硫化水素の除去によって、炭化水素ガス流から酸性ガスを除去するための極低温システム
酸性ガス除去システム(AGRS)と、硫黄成分除去システム(SCRS)を含む、生ガス流から酸性ガスを除去するためのシステム。酸性ガス除去システムが、サワーガス流を受け取り、これを主にメタンから構成されるオーバーヘッドガス流と、主に二酸化炭素から構成される底部酸性ガス流に分離する。硫黄成分除去システムは、酸性ガス除去システムの上流または下流のいずれかに設置される。SCRSはガス流を、受け取り、ガス流を、硫化水素を含む第1の流体流と、二酸化炭素を含む第2の流体流に全般的に分離する。SCRSがAGRSの上流にある場合、第2の流体流もまた主にメタンを含む。SCRSがAGRSの下流にある場合、第2の流体流は、主に二酸化炭素である。様々な種類の硫黄成分除去システムを利用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2009年11月2日に出願した、その全体が本明細書に参照により組み込まれている、硫化水素の除去によって、炭化水素ガス流から酸性ガスを除去するための極低温システムという表題の、米国仮特許出願第61/257,277号への利益を主張する。
【0002】
本セクションは、本開示の代表的な実施形態に関連し得る、本発明の技術の様々な態様を紹介することを意図している。この考察は、本開示の特定の態様のより良い理解を促進するためのフレームワークを提供するための手助けとなると考えられる。したがって、本セクションは、この観点から読み取るべきであり、必ずしも従来技術の承認として読み取るべきではないことを理解すべきである。
本発明は、流体分離の分野に関する。より具体的には本発明は、炭化水素の流体流から硫化水素と他の酸性ガスの両方を分離することに関する。
【背景技術】
【0003】
貯留層からの炭化水素の生成は、非炭化水素ガスの偶発的生成が伴うことが多い。このようなガスとして、汚染物質、例えば硫化水素(H2S)および二酸化炭素(CO2)などが挙げられる。H2SおよびCO2が炭化水素ガス流(例えばメタンまたはエタンなど)の一部として生成される場合、このガス流は、たびたび「サワーガス」と呼ばれる。
サワーガスは、さらなる処理または販売のために下流に送られる前に、CO2、H2S、および他の汚染物質を除去するために通常処理される。酸性ガスの除去により、「スウィートニングされた」炭化水素ガス流が生成される。このスウィートニングされた流れは、環境的に許容可能な燃料としてまたは化学薬品もしくはガスから液体を生成する施設への供給原料として使用することができる。スウィートニングされたガス流を冷やす(chill)ことによって、液化天然ガス、すなわちLNGを形成することができる。
【0004】
このガス分離プロセスは、分離した汚染物質の処分に関して問題を引き起こす。場合によっては、濃い酸性ガス(主にH2SおよびCO2からなる)は硫黄回収ユニット(「SRU」)に送られる。このSRUは、H2Sを良性の元素硫黄に変換する。しかし、ある地域において(例えばカスピ海地域など)は、市場が限定されているため、追加の元素硫黄の生成は切望されない。したがって、何百万トンもの硫黄が、世界のある地域(最も名が知れているのはカナダおよびカザフスタン)の、大きな、地上ブロックに貯留されている。
硫黄が地上に貯留されている間に、酸性ガスに伴う二酸化炭素は、多くの場合大気に放出される。しかし、CO2放出の実施が、切望されない場合がある。CO2排出を最小限に抑える1つの提案は、酸性ガス注入(「AGI」)と呼ばれるプロセスである。AGIとは、望ましくないサワーガスを、加圧下で地下構造に再注入し、後日見込まれる使用のために隔離することを意味する。あるいは、油回収作業を強化するために、二酸化炭素を使用して、人工貯留層の圧力を作り出す。
【0005】
AGIを促進するため、炭化水素ガスから酸性ガス成分を効果的に分離するガス処理施設を所有することが望ましい。しかし、およそ15%または20%を超えるCO2および/またはH2Sを含有する生産物流である「極めてサワーである」流れに対して、所望の炭化水素から汚染物質を経済的に分離することができる施設を設計、建設、および作動することは特に困難となり得る。多くの天然ガス貯留層は、比較的に低いパーセンテージの炭化水素(例えば40%未満)および高いパーセンテージの酸性ガス、主に二酸化炭素を含有するが、硫化水素、硫化カルボニル、二硫化炭素および様々なメルカプタンも含有する。これらの場合、極低温ガス処理を採用するのが有利となり得る。
【0006】
極低温ガス処理は、ガス分離に対してたびたび使用される蒸留プロセスである。極低温ガス分離は、中等度の圧力(例えば,1平方インチゲージ(psig)当たり350〜550ポンド)で、冷却したオーバーヘッドガス流を生成する。さらに、液化された酸性ガスが「底部」生成物として生成される。液化された酸性ガスは,比較的高密度であることから、注入プロセスを援助するために流体静力学的ヘッドをAGI坑井において有利に使用することができる。これは、液化された酸性ガスを構造内にポンプで入れるのに必要なエネルギーは、低圧力の酸性ガスを貯留層圧力へと圧縮するのに必要なエネルギーよりも低いことを意味する。コンプレッサーおよびポンプの段階がより少ないことが必要とされる。
【0007】
サワーガスの極低温蒸留に関しては、難題も存在する。処理すべきガスの中に、およそ700psig未満の全圧力において、CO2がおよそ5モルパーセントを超える濃度で存在する場合、これは、標準の極低温蒸留ユニットにおいて固体として凍結することになる。CO2が固体として形成すると、極低温蒸留プロセスを破壊する。この問題を回避するため、譲受人は、様々な「Controlled Freeze Zone(商標)」(CFZ(商標))プロセスをこれまでに設計してきた。このCFZ(商標)プロセスは、蒸留塔の開口部分内に凍結したCO2粒子を形成させることを可能にし、次いで溶融トレイ上で粒子を捕らえることによって、固体粒子を形成する二酸化炭素の傾向をうまく活用する。その結果、きれいなメタン流(生ガス中に存在する任意の窒素またはヘリウムと共に)が、塔の最上部に生成され、その一方で低温の液体CO2/H2S流が塔の底部に生成される。およそ700psigよりも高い圧力で、CO2の凍結を心配することなく「バルク分取」蒸留を行うことができる。しかし、オーバーヘッドに生成されるメタンは、その中に少なくとも数パーセントのCO2を有することになる。
【0008】
特定の態様のCFZ(商標)プロセスおよび関連機器は、米国特許第4,533,372号、米国特許第4,923,493号、米国特許第5,062,270号、米国特許第5,120,338号および米国特許第6,053,007号に記載されている。
上記の米国特許に全般的に記載されているように、極低温ガス処理のために使用される蒸留塔、またはカラムは、下部蒸留域と中間部の制御された凍結域とを含む。上部蒸留域も含まれることが好ましい。二酸化炭素の凝固点よりは低いが、その圧力でメタンの沸点より高い温度領域を有するカラムの一部分を提供することにより、カラムが作動して固体CO2粒子を生成する。制御された凍結域は、CO2に凍結した(固体)粒子を形成させながら、メタンおよび他の軽質炭化水素ガスの気化を可能とするような温度および圧力で作動することがより好ましい。
【0009】
ガス供給流がカラムを上方に移動するにつれて、凍結したCO2粒子は、供給流を抜け出し、制御された凍結域から溶融トレイへと重力によって下降する。この溶融トレイで、粒子が液化する。次いで二酸化炭素リッチな液体流は、溶融トレイから、カラム底部の下部蒸留域へと流れ落ちる。下部蒸留域は、実質的にいかなる二酸化炭素固体も形成されないが、溶解したメタンは煮沸して取り除かれるように温度および圧力が維持されている。一態様において、底部酸性ガス流は、30°から40°Fで生成される。
一実施形態において、一部のまたはすべての凍結したCO2粒子は、凍結域の底部のトレイ上に収集することができる。次いで粒子は、さらなる処理のために蒸留塔から運び出される。
制御された凍結域は、低温液体スプレーを含む。このスプレーは、「還流」として知られる、メタンリッチな液体流である。軽質炭化水素ガスおよび取り込まれたサワーガスの気体流が、カラムを介して上方に移動するにつれて、気体流は液体スプレーに遭遇する。低温液体スプレーは、メタンガスを蒸発させ、カラム内を上方に流動させながら、固体CO2粒子が抜け出るよう補助する。
【0010】
上部蒸留域において、メタン(またはオーバーヘッドガス)は、捕獲され、管より導き出されて販売されるか、または燃料として使用可能にされる。一態様において、オーバーヘッドメタン流は、およそ−130°Fで放出される。オーバーヘッドガスは、追加の冷却により部分的に液化され、この液体は還流としてカラムに戻ることもできる。液体還流は、通常カラムの精留セクションのトレイまたは充填物を通過して流れた後で、制御された凍結域のスプレーセクションに低温スプレーとして注入される。
上部蒸留域で生成されたメタンは、パイプラインデリバリー用の大部分の規格を満たしている。例えば、メタンは、十分な還流が生成され、および/または上部蒸留域において充填物またはトレイからの十分な分離の段階が存在する場合、パイプラインのCO2規格2モルパーセント未満、ならびにH2S規格4ppmを満たすことができる。しかし、元の生ガス流が硫化水素(または他の硫黄含有化合物)を含有する場合、これらは、二酸化炭素および硫化水素の液体塔底流で終わってしまうことになる。
【0011】
硫化水素は、空気より重質の有毒なガスである。これは、坑井および表面機器を腐食する。硫化水素が水の存在下で金属導管およびバルブに接触した場合、硫化鉄の腐食が生じ得る。したがって、硫化水素および他の硫黄成分は、これが低温蒸留カラムに入る前に、生ガス流から除去することが望ましい。これによって、「よりスウィートな」ガス流のカラムへの供給が可能となる。極低温プロセスにより生成されたCO2は、このようにH2Sを実質的に含まないので、例えば油回収の強化のために使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
サワーガス除去のために極低温蒸留を施す前に、天然の生ガス流からH2Sおよびメルカプタンの含有量を削減するシステムが必要となる。あるいは、極低温ガス分離システムおよびCFZ塔からの酸性ガス底部流の下流から硫化水素を抽出する付随的プロセスが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
サワーガス流から酸性ガスを除去するためのシステムが提供される。一実施形態において、このシステムは、酸性ガス除去システムを含む。この酸性ガス除去システムは、サワーガス流を、主にメタンから構成されるオーバーヘッドガス流と、主に二酸化炭素から構成される液化された底部酸性ガス流とに分離する極低温蒸留塔を利用している。このシステムはまた、硫黄成分除去システムを含む。この硫黄成分除去システムは、酸性ガス除去システムの上流に設置される。この硫黄成分除去システムは、生ガス流を受け取り、生ガス流を全般的に、硫化水素を有する流体流と、サワーガス流とに分離する。
サワーガス流は、およそ4ppmから100ppmの間の硫黄成分を含むことが好ましい。このような成分は、硫化水素、硫化カルボニル、および様々なメルカプタンであってよい。
極低温酸性ガス除去システムは、蒸留塔へ侵入する前にサワーガス流を冷やすための冷蔵システムを含むことが好ましい。極低温酸性ガス除去システムは、蒸留塔が、下部蒸留域および中間部の制御された凍結域を有する、「CFZ」システムであることが好ましい。中間部の制御された凍結域、または「スプレーセクション」は、主にメタンで構成される低温液体スプレーを受け取る。この低温スプレーは、蒸留塔のオーバーヘッドループ下流から生成される液体還流である。冷蔵機器は、オーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部分を低温液体還流として極低温蒸留塔へ戻すため、極低温蒸留塔の下流に提供される。
【0014】
極低温蒸留システム以外の他の酸性ガス除去システムを採用することができることを理解されたい。例えば、酸性ガス除去システムは、CO2と共にH2Sも拒絶する傾向にある物理溶媒系であってよい。この酸性ガス除去システムは、バルク分取を採用してもよい。
【0015】
様々なタイプの硫黄成分除去システムを利用することができる。これらは、サワーガス流から硫黄含有成分を分離するために物理溶媒を採用しているシステムを含む。これらはまた、レドックスプロセス、およびいわゆるスカベンジャーの使用を含んでもよい。これらはまた、いわゆる「CrystaSulf」プロセスを含んでもよい。
一態様において、硫黄成分除去システムは、少なくとも1つの固体吸着床を含む。少なくとも1つの固体吸着床は、メタンガスおよび二酸化炭素をサワーガス流として通過させる一方で、少なくとも一部の硫化水素を吸着する。この固体吸着床は、例えば、(1)ゼオライト材料から作られていてもよいし、または(ii)少なくとも1つのモレキュラーシーブを含んでもよい。固体吸着床は、少なくともいくらかの水を偶発的に吸着してもよい。
少なくとも1つの固体吸着床は、吸着動的分離床であってよい。あるいは、少なくとも1つの固体吸着床は、少なくとも3つの固体吸着床を含むこともでき、(i)少なくとも3つの固体吸着床のうちの第1の床は、硫黄成分を吸着するために使用され、(ii)少なくとも3つの固体吸着床のうちの第2の床には、再生が施され、および(iii)少なくとも3つの固体吸着床のうちの第3の床は、少なくとも3つの固体吸着床の第1の床の代替として取っておく。再生は、熱スイング吸着プロセスの一部、圧力スイング吸着プロセスの一部、またはこれらの組合せであってよい。
【0016】
別の実施形態において、硫黄成分除去システムは、選択性アミンなどの化学溶媒を採用している。この例では、硫黄成分除去システムは、複数の並流接触装置を利用することが好ましい。
物理溶媒系または化学溶媒系の代わりに、またはこれらに加えて、他のタイプの硫黄成分除去システムを利用することもできる。このような系は、レドックスシステム、少なくとも1つの固体吸着床の使用、または少なくとも1つの吸収動的分離床の使用を含み得る。
サワーガス流から酸性ガスを除去するための分離システムもまた本明細書中に提供されている。このシステムにおいて、硫化水素および他の硫黄含有化合物は、酸性ガス除去システムの下流で実質的に除去される。このシステムは、酸性ガス流を処理するように設計されている。酸性ガス流は、およそ4ppmから100ppmの間の硫黄成分を最初に含む生ガス流から得られる。
【0017】
一実施形態において、システムは、酸性ガス除去システムを含む。この酸性ガス除去システムは、生ガス流を受け取り、この生ガス流を、主にメタンで構成されるオーバーヘッドガス流と、主に二酸化炭素から構成される底部液体酸性ガス流とに分離する。硫化水素はまた、底部酸性ガス流内に存在することになる。システムはまた、硫黄成分除去システムも含む。硫黄成分除去システムは、酸性ガス除去システムの下流に設置される。硫黄成分除去システムは、底部酸性ガス流を受け取り、底部酸性ガス流を全般的に、二酸化炭素流と、主に硫黄含有化合物を有する別の流れとに分離する。
【0018】
酸性ガス除去システムは、極低温酸性ガス除去システムであることが好ましい。極低温酸性ガス除去システムは、生ガス流を受け取るための蒸留塔と、蒸留塔に侵入する前の生ガス流を冷やすための冷蔵システムとを含む。極低温酸性ガス除去システムは、蒸留塔が下部蒸留域と、中間部の制御された凍結域とを有する「CFZ」システムであることが好ましい。中間部の制御された凍結域、または「スプレーセクション」は、主にメタンで構成される低温液体スプレーを受け取る。この低温スプレーは、蒸留塔のオーバーヘッドループ下流から生成される液体還流である。冷蔵機器は、オーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部分を液体である還流として極低温蒸留塔へ戻すため、極低温蒸留塔の下流に提供される。
【0019】
様々なタイプの硫黄成分除去システムを利用することができる。一態様において、この硫黄成分除去システムは、少なくとも1つの固体吸着床を含む。この少なくとも1つの固体吸着床は、底部酸性ガス流から少なくともいくらかの硫黄含有成分を吸着し、二酸化炭素ガスを実質的に通過させる。固体吸着床は、例えば、吸着動的分離(AKS)を使用することができる。このAKS床は、少なくともいくらかの二酸化炭素を偶発的に吸着してよい。この例では、AKS硫黄成分除去システムはまた、重力分離器などの分離器を含むことが好ましい。この重力分離器は、液体の重質炭化水素成分および硫化水素を例えばガス状のCO2から分離する。
あるいは、固体吸着床は、H2Sと直接反応し、硫化鉄を形成することによってこれを除去するための鉄スポンジであってよい。
【0020】
別の態様では、硫黄成分除去システムは、抽出蒸留プロセスを含む。この抽出蒸留プロセスは、少なくとも2つの溶媒回収カラムを採用している。第1のカラムは、底部酸性ガス流を受け取り、底部酸性ガス流を、主に二酸化炭素で構成される第1の流体流と、主に溶媒および硫黄含有化合物で構成される第2の流体流とに分離する。
【0021】
本発明をより良く理解できるように、特定の図解、チャートおよび/またはフローチャートを本明細書に添付する。しかし、ここで注意すべきことは、これらの図は、本発明の選択された実施形態しか例示しておらず、したがって範囲を制限するものと考えられてはならない。なぜなら、本発明は、他の同様に効果的な実施形態および応用を受け入れることができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一実施形態における例示的なCFZ蒸留塔の側面図である。冷やされた生ガス流は、塔の中間部の制御された凍結域へと注入される。
【図2A】一実施形態における溶融トレイの平面図である。溶融トレイは、塔内において、制御された凍結域の下に存在する。
【図2B】図2Aの溶融トレイの、線2B−2Bに沿った横断面図である。
【図2C】図2Aの溶融トレイの、線2C−2Cに沿った横断面図である。
【図3】一実施形態における、蒸留塔の下部蒸留域内のストリッピングトレイの拡大側面図である。
【図4A】一実施形態において、蒸留塔の下部蒸留セクションまたは上部蒸留セクションのいずれかで使用することができるジェットトレイの透視図である。
【図4B】図4Aのジェットトレイの中の、1つの開口の側面図である。
【図5】図1の蒸留塔の中間部の制御された凍結域の側面図である。この図において、2つの例示的開口調節板が中間部の制御された凍結域に付加されている。
【図6】一実施形態において、本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設を示す概略図である。ガス処理施設は、酸性ガス除去システム上流に溶媒プロセスを採用している。
【図7A】一実施形態において、図6の溶媒系の詳細な概略図を提供している。ここで溶媒系は、硫化水素を除去するために、脱水されたガス流と接触するよう作動する物理溶媒系である。
【図7B】代替実施形態において、図6の溶媒系の詳細な概略図を提供している。ここで溶媒系は、硫化水素を除去するために、脱水されたガス流と接触するよう作動する化学溶媒系である。
【図8】一実施形態において、本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、レドックスプロセスを用いて、酸性ガス除去システムの上流でガス流から除去される。
【図9】一実施形態において、本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、スカベンジャーを用いて酸性ガス除去システムの上流でガス流から除去される。
【図10】一実施形態において、本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、CrystaSulfプロセスを用いて酸性ガス除去システムの上流でガス流から除去される。
【図11】一実施形態において、本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、熱スイング吸着システムを用いて酸性ガス除去システムの上流でガス流から除去される。
【図12】一実施形態において、本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、圧力スイング吸着システムを用いて酸性ガス除去システムの上流でガス流から除去される。
【図13】別の実施形態における本発明のガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、吸着動的分離を利用する吸着床を用いて酸性ガス除去システムの上流でガス流から除去される。
【図14】別の実施形態における本発明のガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、吸着動的分離を利用する吸着床を用いて酸性ガス除去システムの下流でガス流から除去される。
【図15A】別の実施形態における本発明のガス処理施設の概略図である。この配置において、硫化水素は、抽出蒸留プロセスを用いて酸性ガス除去システムの下流でガス流から除去される。
【図15B】図15Aの抽出蒸留プロセスのためのガス処理施設の詳細な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義
本明細書で使用する場合、「炭化水素」という用語は、独占的ではないが主に、元素水素および炭素を含む有機化合物を指す。炭化水素は、全般的に2つのクラスに分かれる:脂肪または直鎖炭化水素、および環式テルペンを含めた環式または閉鎖炭化水素環。炭化水素含有物質の例として、燃料として使用することができるか、または品質を向上させて燃料にすることができる、任意の形態の天然ガス、油、石炭、およびビチューメンが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用する場合、「炭化水素流体」という用語は、ガスまたは液体である、炭化水素または炭化水素混合物を指す。例えば、炭化水素流体は、形成条件、処理条件または周囲条件(15℃および1atm気圧)においてガスまたは液体である炭化水素または炭化水素混合物を含み得る。炭化水素流体は、例えば、油、天然ガス、炭層メタン、シェール油、熱分解油、熱分解ガス、石炭の熱分解生成物およびガス状または液体状態である他の炭化水素を含み得る。
「物質移動装置」という用語は、接触させるべき流体を受け取り、例えば重力流などを介してこれら流体を他の対象へと回す任意の対象を指す。1つの非限定的な例が、特定の成分をストリッピングするためのトレイである。グリッド充填はもう1つの例である。
【0025】
本明細書で使用する場合、「流体」という用語は、ガス、液体、およびガスと液体の組合せ、ならびにガスと固体の組合せおよび液体と固体の組合せを指す。
本明細書で使用する場合、「凝縮できる炭化水素」という用語は、およそ15℃および1絶対大気圧で凝縮する炭化水素を意味する。凝縮できる炭化水素は、例えば4を超える炭素数を有する炭化水素混合物を含み得る。
本明細書で使用する場合、「重質炭化水素」という用語は、1個を超える炭素原子を有する炭化水素を指す。主要な例として、エタン、プロパンおよびブタンが挙げられる。他の例として、ペンタン、芳香族、またはダイヤモンドイドが挙げられる。
【0026】
本明細書で使用する場合、「閉ループ冷蔵システム」という用語は、外部からの作用する流体、例えばプロパンまたはエチレンなどが、オーバーヘッドメタン流を冷やすための冷却剤として使用されている任意の冷蔵システムを意味する。これは、オーバーヘッドメタン流それ自体の一部分が作用する流体として使用される「開ループ冷蔵システム」と対照的である。
本明細書で使用する場合、「並流の接触装置」または「並流の接触器」という用語とは、(i)ガスの流れおよび(ii)溶媒の別の流れが、接触装置内で全般的に同じ方向に流れている間に、これらガス流と溶媒流が互いに接触するような形でこれらの流れを受ける容器を意味する。非限定的な例として、排出装置およびコアレッサー、または静的混合機プラスデリキダイザーが挙げられる。
「非吸収ガス」とは、ガススウィートニングプロセスの間に溶媒により有意に吸収されないガスを意味する。
本明細書で使用する場合、「天然ガス」という用語は、原油井(随伴ガス)または地下のガス保有構造(非随伴ガス)から得られる多成分ガスを指す。天然ガスの組成および圧力は、有意に異なる可能性がある。典型的な天然ガス流は、メタン(C1)を有意な成分として含有する。天然のガス流はまた、エタン(C2)、より高い分子量の炭化水素、および1つまたは複数の酸性ガスを含有し得る。天然ガスはまた、微量な汚染物質、例えば水、窒素、ろう、および原油などを含有し得る。
【0027】
本明細書で使用する場合、「酸性ガス」は、酸性溶液を生成する水中に溶解している任意のガスを意味する。酸性ガスの非限定的な例として、硫化水素(H2S)および二酸化炭素(CO2)が挙げられる。硫黄化合物として、二硫化炭素(CS2)、硫化カルボニル(COS)、メルカプタン、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
「液体溶媒」という用語は、酸性ガスを優先的に吸収し、これによってガス流から酸性ガス成分の少なくとも一部分を除去するまたは「スクラビングで取り除く」、実質的には液相の流体を意味する。ガス流は、炭化水素ガス流または他のガス流、例えば窒素を有するガス流などであってよい。
「スウィートニングされたガス流」とは、除去した酸性ガス成分の少なくとも一部分を有していた実質的には気相の流体流を指す。
本明細書で使用する場合、選択されたガス成分をガス流から吸収性液体で除去することに関して「リーン」および「リッチ」という用語は、相対的であり、選択されたガス成分の含有量の程度がそれぞれ、より少ないまたはより大きいことを単に意味するだけにすぎない。それぞれの「リーン」および「リッチ」という用語は、それぞれ、吸収性液体は選択されたガス成分を完全に有していないか、または選択されたガス成分をそれ以上吸収することができないかのいずれかを必ずしも示しているまたは必要とするわけではない。実際に、一連の2つ以上の接触器の中の第1の接触器内で生成されたいわゆる「リッチ」な吸収性液体は、本明細書中のこれより以下から明らかなように、残りの吸収能力を有意にまたは多く保持していることが好ましい。逆に「リーン」な吸収性液体は、大幅な吸収が可能であるが、除去されているガス成分の微量な濃縮物を保持することもできることを理解されたい。
【0029】
「生ガス流」という用語は、流体が主に気相であり、二酸化炭素、硫化水素、または他の酸性成分を除去するためのステップが行われていない炭化水素の流体流を指す。
【0030】
「サワーガス流」という用語は、流体が主に気相であり、少なくとも3モルパーセントの二酸化炭素および/または4ppmを超える硫化水素を含有する、炭化水素の流体流を指す。
本明細書で使用する場合、「表面下」という用語は、土表面の下に生じる地層を指す。
【0031】
具体的な実施形態の説明
図1は、一実施形態において本発明と関連して使用し得る極低温蒸留塔100の概略図を提示している。この極低温蒸留塔100は、本明細書中、「極低温蒸留塔」、「カラム」、「CFZカラム」、またはただの「塔」と交換可能なように呼ぶことができる。
図1の極低温蒸留塔100は、初期流体流10を受ける。この流体流10は、主に生産ガスで構成される。一般に、流体流は、坑井先端または坑井先端の一群(示されていない)からの乾燥したガス流を示し、およそ65%からおよそ95%のメタンを含有する。しかし,流体流10は、より低いパーセンテージのメタン、例えばおよそ30%から65%、またはさらに20%から40%まで低いパーセンテージのメタンを含有し得る。
【0032】
メタンは、他の炭化水素ガスの微量元素、例えばエタンなどと共に存在し得る。さらに、微量のヘリウムおよび窒素が存在し得る。本出願において、流体流10はまた特定の汚染物質も含むことになる。これら汚染物質として、酸性ガス、例えばCO2およびH2Sなどが挙げられる。
初期流体流10には、1平方インチ(psi)当たり約600ポンドの生産後圧力がかかり得る。場合によっては、初期流体流10の圧力は、およそ750psiまで、またはさらには1,000psiとなり得る。
流体流10は、通常蒸留塔100に入る前に冷やされる。熱交換器150、例えば円筒多管式熱交換器などが初期流体流10用に提供されている。冷蔵ユニット(示されていない)は、冷やされた流体(例えば液体プロパンなど)を熱交換器150に提供することによって、初期流体流10をおよそ−30°から−40°Fまで低い温度に低下させる。冷やされた流体流は、次いで膨張装置152を介して移動することができる。この膨張装置152は、例えばJoule−Thompson(「J−T」)バルブであってよい。
【0033】
膨張装置152は、流体流10のさらなる冷却を達成するために膨張器としての機能を果たす。流体流10の部分的な液化が成し遂げられるのが好ましい。Joule−Thompson(または「J−T」)バルブは、固体を形成する傾向があるガス供給流に対して好ましい。膨張装置152は、供給管における熱損失を最小限に抑え、一部の成分(例えばCO2またはベンゼンなど)がこれらの凝固点未満で滴下された場合、固体によって詰まる可能性を最小限に抑えるために、極低温蒸留塔100に近接して組み込まれるのが好ましい。
J−Tバルブの代替として、膨張器装置152は、ターボ膨張器であってよい。ターボ膨張器は、より多くの冷却をもたらし、上述した冷蔵ユニットのようなプロセス用のシャフトワークの供給元を作り出す。熱交換器150は、冷蔵ユニットの一部である。このようにして、オペレーターは、蒸留プロセスの全エネルギー所要量を最小限に抑えることができる。しかし、ターボ膨張器は、J−Tバルブのようにうまく凍結した粒子を取り扱うことはできない。
【0034】
いずれの場合にも、熱交換器150および膨張器装置152は、初期流体流10中の生ガスを冷やされた流体流12に変換する。冷やされた流体流12の温度は約−40°から−70°Fが好ましい。一態様において、極低温蒸留塔100は、およそ550psiの圧力で作動し、冷やされた流体流12は約−62°Fで作動する。一部の気体相は、冷やされた流体流12へと必然的に取り込まれてもよいが、これらの条件下では、冷やされた流体流12は、実質的に液相である。おそらく、CO2の存在下では、いかなる固体形成も生じない。
【0035】
CFZ極低温蒸留塔100は、3つの主要セクションに分けられる。これらは、下部蒸留域、または「ストリッピングセクション」106、中間部の制御された凍結域、または「スプレーセクション」108、および上部蒸留域、または「精留セクション」110である。図1の塔配置において、冷やされた流体流12は、制御された凍結域108内の蒸留塔100内に導入される。しかし冷やされた流体流12は、代わりに下部蒸留域106の最上部付近に導入されてもよい。
【0036】
図1の配置において、下部蒸留域106、中間部のスプレーセクション108、上部蒸留域110、および関連する構成要素は、単一容器100の内部に収納されていることに注意されたい。しかし、塔100の高さおよび動作の検討事項を考慮しなければならない可能性のある沖合での用途に対して、または輸送に制限があることが問題となる遠隔地に対しては、塔110を、2つの別々の圧力容器に分割してもよい(示されていない)。例えば、下部蒸留域106および制御された凍結域108を一容器に配置し、上部蒸留域108を別の容器に配置してもよい。次いで外部の配管を使用して、2つの容器を相互接続する。
【0037】
いずれの実施形態においても、下部蒸留域106の温度は、冷やされた流体流12の供給温度より高い。下部蒸留域106の温度は、カラム100の作動圧において、冷やされた流体流12中のメタンの沸点よりもかなり上になるように設計されている。この方法で、メタンは、より重質な炭化水素および液体酸性ガス成分から優先的に取り除かれる。もちろん、当業者であれば、蒸留塔100内の液体は混合物であり、すなわちこれは純粋なメタンと純粋なCO2の間のある中間の温度で液体が「沸騰する」ことを意味することを理解されたい。さらに、この混合物(例えばエタンまたはプロパンなど)の中により重質な炭化水素が存在する場合、この混合物の沸点は上昇することになる。これらの要素は、極低温蒸留塔100内の作動温度に対する設計の検討材料となる。
【0038】
下部蒸留域106において、CO2および任意の他の液相の流体は、極低温蒸留塔100の底部に向かって重力により落下する。同時に、メタンおよび他の気体相の流体は、抜け出して塔100の最上部に向かって上方に上昇する。この分離はガス相と液相の間の密度の差を介して主に遂行される。しかし、この分離プロセスは、蒸留塔100の内部の構成要素により補助されてもよい。以下に記載されているように、これらは溶融トレイ130、複数の有利に設計された物質移動装置126、および場合によるヒーター系統25を含む。サイドリボイラー(173を参照されたい)を、同様に下部蒸留域106に付加することによって、メタンの除去を促進することができる。
【0039】
再び図1を参照すると、冷やされた流体流12は、下部蒸留域106の最上部付近でカラム100に導入することができる。代わりに溶融トレイ130の上で制御された凍結域108に供給流12を導入することが望ましいこともある。冷やされた流体流12の注入点は、主に初期流体流10の組成により決定される設計上の問題である。
冷やされた流体流12の温度が、固体を予想できない位十分に高い温度である場合(例えば−70°Fを超える場合など)、冷やされた流体流12をカラム100内の2相フラッシュボックスタイプ装置(または気体分配器)124を介して下部蒸留域106へと直接注入することが好ましいこともある。フラッシュボックス124の使用は、冷やされた流体流12の中の2相の気体/液体混合物を少なくとも部分的に分離する役目を果たす。このフラッシュボックス124は、2相の流体が、フラッシュボックス124内の調節板に当たるように溝付きであってよい。
【0040】
入口温度が低いために固体が予測される場合、冷やされた流体流12は、上述のようにカラム100に供給される前に容器173内で部分的に分離する必要があり得る。この場合、冷やされた供給流12は、2つの相分離器173内で分離することによって、固体がカラム100の入口系統および内部の構成要素をふさぐ可能性を最小限に抑えことができる。ガスの気体は、容器の入口系統11を介して相分離器173から離れ、そこで入口分配器121を介してカラム100に入る。次いでこのガスは、カラム100を介して上方に進む。液体/固体スラリー13は、相分離器173から放出される。液体/固体スラリーは気体分配器124を介してカラム100および溶融トレイ130へと誘導される。液体/固体スラリー13は、重力によりまたはポンプ175によりカラム100へと供給することができる。
【0041】
いずれの配置においても、すなわち2つの相分離器173があってもなくても、冷やされた流体流12(または11)は、カラム100へと入る。液体成分は、フラッシュボックス124から離れ、下部蒸留域106内のストリッピングトレイ126の一群へと下る。このストリッピングトレイ126は、一連の堰128および下降管129を含む。これらは、図3に関連して以下でより十分に記載されている。ストリッピングトレイ126は、下部蒸留域106のより温かい温度と相まって、メタンが溶液から抜け出すように作用する。生成した気体は、煮沸で取り出されたメタンおよび任意の取り込まれた二酸化炭素分子を担持している。
気体は、溶融トレイ130の上昇管または排気筒131(図2Bに見てとれる)を介してさらに上方に前進し、凍結域108に至る。排気筒131は、凍結域108全体に渡る均一な分布のために気体分配器として作用する。次いで気体は、CO2を「凍結させる」ためのスプレーヘッダー120からの低温液体に接触する。別の言い方をすれば、CO2は、凍結し、次いで溶融トレイ130上に沈殿または「雪」として戻る。次いで固体CO2は溶融され、液体の形態で溶融トレイ130を重力によって流れ落ち、そこより下からは、下部蒸留域106を介して流れ落ちる。
【0042】
以下においてより十分に考察されている通り、スプレーセクション108は極低温蒸留塔100の中間部の凍結域である。塔100に入る前に冷やされた流体流12が容器173内で分離する交互の構成により、分離した液体/固体スラリー13の一部が溶融トレイ130のすぐ上の塔100に導入される。このようにして、酸性ガスおよびより重質な炭化水素成分の液体/固体混合物は、分配器121から流れ出ることになり、固体および液体は、溶融トレイ130上へと落ちる。
【0043】
溶融トレイ130は、液体および固体物質、主にCO2およびH2Sを、中間部の制御された凍結域108から重力によって受け取るように設計されている。溶融トレイ130は、液体および固体物質を温める役目があり、さらなる精製のためにこれらを液体形態で、下部蒸留域106を介して下向きに誘導する。溶融トレイ130は、液体プールの制御された凍結域108から固体/液体混合物を収集し、温める。溶融トレイ130は、気体流を放出して制御された凍結域108に戻し、固体CO2を溶融するための十分な熱伝達を提供し、溶融トレイ130より下のカラム100の下部蒸留域または下部蒸留域106への、液体/スラリーの排水を促進するように設計されている。
【0044】
図2Aは、一実施形態における溶融トレイ130の平面図を提供している。図2Bは、図2AのB−Bの線に沿った溶融トレイ130の横断面図を提供する。図2Cは、C−Cの線に沿った溶融トレイ130の横断面図を示す。溶融トレイ130は、これら3つの図をまとめて参照して説明されることになる。
第1に、溶融トレイ130は、底部134を含む。底部134は、実質的に平面の本体であってよい。しかし、図2A、2Bおよび2Cに示されている好ましい実施形態では、底部134は、実質的に非平面プロファイルを採用している。この非平面構成により、制御された凍結域108から溶融トレイ130上に載せられた液体および固体を接触させるための表面積が増加する。これによって、カラム100の下部蒸留域106から上へと回される気体から、液体および解凍する固体への熱伝達が増加する効果が生じる。一態様において、底部134は波形である。別の態様では、底部134は実質的に正弦曲線である。この態様のトレイ設計は、図2Bに示されている。他の非平面的配置を代わりに使用することによって、溶融トレイ130の熱伝達地域を増加させることができることを理解されたい。
【0045】
溶融トレイ底部134は傾いているのが好ましい。この傾斜は、図2Cの側面図に明示されている。大部分の固体が溶融されるべきではあるが、傾斜は、液体混合物中の任意の未溶融の固体が確かに溶融トレイ130から流れ出し、そこから下の蒸留域106に入るようにするための役目を果たす。
図2Cの図を見ると、液だめまたはチャネル138が溶融トレイ130の中心にあることを見てとれる。この溶融トレイ底部134は、チャネル138に向かって内向きに傾斜することによって、固体/液体混合物を送達する。底部134は、任意の方法で傾斜することによって、重力による液体の引抜きを促進し得る。
【0046】
米国特許第4,533,372号に記載の通り、溶融トレイは、「排気筒トレイ」と呼ばれた。これは、単一の通風用の排気筒の存在によるものであった。排気筒は、気体がこれを介して、排気筒トレイを上方に移動できる開口を提供した。しかし、単一の排気筒の存在とは、排気筒トレイを介して上方に移動するすべてのガスは、単一の開口を介して出て行かなければならないことを意味した。その一方で、図2A、2Bおよび2Cの溶融トレイ130では、複数の排気筒131が提供されている。複数の排気筒131の使用は、気体分布を向上させる。これによって、中間部の制御された凍結域108でより良い熱/物質移動が得られる。
排気筒131は、任意のプロファイルであってよい。例えば、排気筒131は、円形、四角形、または気体の溶融トレイ130の通り抜けを可能にする任意の他の形であってよい。排気筒131はまた、幅が狭く、制御された凍結域108へと上方に伸びていてもよい。これにより、気体がCFZ制御された凍結域108へと上昇するにつれて、気体を均等に分布するための有利な圧力の低下が可能となる。排気筒131は、波形の底部134の最上部に位置することによって、追加の熱伝達地域を提供することが好ましい。
【0047】
排気筒131の最上部の開口は、とびら口またはキャップ132で覆われているのが好ましい。これによって、制御された凍結域108から落下する固体が溶融トレイ130に落ちることを回避できる確率を最小限に抑える。図2A、2Bおよび2Cにおいて、キャップ132は、排気筒131のそれぞれの上に見られる。
【0048】
溶融トレイ130はまた、バブルキャップを装備するように設計されていてもよい。このバブルキャップは、溶融トレイ130の底面から上昇する、底部134の凸状の出入りと定義される。バブルキャップは、溶融トレイ130の表面積をさらに増加することによって、CO2リッチな液体への追加の熱伝達を提供する。この設計を用いて、適切な液体の引抜き、例えば傾斜角の増加などが、液体が下のストリッピングトレイ126に確実に誘導されるように提供されるべきである。
【0049】
再び図1を参照すると、溶融トレイ130はまた、外部液体移動システム付きで設計することもできる。この移動システムは、すべての液体が固体を実質的に含まず、十分な熱伝達が提供されることを確実にする役目を果たす。移動システムは第1に引抜きノズル136を含む。一実施形態においてこの引抜きノズル136は、引抜き液だめ内に存在するか、またはチャネル138内に存在する(図2Cに示されている)。チャネル138で収集された流体は、移動ライン135に送達される。移動ライン135を介した流れは制御バルブ137およびレベルコントローラー「LC」により制御することができる(図1に見てとれる)。流体は、移動ライン135を介して下部蒸留域106に戻る。液体レベルが高すぎる場合、制御バルブ137は開く。レベルが低すぎる場合、制御バルブ137は閉じる。オペレーターが下部蒸留域106の移動システムを採用しないことを選択した場合、制御バルブ137は閉じられ、流体は直接物質移動装置へと誘導されるか、またはストリッピングのためにオーバーフロー下降管139を介して溶融トレイ130の下の「ストリッピングトレイ」126へと誘導される。
外部移動システムが使用されるかどうかに関わらず、固体CO2は溶融トレイ130上で温められ、CO2リッチな液体へと変換される。溶融トレイ130は、下部蒸留域106からの気体によって下側から加熱される。様々な手段例えばヒーターライン25などを用いて、補助的な熱を、溶融トレイ130に、または溶融トレイ底部134のちょうど上に、付加してもよい。ヒーターライン25は、底部リボイラー160からすでに入手可能な熱エネルギーを利用することによって、固体の解凍を促進する。
【0050】
CO2リッチな液体は、液体レベル制御下の溶融トレイ130から引き抜かれ、重力によって下部蒸留域106へと導入される。記述されているように、溶融トレイ130の下の下部蒸留域106には複数のストリッピングトレイ126が提供されている。ストリッピングトレイ126は、1つのトレイが他の上にある、実質的に平行な関係にあるのが好ましい。ストリッピングトレイ126のそれぞれは、液体レベルがトレイ上に維持されるように堰を備え、極めてわずかに傾斜して位置していてもよい。流体は、堰の上を、各トレイに沿って重力により流れ、次いで下降管を介して次のトレイへと流れ落ちる。
ストリッピングトレイ126は、様々な配置にすることができる。ストリッピングトレイ126は、全般的に水平な関係に配置することによって、行ったり来たりする、カスケード式の液体流を形成することができる。しかし、ストリッピングトレイ126は、実質的に同じ水平面に沿って別個のストリッピングトレイにより分割されているカスケード式の液体流を作り出すように配置されるのが好ましい。これは図3の配置に示されており、この配置では、液体が別個のトレイを横切って流れ、2つの対向する下降管129へと落ちるように、液体流は少なくとも一度分割される。
【0051】
図3は、一実施形態におけるストリッピングトレイ126配置の側面図を提供している。ストリッピングトレイ126のそれぞれは、上からの流体を受け、これらを収集する。各ストリッピングトレイ126は、ダムとして機能することによって、ストリッピングトレイ126のそれぞれ上に流体の小さなプールを収集することを可能にする堰128を有するのが好ましい。蓄積は、1/2から1インチであってよいが、任意の高さを採用してもよい。流体が1つのトレイ126から次の下位のトレイ126へと落ちることにより、堰128によって落水効果が生まれる。一態様では、ストリッピングトレイ126は傾斜がないが、この落水効果は、堰128をより高くする構成を介して作り出される。流体は、トレイ126のこの「接触地域」において、直交して流れる液体からメタンを取り出す、より軽質な炭化水素リッチな上昇気体と接触する。堰128は、下降管129を動的にふさぐように働くことによって、気体が下降管129を介して迂回するのを防止し、炭化水素ガスの脱出をさらに促進する手助けを行う。
