説明

硬化ポリマー物品の製造方法

【解決手段】(a)ベースポリマーと多成分系硬化剤組合せの第1の硬化剤成分の第1のバッチ混合物と、(b)上記ベースポリマーと第2の硬化剤成分との第2のバッチ混合物、および(c)キャリヤーと複数の機能性添加剤の第3のバッチ混合物の供給流れであるコンパウンド化ポリマー混合物から、例えばガスケットまたはシールのような硬化ポリマー物品を現場(成形金型内)で製造する方法。
【効果】上記第3のバッチ混合物は比較的小容積(第1、第2のバッチ混合物を入れる容器の容積と比較したとき)を有する容器から供給される。この容積が小さいため添加剤の配合処方が正確になり、ベースポリマーへの添加剤配合処方の変更がすばやく行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序 論
本発明は配合直後に硬化を開始するポリマー配合処方の配合に関する。特に、本発明はガスケットとシールに用いるゴムとエラストマーの配合処方に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスケットは、2箇の合わせ要素間のシールのことである。一般に、2箇の要素は、それぞれ(本質的に共平面状またはフラットな)合わせ面があり、介在するガスケットを除き本質的に隣接して配置されている。この場合にガスケットがないと、合わせ面は両面間に生じる若干の空隙がないと理想的に相互の圧締が行えないことが起ることがあり、これらの空隙は上記の両要素間に望ましくない漏れ通路を作る。ガスケットはほどよい撓み性のある境界面を形成して上記両面間の空隙を充填し、また多くの場合この両合わせ面間で圧縮された機械的ばねとなってこれを補償する。ボルト、または類似の締め金具によりこれら両要素を圧縮的に互に接続させ(合わせ)、両合わせ面間でガスケットを圧縮させる(圧縮したばねシールを形成する)。
【0003】
ガスケット製造の伝統的な1方法では、ポリマー配合処方を配合して、この配合処方を金型中に即座に射出し、この配合処方を金型内で現場硬化して硬化ガスケットにする。この場合、配合処方は通常配合直後に硬化を開始する。更に詳しくは、このような方法は通常(a)ベース液状ゴムと2成分系硬化触媒の1成分との第1のブレンド物を(バッチとして)調製すること、(b)このベース液状ゴムと2成分系硬化触媒の第2の成分との第2のブレンド物を(バッチとして)調製すること、(c)この2種のブレンド物を管内(仕切り板を設けたプラグ流動)混合してポリマー配合処方を調製すること、(d)この配合処方を金型に即座に射出すること、(e)この配合処方を金型内で現場硬化させてガスケットを製造することを含む。
【0004】
ある場合には、顔料の第3のブレンド物も配合処方して金型への射出直前に前記の配合処方に混合する。この場合(特に同一の第1、第2のブレンド物から作られた異なる種類のガスケットで用いたものとは異なる顔料を規定時間以上(over time)用いるときは)、着色添加物を(比較的多量の)第1または第2のブレンド物のバッチにブレンドするよりは別箇の(そして比較的少量の)第3のバッチにブレンドすることが望ましい。このように、残留顔料は第1のブレンド物および第2のブレンド物の混合に用いる容器を汚染せず、またバッチ間での製品の一貫性が得られる。
【0005】
第1、第2、第3のブレンド物は、通常容積式ポンプを用いて可能な定量配分下で混合される。このポンプは、ガスケット製造の全体の混合および成形系の総括的運転と整合した統一コンピュータ実施制御プログラムの制御下にあることが多い。
【0006】
例えば顔料のような単一品目を、顔料とベースポリマーの第3のブレンド流れとして添加したとしても、ガスケット用複合添加剤(例えば熱安定剤と難燃剤の組合せ)がこれまで第1または第2のブレンド物に伝統的に添加されてきた。この場合、希釈、作業者の利便性、生産性(一般的添加剤要求に対するガスケット間の変更は比較的少ない)、および品質(前回のバッチからの熱機能性添加剤の僅かな汚染は、顔料汚染の状況に比べて通常次回のバッチへの品質上の影響は本質的になかった)に対するプロセス上の考慮から、上記2種類の原料ブレンド物のうちの一つにこのようなブレンドを行うことがコストの上からも一番有効なアプローチであることが判った。
【0007】
この伝統的な製造上のアプローチは、ガスケット製造での包括的な一連の新規要請には効果的に対応できない。この場合、ガスケットの配合処方は現在特定のガスケットを用途環境に適合するように特別に設計されており、このように設計されたガスケットの配合処方ではその成分の配分に正確さが要求されている。経済的圧力、例えばかんばん方式の製造と引渡しはまた前記アプローチをすたれさせる。前記のアプローチでは、多量の第1と第2のブレンド物のバッチから多量のガスケットのストックが製造され、次の出荷まで在庫となってきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
