説明

真空成型用シート

【課題】 三次元被覆成型品の裏面凹凸によるエアー混入がなく、耐熱外観性等に優れた真空成型用シートを提供すること。
【解決手段】 表層にエンボス加工を施した表層フィルム(ア)の下面に接着剤層(イ)を有する真空成型用シート1であって、表層フィルム(ア)が、例えばアクリル系樹脂フィルム(A)であり、かつ接着剤層(イ)が、特定の熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂に、ポリイソシアネート1.5〜2.5当量を配合し硬化したものであり、かつ表層フィルム(ア)に接着している面とは逆の面100に1以上の溝を有し、該溝は、該接着剤層の該逆の面の内側のみに存在して該接着剤層の側面まで通じてはいない溝、および該逆の面において側面まで通じている溝をさらに有することを特徴とする真空成型用シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空成型用シートに関するものであり、詳しくは、三次元被覆成型品の裏面凹凸によるエアー混入がなく、耐熱外観性(50℃×400時間、80℃×400時間)に優れ、また剥離材付きで長期に保存したときシートの外観性の低下がなく、さらに三次元被覆成型品での耐熱接着性(50℃×400時間、80℃×400時間)に優れた真空成型用シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、装飾用途の自動車内外装部品、家電用部品、建材用部品などは、射出成型、真空成型やインモールド成型等の成型加工を施した後、成型品表面をスプレー塗装などで塗料を塗布し、乾燥・加熱硬化させ、成型品の表面保護や着色、装飾等の意匠性を付与する。しかし、この様な塗装は、揮発性有機溶剤の排出に対する作業環境の問題や、成型品ごとの塗布、乾燥、加熱硬化等の作業工程と生産設備が必要となり、生産性が低い問題がある。
【0003】
これに対して、近年、成型加工時に意匠性を有する軟質な熱可塑性樹脂からなる加飾用積層シートを供し、成型品表面に該加飾用積層シートを貼り合わせ、意匠性を有する被覆成型品を得る方法が数多く提案されている。加飾用積層シートは熱成型時の立体変形に追従できるような熱可塑性樹脂で構成されているので、成型時の塗膜の割れや破れ、剥離を生じるなどの問題はなく、塗装工程がないので作業環境や生産性に優れる。
【0004】
真空成型法を採用して上記の被覆成型品を得る方法としては、例えば下記の特許文献1〜3に開示されている。
【0005】
また、特許文献4には、熱成形可能な透明なプラスチックフィルムの一面に装飾層を設け、該装飾層上に、軟化点が80℃で、130℃における損失弾性率が10,000Paで膜厚が20〜150μmの接着剤層を設けたことを特徴とする成形品加飾用成形シートが開示されている。
しかしながら、該特許文献の成形品加飾用成形シートの表面にエンボス加工を施したものを用いて成型した三次元被覆成型品には、裏面凹凸によるエアーが混入するという問題があり、耐熱外観性(50℃×400時間、80℃×400時間)に劣るという問題がある。さらに該特許文献に記載したような接着剤を使用して作成した三次元被覆成型品は、耐熱接着性(50℃×400時間、80℃×400時間)に劣るという問題がある。
【0006】
また、特許文献5には、表面にメッシュ状の連通溝を形成してなる粘着剤層を有する合成樹脂シートを真空ラミネート成形によりアルミニウム製窓枠パネルの表面に被覆する車両用窓枠パネルの製造方法であって、第一の成形室と第二の成形室とを有する真空成形機の両方の成形室を略真空状態にする第1工程、加熱により該合成樹脂製化粧シートを軟化させる第2工程、第ニの成形室内に配置されたアルミニウム製窓枠パネルに軟化した該合成樹脂製化粧シートを被せる第3工程、第一の成形室内の気圧を上昇させ該アルミニウム製窓枠パネルの形状に沿うよう該合成樹脂製化粧シートを加圧する第4工程からなることを特徴とする車両用窓枠パネルの製造方法が開示されている。
しかしながら、該特許文献の合成樹脂シートの表面にエンボス加工を施したものを剥離材付きで長期に保存したとき、合成樹脂シートと剥離材の収縮率の違いにより、外観性が低下するという問題がある。さらに、該特許文献に記載したような接着剤または粘着剤を使用して作成した三次元被覆成型品は、耐熱接着性(50℃×400時間、80℃×400時間)に劣るという問題がある。また該特許文献の合成樹脂シートの表面にエンボス加工を施したものを用いて成型した三次元被覆成型品の裏面凹凸によるエアー混入にも改善の余地があった。
【特許文献1】特公昭56−45768号公報
【特許文献2】特許第3016518号公報
【特許文献3】特許第3733564号公報
【特許文献4】特開2007−70518号公報
【特許文献5】特開2004−237510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の目的は、三次元被覆成型品の裏面凹凸によるエアー混入がなく、耐熱外観性(50℃×400時間、80℃×400時間)に優れ、また剥離材付きで長期に保存したときシートの外観性の低下がなく、さらに三次元被覆成型品での耐熱接着性(50℃×400時間、80℃×400時間)に優れた真空成型用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の通りである。
1.表層にエンボス加工を施した表層フィルム(ア)の下面に接着剤層(イ)を有する真空成型用シートであって、
前記表層フィルム(ア)が、アクリル系樹脂フィルム(A)、二軸延伸共重合ポリエチレンテレフタレート系フィルム(B)、未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(C)、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム(D)またはポリカーボネート系樹脂フィルム(E)であり、かつ
前記接着剤層(イ)が、下記の熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂にポリイソシアネート1.5〜2.5当量を配合し硬化したものであり、かつ前記表層フィルム(ア)に接着している面とは逆の面に1以上の溝を有し、該溝は、該接着剤層(イ)の該逆の面の内側のみに存在して該接着剤層(イ)の側面まで通じてはいない溝、および該逆の面において側面まで通じている溝を有することを特徴とする真空成型用シート。
熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂:テレフタル酸20〜40モル%、イソフタル酸20〜40モル%およびアジピン酸25〜50モル%からなる酸成分(ただし、前記酸成分の合計は100モル%)と、1,4−ブタンジオール10〜50モル%および1,6−ヘキサンジオール50〜90モル%からなるグリコール成分(ただし、前記グリコール成分の合計は100モル%)とから構成される。
2.前記熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂の軟化温度が、55〜85℃であることを特徴とする前記1に記載の真空成型用シート。
3.前記表層フィルム(ア)と前記接着剤層(イ)との間にバッカー層(ウ)を有することを特徴とする前記1または2に記載の真空成型用シート。
4.前記バッカー層(ウ)が、未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(F)またはポリ塩化ビニル系樹脂フィルム(G)であることを特徴とする前記3に記載の真空成型用シート。
5.前記ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートからなるポリイソシアネートであることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の真空成型用シート。
6.前記未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(C)が、テレフタル酸からなる酸成分と、エチレングリコール60〜90モル%およびシクロヘキサンジメタノール10〜40モル%からなるグリコール成分(ただし、前記グリコール成分の合計は100モル%)とから構成されることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載の真空成型用シート。
7.前記未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(F)が、テレフタル酸からなる酸成分と、エチレングリコール60〜90モル%およびシクロヘキサンジメタノール10〜40モル%からなるグリコール成分(ただし、前記グリコール成分の合計は100モル%)とから構成されることを特徴とする前記4に記載の真空成型用シート。
8.前記エンボス加工の柄が、導管木目、ヘアライン、抽象柄または梨地であることを特徴とする前記1〜7のいずれかに記載の真空成型用シート。
9.前記溝が、幅5〜100μmおよび深さ5〜50μmを有する前記1に記載の真空成型用シート。
10.前記接着剤層(イ)の該逆の面の正面図において、該側面まで通じていない溝が直線形、直線分岐形、十字形、円形、楕円形または多角形であり、各形状は断続的な複数の溝で形成されていてもよい、前記1または前記9に記載の真空成型用シート。
11.前記接着剤層(イ)の該逆の面の正面図において、該側面まで通じていない溝が1cm2当たり1×10〜3.7×106個の密度で存在する、前記1または前記9〜10のいずれかに記載の真空成型用シート。
12.前記接着剤層(イ)の該逆の面の正面図において、該側面まで通じている複数の溝が、縞状に配置されており、または該溝によって区切られる粘着材層の各々が円形、楕円形もしくは多角形であるように配置されている、前記1または前記9〜11のいずれかに記載の真空成型用シート。
13.多角形が三角形、四角形または六角形である前記10または前記12に記載の真空成型用シート。