【0052】
液体が下部蒸留域106を介して下向きに移動するにつれて液体中のメタンのパーセンテージは、ますます小さくなる。蒸留の程度は、下部蒸留域106内のトレイ126の数に依存する。下部蒸留域106の上の部分では、液体のメタン含有量は、25モルパーセントまで高くなり得るが、ストリッピングトレイの底部では、メタン含有量は、0.04モルパーセントまで低くなり得る。メタン含有物は、ストリッピングトレイ126(または他の物質移動装置)に沿って急速にフラッシュされる。下部蒸留域106において使用される物質移動装置の数は、生ガス流10の組成に基づく設計上の選択の問題である。しかし、例えば液化された酸性ガスにおいて所望の1%以下のレベルまでメタンを除去するためには、わずか数レベルのストリッピングトレイ126の利用しか通常必要とされない。
【0053】
メタンの脱出を促進する様々な個別のストリッピングトレイ126構成を採用してもよい。ストリッピングトレイ126は、篩の穴またはバブルキャップを有するパネルを単に示し得る。しかし、流体に対するさらなる熱伝達を提供し、固体が原因の望ましくない遮断を防止するため、いわゆる「ジェットトレイ」を溶融トレイの下に採用してもよい。トレイの代わりに、ランダムなまたは構造化された充填物を採用してもよい。
【0054】
図4Aは、一実施形態における例示的ジェットトレイ426の平面図を提供している。図4Bは、ジェットトレイ426からのジェットタブ422の横断面図を提供している。示されているように、各ジェットトレイ426は、本体424を有し、複数のジェットタブ422が、本体424内に形成されている。各ジェットタブ422は、開口425を覆う傾いたタブ部材428を含む。したがって、ジェットトレイ426は、複数の小さい開口425を有する。
【0055】
作動中、1つまたは複数のジェットトレイ426は、塔100の下部蒸留域106および/または上部蒸留域110に位置することができる。トレイ426は、複数の通路、例えば図3のストリッピングトレイ126のパターンなどを用いて配置することができる。しかし、メタンガスの脱出を促進するものであればいかなるトレイまたは充填物の配置も利用することができる。流体は、各ジェットトレイ426上に滝のように落ちる。次いで流体は本体424に沿って流れる。タブ422は、流体がトレイ426上を、急速におよび効率的に移動するよう、最適に方向づけられている。隣接した下降管(示されていない)が提供されることによって、それに続くトレイ426に液体を移動させてもよい。開口425はまた、下部蒸留域106で流体移動のプロセス中に放出されたガスの気体が、溶融トレイ130へと、および排気筒131を介して、より効率的に上方に進むことを可能にする。
【0056】
一態様において、トレイ(例えばトレイ126または426など)は、耐付着性物質、すなわち、固体の蓄積を防止する物質から作製ことができる。耐付着性物質をある処理機器において利用することによって、腐食性金属粒子、ポリマー、塩、水和物、触媒微粉、または他の化学固体化合物の蓄積を防止する。極低温蒸留塔100の場合、耐付着性物質を、トレイ126または426において使用することによって、CO2固体の固着を制限することができる。例えば、テフロン(商標)コーティングを、トレイ126または426の表面に適用することができる。
代わりに、CO2が確実にカラム100の内径に沿って固体形態で蓄積し始めないようにするため、物理的設計を提供することもできる。この点において、カラム100の壁に沿って液体が推し進められるようにジェットタブ422の方向を合わせ、これによってカラム100の壁に沿って固体が蓄積するのを防止し、優れた気体と液体の接触を確実にすることができる。
【0057】
トレイ配置のいずれにおいても、下方に流れる液体が、ストリッピングトレイ126に達すると、物質分離が生じる。メタンガスは、溶液から抜け出し、気体の形態で上方に移動する。しかしCO2は、温度が一般的に十分低く、濃度が十分高いので、主にその液体の形態のままであり、下部蒸留域106の底部へと下方に移動するが、ただし、一部のCO2は、プロセス中にどうしても気化することになる。次いで液体は、底部流体流22として出口ラインから極低温蒸留塔100の外へ出る。
【0058】
蒸留塔100から出る際に、底部流体流22は、リボイラー160に入る。図1において、リボイラー160は、再沸騰させた気体をストリッピングトレイの底部に提供する反応窯タイプの容器である。再沸騰させた気体のラインが、27に見てとれる。さらに、再沸騰させた気体が、ヒーターライン25を介して送達されることによって、溶融トレイ130に補助的な熱を提供することができる。この補助的な熱は、バルブ165および温度コントローラーTCを介して制御されている。代わりに、熱交換器、例えば熱サイホン式熱交換器など(示されていない)を使用することによって、初期流体流10を冷却して、エネルギーを効率的に利用することができる。この点において、リボイラー160に入る液体は、比較的低温、例えばおよそ30°から40°Fのままである。初期流体流10を統合した熱によって、オペレーターは、生産流体流10を事前冷却しながら、蒸留塔100からの冷たい底部の流体流22を温め、部分的に沸騰することができる。この場合に対して、ライン25を介して補助的な熱を提供する流体は、リボイラー160からの気体相の戻りである。
【0059】
一部条件下では、溶融トレイ130は、ヒーターライン25なしで作動することができることが予期される。これらの場合には、溶融トレイ130は、内部加熱機能例えば電気ヒーターなどを付けて設計することができる。しかし、底部の流体流22において利用できる熱エネルギーを採用している熱システムが提供されることが好ましい。ヒーターライン25の温かい流体は、一態様において30°から40°Fで存在し、よって、これらは相対的熱エネルギーを含有する。したがって、図1において、ヒーターライン25の温かい気体流は、溶融トレイ130上の加熱コイル(示されていない)を介して溶融トレイ130に誘導されていることが示されている。代わりに温かい気体流は、移動ライン135につながっていてもよい。
【0060】
作動中、再沸騰させた気体流の大部分は、ライン27を介して、底部の液体レベルより上で、および最後のストリッピングトレイ126において、またはこれよりも下で、カラム底部に導入される。再沸騰させた気体が各トレイ126を介して上方へと回るにつれて、残留するメタンは液体から取り除かれる。この気体は、塔を上方に移動するにつれて冷たくなる。ライン27からの気体流が波形の溶融トレイ130に到達するまでには、温度はおよそ−20°Fから0°Fまで降下し得る。しかし、気体流は、溶融トレイ130上の溶融固体(おそらく約−50°Fから−70°F)と比較して、かなり温かいままである。この気体は、これが溶融トレイ130と接触した場合、固体CO2を溶融するだけの十分なエンタルピーを依然として有する。
【0061】
再びリボイラー160に戻ると、液体形態でリボイラー160を出る底部流24内の流体は、膨張器バルブ162を通過してもよい。膨張器バルブ162は、底部液体生成物の圧力を減少させ、冷蔵効果を効果的に提供する。したがって、冷やされた底部流26が提供される。リボイラー160を出るCO2リッチな液体は、1つまたは複数のAGI坑井(図1の250に概略的に見てとれる)を介して穴の下方にポンプで送り込むことができる。いくつかの状況において、液体CO2は、強化された油回収プロセスの一部として、部分的に回収された油貯留層にポンプで送り込むことができる。したがって、CO2は、混和性注入物質となることができる。代替案として、CO2は、油回収を強化するための混和性フラッディング剤として使用することもできる。
【0062】
再び塔100の下部蒸留域106を参照すると、ガスは、溶融トレイ130の排気筒131を介して、下部蒸留域106を上方に移動し、制御された凍結域108に至る。制御された凍結域108は、複数のスプレーノズル122を有する開口チャンバーと定義される。気体が制御された凍結域108を介して上方に移動するにつれて、気体の温度は非常に低くなる。気体はスプレーノズル122から出る液体メタン(「還流」)と接触する。この液体メタンは、熱交換器170を含む外部冷蔵ユニットにより冷やされているので上方に移動する気体よりも非常に冷たい。1つの配置において、液体メタンは、約−120°Fから−130°Fの温度でスプレーノズル122から出る。しかし、液体メタンが蒸発するにつれ、液体メタンはその周辺からの熱を吸収し、これによって上方に移動する気体の温度を減少させる。気化したメタンはまた、その密度の減少(液体メタンと比較して)および蒸留塔100内の圧力勾配により上方に流れる。
【0063】
メタンの気体が極低温蒸留塔100をさらに上に移動するにつれて、これらは、中間部の制御された凍結域108を離れ、上部蒸留域110に入る。気体は、元の冷やされた流体流12から抜け出した他の軽質ガスと共に上方に移動し続ける。一緒になった炭化水素気体は、極低温蒸留塔100の最上部から外へ出て、オーバーヘッドメタン流14となる。
【0064】
オーバーヘッドメタン流14内の炭化水素ガスは、外部冷蔵ユニット170へと移動する。一態様において、冷蔵ユニット170は、オーバーヘッドメタン流14をおよそ−135°から−145°Fまで低い温度に冷やすことが可能なエチレン冷却剤または他の冷却剤を使用する。これは、オーバーヘッドメタン流14を少なくとも部分的に液化する働きをする。次いで冷蔵されたメタン流14は、還流凝縮器または分離チャンバー172に移動する。
【0065】
分離チャンバー172を使用して、「液体還流」18と時々呼ばれる液体からガス16を分離する。ガス16は、元の生ガス流10からのより軽質な炭化水素ガス、主にメタンを表す。窒素およびヘリウムもまた存在し得る。メタンガス16は、もちろん、いかなる微量のエタンと共に、最終的に捕獲が模索され、商業的に販売されることになる「製品」である。オーバーヘッドメタン流14のこの非液化部分も現場での燃料に利用できる。
冷蔵ユニット170を出るオーバーヘッドメタン流14の一部分は凝縮される。この部分は、分離チャンバー172で分離され、塔100に戻される液体還流18である。ポンプ19を使用することによって、液体還流18を移動させて塔100に戻すことができる。代わりに、分離チャンバー172を塔100の上に組み込むことによって、液体還流18の重力供給を提供する。この液体還流18は、上部蒸留域110から逃れたあらゆる二酸化炭素を含むことになる。しかし、液体還流18の大部分は、窒素(存在する場合、初期流体流10の中)および微量の硫化水素(存在する場合、同様に初期流体流10の中)と共に、通常95%以上がメタンである。
【0066】
1つの冷却配置において、オーバーヘッドメタン流14は、開ループ冷蔵システム、例えば図6に示され、図6に関連して記載されている冷蔵システムなどを介して取り出される。この配置において、クロス交換器を介して、オーバーヘッドメタン流14を取り出すことによって、液体還流18として使用されたオーバーヘッドメタン流の戻された部分を冷やす。その後、このオーバーヘッドメタン流14をおよそ1,000psi〜1,400psiに加圧し、次いで外気、および場合により外部プロパン冷却剤を用いて冷却する。次いでこの加圧して、冷やされたガス流をさらに冷却するために、膨張器を介して誘導する。ターボ膨張器を使用することによって、さらにより多くの液体ならびにいくらかのシャフトワークを回収することができる。「Process For Separating a Multi-Component Gas Stream Containing at Least One Freezable Component」という表題の米国特許第6,053,007号は、オーバーヘッドメタン流の冷却について記載し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0067】
本発明は、オーバーヘッドメタン流14に対する冷却方法により限定されるものではないことをここで理解されたい。冷蔵ユニット170と初期冷蔵ユニット150との間の冷却の程度は異なってもよいこともまた理解されたい。場合によっては、冷蔵ユニット150をより高い温度で作動させるが、次いで冷蔵ユニット170におけるオーバーヘッドメタン流14の冷却をより強力にすることが望ましいこともある。繰り返すが、本発明はこれらの種類の設計上の選択に限定されない。
【0068】
再び図1に戻ると、液体還流18は、上部蒸留域110に戻される。次いで液体還流18は、上部蒸留域110内の1つまたは複数の物質移動装置116を介して重力によって運ばれる。一実施形態においてこの物質移動装置116は、上述のトレイ126と同様に、カスケード式の一連の堰118および下降管119を提供する精留トレイである。
液体還流流18からの流体が精留トレイ116を介して下向きに移動するにつれて、追加のメタンが上部蒸留域110から気化する。このメタンガスは、オーバーヘッドメタン流14に再び加わることによって、ガス生産物流16の一部になる。しかし、液体還流18中に残留する液相は、収集トレイ140上に落ちる。これによって、液体還流流18は、制御された凍結域108から上方に移動する少ないパーセンテージの炭化水素および残留酸性ガスを必然的に拾い上げることになる。メタンおよび二酸化炭素の液体混合物が、収集トレイ140において収集される。
【0069】
収集トレイ140は、液体を収集するための実質的に平面の本体と定義されるのが好ましい。しかし、溶融トレイ130と同様に、収集トレイ140は、制御された凍結域108から来るガスを通風するための、1つ、好ましくは複数の排気筒も有する。排気筒およびキャップの配置、例えば図2Bおよび2Cにおいて構成要素131および132で提示されているものなどを使用することができる。収集トレイ140用の排気筒141およびキャップ142は、図5の拡大図で示され、以下でさらに考察されている。
【0070】
上部蒸留域110において、存在するあらゆるH2Sは、処理温度において、ガス中に溶解されていることよりも、液体中に溶解されていることが優先されることをここで注意されたい。この点において、H2Sは、相対的不安定さが比較的低い。残留気体をより多く液体に接触させることによって、極低温蒸留塔100は、H2S濃度を所望のパーツパーミリオン(ppm)の限界内、例えば10またはさらには4ppm規格まで押し下げる。上部蒸留域110内で物質移動装置116を介して流体が移動するにつれて、H2Sは、液体メタンと接触し、気体相から引き出され、液体流20の一部となる。そこから、H2Sは、液体形態で下部蒸留域106を介して下向きに移動し、最終的に液化された底部酸性ガス流22の一部として極低温蒸留塔100を出る。供給流内にH2Sが少ししか、もしくは全く存在しない場合、またはH2Sが上流プロセスにおいて選択的に取り出された場合には、オーバーヘッドガス中にH2Sは実質的には全く存在しないことになる。
【0071】
極低温蒸留塔100において、収集トレイ140で捕獲された液体は、液体流20として上部蒸留域110から引き出される。液体流20は、主にメタンから構成される。一態様において、液体流20は、およそ93モルパーセントのメタン、3%のCO2、0.5%のH2S、および3.5%のN2から構成される。この時点で、液体流20は、およそ−125°Fから−130°Fである。これは液体還流流18よりもわずかに温かいだけである。液体流20は、還流ドラム174へと誘導される。還流ドラム174の目的はポンプ176に対してサージ能力を提供することである。還流ドラム174から出る際に、スプレー流21が作り出される。スプレー流21は、ポンプ176で加圧されて極低温蒸留塔100への第2の再導入がなされる。この例では、スプレー流21は、中間部の制御された凍結域108へとポンプで送り込まれ、ノズル122を介して排出される。
【0072】
スプレー流21のある部分、特にメタンは、ノズル122を出る際に気化および蒸発する。そこからメタンは、制御された凍結域108を介し、収集トレイ140内の排気筒を介し、および上部蒸留域110内の物質移動装置116を介して上昇する。メタンは、オーバーヘッドメタン流14として蒸留塔100を離れ、最終的にガス流16内の商品の一部となる。
【0073】
ノズル122からのスプレー流21はまた、二酸化炭素をガス相から脱昇華させる。これに関して、最初に液体メタン中に溶解したCO2は、一瞬ガス相に入り、メタンと共に上方に移動することができる。しかし、制御された凍結域108内では温度が低温のため、いずれのガス状二酸化炭素も、急速に核となり、凝集して固相となり、「雪」が降り始まる。この現象を脱昇華と呼ぶ。このように、一部のCO2は、それが溶融トレイ130にぶつかるまで、再び液相になることは決してない。この二酸化炭素は溶融トレイ130上に「雪」として降り、液相へと溶融する。そこから、CO2リッチな液体は、下部蒸留域106内の物質移動装置またはトレイ126を、上述の冷やされた生ガス流12からの液体CO2と共に滝のように落下する。その時点で、ノズル122のスプレー流21からの残留するあらゆるメタンは、気体となって急速に抜け出すはずである。これらの気体は極低温蒸留塔100内を上方に移動し、上部蒸留域110に再び入る。
【0074】
塔100を上方へ移動しているガスに、冷やされた液体をできるだけ多く接触させることが望ましい。気体がノズル122から発するスプレー流21を迂回すると、より高いレベルのCO2が塔100の上部蒸留域110に到達することができることになる。制御された凍結域108内のガス/液体の接触の効率を向上させるため、設計された構成を有する複数のノズル122を採用することができる。したがって、還流の流体流21を有する、単一のスプレー供給元を1つまたは複数のレベルで採用するよりも、複数のスプレーノズル122を有するように設計されてもよい、いくつかのスプレーヘッダー120を使用してもよい。このように、スプレーノズル122の構成は、制御された凍結域108内で生じる熱および物質移動に対して影響がある。また、ノズルそれ自体も液滴の粒度およびこれら液滴の領域分布が最適となるよう設計することができる。
【0075】
本発明の譲受人は、2007年11月20日の国際出願日を有する同時係属の国際特許公開第2008/091316号において、様々なノズル配置をこれまで提唱してきた。その出願および図6Aおよび6Bは、ノズル構成を教示するために本明細書に参照により組み込まれている。ノズルは、制御された凍結域108内での360°の適用範囲を確実にし、優れた気体/液体の接触および熱/物質の移動を提供することを追求している。これにより、今度は、極低温蒸留塔100を介して上方に移動するあらゆるガス状二酸化炭素がより効果的に冷やされる。
【0076】
完璧な適用範囲のための複数のヘッダー120および対応するオーバーラップノズル122の配置の使用は、逆混合も最小限に抑える。この点において、適用範囲が完璧となることによって、微細な、低質量のCO2粒子が蒸留塔100に戻り、上部蒸留域110へ再び入ることが防止される。次いでこれらの粒子はメタンと再混合され、オーバーヘッドメタン流14へ再び入ることになり、再びリサイクルされるだけとなる。
【0077】
図1に関連して記載されている上記酸性ガス除去システムは、実質的に酸性ガスを含まない商業用メタン生成物16を生産するために有利である。生成物16は液化されているのが好ましく、販売のためパイプラインの下方に送られる。この液化ガス生成物は、十分な還流が生成される、パイプラインCO2規格である1〜4モルパーセントを満たしているのが好ましい。二酸化炭素および硫化水素は底部流22を介して除去される。
場合によっては、生の初期流体流10中の比較的に多量なCO2と共に少量のH2Sが存在する。この場合、「きれいな」液体CO2流が底部流22で生成され得るように、極低温蒸留塔の前でH2Sを選択的に除去することが望ましいこともある。このような方法で、CO2は、油回収(「EOR」)作業の強化のために貯留層へと直接注入されてもよい。したがって、塔100などの極低温蒸留塔内で酸性ガス除去が行われる前に初期流体流10と共に生成される硫黄成分の一部分を除去するためのシステムおよび方法が、本明細書中で提案されている。
【0078】
ガス流から硫黄成分を除去するためのいくつかのH2S選択プロセスが本明細書中で提案されている。水性プロセスおよび非水性プロセスの両方が記載されている。これらプロセスは、任意のスルフヒドリル化合物、例えば硫化水素(H2S)など、およびメルカプタンとして知られている、またチオール(R?SH)としても知られている(式中、Rは炭化水素基である)、スルフヒドリル(?SH)基を有する有機硫黄化合物を除去することが好ましい。
酸性ガス除去システムの上流で硫黄成分を除去するための第1の方法は、溶媒の使用を採用する。特定の溶媒は、硫化水素に対して親和性を有し、メタンからH2Sを分離するために使用することができる。溶媒は、物理溶媒または化学溶媒のいずれかであってよい。
【0079】
図6は、一実施形態においてガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設600を示す概略図である。このガス処理施設600は、酸性ガス除去システムの上流に溶媒プロセスを採用している。酸性ガス除去システムは、全般的に650で示され、溶媒プロセスは、ブロック605で示されている。酸性ガス除去システム650は、ブロック100において分離容器を含む。ブロック100は、図1の制御された凍結域塔100を全般的に示している。しかし、ブロック100はまた、バルク分取塔などの任意の極低温蒸留塔も表すことができる。
図6において、生産ガス流は612において示されている。ガス流612は、貯留層発生領域、または「フィールド」610の中で行われる炭化水素生産活動から始まる。フィールド610は、ガス状炭化水素が生成されるいかなる場所も表すことができることを理解されたい。
フィールド610は、陸上、海岸付近または沖合にあってもよい。このフィールド610は、元の貯留層圧力から作動してもよいし、または強化された回収手順が施されてもよい。本明細書中で特許請求されているシステムおよび方法は、硫化水素および二酸化炭素が混入した炭化水素を生成するものであれば、開発中であるフィールドの種類に限定されない。炭化水素は、主にメタンを含むことになるが、2〜10モルパーセントのエタンおよび他の重質炭化水素、例えばプロパンなどまたはさらに微量のブタンおよび芳香族炭化水素も含み得る。
【0080】
ガス流612は、「生」であり、これは酸性ガス除去プロセスが施されていないことを意味する。生ガス流612は、パイプライン、例えば、フィールド610からガス処理施設600までを通過してもよい。ガス処理施設600に到着した時点で、ガス流612は、例えばグリコール脱水容器などの脱水プロセスを介して誘導されてもよい。脱水容器は、620で概略的に示されている。生ガス流612を脱水容器620に通した結果、水流622が生成される。場合によっては、水のこぼれ落ちおよび水和物の形成を防止するためにこの生ガス流612を、モノエチレングリコール(MEG)と混合してもよい。MEGは、例えばチラー上にスプレーしてもよく、チラーおよび注入ガス組成物の温度により、液体が収集されて、水、より濃縮したMEG、および場合によりいくらかの重質炭化水素へと分離されてもよい。
水流622は、水処置施設へ送られてもよい。代わりに、水流622は、地下構造へ再注入することもできる。地下構造はブロック630で示されている。さらに代替法として、除去した水流622を処理することによって環境基準を満たし、次いで処理済みの水としてその地域の流域(示されていない)へと放出することができる。
【0081】
さらに、生産ガス流612を脱水容器620に通した結果、実質的に脱水されたメタンガス流624が生成される。脱水されたガス流624は、微量の窒素、ヘリウムおよび他の不活性ガスを含有し得る。本発明のシステムおよび方法に関連して、脱水されたガス流624はまた二酸化炭素および少量の硫化水素も含む。ガス流624は、他の硫黄成分、例えば硫化カルボニル、二硫化炭素、二酸化硫黄、および様々なメルカプタンなどを含有し得る。
【0082】
脱水されたガス流624は、予備の冷蔵ユニット625を通過してもよい。冷蔵ユニット625は、脱水されたガス流624を、およそ20°Fから50°Fまで低い温度に冷やす。冷蔵ユニット625は、例えば、空気冷却器またはエチレンもしくはプロパンの冷蔵庫であってよい。
【0083】
硫化鉄腐食を防止するために脱水されたガス流624から硫黄成分を除去することが望ましい。ガス処理施設600に従い、溶媒系605が提供される。脱水されたガス流624は、溶媒系605に入る。溶媒系605は、ガス流624を溶媒に接触させることによって、吸収プロセスを介して硫化水素を除去する。これは、比較的低温および比較的に高圧で行われ、このプロセス中の酸性ガス成分の溶解度は、メタンのそれを超える。
記述されているように、溶媒系605は、物理溶媒系または化学溶媒系のいずれかであってよい。図7Aは、一実施形態における物理溶媒系705Aの概略図を、提供している。物理溶媒系705Aは、硫黄成分を除去するために脱水されたガス流624を接触させるよう作動する。
【0084】
適切な物理溶媒の例として、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、メチルシアノアセテート、および冷蔵したメタノールが挙げられる。物理溶媒の好ましい例は、スルホランであり、この化学名はテトラメチレンスルホンである。スルホランは、スルホニル官能基を含有する有機硫黄化合物である。スルホニル基は、2個の酸素原子と二重結合した硫黄原子である。硫黄酸素二重結合は、極めて極性であり、水中での高い溶解度を可能にする。同時に、4個の炭素の環は、炭化水素に対して親和性を提供する。これらの特性は、スルホランに、水と炭化水素の両方に対する混和性を与え、その結果、スルホランは、炭化水素混合物を精製するための溶媒として広範囲に使用されている。
好ましい物理溶媒はSelexol(商標)である。Selexol(商標)は、Dow Chemical Companyの子会社であるUnion Carbideのガス処理製品の商標名である。Selexol(商標)溶媒は、ポリエチレングリコールのジメチルエーテルの混合物である。このようなある成分の一例がジメトキシテトラエチレングリコールである。Selexol(登録商標)はまた初期流体流10中の任意の重質炭化水素ならびにいくらかの水を拾い上げる。初期流体流10が開始時点でかなり乾燥している場合、Selexol(商標)を使用することで、他の脱水の必要性を排除することができる。Selexol(商標)溶媒が冷やされており、次いでCO2で事前に飽和させている場合、Selexol(商標)溶媒はH2Sに対して選択性があることをここで注意されたい。
【0085】
図7Aを参照すると、脱水されたガス流624が注入分離器660に入るのが見てとれる。ガス流624をきれいに保つことによって酸性ガス除去プロセスの間液体溶媒の泡立ちを防止することが望ましいことを理解されたい。したがって、注入分離器660を使用して、液体不純物、例えば油ベースの掘削流体および泥を濾過除去する。いくらかの粒子の濾過も行うことができる。ブラインは、上流脱水容器620を用いてふるい落とすことが好ましい。しかし、注入分離器660は、いかなる凝縮した炭化水素も除去することができる。
【0086】
掘削流体および凝縮した炭化水素などの液体は、注入分離器660の底部から滴下される。液体の不純物流は662に見てとれる。水ベースの不純物は、通常水処置施設(示されていない)に送られるか、または貯留層圧力を維持するため、または処分のために構造630に再注入され得る。炭化水素液体は、一般的に凝縮物処理施設に送られる。ガスは、注入分離器660の最上部から出る。浄化されたガス流が664に見てとれる。
【0087】
浄化したガス流664は、ガスからガスの交換器665へと誘導されてもよい。ガスからガスの交換器665は、浄化されたガス流664内のガスを事前に冷却する。次いで浄化されたガスは、吸収体670へと誘導される。吸収体670は、吸収剤を受け取る、逆流接触塔であることが好ましい。図7Aの配置で、浄化されたガス流664は、塔670の底部に入る。同時に、物理溶媒696は、塔670の最上部に入る。塔670は、トレイ付の塔、充填された塔、または他の種類の塔であってよい。
【0088】
ガス/液体の接触のために設計された、任意の数の、塔でない装置も代わりに利用することができることを理解されたい。これらは、静的混合機および並流の接触装置を含み得る。図7Aの逆流塔670は、単に例示的目的のためだけである。注意することは、ガスと液体の接触容器のための小型の、並流接触器の使用は、全体の設置面積および物理溶媒系705Aの質量を削減できるので好ましい。
吸収剤は、例えば、H2Sおよび偶発的にいくらかのCO2を「ふるい落とす」ため浄化されたガス流664と混合される溶媒であってよい。吸収剤は、具体的には、上述のSelexol(登録商標)であってよい。吸収剤と接触させるプロセスの結果、軽質ガス流678が生成される。軽質ガス流678は、塔670の最上部から出てくる。軽質ガス流678は、メタンおよび二酸化炭素を含有する。軽質ガス流678は、図6においてブロック100で概略的に示されている、極低温蒸留塔に誘導される前に冷蔵プロセスを通過する。
【0089】
一瞬だけ図6に戻ってこれを参照すると、軽質ガス流678は、物理溶媒系705Aを出て、チラー626を通過する。チラー626は、軽質ガス流678を、およそ−30°Fから−40°Fまで低い温度に冷やす。チラー626は、例えば、エチレンまたはプロパンの冷蔵庫であってよい。
軽質ガス流678は、次に膨張装置628を介して移動するのが好ましい。この膨張装置628は、例えば、Joule−Thompson(「J−T」)バルブであってよい。膨張装置628は、軽質ガス流678のさらなる冷却を達成するために膨張器としての機能を果たす。膨張装置628は、軽質ガス流678の温度を、例えば、およそ−70°Fから−80°Fまで低い温度にさらに減少させる。ガス流678の少なくとも部分的な液化も達成されるのが好ましい。冷却したサワーガス流がライン611で生成する。
【0090】
再び図7Aを参照すると、接触塔670は、硫黄成分を拾い上げることになる。これらは、「リッチ」な溶媒として塔670の底部から放出される。リッチ溶媒流672が塔670を出るのが見てとれる。リッチ溶媒流672は、いくらかの二酸化炭素も含み得る。
図7Aの配置において、リッチ溶媒流672は、パワー回収タービン674を介して運ばれる。これにより、物理溶媒系705Aのための電気的エネルギーの生成が可能となる。ここから、リッチ溶媒流672は、一連のフラッシュ分離器680を介して運ばれる。図7Aの例示的配置において、3つの分離器が、682、684および686において示されている。分離器682、684、686は、物理溶媒プロセスに従い、より低い温度および圧力で連続的に作動する。
【0091】
第1の分離器682は、例えば、500psiの圧力および90°Fの温度で作動してもよい。第1の分離器682は、リッチ溶媒流672中に取り込まれた軽質ガスを放出する。681に示されているこれら軽質ガスは、主にメタンおよび二酸化炭素を含むが、微量のH2Sを有する可能性がある。この軽質ガス681は、極低温蒸留塔100に誘導されてもよい(図7Aには示されていない)。これらのガスは、軽質ガス流678と合わせることができる。軽質ガス681は、コンプレッサー690を介して移動することによって、流れ611として極低温蒸留塔100に行く途中で圧力を押し上げることが好ましい。蒸留塔100が溶媒プロセス705Aの第1のフラッシュ段階、すなわち第1の分離器682よりも低い圧力で作動している場合、圧縮は必要でないこともある。この場合、流れ681および678を合わせることができるよう、圧力低下がオーバーヘッド流678に対して必要となる。この圧力低下は、極低温蒸留塔100付近でJ−Tバルブにより誘発されてもよい。もちろん、流れ681は、J−Tバルブの下流に導入されなければならない。
【0092】
理想的には、浄化されたガス流664からのすべての硫化水素およびいずれの重質炭化水素も、リッチな溶媒流672で捕獲される。次第にリッチになる溶媒流は、各分離器682、684、686から放出される。これら次第にリッチになる流れは、ライン683、685および687と表示されている。したがって、物理溶媒は、一般的に圧力減少により再生され、あらゆる溶解されたメタンおよび二酸化炭素を溶媒からフラッシュさせる。
ライン687は、いくらかのCO2は取り出されているが、溶媒流687は十分に再生されていないので、「セミリーン」溶媒流である。溶媒流687の一部分は、ブースターポンプ692を介して運ばれ、接触塔の中間レベルにおいてセミリーン溶媒として接触塔670に再導入される。693に示された、残りの部分は、再生容器652に誘導される。
【0093】
3つの分離器のうちの第2の684および第3の686と関連して、これら分離器684、686のそれぞれもまた、非常に少量の軽質ガスを放出することに注意されたい。これら軽質ガスは、少量のメタンと共に二酸化炭素を主に含むことになる。これらの軽質ガスは、689で2つの別々のラインで示されている。軽質ガス689は、圧縮され、ライン611と合わせられ、次いで極低温蒸留塔100に誘導されてもよい。代わりに、ライン689からの軽質ガスは、図6において642で示されている液化された底部酸性ガス流に直接送達されてもよい。
【0094】
上流でのH2S除去に対して物理溶媒を用いることの1つの利点は、溶媒は一般的に吸湿性であることである。これによって、特に初期流体流10がすでに実質的に乾燥している場合、ガス脱水容器620の必要性を排除することができる。この目的を達成するために、選択された溶媒それ自体は、非水性であることが好ましい。この方法により、溶媒は、生の天然ガスをさらに脱水するために使用することができる。この場合、水は、再生器652からの気体流655の中に含まれて外に出ることができる。
【0095】
このプロセスの欠点は、いくらかの軽質炭化水素およびCO2がある程度物理溶媒内で共吸着されることである。複数の分離器682、684、686の使用は、リッチ溶媒流672から、通常すべてのメタンではないとしても、大部分のメタンを除去する。
【0096】
再び再生容器652を参照すると、この容器652は、ストリッパーとして作用する。硫化水素成分は、これらが、濃縮H2S流として気体流655を介して再生容器652を出るように追い立てられる。気体流655中の濃縮H2Sは、物理溶媒系705Aを出るように示されている。これは、図6のライン655でも示されている。
気体流655中の濃縮H2Sは、酸性ガス注入(AGI)施設に送られるのが好ましい。第2の物理溶媒プロセスを、前もって使用することによって、あらゆるCO2および水蒸気を除去してもよい。分離器は658において示されている。この分離器658は、ガスをオーバーヘッドへ移動させながら、凝縮した水および溶媒を回収する還流容器である。凝縮した水および溶媒は、底部ライン659を介して再生容器652へ戻すこともできる。同時に、オーバーヘッドガスを、ライン691を介して、酸性ガス注入(図6のブロック649に概略的に示されており、以下で考察する)に送ることもできる。
気体流655はまた二酸化炭素を含む。二酸化炭素およびいずれの水蒸気も、オーバーヘッドライン691を介してH2Sと共に分離器658を出ることになる。H2Sは、好ましくは下流のAGI施設649に送られるか、または硫黄回収ユニット(SRU)に(示されていない)送られてもよい。
【0097】
図7Aに表されている再生容器652は、ストリッピングガスを利用して、溶媒から硫黄成分を分離することができる。この再生容器652は、任意の数のストリッピングガスを供給することができる。一例は、高いCO2含有量を有する燃料ガス流である。高いCO2含有量の燃料ガスは、CO2で溶媒を「事前に飽和させる」のを助け、これによって、浄化されたガス流664からのCO2収集を減少させることができるので、ストリッピングガス651に対して好ましい。ストリッピングガスは、ライン651’を介して再生容器652へと流れ込むことが見てとれる。このストリッピングガス651’は、例えば一番低い圧力のフラッシュ段階、すなわち分離器686からの軽質ガス流689の一部分であってよい。これによって、いくらかの炭化水素の潜在的な回収が可能となる。
【0098】
再生された溶媒は、再生容器652の底部から誘導される。再生された溶媒は、653として出る。再生された溶媒653は、ブースターポンプ654を介して運ばれる。第2のブースターポンプ694を利用することによって、再生溶媒653を運搬するラインの圧力をさらに強化されてもよい。その後、再生された溶媒653は、場合により冷蔵ユニットを有する熱交換器695を介して冷却されるのが好ましい。次いで冷やされたおよび再生された溶媒696は、リサイクルして接触器670に戻される。
【0099】
一部分の再生された溶媒は、再生容器652の底部から取り出され、リボイラー697に送られる。リボイラーは、溶媒を温める。温められた溶媒は、ライン651”を介して、一部気化した流れとして、再生容器697に戻される。
図7Aは、物理溶媒系705Aの一実施形態を明示している。しかし、記述されているように、溶媒系605は、代わりに化学溶媒系であってもよい。化学溶媒系であれば、化学溶媒、特にH2S選択性アミンを使用することになる。このような選択性アミンの例として、メチルジエタノールアミン(MDEA)およびFlexsorb(登録商標)ファミリーのアミンが挙げられる。Flexsorb(登録商標)は、サワーガス混合物からの硫黄ガス除去に使用される化学吸着剤に対する商標名である。Flexsorb(登録商標)吸着剤または他のアミンは、炭化水素ガス流624または極低温蒸留塔の上流の浄化したガス流664と接触させる。
アミンベースの溶媒は、炭化水素ガス流中の酸性ガス成分との化学反応に依存する。この反応プロセスは、時々「ガススウィートニング」と呼ばれる。このような化学反応は、特におよそ300psia(2.07MPa)より下の供給ガス圧力において、物理ベースの溶媒よりも一般的により効果的である。
Flexsorb(登録商標)アミンは、CO2含有ガス流から選択的にH2Sを除去するための好ましい化学溶媒である。Flexsorb(登録商標)アミンは、CO2吸収と比較して比較的に速い速度のH2S吸収をうまく利用している。高速の吸収速度は、カルバメートの形成を防止する助けとなる。アミンベースのプロセスから生成した硫化水素は、一般的に低圧である。産出したH2Sには、硫黄回収、または有意な圧縮を必要とする地中への処分のいずれかを施すことになる。
【0100】
選択性アミンを用いた硫化水素の除去は、化学溶媒で脱水し、冷やされた流体流624と接触させることによって遂行することができる。これは、ガス流624を「吸収体」へと注入することによって行うことができる。吸収体とは、ガス流624からのガスをFlexsorb(商標)または他の液体アミンと接触させることを可能とする容器である。この2つの流体物質は相互作用するので、アミンは、サワーガスからのH2Sを吸収することによって、スウィートニングされたガス流を生成する。スウィートニングされたガス流は、主にメタンおよび二酸化炭素を含有する。この「スウィート」ガスは、吸収体の最上部から流れる。
【0101】
一態様において、吸収体は大きな、逆流接触塔である。この配置において、生ガス流624は、接触塔の底部へ注入され、化学溶媒、または「リーン溶媒流」は、接触塔の最上部に注入される。逆流接触塔の内側で一度入ると、ガス流624からのガスは、吸収体を介して上方に移動する。通常、1つまたは複数のトレイまたは他の内部構造物(示されていない)が吸収体内に提供されることによって、天然ガスに対して複数の流路を作り出し、ガス相と液相の間に界面領域を作り出す。同時に、リーン溶媒流からの液体は、吸収体内の一連のトレイを下向きに、および横切って移動する。トレイは、天然ガスと溶媒流との相互作用を支援する。このプロセスは、「Removal of Acid Gases From a Gas Stream」という表題の特許出願の図1と関連して明示されている。この出願は、2008年10月14日に仮出願され、米国特許第61/105,343号が割り当てられた。図1および明細書の対応する部分は、本明細書に参照により組み込まれている。
【0102】
「リッチ」なアミン溶液は、逆流接触塔の底部から落ちる。これは、吸収されたH2Sと共に液体アミンを含む。リッチなアミン溶液は、物理溶媒系705Aと関連して上記図7Aに記載されている再生構成要素にかなり似ているように見え得る再生プロセスを介して取り出されるが、ただし、これは通常、100〜200psigで作動している単一のフラッシュ容器しか有していない。
【0103】
H2Sのスクラビング用吸収体として使用される逆流接触器塔は、非常に大きく重い傾向にある。これにより、沖合の油およびガス生産用途において特定の問題が生じる。したがって、油およびガスの回収から起こる炭化水素ガス流からのH2S除去のための代替実施形態が本明細書中に提案されている。これは、より小さな、並流の接触装置の使用を含む。これらの装置は、接触時間を減少させ、したがってCO2が吸収される確率を減少させることによって、アミンの選択性を向上させることができる。これらのより小さな吸収装置はまた、プロセス605の全体の設置面積のサイズを削減できる。
【0104】
図7Bは、図6の溶媒プロセス605に対して使用し得る化学溶媒系705Bの例示的実施形態を説明している。化学溶媒系705Bは、一連の並行して流れる接触装置CD1、CD2、..、CD(n−1)、CDnを採用している。これらの装置を使用して選択性のアミンをガス流と接触させる。
並流の概念は、直列の2つ以上接触器を利用し、ここでサワーガス流および液体溶媒は、接触器内を一緒に移動する。一実施形態において、サワーガス流および液体溶媒は、一般的にそれぞれの接触器の縦方向の軸に沿って一緒に移動する。並流の接触器は、ずっと高い流体速度で作動することができる。その結果、並流接触器は、充填された塔またはトレイ付の塔を利用する逆流接触器よりも小型の傾向にある。
図7Aと同様に、脱水されたガス流624が、注入分離器660に入るのが見てとれることができる。注入分離器660は、例えば油ベースの掘削流体および泥などの液体不純物を濾過除去する働きをする。ブラインは、図6に示されている上流脱水容器620を用いてふるい落とされるのが好ましい。いくらかの粒子の濾過はまた注入分離器660内で行うことができる。ガス流624をきれいに保つことによって酸性ガス除去プロセスの間液体溶媒の泡立ちを防止することが望ましいことを理解されたい。
【0105】
凝縮した炭化水素および掘削流体などの液体は、注入分離器660の底部から落ちる。液体不純物流は、662において見てとれる。水によって運ばれた不純物は通常水処置施設(示されていない)に送られるか、または構造630に再注入されてもよく、ライン622は、貯留層圧力を維持するためまたは処分用である。炭化水素液体は、通常凝縮処理器につながっている。ガスは、注入分離器660の最上部から出る。浄化されたサワーガス流は664において見てとれる。
浄化されたサワーガスは、一連の吸収体に誘導される。ここにおいて、吸収体は、並流の接触装置CD1、CD2、..、CD(n−1)、CDnである。各接触器CD1、CD2、..、CD(n−1)、CDnは、ガス流664から一部分のH2S分を除去し、これによって、次第にスウィートニングされるガス流を放出する。最終の接触器CDnは、メタンおよび二酸化炭素を実質的に含む最終のスウィートニングされたガス流730(n)を提供する。ガス流730(n)は、図6のライン678となる。
【0106】
作動中、ガス流664は、第1の並流吸収体、または接触装置、CD1に入る。ここで、ガスは、液体溶媒720と混合される。溶媒720は、好ましくは、アミン溶液、例えばメチルジエタノールアミン(MDEA)、またはFlexsorb(登録商標)アミンなどからなる。液体溶媒はまた、ヒンダードアミン、第三級アミン、またはこれらの組合せを含み得る。Flexsorb(登録商標)は、ヒンダードアミンの一例であり、MDEAは、第三級アミンの一例である。さらに、溶媒流720は、一部再生されるか、または再生器750により生成される「セミリーン」溶媒である。「セミリーン」溶媒720の第1の接触器CD1への移動は、ポンプ724によって支援される。ポンプ724は、セミリーン溶媒720を適切な圧力下で第1の接触器CD1に移動させる。適切な圧力の例とは、およそ15psia〜1,500psigである。
【0107】
第1の接触器CD1の内側に一度入ると、ガス流664および化学溶媒流720は、第1の接触器CD1の縦方向の軸に沿って移動する。これらが移動するにつれて、液体アミン(または他の溶媒)は、ガス流664中のH2Sと相互作用し、H2Sをアミン分子に化学結合させるか、またはH2Sをアミン分子によって吸収させる。第1の「リッチ」溶媒溶液740(1)は第1の接触器CD1の底部から落ちる。同時に、第1の部分的にスウィートニングされたガス流730(1)は、第1の接触器CD1を出て、第2の接触器CD2に放出される。