製造コストを最小限にし、ガスケット加工ラインをすばやく再構成化して、用途別配合処方でいろいろなガスケットを少量ロットで製造し、ガスケット用配合処方の正確さを確保し、ガスケットとシール用配合処方の多様化を図ったガスケット製造へのアプローチが必要とされている。これらの、およびその他の必要性は本発明によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
総 括
本発明は、
(a)ベースポリマーと多成分系硬化剤組合せの第1の硬化剤成分との第1のバッチ混合物を混合し、
(b)ベースポリマーと前記硬化剤組合せのうちの第2硬化剤成分との第2のバッチ混合物を混合し、
(c)キャリヤーと、ポリマー物品用の複数の機能性添加剤との第3のバッチ混合物を混合し、前記機能性添加剤は熱安定剤、酸吸収剤、架橋抑制剤、顔料、難燃剤、溶剤反発剤、架橋向上剤、架橋活性剤、充填剤、可塑剤、抗劣化剤、および結合剤から成る群から選ばれた少なくとも2種の機能性添加剤を含み、
(d)前記第1、第2、および第3のバッチ混合物を流動混合して供給流れとし、
(e)前記供給流れを成形してポリマー物品用の成形コンパウンド化ポリマーとし、
(f)前記成形コンパウンド化ポリマーをポリマー物品に硬化させる、
少なくとも1種の硬化ポリマー物品の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の別の観点は、前記キャリヤーが前記ベースポリマーである。
【0011】
本発明の更に別の観点は、前記第1の混合、第2の混合、第3の混合、および(プラグ流動)流動混合は制御プログラムに従ってコンピューター実施統一制御により制御される。1形態では、前記第3混合物の混合、プラグ流動混合、成形、および硬化は更に、第3のバッチ混合物を用いてポリマー物品を製造するのに特定な1組の制御設定で前記制御プログラムを構成することから成る。
【0012】
もう1つの観点は、前記第3のバッチ混合物は、予じめ決めた所望の複数の硬化ポリマー物品に応じた量で混合する。
【0013】
更にもう1つの観点は、ベースポリマーと多成分系硬化剤組合せのうちの第1の硬化成分との第1のバッチ混合物と、前記ベースポリマーと前記硬化剤組合せのうちの第2の硬化成分との第2のバッチ混合物との混合用組成物を提供し、前記の組成物と第1のバッチ混合物と第2のバッチ混合物は全部一緒に混合して、コンパウンド化ポリマーの供給流れを形成し、前記の組成物は
(a)キャリヤー量のベースポリマーと、
(b)熱安定剤、酸吸収剤、架橋抑制剤、顔料、難燃剤、溶剤反発剤、架橋向上剤、架橋活性剤、充填剤、可塑剤、抗劣化剤、および結合剤から成る群から独立的に選択された複数の機能性添加剤から成り、
前記キャリヤー量は前記供給流れのコンパウンド化ポリマー中のベースポリマーの10%よりも少ない量であり、
前記ベースポリマーは液状シリコーン、液状フルオロエラストマー、液状ニトリルゴム、液状エチレン-プロピレン-ジエンポリマー、液状アクリルポリマー、液状水添ニトリル ブタジエンゴム、またはこれらの組合せから成る群から選ばれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は前記の第1および/もしくは第2のバッチ容器のいずれか、または両方の洗浄、および/または配合での工程を本質的に省略する。また、本発明では前記の触媒成分のいずれかと(硬化前の)規定時間以上の接触によりマイナスの方向で影響を受ける添加剤の使用が可能になる。また、前記のガスケット/シール製造システムを用いていろいろな製品を製造できるので、廃棄物は規定時間以上で最小量となる。本質的に新規の配合はただ単にシステム内の第3のポット、またはブレンド物を変更することで達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
更なる用途分野は以下の詳細な説明から明白である。この詳細な説明と特定の実施例は本発明の実施態様を示すものであるが、単に説明を目的としたものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0016】
記 載
以下の定義と非限定的なガイドラインは本明細書に示す本発明の記載を検討する際に考慮すべきことである。
【0017】
本明細書に用いる見出し(例えば「序論」「総括」)は本発明の開示内での論点の一般的な構成のためのものにすぎず、本発明の開示、または本発明の観点を限定するものではない。特に、「序論」で開示した主題は、本発明の範囲内での技術の観点を含むもので、先行技術の列挙を構成するものではない。「総括」で開示した主題は本発明の全範囲、または本発明の如何なる実施態様の包括的、または完全な開示ではない。
【0018】
