説明

研磨パッド及び半導体ウェーハを研磨する方法

【課題】従来技術により研磨された半導体ウェーハに見られる、エッジ領域におけるその厚さの不所望な減少(エッジロールオフ)をなくす。
【解決手段】第1の工程において半導体ウェーハの裏面を0.1〜1.0μmの粒径の固定砥粒を有する研磨パッドによって、及び固体材料を含まず、少なくとも11.8のpH値を有する研磨剤の供給下で研磨し、且つ第2の工程において該半導体ウェーハの前面を研磨し、その際、11.8未満のpH値を有する研磨剤を供給する、半導体ウェーハを研磨する方法によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨パッド及び半導体ウェーハを研磨する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
研磨されるべき半導体ウェーハは、通常、シリコンウェーハ又はシリコンから誘導される層状構造(例えばシリコン−ゲルマニウム)を有する基板である。このシリコンウェーハは特に、半導体部品、例えばメモリ(DRAM)、マイクロプロセッサ、センサ、発光ダイオード及び更に他に多くのものの製造に使用される。
【0003】
特にメモリ及びマイクロプロセッサを製造するためのシリコンウェーハに課される要求は、ますます厳しくなってきている。これは、まず結晶特性そのもの(例えば、金属不純物を捕獲するための欠陥密度、内部ゲッターに関する)に関するが、特にウェーハの形状及び平坦度にも関する。望ましいとされているのは、2面が完全に面平行であり、デバイスがその上に作製されることになる、特にシリコンウェーハの側の非常に優れた平坦度、及び低い表面粗さを有するシリコンウェーハである。更に望ましいとされているのは、デバイスの面全体を利用できることであるが、これは現在のところウェーハのエッジ部の厚さの減少及びエッジ領域における低品質な形状に基づき可能ではない。
【0004】
半導体ウェーハを研磨する従来の方法は、このエッジロールオフの要因であることが知られている。該方法には、まず除去研磨として半導体ウェーハの両面を研磨パッドによって研磨スラリーの供給下で同時研磨する両面研磨方法(DSP)及び、それに対していわゆるヘイズフリー研磨("仕上げ加工")として前面("部品面")のみを軟質研磨パッドの使用下で最終研磨することを有する化学的機械研磨が含まれる。これらの2つの研磨処理の場合、砥粒は研磨剤スラリーの形で供給される。
【0005】
半導体ウェーハの研磨において比較的新しくはあるものの、デバイス産業において既にずっと以前から公知であり、且つ十分に理解されている技術とは、研磨パッドに固定された研磨物質を含有する("固定砥粒パッド")研磨パッド上で半導体ウェーハを研磨する、いわゆる"固定砥粒研磨"(FAP)技術である。
【0006】
そのようなFAP研磨パッドを使用する研磨工程を、以下では省略してFAP工程と称する。
【0007】
DSP及びCMPとの本質的な相違点は、DSP及びCMPの場合、研磨バッドは砥粒を有しないという事実にある。
【0008】
ドイツ国特許出願DE102007035266A1は、1つの研磨工程で、固体材料として非固定研磨材料を含有する研磨剤スラリーを基板と研磨パッドとの間に導入し、その一方で、第2の研磨工程では、該研磨剤スラリーは固体材料を含まない研磨剤溶液に代えるという点で異なる、FAP型の2つの研磨工程を有する、シリコン材料からなる基板を研磨する方法を記載する。
【0009】
前で既に述べた通り、従来技術により研磨された半導体ウェーハは、エッジ領域におけるその厚さの不所望な減少(エッジロールオフ)を示す。
【0010】
通常、エッジ形状は、通常はシリコンウェーハの全体の厚さ又はその前面及び/又は裏面のエッジ形状に関する1つ以上のエッジロールオフパラメータを規定することによって定量化され、且つ該パラメータを用いて、通常観察されるシリコンウェーハのそのエッジ領域における厚さの減少またはシリコンウェーハの同様にそのエッジ領域における前面及び/又は裏面の平坦度が特徴付けられる。シリコンウェーハのエッジロールオフを測定する一方法は、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38(1999),pp.38−39に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】DE102007035266A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、第1の工程において半導体ウェーハの裏面を0.1〜1.0μmの粒径の固定砥粒を有する研磨パッドによって、及び固体材料を含まず、少なくとも11.8のpH値を有する研磨剤の供給下で研磨し、且つ第2の工程において該半導体ウェーハの前面を研磨し、その際、11.8未満のpH値を有する研磨剤を供給する、半導体ウェーハを研磨する方法によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、固定砥粒を有する研磨パッド及びまた11.8以上のpHを有するアブレッシブフリー研磨剤の使用下で半導体ウェーハの裏面を研磨する場合、従来の研磨方法において観察される半導体ウェーハの厚さのエッジロールオフが生じるのではなく、このように研磨された半導体ウェーハは、それどころかエッジ部で厚さが増大することを認めた。このために研磨剤のpH値が決定的な基準であることがわかった。
