説明

磁気メモリ装置並びにその読み出し方法及び書き込み方法

【課題】磁性層のスピンの向きに基づく抵抗変化を利用した磁気メモリ装置に関し、高集積化が可能であり、MTJ素子の特性ばらつきに対する十分な読み出しマージンを有し、メモリ動作の際のノイズに対する耐性が高い磁気メモリ装置、並びにこのような磁気メモリ装置の読み出し方法及び書き込み方法を提供する。
【解決手段】直列接続された互いに相補的な抵抗状態をとる2つの磁気抵抗効果素子と、これら磁気抵抗効果素子の接続ノードに接続された選択用トランジスタとを有するメモリセルと、磁気抵抗効果素子の接続ノードに選択用トランジスタを介して接続されたビット線と、ビット線に出力される接続ノードの電圧に基づいて磁気抵抗効果素子に記憶された記憶情報を読み出す読み出し回路とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気メモリ装置に係り、特に、磁性層のスピンの向きに基づく抵抗変化を利用した磁気メモリ装置並びにその読み出し方法及び書き込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、書き換え可能な不揮発性メモリとして、磁気抵抗効果素子をマトリクス状に配列した磁気ランダムアクセスメモリ(以下、MRAM:Magnetic Random Access Memoryという)が注目されている。MRAMは、2つの磁性層における磁化方向の組み合わせを利用して情報を記憶し、これら磁性層間の磁化方向が平行である場合と反平行である場合とにおける抵抗変化(すなわち電流或いは電圧の変化)を検知することによって記憶情報の読み出しを行うものである。
【0003】
MRAMを構成する磁気抵抗効果素子の1つとして、磁気トンネル接合(以下、MTJ:Magnetic Tunnel Junctionという)素子が知られている。MTJ素子は、2つの強磁性磁性層がトンネル絶縁膜を介して積層されたものであり、2つの強磁性層の磁化方向の関係に基づいてトンネル絶縁膜を介して磁性層間を流れるトンネル電流が変化する現象を利用したものである。
【0004】
すなわち、MTJ素子は、2つの強磁性層の磁化方向が平行のときに低い素子抵抗を有し、反平行のときには高い素子抵抗を有する。この2つの状態をデータ“0”及びデータ“1”に関連づけることにより、記憶素子として用いることができる。このようにMTJ素子は、素子抵抗の変化を利用した記憶素子であることから、記憶情報の読み出しのためには抵抗変化を電圧或いは電流に変換する必要がある。
【0005】
図17は、従来の磁気メモリ装置の読み出し方法を示す回路図である。図17に示す磁気メモリ装置は、1つのMOSトランジスタ102と1つのMTJ素子104とにより1つのメモリセル100が構成されたものである(1T1MTJ型)。メモリセル100は、MOSトランジスタ104のソース電極に接続されている。MOSトランジスタ104のドレイン電極には、電流源106が接続されている。
【0006】
MOSトランジスタ104のゲート電極に一定のバイアス電圧Vclampを印加して、MTJ素子104に印加される電圧をほぼ一定に保つ。この状態で、電流源106により、MOSトランジスタ104、MTJ素子104及びMOSトランジスタ102を介して電流を流すことにより、MOSトランジスタ104のドレイン電極端には、MTJ素子の抵抗値に応じた電圧が出力される。すなわち、MTJ素子104の抵抗が高い状態のときには出力電圧は大きくなり、MTJ素子104の抵抗が低い状態のときには出力電圧は小さくなる。この電圧変化を、次段に接続されるセンスアンプ(図示せず)により増幅し、読み出し信号とする。
【0007】
図17に示す読み出し回路は、MOSトランジスタ104のゲート幅が広く、また電流源106を構成するためには大面積が必要であり、センスアンプの面積が大きくなってしまう。このため、センスアンプを、ビット線対BL−/BLのピッチに収めることができない。そこで、このような問題を回避するために、複数のコラムで読み出し回路を共用する方式が提案されている。
【0008】
図18は、2つのMOSトランジスタと2つのMTJ素子とにより構成される2T2MTJ型のメモリセルを有する磁気メモリ装置への適用例である。図18に示す磁気メモリ装置では、複数のビット線対(隣接するビット線BL,/BL)毎に1つの読み出し回路110を設け、ビット線対を切り換える列選択回路112を有している。これにより、読み出し回路110の数を削減し、全体として読み出し回路の面積を低減している。
【0009】
図19は、1T1MTJ型のメモリセルを有する磁気メモリ装置への適用例である。図19に示す磁気メモリ装置では、メモリセルの他にリファレンス用セル120が設けられている。読み出し回路122には、複数のビット線BLとリファレンス用セルに接続されたビット線とが接続されている。各ビット線BLと読み出し回路122との間には選択用トランジスタがそれぞれ設けられており、複数のビット線から一のビット線を選択して読み出すことができるようになっている。これにより、読み出し回路122の数を削減し、全体として読み出し回路の面積を低減している。
【特許文献1】特開2001−236781号公報
【特許文献2】特開2001−273758号公報
【特許文献3】特開2003−197876号公報
【特許文献4】特開2004−030822号公報
【非特許文献1】Roy Scheuerlein et al., "A 10ns Read and Write Non-Volatile Memory Array Using a Magnetic Tunnel Junction and FET Switch in each Cell", ISSCC Dig. Tech. Papers, pp.128-129, 2000
【非特許文献2】M. Durlam et al., "A low power 1Mbit MRAM based on 1T1MTJ bit cell integrated with Copper Interconnects", Symposium on VLSI Circuits Dig. Tech. Papers, pp.158-161, 2002
【非特許文献3】N. Tanabe et al., "A High Density 1T/2C Cell with Vcc/2 Reference Level for High Stable FeRAMs", IEDM Tech. Dig., pp. 863-866, 1997
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図18に示す2T2MJT型の磁気メモリ装置は、1つのメモリセルを構成する素子数が多いため、集積度を向上することが困難である。
【0011】
一方、図19に示す1T1MTJ型の磁気メモリ装置は、図18に示す磁気メモリ装置と比較して集積化は容易である。しかしながら、リファレンス用セル120においてリファレンス用の信号を生成するため、リファレンス用セル120のばらつきが読み出しのマージンに直接的に影響する。特に、複数のビット線に対して1つのリファレンス用セル120を設けているため、ビット線によってはリファレンス用セル120に近いものもあれば遠いものもあり、MTJ素子の特性ばらつきによる影響は極めて大きい。このため、ノイズに強いことを特徴とする隣接ビット線対を用いた差動増幅方式による読み出しができず、ノイズに対する耐性が低減する虞があった。
【0012】
