装置のステージ50に置く場合を例として挙げている。
図2は、半導体製造装置において、ステージ部分を模式的に示す図であり、図2(a)はステージの平面図、図2(b)は(a)に示すX-X線における断面図である。
また、図3は、ステージ50に半導体基板Wが載置されるとともに座繰り51に真空ピンセット1A(1)の先端部が挿入された状態を模式的に示す図であり、図3(a)はステージの平面図、図3(b)は(a)に示すY−Y線における断面図である。
本実施形態において、半導体製造装置のステージ50には、真空ピンセット1A(1)の先端部(第一機能部10)を挿入することができる座繰り51が設けられており、この座繰り51の底面に発信部として発光素子52が配されている。
【0019】
一方、真空ピンセット1A(1)に、受信部として受光センサ21を設けている。この受光センサ21により、発光素子52から発光される光を検知する。受光センサ21は、例えば、本体2の第一機能部10において、吸着孔11が設けられた側とは反対側の面に設けられているが、これに限定されるものではない。発光素子52と受光センサ21とを対面配置させることで、発光素子52(発信部)から発光される光の光量を、受光センサ21(受信部)で容易に検出することができる。
【0020】
制御手段30は、前記第二機能部20における前記対象物の有無の識別結果に基づき、前記第一機能部10における前記被処理体(半導体基板W)の吸着条件を切り替える。
制御手段30は、発光素子52からの光を検出した受光センサ21からの信号を受け取り、該受光センサ21が検出した光量に応じて第一機能部10の吸着条件を切り替える。すなわち、操作ボタン3を手作業で操作することによって吸着条件を切り替えることのできる空間範囲を、発光素子52(発信部)からの光(信号)を受光センサ21(受信部)が受信できる範囲に限定し、それ以外の空間範囲では、手作業による吸着条件の切り替えを制限する。これにより受光センサ21が発光素子52からの光を検出しない場所で手作業により誤操作しても(例えば誤って操作ボタン3をOFFにしてしまっても)、吸着条件は切り替わらず(吸着OFFにはならず)、被吸着物の吸着を維持させることができる。
【0021】
このような制御手段30として、真空ピンセット1A(1)に内蔵されたIC等であってもよいし、また、真空ピンセット1の外部に接続されたコンピュータ装置であってもよい。ここでは、制御手段30として真空ピンセット1A(1)の外部に接続されたコンピュータ装置31を用いた場合を例として示している。
さらに、制御手段30は、発信部から発生した信号の、受信部における検出量に応じて、第一機能部10における前記被処理体の吸着条件を制御することが好ましい。これにより、より優れた吸着を行うことができる。さらに、受光センサ21で検出する受光量と、予め設定された所定の閾値との大きさを比較し、その結果に基づいて第一機能部10の吸着条件を制御することが好ましい。これにより、室内の照明光などで誤動作することなく、被吸着物の吸着を維持させることができる。
【0022】
次に、このような真空ピンセット1A(1)を用いた、真空吸着方法について説明する。
本発明の真空吸着方法は、前記本体2の一端部に設けられ、平板状の被処理体(半導体基板W)を吸着し保持する第一機能部10、および、前記被処理体とは異なる対象物の有無を識別する第二機能部20と、を少なくとも備えた真空ピンセットを用いた真空吸着方法であって、前記第二機能部20における前記対象物の有無の識別結果に基づき、前記第一機能部10における前記被処理体の吸着条件を切り替える制御手段30を用いて、前記第一機能部10と前記被処理体との間の着脱動作を行うこと、を特徴とする。
【0023】
本発明の真空吸着方法では、前記第二機能部20における前記対象物の有無の識別結果に基づき、前記第一機能部10における前記被処理体の吸着条件を切り替える制御手段30を用いて、前記第一機能部10と前記被処理体との間の着脱動作を行っている。
被処理体の吸着条件の切り替えを、前記第二機能部20における前記対象物の有無の識別結果によって制御することで、万が一、手作業による操作ミスがあったとしても被処理体の吸着ミスを防止することができる。これにより本発明では、手作業による操作ミスがあったとしても、被処理体の吸着ミスを防止し、確実に吸着・脱着動作を行うことが可能である。
【0024】