【0014】
11.8未満のpH値を有していなければならない研磨剤を用いて前面を引き続き研磨処理することによって、研磨パッドが固定砥粒を含有するか否か、又はアブレッシブフリーであるか否か(従来のCMP研磨パッドのように)に関係なく、半導体ウェーハの非常に優れたエッジ形状が作り出され得る。
【0015】
これは11.8未満のpHを有する研磨剤を用いるFAP方法が、(実質的に研磨剤のpH値とは無関係である)従来のCMP研磨方法と似たように、エッジロールオフを作り出す傾向にあるという点に基づく。
【0016】
しかしながら、前もって裏面の研磨に際してエッジで増大部が作り出されたので、前面の研磨によってこれら2つの効果の補償が生じる。
【0017】
その結果、どんな場合でもウェーハの厚さのエッジロールオフを有さない半導体ウェーハが得られる。
【0018】
それにより長年にわたる要求が満たされるが、それには特に、まさにエッジロールオフ及びウェーハのエッジ領域における低品質の形状が、ウェーハ全面ではなく、むしろ所定のエッジ除外範囲(2〜3mm)を除いたウェーハ面のみしか部品製造のために利用することできなかったことの要因だったからである。この発明によって、非常に大きな生産率上昇が期待できる。なぜなら、本発明によってエッジ除外範囲が実質的にゼロに減少され、且つ実際に初めてウェーハ全面を利用できる半導体ウェーハが入手可能だからである。
【0019】
従来技術によって、本発明は容易に想起されない。確かにDE102007035266A1から、pH10〜12のアルカリ領域における研磨剤を用いたFAPを適用することが公知であるが、その中で特許保護を請求される方法は、半導体ウェーハの全く同一面で必然的に2つのFAP研磨処理、1つは砥粒を含有する研磨剤を用い、もう1つは砥粒を含有する研磨剤を用いない処理を予定する。半導体ウェーハの裏面のFAP研磨処理と前面の第2のFAP−又はCMP研磨処理との組み合わせは開示されていない。
【0020】
そのうえ従来技術においては、半導体ウェーハのエッジ領域で、例えば半導体ウェーハの中心でより少ない材料が除去されることによって、11.8以上のpHの場合に選択的な材料除去が生じることは認められていなかった。これに関して調査を行う動機付けも存在していなかった。なぜなら、これまで当業者は、pH値はFAPの場合もCMPの場合もこのような選択的な作用を有することはできず、むしろFAPのケースでは研磨パッドに固定された砥粒による機械的除去及びCMPのケースでは研磨剤に含有された研磨材料による機械的除去を化学的に補助または増幅し、且つこの化学的な補助または増幅は、ウェーハ全面にわたって均一に行われることを想定していたからである。
【0021】
これがFAPの場合に全く異なっていることが判明し、且つ研磨剤のpH値がこのような選択的除去を可能とすることは驚くべきことである。FAP技術が、それとは別に全ての研磨方法において常に現れるエッジロールオフを実際に完全に取り除くことに適し得るとは、決して予見されるものではなかった。これまで専門家は、任意の研磨方法において材料除去を可能な限り小さく保ち、且つ半導体ウェーハの凹面又は凸面研磨によって、エッジロールオフを可能な限り最も外側のエッジ領域に限定することを試みることが必要であると想定していた。
【0022】
それに従って、研磨されたウェーハにおけるエッジロールオフは所与のものとして受けとめられていた。
【0023】
引き続くエピタキシャル工程において、従来技術では、このエッジロールオフをエピタキシャル反応器中での前処理工程において補償することが試みられていた。
【0024】
エッジ研削によってエッジ領域における低品質の形状を取り除くその他の試みは、適した解決手段とはならず、それは特に、その際にエッジで作り出されるダメージが、取り扱い中に、ほとんど解決し難い問題となり、すなわち、いずれにせよエッジ研削後にエッジ研磨処理が行われなければならないからである。これは確かに、エッジロールオフをDSP後に取り除くことに適しているように思われる。しかし、後のCMP工程後に再びエッジロールオフが生じることから、これも経済的ではないことが分かる。
【0025】
それにより、ここで特許保護が請求される方法は、前面の研磨直後にそのようなエッジロールオフを有さず、且つ任意の付加的な措置を有さない(前面のCMP又はFAP後の)最終研磨されたウェーハを提供する唯一の方法となる。
【0026】
