説明

睡眠姿勢モニタシステムおよび空間位置測定システム

【課題】アクチグラフでは睡眠中の被験者の姿勢まで検出することができない。
【解決手段】被験者の睡眠中の姿勢をモニタする睡眠姿勢モニタシステムであって、被験者の関節位置に配置され、電源を供給されることにより識別IDを発信するRFIDタグ102と、あらかじめ定められた計測時刻に前記RFIDタグ102に電源を供給するとともに、RFIDタグ102から識別IDを受信する複数のアンテナ部101と、識別IDを受信したアンテナ部101での受信電磁場強度を測定する電磁場強度測定部103と、受信された識別IDと、識別IDを受信したアンテナ部101の位置と、アンテナで測定された電磁場強度とから、関節の空間位置を算出し、算出された関節の空間位置に基づいて、被験者の睡眠中の姿勢または姿勢の変化を検出する関節位置算出部109とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
被験者の関節の空間位置を測定することにより、被験者の睡眠中の姿勢およびその変化をモニタする睡眠姿勢モニタシステムに関する。また、本発明の睡眠姿勢モニタシステムにおける空間位置測定方法は、一般的な空間位置測定システムに応用することができる。
【背景技術】
【0002】
生活スタイルの変化や、ストレスの増大などにより、睡眠障害は老若男女を問わず急増している。貧弱な睡眠や睡眠障害は、起床時の気分や機嫌の悪さの原因ともなり、高齢者では意欲の低下や抑うつ状態を引き起こし、社会的な活動を低下させる原因となることが知られている。発達期の青少年では、記憶や集中力の障害による学習機能の低下、感情コントロール機能の低下、運動能力の低下、不規則な生活習慣の定着などを引き起こし、社会問題の1つとなっている。
【0003】
睡眠障害の改善策や治療法の評価にあたっては、睡眠を定性的かつ定量的に捉える検査法が必須であり、従来は心拍変動、脳波、体温などの生理的指標が用いられてきた。終夜睡眠ポリグラフ検査では、脳波や眼球運動、頤筋電図、呼吸運動、心電図、前脛骨筋電図、脈波、血液酸素飽和度、ビデオモニタリングなどを組み合わせて生体現象の評価を行っている。しかし、睡眠の質の評価は環境の影響が大きいため、1日のみの検査では病像を把握しきれず、数日にわたる検査が必要な場合もある。しかも、人口の2割から3割が睡眠障害を経験しているとされる現状では限られた医療資源で対応するには限界がある。そのため、自宅でも簡便に施行できる検査法が望まれている。
【0004】
これに対し、アクチグラフという測定機器が考案されている。アクチグラフは、3次元加速度を検出する機器で、腕時計のように手首などに取り付けることができ、手の動きや体全体の動きによって手首に生じる加速度から、被験者の活動状態を検出することができる(特許文献1参照。)。また、この加速度の計測は、例えば、3分おきぐらいに自動的に行われる。図10は、アクチグラフを用いて測定された睡眠時及び覚醒時における被験者の動きの一例を示すグラフである。同図において、横軸は時間を表し、縦軸は測定された3次元加速度の大きさを表している。グラフに示されるように、睡眠時にはあまり大きな動きは見られず、覚醒時には頻繁に大きな動きが見られる。同図では被験者は、例えば、22:00ぐらいから6:30ぐらいまで睡眠しており、6:30以降は覚醒していることがわかる。このようにアクチグラフによれば、比較的簡便に被験者の睡眠覚醒状態を測定することができる。また、アクチグラフによれば、例えば、被験者の体が動いているか動いていないかによって、入眠潜時(横になってから睡眠に入るまでの時間)、被験者の睡眠効率(横になっている時間に対する睡眠時間の割合)および覚醒エピソード(就寝中の目覚めの回数)などを調べることができる。さらに、この場合では、被験者が睡眠中に一定時間間隔でわずかに動いていることが検出されている。また、アクチグラフ以外にも、ポジションセンサというものがあり、これを体幹部に巻き付けることにより、仰臥位、側臥位および腹臥頤位のいずれであるかを判定することができる。
【特許文献1】国際公開第00/26841号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、最近、睡眠障害の原因のひとつに睡眠の姿勢が挙げられており、睡眠の姿勢を簡便に評価することができれば、新しい睡眠治療法の開発ができる可能性があると思われる。この点、アクチグラフは、高価であるために通常は片方の腕に1つだけ巻きつけて使用される。このため、被験者の動きの有無を検出することはできても、睡眠中の被験者の姿勢までは検出することができない。また、ポジションセンサは体幹部に巻きつけて使用するため、手足の動きや複雑な姿勢までは検出することができないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決し、睡眠中の被験者の姿勢および姿勢の変化を簡便に検出することができる睡眠姿勢モニタシステムを提供することである。また、本発明の第2の目的は、睡眠姿勢モニタシステムにおける空間位置測定方法を応用した空間位置測定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の睡眠姿勢モニタシステムは、被験者の睡眠中の姿勢をモニタする睡眠姿勢モニタシステムであって、被験者の関節位置に配置され、電源を供給されることにより識別IDを発信するRFIDタグと、あらかじめ定められた複数の位置に配置され、前記RFIDタグに電源を供給するとともに、前記RFIDタグから識別IDを受信する複数のアンテナと、前記識別IDを受信したアンテナから前記識別IDを発信したRFIDタグまでの距離を測定する距離測定手段と、受信された前記識別IDと、前記識別IDを受信したアンテナの位置と、前記アンテナおよび前記RFIDタグ間の距離とから、前記関節の空間位置を算出する関節位置算出手段と、算出された関節の空間位置に基づいて、前記被験者の睡眠中の姿勢または姿勢の変化を検出する姿勢検出手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記距離測定手段は、前記識別IDを受信した前記アンテナでの電磁場強度を測定する電磁場強度測定部を備え、前記距離測定手段は、測定された前記電磁場強度を距離に換算し、前記関節位置算出手段は、換算された前記距離だけアンテナの位置から離れた位置にRFIDタグが存在するという条件が、前記各アンテナについて満たされる空間位置を関節の空間位置として算出するとしてもよい。
【0009】
さらに、前記電磁場強度測定部は、前記アンテナで受信される前記RFIDタグからの識別IDの電磁場強度を測定するとしてもよい。
【0010】
また、前記アンテナは、発生する電磁波の強度を強い方から弱い方へまたは弱い方から強い方へ段階的に変化させて電磁波を発生し、前記電磁場強度測定部は、前記RFIDタグからの前記識別IDが受信不能または受信可能となったときの前記アンテナにおける電磁波の強度を前記電磁場強度として測定し、前記関節位置算出手段は、1つのRFIDタグにつき、少なくとも3つのアンテナで測定された電磁場強度から前記識別IDに対応する関節の空間位置を算出するとしてもよい。
【0011】
さらに、前記複数のアンテナは、被験者が横臥する床面にマトリクス状に配置され、前記睡眠姿勢モニタシステムは、さらに、予め定められた計測時刻ごとに繰り返して、前記複数のアンテナを行方向および列方向に順次切り替えて駆動するアンテナ切り替え手段を備えるとしてもよい。
【0012】
また、前記アンテナ切り替え手段は、複数のアンテナから構成されるアンテナ群を単位として行方向および列方向に順次駆動し、駆動されたアンテナ群のうち、前記識別IDを受信したアンテナ群があれば、前記アンテナ群に含まれるより少数のアンテナのグループを行方向および列方向に順次切り替えて駆動するとしてもよい。
【0013】
さらに、前記アンテナ切り替え手段は、行方向および列方向のあらかじめ定められた個数ごとに前記アンテナを順次駆動し、駆動されたアンテナのうち、前記識別IDを受信したアンテナがあれば、前記アンテナの周辺に位置するアンテナをあらかじめ定められた順序で切り替えて駆動するとしてもよい。
【0014】