本発明での引例の引用はこれらの引例が先行技術であり、または本明細書で開示する本発明の特許性に何等かの関連性あることの認知を構成するものではない。本明細書の「記載」部門で引用した引例はこれを言及することによりすべてそっくりそのまま取り込まれるものとする。
【0019】
本記載と特定の実施例は本発明の実施態様を示すものであるが、単に説明を目的としたもので、本発明の範囲を限定するためのものではない。更に、明言した特徴を有する複数の実施態様の列挙は追加特徴を有する他の実施態様、または明言した特徴を有する異なる組合せを取り込んだ他の実施態様を排除するためのものではない。
【0020】
本明細書で用いる「好ましい」および「好ましくは」の用語はある状況下である種の利点がある本発明の実施態様を指すものである。しかし、同一または他の状況下で他の実施態様も好ましいことがある。更に、1つ、またはそれ以上の好ましい実施態様の列挙は他の実施態様が有用でないことを意味するものではなく、本発明の範囲から他の実施態様を排除するためではない。
【0021】
本明細書で用いる「含む」という用語、およびその異形は非限定であることを意図するもので、リスト中の品目の列挙は本発明の材料、組成物、装置、方法でも有用であるその他の類似の品目を排除しない。
【0022】
使用上、ガスケットは機械的設計と材料設計の両方での検討上の交差点を表わす。この場合、材料上の改良は機械設計上の改良とからみ合うことが多い。本実施態様は、ガスケット加工ラインをすばやく再構成させ、用途別の配合処方でいろいろなガスケットの少量ロットを製造し、ガスケット用の配合処方を正確にし、ガスケットとシール用の配合処方に多様性を与えることを可能にすることで、材料設計上の改良が完全に活かされたガスケット製造へのアプローチを記載するものである。
【0023】
まず図1は、ガスケット製造用の製造システム100を示す。専門家にとっては明白なことであるが、システム100は任意のポリマー物品、例えば(例示であって、制限されないものとして)シール、パッキン、器具ハウジング、またはコップの製造にも使用できる。
【0024】
容器102には、2成分系硬化剤組合せの第1の硬化剤成分を混合したベースポリマーが入っている。容器104には、前記2成分系硬化剤組合せの第2の硬化剤成分を混合したベースポリマーが入っている。
【0025】
容器106には、目的のポリマー物品用の複数の機能性添加剤を混合したベースポリマーが入っている。これらの機能性添加剤は、以下の添加剤品目の少なくとも2種を含む。即ち、熱安定剤、酸吸収剤、架橋抑制剤、安定剤、顔料、難燃剤、溶剤反発剤、架橋向上剤、架橋活性剤、充填剤[例えば以下の性質、すなわち嵩、重量、および/または粘度(但しこれらに限定されない)の如き性質に対してポリマー物品の生成コンパウンド化ポリマーの機能的特性に貢献する材料であり、本質的に化学的に不活性、またはコンパウンド化ポリマー内での化学的反応に対して本質的に反応的に無意味である材料]、可塑剤、抗劣化剤、および/または結合剤。
【0026】
容積式ポンプ114で混合物を容器102から管内混合機108の取入れ口まで進める。容積式ポンプ116で混合物を容器104から管内混合機108の取入れ口まで進める。容積式ポンプ118は混合物を容器106から管内混合機108の取入れ口まで進める。
【0027】
容器102内の混合物を羽根型混合機140で攪拌し、容器104内の混合物を羽根型混合機142で攪拌し、容器106内の混合物を羽根型混合機144で攪拌する。
【0028】
混合機108は、流れ130を混合して射出金型110用の供給流れ132(供給流れ132中のコンパウンド化ポリマー)にするための配置した邪魔板がある邪魔板付き静的混合機であり、流れ130はポンプ114、116、および118から流れて混合機108に入り、次いで完全に混合した供給流れ132(供給流れ132中のコンパウンド化ポリマー)として金型110に入る。
【0029】
金型110は供給流れ132のコンパウンド化ポリマーを成形コンパウンド化ポリマー112に成形するための空洞を提供する。成形コンパウンド化ポリマー112は金型110内で現場硬化して所望の物品となる。
【0030】
制御モジュール122は、混合機140、混合機142、混合機144、金型110、ポンプ114、ポンプ116、ポンプ118の特性測定と制御を、測定信号ラインと制御信号ライン、例えば信号ライン120を用いて行う。制御モジュール122は、所望の物品(例えばガスケット)製造用の特定の一連の制御設定により制御プログラム(図示していないが、自明のものと考えられる)を実行する。
【0031】
図1に図示したように、容器106の容積は好ましくは容器102、104のいずれの容積よりも実質的小さい。この場合、容器106の混合物の中味は硬化ポリマー物品の特定の(例えば第1の)タイプ用に特定化した機能性添加剤を含む。第1のタイプの物品の、同じベースポリマーと触媒の硬化ポリマー物品の別の(例えば、第2の)タイプを望むときは、再処方する必要のあるのは(または、製造さるべき物品のタイプをより実質的に変更したいとする別の実施態様の場合に、洗浄と再仕込みする必要のあるのは)容器106だけである。更にこの場合、物品のタイプの変更により機能性添加物の配合処方の変更と、金型110を変更して別の空洞設計を行うという両方の変更が必要になることもある。