際立った幾何学的特性及びナノトポロジー特性を有する−特に22nmの設計基準要求の枠内(ITRS="International Technology Roadmap for Semiconductors(国際半導体技術ロードマップ)"に従う)において−ますます重要となりつつあるウェーハの作製の過程において−及びウェーハ直径(300nmから450nmへの移行)の累進的な拡大に関して、これらの要求に対応する研磨方法を開発していくことが重要であった。
【0027】
そのために欠かせない形状、この場合、なかでもウェーハエッジ形状及びナノトポロジーを取得するに際して特に、既にずっと以前から明らかになっていたこととは、材料除去する慣例の化学的機械研磨(CMP)が、プロセス工学的に、もはやこの要求を、特に半導体ウェーハのエッジロールオフ及び、それと関連してエッジ除外範囲または要求される形状特性に関して利用可能である半導体ウェーハの面(当業者は"平坦度適用領域"との用語も用いる)に関して満たすことができないことである。
【0028】
特許保護を請求するpH値範囲内での固定砥粒を有する研磨パッドの使用下での本発明による研磨は、裏面のみの片面研磨の枠内において又は同時両面研磨処理においてのいずれかで実施される。
【0029】
該pH値は、研磨されるべき半導体ウェーハの初期形状に応じて、方法中に変化してよく又は定常値に調節することもできる。
【0030】
極めて有利なのは、固定砥粒を有する研磨パッドによる、裏面及び前面の連続的な研磨として実施される2段階のFAPである。
【0031】
2つの研磨処理、すなわち裏面研磨及び前面研磨は、特にウェーハエッジ領域における、ウェーハ形状及びウェーハナノトポロジーに目的に応じて影響を及ぼすことができるように互いに適合されることができる。
【0032】
このために、本発明により裏面は、前面とは異なるpH値で研磨されなければならない。
【0033】
そのため、2つの研磨プロファイル(前面及び裏面)を重ね合わせることによって、特に、結果として非常に特定のエッジプロファイルが作り出され、且つエッジロールオフが理想的にはゼロに減少されることができる。
【0034】
pH値の変化は、従って本発明により、外側のウェーハエッジ部の厚さを変えるために使用される。
【0035】
それに対して、種々の化学的機械研磨方法は、方法の実施の仕方(両面研磨、片面研磨、除去−またはヘイズフリー研磨)とは無関係に、固定されたpH値で実施される。そのため半導体ウェーハのエッジ領域における形状を目的に応じて影響を及ぼすことは排除されている。
【0036】
特に本発明による方法は、450mmの直径を有する新しい技術世代の半導体ウェーハの研磨のために利点を提供するが、なぜなら特に、このように大きな直径の場合、従来の研磨方法の使用に際して、エッジ領域での形状の問題が先鋭化するからである。本発明による方法において特許保護が請求される、pH値を制御した研磨は、これらの問題を取り除く。
【0037】
本発明による方法により、半導体ウェーハの外側のエッジ領域において、特に半導体ウェーハのエッジに対して10mm以下、特に有利には5mm以下の間隔の範囲内で形状が改善される。
【0038】
半導体ウェーハの裏面を研磨する際に用いられる研磨剤溶液は、好ましくは、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)のような化合物又はこれらの任意の所望の混合物を有する。
【0039】
該研磨剤溶液中の上記化合物の割合は、好ましくは0.01〜10質量%、特に有利には0.01〜0.2質量%である。
【0040】
炭酸カリウムを使用することが、極めて有利である。該研磨剤溶液のpH値は、少なくとも11.8である。
【0041】
更にまた該研磨剤溶液は、1つ以上の更なる添加剤、例えば表面活性添加剤、例えば湿潤剤及び界面活性剤、保護コロイドとして作用する安定化剤、保存剤、殺生剤、アルコール及び錯化剤を含有してよい。
【0042】
本発明による方法において、裏面の研磨に際して、研磨パッドに固定された研磨材料を含有する研磨パッド(FAPパッド又はFAパッド)が使用される。
【0043】
適した研磨材料は、例えば、セリウム、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウムの元素の酸化物の粒子及び硬質材料、例えば炭化ケイ素、窒化ホウ素及びダイヤモンドの粒子を有する。
【0044】
特に適した研磨パッドは、反復微細構造によって特徴付けられる表面トポグラフィーを有する。これらの微細構造("posts")は、例えば、円柱状又は多角形の断面を有する支柱の形又はピラミッド又は切頭ピラミッドの形を有する。
【0045】
このような研磨パッドの詳細な説明は、例えばWO92/13680A1及びUS2005/227590A1に含まれている。
【0046】
研磨パッドに固定された酸化セリウム粒子の使用(US6602117B1も参照のこと)が特に有利である。