本発明の目的は、高集積化が可能であり、MTJ素子の特性ばらつきに対する十分な読み出しマージンを有し、メモリ動作の際のノイズに対する耐性が高い磁気メモリ装置、並びにこのような磁気メモリ装置の読み出し方法及び書き込み方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一観点によれば、第1の抵抗状態を有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子に直列に接続され、前記第1の抵抗状態と相補的な関係をなす第2の抵抗状態を有する第2の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続された選択用トランジスタとを有するメモリセルと、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードに前記選択用トランジスタを介して接続されたビット線と、前記ビット線に接続され、前記ビット線に出力される前記接続ノードの電圧に基づいて、前記第1の抵抗状態及び前記第2の抵抗状態により規定される所定の記憶情報を読み出す読み出し回路とを有することを特徴とする磁気メモリ装置が提供される。
【0014】
また、本発明の他の観点によれば、第1の抵抗状態を有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子の一方の端部に一方の端部が接続され、前記第1の抵抗状態と相補的な関係をなす第2の抵抗状態を有する第2の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続された選択用トランジスタとをそれぞれ有し、マトリクス状に配置された複数のメモリセルと、第1の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第1の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第1の磁気抵抗効果素子の他方の端部に接続された複数の第1の信号線と、前記第1の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第1の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第2の磁気抵抗効果素子の他方の端部に接続された複数の第2の信号線と、前記第1の方向と直交する第2の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第2の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第1の磁気抵抗効果素子が形成された領域において前記第1の信号線とそれぞれ交差し、前記第2の磁気抵抗効果素子が形成された領域において前記第2の信号線とそれぞれ交差する複数の第3の信号線と、前記第2の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第2の方向に並ぶ前記メモリセルの前記接続ノードに、前記選択用トランジスタを介して接続された複数のビット線と、複数の前記ビット線の一方の端部に、隣接する2本の前記ビット線毎に設けられた複数の読み出し回路とを有することを特徴とする磁気メモリ装置が提供される。
【0015】
また、本発明の更に他の観点によれば、第1の抵抗状態を有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子に直列に接続され、前記第1の抵抗状態と相補的な関係をなす第2の抵抗状態を有する第2の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続された選択用トランジスタとを有するメモリセルと、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードに前記選択用トランジスタを介して接続されたビット線とを有する磁気メモリ装置の読み出し方法であって、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との直列接続に所定の読み出し電圧を印加したときに前記ビット線に出力される前記接続ノードの電圧に基づいて、前記第1の抵抗状態及び前記第2の抵抗状態により規定される所定の記憶情報を読み出すことを特徴とする磁気メモリ装置の読み出し方法が提供される。
【0016】
また、本発明の更に他の観点によれば、第1の抵抗状態を有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子に直列に接続され、前記第1の抵抗状態と相補的な関係をなす第2の抵抗状態を有する第2の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続された選択用トランジスタとを有するメモリセルと、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードに前記選択用トランジスタを介して接続されたビット線と、前記第2の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードとは逆の前記第1の磁気抵抗効果素子の一方の端部に接続された第1の信号線と、前記第1の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードとは逆の前記第2の磁気抵抗効果素子の一方の端部に接続された第2の信号線と、前記第1の磁気抵抗効果素子及び前記第2の磁気抵抗効果素子の近傍に設けられた第3の信号線とを有する磁気メモリ装置の書き込み方法であって、前記第1の信号線に流す電流により生じる磁界と前記第3の信号線に流す電流により生じる磁界との合成磁界により、前記第1の磁気抵抗効果素子に前記第1の抵抗状態を記録し、前記第2の信号線に流す電流により生じる磁界と前記第3の信号線に流す電流により生じる磁界との合成磁界により、前記第2の磁気抵抗効果素子に前記第2の抵抗状態を記録することを特徴とする磁気メモリ装置の書き込み方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、直列接続された互いに相補的な状態をとる2つの磁気抵抗効果素子と、これら磁気抵抗効果素子の接続ノードに接続された選択用トランジスタとを有するメモリセルを構成し、選択用トランジスタを介して第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続されたビット線に出力される接続ノードの電圧に基づいて磁気抵抗効果素子に記憶された記憶情報を読み出すので、カレントセンス方式を用いた従来の磁気メモリ装置と比較して、集積化が容易である。
【0018】
また、折り返しビット線構造を採用することが可能となり、隣接ビット線ペア(BL,/BL)での差動信号を交差結合型のセンスアンプで読み出すことができる。これにより、メモリ動作の際のノイズに強くなる。また、コラム毎にセンスアンプを配置することが可能であり、各コラムのデータを同時に読み出してセンスアンプでラッチさせて高速データ転送を行うことが容易に実現できる。
【0019】
また、隣接して設けられた磁気抵抗効果素子のペアを用いるとともに、リファレンス電圧として読み出し電圧の半分の電圧を用いるので、磁気抵抗効果素子の特性ばらつきに強い読み出しが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態による磁気メモリ装置及びその製造方法について図1乃至図16を用いて説明する。
【0021】
はじめに、本実施形態による磁気メモリ装置の構造について図1乃至図4を用いて説明する。図1は本実施形態による磁気メモリ装置の構造を示す平面図、図2は本実施形態による磁気メモリ装置の構造を示す概略断面図、図3は本実施形態による磁気メモリ装置の構造を示す部分拡大断面図、図4は本実施形態による磁気メモリ装置の構造を示す回路図である。
【0022】
シリコン基板10には、シリコン基板10表面に複数の活性領域を画定する素子分離膜12が形成されている。それぞれの活性領域は、X方向に長い矩形状のトランジスタ形成部と、その中央部からY方向に突出するコンタクト部とからなるT字型形状を有している。これら複数の活性領域は、互いに千鳥格子状に配置されている。
【0023】