【0108】
第2の接触器CD2はまた並流の分離装置を表す。第3の並流の分離装置CD3が第2の接触器CD2の後に提供されてもよい。第2および第3の接触器CD2、CD3のそれぞれは、それぞれの部分的にスウィートニングされたガス流730(2)、730(3)を生成する。さらに、第2および第3の接触器CD2、CD3のそれぞれは、それぞれの部分充填されたガス処理溶液740(2)、740(3)を生成する。アミンが溶媒として使用される場合、この部分充填されたガス処理溶液740(2)、740(3)はリッチなアミン溶液を含むことになる。例示的システム705Bにおいて、第2の充填されたガス処理溶液740(2)は、第1の充填されたガス処理溶液740(1)と合流し、再生器750を通過することを含めて、再生プロセスを通過する。
【0109】
ガス664が、次第にスウィートニングされるガス流730(1)、730(2)、...730(n−1)を介して下流の方向に移動するにつれて、システム内の圧力は、一般的に低下することに注意されたい。この圧力低下が起こると、次第にリッチとなる、上流方向に向かうアミン(または他の液体溶媒)流740(n)、740(n−1)、...740(2)、740(1)の圧力は、ガス圧力に一致させるため一般的に増加しなければならない。したがって、システム705Bにおいて、1つまたは複数の小さいブースターポンプ(示されていない)が接触器CD1、CD2、...のそれぞれの間に配置されていることが好ましい。これは、システム内の液体圧力を押し上げる役目を果たす。
【0110】
システム705Bにおいて、流れ740(1)、740(2)は、最初にフラッシュドラム742を介して移動する「リッチ」溶媒溶液を含む。フラッシュドラム742は、およそ100〜150psigの圧力で作動する。このフラッシュドラム742は通常、その中の溶媒流740に対して沈殿効果または蛇行性の流路を作り出す内部構造部分を有する。残留するガス、例えばメタンおよびCO2などは、溶媒流740からライン744を介してフラッシュされる。ライン744において捕獲された残留ガスは、例えばライン720からの少量の新鮮なアミンと接触させた場合、およそ100ppmの酸性ガス含有量まで減少し得る。この濃度は、この残留ガスをシステム705B用の燃料ガスとして使用することができる程十分に低い。
【0111】
残留する天然ガスは、溶媒流740からライン744を介してフラッシュすることができる。生成したリッチ溶媒流746は、再生器750へと誘導される。
再生器750に移動する前に、リッチ溶媒流746は、熱交換器(示されていない)を介して移動するのが好ましい。比較的冷たい(周辺温度に近い)溶媒流746は、再生器750の底部を出る温かなリーン溶媒流760との熱接触を介して加熱することができる。さらにこれは、リーン溶媒流760がリーン溶媒冷却器764、次いで最終接触器CDnへと送達される前に、リーン溶媒流760を有利に冷却する働きをする。
【0112】
再生器750は、リボイラー756の上のトレイまたは他の内部構造物(示されていない)を含むストリッパー部分752と定義される。熱を生成するために熱供給元が、リボイラー756に提供される。再生器750は、最終の接触器CDnにおける再利用のためリサイクルされる、再生されたまたは「リーン」溶媒流760を生成する。濃縮H2Sを含有する再生器750から取り除かれたオーバーヘッドガスは、不純物流770として再生器750を出る。
H2Sリッチな不純物流770は、凝縮器772へと移動する。この凝縮器772は、不純物流770を冷却する働きをする。冷却した不純物流770は、不純物流770からあらゆる残留液体(主に凝縮した水)を分離する還流蓄積器774を介して移動する。次いで主にH2Sを含む酸性ガス流776が作り出される。酸性ガス流776は、図6のライン655と同じである。
【0113】
一部の液体は、還流蓄積器774から落ちてもよい。これは、残留液体流775を生じる。この残留液体流775は、好ましくは圧力を押し上げるためにポンプ778を介して運ばれ、次いでそこで、再生器750へと再導入される。残留する液体のいくらかは、リーン溶媒流760の一部として再生器750の底部を出ることになる。いくらかの水含有量が、リーン溶媒流760に付加されることで、スウィートニングされたガス流730(n−1)、730(n)への水蒸気の損失を埋めてもよい。この水は、還流ポンプ778の吸い込みまたは吸引の際に付加することができる。
このリーンまたは再生された溶媒760は低圧である。したがって、再生された溶媒760を表すこの液体流は、圧力押し上げポンプ762を介して運ばれる。ポンプ762は、リーン溶媒ブースター762と呼ばれる。そこから、このリーン溶媒760が冷却器764を通過する。冷却器764を介して溶媒を冷却することによって、リーン溶媒760が酸性ガスを効果的に吸収することを確実にする。冷やされたリーン溶媒760は、最後の分離接触器CDnのために溶媒流として使用される。
【0114】
溶媒タンク722は、接触装置CD1、CD2、..、CD(n−1)、CDnの近位に提供されてもよい。リーン溶媒760は、溶媒タンク722を通過することができる。溶媒タンク722は、ガス施設705Bのために必要となり得るので、オフラインで、溶媒用貯留層を提供することがより好ましい。
再び複数の並流の接触装置CD1、CD2、...CD(n−1)、CDnを参照すると、各接触装置は、炭化水素ガスおよび硫化水素を含むガス流を受け取る。各接触装置CD1、CD2、...CD(n−1)、CDnは、順次H2Sを除去し、次第にスウィートニングされるガス流を生成するために作動する。並流の接触装置CD1、CD2、...CD(n−1)、CDnは、様々な短い接触時間の混合装置のいずれかであってよい。例として、静的混合機および遠心撹拌機が挙げられる。いくつかの混合装置は、排出装置を介して液体をバラバラに分裂させる。排出装置は、ベンチュリ管に似た管を介してガスを送達し、次にこの管が液体溶媒を管に引き込む。ベンチュリ効果のため、液体溶媒は引きずり込まれ、壊れて小さい液滴となり、ガスとの接触表面積を大きくする。
【0115】
1つの好ましい接触装置は、ProsCon(商標)接触器である。この接触器は、排出装置、それに続く遠心性コアレッサーを利用する。この遠心性コアレッサーは、小さい容積の液体溶媒を再統合するための大きな遠心力を引き起こす。どのような実施形態であっても、小型の容器技術を採用するのが好ましく、これによって、大きな接触器塔と比べてハードウエアの縮小が可能になる。
第1の接触器CD1は、生ガス流664を受け取る。このガス流664は、硫化水素の除去のために第1の接触器CD1内で処理される。次いで第1の部分的にスウィートニングされたガス流730(1)が放出される。第1の部分的に−スウィートニングされたガス流730(1)は第2の接触器CD2に送達される。第2の、より完全にスウィートニングされたガス流730(2)が放出されるよう、第1のスウィートニングされたガス流730(1)はそこで硫化水素の除去のためにさらに処理される。第3の接触器CD3がより完全にスウィートニングされたガス流730(3)を生成するように、このパターンが継続される。第4の接触器CD4は、さらにもっとスウィートニングされたガス流730(4)を生成し、最後から1つ前の接触器は、さらにもっとスウィートニングされたガス流CD(n−1)を生成する。これらの各流れは、「続発性の」スウィートニングされたガス流と呼ぶことができる。
【0116】
最終のスウィートニングされたガス流730(n)は、最終の接触器CDnにより放出される。最終接触器CDnの前の接触装置の数(少なくとも2つ)は、主に所望の標準を満たすためのH2S除去の必要レベルによって決定される。図7のシステム705Bにおいて、最終のスウィートニングされたガス流730(n)は、依然として二酸化炭素を含有する。したがってスウィートニングされたガス流730(n)は、図6のCFZ塔100を介して取り出されなければならない。スウィートニングされたガス流730(n)は、図6のライン678と同じである。
【0117】
一態様において、混合装置と対応する凝集装置の組合せが各接触器において採用されている。したがって、例えば、第1のCD1および第2のCD2接触器は、これらの混合装置として静的混合機を利用することができ、第3のCD3および他のCD4接触器は、排出装置を利用することができ、CDn−1およびCDn接触器は、遠心撹拌機を利用することができる。各接触器には、凝集装置が付随している。いずれの実施形態においても、ガス流664、730(1)、730(2)、...730(n−1)および並流で流れる液体溶媒流は、接触器CD1、CD2、...CDnを介して同じ方向に流れる。これによって、短い期間、おそらくさらに100ミリ秒以下まで短い期間で処理反応が行われることが可能となる。特定のアミンは、CO2よりもより急速にH2Sと反応することから、これは、選択性のH2S除去(CO2に対して)にとって有利である。
【0118】
ガス流を受け取ることに加えて、各並流の接触器CD1、CD2、...CD(n−1)、CDnはまた、液体溶媒流を受け取る。システム705Bにおいて、第1の接触器CD1は、部分的に再生された溶媒流720を受け取る。その後、それに続く接触器CD2、CD3、CD(n−1)、CDnは、次のそれぞれの接触器から放出された充填された溶媒溶液を受け取る。したがって第2の接触器CD2は、第3の接触器CD3から放出された部分充填された溶媒溶液740(3)を受け取り、第3の接触器CD3は、第4の接触器CD4から放出された部分充填された溶媒溶液740(4)を受け取り、最後から1つ前の接触器CD(n−1)は、最終の接触器CDnからの部分充填された溶媒溶液740(n)を受け取る。別の言い方をすれば、第2の接触器CD2に送られた液体溶媒は、第3の接触器CD3から放出された部分充填された溶媒溶液740(3)を含み、第3の接触器CD3に送られた液体溶媒は、第4の接触器CD4から放出された部分充填された溶媒溶液740(4)を含み、最後から1つ前の接触器CD(n−1)に送られた液体溶媒は、最終の接触器CDnからの部分充填された溶媒溶液740(n)を含む。したがって、部分充填された溶媒溶液は、次第にスウィートニングされたガス流730(1)、730(2)、730(3)、...730(n−1)とは反対の処理方向に、接触器CD1、CD2、CD3、...CDnへと導入される。
最後の分離接触器CDnはまた液体溶媒を受け取る。この液体溶媒は、再生された溶媒流760である。再生された溶媒流760は極めてリーンである。
【0119】
図7Bの化学溶媒系705Bは、説明に役立つことを意図している。複数の並流の接触装置を吸収体として採用するこのようなシステムに対して他の配置を使用することができる。このような追加のシステムの例は、上で参照された米国特許出願第61/105,343号におけるCO2除去の文脈中に記載されている。明細書の図2Bおよび対応する部分も本明細書に参照により組み込まれている。
【0120】
図7Bのシステム705Bにおいて、溶媒溶液740(1)および740(2)の両方に再生を施す。部分的に再生された溶媒780は、再生容器750から出てくる。この溶媒780は、ブースターポンプ782を介して加圧下に置かれる。そこから、溶媒780は、熱交換器784内での冷却によって、溶媒流720になる。溶媒780は、溶媒流720として第1の並流の接触器CD1に導入される前に、ブースターポンプ724を介してさらに加圧される。
【0121】
再び図6を参照すると、軽質ガス流678(これは図7Aのライン678および図7Bのライン730(n)でもある)は、溶媒系605を出て、脱水器を通過し、チラー626を通過する。チラー626は、軽質ガス流678をおよそ−30°Fから−40°Fまで低い温度に冷やす。チラー626は、例えばエチレンまたはプロパンの冷蔵庫であってよい。
軽質ガス流678は、次に膨張装置628を介して移動するのが好ましい。この膨張装置628は、例えば、Joule−Thompson(「J−T」)バルブであってよい。膨張装置628は、軽質ガス流678のさらなる冷却を達成するために膨張器としての機能を果たす。膨張装置628は、軽質ガス流678の温度を例えば、およそ−70°Fから−80°Fまでさらに減少させる。ガス流678の少なくとも部分的な液化も達成されるのが好ましい。冷却したサワーガス流は、ライン611において示されている。
【0122】
ライン611の冷やされたサワーガスは、極低温蒸留塔100に入る。この極低温蒸留塔100は、CO2粒子を意図的に凍結するプロセスを介して酸性ガスからメタンを蒸留するために作動するいかなる塔であってよい。極低温蒸留塔は、例えば、図1のCFZ(商標)塔100であってよい。ライン611の冷やされたサワーガスは、塔100におよそ500〜600psigで入る。
図1に関連して説明されているように、酸性ガスは、液化された酸性ガス底部流642として蒸留塔100から取り出される。この例では、この酸性ガス底部流642は、主に二酸化炭素を含む。酸性ガス底部流642は、非常にわずかな硫化水素または他の硫黄成分、例えば硫黄成分除去システム(溶媒系605)によって捕獲されたものなどを含有し、さらなる処理のため濃縮H2S流655として送達される。H2Sは、硫黄回収ユニット(示されていない)を用いて元素硫黄へと変換することができる。この硫黄回収ユニットは、いわゆるClausプロセスであってよい。これによって、より効果的な、多量の硫黄の硫黄回収が可能となる。
【0123】
少なくともの一部の底部流642は、リボイラー643を介して送られる。そこから、メタンを含有する流体は、ガス流644として塔100へ戻るように再び誘導される。主に二酸化炭素から構成される残留流体は、CO2ライン646を介して放出される。ライン646中のCO2は、液体形態である。ライン646の二酸化炭素は、圧力ブースター648を通過し、次いでブロック649で示されている通り、1つまたは複数の酸性ガス注入(AGI)坑井を介して地下構造に注入されるのが好ましい。
【0124】
メタンは、オーバーヘッドメタン流112として蒸留塔100から放出される。このオーバーヘッドメタン流112は、およそ2モルパーセント以下の二酸化炭素を含むのが好ましい。このパーセンテージにおいて、オーバーヘッドメタン流112は、燃料ガスとして使用することができるか、または天然ガスとして特定の市場に販売することができる。しかし、本明細書中の特定の方法に従い、オーバーヘッドメタン流112に、さらなる処理を施すことが望ましい。より具体的には,オーバーヘッドメタン流112は、開ループ冷蔵システムを通過する。
【0125】
最初に、オーバーヘッドメタン流112は、クロス交換器113を通過する。このクロス交換器113は、膨張器装置19を介して増大させた後、極低温蒸留塔100に再導入される液体還流流18を事前に冷却する働きをする。次にオーバーヘッドメタン流112は、その圧力を上げるため、コンプレッサー114を介して送られる。
次に、加圧したメタン流112を冷却する。これは、例えば空中冷却器115にメタン流112を通すことによって行うことができる。冷たい、および加圧したメタン流116が生成される。メタン流116は、商品を作製するために液化されることが好ましい。
【0126】
冷却器115を離れる冷却および加圧されたメタン流116の一部は、還流流18に分割される。この還流流18は、熱交換器113内でさらに冷却され、次いで膨張器装置19を介して拡張されることによって、最終的に図1の低温スプレー流21を生成する。この低温スプレー流21は、蒸留塔100に入り、そこで、低温液体スプレーとして使用される。この液体スプレー、または還流は、制御された凍結域(図1の108で示される)の温度を減少させ、上述の脱水されたガス流624からのCO2および他の酸性ガス粒子を凍結させる手助けをする。
図6は、ガス処理システム600の選択された態様のみを明らかにすることを意図した単純化された概略図を表していることを理解されたい。ガス処理システムは通常、多くの追加の構成要素、例えば圧力測定装置、温度測定装置、レベル測定装置、および流量測定装置と共に、ヒーター、チラー、凝縮器、液体ポンプ、ガスコンプレッサー、送風器、他の種類の分離機器および/または分別機器、バルブ、スイッチ、コントローラーなどを含むことになる。
【0127】
生ガス流から硫黄成分を除去するための追加の方法が本明細書中で提供される。このような1つの方法は、「レドックス」プロセスという大見出しの分類に入る。「レドックス」という用語は、還元酸化反応を表す。還元酸化とは、原子がその酸化数または酸化状態を変更させる化学反応のことを述べている。本発明のレドックスプロセスにおいて、酸化された金属例えばキレートされた鉄などが直接H2Sと反応することによって、元素硫黄を形成する。
酸化された金属は、水性のキレート金属触媒溶液である。作動中、硫化水素を含有するガス流は、キレート金属触媒と接触することによって、吸収が生じる。それに続いて、硫化水素が元素硫黄へと酸化し、同時により低い酸化状態への金属の還元が行われる。次いで触媒溶液は、これを酸素含有ガスと接触させることによって、金属を酸化させてより高い酸化状態に戻すことによって、再利用のために再生される。
【0128】
図8は、生ガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設800を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、レドックスプロセスを用いて、酸性ガス除去システム650の上流で生ガス流から取り出される。このレドックスプロセスは、水性ベースであり、これはH2Sの除去ステップが開始される前に生ガス流の脱水を行う必要がないことを意味する。
【0129】
図8は、生産ガス流812を受け取るガス処理施設800を示している。この生産ガス流812は、貯留層発生領域、または「フィールド」810において行われる炭化水素生産活動から始まる。このフィールド810は、ガス状炭化水素が生成されるいかなる場所も表すことができることを理解されたい。炭化水素は、メタンならびに硫化水素を含むことになる。炭化水素はまた、エタンならびに二酸化炭素も含み得る。
ガス処理施設800において、ガス流812は、硫黄成分除去システム850に流れ込む。この硫黄成分除去システム850は、レドックスプロセスを使用している。この硫黄成分除去システム850は最初に接触器820を含む。この接触器820は、フィールド810からの生の炭化水素ガスを受け取るチャンバー825と定義される。一度チャンバー825内に入ると、生ガス流812から硫化水素および他の硫黄成分を分離する化学反応が起きる。
【0130】
化学反応を起こすため、チャンバー820はまたキレートされた酸化金属を受け取る。このような酸化金属の例は、キレート鉄である。このキレート鉄は、金属キラント溶液の形態である。この金属キラント溶液は、ライン842を介してチャンバー825へと送達される。
一度チャンバー825内に入ると、キレート金属溶液は、生ガス流812内の硫化水素と反応する。還元酸化反応が起きる。その結果、キレートされた還元金属混合物は、元素硫黄と共に底部ライン822を介して放出される。同時に、ガスは、オーバーヘッドライン824を介して逃げる。塩基性反応物はS-- + 2Fe+++→S0 + 2Fe++である。
【0131】
ライン824のガスは、主にメタンおよび二酸化炭素を含む。微量のエタン、窒素、または他の構成要素もまたライン824に存在し得る。ライン824のガスが一緒になって、サワーガスを意味する。
例示的な硫黄成分除去システム850はまた酸化器830も含む。この酸化器830は、還元された金属混合物を酸化させるためのチャンバー835と定義される。酸化器830は、ライン822を介して還元された金属混合物を受け取る。ライン822の金属混合物の圧力は、バルブ828によって制御されている。
【0132】
酸化器830はまた空気も受け取る。空気は、ライン834を介して酸化器830に導入される。空気送風器838により酸化器830内のチャンバー835を介して空気を循環させるために、ライン834の圧力を増加させる。一度チャンバー835内に入ると、空気は、キレート金属混合物と接触して、還元された金属混合物を酸化させる。空気は、放出ライン836を介して酸化器830から放出される。
酸化により、酸化された、キレート金属混合物が生成される。このキレート混合物はまた、コロイドの形態の硫黄を含有する。硫黄を含むキレート混合物は、ライン832を介して酸化器830から落ちる。
例示的硫黄成分除去システム850はまた分離器840を含む。図8の分離器840は、遠心機として示されている。しかし、他の種類の分離器を採用することもできる。遠心機840は、硫黄を含む水性のキラント混合物を2つの成分に分離する。1つの成分は、元素硫黄である。この元素硫黄は、純度の高い固体製品としてプロセスから持続的に取り出される。接触プロセスは、コロイド状硫黄で機器がふさがれることから、比較的低圧であることに(300psig以下)限定されることが好ましい。元素硫黄は、貯蔵されてもよく、またはより好ましくは、商品として販売される。
【0133】
元素硫黄は、ライン844で落ちる。硫黄は、硫黄取り扱いユニット(示されていない)に誘導されることが好ましい。これにより、元素硫黄を実質的に含まない水性の金属キラント溶液が残る。
除去システム850の水性の金属触媒溶液は、再生されたキレート鉄である。このキレート鉄は、ライン842により、接触器820に戻されるよう再び誘導される。ライン842において圧力を増加させ、キラント混合物を接触容器825まで運搬するようにポンプ844が提供されてもよい。この方法によって、キレート鉄(または他の酸化された金属)は、回収され、再利用され得る。
【0134】
再びガスライン824を参照すると、ガスライン824のサワーガスが、脱水容器860に運ばれる。レドックスプロセスは生ガス流812からH2Sを分離するために水性ベースの物質を使用することから、それに続くライン824のガスの脱水が、極低温の酸性ガスの除去前に必要である。サワーガスをガスライン824から脱水容器860を介して回した結果、水性流862が生成する。水性流862は、水処理施設に送られてもよい。代替法として、水性流862を地下構造、例えば図6の地下構造630などに再注入することもできる。さらには、代替法として、除去した水性流862を処理することによって、環境基準を満たし、次いで処理済みの水として地域の流域(示されていない)に放出することもできる。
同様に、ライン824から脱水容器860を介してサワーガスを回した結果、実質的に脱水されたガス流864が生成される。この脱水されたガス流864はメタンを含み、微量の窒素、ヘリウムおよび他の不活性ガスも含有し得る。本発明のシステムおよび方法に関連して、脱水されたガス流864は二酸化炭素も含む。
【0135】
脱水されたガス流864は、脱水容器860を出て、チラー626を通過する。このチラー626は、脱水されたガス流864をおよそ−30°Fから−40°Fまで低い温度に冷やす。チラー626は、例えば、エチレンまたはプロパンの冷蔵庫であってよい。こうして冷やされた軽質ガス流678が生成される。
軽質ガス流678は次に膨張装置628を介して移動するのが好ましい。この膨張装置628は、例えば、Joule−Thompson(「J−T」)バルブであってよい。この膨張装置628は、軽質ガス流678のさらなる冷却を達成するために膨張器としての機能を果たす。この膨張装置628は、軽質ガス流678の温度を、例えばおよそ−70°Fから−80°Fまで低い温度にさらに減少させる。ガス流678の少なくとも部分的な液化も達成されるのが好ましい。冷却したサワーガス流は、ライン611で示されている。
【0136】
ライン611の冷却したサワーガスは、蒸留塔へと誘導される。この蒸留塔は、例えば図1および6のCFZ塔100であってよい。ライン611からのサワーガスは、次いで酸性ガス除去システムを介して処理される。この酸性ガス除去システムは、例えば、図6の酸性ガス除去システム650に従うことができる。
【0137】
生ガス流から硫黄成分を除去するための別の手段は、スカベンジャーベッドのスカベンジャーの使用を介するものである。スカベンジャーの使用は、ガス流からH2Sおよびメルカプタンを除去する手段としてガス処理業界において知られている。スカベンジャーは固体でもよいし、これらは液体形態でもよいし、またはこれらは触媒溶液でもよい。
スカベンジャーは、スルフヒドリル含有化合物および他の硫黄含有化合物を例えば金属硫化物などの無害な化合物へと変換する。この化合物は、安全におよび環境的に健全な方法で廃棄することができる。生ガス流内のH2S組成が低いために従来のアミン処理が経済的に実行可能でない場合には、スカベンジャー特有の有用性がある。1つの例が、H2S組成がおよそ300ppm未満の場合である。
【0138】
既知の液体ベースのスカベンジャーの一例は、トリアジンである。より具体的な例が、1,3,5トリ−(2−ヒドロキシエチル)−ヘキサヒドロ−S−トリアジンの水性配合物である。液体ベースのスカベンジャーの別の例は亜硝酸溶液である。
固体スカベンジャーの例は、酸化鉄(FeO、Fe2O3、またはFe3O4)および酸化亜鉛(ZnO)である。固体スカベンジャーは、一般的に再生不可能である。再生不可能なスカベンジャーベッドは一度使用されると、交換しなければならない。酸化鉄は、一般的に効力を発揮するためいくらかの水分を必要とするが、酸化亜鉛は必要としない。したがって、サワーガス流がすでに脱水されている場合、ZnOの使用は、CO2除去プロセスの上流で必ずしも追加の脱水を行う必要がないという点で有利である。しかし、水は、酸化プロセスから生成することができる。したがって、H2Sの初期レベルによっては、それに続く脱水が必要となり得る。
【0139】
硫化水素捕捉剤は、3つのうちの1つの方法を介して最も一般的に適用される。第1に、液体捕捉剤のバッチ適用をスパージされた塔接触器において使用することができる。第2に、固体捕捉剤のバッチ適用を固定床接触器において行うことができる。第3に、液体捕捉剤の容器への連続的直接注入を採用することができる。これが最も一般的な用途である。
従来の直接注入のH2S捕捉は、接触器としてパイプラインを使用する。この用途において、液体H2S捕捉剤、例えばトリアジンなどは、ガス流に注入される。H2Sは、捕捉溶液に吸収される。H2Sは、反応して副生成物を形成し、この副生成物は続いて生ガス流から取り出され、処分される。H2S捕捉の直接注入の代替法は、高圧下で、小さい開口を介して捕捉剤の液体ジェットを押し出すことを含む。通常、霧吹きノズルを使用して、液体捕捉剤が非常に小さい液滴へと霧化させる。直接注入法は、多くの用途に対して、バッチ適用と比較して資本コストが低いため、全体のコストが一番低い可能性がある。
【0140】
図9は、一実施形態において本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設900を示す概略図である。この配置において、スカベンジャーを用いて酸性ガス除去システム950の上流で生ガス流912から硫化水素を除去する。
図9は、生産ガス流912を受け取るガス処理施設900を示している。この生産ガス流912は、貯留層生産領域、または「フィールド」910において行われる炭化水素生産活動から始まる。このフィールド910は、ガス状炭化水素が生産されるいかなる場所も表すことができることを理解されたい。炭化水素は、メタンならびに硫化水素を含むことになる。炭化水素はまた、エタンならびに二酸化炭素も含み得る。
【0141】
ガス処理施設900において、生産ガス流912は、硫黄成分除去システム950に流れ込む。この硫黄成分除去システム950は、H2Sスカベンジャーを使用する。上に記載の捕捉方法のいずれかを採用してもよい。例示的硫黄成分除去システム950は、上述の第3の方法を使用し、すなわち、液体スカベンジャーを分離容器920へ連続して注入する。
生ガス流912から硫黄成分を除去するために、生ガス流912は、パイプライン922へと誘導される。同時に、液体スカベンジャー例えばトリアジンなどが、スカベンジャーライン944を介してパイプライン922に導入される。このトリアジンは、霧吹きノズル923を介して注入され、次いで静的混合機925内の生ガス流912と混合される。そこから、接触した生ガス流912は、分離容器920に入る。
【0142】
分離容器920は、チャンバー926と定義される。液体は、チャンバー926底部に沈降し、ガス状成分は、チャンバー926最上部に出る。この液体は、液体ライン927を介して出る。液体は、使用済みスカベンジャー物質を含む。ライン927からの液体の一部分は、流出する廃棄物として取り出される。廃棄ライン942は、流出する廃棄物を、保持タンク(示されていない)または他の廃棄物保持領域へと誘導する。廃棄物は、トラックまたは廃棄ラインで遠くに運び出されてもよい。ライン927からの液体の残りの部分は、スカベンジャーライン944に戻るように再び誘導されることによって、スカベンジャーが十分に使用されていない場合、生ガス流912と接触させることができる。
【0143】
硫黄成分除去システム950は、スカベンジャー容器930も含む。このスカベンジャー容器930は、液体捕捉剤を保持する。オペレーターは、必要ならば、スカベンジャー容器930からスカベンジャーライン944へと液体捕捉剤を回す。ポンプ946は、パイプライン922への液体捕捉剤の注入のため、圧力を増加させるために提供される。
【0144】
再び分離容器920を参照すると、この分離容器920は、ミスト分離器924を含み得る。このミスト分離器924は、ガス状成分を有する分離容器920の最上部から液体粒子が逃げるのを防止するのを助ける。この現象は、飛末同伴と呼ばれる。ミスト分離器924は、気体が分離容器920内で上方に移動するにつれて、気体のための蛇行性通路を作り出すメッシュまたは膜と類似している。ミスト分離器は公知である。ミスト分離器の一製造元は、Separation Products、Inc.、Alvin、Texasである。Separation Products、Incは、Amistco(商標)という商標名でミスト分離器を製造している。
【0145】
ガス状成分は、オーバーヘッドガスライン945を介して分離容器920を離れる。このガス状成分は、主にメタンおよび二酸化炭素に代表される。微量元素であるエタン、窒素、ヘリウムおよび芳香族も存在し得る。ライン945内のガスは、サワーガスと呼ばれ得る。ガスライン945内のサワーガスは、脱水容器960に運ばれる。
スカベンジャープロセスは、生ガス流912からH2Sを分離するために水性ベースの物質を使用するので、ライン945内のガスの脱水が極低温の二酸化炭素除去前に必要である。ガスライン945から脱水容器960を介してサワーガスを回した結果、水流962が生成される。この水流962は、水処理施設に送られてもよい。代替法として、水流962を、例えば地下構造図6の地下構造630などに再注入することもできる。さらに代替法として、除去した水流962を処理することによって、環境基準を満たし、次いで処理済みの水として地域の流域(示されていない)に放出することもできる。
【0146】
同様に、脱水容器960を介してライン945からサワーガスを回した結果、実質的に脱水されたガス流964が生成される。脱水されたガス流964は、チラー626を通過する。チラー626は、脱水されたガス流964をおよそ−30°Fから−40°Fまで低い温度に冷やす。チラー626は、例えば、エチレンまたはプロパンの冷蔵庫であってよい。こうして冷やされた軽質ガス流678が生成される。
次に膨張装置628を介して、この軽質ガス流678を移動するのが好ましい。膨張装置628は、例えば、Joule−Thompson(「J−T」)バルブであってよい。この膨張装置628は、軽質ガス流678のさらなる冷却を達成するために膨張器としての機能を果たす。この膨張装置628は、軽質ガス流678を、例えばおよそ−70°Fから−80°Fまで低い温度にさらに減少させる。ガス流678の少なくとも部分的な液化も達成されるのが好ましい。この冷却したサワーガス流はライン611で示されている。
【0147】
ライン611の冷却したサワーガスは、蒸留塔へと誘導される。この蒸留塔は、例えば図1および6のCFZ塔100であってよい。次いで冷却したガス流は、酸性ガス除去システムを介して処理される。酸性ガス除去システムは、例えば、図6の酸性ガス除去システム650に従うことができる。
スルフヒドリル(?SH)基を有する有機硫黄化合物の除去のために本明細書中で提案されたさらに別の手段は、CrystaSulfプロセスとして知られているプロセスを介する。このCrystaSulfプロセスは、CrystaTech、Inc.、Austin、Texasにより開発された。このCrystaSulfプロセスは、改質された液相Claus反応プロセスを使用することによって、生ガス流からH2Sを除去する。
【0148】
「Clausプロセス」とは、硫化水素含有ガス流から元素硫黄を回収するために天然ガスおよび石油精製業界で時々使用されるプロセスである。手短に言うと、元素硫黄を生成するClausプロセスは2つの主要なセクションを含む。第1のセクションは、H2Sの一部が燃焼してSO2になり、形成されたSO2が残留するH2Sと反応することによって、約1,800°から2,200°Fで元素硫黄を生成する熱セクションである。熱セクション内に触媒は存在しない。第2のセクションは、適切な触媒(例えばアルミナなど)上で400°から650°Fの間の温度で元素硫黄が生成される触媒のセクションである。元素硫黄を生成するためのこの反応は平衡反応である。それ故、H2Sの元素硫黄への全面的変換を増強させることを目指して分離が生じるClausプロセスにはいくつかの段階が存在する。各段階では、加熱、反応、冷却および分離が関与する。
【0149】
「CrystaSulf」という用語は、プロセスばかりでなく、プロセス中に使用される溶媒も指す。CrystaSulf(登録商標)は、硫化水素および二酸化硫黄を溶解して、これらが直接元素硫黄に反応できるようにする非水系の、物理溶剤である。このCrystaSulf(登録商標)溶媒は、時々、液またはスクラビング液と呼ばれている。CrystaSulfプロセスにおいて、硫化水素は非水系のスクラビング液を用いてガス流から取り出される。スクラビング液は、例えばフェニルキシリルエタンなど、元素硫黄のための有機溶剤であってよい。一般的に非水系溶媒は、アルキル置換ナフタレン、フェニルキシリルエタンを含めたジアリールアルカン、例えばフェニル−o−キシリルエタン、フェニルトリルエタン、フェニルナフチルエタン、フェニルアリールアルカン、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、部分的に水素化したテルフェニル、部分的に水素化したジフェニルエタン、部分的に水素化したナフタレンおよびこれらの混合物などからなる群から選択することができる。
通常、CrystaSulf(登録商標)溶媒は、酸化剤としてSO2を採用している。これによって、Claus反応(2H2S+SO2→3S+2H2O)が溶媒相内で生じる。別の言い方をすれば、二酸化硫黄を溶媒溶液に付加することによって、より良いH2S除去を達成する。
【0150】
CrystaSulfプロセスは、米国特許第6,416,729号に記載されている。この’729号特許は、「Process for Removing Hydrogen Sulfide from Gas Streams Which Include or are Supplemented with Sulfur Dioxide」という表題が付いている。この’729号特許は、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。CrystaSulfプロセスのための追加の実施形態が、「Process for Removing Hydrogen Sulfide From Gas Streams Which Include or Are Supplemented with Sulfur Dioxide, by Scrubbing with a Nonaqueous Sorbent」という表題が付いている米国特許第6,818,194号において開示されている。この’194号特許も本明細書に参照により組み込まれている。
【0151】
図10は、別の実施形態における、ガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設1000を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、CrystaSulfプロセスを用いて、酸性ガス除去システム650の上流で生ガス流1012から取り出される。CrystaSulfプロセスは、硫化水素を除去するための硫黄成分除去システム1050の一部である。
図10は、生産ガス流1012を受け取るガス処理施設1000を示している。この生産ガス流1012は、貯留層生産領域、または「フィールド」1010で行われる炭化水素生産活動から始まる。このフィールド1010は、上述したフィールド810および910と同じ意味である。炭化水素は、フィールド1010から生産される。炭化水素は、硫化水素と共にメタンを含むことになる。炭化水素はエタンならびに二酸化炭素も含み得る。
【0152】
ガス処理施設1000において、生産ガス流1012は硫黄成分除去システム1050内に流れ込む。この硫黄成分除去システム1050は、上述のCrystaSulfプロセスを使用する。CrystaSulfプロセスに従い生ガス流1012から硫黄成分を除去するために、生ガス流1012は、吸収体1020に誘導される。同時に、液体SO2はライン1084を介して吸収体1020に導入される。液化二酸化硫黄が酸化ガスとして付加される。
液体SO2は、最初に保存容器1080内で維持される。SO2ライン1082は、必要な場合、保存容器1080からライン1084へと液体SO2を運ぶ。ポンプ1076が、圧力を増加させるためにライン1082に沿って提供されることで、液体SO2が吸収体1020に移動させられる。
【0153】
吸収体1020は、チャンバー1025と定義される。この吸収体1020の中で、生ガス流1012は、ライン1084からのSO2を含有する液体溶媒と接触する。液体はチャンバー1025底部で沈降し、ガス状成分は、チャンバー1025最上部から出る。吸着剤と呼ばれるこの液体は、液体ライン1022を介して出る。吸着剤は、一般的に、硫黄と水の溶液を、微量元素であるメタンに加えて残留する硫化水素および/または二酸化硫黄と共に含む。
液体は、ライン1022を介してフラスコ1030へと誘導される。このフラスコ1030は、溶媒から水および取り込まれたいずれの炭化水素ガスをフラッシュする働きをする。硫黄含有溶液は、底部流1036を介してフラスコを出る。同時に、炭化水素ガスおよび微量の水蒸気がオーバーヘッドライン1032を出る。
【0154】
オーバーヘッドライン1032は、コンプレッサー1034を介して運ばれる。オーバーヘッドライン1032の圧力を押し上げることは、炭化水素ガスから水を抜き出すのを助ける。次いで炭化水素ガスは、分離容器1040へと誘導される。この分離容器1040は、通常重力による分離器であるが、液体サイクロンまたはVortistep分離器も使用することができる。水は、ライン1044において分離容器1040から落ちる。ライン1044の水は、処理施設(示されていない)に誘導されるのが好ましい。
炭化水素ガスは、ライン1042を介して分離容器1040から放出される。ライン1042の炭化水素ガスは、生ガス流1012と合流する。そこから、炭化水素ガスは、吸収体1020へと再び入る。
再びフラスコ1030を参照すると、記述されているように、フラスコは、底部流1036を介して硫黄含有溶液を放出する。この硫黄含有溶液は、冷却ループ1038へと移動する。硫黄含有溶液は、ライン1058からの透明な液の一部分と合流する。この透明な液は、例えば、追加の物理溶剤を含み得る。
【0155】
冷却ループ1038内の圧力は、硫黄含有溶液が遠心ポンプ1052を介して移動するにつれて増加する。そこから、硫黄含有溶液は、PTFE熱交換器1054内で冷やされる。硫黄含有溶液が熱交換器1054を通過するにつれて、これは、溶解した硫黄に対して飽和温度よりも下の温度に冷却される。硫黄含有溶液は、溶解した硫黄に対して過飽和になり、したがってこれは結晶化する。
【0156】
冷やされたおよび結晶化した硫黄含有溶液は、結晶器1055に入る。具体的に、ライン1038からの硫黄含有溶液は、結晶器1055の底部に誘導される。冷やされた硫黄含有溶液は、結晶器1055内の沈殿域1059の中に存在する硫黄結晶に接触する。この結晶は、過飽和硫黄溶液に種結晶をまく役目を果たし、溶解された硫黄の析出をもたらす。これによって、硫黄スラリーが作り出される。
硫黄スラリーは、硫黄スラリーライン1056を介して結晶器1055を出る。ライン1056の硫黄スラリーは、フィルター1060へ送達される。このフィルター1060は、硫黄スラリーを純粋な固体硫黄および透明な液へと分離する。固体硫黄の除去は、ライン1062で表される。透明な液がライン1064を介して濾液として放出され、リサイクルして結晶器1055に戻される。透明な液を運んで結晶器1055へと戻すため、ポンプ1066が提供されるのが好ましい。
【0157】
透明な液は、結晶器の最上部まで上昇する。透明な液の一部分は、ライン1058を介して結晶器1055から誘導される。ライン1058の透明な液は、フラスコからの硫黄溶液1036と合流することによって、上で考察したように、冷却ループ1038を形成する。ライン1072を介して、透明な液の分離部分を結晶器1055の最上部から抽出する。ライン1072の抽出された液は、熱交換器1074を介して加熱される。加熱した液は、ライン1082からの二酸化硫黄と合流する。加熱した液1074は、ブースターポンプ1076を介して取り出され、次いで吸収体1020のチャンバー1025へと再び誘導される。
硫黄成分除去システム1000に関連して記載されているCrystaSulfプロセスは、単に例示的でしかないことを理解されたい。他のCrystaSulfプロセス、例えば組み込まれている米国特許第6,416,729号および米国特許第6,818,194号に記載されているものなどを使用することもできる。プロセスに関わらず、オーバーヘッドガス流1045は、吸収体1020から生成される。
【0158】
オーバーヘッドガス流1045は、主にメタンおよび二酸化炭素を含有する。微量元素のエタン、窒素、ヘリウムおよび芳香族も存在し得る。硫黄成分は抽出され、ライン1062を介して運ばれる。オーバーヘッドガス流1045は、サワーガスと呼んでもよい。ガス流1045内のサワーガスは、脱水容器1060に運ばれるのが好ましい。しかし、CrystaSulfプロセスは非水系であるため、生ガス流1012が硫黄成分除去システム1050に入る前に脱水を行うことができる。
オーバーヘッドガス流1045は、チラー626を通過する。チラー626は、ガス流1045をおよそ−30°Fから−40°Fまで低い温度に冷やす。チラー626は、例えばエチレンまたはプロパンの冷蔵庫であってよい。こうして冷やされた軽質ガス流678が生成される。
【0159】
次に軽質ガス流678は、膨張装置628を介して移動するのが好ましい。この膨張装置628は、例えば、図6に関連して記載したJoule−Thompson(「J−T」)バルブまたは他の装置であってよい。膨張装置628は、軽質ガス流678の温度を、例えば、およそ−70°Fから−80°Fまで低い温度にさらに減少させる。ガス流678の少なくとも部分的な液化も達成されるのが好ましい。冷却したガス流は、ライン611を介して移動する。
【0160】
ライン611の冷却したサワーガスは蒸留塔に誘導される。蒸留塔は、例えば図1および6のCFZ塔100であってよい。ライン611の冷却したサワーガスは、次いで酸性ガス除去システムを介して処理される。酸性ガス除去システムは、例えば二酸化炭素を除去するために使用される図6の酸性ガス除去システム650に従うことができる。
極低温蒸留塔の上流の少なくとも中程度のレベルの硫化水素を除去するために使用することができる2つの追加の方法は、吸着床の使用を含む。一方の方法は熱スイング吸着を採用し、他方は、圧力スイング吸着を利用する。吸着床は、モレキュラーシーブである。いずれの場合も、モレキュラーシーブは再生される。
【0161】
モレキュラーシーブは、脱水のために使用されることが多いが、H2Sおよびメルカプタン除去のために使用することもできる。多くの場合、これらの使用は単一の充填床の中で組み合わせられ、4Aモレキュラーシーブ物質の層は脱水のために最上部に位置し、13Xモレキュラーシーブ物質の層は、H2Sおよびメルカプタン除去のために底部に位置する。したがって、生ガス流は、乾燥および脱硫黄化の両方が行われている。
【0162】
図11は、別の実施形態においてガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設1100を示す概略図を表す。この配置において、硫化水素は、酸性ガス除去システム650の上流で熱スイング吸着システム1150を用いて生ガス流624から除去される。