【0047】
FAP研磨パッドに含有される砥粒の平均粒径は、好ましくは0.1〜1.0μm、特に有利には0.1〜0.6μm、及び極めて有利には0.1〜0.25μmである。
【0048】
本方法の実施に特に適しているのは、多層構造を有する研磨パッドである。その際、研磨パッドの層の1つは柔軟性(compliant)である。それによりパッド高さを適合することができ、且つ連続的な移行を生じ得る。柔軟層は、好ましくは不織布層である。特に適しているのは、ポリウレタンで浸漬されているポリエステル繊維からなる層である("不織布")。
【0049】
柔軟層は、好ましくは研磨パッドの最下層に相当する。その上に、好ましくは、接着剤層によって柔軟層上に固定される、例えばポリウレタンからなるフォーム層が存在する。該PUフォームの上には、より硬質な剛性材料からなる層、好ましくは硬質プラスチックからなる層が存在しており、該層には、例えばポリカーボネートが適している。この剛性層の上には、微細反復構造を有する層、すなわち実際の固定砥粒層が存在する。
【0050】
しかしながら、該柔軟層は、フォーム層と剛性層との間又は固定砥粒層の真下に位置していてもよい。
【0051】
種々の層の互いの固定は、好ましくは感圧接着剤層(PSA)によって行われる。
【0052】
本発明者は、FAP研磨パッドの従来技術において常に存在するPUフォーム層を含まない研磨パッドが良好な結果をもたらすことを認めた。
【0053】
この場合、該研磨パッドは、微細反復構造を有する層、柔軟層及び剛性プラスチック、例えばポリカーボネートからなる層を有し、その際、該柔軟層は、該研磨パッドの中間層又は最下層のいずれかであってよい。
【0054】
これらの新規の研磨パッドは、マルチプレートポリシングマシーン(multi-plate polishing machine)(Applied Materials,IncのAMAT Reflection)における使用に特に適している。このポリシングマシーンは、5つのゾーンのメンブランキャリア(membrane carrier)を有し、それは該キャリアの圧力プロファイルを5つのゾーンで異なるように調整することが可能である。これは柔軟性の研磨パッドとの組み合わせにおいて、研磨されたウェーハの形状に関して優れた結果をもたらす。
【0055】
半導体ウェーハの前面の研磨に際して、好ましくは砥粒を含有する研磨剤が使用される。
【0056】
研磨剤スラリー中の研磨材料の割合は、好ましくは0.25〜20質量%、特に有利には0.25〜1質量%である。
【0057】
研磨材料の粒度分布は、好ましくは際立って単峰性である。
【0058】
平均粒径は5〜300nm、特に有利には5〜50nmである。
【0059】
該研磨材料は、基板材料を機械的に除去する材料を有し、好ましくはアルミニウム、セリウム又はケイ素の元素の1つ以上の酸化物を有する。
【0060】
コロイド分散性シリカを含有する研磨剤スラリーを使用することが、特に有利である。
【0061】
好ましくは、該研磨剤スラリーは、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)のような添加剤を添加されて含有する。
【0062】
しかしながら、該研磨剤スラリーは、1つ以上の更なる添加剤、例えば表面活性添加剤、例えば湿潤剤及び界面活性剤、保護コロイドとして機能する安定化剤、保存剤、殺生剤、アルコール及び錯化剤を含有してよい。
【0063】
前面の研磨に際してのpH値は、11.8未満でなければならない。
【0064】
好ましくは、pH値は10〜11.5の範囲内にある。
【0065】
研磨処理中、好ましくは、固定砥粒を有さない研磨パッドが使用される。このために適しているのは、従来のCMP研磨パッドである。使用されるCMP研磨パッドは、多孔性マトリクスを有する研磨パッドである。
【0066】
好ましくは、該研磨パッドは熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーを有する。材料として、多数の材料、例えばポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリエステル等が考慮に入れられる。
【0067】
好ましくは、該研磨パッドは固体の微孔性ポリウレタンを有する。
【0068】
発泡プレート又はポリマーで含浸されているフェルト基材又は繊維基材からなる研磨パッドの使用も有利である。
【0069】
被覆/含浸された研磨パッドは、該基材中に、被覆中とは異なる細孔径分布及び孔径が存在するように構成されていてもよい。
【0070】
該研磨パッドは、十分に平坦であるか又は穿孔されていてもよい。
【0071】
該研磨パッドの多孔度を制御するために、該研磨パッド中に充填剤が導入されていてよい。
【0072】