【0032】
容器106を供給流れ132用に機能性添加剤「パッケージ」を用いた混合物用に使用するときは、供給流れ132の配合処方を特別に設計して特定のガスケット用途環境に容易に適合するガスケットが提供される。容器106が比較的小容積(別の実施態様では約10ガロンから約1000ガロンの範囲にある容器102、104の容積に比べて容積が約1ガロンから約5ガロン)である限り、容積106の洗浄はすばやく、しかも比較的少量の洗浄剤を用いて達成できる。これは容器102および/または容器104のいずれかに添加剤を配合処方する先行技術のアプローチと比べたとき、供給流れ132用の所望の機能性添加剤パッケージ毎に変える工程がすばやく行える。この容器106の大きさが比較的小さいことも、混合中容器106の混合物の各成分の完全なランダムな分布が容易となる。即ち、混合機144の使用により完全混合効率(混合中の混合物に混合物の各成分が混合物中に完全にランダムな動的分布にもとずく循環と流体剪断配置)が容器106の大きさの容器内で低動力と低成分コストで容易に達成できるからである。容器106の混合物内の機能性添加剤の配分精度は、個々のバッチ組成物が特定の添加剤の少量添加で容易に調整される限り、および/または容器106の混合物の量が硬化ポリマー物品の予め決められた所望量に応じて正確に調製される限り、容器106の大きさで容易に達成できる。明らかに、洗浄中の容器106からの混合物残渣である廃棄物も同様に最小限となる。システム100での容器106の大きさが小さいことで、容器102または104のいずれかの触媒成分と(硬化前に)長期間接触することでマイナスの方向の影響を受け得る機能性添加物が使用できるようになる。最後に、容器106の大きさが比較的小さいということで混合機144への比較的低い動力入力で容易に高度の混合強度環境が得られるため、機能性添加剤は溶液状混合物が容易に得られない場合には、エマルジョン状混合物またはサスペンジョン状混合物として維持できる。
【0033】
容器106の大きさが比較的小さいため、用途別配合処方でいろいろなガスケットを少量ロット製造するためのかんばん方式の製造と引渡しに合致するシステム100もまた提供される。複数の機能性添加剤の配合処方を規定時間以上取扱う必要があるとき、本発明は容器102、104のいずれか、または両方の洗浄および/または配合する工程を本質的に回避できる。実際、1実施態様では複数の容器102、104の対は、操作上のすばやい切換えを適切な添加剤パッケージを提供するために容器106を用いて補強することで、供給流れ132用のベースポリマーと触媒のいろいろの組合せが提供できる。
【0034】
操作上、既に記載したように、制御モジュール122は混合機140、混合機142、混合機144、金型110、ポンプ114、ポンプ116、ポンプ118の特性測定と制御を、所望の物品(例えばガスケット)製造に特定した一連の制御プログラム設定に従って行う。この場合、1実施態様では制御プログラムは特定のガスケット製造に特定した一組の制御設定で構成されている。この1組の制御設定は1実施態様では容器106内の混合物の配合処方をそれぞれ変えることで変更され、適切な操作条件がシステム100で製造するガスケットのそれぞれの特定のタイプに(容器106内でのそれぞれの混合物の配合処方毎に)提供される。
【0035】
システム100では、流動混合に邪魔板付ライン混合機108(また本明細書ではプラグ流動混合機、静的混合機、静的管内混合機、または管内混合機と云うこともある)を用いる。別の実施態様では、混合機108は2軸スクリュー混合機である。装置能力の面から、容器102、104、106からの混合物は好ましくは独立して動粘度が約20,000センチストークから約5,000,000センチストークになるように設計されている。ある実施態様では、金型110は成形コンパウンド化ポリマー112で物品を成形する際制御モジュール100により加熱、冷却、または加熱、次いで冷却される。金型110は供給流れ132を成形コンパウンド化ポリマー112にする成形を行う。別の実施態様では、金型110は圧縮成形、射出成形、吹込み成形、キャスティング、積層、押出し、またはカレンダー掛けのいずれかによる成形操作を行う。別の実施態様では製造したポリマー物品は現場硬化ガスケット(cure-in-place gasket ; CIPG)、現場射出ガスケット(inject-in-place gasket; IIPG)、現場プレスガスケット(press-in-place gasket; PIPG)、現場成形ガスケット(form-in-place gasket; FIPG)のいずれかである。