14.下記の真空成型方法により真空成型を行なうために用いられる、前記1〜13のいずれかに記載の真空成型用シート。
真空成型方法:前記1〜13のいずれかに記載の真空成型用シートと、前記真空成型用シートを積層する積層基材とを対向配置し、前記真空成型用シートにより積層基材側に第一の室を、反対側に第二の室を互いに気密に区画し、前記第一の室および前記第二の室を減圧し、かつ前記真空成型用シートを加熱軟化した後、前記真空成型用シートと前記積層基材とを接触させ、この後に前記第二の室の減圧を解除して前記第一の室と前記第二の室の差圧により前記真空成型用シートを積層基材の外表面に密着積層する真空成型方法。
15.前記1〜14のいずれかに記載の真空成型用シートと、ABS樹脂、または、ABS樹脂およびポリカーボネート樹脂のアロイからなる基材とを真空成型により積層せしめてなることを特徴とする成型品。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、表層にエンボス加工を施した表層フィルム(ア)の種類を特定するとともに、接着剤層(イ)における熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂の組成とポリイソシアネートの使用量とを特定の範囲に設定し、なおかつ接着剤層(イ)の特定面に所定の溝を形成したので、三次元被覆成型品の裏面凹凸によるエアー混入がなく、耐熱外観性(50℃×400時間、80℃×400時間)に優れ、また剥離材付きで長期に保存したときシートの外観性の低下がなく、さらに三次元被覆成型品での耐熱接着性(50℃×400時間、80℃×400時間)に優れた真空成型用シートを提供することができる。また、本発明の真空成型用シートと、ABS樹脂、または、ABS樹脂およびポリカーボネート樹脂のアロイからなる基材との真空成型品は、特に密着性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。図1は、本発明の真空成型用シートの構成を説明するための断面図である。本発明の真空成型用シート1は、表層フィルム(ア)の下面に接着剤層(イ)を有し、必要に応じて、表層フィルム(ア)と接着剤層(イ)との間にバッカー層(ウ)を有する。接着剤層(イ)の表層フィルム(ア)に接着している面とは逆の面100には、図示しない1以上の溝が存在している。この溝は、逆の面100の内側のみに存在して接着剤層(イ)の側面まで通じてはいない溝、および逆の面100において側面まで通じている溝をさらに有する。また、表層フィルム(ア)の表層101には図示しないエンボス加工が施されている。
【0011】
表層フィルム(ア)
本発明における表層フィルム(ア)は、アクリル系樹脂フィルム(A)、二軸延伸共重合ポリエチレンテレフタレート系フィルム(B)、未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(C)、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム(D)またはポリカーボネート系樹脂フィルム(E)である必要がある。これら以外のフィルムであると、本発明の効果を奏することができない。
【0012】
アクリル系樹脂フィルム(A)としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、あるいは(メタ)アクリレート単位とスチレン単位やウレタン構造を有する共重合体などからなるフィルムを挙げることができる。さらには、前記のアクリル系樹脂と熱可塑性ポリウレタン樹脂との混合樹脂、あるいは前記のアクリル系樹脂とアクリルゴムとの混合樹脂などを用いることもできる。本発明においては、前記のアクリル系樹脂、アクリル系樹脂と熱可塑性ポリウレタン樹脂との混合樹脂、アクリル系樹脂とアクリルゴムとの混合樹脂などを、例えばキャスティング法やカレンダー法などにより製膜することにより、無延伸アクリル系樹脂フィルムを得ることができる。本発明においては、アクリル系樹脂フィルムとして、前記の無延伸フィルムを用いてもよいし、延伸可能なアクリル系樹脂の場合は、従来公知の方法で一軸または二軸延伸処理して得られた延伸フィルムを用いてもよい。
【0013】
二軸延伸共重合ポリエチレンテレフタレート系フィルム(B)とは、酸成分および/またはグリコール成分を2種類以上使用して得られる樹脂のフィルムであり、その例しては、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール60〜90モル%とネオペンチルグリコール10〜40モル%であるネオペンチルグリコール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ジカルボン酸成分がテレフタル酸60〜98モル%とイソフタル酸2〜40モル%であり、グリコール成分がエチレングリコールであるイソフタル酸共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂などを挙げることができる。
これらの中では、二軸延伸性、三次元成型性、ヘアライン加工性、エンボス加工性などの観点から、特にイソフタル酸共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂が好適である。
二軸延伸共重合ポリエチレンテレフタレート系フィルム(B)を得るには、公知のテンター法およびチューブ法などの製膜法を適用できる。
【0014】
未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(C)としては、少なくとも酸成分としてテレフタル酸、グリコール成分としてエチレングリコールを用い、これらを反応させて得られる非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂を公知の手段により製膜したものが挙げられる。
中でも、本発明の効果の点から、未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(C)は、テレフタル酸からなる酸成分と、エチレングリコール60〜90モル%およびシクロヘキサンジメタノール10〜40モル%からなるグリコール成分(ただし、前記グリコール成分の合計は100モル%)とから構成された非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂のフィルムが好ましい。
【0015】
ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム(D)としては、公知の塩化ビニル系樹脂を主成分とする硬質、半硬質、または軟質の組成物から製造されたフィルムをいずれも使用することができる。
【0016】
ポリカーボネート系樹脂フィルム(E)としては、二価フェノールとホスゲンを原料とし、界面重縮合法により得られるポリカーボネート系樹脂、あるいは二価フェノールとジフェニルカーボネートなどのカーボネート前駆体とを原料とし、エステル交換法により得られるポリカーボネート系樹脂のフィルムが挙げられる。
このポリカーボネート系樹脂としては、通常二価フェノールとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を用いて得られる樹脂が使用される。また、二価フェノールとして、ビスフェノールAと2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(テトラブロモビスフェノールA)との混合物を用いて得られる難燃性ポリカーボネート系樹脂を使用することもできる。さらに、耐衝撃性および難燃性を向上させたポリカーボネート系樹脂として、ビスフェノールA系ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を使用することもできる。
【0017】
表層フィルム(ア)の厚さは、25μm〜250μmが好ましく、50μm〜150μmがさらに好ましい。
【0018】
接着剤層(イ)
本発明における接着剤層(イ)は、下記の熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂に、ポリイソシアネート1.5〜2.5当量を配合し硬化したものである。
熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂:テレフタル酸20〜40モル%、イソフタル酸20〜40モル%およびアジピン酸25〜50モル%からなる酸成分(ただし、前記酸成分の合計は100モル%)と、1,4−ブタンジオール10〜50モル%および1,6−ヘキサンジオール50〜90モル%からなるグリコール成分(ただし、前記グリコール成分の合計は100モル%)とから構成される。
なお、酸成分において、一つの成分の最少量または最大量を設定した場合は、他の二つの成分の使用量を調整し、合計で100モル%になるようにする。例えば、テレフタル酸の最少量の20モル%を採用した場合は、イソフタル酸およびアジピン酸の使用量を調整し、合計で100モル%になるようにすればよい。
【0019】
上記の酸成分のいずれか一つでも上記割合の範囲から外れてしまうと、本発明の効果を奏することができない。
【0020】
さらに好ましい熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂は、テレフタル酸25〜35モル%、イソフタル酸25〜35モル%およびアジピン酸30〜45モル%からなる酸成分(ただし、前記酸成分の合計は100モル%)と、1,4−ブタンジオール20〜40モル%および1,6−ヘキサンジオール60〜80モル%からなるグリコール成分(ただし、前記グリコール成分の合計は100モル%)とから構成される。
【0021】
本発明における接着剤層(イ)は、上記の熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂に、ポリイソシアネート1.5〜2.5当量を配合し硬化したものである。