素子分離膜12が形成されたシリコン基板10上には、Y方向に延在する複数のワード線WLが形成されている。ワード線WLは、各活性領域に、それぞれ2本づつが延在している。ワード線WLの両側の活性領域には、ソース/ドレイン領域16,18が形成されている。これにより、各活性領域には、ワード線WLを兼ねるゲート電極14とソース/ドレイン領域16,18とを有する選択用トランジスタが、それぞれ2つづつ形成されている。一の活性領域に形成された2つの選択用トランジスタは、ソース/ドレイン領域16を共用している。
【0024】
選択用トランジスタが形成されたシリコン基板10上には、層間絶縁膜20が形成されている。層間絶縁膜20には、活性領域のコンタクト部に形成されたソース/ドレイン領域16に接続されたコンタクトプラグ24が埋め込まれている。層間絶縁膜20上には、X方向に延在して形成され、コンタクトプラグ24を介してソース/ドレイン領域16に電気的に接続された複数のビット線26(BL)が形成されている。ビット線26は、活性領域のコンタクト部上を横切るように形成されている。
【0025】
ビット線26が形成された層間絶縁膜20上には、層間絶縁膜28が形成されている。層間絶縁膜28には、Y方向に延在する複数の書き込みワード線38(WWL)が埋め込まれている。書き込みワード線38は、各ワード線WL上に、それぞれ形成されている。書き込みワード線38は、図3に示すように、配線溝30の内壁に沿って形成されたバリアメタルとしてのTa膜32と、磁場を強めるために設けられた透磁率の高いNiFe膜34と、主要な配線部であるCu膜36とにより構成されている。
【0026】
書き込みワード線38が埋め込まれた層間絶縁膜28上には、MTJ素子52が形成されている。MTJ素子52は、活性領域と書き込みワード線38とが交差する領域に、それぞれ形成されている。MTJ素子52は、図3に示すように、Ta膜よりなる下部電極層40と、PtMn膜よりなる反強磁性層42と、CoFe膜よりなる固定磁化層としての強磁性層44と、アルミナ膜よりなるトンネル絶縁膜46と、CoFe膜よりなる自由磁化層としての強磁性層48と、Ta膜よりなるキャップ層50とにより構成されている。
【0027】
MTJ素子52が形成された領域以外の層間絶縁膜28上には、層間絶縁膜54が形成されている。層間絶縁膜54,28,20には、ソース/ドレイン領域18に接続されたコンタクトプラグ58が埋め込まれている。層間絶縁膜54上には、コンタクトプラグ58を挟んでX方向に隣接する2つのMTJ素子52とコンタクトプラグ58とを電気的に接続する上部電極層60が形成されている。
【0028】
上部電極層60が形成された層間絶縁膜54上には、層間絶縁膜62が形成されている。層間絶縁膜62上には、X方向に延在する複数のディジット線64が形成されている。ディジット線64は、X方向に並ぶMTJ素子52上を横切るように形成されている。
【0029】
本実施形態による磁気メモリ装置では、1つのメモリセルが、1つの選択用トランジスタと2つのMTJ素子とにより構成される1T2MTJ型を有している。図2を用いて説明すると、図面右側から2番目のゲート電極14及びこのゲート電極14の左右に形成されたソース/ドレイン領域16,18を有する選択用トランジスタのソース/ドレイン領域18には、コンタクトプラグ58及び上部電極層60を介して2つのMTJ素子52が接続されている。これら選択用トランジスタ及びMTJ素子52が、一のメモリセルを構成する素子である。同様に、図面左側から2番目のゲート電極14及びこのゲート電極14の左右に形成されたソース/ドレイン領域16,18を有する選択用トランジスタのソース/ドレイン領域18には、コンタクトプラグ58及び上部電極層60を介して2つのMTJ素子52が接続されている。これら選択用トランジスタ及びMTJ素子52が、他のメモリセルを構成する素子である。このように、各活性領域には、ビット線コンタクトを共用する2つのメモリセルが、それぞれ形成されている。
【0030】
図4は本実施形態による磁気メモリ装置のメモリセルアレイの回路図である。図示するように、読み出しワード線WWLは、読み出し電圧発生回路80に接続されている。ビット線BLの一方の端部には、リファレンス電圧発生回路82が接続されている。ビット線BLの他方の端部には、センスアンプ84が接続されている。センスアンプ84には、隣接する2つのビット線BLがそれぞれ接続されており、ビット線BL,/BLが隣接してセンスアンプに入力される折り返しビット線構造となっている。
【0031】
なお、本実施形態による磁気メモリ装置では、読み出し用のビット線BLと書き込み用のディジット線DLが同じ方向に配置されるが、読み出し用のビット線BLは第1のメタル配線により形成され、書き込み用のディジット線DLは第3のメタル配線により形成されているため、いずれも2Fのピッチに収まる(Fは最小加工寸法:Feature size)。一方、ビット線BLに垂直な方向については、2本の書き込みワード線を収めるために、4Fのピッチとなる。したがって、本実施形態による磁気メモリ装置の単位メモリセルの面積は4F×2F=8Fとなり、1T1MTJのメモリセルの面積と基本的に同等である。
【0032】
次に、本実施形態による磁気メモリ装置の書き込み方法について図5乃至図7を用いて説明する。
【0033】
図5は本実施形態による磁気メモリ装置の書き込み方法を示す図、図6及び図7は本実施形態による磁気メモリ装置の書き込み方法に好適なメモリセルの構成を示す回路図である。
【0034】
上述のように、本実施形態による磁気メモリ装置は、1T2MTJ型のメモリセルにより構成されている。一のメモリセルに含まれる2つのMTJ素子には、抵抗が高い状態(高抵抗状態)と抵抗が低い状態(低抵抗状態)とを相補的に取るように情報が書き込まれる。すなわち、一方のMTJ素子は、固定磁化層としての強磁性層44の磁化方向と自由磁化層としての強磁性層48の磁化方向とを逆向きとし(高抵抗状態)、他方のMTJ素子は、固定磁化層としての強磁性層44の磁化方向と自由磁化層としての強磁性層48の磁化方向とを同じ向きとする(低抵抗状態)。
【0035】
そこで、図5に示すように、一方のMTJ素子MTJ1に接続された書き込みワード線WWL1と、他方のMTJ素子MTJ2に接続された書き込みワード線WWL2とには、逆向きの電流を流す。また、ディジット線DLには、記憶すべき情報に応じた向きの電流を流す。例えば、データ“0”を記憶する場合には、図面下向きの電流を流し、データ“1”を記憶する場合には、図面上向きの電流を流す。なお、データ“0”及びデータ“1”は、それぞれ逆向きの状態によって定義してもよい。
【0036】
これにより、MTJ素子MTJ1,MTJ2の自由磁化層(強磁性層48)は、書き込みワード線WWL1,WWL2に流した電流により生じる磁界とディジット線DLに流した電流により生じる磁界との合成磁界に応じた向きに磁化される。また、書き込みワード線WWL1に流す電流の向きと書き込みワード線WWL2に流す電流の向きとが逆向きであることから、MTJ素子MTJ1,MTJ2の磁化方向は互いに逆向きとなり、相補的な状態の書き込みができる。
【0037】
図6及び図7は、書き込みワード線WWL1に流す電流の向きと書き込みワード線WWL2に流す電流の向きとを逆向きにするに好適な構成を示す回路図である。
【0038】
図6に示す回路図では、書き込み電流発生回路82とは反対側の書き込みワード線WWL1,WWL2の端部に、書き込みワード線WWL1と書き込みワード線WWL2とを接続し或いは切り離すためのスイッチング素子86が設けられている。
【0039】
書き込みワード線WWL1,WWL2との間にスイッチング素子86を設けることにより、制御信号φによってスイッチング素子86をオンにするだけで、書き込みワード線WWL1及び書き込みワード線WWL2に逆向きの電流を流すことができる。したがって、書き込み動作を簡略化することができる。
【0040】