【0036】
容器内の混合物の組成に関しては、容器102および104用のベースポリマーは選択的実施態様では液状シリコーン、液状フルオロエラストマー、液状ニトリルゴム、液状エチレン-プロピレン-ジエンポリマー、液状アクリルポリマー、液状水添ニトリル ブタジエンゴム、またはこれらの組合せのいずれかである。容器102および104用の硬化触媒の組合せにはこれらの容器の1箇の容器用の硬化剤、他の容器用の相手方触媒、例えば白金が含まれる。
【0037】
容器106の混合物に関しては、ベースポリマー、または他のキャリヤーは製造さるべきポリマー物品用の複数の機能性添加剤と混合する。これらの機能性添加剤は以下のタイプの少なくとも2種類を含む。即ち、熱安定剤、酸吸収剤、架橋抑制剤、安定剤、顔料、難燃剤、溶剤反発剤、架橋向上剤、架橋活性剤、充填剤、可塑剤、抗劣化剤、および/もしくは結合剤。
【0038】
操作の際の容器106の選択的実施態様では、熱安定剤(またはラジカル・スカベンジャー)は酸化鉄、酸化マンガン、水和セリウム、またはこれらの混合物のいずれかである。1つの選択的実施態様では、酸吸収剤は二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、またはこれらの混合物のいずれかである。シリコーン実施態様では、架橋抑制剤はシクロヘキサノールである。選択的実施態様では、充填剤はシリカヒューム(ヒュームドシリカ)、シリカ沈澱物(沈降シリカ)、カーボンブラック、カオリン、ミクロスフェア、またはこれらの組合せのいずれかである。容器106用のキャリヤーは、1実施態様では(容器102、104)のベースポリマーであり、選択的実施態様では、容器106用のキャリヤーは機能性添加剤と効果的に混合して更に容器102および104の混合物と混合機108内で適切に混合して供給流れ132となる任意の材料である。好ましくは、容器106内のキャリヤー量は供給流れ132のコンパウンド化ポリマー中のベースポリマーの約10%よりも少ない量である。
【実施例】
【0039】
表1は、容器102、104、および106の操作でのそれぞれ別の混合物実施態様用の特定の関連材料の詳細を示すものである。
【0040】
表1
(引用した文字、略字記号は表の終りのリストを参照のこと)


上記表中、「なし」はN.A.であり、
“A”はシリカヒューム、シリカ沈澱物、カーボンブラック、カオリン、マイクロスフェア、またはこれらの組合せのいずれかである。
ACMはアクリル酸エステルゴム/ポリアクリレートゴムである。
Aflux 54はペンタエリスリチルテトラステアレートである。
BTPPAF/BPAFはベンジルトリフェニルホスホニウム・ビスフェノールAF塩/ビスフェノールAFである。
DBPHは2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサンである。
DiCupはジクミルパーオキシドである。
DOPはフタル酸ジオクチルである。
DOSはセバシン酸ジオクチルである。
DOTGはジ-オルト-トリルグアニジンである。
DPTHはジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィドである。
EPDMはエチレン-プロピレン-ジエンゴムである。
EKMフルオロエラストマーである。
HNBRは水添ニトリルゴムである。
Kはカリウムである。
MBTSは二硫化2,2′-ジベンゾチアジルジスルフィドである。
Naはナトリウムである。
NBRはニトリルゴムである。
PBDはポリブタジエンである。
SR351はトリメチロールプロパン・トリアセテート(ペンシルバニヤ、エクストのサートマー社製品)である。
SR517はペンシルバニヤ、エクトンのサートマー社製品の三官能性架橋剤である。
TAICはトリアリルイソシアヌレートである。
TMAICはトリメタリルイソシアヌレートである。
TMPTMAはトリメチロールプロパントリメタクリレートである。
TMTDはテトラメチルチウラムジスルフィドである。
TOTMはトリメリット酸トリオクチルである。
【0041】
本明細書に記載の実施例とその他の実施態様は模範的なものであり、本発明の組成物と方法の全範囲の記載に於いて限定する意図のものではない。特定の実施態様、材料、組成物、方法の均等な変更、修正、変化は本発明の範囲内で行うことができ、実質的に類似の結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るガスケット製造の製造システム図である。
【0043】
本発明は詳細な説明と添付する図面である図1とそのガスケット製造の製造システムの図解とから完全に理解されるものと考える。
【0044】
本明細書に示す図は本明細書のこのような実施態様を記載する目的で本発明の装置、材料、方法のうちの一般的な特徴を例示するためのものである。この図は記載した如何なる実施態様の特徴を正確に反映したものではなく、必ずしも本発明の範囲内の特定の実施態様を定義または限定するためのものではない。