ポリイソシアネートのモノマーとしては、トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリジンジイソシネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネートメチルオクタン、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等が挙げられる。中でも、初期タック性、初期密着性、耐熱接着性が優れるという点で、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましく用いられる。
なお本発明でいうポリイソシアネートの当量は、ポリイソシアネート中のNCO%と、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂の水酸基価(KOHmg/g)から計算によって求めることができる。
本発明において、ポリイソシアネートの使用量は、1.8〜2.2当量がさらに好ましい。
【0022】
また、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂の軟化温度は、55〜85℃であることが好ましい。熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂が、この軟化温度範囲を満たすことにより、真空成型性が高まるとともに、初期タック性、初期密着性、耐熱接着性がいずれも顕著に向上する。その理由は定かではないが、本発明者の検討によれば、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂の軟化温度が55〜85℃であると、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂が微結晶性を有し、これにより経時で初期よりも接着力が向上していき、耐熱接着性も確保できることになるからであると推測される。なお、軟化温度はJIS K−2531(環球法)により測定された値である。また、軟化温度は、酸成分およびグリコール成分の使用量を変更することにより調整することができる。
【0023】
接着剤層(イ)の硬化後の厚さは、5μm〜50μmが好ましく、10μm〜40μmがさらに好ましい。
【0024】
また本発明では、表層フィルム(ア)と前記接着剤層(イ)との間にバッカー層(ウ)を設けることができる。バッカー層(ウ)の存在により、真空成型性が高まり好ましいものとなる。
【0025】
バッカー層(ウ)としては、特に制限されないが、未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(F)またはポリ塩化ビニル系樹脂フィルム(G)であることが、真空成型性の観点から好ましい。
【0026】
未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(F)としては、テレフタル酸からなる酸成分と、エチレングリコール60〜90モル%およびシクロヘキサンジメタノール10〜40モル%からなるグリコール成分(ただし、前記グリコール成分の合計は100モル%)とから構成されるフィルムが好ましい。
また、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム(G)としては、公知の塩化ビニル系樹脂を主成分とする硬質、半硬質、または軟質の組成物から製造されたフィルムをいずれも使用することができる。
【0027】
バッカー層(ウ)の厚さは、50μm〜300μmが好ましく、100μm〜200μmがさらに好ましい。
【0028】
次に、接着剤層(イ)の逆の面100に設けられる溝について説明する。
図2は、逆の面100側から見た本発明の真空成型用シートの一実施形態の斜視図である。
図2に示すように、逆の面100には、1以上の溝4を有する。ここで、溝4は、接着剤層(イ)の逆の面100の内側のみに存在して接着剤層(イ)の側面まで通じてはいない。
【0029】
本発明の真空成型用シートは、接着剤層(イ)が溝4を有する故に、これに、接着剤層(イ)に対して雄型の表面構造を有するようにエンボスを有する剥離材を付けて長期間保存したとき、表層フィルム(ア)と剥離材との間で収縮率の差が無い。これは、剥離材(図示していない)を真空成型用シートに付けることにより、溝4が剥離材の雄型の表面構造によって固定されて(これを「アンカー効果」という)真空成型用シートの収縮が抑えられるからである。
【0030】
また、図3に示すように、逆の面100は、接着剤層(イ)の側面まで通じている溝5をさらに有している。
【0031】
溝4と溝5の両方を有することにより、三次元被覆成型品の裏面凹凸によるエアー混入の発生を防止し、耐熱外観性を向上させることができる。
ここで、上記の「裏面凹凸によるエアー混入」について、図11を参照しながら説明する。図11は、裏面凹凸によるエアー混入の現象を説明するための、真空成型用シートの断面図である。図11の真空成型用シート1は、(a)に示すように、表層フィルム(ア)の下面に接着剤層(イ)を有し、表層フィルム(ア)と接着剤層(イ)との間にバッカー層(ウ)を有する構成である。表層フィルム(ア)の表層101には、エンボスEが施されている。真空成型用シート1は、表層フィルム(ア)とバッカー層(ウ)を積層した後にエンボス加工に施され、その後、接着剤層(イ)が積層されている。このような構成の真空成型用シート1は、真空成型時ヒータにより加熱され半溶融状態となると、(b)に示すように、エンボスEの下面に相当する接着剤層(イ)の部分が厚み方向の平衡を保つように変形するため、シートの内部方向に向かって凹部Cを形成するという現象が生じる。この状態のままで積層基材200上に真空成型用シート1を真空成型により密着積層させると、(c)に示すように、上記凹部Cが原因となり、接着剤層(イ)の裏面にエアーAが混入した状態になる。得られた真空成型品は、耐熱外観性の試験を行なうと、(d)に示すように、エアーAの影響で表層フィルム(ア)の表層に膨らみBが生じ、外観性が著しく損なわれる。
本発明では、溝4と溝5の両方を有することにより、上記「裏面凹凸によるエアー混入」を防止することができる。なお、溝4と溝5の一方だけを接着剤層(イ)に形成した場合は、理由は定かではないが、上記効果が奏されない。
【0032】
本発明における溝は任意の形状を選択でき、好ましくは、その断面が、図3に示されるように、長方形(a)、台形(b)、U字型(c)または三角形(d)であり、幅5〜100μmおよび深さ5〜50μmを有する。図3において、wは溝の幅を示し、hは溝の深さを示す。
【0033】
また、溝は、接着剤層(イ)の溝を有する面の正面図において、様々な形状またはパターンを有し得る。その例を図4および5に示す。図4および5は、接着剤層(イ)の逆の面100の正面図であり、図4および5において、黒く塗った部分が溝である。
【0034】
側面まで通じていない溝4は、接着剤層(イ)の逆の面100の正面図において、例えば、直線形、直線分岐形、十字形、円形、楕円形または多角形(三角形、四角形、六角形など)であり、各形状は断続的な複数の溝で構成されていてもよい。上述した図2では、溝4が十字形である。図4では、溝4が六角形であり、図5では、溝4が円形である。図6は、直線形の溝4が、断続的な複数の溝で構成されている例である。
【0035】
溝4は、接着剤層(イ)に1以上、好ましくは多数存在し、より好ましくは1cm2当たり1×10〜3.7×106個の密度で、さらに好ましくは1cm2当たり1×102〜3.7×105個の密度の存在する。
【0036】
また、側面まで通じている溝5は、接着剤層(イ)の逆の面100の正面図において、複数の溝5が、縞状に配置され、または該溝によって区切られる接着剤層(イ)の各々が円形、楕円形もしくは多角形(三角形、四角形、六角形など)であるように配置され得る。図2では、溝5が格子状に配置されており、該溝によって区切られる接着剤層(イ)の各々が四角形である。図4では、溝5が、該溝によって区切られる接着剤層(イ)が六角形であるように配置され、図5では円形になるように配置され、図6では四角形になるように配置されている。
【0037】
溝4および5は、接着剤層(イ)の表面にランダムに配置されてもよく、規則的なパターンで配置されてもよい。
【0038】
本発明の真空成型用シートは、例えば次のようにして調製することができる。すなわち、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂をメチルエチルケトンのような有機溶剤に溶解させ、そこに所定量のポリイソシアネート化合物を加え、塗料とし、該塗料を、表層にエンボス加工を施した表層フィルム(ア)上に公知のコーティング法により塗布し、雄型の表面構造を備えた剥離材を貼り合わせ、硬化させることにより調製することができる。また、雄型の表面構造を備えた剥離材に上記塗料を塗布して接着剤層(イ)に溝を刻み、この接着剤層(イ)に表層フィルム(ア)を貼り合わせることにより製造することもできる。
バッカー層(ウ)を設ける場合は、表層フィルム(ア)とバッカー層(ウ)とを例えば熱ラミネートあるいはドライラミネートによって積層させ、このバッカー層(ウ)上に、上記塗料を上記方法により設けることができる。
前記エンボス加工は、従来公知の方法、例えばドラム加熱型エンボッサー、マルチシリンダー形エンボッサーなどを用いて行うことができる。エンボス加工の柄としては、本発明の効果の点から、例えば、導管木目、ヘアライン、抽象柄、梨地柄等が好ましい。エンボス加工は、表層フィルム(ア)とバッカー層(ウ)の積層体に対して施してもよい。
なお、表層フィルム(ア)、接着剤層(イ)、バッカー層(ウ)には、必要に応じて耐候剤、帯電防止剤、充填剤等の公知の添加剤を添加できることは勿論である。
【0039】