図7に示す回路図では、書き込みワード線WWL1,WWL2の端部に、書き込みワード線WWL1と書き込みワード線WWL2とを接続し或いは切り離すためのスイッチング素子86が設けられているに加え、ビット線BLの延在方向に隣接するメモリセルの書き込みワード線WWL2と書き込みワード線WWL1とを接続し或いは切り離すためのスイッチング素子88が設けられている。
【0041】
ビット線BLの延在方向に隣接するメモリセルの書き込みワード線WWL2と書き込みワード線WWL1との間にスイッチング素子88を更に設け、制御信号φ1及び制御信号φ2によってスイッチング素子86,88をオンにすれば、ビット線BLの延在方向に隣接する複数のメモリセルの書き込みワード線WWL1,WWL2が一繋ぎとなる。このようにして電流の流れる経路を繋げることにより、書き込みの電流を削減することができる。
【0042】
次に、本実施形態による磁気メモリ装置の読み出し方法について図8乃至図12を用いて説明する。
【0043】
図8は本実施形態による磁気メモリ装置の読み出し方法を示す図、図9は本実施形態による磁気メモリ装置における記憶情報の判定方法を示す図、図10は本実施形態による磁気メモリ装置におけるメモリセル及び読み出し回路の一例を示す回路図、図11は本実施形態による磁気メモリ装置における読み出し動作のタイミングを示すタイムチャート、図12は読み出し電圧の設定方法を示すグラフである。
【0044】
本実施形態による磁気メモリ装置では、一のメモリセルに含まれる2つのMTJ素子52は、上部配線層60を介して直列接続されている。直列接続した2つのMTJ素子MTJ1,MTJ2の両端には、書き込みワード線WWL1及び書き込みワード線WWL2が、それぞれ接続されている。また、MTJ素子MTJ1,MTJ2には、相補的な情報が書き込まれている。
【0045】
そこで、本実施形態による磁気メモリ装置の読み出しでは、図8に示すように、書き込みワード線WWL1及び書き込みワード線WWL2を介して2つのMTJ素子MTJ1,MTJ2の直列接続に読み出し電圧Vreadを印加し、MTJ素子MTJ1とMTJ素子MTJ2との接続ノードの電圧を選択用のトランジスタを介してビット線(BL)に読み出す。このとき、ワード線WWL1に印加する電圧をVreadとし、書き込みワード線WWL2に印加する電圧を0とする。リファレンス側のビット線(/BL)には、Vread/2の一定電圧を印加する。
【0046】
次いで、ビット線(BL)の電圧とリファレンス側のビット線(/BL)の電圧とを差動増幅型の読み出しセンス回路で比較することにより、MTJ素子に記憶された情報を読み出す。
【0047】
データ“0”、例えばMTJ素子MTJ1が高抵抗の状態でMTJ素子MTJ2が低抵抗の状態のとき、MTJ素子MTJ1とMTJ素子MTJ2との間のノードの電圧Voは、電圧Vread/2よりも低くなる。したがって、ビット線(BL)の電圧がリファレンス側のビット線(/BL)の電圧よりも低ければ、MTJ素子に記憶されていた情報はデータ“0”であると判断できる(図9(a)参照)。
【0048】
反対に、データ“1”、例えばMTJ素子MTJ1が低抵抗の状態でMTJ素子MTJ2が高抵抗の状態のとき、MTJ素子MTJ1とMTJ素子MTJ2との接続ノードの電圧Voは、電圧Vread/2よりも高くなる。したがって、ビット線(BL)の電圧がリファレンス側のビット線(/BL)の電圧よりも高ければ、MTJ素子に記憶されていた情報はデータ“1”であると判断できる(図9(b)参照)。
【0049】
次に、読み出し回路及びその動作について図10及び図11を用いて具体的に説明する。
【0050】
図10はメモリセル及び読み出し回路の一例を示す回路図である。上述のように、2つのMTJ素子MTJ1,MTJ2は直列に接続されており、その接続ノードは選択用トランジスタを介してビット線BLに接続されている。ビット線BL,/BLの一方の端部は、差動増幅型のセンスアンプ84に接続されている。なお、図10に示すセンスアンプ84は、DRAMでよく使用されている交差結合型のセンスアンプである。ビット線BL,/BLの他方の端部は、これら信号線をプリチャージするためのプリチャージ用回路86を介してVread/2の定電圧源に接続されている。
【0051】
図11は読み出し動作のタイミングを示すタイムチャートである。図中、pfyはプリチャージ用回路86に印加する電圧を、readは書き込みワード線WWL1に印加する電圧を、wlはワード線WLに印加する電圧を、saeはセンスアンプ84のNchトランジスタに印加する電圧を、saepはセンスアンプ84のPchトランジスタに印加する電圧を、blはビット線BLの電圧を、blbはリファレンス側のビット線/BLの電圧を、それぞれ示している。なお、各ノードの記号は、図10にも記載してある。
【0052】
まず、プリチャージ用回路86の制御端子(pfy)に、プリチャージのための制御電圧を印加する。これにより、プリチャージ用回路86のトランジスタが総てオンとなり、ビット線BL及びリファレンス側のビット線/BLの電圧(bl,blb)が定電圧源から供給される電圧Vread/2にプリチャージされる。
【0053】
次いで、ビット線BL及びリファレンス側のビット線/BLのプリチャージが完了後、プリチャージ用回路86の制御端子(pfy)に印加しているプリチャージのための制御電圧をオフとする。
【0054】
次いで、書き込みワード線WWL1−書き込みワード線WWL2間に、読み出し用の電圧Vreadを印加する。例えば、書き込みワード線WWL1の電圧(read)をVreadとし、書き込みワード線WWL2の電圧を0とする。
【0055】
次いで、ワード線WLに、選択用トランジスタをオンするための制御電圧を印加する(wl)。これにより、選択用トランジスタはオン状態となり、ビット線BLの電圧(bl)が、2つのMTJ素子MTJ1,MTJ2の接続ノードの電圧となる。リファレンス側のビット線/BLの電圧は、電圧Vread/2のままである。
【0056】
なお、図11では、データ“0”、すなわちMTJ素子MTJ1が高抵抗の状態でMTJ素子MTJ2が低抵抗の状態である場合を想定しており、ビット線BLの電圧(bl)は、電圧Vread/2よりも低くなっている。データ“1”、すなわちMTJ素子MTJ1が低抵抗の状態でMTJ素子MTJ2が高抵抗の状態である場合には、ビット線BLの電圧(bl)は、電圧Vread/2よりも高くなる。
【0057】
次いで、読み出しワード線WWL1及びワード線WLの電圧(read、wl)を保持した状態で、センスアンプ84のNchトランジスタ及びPchトランジスタを順次オンにする。これにより、ビット線BLとリファレンス側のビット線/BLとで、電圧が高い方の信号線の電圧が電源電圧Vddまで引き上げられ、電圧が低い方の信号線の電圧が接地電位まで引き下げられる。したがって、ビット線BLの電圧とリファレンス側のビット線/BLの電圧との高低を容易に検出することができ、メモリセルに記憶された情報を読み出すことができる。
【0058】
次に、読み出し電圧Vreadの設定方法について図12を用いて説明する。
【0059】
一般に、磁気抵抗効果素子の抵抗は、印加電圧が大きくなるほどに抵抗が小さくなる傾向がある。また、抵抗の変化率であるMR比(MR比=(Rhigh―Rlow)/Rlow)も電圧依存性を有しており、印加電圧が大きくなるほどにMR比は小さくなる(図12(a)参照)。
【0060】
本実施形態による磁気メモリ装置における読み出しマージンΔVsigは、次式のように表される。
【0061】
ΔVsig=Vo−Vread/2
=Vread×Rhigh/(Rhigh+Rlow)−Vread/2
=(Vread/2)×{(Rhigh―Rlow)/(Rhigh+Rlow)}
≒(Vread/2)×MR比×1/2
直列接続された2つのMTJ素子に電圧Vreadが印加されるので、それぞれのMTJ素子にはVread/2程度の電圧が印加される。したがって、読み出しマージンΔVsigが最大値をとるのは、(Vread/2)×MR比が最大になるときである。
【0062】