ガス処理施設1100は、図6のガス処理施設600に従い一般的に作動する。この点において、脱水されたガス流624は、硫黄成分除去システムに送達される。そこから、主にメタンおよび二酸化炭素から構成されるサワーガスは、冷やされ、ライン611を介して酸性ガス除去システム650に送達される。しかし、硫黄成分除去システムとして、吸収体と共に溶媒系605を使用する代わりに、熱スイング吸着システム1150が使用される。この熱スイング吸着システム1150は、脱水されたガス流624からの硫化水素の少なくとも部分的な分離を提供する。
【0163】
熱スイング吸着システム1150は、メタンおよび二酸化炭素から構成される軽質ガス流を回しながら、吸着床1110を使用することによって硫化水素および他の硫黄成分を選択的に吸着する。軽質ガス流は、ライン1112で放出されていることが示される。軽質ガス流1112は、メタンから二酸化炭素を分離するためにサワーガス流として、蒸留塔、例えば図1の塔100などに送達される。
極低温蒸留塔100に入る前に、軽質ガス流1112を事前に冷却しておくことが好ましい。例示的ガス処理施設1100において、軽質ガス流1112は、冷蔵ユニット626を通過し、次いで膨張装置628を通過する。この膨張装置628は、例えば、Joule−Thompson(「J−T」)バルブであってよい。好ましくは、軽質ガス流1112の少なくとも部分的な液化が冷却に関連して達成される。冷却したサワーガス流は生成され、ライン611を介して酸性ガス除去システム650に誘導される。
【0164】
再び熱スイング吸着システム1150を参照すると、熱スイング吸着システム1150内の吸着床1110は、ゼオライトから作られたモレキュラーシーブが好ましい。しかし、他の吸着床、例えばシリカゲルから作られた床などを採用してもよい。炭化水素ガス分離の技術分野の当業者であれば、吸着床の選択は通常、取り出される汚染物質の組成に依存することになることを理解されたい。この場合、汚染物質は主に硫化水素である。
作動中、吸着床1110が加圧チャンバー内に存在することになる。吸着床1110は、脱水されたガス流624を受け取り、ある量の二酸化炭素と共に硫化水素および他の硫黄成分を吸着する。吸着システム1150内の吸着床1110は、床がH2Sで実質的に飽和されたら、再生された床と交換される。H2Sは、乾燥、加熱したガスを用いて、床を加熱する反応で床1110から放出される。適切なガスには、オーバーヘッドメタン流112の一部分、加熱した窒素、または他に利用可能な燃料ガスが含まれる。
【0165】
ブロック1140は、吸着床のための再生チャンバーを描写している。再生チャンバー1140は、乾燥、加熱したガス1132を受け取る。図11の配置において、乾燥ガス1132は、オーバーヘッドメタン流112から受け取る。オーバーヘッドメタン流112は、主にメタンを含むが、微量の窒素およびヘリウムも含み得る。オーバーヘッドメタン流112は、圧縮されることによって、再生チャンバー内のガスの圧力を上げることができる。圧力ブースターは、1130で示されている。しかし、再生は、増加した温度を介して主に起きるが、一般的により低い圧力で増強される。
十分な再生のためには10〜15パーセントのオーバーヘッドメタン流112が必要となり得る。再生チャンバー1140は加熱した、乾燥流体流1142を、放出する。この乾燥流体流1142は、固体吸着床1110に誘導され、再生流として作用する。乾燥流体流1142は、主にメタンから構成されるが、いくらかのCO2も含有する。
【0166】
熱スイング再生サイクルのため、少なくとも3つの吸着床が採用されるのが好ましい。第1の床は、1110で示されているように吸着用に使用され、第2の床は再生チャンバー1140内で再生が施され、第3の床は、すでに再生され、第1の床1110が実質的に飽和された場合吸着システム1150において使用するために蓄えてある。したがって、最低限で3つの床がより効果のある作業のために平行して使用される。これらの床は、例えば、シリカゲルなどで充填されていてもよい。
【0167】
図11に見られるように、濃縮したH2Sガス流は、ライン1114を介して吸着システム1110から放出される。濃縮した硫化水素流1114は、再生流としても作用する。再生流1114は、主にCH4およびH2Sを含むが、微量の二酸化炭素および場合によりいくらかの重質炭化水素も含有する可能性が最も高い。一態様において、再生流1114は、冷蔵ユニット1116を用いて冷却される。これにより、再生流1114の部分的な液化が少なくとも起きる。次いで再生流1114は分離器1120に導入される。分離器1120は、軽質ガスから再生流1114内の水を分離する重力分離器が好ましい。軽質ガスは、一般的にメタン、硫化水素、および二酸化炭素を含む。
【0168】
軽質ガスは、分離器1120の最上部から(ライン1122で概略的に示されている)放出される。ライン1122の分離器1120から放出された軽質ガスは、脱水されたガス流624に戻る。同時に、水、重質炭化水素(主にエタン)および溶解した硫化水素は、分離器1120の底部から(ライン1124で概略的に示されている)放出される。一部の実施において、ライン1122のリサイクルガスは、確実にこれがシステムを介してリサイクルされないようにするため、H2Sに対する処理が必要となり得る。
ガス処理施設1100は、脱水ユニット620を含んでいなくてもよいことに注意されたい。水は、再生流1114と共に固体吸着床1110から落ちることになり、ライン611のサワーガス流に移動しない。水は、ライン1124中の硫化水素と共に分離器1120からさらに落ちる。次いで硫黄化合物からの水の分離は、例えば、サワー水ストリッパーまたは他の分離器(示されていない)を用いて達成することができる。
【0169】
一用途において、再生ガスヒーター1140からの使用済みのガスを燃焼することによって、タービン(示されていない)を駆動することができる。次にこのタービンは、開ループコンプレッサー(例えば図1のコンプレッサー176など)を駆動することができる。このようなタービンからの廃熱を取り出し、これを使用して硫化水素回収プロセス用の再生ガス(例えばライン1132の中)を予熱することによって、再生ガスヒーター1140を酸性ガス除去プロセスにさらに統合してもよい。同様に、オーバーヘッドコンプレッサー114からの熱を使用することによって、硫化水素回収プロセス用に使用される再生ガスを予熱することもできる。
【0170】
再生ガスは、固体床1110から脱着したH2Sを含有することがここで観察される。このガスを溶媒と接触させることによって、H2Sを除去し、メタンおよび他のいかなる炭化水素も回収することができる。この方法で、ガスのBTU値を復旧させることができる。
記述されているように、圧力スイング吸着を同様に使用することによって、酸性ガス除去施設の上流で硫化水素および他の硫黄成分を除去することができる。圧力スイング吸着、または「PSA」は、汚染物質が固体吸着床に吸着するプロセスを一般的に指す。飽和後、固体吸着剤は、その圧力を低下させることによって再生される。圧力を減少させることによって、汚染物質が低圧力流として放出される。
【0171】
図12は、硫化水素の除去のために圧力スイング吸着を使用するガス処理施設1200の概略図を提供している。このガス処理施設1200は一般的に、図6のガス処理施設600に従い作動する。この点において、脱水されたガス流624は冷やされ、次いでサワーガスライン611を介して酸性ガス除去システム650に送達される。しかし、硫化水素を除去するために、接触塔670と共に物理溶剤接触システム605を使用する代わりに、圧力スイング吸着システム1250が使用される。この圧力スイング吸着システム1250は、生ガス流624からの硫化水素の少なくとも部分的な分離を提供する。
【0172】
熱スイング吸着システム1150と同様に、圧力スイング吸着システム1250は、吸着床1210を使用することによって、メタンガスを放出しながら、H2Sを選択的に吸着する。吸着床1210は、ゼオライトから作られたモレキュラーシーブが好ましい。しかし、他の吸着床、例えばシリカゲルから作られた床などを採用してもよい。炭化水素ガス分離の技術分野の当業者であれば、吸着床の選択は通常、生ガス流624の組成に依存することを再び理解している。
図12に見てとれるように、吸着システム1250は、軽質ガス流1212を介してメタンガスを放出する。この軽質ガス流1212は、冷蔵ユニット626を介して運ばれ、次いで、好ましくは、極低温蒸留塔100に侵入する前にJoules−Thompsonバルブ628を介して運ばれる。同時に、濃縮した硫化水素流は、ライン1214を介して吸着床1210から放出される。
【0173】
作動中、圧力スイング吸着システム1250内の吸着床1210は、加圧チャンバー内に存在する。吸着床1210は、脱水されたガス流624を受け取り、残っているいずれの水およびいずれの重質炭化水素と共にH2Sを吸着する。微量の二酸化炭素も吸着し得る。吸着床1210は、床1210が硫化水素および他の硫黄成分で飽和したら交換する。H2S(もしあれば、重質炭化水素)は、加圧チャンバー内の減少する圧力と反応して床から放出されることになる。次いで濃縮した硫化水素流1214が放出される。
【0174】
ほとんどの場合、加圧チャンバー内の圧力を大気圧まで低く減少させることによって、濃縮硫化水素流1214内の大多数の硫化水素および他の汚染物質が吸着床1210から放出される。しかしある極端な場合には、真空チャンバーを使用して濃縮硫化水素流1214に亜大気圧を適用することによって、圧力スイング吸着システム1250を支援することができる。これはブロック1220において示されている。より低い圧力の存在下、硫黄成分および重質炭化水素は、吸着床1210を構成する固体マトリックスから脱着する。
水、重質炭化水素および硫化水素の混合物は、ライン1222を介して真空チャンバー1220を出ることになる。この混合物は分離器1230に入る。この分離器1230は、重質炭化水素および水を硫化水素から分離する重力分離器が好ましい。液体成分は、底部(ライン1234で概略的に示されている)から放出される。溶解したH2Sに対する処理後、ライン1234のいずれの重質炭化水素が商業販売に送られてもよい。ガス形態の硫化水素は、分離器1230(ライン1232で概略的に示されている)の最上部から放出される。ライン1232中のH2Sは、硫黄回収ユニット(示されていない)に送られるか、または酸性ガス注入の一部として地下構造に注入される。
【0175】
圧力スイング吸着システム1250は、平行した複数の床に依存し得る。第1の床1210は、吸着用に使用される。これは使用する床として知られている。第2の床(示されていない)は、圧力減少を介して再生が施される。第3の床は、すでに再生され、第1の床1210が実質的に飽和した場合吸着システム1250において使用するために蓄えてある。したがって、最低限で3つの床をより効果のある作業のために平行して使用することができる。これらの床は、例えば活性炭またはモレキュラーシーブで充填されていてもよい。
【0176】
圧力スイング吸着システム1250は、高速サイクル圧力スイング吸着システムであってよい。いわゆる「高速サイクル」プロセスにおいて、サイクルの時間は、数秒と短くすることができる。高速サイクルPSA(「RCPSA」)ユニットであれば普通のPSA装置と比較してかなり小型であるため特に有利である。注入ガスに対して前処理が必要となり得ることに注意されたい。代わりに、充填床の最上部の物質の犠牲層を使用することによって、活性物質を保存することもできる。
一態様において、熱スイング再生と圧力スイング再生の組合せを採用することもできる。
【0177】
本明細書中で提案された、酸性ガス除去システムの上流で硫化水素を除去するための別の方法は、吸着動的分離、またはAKSと呼ばれるプロセスである。AKSは、他の化学種に対して、特定の化学種が構造化された吸着剤上に吸着する速度に依存する比較的新しい種類の固体吸着剤を採用している。これは、固体吸着剤の平衡吸着特性により選択性が主に与えられる伝統的な平衡制御されたスイング吸着プロセスと対照的である。後者の場合、微小孔内の軽質の生成物または吸着剤の自由体積の競合する吸着等温線は好まれない。
【0178】
動力学的に制御されたスイング吸着プロセスにおいて、選択性は、吸着剤の拡散特性により、および微小孔内の輸送拡散係数により主に与えられる。吸着剤は、1つまたは複数のガス成分に対して「動力学的選択性」を有する。本明細書で使用する場合、「動力学的選択性」という用語は、単一の成分拡散係数、D(m2/sec)と、2つの異なる化学種の比率として定義される。これら単一の成分拡散係数は、所与の純粋なガス成分にする所与の吸着剤に対して測定されるStefan−Maxwell輸送拡散係数としても知られている。したがって、例えば、ある特定の吸着剤の、成分Bに対する成分Aの動力学的選択性は、DA/DBと同じである。物質に対する単一の成分拡散係数は、吸着性物質の技術分野では周知の試験によって求めることができる。
動力学的拡散係数を測定するための好ましい手段は、Reyesらによって「Frequency Modulation Methods for Diffusion and Adsorption Measurements in Porous Solids」, J. Phys. Chem. B. 101, pp.614-622(1997)において記載された周波数反応技法を用いたものである。動力学的に制御された分離において、選択された吸着剤の、第2成分(例えば、成分B)に対する第1成分(例えば、成分A)の動力学的選択性(すなわち、DA/DB)は、5を超え、より好ましくは20を超え、さらにより好ましくは50を超えることが好ましい。
【0179】
吸着剤はゼオライト物質であることが好ましい。重質炭化水素を除去するための適切なポアサイズを有するゼオライトの非限定的な例として、MFI、フォージャサイト型、MCM−41およびBetaが挙げられる。重質炭化水素除去のための本発明の方法の実施形態において利用されるゼオライトのSi/Al比率は、吸着剤の過剰な付着を防止するためには、およそ20からおよそ1,000が好ましく、好ましくはおよそ200からおよそ1,000である。炭化水素ガス成分の分離のための吸着動的分離の使用についての追加の技術情報は、その全体の開示が本明細書に参照により組み込まれている、米国特許公開第2008/0282884号である。
【0180】
図13は、別の実施形態における本発明のガス処理施設1300を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、吸着動的分離を利用する吸着床1310を用いて酸性ガス除去システム650の上流でガス流から除去される。
ガス処理施設1300は、図6Aのガス処理施設600に従い一般的に作動する。この点において、脱水されたガス流624は、予備冷蔵ユニット625で冷やされ、次いでライン611のサワーガス流を介して酸性ガス除去システム650に送達される。しかし、硫化水素を除去するために、接触塔670と共に、物理溶剤接触システム605を酸性ガス除去システム650の上流で使用する代わりに、AKS固体吸着床1310が使用される。この吸着床1310は、硫化水素を優先的に吸着する。
【0181】
現在の吸着動的分離の適用において、硫化水素成分は、吸着床1310で保持されることになる。これは、H2Sがより低い圧力で回収されることを意味する。この吸着床1310は、圧力スイング吸着または高速サイクル圧力スイング吸着と一緒に使用されてもよい。圧力が減少した際に、液体天然ガス流1314は、低圧で固体吸着床から放出される。液体天然ガス流1314は、脱水されたガス流624からの硫黄成分の大部分を含有し、重質炭化水素および微量の二酸化炭素も含有し得る。
硫化水素および二酸化炭素を重質炭化水素から分離するため、追加の蒸留カラムが必要である。蒸留容器は1320で示されている。蒸留容器1320は、例えば汚染物質浄化システムとして使用されるトレイカラムまたは充填カラムであってよい。硫化水素および二酸化炭素は、オーバーヘッドライン1324を介して放出される。ライン1324は、貯留層1349への酸性ガス注入のために酸性ガスライン646と合流するのが好ましい。サワーの重質炭化水素および大部分の水分子は、底部ライン1322を介して蒸留容器1320を出る。重質炭化水素は、液体天然ガスの形態、すなわちエタン、場合によりプロパンであってよい。液体天然ガスは、H2Sの除去のために処理され、販売のために捕獲される。
【0182】
システム1300の吸着動的分離プロセスは、大量な過剰圧力下で生成された天然ガス流から硫化水素および重質炭化水素を回収するのにより有利となり得ることに注意されたい。この状況において、ライン611のサワーガスは、極低温蒸留塔100により処理されるべき十分な圧力を有する。過剰圧力の例とは、400psigを超えるような圧力である。
【0183】
吸着床1310は、軽質ガス流1312を放出する。流れ1312内のガスは、メタンおよび二酸化炭素から主に構成される。流れ1312の軽質ガスは、極低温蒸留塔100に入る前に、冷却されることが好ましい。例示的ガス処理施設1300において、流れ1312内の軽質ガスは、冷蔵ユニット626を通過し、次いで膨張装置628を通過する。冷却したサワーガス流は、酸性ガス除去システム650に誘導されるライン611において生成される。
重質炭化水素を除去するための別の一般の手法において、重質炭化水素は、蒸留塔100からの「下流の」底部流646から抽出される。一例において、吸着動的分離プロセスは、極低温蒸留塔の下流に採用される。
【0184】
図14は、吸着動的分離プロセスを採用しているガス処理施設1400の概略図を表す。このガス処理施設1400は、一般的に図13のガス処理施設1300に従う。しかし、この例では、酸性ガス除去システム650の上流でAKS固体吸着床1310を使用する代わりに、酸性ガス除去システム100の下流でAKS固体吸着床1410が使用されている。
【0185】
図14において、酸性ガス、すなわち硫化水素および二酸化炭素が、液化された底部酸性ガス流642として蒸留塔100から取り出されることが見てとれることができる。この液体流642は、微量のメタンを含有するガスが再誘導されてガス流644として塔100に戻るリボイラー643を介して送られてもよい。主に酸性ガスから構成される残留液体は、酸性ガスライン646を介して放出される。
ライン646からの酸性ガスは、AKS固体吸着床1410へと送達される。酸性ガスは、低温のままであり、これらが床1410を通過する間は液相として存在する。硫化水素および任意の重質炭化水素は、酸性ガスから取り出され、ライン1412を介して液体天然ガス流1412として放出される。同時に、酸性ガスは、AKS固体吸着床1410を通過し、底部酸性ガス流1414として放出される。
【0186】
底部酸性ガス流1414内の酸性ガスは、主に液相のままである。ライン1414の液化された酸性ガスは主にCO2であり、気化してもよい。代わりに、ライン1414の液化された酸性ガスは、ブロック649で示された1つまたは複数の酸性ガス注入(AGI)坑井を介して地下構造に注入することができる。この例では、ライン646の酸性ガスは、圧力ブースター648を通過するのが好ましい。
液体天然ガス流1412は、重質炭化水素ならびに硫化水素および微量の二酸化炭素を含有することを注意されたい。したがって、液体天然ガス流1412からH2SおよびCO2を分離するために、蒸留プロセスが行われる。蒸留容器は1420に示されている。H2Sおよび微量のCO2ガスは、オーバーヘッドライン1424を介して蒸留容器1420から放出される。ライン1424は、貯留層649への酸性ガス注入のために、底部酸性ガス流1414と合流するのが好ましい。重質炭化水素は、底部ライン1422を介して容器1420を出て、販売のために捕獲される。
【0187】
図15Aは、別の実施形態における本発明のガス処理施設1500の概略図である。この配置において、硫化水素は、抽出蒸留プロセスを用いて酸性ガス除去システム650の下流でガス流から除去される。抽出蒸留プロセスは、ボックス1550で表される。
この例示的ガス処理施設1500は一般的に、図6のガス処理施設600に従う。この点において、脱水されたガス流624は冷やされ、次いでサワーガスライン611を介して酸性ガス除去システム650に送達される。しかし酸性ガス除去システム650の上流で接触塔と共に溶媒接触システム605を使用する代わりに、酸性ガス除去システム650の下流で抽出蒸留プロセスが使用される。
【0188】
冷やされたサワーガスは、ライン611を通過し、酸性ガス除去システム650に入ることが図15Aにおいて見てとれることができる。ライン611の冷やされたサワーガスは、脱水された生ガス流624と同じ組成を有する。ライン611のサワーガスは、硫化水素および二酸化炭素と共にメタンを含む。エタンならびに微量元素である窒素、ヘリウムおよび芳香族も存在し得る。
ライン611のサワーガスは、最初にカラム100に入る。これは、図1および6のCFZ塔100と同じであってよい。上述のように、CFZ塔100は、サワーガスをオーバーヘッドメタン流112と底部酸性ガス流642へと分離する。この例において、底部酸性ガス流642は、二酸化炭素および硫化水素の両方を含む。
【0189】
底部流642は、リボイラー643を介して送られてもよい。そこからメタンを含有する流体が再誘導されて炭化水素ガス流644として塔100に戻る。主に硫化水素および二酸化炭素から構成される残留流体は、酸性ガスライン646を介して放出される。酸性ガスライン646内の物質は、液体形態であり、抽出蒸留システム1550に入る。
【0190】
図15Bは、抽出蒸留プロセスのためのガス処理施設1550の詳細な概略図である。ライン646が、抽出蒸留施設1550に酸性ガスを運搬しているのが見てとれることができる。図15Bの例示的配置において、3つの抽出蒸留カラム1510、1520および1530が示されている。しかし、3つより多くのカラムを採用することができることを理解されたい。
抽出蒸留カラム1510は、プロパン回収カラムである。このプロパン回収カラム1510は、容器内で炭化水素溶媒と酸性ガス流646を混合する。第1のカラム1510の温度は一般的に−100°から50°Fである。プロパン回収カラム1510において、溶媒は、硫化水素を吸収し、これによって、溶媒はカラム1510から溶媒底部流1514として離れる。これはまた、いくらかの二酸化炭素ならびに重質炭化水素を含有することになる。同時に、二酸化炭素および微量の軽質炭化水素がオーバーヘッド流1554を介してカラム1510を出る。流れ1554の二酸化炭素は、地下構造(図15Aの649)への注入のために、酸性ガス注入ライン1552と合わせることができる。
【0191】
溶媒底部流1514は、第2の抽出蒸留カラム1520に入る。第2の抽出蒸留カラム1520は、CO2除去カラムである。CO2除去カラム1520内の温度は一般的に、0°から250°Fであり、これはプロパン回収カラム1510内の温度より高い。CO2除去カラム1520において、溶媒および重質炭化水素は、第2の溶媒底部流1524としてカラム1520を離れる。同時に、二酸化炭素は、オーバーヘッドCO2流1552として第2のカラム1520を出る。このオーバーヘッドCO2流1552は、油回収の増強のために使用されるのが好ましい。
最終カラム1530は図15Bに示されている。最終カラム1530は、添加物回収カラムである。この添加物回収カラム1530は、溶媒から「液体天然ガス」として知られる重質炭化水素成分を分離する蒸留の仕組みを使用する。第3のカラム1530内の温度は、一般的に80°Fから350°Fであり、これは第2のカラム1530内の温度より高い。液体天然ガスは、ライン1532を介してカラム1530を出て、残留するあらゆるH2SおよびCO2を除去するために処理ユニットに運ばれる。この処理ユニットは、液体/液体抽出器であってよく、ここではアミンが例えばH2S/CO2除去のために使用されている。
【0192】
溶媒は、底部溶媒流1534として添加物回収カラム1530を離れる。この底部溶媒流1534は、再生された添加物を表す。底部溶媒流1534の大部分は、抽出蒸留プロセスのために第1のカラム1510に再導入される。流れ1534からの過剰の溶媒は、ライン1536を介して処理するために液体天然ガス流1532と合わせてもよい。
【0193】
再び図15Aを参照すると、ライン1554の二酸化炭素は、ライン1552でCO2と合わせられ、圧力ブースター648を通過し、次いでブロック649で示された1つまたは複数の酸性ガス注入(AGI)坑井を介して地下構造に注入されることが好ましい。
図に示されているように、酸性ガス除去プロセスに関連して硫黄成分を除去するため、いくつかの方法を使用することができる。一般的に、選択された方法は、生の天然ガス、または処理を受けるガスの状態に依存する。例えば、H2S濃度がおよそ0.1%未満の場合、いずれにせよ脱水が必要なため、モレキュラーシーブ手法の組合せがベストとなり得る。モレキュラーシーブにより、「汚れた」開始を促進できるCO2をいくらか除去するという利点が加えられた。
【0194】
注入ガス内におよそ0.1%から10%のH2Sがある場合、Selexol(商標)のような物理溶剤がベストのオプションとなり得る。これを使用することによって、あるレベルまで注入ガスを乾燥させることができるので、これは溶媒が乾燥していることが理想的である。CFZ処理のため、ガスは、(より小さな)モレキュラーシーブユニットによるさらなる脱水を必要とし得る。Selexolユニットからの濃縮H2S流は、硫黄回収ユニット(SRU)内で処理されてもよいし、または圧縮され、坑内処分のためにCFZ底部流と合わせられてもよい。
硫化水素除去のための上記方法は、「制御された凍結域」の塔を利用するプロセスだけでなく、いずれの酸性ガス除去プロセスと一緒に適用することができることを理解されたい。他の極低温蒸留カラムを採用してもよい。さらに、他の極低温蒸留プロセス、例えばバルク分取などを使用することもできる。バルク分取塔は、図1のCFZ塔100と似ているが、中間部の凍結域がない。バルク分取塔は通常、CFZ塔100よりも高い圧力、例えば700psigより上などで作動し、これによってCO2固体の形成を回避する。しかしオーバーヘッドメタン流112は、有意な量のCO2を含有し得る。いずれの例においても、脱水されたガス流624がおよそ3%を超えるC2またはより重質な炭化水素を含む場合、硫化水素の除去のために別々のプロセスを利用することが望ましい。
【0195】
本明細書中に記載されている本発明は、上に記載された優位性および利点を成し遂げためよく計算されていることは明らかであるが、本発明は、その趣旨から逸脱することなく改質、変法および変更を受け入れることができることを理解されたい。制御された凍結域を用いた、酸性ガス除去プロセス作業の向上がもたらされる。この向上によって、生産ガス内で非常に低レベルまでH2Sを除去するための設計が得られる。
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2009年11月2日に出願した、その全体が本明細書に参照により組み込まれている、硫化水素の除去によって、炭化水素ガス流から酸性ガスを除去するための極低温システムという表題の、米国仮特許出願第61/257,277号への利益を主張する。
【0002】
本セクションは、本開示の代表的な実施形態に関連し得る、本発明の技術の様々な態様を紹介することを意図している。この考察は、本開示の特定の態様のより良い理解を促進するためのフレームワークを提供するための手助けとなると考えられる。したがって、本セクションは、この観点から読み取るべきであり、必ずしも従来技術の承認として読み取るべきではないことを理解すべきである。
本発明は、流体分離の分野に関する。より具体的には本発明は、炭化水素の流体流から硫化水素と他の酸性ガスの両方を分離することに関する。
【背景技術】
【0003】
貯留層からの炭化水素の生成は、非炭化水素ガスの偶発的生成が伴うことが多い。このようなガスとして、汚染物質、例えば硫化水素(H2S)および二酸化炭素(CO2)などが挙げられる。H2SおよびCO2が炭化水素ガス流(例えばメタンまたはエタンなど)の一部として生成される場合、このガス流は、たびたび「サワーガス」と呼ばれる。
サワーガスは、さらなる処理または販売のために下流に送られる前に、CO2、H2S、および他の汚染物質を除去するために通常処理される。酸性ガスの除去により、「スウィートニングされた」炭化水素ガス流が生成される。このスウィートニングされた流れは、環境的に許容可能な燃料としてまたは化学薬品もしくはガスから液体を生成する施設への供給原料として使用することができる。スウィートニングされたガス流を冷やす(chill)ことによって、液化天然ガス、すなわちLNGを形成することができる。
【0004】
このガス分離プロセスは、分離した汚染物質の処分に関して問題を引き起こす。場合によっては、濃い酸性ガス(主にH2SおよびCO2からなる)は硫黄回収ユニット(「SRU」)に送られる。このSRUは、H2Sを良性の元素硫黄に変換する。しかし、ある地域において(例えばカスピ海地域など)は、市場が限定されているため、追加の元素硫黄の生成は切望されない。したがって、何百万トンもの硫黄が、世界のある地域(最も名が知れているのはカナダおよびカザフスタン)の、大きな、地上ブロックに貯留されている。
硫黄が地上に貯留されている間に、酸性ガスに伴う二酸化炭素は、多くの場合大気に放出される。しかし、CO2放出の実施が、切望されない場合がある。CO2排出を最小限に抑える1つの提案は、酸性ガス注入(「AGI」)と呼ばれるプロセスである。AGIとは、望ましくないサワーガスを、加圧下で地下構造に再注入し、後日見込まれる使用のために隔離することを意味する。あるいは、油回収作業を強化するために、二酸化炭素を使用して、人工貯留層の圧力を作り出す。
【0005】
AGIを促進するため、炭化水素ガスから酸性ガス成分を効果的に分離するガス処理施設を所有することが望ましい。しかし、およそ15%または20%を超えるCO2および/またはH2Sを含有する生産物流である「極めてサワーである」流れに対して、所望の炭化水素から汚染物質を経済的に分離することができる施設を設計、建設、および作動することは特に困難となり得る。多くの天然ガス貯留層は、比較的に低いパーセンテージの炭化水素(例えば40%未満)および高いパーセンテージの酸性ガス、主に二酸化炭素を含有するが、硫化水素、硫化カルボニル、二硫化炭素および様々なメルカプタンも含有する。これらの場合、極低温ガス処理を採用するのが有利となり得る。
【0006】
極低温ガス処理は、ガス分離に対してたびたび使用される蒸留プロセスである。極低温ガス分離は、中等度の圧力(例えば,1平方インチゲージ(psig)当たり350〜550ポンド)で、冷却したオーバーヘッドガス流を生成する。さらに、液化された酸性ガスが「底部」生成物として生成される。液化された酸性ガスは,比較的高密度であることから、注入プロセスを援助するために流体静力学的ヘッドをAGI坑井において有利に使用することができる。これは、液化された酸性ガスを構造内にポンプで入れるのに必要なエネルギーは、低圧力の酸性ガスを貯留層圧力へと圧縮するのに必要なエネルギーよりも低いことを意味する。コンプレッサーおよびポンプの段階がより少ないことが必要とされる。
【0007】
サワーガスの極低温蒸留に関しては、難題も存在する。処理すべきガスの中に、およそ700psig未満の全圧力において、CO2がおよそ5モルパーセントを超える濃度で存在する場合、これは、標準の極低温蒸留ユニットにおいて固体として凍結することになる。CO2が固体として形成すると、極低温蒸留プロセスを破壊する。この問題を回避するため、譲受人は、様々な「Controlled Freeze Zone(商標)」(CFZ(商標))プロセスをこれまでに設計してきた。このCFZ(商標)プロセスは、蒸留塔の開口部分内に凍結したCO2粒子を形成させることを可能にし、次いで溶融トレイ上で粒子を捕らえることによって、固体粒子を形成する二酸化炭素の傾向をうまく活用する。その結果、きれいなメタン流(生ガス中に存在する任意の窒素またはヘリウムと共に)が、塔の最上部に生成され、その一方で低温の液体CO2/H2S流が塔の底部に生成される。およそ700psigよりも高い圧力で、CO2の凍結を心配することなく「バルク分取」蒸留を行うことができる。しかし、オーバーヘッドに生成されるメタンは、その中に少なくとも数パーセントのCO2を有することになる。
【0008】
特定の態様のCFZ(商標)プロセスおよび関連機器は、米国特許第4,533,372号、米国特許第4,923,493号、米国特許第5,062,270号、米国特許第5,120,338号および米国特許第6,053,007号に記載されている。
上記の米国特許に全般的に記載されているように、極低温ガス処理のために使用される蒸留塔、またはカラムは、下部蒸留域と中間部の制御された凍結域とを含む。上部蒸留域も含まれることが好ましい。二酸化炭素の凝固点よりは低いが、その圧力でメタンの沸点より高い温度領域を有するカラムの一部分を提供することにより、カラムが作動して固体CO2粒子を生成する。制御された凍結域は、CO2に凍結した(固体)粒子を形成させながら、メタンおよび他の軽質炭化水素ガスの気化を可能とするような温度および圧力で作動することがより好ましい。
【0009】
ガス供給流がカラムを上方に移動するにつれて、凍結したCO2粒子は、供給流を抜け出し、制御された凍結域から溶融トレイへと重力によって下降する。この溶融トレイで、粒子が液化する。次いで二酸化炭素リッチな液体流は、溶融トレイから、カラム底部の下部蒸留域へと流れ落ちる。下部蒸留域は、実質的にいかなる二酸化炭素固体も形成されないが、溶解したメタンは煮沸して取り除かれるように温度および圧力が維持されている。一態様において、底部酸性ガス流は、30°から40°Fで生成される。
一実施形態において、一部のまたはすべての凍結したCO2粒子は、凍結域の底部のトレイ上に収集することができる。次いで粒子は、さらなる処理のために蒸留塔から運び出される。
制御された凍結域は、低温液体スプレーを含む。このスプレーは、「還流」として知られる、メタンリッチな液体流である。軽質炭化水素ガスおよび取り込まれたサワーガスの気体流が、カラムを介して上方に移動するにつれて、気体流は液体スプレーに遭遇する。低温液体スプレーは、メタンガスを蒸発させ、カラム内を上方に流動させながら、固体CO2粒子が抜け出るよう補助する。
【0010】
上部蒸留域において、メタン(またはオーバーヘッドガス)は、捕獲され、管より導き出されて販売されるか、または燃料として使用可能にされる。一態様において、オーバーヘッドメタン流は、およそ−130°Fで放出される。オーバーヘッドガスは、追加の冷却により部分的に液化され、この液体は還流としてカラムに戻ることもできる。液体還流は、通常カラムの精留セクションのトレイまたは充填物を通過して流れた後で、制御された凍結域のスプレーセクションに低温スプレーとして注入される。
上部蒸留域で生成されたメタンは、パイプラインデリバリー用の大部分の規格を満たしている。例えば、メタンは、十分な還流が生成され、および/または上部蒸留域において充填物またはトレイからの十分な分離の段階が存在する場合、パイプラインのCO2規格2モルパーセント未満、ならびにH2S規格4ppmを満たすことができる。しかし、元の生ガス流が硫化水素(または他の硫黄含有化合物)を含有する場合、これらは、二酸化炭素および硫化水素の液体塔底流で終わってしまうことになる。
【0011】
硫化水素は、空気より重質の有毒なガスである。これは、坑井および表面機器を腐食する。硫化水素が水の存在下で金属導管およびバルブに接触した場合、硫化鉄の腐食が生じ得る。したがって、硫化水素および他の硫黄成分は、これが低温蒸留カラムに入る前に、生ガス流から除去することが望ましい。これによって、「よりスウィートな」ガス流のカラムへの供給が可能となる。極低温プロセスにより生成されたCO2は、このようにH2Sを実質的に含まないので、例えば油回収の強化のために使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
サワーガス除去のために極低温蒸留を施す前に、天然の生ガス流からH2Sおよびメルカプタンの含有量を削減するシステムが必要となる。あるいは、極低温ガス分離システムおよびCFZ塔からの酸性ガス底部流の下流から硫化水素を抽出する付随的プロセスが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
サワーガス流から酸性ガスを除去するためのシステムが提供される。一実施形態において、このシステムは、酸性ガス除去システムを含む。この酸性ガス除去システムは、サワーガス流を、主にメタンから構成されるオーバーヘッドガス流と、主に二酸化炭素から構成される液化された底部酸性ガス流とに分離する極低温蒸留塔を利用している。このシステムはまた、硫黄成分除去システムを含む。この硫黄成分除去システムは、酸性ガス除去システムの上流に設置される。この硫黄成分除去システムは、生ガス流を受け取り、生ガス流を全般的に、硫化水素を有する流体流と、サワーガス流とに分離する。
サワーガス流は、およそ4ppmから100ppmの間の硫黄成分を含むことが好ましい。このような成分は、硫化水素、硫化カルボニル、および様々なメルカプタンであってよい。
極低温酸性ガス除去システムは、蒸留塔へ侵入する前にサワーガス流を冷やすための冷蔵システムを含むことが好ましい。極低温酸性ガス除去システムは、蒸留塔が、下部蒸留域および中間部の制御された凍結域を有する、「CFZ」システムであることが好ましい。中間部の制御された凍結域、または「スプレーセクション」は、主にメタンで構成される低温液体スプレーを受け取る。この低温スプレーは、蒸留塔のオーバーヘッドループ下流から生成される液体還流である。冷蔵機器は、オーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部分を低温液体還流として極低温蒸留塔へ戻すため、極低温蒸留塔の下流に提供される。
【0014】
極低温蒸留システム以外の他の酸性ガス除去システムを採用することができることを理解されたい。例えば、酸性ガス除去システムは、CO2と共にH2Sも拒絶する傾向にある物理溶媒系であってよい。この酸性ガス除去システムは、バルク分取を採用してもよい。
【0015】
様々なタイプの硫黄成分除去システムを利用することができる。これらは、サワーガス流から硫黄含有成分を分離するために物理溶媒を採用しているシステムを含む。これらはまた、レドックスプロセス、およびいわゆるスカベンジャーの使用を含んでもよい。これらはまた、いわゆる「CrystaSulf」プロセスを含んでもよい。
一態様において、硫黄成分除去システムは、少なくとも1つの固体吸着床を含む。少なくとも1つの固体吸着床は、メタンガスおよび二酸化炭素をサワーガス流として通過させる一方で、少なくとも一部の硫化水素を吸着する。この固体吸着床は、例えば、(1)ゼオライト材料から作られていてもよいし、または(ii)少なくとも1つのモレキュラーシーブを含んでもよい。固体吸着床は、少なくともいくらかの水を偶発的に吸着してもよい。
少なくとも1つの固体吸着床は、吸着動的分離床であってよい。あるいは、少なくとも1つの固体吸着床は、少なくとも3つの固体吸着床を含むこともでき、(i)少なくとも3つの固体吸着床のうちの第1の床は、硫黄成分を吸着するために使用され、(ii)少なくとも3つの固体吸着床のうちの第2の床には、再生が施され、および(iii)少なくとも3つの固体吸着床のうちの第3の床は、少なくとも3つの固体吸着床の第1の床の代替として取っておく。再生は、熱スイング吸着プロセスの一部、圧力スイング吸着プロセスの一部、またはこれらの組合せであってよい。
【0016】
別の実施形態において、硫黄成分除去システムは、選択性アミンなどの化学溶媒を採用している。この例では、硫黄成分除去システムは、複数の並流接触装置を利用することが好ましい。
物理溶媒系または化学溶媒系の代わりに、またはこれらに加えて、他のタイプの硫黄成分除去システムを利用することもできる。このような系は、レドックスシステム、少なくとも1つの固体吸着床の使用、または少なくとも1つの吸収動的分離床の使用を含み得る。
サワーガス流から酸性ガスを除去するための分離システムもまた本明細書中に提供されている。このシステムにおいて、硫化水素および他の硫黄含有化合物は、酸性ガス除去システムの下流で実質的に除去される。このシステムは、酸性ガス流を処理するように設計されている。酸性ガス流は、およそ4ppmから100ppmの間の硫黄成分を最初に含む生ガス流から得られる。
【0017】
一実施形態において、システムは、酸性ガス除去システムを含む。この酸性ガス除去システムは、生ガス流を受け取り、この生ガス流を、主にメタンで構成されるオーバーヘッドガス流と、主に二酸化炭素から構成される底部液体酸性ガス流とに分離する。硫化水素はまた、底部酸性ガス流内に存在することになる。システムはまた、硫黄成分除去システムも含む。硫黄成分除去システムは、酸性ガス除去システムの下流に設置される。硫黄成分除去システムは、底部酸性ガス流を受け取り、底部酸性ガス流を全般的に、二酸化炭素流と、主に硫黄含有化合物を有する別の流れとに分離する。
【0018】
酸性ガス除去システムは、極低温酸性ガス除去システムであることが好ましい。極低温酸性ガス除去システムは、生ガス流を受け取るための蒸留塔と、蒸留塔に侵入する前の生ガス流を冷やすための冷蔵システムとを含む。極低温酸性ガス除去システムは、蒸留塔が下部蒸留域と、中間部の制御された凍結域とを有する「CFZ」システムであることが好ましい。中間部の制御された凍結域、または「スプレーセクション」は、主にメタンで構成される低温液体スプレーを受け取る。この低温スプレーは、蒸留塔のオーバーヘッドループ下流から生成される液体還流である。冷蔵機器は、オーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部分を液体である還流として極低温蒸留塔へ戻すため、極低温蒸留塔の下流に提供される。
【0019】
様々なタイプの硫黄成分除去システムを利用することができる。一態様において、この硫黄成分除去システムは、少なくとも1つの固体吸着床を含む。この少なくとも1つの固体吸着床は、底部酸性ガス流から少なくともいくらかの硫黄含有成分を吸着し、二酸化炭素ガスを実質的に通過させる。固体吸着床は、例えば、吸着動的分離(AKS)を使用することができる。このAKS床は、少なくともいくらかの二酸化炭素を偶発的に吸着してよい。この例では、AKS硫黄成分除去システムはまた、重力分離器などの分離器を含むことが好ましい。この重力分離器は、液体の重質炭化水素成分および硫化水素を例えばガス状のCO2から分離する。
あるいは、固体吸着床は、H2Sと直接反応し、硫化鉄を形成することによってこれを除去するための鉄スポンジであってよい。
【0020】
別の態様では、硫黄成分除去システムは、抽出蒸留プロセスを含む。この抽出蒸留プロセスは、少なくとも2つの溶媒回収カラムを採用している。第1のカラムは、底部酸性ガス流を受け取り、底部酸性ガス流を、主に二酸化炭素で構成される第1の流体流と、主に溶媒および硫黄含有化合物で構成される第2の流体流とに分離する。
【0021】
本発明をより良く理解できるように、特定の図解、チャートおよび/またはフローチャートを本明細書に添付する。しかし、ここで注意すべきことは、これらの図は、本発明の選択された実施形態しか例示しておらず、したがって範囲を制限するものと考えられてはならない。なぜなら、本発明は、他の同様に効果的な実施形態および応用を受け入れることができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一実施形態における例示的なCFZ蒸留塔の側面図である。冷やされた生ガス流は、塔の中間部の制御された凍結域へと注入される。
【図2A】一実施形態における溶融トレイの平面図である。溶融トレイは、塔内において、制御された凍結域の下に存在する。
【図2B】図2Aの溶融トレイの、線2B−2Bに沿った横断面図である。
【図2C】図2Aの溶融トレイの、線2C−2Cに沿った横断面図である。
【図3】一実施形態における、蒸留塔の下部蒸留域内のストリッピングトレイの拡大側面図である。
【図4A】一実施形態において、蒸留塔の下部蒸留セクションまたは上部蒸留セクションのいずれかで使用することができるジェットトレイの透視図である。
【図4B】図4Aのジェットトレイの中の、1つの開口の側面図である。
【図5】図1の蒸留塔の中間部の制御された凍結域の側面図である。この図において、2つの例示的開口調節板が中間部の制御された凍結域に付加されている。
【図6】一実施形態において、本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設を示す概略図である。ガス処理施設は、酸性ガス除去システム上流に溶媒プロセスを採用している。
【図7A】一実施形態において、図6の溶媒系の詳細な概略図を提供している。ここで溶媒系は、硫化水素を除去するために、脱水されたガス流と接触するよう作動する物理溶媒系である。