次に、上記の剥離材を説明する。剥離材は、基材フィルムおよびその片面または両面にあるポリオレフィン系樹脂含有層を有し、該ポリオレフィン系樹脂含有層の少なくとも1が、該基材フィルムと接している面とは逆の面にエンボスを有するものが挙げられる。
【0040】
基材フィルムとしては、紙や、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、空洞含有ポリエチレンテレフタレート、フタル酸異性体共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリ乳酸、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート等の樹脂フィルムが挙げられる。紙の種類としては、グラシン紙、上質紙、クラフト紙等が挙げられる。
【0041】
上記基材フィルムは、好ましくは、ループステフネスによる曲げ強さが0.2〜1.5N/25mmであり、降伏点荷重が50〜200N/10mmである。上記値が下限未満であると、得られる剥離材の端部にカールを生じ易く、取扱い性に劣る。上限を超えると、硬すぎて剥離材としての使用にあまり適しない。
【0042】
上記基材フィルムは、好ましくは、紙や、二軸延伸されたものや、フィルム中に空洞を含有するものである。その市販品として、ユニチカ製のエンブレットS125、テイジン製のテトロン(商標)S100、東洋紡績製のクリスパーK1212(空洞含有二軸延伸ポリエチレンテレフタレート)を挙げることができる。
【0043】
基材フィルムの厚さは、50〜150μm、好ましくは100〜150μm、さらに好ましくは100〜125μmである。50μmよりも薄いと、得られる剥離材においてカールを生じ易くなる。150μmより大きいと、厚すぎて剥離材として不適である。
【0044】
基材フィルムの片面または両面に設けられるポリオレフィン系樹脂含有層において、ポリオレフィン系樹脂としては、1以上のオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン等から選択される1以上のオレフィンの(共)重合体が挙げられ、ただし、エチレン−メタクリル酸共重合体およびそのアイオノマーを除く。好ましくは、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂から選択され、具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)が挙げられる。特に好ましくは、ポリオレフィン系樹脂がLDPEである。
【0045】
上記ポリオレフィン系樹脂は、好ましくは、ビガット軟化点(JIS K 7206)が80〜150℃である。ビガット軟化点が下限未満の場合、エンボスの保持が困難である。上限を超えると、エンボス加工が困難である。
【0046】
また、上記ポリオレフィン系樹脂は、好ましくは耐熱溶剤性を有する。上記ポリオレフィン系樹脂は、常温雰囲気下ではトルエンや酢酸エチル等の有機溶媒に冒されないが、80℃以上の環境ではひび割れやシワが生じることがある。
【0047】
上記ポリオレフィン系樹脂含有層は、必要に応じて熱安定剤、加工助剤等を含み得る。
【0048】
ポリオレフィン系樹脂含有層は、10μm以上の厚さが必要である。ポリオレフィン系樹脂の層は、厚み精度があまり高くないので、10μm未満では表面に厚みムラによる凹凸を生じ易く、その結果、剥離材の十分な表面平滑性が得られない。また、エンボスが、上記溝に適合する高さを有することができるようにするためにも、10μm以上の厚さが必要である。また、ポリオレフィン系樹脂含有層にエンボス加工が施された剥離材は端部がカールし易くなるが、これを防ぐために、ポリオレフィン系樹脂含有層の厚さの上限が、ポリオレフィン系樹脂含有層が基材フィルムの片面のみにある場合には、基材フィルムの厚さの0.3倍であり、両面にある場合には、上記層の各々において基材フィルムの厚さの0.5倍である。また、ポリオレフィン系樹脂含有層が基材フィルムの両面にある場合には、上記層の互いの厚み比が0.3〜1であるようにする。好ましくは、ポリオレフィン系樹脂含有層の厚さが、ポリオレフィン系樹脂含有層が基材フィルムの片面のみにある場合には、10μm以上でかつ基材フィルムの厚さの0.1〜0.25倍であり、両面にある場合には、各々10μm以上でかつ基材フィルムの厚さの0.1〜0.25倍であり、かつ互いの厚み比が0.5〜1、より好ましくは0.6〜1、さらに好ましくは1である。本発明の好ましい剥離材では、基材フィルムの厚さが100〜125μmであり、ポリオレフィン系樹脂含有層の厚さが15〜25μm(両面にある場合には各々15〜25μm)である。
【0049】
剥離材は、上記したように、基材フィルムの片面または両面にポリオレフィン系樹脂層を有し得る。両面にポリオレフィン系樹脂層を有する方が、剥離材の端部でのカールの発生をより抑えることができる点で好ましい。しかし、コストの点からは片面のみにポリオレフィン系樹脂層を有する方が有利であり、この場合、基材フィルムとポリオレフィン系樹脂層の厚みを上記範囲内で適宜調節することによりカールの発生を防ぐことができる。
【0050】
剥離材は、ポリオレフィン系樹脂含有層の少なくとも1が、基材フィルムと接している面とは逆の面にエンボスを有する。好ましくは、該エンボスは、接着剤層(イ)の表面の溝に適合するように形成される。より好ましくは、上記エンボスは、接着剤層(イ)に対して雄型の表面構造を有するように形成され、この様にエンボスが形成された剥離材は、本発明の真空成型用シートと有利に組み合わせることができる。
【0051】
剥離材は、ポリオレフィン系樹脂含有層を基材フィルムの片面または両面に貼り合わせ、ポリオレフィン系樹脂含有層の少なくとも1にエンボス加工を施し、次いで必要に応じて、ポリオレフィン系樹脂含有層の表面をシリコーンなどの剥離剤で処理することにより製造することができる。上記貼り合わせは、基材フィルムの上にポリオレフィン系樹脂を溶融押出し、冷却ロールで圧着する方法によって、あるいは、ポリオレフィン系樹脂をフィルム状にした後、発熱ロールで熱しながら圧着する方法によって行われ得る。このとき、基材フィルムとポリオレフィン系樹脂含有層との接着性を向上させるため、基材フィルムのポリオレフィン系樹脂含有層と接する面に予めアンカーコートを設けたり、コロナ処理、プラズマ処理等の処理を施すのが好ましい。エンボス加工は、従来から知られている方法により、例えば彫刻ロールまたは彫刻板を用いて加熱下に型押しすることにより行うことができる。
【0052】
本発明の真空成型用シートを用いた真空成型は、特にその方法を制限するものではないが、例えば上記特許文献1〜3に記載の方法によって成型するのが好ましい。すなわち、本発明の真空成型用シートと、前記真空成型用シートを積層する積層基材とを対向配置し、前記真空成型用シートにより積層基材側に第一の室を、反対側に第二の室を互いに気密に区画し、前記第一の室および前記第二の室を減圧し、かつ前記真空成型用シートを加熱軟化した後、前記真空成型用シートと前記積層基材とを接触させ、この後に前記第二の室の減圧を解除して前記第一の室と前記第二の室の差圧により前記真空成型用シートを積層基材の外表面に密着積層する真空成型方法である。当該方法は公知であるので、以下、簡単に説明する。
【0053】
図7は、上記真空成型方法の一例を説明するための図である。
図7に示すように、真空成型機内で剥離材を取り外した真空成型用シート10と積層基材12とを、接着剤層(イ)が積層基材12と接するように対向配置し、真空成型用シート10により積層基材側に第一の室14を、反対側に第二の室16を互いに気密に区画する。続いて、第一の室14および第二の室16を真空ポンプ18により減圧し、かつ、真空成型用シート10を加熱軟化させる。加熱軟化は、ヒータ20を点灯することにより行なう。
次に図8に示すように、駆動装置22によって第一の室14内のテーブル24を上昇させ、真空成型用シート10と積層基材12とを接触させる。次に、第二の室16の減圧を解除して第一の室14と第二の室16の差圧により前記真空成型用シートを積層基材の外表面に密着積層し、成型品を得る。その後、駆動装置26によって真空成型機を開放し、成型品を取り出す。
【0054】
上記積層基材としては、本発明では、ABS樹脂、または、ABS樹脂およびポリカーボネート樹脂のアロイからなる基材が、密着性の点で好ましい。当該基材は、例えば射出成型等により得ることができる。なお、前記アロイにおいて、両者の割合は、ABS樹脂:ポリカーボネート樹脂(質量比)として、例えば2:8〜7:3である。なお、本発明の真空成型用シートと積層基材との真空成型は、上記方法に限定されるものではない。
【実施例】
【0055】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0056】
実施例1
熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂の合成
得られる樹脂が下記表1の樹脂構成(1)を有するように、酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、グリコール成分として、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを適当量配合し、触媒(テトラブチルチタネート)の存在下、加熱し、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂(以下、単に共重合ポリエステル樹脂ということがある)を合成した。なお、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂における上記5種のモノマー組成は、NMRにより確認した。NMRの確認は、以下の実施例および比較例でも行った。
【0057】
接着剤層(イ)形成用塗料の調製