したがって、実際に読み出し電圧Vreadを設定する際には、メモリセルに用いるMTJ素子のMR比のバイアス電圧依存性を測定し、MR比とバイアス電圧との積が最大となるバイアス電圧がVread/2となるように、読み出し電圧Vreadを設定することが望ましい。
【0063】
次に、本実施形態による磁気メモリ装置の製造方法について図13乃至図16を用いて説明する。
【0064】
図13乃至図16は本実施形態による磁気メモリ装置の製造方法を示す工程断面図である。なお、図13は図1のB−B′線断面に沿った工程断面図であり、図14乃至図16は図1のA−A′線断面に沿った工程断面図である。
【0065】
まず、シリコン基板10に、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により、素子分離膜12を形成する。この際、素子分離膜12により画定される活性領域は、T字型の形状となる(図1参照)。
【0066】
次いで、素子分離膜12により画定された活性領域に、通常のMOSトランジスタの形成方法と同様にして、ゲート電極14及びソース/ドレイン領域16,18を有する選択用トランジスタを形成する(図13(a)、図14(a))。なお、選択用トランジスタは、各活性領域にそれぞれ2つずつ形成される。また、ゲート電極14は紙面垂直方向に延在して形成され、図1に示すように複数の選択用トランジスタのゲート電極14を兼ねる読み出しワード線WLを構成する。
【0067】
次いで、選択用トランジスタが形成されたシリコン基板10上に、例えばCVD法によりシリコン酸化膜を堆積後、CMP法によりこの表面を平坦化し、シリコン酸化膜よりなる層間絶縁膜20を形成する。
【0068】
次いで、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、層間絶縁膜20に、ソース/ドレイン領域16に達するコンタクトホール22を形成する。
【0069】
次いで、例えばCVD法により、バリアメタルとしての窒化チタン膜及びタングステン膜とを堆積後、これら導電膜をエッチバック或いはポリッシュバックし、コンタクトホール22に埋め込まれソース/ドレイン領域16に電気的に接続されたコンタクトプラグ24を形成する(図13(b)、図14(b))。
【0070】
次いで、コンタクトプラグ24が埋め込まれた層間絶縁膜20上に導電膜を堆積してパターニングし、コンタクトプラグ24を介してソース/ドレイン領域16に電気的に接続されたビット線26を形成する。なお、ビット線26(BL)は、図1に示すように、ワード線WLと交差する方向に延在して形成される。
【0071】
次いで、ビット線26が形成された層間絶縁膜20上に、例えばCVD法によりシリコン酸化膜を堆積後、CMP法によりこの表面を平坦化し、シリコン酸化膜よりなる層間絶縁膜28を形成する(図13(c)、図14(c))。
【0072】
次いで、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、層間絶縁膜28に、書き込みワード線を埋め込むための配線溝30を形成する(図14(d))。
【0073】
次いで、例えばスパッタ法によりTa膜32及びNiFe膜34を、例えば電解めっき法によりCu膜36を、それぞれ堆積後、これら導電膜をCMP法により平坦化し、配線溝30内に埋め込まれた書き込みワード線38を形成する(図3、図15(a))。なお、書き込みワード線38(WWL)は、図1に示すように、ワード線WLの延在方向と平行な方向に延在して形成される。
【0074】
次いで、書き込みワード線38が埋め込まれた層間絶縁膜28上に、例えばスパッタ法により、例えばTa膜よりなる下部電極層40と、例えばPtMnよりなる反強磁性層42と、例えばCoFeよりなる強磁性層44と、例えばアルミナよりなるトンネル絶縁膜46と、例えばNiFeよりなる強磁性層48と、Ta膜よりなるキャップ層50とを形成する。
【0075】
次いで、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、キャップ層50、強磁性層48、トンネル絶縁膜46、強磁性層44、反強磁性層42及び下部電極層40をパターニングし、書き込みワード線38に接続されたMTJ素子52を形成する(図3、図15(b))。ここで、キャップ層50及び下部電極層40のパターニングには例えばCl/Ar系のエッチングガスを用い、強磁性層48、トンネル絶縁膜46、強磁性層44及び反強磁性層42のパターニングには例えばCO/NH系のエッチングガスを用いる。
【0076】
次いで、MTJ素子52が形成された層間絶縁膜28上に、例えばCVD法によりシリコン酸化膜を堆積後、このシリコン酸化膜をCMP法によりMTJ素子52が露出するまで平坦化し、表面が平坦化されたシリコン酸化膜よりなる層間絶縁膜54を形成する(図15(c))。
【0077】
次いで、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、層間絶縁膜54,28,20に、ソース/ドレイン領域18に達するコンタクトホール56を形成する。
【0078】
次いで、例えばCVD法により、バリアメタルとしての窒化チタン膜及びタングステン膜とを堆積後、これら導電膜をエッチバック或いはポリッシュバックし、コンタクトホール46に埋め込まれソース/ドレイン領域18に電気的に接続されたコンタクトプラグ58を形成する(図16(a))。
【0079】
次いで、MTJ素子52及びコンタクトプラグ58が埋め込まれた層間絶縁膜54上に、例えばスパッタ法によりTa膜を堆積してパターニングする。これにより、Ta膜よりなり、コンタクトプラグ58を介してソース/ドレイン領域18に電気的に接続され、コンタクトプラグ58に隣接する2つのMTJ素子52を並列に接続する上部電極層60を形成する(図16(b))。ここで、上部電極層60のパターニングには、例えばCl/Ar系のエッチングガスを用いる。
【0080】
次いで、上部電極層60が形成された層間絶縁膜54上に、例えばCVD法によりシリコン酸化膜を堆積後、CMP法によりこの表面を平坦化し、シリコン酸化膜よりなる層間絶縁膜62を形成する。
【0081】
次いで、層間絶縁膜62上に導電膜を堆積してパターニングし、ディジット線64(DL)を形成する(図16(c))。ディジット線64は、図1に示すように、ビット線BL間の領域に、ビット線BLの延在方向と平行な方向に延在して形成される。
【0082】
このように、本実施形態によれば、直列接続された互いに相補的な状態をとる2つの磁気抵抗効果素子と、これら磁気抵抗効果素子の接続ノードに接続された選択用トランジスタとを有するメモリセルを構成し、選択用トランジスタを介して第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続されたビット線に出力される接続ノードの電圧に基づいて、磁気抵抗効果素子に記憶された記憶情報を読み出すので、カレントセンス方式を用いた従来の磁気メモリ装置と比較して、集積化が容易である。
【0083】
また、折り返しビット線構造を採用することが可能となり、隣接ビット線ペア(BL,/BL)での差動信号を交差結合型のセンスアンプで読み出すことができる。これにより、メモリ動作の際のノイズに強くなる。また、コラム毎にセンスアンプを配置することが可能であり、各コラムのデータを同時に読み出してセンスアンプでラッチさせて高速データ転送を行う、バーストモードでの高速読み出しを容易に実現できる。
【0084】
また、隣接して設けられた磁気抵抗効果素子のペアを用いるとともに、リファレンス電圧として読み出し電圧の半分の電圧を用いるので、磁気抵抗効果素子の特性ばらつきに強い読み出しが可能である。
【0085】
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0086】
例えば、上記実施形態では、本発明をMTJ素子を用いた磁気メモリ装置に適用した場合について示したが、本発明は、磁性層間のスピンの関係に基づく抵抗変化を利用した磁気抵抗効果素子を用いた磁気メモリ装置に広く適用することができる。例えば、2つの磁性層が導電性の非磁性層を介して積層された磁気抵抗効果素子を用いた磁気メモリ装置にも適用可能である。