【符号の説明】
【0045】
102 容器
104 容器
106 容器
110 金型
108 混合機
112 成形コンパウンド化ポリマー
122 制御モジュール
132 供給流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ベースポリマーと多成分系硬化剤組合せの第1の硬化剤成分との第1のバッチ混合物を混合し、
(b)上記ベースポリマーと上記硬化剤組合せの第2の硬化剤成分との第2のバッチ混合物を混合し、
(c)キャリヤーとポリマー物品用の複数の機能性添加剤との第3のバッチ混合物を混合し、上記の機能性添加剤は熱安定剤、酸吸収剤、架橋抑制剤、顔料、難燃剤、溶剤反発剤、架橋向上剤、架橋活性剤、充填剤、可塑剤、抗劣化剤、および結合剤から成る群から選ばれた少なくとも2種の機能性添加剤を含み、
(d)上記第1、第2、および第3のバッチ混合物を流動混合して供給流れとし、
(e)上記供給流れを成形して上記ポリマー物品用の成形コンパウンド化ポリマーとし、
(f)上記成形コンパウンド化ポリマーを硬化させて上記のポリマー物品とする
ことから成る、少なくとも一種の硬化ポリマー物品の製造方法。
【請求項2】
上記キャリヤーが上記ベースポリマーである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記の第1の混合、第2の混合、第3の混合、およびプラグ流動混合は制御プログラムに従ってコンピューター実施統一制御により制御され、上記の第3混合物の混合、プラグ流動混合、成形、および硬化は更に、上記第3のバッチ混合物を用いる上記のポリマー物品製造に特定の一組の制御設定で上記制御プログラムを構成することから成る、請求項1記載の方法。
【請求項4】
上記第3のバッチ混合物の混合は予め決定された所望の複数の上記硬化ポリマー物品に応じた量の第3のバッチ混合物を混合する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
上記流動混合は邪魔板付きのライン混合機を用いる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
上記第1の混合物、上記第2の混合物、上記第3の混合物、および上記供給流れは独立して、動粘度が約20,000センチストークから約5,000,000センチストークである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
上記流動混合は2軸スクリュー混合機を用いる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
上記ポリマー物品はガスケットとシールのポリマー物品の群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
上記ベースポリマーは液状シリコーン、液状フルオロエラストマー、液状ニトリルゴム、液状エチレン-プロピレン-ジエンポリマー、液状アクリルポリマー、液状水添ニトリル ブタジエンゴム、およびこれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
上記第1の硬化剤成分は白金から成る、請求項1記載の方法。
【請求項11】
上記第2の硬化剤成分は架橋剤である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
上記熱安定剤は酸化鉄、酸化マンガン、水和セリウム、およびこれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
上記酸吸収剤は二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、およびこれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
上記架橋抑制剤はシクロヘキサノールから成る、請求項1記載の方法。
【請求項15】
上記充填剤はシリカヒューム、シリカ沈殿物、カーボンブラック、カオリン、ミィクロスフェア、およびこれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項16】
上記溶剤反発剤は粒状ポリテトラフルオロエチレンから成る、請求項1記載の方法。
【請求項17】
上記成形は圧縮成形、射出成形、吹込み成形、キャスティング、積層、押出し、カレンダー掛けから成る群から選ばれた工程から成る、請求項1記載の方法。
【請求項18】
上記のポリマー物品は現場硬化ガスケット(CIPG)、現場射出ガスケット(IIPG)、現場プレスガスケット(PIPG)、現場成形ガスケット(FIPG)から成る群から選ばれたガスケットである、請求項1記載の方法。
【請求項19】