上記で得られた熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂を溶剤(メチルエチルケトン)に溶解し、固形分30質量%の塗料とした。この塗料にポリイソシアネート(1)(日本ポリウレタン製、「コロネートHX」(ヘキサメチレンジイソシアネート)、固形分100%)を2当量加え、接着剤層(イ)形成用塗料とした。
【0058】
真空成型用シートの調製
表層フィルム(ア)として、アクリル樹脂フィルム(1)(住友化学工業(株)製、「テクノロイS001」、ポリメタクリル酸メチル、厚さ75μm、引張弾性率1300MPa、鉛筆硬度 H)を用いた。
またバッカー層(ウ)として、PET−G(1)(リケンテクノス(株)製、製品名「SET470、FZ25871」、未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム、テレフタル酸からなる酸成分と、エチレングリコール70モル%およびシクロヘキサンジメタノール30モル%からなるグリコール成分とから構成される。厚さ150μm)を用いた。
表層フィルム(ア)とバッカー層(ウ)との積層は、熱ラミネートにより行なった。
また、エンボス加工は、上記表層フィルム(ア)とバッカー層(ウ)との積層体に対して行なった。すなわち、温度140℃の加熱ドラムと冷却ドラムの中間に温度140℃の金属製彫刻ロールと半硬質ゴムで被覆した加圧ロールからなるエンボス機を設置しエンボス加工を行うことにより、表層フィルム(ア)の表層に導管木目模様のエンボス加工を施した。
【0059】
側面まで通じている溝5(断面は幅20μm、深さ10μmのU字型である)の彫刻をピッチ500μmで、上記溝によって区切られる部分が四角形になるように格子状に施し(図2を参照)、さらに、上記溝によって区切られる四角形の部分に、十字形の、側面まで通じていない溝4(断面は幅20μm、深さ10μmのU字型であり、十字形の縦および横の長さは250μmである)の彫刻を間隔500μm(密度:1cm2当り4.0×102個)で施した雌型のエンボスプレス板を、140℃で20秒間、下記の積層フィルムに対して加圧することにより、積層フィルムにエンボス形状を転写して、雄型の表面形状を持つ剥離材Aを得た。
積層フィルム:坪量110g/m2タンイの上質紙の片面に溶融したLDPEを押出し、LDPEを厚み20μmとなる様にロールで圧延し貼り合わせた。この積層フィルムのLDPE層の表面に、上記エンボス形状を転写させた。
【0060】
次に、上記接着剤層(イ)形成用塗料を、硬化後の厚さが20μmとなるように、剥離材Aにナイフコーターによりコーティングした。続いて、該塗料の塗布面と、上記バッカー層(ウ)とを貼り合わせることにより、剥離材付きの真空成型用シートを得た。
ここで、間隔とは、図9に示すように、接着剤(イ)の逆の面100の正面図において、隣り合う2つの溝4の重心点間の距離を意味する。図9では、濃く塗りつぶされた部分が溝である。またピッチとは、図9に示すように、隣り合う2つの溝5の幅の中心点間の最短距離を意味する。
【0061】
真空成型
図7〜8に示した真空成型法により、真空成型を行なった。成型時の表層フィルム(ア)の表面温度(成型温度)を表2に示した。また、積層基材としては、ABS樹脂およびポリカーボネート樹脂のアロイからなり、射出成型により得られた成型品である基材を用いた。アロイにおいて、両者の割合は、ABS樹脂:ポリカーボネート樹脂(質量比)として、3:7である。
【0062】
評価
以下の評価を行なった。
真空成型性:布施真空(株)製 NGF−0912型 両面真空成形機により、実施例、比較例の表に記載した表層フィルムの成型温度条件にて、真空成型性を評価した。
◎: 基材形状への追従性が良好で、端部巻き込み性も良好である。
○: 基材形状への追従性は良好であるが、端部巻き込み性が甘い。
△: 基材形状への追従性および端部巻き込み性が甘く、浮きが見られる場合がある。
×: シートの破れが発生し、十分に成型ができない。
【0063】
初期タック性:硬化後の接着層面に指を強く押し当ててから剥離する際の感覚により、初期タック性を評価した。
○: べたつき感がある。
△: 多少のべたつきを感じる。
×: 全くべたつきがない。
【0064】
初期密着性:真空成型直後にシートの強制剥離を行うことにより、初期密着性を評価した。
◎: シート材破となる。
○: シートが伸ばされながら剥離する。
△: シートが伸ばされずに多少の剥離抵抗を保ちながら剥離する。
×: シートが伸ばされずに十分な剥離抵抗がないまま剥離する。
【0065】
耐熱接着性(50℃×400時間):
真空成型品を50℃に設定したギアオーブン中に400時間放置した後、端部の剥離の確認を行い、かつ、シートの強制剥離を行うことにより、耐熱接着性を評価した。
◎: 端部の剥離もなく、かつ、強制剥離でシート材破となる。
○: 端部の剥離もなく、かつ、強制剥離でシートが伸ばされながら剥離する。
△: わずかに端部の剥離が認められ、かつ、強制剥離でシートが伸ばされずに多少の剥離抵抗を保ちながら剥離する。
×: 明らかに端部の剥離が認められる、または、強制剥離でシートが十分な剥離抵抗がないまま剥離する。
【0066】
耐熱接着性(80℃×400時間):
真空成型品を80℃に設定したギアオーブン中に400時間放置した後、端部の剥離の確認を行い、かつ、シートの強制剥離を行うことにより、耐熱接着性を評価した。
◎: 端部の剥離もなく、かつ、強制剥離でシート材破となる。
○: 端部の剥離もなく、かつ、強制剥離でシートが伸ばされながら剥離する。
△: わずかに端部の剥離が認められ、かつ、強制剥離でシートが伸ばされずに多少の剥離抵抗を保ちながら剥離する。
×: 明らかに端部の剥離が認められる、または、強制剥離でシートが十分な剥離抵抗がないまま剥離する。
【0067】
裏面凹凸によるエアー混入:布施真空(株)製 NGF−0912型 両面真空成形機により、実施例、比較例の表に記載した表層フィルムの成型温度条件にて真空成型を行い、シートを基材から強制剥離を行い剥離面を目視にて観察して評価した。評価基準は以下の通りである。
◎: 基材側の剥離面にエアー混入跡が全く見られず均一にツヤが消えている。
○: 基材側の剥離面にエアー混入跡が全く見られないが、わずかにエンボス形状に沿ってツヤの濃淡が見られる。
△: 基材側の剥離面にまばらにシート表面のエンボス形状に沿ったエアー混入跡が見られる。
×: 基材側の剥離面に明らかにシート表面のエンボス形状に沿ったエアー混入跡が見られる。
※エアー混入跡:接着剤層と基材が密着した部分の基材側の剥離面はツヤが消えた状態となる。一方、接着剤層と基材の間にエアーが混入するとその部分だけ基材素地が露出するため目視観察でエアー混入跡として識別できる。
【0068】
耐熱外観性(50℃×400時間):真空成型品を50℃に設定したギアオーブン中に400時間放置した後、外観を観察することにより評価した。評価基準は以下の通りである。
◎: フクレや面の荒れによるユズ肌が存在しない。
○: フクレは存在しないがわずかに面の荒れによるユズ肌が認められる。
△: わずかにフクレや面の荒れによるユズ肌が認められる。
×: 明らかにフクレや面の荒れによるユズ肌が認められる。
【0069】
耐熱外観性(80℃×400時間):真空成型品を80℃に設定したギアオーブン中に400時間放置した後、外観を観察することにより評価した。評価基準は以下の通りである。
◎: フクレや面の荒れによるユズ肌が存在しない。
○: フクレは存在しないがわずかに面の荒れによるユズ肌が認められる。
△: わずかにフクレや面の荒れによるユズ肌が認められる。
×: 明らかにフクレや面の荒れによるユズ肌が認められる。
【0070】
収縮率試験:JIS K 7133「プラスチック-フィルム及びシート-加熱寸法変化測定方法」に基づき行う。まず、剥離材付き真空成型用シートを250mm×250mmの寸法に切り抜く。次に、切り抜いた真空成型用シートの表層フィルム(ア)側および剥離材側の表面の各々の中心部に、図10に示すように、縦横2本の直線を引き、その2本の直線上の交線部から100mm離れた位置に標線(4本)を引いて、試験片を調製する。
試験片の表層フィルム(ア)表面および剥離材表面の各々について、縦横夫々の直線上の2つの標線間の距離を0.5mmの単位まで測定できる目盛り定規にて計測し、表層フィルム(ア)の縦横の標線間距離の平均値をLf0、剥離材の縦横の標線間距離の平均値をLs0とする。続いて常温にて1週間、80℃にて1週間、および常温にて3ヶ月間、保管し、それぞれの保管後、さらに常温にて1時間放置した後に上記と同様に標線間の距離を計測し、表層フィルム(ア)の縦横の標線間距離の平均値をLf、剥離材の縦横の標線間距離の平均値をLsとする。表層フィルム(ア)の収縮率ΔLf、および剥離材の収縮率ΔLsを下記式(1)により計算する。さらに、剥離材の収縮率ΔLsから樹脂フィルムの収縮率ΔLfを引き算し、収縮率の差ΔL=ΔLs−ΔLfを求める。
ΔLx=(Lx-Lx0)/Lx0×100 … (1)
Lx0:保管前の標線間距離(mm)
Lx:保管後の標線間距離(mm)
(ただし、x=fまたはs)
【0071】
長期保存時の剥離材付き真空成型用シートの外観性:
剥離材付き真空成型用シートをロール状巻きで、3ヶ月間、常温で保管した後、取り出し、シートの巻き出しの外観を目視で観察することにより評価した。評価基準は以下の通りである。
○:シートにタルミ、シワが認められない。
×:シートにタルミ、シワが認められる。
【0072】
結果を表2に示す。
【0073】
実施例2
実施例1において、バッカー層(ウ)として、PVC(1)(リケンテクノス(株)製、製品名「S12040、FC13477」、ポリ塩化ビニル樹脂、厚さ150μm)を用い、表2に示す成型温度で真空成型を行なったこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
【0074】
実施例3