さらに、前記睡眠姿勢モニタシステムは、さらに、各被験者のあらかじめ定められた関節から関節までの距離をあらかじめ記憶している記憶手段を備え、前記関節位置算出手段は、あらかじめ記憶している前記関節から関節までの距離を用いて各関節の空間位置を補正するとしてもよい。
【0015】
なお、本発明は、睡眠姿勢モニタシステムおよび睡眠姿勢モニタ装置として実現できるだけでなく、そのシステムおよび装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、睡眠姿勢モニタシステムは、RFIDタグから送信される識別IDと、識別IDを受信したアンテナの位置と、前記アンテナおよび前記RFIDタグ間の距離とから、RFIDタグが配置された関節の空間位置を算出し、算出された関節の空間位置に基づいて、被験者の睡眠中の姿勢または姿勢の変化を検出することができる。これにより、睡眠姿勢モニタシステムは、被験者の睡眠中の姿勢および姿勢の変化を測定するための被験者や医師等双方の負担を軽減することができる。また、睡眠障害の治療および研究に携わる医師等の人達は、睡眠姿勢モニタシステムによる測定結果を用いて、被験者の睡眠中の姿勢および姿勢の変化を分析することによって、被験者の睡眠の質や外部環境による睡眠への影響などを簡便に評価することができるという効果がある。
【0017】
また、アンテナがマトリクス状に配置されていることにより、関節位置算出手段は容易に各アンテナの座標を算出することができるので、関節位置算出手段の処理負荷を低減することができる。また、アンテナ切り替え手段は、予め定められた計測時刻ごとに繰り返して、前記複数のアンテナを行方向および列方向に順次切り替えて駆動するので、計測時刻ごとの睡眠中の姿勢を検出することができ、相前後する計測時刻における睡眠中の姿勢を比較することにより、被験者の睡眠中の姿勢の変化を検出することができる。
【0018】
さらに、アンテナ切り替え手段は、複数のアンテナから構成されるアンテナ群を単位として行方向および列方向に順次駆動し、識別IDを受信したアンテナ群があれば、そのアンテナ群に含まれるより少数のアンテナのグループを行方向および列方向に順次切り替えて駆動する。従って、アンテナ群という大きな単位で、識別IDの受信範囲をざっと特定しておき、識別IDが受信されたアンテナ群内で、識別IDの受信範囲をより小さい範囲に絞り込んでいくことができるので、より効率よくアンテナを駆動することができるという効果がある。
【0019】
また、アンテナ切り替え手段は、あらかじめ定められた個数ごとにアンテナを飛び飛びに順次駆動して、識別IDを受信したアンテナがあれば、その周辺に位置するアンテナを駆動するので、上記とは別の方法で、より効率よくアンテナを駆動することができるという効果がある。
【0020】
さらに、本発明の睡眠姿勢モニタシステムによれば、被験者の関節から関節までの距離をあらかじめ記憶しておき、あらかじめ記憶している距離を用いて各関節の空間位置を補正するので、被験者ごとの体型の個人差を吸収して、より正確な睡眠姿勢をモニタすることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態における睡眠姿勢モニタシステム100について詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態の睡眠姿勢モニタシステム100の構成を示すブロック図である。
【0022】
睡眠姿勢モニタシステム100は、被験者の各関節位置に配置されたRFIDタグの空間位置を特定することによって睡眠中の被験者の姿勢をモニタするシステムであって、アンテナ部101、RFIDタグ102、プリンタ112、モニタ113および睡眠姿勢モニタ装置120を備える。睡眠姿勢モニタ装置120は、アンテナ部101やRFIDタグ102からなる測定部を駆動し、測定部から得られる測定結果を信号処理することによって被験者の睡眠中の姿勢をモニタする装置であって、電磁場強度測定部103、アンテナ切り替え部104、制御部105、計時部106、受信データ書き込み部107、関節位置蓄積部108、関節位置算出部109、グラフ作成部110および画像生成部111を備える。
【0023】
アンテナ部101は、請求項でいう「あらかじめ定められた複数の位置に配置され、前記RFIDタグに電源を供給するとともに、前記RFIDタグから識別IDを受信する複数のアンテナ」に相当する。アンテナ部101は、無線によりRFIDタグ102に電源を供給し、RFIDタグ102から識別IDを受信する。RFIDタグ102は、請求項でいう「被験者の関節位置に配置され、電源を供給されることにより識別IDを発信するRFIDタグ」および「対象となる物体に配置され、電源を供給されることにより識別IDを発信するRFIDタグ」に相当する。RFIDタグ102は、アンテナ部101から電源を供給されると、内部にあらかじめ記憶している識別IDを送信する。電磁場強度測定部103は、請求項でいう「前記識別IDを受信したアンテナから前記識別IDを発信したRFIDタグまでの距離を測定する距離測定手段」、「前記識別IDを受信した前記アンテナでの電磁場強度を測定する電磁場強度測定部」および「前記アンテナで受信される前記RFIDタグからの識別IDの電磁場強度を測定する前記電磁場強度測定部」に相当する。電磁場強度測定部103は、制御部105による制御のもとで、アンテナ部101で受信された識別IDごとの受信電磁場強度を測定する。さらに、電磁場強度測定部103は、制御部105を介して取得した現在時刻とともに、各識別IDについて測定した電磁場強度と、アンテナ部101の座標とを受信データ書き込み部107に出力する。アンテナ切り替え部104は、マトリクス状に配置されたアンテナ部101を一定時間ごとに、行方向、列方向に順次、切り替えて駆動する。制御部105は、関節位置の測定を行うべき計測時刻をテーブルなどであらかじめ内部に記憶している。制御部105は、計時部106を参照して、現在時刻が関節位置の測定を行う計測時刻になると、電磁場強度測定部103とアンテナ切り替え部104とを駆動する。計時部106は、現在時刻を計測する。アンテナ切り替え部104、制御部105および計時部106は、請求項でいう「予め定められた計測時刻ごとに繰り返して、前記複数のアンテナを行方向および列方向に順次切り替えて駆動するアンテナ切り替え手段」に相当する。受信データ書き込み部107は、電磁場強度測定部103によって現在時刻、電磁場強度およびアンテナ部101の座標が入力されると、アンテナ部101で受信された識別IDと現在時刻および電磁場強度などのデータとを対応付けて関節位置蓄積部108に蓄積する。
【0024】
関節位置算出部109は、請求項でいう「受信された前記識別IDと、前記識別IDを受信したアンテナの位置と、前記アンテナおよび前記RFIDタグ間の距離とから、前記関節の空間位置を算出する関節位置算出手段」、「算出された関節の空間位置に基づいて、前記被験者の睡眠中の姿勢または姿勢の変化を検出する姿勢検出手段」、「測定された前記電磁場強度を距離に換算する前記距離測定手段、および換算された前記距離だけアンテナの位置から離れた位置にRFIDタグが存在するという条件が、前記各アンテナについて満たされる空間位置を関節の空間位置として算出する前記関節位置算出手段」、「換算された前記距離だけアンテナの位置から離れた位置にRFIDタグが存在するという条件が、前記各アンテナについて満たされる空間位置を前記物体の空間位置として算出する前記空間位置測定手段」および「受信された前記識別IDと、前記識別IDを受信した前記アンテナの位置と、前記アンテナおよび前記RFIDタグ間の距離とから、前記物体の空間位置を測定する空間位置測定手段」に相当する。関節位置算出部109は、関節位置蓄積部108内に蓄積されている識別IDごとの計測時刻、アンテナ部101の座標、電磁場強度とから、計測時刻ごとにアンテナ部101を1スキャン(走査)した分の各関節の空間位置を算出する。具体的には、関節位置算出部109は、識別IDの受信電磁場強度と、アンテナ−RFIDタグ間の距離との関係をあらかじめ内部に記憶しており、アンテナ部101で受信される識別IDの受信電磁場強度とアンテナ部101の座標とから、三角測量などにより、受信された識別IDで特定される関節の空間位置を表す3次元位置座標を算出する。この計算を全ての識別IDについて行うことにより、各関節の空間位置を算出する。グラフ作成部110は、関節位置算出部109による算出結果に基づいて、例えば、関節の空間位置の時間変化を示すグラフを関節ごとに生成する。画像生成部111は、関節位置算出部109による算出結果に基づいて、例えば、コンピュータグラフィックで生成した被験者の計測時刻ごとの寝姿の画像を生成する。プリンタ112は、グラフ作成部110で生成されたグラフおよび画像生成部111で生成された画像を印刷する。モニタ113は、グラフ作成部110で生成されたグラフおよび画像生成部111で生成された画像を表示する。なお、ここでは、プリンタ112がグラフ作成部110で作成されたグラフを印刷し、モニタ113が画像生成部111で生成された画像を表示すると説明したが、本発明はこれに限定されない。プリンタ112やモニタ113は、いずれも睡眠姿勢モニタ装置120の外部機器であるので、グラフ作成部110で生成されたグラフおよび画像生成部111で生成された画像の一方または両方を印刷し、表示するとしても良い。