【図7B】代替実施形態において、図6の溶媒系の詳細な概略図を提供している。ここで溶媒系は、硫化水素を除去するために、脱水されたガス流と接触するよう作動する化学溶媒系である。
【図8】一実施形態において、本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、レドックスプロセスを用いて、酸性ガス除去システムの上流でガス流から除去される。
【図9】一実施形態において、本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、スカベンジャーを用いて酸性ガス除去システムの上流でガス流から除去される。
【図10】一実施形態において、本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、CrystaSulfプロセスを用いて酸性ガス除去システムの上流でガス流から除去される。
【図11】一実施形態において、本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、熱スイング吸着システムを用いて酸性ガス除去システムの上流でガス流から除去される。
【図12】一実施形態において、本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、圧力スイング吸着システムを用いて酸性ガス除去システムの上流でガス流から除去される。
【図13】別の実施形態における本発明のガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、吸着動的分離を利用する吸着床を用いて酸性ガス除去システムの上流でガス流から除去される。
【図14】別の実施形態における本発明のガス処理施設を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、吸着動的分離を利用する吸着床を用いて酸性ガス除去システムの下流でガス流から除去される。
【図15A】別の実施形態における本発明のガス処理施設の概略図である。この配置において、硫化水素は、抽出蒸留プロセスを用いて酸性ガス除去システムの下流でガス流から除去される。
【図15B】図15Aの抽出蒸留プロセスのためのガス処理施設の詳細な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義
本明細書で使用する場合、「炭化水素」という用語は、独占的ではないが主に、元素水素および炭素を含む有機化合物を指す。炭化水素は、全般的に2つのクラスに分かれる:脂肪または直鎖炭化水素、および環式テルペンを含めた環式または閉鎖炭化水素環。炭化水素含有物質の例として、燃料として使用することができるか、または品質を向上させて燃料にすることができる、任意の形態の天然ガス、油、石炭、およびビチューメンが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用する場合、「炭化水素流体」という用語は、ガスまたは液体である、炭化水素または炭化水素混合物を指す。例えば、炭化水素流体は、形成条件、処理条件または周囲条件(15℃および1atm気圧)においてガスまたは液体である炭化水素または炭化水素混合物を含み得る。炭化水素流体は、例えば、油、天然ガス、炭層メタン、シェール油、熱分解油、熱分解ガス、石炭の熱分解生成物およびガス状または液体状態である他の炭化水素を含み得る。
「物質移動装置」という用語は、接触させるべき流体を受け取り、例えば重力流などを介してこれら流体を他の対象へと回す任意の対象を指す。1つの非限定的な例が、特定の成分をストリッピングするためのトレイである。グリッド充填はもう1つの例である。
【0025】
本明細書で使用する場合、「流体」という用語は、ガス、液体、およびガスと液体の組合せ、ならびにガスと固体の組合せおよび液体と固体の組合せを指す。
本明細書で使用する場合、「凝縮できる炭化水素」という用語は、およそ15℃および1絶対大気圧で凝縮する炭化水素を意味する。凝縮できる炭化水素は、例えば4を超える炭素数を有する炭化水素混合物を含み得る。
本明細書で使用する場合、「重質炭化水素」という用語は、1個を超える炭素原子を有する炭化水素を指す。主要な例として、エタン、プロパンおよびブタンが挙げられる。他の例として、ペンタン、芳香族、またはダイヤモンドイドが挙げられる。
【0026】
本明細書で使用する場合、「閉ループ冷蔵システム」という用語は、外部からの作用する流体、例えばプロパンまたはエチレンなどが、オーバーヘッドメタン流を冷やすための冷却剤として使用されている任意の冷蔵システムを意味する。これは、オーバーヘッドメタン流それ自体の一部分が作用する流体として使用される「開ループ冷蔵システム」と対照的である。
本明細書で使用する場合、「並流の接触装置」または「並流の接触器」という用語とは、(i)ガスの流れおよび(ii)溶媒の別の流れが、接触装置内で全般的に同じ方向に流れている間に、これらガス流と溶媒流が互いに接触するような形でこれらの流れを受ける容器を意味する。非限定的な例として、排出装置およびコアレッサー、または静的混合機プラスデリキダイザーが挙げられる。
「非吸収ガス」とは、ガススウィートニングプロセスの間に溶媒により有意に吸収されないガスを意味する。
本明細書で使用する場合、「天然ガス」という用語は、原油井(随伴ガス)または地下のガス保有構造(非随伴ガス)から得られる多成分ガスを指す。天然ガスの組成および圧力は、有意に異なる可能性がある。典型的な天然ガス流は、メタン(C1)を有意な成分として含有する。天然のガス流はまた、エタン(C2)、より高い分子量の炭化水素、および1つまたは複数の酸性ガスを含有し得る。天然ガスはまた、微量な汚染物質、例えば水、窒素、ろう、および原油などを含有し得る。
【0027】
本明細書で使用する場合、「酸性ガス」は、酸性溶液を生成する水中に溶解している任意のガスを意味する。酸性ガスの非限定的な例として、硫化水素(H2S)および二酸化炭素(CO2)が挙げられる。硫黄化合物として、二硫化炭素(CS2)、硫化カルボニル(COS)、メルカプタン、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
「液体溶媒」という用語は、酸性ガスを優先的に吸収し、これによってガス流から酸性ガス成分の少なくとも一部分を除去するまたは「スクラビングで取り除く」、実質的には液相の流体を意味する。ガス流は、炭化水素ガス流または他のガス流、例えば窒素を有するガス流などであってよい。
「スウィートニングされたガス流」とは、除去した酸性ガス成分の少なくとも一部分を有していた実質的には気相の流体流を指す。
本明細書で使用する場合、選択されたガス成分をガス流から吸収性液体で除去することに関して「リーン」および「リッチ」という用語は、相対的であり、選択されたガス成分の含有量の程度がそれぞれ、より少ないまたはより大きいことを単に意味するだけにすぎない。それぞれの「リーン」および「リッチ」という用語は、それぞれ、吸収性液体は選択されたガス成分を完全に有していないか、または選択されたガス成分をそれ以上吸収することができないかのいずれかを必ずしも示しているまたは必要とするわけではない。実際に、一連の2つ以上の接触器の中の第1の接触器内で生成されたいわゆる「リッチ」な吸収性液体は、本明細書中のこれより以下から明らかなように、残りの吸収能力を有意にまたは多く保持していることが好ましい。逆に「リーン」な吸収性液体は、大幅な吸収が可能であるが、除去されているガス成分の微量な濃縮物を保持することもできることを理解されたい。
【0029】
「生ガス流」という用語は、流体が主に気相であり、二酸化炭素、硫化水素、または他の酸性成分を除去するためのステップが行われていない炭化水素の流体流を指す。
【0030】
「サワーガス流」という用語は、流体が主に気相であり、少なくとも3モルパーセントの二酸化炭素および/または4ppmを超える硫化水素を含有する、炭化水素の流体流を指す。
本明細書で使用する場合、「表面下」という用語は、土表面の下に生じる地層を指す。
【0031】
具体的な実施形態の説明
図1は、一実施形態において本発明と関連して使用し得る極低温蒸留塔100の概略図を提示している。この極低温蒸留塔100は、本明細書中、「極低温蒸留塔」、「カラム」、「CFZカラム」、またはただの「塔」と交換可能なように呼ぶことができる。
図1の極低温蒸留塔100は、初期流体流10を受ける。この流体流10は、主に生産ガスで構成される。一般に、流体流は、坑井先端または坑井先端の一群(示されていない)からの乾燥したガス流を示し、およそ65%からおよそ95%のメタンを含有する。しかし,流体流10は、より低いパーセンテージのメタン、例えばおよそ30%から65%、またはさらに20%から40%まで低いパーセンテージのメタンを含有し得る。
【0032】
メタンは、他の炭化水素ガスの微量元素、例えばエタンなどと共に存在し得る。さらに、微量のヘリウムおよび窒素が存在し得る。本出願において、流体流10はまた特定の汚染物質も含むことになる。これら汚染物質として、酸性ガス、例えばCO2およびH2Sなどが挙げられる。
初期流体流10には、1平方インチ(psi)当たり約600ポンドの生産後圧力がかかり得る。場合によっては、初期流体流10の圧力は、およそ750psiまで、またはさらには1,000psiとなり得る。
流体流10は、通常蒸留塔100に入る前に冷やされる。熱交換器150、例えば円筒多管式熱交換器などが初期流体流10用に提供されている。冷蔵ユニット(示されていない)は、冷やされた流体(例えば液体プロパンなど)を熱交換器150に提供することによって、初期流体流10をおよそ−30°から−40°Fまで低い温度に低下させる。冷やされた流体流は、次いで膨張装置152を介して移動することができる。この膨張装置152は、例えばJoule−Thompson(「J−T」)バルブであってよい。
【0033】
膨張装置152は、流体流10のさらなる冷却を達成するために膨張器としての機能を果たす。流体流10の部分的な液化が成し遂げられるのが好ましい。Joule−Thompson(または「J−T」)バルブは、固体を形成する傾向があるガス供給流に対して好ましい。膨張装置152は、供給管における熱損失を最小限に抑え、一部の成分(例えばCO2またはベンゼンなど)がこれらの凝固点未満で滴下された場合、固体によって詰まる可能性を最小限に抑えるために、極低温蒸留塔100に近接して組み込まれるのが好ましい。
J−Tバルブの代替として、膨張器装置152は、ターボ膨張器であってよい。ターボ膨張器は、より多くの冷却をもたらし、上述した冷蔵ユニットのようなプロセス用のシャフトワークの供給元を作り出す。熱交換器150は、冷蔵ユニットの一部である。このようにして、オペレーターは、蒸留プロセスの全エネルギー所要量を最小限に抑えることができる。しかし、ターボ膨張器は、J−Tバルブのようにうまく凍結した粒子を取り扱うことはできない。
【0034】
いずれの場合にも、熱交換器150および膨張器装置152は、初期流体流10中の生ガスを冷やされた流体流12に変換する。冷やされた流体流12の温度は約−40°から−70°Fが好ましい。一態様において、極低温蒸留塔100は、およそ550psiの圧力で作動し、冷やされた流体流12は約−62°Fで作動する。一部の気体相は、冷やされた流体流12へと必然的に取り込まれてもよいが、これらの条件下では、冷やされた流体流12は、実質的に液相である。おそらく、CO2の存在下では、いかなる固体形成も生じない。
【0035】
CFZ極低温蒸留塔100は、3つの主要セクションに分けられる。これらは、下部蒸留域、または「ストリッピングセクション」106、中間部の制御された凍結域、または「スプレーセクション」108、および上部蒸留域、または「精留セクション」110である。図1の塔配置において、冷やされた流体流12は、制御された凍結域108内の蒸留塔100内に導入される。しかし冷やされた流体流12は、代わりに下部蒸留域106の最上部付近に導入されてもよい。
【0036】
図1の配置において、下部蒸留域106、中間部のスプレーセクション108、上部蒸留域110、および関連する構成要素は、単一容器100の内部に収納されていることに注意されたい。しかし、塔100の高さおよび動作の検討事項を考慮しなければならない可能性のある沖合での用途に対して、または輸送に制限があることが問題となる遠隔地に対しては、塔110を、2つの別々の圧力容器に分割してもよい(示されていない)。例えば、下部蒸留域106および制御された凍結域108を一容器に配置し、上部蒸留域108を別の容器に配置してもよい。次いで外部の配管を使用して、2つの容器を相互接続する。
【0037】
いずれの実施形態においても、下部蒸留域106の温度は、冷やされた流体流12の供給温度より高い。下部蒸留域106の温度は、カラム100の作動圧において、冷やされた流体流12中のメタンの沸点よりもかなり上になるように設計されている。この方法で、メタンは、より重質な炭化水素および液体酸性ガス成分から優先的に取り除かれる。もちろん、当業者であれば、蒸留塔100内の液体は混合物であり、すなわちこれは純粋なメタンと純粋なCO2の間のある中間の温度で液体が「沸騰する」ことを意味することを理解されたい。さらに、この混合物(例えばエタンまたはプロパンなど)の中により重質な炭化水素が存在する場合、この混合物の沸点は上昇することになる。これらの要素は、極低温蒸留塔100内の作動温度に対する設計の検討材料となる。
【0038】
下部蒸留域106において、CO2および任意の他の液相の流体は、極低温蒸留塔100の底部に向かって重力により落下する。同時に、メタンおよび他の気体相の流体は、抜け出して塔100の最上部に向かって上方に上昇する。この分離はガス相と液相の間の密度の差を介して主に遂行される。しかし、この分離プロセスは、蒸留塔100の内部の構成要素により補助されてもよい。以下に記載されているように、これらは溶融トレイ130、複数の有利に設計された物質移動装置126、および場合によるヒーター系統25を含む。サイドリボイラー(173を参照されたい)を、同様に下部蒸留域106に付加することによって、メタンの除去を促進することができる。
【0039】
再び図1を参照すると、冷やされた流体流12は、下部蒸留域106の最上部付近でカラム100に導入することができる。代わりに溶融トレイ130の上で制御された凍結域108に供給流12を導入することが望ましいこともある。冷やされた流体流12の注入点は、主に初期流体流10の組成により決定される設計上の問題である。
冷やされた流体流12の温度が、固体を予想できない位十分に高い温度である場合(例えば−70°Fを超える場合など)、冷やされた流体流12をカラム100内の2相フラッシュボックスタイプ装置(または気体分配器)124を介して下部蒸留域106へと直接注入することが好ましいこともある。フラッシュボックス124の使用は、冷やされた流体流12の中の2相の気体/液体混合物を少なくとも部分的に分離する役目を果たす。このフラッシュボックス124は、2相の流体が、フラッシュボックス124内の調節板に当たるように溝付きであってよい。
【0040】
入口温度が低いために固体が予測される場合、冷やされた流体流12は、上述のようにカラム100に供給される前に容器173内で部分的に分離する必要があり得る。この場合、冷やされた供給流12は、2つの相分離器173内で分離することによって、固体がカラム100の入口系統および内部の構成要素をふさぐ可能性を最小限に抑えことができる。ガスの気体は、容器の入口系統11を介して相分離器173から離れ、そこで入口分配器121を介してカラム100に入る。次いでこのガスは、カラム100を介して上方に進む。液体/固体スラリー13は、相分離器173から放出される。液体/固体スラリーは気体分配器124を介してカラム100および溶融トレイ130へと誘導される。液体/固体スラリー13は、重力によりまたはポンプ175によりカラム100へと供給することができる。
【0041】
いずれの配置においても、すなわち2つの相分離器173があってもなくても、冷やされた流体流12(または11)は、カラム100へと入る。液体成分は、フラッシュボックス124から離れ、下部蒸留域106内のストリッピングトレイ126の一群へと下る。このストリッピングトレイ126は、一連の堰128および下降管129を含む。これらは、図3に関連して以下でより十分に記載されている。ストリッピングトレイ126は、下部蒸留域106のより温かい温度と相まって、メタンが溶液から抜け出すように作用する。生成した気体は、煮沸で取り出されたメタンおよび任意の取り込まれた二酸化炭素分子を担持している。
気体は、溶融トレイ130の上昇管または排気筒131(図2Bに見てとれる)を介してさらに上方に前進し、凍結域108に至る。排気筒131は、凍結域108全体に渡る均一な分布のために気体分配器として作用する。次いで気体は、CO2を「凍結させる」ためのスプレーヘッダー120からの低温液体に接触する。別の言い方をすれば、CO2は、凍結し、次いで溶融トレイ130上に沈殿または「雪」として戻る。次いで固体CO2は溶融され、液体の形態で溶融トレイ130を重力によって流れ落ち、そこより下からは、下部蒸留域106を介して流れ落ちる。
【0042】
以下においてより十分に考察されている通り、スプレーセクション108は極低温蒸留塔100の中間部の凍結域である。塔100に入る前に冷やされた流体流12が容器173内で分離する交互の構成により、分離した液体/固体スラリー13の一部が溶融トレイ130のすぐ上の塔100に導入される。このようにして、酸性ガスおよびより重質な炭化水素成分の液体/固体混合物は、分配器121から流れ出ることになり、固体および液体は、溶融トレイ130上へと落ちる。
【0043】
溶融トレイ130は、液体および固体物質、主にCO2およびH2Sを、中間部の制御された凍結域108から重力によって受け取るように設計されている。溶融トレイ130は、液体および固体物質を温める役目があり、さらなる精製のためにこれらを液体形態で、下部蒸留域106を介して下向きに誘導する。溶融トレイ130は、液体プールの制御された凍結域108から固体/液体混合物を収集し、温める。溶融トレイ130は、気体流を放出して制御された凍結域108に戻し、固体CO2を溶融するための十分な熱伝達を提供し、溶融トレイ130より下のカラム100の下部蒸留域または下部蒸留域106への、液体/スラリーの排水を促進するように設計されている。
【0044】
図2Aは、一実施形態における溶融トレイ130の平面図を提供している。図2Bは、図2AのB−Bの線に沿った溶融トレイ130の横断面図を提供する。図2Cは、C−Cの線に沿った溶融トレイ130の横断面図を示す。溶融トレイ130は、これら3つの図をまとめて参照して説明されることになる。
第1に、溶融トレイ130は、底部134を含む。底部134は、実質的に平面の本体であってよい。しかし、図2A、2Bおよび2Cに示されている好ましい実施形態では、底部134は、実質的に非平面プロファイルを採用している。この非平面構成により、制御された凍結域108から溶融トレイ130上に載せられた液体および固体を接触させるための表面積が増加する。これによって、カラム100の下部蒸留域106から上へと回される気体から、液体および解凍する固体への熱伝達が増加する効果が生じる。一態様において、底部134は波形である。別の態様では、底部134は実質的に正弦曲線である。この態様のトレイ設計は、図2Bに示されている。他の非平面的配置を代わりに使用することによって、溶融トレイ130の熱伝達地域を増加させることができることを理解されたい。
【0045】
溶融トレイ底部134は傾いているのが好ましい。この傾斜は、図2Cの側面図に明示されている。大部分の固体が溶融されるべきではあるが、傾斜は、液体混合物中の任意の未溶融の固体が確かに溶融トレイ130から流れ出し、そこから下の蒸留域106に入るようにするための役目を果たす。
図2Cの図を見ると、液だめまたはチャネル138が溶融トレイ130の中心にあることを見てとれる。この溶融トレイ底部134は、チャネル138に向かって内向きに傾斜することによって、固体/液体混合物を送達する。底部134は、任意の方法で傾斜することによって、重力による液体の引抜きを促進し得る。
【0046】
米国特許第4,533,372号に記載の通り、溶融トレイは、「排気筒トレイ」と呼ばれた。これは、単一の通風用の排気筒の存在によるものであった。排気筒は、気体がこれを介して、排気筒トレイを上方に移動できる開口を提供した。しかし、単一の排気筒の存在とは、排気筒トレイを介して上方に移動するすべてのガスは、単一の開口を介して出て行かなければならないことを意味した。その一方で、図2A、2Bおよび2Cの溶融トレイ130では、複数の排気筒131が提供されている。複数の排気筒131の使用は、気体分布を向上させる。これによって、中間部の制御された凍結域108でより良い熱/物質移動が得られる。
排気筒131は、任意のプロファイルであってよい。例えば、排気筒131は、円形、四角形、または気体の溶融トレイ130の通り抜けを可能にする任意の他の形であってよい。排気筒131はまた、幅が狭く、制御された凍結域108へと上方に伸びていてもよい。これにより、気体がCFZ制御された凍結域108へと上昇するにつれて、気体を均等に分布するための有利な圧力の低下が可能となる。排気筒131は、波形の底部134の最上部に位置することによって、追加の熱伝達地域を提供することが好ましい。
【0047】
排気筒131の最上部の開口は、とびら口またはキャップ132で覆われているのが好ましい。これによって、制御された凍結域108から落下する固体が溶融トレイ130に落ちることを回避できる確率を最小限に抑える。図2A、2Bおよび2Cにおいて、キャップ132は、排気筒131のそれぞれの上に見られる。
【0048】
溶融トレイ130はまた、バブルキャップを装備するように設計されていてもよい。このバブルキャップは、溶融トレイ130の底面から上昇する、底部134の凸状の出入りと定義される。バブルキャップは、溶融トレイ130の表面積をさらに増加することによって、CO2リッチな液体への追加の熱伝達を提供する。この設計を用いて、適切な液体の引抜き、例えば傾斜角の増加などが、液体が下のストリッピングトレイ126に確実に誘導されるように提供されるべきである。
【0049】
再び図1を参照すると、溶融トレイ130はまた、外部液体移動システム付きで設計することもできる。この移動システムは、すべての液体が固体を実質的に含まず、十分な熱伝達が提供されることを確実にする役目を果たす。移動システムは第1に引抜きノズル136を含む。一実施形態においてこの引抜きノズル136は、引抜き液だめ内に存在するか、またはチャネル138内に存在する(図2Cに示されている)。チャネル138で収集された流体は、移動ライン135に送達される。移動ライン135を介した流れは制御バルブ137およびレベルコントローラー「LC」により制御することができる(図1に見てとれる)。流体は、移動ライン135を介して下部蒸留域106に戻る。液体レベルが高すぎる場合、制御バルブ137は開く。レベルが低すぎる場合、制御バルブ137は閉じる。オペレーターが下部蒸留域106の移動システムを採用しないことを選択した場合、制御バルブ137は閉じられ、流体は直接物質移動装置へと誘導されるか、またはストリッピングのためにオーバーフロー下降管139を介して溶融トレイ130の下の「ストリッピングトレイ」126へと誘導される。
外部移動システムが使用されるかどうかに関わらず、固体CO2は溶融トレイ130上で温められ、CO2リッチな液体へと変換される。溶融トレイ130は、下部蒸留域106からの気体によって下側から加熱される。様々な手段例えばヒーターライン25などを用いて、補助的な熱を、溶融トレイ130に、または溶融トレイ底部134のちょうど上に、付加してもよい。ヒーターライン25は、底部リボイラー160からすでに入手可能な熱エネルギーを利用することによって、固体の解凍を促進する。
【0050】
CO2リッチな液体は、液体レベル制御下の溶融トレイ130から引き抜かれ、重力によって下部蒸留域106へと導入される。記述されているように、溶融トレイ130の下の下部蒸留域106には複数のストリッピングトレイ126が提供されている。ストリッピングトレイ126は、1つのトレイが他の上にある、実質的に平行な関係にあるのが好ましい。ストリッピングトレイ126のそれぞれは、液体レベルがトレイ上に維持されるように堰を備え、極めてわずかに傾斜して位置していてもよい。流体は、堰の上を、各トレイに沿って重力により流れ、次いで下降管を介して次のトレイへと流れ落ちる。
ストリッピングトレイ126は、様々な配置にすることができる。ストリッピングトレイ126は、全般的に水平な関係に配置することによって、行ったり来たりする、カスケード式の液体流を形成することができる。しかし、ストリッピングトレイ126は、実質的に同じ水平面に沿って別個のストリッピングトレイにより分割されているカスケード式の液体流を作り出すように配置されるのが好ましい。これは図3の配置に示されており、この配置では、液体が別個のトレイを横切って流れ、2つの対向する下降管129へと落ちるように、液体流は少なくとも一度分割される。
【0051】
図3は、一実施形態におけるストリッピングトレイ126配置の側面図を提供している。ストリッピングトレイ126のそれぞれは、上からの流体を受け、これらを収集する。各ストリッピングトレイ126は、ダムとして機能することによって、ストリッピングトレイ126のそれぞれ上に流体の小さなプールを収集することを可能にする堰128を有するのが好ましい。蓄積は、1/2から1インチであってよいが、任意の高さを採用してもよい。流体が1つのトレイ126から次の下位のトレイ126へと落ちることにより、堰128によって落水効果が生まれる。一態様では、ストリッピングトレイ126は傾斜がないが、この落水効果は、堰128をより高くする構成を介して作り出される。流体は、トレイ126のこの「接触地域」において、直交して流れる液体からメタンを取り出す、より軽質な炭化水素リッチな上昇気体と接触する。堰128は、下降管129を動的にふさぐように働くことによって、気体が下降管129を介して迂回するのを防止し、炭化水素ガスの脱出をさらに促進する手助けを行う。
【0052】
液体が下部蒸留域106を介して下向きに移動するにつれて液体中のメタンのパーセンテージは、ますます小さくなる。蒸留の程度は、下部蒸留域106内のトレイ126の数に依存する。下部蒸留域106の上の部分では、液体のメタン含有量は、25モルパーセントまで高くなり得るが、ストリッピングトレイの底部では、メタン含有量は、0.04モルパーセントまで低くなり得る。メタン含有物は、ストリッピングトレイ126(または他の物質移動装置)に沿って急速にフラッシュされる。下部蒸留域106において使用される物質移動装置の数は、生ガス流10の組成に基づく設計上の選択の問題である。しかし、例えば液化された酸性ガスにおいて所望の1%以下のレベルまでメタンを除去するためには、わずか数レベルのストリッピングトレイ126の利用しか通常必要とされない。
【0053】
メタンの脱出を促進する様々な個別のストリッピングトレイ126構成を採用してもよい。ストリッピングトレイ126は、篩の穴またはバブルキャップを有するパネルを単に示し得る。しかし、流体に対するさらなる熱伝達を提供し、固体が原因の望ましくない遮断を防止するため、いわゆる「ジェットトレイ」を溶融トレイの下に採用してもよい。トレイの代わりに、ランダムなまたは構造化された充填物を採用してもよい。
【0054】
図4Aは、一実施形態における例示的ジェットトレイ426の平面図を提供している。図4Bは、ジェットトレイ426からのジェットタブ422の横断面図を提供している。示されているように、各ジェットトレイ426は、本体424を有し、複数のジェットタブ422が、本体424内に形成されている。各ジェットタブ422は、開口425を覆う傾いたタブ部材428を含む。したがって、ジェットトレイ426は、複数の小さい開口425を有する。
【0055】
作動中、1つまたは複数のジェットトレイ426は、塔100の下部蒸留域106および/または上部蒸留域110に位置することができる。トレイ426は、複数の通路、例えば図3のストリッピングトレイ126のパターンなどを用いて配置することができる。しかし、メタンガスの脱出を促進するものであればいかなるトレイまたは充填物の配置も利用することができる。流体は、各ジェットトレイ426上に滝のように落ちる。次いで流体は本体424に沿って流れる。タブ422は、流体がトレイ426上を、急速におよび効率的に移動するよう、最適に方向づけられている。隣接した下降管(示されていない)が提供されることによって、それに続くトレイ426に液体を移動させてもよい。開口425はまた、下部蒸留域106で流体移動のプロセス中に放出されたガスの気体が、溶融トレイ130へと、および排気筒131を介して、より効率的に上方に進むことを可能にする。
【0056】
一態様において、トレイ(例えばトレイ126または426など)は、耐付着性物質、すなわち、固体の蓄積を防止する物質から作製ことができる。耐付着性物質をある処理機器において利用することによって、腐食性金属粒子、ポリマー、塩、水和物、触媒微粉、または他の化学固体化合物の蓄積を防止する。極低温蒸留塔100の場合、耐付着性物質を、トレイ126または426において使用することによって、CO2固体の固着を制限することができる。例えば、テフロン(商標)コーティングを、トレイ126または426の表面に適用することができる。
代わりに、CO2が確実にカラム100の内径に沿って固体形態で蓄積し始めないようにするため、物理的設計を提供することもできる。この点において、カラム100の壁に沿って液体が推し進められるようにジェットタブ422の方向を合わせ、これによってカラム100の壁に沿って固体が蓄積するのを防止し、優れた気体と液体の接触を確実にすることができる。
【0057】
トレイ配置のいずれにおいても、下方に流れる液体が、ストリッピングトレイ126に達すると、物質分離が生じる。メタンガスは、溶液から抜け出し、気体の形態で上方に移動する。しかしCO2は、温度が一般的に十分低く、濃度が十分高いので、主にその液体の形態のままであり、下部蒸留域106の底部へと下方に移動するが、ただし、一部のCO2は、プロセス中にどうしても気化することになる。次いで液体は、底部流体流22として出口ラインから極低温蒸留塔100の外へ出る。
【0058】
蒸留塔100から出る際に、底部流体流22は、リボイラー160に入る。図1において、リボイラー160は、再沸騰させた気体をストリッピングトレイの底部に提供する反応窯タイプの容器である。再沸騰させた気体のラインが、27に見てとれる。さらに、再沸騰させた気体が、ヒーターライン25を介して送達されることによって、溶融トレイ130に補助的な熱を提供することができる。この補助的な熱は、バルブ165および温度コントローラーTCを介して制御されている。代わりに、熱交換器、例えば熱サイホン式熱交換器など(示されていない)を使用することによって、初期流体流10を冷却して、エネルギーを効率的に利用することができる。この点において、リボイラー160に入る液体は、比較的低温、例えばおよそ30°から40°Fのままである。初期流体流10を統合した熱によって、オペレーターは、生産流体流10を事前冷却しながら、蒸留塔100からの冷たい底部の流体流22を温め、部分的に沸騰することができる。この場合に対して、ライン25を介して補助的な熱を提供する流体は、リボイラー160からの気体相の戻りである。
【0059】
一部条件下では、溶融トレイ130は、ヒーターライン25なしで作動することができることが予期される。これらの場合には、溶融トレイ130は、内部加熱機能例えば電気ヒーターなどを付けて設計することができる。しかし、底部の流体流22において利用できる熱エネルギーを採用している熱システムが提供されることが好ましい。ヒーターライン25の温かい流体は、一態様において30°から40°Fで存在し、よって、これらは相対的熱エネルギーを含有する。したがって、図1において、ヒーターライン25の温かい気体流は、溶融トレイ130上の加熱コイル(示されていない)を介して溶融トレイ130に誘導されていることが示されている。代わりに温かい気体流は、移動ライン135につながっていてもよい。
【0060】
作動中、再沸騰させた気体流の大部分は、ライン27を介して、底部の液体レベルより上で、および最後のストリッピングトレイ126において、またはこれよりも下で、カラム底部に導入される。再沸騰させた気体が各トレイ126を介して上方へと回るにつれて、残留するメタンは液体から取り除かれる。この気体は、塔を上方に移動するにつれて冷たくなる。ライン27からの気体流が波形の溶融トレイ130に到達するまでには、温度はおよそ−20°Fから0°Fまで降下し得る。しかし、気体流は、溶融トレイ130上の溶融固体(おそらく約−50°Fから−70°F)と比較して、かなり温かいままである。この気体は、これが溶融トレイ130と接触した場合、固体CO2を溶融するだけの十分なエンタルピーを依然として有する。
【0061】
再びリボイラー160に戻ると、液体形態でリボイラー160を出る底部流24内の流体は、膨張器バルブ162を通過してもよい。膨張器バルブ162は、底部液体生成物の圧力を減少させ、冷蔵効果を効果的に提供する。したがって、冷やされた底部流26が提供される。リボイラー160を出るCO2リッチな液体は、1つまたは複数のAGI坑井(図1の250に概略的に見てとれる)を介して穴の下方にポンプで送り込むことができる。いくつかの状況において、液体CO2は、強化された油回収プロセスの一部として、部分的に回収された油貯留層にポンプで送り込むことができる。したがって、CO2は、混和性注入物質となることができる。代替案として、CO2は、油回収を強化するための混和性フラッディング剤として使用することもできる。
【0062】
再び塔100の下部蒸留域106を参照すると、ガスは、溶融トレイ130の排気筒131を介して、下部蒸留域106を上方に移動し、制御された凍結域108に至る。制御された凍結域108は、複数のスプレーノズル122を有する開口チャンバーと定義される。気体が制御された凍結域108を介して上方に移動するにつれて、気体の温度は非常に低くなる。気体はスプレーノズル122から出る液体メタン(「還流」)と接触する。この液体メタンは、熱交換器170を含む外部冷蔵ユニットにより冷やされているので上方に移動する気体よりも非常に冷たい。1つの配置において、液体メタンは、約−120°Fから−130°Fの温度でスプレーノズル122から出る。しかし、液体メタンが蒸発するにつれ、液体メタンはその周辺からの熱を吸収し、これによって上方に移動する気体の温度を減少させる。気化したメタンはまた、その密度の減少(液体メタンと比較して)および蒸留塔100内の圧力勾配により上方に流れる。
【0063】
メタンの気体が極低温蒸留塔100をさらに上に移動するにつれて、これらは、中間部の制御された凍結域108を離れ、上部蒸留域110に入る。気体は、元の冷やされた流体流12から抜け出した他の軽質ガスと共に上方に移動し続ける。一緒になった炭化水素気体は、極低温蒸留塔100の最上部から外へ出て、オーバーヘッドメタン流14となる。
【0064】
オーバーヘッドメタン流14内の炭化水素ガスは、外部冷蔵ユニット170へと移動する。一態様において、冷蔵ユニット170は、オーバーヘッドメタン流14をおよそ−135°から−145°Fまで低い温度に冷やすことが可能なエチレン冷却剤または他の冷却剤を使用する。これは、オーバーヘッドメタン流14を少なくとも部分的に液化する働きをする。次いで冷蔵されたメタン流14は、還流凝縮器または分離チャンバー172に移動する。
【0065】
分離チャンバー172を使用して、「液体還流」18と時々呼ばれる液体からガス16を分離する。ガス16は、元の生ガス流10からのより軽質な炭化水素ガス、主にメタンを表す。窒素およびヘリウムもまた存在し得る。メタンガス16は、もちろん、いかなる微量のエタンと共に、最終的に捕獲が模索され、商業的に販売されることになる「製品」である。オーバーヘッドメタン流14のこの非液化部分も現場での燃料に利用できる。
冷蔵ユニット170を出るオーバーヘッドメタン流14の一部分は凝縮される。この部分は、分離チャンバー172で分離され、塔100に戻される液体還流18である。ポンプ19を使用することによって、液体還流18を移動させて塔100に戻すことができる。代わりに、分離チャンバー172を塔100の上に組み込むことによって、液体還流18の重力供給を提供する。この液体還流18は、上部蒸留域110から逃れたあらゆる二酸化炭素を含むことになる。しかし、液体還流18の大部分は、窒素(存在する場合、初期流体流10の中)および微量の硫化水素(存在する場合、同様に初期流体流10の中)と共に、通常95%以上がメタンである。
【0066】
1つの冷却配置において、オーバーヘッドメタン流14は、開ループ冷蔵システム、例えば図6に示され、図6に関連して記載されている冷蔵システムなどを介して取り出される。この配置において、クロス交換器を介して、オーバーヘッドメタン流14を取り出すことによって、液体還流18として使用されたオーバーヘッドメタン流の戻された部分を冷やす。その後、このオーバーヘッドメタン流14をおよそ1,000psi〜1,400psiに加圧し、次いで外気、および場合により外部プロパン冷却剤を用いて冷却する。次いでこの加圧して、冷やされたガス流をさらに冷却するために、膨張器を介して誘導する。ターボ膨張器を使用することによって、さらにより多くの液体ならびにいくらかのシャフトワークを回収することができる。「Process For Separating a Multi-Component Gas Stream Containing at Least One Freezable Component」という表題の米国特許第6,053,007号は、オーバーヘッドメタン流の冷却について記載し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0067】
本発明は、オーバーヘッドメタン流14に対する冷却方法により限定されるものではないことをここで理解されたい。冷蔵ユニット170と初期冷蔵ユニット150との間の冷却の程度は異なってもよいこともまた理解されたい。場合によっては、冷蔵ユニット150をより高い温度で作動させるが、次いで冷蔵ユニット170におけるオーバーヘッドメタン流14の冷却をより強力にすることが望ましいこともある。繰り返すが、本発明はこれらの種類の設計上の選択に限定されない。
【0068】
再び図1に戻ると、液体還流18は、上部蒸留域110に戻される。次いで液体還流18は、上部蒸留域110内の1つまたは複数の物質移動装置116を介して重力によって運ばれる。一実施形態においてこの物質移動装置116は、上述のトレイ126と同様に、カスケード式の一連の堰118および下降管119を提供する精留トレイである。
液体還流流18からの流体が精留トレイ116を介して下向きに移動するにつれて、追加のメタンが上部蒸留域110から気化する。このメタンガスは、オーバーヘッドメタン流14に再び加わることによって、ガス生産物流16の一部になる。しかし、液体還流18中に残留する液相は、収集トレイ140上に落ちる。これによって、液体還流流18は、制御された凍結域108から上方に移動する少ないパーセンテージの炭化水素および残留酸性ガスを必然的に拾い上げることになる。メタンおよび二酸化炭素の液体混合物が、収集トレイ140において収集される。
【0069】
収集トレイ140は、液体を収集するための実質的に平面の本体と定義されるのが好ましい。しかし、溶融トレイ130と同様に、収集トレイ140は、制御された凍結域108から来るガスを通風するための、1つ、好ましくは複数の排気筒も有する。排気筒およびキャップの配置、例えば図2Bおよび2Cにおいて構成要素131および132で提示されているものなどを使用することができる。収集トレイ140用の排気筒141およびキャップ142は、図5の拡大図で示され、以下でさらに考察されている。
【0070】
上部蒸留域110において、存在するあらゆるH2Sは、処理温度において、ガス中に溶解されていることよりも、液体中に溶解されていることが優先されることをここで注意されたい。この点において、H2Sは、相対的不安定さが比較的低い。残留気体をより多く液体に接触させることによって、極低温蒸留塔100は、H2S濃度を所望のパーツパーミリオン(ppm)の限界内、例えば10またはさらには4ppm規格まで押し下げる。上部蒸留域110内で物質移動装置116を介して流体が移動するにつれて、H2Sは、液体メタンと接触し、気体相から引き出され、液体流20の一部となる。そこから、H2Sは、液体形態で下部蒸留域106を介して下向きに移動し、最終的に液化された底部酸性ガス流22の一部として極低温蒸留塔100を出る。供給流内にH2Sが少ししか、もしくは全く存在しない場合、またはH2Sが上流プロセスにおいて選択的に取り出された場合には、オーバーヘッドガス中にH2Sは実質的には全く存在しないことになる。
【0071】
極低温蒸留塔100において、収集トレイ140で捕獲された液体は、液体流20として上部蒸留域110から引き出される。液体流20は、主にメタンから構成される。一態様において、液体流20は、およそ93モルパーセントのメタン、3%のCO2、0.5%のH2S、および3.5%のN2から構成される。この時点で、液体流20は、およそ−125°Fから−130°Fである。これは液体還流流18よりもわずかに温かいだけである。液体流20は、還流ドラム174へと誘導される。還流ドラム174の目的はポンプ176に対してサージ能力を提供することである。還流ドラム174から出る際に、スプレー流21が作り出される。スプレー流21は、ポンプ176で加圧されて極低温蒸留塔100への第2の再導入がなされる。この例では、スプレー流21は、中間部の制御された凍結域108へとポンプで送り込まれ、ノズル122を介して排出される。
【0072】
スプレー流21のある部分、特にメタンは、ノズル122を出る際に気化および蒸発する。そこからメタンは、制御された凍結域108を介し、収集トレイ140内の排気筒を介し、および上部蒸留域110内の物質移動装置116を介して上昇する。メタンは、オーバーヘッドメタン流14として蒸留塔100を離れ、最終的にガス流16内の商品の一部となる。
【0073】
ノズル122からのスプレー流21はまた、二酸化炭素をガス相から脱昇華させる。これに関して、最初に液体メタン中に溶解したCO2は、一瞬ガス相に入り、メタンと共に上方に移動することができる。しかし、制御された凍結域108内では温度が低温のため、いずれのガス状二酸化炭素も、急速に核となり、凝集して固相となり、「雪」が降り始まる。この現象を脱昇華と呼ぶ。このように、一部のCO2は、それが溶融トレイ130にぶつかるまで、再び液相になることは決してない。この二酸化炭素は溶融トレイ130上に「雪」として降り、液相へと溶融する。そこから、CO2リッチな液体は、下部蒸留域106内の物質移動装置またはトレイ126を、上述の冷やされた生ガス流12からの液体CO2と共に滝のように落下する。その時点で、ノズル122のスプレー流21からの残留するあらゆるメタンは、気体となって急速に抜け出すはずである。これらの気体は極低温蒸留塔100内を上方に移動し、上部蒸留域110に再び入る。
【0074】
塔100を上方へ移動しているガスに、冷やされた液体をできるだけ多く接触させることが望ましい。気体がノズル122から発するスプレー流21を迂回すると、より高いレベルのCO2が塔100の上部蒸留域110に到達することができることになる。制御された凍結域108内のガス/液体の接触の効率を向上させるため、設計された構成を有する複数のノズル122を採用することができる。したがって、還流の流体流21を有する、単一のスプレー供給元を1つまたは複数のレベルで採用するよりも、複数のスプレーノズル122を有するように設計されてもよい、いくつかのスプレーヘッダー120を使用してもよい。このように、スプレーノズル122の構成は、制御された凍結域108内で生じる熱および物質移動に対して影響がある。また、ノズルそれ自体も液滴の粒度およびこれら液滴の領域分布が最適となるよう設計することができる。
【0075】
本発明の譲受人は、2007年11月20日の国際出願日を有する同時係属の国際特許公開第2008/091316号において、様々なノズル配置をこれまで提唱してきた。その出願および図6Aおよび6Bは、ノズル構成を教示するために本明細書に参照により組み込まれている。ノズルは、制御された凍結域108内での360°の適用範囲を確実にし、優れた気体/液体の接触および熱/物質の移動を提供することを追求している。これにより、今度は、極低温蒸留塔100を介して上方に移動するあらゆるガス状二酸化炭素がより効果的に冷やされる。
【0076】
完璧な適用範囲のための複数のヘッダー120および対応するオーバーラップノズル122の配置の使用は、逆混合も最小限に抑える。この点において、適用範囲が完璧となることによって、微細な、低質量のCO2粒子が蒸留塔100に戻り、上部蒸留域110へ再び入ることが防止される。次いでこれらの粒子はメタンと再混合され、オーバーヘッドメタン流14へ再び入ることになり、再びリサイクルされるだけとなる。