実施例1において、表層フィルム(ア)として、共重合PET(1)(帝人デュポンフィルム(株)製、テフレックスFT、酸成分として、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸、グリコール成分としてエチレングリコールからなる二軸延伸共重合ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム、厚さ50μm)を用い、表2に示す成型温度で真空成型を行なったこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
【0075】
実施例4
実施例1において、表層フィルム(ア)として、PC(1)(旭硝子製、商品名 レキサンフィルム8010、112クリア、ポリカーボネートフィルム、厚さ100μm)を用い、かつ積層基材としてABS樹脂を用い、表2に示す成型温度で真空成型を行なったこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
【0076】
実施例5
実施例1において、表層フィルム(ア)として、PET−G(2)(リケンテクノス(株)製、商品名 SET241 FZ025、未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム、テレフタル酸からなる酸成分と、エチレングリコール70モル%およびシクロヘキサンジメタノール30モル%からなるグリコール成分とから構成される。厚さ100μm)を用い、かつ積層基材としてABS樹脂を用い、表2に示す成型温度で真空成型を行なったこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
【0077】
実施例6〜9
実施例1において、バッカー層(ウ)を設けずに、表層フィルム(ア)、積層基材、成型温度を表3または4に示す様に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表4に示す。なお、実施例8および9は、表層フィルム(ア)の表層に施されるエンボス加工を、ヘアラインおよび梨地柄にそれぞれ変更した。
なお表3において、アクリル(2)とは、住友化学工業(株)製、商品名 テクノロイ S001、アクリル樹脂フィルム、厚さ125μmである。
PET−G(3)とは、リケンテクノス(株)製、商品名 SET329 FZ93266、未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム、テレフタル酸からなる酸成分と、エチレングリコール70モル%およびシクロヘキサンジメタノール30モル%からなるグリコール成分とから構成され、厚さ150μmである。
PVC(2)とは、リケンテクノス(株)製、商品名 S12138 FC25847、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、厚さ150μmである。
PC(2)とは、旭硝子製、商品名 レキサンフィルムFR765 黒、ポリカーボネート樹脂フィルム、厚さ180μmである。
【0078】
実施例10
側面まで通じている溝5(断面は幅30μm、深さ15μmのU字型である)の彫刻をピッチ500μmで、上記溝によって区切られる部分が六角形になるように施し(図4を参照)、さらに、上記溝によって区切られる六角形の部分に、六角形の、側面まで通じていない溝4(断面は幅30μm、深さ15μmのU字型であり、六角形の一辺の長さは144μmである)の彫刻を間隔500μm(密度:1cm2当たり4.6×102個)で施した雌型のエンボスプレス板を、140℃で20秒間、実施例1で用いた積層フィルムに対して加圧することにより、積層フィルムにエンボス形状を転写して、雄型の表面形状を持つ剥離材Bを得た。この剥離材を用い、実施例1と同様にして剥離材付きの真空成型用シートを得、各評価を行った。成型温度および結果を表6に示す。
【0079】
実施例11
側面まで通じている溝5(断面は幅20μm、深さ10μmのU字型である)の彫刻をピッチ300μmで、上記溝によって区切られる部分が三角形になるように施し、さらに、上記溝によって区切られる三角形の部分に、三角形の、側面まで通じていない溝4(断面は幅20μm、深さ10μmのU字型であり、三角形の一辺の長さは100μmである)の彫刻を間隔300μm(密度:1cm2当たり1.1×103個)で施した雌型のエンボスプレス板を、140℃で20秒間、実施例1で用いた積層フィルムに対して加圧することにより、積層フィルムにエンボス形状を転写して、雄型の表面形状を持つ剥離材Cを得た。この剥離材を用い、実施例1と同様にして剥離材付きの真空成型用シートを得、各評価を行った。成型温度および結果を表6に示す。
【0080】
実施例12
側面まで通じている溝5(断面は幅50μm、深さ20μmのU字型である)の彫刻をピッチ700μmで、上記溝によって区切られる部分が円形になるように施し(図5を参照)、さらに、上記溝によって区切られる円形の部分に、円形の、側面まで通じていない溝4(断面は幅50μm、深さ20μmのU字型であり、円形の直径は350μmである)の彫刻を間隔700μm(密度:1cm2当たり2.4×102個)で施した雌型のエンボスプレス板を、140℃で20秒間、実施例1で用いた積層フィルムに対して加圧することにより、積層フィルムにエンボス形状を転写して、雄型の表面形状を持つ剥離材Dを得た。この剥離材を用い、実施例1と同様にして剥離材付きの真空成型用シートを得、各評価を行った。成型温度および結果を表6に示す。
【0081】
実施例13〜14
実施例10において、表層フィルム(ア)、バッカー層(ウ)の構成、成型温度を表5または6に示すように変更したこと以外は、実施例10を繰り返した。結果を表6に示す。
【0082】
実施例15〜18
実施例1において、樹脂構成(1)の替わりに、表7に示す樹脂構成(2)〜(5)を採用したこと以外は、実施例1を繰り返した。成型温度および結果を表8に示す。
【0083】
実施例19〜21
実施例1において、ポリイソシアネートの量または種類を、表7または9に示すように変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。成型温度および結果を表8、10に示す。
なお、ポリイソシアネート(2)とは、日本ポリウレタン(株)製、商品名 コロネートL、化合物名トリレンジイソシアネートである。
【0084】
実施例22
実施例1において、バッカー層(ウ)として、A−PET(1)を用いたこと以外は、実施例1を繰り返した。成型温度および結果を表10に示す。
なお、A−PET(1)とは、帝人化成製、商品名 A−PETシート 一般タイプ、化合物名 無延伸ポリエチレンテレフタレートシート、厚さ150μmである。
【0085】
実施例23
実施例7において、表層フィルム(ア)としてA−PET(2)を用いたこと以外は、実施例7を繰り返した。成型温度および結果を表10に示す。
なお、A−PET(2)とは、帝人化成製、商品名A−PETシート 黒、化合物名 無延伸ポリエチレンテレフタレートシート、厚さ150μmである。
【0086】
実施例24
実施例1において、積層基材をポリプロピレン(PP)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。成型温度および結果を表10に示す。
【0087】
比較例1
実施例1において、表層フィルム(ア)として二軸PET(1)(ユニチカ(株)製、商品名 エンブレットS50、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ50μm)を使用し、成型温度を表12に示すように変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表12に示す。
【0088】
比較例2
実施例1において、バッカー層(ウ)を設けずに、表層フィルム(ア)としてPBT(1)(ポリブチレンテレフタレート樹脂〔東レ(株)製、商品名 トレコン1200S〕を600mm幅のTダイを装着した40mm押出機〔(株)池貝製〕で、エンボスパターン200メッシュ、温度条件はシリンダー温度270℃、ダイス温度270℃、製膜速度10m/minで厚さ100μmに製膜した)を使用し、成型温度を表12に示すように変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表12に示す。
【0089】
比較例3
剥離材に溝4、溝5を設けなかったこと以外は、実施例1を繰り返した。成型温度および結果を表12に示す。
【0090】
比較例4
剥離材に溝5を設けなかったこと以外は、実施例1を繰り返した。成型温度および結果を表12に示す。
【0091】
比較例5
剥離材に溝5を設けなかったこと以外は、実施例14を繰り返した。成型温度および結果を表12に示す。
【0092】
比較例6
剥離材に溝4を設けなかったこと以外は、実施例1を繰り返した。成型温度および結果を表14に示す。
【0093】
比較例7
剥離材に溝4を設けなかったこと以外は、実施例14を繰り返した。成型温度および結果を表14に示す。
【0094】
比較例8〜12
実施例1において、樹脂構成(1)の替わりに、表13、15に示す樹脂構成(6)〜(10)を採用したこと以外は、実施例1を繰り返した。成型温度および結果を表14、16に示す。
【0095】
比較例13〜14
実施例1において、ポリイソシアネートの量を、表15に示すように変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。成型温度および結果を表16に示す。
【0096】
比較例15
実施例1において、接着剤層(イ)を、粘着剤(1)に変更し、剥離材に溝4を設けなかったこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表16に示す。
なお、粘着剤(1)とは、ビックテクノス(株)製、商品名 リキダイン AR−2037 、塗料組成:アクリル酸エステル共重合体である。
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【0099】
【表3】