【0025】
なお、図1では、電磁場強度測定部103、アンテナ切り替え部104、制御部105、計時部106、受信データ書き込み部107、関節位置蓄積部108、関節位置算出部109、グラフ作成部110および画像生成部111を睡眠姿勢モニタ装置120としているが、本発明はこれに限定されない。例えば、電磁場強度測定部103、アンテナ切り替え部104、制御部105、計時部106、受信データ書き込み部107および関節位置蓄積部108を、アンテナ部101に接続されるコントローラとして睡眠姿勢モニタ装置120とは独立した構成とし、睡眠姿勢モニタ装置120には関節位置算出部109、グラフ作成部110および画像生成部111などを備えることとしてもよい。この場合、関節位置蓄積部108を、メモリカードやICメモリなどの記録媒体とし、受信データ書き込み部107を記録媒体の書き込みドライブとし、併せて、睡眠姿勢モニタ装置120に記録媒体の読出し/書き込みドライブを備えることが好ましい。このようにすることによって、被験者は、RFIDタグ102、アンテナ部101、コントローラおよび記録媒体を自宅に持ち帰って睡眠中の関節位置を自宅で測定することができる。従って、病院等の施設に夜間何日も拘束されることなく、睡眠中の関節位置を測定することができる。そして、測定した関節位置を記録媒体に蓄積しておいて、病院等の睡眠姿勢モニタ装置120を備えた施設に記録媒体を持参することにより、医師等から適切なアドバイスや治療を受けることができるという効果がある。
【0026】
図2は、睡眠姿勢モニタシステム100の使用形態の一例を示す外観図である。ここで、RFIDタグ102は、例えば、被験者のパジャマに縫い付けられたり、ベルクロや両面接着テープ等で接着されたりすることにより、パジャマに取り付けられる。RFIDタグ102は、被験者の肩、ひじ、手首、股関節、ひざ、くるぶしなどの各関節の前面と背面とに取り付けられている。また、ここではRFIDタグ102は、前述したような関節部位だけでなく、左右の胸、脇、横腹それぞれの前面および背面などの体幹部にも設置される。さらに、同図のように、ベルトなどによりRFIDタグ102を頭部にも設置することにより、より正確に被験者の姿勢を特定することができる。個々のアンテナ部101は、例えば、5cm角程度の大きさであり、被験者が横になっているシーツ201の裏面にマトリクス状に設置されている。アンテナ部101と睡眠姿勢モニタ装置120とを接続する信号線は、例えば、シーツ201の一端にまとめられる。
【0027】
図3は、シーツ201に設けられたアンテナ部101の配置の一例を示す図である。同図に示すように、アンテナ部101はマトリクス状に配置される。このように配置されたアンテナ部101は、アンテナ切り替え部104によって行方向に(1、1)、(1、2)、(1、3)、(1、4)、・・・の順に切り替えて駆動される。このようにして、1行目のアンテナ部101が全て駆動されると、2行目のアンテナ部101が(2、1)、(2、2)、(2、3)、(2、4)、・・・の順に切り替えて駆動される。同様にして、順次、3行目、4行目、・・・と、最後の行まで切り替えられ、全てのアンテナ部101が切り替えて駆動される。
【0028】
なお、ここでは、各アンテナ部101が隙間なくタイル状に設置されるように説明しているが、これに限定されず、行方向、列方向に一定間隔を置いて設置されても良い。また、ここでは、アンテナ部101を1つずつ順次に切り替えて駆動する例を示したが、本発明はこの方法に限定されない。アンテナ部101の駆動方法の他の例について、以下に説明する。
【0029】
図4は、RFIDタグ102からの識別IDを効率よく受信するためのアンテナ部101の駆動方法の一例を示す図である。図4(a)は、3×3個のアンテナ部101からなるアンテナ群401を単位として、順次切り替えて駆動し、駆動されているアンテナ群401全体でRFIDタグ102からの識別IDを受信する例を示す図である。同図において、斜線のハッチングを付した部分は識別IDを受信したアンテナ群401を示している。この場合のアンテナ切り替え部104は、請求項でいう「複数のアンテナから構成されるアンテナ群を単位として行方向および列方向に順次駆動し、駆動されたアンテナ群のうち、前記アンテナ群に属するアンテナの1つでも前記識別IDを受信したアンテナがあれば、前記アンテナ群に含まれるより少数のアンテナのグループを行方向および列方向に順次切り替えて駆動する前記アンテナ切り替え手段」に相当する。図中の矢印はアンテナ群401をスキャンする方向を示し、行方向にアンテナ群401を順次切り替えて駆動することを示している。具体的には、アンテナ群401は、(1、1)のアンテナ部101が左上に位置するアンテナ群401から、(1、4)のアンテナ部101が左上に位置するアンテナ群401、(1、7)のアンテナ部101が左上に位置するアンテナ群401、・・・の順に切り替えて駆動される。このようにして行方向に全てのアンテナ群401が駆動されると、(4、1)のアンテナ部101が左上に位置するアンテナ群401、(4、4)のアンテナ部101が左上に位置するアンテナ群401、(4、7)のアンテナ部101が左上に位置するアンテナ群401、・・・のように、次の行のアンテナ群401が順次駆動される。この際に、駆動されているアンテナ群401でいずれかの識別IDが受信されると、アンテナ切り替え部104はそのアンテナ群401を特定して記憶しておく。そして、全てのアンテナ群401が駆動された後、記憶しておいたアンテナ群401について、より少数のアンテナ部101を単位としてスキャンする。
【0030】
図4(b)は、図4(a)で示したアンテナ群401のうち、識別IDが受信されたアンテナ群401について、内部を1つずつのアンテナ部101を単位として切り替えて駆動し、識別IDを受信する一例を示す図である。図中の矢印はアンテナ部101をスキャンする方向を示している。ここでは、アンテナ部101は、識別IDが受信されたアンテナ群401の内部を行方向に順次切り替えて駆動される。駆動されたアンテナ部101は、識別IDを受信した場合、受信した識別IDを受信データ書き込み部107に出力する。このとき、受信された識別IDごとに電磁場強度測定部103によってアンテナ部101における受信電磁場強度が測定される。このようにして、その行の3個のアンテナ部101が駆動されると、次の行の3個が順次駆動される。アンテナ群401内に3行3列に配置されたアンテナ部101の全てが駆動されると、アンテナ切り替え部104に記憶されている次のアンテナ群401の内部のアンテナ部101が、同様にして駆動される。このようにして、アンテナ群401を単位として一通りすべてのアンテナ部101をスキャンし、その後、識別IDが受信されたアンテナ群401についてだけ、詳細にスキャンすることによって、より効率よく識別IDを受信することができるという効果がある。
【0031】