【0087】
以上詳述したように、本発明の特徴をまとめると以下の通りとなる。
【0088】
(付記1) 第1の抵抗状態を有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子に直列に接続され、前記第1の抵抗状態と相補的な関係をなす第2の抵抗状態を有する第2の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続された選択用トランジスタとを有するメモリセルと、
前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードに前記選択用トランジスタを介して接続されたビット線と、
前記ビット線に接続され、前記ビット線に出力される前記接続ノードの電圧に基づいて、前記第1の抵抗状態及び前記第2の抵抗状態により規定される所定の記憶情報を読み出す読み出し回路と
を有することを特徴とする磁気メモリ装置。
【0089】
(付記2) 付記1記載の磁気メモリ装置において、
前記ビット線に隣接して設けられ、前記読み出し回路に接続された他のビット線と、
前記他のビット線に接続された他のメモリセルを更に有する
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【0090】
(付記3) 付記2記載の磁気メモリ装置において、
前記読み出し回路は、差動増幅型の読み出しセンス回路を有する
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【0091】
(付記4) 付記3記載の磁気メモリ装置において、
前記読み出し回路は、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との直列接続に所定の読み出し電圧を印加したときに前記ビット線に出力される前記接続ノードの電圧と、前記読み出し電圧の半分の電圧であるリファレンス電圧とを、前記読み出し回路において比較することにより、前記記憶情報を読み出す
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【0092】
(付記5) 第1の抵抗状態を有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子の一方の端部に一方の端部が接続され、前記第1の抵抗状態と相補的な関係をなす第2の抵抗状態を有する第2の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続された選択用トランジスタとをそれぞれ有し、マトリクス状に配置された複数のメモリセルと、
第1の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第1の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第1の磁気抵抗効果素子の他方の端部に接続された複数の第1の信号線と、
前記第1の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第1の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第2の磁気抵抗効果素子の他方の端部に接続された複数の第2の信号線と、
前記第1の方向と直交する第2の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第2の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第1の磁気抵抗効果素子が形成された領域において前記第1の信号線とそれぞれ交差し、前記第2の磁気抵抗効果素子が形成された領域において前記第2の信号線とそれぞれ交差する複数の第3の信号線と、
前記第2の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第2の方向に並ぶ前記メモリセルの前記接続ノードに、前記選択用トランジスタを介して接続された複数のビット線と、
複数の前記ビット線の一方の端部に、隣接する2本の前記ビット線毎に設けられた複数の読み出し回路と
を有することを特徴とする磁気メモリ装置。
【0093】
(付記6) 付記5記載の磁気メモリ装置において、
複数の前記ビット線の他方の端部に設けられたリファレンス電圧発生回路を更に有する
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【0094】
(付記7) 付記5又は6記載の磁気メモリ装置において、
前記第1の信号線及び前記第2の信号線にそれぞれ逆向きの電流を流す第1の書き込み電流発生回路と、
前記第3の信号線に、記憶すべき情報に応じた方向の電流を流す第2の書き込み電流発生回路とを更に有する
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【0095】
(付記8) 付記5乃至7のいずれか1項に記載の磁気メモリ装置において、
前記第1の信号線及び前記第2の信号線に所定の読み出し電圧を印加する読み出し電圧発生回路を更に有する
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【0096】
(付記9) 付記5乃至8のいずれか1項に記載の磁気メモリ装置において、
同じ前記メモリセルに接続された前記第1の信号線及び前記第2の信号線の一方の端部に、前記第1の信号線及び前記第2の信号線を電気的に接続し又は切断するための第1のスイッチング素子を更に有する
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【0097】
(付記10) 付記9記載の磁気メモリ装置において、
異なる前記メモリセルに接続された前記第1の信号線及び前記第2の信号線の他方の端部に、前記第1の信号線及び前記第2の信号線を電気的に接続し又は切断するための第2のスイッチング素子を更に有する
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【0098】
(付記11) 付記5乃至10のいずれか1項に記載の磁気メモリ装置において、
前記第1の方向に延在して形成され、前記第1の方向に並ぶ前記メモリセルの前記選択用トランジスタのゲート電極に接続された複数のワード線を更に有する
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【0099】
(付記12) 付記5乃至11のいずれか1項に記載の磁気メモリ装置において、
前記第2の方向に隣接する2つの前記メモリセルの前記選択用トランジスタは、一の活性領域上に形成されており、2つの前記メモリセルの前記選択用トランジスタと前記ビット線とを接続するビット線コンタクトが共用されている
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【0100】
(付記13) 付記12記載の磁気メモリ装置において、
前記活性領域は、前記第2の方向に長い矩形状のトランジスタ形成部と、前記トランジスタ形成領域の中央部から前記第1の方向に突出するコンタクト部とを有し、前記ビット線コンタクトは、前記コンタクト部に形成されている
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【0101】
(付記14) 第1の抵抗状態を有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子に直列に接続され、前記第1の抵抗状態と相補的な関係をなす第2の抵抗状態を有する第2の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続された選択用トランジスタとを有するメモリセルと、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードに前記選択用トランジスタを介して接続されたビット線とを有する磁気メモリ装置の読み出し方法であって、