【0100】
【表4】

【0101】
【表5】

【0102】
【表6】

【0103】
【表7】

【0104】
【表8】

【0105】
【表9】

【0106】
【表10】

【0107】
【表11】

【0108】
【表12】

【0109】
【表13】

【0110】
【表14】

【0111】
【表15】

【0112】
【表16】

【0113】
表1〜16の結果から、以下の事項が導き出される。
・実施例1は、表層フィルム(ア)の種類を特定するとともに、接着剤層(イ)における熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂の組成とポリイソシアネートの使用量とを特定の範囲に設定し、なおかつ接着剤層(イ)の特定面に所定の溝を形成したので、三次元被覆成型品の裏面凹凸によるエアー混入が発生せず、耐熱外観性(50℃×400時間、80℃×400時間)に優れる。さらに、表層フィルム(ア)と剥離材との収縮率の差も小さいため、剥離材付きで長期に保存したときシートの外観性の低下がない。また、初期タック性、初期密着性にも優れるとともに、バッカー層(ウ)を設けたことにより、真空成型性を高めることができ、三次元被覆成型品での耐熱接着性(50℃×400時間、80℃×400時間)に優れた真空成型用シートを提供することができる。また、本発明の真空成型用シートと、ABS樹脂およびポリカーボネート樹脂のアロイからなる基材との真空成型品は、特に密着性に優れることが証明された。
・実施例2は、バッカー層をPVC(1)にした例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例3は、表層フィルム(ア)を共重合PET(1)にした例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例4は、表層フィルム(ア)をPC(1)にし、積層基材をABSにした例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例5は、表層フィルム(ア)をPET−G(2)にし、積層基材をABSにした例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例6は、表層フィルム(ア)をアクリル(2)にして、バッカー層(ウ)を設けなかった例で、真空成型性が○評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例7は、表層フィルム(ア)をPET−G(3)にして、バッカー層(ウ)を設けなかった例で、真空成型性が○評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例8は、表層フィルム(ア)をPVC(2)にして、バッカー層(ウ)を設けず、積層基材をABSにし、エンボス加工の柄をへアラインにした例で、真空成型性が○評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例9は、表層フィルム(ア)をPC(2)にして、バッカー層(ウ)を設けず、エンボス加工の柄を梨地にした例で、真空成型性が○評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例10は、剥離材の種類をBにした例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例11は、剥離材の種類をCにした例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例12は、剥離材の種類をDにした例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例13は、表層フィルム(ア)をPET−G(2)にし、剥離材の種類をBにした例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例14は、表層フィルム(ア)をPET−G(3)にして、バッカー層(ウ)を設けず、剥離材の種類をBにした例で、真空成型性が○評価であったこと以外は、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例15は、共重合ポリエステル樹脂を樹脂構成(2)にした例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例16は、共重合ポリエステル樹脂を樹脂構成(3)にした例で、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)が○評価、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が△評価になった。それ以外は実施例1と同様の性能を示した。
・実施例17は、共重合ポリエステル樹脂を樹脂構成(4)にした例で、初期タック性、初期密着性が△評価、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が○評価になった。それ以外は実施例1と同様の性能を示した。
・実施例18は、共重合ポリエステル樹脂を樹脂構成(5)にした例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例19は、ポリイソシアネート(1)の添加量を1.7当量にした例で、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)が○評価、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が△評価になった。それ以外は実施例1と同様の性能を示した。
・実施例20は、ポリイソシアネート(1)の添加量を2.3当量にした例で、初期タック性、初期密着性が△評価、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)が○評価、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が△評価になった。それ以外は実施例1と同様の性能を示した。
・実施例21はポリイソシアネート(2)を使用した例で、初期タック性、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が△評価になった。それ以外は実施例1と同様の性能を示した。
・実施例22は、バッカー層にA−PET(1)を使用した例で、真空成型性が△評価、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)が○評価、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が△評価になった。それ以外は実施例1と同様の性能を示した。
・実施例23は、表層フィルム(ア)にA−PET(2)を使用し、バッカー層(ウ)を設けなかった例で、真空成型性が△評価、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)が○評価、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が△評価になった。それ以外は実施例1と同様の性能を示した。
・実施例24は、積層基材にPPを使用した例で、初期密着性が△評価、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)が○評価、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が△評価になった。それ以外は実施例1と同様の性能を示した。
【0114】
・比較例1は、表層フィルム(ア)を二軸PET(1)にした例で、本発明の範囲外であるため、真空成型性、初期密着性、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が×評価になった。
・比較例2は、表層フィルム(ア)をPBT(1)にして、バッカー層(ウ)を設けなかった例で、本発明の範囲外であるため、真空成型性、初期密着性、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が×評価になった。
・比較例3は、剥離材の種類をEにした例(溝4、溝5を有しない)で、本発明の範囲外であるため、ドラグライン、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)、生産性(工程の簡略化)、長期保存時の剥離材付きシートの外観性が×評価、80℃、1週間後の収縮率の差、常温、3ヶ月後の収縮率の差が大きく、劣る評価になった。
・比較例4は、剥離材の種類をFにした例(溝5を有しない)で、本発明の範囲外であるため、裏面凹凸によるエアー混入、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が×評価になった。
・比較例5は、表層フィルム(ア)をPET−G(3)にして、バッカー層(ウ)を設けず、剥離材の種類をGにした例(溝5を有しない)で、本発明の範囲外であるため、裏面凹凸によるエアー混入、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が×評価になった。
・比較例6は、剥離材の種類をHにした例(溝4を有しない)で、本発明の範囲外であるため、ドラグライン、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)、生産性(工程の簡略化)が△評価、長期保存時の剥離材付きシートの外観性が×評価、80℃、1週間後の収縮率の差、常温、3ヶ月後の収縮率の差が大きく、劣る評価になった。
・比較例7は、剥離材の種類をIにした例(溝4を有しない)で、本発明の範囲外であるため、ドラグライン、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)、生産性(工程の簡略化)が△評価、長期保存時の剥離材付きシートの外観性が×評価、80℃、1週間後の収縮率の差、常温、3ヶ月後の収縮率の差が大きく、劣る評価になった。
・比較例8は、共重合ポリエステル樹脂を樹脂構成(6)にした例で、本発明の範囲外であるため、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が×評価になった。