図5は、RFIDタグ102からの識別IDを効率よく受信するためのアンテナ部101の駆動方法の他の例を示す図である。上記の図4では、複数のアンテナ部101からなるアンテナ群401を1つの単位として、順次アンテナ群401を行方向に切り替えて駆動し、識別IDを受信する例を示した。しかし、本発明はこれに限定されず、図5に示すように、個々のアンテナ部101を飛び飛びに切り替えて駆動するとしても良い。このアンテナ切り替え部104は、請求項でいう「行方向および列方向のあらかじめ定められた個数ごとに前記アンテナを順次駆動し、駆動されたアンテナのうち、前記識別IDを受信したアンテナがあれば、前記アンテナの周辺に位置するアンテナをあらかじめ定められた順序で切り替えて駆動する前記アンテナ切り替え手段」に相当する。ここでは、駆動されるアンテナ部101である駆動アンテナ部501は、例えば、(1、1)、(1、3)、・・・のようにアンテナ部101が行方向に1つ置きに切り替えられ、駆動される。このとき、ある駆動アンテナ部501で識別IDが受信されると、アンテナ切り替え部104は識別IDを受信した、現在の駆動アンテナ部501であるアンテナ部101を特定して記憶しておき、駆動アンテナ部501を次のアンテナ部101に切り替える。1行目のすべてのアンテナ部101を駆動し終えると、アンテナ切り替え部104は、(3、1)、(3、3)、・・・のように、一行をおいて次の行のアンテナ部101によるスキャンを行う。このようにして、すべてのアンテナ部101を駆動し終えると、アンテナ切り替え部104は、先のスキャンのときに記憶しておいたアンテナ部101と、そのアンテナ部101に隣接するアンテナ部101とを順次、切り替えて駆動する。例えば、(3、3)のアンテナ部101で識別IDが受信されていた場合、アンテナ切り替え部104は、まず、(3、3)のアンテナ部101を駆動して識別IDを受信し、識別IDを受信した現在時刻、受信された識別ID、駆動アンテナ部501であるアンテナ部101の座標および電磁場強度を関節位置蓄積部108に蓄積する。次いで、アンテナ切り替え部104は、(3、3)のアンテナ部101に隣接するアンテナ部101を(2、2)、(2、3)、(2、4)、(3、4)、(4、4)、(4、3)、(4、2)、(3、2)の順に切り替えて駆動し、識別IDを受信したアンテナ部101があれば、識別IDを受信した現在時刻、受信された識別ID、駆動アンテナ部501であるアンテナ部101の座標および電磁場強度を関節位置蓄積部108に蓄積する。このように、アンテナ部101を飛び飛びにスキャンし、識別IDを受信したものがあった場合に、その周辺部を詳細に調べることにより、効率よく識別IDを受信することができるという効果がある。
【0032】
なお、図5では、アンテナ部101を1つずつ切り替えて駆動すると説明したが、飛び飛びに駆動する場合であっても1つずつ駆動する必要はなく、図4を用いて説明したように、複数のアンテナ部101からなるアンテナ群401を単位として飛び飛びに切り替えて駆動するとしてもよい。また、図5では、アンテナ部101を1つおきに駆動したが、本発明はこれに限定されず、例えば、シーツ201の中央部を密にスキャンし、シーツ201の周縁部では両端部と中央部の3か所程度だけ駆動するというように場所によって異なる間隔や密度で駆動するように定めてもよい。また、一般的に被験者の関節位置が存在する確立が高い領域が集中的に密度高くスキャンされるように、例えば、性別、年齢別などの平均的な関節位置に基づいて、駆動アンテナ部501の配置や、切り替え順序などのパターンをあらかじめ定めておいてもよい。
【0033】
図6は、本実施の形態の睡眠姿勢モニタシステム100の関節位置測定時における動作を示すフローチャートである。睡眠姿勢モニタシステム100に電源が投入されると、まず制御部105は、計時部106を参照して、現在時刻が関節位置の測定を行うべき計測時刻かどうかを判定する(S601)。制御部105は、現在時刻が関節位置の測定を行うべき計測時刻でなければ、制御部105は、計測時刻になるまで待機する。制御部105は、現在時刻が関節位置の測定を行うべき計測時刻であれば、電磁場強度測定部103とアンテナ切り替え部104とを駆動する。アンテナ切り替え部104は、アンテナ部101を切り替えて駆動し(S602)、駆動されたアンテナ部101は、RFIDタグ102に電源を供給する(S603)。電磁場強度測定部103は、駆動されたアンテナ部101での電磁場強度を測定する。このとき、一定以上の電磁場強度が測定された場合、電磁場強度測定部103は、識別IDが受信されたと判定する。駆動されたアンテナ部101で識別IDが受信されると(S604)、電磁場強度測定部103は、識別IDごとに電磁場強度を測定する。電磁場強度測定部103は、測定した電磁場強度、制御部105を介して取得した現在時刻および駆動されたアンテナ部101の座標を受信データ書き込み部107に出力する。受信データ書き込み部107は、アンテナ部101で受信された識別IDごとに、電磁場強度測定部103から入力された電磁場強度、現在時刻およびアンテナ部101の座標を対応付けて関節位置蓄積部108に蓄積する(S605)。アンテナ切り替え部104は、すべてのアンテナ部101を駆動したか否かを判定して(S606)、まだすべてのアンテナ部101を駆動していなければ、次のアンテナ部101に切り替えて駆動し(S602)、すべてのアンテナ部101を駆動した後であれば、次の計測時刻まで待機する(ステップS601)。以上のようにして、あらかじめ定められた計測時刻ごとに、睡眠中の被験者の関節位置の測定を行うことができる。
【0034】
図7は、関節位置蓄積部108に蓄積された各関節位置に関するデータに基づいて、モニタ113に被験者の計測時刻ごとの睡眠姿勢を示す画像を表示する場合の睡眠姿勢モニタシステム100の動作を示すフローチャートである。関節位置算出部109は、関節位置蓄積部108から、あらかじめ定められた計測時刻から一定範囲内の時刻に対応した識別ID、電磁場強度およびアンテナ部101の座標からなるデータの組を読み出す(S701)。関節位置算出部109は、読み出したデータの組を、識別IDでソートし、さらに、同一時間帯に同一識別IDについて測定された電磁場強度とその電磁場強度で識別IDを受信した1以上のアンテナ部101の座標とから、その識別IDで特定される関節の空間的位置を算出する。具体的には、関節の空間位置の算出には、あらかじめ内部に記憶している電磁場強度とタグ−アンテナ間の距離との関係を参照する。この処理をすべての識別IDについて行うことにより、関節位置算出部109は、ある計測時刻を基準として同一時間帯における、被験者のすべての関節の3次元座標で表される空間位置を算出する(S702)。画像生成部111は、関節位置算出部109によって算出された各関節の3次元座標に基づいて、コンピュータグラフィックなどにより、ある計測時刻における被験者の睡眠姿勢を示す画像データを生成する(S703)。モニタ113は、生成された画像データで表される画像を表示する(S704)。睡眠姿勢モニタシステム100は、以上のステップS701からステップS704までの処理を繰り返すことにより、計測時刻ごとの被験者の睡眠姿勢のCG画像を順次、表示することができる。
【0035】
図8は、図4(a)および(b)に示した、効率よく識別IDを受信するためのアンテナ部101の駆動方法の手順を示すフローチャートである。アンテナ切り替え部104は、3×3個のアンテナ部101からなるアンテナ群401を単位として、アンテナ群401を切り替えて駆動し、駆動されているアンテナ群401全体でRFIDタグ102からの識別IDを受信する(S801)。駆動されているアンテナ群401でいずれかの識別IDが受信されると(S802)、アンテナ切り替え部104はそのアンテナ群401を特定して記憶しておく(S803)。そして、全てのアンテナ群401を駆動し終わったか否かを判定し(S804)、まだ全てのアンテナ群401を駆動し終わっていなければ、アンテナ群401を次のアンテナ群401に切り替えて駆動し、そのアンテナ群401全体で識別IDを受信する(S801)。
【0036】