前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との直列接続に所定の読み出し電圧を印加したときに前記ビット線に出力される前記接続ノードの電圧に基づいて、前記第1の抵抗状態及び前記第2の抵抗状態により規定される所定の記憶情報を読み出す
ことを特徴とする磁気メモリ装置の読み出し方法。
【0102】
(付記15) 付記14記載の磁気メモリ装置の読み出し方法において、
前記読み出し電圧を印加したときに前記ビット線に出力される前記接続ノードの電圧と、前記読み出し電圧の半分の電圧であるリファレンス電圧とを、前記読み出し回路において比較することにより前記記憶情報を読み出す
ことを特徴とする磁気メモリ装置の読み出し方法。
【0103】
(付記16) 付記14又は15記載の磁気メモリ装置の読み出し方法において、
前記読み出し電圧は、磁気抵抗効果素子のMR比と前記磁気抵抗効果素子に印加するバイアス電圧との積が最大となるときのバイアス電圧が、前記第1の磁気抵抗効果素子及び前記第2の磁気抵抗効果素子のそれぞれに印加される電圧とする
ことを特徴とする磁気メモリ装置の読み出し方法。
【0104】
(付記17) 第1の抵抗状態を有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子に直列に接続され、前記第1の抵抗状態と相補的な関係をなす第2の抵抗状態を有する第2の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続された選択用トランジスタとを有するメモリセルと、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードに前記選択用トランジスタを介して接続されたビット線と、前記第2の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードとは逆の前記第1の磁気抵抗効果素子の一方の端部に接続された第1の信号線と、前記第1の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードとは逆の前記第2の磁気抵抗効果素子の一方の端部に接続された第2の信号線と、前記第1の磁気抵抗効果素子及び前記第2の磁気抵抗効果素子の近傍に設けられた第3の信号線とを有する磁気メモリ装置の書き込み方法であって、
前記第1の信号線に流す電流により生じる磁界と前記第3の信号線に流す電流により生じる磁界との合成磁界により、前記第1の磁気抵抗効果素子に前記第1の抵抗状態を記録し、
前記第2の信号線に流す電流により生じる磁界と前記第3の信号線に流す電流により生じる磁界との合成磁界により、前記第2の磁気抵抗効果素子に前記第2の抵抗状態を記録する
ことを特徴とする磁気メモリ装置の書き込み方法。
【0105】
(付記18) 付記17記載の磁気メモリ装置の書き込み方法において、
前記第1の信号線及び前記第2の信号線は第1の方向に延在して形成されており、前記第1の信号線に流す電流の向きと前記第2の信号線に流す電流の向きとは互いに逆向きであり、
前記第3の信号線は前記第1の方向と直交する第2の方向に延在して形成されており、前記第1の磁気抵抗効果素子及び前記第2の磁気抵抗効果素子に書き込むべき情報に応じて、前記第3の信号線に流す電流の向きを変化する
ことを特徴とする磁気メモリ装置の書き込み方法。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置の構造を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置の構造を示す概略断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置の構造を示す部分拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置の構造を示す回路図である。
【図5】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置の書き込み方法を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置の書き込み方法に好適なメモリセルの構成を示す回路図(その1)である。
【図7】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置の書き込み方法に好適なメモリセルの構成を示す回路図(その2)である。
【図8】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置の読み出し方法を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置における記憶情報の判定方法を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置におけるメモリセル及び読み出し回路の一例を示す回路図である。
【図11】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置における読み出し動作のタイミングを示すタイムチャートである。
【図12】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置における読み出し電圧の設定方法を示すグラフである。
【図13】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図14】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図15】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図16】本発明の一実施形態による磁気メモリ装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図17】従来の磁気メモリ装置の構造を示す回路図(その1)である。
【図18】従来の磁気メモリ装置の構造を示す回路図(その2)である。
【図19】従来の磁気メモリ装置の構造を示す回路図(その3)である。
【符号の説明】
【0107】
10…シリコン基板
12…素子分離膜
14(WL)…ゲート電極又はワード線
16,18…ソース/ドレイン領域
20,28,54,62…層間絶縁膜
22,56…コンタクトホール
24,58…コンタクトプラグ
26(BL)…ビット線
30…配線溝
32…Ta膜
34…NiFe膜
36…Cu膜
38(WWL)…書き込みワード線
40…下部電極層
42…反強磁性層
44…強磁性層(固定磁化層)
46…トンネル絶縁膜
48…強磁性層(自由磁化層)
50…キャップ層
52…MTJ素子
60…上部電極層
64(DL)…ディジット線
80,82…書き込み電流発生回路
84…センスアンプ
86…スイッチング素子
100…メモリセル
102,106…MOSトランジスタ
104…MTJ素子
108…電流源
110…読み出し回路
112…列選択回路
114…行選択回路
120…リファレンス用セル
122…読み出し回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の抵抗状態を有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子に直列に接続され、前記第1の抵抗状態と相補的な関係をなす第2の抵抗状態を有する第2の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続された選択用トランジスタとを有するメモリセルと、