・比較例9は、共重合ポリエステル樹脂を樹脂構成(7)にした例で、本発明の範囲外であるため、初期タック性、初期密着性が×評価、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が△評価になった。
・比較例10は、共重合ポリエステル樹脂を樹脂構成(8)にした例で、本発明の範囲外であるため、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が×評価になった。
・比較例11は、共重合ポリエステル樹脂を樹脂構成(9)にした例で、本発明の範囲外であるため、初期タック性、初期密着性が×評価になった。
・比較例12は、共重合ポリエステル樹脂を樹脂構成(10)にした例で、本発明の範囲外であるため、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が×評価になった。
・比較例13は、ポリイソシアネート(1)の添加量を1当量にした例で、本発明の範囲外であるため、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)が△評価、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が×評価になった。
・比較例14は、ポリイソシアネート(1)の添加量を3当量にした例で、本発明の範囲外であるため、初期タック性が×評価、初期密着性が△評価、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)が△評価、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)が×評価になった。
・比較例15は、接着剤層(イ)に粘着剤(1)を使用し、剥離材の種類をHにした例(溝4を有しない)で、本発明の範囲外であるため、ドラグライン、生産性(工程の簡略化)が△評価、耐熱接着性(50℃×400時間)、耐熱接着性(80℃×400時間)、耐熱外観性(50℃×400時間)、耐熱外観性(80℃×400時間)、長期保存時の剥離材付きシートの外観性が×評価、80℃、1週間後の収縮率の差、常温、3ヶ月後の収縮率の差が大きく、劣る評価になった。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の真空成型用シートは、自動車内装用途、家電製品用途等の三次元被覆成型品を得るのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の真空成型用シートの構成を説明するための断面図である。
【図2】逆の面側から見た本発明の真空成型用シートの一実施形態の斜視図である。
【図3】本発明の粘着シートの溝の一部を拡大した見取り図であり、(a)は溝の断面形状が長方形であり、(b)は溝の断面形状が台形であり、(c)は溝の断面形状がU字型であり、(d)は溝の断面形状が三角形である場合を示す。wは幅を、hは深さを示す。
【図4】本発明の真空成型用シートの接着剤層の一部を拡大した正面図である。
【図5】本発明の真空成型用シートの接着剤層の一部を拡大した正面図である。
【図6】本発明の真空成型用シートの接着剤層の一部を拡大した正面図である。
【図7】本発明の真空成型用シートに好適に適用される真空成型方法の一例を説明するための図である。
【図8】本発明の真空成型用シートに好適に適用される真空成型方法の一例を説明するための図である。
【図9】溝の間隔およびピッチを説明する図であり、(a)〜(c)は夫々、図2、4および5の接着剤層の正面図に対応する。
【図10】収縮率試験を説明する図である。
【図11】裏面凹凸によるエアー混入の現象を説明するための、真空成型用シートの断面図である。
【符号の説明】
【0117】
1 真空成型用シート
4 溝
5 溝
ア 表層フィルム
イ 接着剤層
ウ バッカー層
10 真空成型用シート
12 積層基材
14 第一の室
16 第二の室
18 真空ポンプ
20 ヒータ
22,26 駆動装置
24 テーブル
100 逆の面
200 積層基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表層にエンボス加工を施した表層フィルム(ア)の下面に接着剤層(イ)を有する真空成型用シートであって、
前記表層フィルム(ア)が、アクリル系樹脂フィルム(A)、二軸延伸共重合ポリエチレンテレフタレート系フィルム(B)、未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(C)、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム(D)またはポリカーボネート系樹脂フィルム(E)であり、かつ
前記接着剤層(イ)が、下記の熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂にポリイソシアネート1.5〜2.5当量を配合し硬化したものであり、かつ前記表層フィルム(ア)に接着している面とは逆の面に1以上の溝を有し、該溝は、該接着剤層(イ)の該逆の面の内側のみに存在して該接着剤層(イ)の側面まで通じてはいない溝、および該逆の面において側面まで通じている溝を有することを特徴とする真空成型用シート。
熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂:テレフタル酸20〜40モル%、イソフタル酸20〜40モル%およびアジピン酸25〜50モル%からなる酸成分(ただし、前記酸成分の合計は100モル%)と、1,4−ブタンジオール10〜50モル%および1,6−ヘキサンジオール50〜90モル%からなるグリコール成分(ただし、前記グリコール成分の合計は100モル%)とから構成される。
【請求項2】
前記熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂の軟化温度が、55〜85℃であることを特徴とする請求項1に記載の真空成型用シート。
【請求項3】
前記表層フィルム(ア)と前記接着剤層(イ)との間にバッカー層(ウ)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の真空成型用シート。
【請求項4】
前記バッカー層(ウ)が、未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(F)またはポリ塩化ビニル系樹脂フィルム(G)であることを特徴とする請求項3に記載の真空成型用シート。
【請求項5】
前記ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートからなるポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の真空成型用シート。
【請求項6】
前記未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(C)が、テレフタル酸からなる酸成分と、エチレングリコール60〜90モル%およびシクロヘキサンジメタノール10〜40モル%からなるグリコール成分(ただし、前記グリコール成分の合計は100モル%)とから構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の真空成型用シート。
【請求項7】
前記未延伸非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(F)が、テレフタル酸からなる酸成分と、エチレングリコール60〜90モル%およびシクロヘキサンジメタノール10〜40モル%からなるグリコール成分(ただし、前記グリコール成分の合計は100モル%)とから構成されることを特徴とする請求項4に記載の真空成型用シート。
【請求項8】
前記エンボス加工の柄が、導管木目、ヘアライン、抽象柄または梨地であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の真空成型用シート。
【請求項9】
前記溝が、幅5〜100μmおよび深さ5〜50μmを有する請求項1に記載の真空成型用シート。
【請求項10】
前記接着剤層(イ)の該逆の面の正面図において、該側面まで通じていない溝が直線形、直線分岐形、十字形、円形、楕円形または多角形であり、各形状は断続的な複数の溝で形成されていてもよい、請求項1または請求項9に記載の真空成型用シート。
【請求項11】
前記接着剤層(イ)の該逆の面の正面図において、該側面まで通じていない溝が1cm2当たり1×10〜3.7×106個の密度で存在する、請求項1または請求項9〜10のいずれかに記載の真空成型用シート。
【請求項12】
前記接着剤層(イ)の該逆の面の正面図において、該側面まで通じている複数の溝が、縞状に配置されており、または該溝によって区切られる粘着材層の各々が円形、楕円形もしくは多角形であるように配置されている、請求項1または請求項9〜11のいずれかに記載の真空成型用シート。
【請求項13】
多角形が三角形、四角形または六角形である請求項10または請求項12に記載の真空成型用シート。
【請求項14】
下記の真空成型方法により真空成型を行なうために用いられる、請求項1〜13のいずれかに記載の真空成型用シート。
真空成型方法:請求項1〜13のいずれかに記載の真空成型用シートと、前記真空成型用シートを積層する積層基材とを対向配置し、前記真空成型用シートにより積層基材側に第一の室を、反対側に第二の室を互いに気密に区画し、前記第一の室および前記第二の室を減圧し、かつ前記真空成型用シートを加熱軟化した後、前記真空成型用シートと前記積層基材とを接触させ、この後に前記第二の室の減圧を解除して前記第一の室と前記第二の室の差圧により前記真空成型用シートを積層基材の外表面に密着積層する真空成型方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の真空成型用シートと、ABS樹脂、または、ABS樹脂およびポリカーボネート樹脂のアロイからなる基材とを真空成型により積層せしめてなることを特徴とする成型品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−120208(P2010−120208A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294193(P2008−294193)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000250384)リケンテクノス株式会社 (236)
【Fターム(参考)】