そして、全てのアンテナ群401を駆動し終わっていれば(S804)、アンテナ切り替え部104は、図4(b)に示すように、記憶しておいたアンテナ群401の内部を、1つずつのアンテナ部101を単位として切り替えて駆動し、駆動されたアンテナ部101で識別IDを受信する(S805)。この場合のアンテナ部101の切り替えの順序は、例えば、アンテナ切り替え部104に記憶されている1つのアンテナ群401の内部でアンテナ部101を1つずつ行方向に切り替えて駆動し、1つの行の中のすべてのアンテナ部101が駆動されると、次の行のアンテナ部101が行方向に順次、切り替えて駆動される。1つのアンテナ群401の内部のすべてのアンテナ部101が駆動されると、アンテナ切り替え部104は、記憶しておいた次のアンテナ群401の内部で、同様にしてアンテナ部101を1つずつ行方向に切り替えて駆動する。
【0037】
このような順序で切り替えられ駆動されたアンテナ部101が識別IDを受信した場合(S806)、アンテナ部101は、受信した識別IDを受信データ書き込み部107に出力する。このとき、受信された識別IDごとに、電磁場強度測定部103によってアンテナ部101における受信電磁場強度が測定されている。電磁場強度測定部103からは、測定された電磁場強度の他に、現在時刻およびアンテナ部101の座標が受信データ書き込み部107に入力される。受信データ書き込み部107は、入力された現在時刻、識別ID、電磁場強度およびアンテナ部101の座標を対応付けて関節位置蓄積部108に蓄積する(S807)。駆動されたアンテナ部101が、識別IDを受信していない場合(S806)、アンテナ切り替え部104は、駆動アンテナ部501を次のアンテナ部101に切り替える(S805)。駆動されたアンテナ部101は識別IDを受信する。
【0038】
アンテナ切り替え部104は、記憶しておいたすべてのアンテナ群401内のすべてのアンテナ部101が駆動されたか否かを判定し(S808)、全てのアンテナ部101が駆動された場合、処理を終了する。また、まだ全てのアンテナ部101が駆動されていない場合、アンテナ切り替え部104は、駆動アンテナ部501を次のアンテナ部101に切り替えて駆動し、識別IDを受信する(S805)。
【0039】
図9は、関節位置算出部109によって算出された各関節の空間位置に基づいて表示される被験者の睡眠姿勢を表すCG画像の一例を示す図である。同図は、例えば、モニタ113にサムネイル表示された被験者の睡眠姿勢の一覧を示している。サムネイル表示された各画像は、例えば、30分ごとに測定された被検者の関節位置から作成された画像である。ここで、関節位置算出部109は、請求項でいう「全てのRFIDタグの識別IDが受信されたときから、全ての関節が静止するまでの時間を入眠潜時として検出する前記姿勢検出手段」に相当する。同図において、22:00の画像は被験者が右を下にして横を向いて寝ている姿を示している。次いで22:30の画像では、被験者が寝返りを打って上を向こうとしている姿を示している。また、23:00の画像では被験者は真上を向いて寝ており、00:30まで同じ姿勢を続けている。これに対し、関節位置算出部109は、被験者が22:00に測定を開始して全てのRFIDタグの識別IDが受信されたときから、すなわち、測定を開始してすべての関節の位置が測定されたときから、全ての関節位置の変化が静止とみなせる程度に小さくなるまでの時間を入眠潜時として算出する。ただし、静止後、例えば、最低3分間の静止状態が続くことを条件とする。これによって、被験者は、23:00に眠りについたものと判定される。従って、被験者が22:00に床について測定を開始したとすれば、入眠潜時は1時間と算出される。また、関節位置算出部109は、請求項でいう「計測時刻ごとの前記両肩の空間位置を算出する前記関節位置算出手段、および計測時刻ごとの前記両足の空間位置の変化に基づいて、被験者の足の動きを検出する前記姿勢検出手段」に相当する。01:00には、被験者は00:30の画像と比較して右足の位置を移動しており、睡眠が浅くなって、足をもぞもぞしている様子が伺える。この場合、関節位置算出部109は、両足の関節に配置されたRFIDタグ102の識別IDに基づいて、00:30のときの座標位置から01:00のときの座標位置までの足の関節それぞれの移動距離を算出し、算出された移動距離が例えば、3cm以上であれば足の動きがあったと判断する。この場合、関節位置算出部109は、画像生成部111により、01:00の姿勢を示す画像に「足の動きあり」などの表示を行うとしてもよい。その後、被験者は00:30から02:30まで同じ姿勢を続けており、眠っていると判定される。さらに、03:00には、被験者が右手を腰に当てている様子が示されており、腰にかゆみがある可能性が推定される。また、その後、03:30と04:00の画像には、被験者が寝返りを打って、左体側が下になるように横を向いて寝ている姿が示されており、04:30から05:30まで真上を向いて寝ている姿が示されている。
【0040】
このように、計測時刻ごとの被験者の関節位置(睡眠姿勢)の変化を解析することによって、睡眠姿勢モニタシステム100は、単に睡眠中の姿勢を表示したり各関節の位置変化を示すグラフを表示したりするだけではなく、関節位置算出部109により寝返りの回数、トイレの回数、手足の動き、入眠潜時、覚醒エピソード(目覚めた回数)および睡眠効率などを測定することができる。この場合、関節位置算出部109は、請求項でいう「計測時刻ごとの前記両肩の空間位置を算出する前記関節位置算出手段、および計測時刻ごとの前記両肩の空間位置の変化に基づいて、睡眠中の寝返りの回数を検出する前記姿勢検出手段」に相当する。関節位置算出部109は、計測時刻ごとの両肩の空間位置の変化を調べ、両肩を結ぶ線が例えば、90°以上回転した場合、寝返り1回とカウントする。この場合の被験者の寝返りの回数は2回である。また、関節位置算出部109は、請求項でいう「全ての関節が静止したときからあらかじめ定められた時間を経過した後、いずれかの関節の空間位置が変化したことを検出したとき被験者が目覚めたと判定し、再び全ての関節が静止したとき被験者が入眠したと判定し、被験者が目覚めた回数を検出する前記姿勢検出手段」に相当する。覚醒エピソードは、01:00と、03:00との2回である。また、関節位置算出部109は、請求項でいう「全ての関節が静止していた時間を被験者の睡眠時間とし、全てのRFIDタグの識別IDが受信されていた時間を被験者が横になっている時間とし、式1から、被験者の睡眠効率を検出する前記姿勢検出手段」に相当する。この被験者の睡眠効率は、睡眠時間の合計が5時間30分であり、横になっている時間(「就床時間」という)の合計が8時間であるので、以下の式から68.75%と算出される。
【0041】
(睡眠効率)=((総睡眠時間)/(全就床時間))×100
=5.5÷8×100
=68.75
【0042】
また、関節位置算出部109は、いずれのアンテナによっても識別IDが受信されなくなったとき被験者がトイレにたったと判定し、その後、いずれかのアンテナで識別IDが受信されたとき被験者がトイレから戻ったと判定して、トイレから戻った回数をカウントすることによって被験者が就寝後にトイレにたった回数を検出する。この場合も、画像生成部111によって、5:30の画像に合成して「トイレの回数:○回」などと表示するようにしてもよい。なお、ここでは、いずれのアンテナによっても識別IDが受信されなくなったとき被験者がトイレにたったと判定したが、被験者が床を立ったとしても必ずしもトイレに行ったとは限らないので、単に、「離床した」ことを判定するとしてもよい。そして、その後、いずれかのアンテナで識別IDが受信されたとき被験者が「就床した」と判定して、就床した回数をカウントすることによって離床した回数を検出するとしてもよい。
【0043】
以上のように、本発明の睡眠姿勢モニタシステムによれば、被験者はRFIDタグ102が取り付けられたパジャマを着用して、シーツ201の上に横になって眠るだけで、一晩中の睡眠中の関節位置のデータが自動的に取得されるので、非常に簡便に睡眠中の姿勢を表すデータを取得することができる。また、被験者は自宅で簡単にデータを取得することができるので、何日間も連続して、睡眠姿勢に関するデータを取得することができるという効果がある。また、本発明の睡眠姿勢モニタシステムでは、画像解析や目視による睡眠姿勢のモニタリングなどを行わず、非接触による関節位置の検出を行うので、毛布などを被験者の上に掛けても支障がないというメリットもある。