商業的に入手可能な研磨パッドは、例えばRodel Inc社のSPM 3100又はRohm & Hass社のDCPシリーズのパッド及びまた商品名IC1100TM、PolytexTM又はSUBATMのパッドである。
【0073】
しかしながら、該研磨パッドの代わりに、同様に有利である、裏面の研磨の際に使用されるようなFAPパッドを使用することが可能である。
【0074】
基本的に、半導体ウェーハは研磨ヘッドを用いて研磨されるべき端面が研磨定盤上にある研磨パッドに押し付けられる。
【0075】
研磨ヘッドには、基板を横方向で取り囲み、且つ研磨中に該研磨ヘッドから滑ることを防止するリテーナリングも含まれる。
【0076】
最新の研磨ヘッドの場合、研磨パッドから離れている半導体ウェーハの端面は柔軟性の膜上に載置され、該柔軟性の膜は、かけられた研磨圧力を伝達する。該膜は、場合により細分化されたチャンバシステムの一部であり、それはガスクッション又は液体クッションを形成する。
【0077】
しかしながら、該研磨ヘッドは、膜の代わりに柔軟性の支持体("バッキングパッド")が用いられる場合にも使用される。
【0078】
基板の研磨は、該基板と研磨パッドとの間に研磨剤を供給しながら、且つ研磨ヘッドと研磨定盤とを回転させながら行われる。
【0079】
この場合、該研磨ヘッドは、付加的に研磨パッド全体の移動によっても動かすことができ、それによって研磨パッド面の広範な利用が得られる。
【0080】
更に本発明による方法は、単一定盤式及び複数定盤の研磨装置でも同様に実施されることができる。
【0081】
好ましくは2枚、極めて有利には3枚の研磨定盤及び研磨ヘッドを有する複数定盤式研磨装置の使用が有利である。
【実施例】
【0082】
第1の工程において、固定砥粒を有する研磨パッドによって、所定のpH値に調節された研磨溶液を供給しながら、エッジ部で所定の厚さプロファイルが生じるように300mmの直径を有するシリコンウェーハの裏面を研磨する。
【0083】
研磨パッドは、酸化セリウム(CeO2)の粒子を有する切頭ピラミッドの形の微細反復構造を有する。
【0084】
粒径は0.1〜1.0μmである。
【0085】
FAP研磨処理は、もっぱらアルカリ性溶液のpH値の上昇によって、シリカゾルを使用することなく、さもなければ予想されるエッジロールオフをエッジの増大に変換すること、すなわち、必要に応じて反対側の曲がりを作り出すことができる。
【0086】
少なくとも11.8のpH値を有するアブレッシブフリー研磨溶液による裏面の研磨によって、ウェーハエッジ領域中で増大部を作り出し、それに従って11.2のpH値で行われる引き続くウェーハ前面の研磨に際して、この場合に形成される傾向にあるエッジロールオフを補償するバイアスをもたらし、且つそのようにして平坦なウェーハエッジ領域が形成される。
【0087】
この場合、前面の研磨は、通常のCMP工程として又は11.8未満のpH値を有する固定砥粒研磨として実施することができる。両研磨方法は、ウェーハエッジロールオフの形成につながる。本発明による方法の実施は、前面研磨の両タイプにおいて成功した。
【0088】
試験において、ウェーハの裏面の所望の表面粗さを調節するために、適したシリカゾル、例えばGlanzox 3900*を用いて、同様にFAP研磨パッド上で行われる第2の部分研磨工程を実施することが好ましいとわかった。
【0089】
*Glanzox 3900は、Fujimi Incorporated,Japanによって濃縮液として販売される研磨剤スラリーの製品名である。pH10.5を有する濃縮液は、30〜40nmの平均粒径を有するコロイド状SiO2約9質量%を含有する。
【0090】
更なる典型的な慣例のCMP研磨工程(軟質パッド+アルカリ性シリカゾル)を任意に、除去が僅かなヘイズフリー研磨処理として、表面粗さの更なる減少のために且つ欠陥密度(例えばLLS="局所光散乱体")の減少のために付け加えることができるが、しかし、それは本発明が成功するために重要ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハを研磨する方法であって、その際、第1の工程において半導体ウェーハの裏面を0.1〜1.0μmの粒径の固定砥粒を有する研磨パッドによって、及び固体材料を含まず、少なくとも11.8のpH値を有する研磨剤の供給下で研磨し、且つ第2の工程において該半導体ウェーハの前面を研磨し、その際、11.8未満のpH値を有する研磨剤を供給する、半導体ウェーハを研磨する方法。
【請求項2】
第1の工程における前記研磨剤が、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の化合物の水溶液又はこれらの任意の所望の混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記研磨剤溶液のpH値が11.8〜12.5であり、且つ前記研磨剤溶液中の前記化合物の割合が0.01〜10質量%である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