前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードに前記選択用トランジスタを介して接続されたビット線と、
前記ビット線に接続され、前記ビット線に出力される前記接続ノードの電圧に基づいて、前記第1の抵抗状態及び前記第2の抵抗状態により規定される所定の記憶情報を読み出す読み出し回路と
を有することを特徴とする磁気メモリ装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気メモリ装置において、
前記ビット線に隣接して設けられ、前記読み出し回路に接続された他のビット線と、
前記他のビット線に接続された他のメモリセルを更に有し、
前記読み出し回路は、差動増幅型の読み出しセンス回路を有する
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【請求項3】
第1の抵抗状態を有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子の一方の端部に一方の端部が接続され、前記第1の抵抗状態と相補的な関係をなす第2の抵抗状態を有する第2の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続された選択用トランジスタとをそれぞれ有し、マトリクス状に配置された複数のメモリセルと、
第1の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第1の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第1の磁気抵抗効果素子の他方の端部に接続された複数の第1の信号線と、
前記第1の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第1の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第2の磁気抵抗効果素子の他方の端部に接続された複数の第2の信号線と、
前記第1の方向と直交する第2の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第2の方向に並ぶ前記メモリセルの前記第1の磁気抵抗効果素子が形成された領域において前記第1の信号線とそれぞれ交差し、前記第2の磁気抵抗効果素子が形成された領域において前記第2の信号線とそれぞれ交差する複数の第3の信号線と、
前記第2の方向に延在して並行に配された複数の信号線であって、各信号線が、前記第2の方向に並ぶ前記メモリセルの前記接続ノードに、前記選択用トランジスタを介して接続された複数のビット線と、
複数の前記ビット線の一方の端部に、隣接する2本の前記ビット線毎に設けられた複数の読み出し回路と
を有することを特徴とする磁気メモリ装置。
【請求項4】
請求項3記載の磁気メモリ装置において、
同じ前記メモリセルに接続された前記第1の信号線及び前記第2の信号線の一方の端部に、前記第1の信号線及び前記第2の信号線を電気的に接続し又は切断するための第1のスイッチング素子を更に有する
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【請求項5】
請求項4記載の磁気メモリ装置において、
異なる前記メモリセルに接続された前記第1の信号線及び前記第2の信号線の他方の端部に、前記第1の信号線及び前記第2の信号線を電気的に接続し又は切断するための第2のスイッチング素子を更に有する
ことを特徴とする磁気メモリ装置。
【請求項6】
第1の抵抗状態を有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子に直列に接続され、前記第1の抵抗状態と相補的な関係をなす第2の抵抗状態を有する第2の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続された選択用トランジスタとを有するメモリセルと、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードに前記選択用トランジスタを介して接続されたビット線とを有する磁気メモリ装置の読み出し方法であって、
前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との直列接続に所定の読み出し電圧を印加したときに前記ビット線に出力される前記接続ノードの電圧に基づいて、前記第1の抵抗状態及び前記第2の抵抗状態により規定される所定の記憶情報を読み出す
ことを特徴とする磁気メモリ装置の読み出し方法。
【請求項7】
請求項6記載の磁気メモリ装置の読み出し方法において、
前記読み出し電圧を印加したときに前記ビット線に出力される前記接続ノードの電圧と、前記読み出し電圧の半分の電圧であるリファレンス電圧とを、前記読み出し回路において比較することにより前記記憶情報を読み出す
ことを特徴とする磁気メモリ装置の読み出し方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載の磁気メモリ装置の読み出し方法において、
前記読み出し電圧は、磁気抵抗効果素子のMR比と前記磁気抵抗効果素子に印加するバイアス電圧との積が最大となるときのバイアス電圧が、前記第1の磁気抵抗効果素子及び前記第2の磁気抵抗効果素子のそれぞれに印加される電圧とする
ことを特徴とする磁気メモリ装置の読み出し方法。
【請求項9】
第1の抵抗状態を有する第1の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子に直列に接続され、前記第1の抵抗状態と相補的な関係をなす第2の抵抗状態を有する第2の磁気抵抗効果素子と、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との接続ノードに接続された選択用トランジスタとを有するメモリセルと、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードに前記選択用トランジスタを介して接続されたビット線と、前記第2の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードとは逆の前記第1の磁気抵抗効果素子の一方の端部に接続された第1の信号線と、前記第1の磁気抵抗効果素子との前記接続ノードとは逆の前記第2の磁気抵抗効果素子の一方の端部に接続された第2の信号線と、前記第1の磁気抵抗効果素子及び前記第2の磁気抵抗効果素子の近傍に設けられた第3の信号線とを有する磁気メモリ装置の書き込み方法であって、
前記第1の信号線に流す電流により生じる磁界と前記第3の信号線に流す電流により生じる磁界との合成磁界により、前記第1の磁気抵抗効果素子に前記第1の抵抗状態を記録し、
前記第2の信号線に流す電流により生じる磁界と前記第3の信号線に流す電流により生じる磁界との合成磁界により、前記第2の磁気抵抗効果素子に前記第2の抵抗状態を記録する
ことを特徴とする磁気メモリ装置の書き込み方法。
【請求項10】
請求項9記載の磁気メモリ装置の書き込み方法において、
前記第1の信号線及び前記第2の信号線は第1の方向に延在して形成されており、前記第1の信号線に流す電流の向きと前記第2の信号線に流す電流の向きとは互いに逆向きであり、
前記第3の信号線は前記第1の方向と直交する第2の方向に延在して形成されており、前記第1の磁気抵抗効果素子及び前記第2の磁気抵抗効果素子に書き込むべき情報に応じて、前記第3の信号線に流す電流の向きを変化する
ことを特徴とする磁気メモリ装置の書き込み方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−185477(P2006−185477A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376226(P2004−376226)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】