【0077】
図1に関連して記載されている上記酸性ガス除去システムは、実質的に酸性ガスを含まない商業用メタン生成物16を生産するために有利である。生成物16は液化されているのが好ましく、販売のためパイプラインの下方に送られる。この液化ガス生成物は、十分な還流が生成される、パイプラインCO2規格である1〜4モルパーセントを満たしているのが好ましい。二酸化炭素および硫化水素は底部流22を介して除去される。
場合によっては、生の初期流体流10中の比較的に多量なCO2と共に少量のH2Sが存在する。この場合、「きれいな」液体CO2流が底部流22で生成され得るように、極低温蒸留塔の前でH2Sを選択的に除去することが望ましいこともある。このような方法で、CO2は、油回収(「EOR」)作業の強化のために貯留層へと直接注入されてもよい。したがって、塔100などの極低温蒸留塔内で酸性ガス除去が行われる前に初期流体流10と共に生成される硫黄成分の一部分を除去するためのシステムおよび方法が、本明細書中で提案されている。
【0078】
ガス流から硫黄成分を除去するためのいくつかのH2S選択プロセスが本明細書中で提案されている。水性プロセスおよび非水性プロセスの両方が記載されている。これらプロセスは、任意のスルフヒドリル化合物、例えば硫化水素(H2S)など、およびメルカプタンとして知られている、またチオール(R?SH)としても知られている(式中、Rは炭化水素基である)、スルフヒドリル(?SH)基を有する有機硫黄化合物を除去することが好ましい。
酸性ガス除去システムの上流で硫黄成分を除去するための第1の方法は、溶媒の使用を採用する。特定の溶媒は、硫化水素に対して親和性を有し、メタンからH2Sを分離するために使用することができる。溶媒は、物理溶媒または化学溶媒のいずれかであってよい。
【0079】
図6は、一実施形態においてガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設600を示す概略図である。このガス処理施設600は、酸性ガス除去システムの上流に溶媒プロセスを採用している。酸性ガス除去システムは、全般的に650で示され、溶媒プロセスは、ブロック605で示されている。酸性ガス除去システム650は、ブロック100において分離容器を含む。ブロック100は、図1の制御された凍結域塔100を全般的に示している。しかし、ブロック100はまた、バルク分取塔などの任意の極低温蒸留塔も表すことができる。
図6において、生産ガス流は612において示されている。ガス流612は、貯留層発生領域、または「フィールド」610の中で行われる炭化水素生産活動から始まる。フィールド610は、ガス状炭化水素が生成されるいかなる場所も表すことができることを理解されたい。
フィールド610は、陸上、海岸付近または沖合にあってもよい。このフィールド610は、元の貯留層圧力から作動してもよいし、または強化された回収手順が施されてもよい。本明細書中で特許請求されているシステムおよび方法は、硫化水素および二酸化炭素が混入した炭化水素を生成するものであれば、開発中であるフィールドの種類に限定されない。炭化水素は、主にメタンを含むことになるが、2〜10モルパーセントのエタンおよび他の重質炭化水素、例えばプロパンなどまたはさらに微量のブタンおよび芳香族炭化水素も含み得る。
【0080】
ガス流612は、「生」であり、これは酸性ガス除去プロセスが施されていないことを意味する。生ガス流612は、パイプライン、例えば、フィールド610からガス処理施設600までを通過してもよい。ガス処理施設600に到着した時点で、ガス流612は、例えばグリコール脱水容器などの脱水プロセスを介して誘導されてもよい。脱水容器は、620で概略的に示されている。生ガス流612を脱水容器620に通した結果、水流622が生成される。場合によっては、水のこぼれ落ちおよび水和物の形成を防止するためにこの生ガス流612を、モノエチレングリコール(MEG)と混合してもよい。MEGは、例えばチラー上にスプレーしてもよく、チラーおよび注入ガス組成物の温度により、液体が収集されて、水、より濃縮したMEG、および場合によりいくらかの重質炭化水素へと分離されてもよい。
水流622は、水処置施設へ送られてもよい。代わりに、水流622は、地下構造へ再注入することもできる。地下構造はブロック630で示されている。さらに代替法として、除去した水流622を処理することによって環境基準を満たし、次いで処理済みの水としてその地域の流域(示されていない)へと放出することができる。
【0081】
さらに、生産ガス流612を脱水容器620に通した結果、実質的に脱水されたメタンガス流624が生成される。脱水されたガス流624は、微量の窒素、ヘリウムおよび他の不活性ガスを含有し得る。本発明のシステムおよび方法に関連して、脱水されたガス流624はまた二酸化炭素および少量の硫化水素も含む。ガス流624は、他の硫黄成分、例えば硫化カルボニル、二硫化炭素、二酸化硫黄、および様々なメルカプタンなどを含有し得る。
【0082】
脱水されたガス流624は、予備の冷蔵ユニット625を通過してもよい。冷蔵ユニット625は、脱水されたガス流624を、およそ20°Fから50°Fまで低い温度に冷やす。冷蔵ユニット625は、例えば、空気冷却器またはエチレンもしくはプロパンの冷蔵庫であってよい。
【0083】
硫化鉄腐食を防止するために脱水されたガス流624から硫黄成分を除去することが望ましい。ガス処理施設600に従い、溶媒系605が提供される。脱水されたガス流624は、溶媒系605に入る。溶媒系605は、ガス流624を溶媒に接触させることによって、吸収プロセスを介して硫化水素を除去する。これは、比較的低温および比較的に高圧で行われ、このプロセス中の酸性ガス成分の溶解度は、メタンのそれを超える。
記述されているように、溶媒系605は、物理溶媒系または化学溶媒系のいずれかであってよい。図7Aは、一実施形態における物理溶媒系705Aの概略図を、提供している。物理溶媒系705Aは、硫黄成分を除去するために脱水されたガス流624を接触させるよう作動する。
【0084】
適切な物理溶媒の例として、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、メチルシアノアセテート、および冷蔵したメタノールが挙げられる。物理溶媒の好ましい例は、スルホランであり、この化学名はテトラメチレンスルホンである。スルホランは、スルホニル官能基を含有する有機硫黄化合物である。スルホニル基は、2個の酸素原子と二重結合した硫黄原子である。硫黄酸素二重結合は、極めて極性であり、水中での高い溶解度を可能にする。同時に、4個の炭素の環は、炭化水素に対して親和性を提供する。これらの特性は、スルホランに、水と炭化水素の両方に対する混和性を与え、その結果、スルホランは、炭化水素混合物を精製するための溶媒として広範囲に使用されている。
好ましい物理溶媒はSelexol(商標)である。Selexol(商標)は、Dow Chemical Companyの子会社であるUnion Carbideのガス処理製品の商標名である。Selexol(商標)溶媒は、ポリエチレングリコールのジメチルエーテルの混合物である。このようなある成分の一例がジメトキシテトラエチレングリコールである。Selexol(登録商標)はまた初期流体流10中の任意の重質炭化水素ならびにいくらかの水を拾い上げる。初期流体流10が開始時点でかなり乾燥している場合、Selexol(商標)を使用することで、他の脱水の必要性を排除することができる。Selexol(商標)溶媒が冷やされており、次いでCO2で事前に飽和させている場合、Selexol(商標)溶媒はH2Sに対して選択性があることをここで注意されたい。
【0085】
図7Aを参照すると、脱水されたガス流624が注入分離器660に入るのが見てとれる。ガス流624をきれいに保つことによって酸性ガス除去プロセスの間液体溶媒の泡立ちを防止することが望ましいことを理解されたい。したがって、注入分離器660を使用して、液体不純物、例えば油ベースの掘削流体および泥を濾過除去する。いくらかの粒子の濾過も行うことができる。ブラインは、上流脱水容器620を用いてふるい落とすことが好ましい。しかし、注入分離器660は、いかなる凝縮した炭化水素も除去することができる。
【0086】
掘削流体および凝縮した炭化水素などの液体は、注入分離器660の底部から滴下される。液体の不純物流は662に見てとれる。水ベースの不純物は、通常水処置施設(示されていない)に送られるか、または貯留層圧力を維持するため、または処分のために構造630に再注入され得る。炭化水素液体は、一般的に凝縮物処理施設に送られる。ガスは、注入分離器660の最上部から出る。浄化されたガス流が664に見てとれる。
【0087】
浄化したガス流664は、ガスからガスの交換器665へと誘導されてもよい。ガスからガスの交換器665は、浄化されたガス流664内のガスを事前に冷却する。次いで浄化されたガスは、吸収体670へと誘導される。吸収体670は、吸収剤を受け取る、逆流接触塔であることが好ましい。図7Aの配置で、浄化されたガス流664は、塔670の底部に入る。同時に、物理溶媒696は、塔670の最上部に入る。塔670は、トレイ付の塔、充填された塔、または他の種類の塔であってよい。
【0088】
ガス/液体の接触のために設計された、任意の数の、塔でない装置も代わりに利用することができることを理解されたい。これらは、静的混合機および並流の接触装置を含み得る。図7Aの逆流塔670は、単に例示的目的のためだけである。注意することは、ガスと液体の接触容器のための小型の、並流接触器の使用は、全体の設置面積および物理溶媒系705Aの質量を削減できるので好ましい。
吸収剤は、例えば、H2Sおよび偶発的にいくらかのCO2を「ふるい落とす」ため浄化されたガス流664と混合される溶媒であってよい。吸収剤は、具体的には、上述のSelexol(登録商標)であってよい。吸収剤と接触させるプロセスの結果、軽質ガス流678が生成される。軽質ガス流678は、塔670の最上部から出てくる。軽質ガス流678は、メタンおよび二酸化炭素を含有する。軽質ガス流678は、図6においてブロック100で概略的に示されている、極低温蒸留塔に誘導される前に冷蔵プロセスを通過する。
【0089】
一瞬だけ図6に戻ってこれを参照すると、軽質ガス流678は、物理溶媒系705Aを出て、チラー626を通過する。チラー626は、軽質ガス流678を、およそ−30°Fから−40°Fまで低い温度に冷やす。チラー626は、例えば、エチレンまたはプロパンの冷蔵庫であってよい。
軽質ガス流678は、次に膨張装置628を介して移動するのが好ましい。この膨張装置628は、例えば、Joule−Thompson(「J−T」)バルブであってよい。膨張装置628は、軽質ガス流678のさらなる冷却を達成するために膨張器としての機能を果たす。膨張装置628は、軽質ガス流678の温度を、例えば、およそ−70°Fから−80°Fまで低い温度にさらに減少させる。ガス流678の少なくとも部分的な液化も達成されるのが好ましい。冷却したサワーガス流がライン611で生成する。
【0090】
再び図7Aを参照すると、接触塔670は、硫黄成分を拾い上げることになる。これらは、「リッチ」な溶媒として塔670の底部から放出される。リッチ溶媒流672が塔670を出るのが見てとれる。リッチ溶媒流672は、いくらかの二酸化炭素も含み得る。
図7Aの配置において、リッチ溶媒流672は、パワー回収タービン674を介して運ばれる。これにより、物理溶媒系705Aのための電気的エネルギーの生成が可能となる。ここから、リッチ溶媒流672は、一連のフラッシュ分離器680を介して運ばれる。図7Aの例示的配置において、3つの分離器が、682、684および686において示されている。分離器682、684、686は、物理溶媒プロセスに従い、より低い温度および圧力で連続的に作動する。
【0091】
第1の分離器682は、例えば、500psiの圧力および90°Fの温度で作動してもよい。第1の分離器682は、リッチ溶媒流672中に取り込まれた軽質ガスを放出する。681に示されているこれら軽質ガスは、主にメタンおよび二酸化炭素を含むが、微量のH2Sを有する可能性がある。この軽質ガス681は、極低温蒸留塔100に誘導されてもよい(図7Aには示されていない)。これらのガスは、軽質ガス流678と合わせることができる。軽質ガス681は、コンプレッサー690を介して移動することによって、流れ611として極低温蒸留塔100に行く途中で圧力を押し上げることが好ましい。蒸留塔100が溶媒プロセス705Aの第1のフラッシュ段階、すなわち第1の分離器682よりも低い圧力で作動している場合、圧縮は必要でないこともある。この場合、流れ681および678を合わせることができるよう、圧力低下がオーバーヘッド流678に対して必要となる。この圧力低下は、極低温蒸留塔100付近でJ−Tバルブにより誘発されてもよい。もちろん、流れ681は、J−Tバルブの下流に導入されなければならない。
【0092】
理想的には、浄化されたガス流664からのすべての硫化水素およびいずれの重質炭化水素も、リッチな溶媒流672で捕獲される。次第にリッチになる溶媒流は、各分離器682、684、686から放出される。これら次第にリッチになる流れは、ライン683、685および687と表示されている。したがって、物理溶媒は、一般的に圧力減少により再生され、あらゆる溶解されたメタンおよび二酸化炭素を溶媒からフラッシュさせる。
ライン687は、いくらかのCO2は取り出されているが、溶媒流687は十分に再生されていないので、「セミリーン」溶媒流である。溶媒流687の一部分は、ブースターポンプ692を介して運ばれ、接触塔の中間レベルにおいてセミリーン溶媒として接触塔670に再導入される。693に示された、残りの部分は、再生容器652に誘導される。
【0093】
3つの分離器のうちの第2の684および第3の686と関連して、これら分離器684、686のそれぞれもまた、非常に少量の軽質ガスを放出することに注意されたい。これら軽質ガスは、少量のメタンと共に二酸化炭素を主に含むことになる。これらの軽質ガスは、689で2つの別々のラインで示されている。軽質ガス689は、圧縮され、ライン611と合わせられ、次いで極低温蒸留塔100に誘導されてもよい。代わりに、ライン689からの軽質ガスは、図6において642で示されている液化された底部酸性ガス流に直接送達されてもよい。
【0094】
上流でのH2S除去に対して物理溶媒を用いることの1つの利点は、溶媒は一般的に吸湿性であることである。これによって、特に初期流体流10がすでに実質的に乾燥している場合、ガス脱水容器620の必要性を排除することができる。この目的を達成するために、選択された溶媒それ自体は、非水性であることが好ましい。この方法により、溶媒は、生の天然ガスをさらに脱水するために使用することができる。この場合、水は、再生器652からの気体流655の中に含まれて外に出ることができる。
【0095】
このプロセスの欠点は、いくらかの軽質炭化水素およびCO2がある程度物理溶媒内で共吸着されることである。複数の分離器682、684、686の使用は、リッチ溶媒流672から、通常すべてのメタンではないとしても、大部分のメタンを除去する。
【0096】
再び再生容器652を参照すると、この容器652は、ストリッパーとして作用する。硫化水素成分は、これらが、濃縮H2S流として気体流655を介して再生容器652を出るように追い立てられる。気体流655中の濃縮H2Sは、物理溶媒系705Aを出るように示されている。これは、図6のライン655でも示されている。
気体流655中の濃縮H2Sは、酸性ガス注入(AGI)施設に送られるのが好ましい。第2の物理溶媒プロセスを、前もって使用することによって、あらゆるCO2および水蒸気を除去してもよい。分離器は658において示されている。この分離器658は、ガスをオーバーヘッドへ移動させながら、凝縮した水および溶媒を回収する還流容器である。凝縮した水および溶媒は、底部ライン659を介して再生容器652へ戻すこともできる。同時に、オーバーヘッドガスを、ライン691を介して、酸性ガス注入(図6のブロック649に概略的に示されており、以下で考察する)に送ることもできる。
気体流655はまた二酸化炭素を含む。二酸化炭素およびいずれの水蒸気も、オーバーヘッドライン691を介してH2Sと共に分離器658を出ることになる。H2Sは、好ましくは下流のAGI施設649に送られるか、または硫黄回収ユニット(SRU)に(示されていない)送られてもよい。
【0097】
図7Aに表されている再生容器652は、ストリッピングガスを利用して、溶媒から硫黄成分を分離することができる。この再生容器652は、任意の数のストリッピングガスを供給することができる。一例は、高いCO2含有量を有する燃料ガス流である。高いCO2含有量の燃料ガスは、CO2で溶媒を「事前に飽和させる」のを助け、これによって、浄化されたガス流664からのCO2収集を減少させることができるので、ストリッピングガス651に対して好ましい。ストリッピングガスは、ライン651’を介して再生容器652へと流れ込むことが見てとれる。このストリッピングガス651’は、例えば一番低い圧力のフラッシュ段階、すなわち分離器686からの軽質ガス流689の一部分であってよい。これによって、いくらかの炭化水素の潜在的な回収が可能となる。
【0098】
再生された溶媒は、再生容器652の底部から誘導される。再生された溶媒は、653として出る。再生された溶媒653は、ブースターポンプ654を介して運ばれる。第2のブースターポンプ694を利用することによって、再生溶媒653を運搬するラインの圧力をさらに強化されてもよい。その後、再生された溶媒653は、場合により冷蔵ユニットを有する熱交換器695を介して冷却されるのが好ましい。次いで冷やされたおよび再生された溶媒696は、リサイクルして接触器670に戻される。
【0099】
一部分の再生された溶媒は、再生容器652の底部から取り出され、リボイラー697に送られる。リボイラーは、溶媒を温める。温められた溶媒は、ライン651”を介して、一部気化した流れとして、再生容器697に戻される。
図7Aは、物理溶媒系705Aの一実施形態を明示している。しかし、記述されているように、溶媒系605は、代わりに化学溶媒系であってもよい。化学溶媒系であれば、化学溶媒、特にH2S選択性アミンを使用することになる。このような選択性アミンの例として、メチルジエタノールアミン(MDEA)およびFlexsorb(登録商標)ファミリーのアミンが挙げられる。Flexsorb(登録商標)は、サワーガス混合物からの硫黄ガス除去に使用される化学吸着剤に対する商標名である。Flexsorb(登録商標)吸着剤または他のアミンは、炭化水素ガス流624または極低温蒸留塔の上流の浄化したガス流664と接触させる。
アミンベースの溶媒は、炭化水素ガス流中の酸性ガス成分との化学反応に依存する。この反応プロセスは、時々「ガススウィートニング」と呼ばれる。このような化学反応は、特におよそ300psia(2.07MPa)より下の供給ガス圧力において、物理ベースの溶媒よりも一般的により効果的である。
Flexsorb(登録商標)アミンは、CO2含有ガス流から選択的にH2Sを除去するための好ましい化学溶媒である。Flexsorb(登録商標)アミンは、CO2吸収と比較して比較的に速い速度のH2S吸収をうまく利用している。高速の吸収速度は、カルバメートの形成を防止する助けとなる。アミンベースのプロセスから生成した硫化水素は、一般的に低圧である。産出したH2Sには、硫黄回収、または有意な圧縮を必要とする地中への処分のいずれかを施すことになる。
【0100】
選択性アミンを用いた硫化水素の除去は、化学溶媒で脱水し、冷やされた流体流624と接触させることによって遂行することができる。これは、ガス流624を「吸収体」へと注入することによって行うことができる。吸収体とは、ガス流624からのガスをFlexsorb(商標)または他の液体アミンと接触させることを可能とする容器である。この2つの流体物質は相互作用するので、アミンは、サワーガスからのH2Sを吸収することによって、スウィートニングされたガス流を生成する。スウィートニングされたガス流は、主にメタンおよび二酸化炭素を含有する。この「スウィート」ガスは、吸収体の最上部から流れる。
【0101】
一態様において、吸収体は大きな、逆流接触塔である。この配置において、生ガス流624は、接触塔の底部へ注入され、化学溶媒、または「リーン溶媒流」は、接触塔の最上部に注入される。逆流接触塔の内側で一度入ると、ガス流624からのガスは、吸収体を介して上方に移動する。通常、1つまたは複数のトレイまたは他の内部構造物(示されていない)が吸収体内に提供されることによって、天然ガスに対して複数の流路を作り出し、ガス相と液相の間に界面領域を作り出す。同時に、リーン溶媒流からの液体は、吸収体内の一連のトレイを下向きに、および横切って移動する。トレイは、天然ガスと溶媒流との相互作用を支援する。このプロセスは、「Removal of Acid Gases From a Gas Stream」という表題の特許出願の図1と関連して明示されている。この出願は、2008年10月14日に仮出願され、米国特許第61/105,343号が割り当てられた。図1および明細書の対応する部分は、本明細書に参照により組み込まれている。
【0102】
「リッチ」なアミン溶液は、逆流接触塔の底部から落ちる。これは、吸収されたH2Sと共に液体アミンを含む。リッチなアミン溶液は、物理溶媒系705Aと関連して上記図7Aに記載されている再生構成要素にかなり似ているように見え得る再生プロセスを介して取り出されるが、ただし、これは通常、100〜200psigで作動している単一のフラッシュ容器しか有していない。
【0103】
H2Sのスクラビング用吸収体として使用される逆流接触器塔は、非常に大きく重い傾向にある。これにより、沖合の油およびガス生産用途において特定の問題が生じる。したがって、油およびガスの回収から起こる炭化水素ガス流からのH2S除去のための代替実施形態が本明細書中に提案されている。これは、より小さな、並流の接触装置の使用を含む。これらの装置は、接触時間を減少させ、したがってCO2が吸収される確率を減少させることによって、アミンの選択性を向上させることができる。これらのより小さな吸収装置はまた、プロセス605の全体の設置面積のサイズを削減できる。
【0104】
図7Bは、図6の溶媒プロセス605に対して使用し得る化学溶媒系705Bの例示的実施形態を説明している。化学溶媒系705Bは、一連の並行して流れる接触装置CD1、CD2、..、CD(n−1)、CDnを採用している。これらの装置を使用して選択性のアミンをガス流と接触させる。
並流の概念は、直列の2つ以上接触器を利用し、ここでサワーガス流および液体溶媒は、接触器内を一緒に移動する。一実施形態において、サワーガス流および液体溶媒は、一般的にそれぞれの接触器の縦方向の軸に沿って一緒に移動する。並流の接触器は、ずっと高い流体速度で作動することができる。その結果、並流接触器は、充填された塔またはトレイ付の塔を利用する逆流接触器よりも小型の傾向にある。
図7Aと同様に、脱水されたガス流624が、注入分離器660に入るのが見てとれることができる。注入分離器660は、例えば油ベースの掘削流体および泥などの液体不純物を濾過除去する働きをする。ブラインは、図6に示されている上流脱水容器620を用いてふるい落とされるのが好ましい。いくらかの粒子の濾過はまた注入分離器660内で行うことができる。ガス流624をきれいに保つことによって酸性ガス除去プロセスの間液体溶媒の泡立ちを防止することが望ましいことを理解されたい。
【0105】
凝縮した炭化水素および掘削流体などの液体は、注入分離器660の底部から落ちる。液体不純物流は、662において見てとれる。水によって運ばれた不純物は通常水処置施設(示されていない)に送られるか、または構造630に再注入されてもよく、ライン622は、貯留層圧力を維持するためまたは処分用である。炭化水素液体は、通常凝縮処理器につながっている。ガスは、注入分離器660の最上部から出る。浄化されたサワーガス流は664において見てとれる。
浄化されたサワーガスは、一連の吸収体に誘導される。ここにおいて、吸収体は、並流の接触装置CD1、CD2、..、CD(n−1)、CDnである。各接触器CD1、CD2、..、CD(n−1)、CDnは、ガス流664から一部分のH2S分を除去し、これによって、次第にスウィートニングされるガス流を放出する。最終の接触器CDnは、メタンおよび二酸化炭素を実質的に含む最終のスウィートニングされたガス流730(n)を提供する。ガス流730(n)は、図6のライン678となる。
【0106】
作動中、ガス流664は、第1の並流吸収体、または接触装置、CD1に入る。ここで、ガスは、液体溶媒720と混合される。溶媒720は、好ましくは、アミン溶液、例えばメチルジエタノールアミン(MDEA)、またはFlexsorb(登録商標)アミンなどからなる。液体溶媒はまた、ヒンダードアミン、第三級アミン、またはこれらの組合せを含み得る。Flexsorb(登録商標)は、ヒンダードアミンの一例であり、MDEAは、第三級アミンの一例である。さらに、溶媒流720は、一部再生されるか、または再生器750により生成される「セミリーン」溶媒である。「セミリーン」溶媒720の第1の接触器CD1への移動は、ポンプ724によって支援される。ポンプ724は、セミリーン溶媒720を適切な圧力下で第1の接触器CD1に移動させる。適切な圧力の例とは、およそ15psia〜1,500psigである。
【0107】
第1の接触器CD1の内側に一度入ると、ガス流664および化学溶媒流720は、第1の接触器CD1の縦方向の軸に沿って移動する。これらが移動するにつれて、液体アミン(または他の溶媒)は、ガス流664中のH2Sと相互作用し、H2Sをアミン分子に化学結合させるか、またはH2Sをアミン分子によって吸収させる。第1の「リッチ」溶媒溶液740(1)は第1の接触器CD1の底部から落ちる。同時に、第1の部分的にスウィートニングされたガス流730(1)は、第1の接触器CD1を出て、第2の接触器CD2に放出される。
【0108】
第2の接触器CD2はまた並流の分離装置を表す。第3の並流の分離装置CD3が第2の接触器CD2の後に提供されてもよい。第2および第3の接触器CD2、CD3のそれぞれは、それぞれの部分的にスウィートニングされたガス流730(2)、730(3)を生成する。さらに、第2および第3の接触器CD2、CD3のそれぞれは、それぞれの部分充填されたガス処理溶液740(2)、740(3)を生成する。アミンが溶媒として使用される場合、この部分充填されたガス処理溶液740(2)、740(3)はリッチなアミン溶液を含むことになる。例示的システム705Bにおいて、第2の充填されたガス処理溶液740(2)は、第1の充填されたガス処理溶液740(1)と合流し、再生器750を通過することを含めて、再生プロセスを通過する。
【0109】
ガス664が、次第にスウィートニングされるガス流730(1)、730(2)、...730(n−1)を介して下流の方向に移動するにつれて、システム内の圧力は、一般的に低下することに注意されたい。この圧力低下が起こると、次第にリッチとなる、上流方向に向かうアミン(または他の液体溶媒)流740(n)、740(n−1)、...740(2)、740(1)の圧力は、ガス圧力に一致させるため一般的に増加しなければならない。したがって、システム705Bにおいて、1つまたは複数の小さいブースターポンプ(示されていない)が接触器CD1、CD2、...のそれぞれの間に配置されていることが好ましい。これは、システム内の液体圧力を押し上げる役目を果たす。
【0110】
システム705Bにおいて、流れ740(1)、740(2)は、最初にフラッシュドラム742を介して移動する「リッチ」溶媒溶液を含む。フラッシュドラム742は、およそ100〜150psigの圧力で作動する。このフラッシュドラム742は通常、その中の溶媒流740に対して沈殿効果または蛇行性の流路を作り出す内部構造部分を有する。残留するガス、例えばメタンおよびCO2などは、溶媒流740からライン744を介してフラッシュされる。ライン744において捕獲された残留ガスは、例えばライン720からの少量の新鮮なアミンと接触させた場合、およそ100ppmの酸性ガス含有量まで減少し得る。この濃度は、この残留ガスをシステム705B用の燃料ガスとして使用することができる程十分に低い。
【0111】
残留する天然ガスは、溶媒流740からライン744を介してフラッシュすることができる。生成したリッチ溶媒流746は、再生器750へと誘導される。
再生器750に移動する前に、リッチ溶媒流746は、熱交換器(示されていない)を介して移動するのが好ましい。比較的冷たい(周辺温度に近い)溶媒流746は、再生器750の底部を出る温かなリーン溶媒流760との熱接触を介して加熱することができる。さらにこれは、リーン溶媒流760がリーン溶媒冷却器764、次いで最終接触器CDnへと送達される前に、リーン溶媒流760を有利に冷却する働きをする。
【0112】
再生器750は、リボイラー756の上のトレイまたは他の内部構造物(示されていない)を含むストリッパー部分752と定義される。熱を生成するために熱供給元が、リボイラー756に提供される。再生器750は、最終の接触器CDnにおける再利用のためリサイクルされる、再生されたまたは「リーン」溶媒流760を生成する。濃縮H2Sを含有する再生器750から取り除かれたオーバーヘッドガスは、不純物流770として再生器750を出る。
H2Sリッチな不純物流770は、凝縮器772へと移動する。この凝縮器772は、不純物流770を冷却する働きをする。冷却した不純物流770は、不純物流770からあらゆる残留液体(主に凝縮した水)を分離する還流蓄積器774を介して移動する。次いで主にH2Sを含む酸性ガス流776が作り出される。酸性ガス流776は、図6のライン655と同じである。
【0113】
一部の液体は、還流蓄積器774から落ちてもよい。これは、残留液体流775を生じる。この残留液体流775は、好ましくは圧力を押し上げるためにポンプ778を介して運ばれ、次いでそこで、再生器750へと再導入される。残留する液体のいくらかは、リーン溶媒流760の一部として再生器750の底部を出ることになる。いくらかの水含有量が、リーン溶媒流760に付加されることで、スウィートニングされたガス流730(n−1)、730(n)への水蒸気の損失を埋めてもよい。この水は、還流ポンプ778の吸い込みまたは吸引の際に付加することができる。
このリーンまたは再生された溶媒760は低圧である。したがって、再生された溶媒760を表すこの液体流は、圧力押し上げポンプ762を介して運ばれる。ポンプ762は、リーン溶媒ブースター762と呼ばれる。そこから、このリーン溶媒760が冷却器764を通過する。冷却器764を介して溶媒を冷却することによって、リーン溶媒760が酸性ガスを効果的に吸収することを確実にする。冷やされたリーン溶媒760は、最後の分離接触器CDnのために溶媒流として使用される。
【0114】
溶媒タンク722は、接触装置CD1、CD2、..、CD(n−1)、CDnの近位に提供されてもよい。リーン溶媒760は、溶媒タンク722を通過することができる。溶媒タンク722は、ガス施設705Bのために必要となり得るので、オフラインで、溶媒用貯留層を提供することがより好ましい。
再び複数の並流の接触装置CD1、CD2、...CD(n−1)、CDnを参照すると、各接触装置は、炭化水素ガスおよび硫化水素を含むガス流を受け取る。各接触装置CD1、CD2、...CD(n−1)、CDnは、順次H2Sを除去し、次第にスウィートニングされるガス流を生成するために作動する。並流の接触装置CD1、CD2、...CD(n−1)、CDnは、様々な短い接触時間の混合装置のいずれかであってよい。例として、静的混合機および遠心撹拌機が挙げられる。いくつかの混合装置は、排出装置を介して液体をバラバラに分裂させる。排出装置は、ベンチュリ管に似た管を介してガスを送達し、次にこの管が液体溶媒を管に引き込む。ベンチュリ効果のため、液体溶媒は引きずり込まれ、壊れて小さい液滴となり、ガスとの接触表面積を大きくする。
【0115】
1つの好ましい接触装置は、ProsCon(商標)接触器である。この接触器は、排出装置、それに続く遠心性コアレッサーを利用する。この遠心性コアレッサーは、小さい容積の液体溶媒を再統合するための大きな遠心力を引き起こす。どのような実施形態であっても、小型の容器技術を採用するのが好ましく、これによって、大きな接触器塔と比べてハードウエアの縮小が可能になる。
第1の接触器CD1は、生ガス流664を受け取る。このガス流664は、硫化水素の除去のために第1の接触器CD1内で処理される。次いで第1の部分的にスウィートニングされたガス流730(1)が放出される。第1の部分的に−スウィートニングされたガス流730(1)は第2の接触器CD2に送達される。第2の、より完全にスウィートニングされたガス流730(2)が放出されるよう、第1のスウィートニングされたガス流730(1)はそこで硫化水素の除去のためにさらに処理される。第3の接触器CD3がより完全にスウィートニングされたガス流730(3)を生成するように、このパターンが継続される。第4の接触器CD4は、さらにもっとスウィートニングされたガス流730(4)を生成し、最後から1つ前の接触器は、さらにもっとスウィートニングされたガス流CD(n−1)を生成する。これらの各流れは、「続発性の」スウィートニングされたガス流と呼ぶことができる。
【0116】
最終のスウィートニングされたガス流730(n)は、最終の接触器CDnにより放出される。最終接触器CDnの前の接触装置の数(少なくとも2つ)は、主に所望の標準を満たすためのH2S除去の必要レベルによって決定される。図7のシステム705Bにおいて、最終のスウィートニングされたガス流730(n)は、依然として二酸化炭素を含有する。したがってスウィートニングされたガス流730(n)は、図6のCFZ塔100を介して取り出されなければならない。スウィートニングされたガス流730(n)は、図6のライン678と同じである。
【0117】
一態様において、混合装置と対応する凝集装置の組合せが各接触器において採用されている。したがって、例えば、第1のCD1および第2のCD2接触器は、これらの混合装置として静的混合機を利用することができ、第3のCD3および他のCD4接触器は、排出装置を利用することができ、CDn−1およびCDn接触器は、遠心撹拌機を利用することができる。各接触器には、凝集装置が付随している。いずれの実施形態においても、ガス流664、730(1)、730(2)、...730(n−1)および並流で流れる液体溶媒流は、接触器CD1、CD2、...CDnを介して同じ方向に流れる。これによって、短い期間、おそらくさらに100ミリ秒以下まで短い期間で処理反応が行われることが可能となる。特定のアミンは、CO2よりもより急速にH2Sと反応することから、これは、選択性のH2S除去(CO2に対して)にとって有利である。
【0118】
ガス流を受け取ることに加えて、各並流の接触器CD1、CD2、...CD(n−1)、CDnはまた、液体溶媒流を受け取る。システム705Bにおいて、第1の接触器CD1は、部分的に再生された溶媒流720を受け取る。その後、それに続く接触器CD2、CD3、CD(n−1)、CDnは、次のそれぞれの接触器から放出された充填された溶媒溶液を受け取る。したがって第2の接触器CD2は、第3の接触器CD3から放出された部分充填された溶媒溶液740(3)を受け取り、第3の接触器CD3は、第4の接触器CD4から放出された部分充填された溶媒溶液740(4)を受け取り、最後から1つ前の接触器CD(n−1)は、最終の接触器CDnからの部分充填された溶媒溶液740(n)を受け取る。別の言い方をすれば、第2の接触器CD2に送られた液体溶媒は、第3の接触器CD3から放出された部分充填された溶媒溶液740(3)を含み、第3の接触器CD3に送られた液体溶媒は、第4の接触器CD4から放出された部分充填された溶媒溶液740(4)を含み、最後から1つ前の接触器CD(n−1)に送られた液体溶媒は、最終の接触器CDnからの部分充填された溶媒溶液740(n)を含む。したがって、部分充填された溶媒溶液は、次第にスウィートニングされたガス流730(1)、730(2)、730(3)、...730(n−1)とは反対の処理方向に、接触器CD1、CD2、CD3、...CDnへと導入される。
最後の分離接触器CDnはまた液体溶媒を受け取る。この液体溶媒は、再生された溶媒流760である。再生された溶媒流760は極めてリーンである。
【0119】
図7Bの化学溶媒系705Bは、説明に役立つことを意図している。複数の並流の接触装置を吸収体として採用するこのようなシステムに対して他の配置を使用することができる。このような追加のシステムの例は、上で参照された米国特許出願第61/105,343号におけるCO2除去の文脈中に記載されている。明細書の図2Bおよび対応する部分も本明細書に参照により組み込まれている。
【0120】
図7Bのシステム705Bにおいて、溶媒溶液740(1)および740(2)の両方に再生を施す。部分的に再生された溶媒780は、再生容器750から出てくる。この溶媒780は、ブースターポンプ782を介して加圧下に置かれる。そこから、溶媒780は、熱交換器784内での冷却によって、溶媒流720になる。溶媒780は、溶媒流720として第1の並流の接触器CD1に導入される前に、ブースターポンプ724を介してさらに加圧される。
【0121】
再び図6を参照すると、軽質ガス流678(これは図7Aのライン678および図7Bのライン730(n)でもある)は、溶媒系605を出て、脱水器を通過し、チラー626を通過する。チラー626は、軽質ガス流678をおよそ−30°Fから−40°Fまで低い温度に冷やす。チラー626は、例えばエチレンまたはプロパンの冷蔵庫であってよい。
軽質ガス流678は、次に膨張装置628を介して移動するのが好ましい。この膨張装置628は、例えば、Joule−Thompson(「J−T」)バルブであってよい。膨張装置628は、軽質ガス流678のさらなる冷却を達成するために膨張器としての機能を果たす。膨張装置628は、軽質ガス流678の温度を例えば、およそ−70°Fから−80°Fまでさらに減少させる。ガス流678の少なくとも部分的な液化も達成されるのが好ましい。冷却したサワーガス流は、ライン611において示されている。
【0122】
ライン611の冷やされたサワーガスは、極低温蒸留塔100に入る。この極低温蒸留塔100は、CO2粒子を意図的に凍結するプロセスを介して酸性ガスからメタンを蒸留するために作動するいかなる塔であってよい。極低温蒸留塔は、例えば、図1のCFZ(商標)塔100であってよい。ライン611の冷やされたサワーガスは、塔100におよそ500〜600psigで入る。
図1に関連して説明されているように、酸性ガスは、液化された酸性ガス底部流642として蒸留塔100から取り出される。この例では、この酸性ガス底部流642は、主に二酸化炭素を含む。酸性ガス底部流642は、非常にわずかな硫化水素または他の硫黄成分、例えば硫黄成分除去システム(溶媒系605)によって捕獲されたものなどを含有し、さらなる処理のため濃縮H2S流655として送達される。H2Sは、硫黄回収ユニット(示されていない)を用いて元素硫黄へと変換することができる。この硫黄回収ユニットは、いわゆるClausプロセスであってよい。これによって、より効果的な、多量の硫黄の硫黄回収が可能となる。
【0123】
少なくともの一部の底部流642は、リボイラー643を介して送られる。そこから、メタンを含有する流体は、ガス流644として塔100へ戻るように再び誘導される。主に二酸化炭素から構成される残留流体は、CO2ライン646を介して放出される。ライン646中のCO2は、液体形態である。ライン646の二酸化炭素は、圧力ブースター648を通過し、次いでブロック649で示されている通り、1つまたは複数の酸性ガス注入(AGI)坑井を介して地下構造に注入されるのが好ましい。
【0124】
メタンは、オーバーヘッドメタン流112として蒸留塔100から放出される。このオーバーヘッドメタン流112は、およそ2モルパーセント以下の二酸化炭素を含むのが好ましい。このパーセンテージにおいて、オーバーヘッドメタン流112は、燃料ガスとして使用することができるか、または天然ガスとして特定の市場に販売することができる。しかし、本明細書中の特定の方法に従い、オーバーヘッドメタン流112に、さらなる処理を施すことが望ましい。より具体的には,オーバーヘッドメタン流112は、開ループ冷蔵システムを通過する。
【0125】
最初に、オーバーヘッドメタン流112は、クロス交換器113を通過する。このクロス交換器113は、膨張器装置19を介して増大させた後、極低温蒸留塔100に再導入される液体還流流18を事前に冷却する働きをする。次にオーバーヘッドメタン流112は、その圧力を上げるため、コンプレッサー114を介して送られる。
次に、加圧したメタン流112を冷却する。これは、例えば空中冷却器115にメタン流112を通すことによって行うことができる。冷たい、および加圧したメタン流116が生成される。メタン流116は、商品を作製するために液化されることが好ましい。
【0126】
冷却器115を離れる冷却および加圧されたメタン流116の一部は、還流流18に分割される。この還流流18は、熱交換器113内でさらに冷却され、次いで膨張器装置19を介して拡張されることによって、最終的に図1の低温スプレー流21を生成する。この低温スプレー流21は、蒸留塔100に入り、そこで、低温液体スプレーとして使用される。この液体スプレー、または還流は、制御された凍結域(図1の108で示される)の温度を減少させ、上述の脱水されたガス流624からのCO2および他の酸性ガス粒子を凍結させる手助けをする。
図6は、ガス処理システム600の選択された態様のみを明らかにすることを意図した単純化された概略図を表していることを理解されたい。ガス処理システムは通常、多くの追加の構成要素、例えば圧力測定装置、温度測定装置、レベル測定装置、および流量測定装置と共に、ヒーター、チラー、凝縮器、液体ポンプ、ガスコンプレッサー、送風器、他の種類の分離機器および/または分別機器、バルブ、スイッチ、コントローラーなどを含むことになる。
【0127】
生ガス流から硫黄成分を除去するための追加の方法が本明細書中で提供される。このような1つの方法は、「レドックス」プロセスという大見出しの分類に入る。「レドックス」という用語は、還元酸化反応を表す。還元酸化とは、原子がその酸化数または酸化状態を変更させる化学反応のことを述べている。本発明のレドックスプロセスにおいて、酸化された金属例えばキレートされた鉄などが直接H2Sと反応することによって、元素硫黄を形成する。
酸化された金属は、水性のキレート金属触媒溶液である。作動中、硫化水素を含有するガス流は、キレート金属触媒と接触することによって、吸収が生じる。それに続いて、硫化水素が元素硫黄へと酸化し、同時により低い酸化状態への金属の還元が行われる。次いで触媒溶液は、これを酸素含有ガスと接触させることによって、金属を酸化させてより高い酸化状態に戻すことによって、再利用のために再生される。
【0128】
図8は、生ガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設800を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、レドックスプロセスを用いて、酸性ガス除去システム650の上流で生ガス流から取り出される。このレドックスプロセスは、水性ベースであり、これはH2Sの除去ステップが開始される前に生ガス流の脱水を行う必要がないことを意味する。
【0129】
図8は、生産ガス流812を受け取るガス処理施設800を示している。この生産ガス流812は、貯留層発生領域、または「フィールド」810において行われる炭化水素生産活動から始まる。このフィールド810は、ガス状炭化水素が生成されるいかなる場所も表すことができることを理解されたい。炭化水素は、メタンならびに硫化水素を含むことになる。炭化水素はまた、エタンならびに二酸化炭素も含み得る。
ガス処理施設800において、ガス流812は、硫黄成分除去システム850に流れ込む。この硫黄成分除去システム850は、レドックスプロセスを使用している。この硫黄成分除去システム850は最初に接触器820を含む。この接触器820は、フィールド810からの生の炭化水素ガスを受け取るチャンバー825と定義される。一度チャンバー825内に入ると、生ガス流812から硫化水素および他の硫黄成分を分離する化学反応が起きる。
【0130】
化学反応を起こすため、チャンバー820はまたキレートされた酸化金属を受け取る。このような酸化金属の例は、キレート鉄である。このキレート鉄は、金属キラント溶液の形態である。この金属キラント溶液は、ライン842を介してチャンバー825へと送達される。
一度チャンバー825内に入ると、キレート金属溶液は、生ガス流812内の硫化水素と反応する。還元酸化反応が起きる。その結果、キレートされた還元金属混合物は、元素硫黄と共に底部ライン822を介して放出される。同時に、ガスは、オーバーヘッドライン824を介して逃げる。塩基性反応物はS-- + 2Fe+++→S0 + 2Fe++である。