図2および図3に示す半導体製造装置において、真空ピンセット1A(1)の操作ボタン3をONにした状態で、半導体基板W(被処理体)の裏面側を第一機能部10で吸着する。ステージ50の座繰り51に真空ピンセット1の先端を入れるようにして半導体基板Wを移動する。
真空ピンセット1A(1)に設けられた受光センサ21(受信部)により、発光素子52(発信部)から発光された光を検知する。発光素子52からの光を検出し、制御部30は、受光センサ21が検出した光量に応じて第一機能部10の吸着条件を切り替える。例えば受光センサ21が発光素子52からの光を検出することで吸着をOFFにする。これにより例えば、受光センサ21が発光素子52からの光を検出しない場所で手作業により誤操作しても(例えば誤って操作ボタン3をOFFにしてしまっても)、吸着条件は切り替わらず(吸着OFFにはならず)、半導体基板Wの吸着を維持させることができる。このとき、吸着条件がOFFのとき操作ボタンをOFFに操作してしまうと被処理体の吸着が外れてしまう虞があるので、吸着条件とボタン操作の両方が合ったときのみに切り替わることが好ましい。
【0025】
なお、上述した実施形態では、発光素子52(発信部)から発光される光を検知した場合にのみ、真空ピンセット1の吸着条件の切替えをした場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、上記例と反対に、発光素子52から発光される光が遮光された場合にのみ、真空ピンセット1の吸着条件の切替えができるようにしても構わない。
例えば、クリーンルーム内の蛍光灯の光を受けているときには遮光されていない状態とし、カセットやステージ50に置いたときに遮光された状態と判断できればよい。ステージ50に発光素子52を設ける場合は、座繰り51に遮光板などを設けると光量を下げることができる。
【0026】
<第二実施形態>
次に、本発明に係る第二実施形態を図面に基づいて説明する。
図4は、本実施形態に係る真空ピンセット1B(1)を示す図である。
図4は、本実施形態に係る真空ピンセット1B(1)を模式的に示す図であり、図4(a)は真空ピンセットの平面図、図4(b)は(a)に示すB方向から見た側面図である。なお、ここでは上述した第一実施形態と異なる部分を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
上述した第一実施形態では、半導体製造装置のステージ50に発光素子52(発信部)を設け、真空ピンセット1の第二機能部20に受光センサ21(受信部)を設けていたが、本実施形態では、真空ピンセット1B(1)の第二機能部20において、受信部に加えて発信部を備えている。
例えば図4に示す真空ピンセット1B(1)では、第二機能部20において受信部として受光センサ21を備え、さらに発信部として発光素子22を備えている。
【0027】
図5は、半導体製造装置のステージ50に半導体基板Wが載置されるとともに座繰り51に真空ピンセット1B(1)の先端部が挿入された状態を模式的に示す拡大断面図である。
対象物(例えば半導体製造装置のステージ50)が金属等の反射量の高い材質からなる場合、真空ピンセット1B(1)に設けられた発光素子22(発信部)から発光された光を、該ステージ50で反射させ、真空ピンセット1B(1)に設けられた受光センサ21(受信部)により検知する。そして制御部30は、発光素子52が検出した光量に応じて第一機能部10の吸着条件を切り替える。これにより例えば、受光センサ21が発光素子22からの光を検出しない場所で誤って操作しても(例えば誤って操作ボタン3をOFFにしてしまっても)、吸着条件は切り替わらず(吸着OFFにはならず)、半導体基板Wの吸着を維持させることができる。
【0028】
また、本発明では、真空ピンセット1に、受信部として複数の種類のセンサを設けてもよい。
例えば、真空ピンセット1に受信部として圧力センサと受光センサを設けておき、それぞれのセンサの検出結果に応じて吸着と脱着の動作を行う。
具体的には例えば、真空ピンセット1の本体の先端部に圧力センサを設けておく。真空ピンセットを半導体製造装置のステージ上に載置された半導体基板Wに近づけていき、真空ピンセットの先端部が該半導体基板Wに接触したことを該圧力センサで感知し、その結果に基づいて制御部は吸着をONにする。