【0044】
さらに、本発明の睡眠姿勢モニタシステムは、被験者の睡眠中の関節位置を測定する以外に、通信などにより外部の測定装置とリンクする機能を持たせるとしてもよい。この外部装置は、被験者の睡眠状態を調べるために並行して測定を行う装置であり、例えば、PSGデータ(睡眠段階、心拍変動、外的環境(照明の照度、温度、湿度など))を測定する装置である。この場合、睡眠姿勢モニタシステムは、このような外部測定装置とデータのやり取りを行い、外部測定装置から取得したデータと、被験者の関節位置を示すデータとを関連付けて格納する。このように、本発明の睡眠姿勢モニタシステムは、外部測定装置とリンクすることによって、外部から得られたデータと、被験者の睡眠中の姿勢とを関連付けることができるので、被験者の睡眠の質についてより正確な評価を行うことができるという効果がある。また、本発明の睡眠姿勢モニタシステムによれば、適切な睡眠環境(温度、湿度、騒音、光、アレルギー、ベッドおよび枕など)を評価することができるという効果がある。また、本発明の睡眠姿勢モニタシステムは、睡眠障害の治療による効果の判定にも用いることができる。
【0045】
また、上記実施の形態では、アンテナ部101から電磁波を発信し、それによるRFIDタグ102からの応答となる微弱電磁波を電磁場強度測定部103が計測するとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、アンテナ部101から発生する電磁波の強度を強い方から弱い方へ、または弱い方から強い方へ段階的に変化させ、RFIDタグ102からの識別IDが検出可能または検出不能となるときの電磁波の強度を電磁場強度として測定するとしてもよい。ここで、アンテナ部101は、請求項でいう「発生する電磁波の強度を強い方から弱い方へまたは弱い方から強い方へ段階的に変化させて電磁波を発生する前記アンテナ」に相当し、電磁場強度測定部103は「前記RFIDタグからの前記識別IDが受信不能または受信可能となったときの前記アンテナにおける電磁波の強度を前記電磁場強度として測定する前記電磁場強度測定部」に相当し、関節位置算出部109は「1つのRFIDタグにつき、少なくとも3つのアンテナで測定された電磁場強度から前記識別IDに対応する関節の空間位置を算出する前記関節位置算出手段」および「1つのRFIDタグにつき、少なくとも3つのアンテナで測定された電磁場強度から前記物体の空間位置を算出する前記空間位置測定手段」に相当する。上記実施の形態のような測定方法によれば、電磁場強度の測定に時間がかからずリアルタイム性に優れているが、測定の対象が微弱な電磁場であるので高い測定精度が要求されるという短所がある。これに対し、この例では、電磁波を発生する側で電磁波の強度を測定するので、簡単な構成で正確に電磁場強度を測定できるという長所がある。しかし、この例では、アンテナ部101が電磁波の強度を強い方から弱い方へ、または弱い方から強い方へ段階的に変化させて電磁波を発生するために、アンテナ部101の回路構成が複雑になり、リアルタイム性も犠牲になるという短所がある。さらに、他の例として、電磁場強度測定部103をRFIDタグ102の側に備えておき、RFIDタグ102からの応答となる識別IDを送信するための微弱電磁波をRFIDタグ102内部の電磁場強度測定部103が計測するとしてもよい。この場合、RFIDタグ102から識別IDを受信するアンテナ部101の側で測定する場合と比較して、より精度よく微弱電磁波の電磁場強度を測定することができ、かつ、リアルタイム性にも優れるという長所がある。しかし、電磁場強度測定および測定値送信のためにRFIDタグ102の回路構成が複雑となり、それらの処理のための電力を確保するために電池などを必要とする場合が生じるという短所がある。
【0046】
なお、ここでは、30分ごとに被検者の関節位置を測定した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、関節位置の測定はもっと短い時間間隔で行われるとしてもよい。例えば、睡眠中の姿勢は覚醒時ほど頻繁に変化しないので、これは1分〜10分が好ましいが、3分おきや、30秒おき、10秒おきなどに測定するとしてもよい。このように短い時間間隔で関節位置の測定を行えば、睡眠中の被験者のより滑らかな動きを観察することができ、より正確な動きを判定することができる。また、関節位置の測定は、一定時間間隔で行う必要はなく、一般に眠りが浅くなる時間帯には短い時間間隔で、眠りが深くなる時間帯には長い時間間隔で関節位置の測定を行うよう計測時刻を設定するとしてもよい。さらに、あらかじめ被験者から問診などによって、よく目が覚める時間帯などの情報を得ておき、その時間帯には短い時間間隔で、それ以外の時間帯には長い時間間隔で関節位置の測定を行うよう計測時刻を設定してもよい。
【0047】
また、関節位置の測定を行う計測時刻を、短い時間間隔で、例えば、10秒間隔で設定しておき、測定の都度、前回蓄積した各関節の位置と今回の測定された対応する各関節の位置とのずれを算出する。そして、そのずれで表される各関節の動きの大きさが、いずれもあらかじめ定めた閾値に達しない場合には、動きがないものとして、今回測定された関節位置のデータを消去するとしてもよい。これにより、関節位置蓄積部108は、被験者がじっと眠っているときの関節位置のデータは、1回の測定分だけ保持することになる。この結果、関節位置蓄積部108の記憶領域を有効に利用して、被験者の睡眠姿勢に動きがあったときには、より多くの関節位置のデータを蓄積することができるという効果がある。そして、被験者の睡眠姿勢に動きがあったときには、蓄積されているより多くの関節位置のデータに基づいて、より正確な動きを解析することができる。
【0048】
なお、睡眠姿勢モニタ装置120に、マウスやキーボードなどの入力部および記憶部を備えておき、操作者はあらかじめ測定した被験者の身体データを補正用に入力するとしてもよい。入力された被験者の身体データは、例えば、関節位置算出部109に格納する。被験者の身体データは、具体的には、特定の関節と関節との距離であり、手首から肘関節までの距離やくるぶしからひざまでの距離などである。ここで、関節位置算出部109は、請求項でいう「各被験者のあらかじめ定められた関節から関節までの距離をあらかじめ記憶している記憶手段」に相当する。この補正用の身体データは、両腕および両足について測定しておいてもよいし、RFIDタグが配置されるすべての関節について測定しておいてもよいし、あらかじめ定めた1か所だけ測定しておいてもよい。また、関節位置算出部109は、請求項における「あらかじめ記憶している前記関節から関節までの距離を用いて各関節の空間位置を補正する前記関節位置算出手段」に相当する。関節位置算出部109は、格納されている被験者の実測による身体データと、同じ部位について、電磁場強度に基づいて算出された関節間の距離とを比較し、比較結果に基づいて、各関節間の距離を補正することによって、より正確な各関節の空間位置を算出することができる。例えば、睡眠姿勢モニタ装置120の操作者は、あらかじめ被験者のひざ関節からくるぶしの関節までの距離を測定し、測定値を入力部から入力して、ひざ−くるぶし間の距離を関節位置算出部109に格納しておく。関節位置算出部109は、同一被検者について最初に測定が行われたとき、ひざの関節に配置されたRFIDタグ102の空間位置と、くるぶしの関節に配置されたRFIDタグ102の空間位置とから、ひざ−くるぶし間の距離を算出する。関節位置算出部109は、あらかじめ格納されている実測値と、各関節の空間位置から算出されたひざ−くるぶし間の距離とを比較し、比較結果に応じて、電磁場強度と距離との関係を補正する。
【0049】
さらに、タグが配置されるすべての関節について隣接する関節との間の距離を測定しておき、電磁場強度に基づいて関節位置算出部109によって算出された、対応する各関節の空間位置を補正することによって、個人によって異なるような関節ごとの関節間の距離を睡眠姿勢に正しく反映することができる。これにより、体型の個人差を吸収して、より正確な睡眠姿勢をモニタすることができるという効果がある。