【0131】
ライン824のガスは、主にメタンおよび二酸化炭素を含む。微量のエタン、窒素、または他の構成要素もまたライン824に存在し得る。ライン824のガスが一緒になって、サワーガスを意味する。
例示的な硫黄成分除去システム850はまた酸化器830も含む。この酸化器830は、還元された金属混合物を酸化させるためのチャンバー835と定義される。酸化器830は、ライン822を介して還元された金属混合物を受け取る。ライン822の金属混合物の圧力は、バルブ828によって制御されている。
【0132】
酸化器830はまた空気も受け取る。空気は、ライン834を介して酸化器830に導入される。空気送風器838により酸化器830内のチャンバー835を介して空気を循環させるために、ライン834の圧力を増加させる。一度チャンバー835内に入ると、空気は、キレート金属混合物と接触して、還元された金属混合物を酸化させる。空気は、放出ライン836を介して酸化器830から放出される。
酸化により、酸化された、キレート金属混合物が生成される。このキレート混合物はまた、コロイドの形態の硫黄を含有する。硫黄を含むキレート混合物は、ライン832を介して酸化器830から落ちる。
例示的硫黄成分除去システム850はまた分離器840を含む。図8の分離器840は、遠心機として示されている。しかし、他の種類の分離器を採用することもできる。遠心機840は、硫黄を含む水性のキラント混合物を2つの成分に分離する。1つの成分は、元素硫黄である。この元素硫黄は、純度の高い固体製品としてプロセスから持続的に取り出される。接触プロセスは、コロイド状硫黄で機器がふさがれることから、比較的低圧であることに(300psig以下)限定されることが好ましい。元素硫黄は、貯蔵されてもよく、またはより好ましくは、商品として販売される。
【0133】
元素硫黄は、ライン844で落ちる。硫黄は、硫黄取り扱いユニット(示されていない)に誘導されることが好ましい。これにより、元素硫黄を実質的に含まない水性の金属キラント溶液が残る。
除去システム850の水性の金属触媒溶液は、再生されたキレート鉄である。このキレート鉄は、ライン842により、接触器820に戻されるよう再び誘導される。ライン842において圧力を増加させ、キラント混合物を接触容器825まで運搬するようにポンプ844が提供されてもよい。この方法によって、キレート鉄(または他の酸化された金属)は、回収され、再利用され得る。
【0134】
再びガスライン824を参照すると、ガスライン824のサワーガスが、脱水容器860に運ばれる。レドックスプロセスは生ガス流812からH2Sを分離するために水性ベースの物質を使用することから、それに続くライン824のガスの脱水が、極低温の酸性ガスの除去前に必要である。サワーガスをガスライン824から脱水容器860を介して回した結果、水性流862が生成する。水性流862は、水処理施設に送られてもよい。代替法として、水性流862を地下構造、例えば図6の地下構造630などに再注入することもできる。さらには、代替法として、除去した水性流862を処理することによって、環境基準を満たし、次いで処理済みの水として地域の流域(示されていない)に放出することもできる。
同様に、ライン824から脱水容器860を介してサワーガスを回した結果、実質的に脱水されたガス流864が生成される。この脱水されたガス流864はメタンを含み、微量の窒素、ヘリウムおよび他の不活性ガスも含有し得る。本発明のシステムおよび方法に関連して、脱水されたガス流864は二酸化炭素も含む。
【0135】
脱水されたガス流864は、脱水容器860を出て、チラー626を通過する。このチラー626は、脱水されたガス流864をおよそ−30°Fから−40°Fまで低い温度に冷やす。チラー626は、例えば、エチレンまたはプロパンの冷蔵庫であってよい。こうして冷やされた軽質ガス流678が生成される。
軽質ガス流678は次に膨張装置628を介して移動するのが好ましい。この膨張装置628は、例えば、Joule−Thompson(「J−T」)バルブであってよい。この膨張装置628は、軽質ガス流678のさらなる冷却を達成するために膨張器としての機能を果たす。この膨張装置628は、軽質ガス流678の温度を、例えばおよそ−70°Fから−80°Fまで低い温度にさらに減少させる。ガス流678の少なくとも部分的な液化も達成されるのが好ましい。冷却したサワーガス流は、ライン611で示されている。
【0136】
ライン611の冷却したサワーガスは、蒸留塔へと誘導される。この蒸留塔は、例えば図1および6のCFZ塔100であってよい。ライン611からのサワーガスは、次いで酸性ガス除去システムを介して処理される。この酸性ガス除去システムは、例えば、図6の酸性ガス除去システム650に従うことができる。
【0137】
生ガス流から硫黄成分を除去するための別の手段は、スカベンジャーベッドのスカベンジャーの使用を介するものである。スカベンジャーの使用は、ガス流からH2Sおよびメルカプタンを除去する手段としてガス処理業界において知られている。スカベンジャーは固体でもよいし、これらは液体形態でもよいし、またはこれらは触媒溶液でもよい。
スカベンジャーは、スルフヒドリル含有化合物および他の硫黄含有化合物を例えば金属硫化物などの無害な化合物へと変換する。この化合物は、安全におよび環境的に健全な方法で廃棄することができる。生ガス流内のH2S組成が低いために従来のアミン処理が経済的に実行可能でない場合には、スカベンジャー特有の有用性がある。1つの例が、H2S組成がおよそ300ppm未満の場合である。
【0138】
既知の液体ベースのスカベンジャーの一例は、トリアジンである。より具体的な例が、1,3,5トリ−(2−ヒドロキシエチル)−ヘキサヒドロ−S−トリアジンの水性配合物である。液体ベースのスカベンジャーの別の例は亜硝酸溶液である。
固体スカベンジャーの例は、酸化鉄(FeO、Fe2O3、またはFe3O4)および酸化亜鉛(ZnO)である。固体スカベンジャーは、一般的に再生不可能である。再生不可能なスカベンジャーベッドは一度使用されると、交換しなければならない。酸化鉄は、一般的に効力を発揮するためいくらかの水分を必要とするが、酸化亜鉛は必要としない。したがって、サワーガス流がすでに脱水されている場合、ZnOの使用は、CO2除去プロセスの上流で必ずしも追加の脱水を行う必要がないという点で有利である。しかし、水は、酸化プロセスから生成することができる。したがって、H2Sの初期レベルによっては、それに続く脱水が必要となり得る。
【0139】
硫化水素捕捉剤は、3つのうちの1つの方法を介して最も一般的に適用される。第1に、液体捕捉剤のバッチ適用をスパージされた塔接触器において使用することができる。第2に、固体捕捉剤のバッチ適用を固定床接触器において行うことができる。第3に、液体捕捉剤の容器への連続的直接注入を採用することができる。これが最も一般的な用途である。
従来の直接注入のH2S捕捉は、接触器としてパイプラインを使用する。この用途において、液体H2S捕捉剤、例えばトリアジンなどは、ガス流に注入される。H2Sは、捕捉溶液に吸収される。H2Sは、反応して副生成物を形成し、この副生成物は続いて生ガス流から取り出され、処分される。H2S捕捉の直接注入の代替法は、高圧下で、小さい開口を介して捕捉剤の液体ジェットを押し出すことを含む。通常、霧吹きノズルを使用して、液体捕捉剤が非常に小さい液滴へと霧化させる。直接注入法は、多くの用途に対して、バッチ適用と比較して資本コストが低いため、全体のコストが一番低い可能性がある。
【0140】
図9は、一実施形態において本発明に従いガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設900を示す概略図である。この配置において、スカベンジャーを用いて酸性ガス除去システム950の上流で生ガス流912から硫化水素を除去する。
図9は、生産ガス流912を受け取るガス処理施設900を示している。この生産ガス流912は、貯留層生産領域、または「フィールド」910において行われる炭化水素生産活動から始まる。このフィールド910は、ガス状炭化水素が生産されるいかなる場所も表すことができることを理解されたい。炭化水素は、メタンならびに硫化水素を含むことになる。炭化水素はまた、エタンならびに二酸化炭素も含み得る。
【0141】
ガス処理施設900において、生産ガス流912は、硫黄成分除去システム950に流れ込む。この硫黄成分除去システム950は、H2Sスカベンジャーを使用する。上に記載の捕捉方法のいずれかを採用してもよい。例示的硫黄成分除去システム950は、上述の第3の方法を使用し、すなわち、液体スカベンジャーを分離容器920へ連続して注入する。
生ガス流912から硫黄成分を除去するために、生ガス流912は、パイプライン922へと誘導される。同時に、液体スカベンジャー例えばトリアジンなどが、スカベンジャーライン944を介してパイプライン922に導入される。このトリアジンは、霧吹きノズル923を介して注入され、次いで静的混合機925内の生ガス流912と混合される。そこから、接触した生ガス流912は、分離容器920に入る。
【0142】
分離容器920は、チャンバー926と定義される。液体は、チャンバー926底部に沈降し、ガス状成分は、チャンバー926最上部に出る。この液体は、液体ライン927を介して出る。液体は、使用済みスカベンジャー物質を含む。ライン927からの液体の一部分は、流出する廃棄物として取り出される。廃棄ライン942は、流出する廃棄物を、保持タンク(示されていない)または他の廃棄物保持領域へと誘導する。廃棄物は、トラックまたは廃棄ラインで遠くに運び出されてもよい。ライン927からの液体の残りの部分は、スカベンジャーライン944に戻るように再び誘導されることによって、スカベンジャーが十分に使用されていない場合、生ガス流912と接触させることができる。
【0143】
硫黄成分除去システム950は、スカベンジャー容器930も含む。このスカベンジャー容器930は、液体捕捉剤を保持する。オペレーターは、必要ならば、スカベンジャー容器930からスカベンジャーライン944へと液体捕捉剤を回す。ポンプ946は、パイプライン922への液体捕捉剤の注入のため、圧力を増加させるために提供される。
【0144】
再び分離容器920を参照すると、この分離容器920は、ミスト分離器924を含み得る。このミスト分離器924は、ガス状成分を有する分離容器920の最上部から液体粒子が逃げるのを防止するのを助ける。この現象は、飛末同伴と呼ばれる。ミスト分離器924は、気体が分離容器920内で上方に移動するにつれて、気体のための蛇行性通路を作り出すメッシュまたは膜と類似している。ミスト分離器は公知である。ミスト分離器の一製造元は、Separation Products、Inc.、Alvin、Texasである。Separation Products、Incは、Amistco(商標)という商標名でミスト分離器を製造している。
【0145】
ガス状成分は、オーバーヘッドガスライン945を介して分離容器920を離れる。このガス状成分は、主にメタンおよび二酸化炭素に代表される。微量元素であるエタン、窒素、ヘリウムおよび芳香族も存在し得る。ライン945内のガスは、サワーガスと呼ばれ得る。ガスライン945内のサワーガスは、脱水容器960に運ばれる。
スカベンジャープロセスは、生ガス流912からH2Sを分離するために水性ベースの物質を使用するので、ライン945内のガスの脱水が極低温の二酸化炭素除去前に必要である。ガスライン945から脱水容器960を介してサワーガスを回した結果、水流962が生成される。この水流962は、水処理施設に送られてもよい。代替法として、水流962を、例えば地下構造図6の地下構造630などに再注入することもできる。さらに代替法として、除去した水流962を処理することによって、環境基準を満たし、次いで処理済みの水として地域の流域(示されていない)に放出することもできる。
【0146】
同様に、脱水容器960を介してライン945からサワーガスを回した結果、実質的に脱水されたガス流964が生成される。脱水されたガス流964は、チラー626を通過する。チラー626は、脱水されたガス流964をおよそ−30°Fから−40°Fまで低い温度に冷やす。チラー626は、例えば、エチレンまたはプロパンの冷蔵庫であってよい。こうして冷やされた軽質ガス流678が生成される。
次に膨張装置628を介して、この軽質ガス流678を移動するのが好ましい。膨張装置628は、例えば、Joule−Thompson(「J−T」)バルブであってよい。この膨張装置628は、軽質ガス流678のさらなる冷却を達成するために膨張器としての機能を果たす。この膨張装置628は、軽質ガス流678を、例えばおよそ−70°Fから−80°Fまで低い温度にさらに減少させる。ガス流678の少なくとも部分的な液化も達成されるのが好ましい。この冷却したサワーガス流はライン611で示されている。
【0147】
ライン611の冷却したサワーガスは、蒸留塔へと誘導される。この蒸留塔は、例えば図1および6のCFZ塔100であってよい。次いで冷却したガス流は、酸性ガス除去システムを介して処理される。酸性ガス除去システムは、例えば、図6の酸性ガス除去システム650に従うことができる。
スルフヒドリル(?SH)基を有する有機硫黄化合物の除去のために本明細書中で提案されたさらに別の手段は、CrystaSulfプロセスとして知られているプロセスを介する。このCrystaSulfプロセスは、CrystaTech、Inc.、Austin、Texasにより開発された。このCrystaSulfプロセスは、改質された液相Claus反応プロセスを使用することによって、生ガス流からH2Sを除去する。
【0148】
「Clausプロセス」とは、硫化水素含有ガス流から元素硫黄を回収するために天然ガスおよび石油精製業界で時々使用されるプロセスである。手短に言うと、元素硫黄を生成するClausプロセスは2つの主要なセクションを含む。第1のセクションは、H2Sの一部が燃焼してSO2になり、形成されたSO2が残留するH2Sと反応することによって、約1,800°から2,200°Fで元素硫黄を生成する熱セクションである。熱セクション内に触媒は存在しない。第2のセクションは、適切な触媒(例えばアルミナなど)上で400°から650°Fの間の温度で元素硫黄が生成される触媒のセクションである。元素硫黄を生成するためのこの反応は平衡反応である。それ故、H2Sの元素硫黄への全面的変換を増強させることを目指して分離が生じるClausプロセスにはいくつかの段階が存在する。各段階では、加熱、反応、冷却および分離が関与する。
【0149】
「CrystaSulf」という用語は、プロセスばかりでなく、プロセス中に使用される溶媒も指す。CrystaSulf(登録商標)は、硫化水素および二酸化硫黄を溶解して、これらが直接元素硫黄に反応できるようにする非水系の、物理溶剤である。このCrystaSulf(登録商標)溶媒は、時々、液またはスクラビング液と呼ばれている。CrystaSulfプロセスにおいて、硫化水素は非水系のスクラビング液を用いてガス流から取り出される。スクラビング液は、例えばフェニルキシリルエタンなど、元素硫黄のための有機溶剤であってよい。一般的に非水系溶媒は、アルキル置換ナフタレン、フェニルキシリルエタンを含めたジアリールアルカン、例えばフェニル−o−キシリルエタン、フェニルトリルエタン、フェニルナフチルエタン、フェニルアリールアルカン、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、部分的に水素化したテルフェニル、部分的に水素化したジフェニルエタン、部分的に水素化したナフタレンおよびこれらの混合物などからなる群から選択することができる。
通常、CrystaSulf(登録商標)溶媒は、酸化剤としてSO2を採用している。これによって、Claus反応(2H2S+SO2→3S+2H2O)が溶媒相内で生じる。別の言い方をすれば、二酸化硫黄を溶媒溶液に付加することによって、より良いH2S除去を達成する。
【0150】
CrystaSulfプロセスは、米国特許第6,416,729号に記載されている。この’729号特許は、「Process for Removing Hydrogen Sulfide from Gas Streams Which Include or are Supplemented with Sulfur Dioxide」という表題が付いている。この’729号特許は、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。CrystaSulfプロセスのための追加の実施形態が、「Process for Removing Hydrogen Sulfide From Gas Streams Which Include or Are Supplemented with Sulfur Dioxide, by Scrubbing with a Nonaqueous Sorbent」という表題が付いている米国特許第6,818,194号において開示されている。この’194号特許も本明細書に参照により組み込まれている。
【0151】
図10は、別の実施形態における、ガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設1000を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、CrystaSulfプロセスを用いて、酸性ガス除去システム650の上流で生ガス流1012から取り出される。CrystaSulfプロセスは、硫化水素を除去するための硫黄成分除去システム1050の一部である。
図10は、生産ガス流1012を受け取るガス処理施設1000を示している。この生産ガス流1012は、貯留層生産領域、または「フィールド」1010で行われる炭化水素生産活動から始まる。このフィールド1010は、上述したフィールド810および910と同じ意味である。炭化水素は、フィールド1010から生産される。炭化水素は、硫化水素と共にメタンを含むことになる。炭化水素はエタンならびに二酸化炭素も含み得る。
【0152】
ガス処理施設1000において、生産ガス流1012は硫黄成分除去システム1050内に流れ込む。この硫黄成分除去システム1050は、上述のCrystaSulfプロセスを使用する。CrystaSulfプロセスに従い生ガス流1012から硫黄成分を除去するために、生ガス流1012は、吸収体1020に誘導される。同時に、液体SO2はライン1084を介して吸収体1020に導入される。液化二酸化硫黄が酸化ガスとして付加される。
液体SO2は、最初に保存容器1080内で維持される。SO2ライン1082は、必要な場合、保存容器1080からライン1084へと液体SO2を運ぶ。ポンプ1076が、圧力を増加させるためにライン1082に沿って提供されることで、液体SO2が吸収体1020に移動させられる。
【0153】
吸収体1020は、チャンバー1025と定義される。この吸収体1020の中で、生ガス流1012は、ライン1084からのSO2を含有する液体溶媒と接触する。液体はチャンバー1025底部で沈降し、ガス状成分は、チャンバー1025最上部から出る。吸着剤と呼ばれるこの液体は、液体ライン1022を介して出る。吸着剤は、一般的に、硫黄と水の溶液を、微量元素であるメタンに加えて残留する硫化水素および/または二酸化硫黄と共に含む。
液体は、ライン1022を介してフラスコ1030へと誘導される。このフラスコ1030は、溶媒から水および取り込まれたいずれの炭化水素ガスをフラッシュする働きをする。硫黄含有溶液は、底部流1036を介してフラスコを出る。同時に、炭化水素ガスおよび微量の水蒸気がオーバーヘッドライン1032を出る。
【0154】
オーバーヘッドライン1032は、コンプレッサー1034を介して運ばれる。オーバーヘッドライン1032の圧力を押し上げることは、炭化水素ガスから水を抜き出すのを助ける。次いで炭化水素ガスは、分離容器1040へと誘導される。この分離容器1040は、通常重力による分離器であるが、液体サイクロンまたはVortistep分離器も使用することができる。水は、ライン1044において分離容器1040から落ちる。ライン1044の水は、処理施設(示されていない)に誘導されるのが好ましい。
炭化水素ガスは、ライン1042を介して分離容器1040から放出される。ライン1042の炭化水素ガスは、生ガス流1012と合流する。そこから、炭化水素ガスは、吸収体1020へと再び入る。
再びフラスコ1030を参照すると、記述されているように、フラスコは、底部流1036を介して硫黄含有溶液を放出する。この硫黄含有溶液は、冷却ループ1038へと移動する。硫黄含有溶液は、ライン1058からの透明な液の一部分と合流する。この透明な液は、例えば、追加の物理溶剤を含み得る。
【0155】
冷却ループ1038内の圧力は、硫黄含有溶液が遠心ポンプ1052を介して移動するにつれて増加する。そこから、硫黄含有溶液は、PTFE熱交換器1054内で冷やされる。硫黄含有溶液が熱交換器1054を通過するにつれて、これは、溶解した硫黄に対して飽和温度よりも下の温度に冷却される。硫黄含有溶液は、溶解した硫黄に対して過飽和になり、したがってこれは結晶化する。
【0156】
冷やされたおよび結晶化した硫黄含有溶液は、結晶器1055に入る。具体的に、ライン1038からの硫黄含有溶液は、結晶器1055の底部に誘導される。冷やされた硫黄含有溶液は、結晶器1055内の沈殿域1059の中に存在する硫黄結晶に接触する。この結晶は、過飽和硫黄溶液に種結晶をまく役目を果たし、溶解された硫黄の析出をもたらす。これによって、硫黄スラリーが作り出される。
硫黄スラリーは、硫黄スラリーライン1056を介して結晶器1055を出る。ライン1056の硫黄スラリーは、フィルター1060へ送達される。このフィルター1060は、硫黄スラリーを純粋な固体硫黄および透明な液へと分離する。固体硫黄の除去は、ライン1062で表される。透明な液がライン1064を介して濾液として放出され、リサイクルして結晶器1055に戻される。透明な液を運んで結晶器1055へと戻すため、ポンプ1066が提供されるのが好ましい。
【0157】
透明な液は、結晶器の最上部まで上昇する。透明な液の一部分は、ライン1058を介して結晶器1055から誘導される。ライン1058の透明な液は、フラスコからの硫黄溶液1036と合流することによって、上で考察したように、冷却ループ1038を形成する。ライン1072を介して、透明な液の分離部分を結晶器1055の最上部から抽出する。ライン1072の抽出された液は、熱交換器1074を介して加熱される。加熱した液は、ライン1082からの二酸化硫黄と合流する。加熱した液1074は、ブースターポンプ1076を介して取り出され、次いで吸収体1020のチャンバー1025へと再び誘導される。
硫黄成分除去システム1000に関連して記載されているCrystaSulfプロセスは、単に例示的でしかないことを理解されたい。他のCrystaSulfプロセス、例えば組み込まれている米国特許第6,416,729号および米国特許第6,818,194号に記載されているものなどを使用することもできる。プロセスに関わらず、オーバーヘッドガス流1045は、吸収体1020から生成される。
【0158】
オーバーヘッドガス流1045は、主にメタンおよび二酸化炭素を含有する。微量元素のエタン、窒素、ヘリウムおよび芳香族も存在し得る。硫黄成分は抽出され、ライン1062を介して運ばれる。オーバーヘッドガス流1045は、サワーガスと呼んでもよい。ガス流1045内のサワーガスは、脱水容器1060に運ばれるのが好ましい。しかし、CrystaSulfプロセスは非水系であるため、生ガス流1012が硫黄成分除去システム1050に入る前に脱水を行うことができる。
オーバーヘッドガス流1045は、チラー626を通過する。チラー626は、ガス流1045をおよそ−30°Fから−40°Fまで低い温度に冷やす。チラー626は、例えばエチレンまたはプロパンの冷蔵庫であってよい。こうして冷やされた軽質ガス流678が生成される。
【0159】
次に軽質ガス流678は、膨張装置628を介して移動するのが好ましい。この膨張装置628は、例えば、図6に関連して記載したJoule−Thompson(「J−T」)バルブまたは他の装置であってよい。膨張装置628は、軽質ガス流678の温度を、例えば、およそ−70°Fから−80°Fまで低い温度にさらに減少させる。ガス流678の少なくとも部分的な液化も達成されるのが好ましい。冷却したガス流は、ライン611を介して移動する。
【0160】
ライン611の冷却したサワーガスは蒸留塔に誘導される。蒸留塔は、例えば図1および6のCFZ塔100であってよい。ライン611の冷却したサワーガスは、次いで酸性ガス除去システムを介して処理される。酸性ガス除去システムは、例えば二酸化炭素を除去するために使用される図6の酸性ガス除去システム650に従うことができる。
極低温蒸留塔の上流の少なくとも中程度のレベルの硫化水素を除去するために使用することができる2つの追加の方法は、吸着床の使用を含む。一方の方法は熱スイング吸着を採用し、他方は、圧力スイング吸着を利用する。吸着床は、モレキュラーシーブである。いずれの場合も、モレキュラーシーブは再生される。
【0161】
モレキュラーシーブは、脱水のために使用されることが多いが、H2Sおよびメルカプタン除去のために使用することもできる。多くの場合、これらの使用は単一の充填床の中で組み合わせられ、4Aモレキュラーシーブ物質の層は脱水のために最上部に位置し、13Xモレキュラーシーブ物質の層は、H2Sおよびメルカプタン除去のために底部に位置する。したがって、生ガス流は、乾燥および脱硫黄化の両方が行われている。
【0162】
図11は、別の実施形態においてガス流から酸性ガスを除去するためのガス処理施設1100を示す概略図を表す。この配置において、硫化水素は、酸性ガス除去システム650の上流で熱スイング吸着システム1150を用いて生ガス流624から除去される。
ガス処理施設1100は、図6のガス処理施設600に従い一般的に作動する。この点において、脱水されたガス流624は、硫黄成分除去システムに送達される。そこから、主にメタンおよび二酸化炭素から構成されるサワーガスは、冷やされ、ライン611を介して酸性ガス除去システム650に送達される。しかし、硫黄成分除去システムとして、吸収体と共に溶媒系605を使用する代わりに、熱スイング吸着システム1150が使用される。この熱スイング吸着システム1150は、脱水されたガス流624からの硫化水素の少なくとも部分的な分離を提供する。
【0163】
熱スイング吸着システム1150は、メタンおよび二酸化炭素から構成される軽質ガス流を回しながら、吸着床1110を使用することによって硫化水素および他の硫黄成分を選択的に吸着する。軽質ガス流は、ライン1112で放出されていることが示される。軽質ガス流1112は、メタンから二酸化炭素を分離するためにサワーガス流として、蒸留塔、例えば図1の塔100などに送達される。
極低温蒸留塔100に入る前に、軽質ガス流1112を事前に冷却しておくことが好ましい。例示的ガス処理施設1100において、軽質ガス流1112は、冷蔵ユニット626を通過し、次いで膨張装置628を通過する。この膨張装置628は、例えば、Joule−Thompson(「J−T」)バルブであってよい。好ましくは、軽質ガス流1112の少なくとも部分的な液化が冷却に関連して達成される。冷却したサワーガス流は生成され、ライン611を介して酸性ガス除去システム650に誘導される。
【0164】
再び熱スイング吸着システム1150を参照すると、熱スイング吸着システム1150内の吸着床1110は、ゼオライトから作られたモレキュラーシーブが好ましい。しかし、他の吸着床、例えばシリカゲルから作られた床などを採用してもよい。炭化水素ガス分離の技術分野の当業者であれば、吸着床の選択は通常、取り出される汚染物質の組成に依存することになることを理解されたい。この場合、汚染物質は主に硫化水素である。
作動中、吸着床1110が加圧チャンバー内に存在することになる。吸着床1110は、脱水されたガス流624を受け取り、ある量の二酸化炭素と共に硫化水素および他の硫黄成分を吸着する。吸着システム1150内の吸着床1110は、床がH2Sで実質的に飽和されたら、再生された床と交換される。H2Sは、乾燥、加熱したガスを用いて、床を加熱する反応で床1110から放出される。適切なガスには、オーバーヘッドメタン流112の一部分、加熱した窒素、または他に利用可能な燃料ガスが含まれる。
【0165】
ブロック1140は、吸着床のための再生チャンバーを描写している。再生チャンバー1140は、乾燥、加熱したガス1132を受け取る。図11の配置において、乾燥ガス1132は、オーバーヘッドメタン流112から受け取る。オーバーヘッドメタン流112は、主にメタンを含むが、微量の窒素およびヘリウムも含み得る。オーバーヘッドメタン流112は、圧縮されることによって、再生チャンバー内のガスの圧力を上げることができる。圧力ブースターは、1130で示されている。しかし、再生は、増加した温度を介して主に起きるが、一般的により低い圧力で増強される。
十分な再生のためには10〜15パーセントのオーバーヘッドメタン流112が必要となり得る。再生チャンバー1140は加熱した、乾燥流体流1142を、放出する。この乾燥流体流1142は、固体吸着床1110に誘導され、再生流として作用する。乾燥流体流1142は、主にメタンから構成されるが、いくらかのCO2も含有する。
【0166】
熱スイング再生サイクルのため、少なくとも3つの吸着床が採用されるのが好ましい。第1の床は、1110で示されているように吸着用に使用され、第2の床は再生チャンバー1140内で再生が施され、第3の床は、すでに再生され、第1の床1110が実質的に飽和された場合吸着システム1150において使用するために蓄えてある。したがって、最低限で3つの床がより効果のある作業のために平行して使用される。これらの床は、例えば、シリカゲルなどで充填されていてもよい。
【0167】
図11に見られるように、濃縮したH2Sガス流は、ライン1114を介して吸着システム1110から放出される。濃縮した硫化水素流1114は、再生流としても作用する。再生流1114は、主にCH4およびH2Sを含むが、微量の二酸化炭素および場合によりいくらかの重質炭化水素も含有する可能性が最も高い。一態様において、再生流1114は、冷蔵ユニット1116を用いて冷却される。これにより、再生流1114の部分的な液化が少なくとも起きる。次いで再生流1114は分離器1120に導入される。分離器1120は、軽質ガスから再生流1114内の水を分離する重力分離器が好ましい。軽質ガスは、一般的にメタン、硫化水素、および二酸化炭素を含む。
【0168】
軽質ガスは、分離器1120の最上部から(ライン1122で概略的に示されている)放出される。ライン1122の分離器1120から放出された軽質ガスは、脱水されたガス流624に戻る。同時に、水、重質炭化水素(主にエタン)および溶解した硫化水素は、分離器1120の底部から(ライン1124で概略的に示されている)放出される。一部の実施において、ライン1122のリサイクルガスは、確実にこれがシステムを介してリサイクルされないようにするため、H2Sに対する処理が必要となり得る。
ガス処理施設1100は、脱水ユニット620を含んでいなくてもよいことに注意されたい。水は、再生流1114と共に固体吸着床1110から落ちることになり、ライン611のサワーガス流に移動しない。水は、ライン1124中の硫化水素と共に分離器1120からさらに落ちる。次いで硫黄化合物からの水の分離は、例えば、サワー水ストリッパーまたは他の分離器(示されていない)を用いて達成することができる。
【0169】
一用途において、再生ガスヒーター1140からの使用済みのガスを燃焼することによって、タービン(示されていない)を駆動することができる。次にこのタービンは、開ループコンプレッサー(例えば図1のコンプレッサー176など)を駆動することができる。このようなタービンからの廃熱を取り出し、これを使用して硫化水素回収プロセス用の再生ガス(例えばライン1132の中)を予熱することによって、再生ガスヒーター1140を酸性ガス除去プロセスにさらに統合してもよい。同様に、オーバーヘッドコンプレッサー114からの熱を使用することによって、硫化水素回収プロセス用に使用される再生ガスを予熱することもできる。
【0170】
再生ガスは、固体床1110から脱着したH2Sを含有することがここで観察される。このガスを溶媒と接触させることによって、H2Sを除去し、メタンおよび他のいかなる炭化水素も回収することができる。この方法で、ガスのBTU値を復旧させることができる。
記述されているように、圧力スイング吸着を同様に使用することによって、酸性ガス除去施設の上流で硫化水素および他の硫黄成分を除去することができる。圧力スイング吸着、または「PSA」は、汚染物質が固体吸着床に吸着するプロセスを一般的に指す。飽和後、固体吸着剤は、その圧力を低下させることによって再生される。圧力を減少させることによって、汚染物質が低圧力流として放出される。
【0171】
図12は、硫化水素の除去のために圧力スイング吸着を使用するガス処理施設1200の概略図を提供している。このガス処理施設1200は一般的に、図6のガス処理施設600に従い作動する。この点において、脱水されたガス流624は冷やされ、次いでサワーガスライン611を介して酸性ガス除去システム650に送達される。しかし、硫化水素を除去するために、接触塔670と共に物理溶剤接触システム605を使用する代わりに、圧力スイング吸着システム1250が使用される。この圧力スイング吸着システム1250は、生ガス流624からの硫化水素の少なくとも部分的な分離を提供する。
【0172】
熱スイング吸着システム1150と同様に、圧力スイング吸着システム1250は、吸着床1210を使用することによって、メタンガスを放出しながら、H2Sを選択的に吸着する。吸着床1210は、ゼオライトから作られたモレキュラーシーブが好ましい。しかし、他の吸着床、例えばシリカゲルから作られた床などを採用してもよい。炭化水素ガス分離の技術分野の当業者であれば、吸着床の選択は通常、生ガス流624の組成に依存することを再び理解している。
図12に見てとれるように、吸着システム1250は、軽質ガス流1212を介してメタンガスを放出する。この軽質ガス流1212は、冷蔵ユニット626を介して運ばれ、次いで、好ましくは、極低温蒸留塔100に侵入する前にJoules−Thompsonバルブ628を介して運ばれる。同時に、濃縮した硫化水素流は、ライン1214を介して吸着床1210から放出される。
【0173】
作動中、圧力スイング吸着システム1250内の吸着床1210は、加圧チャンバー内に存在する。吸着床1210は、脱水されたガス流624を受け取り、残っているいずれの水およびいずれの重質炭化水素と共にH2Sを吸着する。微量の二酸化炭素も吸着し得る。吸着床1210は、床1210が硫化水素および他の硫黄成分で飽和したら交換する。H2S(もしあれば、重質炭化水素)は、加圧チャンバー内の減少する圧力と反応して床から放出されることになる。次いで濃縮した硫化水素流1214が放出される。
【0174】
ほとんどの場合、加圧チャンバー内の圧力を大気圧まで低く減少させることによって、濃縮硫化水素流1214内の大多数の硫化水素および他の汚染物質が吸着床1210から放出される。しかしある極端な場合には、真空チャンバーを使用して濃縮硫化水素流1214に亜大気圧を適用することによって、圧力スイング吸着システム1250を支援することができる。これはブロック1220において示されている。より低い圧力の存在下、硫黄成分および重質炭化水素は、吸着床1210を構成する固体マトリックスから脱着する。
水、重質炭化水素および硫化水素の混合物は、ライン1222を介して真空チャンバー1220を出ることになる。この混合物は分離器1230に入る。この分離器1230は、重質炭化水素および水を硫化水素から分離する重力分離器が好ましい。液体成分は、底部(ライン1234で概略的に示されている)から放出される。溶解したH2Sに対する処理後、ライン1234のいずれの重質炭化水素が商業販売に送られてもよい。ガス形態の硫化水素は、分離器1230(ライン1232で概略的に示されている)の最上部から放出される。ライン1232中のH2Sは、硫黄回収ユニット(示されていない)に送られるか、または酸性ガス注入の一部として地下構造に注入される。
【0175】
圧力スイング吸着システム1250は、平行した複数の床に依存し得る。第1の床1210は、吸着用に使用される。これは使用する床として知られている。第2の床(示されていない)は、圧力減少を介して再生が施される。第3の床は、すでに再生され、第1の床1210が実質的に飽和した場合吸着システム1250において使用するために蓄えてある。したがって、最低限で3つの床をより効果のある作業のために平行して使用することができる。これらの床は、例えば活性炭またはモレキュラーシーブで充填されていてもよい。
【0176】
圧力スイング吸着システム1250は、高速サイクル圧力スイング吸着システムであってよい。いわゆる「高速サイクル」プロセスにおいて、サイクルの時間は、数秒と短くすることができる。高速サイクルPSA(「RCPSA」)ユニットであれば普通のPSA装置と比較してかなり小型であるため特に有利である。注入ガスに対して前処理が必要となり得ることに注意されたい。代わりに、充填床の最上部の物質の犠牲層を使用することによって、活性物質を保存することもできる。
一態様において、熱スイング再生と圧力スイング再生の組合せを採用することもできる。
【0177】
本明細書中で提案された、酸性ガス除去システムの上流で硫化水素を除去するための別の方法は、吸着動的分離、またはAKSと呼ばれるプロセスである。AKSは、他の化学種に対して、特定の化学種が構造化された吸着剤上に吸着する速度に依存する比較的新しい種類の固体吸着剤を採用している。これは、固体吸着剤の平衡吸着特性により選択性が主に与えられる伝統的な平衡制御されたスイング吸着プロセスと対照的である。後者の場合、微小孔内の軽質の生成物または吸着剤の自由体積の競合する吸着等温線は好まれない。
【0178】
動力学的に制御されたスイング吸着プロセスにおいて、選択性は、吸着剤の拡散特性により、および微小孔内の輸送拡散係数により主に与えられる。吸着剤は、1つまたは複数のガス成分に対して「動力学的選択性」を有する。本明細書で使用する場合、「動力学的選択性」という用語は、単一の成分拡散係数、D(m2/sec)と、2つの異なる化学種の比率として定義される。これら単一の成分拡散係数は、所与の純粋なガス成分にする所与の吸着剤に対して測定されるStefan−Maxwell輸送拡散係数としても知られている。したがって、例えば、ある特定の吸着剤の、成分Bに対する成分Aの動力学的選択性は、DA/DBと同じである。物質に対する単一の成分拡散係数は、吸着性物質の技術分野では周知の試験によって求めることができる。
動力学的拡散係数を測定するための好ましい手段は、Reyesらによって「Frequency Modulation Methods for Diffusion and Adsorption Measurements in Porous Solids」, J. Phys. Chem. B. 101, pp.614-622(1997)において記載された周波数反応技法を用いたものである。動力学的に制御された分離において、選択された吸着剤の、第2成分(例えば、成分B)に対する第1成分(例えば、成分A)の動力学的選択性(すなわち、DA/DB)は、5を超え、より好ましくは20を超え、さらにより好ましくは50を超えることが好ましい。
【0179】
吸着剤はゼオライト物質であることが好ましい。重質炭化水素を除去するための適切なポアサイズを有するゼオライトの非限定的な例として、MFI、フォージャサイト型、MCM−41およびBetaが挙げられる。重質炭化水素除去のための本発明の方法の実施形態において利用されるゼオライトのSi/Al比率は、吸着剤の過剰な付着を防止するためには、およそ20からおよそ1,000が好ましく、好ましくはおよそ200からおよそ1,000である。炭化水素ガス成分の分離のための吸着動的分離の使用についての追加の技術情報は、その全体の開示が本明細書に参照により組み込まれている、米国特許公開第2008/0282884号である。
【0180】
図13は、別の実施形態における本発明のガス処理施設1300を示す概略図である。この配置において、硫化水素は、吸着動的分離を利用する吸着床1310を用いて酸性ガス除去システム650の上流でガス流から除去される。
ガス処理施設1300は、図6Aのガス処理施設600に従い一般的に作動する。この点において、脱水されたガス流624は、予備冷蔵ユニット625で冷やされ、次いでライン611のサワーガス流を介して酸性ガス除去システム650に送達される。しかし、硫化水素を除去するために、接触塔670と共に、物理溶剤接触システム605を酸性ガス除去システム650の上流で使用する代わりに、AKS固体吸着床1310が使用される。この吸着床1310は、硫化水素を優先的に吸着する。
【0181】
現在の吸着動的分離の適用において、硫化水素成分は、吸着床1310で保持されることになる。これは、H2Sがより低い圧力で回収されることを意味する。この吸着床1310は、圧力スイング吸着または高速サイクル圧力スイング吸着と一緒に使用されてもよい。圧力が減少した際に、液体天然ガス流1314は、低圧で固体吸着床から放出される。液体天然ガス流1314は、脱水されたガス流624からの硫黄成分の大部分を含有し、重質炭化水素および微量の二酸化炭素も含有し得る。
硫化水素および二酸化炭素を重質炭化水素から分離するため、追加の蒸留カラムが必要である。蒸留容器は1320で示されている。蒸留容器1320は、例えば汚染物質浄化システムとして使用されるトレイカラムまたは充填カラムであってよい。硫化水素および二酸化炭素は、オーバーヘッドライン1324を介して放出される。ライン1324は、貯留層1349への酸性ガス注入のために酸性ガスライン646と合流するのが好ましい。サワーの重質炭化水素および大部分の水分子は、底部ライン1322を介して蒸留容器1320を出る。重質炭化水素は、液体天然ガスの形態、すなわちエタン、場合によりプロパンであってよい。液体天然ガスは、H2Sの除去のために処理され、販売のために捕獲される。
【0182】
システム1300の吸着動的分離プロセスは、大量な過剰圧力下で生成された天然ガス流から硫化水素および重質炭化水素を回収するのにより有利となり得ることに注意されたい。この状況において、ライン611のサワーガスは、極低温蒸留塔100により処理されるべき十分な圧力を有する。過剰圧力の例とは、400psigを超えるような圧力である。
【0183】
吸着床1310は、軽質ガス流1312を放出する。流れ1312内のガスは、メタンおよび二酸化炭素から主に構成される。流れ1312の軽質ガスは、極低温蒸留塔100に入る前に、冷却されることが好ましい。例示的ガス処理施設1300において、流れ1312内の軽質ガスは、冷蔵ユニット626を通過し、次いで膨張装置628を通過する。冷却したサワーガス流は、酸性ガス除去システム650に誘導されるライン611において生成される。
重質炭化水素を除去するための別の一般の手法において、重質炭化水素は、蒸留塔100からの「下流の」底部流646から抽出される。一例において、吸着動的分離プロセスは、極低温蒸留塔の下流に採用される。
【0184】
図14は、吸着動的分離プロセスを採用しているガス処理施設1400の概略図を表す。このガス処理施設1400は、一般的に図13のガス処理施設1300に従う。しかし、この例では、酸性ガス除去システム650の上流でAKS固体吸着床1310を使用する代わりに、酸性ガス除去システム100の下流でAKS固体吸着床1410が使用されている。
【0185】
図14において、酸性ガス、すなわち硫化水素および二酸化炭素が、液化された底部酸性ガス流642として蒸留塔100から取り出されることが見てとれることができる。この液体流642は、微量のメタンを含有するガスが再誘導されてガス流644として塔100に戻るリボイラー643を介して送られてもよい。主に酸性ガスから構成される残留液体は、酸性ガスライン646を介して放出される。
ライン646からの酸性ガスは、AKS固体吸着床1410へと送達される。酸性ガスは、低温のままであり、これらが床1410を通過する間は液相として存在する。硫化水素および任意の重質炭化水素は、酸性ガスから取り出され、ライン1412を介して液体天然ガス流1412として放出される。同時に、酸性ガスは、AKS固体吸着床1410を通過し、底部酸性ガス流1414として放出される。
【0186】
底部酸性ガス流1414内の酸性ガスは、主に液相のままである。ライン1414の液化された酸性ガスは主にCO2であり、気化してもよい。代わりに、ライン1414の液化された酸性ガスは、ブロック649で示された1つまたは複数の酸性ガス注入(AGI)坑井を介して地下構造に注入することができる。この例では、ライン646の酸性ガスは、圧力ブースター648を通過するのが好ましい。