また、真空ピンセットに受光センサを設けておき、ステージには発光素子を設けておく。真空ピンセット1に設けられた受光センサ21により、発光素子から発光された光を検知する。その結果に基づいて制御部は、吸着をOFFにする。
【0029】
また、本発明の真空ピンセット1では、本体から分岐して複数設けられた第一機能部それぞれに、センサを設けてもよい。
複数のピンセットのそれぞれの第一機能部(吸着部)の吸着面側に、受信部として例えば受光センサを設ける。受光センサを配する部位は、本体先端部の吸着面の中心付近がよい。また、半導体製造装置のステージに発信部として発光素子を設けておく。
そして真空ピンセット1が被処理体である半導体基板Wに近づいていき、受光センサによる受光量が少なくなると、制御部は、吸着をONにする。各真空ピンセットの吸着は独立して動作する。
従来、複数ある真空ピンセットの一つが被処理体以外のものなどに間違って吸着すると他の真空ピンセットも引っ張られてしまい、半導体基板等にあたり、欠けなどを生じる恐れがあるが、このような構成にすることで、上記のような欠けを防止することができるという利点がある。
【0030】
また、本発明の真空ピンセット1では、受信部としての受光センサ21と同じような役割で画像認識による方法を採用することができる。
例えば真空ピンセット1の第二機能部20において受信部として画像認識センサを設ける。一方、半導体製造装置のステージ50には発信部の代わりとなるマークを記しておく。
そして、真空ピンセット1に設けられた画像認識センサにより前記マークを読取る。そして制御部30は、画像認識センサによる前記マークの読み取り結果に応じて第一機能部10の吸着条件を切り替える。これにより万が一、手作業による操作ミスがあったとしても被処理体の吸着ミスを防止することができる。また、本真空ピンセットは、平板状の被処理体に限定されるものではない。被処理体の表面形状に応じて、本真空ピンセットの吸着面の表面形状を適宜制御する等の工夫を施すことにより、例えば、被処理体の表面に凹凸形状が存在しても、本発明を適用することができる。
【0031】
以上、本発明の真空ピンセットおよび真空吸着方法について説明してきたが、本発明は上述した例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、真空ピンセットおよび真空吸着方法に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1A,1B(1) 真空ピンセット、2 本体、3 操作ボタン、10 第一機能部、11 吸着孔、18 真空引き用ホース、19 吸引流路、20 第二機能部、21 受光センサ(受信部)、30 制御手段、50 ステージ(対象物)、51 座繰り、52 発光素子(発信部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の本体と、該本体の一端部に設けられ、平板状の被処理体を吸着し保持する第一機能部、および、前記被処理体とは異なる対象物の有無を識別する第二機能部と、を少なくとも備えた真空ピンセットであって、
前記第二機能部における前記対象物の有無の識別結果に基づき、前記第一機能部における前記被処理体の吸着条件を切り替える制御手段を有すること、を特徴とする真空ピンセット。
【請求項2】
前記第二機能部は、受信部を備えていること、を特徴とする請求項1に記載の真空ピンセット。
【請求項3】
前記第二機能部は、発信部を備えていること、を特徴とする請求項2に記載の真空ピンセット。
【請求項4】
本体の一端部に設けられ、平板状の被処理体を吸着し保持する第一機能部、および、前記被処理体とは異なる対象物の有無を識別する第二機能部と、を少なくとも備えた真空ピンセットを用いた真空吸着方法であって、
前記第二機能部における前記対象物の有無の識別結果に基づき、前記第一機能部における前記被処理体の吸着条件を切り替える制御手段を用いて、前記第一機能部と前記被処理体との間の着脱動作を行うこと、を特徴とする真空吸着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−134315(P2012−134315A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284865(P2010−284865)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】