【0050】
またさらに、特定のアンテナ部101から特定の関節までの距離と、そのアンテナ部101で受信される関節に対応した識別IDの受信電磁場強度との組をあらかじめ測定して、関節位置算出部109に格納しておくとしてもよい。関節位置算出部109は、例えば、実測によるアンテナ−関節間の距離と、電磁場強度から算出されたアンテナ−関節間の距離との比を求め、求めた比で、あらかじめ記憶している受信電磁場強度とアンテナ−タグ間の距離との関係を補正する。あらかじめ測定しておくアンテナ−関節間の距離と受信される識別IDの電磁場強度との組は、一組だけであってもよいし、複数組であってもよい。複数組の距離と電磁場強度を測定した場合には、例えば、それぞれの平均値を求め、平均値から比を求めて全体を補正するとしてもよい。
【0051】
なお、上記実施の形態では、RFIDタグ102をパジャマで覆われる被験者の関節部分および体幹部に取り付けることとしたが、本発明はこれに限定されず、例えば、姿勢の特定にあまり重要と判断されない箇所、例えば、体幹部等については取り付けを省略するとしてもよい。また、RFIDタグ102の取り付けを省略する代わりに、不要な関節位置に関するデータを識別IDにより特定して、それらの蓄積および関節位置の算出を省略するとしてもよい。さらに、操作者からの入力操作により、例えば、不要な関節位置を特定し、特定された関節位置に関するデータ処理を省略することにより、場合に応じてデータ処理を行うRFIDタグ102を切り替えるようにしてもよい。これにより、電磁場強度測定部103、受信データ書き込み部107および関節位置算出部109などの処理負荷を低減することができるとともに、関節位置蓄積部108の記憶領域を節約することができるという効果がある。また、逆に、より詳細な姿勢および身体の動きを測定するために必要と判断されるときには、手足の指の関節等にもRFIDタグ102を取り付けることとしてもよい。この場合、RFIDタグ102の取り付けは、例えば、接着テープなどにより手足の指の関節に貼付するとしてもよいし、RFIDタグ102を取り付けた手袋や靴下などを被験者に装着してもらうようにしてもよい。
【0052】
なお、ブロック図(図1など)の各機能ブロックは典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されても良いし、一部又は全てを含むように1チップ化されても良い。例えば、上記でコントローラとして説明した図1の電磁場強度測定部103、アンテナ切り替え部104、制御部105、計時部106および受信データ書き込み部107を含む部分が1チップ化されてもよいし、関節位置算出部109、グラフ作成部110および画像生成部111などを含む部分が1チップ化されてもよい。
【0053】
また、例えば睡眠姿勢モニタ装置120のメモリ(関節位置蓄積部108)以外の機能ブロックが1チップ化されるとしても良い。
【0054】
ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0055】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサー を利用しても良い。
【0056】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、睡眠中の被験者の姿勢および姿勢の変化をモニタする睡眠姿勢モニタシステム等に適用でき、また、睡眠姿勢モニタシステムにおける関節の空間位置測定方法は、あらゆる物品の空間位置を測定する空間位置測定システムに応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態の睡眠姿勢モニタシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】睡眠姿勢モニタシステムの使用形態の一例を示す外観図である。
【図3】シーツに設けられたアンテナ部の配置の一例を示す図である。
【図4】図4は、RFIDタグからの識別IDを効率よく受信するためのアンテナ部の駆動方法の一例を示す図である。(a)は、3×3個のアンテナ部からなるアンテナ群を単位として、順次切り替えて駆動し、駆動されているアンテナ群全体でRFIDタグからの識別IDを受信する例を示す図である。(b)は、図4(a)で示したアンテナ群のうち、識別IDが受信されたアンテナ群について、内部を1つずつのアンテナ部を単位として切り替えて駆動し、識別IDを受信する一例を示す図である。
【図5】RFIDタグからの識別IDを効率よく受信するためのアンテナ部の駆動方法の他の例を示す図である。
【図6】本実施の形態の睡眠姿勢モニタシステムの関節位置測定時における動作を示すフローチャートである。
【図7】関節位置蓄積部に蓄積された各関節位置に関するデータに基づいて、モニタに被験者の計測時刻ごとの睡眠姿勢を示す画像を表示する場合の睡眠姿勢モニタシステムの動作を示すフローチャートである。
【図8】図4(a)および(b)に示した、効率よく識別IDを受信するためのアンテナ部の駆動方法の手順を示すフローチャートである。
【図9】関節位置算出部によって算出された各関節の空間位置に基づいて表示される被験者の睡眠姿勢を表すCG画像の一例を示す図である。
【図10】アクチグラフを用いて測定された睡眠時及び覚醒時における被験者の動きを示すグラフである。
【符号の説明】
【0059】
100 睡眠姿勢モニタシステム
101 アンテナ部
102 RFIDタグ
103 電磁場強度測定部
104 アンテナ切り替え部
105 制御部
106 計時部
107 受信データ書き込み部
108 関節位置蓄積部
109 関節位置算出部
110 グラフ作成部
111 画像生成部
112 プリンタ
113 モニタ
120 睡眠姿勢モニタ装置
201 シーツ
401 アンテナ群
501 駆動アンテナ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の睡眠中の姿勢をモニタする睡眠姿勢モニタシステムであって、
被験者の関節位置に配置され、電源を供給されることにより識別IDを発信するRFIDタグと、
あらかじめ定められた複数の位置に配置され、前記RFIDタグに電源を供給するとともに、前記RFIDタグから識別IDを受信する複数のアンテナと、
前記識別IDを受信したアンテナから前記識別IDを発信したRFIDタグまでの距離を測定する距離測定手段と、
受信された前記識別IDと、前記識別IDを受信したアンテナの位置と、前記アンテナおよび前記RFIDタグ間の距離とから、前記関節の空間位置を算出する関節位置算出手段と、
算出された関節の空間位置に基づいて、前記被験者の睡眠中の姿勢または姿勢の変化を検出する姿勢検出手段と
を備えることを特徴とする睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項2】
前記距離測定手段は、
前記識別IDを受信した前記アンテナでの電磁場強度を測定する電磁場強度測定部を備え、
前記距離測定手段は、測定された前記電磁場強度を距離に換算し、
前記関節位置算出手段は、換算された前記距離だけアンテナの位置から離れた位置にRFIDタグが存在するという条件が、前記各アンテナについて満たされる空間位置を関節の空間位置として算出する
ことを特徴とする請求項1記載の睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項3】
前記電磁場強度測定部は、前記アンテナで受信される前記RFIDタグからの識別IDの電磁場強度を測定する
ことを特徴とする請求項2記載の睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項4】
前記アンテナは、発生する電磁波の強度を強い方から弱い方へまたは弱い方から強い方へ段階的に変化させて電磁波を発生し、
前記電磁場強度測定部は、前記RFIDタグからの前記識別IDが受信不能または受信可能となったときの前記アンテナにおける電磁波の強度を前記電磁場強度として測定し、
前記関節位置算出手段は、1つのRFIDタグにつき、少なくとも3つのアンテナで測定された電磁場強度から前記識別IDに対応する関節の空間位置を算出する