液体天然ガス流1412は、重質炭化水素ならびに硫化水素および微量の二酸化炭素を含有することを注意されたい。したがって、液体天然ガス流1412からH2SおよびCO2を分離するために、蒸留プロセスが行われる。蒸留容器は1420に示されている。H2Sおよび微量のCO2ガスは、オーバーヘッドライン1424を介して蒸留容器1420から放出される。ライン1424は、貯留層649への酸性ガス注入のために、底部酸性ガス流1414と合流するのが好ましい。重質炭化水素は、底部ライン1422を介して容器1420を出て、販売のために捕獲される。
【0187】
図15Aは、別の実施形態における本発明のガス処理施設1500の概略図である。この配置において、硫化水素は、抽出蒸留プロセスを用いて酸性ガス除去システム650の下流でガス流から除去される。抽出蒸留プロセスは、ボックス1550で表される。
この例示的ガス処理施設1500は一般的に、図6のガス処理施設600に従う。この点において、脱水されたガス流624は冷やされ、次いでサワーガスライン611を介して酸性ガス除去システム650に送達される。しかし酸性ガス除去システム650の上流で接触塔と共に溶媒接触システム605を使用する代わりに、酸性ガス除去システム650の下流で抽出蒸留プロセスが使用される。
【0188】
冷やされたサワーガスは、ライン611を通過し、酸性ガス除去システム650に入ることが図15Aにおいて見てとれることができる。ライン611の冷やされたサワーガスは、脱水された生ガス流624と同じ組成を有する。ライン611のサワーガスは、硫化水素および二酸化炭素と共にメタンを含む。エタンならびに微量元素である窒素、ヘリウムおよび芳香族も存在し得る。
ライン611のサワーガスは、最初にカラム100に入る。これは、図1および6のCFZ塔100と同じであってよい。上述のように、CFZ塔100は、サワーガスをオーバーヘッドメタン流112と底部酸性ガス流642へと分離する。この例において、底部酸性ガス流642は、二酸化炭素および硫化水素の両方を含む。
【0189】
底部流642は、リボイラー643を介して送られてもよい。そこからメタンを含有する流体が再誘導されて炭化水素ガス流644として塔100に戻る。主に硫化水素および二酸化炭素から構成される残留流体は、酸性ガスライン646を介して放出される。酸性ガスライン646内の物質は、液体形態であり、抽出蒸留システム1550に入る。
【0190】
図15Bは、抽出蒸留プロセスのためのガス処理施設1550の詳細な概略図である。ライン646が、抽出蒸留施設1550に酸性ガスを運搬しているのが見てとれることができる。図15Bの例示的配置において、3つの抽出蒸留カラム1510、1520および1530が示されている。しかし、3つより多くのカラムを採用することができることを理解されたい。
抽出蒸留カラム1510は、プロパン回収カラムである。このプロパン回収カラム1510は、容器内で炭化水素溶媒と酸性ガス流646を混合する。第1のカラム1510の温度は一般的に−100°から50°Fである。プロパン回収カラム1510において、溶媒は、硫化水素を吸収し、これによって、溶媒はカラム1510から溶媒底部流1514として離れる。これはまた、いくらかの二酸化炭素ならびに重質炭化水素を含有することになる。同時に、二酸化炭素および微量の軽質炭化水素がオーバーヘッド流1554を介してカラム1510を出る。流れ1554の二酸化炭素は、地下構造(図15Aの649)への注入のために、酸性ガス注入ライン1552と合わせることができる。
【0191】
溶媒底部流1514は、第2の抽出蒸留カラム1520に入る。第2の抽出蒸留カラム1520は、CO2除去カラムである。CO2除去カラム1520内の温度は一般的に、0°から250°Fであり、これはプロパン回収カラム1510内の温度より高い。CO2除去カラム1520において、溶媒および重質炭化水素は、第2の溶媒底部流1524としてカラム1520を離れる。同時に、二酸化炭素は、オーバーヘッドCO2流1552として第2のカラム1520を出る。このオーバーヘッドCO2流1552は、油回収の増強のために使用されるのが好ましい。
最終カラム1530は図15Bに示されている。最終カラム1530は、添加物回収カラムである。この添加物回収カラム1530は、溶媒から「液体天然ガス」として知られる重質炭化水素成分を分離する蒸留の仕組みを使用する。第3のカラム1530内の温度は、一般的に80°Fから350°Fであり、これは第2のカラム1530内の温度より高い。液体天然ガスは、ライン1532を介してカラム1530を出て、残留するあらゆるH2SおよびCO2を除去するために処理ユニットに運ばれる。この処理ユニットは、液体/液体抽出器であってよく、ここではアミンが例えばH2S/CO2除去のために使用されている。
【0192】
溶媒は、底部溶媒流1534として添加物回収カラム1530を離れる。この底部溶媒流1534は、再生された添加物を表す。底部溶媒流1534の大部分は、抽出蒸留プロセスのために第1のカラム1510に再導入される。流れ1534からの過剰の溶媒は、ライン1536を介して処理するために液体天然ガス流1532と合わせてもよい。
【0193】
再び図15Aを参照すると、ライン1554の二酸化炭素は、ライン1552でCO2と合わせられ、圧力ブースター648を通過し、次いでブロック649で示された1つまたは複数の酸性ガス注入(AGI)坑井を介して地下構造に注入されることが好ましい。
図に示されているように、酸性ガス除去プロセスに関連して硫黄成分を除去するため、いくつかの方法を使用することができる。一般的に、選択された方法は、生の天然ガス、または処理を受けるガスの状態に依存する。例えば、H2S濃度がおよそ0.1%未満の場合、いずれにせよ脱水が必要なため、モレキュラーシーブ手法の組合せがベストとなり得る。モレキュラーシーブにより、「汚れた」開始を促進できるCO2をいくらか除去するという利点が加えられた。
【0194】
注入ガス内におよそ0.1%から10%のH2Sがある場合、Selexol(商標)のような物理溶剤がベストのオプションとなり得る。これを使用することによって、あるレベルまで注入ガスを乾燥させることができるので、これは溶媒が乾燥していることが理想的である。CFZ処理のため、ガスは、(より小さな)モレキュラーシーブユニットによるさらなる脱水を必要とし得る。Selexolユニットからの濃縮H2S流は、硫黄回収ユニット(SRU)内で処理されてもよいし、または圧縮され、坑内処分のためにCFZ底部流と合わせられてもよい。
硫化水素除去のための上記方法は、「制御された凍結域」の塔を利用するプロセスだけでなく、いずれの酸性ガス除去プロセスと一緒に適用することができることを理解されたい。他の極低温蒸留カラムを採用してもよい。さらに、他の極低温蒸留プロセス、例えばバルク分取などを使用することもできる。バルク分取塔は、図1のCFZ塔100と似ているが、中間部の凍結域がない。バルク分取塔は通常、CFZ塔100よりも高い圧力、例えば700psigより上などで作動し、これによってCO2固体の形成を回避する。しかしオーバーヘッドメタン流112は、有意な量のCO2を含有し得る。いずれの例においても、脱水されたガス流624がおよそ3%を超えるC2またはより重質な炭化水素を含む場合、硫化水素の除去のために別々のプロセスを利用することが望ましい。
【0195】
本明細書中に記載されている本発明は、上に記載された優位性および利点を成し遂げためよく計算されていることは明らかであるが、本発明は、その趣旨から逸脱することなく改質、変法および変更を受け入れることができることを理解されたい。制御された凍結域を用いた、酸性ガス除去プロセス作業の向上がもたらされる。この向上によって、生産ガス内で非常に低レベルまでH2Sを除去するための設計が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サワーガス流から酸性ガスを除去するためのシステムであって、
サワーガス流を、主にメタンから構成されるオーバーヘッドガス流と、主に二酸化炭素から構成される液化された底部酸性ガス流とに分離する極低温蒸留塔を利用する、サワーガス流を受け取るための酸性ガス除去システムと、
生ガス流を受け取り、生ガス流を、硫化水素流とサワーガス流に全般的に分離する、酸性ガス除去システムの上流の硫黄成分除去システムと
を含むシステム。
【請求項2】
生ガス流がおよそ4ppmから100ppmの間の硫黄成分を含有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
極低温酸性ガス除去システムが、サワーガス流の極低温蒸留塔への侵入前にこれを冷やすための熱交換器をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
極低温蒸留塔が、下部蒸留域および主にメタンから構成される低温液体スプレーを受け取る中間部の制御された凍結域と、
オーバーヘッドメタン流を冷却するため、およびオーバーヘッドメタン流の一部分を低温スプレーとして極低温蒸留塔に戻すための極低温蒸留塔の下流の冷蔵機器と
を含み、塔がサワーガス流を受け取り、次いでこれをオーバーヘッドメタン流と底部酸性ガス流に分離する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
酸性ガス除去システムがバルク分別システムである、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
硫黄成分除去システムが、化学溶媒システムを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
化学溶媒が、メチルジエタノールアミン(MDEA)、Flexsorb(登録商標)ファミリーの溶媒からの選択性アミン、またはこれらの組合せを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
化学溶媒システムが複数の並流の接触器を利用する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
化学溶媒システムの並流の接触器が、
(i)生ガス流および(ii)第2の液体溶媒を受け取るように設計された第1の並流の接触器であって、さらに(iii)主にメタンから構成される、第1の部分的にスウィートニングされたガス流および(iv)第1の部分充填されたガス処理溶液を放出するように設計された第1の並流の接触器と、
(i)第1の部分的にスウィートニングされたガス流および(ii)第3の液体溶媒を受け取るように設計され、(iii)第2の部分的にスウィートニングされたガス流および(iv)第2の部分充填されたガス処理溶液を放出するように設計された第2の並流の接触器と、
(i)前の部分的にスウィートニングされたガス流および(ii)再生された液体溶媒を受け取るように設計され、(iii)主にメタンから構成される最終のスウィートニングされたガス流、および(iv)最終の軽く充填されたガス処理溶液を放出するように設計された、最終の並流の接触器と
を含み、
硫化水素流が、第1の部分充填されたガス処理溶液および第2の部分充填されたガス処理溶液から少なくとも一部構成され、
再生された液体溶媒が、少なくとも第1の部分充填されたガス処理溶液および第2の部分充填されたガス処理溶液から硫化水素を実質的に取り出す働きをする再生された溶媒流から少なくとも一部構成される、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも第1の部分充填されたガス処理溶液を受け取り、再生された液体溶媒を生成するように設計された液体溶媒再生器をさらに含む、請求項9に記載の化学溶媒システム。
【請求項11】
液体溶媒および再生された液体溶媒がヒンダードアミン、第三級アミン、またはこれらの組合せを含む、請求項9に記載のガス処理施設。
【請求項12】
化学溶媒システムの並流の接触器が、
第1の並流の接触器と、第2の並流の接触器と、最終の並流の接触器とを含み、
これら並流の接触器のそれぞれが、(i)生ガス流および液体溶媒を受け取り、(ii)スウィートニングされたガス流および別々の充填されたガス処理溶液を放出するよう設計され、
第1の並流の接触器、第2の並流の接触器および最終の並流の接触器が、それぞれのスウィートニングされたガス流を次第にスウィートニングされたガス流として直列に送達するよう設計され、
最終の並流の接触器、第2の並流の接触器および第1の並流の接触器が、それぞれのガス処理溶液を次第にリッチになるガス処理溶液として直列に送達するよう配置されている、
請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
第1の並流の接触器が、(i)初期ガス流および(ii)第2の液体溶媒を受け取り、(iii)第1の部分的にスウィートニングされたガス流および(iv)第1の部分充填されたガス処理溶液を放出し、
第2の並流の接触器が、(i)第1の部分的にスウィートニングされたガス流を第1の並流の接触器から受け取り、(ii)第3の液体溶媒を受け取り、(iii)第2の部分的にスウィートニングされたガス流および(iv)第2の部分充填されたガス処理溶液を放出し、
最終の並流の接触器が、(i)前の部分的にスウィートニングされたガス流および(ii)再生された液体溶媒を受け取り、(iii)最終のスウィートニングされたガス流および(iv)最終の軽く充填されたガス処理溶液を放出する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
硫黄成分除去システムが、物理溶剤を利用する物理溶剤システムを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項15】
物理溶剤が、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、メチルシアノアセテート、冷蔵したメタノール、テトラメチレンスルホン、Selexol(商標)、またはこれらの組合せを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
生ガス流を受け取り、生ガス流をサワーガス流および硫化水素流へと分離するための吸収体であって、硫化水素流が硫化水素および液体物理溶剤を含む吸収体と、
硫化水素流を処理して物理溶剤から硫化水素を分離するための少なくとも2つの分離器と、
物理溶剤を再生し、物理溶剤の少なくとも一部を吸収体に戻すための再生器と
を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
硫黄成分除去システムが、硫黄成分を実質的に吸着するための少なくとも1つの固体吸着床を含み、硫黄成分が少なくとも1つの固体吸着床が再生される際に硫化水素流として放出され、前記少なくとも1つの固体吸着床がサワーガス流としてメタンおよびCO2を実質的に通過させる、請求項2に記載のシステム。
【請求項18】
固体吸着床(i)がゼオライト物質で作られているか、または(ii)少なくとも1つのモレキュラーシーブを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
硫黄成分除去システムが、硫化水素流内の硫黄成分から二酸化炭素を分離するための分離器をさらに含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
再生が、圧力スイング吸着プロセスの一部である、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの固体吸着床が、少なくとも3つの吸着床を含み、
少なくとも3つの吸着床のうちの第1の吸着床が、硫化水素を吸着するために使用され、
少なくとも3つの吸着床のうちの第2の吸着床において、再生が施され、
少なくとも3つの吸着床うちの第3の吸着床が、少なくとも3つの吸着床のうちの第1の吸着床の代替として取っておく、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
硫黄成分除去システムが、硫化水素流が分離器に入る前に、負の相対圧力を少なくとも3つの吸着床のうちの第1の吸着床にかけるための真空をさらに含み、少なくとも3つの吸着床のうちの第1の吸着床からの硫化水素の脱着を支援する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
再生が熱スイング吸着プロセスの一部である、請求項17に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つの固体吸着床が、少なくとも3つの吸着床を含み、
少なくとも3つの吸着床のうちの第1の吸着床が硫化水素を吸着させるために使用され、
少なくとも3つの吸着床のうちの第2の吸着床において、再生が施され、
少なくとも3つの吸着床のうちの第3の吸着床が、少なくとも3つの吸着床のうちの第1の吸着床の代替として取っておく、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
硫黄成分除去システムが、(i)再生ガスを受け取り、(ii)再生されたガスを加熱し、(iii)加熱再生されたガスからの熱を第2の吸着床に適用することによって、第2の吸着床から硫化水素を脱着させるための再生ガスヒーターをさらに含み、
再生ガスヒーターが第1の固体吸着床にガス流を放出することによって、ガス流を硫化水素流とサワーガス流に分離し、
硫黄成分除去システムが、硫化水素流から任意のメタンを分離するための分離器をさらに含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
硫黄成分除去システムが、硫化水素流を受け取り、これが分離器に入る前に硫化水素流体流を冷やすための冷却器をさらに含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
硫黄成分除去システムが、硫化水素を実質的に吸着するための少なくとも1つの固体吸着床を含み、硫化水素が少なくとも1つの固体吸着床が再生される際に硫化水素流として放出され、前記少なくとも1つの固体吸着床がサワーガス流としてメタンおよび二酸化炭素を実質的に通過させる、請求項2に記載のシステム。
【請求項28】
前記少なくとも1つの固体吸着床が吸着動的分離床である、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
硫黄成分除去システムが、レドックスシステムを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項30】
レドックスシステムが、
生ガス流およびキレートされた酸化金属を受け取るための接触器であって、キレートされた酸化金属が生ガス流と混合され、還元酸化反応を起こし、(i)キレートされた還元金属および元素硫黄を含む底部水溶液、ならびに(ii)メタンおよび二酸化炭素から構成されるオーバーヘッドガス流を放出する接触器と、
空気と共に底部水溶液を受け取り、酸化反応のためのチャンバーを提供するための酸化器であって、元素硫黄と共に水性のキレートされた金属混合物を放出する酸化器と、
元素硫黄と共に水性のキレートされた水性金属混合物を受け取り、元素硫黄と共に水性のキレートされた金属混合物を再生されたキレート金属触媒溶液と元素硫黄に分離するための分離器と、
再生されたキレートされた金属触媒溶液の少なくとも一部分を接触器に戻すように誘導するためのラインと
を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
硫黄成分除去システムが、スカベンジャーシステムを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項32】
スカベンジャーシステムが、
液体捕捉剤が生ガス流と混合するラインと、
生ガス流をサワーガス流と使用済みのスカベンジャー流に分離するための分離容器であって、使用済みのスカベンジャー流が硫化水素および液体捕捉剤を含む分離容器と
を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
オーバーヘッドガス流が、メタンばかりでなく、ヘリウム、窒素、またはこれらの組合せも含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項34】
硫黄成分除去システムが、CrystaSulfプロセスを実施するためのシステムを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項35】
硫黄成分除去システムが、
(i)サワーガス流および(ii)スクラビング液として酸化ガスを受け取るための吸収体であって、酸化ガスが生ガス流と混合して化学反応を起こすことによって、(i)サワーガス流を放出し、(ii)水、硫化水素および酸化ガスから構成される吸着剤を放出する吸収体と、
液体吸着剤を、(i)主に炭化水素ガスおよび任意の取り込まれた水蒸気から構成されるオーバーヘッド気体流および(ii)硫黄溶液に分離するためのフラスコと、
炭化水素ガスから水を分離し、炭化水素ガスを生ガス流に戻すように送達するための分離容器と、
硫黄溶液を受け取るための結晶器であって、沈殿域内において硫黄結晶を用いて硫黄溶液に種結晶をまくことによって、溶解した硫黄の析出を生じさせ、(i)結晶器の下部の部分から硫黄スラリーを放出し、(ii)液を結晶器の上部の部分から酸化ガスとして誘導し、液の一部分が吸収体に戻るように誘導する結晶器と、
硫黄スラリーを純粋な固体硫黄と透明な液に分離するためのフィルターであって、透明な液が結晶器に戻るように誘導されるフィルターと
をさらに含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
生ガス流が硫黄成分除去システムを通過する前にこれを受け取り、生ガス流を、脱水した生ガス流と、実質的に水性の流体から構成される流れに分離するための脱水器具をさらに含むシステムであって、
硫黄成分除去システムが受け取る生ガス流が、脱水した生ガス流である、請求項2に記載のシステム。
【請求項37】
サワーガス流を受け取るための酸性ガス除去システムであって、サワーガス流にはおよそ10%未満の硫黄成分が含まれ、サワーガス流を、主にメタンから構成されるオーバーヘッドガス流と、主に二酸化炭素および硫黄成分から構成される液体底部酸性ガス流に分離する極低温蒸留塔を利用する酸性ガス除去システムと、
酸性ガス除去システムの下流の硫黄成分除去システムであって、底部酸性ガス流を受け取り、底部酸性ガス流を二酸化炭素流体流と硫化水素流に全般的に分離する硫黄成分除去システムと
を含む、サワーガス流から酸性ガスを除去するためのシステム。
【請求項38】
酸性ガス除去システムが、サワーガス流の蒸留塔への侵入前にこれを冷やすための熱交換器をさらに含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
極低温蒸留塔が、
下部蒸留域および主にメタンから構成される低温液体スプレーを受け取る中間部の制御された凍結域であって、塔がサワーガス流を受け取り、次いでサワーガス流をオーバーヘッドメタン流と液化された底部酸性ガス流に分離する中間部の制御された凍結域と、
オーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部分を液体還流として極低温蒸留塔に戻すための極低温蒸留塔の下流の冷蔵機器と
を含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
硫黄成分除去システムが、
底部酸性ガス流から硫化水素を実質的に吸着するための少なくとも1つの固体吸着床であって、硫化水素が前記少なくとも1つの固体吸着床が再生される際に硫化水素流として放出され、前記少なくとも1つの固体吸着床が二酸化炭素流体流として二酸化炭素を含む酸性ガスを実質的に通過させる、少なくとも1つの固体吸着床を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項41】
前記少なくとも1つの固体吸着床が、少なくとも1つの吸着動的分離床を含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
硫黄成分除去システムが、少なくとも2つの抽出蒸留カラムを有する抽出蒸留システムを含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項43】
抽出蒸留システムが、
プロパン回収カラムとして働く第1の抽出蒸留カラムであって、プロパン回収カラムによって、溶媒と酸性ガス流とが混合して酸性ガスを吸収することにより、別々に二酸化炭素流を放出しながら、溶媒が溶媒底部流としてカラムを離れるように作用する第1の抽出蒸留カラムと、
CO2除去カラムとして働く第2の抽出蒸留カラムであって、CO2除去カラムによって、溶媒および重質炭化水素が、別々にCO2を放出しながら、第2の溶媒底部流として酸性ガス除去カラムを離れるように作用する第2の抽出蒸留カラムと、
添加物回収カラムとして働く第3の抽出蒸留カラムであって、添加物回収カラムが蒸留の仕組みを使用することによって、液体天然ガスがカラムオーバーヘッドから別々に出る間に、底部溶媒流が再生された添加物として放出されるように、「液体天然ガス」として知られている重質炭化水素成分を溶媒から分離する第3の抽出蒸留カラムと
を含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
サワーガス流がおよそ1%未満の硫黄成分を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項45】
サワーガス流が、およそ4ppmから100ppmの間の硫黄成分を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項1】
サワーガス流から酸性ガスを除去するためのシステムであって、
サワーガス流を、主にメタンから構成されるオーバーヘッドガス流と、主に二酸化炭素から構成される液化された底部酸性ガス流とに分離する極低温蒸留塔を利用する、サワーガス流を受け取るための酸性ガス除去システムと、
生ガス流を受け取り、生ガス流を、硫化水素流とサワーガス流に全般的に分離する、酸性ガス除去システムの上流の硫黄成分除去システムと
を含むシステム。
【請求項2】
生ガス流がおよそ4ppmから100ppmの間の硫黄成分を含有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
極低温酸性ガス除去システムが、サワーガス流の極低温蒸留塔への侵入前にこれを冷やすための熱交換器をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
極低温蒸留塔が、下部蒸留域および主にメタンから構成される低温液体スプレーを受け取る中間部の制御された凍結域と、
オーバーヘッドメタン流を冷却するため、およびオーバーヘッドメタン流の一部分を低温スプレーとして極低温蒸留塔に戻すための極低温蒸留塔の下流の冷蔵機器と
を含み、塔がサワーガス流を受け取り、次いでこれをオーバーヘッドメタン流と底部酸性ガス流に分離する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
酸性ガス除去システムがバルク分別システムである、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
硫黄成分除去システムが、化学溶媒システムを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
化学溶媒が、メチルジエタノールアミン(MDEA)、Flexsorb(登録商標)ファミリーの溶媒からの選択性アミン、またはこれらの組合せを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
化学溶媒システムが複数の並流の接触器を利用する、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
化学溶媒システムの並流の接触器が、
(i)生ガス流および(ii)第2の液体溶媒を受け取るように設計された第1の並流の接触器であって、さらに(iii)主にメタンから構成される、第1の部分的にスウィートニングされたガス流および(iv)第1の部分充填されたガス処理溶液を放出するように設計された第1の並流の接触器と、
(i)第1の部分的にスウィートニングされたガス流および(ii)第3の液体溶媒を受け取るように設計され、(iii)第2の部分的にスウィートニングされたガス流および(iv)第2の部分充填されたガス処理溶液を放出するように設計された第2の並流の接触器と、
(i)前の部分的にスウィートニングされたガス流および(ii)再生された液体溶媒を受け取るように設計され、(iii)主にメタンから構成される最終のスウィートニングされたガス流、および(iv)最終の軽く充填されたガス処理溶液を放出するように設計された、最終の並流の接触器と
を含み、
硫化水素流が、第1の部分充填されたガス処理溶液および第2の部分充填されたガス処理溶液から少なくとも一部構成され、
再生された液体溶媒が、少なくとも第1の部分充填されたガス処理溶液および第2の部分充填されたガス処理溶液から硫化水素を実質的に取り出す働きをする再生された溶媒流から少なくとも一部構成される、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも第1の部分充填されたガス処理溶液を受け取り、再生された液体溶媒を生成するように設計された液体溶媒再生器をさらに含む、請求項9に記載の化学溶媒システム。
【請求項11】
液体溶媒および再生された液体溶媒がヒンダードアミン、第三級アミン、またはこれらの組合せを含む、請求項9に記載のガス処理施設。
【請求項12】
化学溶媒システムの並流の接触器が、
第1の並流の接触器と、第2の並流の接触器と、最終の並流の接触器とを含み、
これら並流の接触器のそれぞれが、(i)生ガス流および液体溶媒を受け取り、(ii)スウィートニングされたガス流および別々の充填されたガス処理溶液を放出するよう設計され、
第1の並流の接触器、第2の並流の接触器および最終の並流の接触器が、それぞれのスウィートニングされたガス流を次第にスウィートニングされたガス流として直列に送達するよう設計され、
最終の並流の接触器、第2の並流の接触器および第1の並流の接触器が、それぞれのガス処理溶液を次第にリッチになるガス処理溶液として直列に送達するよう配置されている、
請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
第1の並流の接触器が、(i)初期ガス流および(ii)第2の液体溶媒を受け取り、(iii)第1の部分的にスウィートニングされたガス流および(iv)第1の部分充填されたガス処理溶液を放出し、
第2の並流の接触器が、(i)第1の部分的にスウィートニングされたガス流を第1の並流の接触器から受け取り、(ii)第3の液体溶媒を受け取り、(iii)第2の部分的にスウィートニングされたガス流および(iv)第2の部分充填されたガス処理溶液を放出し、
最終の並流の接触器が、(i)前の部分的にスウィートニングされたガス流および(ii)再生された液体溶媒を受け取り、(iii)最終のスウィートニングされたガス流および(iv)最終の軽く充填されたガス処理溶液を放出する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
硫黄成分除去システムが、物理溶剤を利用する物理溶剤システムを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項15】
物理溶剤が、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、メチルシアノアセテート、冷蔵したメタノール、テトラメチレンスルホン、Selexol(商標)、またはこれらの組合せを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
生ガス流を受け取り、生ガス流をサワーガス流および硫化水素流へと分離するための吸収体であって、硫化水素流が硫化水素および液体物理溶剤を含む吸収体と、
硫化水素流を処理して物理溶剤から硫化水素を分離するための少なくとも2つの分離器と、
物理溶剤を再生し、物理溶剤の少なくとも一部を吸収体に戻すための再生器と
を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
硫黄成分除去システムが、硫黄成分を実質的に吸着するための少なくとも1つの固体吸着床を含み、硫黄成分が少なくとも1つの固体吸着床が再生される際に硫化水素流として放出され、前記少なくとも1つの固体吸着床がサワーガス流としてメタンおよびCO2を実質的に通過させる、請求項2に記載のシステム。
【請求項18】
固体吸着床(i)がゼオライト物質で作られているか、または(ii)少なくとも1つのモレキュラーシーブを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
硫黄成分除去システムが、硫化水素流内の硫黄成分から二酸化炭素を分離するための分離器をさらに含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
再生が、圧力スイング吸着プロセスの一部である、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの固体吸着床が、少なくとも3つの吸着床を含み、
少なくとも3つの吸着床のうちの第1の吸着床が、硫化水素を吸着するために使用され、
少なくとも3つの吸着床のうちの第2の吸着床において、再生が施され、
少なくとも3つの吸着床うちの第3の吸着床が、少なくとも3つの吸着床のうちの第1の吸着床の代替として取っておく、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
硫黄成分除去システムが、硫化水素流が分離器に入る前に、負の相対圧力を少なくとも3つの吸着床のうちの第1の吸着床にかけるための真空をさらに含み、少なくとも3つの吸着床のうちの第1の吸着床からの硫化水素の脱着を支援する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
再生が熱スイング吸着プロセスの一部である、請求項17に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つの固体吸着床が、少なくとも3つの吸着床を含み、
少なくとも3つの吸着床のうちの第1の吸着床が硫化水素を吸着させるために使用され、
少なくとも3つの吸着床のうちの第2の吸着床において、再生が施され、
少なくとも3つの吸着床のうちの第3の吸着床が、少なくとも3つの吸着床のうちの第1の吸着床の代替として取っておく、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
硫黄成分除去システムが、(i)再生ガスを受け取り、(ii)再生されたガスを加熱し、(iii)加熱再生されたガスからの熱を第2の吸着床に適用することによって、第2の吸着床から硫化水素を脱着させるための再生ガスヒーターをさらに含み、
再生ガスヒーターが第1の固体吸着床にガス流を放出することによって、ガス流を硫化水素流とサワーガス流に分離し、
硫黄成分除去システムが、硫化水素流から任意のメタンを分離するための分離器をさらに含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
硫黄成分除去システムが、硫化水素流を受け取り、これが分離器に入る前に硫化水素流体流を冷やすための冷却器をさらに含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
硫黄成分除去システムが、硫化水素を実質的に吸着するための少なくとも1つの固体吸着床を含み、硫化水素が少なくとも1つの固体吸着床が再生される際に硫化水素流として放出され、前記少なくとも1つの固体吸着床がサワーガス流としてメタンおよび二酸化炭素を実質的に通過させる、請求項2に記載のシステム。
【請求項28】
前記少なくとも1つの固体吸着床が吸着動的分離床である、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
硫黄成分除去システムが、レドックスシステムを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項30】
レドックスシステムが、
生ガス流およびキレートされた酸化金属を受け取るための接触器であって、キレートされた酸化金属が生ガス流と混合され、還元酸化反応を起こし、(i)キレートされた還元金属および元素硫黄を含む底部水溶液、ならびに(ii)メタンおよび二酸化炭素から構成されるオーバーヘッドガス流を放出する接触器と、
空気と共に底部水溶液を受け取り、酸化反応のためのチャンバーを提供するための酸化器であって、元素硫黄と共に水性のキレートされた金属混合物を放出する酸化器と、
元素硫黄と共に水性のキレートされた水性金属混合物を受け取り、元素硫黄と共に水性のキレートされた金属混合物を再生されたキレート金属触媒溶液と元素硫黄に分離するための分離器と、
再生されたキレートされた金属触媒溶液の少なくとも一部分を接触器に戻すように誘導するためのラインと
を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
硫黄成分除去システムが、スカベンジャーシステムを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項32】
スカベンジャーシステムが、
液体捕捉剤が生ガス流と混合するラインと、
生ガス流をサワーガス流と使用済みのスカベンジャー流に分離するための分離容器であって、使用済みのスカベンジャー流が硫化水素および液体捕捉剤を含む分離容器と
を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
オーバーヘッドガス流が、メタンばかりでなく、ヘリウム、窒素、またはこれらの組合せも含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項34】
硫黄成分除去システムが、CrystaSulfプロセスを実施するためのシステムを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項35】
硫黄成分除去システムが、
(i)サワーガス流および(ii)スクラビング液として酸化ガスを受け取るための吸収体であって、酸化ガスが生ガス流と混合して化学反応を起こすことによって、(i)サワーガス流を放出し、(ii)水、硫化水素および酸化ガスから構成される吸着剤を放出する吸収体と、
液体吸着剤を、(i)主に炭化水素ガスおよび任意の取り込まれた水蒸気から構成されるオーバーヘッド気体流および(ii)硫黄溶液に分離するためのフラスコと、
炭化水素ガスから水を分離し、炭化水素ガスを生ガス流に戻すように送達するための分離容器と、
硫黄溶液を受け取るための結晶器であって、沈殿域内において硫黄結晶を用いて硫黄溶液に種結晶をまくことによって、溶解した硫黄の析出を生じさせ、(i)結晶器の下部の部分から硫黄スラリーを放出し、(ii)液を結晶器の上部の部分から酸化ガスとして誘導し、液の一部分が吸収体に戻るように誘導する結晶器と、
硫黄スラリーを純粋な固体硫黄と透明な液に分離するためのフィルターであって、透明な液が結晶器に戻るように誘導されるフィルターと
をさらに含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
生ガス流が硫黄成分除去システムを通過する前にこれを受け取り、生ガス流を、脱水した生ガス流と、実質的に水性の流体から構成される流れに分離するための脱水器具をさらに含むシステムであって、
硫黄成分除去システムが受け取る生ガス流が、脱水した生ガス流である、請求項2に記載のシステム。
【請求項37】
サワーガス流を受け取るための酸性ガス除去システムであって、サワーガス流にはおよそ10%未満の硫黄成分が含まれ、サワーガス流を、主にメタンから構成されるオーバーヘッドガス流と、主に二酸化炭素および硫黄成分から構成される液体底部酸性ガス流に分離する極低温蒸留塔を利用する酸性ガス除去システムと、
酸性ガス除去システムの下流の硫黄成分除去システムであって、底部酸性ガス流を受け取り、底部酸性ガス流を二酸化炭素流体流と硫化水素流に全般的に分離する硫黄成分除去システムと
を含む、サワーガス流から酸性ガスを除去するためのシステム。
【請求項38】
酸性ガス除去システムが、サワーガス流の蒸留塔への侵入前にこれを冷やすための熱交換器をさらに含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
極低温蒸留塔が、
下部蒸留域および主にメタンから構成される低温液体スプレーを受け取る中間部の制御された凍結域であって、塔がサワーガス流を受け取り、次いでサワーガス流をオーバーヘッドメタン流と液化された底部酸性ガス流に分離する中間部の制御された凍結域と、
オーバーヘッドメタン流を冷却し、オーバーヘッドメタン流の一部分を液体還流として極低温蒸留塔に戻すための極低温蒸留塔の下流の冷蔵機器と
を含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
硫黄成分除去システムが、
底部酸性ガス流から硫化水素を実質的に吸着するための少なくとも1つの固体吸着床であって、硫化水素が前記少なくとも1つの固体吸着床が再生される際に硫化水素流として放出され、前記少なくとも1つの固体吸着床が二酸化炭素流体流として二酸化炭素を含む酸性ガスを実質的に通過させる、少なくとも1つの固体吸着床を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項41】
前記少なくとも1つの固体吸着床が、少なくとも1つの吸着動的分離床を含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
硫黄成分除去システムが、少なくとも2つの抽出蒸留カラムを有する抽出蒸留システムを含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項43】
抽出蒸留システムが、
プロパン回収カラムとして働く第1の抽出蒸留カラムであって、プロパン回収カラムによって、溶媒と酸性ガス流とが混合して酸性ガスを吸収することにより、別々に二酸化炭素流を放出しながら、溶媒が溶媒底部流としてカラムを離れるように作用する第1の抽出蒸留カラムと、
CO2除去カラムとして働く第2の抽出蒸留カラムであって、CO2除去カラムによって、溶媒および重質炭化水素が、別々にCO2を放出しながら、第2の溶媒底部流として酸性ガス除去カラムを離れるように作用する第2の抽出蒸留カラムと、
添加物回収カラムとして働く第3の抽出蒸留カラムであって、添加物回収カラムが蒸留の仕組みを使用することによって、液体天然ガスがカラムオーバーヘッドから別々に出る間に、底部溶媒流が再生された添加物として放出されるように、「液体天然ガス」として知られている重質炭化水素成分を溶媒から分離する第3の抽出蒸留カラムと
を含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
サワーガス流がおよそ1%未満の硫黄成分を含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項45】
サワーガス流が、およそ4ppmから100ppmの間の硫黄成分を含む、請求項37に記載のシステム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【公表番号】特表2013−509300(P2013−509300A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537871(P2012−537871)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/044137
【国際公開番号】WO2011/053400
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(500450727)エクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー (46)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/044137
【国際公開番号】WO2011/053400
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(500450727)エクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー (46)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]