第2の工程における前記研磨剤が、研磨材料を含有する研磨剤スラリーであり、且つ該研磨剤スラリー中の研磨材料の割合が0.25〜20質量%である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記研磨剤スラリー中の砥粒の割合が0.25〜1質量%である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記砥粒の平均粒径が5〜300nmである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記砥粒の平均粒径が5〜50nmである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記研磨剤スラリー中の研磨物質が、アルミニウム、セリウム又はシリコンの元素の1つ以上の酸化物を有する、請求項4記載の方法。
【請求項9】
前記研磨剤スラリーが、コロイド分散性シリカを含有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記研磨剤スラリーのpH値が10〜11.5の範囲内にある、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記研磨剤スラリーのpH値を、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NH4OH)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)又はこれらの任意の所望の混合物から選択される添加剤によって調節する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
第1の工程において使用される研磨パッドが、セリウム、アルミニウム、ケイ素又はジルコニウムの粒子又は硬質材料、例えば炭化ケイ素、窒化ホウ素又はダイヤモンドの粒子から選択される研磨材料を含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
FAP研磨パッド中に含有される砥粒の平均粒径が0.1〜0.6μmである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
FAP研磨パッド中に含有される砥粒の平均粒径が0.1〜0.25μmである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
第2工程においても同様に、砥粒を含有する前記研磨パッドを使用する、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
砥粒を含有する研磨パッドが多層であり、且つ研磨性粒子からなる微細反復構造を有する層以外に柔軟性の不織布層及び剛性プラスチック層を有する、請求項12から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記半導体ウェーハが、300mm以上の直径を有するシリコンウェーハである、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
砥粒を含有する層、剛性プラスチックからなる層及びまた柔軟性の不織布層を有し、その際、前記層は感圧接着剤層によって互いに結合されている、半導体ウェーハを研磨する装置において使用するための研磨パッド。
【請求項19】
剛性プラスチックからなる層がポリカーボネートを有する、請求項18記載の研磨パッド。
【請求項20】
前記研磨パッドが、ポリウレタンフォームからなる付加的な層を有する、請求項18又は19記載の研磨パッド。
【請求項21】
柔軟層がポリエステル繊維を有する、請求項18から20までのいずれか1項記載の研磨パッド。
【請求項22】
砥粒を含有する層が、セリウム、アルミニウム、ケイ素又はジルコニウムの元素の酸化物の粒子又は硬質材料、例えば炭化ケイ素、窒化ホウ素又はダイヤモンドの粒子を有する、請求項18から21までのいずれか1項記載の研磨パッド。
【請求項23】
請求項18から22までのいずれか1項記載の砥粒を含有する研磨パッドを使用する半導体ウェーハの研磨。

【公開番号】特開2011−9737(P2011−9737A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−125997(P2010−125997)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(599119503)ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト (223)
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】