上記硬化は更に上記コンパウンド化ポリマーを加熱することから成る、請求項1記載の方法。
【請求項20】
(a)ベースポリマーと多成分系硬化剤組合せの第1の硬化剤成分との第1のバッチ混合物を混合し、
(b)上記ベースポリマーと上記硬化剤組合せの第2の硬化剤成分との第2のバッチ混合物を混合し、
(c)キャリヤーとポリマー物品用の複数の機能性添加剤との第3のバッチ混合物を混合し、上記の機能性添加剤は熱安定剤、酸吸収剤、架橋抑制剤、顔料、難燃剤、溶剤反発剤、架橋向上剤、架橋活性剤、充填剤、可塑剤、抗劣化剤、および結合剤から成る群から選ばれた少なくとも2種の機能性添加剤を含み、
(d)上記第1、第2、および第3のバッチ混合物と流動混合して供給流れとし、
(e)上記供給流れを成形して上記ポリマー物品用の成形コンパウンド化ポリマーとし、
(f)上記成形コンパウンド化ポリマーを硬化させて上記のポリマー物品とする
ことから成る方法で製造したポリマー物品。
【請求項21】
上記キャリヤーが上記ベースポリマーである、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項22】
上記の第1の混合、第2の混合、第3の混合、およびプラグ流動混合は制御プログラムに従ってコンピューター実施統一制御により制御され、上記の第3の混合物の混合、プラグ流動混合、成形、および硬化は更に、上記の第3のバッチ混合物を用いる上記のポリマー物品製造に特定の一組の制御設定で上記制御プログラムを構成することから成る、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項23】
複数の上記ポリマー物品が所望され、上記第3のバッチ混合物の混合は予め決定された所望の複数の上記ポリマー物品に応じた量の第3のバッチ混合物を混合する、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項24】
上記流動混合は邪魔板付きのライン混合機を用いる、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項25】
上記第1の混合物、上記第2の混合物、上記第3の混合物、および上記供給流れは独立して動粘度が約20,000センチストークから約5,000,000センチストークである、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項26】
上記流動混合は2軸スクリュー混合機を用いる、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項27】
上記ポリマー物品はガスケットとシールのポリマー物品の群から選ばれる、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項28】
上記ベース・ポリマーは液状シリコーン、液状フルオロエラストマー、液状ニトリルゴム、液状エチレン-プロピレン-ジエンポリマー、液状アクリルポリマー、液状水添ニトリル ブタジエンゴム、およびこれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項29】
上記第1の硬化剤成分は白金から成る、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項30】
上記第2の硬化剤成分は架橋剤である、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項31】
上記熱安定剤は酸化鉄、酸化マンガン、水和セリウム、およびこれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項32】
上記酸吸収剤は二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、およびこれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項33】
上記架橋抑制剤はシクロヘキサノールから成る、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項34】
上記充填剤はシリカヒューム、シリカ沈殿物、カーボンブラック、カオリン、ミィクロスフェア、およびこれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項35】
上記成形は圧縮成形、射出成形、吹込み成形、キャスティング、積層、押出し、カレンダー掛けから成る群から選ばれた工程から成る、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項36】
上記のポリマー物品は現場硬化ガスケット(CIPG)、現場射出ガスケット(IIPG)、現場プレスガスケット(PIPG)、現場成形ガスケット(FIPG)から成る群から選ばれたガスケットである、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項37】