ことを特徴とする請求項2記載の睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項5】
前記複数のアンテナは、被験者が横臥する床面にマトリクス状に配置され、
前記睡眠姿勢モニタシステムは、さらに、
予め定められた計測時刻ごとに繰り返して、前記複数のアンテナを行方向および列方向に順次切り替えて駆動するアンテナ切り替え手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項6】
前記アンテナ切り替え手段は、複数のアンテナから構成されるアンテナ群を単位として行方向および列方向に順次駆動し、駆動されたアンテナ群のうち、前記アンテナ群に属するアンテナの1つでも前記識別IDを受信したアンテナがあれば、前記アンテナ群に含まれるより少数のアンテナのグループを行方向および列方向に順次切り替えて駆動する
ことを特徴とする請求項5記載の睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項7】
前記アンテナ切り替え手段は、行方向および列方向のあらかじめ定められた個数ごとに前記アンテナを順次駆動し、駆動されたアンテナのうち、前記識別IDを受信したアンテナがあれば、前記アンテナの周辺に位置するアンテナをあらかじめ定められた順序で切り替えて駆動する
ことを特徴とする請求項5記載の睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項8】
前記睡眠姿勢モニタシステムは、さらに、
各被験者のあらかじめ定められた関節から関節までの距離をあらかじめ記憶している記憶手段を備え、
前記関節位置算出手段は、あらかじめ記憶している前記関節から関節までの距離を用いて各関節の空間位置を補正する
ことを特徴とする請求項5記載の睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項9】
前記RFIDタグは、被験者の両肩を含む関節位置に配置され、
前記関節位置算出手段は、計測時刻ごとの前記両肩の空間位置を算出し、
前記姿勢検出手段は、計測時刻ごとの前記両肩の空間位置の変化に基づいて、睡眠中の寝返りの回数を検出する
ことを特徴とする請求項5記載の睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項10】
前記姿勢検出手段は、いずれのアンテナによっても識別IDが受信されなくなったとき被験者が離床したと判定し、その後、いずれかのアンテナで識別IDが受信されたとき被験者が就床したと判定し、被験者が就寝後に離床した回数を検出する
ことを特徴とする請求項5記載の睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項11】
前記RFIDタグは、被験者の両腕または両足の関節を含む関節位置とさらに体幹部とに配置され、
前記関節位置算出手段は、計測時刻ごとの前記両腕、両足および体幹部の空間位置を算出し、
前記姿勢検出手段は、前記計測時刻ごとの前記両腕、両足および体幹部の空間位置の変化に基づいて、被験者の両腕、両足および体幹部の動きを検出する
ことを特徴とする請求項5記載の睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項12】
前記姿勢検出手段は、全てのRFIDタグの識別IDが受信されたときから、全ての関節の位置変化が静止とみなせる範囲以下になるまでの時間で、かつ、前記静止状態があらかじめ定めた時間以上持続する場合を入眠潜時として検出する
ことを特徴とする請求項5記載の睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項13】
前記姿勢検出手段は、全ての関節が静止したときからあらかじめ定められた時間を経過した後、いずれかの関節の空間位置が変化したことを検出したとき被験者が目覚めたと判定し、再び全ての関節が静止したとき被験者が入眠したと判定し、被験者が目覚めた回数を検出する
ことを特徴とする請求項5記載の睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項14】
前記姿勢検出手段は、全ての関節が静止していた時間を被験者の睡眠時間とし、全てのRFIDタグの識別IDが受信されていた時間を被験者が横になっている時間とし、式1から、被験者の睡眠効率を検出する
(睡眠効率)=((総睡眠時間)/(全就床時間))×100 ・・・(式1)
ことを特徴とする請求項5記載の睡眠姿勢モニタシステム。
【請求項15】
被験者の睡眠中の姿勢をモニタする睡眠姿勢モニタ方法であって、
被験者の関節位置に配置され、電源を供給されることにより識別IDを発信するRFIDタグと、あらかじめ定められた複数の位置に配置され、前記RFIDタグに電源を供給するとともに、前記RFIDタグから識別IDを受信する複数のアンテナとを備え、
前記識別IDを受信したアンテナから前記識別IDを発信したRFIDタグまでの距離を測定し、
受信された前記識別IDと、前記識別IDを受信したアンテナの位置と、前記アンテナおよび前記RFIDタグ間の距離とから、前記関節の空間位置を算出し、
算出された関節の空間位置に基づいて、前記被験者の睡眠中の姿勢または姿勢の変化を検出する
ことを特徴とする睡眠姿勢モニタ方法。
【請求項16】
物体の空間位置を測定する空間位置測定システムであって、
対象となる物体に配置され、電源を供給されることにより識別IDを発信するRFIDタグと、
あらかじめ定められた複数の位置に配置され、前記RFIDタグに電源を供給するとともに、前記RFIDタグから識別IDを受信する複数のアンテナと、
前記識別IDを受信したアンテナから前記識別IDを発信したRFIDタグまでの距離を測定する距離測定手段と、
受信された前記識別IDと、前記識別IDを受信した前記アンテナの位置と、前記アンテナおよび前記RFIDタグ間の距離とから、前記物体の空間位置を測定する空間位置測定手段と
を備えることを特徴とする空間位置測定システム。
【請求項17】
前記距離測定手段は、
前記識別IDを受信した前記アンテナでの電磁場強度を測定する電磁場強度測定部を備え、
前記距離測定手段は、測定された前記電磁場強度を距離に換算し、
前記空間位置測定手段は、換算された前記距離だけアンテナの位置から離れた位置にRFIDタグが存在するという条件が、前記各アンテナについて満たされる空間位置を前記物体の空間位置として算出する
ことを特徴とする請求項16記載の空間位置測定システム。
【請求項18】
前記アンテナは、発生する電磁波の強度を強い方から弱い方へまたは弱い方から強い方へ段階的に変化させて電磁波を発生し、
前記電磁場強度測定部は、前記RFIDタグからの前記識別IDが受信不能または受信可能となったときの前記アンテナにおける電磁波の強度を前記電磁場強度として測定し、
前記空間位置測定手段は、1つのRFIDタグにつき、少なくとも3つのアンテナで測定された電磁場強度から前記識別IDに対応する物体の空間位置を算出する
ことを特徴とする請求項17記載の空間位置測定システム。
【請求項19】
物体の空間位置を測定する空間位置測定方法であって、
対象となる物体に配置され、電源を供給されることにより識別IDを発信するRFIDタグと、前記RFIDタグに電源を供給するとともに、前記RFIDタグから識別IDを受信する複数のアンテナとを備え、
前記識別IDを受信したアンテナから前記識別IDを発信したRFIDタグまでの距離を測定し、
受信された前記識別IDと、前記識別IDを受信した前記アンテナの位置と、前記アンテナおよび前記RFIDタグ間の距離とから、前記物体の空間位置を測定する
ことを特徴とする空間位置測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−17947(P2008−17947A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190855(P2006−190855)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】