上記硬化は更に上記コンパウンド化ポリマーを加熱することから成る、請求項20記載のポリマー物品。
【請求項38】
(a)ベースポリマーと多成分系硬化剤組合せの第1の硬化剤成分との第1のバッチ混合物を混合し、
(b)上記ベースポリマーと上記硬化剤組合せの第2の硬化剤成分との第2のバッチ混合物を混合し、
(c)キャリヤーと第1のタイプのポリマー物品用の複数の機能性添加剤との第1のタイプの第3のバッチ混合物を混合し、上記の第1のタイプの第3のバッチ混合物は予め決められた所望の複数種の上記の第1のタイプの硬化ポリマー物品に応じた量であり、上記の機能性添加剤は熱安定剤、酸吸収剤、架橋抑制剤、顔料、難燃剤、溶剤反発剤、架橋向上剤、架橋活性剤、充填剤、可塑剤、抗劣化剤、および結合剤から成る群から選ばれた少なくとも1種の機能性添加剤を含み、
(d)キャリヤーと第2のタイプの上記ポリマー物品用の複数の機能性添加剤との第2のタイプの第3のバッチ混合物を混合し、上記の第2のタイプの第3のバッチ混合物は予め決められた所望の複数の上記の第2のタイプの硬化ポリマー物品に応じた量であり、上記の機能性添加剤は熱安定剤、酸吸収剤、架橋抑制剤、顔料、難燃剤、溶剤反発剤、架橋向上剤、架橋活性剤、充填剤、可塑剤、抗劣化剤、および結合剤から成る群から選ばれた少なくとも1種の機能性添加剤を含み、
(e)上記の第1のタイプの第3のバッチ混合物を用いる上記第1のタイプのポリマー物品製造に特定した第1の一組の制御設定で制御プログラム構成し、
(f)上記第1のタイプのポリマー物品用の上記第1、第2、および上記第1のタイプの上記第3のバッチ混合物を上記制御プログラムの制御下流動混合して供給流れとし、
(g)上記供給流れを成形して上記第1のタイプのポリマー物品用の成形コンパウンド化ポリマーとし、
(h)上記成形コンパウンド化ポリマーを硬化して上記第1のタイプの上記ポリマー物品とし、
(i)上記予め決められた所望の複数の上記第1のタイプの硬化ポリマー物品が製造されるまで、上記第1のタイプの上記ポリマー物品用の流動混合、成形、および硬化を繰り返し、
(j)上記第2のタイプの第3のバッチ混合物を用いる上記第2のタイプのポリマー物品製造用に特定した第2の一組の制御設定で制御プログラムを構成し、
(k)上記第2のタイプの上記ポリマー物品用の上記第1、第2、および上記第2のタイプの上記第3のバッチ混合物を上記制御プログラムの制御下流動混合して供給流れとし、
(l)上記供給流れを成形して上記第2のタイプのポリマー物品用の成形コンパウンド化ポリマーとし、
(m)上記成形コンパウンド化ポリマーを硬化して上記の第2のタイプのポリマー物品とし、
(n)上記の予め決められた所望の複数の上記第2のタイプの硬化ポリマー物品が製造されるまで、上記第2のタイプのポリマー物品の上記流動混合、成形、および硬化を繰り返す
ことから成る、2種のタイプの硬化ポリマー物品の製造方法。
【請求項39】
上記第1および第2のタイプの上記第3の混合物用のキャリヤーが上記のベースポリマーである、請求項38記載の方法。
【請求項40】
ベースポリマーと多成分系硬化剤組合せの第1の硬化剤成分との第1のバッチ混合物と、上記ベースポリマーと上記硬化剤組合せの第2硬化剤成分との第2バッチ混合物と混合する組成物において、上記組成物、上記第1のバッチ混合物および上記第2のバッチ混合物を混合してコンパウンド化ポリマーの供給流れとするものであり、組成物は
(a)キャリヤー量の上記ベースポリマーと、
(b)熱安定剤、酸吸収剤、架橋抑制剤、顔料、難燃剤、架橋向上剤、架橋活性剤、充填剤、可塑剤、抗劣化剤、および結合剤から成る群から選ばれた群から独立的に選ばれた複数の機能性添加剤とから成り、
上記キャリヤー量は上記供給流れの上記コンパウンド化ポリマー中の上記ベースポリマーの約10%よりも少い量であり、
上記ベースポリマーは液状シリコーン、液状フルオロエラストマー、液状ニトリルゴム、液状エチレン-プロピレン-ジエンポリマー、液状アクリルポリマー、液状水添ニトリル ブタジエンゴム、これらの組合せから成る群から選ばれたものである組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2006−152292(P2006−152292A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336919(P2005−336919)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(599039289)フロイデンベルグ−エヌオーケー ジェネラル パートナーシップ (7)
【氏名又は名称原語表記】FREUDENBERG−NOK GENERAL PARTNERSHIP
【Fターム(参考)】